一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2023年9月1日~)
2023年9月23日
秋分の日である。
土曜日。けさは秋空の下、シロちゃんは早くから、お外に。新鮮な秋の気配と空気を思いっきり吸って帰ってくるのだよ、と私。シロは秋の空気を十分に吸い、正午過ぎには、わが家に帰ってきたのである。シロよ、シロ、シロ。シロちゃん。お帰りなさい。ところでおかあさん(伊神たつ江、舞子。だから、愛称は〝たあ~ちゃん〟)は元気でいた? と私。シロは、うぅ~ん、ううんとだけ答えた。どうやら、おかあさんもこの秋晴れの下、元気で過ごしていてくれるらしい。よかったね、と私。
シロは、いつも私たち家族を守ってくれている。いまでは完全におかあさんの代わりである
何の恨みがあってか。私のからだを急襲されたコロナの方は平熱で、せき込むこともなくなり、順調に治癒しつつある。
午後。久しぶりに近くの古知野食堂へ、と出かけた。ベランダにはシロちゃんのブルーのバスタオルはじめ、この季節になると身にまとう私のスポーツシャツ類を天日干し、少しでも自然の太陽光線でわが衣類の消毒を兼ね、干して秋風のなかを泳がせたい、からである。
青森県八戸市の駅弁製造販売「吉田屋」で今月15日と16日に製造された駅弁を食べて体調不良を訴えた人が21都県で270人に上っている問題で八戸市保健所は23日、原因が弁当による食中毒と断定。行政処分を行った。保健所の調べによると、患者の便や未開封の弁当から黄色ブドウ球菌とセレウス菌が検出されたという。
(9月22日)
金曜日である。毎日新聞朝刊くらしナビ面に【くらしナビーライフスタイルー 「燃料デブリ」どうする 決めるのは私たち】の記事。書き出しと本文の一部は、次のとおりである。
-「国や東電がちゃんとした計画を今から作らなければ、同じことが起こるのではないか」。原子力工学が専門の福井大客員教授の柳原敏さん(73)は、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出を巡って世論が割れるのをみて、心配している。
私たちが直面する難題は処理水だけじゃない。次に待ち受けるのは、核燃料が溶け落ちて生まれた「燃料デブリ」と、壊れた原子炉をどうするか、だからだ。福島第1原発に残るデブリは、正確な量も危険度も分からない。だから、取り出し方法も、保存する場所も、決まっていない状態だ。
8月12日、東京大で日本原子力学会のシンポジウムが開かれた。壇上に並んだのは学者ではなく、福島出身や原子力を勉強する学生と、第一線で原発を追ってきた新聞記者たちだ。福島第1原発の最終形については、公園や水族館といった声のほか、こんな希望が出た。
「広島の原爆ドームのように遺構として保存してほしい」「教訓を学べる場所であってほしい」……
きょうは丸1日、私が「脱原発社会をめざす文学者の会」幹事会からの要望で月イチで書き進めている文士刮目の第29回【世界の緊迫に思う 何事も油断大敵】の執筆に追われた。それにしても、このところの咳にノドの痛み、鼻水、倦怠感は尋常ではなかった。でも、体温も下がり、やっと本欄にもこうして臨むことが出来、ホッとしている。それにしても、コロナを身をもって体験、この病がいかに恐ろしいものか-を実感したのである。
舞が、この秋空のなか、雲に乗り「どう? それでよくなったの? あなたは、ほんとに、いつだって弱い。弱っちい男なのだから。これからは、しっかりしなきゃ、いけないよ。あたしがいないのだから」といった声が耳に大きく迫る。いやはや。コロナくんには随分長い間、いじめられた。やれやれである。こんな時、おまえが傍らに居てくれたなら、それだけで安心なのだが。おまえは、頼りがいのある女性だったことを今さらながら身に染みて思っている。
(9月21日)
けさの新聞報道によれば、新型コロナウイルスのオミクロン株派生型「XBB・1・5」に対応した改良型ワクチンの秋接種が20日、始まった。生後半年以上の全ての人が対象で費用は無料。厚生労働省は重症化リストの高い、高齢者や基礎疾患のある人に積極的な接種を呼びかける。期間は来年3月31日までで、来年度以降は自己負担が生じる可能性がある「定期接種」への切り替えが検討されているという。
(9月20日)
水曜日。20日。彼岸の入りである。
秋の晴れた空を見ると、私の口からは自ずと♪秋空に未来永劫と書いてみし、と♪曼殊沙華(まんじゅしゃげ)人恋うほどに朱(あけ)深く-の二句(いずれも今は亡き伊神舞子が生前に詠んだ俳句。名作である)が出てしまうのである。
このところは末っ子ともども親子そろってコロナに罹患してしまい、しばらくは体調の優れない日々が続き、世紀の病から逃れ出るため、私たち親子にしては珍しくちょっと大変な毎日が続いた。何より、も毎日既定の量の薬を飲むのが苦痛で、本来なら、薬なぞとは縁もゆかりもなかったはずの私たちにとって、薬に追い立てられてしまう、ちょっと苦しい、そんな日々が続いた。でも、砲撃のような、薬の効果があってか。なんとか体調は戻りつつあり、ここ二、三日はホッとしているといったところか。(まだまだ喉はいがらっぽいが。いずれにせよ、しつこいコロナ君たちである)。
【故大島宏彦さん従三位】【損保ジャパン立ち入り 金融庁開始 ビッグモーターにも】【地方住宅地31年ぶり上昇 基準地価 商業地も4年ぶり 背景に低金利、訪日客増】【名古屋圏上げ幅拡大】【辺野古反対国連で訴え 基地集中沖縄知事「平和脅かす」】【サポーター暴力の浦和 天皇杯の参加資格剥奪】【鉄骨の梁と落下 2人死亡 3人けが乗って作業中か 重さ15㌧、ワイヤ外れ 八重洲のビル工事】など。新聞紙面には、きょうも多くのニュースが満載されている。
これが世の中、世の人々が歩く人生というものか。
(9月19日)
火曜日。コロナでダウン、このところとても新聞など読もうとする気力ひとつなかったが、きょうは体内に居座るコロナ君たちもだいぶ退散したようで、久しぶりに朝刊を読んだり、夥しい量のネットのチェックをすることが出来、なんだかホッとした。仲良く自宅療養に耐えてきた末っ子もきょうからは久しぶりに出勤。シロちゃんも、それこそ、久しぶりにお外に出て、例によっての外遊、すなわち外歩きとあいなったのである。
きょうの私にとってのニュースは、やはり本日(19日)の中日スポーツの1面【堂々バンテリンD初先発 根尾 「バカみたいに」投げ込んで制球難克服 ゾーンに直球、変化球集め6㌄2/3自責0】である。川又米利(本紙評論家)の核心【先発投手の理想型を見た 打もすごい!! 3割打てそうな隙ない打撃】もよかった。何よりも、飛騨の山奥に育ち、これまで忍従の日々に耐えてきた中日の根尾昴投手(23)が好きだからである。私は、ああした苦しさに耐え続ける人物、根尾を大好きなのである。
(9月18日)
コロナが目に見えない。
この微生物がいかに大敵かを思い知らされた。というわけで、ここ半月ほどは自宅を出ない生活が続いた。幸い、熱もノドも快方に向かっており、もう心配ない。それにしても、コロナ、すなわち、新型コロナウイルスがいかに恐ろしい病いであるか、を身をもって知ったのである。
というわけで、私にとって大切な執筆活動をきょうから再開。それこそ、書ける範囲内でこれまでどおり私の思うところを書きつづっていこう。
本日付の中日新聞に【「俳句の持つ力に確信」 黒田杏子さん偲ぶ会】【大谷選手今季終了 右脇腹炎症治まらず決断】の見出し。そして。今ひとつ★両陛下、海づくり大会に の小見出しは、天皇、皇后両陛下が17日、北海道厚岸(あっけし)町の厚岸漁港を訪れ、第42回全国豊かな海づくり大会の式典で、陛下は「この豊かな海の環境を保全するとともに、水産資源を適切に保護・管理し、次世代に引き継いでいくことは、私たちに課せられた大切な使命です」とあいさつされたことを報じていた。
(9月17日)
日曜日。敬老の日。この日ばかりは、自分にはまったく関係のない日だ、とばかり思っていたが、そんなわけにもいかないようだ。信じられないが、私も早や、77歳であり、敬老の日の対象年齢だ、と言われたところで「私はまだまだ若い。年寄りなんかじゃない」と拒否は出来ないだろう。
歳はとっても体力だけは、自信があったのだが。半月ほど前に同居の息子と共にとうとう、コロナ君に攻撃されてしまい、それこそ苦しい日々が続いた。でも、息子の献身的な看病と心遣いのおかげもあって、なんとかこの苦境を脱出できそうである。というわけで、現在挑んでいる新刊の最終校正こそどうにか切り越えたものの、このところは日常の新聞に目を通したり、ラジオのニュースに耳を傾ける以外には社交ダンスのレッスンもやめ、日ごろの執筆も滞りがちで自室に椅子に座るか、ベッドに横たわるほかない。
だが、かわいい愛猫シロにうつすことだけはあってはならない、と窓の風とおしをよくすることに努めているが幸い、シロちゃんは大丈夫のようである。
きょうは、朝から猛烈な雨だ。雨が降ると、なぜか全身が洗われるようで、コロナくんたちもこれらの雨たちと一緒に退散していくようで、どこか救われる。ここ1週間ほど続いた息苦しさもやっとこせ、少しは、なくなってきたようで、こうして久しぶりにデスクに向かい、再び書き始めた。
(9月16日)
毎日新聞の余録(9月16日付)に阪神タイガース優勝について書かれていたので一部をここに残しておこう。いい文である。
▲決して二刀流のオオタニや、昨年のヤクルト「村神様」のようなスーパースターが中心になったわけではない。若手が活躍し、投打がかみあい、しっかりと打線をつなぐチームワークで白星を重ねた。豪快な打撃とともに内紛も多いイメージだった従来とは、ひと味違っていた▲不振なシーズンも「ダメ虎でもいとおしい」と応援し続けたファンは感慨ひとしおだろう。危険な「道頓堀ダイブ」などせずとも、地元の熱気は十分に伝わってくる▲それにしても「優勝」の2文字をあえて封印し、選手やファンのムードを「アレ」で一体にしていった岡田彰布(あきのぶ)監督の手腕に驚く。多くの人が、自分にとって目標とする「アレ」は何かを思い浮かべたのではないか。虎党ならずとも、六甲おろしを口ずさむたくなる快挙だった。
(9月15日)
敬老の日(18日)を前に、厚生労働省が全国の100歳以上の高齢者が過去最多の9万2139人になった、と発表。昨年に比べ1613人増え、53年連続の増加。全体のうち女性が8万1589人と88・5%を占め、男性は1万550人。最高齢は大阪府柏原市の巽フサさんで、1907年(明治40年)4月25日生まれの116歳。男性は千葉県館山市の園部儀三郎さんで明治44年(1911年)11月6日生まれの111歳だった。また厚労省によると、日本人の平均寿命は女性が87・09歳、男性が81・05歳となり、2年連続で前年を下回った。新型コロナウイルス流行による影響とみられるという。
(9月14日)
プロ野球のセ・リーグは14日、阪神タイガースが2005年いらい18年ぶり6回目(1リーグ時代の4回を含めると10回目)の優勝を果たした。9月に入って11連勝の快進撃で、球団史上最も早い日付で王座に就いた。前回優勝した2005年に指揮を執った岡田彰布=おかだあきのぶ=監督(65)が復帰1年目でチームを再び栄冠に導いた。監督が意識しすぎないよう「アレ」と呼んだ優勝へ突き進んだ。
(9月13日)
水曜日。きょうは、金山ペインクリニックまで。元々、私がかつて顔面が痛くなったときに今は亡き妻たつ江がその存在を突き止め、教えてくれ、私を伴い一緒に連れて行ってくれた私にとっては大切なペインクリニックである。今回は、血圧があがらないように飲む薬と以前のような顔面痛が起きないように随時のむ薬を調達するためだったが、つい1週間ほど前にコロナに感染するなど大変なさなかの病院行きとなった。本音をいえば、薬なぞ一錠とてのみたくはないのだけれど。これも年をとった証拠か。しかたないか。
(9月12日)
火曜日。尾北ホームニュースの女性(土肥さん。島根出身)から突然、電話をいただく。「泣かんとこ 伊神舞子俳句短歌遺稿集」の新聞掲載の件でだったが、生前のわが妻、たつ江、すなわち舞(マイ)は尾北ホームニュースの俳句欄をそれこそ、いつもむさぼるように熱心に読んでいただけに、近々彼女の遺稿集【泣かんとこ】を取材して頂けると聞き、とても嬉しく思い、さっそく仏前でわが妻、舞(静汐院美舞立詠大姉)に報告させて頂いたのである。ありがたいことだね。舞よ、マイ。心から感謝しなければ、ね。
(9月11日)
けさの私の体温は36・4度。体温に限れば平熱に戻ったようだが。のどのカラカラ声まじりの少しの痛みに、せき、鼻水、呼吸をするつどの引きつり、ゼイゼイといった息苦しさ……と、これまで味わったことのないほどの激痛に我が身は襲われている。
それどころか、けさになって私が頼みの綱としている同居息子(3男)までが体調異変をきたし、会社を休んで私と同じ説田クリニックにいったところ、陽性と診断され先ほど、うなだれて帰ってきた。全くもってこれでは、わが家がコロナ禍に責められている、といっても不思議でない。今は「みな早く治りますように」と神さまにお願いせざるを得ないのである。
ただひとり、愛猫シロちゃんだけが、相変わらずのマイペースで焦らず、騒がず、驚かずとでもいえようか。わが家に何か異変が生じていることは気付いてはいるようだが、そんなことはお構いなし。けさも元気に散歩に出かけたのである。いま。シロちゃんの頭を駆け巡っているものは何なのか。私はそれを知りたいのだが。シロはいつもどおり。平常心は変わらないのである。いつものように午前10時過ぎにお外に出て正午過ぎには規則どおり帰ってきた。シロは彼女なりに自らの体調維持を考えている。そんな気がしてならない。
新川が決壊したあの東海豪雨からきょうで丸23年がたつ。当時、私は新聞社の一宮主管支局長から文化芸能局の部長に異動したころで、一宮の自宅から中日ビルまでマイカーで命からがら出勤した、あの日を思い出す。行こうとする先々で至る所で通行が遮断されており、名古屋の職場に辿り着くまで半日を要したあの苦い体験が頭をかすめるのである。
4年に1度、ラグビーの世界一を決める第10回ワールドカップ(W杯)フランス大会で1次リーグD組の日本は10日、フランス南西部トゥールーズでのチリとの初戦に42-12で勝った。初めて8強入りした2019年日本大会を上回る成績に挑む大舞台での白星発進となった。
北アフリカのモロッコ中部で8日深夜(日本時間9日朝)に起きたマグニチュード6・8の地震で内務省は死者が2122人、負傷者が2421人に上った、と発表。犠牲者はさらに増えそうだ、という。
(9月10日)
のどの痛みに始まり、鼻水が出て呼吸もままならない。
呼吸をするつど、のどがひきつってくる。長い人生の中で、こんなに苦しい思いをしたのも、珍しい。幸い、同居の三男坊が、買い物から何から何まで、あれやこれやと気を遣ってくれているので大いに助かっている。新聞をじっくり読むという朝の日課が、このところは、いつもと違い途絶えているのでシロちゃんまでが私のことを心配してくれており、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。それよりも何よりも、わが愛するシロちゃんにコロナをうつしたら大変なので、一緒に寝ることも控えている。
健康第一、とはよくぞ言ったものである。わが家では川崎に住む長男夫妻が先日、コロナにかかり心配したが1週間ほどで治り、ホッとしたところへの、今度は私へのコロナ来襲、不意打ちである。
というわけで、きょうはほとんど丸1日寝ていた。
(9月9日)
土曜日。朝起き、いつものように新聞を読み始めたが、のどが痛いばかりか、気持ちも悪く、首全体が引きつってしまい、何度も咳が出る。鼻水も、だ。で、かつて舞が診てもらっていた自宅近く池田病院に行ったところ、「当院ではコロナかどうかは診療できないので説田クリニックさんに行ってください」とのこと。クリニックを訪れると、鼻に何か筒のようなものを入れ、しばらくすると「間違いなくコロナですね」とのこと。というわけで、こちの薬局へ―と出向いた。
渡されたのは、朝夕食後のラゲブリオカプセル200㍉㌘のカプセル錠(朝、夕食後にこれを4錠ずつ飲む)とべポタスチンベシル酸塩錠10mg「タナベ」、レスプレン錠30mg(朝、夕食後に各1錠飲む)、ピーエイ配合錠(朝、夕食後に各2錠)。まさに薬の洪水である。長い人生で、こんなに多くの薬を渡されたのは、おそらく初めてである。
幸い、息子があれやこれやと気遣ってくれ何かと助かっている。
この日は舞なのか。ひと筋の雲がわが家上空の天空を、どこまでも貫いていた。舞よマイ、ありがとう
(9月8日)
外で他のニャンニャンたちとケンカでもしたのか。シロが大事な、だいじな左耳上部を少しケガしていたので、オキシドールで消毒後、しばらく時間をおいてこんどは私の指に唾をしみらせて塗ってやる。これでよくなれば良いのだが。いや、元気だから。すぐによくなるだろう。
新聞、ラジオ、テレビは毎日毎日、あれやこれやと報道をしている。良いニュースは殆どといってほどなく、たいていは悪いニュースばかりである。そして。その悪いニュースも連続性を帯びているのでよくない。悪いニュースが「これでもか」と報じられると、なんだか私たちの心までが汚く澱んでいってしまいそうで全くもってよろしくない。そのお手本とでもいおうか。その代表といっても記事が、秋本衆議院議員の逮捕と並んで報じられている【ジャニーズ社長謝罪、辞任 喜多川氏の性加害認める 東山氏後任 社名は維持】(8日付、中日新聞1面見出し)というものである。
昔の、時の権力者でもあった元社長、ジャニー喜多川氏(2019年死去)による性加害問題が今になって噴出してきたもので、同事務所は7日、東京都内で記者会見を開き、社長を務めていた藤島ジュリー景子氏が性加害を事実と認め「心からおわびを申し上げます」と謝罪。藤島氏は5日付で社長を引責辞任。代表取締役にとどまり、被害者への補償に当たることを表明。後任社長には所属タレントの東山紀之氏(56)が就いた-という何とも恥ずかしい話である。首脳陣は、この悪行をこれまで見て見ぬふりをしてきたのか。一体全体、何をしていたのか、と思うと、腹立たしささえ感じるのである。
いろいろさあ。シロちゃん。人間社会では毎日毎日へんな事件ばかりが起きているよね。シロちゃん。
(9月7日)
東京地検特捜部は7日、洋上風力発電事業を巡る事件で秋本真利容疑者(48)=衆院議員。比例南関東、自民党を離党=を洋上風力発電事業にからむ依頼の見返りに日本風力開発側から6000万円の賄賂を受け取ったとして受託収賄容疑で逮捕。中日新聞夕刊は【秋本衆院議員を逮捕 6100万円受託収賄疑い 東京地検特捜部 洋上風力国会質問謝礼か】の見出しでトップで報じている。三菱重工業がこの日午前、種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)からの大型ロケット「H2A」47号機の打ち上げに成功。今回の成功は、日本の宇宙開発を再開する一歩となるという。
午後。江南市土地改良区(江南市役所内)と扶桑土地改良区(扶桑町役場内)へ。どちらも私の有する土地の畑地かんがい水利賦課金を支払うためだったが、扶桑町役場に行くのに、通行人に場所を聴くなどかなり手間取った。だが、やはり現場百回か。扶桑町役場庁舎内の椅子や机など至る所にヒマワリが施されていたので町役場職員に伺うと、「ここは町の花がヒマワリですもので」とのことだった。まさか、ウクライナと同じヒマワリの町が、ここ尾張地方にあっただなんて。なんだか不思議な気がした。帰りに、運転席から庁舎を望むと、これまた【非核平和宣言の町 扶桑町】【全国統一防火標語 火を消して 不安を消して つなぐ未来 扶桑町・扶桑町消防団】の垂れ幕が目の前に。これには、また少し感激したのである。
(9月6日)
先日、滝高の同窓会でたまたまテーブルが同じだった大先輩、川村典久さま(昭和36年滝高卒業)から【半寿回想】と【河村正義回想-その生涯と研究活動】=いずれも印刷製本・カワムラ工房。非売品=の2冊が送られてきた。合間を見て読ませて頂こう。滝は、立派な先輩たちばかりだなっ、とつくづく思う。
このところは私の新作【伊神権太一匹文士小説集「ぽとぽとはらはら 赤い空」】(人間社)の最終校正はじめ、ほかの一匹文士そぞろ歩きの執筆などアレヤコレヤに追われ、チョット大変な、ハードな日々が続いている。このうち、一匹文士小説集は、わが妻舞に対する夫婦の一里塚といってもよく、渾身の小説集となるだけに、日々真剣に取り組んでいる。無事、刊行し一人でも多くの皆さまに読んで頂ければ、それ以上にうれしいことはない-と。そう、自らに言い聞かせながら日々がんばっている。新著は人間社さんから、発刊予定だけに誕生したあかつきには一人でも多くの皆さま方に読んで頂ければ、と願っている。
というわけで、このところは何かと私なりに忙しい日々が続いている。
※ ※
☆ ☆
【14歳娘に刺され母死亡 愛知・大治 殺人未遂疑い逮捕】(6日付、中日夕刊見出し)【北海道地震5年 黙とう復興へ決意新た】【「命守るため、日々備えを」 阪神でも被災、語り部の64歳女性】【クマ人身被害 最多54件 4~7月、出没も高水準 省庁会議、警戒呼びかけ】【「西村彗星」見えるかな? アマ天文家が発見、60年の成果 未明の東の空、週内見頃】(6日付、日経夕刊見出し)
世の中、いろいろある。生まれては消える。
2023年9月5日
この世は薄情なものである。
能登の七尾でママさんソフトボール協会の代表だった、あの七尾市山王町の南昭治さんから毛筆の封書が届いた。中を開くと「妻がこの五月二十二日に突如亡くなりました」という悲しい知らせだった。封書には「元気でした。前の日もグラウンドゴルフで二人参加 妻は入賞でした 二人でショッピング後 妻は又三年間運転出来ると大喜びで警察署から免許証を受取って玄関を出て来た嬉しい笑顔 その足でスノーから新らしいタイヤに変えガソリンも入れました。二十二日 今日はグラウンドゴルフ市民大会の日。朝いつもより一時間早く朝食と昼大会弁当を作っている途中の七時ごろ〝お父さん〟と大声が。ハーイと私が台所へかけつけた時 その前で倒れて小声でお父さん救急車呼んで…それっ切り一声も目もあけず その夜、病院からの電話でかけつけた時はもうあの世へ旅立っていました(中略)
あれから百日過ちました 妻は確実に私を待って居るといっているようですし思い出の何千枚の写真一枚一枚の風景に涙あふれて止まりません。」とあった。私はその場に立ち尽くした。そして「南さん、大変でしたね」と、それ以外の言葉はとうとう出てこなかった。
「南さん、辛かったですね。能登七尾では奥さまにも大変、あれやこれやとお世話になりました」。写真はオシドリ夫妻で知られた南昭治さんから私あてに届いた手紙 合掌-
最高裁第1小法廷(岡正晶裁判長)は4日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、軟弱地盤改良工事の設計変更を承認しなかった沖縄県に対する国土交通省の是正支持は違法だとして県が取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、県側の上告を棄却。是正指示を「適法」とした県側敗訴の福岡高裁那覇支部判決が確定した。
というわけで、けさの新聞の見出しは【辺野古 沖縄県の敗訴確定 軟弱地盤 工事進む可能性 最高裁「国の指示適法】(5日付中日新聞朝刊)【辺野古 沖縄県敗訴確定 設計変更 不承認は「違法」最高裁上告棄却 知事「極めて残念」】(5日付毎日朝刊)などといったものだった。辺野古を巡る問題は、なかなか難しい問題である。
一方、本日付の中日夕刊は【京アニ放火殺人認める 地裁初公判で青葉被告 弁護側無罪主張 検察側「完全責任能力ある」】の見出し。記事を読みながら、36人が死亡し、32人が重軽傷を負った2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で殺人罪などに問われた無職青葉真司被告(45)が、この日京都地裁で開かれた裁判員裁判の初公判で「自分のしたことに間違いありません。こうするしかないと思ったが、こんなにたくさんの人々が亡くなるとは思わなかった」などと述べたという。
中日新聞の通風筒によれば、三重県伊勢市の伊勢神宮に供える米の初穂を刈り取る神事『抜穂(ぬいぼ)祭』が4日、伊勢市楠部町の神宮神殿で営まれた。久邇朝尊大宮司をはじめ、神宮関係者や住民ら約80人が参列、秋の実りに感謝をささげたという。
こうして人々の秋、ちいさい秋が、いよいよ過ぎていくのである。
2023年9月4日
東京の文芸同人誌街道が編集発行人木下径子さんから届いた。
木下さんの短編【四回目の手術】とエッセイ【ベットの中から、「譫妄(せんもう)」】を拝読したが、彼女を知る私だけに、胸が締め付けられる思いにかられた。でも、木下さんの書くことに対する情熱、不屈の精神は私自身、常日ごろ、とても勉強させられているのである。
本日は「脱原発社会をめざす文学者の会」の幹事会と、これに続くノンフィクション作家上山明博さんの文学サロン「牧野富太郎 花と恋して九〇年」が東京の文芸会館で行われたが、私自身が新刊小説の準備などに追われていることもあって、欠席させて頂いた。特に上山さんの文学サロンには、とても関心があっただけに、残念無念である。
私は、かつて新聞社の大津支局長時代に当時の滋賀同人の全記者に大号令をかけ、記者が行く先々で出会った、なにげない野に咲く花々の写真を撮って取材、コメントを書くという手法で【野に咲く 湖国の花々】(サンライズ出版)を出版したことがあり、こうした自然の花々には関心があるだけに、上山さんのお話を聞きたかった。このことを、残念無念というのであろう。でも、これも仕方ない。
「あのねえ。一日にひとつ。することは、ひとつなのよ。無理しちゃためよ」とたつ江、舞の声が聴こえてくるのである。
2023年9月3日
日曜日。名古屋金山のANAクラウンプラザホテルグランコート名古屋で開かれた滝高校全体の令和5年度滝学園同窓会総会・懇親会に私たち昭和39年卒のクラス会である「二石会」の現会長須賀藤隆くん=元県立一宮高校校長など=に誘われ、それこそ久しぶりに出席。なつかしい校歌をうたうなど母校の雰囲気を肌で味わい、かつての先輩や後輩らとの旧交も温めてきた。
ことしは、昭和四十九年生まれ、平成5年普通科卒の須賀くんのご子息、英隆さんたちが総会・懇親会の準備委員を務め、【あなたの挑戦は何ですか? ~100年を超えて先に跳ぶために~】をスローガンに開かれたが、若き委員の皆さまには大変お世話になった。彼ら、彼女らのそれこそ有名ホテルのホテルマン顔負けの親身になっての気配りには、ある面で別の意味での〝滝高魂〟のようなものも感じられ、おかげで楽しいひとときとなった。出向いてよかったな、と思っている。
途中、舟木一夫さんたちがかつて学園内でロケを続けた【高校三年生】の映像が画面に大きく映し出されたり、滝の卒業生で現在は日本を代表するボディービルの選手で知られる卒業生の肉体美と演技披露がされる思いがけない名場面も。場内は喝采と拍手に包まれた。懇親会では、私の兄の親友で同級生、滝高教師でもあった澤木辰己さんはじめ、妹や亡き母が何かとお世話になってきた倉知正憲さんらにも思いがけず、お会いすることが出来た。そればかりか、同じ滝の同窓生で日本を代表するボディービル選手の見事な演技披露まで拝見出来、楽しく有意義なひとときとなったのである。ちなみに「二石会」からの出席は、私と須賀君だけであった。
♪水上遠き大岐蘇の 流れは永遠にはぐゝまむ 沃野尾北にひるがへる 自由の旗ぞ我が母校…… みんなそろって。思い出しながら。校歌を歌う滝学園の同窓生たち
思いがけずも。ボディービルで活躍する卒業生も。見事な演技を披露した
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本日付中日新聞サンデー版大図解は生誕120年、没後60年の日本を代表する映画監督・小津安二郎である。小津は1903年12月12日。東京・深川生まれで9歳のころ、父の故郷である三重県松阪市に移り、自宅近くの映画館・神楽座に通い、この時期に見たハリウッド映画「シヴィリゼーション」の影響で映画監督への夢を抱いたことなどがリアルにまとめられ中身の濃い、読む価値のある内容となっている。
バスケットボール男子の日本代表が2日、沖縄市の沖縄アリーナで行われたワールドカップ(W杯)順位決定リーグO組最終戦で世界ランキング64位のカボベルデを80―71で下し、今大会のアジア勢最上位を確定させて来年のパリ五輪出場権を獲得した。パリ五輪への出場決定は日本の団体球技では第1号。
日本大学が1日、部員が違法薬物事件を起こしたアメリカンフットボール部を同日から再度、無期限活動停止にしたと発表。国民民主党の代表選が2日投開票され、玉木雄一郎代表(54)が前原誠司代表代行(61)を破り、再選。中央大学の目加田説子教授が3日付の中日新聞【視座】で<海は一つ「処理水」への責任>を強調。なかなかいい内容であった。
(9月2日)
きょうは、私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」のウエブ作品集に若手ホープで「熱砂」編集委員でもある<天空を駆ける未来の作家>黒宮涼さんが連載小説「あの箱庭に捧ぐ 序章 心を知る」を公開。この物語は、こんごしばらくは「熱砂」紙上で連載として続くので、ひとりでも多くの方々に読んで頂けたら、と願う。物語の内容については、熱砂のWhat’s new(黒宮涼の連載小説「あの箱庭へ捧ぐ」連載開始)を参照していただきたい。
※ ※
☆ ☆
けさの中日新聞の見出しは【地球沸騰 世界各地で酷暑、森林火災】【乾燥や強風 被害助長「日本も無縁でない」】というもので、『いま、世界が燃えている-。米ハワイ・マウイ島やカナダなど、各国で気候変動の影響とみられる森林火災が相次いでいる。異常気象による乾燥や強風が火災を助長。今年7月に世界の平均気温は史上最高を記録し、日本でも今夏の気温が統計開始以降の125年で最も高くなった。国連が「地球沸騰の時代が来た」と警告するなど、緊急の対応が求められている。(蜘手美鶴)』と緊急の対応を求める深刻な紙面でもあった。実際、世界は、このままどこまで燃え続け、広がっていくのだろうか。そんなことを思うと、空恐ろしくさえなってくる。
(9月1日)
金曜日。関東大震災(1923年)の発生から100年になる。しんぶん赤旗日曜版(9月3日付)の紙面【関東大震災・朝鮮人虐殺100年 朝鮮人は三度殺された 問われる植民地支配の責任】が気になる。朝鮮人虐殺は諸説あるが虐殺行為が事実としたなら、これらの行為は決して許されるものではない。
午後、一宮のスポーツ文化センターへ。
社交ダンスのレッスンのためだが、病を克服した若原先生の復帰後のレッスンも、いつもどおりに戻ってきたような、そんな気がする。なかでも〝よしこさん〟と〝えっちゃん〟がいつも、強力なアシスタントとして毎回、先生を補佐して私たちのレッスンに付き合ってくださっており、なんだか【チーム若さん】はまだまだ大丈夫、健在だな、と思った次第である。若先生の入院中、毎週一度フラワーパークに出向いて一人寂しくシャドーに打ち込んでいた日々が何だか嘘のようでもある。男性陣も熱心な方々ばかりで【若さん丸】がいよいよ、再出発したような、そんな気がするのである。
私たちは全員が健康である-ということのありがたさをしみじみ感じながらレッスンに励んでいる。
「あたし帰った かえったわよ」
舞がお盆にやってきた/大阪が大好きだった彼女も、かつては元気はつらつ/画面の人々と同じように大阪の街を闊歩した
そして。十六日朝、舞の魂は能登半島沿いに大空へと飛び立っていった。
※ ※
☆ ☆
二〇二三年八月八日。立秋。青い空に白い雲が浮かぶ。その雲から一羽の鳥がチュチュチュ、チュと声を上げ、大空高く翼を広げて飛び立った。この鳥は、一体全体どこに行くのだろうか。近年にないのろのろ台風6号が再び沖縄から九州に向け、近づいている。そんな日の濃尾平野上空でのひとコマである。
たつ江、たつ江。舞、マイ。……
きょうも私は一日に何度、この言葉を空に向かって矢の如く放ったことだろう。これでは狂人も同然である。
グリーンの愛車・パッソのハンドルを手に、半ば放心状態となって、ただ繰り返し、呼びかける。「あのねえ~、何を言っているのよ。あたしがいるこちらの世界には、もう言葉なんて存在しないのだから。あなたに呼びかけられたって。残念ながら、わからないと思う」
そんな返事もよそに私はハンドルを手に、空高く浮かぶ雲たちに向かって何度も何度も恥も外聞もなくさらけ出し、わが妻の名前を呼びかける。さっそうと自転車に乗ったすれ違いざまの女を目の前に、そういえばたつ江の自転車に乗る姿はいつも雄々しく、どこかセクシーでゆったりとしていたな、と今さらながらに思い起こすのである。
あれから二年がたとうとしている。
私はわがいとしの妻たつ江(伊神舞子)との物語をたとえ僅かでも、真剣に読んで頂けるそんな読者一人ひとりに向かって、これからこの物語を書き進めたく思う。何千、何万の読者もいいが、私の場合は、たったひとり真剣に読んで頂け、しかも共感してくださる、そんな読者に巡り合えれば、それだけで嬉しく、たつ江の霊(静汐院美舞立詠大師)も浮かばれ、幸せなのである。おそらく、私がこの世で無限大に愛し続けた彼女だって同じに違いない。そして。その分だけ、この地上の人々がにこやかに楽しく、かつ幸せな人生を過ごすことができたのなら。私たちにとっても、それ以上に嬉しく望むことはないのである。
(序章)
二〇二三年七月十七日。海の日。
「あのね。あたし、あたい。たった今。あの世から帰ってきたのよ」「帰ったわよ」
「ほんと。ほんとなの。おかえり。でも、おまえのあの懐かしい声は、確かにどこからか。聞こえてはくるのだけれど……、おまえの姿が見えないよ。一体全体、どこにいるのだ。まさか透明人間になってしまったのではないよな」
「何を言っているのよ。あなた。あなたのすぐ隣、目の前でこうして座っているじゃない。なのに、あたいの姿が見えないの。なぜ、なぜ見えないのよ。ほらっ。内輪を手にあたいがいつも着ていたピンクの浴衣、着て座っているじゃないの。それなのに、分からないだなんて。おかしいよ。あたし、あなたとシロちゃん(愛猫)に会いたくてきたのよ。でも、すぐに帰らなきゃ。時間が決められているのよ」
「いつから、そんなシンデレラ姫みたいになってしまったのだよ。何を言っているのだ。やっと帰ってきてくれたというのに。ここにそのまま居たらいい。いつまでも。どこにもいかないで居てほしい。たとえ、オンボロロではあっても。おまえが苦労し、いろいろ考えて作った俺たちの家じゃないか。きょうは、おまえも覚えているように俺のおふくろが、百歳近くになってなお、自分でこしらえ、自ら車を運転して持ってきてくれた超特大のスイカもある。せっかくだから。たとえ少しでも食べていきなよ。その方が俺と一緒におまえの帰宅を待ち続けていた愛猫シロちゃん、オーロラレインボーも喜ぶはずだ。俺だってうれしいよ」
「うん。ありがとう。あなたの言葉、うれしいわ。おかあさんが作ってくれたスイカもむろん、良いけれど。こうしてあなたとあなたの傍らのシロちゃんの顔を見ることが出来て、声まで聴けて。それだけで大満足だよ。また来る。きっとくるからね」
わたくし。私には、おまえの気配と声は十分にわかるのだが。一体全体、どこにいるのか、が分からない(ここで、私たちは食卓に切ったままにして置いた、それは見事なスイカを、ひと切れひと切れ食べ始めたのである)。
その夜。まさか、わが妻たつ江(伊神舞子)が俺のところに帰って来てくれただなんて。一体全体誰が信じるだろうか。でも、本当なのだ。おまえがこの世を旅立ってから帰宅する日を毎日、首を長くして待ち望んでいただけに、とてもうれしい。
ホントに、おまえが目の前に現れ出るとは。夢にも思わなかった。でも、もはや命を落とし死んでしまったはずの舞がその日は、本当に翼を広げ、チュッチュッ、チュッチュッチュとかわいい小鳥になって、わが家に飛んで帰宅してくれていた。このことは、事実なのである。その日、普通では、とても信じられないことだが夢の中の私と妻の舞、シロちゃんは思ってもいなかった再会を果たしたのである。
でも。そうは言っても、だ。生前、あれほどまでに平和を願っていた舞も昨年二月二十四日のロシアのウクライナへの一方的な侵攻をはじめ、安倍晋三元首相の銃撃死も、朝ドラ「らんまん」の放映、新しいスーパーふたつのこの町への出店も。町が変わり、世の中が一変してしまった事実を何ひとつとして知らない。ただ生前、愛していたシロちゃんのことだけは、知っていた。
「シロ、シロ。シロちゃん。元気でいた? 相変わらず、お美人さんだね。肥満になってないわよね。よかった」と何度も何度も話しかけ、シロがそのつど、あげる「ニャア~ン。ニャア~ン」の甘えた声に満足そうに天下一品の声で「ハイハイ、ハイハイ。元気でいたのだね。おかあさん心配していたのだから。よかった。よかったよ」と頭をさすったりするのであった。
1.
