【生きてゆく人間花たち/2014年3月の唄】

平成二十六年三月三十一日
 毎日新聞の夕刊1面に「さらばジャンボ B747国内線ラスト」の見出し。
 航空史上、燃費は別に技術はむろんデザインも最高傑作だ、とされてきた、あのジャンボが日本の国内線から姿を消すと知り、若き日々の郷愁のようなものが空のかなたに飛んでいってしまう、と。そんな気がしてならない。私自身、取材や旅行で何度か搭乗したことがあるだけに惜しいなと思う。
 それによると、〝ジャンボジェット〟の愛称で親しまれ、退役する大型旅客機ボーイング747の全日空最終定期便が乗客約500人を乗せ羽田空港を離陸し沖縄・那覇へ飛びたち、午後の折り返しの羽田行きが最終フライトになる、とのこと。ジャンボ、747といえば、大阪万博のあった1970年(昭和44年)に日本航空が他社に先駆けて導入。その後、私が小牧に在任し〝空飛ぶ記者〟として本社機で全国各地の災害、事件現場を飛び回っていた昭和50年代は、小牧(名古屋空港)からのハワイ直行便も就航し、それこそジャンボの全盛期といってもよかった。毎年9月20日の航空記念日には航空機騒音の周辺対策として地元住民を乗せ、ジャンボによる体験搭乗も行われていた。
 そして。忘れもしない。昭和60年8月には、群馬県御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落。一瞬にして520人もの命が奪われた。あの日、私自身、新聞社の双発ジェット「はやたか二世」で御巣鷹山上空を飛び、上空からの現地ルポを書いて機内からの記事を送った日のことが鮮明に甦る。あのときは、空陸両面からの取材合戦となり地上では機材を完備した〝ドラゴン号〟が大活躍。上空からジェットで現場を探すのに、ひと苦労したことを覚えている。また後発隊が取材ヘリで現場を目指したが一時、行方不明になってしまうハプニングまであった。
 当時は、民間定期便といえばB2、B3、B4の全盛期。ほかにターボプロップのかわいい唯一の国産旅客機YS-11機、人呼んでオリンピアも南紀白浜などに飛んでいた。名古屋空港に新国内線ビルや航空宇宙館が次々と誕生し、全ての面で勢いが感じられる時代でもあった。
        ×        ×
 オランダ・ハーグの国際司法裁判所が日本の南極海での調査捕鯨は国際捕鯨取締条約に違反すると認定、こんごは実施しないように、と命じる判決を言い渡した。これに対して国内では「日本からクジラを失くしたら、日本は破滅だ」の深刻な声も。「くじらのまち」で知られる和歌山県太地町の三軒一高町長は「太地では四百年間、捕鯨を続けている。今後も何ら変わりはない」と話している。
 
【きょうの一文・ことば】
 杜甫が四十七歳の時にうたった詩に【人生七十古来稀なり】があります。〝古希〟の由来になった漢詩で知られます。=NHKラジオ第二「漢詩をよむ」から
 人間は逆境(危険)になると、いろんな物語ができ集中しやすくなる。自分は金メダリストだとは思いたくない。もっと上を。そして絶対負けないアスリートになりたい。=31日夜メ~テレ〈報道ステーション〉のインタビューに答えて。羽生結弦選手
【新聞テレビから】
☆『温暖化で貧困、紛争深刻 IPCCが新報告書』、『仏右派躍進与党が大敗 地方選 パリ 左派の女性市長』、『父の死…「命救う人に」 春日井の交通遺児 私立中学に合格』、『水俣病で1億円賠償 過去最高、未認定の1人に』、『飯塚事件再審認めず』『福岡地裁 新証拠「明白性ない」』(31日付、中日夕刊)
☆『〈卓球のドイツ・オープン〉平野・伊藤 13歳ペアVツアー最年少 「タイトル取りり続けたい』、『米露外相平行線 ウクライナ 露軍撤退巡り応酬』、『温暖化影響 世界的食料危機を警告 IPCC報告 水資源争奪も』(31日付、毎日夕刊)
☆『〈消費税8%へ〉最後の日曜客足明暗 大型店駆け込み■商店街寂しく』、『沖ノ鳥島で5人死亡 2人不明 作業中に桟橋転覆』(31日付、中日朝刊)
☆『〈消費増税〉最終サンデー争奪戦 名古屋百貨店活況「7割増」も』(31日付、毎日朝刊)

三月三十日
 ナゴヤドームでの対広島戦。谷繁竜が6―0でやっと白星をあげた。この日は雨まじりの風が強く、名古屋を歩いていても吹き飛ばされそうな1日だった。
 午前中、江南市内の大型ショッピングセンター「平和堂」へ。来月十二、十三日に迫った、ここ花霞町内会の祭礼みこし奉納を前に子ども会児童に手渡すお菓子を予約するためである。この日は子ども会のお母さん代表ふたりが定められた予算内での内容につき厳選、選んだ菓子を十一日昼までに袋詰めにしておいてくださるように、と店の担当者にお願いした。 
 いったん帰宅した私は今度は名古屋駅近くつちやホテルへ。
 ここの喫茶室で午後、行われる私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の例会に出席するためだが、昨夜のうちに用意しておいた事前の例会資料を携え、駆けつけた。そして夕方、例会から帰宅してからは欠席した同人全員にメールや電話で、きょうの例会内容を主宰の責任として全員にお伝えするなど大わらわの一日となった。
 この間、夜に入ると地元花霞の組長さんから世帯名簿の確認やら、祭礼で身にまとう半纏の件などにつき問い合わせが相次ぐなど、なんだか一日中バタバタするなかで、時は過ぎ去っていった。今回、花霞町内会の副総代を仰せつかり地域社会における役員さんたち、それぞれの存在の重要さをあらためて認識した一日でもある。質問してくる組長や班長さんが初体験なら、私も初。みな自信など、あるはずもない。要領も分かってはいないのである。
 デ、分からないことは前任者らにそのつど聞いて教えてもらうなどして、私たち夫妻にとっての大試練、〝世紀の大役〟が動き始めた。わが家の場合、3組2班の班長も兼ねているので大変なのは私だけではない。妻の舞も大変だ。そんなわけで、きょうは午前中、時間をかけて前任の班長さんから引き継ぎを受けた彼女、その舞からさっそく回覧板の回覧順と資源ゴミ収集当日の時間別役割分担表の作成を頼まれ、パソコンで作成した。
        ×        ×
 こんなわけで、つい二、三日前まで、推敲に推敲を重ねやっと新たな小説2編(未発表。発表の手立ては今後、慎重に検討予定)を書き終えたのも束の間、こんどは現実世界に引き戻され、わが町・花霞の二字が大きく迫って、わが脳細胞のなかを意識となって浮遊し始めた。この町の会計さん、林さんの口癖でもある【もうパニックですわ】のなかを、私たちは右往左往している。こうした細々したことは私がもっとも苦手とするだけに、こんご多くの皆さまに援軍をお願いすることになりそうだ。
 あ~あ…。トホホとは、まさにこのことか。こういう時に一番お似合いの言葉である。

【きょうの一文・ことば】
 初めてなので何が分からないのか、が分からないです。不安ですね。でも、やるしかない。=30日夜、テレビ愛知〈ミュージカル初挑戦 歌手・平原綾香の正念場〉で。平原綾香さん
 フォームがかみ合っていない。ちょっと投げ急いでいる。マウンドの傾斜が違う。=30日夜NHK総合〈サンデースポーツ〉のインタビューにこたえて。米大リーガー、ニューヨークヤンキースの田中将大投手

【新聞テレビから】
☆『真央4年ぶり世界女王』『真央 晴れやか金 進退なお「半々」 自己新「4年の全て出せた」』、『「再審 袴田さんに続け」奥西死刑囚弁護団、名張で調査』『袴田さんの姉帰宅』『死刑執行済みの「飯塚事件」あす再審可否判断』、『返済10回で2億5000万円 渡辺喜代表借り入れ DHC会長説明』(30日付、中日朝刊)
☆『〈消費増税〉ため息の春 転嫁ずしり』『材料費高騰 電気料金値上げ―転嫁言い出せず 中小企業窮地の三重苦 社長「我慢するしか」』『駆け込んだのに届かない!! 家電配送遅れ 一部品切れも』、『再試合 桐生第一―広島新庄 疲れた、でも決意新た=2時間25分の激闘の末、延長15回1―1で引き分け』、『MLBオープン戦 6回10K 田中=ヤンキースの田中将大投手=開幕OK』、『■ミッドランドでファッションショー』(30日付、毎日朝刊)

三月二十九日
 妻によれば、ドラゴンズはナゴヤドームでのデーゲームで、きょうも広島に負けた、という。あすは、なんとか勝ってほしい。
 きょうは全国的に四月中旬から六月並みの気候に。仙台22.8度、東京都心22.2度、大阪21.5度、そして名古屋が20.8度。富山は、なんと25.1度と、ことし初の夏日を記録した。気象庁によれば、このポカポカ天気もあす以降は低気圧の影響で一転し、強い風を伴った雨になる、とのこと。
        ×        ×
 夜。先に東日本大震災で被災地のあちらこちらを回ってきた、その、ごく一端を私自らユーチューブで発信した拙き【被災地と塩屋埼灯台】の画像について、私が信頼する新聞社のある友人が「カメラの動きに落ち着きがないのが、つらいです」とズバリ指摘してきたので、さっそく修正をかけてみた。
 当日の三月十日は寒さに震え、私自身が音声をいれながらビデオを手に歩いて撮影した画像なので手ぶれはむろん、さんざんな画像とはなったが、ここをズバリ突かれたのである。やはり元々があまり良くない。だから、改善されたとしてもホンの少々のことだろう。でも、せっかくの有り難い指摘だ。すなおに受け止め、少しでもブレがなくなれば、と判断して画像を出して自動修正ボタンを押すに至った次第である。
 タカラジェンヌを養成する兵庫県宝塚市の宝塚音楽学校で第百二期生の合格発表があり、二十六倍余の競争を突破した四十人が宝塚歌劇団の舞台への切符を手にした。