七月十三日。海の日。外は雨。雨である。
雨が大気という大気に張りつくようにシンシンと降り注いでいる。私、わたくしの心は雨色に染まっている。私はそんな雨の一粒ひと粒に何かを訴えようとするのだが。雨は軒先をたたく音の大きさのわりには、何ひとつ応えようとはしてくれない。それでも透明で澄んだ雨粒ひとつひとつの中に、おまえ、たつ江(伊神舞子)の世界があり、おまえは生きている。舞はこの世に存在しているのだ、と。私はそう確信している。雨粒、いや雨音と時折、大気を蹴って吹き抜ける、さやかな風の流れのなかにもおまえの命は潜んでおり背後には地球、いやいや、もっともっともっと大きな限りなき宇宙のような存在がひしめいている。私は、姿を決して見せないおまえとこの世の素顔をそのように思うのである。
雨が止むと、今度はかぜたちが真正面から吹き込んで流れ、私の全身に突進してきた。かつてはいつも一緒だった私とおまえ。ふたりは、この世の中の一体全体どこにいたのだろう。もしかしたら風のなかにいたのかも知れない。ボブディランの歌のように。【風にふかれて】。私は、おまえをどこまでも抱きかかえ、待ち続ける。そうだ。生前のおまえが、いつも待ち望んでいた平和な世の中を、である。この地上でどんなに見苦しい戦争が存在しようとも、だ。私、すなわち俺も、おまえも、だ。いつも平和な社会を希求してきた。
でも、現実は違う。たつ江、すなわち舞は「あたし帰ったわよ」と言うが、幻覚に過ぎない。いま、おまえが一体全体、この広い空のどこをどのようにして魂となって泳いでいるのか、が私には分からない。この世のどこらあたりにいるのか、を知らない。この世から既に消えた地上の死者、おまえがどこにいるかは、皆目見当がつかないのである。
けれど。元気で。笑顔で居てくれさえすれば、それでよい。ところで、おまえも十分知っているように、だ。この現世でニンゲンたちが生きていくということ。そのこと自体が、大人から子どもまで、とても大変なことである。そのことは全てのニンゲンに言えることであって、それこそ一つひとつの生が、奇跡そのものなのだ。生前、俺がおまえに何度も言ったように。ニンゲンの存在そのものが、だ。無。無。無の連続である気がしてならない。このことはおまえが生きていたころ、共に自宅からリサイクルショップ「ミヌエット」まで。約300~400㍍はあろうか、おまえの店に続く。そう、その桃源ロード(私たちは、この道をふたりでいつも勝手に【幸せなマイロード】と呼んでいたのだが)を歩きながらいつも言っていた。生きていくってことは。だれだって。本当に大変だよな、と。俺たちは奇跡の海のなかを生きているようなものだナ、とも。当たり前のことではあるが、人間たちは誰だって、いつも奇跡のなかを泳いでいるのだ、と。
それでも、この星に住む地上では、そうした大変さを十分に知り尽くしているはずの女や男たちが、きょうも明日もあさっても、だ。それぞれの夢や希望、思いを胸に、どこに行くとも知れず、それぞれに定められた地球、いや宇宙の片隅を歩いている。さまよっている。大半があてのない旅を、だ。最近ではインターネット社会がますます深化し、ネット三昧で余生を過ごす人々が限りなく増えつつある、とも聞く。そんなわけで今では高齢とはいえ、ネット社会の存在が心の支えになっている人々も結構多いみたいである。
私、すなわち<わたくし>。かつてのおまえ、たつ江の夫であった相棒の私はこのところ少しだけ肥満気味とはいえ相も変わらず、腰をヨッサヨッサとゆすって堂々と歩いて見せる、あの百獣の王にも似た〝ライオン歩き〟が見事と言っていいほど十分に似合う白い貴婦人ぶりを発揮している愛猫シロ、すなわちオーロラレインボーを傍らにきょうも見えない空気、大気に向かって、こう問いかける。
「たつ江。舞よ、マイ。おまえの姿は今では俺の目には全く見えない。でも、元気でいるか。楽しい日々を過ごしているか。おまえの自慢でもあったシロちゃん。彼女は元気でいるからナ。心配しないで」と。
そして。その瞬間。見えない風がそれこそ、何かに吹かれて、だ。大気の中をそよぎ、いたずらでも楽しむように、頬をふんわりフワリとなでて通り過ぎ去っていく。私の上半身に触れて何かを楽しんでいるようにも感じられる。そこで。私は。風の中のおまえ、舞に向かってこうも付け加えた。
「オレたちのことなら何でも知っているシロ。こよなく美しい白い貴婦人、オーロラレインボーちゃんなら、元気でいるから。心配ない。安心してよいからな。彼女、きょうも雷がきたときは、しばらくどこかに姿をくらましてしまったけれど。やんだら、いつのまにか室内に出てきていた」と。彼女は、舞とベッドを共にしていたころから、雷が大嫌いでいったい全体どこに隠れていたのやら。おまえが生きていたころと同じで、それが分からない。とはいえ、雷が去れば、シロちゃんはどこからか、また、八頭身の見事な姿を現すのである。おまえが居たころと同じだ。
それはそうと、毎日毎日、何度も何度も俺と舞が一緒に歩いた桃源(トウゲン)通りに福寿(フクジュ)交差点。あのころ、舞のからだは蝕まれ、既に相当弱っていて一歩一歩あるくこと、そのこと自体が大変だったのだが(舞は、それでも毎朝自転車を杖代わりに引いて私に見守られながら、自身の足を一歩一歩前に踏み出し、ミヌエットまでの道のりを懸命に歩いたのである)。私たちふたりはこの町でも、誰が名付けたのか。とびっきりいい名前の桃源通りを歩きながら、この世には本当に夥しく多くの人たちが皆、生真面目な顔をして生きている。いや、生きていくのだなあ、と。妙につくづく感心したりもしたものである。
そして。この、ちいさな町中にあっても日々、すれ違う人々の大半がこの世でその瞬間、瞬間に初めてすれ違う、そんな未知の人たちばかりだ。一体全体、これらの人々はこれから先、この地球上のどこに吸い込まれていってしまうのだろう。などと、そんな妙なことに頭を泳がせながら「この世の中って。とても変で神秘的だよね。おかしいよな」と互いに話し合いながら、時折、笑顔で道を歩く人々に視線を注いで会釈し、この人もあの人も奇跡のめぐり逢いだな、と。そう自らに言い聞かせながら、歩いたりもしたのである。
そのこととは別に、このところ、俺が毎日風呂上がりの夕涼みでベランダに立つと、シロもどこから現れるのか。決まって私の傍に駆け込んできて、ベランダのもう一方の側に立つ。吹くかぜが、とてもからだにしなやかで、われながら気持ちがいい。おそらくシロもそのかぜがからだに合うと見える。そして。これらのかぜたちは十かぞえる間に決まって一度は私とシロの頬を撫で、いたわるようにさあ~っと傍らを吹き抜けてゆくのである。なぜか、その瞬間にあわせでもするように、決まって一羽の鳥が目の前に急に現れ、まるで「見てよ。見ていてよね」といったふうに空高く弧を描いて舞い上がり、チュッ、チュッ、チュ、チュといった声を大空高くあげ、やがて視界から消え去っていく。その姿が何とも優美かつ爽快で俺とシロは思わず大空をみあげたまま、「あぁ。すごい。すごいな」と、またしてもその鳥の行き先に視線を泳がせるのである。
風呂から出てベランダに立ち、夕涼みに立つ私。そして一緒にいつだって、さも当然のようにベランダ片隅に座って夕方の気持ちの良い風に当たる愛猫シロ。彼女、シロことオーロラレインボーもその一羽の鳥に気付いているようだ。あの鳥はおかあさんだ。おかあさんに決まっている。おかあさんに違いない。おかあさんがやってきた。おかあさんだ、と。私の方を振り返り、視線でそう訴えかけてもくる。
2.
自宅の電話が鳴る。そうかと思えば、こんどは俺のスマホがピコピコピコ、ピコピコと音を立てる。俺はそのつど、愛猫シロと一緒に両耳をそばだて、「あっ。もしかしたら。たつ江、舞、おかあさんからではないか」と思う。そして。受話器を耳に当てれば、いつだって、あの落ち着いた調子の「あのねえ」といった艶のある声が天空を破って耳元まで聴こえてくる。「あのねえ、あの」と切り出すのがたつ江の常だったのだが。このところ鳴る電話の相手は、その全てが彼女とは別のものである。
たつ江がこの世を去って、早や二年になろうとしている。
私とシロは毎日、ふろ上がりの夕方、そろって二階ベランダに一緒に立ち、風になったたつ江に会うことにしている。そんな彼女は、日によってさわやかだったり、ともすれば空高くポッカリ浮かぶ三日月の影星になったり、時には空からその部分だけが今にも落ちてきそうな、どす黒い雲であったりしたが、それでもいつの時にも鳥になってチュチュ、チュの声をあげて私とシロをいたわるように近づき、見守り続けてくれるのである。そして。こうしてベランダでシロと立ち、この初夏の季節にしてはとても心地よい夜の風が流れ、ほほをなでるなか、見えない空気、大気に向かって、こう問いかけるのである。
「たつ江。舞。マイ。元気でいるか」と。
私は、あえてそう声をかけてみる。声をかけながら「もはや、俺は生きていたところで仕方ないな」と思ったりする。すると、空気が膨らみ、どこからか、またあのチュチュチュ、チュチュといった甘い声が聞こえてくる。おまえは鳥になってしまったのか。
と、一羽の鳥が目の前を水平飛行したかと思うと大きな円を描き、どこかに飛び立った。チュ、チュ、チュ、チュ、チュと小鳥はさも嬉しそう、かつ得意げでもある。
いつのまにか、場面は一変。こんどはひとりの女性が日傘なのか。中央部分にピンクの大きなハートがあしらわれた傘をさし、わが家の前を、とぼとぼ、ヨロヨロと玄関先に懐かしそうな視線を泳がせながら、一歩一歩、足を踏みしめるようにして通り過ぎていった。それにしても、この女性は一体全体、何者なのだろう。確かに後ろ姿は、どこかで見た記憶はある。もしかしたら、たつ江、舞かも知れない。いやいや、そうであるにちがいない。
私には、なぜかその女性がつい先日まで私と共に暮らしていた舞の〝人仏(ひとぼとけ)〟すなわち亡くなりはしたが、まだまだずっと、ずっと傍で生きていてくれる妖怪のふ・ん・が・も。〝ふんがもさん〟みたいな気がしてならない。そういえば、昨年もことしも春先になると浴室ガラス窓に、あのヤモリが吸い付くようにベッタリと這いつくばっており、しばらくすると白い跡だけを浴室ガラス窓にくっきり残し、いつのまにか、どこかに消え去った、あのヤモリかも知れない。その私の愛しい彼女がこんどはヤモリから〝ふんがも〟となって住み慣れたわが家を懐かしんで家の前をトボトボと歩いていったのだろうか。
それはそうと、一昨年十月に【秋一日絨毯と飛べ我が部屋ごと】【赤とんぼすいと曲がりて曲がりけり】などの俳句をはじめ、多くの短歌に1行詩、詩を遺してこの世を去って逝った、妻のたつ江(舞)。彼女は今、一体全体この宇宙のどこでどうして生きているのだろうか。私はそう思うだけで胸が熱く、涙が出てくる。長年連れ添って共に生きてきた亡き妻を自分で言うのもおかしいのだが。純情可憐、全身無垢な女とは、彼女のことをいうに違いない。
「ところで一体全体、おまえ。おまえは、どこに行っていたのだ。これまで何度も見た夢の中でも随分と日本中をあちらこちら歩き回り、捜しまわったのだが。おまえは一向に姿を見せてはくれなかった」
「あのねえ。それはひ・み・つ。秘密なの」「それより、あんた(彼女は晩年になり、なぜか夫の私に〝あんた〟と意識して呼ぶことがあった)。元気でいた? あたし。いや、あたい。あんたのことが、とても心配で。心配でたまらなかったのだから。ほんとよ」「あたいは、あんたを好きでたまらなかった。ということは、やはり、あたいはあんたを好きだった、ということなのかな」
「うん。俺はなんとか。こうして生きてはいるよ。だけど、おまえがいない世の中だなんて。どんなにおいしいものがいっぱいあったとしても、だ。面白くもなんともない。第一、せっかくのおいしいものを、おまえに食べてもらえんじゃないか。やっぱり、おまえ。おまえが居てくれてこそ、この世は面白い。生きがいがある。だから、これからもいつだって俺のそばに居てほしい。ひと言もしゃべらない。それこそ、路傍の石のような存在だったとしても、だ。傍にいてくれさえしたら、それだけで嬉しい。おまえがこの世に居ないのでは。第一、生きている気がしないよ」
「さあどうかしら。ほんとかね。路傍の石だなんて。あたいを石にしちまうの。そんなこと、とても無理だよ。あたいを喜ばせるため、そう言っているだけじゃないの。昔から女性をくどく。口説き文句は天下一品。誰よりも上手だったのだから。あたし。み~んな。知っているのだから。あんたのことは。そのことはシロ、そうオーロラレインボーちゃんだって、あたいに教えられて知っているよ。だって。あたいとシロちゃんは、女同士だもの。あたいたち、運命共同体的な存在だと言ってもいいんだから。
いずれにせよ、あたし。あたいは、もうあんたが住む世の中、あんたたちの世の中にはいないのだから。あなたって。相変わらず、口がうまいのだから。これまで一体何人の女性を騙してきたの。泣かせてきたのよ。あたい。わたしはねえ。あんたの女たち。ぜ~んぶ、知っている。知っているよ。イチ、ニィ、サン、シー……。確かに、みんな素敵な方ばかりだったわよね。あんた。それはそうと。デどう。あたいのいない世界。そろそろなれたかしら。面白い? 楽しい? あたいのこと、心配してくれてる? 今でも」「新聞記者は、殺しやサンズイ(汚職)など。どんな薄情極まる事件はむろん災害、事故現場にも遭遇するか知れたものでない。だから、誰よりもホットな半面、だれよりも非情でなければ務まらない、だなんて。名文句をそのたびに聴かされたわよね。そう言って、それこそ多くの女性を泣かせてきたことだって知っているのだから。あなたって。ほんとに悪い人よね」
彼女はそう言って、私を覗きこんできた。
「何を言っているのだよ。面白いはずなんか。あるはずないじゃないか。何度も言うが、おまえのいない世の中だなんて。面白くもなんともない。おまえが俺と一緒にいる。だからこそ、楽しくてスリルがあって面白かったのだよ」
「デ、ところで何かいい話はないの。楽しい話があったら洗いざらい教えてよ。ステキな女性が出来たとか。あたい、ホントに気になるのだから。あなたのこと。教えてよ。ネ!」
ここで彼女はあらためて首をかしげる。
そして。疑問符でもなげかけるように、いつもの調子で俺に向かって、もう一度こう言った。「ねえ。教えてよ」と。
(ここからは女と男の独り話になる)
――ところで。あたい。今になってあらためて、この世で生きている、すべての人に敬意を表したい。善とか悪とかは別に。どの人もこの人も、にです。みなさん。み~んな。だれもが、です。それこそ、花も嵐も乗り越えて。よくぞ、毎日を、けなげにも生きておいでだな、と。極端なこと言えば、どの赤ちゃんだって、よ。毎日を一生懸命に生きているのだから。そう思うの。
そういうあたいは最近、大好きだった人間社会から足を抜け、はや二年になろうとしています。デ、こちらの世界では涙とか、悲しみだとか。そういうものを知らない、あたいの晩年にあなたが言っていた通り、それこそ今は無の世界で無の存在、大気の一部となって風たちと一緒に戯れながら生きている。世は無情で、いや、もしかしたら<かぜ>そのものになってしまったかもしれない。
そして。生きていたころ、それは晩年でしたが一階ベッドからあなたのいる二階寝室にまで上がることができなくて。よく言ったわよね。「あたし、体力がなくて。階段を上がれないのよーって」。そしたらあなたったら、そのたびにこう言ったわ。『ホントに。おかしいな』だって。わたしは階段の手すりに全身を支えながら上に行こう、行こうとして一歩一歩上に歩いていきながら、そう言ったのに。あなたって。本当に冷たい人だったわ……」
「そうか。そうだったのか。今さら謝ったところで仕方ないのだが。ホントだった、だなんて。俺は迂闊な男だった。そして。俺はおまえが逝ってしまってから、おまえに会いたくて仕方ないことに改めて気がついた。でも、ほんとに良く来てくれ、心底嬉しい。いまでは、おまえが死んでしまってから、なぜ、顔はおろか、声さえ聴くことが出来なくなってしまうのか。それが、悲しくて悔しくて。残念で仕方ない。やるせないのだ。あの甘い口のなかでいつも鈴を転がして鳴らすような、そんなおまえ独特の金色に光る生の声を聴いてみたい。のに、だ。
ところで、鈴虫といえば、だ。志摩半島阿児のお寺さんに毎年夏になると、鈴虫リンリン会に一緒に行ったよな。どの鈴虫の声が一番良いかを競うコンテストで、思えばとても楽しい会だった。しかし、今の俺は、おまえのあの甘えたような声ひとつ、聴くことが出来ない。なぜ。なぜなのだと大声で叫んでみたところで、おまえの声はもはや、この地上からは消えてしまった。AI(人工知能)で復元できないものか。真剣に思う」
―私は、ハンドルを手に亡き妻の顔を何度も何度も思い浮かべ、運転席の窓を開け、大気に向かって、見苦しいほどに〝たつ江。舞。マイよ、マイ、元気でいるか〟と叫んでみる。そして、生きている。生きていくってことは、おまえの言うとおり、どの人にとっても大変なことだな、とつくづく思うのである。そして。わたくし、私は舞が発しそうなあらゆることばを駆使してこの物語をさらに進めていこう、と。そのように思う。
話は振り出しに戻る。たつ江が天界から地上に舞い戻ってきたところに戻ろう。
「あのねえ。あたし帰ってきたよ。どこからだって。家の外、外よ。天からなの。あなたが昔、取材でよく乗ったヘリコプターとか飛行機とか。何もなくたって、だよ。いったん死んで旅立った人には全員に、見えない黄金の翼が与えられるの。だから。その翼で大気を漕いで、ここまできたのよ。松本は上高地の北アルプス上空から熊野灘を見下ろす志摩半島、多くの事件、事故、災害現場を思い出させる小牧国際空港(名古屋空港)にあった新聞社の格納庫、それから志摩半島上空から能登半島、琵琶湖を見下ろす大空まで。み~んな、飛んできたわ。あなたも、あたいにとっても、懐かしいところばっかり。最後は、木曽の流れを眼下に見下ろす尾張平野。どこもかしこも忘れられないところばかりよ。もちろん、シロちゃんにも。会いたくて。こうして翼を広げて、最後はお空の空気を両手でかいて、ここまで来たのだから」
「それはそうと。おまえは今、この晴れた空の下の一体全体どこにいるのか。青い空に浮かんで漂う雲の中にいるのか。海、といえば。御座白浜海岸それとも門前の鳴き砂の浜にいるのか。志摩であれ、能登であれ、一緒によく足を運んだ半島の灯台近くにいるのか。志摩半島の安乗、波切、大王崎……、それとも能登の禄剛崎、舳倉島、能登島か。……あぁ、射光がまばゆい。でも、おまえ、たつ江が今この世界にいることだけは間違いない。俺はいつだって、そう信じている。
【また君に恋している】。おまえは坂本冬美のこの曲が大好きだった。なぜかしら、俺が好きだった石川さゆりの【天城越え】はあまり好まなかった。そうして。暇さえあれば、なぜか。パンダをみたい。パンダに会いたいので和歌山に連れてってよ。それがダメなら、福島のフラガールがいい、と言っていたよな。俺は『わかった。そのうちに必ず行くからな』と答え、その気でいた。
六、七年ほど前だったか。その気になって一緒にJR名古屋駅まで出たまではよかったが。豪雨で名古屋から和歌山行きの列車が運休になってしまい、俺たちは急きょ、次におまえが行きたがっていた映画「フラガール」の里で知られる福島県いわき市に行き先を変更し、出向いたことがある。ひと晩を温泉宿で過ごした俺たちは、その町の野口雨情記念館に寄ったあと、スパ・リゾートに向かった。
あのときの、おまえの喜びようときたら、まぶしいほどで、今もまぶたに焼き付いて離れない。行って本当によかった。俺たちはついでに俺が既にたびたび訪れていた東日本大震災で瓦礫の町と化した塩屋埼灯台直下の浜をただふたり、どこまでも黙々と歩いたのである。あの日。大震災と福島第一原発事故による放射能を経験したとみられる一匹の犬が俺たちの歩く砂浜をどこまでも、時折、尾を振りながら、トボトボとぼとぼと追っかけてきた。そして何かを訴えたい、といったそんなまなざしで俺たちのからだに交互に顔とからだを摺り寄せてきた。
俺もおまえも、どうしてよいものか、が分からない。それでも、その犬は俺とおまえの行く方向にピタリと離れないままついてきた。俺たちは立ち止まり、まだまだ若いその犬の顔を何度も何度もさすってやったが、犬はされるがまま何かを思い出すように海を眺め、顔を空に向け、キャンキャン、キャンと悲しそうな声をあげたのである。俺とおまえの目頭をほぼ同時に涙が伝う。私たちはあのとき、訳も分からないままその犬に向かって思わず「強くなろうよな。負けるなよ」とつぶやいたのである。数羽のカモメがパサパサパサッと羽音をたて、大空に飛び立ったのはまさにその時だった。
あの、けだるくカモメのことを生涯、歌い続けたおまえが大好きだった浅川マキだったら、この風景をどう歌っただろう。♪かもめ かもめ 笑っておくれ あばよ、と歌ったかもしれない。
3.
たつ江と俺の物語は、ここで晩年の一時期に大きくプレイバックする。
彼女は、なおも話しかけてくる
「あのねえ。一日にすることは、ひ・と・つ。ひとつなの。ひとつよ。いい、分かった。分かったわよね」
あの懐かしく、かつ厳しく甘い声が暑さとともにジンジンジンジンと耳の奥底から響き、聞こえてくる。
「あれもこれもなんてダ~メ。だめよ。だめだってば。もう齢なのだから。これからは、無理しないで、することはひとつだけにするの。いつまでも現役の記者なんかじゃないのよ。それから。社交ダンス。これだけは続けてよネ。せっかくピースボートに乗った時、船内のダンス教室で少しは覚えてきたのだから。いいわよね。約束よ。一日ひとつよ」
そういえば、だ。彼女は、俺が七十歳を超えてから、あれやこれやと面と向かって強く命令でもするように言うようになった。
俺はその言葉を大切に、きょうも俺なりに「一日ひとつ」を合言葉に人生の新しいページを開こうとしている。たつ江の教えに従い、一日にやることは出来るだけ、ひとつだけにしようかと思っている。一日にあれこれやってみたところで、いまさら、どうにもなるまい。俺はそのことが十分にわかっていながらなおも前に、前に、と歩いて行こうとしている。それは、この先、たつ江とともにふたりの永遠なる文学の道をそろって歩いていきたい。ただ、それだけの願いからである。
話は変わる。前にも触れたが、おまえはロシアのウクライナへの侵攻という事実を何ひとつ知らない。侵攻が、黄泉の国に旅立った翌年二月二十四日に起きたからだ。けれど、おまえはコロナ禍で人間たちが次々と命を落としていった新型コロナウイルスに人間社会が襲われ、翻弄された現実は知っている。だから、テレワークも、ワクチン接種も、テイクアウト、俺たちのオンライン会議…もだ。これらの言葉の大体は知っている。その証拠に自ら営むリサイクルショップ【ミヌエット】では、店頭に早くから消毒剤を置き、マスクを常時、顔につけ、お客さんを前に日々がんばっていた。コロナの時代、いや始まってから三年ほどは、おまえは、まだこの世の中で逞しく生きていたのである。
そして。俺とおまえは一緒に、この町の総合体育館で二度目のワクチン接種を受けたが、おまえの体調がこの接種後、急に悪化したことも忘れられない、そして消すことの出来ない事実だ。あのとき接種に当たった女医は腕に注射後、舞の腕から出血したことに対して「失敗してしまいました」とすなおに謝りはしたが、あの言葉は今も私の脳裏から離れない。女医は「アッ。でも、すぐによくなります。大丈夫。心配ないですから」とは言ったものの、その言葉とは反対に舞の大腿部の浮腫は、その後肥大化する一方で、とうとう歩けなくなり、緩和病棟に再入院したのも事実である(この注射ミスについてはその後、病院側に子宮がん悪化との因果関係を聞きはしたものの「関係ないと思います」との返事だったが、より追及する必要はあるのでは-と思っている。今さらという考えもあるだろうが、もし因果関係があれば一患者だけの問題ではすまないからである)。
そして。コロナ禍の現状を自らも体感したおまえ、たつ江は、その一方で最近、この世の中に急浮上してきた生成AI(人工知能)のこととなると、知らないまま旅立ってしまった。それと、おまえは向日葵がなぜか、あのハラリと花弁を地上に潔く落とす椿の花と同じように大好きだった。現におまえはおまえの背丈を超すほどの向日葵を俺たちふたりの畑・エデンの園で見事に育て上げ信じられないほど大きな大輪の花を咲かせるまでに育て上げた。エデンの園では、ふたりでそろって雑草を刈り、ほかに玉ねぎや茄子、ねぎなどを育て、時にはチューリップの球根を植え見事に開花させたり、スイカもまだまだ小玉ではあったが、立派に育てあげたりした。
柿の木だって、だ。山ほどなった柿をふたりで収穫し、ミヌエットの店頭で一個10円でお客さんに大安売りしたりしたよな。柿の山はいつだって、アッというまに、なくなった。どこにどう手配したのか。週に一度の野菜市も店頭で開き多くのお客さんに喜んでいただいた。あの時、俺は心底から思った。リサイクルの衣類はむろんのこと、おまえのやることひとつひとつにかける努力と情熱は、たいしたものだな、と。
今にして振り返れば、月に一回の店内でのミニ音楽会もよくぞ続けた、とあらためて感心している。そして広島原爆の日には、お客さんの応援と協力をえてみんなで折った千羽鶴を手に広島平和記念公園に出向き、白血病で12歳の若さで命を絶った佐々木禎子さんの像「原爆の子の像」に一緒に手を合わせてきたりもした。
いろいろあったが、俺は、これらのどれもこれもがおまえが生きていたからこそ、の証しだと思っている。わが妻ながら、本当によくやったな、と。つくづく頭が下がりもするのである。
いま。黄泉の国から途中下車でもするように降り立ってしまったおまえのことばが聞こえてくる。
「死んだら、終わり。でも、そうじゃない。誰だって。そうじゃないのよ。そこから、また新たな人生、虹みたいな新しい世界、旅立ちが始まるのだから。新たな扉が開くのよ。
だから、あなた。こどもたちも。シロちゃんも。みんな。みんな、よ。夢をあきらめちゃ、ダメ。たとえこの世を去ったとしても、もしかしたら、その夢が現実となって扉を開くことだって。あるかもしれない。だから。だから。何ごとも。あきらめちゃあ。ダメ、だめなの。あたし、いつだって、そう思って生きてきた。ほんとよ。ほんとなのだから。あたい。今だって、夢を持ち続けているのだから。ねえ、シロちゃん」
おまえの、あの声がズンズン、ドンドコと、どこか遠い国から聞こえてくる。
4.
ことしの風薫る五月のことだった。
リンとした懐かしいあのたつ江、舞の声が、突然、耳に迫ってきた。
妻のたつ江が、この世を去ってどれほどの月日がたつだろうか。いや、たったのか。五月の風という風はそれこそ、最初のうちは石礫の大波となって俺の肌を突き刺し、たたくが、やがて心地よい集団となって流れ、どこかいさぎよい。その分、これらは気持ちよくもある。あのとき、たつ江の魂は、いまはこの地上のどこを彷徨っているのか、とつくづく思った。
そして。俺の頭にふと、たつ江と生前、よく聞いた歌、岸恵子さんの【希望】の歌が目の前に大きく繰り返し、浮かび蘇ってきた。「希望という名のあなたを尋ねて」「私の旅は終わりのない旅」「遠い国へとまた汽車に乗る」…何度も何度も口ずさんでいたのである。
舞よ、マイ。俺にまた新しい汽車に乗れ、というのか。いやいや。乗らねばならないのか。かつて現役記者のころ、長期に及ぶ殺しやサンズイ(汚職)、災害取材など。事件がひとやま超すつどおまえの許しを得て、俺はよく旅に出た。ふと思い立つように。決まって夜行列車に飛び乗って、である。
志摩に始まり、岐阜、名古屋社会部(小牧)、能登、大垣、大津……と、決まって、だ。僅かな休みを利用し、夜行列車に飛び乗って東北へ、伊豆へ、富山へ、関西へと全国各地へのひとり旅を、よくしたものだ。それは、「おわら風の盆」の越中八尾だったり、「天城越え」の天城峠だったり、男鹿半島、花巻温泉や城崎温泉などへであった。おまえは、そのつど文句ひとつ言うことなく家庭や支局、通信局を守ってくれていた。
そして。この夏、電話がかかった。自宅電話は留守電にしてあるので、そのつど、もしかして「おまえからでは」と思い、息をのんで相手の声を待つ。もう二十年近くも前の話だが、わが家の新築に合わせ電話をファックスつき留守電にしてくれたのも、ほかならぬおまえ、たつ江の知恵であった。これまで随分と役立ってきてくれた、その電話が何度も鳴り、私の生活に役立ってくれたことも確かだ。
だが、しかしである。おまえが決まって切り出してきた甘えたような「あのねぇ」の声は、ひとつとしてなかったのである。おまえのあの声を何よりも先に聴きたいが、おまえは既にこの世にはいない。おまえだったら、まずこう話しかけてくるに違いない。「あのねえ~。シロ。シロちゃん。元気でいる。心配なの」と。
そして。その俺たちの宝物のシロはいま、外に出ている。一体全体、どこを。何を考え、彷徨いつつ歩いているのか。「何。なんだよ。シロがどうしたというのだ。シロは元気でいるから。心配ない。安心していい。それより、おまえは今どうしてる? 一体全体どうしたというのだ。もしかして。生き返ったのか」と。私はもしもだ。たつ江の肉声が耳に飛び込んできたとしたなら、受話器を耳に当てて、そう叫んだに違いない。
思えば、新聞社の通信部の電話番に始まり、無線、ポケベル、携帯と俺たちの連絡方法は、その時々で随分と様変わりしてきた。そして。晩年のおまえはデスク端末を終始、手離すことなく、俳句をつくり、短歌を詠み、一行詩や詩などもつくってきた。その姿は、けなげで可愛く、どこまでも美しかった。端末の調子がおかしいの、と言われ、何度も近くのスーパー店内にある端末修理場に一緒にいった。あのとき。俺は、端末がよくなりさえすれば、お前の俳句や短歌、1行詩の創作活動が出来るから-と早くよくなってくれることだけを、ただひたすらに願ったものだ。
端末の故障が修理され、直った時のおまえの喜びに満ちたあの笑顔ときたら、ホントに俺までがそのつど嬉しくなったものである。おまえの命の代わりといってもいい端末が故障したままでは俳句も作れなければ、歌も詠めない、詩だって作れない。俺が連日、書き続けている一匹文士そぞろ歩きを読むことも出来ないからだ(たつ江は何も言わなかったが、私の書く日々のそぞろ歩きを連日、端末で読んでくれていたようである)。
5.
「あのねえ、あたし帰ってきたよ。ホントよ。だって。あなたとシロちゃん、あなたをはじめ、こどもたちなど家のことが気になって仕方ないのだもの。帰宅したから。もう大丈夫よ。それで、どうだったの。大阪。同人誌の全国大会、よかった? ほんとを言うとね。あたしも一緒について行きたかった。大会翌日の文芸ツアーで与謝野晶子の文学館に一緒に行ってみたかったのよ。
ほかに通天閣にアベノハルカス。道頓堀にも。いつだったっけ。通天閣の近くのお店で串カツ、一緒に食べたよね。それに織田作之助さんの小説<夫婦善哉>ゆかりのお店にも。ホント言うとね。もう一度、あのお店の夫婦ぜんざいが食べたくって。それで、あちらの国(彼岸)に居てもたてもいられなくって。前世のこちらにきてしまったの。ねえ。あたい。ほんとのこと言わせてもらえば、生きていた間に、もう一度、大阪に行きたくて。行きたくって、仕方なかった。フランク永井さんの声、大好きだった。おまえに、大阪ろまん、ウーマン、公園の手品師……。ほんと。ほんとよ。どの曲も大好きだった。嘘を言ったところで何になるのよ。それから。能登で随分とお世話になった長谷川龍生さん。リュウセイさんにも出来れば、もう一度会いたかった。ところでシロちゃん、元気でいつも、お留守番していてくれるかしら」
あの口の中でリンリンと鈴を鳴らすような懐かしい、ちょっと甘えたような声が耳に大きく迫った。そして。数日前のことだった。たつ江、すなわち舞はボクの夢枕に突然現れ、こう言ったのだ。「あのねえ、あたし帰るわよ。これから。あなたたちがいる現世、あなたたちがいる社会に。だから。待っていてよ。これから行くから。もう大丈夫よ。大丈夫なのだから」
何が大丈夫なのか、はよく分からない。でも、あのときたつ江は確かに私に向かって、そう言いきったのである。夢枕に向かってこう言った彼女に向かいボクはあの時、確かにこう答えたのである。
「おまえ。たつ江。ほんとに、舞、マイなのか。おまえなのか。いつ帰ってきたのだ。玄関の鍵も締まっているのに。なぜ、家の中にいるのだ。それも俺の枕元にいるのだなんて。信じられない。でも嬉しい」
私は不思議なものでも見るように女の横顔をみた。たつ江に違いなかった。
※ ※
わが最愛の妻が天国に旅立ったのは平成二十一年十月十五日の未明だった。全てをやり尽くしたような、そんな安らかな寝顔の旅立ちだった。でも、まだまだ彼女なりにしたいことはいっぱいあったに違いない。その妻が「帰ってきた」。実を言うと、俺は彼女の死後、自分で自分を意気地なし、と思いつつ日々泣いていた。ふたりで夢見ていた希望といおうか。願いとでもいったものが全て破れ、一瞬にして瓦解してしまった、そんな気がした俺は明けても暮れても悲しさと寂しさ、に打ちひしがれる日々を過ごしていた。
女、すなわち、かわいい舞が思いがけず、わが家に帰ってきたのは、それから一年と少し経った、そんなある日のことであった。信じられない。でも、舞は確かに帰ってきてくれたのである。
女はロシアがウクライナに侵攻した戦争も、その後の安倍首相の銃撃死も、女が営んでいたリサイクルショップによく通ってくれていた園子さんの肝臓がんによる死亡、それから。この町で大勢の客で知られた喫茶店の閉店も……。その後に起きた何もかもを知らない。これらの事件、病死はその後そのまま女がいる天国にそのまま移されていたなら、それはそれで別だが。もしかしたら、もっと多くのことを知っているかも知れない。
きょう、この地上では能登半島七尾市でおまえ、すなわち女と共に暮らしていたころ、誰かは知らないが毎年バレンタインデーが訪れるとはポストに投げ入れられていた男性用の櫛とか新品のボールペンとか、サングラス、ほかに愛あふれるラブレターなど、数々の贈り物の中でも今も忘れられない岡村孝子の【夢をあきらめないで】を久しぶりに聴いた。ラジオから流れてくるあの何度も何度もくちずさんだ夢が目の前にあふれ、現実となって飛び込んできたのである。
そして。その日。目の前をスゥッと人の影のようなものが通り過ぎた。いったい全体何か。だれなのだろう。蜻蛉のようなものは、その後も何回か私の前に現れた。だが、肝心の姿が見えない。気配だけなのである。そして。気配は私に向かって確かにこう話し始めたのである。「あれからねえ。あたし」と。
あたし。今は。彼岸、いやこの世とは違うお空、宇宙にいるの。そこではあたしの大好きな星たちがいっぱいキラキラ、キラキラと輝いている。ほんとよ。ほんとだってば。あたしが生きていた時、あたしが夜空、そう星に詳しかったことはあなたが一番知っていたはずだから。もうそれ以上は、言わないけれど。
そういえば、こどものころ天いっぱいにお星さまが輝いていたころのこと、あなた覚えている? 覚えていますか。楽しかったね。夜。空を眺めると視界いっぱいに星が輝いていた。あの星たちは、その後、いったいどこに行ってしまったのだろう。
最後に俺からおまえへの手紙をここに書き残そう。
「おまえのことを。いつも思っている。おまえの好きだった坂本冬美の【能登はいらんかいね】がこの世に現れ出たのが、俺たちが能登半島の七尾にいた当時の1988年だった。なぜか、この歌を聞くと、おまえと穴水でとれたイサザの踊り食いを競ってしたあの日々が懐かしく思い出される。と同時に、美空ひばりさんの♪逢えないつらさ こらえて生きる 私と歌おう 塩屋の灯り……の1節を思い出すのである。
おまえがこの世を去り、やがて二年になる。一緒によく行ったスーパーはじめ、あのころの街も何もかもが消えたり、新しく生まれたりし、まるで寄せては返す波のようだ。スーパー三心が「大阪屋」に変わり、おまえがよく買い物に通ったバローは今や、この街を撤退し影も形もない。晩年におまえがやっとこせ歩いて通ったドラッグストアのコスモスはあるが、おまえがこの世を去って以降、俺はどうしても足を向けることが出来ないままでいる。でも、相変わらず多くの人でにぎわっているようだ。布袋駅近くにはマックスバリューが出来、いつも私の助手席に座り、おまえの見慣れた町の風景ときたら、あのころとは随分と変わってしまった。晩年になって、おまえがよく入り口で転んだ平和堂。ここでは書店が消え、靴屋さんもなくなった。どれもこれもがなくなってしまった。
(最終章・おまえに)
俺は毎日、午前中、新聞のチェックに続き俺ならでは、の一匹文士の執筆にその後も挑んでいる。そして。毎日、愛猫シロに昼食を与えると、自宅周辺のランチをやっている喫茶店または近くの食堂などを訪れ、ここでお昼を終え、その足でスーパーに出向く。スーパーで俺と息子の夕食を購入して帰るが、気が向けばカラオケ店にも顔を出す。そして歌うのは決まって、おまえとの思い出がしみついた<能登の海鳥>や<襟裳岬><星影のワルツ>をうたうのである。最近では、おまえもよくして頂いた牧すすむさん作曲による都はるみさんの<恋の犬山>も唄ったりして帰るが、よくよく考えるとおまえとは一度もカラオケには一緒に行っていなかった。
そして。昔だったら、何とも思わなかったスーパーの店内を彷徨うが如く歩くたび、ここには桃も梨も蜜柑、レモンにスイカ、キュウリ、ミニトマトも何だってあるな。おまえも一緒なら、どんなに喜んだことだろう-と、つくづく思う。店内を歩くにつれ、おまえが、この世に現れ、店内を俺と一緒に歩いたらどんなにか、胸を弾ませ、目をキラキラさせて喜んだことだろう。と。そう思うと、またしても滂沱の涙が流れ出てくるのである。そのたつ江、舞は今や、永遠のお星さまになってしまった。どんなに大声で呼ぼうとも、彼女はもはや俺のところに帰ることはないのである。
俺は、おまえが大好きだったフランスのロゼでも飲みながら、たまには共に社交ダンスでも踊りながら、こんどはどこに行こうか。どこで会えるかな、と考える。
☆ ☆
「あのね。あたしネ。まえから言っていたでしょ。あたし新潟は長岡の大花火を見てみたかった。それであなたには悪いけれど、今月(八月)二、三日とあった長岡京の長岡大花火を見てきました。あなた。あたしたち、能登の七尾にいた時、和倉温泉の三尺玉見たわよね。毎年、冬になると新聞社の七尾支局長として事業部員と三尺玉の発注にいくのだ、と言って雪に埋まった長岡に和倉のだんな衆と行ったじゃない。料亭で、加賀屋の小田さんが<おてもやん>を見事に歌い終えたところで空中三尺と水中三尺の各ひと玉の発注にサインをしてもらい、帰ってきたじゃない。
だから。あたい、あのころのこと思い出し、長岡に行って来た。長いコロナ禍を終えての大花火だっただけに、それは、それは華麗で美しかったよ。日本を代表するロス五輪の花火師、カ・セ・セ・イ・ジさんも。お元気でいらしたわよ。三尺玉、また一緒にみようよね」
俺は思わずスマホを手に握りしめ、長岡大花火の中継を見た。そこでは「復興、感謝、勇気、そして平和 どんな困難も乗り越え」といった字が浮かび、かつては見慣れたスターマイン、蝶の舞に代表される数々の芸術花火、ナイアガラ……が整然と打ち上がったかと思うと、フィナーレにあの三尺玉が水中、空中の順で空高く舞い上がったのである。
舞よ、舞。ほんとうにありがとう。たつ江。いつまでも元気でいろよな。
※ ※
この世には、おまえ、すなわちたつ江、舞が居てボク、すなわち俺がいた。俺は単純にそう思い、志摩と能登の海に思いを馳せる。彼女と俺たち家族がお世話になった全ての人々にありがとう。そして。ごめんね。たつ江。舞よ、マイ。悲しくとも元気を出して。いつまでも。生きていこうよ、な。これからも。
お盆に未知の星から帰ってきてくれて、ほんとにありがとう。 (了)
一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2023年8月1日~)
2023年8月31日
朝。両手にゴミ袋を下げ、ゴミ置き場に歩く私のからだを一陣の風が吹き、通り抜けていった。今シーズン初めて感じたさわやかな秋の風である。これらの風は、たつ江、舞のそれ、しわざに違いない。【秋風に未来永劫と書いて見し】。思わず、彼女が生前に詠んだ俳句が、ほほを通り抜けていった。あ~あ、秋か。今はもう秋なのである。
※ ※
☆ ☆
東京電力福島第一原発から処理水の海洋放出が始まり、三十一日で一週間となる。政府は海水中の放射性物質濃度は基準値以下とする検査結果を公表したが、地元漁師らの間には依然として風評被害への懸念が広がる。来月一日からは福島県で沖合底引き網漁が解禁されるが、県内の飲食店などにも処理水に関係する迷惑電話が相次ぐなど影響が出ており、漁師らは「政府は消費者に安全性を説明して」と訴える。(蜘手美鶴、写真も)
――以上は本日付の中日新聞1面【「飽きるほど安全説明を」 処理水放出から1週間 福島の漁師 風評不安尽きず】の前文である。
ほかには【ガソリン185円60銭最高値 補助延長首相「175円程度に 電気・ガスも補助継続】【山津波全てのみ込んだ 関東大震災100年 小田原父の教訓伝える】(31日付、中日朝刊見出し)など。過去の大震災も含め、胸を塞がれるような記事ばかりである。
過去の災害も含め、深刻な記事ばかりが並ぶ。
(8月30日)
中日新聞の報道によれば、三百年余の歴史を誇る「熊野大花火大会」が29日夜、三重県熊野市の七里御浜海岸で開かれ、新型コロナウイルス禍の影響で4年ぶりとなる大会に県内外から5万人が訪れ、豪快な花火に酔いしれた、という。一帯は、世界遺産の獅子岩や鬼ケ城を望む景勝地。点火した花火玉を船から次々と海に投げ入れる「海上自爆」や直径600㍍の大輪を咲かせる【三尺玉海上自爆】が披露され、岩場から打ち上げる「鬼ケ城大仕掛け」がフィナーレを飾ったという。ほかに【ジャニーズ性加害認定 特別チーム 社長の辞任を提言】の見出しは、恥ずかしい限りとは、このことを言うのだろう。
本日付の中日新聞夕刊によれば、部品発注に使うシステムの不具合で29日に稼働を止めた国内全14の車両組立工場のうち、12工場が稼働を再開。残る京都府と福岡県の2工場も順次再開を目指す、という。やれやれ、である。俳人正岡子規(1867~1902年)の新出句が見つかり東京の子規庵保存会が29日に発表。句は<吾健にして十のみかんをくひつくす>。病に伏していた時期の句だが、まだまだ食欲旺盛で元気なことを伝える内容となっている。
(8月29日)
火曜日。被爆80年となる2025年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「世界の記録」登録をめざし、広島で被爆後に白血病のため12歳で亡くなった佐々木禎子さんの遺族らが28日、折り鶴など禎子さんの遺品をユネスコ国内委員会に申請。広島文学資料保全の会なども、被爆体験を描いた作家原民喜さんら4人の原爆文学資料を申請したという。
フランス向けの日本酒などのコンクール「クラマスター」の2023年度授賞式が28日、パリ市内で開かれ、最高賞の「プレジデント賞」は、日本酒部門が岐阜県八百津町・山田商店の「玉柏 吟醸大吟醸」に、本格焼酎・泡盛部門が宮崎県都城市・柳田酒造の「青鹿毛(あおかげ)」に決まった。
90歳の冒険家三浦雄一郎さんがこの日、日本最高峰の富士山(3776㍍)に向け、静岡県側の5合目(約2400㍍)をスタート。3年前に患った首の病気の影響から自力歩行だけでなく、山岳用車いすも使い、二男豪太さん(54)ら家族や仲間のサポートを得ながらのチャレンジになったという。天候が順調なら3日間の日程。三浦さんは、87歳のころに手足に麻痺を生じさせる「特発注頚髄硬膜外血種」を発症し、8カ月入院。今回は心臓にペースメーカーを入れ、リハビリの最大の目標として富士登山を志したという。
トヨタ自動車は29日、部品発注などを管理するシステムに不具合が発生したため、この日夕方から国内全14工場28ラインの稼働を停止する、と発表。詳しい原因を調べているが、サイバー攻撃ではないとみられる、としている。
(8月28日)
きょうのこの地方のトップニュースは、やはり【愛知初の女性首長 長久手市長に佐藤氏当選】だろう。佐藤氏とは。無所属新人で元市議佐藤有美さん(45)で、元NPO法人事務局長の岩岡ひとみさん(44)=南山大卒=が、元市議の佐野尚人氏(58)を破っての初当選で、こんごに期待したい。
そして。もうひとつ。このところ、負けて、負けて、それでも負けて。負けどおし、8連敗とこの先、チームは一体全体どうなってしまうのだろう―と心配していた中日ドラゴンズがバンテリンドームナゴヤでの昨日、27日のDeNA戦で延長12回に、あの宇佐見真吾選手がサヨナラ安打を放ち、やっとこせ勝ったということか。宇佐見は8月、3度目となるサヨナラ打で試合を決めたのである。
(8月27日)
きょうの中日新聞朝刊1面トップはドラゴンズの大島洋平外野手(37)が昨日、バンテリンドームナゴヤの対DeNA戦での2000安打達成で、まさに紙面を飾るものだった。そしてもう一つ。【ブダペスト=共同】発の陸上女子やり投げ北口榛花(25)=JAL=が25日にブダペストで行われた世界選手権決勝で66㍍73をマークし世界一に輝いたことか。
ほかには、【魚のトリチウム不検出 水産庁処理水放出後の初分析】【古川さんISS(国際宇宙ステーション)へ出発 12年ぶり2回目 打ち上げ成功】【ネッシー半世紀ぶり大捜索 英ネス湖ドローンも投入】といろいろだが、一番気になるのは、やはり【福島に迷惑電話多数】か。これは、福島県で飲食店や市役所などに中国の発信とみられる処理水放出にからんだ迷惑電話が続発している、というもので原発処理水の放出が始まった24日の翌25日に中国の国際電話の国番号「86」からの迷惑電話が多発。多い時には1分ごとにあり、26日までに県内のラーメン店・ケーキ店の4店舗で計1000件ぐらいに及び、電話線を抜いた店舗まであるというニュースである。困ったものである。
(8月26日)
土曜日。朝刊は【日本の水産物販売も禁止 中国、処理水へ圧力強化 海水濃度検出下限下回る】【水産関係者の救済検討 政府】(26日付中日)というものだった。
中日ドラゴンズの大島洋平外野手(37)がバンテリンドームでの対DeNA戦で3回裏1死一塁で石田から中前打を放ち、プロ野球55人目となる通算2000安打を達成。1787試合目での到達は1985年に1835試合で達成した谷沢健一を抜いて球団最速記録、プロ野球史上では9位。
人間社の大幡和平さんと晋子さん夫妻が私の最新作の小説5編のゲラを手に午後、わが家へ。近くの喫茶店でこんご新刊出版への道筋などにつき打ち合わせした。1週間以内に私が校閲の初稿を大幡さん夫妻に提出、一刻も早い出版をめざすことで双方の意見が一致。文章表現上の厳しい指摘なども受け、大変勉強になった。
この席でつい最近、人間社から出版されたばかりの【伊藤裕作編著 寺山修司 母の歌、斧の歌、そして父の歌 鑑賞の試み】を思いがけず、贈呈されたので私からはお礼に喫茶店代を支払わせていただいた。いやはや、とても良い本で「自分から進んで買いたくなる」そんな本とは、このことである。私にとっての寺山修司は【時には母のない子のように】いらいの長年のファンである。
(8月25日)
社交ダンスのレッスンを終え、帰って手にした中日新聞夕刊1面。そこには【大島宏彦最高顧問死去 89歳 中日新聞社長、会長歴任 ドラゴンズ元オーナー】の活字が飛び込んできた。なぜだか、悲しさでいっぱいとなったのである。おつかれさま。長い間、ありがとうございました以外に言葉は浮かんでこない。私などのしもべには何も言う言葉もないが、七尾支局がそれまでの一本杉通の魚町から加州相互銀行跡地に移転した時、当時社長になってまもない大島さんは新天地となった檜物町の新支局を訪問され、直接、当時七尾支局長だった私はじめ支局員を激励してくださり、あの時の感激は忘れることが出来ない。
それからもうひとつ。愛知県内版に「みんなのスポーツ欄」を設けるに至った際に、大島さん、すなわち社長自らが黙々とスポーツの成績を書き続けられたことは社と読者を愛すればこそ、で私は主管支局長会議の席で彼が「ボクも書いてみたよ。私が書かないことには、忙しい皆さんに書け、なんてことは言えないよ。だからボクも書かせて頂いた。みんなで書きましょうよ」と。あの言葉を聞いた時、私は大島さんをいっぺんに大好きになったことを思い出すのである。
このうえは天国で宇宙ナンバー1の新聞を作られるよう、切にお願いしたい。
午前10時40分過ぎ。シロを外に出してまもなく、猛烈な雨が窓をたたき、あわてて彼女を家の中に入れようと雨戸を開け、何度も「シロ、シロッ」と呼んだが、応答はどこからもなし。ずぶ濡れになってしまわなければ良いが。心配だ。
その後、「もうだめだ」とすっかりアキラメテいたところ、シロちゃんは11時過ぎに窓を開けたところ駆け寄り、無事、帰宅。どこに避難していたのか。ずぶ濡れだけには、なっておらず、やれやれである。
「シロ、だいじょうぶか」には「うぅん。うぅん。う~ん」と甘えた返事で、頭をこすりつけて来て、全身がある程度濡れはしていたものの、大丈夫そうで、ホッとした。やはり、私たちは雨には、かなわない。何はともあれ、シロが無事に帰ってきてくれ、これほどうれしいことはない。考えようによっては、シロちゃんも思いがけない雨に全身を叩かれ、よい経験をした-ということか。
その後、空はカラリ晴れ上がった。気まぐれなものである。
※ ※
☆ ☆
けさのニュースは何といっても、新聞もラジオ、テレビも▽福島第一原発の処理水の放出開始をトップに▽ロシアのモスクワ北西トベリ州内での小型ジェット機墜落による民間軍事会社ワグネル創設者プリゴジン氏の死亡▽北朝鮮の軍事偵察衛星「万里鏡(マンリギョン)1号の2回目の打ち上げ失敗、といったところか。いやあ~、毎日毎日、次から次に、といろいろあるものだナ、とつくづく思う。
(8月24日)
午後1時17分、福島第一原発の海洋放出が始まった。
午後1時ごろ、原発敷地内のポンプなどを起動し、処理水と海水が海沿いにある貯留槽へと向かった。その後、処理水は放水トンネル内を毎秒1㍍と人間が歩くほどの速さで流れ、約1㌔㍍沖合から放出された。この日は200㌧ほどが放出され、順調なら9月中旬には初回の放出が終わるという。本年度、23年度は計4回の放出を予定しており、このまま進めば流される保管量の2.3%に当たる3万1200㌧になるという。
順調なら、1日当たりの放出量を最大500㌧にまで引き上げ放出のペースを速くすることにしている。処理水放出の開始は、廃炉に向けた大きな前進ともいえ、岸田文雄首相は「処理水の処分が完了するまで政府として責任をもって取り組んでいきたい」と話している。
また放出途中で放射線量や放出量が基準を超えると、自動で遮断弁が作動。海洋で基準を超えるトリチウムなどが検出された場合には、ただちに放出をやめる。東電ではホームページ上でその時々の放出状況や測定結果を公開し、国内外に発信していくことにしているという。
なお、香港やマカオでは24日から福島や東京など10都県の水産物の輸入を禁じた。
雨、雨で明け、朝から小雨が降り続いている。シロは散歩に出ることをあきらめ、私の傍らで眠っている。いったい何を考えているのだろうか。いつまでたっても、〝おねぶたさん〟=この呼び名は、私の亡き母が私の幼少期に、いつもコックリコックリと眠ってしまう私に、こう名付けた=の私も眠くて仕方なく、それでもホッペを何回もたたいて、先ほどからデスクに向かい、やっとこせ、こうして書き始めた。
さて。このところのニュースを箇条書きにして整理しておこう。以下のとおりだ。
▽政府と東京電力が24日、福島第一原発の処理水の海洋放出を始めた。2023年度は計3万1200㌧の放出を計画(東電は23日、最初に放出する処理水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度を測定した結果、放出に問題ないことを確認)。▽夏の甲子園。慶応(神奈川)が史上7校目の大会連覇を狙った仙台育英(宮城)を8-2で下して107年ぶり2度目の優勝。神奈川県勢の全国制覇は2015年の東海大相模いらいで8度目。▽将棋の藤井聡太王位(21)が「伊藤園お~いお茶杯第64期王位戦」で佐々木大地7段(28)を退け、対戦成績4勝1敗で防衛し4連覇を達成。七冠(竜王・名人・叡王・棋王・王将・棋聖・王位)を堅持した▽ドラゴンズが敵地14連敗球団ワースト更新(23日も阪神に7―2で逆転負け)。▽インド宇宙研究機構(ISRO)が23日、無人月探査機「チャンドラヤーン(月の乗り物)3号」が月の南極付近へ軟着陸。月の南極付近への直陸は世界で初めて▽北朝鮮が24日午前3時51分ごろ、東倉里から弾道ミサイルの可能性のあるものを発射、沖縄県付近の上空を飛んで太平洋へと通過。▽ロシアでプライベートジェット機が墜落し、あの民間軍事会社・ワグネルの創設者プリゴジン氏が死亡。なぜか、プーチンの罠にはまったような気がする
――といったところか。
(8月23日)
暑さがおさまるころか。<かぜ>が少しあるというか、強い。処暑(しょしょ)である。
きょうは古新聞の回収日なので、朝一番で古新聞を玄関先に出す。朝食後、こんどは相棒のシロちゃんを隣にいつものおかあさん、すなわち舞の歌【エーデルワイス】と【みかんの花咲く丘】を一緒に聞き、彼女を散歩に出したあと、私はこうして、また書き始める。
新聞はどこも【処理水あす放出 福島第一政府決定 漁業者反対の中 東電「慎重に少量で開始」】【処理水あす放出 水産復興「逆戻り」危惧 福島の仲買業者】【韓国元教授ら反対デモ 名古屋】【処理水放出「全責任」を持てるのか=社説】(中日)とか【政府あす処理水放出 首相「風評対応責任持つ」】【福島に「忍従」強いるのか 福島支局長 西川拓】【「漁師の声無視」処理水放出 輸出に大打撃国が全責任を 「安全性PRし風評被害抑えて」 消費者「福島県産品買って応援」】(毎日)などといった見出しと記事で埋め尽くされており、「いよいよ、あすから放出が始まるのか」といった緊迫感が伝わってくる。
2023年8月22日
火曜日。朝。舞が晩年の病床で「あたし、この2曲はいつも聴いていたいの。だから、毎日ききたい」と言っていた【エーデルワイス】と【みかんの花咲く丘】をいつものように愛猫シロちゃんを傍らに、ユーチューブで一緒に聴く。
続いて。もう一曲、彼女が大好きだった坂本冬美さんの【また君に恋してる(歌詞つき)】に久しぶりに耳を傾ける。どれも心に染み入るメロディーと歌詞である。おまえも共に、天空で聴いているのか。聞いていてくれたら、とても嬉しい。
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本日付の夕刊1面トップ見出しは【処理水24日放出決定 福島第一 首相、風評対策を強調】(22日付、中日夕刊)【処理水放出24日開始 安全・風評対策を徹底 政府決定】(22日付、日経夕刊)というものだった。
このうち中日夕刊の前文・総合リードを、ここに<歴史の証言>として記録しておこう。
――政府は二十二日、東京電力福島第一原発の処理水を巡る関係閣僚会議を官邸で開き、海洋放出を二十四日に開始する方針を決定した。漁業者は放出に反対し、影響を懸念している。岸田文雄首相は、風評対策やなりわい継続支援に全力を挙げる姿勢を強調。「数十年の長期にわたろうとも処理水の処分が完了するまで政府として責任を持って取り組む」と述べた。
処理水24日放出決定、を報じた中日、日経の22日付夕刊
(その時。22日午前中の私の執筆内容)
きょうのニュースで一番気になるのは、中日新聞朝刊の1面トップ見出し【処理水 24日にも放出 福島第一 きょう最終決定】【憤る東北の漁業者 「結局うそ」「震災復興 水の泡」】である。政府の苦しい事情は、とてもよく分かる。だが、ここは個人的に思うのだが。僅かな期間でもいい、処理水の放出をひと呼吸おいてみたら、と思うのだが。
ここで今一度漁場への影響を考え漁民の立場、そして中国をはじめとした他国への風評被害も頭に、冷静に〝ひと呼吸〟おくことを望みたいのだが。かといって、処理水は増える一方で、そんなわけにはいかないのも確かだ。政府の苦しい立場は十分過ぎるほど、よくわかる。
それだけに、人間心理を逆手に取って、ここは処理水放出を思いきってしばらく延期してみるとか。そうした誠意を、漁民をはじめとした国民、そして中国などの他国にも見せつけるわけにはいかないものか。柔道で言えば、試合中のとっさの〝崩し技〟とでもいえよう。かといって、言うは易く行い難し、で。ここまで進んできたものを。どうしてよいものか、は私にもさっぱり、分からないのである。
何はともあれ、漁民の意をくみ、たとえ僅かな期間にせよ、今一度みんなで考え、処理水の海への放出を思いきって引き延ばしてみたらどうか。それだけでも漁民らはたとえ僅かでも国の誠意を感じ取るのではなかろうか。そして。もしかしたら、その間に、何か思いがけない名案が浮かぶかもしれない。暴言かもしれないが、わたしにはそんな気がするのである。かといって、私がこうして執筆している間にも、政府は午前中の関係閣僚会議とやらで、もう放出時期は決まってしまったかもしれない。いや、決めてしまったかもしれない。現在は22日午前。10時過ぎである。
(8月21日)
夕方から夜にかけ、気が狂ったような雨がここ尾張地方の上空を襲った。これは一体全体、何なのだろう。空は、一体全体何に対して怒り狂っているのか。
【初サンマ1匹2万5000円 豊洲市場、最高値を更新】とは、本日付中日新聞夕刊の見出しである。それによると、「東京・豊洲市場(江東区)に二十一日朝、サンマが今シーズン初入荷した。不漁を反映して、昨年より一カ月以上遅かったが、卸値は一㌔当たり二十万円、一匹二万五千円と過去最高値を付けた。/同市場に入荷したのは、十九日の朝までに北海道根室市の花咲港などに小型船によって初水揚げされたサンマの一部、約五百㌔。/わずか一㌔ほどと少なかった昨年七月中旬の初荷より急増したが、一匹一二〇-一三〇㌘の卸値は、昨年の高値(約一一〇㌘、㌔当たり十二万円)を大きく上回り、最高値を更新した。」という。
それはそうと、東電福島第一原発の処理水の海洋放出がいよいよ、近づいている。海洋放出を間近に控え、【きょう全漁連と最終協議 首相処理水放出巡り 福島第一視察】【大気への放出検討 中国とロシア要求 政府に直接】とは、けさ21日付の中日新聞朝刊1面の見出しである。
(8月20日)
【放出時期22日にも判断 福島第一、首相きょう視察】【日米韓「安保新たな高みに」 共同声明 首脳・閣僚 毎年会談 中国を名指しで批判】(20日付、中日見出し)のニュースのなかで、やはりきょうはスポーツ面のドラゴンズの見出し【連続試合安打 岡林29で止まる】と【<救心>高橋宏 復活の道に暑い壁】(同)が気になり残念で悔しくてならない。
このところアレコレの合間に、数カ月をかけ執筆を続けてきたお盆に亡き妻たつ江(伊神舞子)がわが家に戻ってきた話を脱稿、私が主宰するウエブ文学同人誌『熱砂』に【あたし帰った かえったわよ】のタイトルでアップ(公開)。特に読んで頂きたいお方には図々しくもラインで「読んでいただけたら、うれしいです」と恥ずかしげもなくお知らせしたが、皆さん好意的にうけとめてくださり、「舞さんも黄泉の世界でいい夫をもったもんだと喜んでるでしょう」(三田村博史さん)「読んでいるうちに思わず涙が出てしまいました」(黒宮涼さん)などといった思いがけない返事まで頂き、純粋かつ正直にとても嬉しく思い、仏に報告した。
(8月19日)
俳句の日。世界人道デー。
本日付の中日新聞夕刊見出しは【処理水放出22日にも判断 首相あす福島第一視察】【日韓で議題にならず 尹大統領「IAEA(国際原子力機関)を信頼」】、【日米韓 安保強化で合意 中朝念頭「新たな高み」 首脳会談を毎年開催】というもの。政府はどうやら東京電力福島第一原発の処理水海洋放出を巡り22日にも関係閣僚会議を開く方針を固めたようだ。
土曜日。午前中、外に出た愛猫シロの視線の指摘で裏庭の先代猫塚のお花とお水を替える。彼女は、外に出ると、まず先輩猫たちの眠るお墓を見て回り、「お花が古く、水も替えてあげてよ」と私に、暗黙の内に、あれこれ指示してくれるのである。ありがたいことだ、と思っている。デ、さっそく美しい水と花に替えてやる。
新聞報道によれば、だ。岸田文雄首相は18日午前(日本時間19日未明)、米ワシントン近郊の大統領山荘、キャンプデービッドでバイデン米大統領、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領と会談。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮や、台湾周辺で軍事的圧力を強める中国を念頭に、経済を含めた安全保障の協力強化を打ち出す共同声明など複数の文書を発表し、首脳、閣僚らの会談定例化で一致する。
会談の冒頭、バイデン氏は「三カ国の民主主義の結束を強化することは私が副大統領だったころからの長きにわたる優先事項」と述べた上で、「共に未来に立ち向かうための土台を築く歴史的な仕事といえる」と語った。岸田首相は「安保協力を新たな次元に高めたい」と応じた』とは、中日新聞の19日付1面の記事だ。見出しは【日米韓「結束を強化」 首脳会談 安保協力「新たな次元」】といった具合だが、3氏には、何よりも世界の平和を念頭に〝危険な道〟に足を踏み入れることがないように、と願う。
(8月18日)
金曜日。午後、久しぶりに社交ダンスのレッスンで一宮スポーツ文化センターに出向いた。レッスン教師の体が回復したためで、なんだか普通の静かで充実した日常が戻ってきたような、そんな気がした。おまけに「ごんたさん。すごいじゃない。前と変わらないわよ」とお褒めの言葉をいただいたのがナンダカ、たとえお世辞とは分かっていながらも嬉しい気がした。
きょうは、ほかに9月3日に名鉄金山駅近くANAホテルで開催される滝高同窓会参加費の入金を郵便局ですませたほか、本欄「一匹文士そぞろ歩き」の執筆、さらには「脱原発社会をめざす文学者の会」幹事会の依頼で毎月一回、書き進めている文士刮目の第28回目【同人誌「その土俵」の重みを大切に】を出稿するなど相も変わらず忙しい1日が過ぎていった。これでは、亡きたつ江、舞にいつも注意されていた「1日に(やることは)ひとつよ」は、相変わらず守れそうにないのである。
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山口県上関町議会は、中国電力と関西電力が共同開発をめざす原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設を巡り18日開いた臨時町議会で西哲夫町長が建設に向けた調査を容認する意向を表明。「町は急速に疲弊が進み、就任以来強い危機感を抱いている」と述べ、議会終了後に中国電力に容認の方針を伝えた。