【きょうの一文・ことば】
 「とてもエキサイティングな始球式だった。もう少しまっすぐ、もう少し速く投げられれば良かった」=29日付讀賣朝刊、〈熱闘ドーム大歓声 G開幕戦〉の記事中、始球式で左投げのボールを投げた後で。キャロライン・ケネディ駐日米大使の発言
〈議員勝者の金の声、所業不浄の響きあり〉。=29日付讀賣朝刊「編集手帳」から。みんなの党の渡辺喜美代表が化粧品販売会社の会長から借りた8億円問題に関連して

【新聞テレビから】
☆『満開待ち切れない ❀鶴舞公園 一気に開花進む』、『「南京で30万人虐殺」 独講演習主席、日本を批判』、『〈訃報〉ハイ・ファイ・セット 山本俊彦さん=28日、東京都内で死去。「翼をください」で知られたフォークグループ「赤い鳥」で一緒に活動していた潤子さんらと74年、男女3人の「ハイ・ファイ・セット」を結成= 67歳』(29日付、中日夕刊)
☆『米、露軍撤収を要求 両首脳電話協議 外相協議継続 ウクライナ問題』、『中京学院大元准教授逮捕 詐欺未遂容疑 殺人でも捜査 愛知県警』(29日付、毎日夕刊)
☆『無罪のゴング待っている 姉の秀子さん袴田シートで観戦』『袴田さん入院』、『福島第一作業員死亡 土砂下敷き 救急要請に50分』、『「岳人」9月号からモンベルの発行に 本社、商標権を譲渡』、『新生竜スタンド沸いた』、『〈フィギュアスケート■世界選手権 羽生逆転初V 「意地と気合」シリーズ3冠〉』『町田2位「火の鳥」完結』(29日付、中日朝刊)
☆『袴田さん釈放 高裁も支持 地検の抗告棄却「拘束は刑の一環」』『ボクシング協会「勝利」の報告会』『「即時抗告断念を」国会議員連盟』、『渡辺氏8億円問題 メールで「5億円必要」衆院選の情勢伝え』『猪瀬前知事罰金50万円 略式命令 徳洲会5000万円不記載 東京簡裁』、『北朝鮮決議を採択 国連人権理が制裁勧告』、『漂泊の詩人 日記みつかる=伊良子清白の明治40年の日記が三重県鳥羽市で見つかった。中央詩壇との決別に触れている=』、『羽生 世界3冠 町田2位』(29日付、毎日朝刊)

三月二十八日
 2014年プロ野球がいよいよ、開幕した。
 谷繁選手兼任監督の中日ドラゴンズは、ナゴヤドームで広島戦。38歳のベテラン、川上憲伸投手が先発、対する広島もエース前田健太投手が先発し、投げ合いとなったが3―2で惜しくも敗れた。
 ドラ敗退のテレビニュースに「ことしも負けちゃった。前途多難だわ」とは、わが妻(舞)の素直な声である。きょうの試合内容を見ていると、勝敗は紙一重のところで決まるが、その勝つ極意といったようなものをどうやって克服していくか、だと思う。
        ×        ×
 『姉「隣に弟、夢のよう」 袴田さん、釈放から一夜』『「ここは大井川かな」 袴田さん、姉と触れ合い』『釈放から一夜 姉と水入らず 袴田さん』『袴田さん  朝ケーキ自由の味  姉会見 釈放から一夜明け』など。これら表現は昨日、再審開始が決まり釈放された袴田巌さん(78)に関する新聞各紙の記事の見出しである。
 東京都内のホテルの同じ部屋で宿泊。隣に寝ている弟を見て「夢でも見ているよう。夢なら覚めてほしくはない」と思ったという姉秀子さん(81)=浜松市=。記事によれば、部屋に朝日が差し込み窓から海が見えたので秀子さんが「きれいだから見てみたら」と促すと「ここは大井川かな」と弟。秀子さんは「東京湾だよ」と教えてやったという。
 また、姉と再会した巌さんの第一声は「解放されたよ」で、拘置所からの車の中では、じっと外の様子を見ながら「変わったね」とも。巌さんには糖尿病や統合失調症の疑いがあり、会話もスムーズではないが二十七日に比べ発することばも長くなってきたと言い、一方でどの記事も〝無実の罪〟の弟を取り戻した姉の喜びようがヒシヒシと伝わってくる内容だ。
        ×        × 
 東京都の猪瀬直樹前知事が都知事選前に医療法人「徳洲会」グループから五千万円を受け取っていた問題で東京地検特捜部はきょう、猪瀬氏を公職選挙法違反(収支報告書の虚偽記入)の罪で略式起訴したが、「これでは罰金五十万円だけで、おとがめなしに等しい。司法の世界の談合みたいなものだ。最初からヤル気がなかったのではないか」(ノンフィクション作家・森功氏)と手厳しい批判が出ている。

【きょうの一文・ことば】
 一番大切なものは目に見えない。努力も愛情も目には見えません。目に見えない大切なものを見つけ、それを携えて歩んでください。=28日付尾北ホームニュース〈退職校長在職中の思い出は?〉のなかの【児童・生徒に贈る言葉】から。江南市立古知野北小・畑中まゆみ校長のことば

【新聞テレビから】
☆『31年前の雪辱ありがとう 豊川、池田破る 豊永選手=豊永大輔内野手(3年)=の父=1983年夏の甲子園準々決勝で池田に敗れた中京(現中京大中京)のメンバー、九番遊撃手として出場=声援』『豊川ベスト8 池田1-4豊川』、『猪瀬氏を略式起訴』、『「美しすぎる検事=ウクライナ南部クリミア自治共和国のナタリヤ・ボクロンスカヤ検事総長代行=」を捜査へ』『ウクライナ保安庁「政権奪取図った」』(28日付、中日夕刊)
☆『豊田英二氏遺族10億円を寄付 豊田市に』、『ローマ地下鉄「忍者」を逮捕 すり容疑日本人』(28日付、毎日夕刊)
☆『袴田さん釈放 逮捕から48年 再審決定』『4人殺害事件「証拠捏造の疑い」』『外の空気、顔色良く』、『中2自殺いじめが一因 名古屋市検証委 学校の対応批判』、『露店主に禁錮5年判決 福知山爆発「客死傷過失大きい」』(28日付、中日朝刊)
☆『「おかえり」姉涙 再審決定・釈放 袴田さん「うん、うん」 弁護士に「ありがとう」』、『朝倉摂さん死去 舞台美術家、文化功労者 91歳』、『■名古屋の山口組長宅を捜索』、『■津で桜開花 昨年より2日遅く、平年より3日早い』(28日付、毎日朝刊)

三月二十七日
 フィギュアスケート世界選手権女子ショートプログラム(SP)が、さいたまスーパーアリーナで開かれ、注目の浅田真央(中京大)が歴代最高得点の78・66で首位発進。ソチ冬季五輪でのSPの失敗をはね返す内容で、なんだかホッとした。
        ×        ×
 午前中は社交ダンスのレッスン。ステップを踏む際の〝ゼロ〟の立ち位置を、あらためて実地に繰り返し確認し、心持ちステップを多めに踏み出すことの大切さを学んだ。ジルバ、タンゴ、ワルツ、ルンバ、チャチャチャと我ながら出来はまずまずか。とはいえ、社交ダンスは奥が深い。理想には程遠い。
 帰宅後は、同人から寄せられた、ことし初のテーマエッセイ(テーマは「あの人」)をあらためて1篇ずつ読み直す。少し余裕があったので、第1作の編集に取り組み夕方、なんとかアップ(公開)にこぎつけた。
        ×        ×
 静岡地裁はきょう、一九六六年に静岡県清水市でみそ製造会社の専務宅が全焼、一家四人が殺された袴田事件の第二次再審請求で強盗殺人罪で死刑判決が確定していた元プロボクサー袴田巌死刑囚(78)の再審開始と刑の執行、拘置の停止を決定した。
 確定判決で犯行時の着衣と認定された衣類五点について「ねつ造された疑いがある」(村山浩昭裁判長)と結論付けたためで、事件発生から四十八年を経て、死刑確定から三十四年で裁判がやり直され、死刑判決が取り消される可能性が出てきた。それにしても、これほどの〝冤罪〟がどうして起きてしまったのか。
 いずれにせよ、取り返しのつかないことで袴田さんの大切なその後の人生は無いに等しかったことになる。捜査当局の捜査には疑念を持たざるをえない。
 七十八歳の高齢で糖尿病を患い心身共に疲弊がうかがわれる袴田元被告に代わって、半世紀近くにわたって無実を訴え続けてきた姉秀子さん(81)=浜松市=の喜びや、いかほどだろう。釈放され、「ありがとう」とこたえて拘置所を出る袴田さん。半世紀の歳月はあまりにも長すぎ、むごすぎる。テレビ画面に映る袴田さん、淡々としたその表情のなかに言い表せない苦悩がにじんでいたように、私には思われた。
 中日の夕刊報道によれば、6人兄弟の末っ子だった袴田さんは「いつも秀子さんの後ろからついてくる、かわいい弟」で「自宅の庭で陣取り合戦や縄遊びをして一緒によく遊んだものだ」という。「動物の命だって見捨てやしない、優しい人間。人殺しなんてできる子じゃない。自白を強要されたんだ」と秀子さんは話している。

【きょうの一文・ことば】
「再審開始になりました。長年の袴田さんの熱い気持ちがやっとかなえられました」(西嶋勝彦弁護団長)「後楽園ホールで袴田さんに早くボクシングを見せてあげたい。今までの苦労を少しずつ解消してあげたい」(ボクシング元世界王者、輪島功一さん)=いずれも27日付毎日夕刊『「真実への第一歩」袴田事件再審決定 無罪へ決意新た』の記事から

【新聞テレビから】
☆『袴田事件再審認める 証拠捏造指摘 静岡地裁 死刑、拘置を停止』『検察は証拠全面開示を』『闘い48年扉開いた DNA鑑定再審の鍵』『弁護団、捏造指摘を評価「ただちに釈放を」』『袴田元被告姉「うれしい」』『「よしっ」支援者歓喜』『「大きな希望の星」 名張事件弁護団、決意新た』『衣類「被害者以外の血液」 釈放可否 高裁で審理へ』、『セブンイレブン駅に500店 JR西提携、キヨスク転換』、『ソニーOPテニス4強進出 錦織(元世界1位の)フェデラー破る』(27日付、中日夕刊)
☆『豪州パース沖で122個の物体撮影 マレーシア機か』、『「国際秩序 試練の時」 米大統領演説、露を批判』『米欧、エネルギー安保強化 共同声明合意 具体化に課題』『北朝鮮ミサイル安保理が協議へ』、『メディア王世襲へ布石 21世紀フォックス マードック氏長男、共同会長に』(27日付、毎日夕刊)
☆『名古屋の死者6700人 南海トラフ地震 市、最悪を想定』『減災徹底なら4分の1に』、『渡辺喜代表に8億円 DHC会長「選挙資金貸し付け」』、『伊吹山も入山料試験徴収 5月から、任意で300円』(27日付、中日朝刊)
☆『列車にひかれ脚切断 5時間半後「助けて」 佐賀の公務員、携帯で119番・搬送』、『朝日サイトでおわび コラムで小保方さん「やゆ」』、『胡耀邦氏長男近く訪日 首相経験者と意見交換』(27日付、毎日朝刊)

三月二十六日
 きょうは一日雨だった。早朝、社交ダンスの6月のレッスン場確保を頼まれ、近くの公民館へ。
 私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」のことし第1回目のテーマエッセイ(テーマは「あの人」)が各同人からポツリポツリと届き始めた。このテーマエッセイ、実は〈音楽と私〉を初回に〈酒〉〈雨〉……と続き、今度の〈あの人〉は実に15回目のテーマとなる。この間、皆それぞれ多忙のなか、「よくぞ、ここまで」と思いもする。いまや「熱砂」の誇る看板コーナーであること間違いなし、だけにさらに一層、熟練の筆を心がけ一人でも多くの方々に読んで頂けたら、と思っている。
        ×        ×
 オランダ・ハーグでの核安全保障サミットに続き、安倍晋三首相とオバマ米大統領、朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領による日米韓首脳会談が開かれた、との報道に接し、なぜかホッとしたのは私だけか。この日は日韓両国悪化の直接原因となった双方の歴史認識、また従軍慰安婦問題については話し合われなかったが、話し合いの扉が開かれたことを何よりも喜びたい。
 こうした折も折、北朝鮮は日米韓の首脳会談開始時間にあわせて朝鮮半島東の日本海に向け中距離弾道ミサイル・ノドン2発を発射、一時緊迫する場面も見られたが、幸い大事に至ることなくすんだ。同じ人間同士だ。膝突き合わせて話し合えば、当然それぞれの国の真意も分かろうというもの。どの国の人々も平和な社会の実現を望んでいるはずだ。やはり、互いに会って顔を見つめあって話し合うほど大切なことはない。
        ×        ×
 四月十二、十三日に迫った、わが町・花霞の祭礼。春の祭りを前に、獅子頭やみこしの巡行時の万一に備えた傷害保険の事前契約から、ことしの祭りを担当する当番組への準備金の手渡し、さらには豆絞りの注文、ショルダー型スピーカーの事前予約……と相も変わらず、細々した準備に追われている。
 でも、動けば動くほど、わが町・花霞全体の顔が少しずつ分かり、これも考えようだ。これまで無関心でいた地域社会の有り様が、写し絵にでも映るが如く、私の心のなかでおぼろげにその全容を現し始めてもいる。不思議である。
 その昔、小学生の頃、上半身裸で実家のある和田地区の野や山、川も含めて隅から隅まで遊んで回っていたガキ大将のころが、なぜか思い出される。あのころは自慢じゃないが、足で稼いでいたこともあり、そこら辺の家という家は家族構成まで全て知り尽くしていた。しょうやとかカッチン玉、刀代わりの竹の棒を手に毎日毎日、相手かまわず家々をまわったものである。
 真っ黒けになって歩き回ったあのころの自分のド迫力(もちろん、小学生のころは勉強なぞというものはしたこともない。やり始めたのは中学に入ってから、である)には、とても太刀打ちできないが、なんだか、この年になって少し中身こそ違うが、昔の自分がぶり返してきたような、そんな気がしないでもない。

【きょうの一文・ことば】
 これからよりいっそう稽古に精進し、横綱の名を汚さぬよう一生懸命努力します=第71代横綱・鶴竜が日本相撲協会使者に述べた口上。師匠の井筒親方(52)元関脇逆鉾夫妻と共に
 私は書きすすめながら、繰り返される権力闘争のなかで、あえぎつづける下層民たちの心のあたたかさや、明日への希望にかける男女の愛と性のいとしさに作者より読者の心に近くなっていった。…=26日付中日夕刊文化面『〈足あと 瀬戸内寂聴〉幻花 中世の面白さに酔う』から。寂聴さん

【新聞テレビから】
☆『仮校舎での卒業式 「私にとって最高の居場所」』『浪江小二本松仮校舎 学校の持つ力』(26日夜、〈NEWS23〉CBCテレビ)
☆『おかえり三陸鉄道 来月全線復旧「応援に恩返し」』『(福島第一原発)タンク除染作業員にツケ 過酷な現場「1基でも大変なのに」』、『日米韓 対北連携で一致』『首脳会談 歴史問題触れず』『北、日本海へノドン2発 日本全体を射程 日米韓会談と同時刻』『政府が厳重抗議 日朝協議は中止せず』、『横綱・鶴竜が誕生』『「一生懸命努力」誓う』(26日付、中日夕刊)
☆『クリミア問題 米、武力行使を否定』『大統領。外交で露に圧力』、『10年以内に米本土射程 北朝鮮ミサイル 米軍司令官見通し』(3月26日付、毎日夕刊)
☆『バス運転手 懲役9年6月 関越道事故判決 居眠り防止怠る』、『露店爆発「主催者にも責任」 千種の被害者 消費者事故調に申し出』『妻子今も苦しみ 被害者の会会長「原因知りたい」』、『不明の教授「中国で拘束」帰国会見』(26日付、中日朝刊)
☆『G7、露資源「無力化」 エネルギー安保強化』、『特養待機52万人 4年で23%増』、『西川流家元 千雅(かずまさ)さん 日舞 9月に31年ぶり継承』(26日付、毎日朝刊)

三月二十五日
 天皇、皇后両陛下が三種の神器を携え伊勢神宮を参拝された。
        ×        ×
 東京で桜が開花、高知は満開、名古屋、岐阜でもサクラが咲いた。全国各地ともきょうは20度前後まで気温が上昇し五月並みの暖かさとなった。このあたたかさで日本の桜たち、ソメイヨシノは一斉に芽を膨らませたに違いない。長崎では長崎市科学館に1億4千万個もの星を映し出す世界一の規模を誇る〝世界一プラネタリウム〟が開館し、話題となっている。
 オランダ・ハーグでのG7サミット。米韓日の会談を前に核セキュリティサミットに出席した安倍首相曰く。「未来志向の日韓関係緊密化への第一歩としたい」。
        ×        ×
 ラム・クマール・パンディさんの詩集「Road  Rider / POEMS  FROM   NEPAL」
 
 ネパールペンクラブ会長のラム・クマール・パンディさんから、海越え山越え、「熱砂」主宰の私あてに丁重なメールが届いた。
 私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の〈WORLD WINDOW―世界の窓―〉のコーナーで、つい先日、パンディさんの詩〈the  Himalaya(ザ・ヒマラヤ)〉を世界に向け発信させて頂いたことに対するお礼で「It  is  my  great  pleasure  to  enter  into  Nessa. Thank  you  for  your  cooperation……」と書かれており、かえって恐縮してしまった。
 パンディさんからのメールには最後に「Give  my  best  regards  to  all  poets  and  friends.」「 I  hope  you  will  lead  group  of  Haiku  poet  to  bring  them  in  Nepal.」との言葉も添えられており、パンディさんの〝Haiku poet〟に対する並々ならぬ情熱が伝わってきた。
 チャンスがあれば、日本の俳句愛好家から成るネパール訪問団を編成、国際親善と友好の実をあげることも悪くはない、そんな気がしてきた。ただ、そこまで到達するには、さらなる行動力と努力、人間関係、資金力が必要になってくる。慌てないで機が熟するのを待つのが得策だ、と思う。

【きょうの一文・ことば】
 ナルシズムの文学はやってはいけない。文芸作品のコンテストなんかでナルシズムだと思うと、すぐ落としました。(四日市の)お寺に生まれ、あくことなく家族のことを書き続ける作品なんて、ちょっとない。私の作品は、どんなものを書いても、どっかに宗教的なものがある。書き出したら大衆小説も純文学も同じです。=NHK第2ラジオアーカイブス〈わが文学わが回想 丹羽文雄 昭和57年8月5日収録〉。丹羽文雄