(8月17日)
昨日のバンテリンドームナゴヤ。ドラゴンズは宇佐見の2試合連続のサヨナラ打で巨人に2-1で勝ち、3連勝。先発小笠原は7回1失点の好投ながら勝敗はつかず、マルティネスが3勝目。注目の岡林は一回に右前安打を放ち、球団記録更新中の連続試合安打を27に伸ばした。巨人は、中日戦の今季の連勝が7で止まった。
【大雨 新幹線30万人超影響 JR東海 185本運休 240本遅れ】【警察と協力通路確保 名駅 長蛇の列、列、列… 情報発信には課題】とは中日新聞の本日付朝刊1面の見出し。ことしのお盆明けの出勤には苦労した人が多いに違いない。もうひとつ。【鳥取大雨「濁流で地響き」 台風7号 最大1800人超孤立】【なぜ 離れた静岡でも大雨】の見出しも気になる。やはり、自然は予期せぬことをもたらす。
(8月16日)
和歌山県に上陸し近畿を縦断した台風は16日、日本海を北上。一時、大雨特別警報が出された鳥取市では佐治川に架かる二つの橋が崩落し市が被害状況の確認を進めるなどした、という。【台風7号日本海を北上 8府県で49人けが】とは本日付の中日新聞の夕刊。見出しには、ほかに【ハワイ山火事 死者100人超す 支援の動き続々と】とハワイの山火事を続報するものもあり、人間がどんなに抵抗しようとも残念ながら自然には勝てない証明とでもいえようか。
それとは別に本日付の中日夕刊の見出し【新幹線再び見合わせ 東京-博多間の全線 静岡で大雨 乗れない…名駅混乱】の記事が気になった。記事は「台風7号の影響で十五日に名古屋-岡山間で計画運休した東海道・山陽新幹線は十六日、始発から通常通り運転を再開したが間もなく静岡県内の大雨により三島-静岡間の上下線で運転を見合わせた影響で東京-博多間の全線がストップしたーというもので、これは大変だ、と思った次第である。
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終戦から78年がたち15日には政府主催の全国戦没者追悼式が東京千代田区の日本武道館で開かれ、遺族ら参列者らは2度と戦争の悲劇を繰り返すことのないよう平和を誓いあった。台風7号は昨日、和歌山県に上陸後、東海・近畿を縦断、各地に被害をもたらし日本海に抜け、この後、北上していった。
それはそうと、毎日新聞の朝刊小説【兎は薄氷に駆ける(貴志祐介さん)】が本日16日付324回で完結。司法と捜査、検察の世界をえぐり出す、とても良い小説だった、と私は心から思った。同紙では同じ朝刊で【青嵐の旅人(天童荒太)】を連載中=16日現在で201回目=だが、これもなかなか読ませるいい内容で、読者を物語の世界に引き込んでいく腕力、筆力はたいしたものだ-とつくづく思った次第である。いずれも取材がしっかりしていればこそで同じ物書きとして大変、勉強になったことも事実である。
その小説だが、私がこのところ書き続けてきた「今は亡き妻がお盆に自宅に帰ってくる、という珍妙奇天烈、奇想天外なる物語【あたし帰った かえったわよ】が昨夜遅くやっと脱稿、きょうから本欄【熱砂】のウエブ作品集で公開している。皆さんに読んでいただけたら、嬉しく光栄で、舞も喜ぶに違いない。
(8月15日)
強い風と雨を伴った時速15㌔と自転車程度、速度の遅い台風7号が明け方の15日午前5時前、和歌山県潮岬付近に上陸。その後、台風7号は午後1時ごろ兵庫県明石市付近に上陸。この間、和歌山から近畿、東海、北陸地方を縦断して日本海へと進み能登半島沿いに北海道へと北上していった。
この間の台風の動きを見るにつれ、私には和歌山にせよ、三重、舞鶴を含む関西、さらには能登…と今は亡きたつ江(舞子)が生前何かと愛着を抱いていたコースを通り、去っていったような。そんな気がしてならない。そして。このノロノロ台風。幸い、鳥取県など一部被害の多いところを除いては、無事通過したようで皆、胸をなでおろしたことも事実だ。
それにしても、天国からのおまえの帰省=ウエブ文学同人誌『熱砂』の伊神権太作品集のなかの「あたし帰った かえったわよ」に収録=だが、大変な台風通過と重なってしまったものだ。でも、わが家にとってのおまえの思わぬ来訪は楽しくて嬉しかった。舞よ、まい。マイ。本当におつかれさま。ありがとう。こんな悪天のなかを大変だったね。
おまえの久しぶりの帰省の話は、私が主宰するウエブ文学同人誌『熱砂』の本欄で新作小説として公開しておいたので皆さんにも読んで頂けたら、とても嬉しい。
(8月14日)
月曜日。きょうも長男夫妻ら家族そろって昨日のたつ江のお墓【濃尾の大地】への墓参りに続き、私の両親が眠る和田霊苑、ついで今は亡き舞と彼女の両親が眠る古知野のお墓の順で墓参して回る。和田霊苑では、沖縄戦線で若くして命を落とした母の弟のお墓にもお花を供え、「二度と戦争の惨禍が起きないように」と手をあわせた。
そして。この2日間というもの、互いの近況をはじめ、亡きおかあさんやおばあちゃんのことをはじめ、家族のこと、学問のこと、世情のこと、戦争のこと、AIのことなどについても久しぶりにアレヤコレヤと話し合うことが出来、よかったなーと心から思った次第。お盆に親子がそろってこうして会い、お墓参りはむろんのことみんなでこれからのことを楽しく話し合う。これもひとつの貴重な日本文化だと思う。
和田霊苑には無縁仏の山々が
伊神家の墓は、立派な花々が供えられていた
沖縄戦で散った母の弟の御霊にもお参りする
いつものように威厳を保って咲く和田霊苑の見事な百日紅
カンカン照りの下、舞とおかあさんが眠る後藤家の墓ではお水をそそぐ
古知野の墓には仏さんが並んでいた
2023年8月13日
きょうからお盆である。台風7号の進行方向がどうやらこちらに向かっているようなので気になる。
【74年ぶり竜の歴史に刻んだ 25試合連続安打 岡林】とは、昨日バンテリンドームナゴヤで中日ドラゴンズが広島を3-2で下した本日13日付の中日スポーツ1面見出しである。よくやった! おかばやし。リーグ成績が低迷しているだけに、ドラゴンズ、いやいや私たちドラファンにとっては、岡林の大活躍は、とても嬉しく、かつ明るく、勇気づけられる大ニュースである。<西沢道夫に肩を並べる><用具への強いこだわり><立浪監督も目を細める>の袖見出し、川又米利の【核心 岡林の並々ならぬ攻撃性や積極性が初回の5連打呼んだ】もよかった。
そして。ドラゴンズはきょうも広島を相手に▽岡林球団新26試合連続安打▽柳9回ノーヒットピッチング▽石川昴弥-宇佐見の二者連続弾で2―1でサヨナラ勝ちするという見事な試合をみせてくれたのである。やれば出来るではないか。
ほかには、あの忘れられない日航ジャンボ墜落に関わる【日航機墜落38年 願いは同じ 空の安全を 慰霊式4年ぶり遺族参列】はじめ、【心も躍る阿波おどり幕開け 徳島 特別な「20万円席」初登場】【涼求めた先は… みっちり ナガシマ混雑 郡上39.1度など各地猛暑】【死者80人警報なく被害増か ハワイ山火事 1000人と連絡取れず】(いずれも13日付中日新聞朝刊の見出し)など。世の中はいろいろ、人生もいろいろである。
そんななか、朝刊を読む耳に、どこかからカナカナカナの声が聴こえてくる。たつ江、舞に違いない。世の中は、こうして流れ、ながれていくのか。
長男夫妻がお盆で、わが家へ里帰り。食事後、家族そろって永正寺の永代供養集合墓「濃尾の大地」へ。帰りに亡き妻とかつてよく訪れた江南フラワーパークへと出向き、パーク内をみんなで散策。雲行きが急に怪しく、雨が降り出したので帰宅。夜は近くの「むさし屋」さんで楽しい食事とあいなったが、皆それぞれの道を頑張って歩んでいるので、ちょっと嬉しい気がした。舞が生きていたなら、どんなにか喜ぶことだろう。そんなことを思うと、やはり、しんみりしてしまうのである。
2023年8月12日
群馬県御巣鷹山に日航ジャンボ123便(ボーイング747SR-100型機)が墜落し、520人が死亡した(他に4人が重傷)事故からきょうで丸38年。あの日、私は空港記者として、いつものように名古屋空港内の各エアライン運航課をはじめ運輸省空港事務所、愛知県警西枇杷島署空港警備派出所など空港内をチェックして回るうち「日航機が落ちたらしい」との情報を得て本社社会部デスクに連絡。翌早朝には舞から渡されたありったけ、わかる範囲内の取材メモを手に本社機で航空部員とともに墜落現場の上空ルポに飛び立った日のことを今でも鮮明に覚えている。
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そして。あれから38年後のけさ。朝起きると「昨夜、台所一角で1羽の蝉がじっとしており、それをシロちゃんがずっと、話しでもするようにして見ていたよ」と息子。わたしには、なぜか、その蝉がおかあさん、舞(たつ江)の化身に違いないと思えて仕方がない。その蝉こそが、いたずら好きだった、おまえ、すなわち舞のお化け【ふんがも】のような気がしてならない。たまたま私は、ここ2カ月ほどの間、天空の舞が地上の私たちのもとに帰ってきたという奇想天外なる小説執筆に意を注いできたが、【ふんがも】の登場はそれと関係あるやなしや-となると、わからない。でも、舞の霊がお盆で、この地上に戻ってきていることだけは十分ありうるのである。
気象庁は12日朝、岩手県内陸部で発達した積乱雲が次々と連らなって大雨をもたらす線状降水帯が発生、非常に激しい雨が同じ場所(大槌町)に降り続いている-として<顕著な大雨に関する情報>を発表した。
岐阜市長良川河畔での第一回ぎふ長良川花火大会が11日夜、これまでの名称を変えて4年ぶりに復活、夜空を彩る一万発の花火が10万人の観客を魅了した。サッカーの女子ワールドカップ(W杯)第20日が11日、ニュージーランド・オークランドなどで準々決勝の2試合が行われ、日本代表の「なでしこジャパン」はスウェーデンに1-2で敗れ、2大会ぶりの4強入りを逃した。でも、よくやったな、と思う。
ウクライナ国防省によると、南部ザポロジェのホテルに10日夜、ロシア軍のミサイル攻撃があり、1人が死亡、16人が負傷した、と発表。相変わらず、世界は戦争が絶えず、混沌とした中にある。
(8月11日)
金曜日。最近ではいろんな日があり、きょうは山の日。祝日である。
台風6号は10日、対馬海峡を北上、朝鮮半島に抜けて午後6時には熱帯低気圧に。一方で強い台風7号は、この日小笠原諸島の父島南東を進み、15日ごろには暴風域を伴った強い勢力となり、東日本または西日本に近づく恐れがあるという。
この日(10日)、台風6号の影響で暖かく湿った空気が南から流れ込み、山を越えて熱風が吹き下ろすフェーン現象が起きたことで日本海側を中心に厳しい暑さとなり、石川県小松市では何と40.0度を観測。28地点での観測史上1位を記録。この日は全国914観測点のうち、最高気温が35度以上の猛暑日は164地点に上った。
ほかに新聞報道によれば、米国ハワイ州のマウイ島では大規模な山火事が発生、36人が死亡。観光客1万人が避難する-などまさにこの世は炎熱地獄である。米ハワイ州の緊急事態管理局によれば、山火事は8日から始まり、これまでに8平方㌖以上を焼失。携帯電話が通じないことなどから、救助活動は難航しているという。
中国政府が10日、新型コロナウイルス感染症の流行を受けて停止していた日本への団体旅行を解禁した、と発表。中国から日本への団体旅行は2020年1月いらい、約3年半ぶり。日本国内の観光業界からは中国人旅行客の回復につながる、と歓迎されている。
(8月10日)
ドラゴンズの話題でなくて残念だが。午後、スマホに入ったニュースによれば。あの大リーガー、大谷翔平が今季10勝目 【前人未踏の2年連続 「2ケタ勝利&2ケタ本塁打」を達成】だそうだ。たいしたもの、とはこのことか。いやいや、今ひとり忘れられない人物将棋界のプリンス藤井聡太七冠がいる。
本日付中日新聞夕刊に【原電などサイバー攻撃 アノニマス「処理水放出に抗議」】【米、対中投資を制限 半導体など先端3分野】の見出し。このうちトップニュースは、国際的ハッカー集団「アノニマス」が東京電力福島第一原発の処理水海洋放出計画に抗議するためとして、日本の原子力関連団体のウェブサイトにサイバー攻撃をしていることが分かった、というもの。攻撃は7月から活発化、日本原子力研究開発機構や日本原子力発電、日本原子力学会が標的になったという。ぶっそうな話だが、今後どう発展するのか。気になるところである。
ほかに【ハワイで山火事 6人死亡 マウイ島、渡航自粛を要請】【警視庁催促直後に日大が「薬物発見」 アメフト部寮、連絡まで12日】【コスプレCool! 日本へGo! 外国人魅了 名古屋も「聖地」 「違った自分になれる」】(10日付、中日夕刊)といった見出し。いろいろあるとは、このことか。
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きのう9日は長崎原爆の日。78年前の8月9日午前11時12分、長崎に米軍機による原子爆弾が投下され、一瞬にして7万人もの命が奪われた忌まわしい、忘れることの出来ない日である。
平和宣言に思いこめ=長崎原爆の日を報じた中日新聞
というわけで、きょうの新聞は、台風6号接近のため規模を縮小し60年ぶりに屋内開催となった長崎市の平和記念式典を報じる記事が目立ち、【ただ一人参列 被爆者の誓い 長崎原爆の日 核なき地球子どもに】【台風で式典縮小、資料館は閉館早め 避難所で黙とう「残念」】【今後に不安抱く 愛知の被爆2世】【核の惨禍 忘却に警鐘 長崎市長「依存脱却の勇気」を 原爆の日屋内式典 戦後78年 被爆者なき時代きた時が怖い 谷口稜嘩さん生前訴え】(10日付中日)、といった内容である。
私も今は亡き舞とともに、1分間の黙とうを捧げたのである。
私と一緒に黙とうする愛猫シロ、オーロラレインボーちゃん
ほかに、けさの話題は、といえばだ。【中国、日本団体旅行解禁 きょうにも、3年半ぶり】【近ツー社長引責辞任 コロナ業務 過大請求 最大9億円】(同)といったところか。
そして。今ひとつ。台風のニュースを避けては通れない。長崎や熊本などの一部を暴風域に巻き込みながら北寄りに進んでいる台風6号はその後、10日にかけて九州の西海上を北上。鹿児島県の種子島・屋久島では9日午前、熊本・宮崎両県で同日夜、高知県では同日未明に局地的豪雨をもたらす線状降水帯が発生し、九州全域で激しい雨が降りやすい状況が続き、気象庁は土砂災害や河川の氾濫、暴風雨などへの厳重な警戒を呼び掛けている。
そればかりか、今ひとつ気になるのは小笠原近海を西寄りに進んでいる台風7号で、こんご10日から12日ごろにかけ、小笠原諸島に接近見込みで目が離せないという。
いやはや、人間社会は自然界に振り回されている、といえなくもない。いつものことではあるが。
(8月9日)
水曜日
長崎はこの日、米軍による原爆投下から78年となった。台風6号の急襲接近に伴い、長崎市主催の「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」は、いつもの平和公園から60年ぶりに屋内の「出島メッセ長崎」に変更。鈴木史朗市長は就任後初の平和宣言で5月に開かれた先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の核軍縮文書「広島ビジョン」に触れ、これを批判。「核抑止への依存からの脱却を勇気をもって決断すべきだ」と訴えた。
甲子園で行われている全国高校野球「夏の甲子園」。1回戦の第4試合で大垣日大(岐阜)と近江(滋賀)の対決となったが、大垣日大が7-2で近江を破り、2回戦へと駒を進めた。大垣日大も近江もかつて岐阜、滋賀両県とも記者として働いていた懐かしい土地だけに、両方ともに勝ち進んでほしかったが、ここは仕方ないか。名物監督でも知られる79歳の阪口さん率いる大垣日大にこのまま勝ち進んでほしく願う。
ところで、野球と言えば、だ。私の大好きなヤクルトの村上が対広島戦で高校出2年目から5年連続のシーズン20本塁打に到達した。3-3の三回先頭で九里の高めの変化球を捉え、高々と打ち上げて右翼席に運んだ。
日本大学が8日、覚醒剤と大麻を所持したとして同大のアメリカンフットボール部員が警視庁に逮捕された事件を受け、記者会見。林真理子理事長は「深くおわびをする」と謝罪。寮内で大麻のような不審物を見つけてから警察への通報が12日後になったことに関しては「反省を求め、自首させるのが大学の責務だと考えた」と説明。「適切な対応で、隠蔽とは思っていない」との認識を示した。それにしても、学問の府でこんなことでは、と思わざるをえない。
午前11時前。例によってスマホがプップップッの音を立てる。執筆の手を1時休め画面を開くと、台風6号に関するもので、そこには次のような文字が並んでいた。
【鹿児島県の種子島・屋久島地方に線状降水帯が発生 気象庁が顕著な大雨に関する情報を発表】。ちなみに、台風に関するけさの朝刊の見出しは【記録的大雨の恐れ 台風6号 九州や西日本も警戒】というものだった。
(8月8日)
朝早く。私たちのクラスメート「二石会」会長の須賀藤隆君からメールが入る。
何ごとか、と思い開いてみると次のような内容だった。
-今日は「立秋」だそうですが、暑い日が続きます。/さて、本日、尾張版で、過日の同窓会の紹介がありました。いろいろ力を貸してもらい感謝しています。………
先の「二石会」開催を前にあれやこれやとアイデアをこらし、同窓会の準備に情熱を傾けていた彼(須賀君)の陰ながらの努力と情熱を知るだけに正直、とても嬉しく思った。ちいさな記事でも中日新聞の尾張版は読者がケタ違いに多い。読者への浸透となると、とても威力がある紙面だけに、本当によかったな、とホッとした次第。新聞界には【ベタ記事危うし】という金言があるが、小さな記事のなかに、キラリと光る話題。読者の思いが満載され、人から人に伝わっていくのである。
写真は二石会の話題が報じられた8日付の中日新聞尾張版
(8月7日)
月曜日。ゆっくり、ノロノロ台風の台風6号は、この日鹿児島・奄美地方を暴風域に巻き込みながら東へと進んだ。このままだと、奄美や九州南部で8日午前中にかけて局地的な豪雨をもたらす線状降水帯が発生する可能性があるという。
【処理水放出 今月下旬にも 政府検討 日米韓首脳会議で説明】とは、本日付の中日夕刊。それによると、政府は東京電力福島第一原発を巡り、8月下旬から9月前半の期間に処理水の海洋放出を開始する方向で検討していることが判明。岸田文雄首相が8月18日に米国で予定されている日米韓首脳会議で説明し帰国後に方針を決める段取りを想定しているという。
当然のことながら、放出に反対姿勢でいる漁業関係者の理解を得られるかどうかが焦点で、政府は開始時期を慎重に判断したい、としているが、さてどうなるか。国は漁協関係者の理解を得るのに全力を注ぐべきで、反対の中の強行だけは避けるべきだと思う。あくまで理解を得ることに全力を注ぐべきである。
(8月6日)
日曜日。日本列島は5日、西日本から北日本の広い範囲で高気圧に覆われ、厳しい暑さに襲われた。福島県伊達市では午後2時ごろ、なんと最高気温40.0度を観測。今夏初の40度到達となった。また最高気温が35度以上の猛暑日はこの日、全国914の観測点のうち274地点に及んだ。この暑さで福島県広野町では畑作業中の80代の女性が死亡、熱中症と見られている。
一方で台風6号は5日、沖縄本島や鹿児島県の奄美地方を暴風域に巻き込みながら、徳之島西の海上を東に進み、6日にかけ沖縄や奄美に再び接近。日本の南の海上で勢力を強めて北上中で、このままだと8日以降には西日本に上陸する恐れも出てきたという。困ったものである。
広島に原爆が投下され78年になる。この日、広島の平和記念公園では午前8時から平和記念式典が開かれた。ことしは4年ぶりに新型コロナウイルス対策で設置が見送られてきた先着の一般参列者席が設けられ、アメリカやウクライナなど約百十の国の大使も参列、好天の下の実施となった。式典では、この1年に亡くなった人や死亡が確認された5320人の名前が書き加えられた33万9227人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められ、原爆が投下された午前8時15分に参列者全員が黙とうを捧げ、始まった。
=広島の平和記念公園であったテレビ中継。平和記念式典から(NHKから)
原爆の少女像(故佐々木禎子さん)をバックに黙とうする親子
世界平和はみんなの手で。参列した人々
「平和だと思える未来を私たちが作っていきます」
この日は高校球児の祭典である夏の甲子園も始まった。
サッカーの女子ワールドカップ(W杯)。日本代表「なでしこジャパン」はニュージーランド・ウェリントンでの決勝トーナメント1回戦に臨みノルウェーに3-1で快勝し、2大会ぶりに8強入り。
【「大麻は現実逃避」 若者にまん延 使用経験者が警鐘 重なる朝日大事件】【検挙の7割20代以下 目立つSNS経由の入手】【日大生 所持疑い逮捕 アメフト部、無期限停止 大麻・覚醒剤】とは、6日付中日新聞の見出し。若者の間でこのところ、大麻の使用が確実に増えている。何としたことか。
2023年8月5日
岸田文雄首相が4日、官邸で記者会見。当初、来年秋に健康保険証を廃止してマイナンバーカードに一本化する予定だった方針を当面は健康保険証を維持する考えを示した。というわけで、けさの新聞1面トップの見出しは【保険証 来秋廃止は当面維持 首相会見 延期点検次第で判断 資格確認書最長5年有効】というものだったが、個人的には、これまで慣れ親しんできた健康保険証はそのままに。いつまでもでもよいのでは、と思う。
それこそ、【わが健康保険証は永遠なり】であってほしく、思うのだが。デジタル社会への移行も大切ではあるが、ひとつくらい、健康保険証だけでも温かみのある現行のままでいったらどうか-と思うが、いかがか。岸田さんの好きな膝詰め談判でもしてみたら? おそらく高齢者の誰もが従来の健康保険証の継続を望む声が多いもの、と確信する。いかがか。
新聞には、ほかに【羽生結弦さん結婚 スケートと共に全力で前へと生きていきます】(5日付、中日)との明るい話題も。それによると、フィギュアスケート男子で五輪2連覇の羽生結弦さん(28)が4日、自身の公式交流サイト(SNS)で結婚することを報告。「羽生結弦は入籍する運びとなりました。今後の人生も、応援してくださっている皆様と、スケートと共に。全力で前へと、生きていきます」とつづり、相手については言及していないという。
2023年8月4日
将棋の藤井聡太七冠が大阪の関西将棋会館での王座戦挑戦者決定戦で愛知県一宮市出身の豊島将之九段に午後9時15分、159手で勝ち、王座戦の挑戦権を獲得。
金曜日。愛知県安城市の夏の風物詩「安城七夕まつり」が4日、始まった(6日まで)。
沖縄周辺では迷走しているノロノロゆっくり台風(6号)の今後の進路が心配されている。というのに、だ。こちら名古屋は11日連続の猛暑日とあって、暑い日が続く。
生涯プラハを見つめて生きた村井(劇作家村井志摩子)の『原爆ドーム・ヤンレツル三部作』は、現在記憶する人も少ないが、もう一度上演されてもいい。(軽)-とは、本日付の中日夕刊【大波小波】氏である。
わたくしは、きょうも。おまえが以前に市内スーパーの靴屋さんで俺に買ってくれ、その後履きなれたおんぼろValentinoの靴を(きょうは、とても暑いので)思い切って素足のまま履き、これまたおまえが選んでくれた緑の車体のパッソに乗って熱射のなかを運転。スーパーに行く途中で喫茶店に入り、時間遅れのランチを頼み「デザートは良いです。その代わりにかき氷。(相棒が大好きだった)レモンのかき氷をください」と言い、これを食べ、近くの大型店・イオンリテールに寄り、夕食を買って愛猫シロが待つわが家へ、と戻った。
道中、思うのはたつ江(伊神舞子)、おまえのことばかりだ。なぜ、なぜ。そんなにも早く死んでしまったのだよ、と。空に向かって叫ぶ。でも、けさ未明にNHKラジオの深夜便を何げなく聴いていたら、あの国民的俳優だった松竹映画「男はつらいよ」のフーテンの寅さん、渥美清さんは68歳で命を落としたという。そう、おまえよりひとつ若く、亡くなったと知り仕方ないか-とその点では妙にあきらめがついたたことも事実だ。おかしな対比である。
食事と買い物から帰宅し、先日「赤旗」の植村さんが「うちの畑で出来たものだから。奥さん、好きだったから」とわざわざ届けてくださり、その後冷蔵庫で保存して置いたミニトマトを遺影の前、霊前に。生前の彼女はなぜか、ミニトマトが大好きだった。それだけに、どこかありがたく、かつ嬉しく思った。
ありがとう、と好物のミニトマトへの礼をいっているような舞。確かにおいしかった
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それにしても、全国的になお、連日の酷暑が続いている。私は先日、大阪から帰ったあとは、ひと足早い妻のお盆の法要(棚経という)やらアレヤコレヤで少し、いや、正直言ってかなり疲れはしたものの、妻との約束を守るためにも新作小説の執筆に追われている。
岐阜県警と北方署は3日、大麻取締法違反(営利目的譲渡)の疑いで、いずれも朝日大ラグビー部に所属する3年生の男3人を逮捕。同日、瑞穂市内にあるラグビー部の合宿所を家宅捜索。入手先や、ほかにも犯行を繰り返していないかどうか、を調べる。この日は警視庁薬物銃器対策課も日本大学アメリカンフットボール部の部員に大麻所持の疑いがあるとして、東京中野区の同部寮を家宅捜索、寮で乾燥大麻と覚醒剤成分を含む錠剤を発見。こんご入手経路などを捜査、追及することにしている。
東京地検特捜部が4日、自民党の秋本真利衆院議員(47)=比例南関東=が洋上風力発電事業を手がける日本風力開発(東京千代田区)側から数千万円の不透明な資金を受領した-として東京・永田町の議員会館事務所を家宅捜索。
2023年8月3日
東北を代表する夏祭りの一つ、青森ねぶた祭(国指定重要無形民俗文化財)が2日、青森市で開幕。7日までの期間中、歴史上の人物などを題材に和紙や針金で作られたジャンボねぶた23台が登場するという。ことしは4年ぶりの通常開催となった。それだけに、大勢の人々でにぎわいそうだ。
そして。新潟県長岡市でも同じ2日の夜、復興と感謝、勇気、そして平和を願った、それこそ世界に誇るニッポンイチ、いや世界にとどろく復興祈願花火【フェニックス2023】(8月4日まで)が空高く上がり、夜空を彩った。
2023年8月1、2日
2日午前11時23分を過ぎた。
先月29、30日にあった大阪での【同人雑誌から新たな文芸潮流を】をスローガンとした第5回全国同人雑誌会議・第2回全国同人雑誌協会総会(29日)と文学館巡り(30日)から帰り、やっと、ひと息ついたところである。
そして今月に入り。1日は、夜を徹しての留守の間の新聞チェックと本欄一匹文士の執筆はむろんのこと私的事情もあって、午後に臨済宗妙心寺派永正寺住職の中村建岳さまによるわが永遠の妻たつ江=伊神舞子、静汐院美舞立詠大姉=に対する自宅でのお盆法要(棚経)をして頂き、やっとこせ落ち着いたのが、きょう2日の午前、いまという時である。
お盆の法要。建岳さんが唱えてくださった。わが妻、たつ江すなわち静汐院美舞立詠大姉(せいせきいん・びまい・りゅうえんたいし。伊神舞子)の胸の内や、いかに
とはいっても、きょう2日は朝から愛猫シロ(オーロラレインボー)ちゃんのかわいいしぐさと、目による指示に従って先代猫たち(てまり、こすも・ここ、神猫シロ)が眠るわが家、裏庭猫塚での花と水替えなどに先ほどまで追われた。こんな時に、傍らに舞が居てくれたらよいのに-とつくづく思う。「ホラ。ほら、何やっとるの」と言われながら猫ちゃんたちの花替えをやっていたころをついつい、懐かしく思い出してしまうのである。
それなりに綺麗になった先代猫たちのお墓
さてさて。それはさておき、こうして生きている以上、いつまでも感傷にばかり浸っているわけにもいくまい。私には舞との永遠なる約束があり、まだまだふたりの道を手を握りあって前に向かって進んでいかなければ。何でも知っているシロちゃんに叱られてしまう。というわけで、いつもの一匹文士の物語を出来る範囲内で、きょうもたとえ僅かでも-と、こうして書いているのである。
まずは、けさ2日付の中日1面の【栄える街に新たな象徴 中日ビル竣工式】のニュースには、感慨ひとしおなるものがある。というのは、昭和42年の7月2日。前の中日ビルが出来てまもなく大学四年生だった私はそのぴかぴかのビルで中日新聞の入社試験(43年春入社)を受けたのである。試験会場を訪れたら、学生で埋まっていたので「こりゃダメだ、とても受かりっこない」と半分あきらめて試験にのぞんだ。確か作文は<日本の進むべき道>だったと記憶しているが、これは書けた。
おそらくダメだろうーとほぼあきらめていたところへ、なぜか2次の面接試験の連絡が届いて不思議にも受かってしまった思い出のビルでもあった。(当時の社報によれば、中日新聞への入社倍率は確か60~70倍だったと記憶する。あのとき私はある有名銀行にも受かっていたが、マルサの男=名古屋国税局監察官室長=をしていた父が「本人がどうしても新聞記者になりたがっているので申し訳ありません」と、わざわざその銀行の人事部に事情説明に出向いてくれ、とても嬉しかったことを覚えている)
そして。後年、その中日ビルには新聞社の一宮主管支局長(現一宮総局長)のあとに、文化芸能局の部長時代の2年、在職。おかげで仕事の関係上、書家の高木桑風さん、長谷川春香さんはじめ、都都逸の柳家小三亀松・日比純子さん夫妻、まあじゃんこうしのきむらとんぺいさん、作詞作曲・歌手の平尾昌晃さん、歌手舟木一夫さんら多くの人々とお会いする機会にも恵まれ終生、忘れられないビルになったことも確かだ(私は、その後に本社編集局のサンデー版と特報のデスク長となった)。
ことほどさように、名古屋の歴史が染みついた中日ビルには他の人々同様、その時々の思い出が染みついているのである。そのビルが新しく生まれ変わる、というのだ。というわけで、どんなビルに生まれ変わるのか。楽しみである。ちなみに、舞も中日料理教室で伊藤華づ枝先生の教室に受講生として通ったことがある。どれもこれも、遠い昔の話ではあるが。
中日ビルの話以外では、やはり1日付中日本紙の【「青春時代から文化の拠点だった」 ちくさ正文館書店が閉店】か。私自身、この書店はしばしば訪れたことがあり、過去に自著を置いて頂いたことも何度かあるだけに、閉店は惜しい気がする。
そして、もうひとつ。何と言っても、嬉しかったのは「脱原発社会をめざす文学者の会」の会員仲間でもある、あの広島の天瀬裕康さんから【天瀬裕康詩集 閃光から明日への想い-我がヒロシマ年代記 My Hiroshima Chronicle】(コールサック社)が謹呈本として私あてに送られてきたことである。ありがたく拝受し、しっかりと読ませて頂きたく思う。
何であれ、天瀬さんはそれこそ努力家で医学博士のかたわら、平和な社会をどこまでも願っておいでのすばらしいお方である。私自身も間違いなく、彼の生き方に共鳴する仲間のひとりである。
天瀬裕康さんから送られてきた詩集
詩集の中の<ヒロシマ新聞>
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そういえば、けさの中日新聞<通風筒>に【◇…東北に夏祭りシーズンの到来を告げる「盛岡さんさ踊り」が一日、盛岡市で開幕した。】といった記事が掲載されていた。華やいだなか、「サッコラチョイワヤッセ」のかけ声とともに晴れやかな表情の踊り子たち……
私は、こうした世界が大好きだけに、とてもうれしく思った。世の中がいつまでも平和で楽しくあってほしい。人生はいつも浮き浮き、楽しくなければ。舞が世界のフォークダンスを熟知し、時に徹夜の郡上踊りを楽しんだのも、そうした楽しい世界が何よりも好きだったからに違いない。
【議会襲撃トランプ氏起訴 特別検察官「民主主義根幹を攻撃」 前大統領、3件目刑事訴追 米史に汚点残す重大疑惑】とは、2日付中日新聞夕刊の見出しである。
ついでながら、麻雀講師きむらとんぺいさんからつい最近、私あてに届いた暑中御見舞【しょちゅうおみまいもうしあげます】の<み>と<げ>から。
み=皆んなでやれば怖(コワ)くない、首相官邸で遊ぶか!20~30才代
げ=元気をもらった二刀流大谷さん、七冠藤井君
一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2023年7月1日~)