【新聞テレビから】
☆『上橋さん=上橋菜穂子さん(51)=アンデルセン賞 「児童文学のノーベル賞」』、『ロシア抜きサミット G7代替会合決める』、『建築界最高賞に坂氏=坂茂さん(56)= 米プリッカー 災害支援「紙の住宅」』(25日付、中日夕刊)
☆『政変後初の直接対話 露・ウクライナ外相会談』(25日付、毎日夕刊)
☆『猪瀬氏略式起訴へ 東京地検 公選法違反と判断』、『G8からロシア排除 G7首脳宣言 サミット中止へ』『1500億円支援表明へ ウクライナに安倍首相』、『マレー機 インド洋墜落か』『衛星情報解析「生存者なし」』(25日付、中日朝刊)
☆『名古屋・岐阜 サクラサク 平年より2日早く』、『被ばく線量公表せず 内閣府 想定外、数値高く 福島の3カ所』、『米中「新たな関係」追求 ウクライナ見据え踏み込む 首脳会談』、『竹富町教委是正応じず 教科書問題「学校現場 混乱ない』(25日付、毎日朝刊)
☆『谷繁兼任監督 開幕投手は憲伸』(25日付、中日スポーツ)

三月二十四日
 花霞町子ども会の今井さん(会長)が、かわいい我が子の手を引いて四月十二、十三日に迫った古知野神社の祭礼を前に、獅子みこし行列のコース図を手に、わが家を訪れた。かと思うと、花霞町内会の会計・林さんが「もうパニックですは」と言いながらも結構、楽しそうに準備金を手にして訪れる―など春の祭礼を前に、なんとなく慌ただしい。夕方には、前総代・岡本さんからも心配して何かと有り難いアドバイスの電話を頂いた。地域社会は、こうした方々のおかげで生きている。そんな気がしてきた。
 私など現役時代は新聞記者ひと筋の世界で勝手きままのし放題。ぬるま湯もぬるま湯、先年までマスコミの第一線で働いてきたとはいえ、飛んで火に入る夏の虫で、人にチヤホヤされ、いかに〝ヒョッコ〟であったか、を今になってあらためて痛感している。
 ところで、そのわが家だが26年度は副総代ばかりか3組2班(戸数は13)の班長も順繰りのノルマで回ってきたため、妻は妻で班内各戸に出向いて世帯名簿の確認はじめ半纏の必要着数を聞いて回るなど、これまた大変である。相手は人間。いつも家に居るとは限らない。何度も出向くことになりかねないのだ。
 ほかに新聞チェックや小説の執筆、読書などにも追われ、夜は夜で「熱砂」同人仲間に例会の日時(30日午後2時から。名駅近く「つちやホテル」喫茶室)をメールや電話で伝えるなど、一日中休む間がない。とうとう一日に五分は吹くことにしている横笛を手にすることもなく、時は過ぎてゆく。あ~あ。でも、おそらくほかの人間たちも、こうして生きているに違いない。みな、それぞれに自分や家族の人生を抱きしめ、生きているのだ。
 
【きょうの一文・ことば】
「名刀を生かすも殺すも柄次第」…「力まず、しかもたるまないように。そんな当たり前が本当に難しい」。=24日付中日夕刊、『〈この国のカタチ〉◆ひし形1 機能と美 手になじむ』から

【新聞テレビから】
☆『消える伝言板 名古屋市営地下鉄今月末で』、『津波園児犠牲賠償認めず 仙台地裁「町の予測は不可能」』、『「クリミアから撤退」 ウクライナ国防相代行明言』『ロシア軍増強懸念』『ウクライナ外相「戦争の可能性」』『監視団活動支持 独ロ首脳が一致 電話会談』、『歴史問題で対日共闘 「日米韓」前に 中韓首脳が会談』(24日付、中日夕刊)
☆『ぽかぽか 春実感』、『「ロシア対応 G7で連携」 日米外相協議』、『シェアハウス 寄宿舎並み規制撤回 国交省 一律適用反発』、『長崎小6自殺 教育長「片付くといい」 卒業式前発言 遺族が抗議』(24日付、毎日夕刊)
☆『フェアプレー誓う静寂 浦和差別問題 J初の無観客試合』、『白票4万5098、投票の1割弱 大阪市長に橋下氏再選』、『来日12年半 横綱鶴竜誕生へ 「相撲をやってよかった」』、『セーラー服で踏み出す春 性同一性障害、岐阜の12歳が進学』『「乗り越えて」寄り添う両親』(24日付、中日朝刊)
☆『18歳少年 家裁送致 三重中3強殺 殺意は否認』(24日付、毎日朝刊)

三月二十三日
 大相撲春場所(大阪場所)は〝綱取り〟の大関鶴竜力三郎(28歳)が琴奨菊との大関対決を制して14勝1敗で初優勝、横綱昇進は確実となった。埼玉スタジアムではJリーグ史上初の無観客試合が行われ、浦和レッズと清水エスパルスが1―1の引き分け。
        ×        ×
 NHKの正午のニュース。
 それによれば、米国ワシントンD.C.のポトマック河畔で二千人が参加して桜祭りの開会式があった。百二年前に東京都からソメイヨシノが贈られ植樹されたのを記念して毎年、このころ開かれているが、ことしのワシントン地域は寒波に見舞われ、見ごろは例年より大幅に遅れ四月八~十二日ごろになりそう。
 席上、グレイ市長は「美しい桜はアメリカの優秀なる友人、日本からの贈り物だ」と感謝の弁。シーズン中は米国内外から百万人以上が訪れ、花見を楽しむという。
        ×        ×
 実家の紅梅と白梅、スイセン、わが家の白コブシ
 
 
 
 
 花といえば、きょう訪れた実家の庭の紅梅と白梅、黄色のスイセンには見とれた。「ウチのちいさな庭でも咲いているよ」の妻の言に帰宅し、あらためてみたのは春を告げる白いコブシで、これまた美しかった。

【きょうの一文・ことば】
「(予定される日米韓首脳会談では)未来志向の日韓関係への第一歩としたい」「(ウクライナ問題では)G7と緊密な連携を行いながら、ロシアとも意思の疎通を図っていきたい」「(サミットでは各国とも連携し)何よりも核テロ対策の強化を図りたい」=オランダでの核セキュリティーサミット出発を前に。安倍晋三首相
 より一層けいこに励んで。もっともっと頑張って強くならなければ。今まで以上に頑張って、とにかく皆さんに喜んでもらえるように、そういった相撲を一番でも多く取れるように強さも技も磨きたい。この気持ちを忘れることなく一生懸命来場所に望みたい。=NHKサンデースポーツで。優勝力士・鶴竜のことば

【新聞テレビから】
☆『桜は傷痕忘れない 陸前高田・一本道構想 名木が応援 集客期待=岩手県陸前高田市でNPO法人「桜ライン311」が津波の到達線上に。淡墨桜、荘川桜、四季桜= ❀悔しさが原点 ❀植樹まだ4%』、『新美南吉の命日は「貝殻忌」 半田市が命名』、『〈消費税8%へ〉駆け込み購入ピーク 3連休にぎわう売り場』『安さ求め大阪へ 中部ナンバー続々』(23日付、中日朝刊)
☆『第33回土門拳賞 桑原史成氏=1936年島根県津和野町生まれ= 写真展「不知火海」、写真集「水俣事件」』『にじみ出る患者の尊厳』、『池田 劇的集中打 「新やまびこ」で逆転 27年ぶりセンバツ白星(海南・和歌山3-4池田・徳島)』『粘り真価 豊川初勝利(日本文理・新潟3―4豊川、延長13回)主戦・田中投手は189球』(23日付、毎日朝刊)

三月二十二日
 ロシアのプーチン大統領がウクライナ南部、クリミア半島のロシア編入を宣言した問題でオバマ大統領が「ロシアの政府高官や同国の銀行などを新たに経済制裁の対象にする」と表明、EU(欧州連合)も対露追加制裁を決定すれば、ロシアはロシアで米政府高官らを対象にした報復制裁措置を発表するなど【制裁合戦】が泥沼化の様相を呈している。
 つくづく思う。人間とは。どこまでも愚かな存在であることを。所詮、どの国も自国権益のことばかりしか頭にないのではないか、と。いっそ、世界のこどもたちに互いの外交をやらせてみたらどうか、と。きっと友好、親善、博愛の模範を示してくれるに違いない。こども代表ばかりから成る国連本部を日本において世界の問題を討議させたらどうか、と。
        ×        ×
 なんで、こんな大役を引き受けてしまったのか。取り返しがつかない、とはこのことか。
 あのとき、ここ花霞町の二十五年度役員の皆さんがそろってわが家を訪れられ「出来たら、副総代を」とお願いされたとき丁重にお断りすればよかった、と。でも、今となっては、あとの祭りだ。ためいきばかりが出てしまう。かといって、地域社会は、こうした奉仕の精神がなければたちゆかない。誰かがやるしかない、と内心イヤイヤをする自身を鼓舞する一日となった。
 というわけで、きょうは新三役で所有地を花霞の資源ゴミ集積場として提供してくださっている地主さん宅へ二十五年度のお礼を兼ね、新年度もよろしくお願いします―と挨拶に伺い、引き続き福祉センターでの新年度の花霞町第一回役員総会に出た。新旧役員紹介に続き、二十五年度の決算報告、二十六年度の予算案承認、町費・町加入金、転入・転出者取扱い、二十六年度の資源ゴミなどの収集日程および当番、その他につき前任の町総代・岡本鉄雄さん、新総代となられた平井毅司さんを中心に熱心な討議が重ねられた。
 引き続き、来月十二、十三両日に迫った古知野神社祭礼を前に祭礼みこしの際の法被や豆絞り、お菓子、祝儀やお供え物など具体的な準備と当日の役割分担につき、当番の一組と花霞子ども会役員もまじえ夜遅くまで話し合われた。ここまできてしまった以上は逃げるに逃げられない。いいユーモア小説でも書くきっかけがつかめたら、と前向きに考えよう。
 それにしても私には、どこまでも似合わない要職である。ここは、皆さんの教えを請いながら切り抜けるほかない。

【きょうの一文・ことば】
 あの巨体で何回、空を飛んだことだろう。今月末で日本の航空会社から姿を消すボーイング747型旅客機。「ジャンボ」の愛称で親しまれた巨人機が、燃費の悪さで淘汰される。これも時代か。=22日付中日夕刊〈夕歩道〉から

【新聞テレビから】
☆『興正寺再び「離脱」公告 本山・高野山と対立激化』、『日米韓首脳会談 25日開催決まる』、『訪中の神戸大教授不明 中国出身、少数民族問題を研究』、『〈訃報〉名古屋バレエの礎 佐々千恵子さん=佐々千恵子バレエ団代表、21日死去。89歳。名古屋市出身=』(22日付、中日夕刊)
☆『〈チェック〉論文コピペ(コピー・アンド・ペースト、複写と張り付け) 検知システム導入進む 大学・研究機関危機管理で 3800万本の文献網羅』、『三宮から伊勢志摩へ 阪神・近鉄直通特急が出発』、『核テロ対策 首脳訓練』『核安保サミット 各国の認識共有』(22日付、毎日夕刊)
☆『浜名湖花博が開幕』、『猪瀬氏関係先を捜索 5000万円問題』(22日付、中日朝刊)
☆『クリミア編入 欧米と露、制裁の応酬 対象拡大に市場警戒感』、『星野監督「よう頑張った」 山崎さん引退試合に2.6万人』、『マレーシア機捜索続く』、『■皇太子さま「世界水の日」式典に出席』(22日付、毎日朝刊)

三月二十一日
 春分の日。
 とはいっても、あるテレビ局の女性キャスターが言っていたように日本列島は〈冬のようなお彼岸〉そのもので、ここ尾張地方も風の強い、とても寒い一日だった。報道によれば、急速に発達した低気圧が三陸沖を通過。北日本の太平洋岸を中心に雪を伴う強い風が吹き荒れ、岩手県久慈市で62㌢、青森県八戸市でも44㌢の積雪を記録。あすにかけ暴風、猛吹雪による交通への影響など警戒が必要だ、とのこと。春は、まだまだ、先である。
        ×        ×
 選手宣誓をする広島新庄高校の中林航輝主将と、「さあ、戦いだ」と開会式会場から去る各校ナイン=甲子園球場で。NHK画面から
 
 
 春はセンバツから、で第86回選抜高等学校野球大会が甲子園球場の開会式で始まった。全国から選び抜かれた32校の選手による入場行進に続き主宰者側、下村博文文部科学大臣らのあいさつに続き、選手宣誓へと続いたが、高校球児のさわやかな姿はいつみても心身をリフレッシュさせてくれる。
 春の息吹のなか、この地上のもの全てが生まれ変わって新しく一歩を踏み出すような、そんな気持ちにさせてくれるから不思議である。ことしは甲子園球場が誕生し、90周年の記念すべき年であるばかりか、かつて〝やまびこ打線〟が全国の高校野球ファンを痺れさせた徳島・池田高校も27年ぶりに出場、何かと話題の多い春の甲子園となりそうだ。
        ×        ×
 中日ドラゴンズ公式ファンクラブのお母さんでもある安江都々子さんの新しい〝居宅〟でもある江南厚生病院8階の緩和ケア病棟の807号室を訪れた。心持ち、やせられた気がしないでもない。でも、癌との壮絶な闘いに負けることなく、お元気そうでホッとした。
 私は妻(舞)の愛読書でもある長谷川町子さんの〈サザエさん〉を手に訪れ「読みたいときに読んで頂けましたら幸いです」と手渡すと「ありがとう」と喜んでくださり、嬉しく思った。
 あれやこれや、と私の近況を報告がてら話をしていると突然「イガミさん。あたし、治るかしら」とおっしゃるので「治ると思う。治るって。ここ二、三年がヤマ場で、これを乗り越え九十歳に達すれば=安江さんは確か八十三歳のはず=ガン細胞が、からだのなかで中和されてしまい、自然治癒します」などと自分の思った通りに話すと「そうかねえ。それならいいけれども」と言葉をつなぎ「あのねえ、ここを注射されている。だから、痛くはないのよ」と背中の部分をさすってみせた。
 回復を願うばかり、である。

【きょうの一文・ことば】
 みなさんの入場行進を見ていて、日本社会全体が未来に向かって弾んでいるような気がしました。スポーツは人に夢と希望を与え勇気づけてくれる大きな力があります。意志あるところ、必ず道あり。若者がひとつの志を持ったとき、その目標は半ば実現しているのではないでしょうか。=下村文部科学大臣。センバツ開会式でのあいさつ
 全国のみなさんに高校野球を見に行こう、と言ってもらえるように。自分たちの姿が夢を与える力となるよう、若者らしく、さわやかに清々しく正々堂々とプレーします。=広島新庄高校・中林航輝主将。選手宣誓で

【新聞テレビから】
☆『ビッグバンの前に宇宙が 佐藤さん=自然科学研究機構の佐藤勝彦さん=と〝原始重力派〟』(21日夜、NHK総合ニュース)
☆『琴欧引退栄光とけが 相撲は人生のすべて』『31歳これから恩返しを』『欧州勢初の大関 心体「限界」』『ブルガリアの父「判断信じる」』、『恩返しフルスイング 山崎きょう引退試合 背番「22」、中日と1日契約』、『「はだしのゲン」小中学校に返却 大阪・泉佐野市教委』、『17年ぶり審理公訴棄却 地裁豊田の祖父・孫殺害』、『名古屋駅リニア開業へ市素案 〈駅東側(桜通口ターミナルスクエア)〉〈駅西側(太閤通口)のターミナルスクエア) 直線通路で乗り換え楽々』(21日付、中日朝刊)
☆『〈分断 クリミアの衝撃㊤〉EUデモ隊に資金 ウクライナ政変3カ月前 ロシアの不信招く』、『名古屋・西区 中1男子飛び降り死 校舎内 部活で注意された後』(21日付、毎日朝刊)

三月二十日
 過去最大、95兆8823億円に及ぶ2014年度予算案が衆院本会議を通過、成立。消息を絶った北京行きマレーシア航空機について、オーストラリアのアボット首相が衛星画像で同機の残骸の可能性がある二つの物体をインド洋南部、オーストラリア・パースの南西2500㌔の海で発見した、と述べた。ただ、見つかった物体が残骸かどうかは、まだ確認されてはいない。
        ×      ×
 雨、雨、雨の一日。
 空も周りも、何もかもどんよりと暗く、気までが滅入りそうな、そんな一日だ。お天気次第とは、よく言ったものだ。
 それでも私は午前中、雨で晴れない心を打ち消しながら、社交ダンスのレッスンに草井公民館へ。ルンバ、タンゴ、チャチャチャの順でステップを踏んでいった。レッスンを終えるや、先生が私に向かって曰く。「ごんたさん、本当によくここまできた。出来るようになったじゃない」と。リップサービスとは知りつつ褒められて悪い気はしない。
 帰宅して携帯をチェックすると、ドラゴンズ公式ファンクラブのお母さん的存在で、このところは病魔と闘っている安江さんから留守電が入っていた。「伊神さん。わたし、きょうからは江南の厚生病院です」とのこと。安江さんは名古屋の国立病院に入院中だったはずだが……。そうか。どうしても病院のキャパに限度があるため、今度は厚生病院に入ることになったらしい。
 いずれにせよ、顔を出して、たとえ少しでも話し相手になって励ましてこなければ、と思っている。
 留守番電話と言えば、第76回ピースボートの船友仲間で藤沢市在住の津江慎弥さんからも。4月21、22両日に予定される熱海の会への出席の有無を聞いてこられていた。デ、折り返し電話し「出るようにさせて頂きます」と返事をさせて頂いた。津江さんは船上生活の時から一貫して、こうした世話役を買って出てくださっており、その豊かな人間性には、ただただ頭が下がるばかりである。
        ×        ×
 午後は、ずっと私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の新設コーナー【WORLD  WINDOW―世界の窓―】への原稿の投稿に追われた。本欄〈生きてゆく人間花たち/3月の唄〉を読んでくださっている読者の皆さまには、ぜひ余裕がおありなら〝世界の窓〟を覗いてほしい。第一弾で紹介させて頂いたネパールの詩人ビシュマ・ウプレティさんのネパール詩集『海』に続く公開で、今回はラム・クマール・パンディさんの詩『the  Himalaya』を世界に発信させて頂いた。

【きょうの一文・ことば】
 最後に白鵬関と相撲を取れたのが幸せでした。からだが思うように動けずに引退を決めました。終わりがきた、と胸のなかで感じました。相撲は自分の人生。今までも、これからも。=引退の記者会見で。元大関の琴欧洲