2023年7月29、30日
わが永遠の相棒かつ師匠で、今は亡きかわいい妻たつ江(伊神舞子)の写真を胸にしのばせ、大阪にいってきた。
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29日午前。一匹文士(いっぴきぶんし)のわたくし、伊神権太は名古屋駅で新幹線に飛び乗って新大阪へ。大阪駅でホテルのシャトルバスに乗り、まもなくして北区中之島のリーガロイヤルホテル大阪に着いた。
【同人雑誌から新たな文芸潮流を】をテーマに、これまで念願だった大阪では初めて実現した第5回全国同人雑誌会議・第2回全国同人雑誌協会総会に出席。何かと得るものを得て帰宅した。
愛猫シロちゃんに留守番をしてもらっての大阪行だったが、亡き妻たつ江(伊神舞子)が生前、よく話していた言葉「シロ、シロちゃん(愛猫)は、ね。何でも知っているよ」の言葉どおり、しっかり留守番をしてくれていたこともあり、かなり疲れはしたものの久しぶりに有意義な文学行脚となったのである。
そして。その全国同人雑誌大会の中身はと言えば、だ。
会場に一歩、足を踏み入れるや、まず肌に感じたのは市民文学、同人誌の世界にヒタヒタと押し寄せるニューウエーブ、新しい波とでも言えようか。コロナ禍という忌まわしい時代を乗り超え、真の文学を愛する人びとによる<市民の市民による市民のための文学向上>のために全国から会場を訪れた文学愛好者らの熱気と興奮、迫力であった。
会場に着いたわたくしは、独り棒立ちとなり、コロナ禍のあとの新しい時代に市民の間にいよいよ訪れた、ある潮流、いや<かぜ>とでも言おうか。全国各地から訪れた同人誌を愛する人びと。市民自らの手による「新しい文学ルネッサンス」の波が、いよいよ始まったナ-という、そうした実感のなかに居たのである。
この日は全国同人雑誌協会名誉会長三田村博史さんの基調スピーチ、同代表理事五十嵐勉さん(文芸思潮主宰・編集長)の「同人雑誌から新たな文芸潮流を」の主催者側あいさつに続き第1部の作家藤沢周さんの基調講演「文学に導かれて」に続き、第2部の全国同人雑誌会議・全国同人雑誌協会総会、「全国同人雑誌大賞」授賞式、作家吉村萬壱さんの記念スピーチ「ダイモーンの声」、さらには「活字危機を乗りこえる 同人雑誌から新たな文芸潮流を」を演題とした同人誌代表によるシンポジウムなどがあり、懇親祝賀パーティーへと移った。
パーティーは、五十嵐代表による第16・17回全国同人雑誌最優秀賞「まほろば賞」の授賞式に続き、わたくし、すなわち一匹文士(いっぴきぶんし)伊神権太=日本では最初のウエブ文学同人誌「熱砂」主宰=によるあいさつと乾杯の音頭で始まり受賞者や各同人雑誌代表、今回大阪大会実現に多大なる協力を頂いた大阪文学学校の細見和之校長(京都大学教授)らのことばがあり、その後は和気あいあい懇談に移り、会場はそれぞれの文学論で大いに沸き、盛り上がったのである。
わたくしは、乾杯のあいさつの中で先に亡くなった【脱原発社会をめざす文学者の会】会長だった加賀乙彦さんから生前、お会いするつどハッパをかけられていた言葉「ごんたさんは、まだまだ若い。書いて書いてかきまくってほしい」を引用し「皆さん。書いて書いて書きまくり、平和で幸せな文学社会を共に築こうではありませんか」と話し、乾杯の音頭を取らせて頂いたのである。
この日の基調講演で藤沢周さんは、彼が師とあおぐ「月山」の作者森敦さん(森敦さんはボク自身、彼が文壇に出てきたころから、その心象風景の描写が大好きな作家の一人でもある)に触れ、こう述べられていたので本欄で触れさせて頂く。
――あれもこれも。なかなかうまくいかなくて。作家になることをもう諦めよう。もう書かないと思っていた時に、森敦さんに「君には作家のにおいがする。1日1枚書きなさい。それで芥川賞を取るとよい」と言われ、書き続けたところ、なんと本当に夢がかなってしまいました。それどころか、きょう(7月29日)は森敦さんの命日です。なんということ(奇跡なの)でしょう。
そして。「(けさは)あの森敦さんが白い服を着て水上をこいでこちらに近づいてくるではありませんか。ウアーッと思って目が覚めました」。ですから私がきょう、こうして話しをさせて頂けたのもこうした運命的な出会いかと思っています。
もうひとり、吉村萬壹さんの「ダイモーンの声」も簡潔でなかなか良い内容だった。
このほか、松嶋節さん(三重・文宴)の終始、にこやかな表情で目をそらさせない見事な司会には、頭が下がった。札幌から飛行機で駆けつけた文芸評論家の川村湊さん(日本文藝家協会常務理事、脱原発社会をめざす文学者の会代表3人会のひとり)、多忙な中を今大会実現にこのうえない力を注がれた小原政幸大阪文学学校事務局長、寡黙ながら、いつだって情熱的かつ静かで特異な作家山口馨さん(三重・海にも所属)ら多くの懐かしい方々にも再会出来、いって良かったナとつくづく思い、翌30日には、全国同人雑誌協会代表・五十嵐勉さんの案内で、協会の三田村博史名誉会長、中部ペンクラブ会長中村賢三さんご夫妻はじめ、朝岡明美さん、そらいくとさん、椿井愛一郎さん(いずれも中部ペンクラブ所属)らと川端康成、司馬遼太郎、与謝野晶子の各文学館、さらには直木三十五記念館の順に巡る文芸ツアーにも参加。三十日夜、今か今かと私を待つ愛猫シロがいるわが家に着地、帰宅したのである。
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以下、会場風景と文芸ツアーの写真をオムニバス形式でここに記録として残しておこう。
【熱心に進んだ全国同人雑誌会議のひとコマ】
【会場には全国の同人誌の展示コーナーも】
【文芸ツアーも中身の濃い内容だった】
川端康成文学館で
司馬遼太郎文学館で
与謝野晶子文学館で
直木三十五記念館で
2023年7月28日
私たち人間はいま、炎熱地獄の中を生きている。
けさの朝刊も【続く猛暑 岐阜市39.4度 愛西39.3度】【熱帯夜 死亡リスク上昇 心疾患や脳梗塞 筑波大など分析】(28日付中日見出し)といった具合である。この暑さは一体全体どこまで続くのだろう。
「中国で、いったい何が起きているのか」と、国際社会はいぶかしんでいるに違いない。外相の突然の解任劇である。/中国外交の顔が1カ月も表舞台から姿を消し、解任されたのは衝撃だが、それ以上に解任の理由や経緯を公表しない中国の情報公開に対する消極姿勢には、驚きを通り越してあきれるほどである。/米国をライバルとみなし、世界の大国をめざす中国だがこれでは、「竹のカーテン」の向こうで密室政治を繰り広げる「異形の大国」と見られても、仕方がない。/事態が動いたのは二十五日。国会に当たる全国人民代表大会(全人代)常務委員会が、動静不明が、続いていた秦剛外相を解任する人事を決めた。
ただ、対外的には国営新華社通信が「秦剛外相の職務を解く」と短く報じたのみで、解任理由や秦氏が兼務していた副首相級の国務委員も解任されたかどうかは伝えられていない。
以上は本日28日付中日新聞の社説【中国外相の解任 「異形の国」の密室政治】の書き出しである。
ほかに【アイルランド歌手 オコナーさん死去 56歳・「愛の悲しみ」】【電通五輪談合大筋認める 初公判 本大会認否は留保】【枯れた街路樹調査へ 各自治体ビッグモーター店舗前】(28日付毎日見出し)【北、ロシアと協力アピール 正恩氏・ショイグ氏 兵器展を視察 朝鮮戦争休戦70年】【ロシアとアフリカ温度差 会議開幕首脳の参加大幅減 穀物輸出巡り】(28日付中日見出し)など。世界も日本もいろいろある。
米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(29)が27日、デトロイトで行われたタイガースとのダブルヘッダー第1試合でメジャー6年目にして初の完封で今季9勝目。第2試合では両リーグトップの37号2ラン、38号ソロと2本塁打を打ち、大活躍。
夜に入り、私の長男が本日付の日本経済新聞16面の【データで見る研究力 研究活発な領域、5割増 中国、新分野開拓で存在感 日本、「既存」固執でかすむ】に登場していたことを知る。デ、記事を亡き妻の仏前に供え「みんな、それなりに元気でやっているからな」と、手をあわせる。
記事はおかあさんの仏前に
長男のコメントが掲載されていた日経紙
(7月27日)
ニュージーランドで開かれているサッカーの女子ワールドカップ(w杯)第7日は26日、ダニーディンなどで行われ、1次リーグC組第2戦で日本代表「なでしこジャパン」がコスタリカを2-0で退け、2連勝で勝ち点6とした。スペインも5-0でザンビアを退け2連勝とし、日本とスペインがC組2位以内を確定させて1次リーグ突破を決めた。そして何より嬉しかったのは中日ドラゴンズが本拠地で後半戦の再開後、DeNAを相手に、初白星。連敗を4で食い止めたばかりか、ドラフト1位の新人仲地が本拠地初先発で6回を1安打無失点に抑えプロ初勝利をつかんだことといえよう。この日のドラゴンズ打線は一回に細川の適時打で先制。中盤以降もつながり、13安打で7得点だった(きょう27日は、残念ながら2-1で負けてしまった)。
(7月26日)
水曜日。蝉の鳴き声がミンミン、ミンミンと洪水のようだ。きょうも朝から暑い。からだが焼け始めるような、そんな暑い日である。この暑さのためか、わが家の愛猫シロが夕方、少し戻し心配したが大丈夫のようで安心した。夕刊を開くと【大関豊昇龍が誕生 「気魄一閃(きはくいっせん)の精神で努力」】(26日付、中日夕刊)の記事。
ボクシングのダブル世界戦が25日、東京・有明アリーナで行われ、世界ボクシング評議会(WBC)、世界ボクシング機構(WBO)スーパーバンタム級12回戦で30歳の井上尚弥(大橋)が2団体王者のスティーブン・フルトン(米国)に8回1分14秒TKO勝ちし、井岡一翔(志成)に続く日本男子2人目の4階級制覇を達成した。井上尚は昨年、バンタム級で世界主要4団体王座を統一し、階級を上げた。井上尚は25戦全勝(22KO)、フルトンは21勝(8KO)1敗。
総務省が26日付で公表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によると、ことし1月1日時点の外国人を含む総人口は1億2541万6877人で、前年と比べ約51万1千人の減。日本人に限ると約80万1千人の減で、減少幅は1968年の調査開始以降の最大を更新。47都道府県全てでマイナスとなった。
中古車販売大手ビッグモーター(東京)の兼重宏行社長(71)が25日、東京都内で記者会見。自動車保険の保険金不正請求問題の責任を取り、26日付の同社長(71)と長男宏一副社長(35)の辞任を発表。
(7月25日)
「人間の証明」で知られた作家森村誠一さんが24日、東京都内の病院で肺炎のため死去。90歳だった。その「人間の証明」を読んだ記憶から私が思い出すのは西条八十の詩で始まる「母さん、僕のあの麦わら帽子、どうしたでせうね?」といった下りである。
「母さん、あれは好きな帽子でしたよ。僕はあのときずいぶん悔やしかった だけどいきなり風が吹いてきたものだから 母さん、ほんとにあの帽子どうなってしまったのでしょう あの帽子の下で毎晩きりぎりすが泣いたかもしれません あのころの帽子は自分にとって何だったのか もう戻ってはこない でも、心の奥深くに宿っている。何かが。」
思い出すまま書くと、こんな按配だったような気がする。
ほかには、「山びこ学校」の編者で僧侶、教育評論家だった無着成恭(むちゃく・せいきょう)さんも21日午前8時58分、敗血症性ショックで死去。山形市出身。96歳だった。こうした悲しい死を見るにつけ、人はやはり、この世の中に、死ぬために生まれ出てくる。そんな気がしてならないのである。
札幌県警札幌中央署捜査本部が札幌市の繁華街ススキノのホテルで北海道恵庭市の会社員浦仁志さん(62)が殺害された、いわゆる〝殺し〟で遺体を切断したなどとして死体損壊や遺棄の疑いで浦さんの知人で札幌市内に住む職業不詳田村瑠奈容疑者(29)と容疑者の父で同居する医師田村修容疑者(59)を24日逮捕。調べによると、ふたりは共謀して1日深夜から未明にかけ札幌市中央区のホテル2階客室の浴室内で浦さんの遺体の首を刃物のようなもので切断。頭顔面部を所持し、運搬したとみられるという。猟奇殺人の典型といっていい事件の背後には、一体何があったのか。
スペイン下院(定数350)の総選挙が23日に投開票され、最大野党の中道右派・国民党が改選前の89議席を大幅に上回る136議席を獲得し、第1党となった。ほかにはやはり、ウクライナ戦争関連で【ロシア人部隊 露を攻撃 副官インタビュー 反プーチン ウクライナが越境支援】【世界遺産地区の正教会聖堂破壊 オデッサ】(25日付毎日、見出し)といったところか。
(7月24日)
月曜日。
きょうの紙面は何といっても大相撲名古屋場所(中日新聞社共催)で東関脇豊昇龍(24)=本名スガラグチャー・ビャンバスレン、モンゴル出身。立浪部屋=が12勝3敗で初優勝を果たし、場所後の大関昇進を確実にしたことか。モンゴル出身力士の制覇は、春場所の霧馬山(現霧島)いらい10人目である。
豊昇龍は優勝決定戦で西前頭9枚目の北勝富士を押し出しで下した。本割では新入幕で西前頭17枚目の伯桜鵬との3敗同士の対戦を上手投げで制し、19歳の伯桜鵬は109年ぶりとなる新入幕優勝の快挙を逃した。ところで、この豊昇龍は史上4位の優勝25回を誇る元横綱朝青龍のおい。3人が3敗で千秋楽を迎えた混戦を制し、名古屋場所は大いに盛り上がったのである。
豊昇龍の初優勝を報じた24日付の中日スポーツ1面記事。番記者ちょっといい話【21年前いつも朝青龍にくっついていたあの子の笑顔】が、とてもいい。
豊昇龍の優勝は中日新聞本紙でも大きく報じられた
立ち上がり。にらみあう豊昇龍と北勝富士(NHKから)
そして。悲しいニュースといえば、だ。【ロシア・ウクライナ クラスター弾両軍使用 従軍記者ら双方死者】(24日付、中日1面)【関空線車内3人切り付け 殺人未遂容疑37歳逮捕 いずれも軽傷 「乗客とトラベル」】【6歳殺害疑い再逮捕 母ら4人 叔父が主導か 神戸】(24日付、毎日社会面)か。
(7月23日)
大暑。夏の暑さが極まるころで、夏の土用の期間でもある。
津島神社の祭礼として過去、600年の歴史を誇り、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産でも知られる「尾張津島天王祭」の宵祭りが22日夜、愛知県津島市の天王川公園であり、まきわら船に飾られたちょうちんの明かりが水面を揺らし、彩った。23日には朝祭があり、まきわら船の飾りつけを変えた車楽(だんじり)船が搭乗した。コロナ禍と台風で中止や規模縮小を余儀なくされ、6年ぶりの通常開催には川面に集う人々の間で、思わずため息が漏れた。私自身も、かつて亡き妻を伴い、天王祭を楽しんだことがあるだけに、本日付の中日新聞の記事【水面進む鮮やかな光 尾張津島天王祭】には、しばし見とれたのである。この天王祭は、おそらく、あの信長も楽しんだに違いない。濃姫も、吉乃も。それぞれ楽しんだことがあるに違いない。
21日に現役を引退した三重県伊賀市出身の元幕内千代の国(33)=本名沢田憲輝、九重部屋=が22日、オンラインで引退の記者会見。「やり切ったので後悔はない。周りの方に支えられ、ここまでやってこられた」と言い、涙を流した。千代の国は私が大好きなお相撲さんの一人だっただけに、「これからはもう、あの千代の国の姿を見ることが出来ない」と思うと、なんだか悲しくなってきたのである。
千代の国は2006年夏場所初土俵。幕内在位34場所でこの間、敢闘賞を2度獲得。17年夏場所には横綱鶴竜に勝ち、金星を挙げた。新聞報道によれば、師匠の九重親方(元大関千代大海)は「努力する姿は部屋全体にいい影響を与えてくれた。こんごも相撲哲学と感性を伝えてほしい」と話している。
サッカーの女子ワールドカップ(W杯)第3日は22日、ハミルトン(ニュージーランド)で行われ、1次リーグC組初戦で日本代表「なでしこジャパン」はザンビアを5-0で退けた。中日新聞の本日23日付の社説・言論欄に飯尾歩論説委員の【選手が語る戦争 キーウから遠く離れて こう見る】の名記事。
(7月22日)
11時半過ぎに、手元のスマホがピコピコ音。何ごとか、と開くと、Yahooニュースで「関東甲信地方・東北地方が梅雨明け -この先1週間は猛暑の予想、熱中症予防を-とのこと。このニュースを喜んで良いのか。悲しむべきか。私にはわからない。
夏休みに入ったばかりの各地の海や川で小中学生が犠牲となる事故が相次いだ。
21日午後零時55分ごろ、福岡県宮若市の犬鳴川で「友だちが川から上がってこない」と110番通報。一緒に遊んでいた小6の女児4人が支流の山口川合流地点で深みにはまり3人が流され、川底で沈んだ状態で発見されたが、3人とも死亡。また同じ21日午後1時35分ごろ、三重県津市の阿漕浦海岸でも男子中学生が行方不明となり、3時間40分後に海岸から約100㍍離れた水深3㍍の海中から救助されたが搬送先の病院で死亡が確認された。溺死だった。
けさの新聞1面トップは、やはり特捜検事による供述誘導で【特捜検事供述誘導か 録音存在元市議に「レールに乗って」 河井元法相買収事件 「協力したら起訴しない」「署名したら帰す」複数の被告証言】(中日)【特捜検事供述誘導か 不起訴示唆元市議録音 元法相買収事件 最高検が調査】(毎日)というものだった。特捜検事といえども、人の子だ。私自身が、体験したかつての汚職取材などで被告に対する強攻検事の態度を思い返したりしても十分にありうることである。こうした事案は表面上といおうか、一見優秀な検事ほど功を焦って起こしやすいが、さて、この場合はどうか。
ほかには米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官が20日の記者会見で米国供与のクラスター弾をウクライナ軍が使い始めたことを認めたという報道か(22日付)。カービー広報調整官は「非常に効果的に使用している」としているが、戦争の惨禍がますます深まっていくような気がしてならない。何であれ、戦争をただちにやめるわけにはいかないのか。
午後。名古屋国際センター5階会議室で開かれた中部ペンクラブの理事会に出席する。
(7月21日)
囲碁の第78期本因坊戦7番勝負の第七局が19、20日の両日、三重県鳥羽市で打たれ、挑戦者の一力遼棋聖(26)が218手で井山裕太本因坊(34)に白番中押し勝ちし、4勝3敗でタイトルを奪取、棋聖と合わせ二冠となった。
本日付の中日新聞の報道によれば、中古車販売大手のビッグモーターがCMの放送中止の通知をメディア側に出したことが複数のラジオ局への取材で分かった、という。CMキャラクターを務める俳優の佐藤隆太さんの所属事務所が契約解除に向け協議中であることを明らかにしたことにより、放送継続は困難、とのこと。ビッグモーターは共同通信の取材に「(CMの)放送を取りやめる方向で調整を進めている」とも回答したという。ビッグモーターは故意に車両を傷つけて修理代を水増しするといった悪質な行為が全国で明らかになっている。それにしてもビッグモーターは、信じられない悪事を働いていたものだ。
本日付の中日1面夕歩道にも、こう書かれていた。
「買い取り台数日本一」という中古車販売大手で、預かった事故車両にゴルフボールをぶつけたりドライバーでひっかいたり。修理代を水増しし、組織的に保険金の不正請求を重ねていたという。
とても信じられない悪行と言ってよいだろう。
警視庁は、広域強盗事件のうち1月に千葉県大網白里市で起きた事件を指示したとして20日、今村磨人容疑者(39)を強盗致傷などの疑いで再逮捕。今村容疑者は「ルフィ」と名乗り昨年5月の京都市の事件を指示したとして逮捕されており、千葉の事件では「ミツハシ」と名乗り、「キム」を名乗る別の指示役がいた疑いも浮上している。
(7月20日)
朝。蝉たちの鳴き声が洪水のごとく耳に聴こえてくる。
私には全ての声が今は亡き妻の声に聴こえてくるから不思議だ。じっと耳を澄ませて共に聴き入る私とシロちゃん。そんな1日の始まりである。天気が良いので先日、買った桃ひとつを1階台所の桟に置き、しばらく干したあと、引き続き場所を替え、2階ベランダ一角の椅子の上に干す。少しは甘くなるか、と。そんな微かな期待を込めてである。
第169回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、市川沙央さん(43)の「ハンチバック」(「文学界」五月号)が芥川賞に、垣根涼介さん(57)の「極楽征夷大将軍」(文芸春秋)と永井紗耶子さん(46)の「木挽町のあだ討ち」(新潮社)が直木賞にそれぞれ選ばれた。ここまでそれぞれ、言い知れぬ努力と頑張りがあればこそで、心から祝福したい。
午前11時半過ぎ。スマホからピコ、ピコ、ピコの音。何事かと開くとYahooニュースで「先ほど気象庁は中国地方(山口のぞく)、近畿地方、東海地方が梅雨明けしたとみられると発表しました」とのこと。ほぼ平年並みとのことである。朝刊には【羽田第2ターミナル国際線再開】【袴田事件検察16点新証拠 弁護側、却下求める方針 再審3者協議】(20日付、毎日)の見出し。夕刊は【貿易黒字23カ月ぶり 資源高一服で輸入額減 6月】【ウクライナ入港認めず ロシア、穀物合意停止受け】【小麦価格急騰 港への攻撃で ウクライナ】(日本経済新聞20日付夕刊)
いつものことだが。世の中は、それぞれに動いている。
きょうは、さすがに暑いので外への散歩から帰ったシロは台所板敷のフロアにお腹を摺り寄せてじっとしたまま。動こうとはせず、暑さが通り過ぎていくのをジッと待つような。そんなシロちゃんであった。
2023年7月19日
【ごんは、平和を願いました。 戦後78年 新美南吉企画展 名古屋で開幕】【日本の海産物検査強化 中国、処理水放出に圧力 税関に数週間 輸入断念も】【穀物輸出 陸路も検討 ウクライナ 価格高騰再燃の懸念】【市川猿之助容疑者再逮捕 父親の自殺も手助け疑い】(19日付中日)【鳴り響く軍歌とロック 露飛び地カリーニングラード リゾート地 戦時と日常共存】【穀物輸出 国連が仲介継続 事務総長「食糧安保の生命線」】【G20声明見送り 財務相会議 露巡り6回連続】(19日付毎日)など。新聞記事は、やはり社会を映す鏡である。
そんななか、またしても私にとっては忘れることのできない志摩の記事【豊漁願い漁師も海女もずぶぬれ 志摩で「潮かけ祭り」】(19日付、中日)が目にとまった。いわゆる、アワビ、サザエ、アラメなどの宝庫といっていい和具大島沖合海上での海女さんたちが潮をかけあう潮かけ祭りがそれ、である。この日が来るとわたしは昭和40年代後半、まだ20代のころ目の前で繰り広げられた海女さんたちの潮かけ祭りを決まって思い出す。
あのころ。私は新聞社の地方記者として、新聞の伊勢志摩版で連載記事【海女、その世界】を執筆中で、和具をはじめ御座、船越、波切、浜島、安乗の海女さんたちと知り合いだったこともあり、「兄(アニ)さ。カメラ渡しな」といわれ、大切なカメラを渡すや、2、3人の海女さんに抱えられ、着の身着のまま舟から海中に放り投げられたあげく柄杓で海水を浴びせられ、全身びしょ濡れになった。あの日のことは永遠に忘れられないのである。
でも、その分、私はけいこ海女に始まって徒人(かちど)を経て舟人海女(ふなどあま。夫のたずなの下、夫婦で海に潜るベテラン海女)に育っていく海女さんの世界や、海女さんにはかけがえのない休息どころと言っていい火場(ひば)のこと、さらには魏志倭人伝にまで記述されている通り、大昔には志摩の海女さんは済州島の辺りまで泳いで行ったものだーということまでを学び、知ったのである。
時折、妻のたつ江(伊神舞子)を海女さんの火場にまで連れて行くと「あのなあ~」「ほいでなあ」と人参料理の作り方に始まり、海から揚がったばかりのカツオを使っての【てこねずし】のつくり方までいろいろ教えてくださったのである。あのころは、白い磯着ではもの足らず、ゴムのウエットスーツをそろそろ使い始めた頃だったが、時に心臓まひで死亡した海女さんの悲劇を社会面で大きく報道したことも何度かあった、そんなころの話でもあるのである。
というわけで、私にとっての志摩の海女さんは今もって忘れられない存在なのだ。なんだか話がそれてしまったようだが、私と舞には、そうした時代もあったのである。ドラゴンズの谷沢選手が自主トレでアルコール漬けの酒風呂にはいって鍛えていたころの話である。彼が自主トレ中、私は彼の奥さんと志摩観光ホテルでコーヒーを飲んだりしていたが、あのいまわしかった中スタ事件を乗りこえたドラゴンズはその年、セ・リーグ優勝を果たした。遠い昔。厳しくも楽しかったころ、昭和の時代の話である。
(7月18日)
三重県桑名市で全国最高の39・0度を記録。愛知県岡崎市と蒲郡市、岐阜県美濃市で37・6度、岐阜市で37・5度、津市で37・3度、名古屋市で37・1度などを観測。東海各地は、きょうも猛暑日に襲われた。
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「すごく腫れて病院に来ています 緊急入院、緊急手術になりました レッスン出来ない。ごめんなさい」と突然、社交ダンスの先生からラインメールが入った。手術後もせっかく順調に回復しつつあったのに。一体全体、何があったのか。あとは次なる手術の結果がよく、早く回復されることを祈るのみである。それにしても。若先生の身に何が起きたのか。心配である。でも、きっとよくなる。
先生は、何ごとにつけても、とても熱心なため私たち教え子のこと一人ひとりを思い、退院と同時にレッスンを少しやりすぎ、その結果が緊急手術という事態に陥ったとしても不思議でない。それ以外に考えられるとしたら、それは医療ミスである。いずれにせよ、私たちは早く元の先生に戻られるよう、ただひたすら祈るのみだ。もしも医療ミスだったとしたなら、それは許されない。もはや、あの名市大医学部が、そんなドジを踏むはすはないに違いないとは思うのだが。真実は、どうなのか。いずれにせよ、きっとよくなる。よくなっていただかなければ。そう信じている。
火曜日。昨日はやはり、全国各地で最高気温35度以上の猛暑日となった。
名古屋でもことし最高の37・4度を観測。【危険な暑さ日本中 195地点で猛暑日 豊田39.1度 「住居内」「高齢者」熱中症注意】【秋田大雨 断水1万戸超 混乱続く再び雨強まる恐れ】(18日付、中日)【露、穀物輸出合意を停止 ウクライナ産「無効」】【日UAE(アラブ首長国連邦)脱炭素「主動」 首脳会議 サウジとも協力合意】(同、毎日)の見出しが躍った。
このほか、テニスのウィンブルドンでは【死闘4時間42分 ジョコ(ジョコビッチ)撃破】【20歳アルカラス初V 世代交代へのろし】【絶対王者冷静さ欠き連勝ストップ】(同、毎日)のビッグニュースも。世の中、いろいろだ。
京都の祇園祭・前祭の山鉾巡業が17日、京都市の中心部であった。23基の山鉾が都大路を進み観光客らを魅了。人出は3年ぶりに巡行があった2022年より1万人多い15万人だったという。同じ京都の保津川(京都府亀岡市)の川下りが再開。3月に舟が転覆、船頭2人が死亡した事故で運休していた。北海道の蘭越町で資源調査の掘削作業で蒸気が噴出した問題で調査主体の三井石油開発(東京)は17日、現場で16日に採取した蒸気から飲料水の基準の2700倍に相当するヒ素が検出された、と発表。このため同社は現場周辺の水を約1㌔離れた井戸へパイプラインを使って送水。地中に戻すことで影響を防ぐのが目的で噴出現場付近では7・5㌶の範囲で変色。6月下旬の蒸気噴出後は町民ら15人が体調不良を訴えているという。
36人が亡くなった2019年の京都アニメーション放火殺人事件から4年の18日、現場の第1スタジオ跡地(京都市伏見区)で追悼式が開かれた。
2023年7月17日
月曜日。祝日。海の日だ。この日がくると、あの東日本大震災が起きた直後に、テレビ画面から洪水の如く流れ出、信じられないほどの高さで人間社会を襲った波の数々、大津波を目の前に、私に向かって舞が何度も何度も叫ぶように言ったことば【海は悪くない。海は決して悪くなんかはない。海は悪くないよ】のことばが胸を突いてくるのである。わたくしには、「ニンゲンたちが悪い」と言っているようにも聞こえた。
そして。その後、私は福島県いわき市の塩屋埼灯台など東北の被災地を何度も訪ねるたびに海を目の前に「おまえたちは、なんにも悪くないのだから。悪くないからな」と白い波に向かって数限りなく話しかけもした。ある年には舞を伴って美空ひばりさんの碑が立つ灯台直下の浜に立ち、波に向かってそのように話しかけたこともある。
御座白浜、安乗、浜島、磯部、船越、大王埼の波切に代表される志摩の海、七尾、千里浜、穴水、関野鼻、輪島、門前、舳倉島、能登島、半島突端の禄剛崎などで何度も見た能登の海、大韓航空機が撃墜された北海道は稚内のオホーツクの海、中日ドラゴンズのキャンプ地である沖縄、ほかにスペインはマドリード、メキシコのマンサニージョの海…と、私がかつて足を運んだ至るところ、どの海も波たちは何にも悪くはない。
ここまで思考を進めた私はここでふと立ち止まり、かつて私の提言で七尾青年会議所の若者たちと共に<海を感じる心>を広めようーと新聞社と共催で国内外に広く公募した「海の詩(うた)大賞」公募の第1回大賞に選ばれ、受賞後、門前町役場職員から成るバイストリードバンド(当時)によって作曲された【海はなぜ広いの】を思い出し、口ずさむのである。今もなお、いや、この地球が存在する限り多くの人々に親しまれる「海の詩(うた)」。
その歌詞は次のとおりである。
♪うみはなぜひろいの それはすべてのいのちのはじまりだから うみはなぜあおいの それはちきゅうをかこむカーテンだから うみからいのちははじまった みんなのうみひろいうみ そんなうみが ぼくらによびかけている ずっとまっている- こころのなかで(作詞本藤理恵、作曲酒井郷夫)
1987年度「海の詩(うた)大賞作は次のとおり(「海の詩市民の会」による海の詩パンフレットから)
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さて。世間の話題はといえば、だ。車いすテニス男子で世界ランキング1位の17歳、小田凱人(おだときと。東海理化、愛知県一宮市出身)が16日、ロンドン郊外のオールイングランド・クラブでウィンブルドン選手権のシングルス決勝に臨み、第2シードのアルフィー・ヒューエット(英国)に6-4、6-2でストレート勝ちして初優勝したことか。小田は全仏オープンに続く4大会2連勝で、たいしたものである。そして今ひとつ。中日ドラゴンズが甲子園での阪神戦に挑み、リードを守り切って3-0で勝ち、3連勝。この世は勝ったり、負けたり。ドラゴンズの選手たちに、ここはエールを送っておこう。この世は、人生と同じ。勝ったり、負けたりだ。負けたらアカンが、次の試合を勝てばよい。悲しいことがあれば、楽しいことが少しはあるはずである。
2023年7月16日
日曜日。おまえ。わが妻たつ江(伊神舞子)が大好きだった郡上踊りが昨夜、岐阜県郡上市で始まった。新型コロナウイルスの影響もあって4年ぶりの開催。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されてからは初の郡上踊りである。
そして。名物の徹夜踊りは8月13日から16日まで4夜連続で明け方まで続く。たつ江がいたなら。一緒に行って、共に夜を徹して踊りたかったのに(彼女は友だちと連れ立って行ったことはある)。私が自分勝手でいたこともあり、夢はかなわなかった。私は、一生の不覚だったと今ごろになって深く深く、反省している。この情感たっぷりの郡上踊り。これから9月上旬まで31日夜にわたって、♪郡上のナー八幡 出て行く時は 雨も降らぬに 袖しぼる~と繰り広げられる。
郡上踊りがなぜか、大好きだった生前のたつ江(伊神舞子)。一度は一緒に行きたかった。
私の母も盆踊りは大好きであった
本日付の中日5面【ニュースを問う<三重県志摩市沿岸の磯焼け 食害生物 うまく逆手に> 阿部竹虎(志摩通信部)】を興味深く、拝読。志摩といえば、半世紀前に私自身が地方記者として3年余にわたって妻たつ江を傍らに取材に走り回った懐かしの土地だからである。
あのころは田中角栄提唱による日本列島改造論華やかなころで、真珠の海・英虞湾の富栄養化現象に伴う悪性赤潮(ギムノディニウム)発生とそれに伴う真珠母貝の大量斃死の取材に愛車サニーで連日走り回り、振りまわされた懐かしく、かつ当時私と一緒になったばかりのたつ江にとっては最初の苦難の日々の連続の任地でもあった。
さらに伊勢神宮の式年遷宮、高校総体に〝みえ国体〟と志摩通信部兼伊勢支局員という兼務記者という立場もありそれこそ、ハードな連日が続いたが、舞は文句ひとつ言うことなく、通信部の留守を守り、私にどこまでもついてきてくれたことを思い出す。月に一度は必ず阿児町鵜方の通信部で実施した中日写真協会志摩支部の例会も彼女がいればこそ、続けることが出来たのである。
在任中は、志摩観光ホテルで<華麗なる一族>を執筆していた作家山崎豊子さんに何度もお茶に誘われ、嬉しかったことなども思い出される。ほかにタンカー沈没に伴う重油漂着で海女漁がしばらくストップしてしまったり、中日スタヂアム社長だった平岩治郎さんが浜島突堤に近い黒崎の浜で自殺を遂げたり、みえ国体を前に悪徳運転手の横行を【真珠のふるさとを汚すな】と紙面化したところ、「俺たちの生活はどうなるのだ」と近鉄鵜方駅前の広場で何十人ものタクシー運転手に囲まれたりもした。皆ほんとうの話である。
ほかにも熊野灘での密漁騒ぎなど本欄だけではとても書き尽くせない多くのことがあり、伊勢神宮の式年遷宮では玉砂利での人間のお供えもの・供奉員(ぐぶいん)担当記者として日本を代表する企業トップや作曲家古関裕司さんらを再三にわたって取材した記憶がよみがえるのである。
これとは別に、ある日、まだ無名だった若者、鳥羽一郎さんが通信部を何度も訪れてくださり、応対したたつ江(舞)に「早く紹介してあげなくっちゃあ。とても素敵な方で、すごく熱心なのだから。ニュース性もあるわ」と叱られたことがあるが、あの時は連日の英虞湾悪性赤潮取材でそれどころではなかった。いずれにせよ、あの地方記者としての日々が、今となれば忘れられない思い出として蘇えるのである。
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志摩時代が懐かしくてチョイト、話がそれてしまった。
正午過ぎ。ピッピッピッ、の音にスマホを開くと「東北は大雨被害拡大の恐れ 関東から九州は猛烈な暑さ、熱中症に警戒を」とYahooニュース。それにしても、日本はおろか世界中の情報が即座に入る時代になった。人間の知能とは、たいしたものである。なんだか、怖い気さえしてきた。
きょうは愛猫シロが午前中、散歩に出たが、天女のお母さん・たつ江に伊勢志摩時代のオトンとオカンのふたりの生活ぶりについてアレヤコレヤと聞いてきたに違いない。でも、ネ。この世の中、地方も、都会も。基本的には何ら変わりはしないのである(シロは、いつもどおり正午過ぎに帰宅した。お疲れさま。シロよ、シロちゃん)。
夜。NHKスペシャル【混迷の世紀➓インド▽第3極が世界を動かす14億人を総デジタル化】を見て、考えさせられた。
(7月15日)
秋田県が記録的大雨に。午前11時すぎには秋田市を流れる太平川が同市広面地区で氾濫。市は付近の4538世帯、9060人に緊急安全確保を出した。九州地方の雨がやっと治まった、と思ったら、こんどは東北は秋田での氾濫である。やれやれである。
本日付の中日新聞夕刊に【志願の手紙から3年あしらわれても熱意 16歳 行事身に精進 式守風之介】名古屋場所で初土俵】というすばらしい記事が載った。
一方で、私はといえば、だ。たつ江が傍らに居ない悲しさは一向におさまらない。いや、むしろ倍々に、それも幾何級数的に(少しオーバーかな)増えつつある。
土曜日。きょうはたつ江(伊神舞子)の月命日でもあり、午前中、シロに留守を頼んで花を手にした末っ子とおかあさんが眠る臨済宗妙心寺派・永正寺の永代供養墓【濃尾の大地】へ。ふたりで、現世のことなどいろんなことをお母さん、すなわち舞に報告して帰った。「俺たちがおまえを守るから、おまえも俺たちを守ってくれよな」と手をあわせ、頭を垂れた。
帰宅後は、きのう深夜未明まで執筆に追われていたこともあって睡魔に襲われ、自室の背もたれ椅子に少しの間、足を伸ばしたが眠くて仕方がなく、2階寝室で寝る。このところ、外から帰るとなぜか知らぬが。どうしようもない眠けにドッと襲われ、寝てしまうのである。こうしたとき、たつ江(舞)がいてくれたら良いのに、とつくづく思う。やはり、俺にとっての舞のいない人生なぞというものは、今なお考えられないのである。
大げさだと言われようが、何と言われようが、だ。もはや、彼女がいないのでは生きていても仕方ない、と。そんな自暴自棄な気持ちにも時折、なるのである。
なのに。私はこうして生きている。なぜか。なぜ。なのか。自分でも分からない。「おまえのいない人生なんて、だ。楽しくも、なんともない。考えられない」。のに。である。だったら、なぜ生きているのか。それは、俳人で歌人、詩人でもあった舞という存在。舞が生きていた、と言う事実、あかしをこの世の中の少しでも多くの人々に知ってほしい。ただ、それだけから、なのかもしれない。
彼女はひと言でいえば、とてもいさぎよい女だった。「あのねえ、あたし。あたしねえ。そんなに長くなんか生きていたくないよ」というのが口癖だった。そういえば、わたくしのおふくろも「おかあちゃん。おかあちゃん、そんなに長い間、生きとりたくなんかないよ」としばしば話していた。潔いところがたつ江に、とてもよく似ていた。舞とともに私の自慢でもあったそのおふくろも昨年5月16日に6月1日の満102歳の誕生日を直前に101歳で亡くなってしまったのである。あぁ~。
夜。思いがけず、かつて長年教えて頂いた横笛のお師匠さんから「元気ですか」のメールが入り、懐かしかった。そうだ。横笛も吹かなきゃ。たった一人の観客こそいなくなってしまったが。まだひとり、愛猫シロちゃん、オーロラレインボーがいてくれる。だから。がんばらなくては。
きょうの中日朝刊生活面の【くらしの作文 魔法の握手 中根八千代さん(愛知県豊田市=主婦・66歳)】がとてもよかった。舞が生きていれば、リサイクルショップ「ミヌエット」に出かける妻たつ江に毎朝「行ってらっしゃい」と言って握手で送り出してやったのに。そう思うと、思わず涙の滴がポロポロポロリ、と落ちてきたのである。下手な作家の文より、こうした文こそ、よほど本物である。
(7月14日)
金曜日。本日付の中日夕刊1面に【弁護士会新会長 尾崎豊さん兄 「自由守る」歌う弟と同じ 司法の立場で社会に問う】の記事。心がふんわりと温かくなってくるとても良い記事である。
きょうはあれやこれやと執筆の忙しい合間を縫って木曽川河畔のフラワーガーデン江南へ。
金曜日なので、ひとり社交ダンスのシャドウレッスンをするためにである。帰りにアピタに寄って簡単な食事と弁当の買い物をして帰ったが、かつて、相棒のたつ江(伊神舞子)が店内での買い物を終えるのを待つ間、「古知野高校方面北出入り口」のフロアでひとりでシャドウレッスンを黙々としていたことを思い出し、懐かしいような悲しいような気持ちに襲われた。
きょうもただ1人、ここで社交ダンスのシャドーレッスンに挑んだ(フラワーパーク江南にて)
夜は、夕刊のチェックに始まり、ここ数日をかけ執筆済みの文士刮目27回目を何度も読み返し、午前霊時過ぎにやっと出稿を終え、少々、いや、だいぶ疲れた。シロが傍らで時折、心配そうな視線を投げかけてくる。シロよ、シロ。シロ。本当にありがとう。おまえにまで心配させるね、と私。
宮崎駿監督の10年ぶりの長編アニメ映画「君たちはどう生きるか」がこの日、14日から公開。宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこの日(14日)、開発中の小型固体燃料ロケット「イプシロンS」の2段目エンジンを地上で燃焼させる試験を秋田県能代ロケット実験場で行ったが、開始から約1分で爆発、失敗に終わった。
(7月13日)
この日がくると、亡き父を思い出す。生きていてくれたら、満108歳。大正4年7月13日が誕生日だった。
きょうは、朝のうち激しい雨、雨でシロは室内の椅子に静かに座り、何か考えごとをしたまま、しばらく戸外に目を注いでいた。デ、ユーチューブでいつものようにお母さんが好んでいた<エーデルワイス>と<みかんの花咲く丘>に一緒に耳を傾けたあとは、<リゲルと星の夜【オリジナル絵本ムービー】>なるものを、同じユーチューブで仲よく聴いてみた。
富山、石川両県では12日夜、線状降水帯が発生。気象庁では西日本が日本海側を中心に13日、東日本でも14日にかけ雷を伴った激しい雨が降るところがあるとして土砂災害や河川の氾濫に警戒を呼びかけた。
死者・行方不明者合わせて230人を出した1993年の北海道南西沖地震から30年となった12日、北海道・奥尻島(奥尻町)では町が島南部の慰霊碑前に設置した献花台で島民らが献花し犠牲者を悼んだ。13日付の中日新聞によれば、だ。愛知県立芸大が進めていた丸木位里・俊夫妻の連作絵画「原爆の図」の第一部「幽霊」の修復が終わり12日、所蔵する「原爆の図丸木美術館」(埼玉県東松山市)に向け搬出された。修復を担った7人のひとりで同大文化財保存修復研究所の研究員斎藤晴香さん(33)は「戦争体験者との関わりさえなくなる世代にバトンを引き継ぐことができた」と話した。
きょう13日付の中日新聞の夕刊【大波小波】に「ウクライナの核危機 林京子を読む」が掲載されており<文学は漢方薬のように効く>と。さも、ありなんである。
13日付夕刊の「大波小波」
(7月12日)
東京都八王子市でことし全国で最高の39.1度を記録。まさに命に危険な温度である。
大相撲名古屋場所4日目の12日、3日目まで1勝2敗と不振の東横綱照ノ富士は日本相撲協会に腰椎椎間板ヘルニアなどで「1カ月間の安静加療を要す」との診断書を提出して休場。一方、3日目まで休場していた新大関霧島は、この日から出場。琴ノ若に寄り切りで勝ち、大関としての初白星をあげた。人生いろいろ、悲喜こもごもの土俵が繰り広げられている。
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長が10日、リトアニアの首都ビリニュスで記者会見。トルコがスウェーデンのNATO加盟容認に転じ加盟に向け批准手続きを進めることで合意したと発表。スウェーデンは32番目の加盟国となり、北欧全土がNATO入りすることが事実上、決定した。
最高裁第3小法廷は11日、戸籍上は男性で女性として東京都で暮らす性同一性障害の50代の経済産業省職員が省内で女性用トイレの使用を不当に制限されたとして国に処遇改善を求めた上告審判決で11日、経産省の対応を是認した2015年の人事院判定を違法と判断。制限を認めないとの判断を示し、職員側の勝訴が確定した。
韓国軍合同参謀本部によると、12日午前10時ごろ、北朝鮮が首都平壌付近から日本海に向けて長距離弾道ミサイルとみられる一発を発射。防衛省によれば、朝鮮半島の東約550㌔の日本の排他的経済水域(EEZ)外に11時13分ごろ落下した。読み応えのあった夕刊記事といえば、中日の大波小波「森田必勝に恋人がいた」と【野見山暁治さんを悼む 窪島誠一郎 生き残った者の葛藤】か。
米大リーグのオールスター戦が11日、ワシントン州シアトルのTモバイル・パークで行われ、大谷翔平選手(エンゼルス)はア・リーグの二番指名打者で出場。第一打席は空振り三振、第二打席は四球で1打数無安打だった。六回の打席で代打を送られ退いた。
(7月11日)
静岡地検が10日、1966年に起きた旧清水市(現静岡市清水区)の一家4人強盗殺人事件で死刑確定後に再審開始が決まった袴田巌さん(87)について今後予定される再審公判で袴田さんが犯人であると改めて主張する(有罪立証)方針を静岡地裁に伝えた。これにより、公判の長期化は避けられず、早期の無罪判決を求める弁護団は強く反発。一体全体これまでの審理は何だったのか、という気持ちは私も同じだ。
この袴田事件。議論の蒸し返しと言わざるをえない法定審理だといってよい。検察側は引き続き死刑判決の最大の根拠となった「5点の衣類」の評価などを争っていきたいとしている。この審理。疑問と思わざるをえないのは、私だけだろうか。いやいや、袴田さんが犯人だったなんて。そんなはずは決してないはず、なのにである。
一方、弁護団は10日、事件から約1年2か月後にみそタンクから見つかった血痕がついた5点の衣類は捏造だーとして証拠から排除し無罪判決を求める冒頭陳述案を裁判所に提出。弁護団の小川英世事務局長は検察の有罪立証について「無実と分かりながらやっている」と強く批判した。こうしたなかで袴田さんの姉ひで子さん(90)の「これまで57年間闘ってきました。2、3年長くなることはどうってことない」と語る姿が、私には痛々しくも、とても頼もしく感じられたのである。
(7月10日)
新聞休刊日。朝、新聞が手元にない。やはり、とても寂しい。
シロはいつものように午前10時過ぎ、お外に。正午前には帰って、一階横、縁側のゴザの上でただ何を言うこともなく黙って私に家の中に入れてもらえるよう、両手をそろえて静かに待っていてくれる。その姿がなんとも健気で美しく感じられもする。
朝。なぜか。シロちゃんといつものように、【エーデルワイス】と【みかんの花咲く丘】をユーチューブで聴いたあと、なぜかボブディランの【風に吹かれて】を聴きたくなり、耳を傾けた。
午後。買い物から帰宅すると、洗濯物が雨にやられていた。せっかく息子がやってくれていたものだから、と絞り直して天気が回復したベランダに再び干すのに手間取った。やれやれ、である。でも、こういう日もあるか。仕方ないナ、と私。その様子を心配そうに見守るシロちゃん。か。
(7月9日)
日曜日。
米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が7日のドジャース戦に「1番・指名打者」で出場。3打数1安打で今季100安打に到達。5日に29歳の誕生日を迎えて以降、4試合ぶりの快音が3年連続の100安打となった。【山上被告 銃改良に執着 安倍元首相銃撃1年 試射重ね動画に】とは、9日付の毎日新聞朝刊1面の見出しである。
2023年7月8日
七夕さまを過ぎ、きょうは8日。土曜日だ。
ロシアのウクライナ侵攻500日。米による殺傷力の高いクラスター弾のウクライナへの供与、安倍氏(安倍晋三元首相)銃撃死1年。タリバン女子の留学禁止。東電福島第1原発の処理水放出設備の合格。コロナ46都道府県で拡大。マイナ問題で政府の個人情報保護委員会がデジ庁に立ち入り検査へ、あすから大相撲名古屋場所の開幕、島根県東部に線状降水帯が発生 出雲市や松江市など各地で冠水、くらしの作文「野いちご」(樋口ミチヱ 愛知県江南市=無職・83歳)、【小笠原102球完封 七夕の夜5年ぶり喜ぶ 打線組み替え6番細川3安打(中日新聞・球心)】と中日新聞で報じられた久しぶりのドラゴンズの快勝(ドラゴンズはきょうも5-1で広島に勝った)、NIE実践校に530校……など。
いろいろある。その中をニンゲンたちは皆それぞれの思いを胸に、きょうも生きていくのである。
シロはけさも私と一緒におかあさんが晩年の病床で「聞きたいので毎日聞かせてよ」と言っていた♪エーデルワイス、そしてリサイクルショップ【ミヌエット】のテーマ曲♪みかんの花咲く丘-をユーチューブで聴いたあと、日課のように風の中をいずこかに出ていった。シロちゃん、オーロラレインボーは彼女なりの予定というか。確認しておきたいことがあるからに違いない。それか。やはり天空に住むおかあさんに会いに行ったかもしれない。「くれぐれも気をつけてね」と送り出す私(シロはちゃんと正午過ぎには帰ってきた)。
(7月7日)
七夕さま。たつ江(伊神舞子)の浴衣姿が鮮やかに浮かび上がる。彼女は何を着ても愛くるしくて、ボクにはもったいないほどのかわいい女性であった。おふくろと同じでやさしくもあった。ふたりが共にいると、それこそ太陽がそばにいるような明るさを感じた。
そのふたりも亡くなってきょうは、夏の暑さが始まるころ。小暑(しょうしょ)である。とはいっても、猛暑は既に始まっている。
午後。小牧時代からの友人でドラキチでもある小畠辰彦さんが【希望舞台2022年11月28日(月)武蔵野芸能劇場 居酒屋夢子1969 作ニシモトマキ 演出由井數】のCDを手に現れたので、近くの喫茶「シャトーマスミ」へ。食事を共にし、脱原発社会をめざす文学者の会会員でもある詩人森川雅美さんの最新意欲作と言っていい詩集「疫病譚」を「読んでよね」と手渡す。「率直な感想も教えて。聞きたいので」と言って別れる。
きょうは本来なら一宮での社交ダンスのレッスンの日である。
というわけで、この後は、マイカーで木曽川河畔のフラワーパークへとひとり出向き、1時間ほど社交ダンスのレッスンに励んで帰る。途中、西友で買い物をして帰宅すると、シロが心配そうな顔をして出迎えてくれ、いつも変わらない彼女の心遣いには、ありがたい気がしたのである。
それに。きょうは、とても暑い日ではあったが、幸いフラワーパークは日陰もあって空気も自然も良く、ひとりレッスンには最高の環境だけに、なんだか癖になりそうな、そんな気さえした。またしても「たつ江、舞を何度も連れてきてやればよかった。一生の不覚とは、このことを言うのだな」と反省の念にかられた私だが、時既に遅し―とは、このことだろう。私は、いつだって自分勝手な男だったのである。
私がひとりレッスンに挑んだ江南市のフラワーパーク。
流れる水もどこまでも清らかだった
「名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)」がサイバー攻撃を受けた問題で名古屋港運協会は6日、システムが復旧したと発表。管理する全てのターミナルでコンテナの搬出入を再開。やれやれ、である。
世界のノーベル賞受賞者たちがロシアによるウクライナ侵攻を非難した公開書簡で名を連らねたひとり、白川英樹筑波大名誉教授(86)=2000年ノーベル化学賞=がロシアの侵攻につい6月下旬「台湾有事となれば日本も巻き込まれかねず、日本政府も国民も人ごとではない」としたうえで、国が進める防衛装備品の輸出制限の緩和に対して「なし崩しのように昔に戻っており、危機感を覚える」と懸念を語ったという。このままだと、知らぬ間に軍国時代にUターンしかねない、と痛烈に指摘したといってよい。ゆゆしき問題である。
侵攻「日本 人ごとではない」と警告した白川英樹筑波大名誉教授の記事(7日付中日新聞1面)
(7月6日)
14府県で災害関連死を含め305人が亡くなった西日本豪雨から5年目の日である。広島、岡山両県の被災地で追悼式が営まれた。
名古屋港に5つあるコンテナターミナルを一元管理する「名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)」での障害発生でコンテナの搬出入が出来なくなっている事件。名古屋港湾協会は5日、システムがサイバー攻撃を受け、身代金要求型コンピューターウイルス「ランサムウエア」に感染したことが原因だと明らかにし、復旧に乗り出すとともに愛知県警も捜査を始めた。名古屋港では昨年9月にも名古屋港管理組合のサイトで障害が発生。このときは大量のデータを送りつけて障害を発生させる「DDoS」攻撃が原因で、ロシアのハッカー集団「キルネット」が犯行声明を出していた。
【原発処理水 放出「強行」は禍根残す】とは、中日新聞の本日付の社説である。
IAEA(国際原子力機関)は、人や環境への影響は「無視できるほどごくわずか」としたものの「海洋放出の方針を推奨するものでも、支持するものでもない」との留保も付けた。/トリチウムは自然界にも存在し、海洋放出は国際的に認められているものの、事故原発で発生した処理水の影響は定かでなく、除去装置のトラブルも考慮に入れる必要がある。/IAEAも「放出開始後も監視を続ける」としており、三十年に及ぶ長期放出計画の安全性が保障されたわけではない。/風評被害を恐れる漁業者と政府の間には「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」との約束がある。対岸の中国や韓国などからの不安の声も高まっている。このまま放出に踏み切れば「強行」のそしりを免れ得まい。/廃炉を円滑に進めるためには〝処理水の処理〟が不可欠だとしても、漁業者、消費者、そして国際社会の理解は足りていない。IAEAの見解を盾に、拙速に進めるべきでない。不信と不安も「除去」してからだ。
--といった内容だったが、その通りだと思う。
ウクライナ戦争が半ば泥沼化状態になっているなか、けさの新聞を見る限り【イスラエル軍「作戦完了 パレスチナ側12人死亡】といった中日新聞の国際・総合面の記事も気になる。【ジェニン=共同】発の原稿で「イスラエル軍は五日、占領地ヨルダン川西岸のジェニンで行ったパレスチナ武装勢力への大規模軍事作戦が完了し、全部隊を撤収させたと明らかにした。地元メディアが伝えた。千人規模の地上部隊を投入し、空爆まで行った異例の作戦。パレスチナ側十二人、イスラエル兵士一人が死亡し、多数が負傷した。イスラエル軍は、武装勢力の武器弾薬を多数押収したとして、戦果を強調した。……」といった内容である。
困ったものである。
きょうは大口のユニー・ドンキ店で食事したあと、帰りに久しぶりに市内のカラオケ店へ。牧さんからウナギのお中元を頂いたので、そのお返しをしなければ-と彼が作曲した<恋の犬山(都はるみさん)>を歌ってきた。せっかくなので<時には母のない子のように><能登の海鳥><夜霧よ 今夜はありがとう><千曲川><北の旅人>も歌ってみる。うたいながら、声が少し衰えていることに気付く。これからは一曲だけを、しっかり歌って帰ることにしよう。端唄に小唄、横笛にハモニカなども披露したいところだが、これらは我が家と愛車のなかのカセットなどでレッスンしよう-と自らに言い聞かせる。
息子の調理で美味しく頂いた牧さんから届いたうなぎ(土曜日8日の夜)
そして。話しは変わるが。また余裕が出来たら、たつ江が大切にしておいてくれた一宮時代に少しだけ学んだ三味線でも習おう。それにしても私たちが志摩にいたころ、まだ若かった彼女がミニスカート姿でいつも両腕に抱えて<禁じられた遊び>などを弾いていたあの、長年愛用していたギターは一体全体どこに消えてしまったのか。彼女が数年前に「貸して」と言われたお客さんに気前よく渡したまではいいが。「なかなか返してくれない。でも、そのうち返してくれるだろう」と信じてやまなかった大切なギターである。その彼女にとっては宝物とも言って良いギターがいまだに戻ってこないのである。
(7月5日)
一日、かぜの強い日となった。午後には雨が天から落ち始めた。というわけで、愛猫シロ、すなわちオーロラレインボーを散歩に出すことは止める。彼女も、風が強いから「きょうは外に出してはもらえない」ことを十分に理解している。わかっている。
きのう4日は打って変わって各地で気温が上昇。岐阜県揖斐川町でこの日全国最高の36・5度を記録。愛知県豊田市で36・0度、岐阜県多治見市で35・9度、長野県飯田市南信濃で35・0度を観測。岐阜県では熱中症の疑いで8人が救急搬送され、白川町の建築現場では59歳の男性が突然倒れて心肺停止に。郡上市でも85歳の女性が畑で倒れ意識がなくなっているところを通行人が見つけ119番。愛知県でも名古屋市の7人など県内で分かっているだけでも24人が熱中症の疑いで救急搬送されたという。いやはや、暑さは魔物同然だ。
けさの新聞。やはり東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出を巡るもので、計画の安全性を検証してきた国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が4日、首相官邸を訪れ「放出計画は国際的な安全基準に合致する」との報告書を公表。計画どおりの段階的な放出であれば、人や環境への放射線の影響は「無視できるほどごくわずかだ」と評価している、といった各紙の報道である。
でも本当にそうだろうか。(流してみて、しばらく様子を見ないことには真実は、わからないのではないか。地元漁協などは風評被害もあわせてその点が心配なので流出に反対しているのだと思う)。私は、報告書をその通り信じてよいものかどうか、となると専門家でも学者でもないため分からない。いや私に限らず、全ての人々にはこの点は、しばらく放出してみないことには分からないのではないか。残念ながら、それが真実ではないのか。その意味からも、私たち人間、いや国民は慎重にならざるをえないのである。神のみぞ知る、とはこのことか。
かといって1000以上にも及ぶ貯水タンクをこのままにしておくわけにもいかない、ことも事実である。限りなく難しい問題である。
こんなわけで、新聞の見出しは【福島第一処理水 海洋放出安全基準に合致 IAEA 首相に報告書 環境への影響「ごくわずか」】(中日)【処理水放出「国際基準合致」 IAEA 漁業者や中韓懸念】というものだった。徳川家康でもないが。さてさて。どうする。放出。これは非常に難しい問題である。
名古屋港に五つあるコンテナターミナル。これらを一元管理する「名古屋港統一ターミナルシステム(NUTS)で障害が発生。コンテナの搬出入が出来なくなっている問題でシステムの管理運営をする名古屋港運協会の菊川幸信専務理事は「ご迷惑をおかけし申し訳ない。全力で復旧に取り組んでいます」との弁。東京五輪・パラリンピックの大会運営事業を巡る談合事件で独禁法違反(不当な取引制限)の罪に問われた大会組織委員会大会運営局の元次長森泰夫被告(56)は5日、東京地裁の初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。
(7月4日)
本日付の中日新聞の夕刊1面の見出しは、【侵攻憂え羽ばたく祈り 「禎子の折り鶴」複製バチカンへ 遺族、核の威嚇を懸念】【生成AⅠ「小学生慎重に」 文科省指針公表 まず限定活用 中高モデル校指定へ】【大谷月間&週間MVP ともに日本選手最多回数 「ベストに近い」6月成績に満足】【高齢者へのマイナカード 暗証番号なしで交付可 総務相方針】といったものである。
なかでも米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平(28)が3日、ア・リーグ野手部門の6月の月間最優秀選手(MVP)と、前週に好成績を残した選手が表彰される週間MVPを同時受賞したというニュースには驚かされた。そして月間は、といえば。2年ぶり3度目でダルビッシュ有(パドレス)や野茂英雄、伊良部英輝を抜き、週間は今季2度目で通算6度目となってイチローを超え、ともに日本選手で単独最多の選出回数になったというのだ。たいしたものである。
それと夕刊連載小説がきょうから門井慶喜さんの【札幌誕生】に変わった。第1回を読む限り、わかりやすくてなかなか期待がもてる気がする。これまでの夕刊があまりにひどすぎ意味不明だっただけに、奮起を望みたい。【なぜか目立たない人、というのがいる。】という書き出しからして期待してよい気がする。これまでの【生殖記(朝井リョウ)252】は、最後まで意味不明の展開でこれはあくまでわたくしの私見ではあるが。読者に対してもあまりにひど過ぎた。わかろうわかろうとして読んではきたが、最後まで意味不明が過ぎた(もちろん、作者は自分では段階を踏んで書いてはきただろうが。出直しをうながしたい。文というものは、全ての人に分かりやすく書かなければ。いっそうの奮起を期待したい。日本経済新聞の夕刊の方は、まずまずか。期待している)。
これをいい機会に他紙の小説(毎日新聞の朝刊小説「青嵐の旅人」「兎は薄氷に駆ける」。朝日の「人よ、花よ、」など)をしっかり読まれることを望みたい。特に毎日の新聞小説は読者をひきつける展開でわかりやすく、読んでいても痛快である。やはり大衆に読んでもらう以上、まずわかりやすく。読者が読むのを楽しみにする小説でなければ掲載する意味はないのである。新聞小説にひとりよがりは許されない。私にはそう思われるのである。
日銀が3日に発表した6月の短観(企業短期経済観測調査)。それによると、大企業製造業の最近の景況感を示す業況判断指数(DI)が3月の前回調査から4㌽上昇のプラス五となり、2021年9月いらい、1年9カ月(七・四半期)ぶりに改善。半導体不足の緩和で自動車の生産が回復した。国税庁が3日、相続税や贈与税の算定基準となる2023年分の路線価(1月1日時点)を発表。全国約31万6000地点の標準宅地の平均変動率は前年比1・5%プラスとなり、2年連続の上昇。これは、出入国制限の緩和など新型コロナウイルス禍で停滞していた商業活動が活発化。インバウンド(訪日客)需要の影響が大きい商業地の回復が鮮明になったからだという。
気象庁によれば、3日は各地で気温が上昇。岐阜県郡上市八幡ではこの日の全国最高となる35・4度、揖斐川町でも35度を観測する猛暑日に。ほかに愛知県豊田市と岐阜市で34・7度、名古屋市と三重県桑名市で34・2度、長野県飯田市で33・8度になったという。というわけで、岐阜県内や岐阜県を中心にことし一番の暑さになった。
(7月3日)
月曜日。ソフトクリームの日だそうである。
28人の命を奪った静岡県熱海市伊豆山であった大規模土石流から2年となったこの日、犠牲者の追悼式が被災地近く伊豆山小学校で開かれ、遺族が祈りを捧げた。九州では早朝に熊本県で線状降水帯が発生するなど大雨に。熊本市では36万人に避難指示が出され、熊本県山都町では国道の橋が崩落するなどの被害が出たという。
先日、クラス会「二石会」でお会いした恩師、原定夫先生から心のこもった封書を頂いた。
午後。古くからの日本ペンクラブ仲間で信頼のおける石井紀男さん、幻冬舎の企画編集の担当スタッフ(中島さん)の順に電話を入れる。いつまでも立ち止まっていたのではいけない。亡き妻のためにも一刻も早く行動を起こす必要があるからである。
けさの新聞で知ったが、知多半島では南知多町の観光農園「花ひろば」でヒマワリが畑一面に咲いている。ほかに、私にとっての話題といえば、だ。これも朝刊で知ったが、音楽の聖地として愛されてきた、あの中野サンプラザ(東京都中野区)が2日、半世紀の歴史に幕を閉じ閉館したという。中野サンプラザといえば、だ。なぜか、故井上靖さんからの信頼と寵愛を得ていたあの不世出の詩人最匠展子さん(故人)を思い出す。私が彼女の文学作法がことのほか好きで、東京に行くつど、中野の彼女のご自宅を訪ねていたからかも知れない。
デジタル社会というのに、だ。マイナカードのトラブルがその後も相次いでいる。新聞の見出しだけでも【自主返納5月以降300件 政令市など調査「制度に不信感」】【止まらないマイナトラブル 母子手帳と一体化不安 政府方針漏えい心配 一覧性損なわれる 紙も残して 中部の母親ら】(3日付中日)【マイナカード名称変更言及 河野氏「世の中混乱」】(3日付毎日)といった具合だ。
私が月に一回、月イチで執筆している文士刮目の26回目【ペンは剣より強し、とは言うけれど】の公開が<脱原発社会を目ざす文学者の会>のホームページで始まっている。他の作品と併せ読んで頂けたら、うれしい限りである。アドレスは以下のとおりである。
https://dgp-bungaku.com
(7月2日)
半夏生。
「半夏生」とは。きょうから七夕に至る5日間を指すが、生きていたころのたつ江(伊神舞子)がいつも自ら営むリサイクルショップ「ミヌエット」店内で自分なりの工夫を重ねた七夕飾りに一生懸命だった日々だな-とあらためて彼女の顔を思い出す。
それはそうと、きのうとは打って変わり夏の日差しが注ぎ込む日となった。デ、シロちゃんに誘われるまま裏庭へ。てまり、ここ、神猫シロの先代3匹の猫塚に供えられている花とお水を替え、ホッとしたところでお隣の奥さまが区費1700円の集金においでになった。そういえば、舞も生前は町内会(花霞)役員として区費集めやら市公報の配布などで、よく頑張ったものだ。区費の徴収といっても留守のお宅には何度も出向かねばならない。おつりを出すのも大変だな、と思いつつ奥さまのお姿を目の前に1700円をきっちり出す。今から思えば、舞もほんとに良くやってきたナ、と当時が偲ばれるのである。
新聞は。9日から愛知県体育館で始まる大相撲名古屋場所を前に中日新聞スポーツ面で連載中の【闘うおかみさん 何もせぬのも福の神 ➅勝負師の妻となって】が、なかなか読みごたえがあって良い。今回は1999年6月に当時関脇魁皇の妻として新たな人生をスタートさせた〝古賀(旧姓西脇)充子さん〟の人生回顧であった。
米大リーグは6月30日、各地で行われ、エンゼルスの大谷翔平選手はアナハイムでのダイヤモンドバックス戦に「2番・指名打者」で出場。2試合連続の30号ソロホームランで日本人選手としては初の3年連続30本塁打を記録。