【新聞テレビから】
☆『マレーシア機残骸か 豪首相「衛星画像に物体」』、『「無関心一番怖い」 地下鉄サリン19年で慰霊式』、『元大関 琴欧洲が引退』(20日付、中日夕刊)
☆『ウクライナ 旧ソ連共同体脱退へ 米大統領「軍事行動しない」』、『一人でも笑顔 福島で(福島市立大波小学校の)卒業式』、『鳥取連続不審死 上田被告2審も死刑 高裁松江支部判決 控訴を棄却』、『ストーカー初の2万件 DV5万件に迫る 昨年認知件数』(20日付、毎日夕刊)
☆『トヨタリコール和解 米司法省と1200億円支払い』、『局長級協議再開合意へ 日朝、拉致再調査など議題』、『海軍施設一部占拠 クリミアで親ロシア派』『ロシア憲法裁 編入は「合憲」』、『旅立ちの日宇津井さん婚姻届 栄のママ=高級クラブ「なつめ」を経営する加瀬文恵さん(79)=、病床寄り添う』、『「定価倍にして5割引き品を」 楽天不当表示主導か』(20日付、中日朝刊)
☆『徳田虎雄氏を東京地検聴取 5000万円問題』、『ガーナ大使邸で賭博容疑 12人逮捕警視庁』、『基準内被ばく労災認定 労基署「原発作業、がんの原因』(20日付、毎日朝刊)

三月十九日
 湯本駅プラットホームで目にしたフラガール紹介看板と、ステージ入り口に掲げられたジャンボポスター
 
 
 きのう桜の開花宣言一番乗りした高知県に続き、きょうは福岡、佐賀、宮崎県でも桜が開花―
 新聞によれば、ウクライナ・クリミア半島のロシア編入を宣言したロシアのプーチン大統領が十八日、モスクワ「赤の広場」で開かれた集会に顔を見せ「クリミア(自治共和国)とセバストポリ(特別市)は、母港であるロシアに戻ってきた」と宣言。編入を支持する数万人の群衆から「ロシア」「プーチン」と津波のような歓声が上がったという。
 一方、クリミア半島でも十八日、プーチン氏による編入宣言を受け、多数のロシア系住民がロシア国旗を手に街に繰り出し、「最高の指導者だ」と大統領を称え、喜びに浸る姿が目立った。シンフェロポリ中心部のレーニン広場は深夜まで「ロシア、ロシア」の大合唱が響いた、と報道している。
        ×        ×
 きょうの師匠宅での横笛の個人レッスン。
 事前にICレコーダーに〈風の盆恋歌〉と〈さくら〉を自宅でふきこんで持参し、師匠に聴いていただいた。やはり、流れるような音色とは違ってキレギレの音である拙さを指摘された。ここは川の流れの如く、よどみなき音を出すことの大切さをあらためて強調され、私自身も納得したのである。
 それと。私が得意なハーモニカでも〈さくら〉を吹いてみて、ということになって横笛のあとで吹いてみたが、これがなかなか思うにまかせず「こんなはずではなかったのに」と自尊心を傷つけられると同時に少々、焦りもした。なぜ、こんなにたやすいはずの〈さくら〉が吹けないのか。
 そういえば、唱歌なら音譜なしの音感だけで大半の曲は苦もなく吹きこなせると思っていたのだが。よくよく考えてみると〈さくら〉に限っては、これまで殆どと言ってよいほど吹いたことがなかったことに気付いた。デ、次回の横笛の稽古の席で〈さくら〉をハーモニカでも改めて吹いてみる、ということになった。

【きょうの一文・ことば】
…でも、生かすも殺すも努力次第です。元ヤンキースの松井秀喜さんが話していました。「努力できることが才能である」って。同感です。=19日付中日夕刊〈この道 努力〉で。中山律子さん

【新聞テレビから】
☆『ウクライナ武器使用許可 クリミア兵銃撃され「自衛」』『米独がロシア非難 G7、24日対応策協議』、『ユニクロ 1万6000人正社員化』(19日付、中日夕刊)
☆『水平社宣言を世界遺産申請 奈良の財団など』、『更年期サプリご用心 服用後、不正出血 厚労省、注意呼びかけ』、『クリミア編入表明 ウクライナ駐屯地銃撃 2人死亡 ロシア軍包囲』『米欧が対抗措置強化』、『貿易赤字20カ月連続 2月8003億円、円安響く』(19日付、毎日夕刊)
☆『住宅、商業地とも上昇 三大都市圏公示地価 地方にも波及』『名駅西 人気超特急 リニア効果 地下伸び率全国一』『富裕層「億ション」回帰』(19日付、中日朝刊)
☆『露、クリミア編入へ 大統領権益を強調 「国家間条約」に調印』、『大学生内定率改善82.9パーセント』『高校生は20年ぶり90%台』(19日付、毎日朝刊)

三月十八日
 JR東日本・常磐線の相馬駅=東日本大震災と福島第一原発事故の影響で現在は当駅―原ノ町駅までの区間で普通列車が運行されているのみだ。
 
 東京都の都心は午前中から強風が吹き荒れた。気象庁は「関東地方に春一番」を発令。かと思ったら、愛知県がきょうの午後、微小粒子状物質「PM2・5」の濃度が基準値を超えたとして、県内初となる注意喚起情報を出し、不要不急の外出を控えることや窓の開閉を減らすこと、外出時のマスク着用などを呼び掛けている。発令対象は名古屋、一宮、瀬戸、半田、常滑各市など尾張区域の36市町村に及ぶという。
 プロ野球の大リーグ・レッドソックスの上原浩治投手が対カージナルスのオープン戦に出場、4試合連続無失点を記録、その勢いは留まるところを知らない。各報道で知る限り、新兵器であるカットボールによるところが多いらしい。
        ×        ×
 きょうは早朝から新年度の地元花霞町内会副総代として資源ゴミ収集作業の引き継ぎを現場で具体的に学んで受け、これを終えるや、今度は妻の定期受診で厚生病院へ。いったん帰宅し昼からは妻の父が眠る墓と私の父の墓へ。お彼岸を前に、ひと足早い墓参りで花を手向けた。
        ×        ×
 【癒し猫】の大役を果たしたシロちゃん
 
 この間、自宅で療養生活を過ごす義母の〝癒し〟にたとえ少しでもなるのなら、との妻の、突拍子もない発想でわが家の次女猫シロちゃんをビル5階の居宅へ連れ込んだ。妻によれば、シロちゃんを目にしたとたん、義母の顔が生き生きとして目がキラリと光り「〝ねねちゃん〟。〝ねねちゃん〟がきた」と語り、室内には安らいだ空気が漂ったという。
 実は義母宅では、かつて、いつも病床傍らで【癒し猫】となり続けていた白猫・ねねちゃんが居たが、その彼女も昨年末、高齢のため老衰で死んだ。このため、きょうは妻(舞)の発想でわが家の次女猫と一緒に見舞いに訪れた、というわけだ。
 私は外で待機していたので現場を見ることは叶わなかったが、義母が思いもかけていなかったシロちゃんを目の前に、長年連れ添った〝ねねちゃん〟と間違え「ねねが来てくれた、ねねちゃがきた」と思い込んだらしい。それはそれで良いと思う。いずれにせよ、きょうのシロちゃん。突然、車に乗せられ最初のうちはニャン、ニャア~ンと、なき続けていたが、大役を果たしてくれた。お疲れさま。 

【きょうの一文・ことば】
「…今、YouTube=〈被災地と塩屋埼灯台〉で検索=見ました。……3・10は東京大空襲。すでにこの日は忘却の彼方です。3・11はどこのチャンネルをひねっても特集を組んでいましたが、さまざまなことを教訓にしていかなければいけませんね。命の大切さを考える3月でした。伊神さんのレポート、お会いした時に詳しくお聞かせ下さいね。」=戦争を告発する一人芝居で知られる女優・片山美穂さん

【新聞テレビから】
☆『高知はもう春ですね❀ソメイヨシノ開花』、『PM2.5 愛知初の注意喚起』、『シッターの男を逮捕 埼玉、男児死亡 死体遺棄疑い』(18日付、中日夕刊)
☆『露、クリミア独立承認 大統領令署名 実質支配下に』『日本も対露制裁決定』、『南海トラフ 三重の死者5万3000人 県被害想定 全壊・焼失24万棟』、『衝突、沈没 8人不明』『神奈川沖 貨物船の12人救助』(18日付、毎日夕刊)
☆『世界最古 鳥の卵』『福井・勝山 1億2000万年前の化石』、『春へ急ピッチ アルペンルート』、『家族会、国連で解決訴え』『拉致問題 北と中国は反論』、『集団的自衛権の行使容認 自民、慎重論が続出』(18日付、中日朝刊)
☆『古里を思う心未来へ 岩手・大槌の吉里吉里中 郷土芸能伝承で復興後押し』(18日付、毎日朝刊)

三月十七日
 きょうの名古屋は18.8度まで上がり4月上旬並みの温度となった。もう春である。飛騨・高山でも15.8度まで上がったという。
        ×        ×
「面会は、(めぐみの)面影を残した孫ばかりか、ひ孫にまで会え、感動的な時間でした。本当に夢のような、長いこと願っていたことが実現した奇跡的な日でした」「昨年5月生まれのひ孫=ウンギョンさんの娘=が首を回す仕草は、めぐみが幼い頃、テレビの〈ひょっこりひょうたん島〉の歌に合わせ首をまわしていたころの表情にそっくりでして…」
 北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさん=失踪当時13歳=の父滋さん(81)と母早紀江さん(78)が今月十~十四日にモンゴル・ウランバートルで、孫でめぐみさんの娘キム・ウンギョン=ヘギョン=さん(26)らと面会していた件で横田さん夫妻がきょう、自宅のある川崎市内で記者会見。めぐみさんに関する安否のやりとりはなく「私たちからも(めぐみに関する)細かいことは何も聞かなかったが嬉しかった」と述べ、安倍首相も「面会できたと聞き、胸の熱くなる思いです」と語った。
 そうはたやすくはいかないだろうが、今回の面会がきっかけとなり、両国間の話し合いが進み、北朝鮮の拉致問題解消に一歩でも二歩でも進んでくれたら、と願う。十九、二十両日には中国・瀋陽での赤十字会談に合わせ日朝双方の話し合いがもたれる、とのこと。ここは、ぜひ日朝両国の政府間協議の再開にまでつなげてほしい。
 ウクライナ南部クリミア半島のクリミア自治共和国でロシアへの編入の可否を問う住民投票が行われ、地元選挙管理委員会によれば、ロシアへの編入支持が96.77%と圧倒的多数を占め「独立国家宣言」をした、という。今後は欧米諸国の反発のなか、ロシアのプーチン大統領が半島の編入をどうした形で認めるかどうか、にかかってきた。