(2023年7月1日)
土曜日。7月の到来である。【第9波入り懸念強まる コロナ5類移行後、6週連続増】(1日付中日)といった新聞の見出しが気になる。ほかに、4歳児童の母親による暴行死、自称会社員による元交際相手の刺殺など新聞で見る限り、血なまぐさい事件が絶えず、人びとの心は汚れきっており、まさに、もしかしてこの世は地獄ではないのだろうかと、いやな気持ちになる。私たちは、そうした中で生きているのである。
一方で毎朝開く新聞の読者からの投稿【くらしの作文】(中日)や【女の気持ち】【男の気持ち】(毎日)などを読むと、深い家族愛や友情といったものがピンピンと伝わってくる。私は毎朝、読者からの投稿欄を読んで人間の愛の深さをあらためて痛感、ホッとしたりもするのである。この世は、やはり天国なのだ、と。そんなことを確信したりするのである。
きのう、それまでのスーパー三心跡地に開店した大阪屋ショップ江南店。車で通りかかったが、周辺にはいくつもの臨時駐車場が設けられ、大変なこみよう。物珍しさを自分の目で、という市民気質が沸騰してか。人、車、車、ひとであふれかえり、チョットした〝大阪屋ショップ〟フィーバーに町は揺れていた。この辺りは、その昔、昭和病院で患者が往き来していたのに。時が変われば、何もかもが変わってしまうのか。大阪屋と聞けば、たつ江も生きていれば「ナンだナンだ」と足を運んだはずなのに。その彼女は、今や天の女なのである。
時の移ろいとは、薄情極まるものである。大津時代には、よく大津の大阪屋ショップにふたりで出かけたものである。
そんななか、わが家裏庭ではことしもアサガオが咲き始めた。
ことしも咲き始めたアサガオ
一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2023年6月~)
2023年6月30日
「六月三十日は年のへそ」と言われる。文字通り1年の折り返し点。各地の神社では「夏越の祓」の神事が行われる。「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶというなり」。呪文を唱えながら「茅の輪」をくぐれば、無病息災につながるという。(毎日新聞・30日付余録から)
――というわけで、この日がくるとなぜか、わが愛しの母を思い出す。幼きころ。母は決まって私たち兄妹を、わがふるさとである和田(江南市)の神社に連れていき、輪くぐりを一緒にさせられた。その思い出が消えないためである。
※ ※
☆ ☆
きょうは金曜日。いつもなら社交ダンスのレッスンの日のため、思い切って以前おまえとも一緒に足を運んだことがある木曽川河畔のフラワーパークへ、とでかけた。まさにその名のとおり、あちこちでらんまんの花が咲き誇る園内を見たあと、適当な散歩道を見つけ、そこで色とりどりの花々を私の観客にワルツとタンゴの一人芝居ならぬ、ひとりレッスンとあいなったのである。
らんまんの花々が美しい江南市のフラワーパーク
静かな散歩道は社交ダンスのレッスンには何よりである
そういえば、おまえは現在、NHK総合の朝ドラでやっている植物学者牧野富太郎さんの生涯を描いた「らんまん」も知らないのだ。おまえが生きていたなら、きっと喜んで朝の食卓を囲んで一緒に見たに違いないだろうに。なんだか、とても寂しく、残念な気がする。野に咲く花々をことのほか愛していたおまえ(たつ江。伊神舞子)が生きていたなら、きっと喜んで私とそろって毎朝見たに違いないのに-と思うと、返す返すも残念でしかたがない。
というわけで、私は植物学者牧野さんの偉業は、おまえの分までしっかりと代わりに見ておこう、と。そう思って見ているのである。
豪雨のあとの暑さからなのか。愛猫シロちゃんが、午前中、食べたばかりの朝食を居間の3カ所に吐いていたので、心配になり全て清掃。幸い、たいしたことはなさそうなのでいつもどおり留守をたのんで自宅近くのナカハラ歯科クリニックへ。月に一度のメインティナンス、クリーニングの日できょうも私を担当してくださっている後藤歯科衛生士に丁寧にしていただいた。帰ると突如、雨が降り出したため、あわててベランダに干して置いた洗濯物を中へ入れるなどバタバタした。
(6月29日)
木曜日。
本日付の中日新聞によれば、ベラルーシのルカシェンコ大統領が27日、ロシアで武装反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの戦闘員の1部をベラルーシ国内で受け入れる用意がある、と表明。創設者プリゴジン氏が同日、空路、ベラルーシに到着したと明らかにし、安全を約束した-とも述べた。国営ベルタ通信が伝え、ベラルーシの近隣国では安全保障上の脅威になるとの懸念が高まったーと報じた。また米誌ニューヨーク・タイムズは27日、米政府当局者の話としてウクライナ侵攻でロシア軍副司令官を務めるスロビキン航空宇宙軍総司令官が武装反乱の動きを事前に把握していた、とも報じた-という。
またルカシェンコ大統領は27日の演説でベラルーシに配属される予定のロシアの戦術核兵器の大半が既にベラルーシ領内に搬入されたことを明らかにした。ロシアに利用されているとの見方を否定。「われわれの武器であり、われわれが使う」と述べ、国防省などに核使用の手順を定めるよう指示した、とも述べた。これに対してロシアへのベラルーシへの戦術核配備は譲渡ではなく、ロシア側が運用する-としている。
宇都宮地裁が2017年、登山講習中の高校山岳部員らが死亡した雪崩事故で犠牲者5人の遺族が県などに損害賠償を求めた訴訟判決で、県と県高等学校体育連盟に約2億9千万円の支払いを命じた。責任者だった教諭ら3人に対する請求は棄却した。
(6月28日)
午後三時前。おまえたち人間は、俺たち自然には勝てないぞ、と言わんばかりに空が急にいろめきゴロゴロゴロのゴロと騒ぎだし、豪雨がけたたましく降り始めた。私はベランダに干してある洗濯物と、ゴロゴロゴロが大嫌いな留守を預かるシロちゃんのことを思い出し、一目散でアピタ駐車場からマイカーを走らせ、わが家に帰った。
幸いたまたま「きょうは家でテレワーク」だった息子が、いち早く洗濯物すべてを入れてくれており、やれやれ。暗黒と恐怖のいっときは無事、過ぎ去ったのである。
雷雨に追い立てながら逃げ惑う人間。やはりニンゲンは自然には勝てないのだ。妙な納得のようなものが体内を走り去っていった。逃げようとしたところで、逃げることが出来ないときは、逃げれっこないのである。
警視庁捜査1課がきのう27日に自殺ほう助容疑で歌舞伎俳優の市川猿之助(本名・喜熨斗=きのし=孝彦)容疑者、47歳を逮捕。けさの新聞報道によれば、一家心中を図った疑いがあり、警視庁は逃亡や証拠隠滅を考慮して逮捕に踏み切ったという。警視庁では、こんご父親段四郎さん(76)の死亡に関与した疑いで調べを進める。
ほかにも、奈良市の日本最大の円墳・富雄丸山古墳(古墳時代前期、4世紀後半)で見つかった国内最大の鉄剣「蛇行剣」(長さ2・3㍍、幅6㌢)が27日に奈良県立橿原考古学研究所で初めて報道陣に公開された話をはじめ、【プリゴジン氏ベラルーシ到着 ワグネル戦闘員募集再開】【日韓通貨交換協定再開へ 輸出優遇 来月21日再指定】(中日朝刊見出し)といった話など、ニュースに事欠かない。
新聞といえば、ほかにけさの尾張版の【小牧・長久手の戦い 家康が登った富士塚 自治体同盟加入の江南市がPR】も関心のあるところか。
夜。愛猫シロちゃんを傍らに食事をしながら見たNHKのプロフェショナル【1億匹のハチと家族と 春を追って南から北へ 旅する養蜂家の半世紀 花を映す、金色の一滴 61度目の春】には感動した。ハチとともに生きる人生。脱帽以外なにもない。
(6月27日)
火曜日。
プーチン政権は市民を巻き込む流血回避を最優先させ、民間軍事会社ワグネル創設者のプリゴジン氏は劣勢を悟ったー。ロシアで起きたワグネルの武装反乱は、わずか一日で収束した。厳罰に処すと強調したプーチン大統領は方針を翻し、プリゴジン氏の国外追放で妥協した。独立系メディアなどの報道で、平和的解決を図った舞台裏が明らかになってきた。--とは、本日付の中日新聞【核心】のリード(前文)部分である。核心の見出しは「厳罰一転追放で妥協 ワグネル反乱収束 プーチン政権民心離反恐れる」というもので、まさにその通りだと思う。
そして事実、【「流血避けるため撤収」ワグネル創設者(プリゴジン氏)2日ぶり発信 所在は不明 捜査継続とロシア報道】(中日朝刊)【プリゴジン氏消息不明 ワグネル 露、一転「反乱捜査継続」】(毎日朝刊)とけさもロシアで武装反乱を起こしたプリゴジン氏のその後が大きく報道されている。
さらに夕刊となると、【改めて裏切り糾弾 プーチン氏 反乱収束後初の演説】【流血回避指示と主張 創業者2日ぶり発信】(27日付中日)【「反乱首謀者、国裏切った」 プーチン氏、プリゴジン氏を非難 流血回避は評価】【「政権転覆望まず」プリゴジン氏、反乱正当化】(27日付、夕刊)と続く。しばらくこんごの様子を見守るほかないか。
東電が26日、福島第一原発処理水の海洋放出に使う全長1030㍍の海底トンネルの工事が完了したことを明らかに。試運転をしたあと、原子力規制委員会の使用前検査を28日から受け、終了すれば放出設備の準備が整う、という。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏が「第9波が始まった可能性がある。日本は高齢化が進んでおり、高齢者をどう守るかが大切だ」と記者団に語った。法務省が、裁判官や検察官、弁護士になるための司法試験を2026年の実施から紙に解答する現行の形式をパソコンでの受験に切り替えることに。
(6月26日)
昼過ぎ、妹のアドバイスもあって滝高の恩師原定夫先生のご自宅へ。【泣かんとこ 伊神舞子俳句短歌遺稿集(人間社刊)】を中島滝学園校長の分も合わせ、2冊贈呈させて頂くと、とても喜んでくださった。そういえば、北上文学館や神奈川近代文学館には贈呈済みなのに地元図書館への贈呈をうっかり忘れていたことに気付き、きょうは午後1番で新装間もない江南市立図書館を訪れ、こちらも2冊寄贈させて頂いた。
原先生の方へは妹の「原先生にも読んで頂かきゃあ」との突然のアドバイスに従ってお宅を伺い、滝学園の中島校長の分も合わせ、寄贈させて頂いたが、原先生ご夫妻に喜んでいただけ「とても、よかったな」と思っている。さすが、和代の頭は回転がよい。名古屋大の理学部数学科を卒業した異才だけのことはある。
夕方。文芸中部、大阪文学学校、アジア文化社さんからポストに郵便物が入っていた。取り出すと、文芸中部123号はじめ、大阪文学学校からは全国同人雑誌協会総会大阪大会開催案内と同文校6~7月の公開講座日程、7月16~17日の夏季合宿in志摩などの案内入り公開講座など各種案内、そしてアジア文化社からは7月29日に迫った大阪で行われる第5回全国同人雑誌会議兼第2回全国同人雑誌協会総会の最終パンフレットが送られてきたのである。どれも、やる気と情熱が伝わってくる内容には、あらためて「文芸雑誌から新たな文芸潮流を」(五十嵐勉全国同人雑誌協会代表理事)の意気を感じたのである。
2023年6月25日
日曜日。何より嬉しいニュースは世界三大バレエコンクールの一つである第12回ジャクソン国際バレエコンクールの授賞式が23日夜(日本時間24日午前)、米南部シシッピー州のジャクソンで開かれ、シニア女性部門の徳彩也子さん(21)=神戸市=、シニア男性部門の佐々木嶺さん(24)=大阪府東大阪市=がいずれも金賞を受賞したことか。日本人ふたりが同時に金賞を受賞するのは初めて。新聞も【ジャクソン国際バレエ 日本人初2人同時金賞 佐々木さんは親子2代】(25日付、中日朝刊)と、その栄誉をたたえている。
そしてほかに感動したのは、同じ中日新聞生活面のくらしの作文【いつの間にか 樋口早苗(滋賀県彦根市=主婦・49歳)】といえようか。息子が4年間暮らした大阪の下宿先を引き払うにあたり、手続きのために電車で向かった母(樋口さん)の話だが、何でもない日常生活の断面とは言え、読むうち母の愛には涙が零れ落ちたのである。くらしの作文隣りの【家族のこと話そう 元五輪体操代表寺本明日香さん 競技生活支えてくれた母】もとてもよかった。
※ ※
これは私の持論ではあるが、手練手管をくだしたまだまだ青い、若い作家たちの文(全部とは言わない。そうではない優れた作家たちも大勢いる、と付け加えたい)より、このように思うがままストレートに書かれた市井の方々の文の方が、はるかに人々の胸に迫りくるものがあるのである。
事実をすなおにストレートに書く。私がいつも教本として手にする太宰治がそうである。嘘がなく、書いた文そのものが読む人の胸元をえぐってくる。第一、どの文にも愛がある。そうした文こそがスゴくて、うまいと言えるのではなかろうか。私自身も現在、まだまだ修行中の身ではあるが、書くに当たってはいつもそのように務めている。何よりも正直に心を込めて書く。この文も、である。
さてさて。話は飛んでしまったが、ロシアの民間軍事会社ワグネルが24日までに南部ロストフ州にある軍の南部軍管区司令部を制圧し、首都モスクワに向けて北上を始め、首都南方リベツク州まで迫ったとのニュースには驚いた。この行動は、明らかにワグネル創設者ブリゴジン氏のプーチン大統領への武装反乱と見えなくもないが、その後ブリゴジン氏はベラルーシ大統領による仲介を受け入れ、モスクワへの進軍を止めた、とのニュースも伝わってきた。無用な戦争により、またまた犠牲者が増えるのかと心配していたが、やれやれである。つまらぬいさかいごとは止めるべきだと思う。
ワグネルの武装反乱は各紙でも大きく報道された
夜。NHK総合でNHKスペシャル【戦いそして死んでいく沖縄戦・米兵の肉声が新発掘・30時間の録音戦場・生と死のリアル】を見る。1万2500人の米軍死者に、死者が20万人以上に及んだ沖縄県民と日本兵。もう二度と戦争などという過ちは起こすべきでない。
2023年6月24日
けさの中日新聞。7面の【風来語(かぜきたりてかたる) 万葉学者と地球 主筆小出宣昭】が、とてもいい。出だしは以下の通りである。
-万葉集の権威で「令和」の生みの親でもある中西進さんが、最近はやりの「持続可能性」なる言葉に痛烈なパンチをくらわしている(潮・五月号)。/地球は人間の生活に役立つ資源であり、どこまで、どのように利用・開発したらよいかを考える持続可能性。勝手に地球を壊すよりはいいが、今すでに痛ましい傷だらけの惑星になった地球に、持続可能性などと、いつまでも資源をむしばむことを当然だと思うことがおかしい。/「その欲望自体を恥じるべきなのに、人間は人類を自滅に追いやる欲望を捨てようとはしない」と断じ、いま必要なのは、欲望が生み出す膨大なムダを地球上からなくすことではないかと問い掛ける。電力のムダ、食料のムダ、衣類のムダ、身近なところから再考し、人間は人間らしく、他の生物とひとしい生態を取り戻そうという。/同感である。かつての日本はムダのなさでは優等生だった。……
全くもってその通りだ、と思う。やはり小出さんならでは、だなと思った。
(6月23日)
金曜日。沖縄慰霊の日だ。
きょうは本来なら社交ダンスのレッスンの日であるが、いまなお若き、永遠のダンス教師〝ワカさん〟が膝の手術をされた関係でしばらくは残念ながら、手取り足取り? の高度なレッスンはお休みだ。というわけで、私は久しぶりに愛知県江南市自慢でもあるスイトピアタワーが立つ木曽川河畔へ。ここで清流を眼下に適当な場所を探し、ただひとり全身を大気に浸し動きながら〝アン、ドゥーッ、トゥアッ〟とイメージトレーニングに励んできた。時折、頬に気持ちよく吹いてくるかぜたち。そして木曽の流れを目の前にしてのレッスンだけに、力が入った。たつ江、舞がここに一緒に居てくれたのなら。もっと楽しいはす゜なのに。
ただひとりイメージトレーニングに励んだ木曽川河畔。舞の好きな山野草が大空に向かってスックと立ち、私を応援してくれていた
イメージトレーニングをしてみて。ワルツ、タンゴとも、これまで我ながら素人の私としては常日ごろ、いかに高度かつ優雅で複雑なダンスに挑んできたか、を思い知った。これも、ワカさんの温かい指導があればこそ、に違いない。歩みはのろくとも、後退だけはすることがないよう頑張ろうと改めて心に誓ったのである。きょうは、イメージトレーニングに先がけ、スイトピアタワー1階レストラン「翠江亭」に入り、〝ころきし(冷たいきしめん)〟なるものを食べたが、それはそれはおいしかった。エントランスホールに早々と七夕飾りが飾られていたので、私も【せかいがへいわになりますように いがみまいこ.ごんた】と書いた短冊を飾らせて頂いた。
舞と一緒に短冊に世界平和の願いを込めさせていただいた
※ ※
☆ ☆
冒頭にも書いたが、きょうは沖縄慰霊の日である。この日がくると、わが妻たつ江、平和な世界の実現を、ただひたすらに願い続けた今は亡き伊神舞子の、あの笑顔を思い出す。千羽鶴を手にしてのヒロシマ行などあんなにも純粋に平和な社会実現にチャレンジし続けたおまえ、たつ江は一体今はどこにいるのか。どこへいっちまったのだ、と。沖縄慰霊の日だけに、木曽川河畔に居ても、そのことばかりを思う。
そして今。私のデスク横のソファでは愛猫シロが黙って静かに座り、全てを知り尽くした表情で、亡きおかあさん、舞と一緒にラジオから流れ出てくる沖縄全戦没者追悼式での私立つくば開成国際高校(那覇市)3年平安名秋(へいあんなあき)さんの平和の詩「今、平和は問いかける」に静かに耳を傾けている。そう。おかあさんが生前いつも言っていた。「あのねえ。シロ、シロちゃんはね。何でも知っているのだから。平和の尊さもよ」と。あの舞のノドで鈴を鳴らしたような声までが聴こえてくるのである。
おまえが生きていたころ。俺とおまえはまだまだ幼かったわが子を伴い、夏休みなどに沖縄糸満市の摩文仁の丘の【平和の礎(いしじ)】はじめ、玉砕のあったサイパン、広島同様、原爆を投下された長崎にも行った。〝ニッポン、ばんざい〟〝おかあさん さようなら〟と叫びながら断崖絶壁から大海原に飛び込んでいった多くの日本兵の痕跡が残るサイパンのバンザイ岬。あの時の胸をしめつけられるような気持ちは今なお忘れられない。最近では、おまえ自らが営むリサイクルショップ「ミヌエット」のお客さんたちにも協力をお願いして用意した千羽鶴を手に、ふたりで広島にも行ったりしたよな。
あ~、それなのに、だ。おまえがこの世を去ったあとになり、思ってもいなかったウクライナへのロシアの侵攻が始まり、人間たちは今もスーダンなど世界中で愚かなる戦争を続けている。そして。おまえは、そのウクライナとロシアの戦争を知らない。なんだか、悲しい話になってしまったが。この世から戦争がなくなることを、シロも含め、みんなで祈ろう。「シロ。シロちゃんはねえ。何でも知っているよ」のおまえ、舞の言葉どおり、彼女はホントに何でも知っている。そして。私はいま、こうしてシロを傍らに亡き妻たつ江、舞と共にあらためて戦争のない平和な世界を願うのである。おそらく世界中で大半の人々が同じように平和な社会実現を願い続けているに違いない。
毎日新聞の朝刊小説【青嵐の旅人(天童荒太)】と【兎は薄氷に駆ける(貴志祐介)】がとても読みごたえがある。何よりも取材がしっかりしており、物語の展開に客観性があり、わかりやすい。また、これら新聞小説とは別に、【生成AI使い試験 不適切 文科省原案小中高向け指針】(23日付毎日朝刊)【生成AI 試験使用ダメ 討論に参考利用は有効 文科省学校指針原案】(23日付中日朝刊)の見出しには私自身も納得した。
ほかにも【認知症不明者10年で倍増 22年まとめ最多更新1万8709人】【認知症新薬の承認 日本9月末見込み ユーザイ開発「レカネマブ」】【日本人男女2人入賞 米ジャクソン国際バレエ】【草むらに6歳児遺体 祖母監禁容疑、家族4人逮捕 神戸】(23日付中日朝刊)【「マイナ信頼一日も早く回復」 総務相 自治体支援へ会合朝刊】(23日付毎日)など。毎日毎日、この世はよいことや悪いことが次々と起きる。いやいや、悪いことばかりか。
(6月22日)
きのうとは打って変わり、朝から雨、雨、雨の1日(でも、午後には止んだ)。というわけで、さすがのシロも午前中は私の部屋で傍らのソファに座ったまま。何だかつまらなさそうにしてはいたが、午後には思うところがあってか、家屋内をノッシノッシと、ライオン歩きであるき回る。彼女は、何を思って歩いているのかと思うと、何やらなぞめいて面白い。いや、気になる。
シロはきょうも何かを考え生きている
元経済同友会代表幹事だったウシオ電機創業者の牛尾治朗(うしお・じろう)さんが13日午前2時55分、誤嚥性肺炎のため死去。92歳だった。兵庫県出身。葬儀、告別式は近親者のみですませ、後日お別れの会を行う予定だという。牛尾さんに限らず、この世は、みんな生まれて去ってゆく。寂しく残念ではあるが。仕方ないとはこのことか。
それはそうと、報道によれば、1912年に大西洋で沈没した英豪華客船タイタニック号の残骸を見る観光ツアー中、行方不明になった潜水艇の捜索で米沿岸警備隊の幹部が21日に記者会見。カナダの哨戒機が前日に続き21日も海中の音を感知。海中探査機を投入しているが音の正体は不明だ、としている。
潜水艇内の酸素が切れるとみられる22日朝(日本時間22日夕)が迫っており、現地では航空機と船舶による創作活動続いているという。沿岸警備隊幹部によれば、酸素切れ以外にも「考慮すべき多くの要素がある」としており、救出活動の中断を検討する段階ではない、と強調。ただ記者会見に同席した海洋学者は、感知された音に関して「人為的に聞こえても、他の生物が出した音の可能性がある」としているという。
ほかに22日付中日夕刊には【中国で飲食店爆発 31人死亡、7人けが】【パリで爆発 37人が負傷 ガス漏れか】の見出し。いろいろある。
(6月21日)
障害者手帳のひも付けミスやカード自体を別人に交付してしまう-など。マイナンバーを巡るトラブルが相次いでいる。こうしたなか、テニスの全仏オープン車いすの部男子シングルスで4大大会史上最年少優勝を果たした愛知県一宮市出身の小田凱人選手(17)=東海理化=が20日帰国、東京都内で記者会見に臨み「世界ランキング1位の小田です」と切り出したのは、まことにうれしく痛快であった。こんごの奮闘努力栄光に期待したい。
午後零時40分過ぎ。いつもなら正午過ぎに帰宅するはずのシロちゃんが、まだ帰ってこない。心配である。時間になればキチッと帰ってくるはずの彼女の身に何かあったのだろうか。大丈夫なら、よいのだが。一体全体、どこへ行ってしまったのか。ここは、しばらく待つしかあるまい。
1時間に及ぶ大捜索の結果、家の周囲にいた彼女、シロちゃんを無事、発見。私にとって、もはやシロがいない人生はありえないことを痛感。ハラハラドキドキのいっときは、こうして無事終わった。それにしても、シロのいない人生は「たつ江がいない」のと同じで、もはや考えられないことを痛いほど知ったのである。シロちゃん。帰ってきてくれてありがとう。
買い物から帰った時はシロ、家の中にいたけれど。外の工事の大驚音が気になるのか、それからしばらくすると彼女は、またしても室内から姿を消し、居なくなってしまった。部屋のあちこち、心当たりを探して歩くも午後4時現在、シロの居場所は不明のままである。シロが居なければ、もはや生きていても仕方あるまい。
彼女はその後、私が入浴を終えたところで、2階から階下にトントントンと足音を立てて何食わぬ顔で下りてきたのである。それにしても、一体全体どこに姿をくらましていたのか。それは不明である。
この先、シロを妖怪ふんがもちゃん、と呼ぶことにしよう。
(6月20日)
世界難民の日。
だからなのだろう。【難民のために、難民とともに WithYou 活動報告・ニュースレター在中】なるものが国連UNHCR協会から私あてに届いた。中身を開くと、▽特集ポーランド視察レポート ウクライナからの難民に聞く「戦争が始まったなんて、信じられませんでした」▽報告トルコ・シリア大地震 UNHCRの緊急対応――という内容だった。
国連UNHCR協会から私あてに届いた活動報告のニュースレター
火曜日。今日も暑い1日である。
午前中、眼医者さんへ。帰宅したところへ、これより先に散歩に出ていたシロも帰宅。それにしても暑い1日だ。朝。久しぶりに知人女性・よな船女さんからスマホにラインが届く。開くと。朝日新聞購読されているなら、お読み下さい、とあるではないか。一体全体何ごとか、と目を走らせると「文化欄で息子の担当記事の連載が始まりました。私の自慢話と取らないで、朝日新聞の宣伝も兼ねて。--」とあった。
そこで。古くからの朝日の購読者である舞のお兄さんに電話したら彼曰く「あぁ、いいですよ」と。というわけで、紙面をわが家のポストに入れて下さって、その記事をしばらくの間、読ませて頂くことにしたのである。それにしても、母のわが子を思う気持ち、母の愛には凄まじいものがあるな、とあらためて感動した次第。
そして。メールには、こうも書かれていたのである。
「伊神さん、本当に息子の取材記事から、橋爪功さんがその様に浮き彫りになって描かれていれば、橋爪さんも息子も嬉しいことと思います。 井上昭子」と。なんと素晴らしい母親。おかあさんなのであろう。
中国の習近平国家主席が19日、プリンケン米国務長官と北京で会談。米中の緊張が高まるなか、衝突回避に向けた対話ルートの構築について意見交換した。プリンケン氏は習氏との首脳会談に意欲的なバイデン大統領の意向も伝えたが、緊張緩和に向けた一歩になれば良いのだが。
2023年6月19日
きょうは、作家太宰治の命日。桜桃忌(おうとうき)。愛人の山崎富江と玉川上水に入水した彼の遺体が発見された日である。私は朝、かわいく美しかった妻たつ江(伊神舞子)の遺影に手を合わせ、山形県産の〝ちいさな恋人〟サクランボを食膳に供え、ともに何と言うでもなく、ただ黙って〝ちいさな恋人〟たちを、ひと粒ひと粒、味わうように食したのである。
ひと粒づつ口に含むうち昨日の酔いが瞬時にして覚めていく、そんなおいしさであった。彼女も、このさわやかなおいしさには満足しているに違いない。
舞とふたりで食したサクランボ。彼女は、私と同じでサクランボが大好きであった
※ ※
☆ ☆
18日正午ごろ、北海道の八雲町野田生の国道5号で乗客15人を乗せた札幌発函館行きの高速バスとトラックが正面衝突。この事故でバスに乗っていた乗客3人(男性1人、女性2人)と双方の運転手2人の計5人が死亡。残る乗客12人も病院に運ばれ、うち11人が軽いけがをしたという。
八雲といえば、尾張徳川家の藩士たちが北海道に出向いて開拓した町で知られる。名古屋の尾張徳川家の橋渡しで愛知県小牧市の児童との小学生交流が続いていた北の町である。この小学生交流は、確か私が小牧通信局在任時に始まったと記憶している。
私自身、かつて通信局在職中に【トコタン冬物語】の作曲者であるふるさと音楽家牧すすむさん(現在は、琴伝流大正琴弦洲会の会主。詩人でウエブ文学同人誌「熱砂」同人)と、北海道にまで渡り、牧さんの奏でるギターの調べに合わせて現地八雲小の児童たちと【トコタン冬物語】を一緒に歌ってきたことがある思い出の町でもある。その町で高速バスとトラックの衝突事故が起きた。胸が痛い。
インドネシアを訪問中の天皇陛下は18日、日本の支援で整備されたジャカルタ都市高速道(MRT)の車両基地を視察された。皇后さまは19日にある歓迎行事などに向けて体調を整えるため同行を見送られた。小説「御宿(おんやど)かわせみ」シリーズやテレビドラマ「肝っ玉かあさん」の脚本などで知られ、文化勲章受章作家でも知られる作家で脚本家の平岩弓枝さんが9日午前4時ころ、間質性肺炎のため都内の病院で死去。91歳だった。
米大リーグエンゼルスの大谷が敵地(カンザスシティー)でのロイヤルズ戦に「2番・指名打者」で出場。メジャー通算150本塁打となる23号ソロを放つなど4打数1安打2打点だった。トップに立つア・リーグの本塁打王争いで2位のジャッジ(ヤンキース)に4本差をつけ、今季56打点は両リーグで1位タイ。連続試合安打を14に伸ばした(チームは9-10でサヨナラ負け)。ヤンキースなどで活躍した松井秀喜さんは17日、メジャーで日本選手初の本塁打王に向けてトップに立つ大谷について「もはや、大谷選手が何をしても誰も驚かなくなった。それが彼の存在だ」と称賛。打撃だけでなく、投手との「二刀流」で活躍する大谷を「自分たちの時代にはありえない。想像できないくらいすごいことをしている」とも述べた。
(6月18日)
日曜日。
きょうは、東京での日本ペンクラブ本年度総会と懇親会の方の出席を止めて地元の江南市内の滝教育研究所と和食の店「むさし家」であった母校(滝高校)の【クラス会「二石会」と滝学園の思い出の集い】に出席。懐かしいクラスメート、そして恩師と再会し、旧交を温めた。ただ、すぐに調子に乗るオッチョコチョイの性格が災いして久しぶりに、少しのみ過ぎて疲れたことも事実である。
滝教育研究所では最初に滝学園の中島政彦学園長から2026年に創立100周年を迎える学園の現況と将来、ことし8月に完成予定であるICTホール付き「100周年記念館」の内容、さらには探求学習として【滝学】なるユニークな試みも定着させたいーなどといった講話があり、皆真剣な表情で聴き入った。引き続き、研究所の施設を見学がてら、近くの和食店「むさし家」へ。ここに場所を移し、恩師である原定夫先生(86)も囲んでの懇親の集いとなったのである(ただし高校時代の担任二村先生と石田先生は既に他界。「二石会」の名は、二村先生と石田先生の頭文字を取って、こうなったいきさつがある)。
「むさし家」では「二石会」の須賀藤隆会長のあいさつに続き、前任会長で「二石会」顧問の私が【かつて樹齢千五百年を超す根尾の淡墨桜の保存に情熱を注いだ作家の宇野千代さんから言われたことがあります。「いがみさん。あのね。人も自然も老いれば老いるほど美しくなってゆくのよ。まだお若いあなたには、まだわからないかもしれないけれど。きっとわかる日がきます」と。それで今になってやっと彼女のおっしゃられたあの時のことばが分かる気がするのです。皆さん! これからますます美しくなりましょう。そして滝学園、二石会は、永遠なりです。みなさんの健康としあわせを願ってカンパーイ】と乾杯の音頭を取り、懇親に入った。懇親の宴では、最初に恩師のひとり、原先生から在職当時の教壇秘話などを聞き、続いてかつてのクラスメート、すなわち、あのころ若かった<高校三年生>が次々と登壇、互いに思い出を語るなどして旧交を温めたのである。
懇親の合間には、そつのない田島正廣副会長の好リードで、私も含め、リレー方式の思い出話の披露が続いた。「二石会」会員が高校三年生の時は、地元一宮出身歌手の舟木一夫さんの<高校三年生>が大ヒット。当時、校内で行われていた「高校三年生」の映画ロケを黒帯の柔道着姿で見ていた話(私の場合)など、思い思いにあの日あの時の懐かしい風景が蘇り、思い出話しがポンポン飛び出し、座は大いになごみ、盛り上がった。
私は笑顔に弾けるクラスメートを目の前に、時がたつに従い、あのころ青春時代の顔と顔が大きく目の前に浮かび上がり、ドキリとしたりしたのであった。最後にみんなで高校三年生と校歌を歌い、楽しいひとときはあっという間に過ぎ去ったのである。
以下は二石会による滝学園思い出のつどいの写真特集
中島政彦校長(学園長)の話しにみんなで耳を傾けた
まるで授業を受けてるみたい
みんな若くなった。まだまだ魅力いっぱいである
久しぶりの教え子を前に、当時を回想する原先生
教え子に囲まれ満面笑みの〝原先生〟
中島先生の話にフムフムと聴き入る須賀「二石会」会長(右から2人目)ら
会場は、かつてのホームルームのような空気に包まれた(「むさし家」にて)
2023年6月17日
土曜日。右腕の投手としてプロ野球中日ドラゴンズの初優勝と日本一に貢献した【フォークボールの神さま】、すなわち杉下茂(すぎした・しげる)さんが12日、間質性肺炎で都内の病院で死去。東京都出身。97歳だった。杉下さんは太平洋戦争から復員後、明治大から1949年に中日ドラゴンズに入団。1年目に8勝、翌年には27勝するなどエースとして活躍。1954年には当時、日本では誰も投げていなかったフォークボールを武器に32勝12敗。球団初のセ・リーグ優勝の原動力に。西鉄(現西武)との日本シリーズでは3勝(1救援)してチームを日本一に導き、最高殊勲選手(現最優秀選手=MVP)にも選ばれた。1955年には川崎球場での国鉄(現ヤクルト)戦で、無安打無得点試合を達成。プロ通算215勝123敗。防御率2・23で沢村賞を3度獲得。1985年には野球殿堂入りしている。偉大な投手とは、まさに杉下さんのことを言うといってよいだろう。私自身、杉下さんとはかつて、ドラゴンズの沖縄春季キャンプで臨時コーチを務められていた際、当時、ドラゴンズ公式ファンクラブの会報編集担当としてお話ししたことが数回あるが、いつお話しをしても、どこまでも温かみのある、やさしさのにじみ出た人柄には私自身、多くを学ばせて頂いた。