【きょうの一文・ことば】
「われわれは勝利した。誰もこの勝利を覆すことはできない。わが家であるロシアに帰ろう」=16日夜(日本時間17日早朝)住民投票の投開票後に。クリミア自治共和国のアクショーノフ首相
「ちょっとは、負けず嫌いの性格になれたかな。まだ45歳。まだまだ、まだまだです。頑張りたい」=17日夜NHK総合『〈にっぽん紀行〉餅上げ京都伝統の真剣勝負!』のなかで。横綱に挑戦し惜しくも敗れた45歳の女性

【新聞テレビから】
☆『孫「めぐみに似ていた」 横田夫妻会見 ひ孫とも対面』、『ロシア編入95%支持 クリミア 住民投票、承認確実』、『(冬季パラリンピック・ソチ大会)平和願い祭典閉幕』(17日付、中日夕刊)
☆『■ファッション・ウイーク東京開幕』、『今世紀末(の日本では)6.4度上昇 最大値 洪水被害年6800億円 環境省予測』、『支援続ける杉さん、宮中晩さん会へ ベトナムと大親友国に』、『膝上15㌢で大丈夫? スカイマーク新制服 労組「セクハラ」「業務に支障」』(17日付、毎日夕刊)
☆『横田夫妻孫と面会 めぐみさん娘 モンゴル首都で』、『クリミア住民投票強行 ロシア編入承認は確実』、『全力で駆けた64年 一宮競輪、最終レース』『売店も閉鎖「残念だね」』(17日付、中日朝刊)
☆『名古屋ポカポカ しだれ梅見ごろ』、『横田夫妻「奇跡的」ヘギョンさんと対面 待ち望み11年半』、『NHK「真摯に反省」 佐村河内氏問題 番組で調査報告』(17日付、毎日朝刊)

三月十六日
 日曜日。中部ペンクラブ理事会と文芸セミナーに出席するため、愛知芸術文化センター12階のアートスペースE・F室に出向いた。このうち理事会では6月15日に名古屋市千種区のホテル「ルブラ王山」で開かれる第29回中部ペンクラブの総会はじめ、秋の文学散歩の内容などにつき熱心な討議が行われた。いつも思う。皆さん、本当に熱心である。
 この日は三田村博史会長から特に「20周年の時は、名古屋で全国同人雑誌大会をみんなで開きましたよね。30周年が近づき私自身、頭の中は今のところゼロですが、来年はいよいよ節目の年なので、やるならやる、でいきたく思っています。皆さん、何か企画がおありでしたら、そろそろ具体的なものを早めに考えておいてほしい」との前向きな発言があった。
        ×        ×
「パリ人の美的感覚はすばらしく、みなさん親切です」と語る若山紀子さん
 
 引き続き、詩誌「環」主宰で中日詩人会会員、中日詩賞受賞者でもある若山紀子さんを講師とした公開文芸セミナーがあった。若山さんは「あの頃の巴里と私―詩心を抱いて―」を演題に若いころパリに渡った日々を振り返り【「パリ生活は自分自身をかえる〝分岐点〟にもなりました。それまでの平坦な生活から一転し、自分で切り開かなければ何もできないことを痛感。帰国し詩集「ぶるうす」を出しました】などと語り、自分で道を切り開く力の大切さを力説した。
        ×        ×
 前代未聞の航空ミステリーとなり八日未明に南シナ海上空で行方不明になったままのマレーシア航空370便は一体どこでどうしているのか。マレーシアのナジブ首相によると、その後の調べで370便は八日午前一時半(日本時間同二時半)に交信を絶つ前に飛行高度や速度などを地上に知らせるトランスポンダやエーカーズなどの通信装置が切られ、機長も含めた何者かによるハイジャックの可能性も出てきているという。
 新万能細胞「STAP細胞」論文に対する盗用、ねつ造問題。「極めてずさんであってはならないこと。徹底的に教育し直さなければ」(野依良治理化学研究所理事長)の反省のなか、「小保方さん1人の問題ではなく、日本の科学界全体がこのままでいいのか、を問われている。野依さんや山中伸弥さんらノーベル賞受賞者も含め、日本の科学の権威が失墜した。簡単に乗せられたマスコミもマスコミだ。もっとしっかりした調査報道が出来なかったか」の声が上がっている。

【きょうの一文・言葉】
「今までは観察力だったが、これからは判断力、決断力が問われる。そういう全ての〝○○力〟を身に着けた監督になりたい。=16日夜のNHK総合サンデースポーツで。生出演の谷繁元信中日ドラゴンズ選手兼任監督
        ×        ×
詩「齧る」

もうわたしに
なにが残っているというの
100ワットの裸電球の下で
巴里は 凍えている
もっと もっと覗きこんだとしても
ポケットの中には
一フラン硬貨が二、三枚

今朝パン屋で固いパンを買って
市場で 安い梨をしこたま買いこんで
昼は 街を軒並み歩き廻って
そして夜は 安いぶどう酒を舐めて
わたしの胃袋はふくらんだけれど
わたしは
あれから一歩もふくらんでいはしない
巴里のみぞれ雨が
こんなにしつこく降りかかって
わたしは身ぶるいする
濡れそぼちながら
生きているということがこんなにもよくわかるのに
わたしの沈黙は 誰にもきこえない
……
=若山紀子詩集『ぶるうす〈齧る〉』より

【新聞テレビから】
☆『これが南京大虐殺 日記に兵士が生々しく記述―捕虜を大量射殺、年寄りも子どもも』『歴史学的にも確定した事実』(しんぶん赤旗日曜版3月16日号)
☆『アメリカ人もビックリ 小牧・田縣神社 豊年祭に19万人』、『不明機故意に通信切断 マレーシア首相 ハイジャック示唆』『通常は電源操作しない』、『ネイチャー「取り消しも」』『STAP論文で見解』、『「勝つ」(父の)遺影に誓い 吉田選手、悲しみ振り払う』、『心病むホームレス 野宿逆戻り「俺なんか…」 病院よりギャンブル』『全国に8265人 10年前の3分の1』(16日付、中日朝刊)
☆『クリミア きょう住民投票』、『小保方さん博士論文撤回の意向 早大側へ 別の文献と同一記述』(16日付、毎日朝刊)

三月十五日
 閖上さいかい市場。ここには復興酒店・佐々木酒造の店舗と地酒「浪の音」もあった=宮城県名取市で。3月10日写す
 
 
 
 1週間前の八日。クアラルンプールを出て北京に向かう途中、レーダーから消え消息を絶った、マレーシア航空機が依然、行方知れずのままである。その後になって、マレー半島沖に出る前に機上の何者かによって意図的に通信手段が切られ、同機はそのまま反対方向西海域のマラッカ海峡やアンダマン諸島、インド洋方面に六時間四十分にもわたって飛行を続けていた、ことまでが確認されたという。
 地元花霞町の役員総会に出席するため、市福祉センターへ。
 これまで全く無関心でいた私たちの住む町、花霞がこうした役員の皆さまの陰の汗と努力で動いている事実を痛いほど身に染みた。26年度の役員(副総代)を引き受けてしまった以上、いまさら断るわけにも行かず、あとはケ・セラ・セラである。それにしても、この役は私如きものにとっては荷が重すぎる。
 当面は四月十二、十三両日の古知野神社の祭礼に向けての準備に追われそうだ。
 ここは、前役員ら先輩各位に教えて頂いて何とかこなすほかない。昔、新聞社の七尾支局長時代に支局員の書く原稿のデスクワークはじめ、和倉温泉の三尺玉花火の協賛金集め―など多忙な業務の一方で、七尾港まつりの〝ちびっこ広場〟開催の企画から運営、実施まで全て陣頭指揮を取って飛び回っていたころのハードさに比べたら、どうってこともない気がせぬでもない。
 あのころは、そればかりか市民の市民による市民のための市民運動、マリンシティ-推進運動の先導にもなった長期連載企画「港の町づくり」を支局の総力をあげ展開したり、私の発想をもとに地元七尾青年会議所と一体になっての「海の詩(うた)大賞」の全国公募にも追われた。そのハードさにくらべれば町副総代という降って湧いた大役も皆さんに縋りながら、何とかこなせるかとは思うのだが。
 これも地域社会のためであることに変わりはない。
        ×        ×
 テレビニュースで昭和の寝台列車ブルートレインがなくなる、を歌い文句にした〈さよならプルートレイン〝あけぼの〟〉と、わずか五分間のドラマである山梨県側から望む【ダイヤモンド富士】、さらにはペルーのマチュプチュそっくりの兵庫と大分のオラが町のマチュプチュが、それぞれ紹介されていた。こういうのは、地域おこしにもなるのでイイナ、と思った次第。

【きょうの一文・ことば】
 寝台特急「あけぼの」、44年の旅終える。出発した1970年は宇津井さんも「ザ・ガードマン」で活躍していた。消えゆく昭和景色。=15日付毎日夕刊「近事片々」から
 ステキな彼氏が出来ますように、と祈りました。=ダイヤモンド富士を目の前に若い女性