往年の杉下投手の悲報を報じた中日スポーツなど
そして。今月16日には、もうひとりの勇者といっていいプロ野球広島のエースとして黄金期を築き、通算213勝を挙げた北別府学(きたべっぷ・まなぶ)さんも広島市内の病院で死去。65歳だった。鹿児島県出身。北別府さんは1979年にチーム最多の17勝を挙げ、球団初の日本一に貢献。82年には20勝で最多勝と沢村賞に輝き、この年の開幕戦からの11連勝は2020年に菅野智之(巨人)に破られるまでセ・リーグ記録。1986年にも最多勝と最優秀防御率で2度目の沢村賞と初のリーグ最優秀選手に選ばれた。2012年に野球殿堂入り。通算515試合登板で213勝141敗5セーブ。防御率は3・67だった。
(6月16日)
金曜日である。午後。週に一回の社交ダンスのレッスンでいつものように一宮スポーツ文化センターへ。現在、教えて頂いているタンゴとワルツのレッスンに仲間と共に励んだ。若原先生は、ひざの手術でこの先しばらくは休みとなる。それだけに誰もがその分、熱心に励んだ。
私が社交ダンスと出会ったのは、10年ほど前。地球一周のピースボートに乗船した時で彼女は、そのピースボート船内の先生同様、教え方がとても丁寧で上手なのでここまで続けてこられたのかもしれない。それと、今は亡き妻たつ江(伊神舞子)の「社交ダンスだけは、いつまでも続けてよね」の貴重な言葉があったからかもしれない。これからしばらく先生が退院されるまでは、あまり無理することなく木曽川河畔かどこか、気に入った場所に出向いてのイメージトレーニングなどで技能が落ちることのないように、と思っている。せっかく、ここまできただけに、この先も上達しなければ-とわたくしは思っている。
このところ執筆を続けてきた文士刮目の26回目を「脱原発社会をめざす文学者の会」の編集担当者あてに出稿。来月上旬には公開される。今回は、テーマを過去の事件に絞り込んだためもあってか。少し書くのに手間取り、ここ数日というものは連日、書き直し、書き直しの難行苦行の執筆が深夜未明にまで及んだ。
(6月15日)
きょうは、たつ江、すなわち伊神舞子の月命日だ。
三重県熊野市の中田重顕さんから『「泣かんとこ」ご恵送いただき有り難うございました。奥様、伊神舞子さまがどれだけ素晴らしい方か俳句短歌で十分認識されます。写真の風貌も知性がにじみでていて、美しい。そして、素晴らしい夫婦愛。羨ましくも思います。早世されたことは痛恨でしょうが、深い愛に結ばれているのにはかわりないでしょう。反戦平和への思いもつよく、立派な文学に昇華されている詩歌だと思います。有り難うございました。』といった温かさに満ちた返信メールが送られてきた。メールの内容は、さっそく舞の仏前に報告。中田さん、本当にありがとうございました。これからも、舞ともども、くれぐれもよろしくお願いいたします。
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発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)による水の汚染が全国で相次ぐ。人の血液からも検出され、住民の不安は切実だ。国や自治体は汚染源特定や拡散防止策を急がねばならない。/PFASは数千種類の化合物の総称で、調理用品や半導体製造などに幅広く利用されてきた。長期間分解されず「永遠の化学物質」とも呼ばれる。人体に蓄積した場合、がんや子どもの発育阻害などとの関連が指摘されている。/国際条約による規制が始まった二〇〇九年以降、日本でも製造廃止や在庫の監視が進むが、それ以前に土壌や地下水を通じて汚染が広がっていたと考えられる。………
上記のような文が本日付の中日新聞社説【PFAS汚染 住民の不安に応えよ】に書かれていた。この社説を読み、心した読者が多くいたに違いない。
そして。それから。けさの紙面はやはり、【陸自で発砲2人死亡 18歳自衛官候補生逮捕 訓練中叱られ教官狙う? 殺人未遂容疑 岐阜の射撃場1人負傷】(中日)といったものだった。ほかには、【トランプ氏出廷 無罪主張 機密持ち出しなど37件】【生成AⅠ明示義務づけ 欧州議会規制法案を採択】(毎日)といったものだった。
2023年6月14日
けさは、不燃物処理場の立ち番。わが妻たつ江(伊神舞子)が健在のころは、ずっと彼女に任せていた地域社会での責務で、彼女がこの世に存在しなくなってからは当然ながら私、わたくしが地域奉仕の一端として立っている。きょうは、たつ江が大変お世話になった80歳を超える荒木さん(詳しい年齢は、知らない)との名コンビだったが「いがみさん。あなたの奥さん。まいこさん。俳句、本当にようがんばりゃあたな。お店(リサイクルショップ「ミヌエット」=今は姿もない)にもよう行ったよ。それはそうと。あんた、いがみさん。ちょっと肥えたんじゃないの」と言われ、その声と入れ替わるように「荒木さん。言わんといて、ね。この人、なんでもだけれど。すぐに、もの凄く気にするひとなの。ナルシストも甚だしい人なのだから」と傍らで何度もダメ、ダメ、ダメだってば-と手を振るあのたつ江の甘ったるい声が聴こえてきたのである。
「あんた。そうだわな。奥さん、いりゃ~あたころ。もっと頬が細身でかっこくて精悍だったもの。やっぱあ、あのころは奥さんの看病で大変だったんだよね。いまは、よう肥えてりゃあ~すな」と荒木さんは、幻のたつ江の静止など意にも止めず、ずけずけと容赦がない。私の気持ちなどには関係なく「ところで。あんた。このごろ、よお肥えやあ~たよ。いいじゃないの瘠せとるよりは。奥さんも喜びゃ~すよ」と続けたのてある。そうは言っても、荒木さんご自身は美人でとってもいいお方である。
住民の住民の手による住民のための不燃物処理場。江南市は環境面での分別がなかなか徹底
してきた
立ち番の当番から帰ると、シロちゃんが、それこそ心配そうな顔をして玄関先まで飛び出てきてくれたのである。私は荒木さんに家に寄ってもらい、息子が父の日の贈り物として私にいち早く送ってきてくれたお菓子をおすそ分けして、別れたのである。そして。私は互いに「お疲れさん」と言いながら、舞のことが思い出され、らしくもなく、思わず、涙ぐんだ。舞が横にいたら、こういうに違いない。「あのねえ。何を、いつまでも泣いとるの。あなたは、ほんとに弱っちい人なのだから。あなたは昔から弱い人よね。そんなことで。よく新聞記者やってこれたわね」と。さらにこう付け加えるかもしれない。
「それでは生きていけないわよ。これから生きていけるの。しっかりしてよ」と。
岐阜市の陸上自衛隊・日野基本射撃場で本日午前9時15分ごろ、自動小銃が乱射され、男性自衛隊員3人のうち2人が死亡。殺人未遂の疑いで18歳の自衛隊員が逮捕された。日野基本射撃場は陸上自衛隊第10師団が管理しており、敷地面積は約66000平方㍍に及んでいる。
(6月13日)
1948年6月13日。きょうは私が愛する太宰治が遺書を残し、山崎富江と雨の玉川上水に入水自殺した、まさにその日である。遺体が発見された19日は桜桃忌であるが、私もつい先日、舞が好きだったサクランボを彼女の遺影の前に供え、一緒に食べた。生前の舞は、サクランボが本当に好きだった。それと、わたくしには、この日が訪れると決まって故人太田静子さん(歌人)のことがなぜか深く偲ばれて仕方がないのである。
舞は生前、太宰治と聞けば、静子さんのことに執着、歌人でもあった彼女のことをとても好きなやうであった。そんな舞とは、もっともっと話をしておけば良かったのに、と。今になって後悔している私である。後の祭りとは、このことかもしれない。これでは、世紀の遺書をおまえに残して死ぬわけにもいかない。いっそ、空にでも、遺書を残して死のうか。
毎日新聞朝刊の連載小説【青嵐の旅人】(天童荒太)と【兎は薄氷に駆ける】(貴志祐介)は、迫力ある展開でとてもよい。日々の取材、そして構想と展開、歴史観、着眼点がしっかりしており、文の基本が出来ているためで、私自身とても参考になっている。第一、読者にわかりやすく、かつ読みやすい。
それから。新聞と言えば、だ。6月11日付中日新聞のサンデー版大図解NO1615に目を通す。今回は【生誕100年 司馬遼太郎さんの世界】でなかなか読みごたえのある紙面だった。次回は【子どもの貧困はいま】で、世界的課題だけに、どんな紙面展開となるのか。今から楽しみだ。サンデー版は、かつて現役時代に特報面とともに両方のデスク長もしていただけに、どうしても気になる紙面ではある。
それはそうと私が在任時に社に提唱して始まり多くの読書から親しまれてきた【300文字小説】が、最近紙面から消えてしまったことは、少し残念だ。300字に思いを託して書く。とても良いことだ、と私は今でもそう思っている。読者の間でも評判の<良い紙面>だった。のに、である。時の流れとともに全ては無情にも消えゆく運命にあるのか。
それはそうと、先日、「悪名の女」(『文宴』137号)で第36回中部ペンクラブの文学賞に輝いた中田重顕さん(三重県熊野市)。彼にお願いしておいた【私の好きな女性】(バク書房)が最新の著書【熊野びとの戦記】(バク書房)と一緒に昨日送られてきたので、さっそく本日、宅急便のヤマト運輸に行き、お礼に【泣かんとこ 伊神舞子俳句短歌遺稿集】2冊を送らせて頂いた。中田さんから届いた本2冊には手紙が添えられ、「お代はいりません。」とあったが、わたくしから所望した本でもあり「そんなわけにはいかない」からである。重顕さん、心からありがとうございました――と本紙「一匹文士」紙上であらためて礼を言いたい。
中田さんから届いた「私の好きな女性」と「熊野びとの戦記」
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元自民党参議院議員会長だった青木幹雄(あおき・みきお)さんが11日、老衰のため死去。89歳だった。お別れの会は後日、島根県内で予定しているという。青木さんは、小渕第2次改造内閣や第一次森内閣の官房長官を務めたことがある。
(6月12日)
わけあって、太宰治の文庫本【斜陽】(角川文庫)をデスク傍らに置いて書いている。
「斜陽」はことあるごとに開いている
きょうは、先日あった中部ペンクラブの総会の席で久しぶりにお会いした三重県熊野市在住の作家中田重顕さんにお願いしておいた「私の好きな女性」が届き、執筆の合間にさっそく読み始めた。なかでも連合赤軍の永田洋子となると、あさま山荘で逮捕され、長野中央署に鬼の形相でしょっ引かれてきた、その瞬間をこの目で直接見ていただけに、彼女のことがどう書かれているのか。大いに気になるところである。
けさは新聞休刊日で新聞がこないので少し物足りない日ではあったが、夕刊を開き、【戦禍の記憶89歳映像紡ぐ 四日市空襲18日で78年 アマチュア制作家「同じ思いしないように」】【<特報>折り鶴「世界の記憶」へ祈り 佐々木禎子さん兄ら申請準備 戦後80年の登録目指す】(12日付中日夕刊)の見出しには、不思議なもので、なぜか安心したのである。
そして。それとは別にきょうは、わが身の定期検査で名鉄金山駅近くの金山ペインクリニックへ。久しぶりに血液採取(右手)もして頂いたが、帰りに金山駅構内の飲食店でアユの塩焼きを食べたが、これがまた、とても美味しかった。
2023年6月11日
日曜日。
核を含む国防機密の違法所持など米連邦大陪審が起訴したトランプ氏の罪状37件はじめ、車いすテニスの4大大会で17歳の小田凱人(おだときと。東海理化、愛知県一宮市出身)が全仏オープンのシングルス決勝で世界ランキング1位のアルフィー・ヒューエット(英国)を破り、同種目の4大大会史上最年少の優勝を果たすなど。きょうの新聞紙面もアレコレとにぎやかである。
なかでも中日新聞社説の【週のはじめに考える「狂気の再来」101歳の警鐘 自由奪った治安維持法 最後の生き証人として】と【老雄グスマン氏、再び こう見る 東ティモールの新首相 論説委員小野木昌弘】は、どちらも読み応えがあり、とてもよかった。体験に基づいた生きた記事とは、こういうものを言うのだろう。
それから。ほかに世界のニュースといえばだ。
英国のジョンソン元首相が9日、下院議員を辞職。元首相は、首相官邸で新型コロナウイルス規制違反のパーティーが繰り返された問題で議会に虚偽の答弁をした疑いで調査を受けており、近く議員停職の厳しい勧告が出る見通しだったという。
そして。いまひとつは、コロンビア南部のアマゾンのジャングルで5月1日に小型飛行機が墜落、行方不明となっていた子ども4人が9日、約40日ぶりに発見された。現地メディアによれば、無事、生還した子どもは13歳、9歳、4歳、ひとつのきょうだい。小型機には他に操縦士や4人の子の母親(33)ら大人3人も乗っていたが、5月16日に死亡が確認されている。事故発生当時、操縦士はエンジンが故障したとして管制塔に緊急事態を伝えていた。アマゾンに40日間いた子ども4人を発見した時の軍の報告は「奇跡、奇跡、奇跡だ」というものでペトロ大統領も「国にとっての喜びだ」とツイッターに投稿したという。
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きょうは朝から雨模様である。デ、シロちゃん、オーロラレインボーは、朝から室内でずっと私と一緒である。彼女は、座ったままでいるが何を考えているのだろうか。やはり、たつ江すなわち、おかあさんのことに違いない。と思っていたら、長男夫妻から早々と「おとうさん ありがとう」と書かれた名菓が送られてきた。わが子たちとはいえ、有難き幸せとは、このことか。そういえば、こんどの日曜日は〝父の日〟である。
(6月10日)
時の記念日。日曜日。この日がくると、舞のお店でゴーン、ゴーンと時を刻んでいたあの柱時計が目の前に浮かぶ。舞が営んでいたリサイクルショップ「ミヌエット」の店内には、いつだって、風流な格式ある柱時計が掲げられていた。毎日、一度はちいさな椅子を足台代わりに背伸びをして柱時計のネジを回すのが彼女の務めだったが、ネジを巻く舞の表情は、とても生き生きと楽しそうで満足そうだった。時には危なっかしくて見かねた私が代わりにネジ巻きをしたこともあったが、なぜかふたりが交替で〝ままごと遊び〟でもしているようで、本当に楽しかった。
あのときの舞の笑顔は忘れられない。ほんとに、いつまでたっても可愛かった。
高校時代のクラスメートで同窓会「二石会」会長である須賀藤隆くんと今月18日に迫った『二石会と滝学園思い出の集い』(場所は滝教育研究所、寿司と和食の「むさし家」)の進め方につき、電話であれやこれやと話し合う。
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日本将棋連盟が9日開いた棋士総会と理事会で佐藤康光会長(53)の後任に羽生善治九段(52)を選出。任期は2年。羽生新会長は記者会見で「諸先輩が約100年の歴史を紡いでこられた。その伝統を次の世代につなげていけるように力を尽くしたい。最近、藤井聡太さん(名人)の活躍もあり、将棋界に注目が集まっている。若い世代に将棋の奥深さなどを伝えていけたらいいなと思う」などと語った。同連盟は来年創立100周年を迎え、東京都渋谷区のJR千駄ヶ谷駅前と大阪府高槻市の2カ所に将棋会館を移転・新設するという。
外国人の収容・送還のルールを見直す改正入管難民法が9日、参院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主各党などの賛成多数で可決、成立。難民申請中の強制送還停止を原則2回に制限する。米国の連邦大陪審がトランプ前米大統領が大量の機密文書を持ち出していた問題でスパイ防止法違反などの罪でトランプ氏を起訴、連邦法違反で大統領経験者が起訴されるのは初めて。
(6月9日)
昨夜の雨もあがり、気持ち良い朝。シロはいつものように、お外へ。わが家のちいさな裏庭でまず、先代猫ちゃんたち(てまり、こすも・ここ、神猫シロ)三匹の猫塚へ。ここでクンクンとやってお参りをしたあと、安心したようにいずこかに、と出かけ姿をくらまし昼過ぎ、定時にはいつもどおり帰ってきた。
先輩猫の猫塚周辺を見て回るシロちゃん、オーロラレインボー
【軽井沢・バス転落 運航会社社長ら実刑 長野地裁「事故予見できた」 「運転手の経験不足認識」】【「反省したのか」疑問晴れず 秋葉原殺傷15年 重症負った男性語る】【池田小事件22年で追悼 教訓語り継ぎ 安全な社会に】【同性婚認めず「違憲状態」 福岡地裁判決 国会に不利益解消促す】(いずれも中日新聞9日付見出し)など。この世の中は、毎日毎日が過去の事件を振り返っての日々でもある。
そんななか、天皇、皇后両陛下が本日6月9日で結婚30年を迎えられた、との話題は私たち国民にとっても、とてもうれしい話だといってよい。両陛下は「今後とも国民の幸せを願い、ふたりで協力し務めを果たしていきたい」と各マスコミを通じて語っておられるが、おふたりにはこれからも「お健やかに」と願う。きょうは、滝高クラスメートで現「二石会」会長の須賀藤隆くんから18日に迫った【二石会と滝学園の思い出の集い(場所は、滝教育研究所と和食料理の「むさし家)】の件で電話が入る。
ほかにお風呂を沸かしたり、友や知人らから届いたメールに返信するなど午前中は、相も変わらずバタバタしたが、午後はいつものようにシロちゃん(オーロラレインボー)に留守を頼み一宮スポーツ文化センターへ。社交ダンスのレッスンのためで、いつものように「これでもか」とタンゴ、ワルツの順にレッスンに打ち込んだ。
(6月8日)
本日付の日本経済新聞夕刊1面の【生成AI知財保護シール 文書や画像違反事例を明示 政府方針 適正活用促す】【NY(ニューヨーク)赤くかすむ空 カナダ山火事の煙流入】【ダム決壊調査委を提案 トルコ大統領 ロシア・ウクライナに】は、どれも今世界が抱える重要案件ばかりだ。それだけに、おろそかにするわけにはいかない。なかでもカナダ東部で続く森林火災の影響で米国の東部ニューヨーク市などが深刻な大気汚染に見舞われている-とのニュースには驚かされた。
将棋の第三十四期女流王位戦五番勝負(中日新聞社など主催)の第四局が7日、徳島市のJRホテル「クレメント徳島」で指され、午後6時52分、先手番の里見香奈女流王位(31)=白玲、清麗、女流王座、倉敷藤花=が百二十一手で伊藤沙恵女流四段(29)を破り、対戦成績三勝一敗で5連覇を達成、通算9期目の女流王位を獲得。河野太郎デジタル相が7日、記者会見。マイナンバーと公的給付金の受取口座をひも付ける際、本人ではなく家族や同居人らの名義の口座を登録したとみられるケースが約13万件あったとの点検結果を発表。全くの他人の口座がご登録された可能性が高い事案も748件確認された、という。何と言うことか、と啞然としてしまう。「安心して公金受取口座の登録をしてもらい、迅速かつ確実な給付ができるよう信頼の確保に取り組む」というが、だ。それにしても【マイナに家族口座13万件 他人ご登録は748件】とは、お粗末である。
ウクライナ南部へルソン州にあるカホフカ水力発電所のダムが今月6日に決壊した問題で、国連安全保障理事会が6日(日本時間7日午前)、緊急会合を開催。ロシアとウクライナ双方が相手側の攻撃だと主張するなか、国連人道問題担当のグリフィス事務次長は、今回決壊につき「ロシアのウクライナ侵攻が始まって以降、民間インフラの最も重大な被害のひとつだ」とし、下流地域で暮らす少なくとも1万6000人に飲料水や医療などの緊急支援が必要だ-と述べた。いやはや、日本も世界もあれやこれやと事故、事件が多発している。
(6月7日)
晴れ。シロ、すなわち全身、真っ白なオーロラレインボーちゃん。生前のお母さんにつけてもらったハートつき青い首輪姿で、主人である私とユーチューブでお母さんが好きだった【エーデルワイス】と【みかんの花咲く丘】を聴いたあと、午前10時前、快晴の空の下、お外に出かけた。きょうは何を思って出かけたのだろう。くれぐれも気をつけて、ね。おかあさんに会ったら「みんな元気でいるから。心配しないでよネ」と言っておいてね(シロは、その後、定時どおり午後零時過ぎに無事、帰ってきた)。
けさも新聞を開くと、【新マイナーカード26年にも トラブル多発「万全の対策」 政府重点計画案 記載情報見直し検討】【家族口座登録2月に把握 デジタル庁情報共有せず】に始まり、【露占領下のダム爆破 ウクライナ発表 原発に冷却水供給】(いずれも毎日見出しから)…とマイナーカード、ウクライナに関する情報が多い。それにしてもマイナーカードのトラブル続発を受け、政府のデジタル社会推進会議はセキュリティー機能を高めた新しいマイナンバーカードを2026年にも導入する-というが、本当に大丈夫か。信用してよいものか、と心配になってくる。
2023年6月5日
月曜日。昨夜は、久しぶりに名古屋に出かけ、帰ってからもあれこれと思案熟考しつつ、遅く、いや未明から朝にかけ本欄【一匹文士】の執筆を続けたので少し疲れた。昔は、疲れなどということ自体をあまり感じることはなかった。のに、である。このところは出かけたりすると、やはり疲れる。老いとは。歳とは、このことを言うのか。
それでも午前中は新聞を開き、活字を一文字ずつ読んでいく。
【藤井七冠ベトナム入り 初海外、きょう棋聖戦第1局】【「復興の努力に深く敬意」 岩手 両陛下、4年ぶり植樹祭】【ガーシー元参院議員逮捕 UAE(アラブ首長国連邦)から帰国 芸能人ら脅迫容疑】(いずれも5日付中日朝刊)。
こんなわけで、世の中は、きょうもまた動き続けているのである。
少し寝不足ではあったが午後、所用で外出して帰り、シロのすこやかな寝顔(いつもは玄関先までひと声、ニャア~の声を上げ飛び出してくるのだが。きょうは昨夜から未明にかけ、私の帰りを待ちくたびれたあげく私にずっと付き合っていたためなのか。まだ寝ほうけているみたい。その顔が可愛いのである)をみて少し体調が戻る。まだまだ、やらねばならぬことは山ほどあるのである。
(6月4日)
名古屋市千種区のルブラ王山で開かれた中部ペンクラブの令和5年度第38回総会と公開文学講演会(講演講師は辻真先さん。演題は「栄町の古本屋で育ちました」)、引き続いてあった第36回中部ペンクラブ文学賞の受賞と出版を祝う会に出席。久しぶりに今から30年前、「長良文学」同人だったころからの文学仲間、椿井愛一郎さんら当地方の文学を愛する仲間たちとも再会出来、談笑する機会に恵まれた。そして。この日はかつて、この中ペンの会で随分とお世話になった文芸同人誌「きなり」代表だった石川好子さんも講演会を聞きに顔を出されうれしく、かつ懐かしく思った。
石川さん曰く「いがみさん。(奥さまを亡くして、その後)げんきでいますか。あなたは愛が深すぎるのだから。(しっかりしないと)」とご自身のご主人のことをさておいてそう、おっしゃられたひと言が胸にズシンと響いてきたのである。
この日は【悪名の女】で第36回中部ペンクラブ文学賞に輝いた中田重顕さん(三重県熊野市)はじめ、ことし7月29日に大阪で初めて実現する第5回全国同人雑誌会議・第2回全国同人雑誌協会総会=中部ペンクラブ共催。中日新聞・東京新聞など後援。場所はリーガロイヤルホテル大阪=を前に東京と前橋から駆け付けた全国同人雑誌協会代表理事の五十嵐勉さん(文芸思潮編集長)、同理事の和田伸一郎さん(「クレーン」主宰)、同協会顧問で前中部ペンクラブ会長三田村博さんらにもお会い出来、うれしく思った。中ペン文学賞の表彰式では激務のなかを駆け付けた中日新聞の平岩勇司文化芸能部長から中田さんに栄えある賞状が手渡され、中田さんは満面笑みに包まれた。
「ボクは満州生まれ(昭和17年に中国東北部で出生)。大阪文学学校校長の細見和之さんに【悪名の女】を読んでいただいたところ『これは、すごい。これまでの作品で1番よい』と言われたので、思い切って八十歳を過ぎて応募しました。戦争がいかに人々を。特に女性を傷つけるのか、を書きたかった」と受賞の喜びを語った中田重顕さん
席上、「活字文化が廃れる一方のなか、日本文化が生き延びるためにも。その生命線とも言える、いい文学をどんどん生み出してほしい」と呼びかける五十嵐勉全国同人雑誌協会代表理事(「文芸思潮編集長)。左が中村賢三中部ペンクラブ会長
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文学賞の表彰式に続き、この1年に本を出版した会員が胸にリボンをつけ、登壇。写真撮影でお祝いされるというなごやかなひとコマもあり、「泣かんとこ 伊神舞子俳句短歌遺稿集」(人間社)を出版した私もステージに。引き続きマイクを持たせられたが、私はポケットにしのばせたハモニカをふこうかどうしようか一瞬、迷ったが、やはり恥ずかしくて簡単なお礼を言うにとどめた。帰宅して反省しているが、舞の病床でいつもふいてきかせた【赤とんぼ】や【夕やけ小やけ】のうち1曲でもふけば、これまでの感謝の気持ちを伝えられてよかったのにと帰宅してから深く反省している次第。これも後の祭りに違いない。また、別の機会でも、と思っている。
♪赤とんぼすいと曲がりて曲がりけり、か。ごめんね、舞よ マイ。
引き続き歓談に移ったが、厳しく辛かったコロナ禍を抜けての久しぶりの再会だけに、みな笑顔、笑顔の集まりに。来賓あいさつなどが続く。登壇者のなかには、熱心さのあまり少し長話になる方もおいでだったが、これも文化芸術をこよなく愛するがゆえの愛あふれる挨拶だったに違いない。あとの雑談で「ちょっと、長すぎるね」とご本人に思ったことをそのまま言ってしまい、悪かったナ、と思った私(わたくし)【いがみの権太】である。中部ペンクラブ会員のなかには中村賢三会長の御子息のように受付でのボランティア奉仕を自ら買って出てくださった若者まで出現。ドラマと化した名ステージは、こうして終わったのである。
2023年6月3日
土曜日である。昨日午後、日本文藝家協会(林真理子理事長)から思ってもいない丁重なる書状が私あてに届いた。ここに、わたくしの記録として全文残しておこう。文面は次のとおりである。
――謹啓 薄暑の候、伊神権太様におかれましては益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。日本文藝家協会は、本年、喜寿を迎えられた伊神権太様を長寿会員として心よりお祝い申し上げます。/当協会もこれまで以上に会員の皆様のため、文芸文化全般の発展に努めて参ります。/本日は協会よりささやかな記念としてボールペンをお届けいたします。どうぞご笑納ください。/梅雨を迎え、天候の不順な日が続きます。くれぐれもご自愛の上、お過ごしください。
謹白 令和五年六月吉日
私はまだまだ、これから亡き舞とともに大空高く羽ばたこうと思っている。のに、だ。それにしても、私が喜寿だなんて。とても信じられない。実際、そうだから。仕方ないか。とりあえず、心からありがとうとお礼を言っておこう。
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きのうは、ここ尾張名古屋も含めて、和歌山、三重、三河、静岡、東京…と全国的に凄い雨が1日中、降り続いた。わたくしは、こうした雨が降るたびに傘をさすことを執拗に嫌い、ささないままこの大気の中を歩き、そのつど私を大いに困らせた今は亡きたつ江(伊神舞子)を思い出すのである。
というわけで、【愛知や三重 線状降水帯 田原444㍉豊橋418㍉史上最多 東京―名古屋新幹線取りやめ 河川氾濫、土砂崩れ各地で被害相次ぐ】【ラニーニャ エルニーニョ47年ぶり連続か 強い台風多発の恐れ】とは、本日付中日新聞の軟派(社会面)の見出しである。この線状降水帯による豪雨の危険はNHKでも再三にわたって報道し注意を喚起していたが、このことは良いことだと思う。
豪雨被害への注意を避難世帯数の表を示しながら呼びかけるNHKニュース(2日夜)
そして。第2社会面は【出生率過去最低1.26 少子化対策 お金が中心?】【「チャットGPT」に懸念 政府、米企業を指導 情報無断取得恐れ】など。今の時代を反映した内容が目立つ。ほかに【「頑張れとのメッセージもらった」 名大・堀勝特任教授=名古屋大低温プラズマ科学研究センター。「低温プラズマ科学の先駆的研究」=ら 中日文化賞贈呈式】は学術や芸術の分野で優れた業績を上げた4氏に賞状と正賞の時計、賞金が贈られたもので、社会を明るくするホットな話題だといえよう。(表彰者は、このほか▽落語家の立川志の輔さん(69)=「卓越した話芸と落語文化普及への貢献」▽名古屋大統括副学長・門松健治さん(65)=「糖鎖を基盤とする生命科学の革新への貢献」▽新国立劇場バレエ団プリンシパル・米沢唯氏(36)=「バレエ界における傑出した活躍)
(6月2日)
藤井七冠達成を報じた新聞各紙
新聞1面は、やはり【藤井七冠 最年少20歳10カ月名人奪取 「めいじんに」6歳の夢高速実現 プロ入り6年 全冠へ残るは王座】(中日)といったものだった。きょうは朝から、雨、雨、雨。というわけで久しぶりに息子を車で江南駅まで送る。
昼過ぎ。息子から「雨風すごいのでくれぐれも気をつけて行ってください 念のためダンス今日やるか確認した方がいいかもしれません」のメールが珍しく入る。きょうのような強い雨を目の前にすると、私は決まって、どしゃ降りの雨のなかを傘もささずに強引に歩く生前の舞を思い出す。彼女は傘をさして歩くことが嫌いな女性で、雨が降るつど、私を心配させたものだ。その息子が私のことを心配してメールしてきたので、私は舞がいつも手にしていたハート入りピンクのおしゃれな傘=彼女は愛用の傘をいつも手にはしていたが、なぜかさすことはなかった。日よけに使っていたようだ=を手に、近くの古知野食堂へ。ここで食事をして今度はずっと以前に、舞が選んでくれた愛車で一宮スポーツ文化センターへ、と向かった。きょうは社交ダンスのレッスンの日だからである。
(6月1日)
木曜日である。涙が出る。
きょうは、わたくしも含めた私たち兄妹とその家族を、父と一緒に最大の愛をもって育ててくれた亡き母、伊神千代子の誕生日だ。生きていれば満103歳になったというのにである。なんだか、とても惜しく、かつ残念な気がするのである(母は私たち兄妹だけでなく、義姉や義弟も、とても大切にしてくれた)。
そればかりか、生前の母は、元々が着物づくりの達人だったばかりか、カラフルな草履を編むことときたら100歳を超えてなお、お手のもの。ほかに、盆踊りもノドも達者で、天に飛び立つ間際までピアノを弾いていた。私たちこどもにとって、とても美しくかれんな自慢の母だったのである。
その母が、誕生日がくるとは、いつも話していたのが「おかあちゃんが生まれた、その日に和田(現在の愛知県江南市古知野町和田)に、初めてランプの明かりがポッと、ついたのだってよ」と。母は、まさにその明かりとともに大正、昭和、平成、令和をたくましく生き抜いたステキな女性だった(母が愛用した和田のピアノは死後、兄夫妻の配慮もあって母が晩年、ことのほかお世話になった愛知県日進市の老健施設「愛泉館」に寄贈された)。
夜に入り、スマホがピコピコとけたたましく鳴り出す。追い立てられるように画面を開くと、そこには【藤井聡太竜王が最年少名人&史上2人目の七冠達成 渡辺明名人に4勝1敗 20歳10カ月でダブル快挙/将棋・名人戦7番勝負】と簡潔なニュースが浮かび上がった。
藤井聡太とは、まさに大変な人物である。
▲きょうは「気象記念日」。西日本各地が梅雨入りし、台風2号が沖縄に近づく。(毎日・余録から)。そして。電波の日でもある。新聞には、けさも【原発60年超運転可能に GX電源法=正しくはGX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法=成立 経産相が延長認可】【北朝鮮「衛星」発射失敗 エンジン異常 黄海落下 「早期に再打ち上げ」】(いずれも1日付毎日朝刊)といった活字が躍った。
そして。何より明るい話題といえば、だ。
中日新聞スポーツ面の【霧馬山改め 霧島 大関昇進 師匠のしこ名背負い さらに上へ】【竜5位浮上 <球心>満塁一層ブライト輝く 連日2番「自分で決める」】【涌井2勝目 7回1失点】【千賀気迫の5勝目 最長7回無失点)】といったところか。なかでも新大関の霧島には期待したい。やってくれそうな予感がするのである。