【新聞テレビから】
☆『27歳駆け抜けた人生 一宮競輪あす終幕 父「息子忘れないで」』、『継承表明 朴大統領が評価』『河野談話 首脳会談へ前進か』『米報道官「歓迎」』、『異色の研究「バカンティ・マウス』『STAP論文撤回反対の米教授』、『けんか祭りだ山車絢爛 半田』(15日付、中日夕刊)
☆『ウクライナ先月の銃撃事件 飛び交う陰謀説 露と新政権 非難の応酬』『米露外相物別れ クリミア住民投票確実に』(15日付、毎日夕刊)
☆『STAP論文「ずさん」』『理研認める 著者3人撤回同意』『小保方氏「未熟だった」』、『夜9時からスマホダメ 刈谷市全小中高が家庭に要請』(15日付、中日朝刊)
☆『天に届け慰霊の神楽 あす南相馬で3年ぶり復活』『我が子よ見てくれ』、『STAP論文「重大な過誤」 理研中間報告 画像改ざん認定 小保方さんら撤回同意』『あり得ぬ行為 山中教授「残念」』、『白血病薬試験 東大病院「信頼損ねた」 患者情報ノ社に提供認める』(15日付、毎日朝刊)

三月十四日
 映画〈喜びも悲しみも幾歳月〉の主題歌が刻み込まれた記念碑。塩屋埼灯台は明治32年12月15日、東北の太平洋沿岸の灯台としては犬吠埼、尻屋埼、金華山灯台に続き4番目に完成点灯した=塩屋埼灯台直下で。2014年3月11日撮影
 
 かぜのとても強い、寒い一日となった。
 東日本大震災の被災地から戻り、このところ自ら撮影した写真やビデオの整理、小説の構想に追われた。きょうも【〈東日本大震災〉被災地と塩屋埼灯台/一匹文士・伊神権太】の題でユーチューブへのアップを一本だけ試みたが、なんとか公開にこぎつけた。一人でも多くの方々に本欄【生きてゆく人間花たち/3月の唄】とともに、ユーチューブの方も同時進行で見て頂けたら、嬉しく思う。
        ×        ×
 テレビドラマ「ザ・ガードマン」はじめ、「赤い迷路」「赤い疑惑」など山口百恵さん演じる「赤い」シリーズではヒロインの父親を好演、アクションものやメロドラマで活躍。最近ではテレビドラマ「渡る世間は鬼ばかり」の父親役でも定評があった名優、宇津井健さんが慢性呼吸不全のため、亡くなった。82歳だった。
 誠実そのものの宇津井さんは私の大好きなタイプの役者さんだった。またスポーツ界では長野冬季オリンピック団体の金メダリストで1994年のリレハンメル大会から五輪4大会に日本代表として出場した、ノルディックスキー・ジャンプの岡部孝信さん(雪印メグミルク)が今季限り、43歳での引退を表明。「一生懸命やってきたので何の後悔もない。自分でも驚くほどにさっぱりした気持ちです」と語った。

【きょうの一文・ことば】
 「(画像の転用や論文盗用など)期待を裏切る道義的責任については、責任あるコメントをするのが人の道だと思う」(中嶋岳志北大大学院准教授)
 「時代のなせるわざと言いますか。カルチャーが変わったな、と心配しています」(野依良治理化学研究所理事長)=いずれも14日夜、メ~テレ報道ステーションのニュース〈STAP論文に「重大な過誤」ずさんな審査 理研で何が…〉のなかで
 
【新聞テレビから】
☆『〈ソチパラリンピック〉男子回転座位 鈴木=鈴木猛史(25、駿河台大職)=金 日本勢3個目』『3度目挑戦 逆転で悲願 事故に遭った日にメダル』、『小保方氏、論文撤回の意向 STAP細胞 謝罪文書発表へ』『画像不適切と理研報告』、『首相「河野談話見直さず」 米韓に配慮、持論を封印』、『アンネ本破損容疑再逮捕 男の供述通り紙片発見』(14日付、中日夕刊)
☆『愛媛で震度5強 M6.2』、『教科書採択 国が初の直接是正要求 竹富町に 緊急事態と判断』、『追突直後、車内で心中か 愛知・江南 助手席女性、火を付け』、『センバツ 組み合わせ決定 豊川VS日本文理 三重VS智弁学園』、『東証一時400円安』(14日付、毎日夕刊)
☆『3650万円詐欺被害 中川・80代女性』、『浦和横断幕「重大な差別」 Jリーグ 無観客試合処分で』、『子育て減税手当可決 愛知県議会委 1人年額1万円』、『ドタバタ大阪都抗争 橋下氏VS風変わり新人「論戦を」』『「無意味」「税金ムダ」』(14日付、中日朝刊)
☆『東芝流出 元技術者の男逮捕 警視庁 秘密侵害容疑』『被害総額1000億円超 転職先へ賠償請求』(14日付、毎日朝刊)

三月十三日
 Jリーグはきょう、埼玉スタジアムで八日にあったサッカーJ1の浦和―鳥栖戦で「JAPANESE  ONLY」と書かれた横断幕を浦和サポーターが掲げたことを重視し、この表現が日本人以外はお断りと解釈でき差別表現だった、として浦和にけん責と無観客試合の処分を科す、と発表した。
        ×        ×
 依然、撤去されないままの瓦礫の山=いわき市四倉の被災地で=と、〝原発NO!〟を訴えた看板=豊間の塩屋埼灯台への「灯台入口」バス停近くに掲げられていた、いずれも11日撮影=
 
 
 警察庁の調べによれば、昨年一年間に岩手、宮城、福島の三県での震災関連自殺者は前年比十三人増の三十七人にも及んだ。このうち福島県での自殺者は二十三人を占め、前年比十人増。毎年増え続け、原発事故の影響で避難先での生活が長引いているのが影響しているという。
 警視庁が先日、都内書店への建造物侵入容疑で逮捕した三十代無職の男が、図書館で「アンネの日記」を破ったことを供述。新たな万能細胞「STAP細胞」を報告した理化学研究所・小保方晴子研究ユニットリーダーらが中心となって執筆した論文に対する画像のちゃっかり借用などの疑惑が日に日に露呈されるなか、交信が途絶えたままのマレーシア航空370便の行方は依然、わかってはいない。一体全体、航跡と機影はどこに消えてしまったのか。

【きょうの一文・ことば】
 …食費は切り詰めて、月一万円。小麦を練って、パスタやナンにして食べました。車が福島ナンバーだったからか、入ったお店で「放射能を持ち込まないで」と言われたことがありました。日本中が不安だったころですが、やっぱり悲しかった。…=13日付、中日朝刊『〈助けてくれたあなたへ 被災地からの手紙③〉和の鼓動これが私』の中から。宮城県亘理町 唯野清香さん(36)のことば

【新聞テレビから】
☆『死なせることできなかった 「雨の狩人」連載を終えて 大沢在昌』『アンネの日記破損示唆 書店侵入容疑逮捕の男』、『不明機? 海に浮遊物』(13日付、中日夕刊)
☆『川内原発優先審査を決定 規制委 夏にも再稼働』、『STAP論文「取り下げやむなし」 神戸の理研センター長』『NYアパート爆発 3人死亡、60人以上負傷 ガス漏れ』(13日付、毎日夕刊)
☆『3・12忘れない 長野・栄村地震3年』、『「STAP細胞根幹不変」 共著者、作製は事実と訴え』、『規制委事務局の独立形骸化? 原子力推進官庁へ2割戻る』(13日付、中日朝刊)
☆『〈思い重ねて 東日本大震災3年〉津波で妻と長男失った石巻の漁師 「頑張り足りぬのか」 ローン重く、魚価も低迷』『双葉病院が福島県提訴 「発表は虚偽」』、『東京五輪 理事に秋元氏ら 組織委人事 蜷川実花さんも』(13日付、毎日朝刊)

三月十二日
 東日本大震災で破壊される前の町の写真を展示。津波で破壊された街ではガレキも撤去され、復興作業が進んでいた。犠牲者に向け花が供えられ、手を合わす。名取小は無人。二宮尊徳像が寂しそうだった=名取市日和山で

 
 

 死者1万5884人、行方不明者2633人、震災関連死2916人、避難者26万7419人(いずれも警察庁と復興庁調べ)に及んだ東日本大震災からきのうで丸三年がたった。
 ということもあって、八日から大震災の被災復興現場を見て歩いてきた。むろん被災現場からの目線で見て、感じた、伊神権太の小説世界の創造を頭に描いての旅である。
 久しぶりに目の前にした被災地。そこでは今なお悲しみ、悔しさが連鎖を呼び起こすなか、それでも誰にも話せない苦しみを乗り越え「前」に向かって生きていかなければ―といった人びとの懸命な思いが、行く先々で伝わってきた。
 
 2011年3月11日午後2時46分。
 東日本大震災が発生してまもない、二週間後。私は、それまでの記者職から既に開放されてはいたが、まだ新聞社にいたこともあり休みの二日間を充て被災地に飛んだ。あの時、東北新幹線の行き止まり、那須塩原駅からフロント部分に「緊急」と書かれた臨時バスに飛び乗って郡山経由でいわき市入りした。
 こうした体験もあって当時目にした四倉、豊間、小名浜…の海岸線沿いに広がった被災地のその後の復興の様子を自らの目で確かめなければ。そして、家という家、多くの人々が津波に流され、破壊された町をじっと見守り続けてきた塩屋埼灯台にも会わなければ、と。そんな思いから訪れたのである。
 初日は夜遅くいわき駅に着き、ここのカプセルホテルで一泊。このカプセル、正式名は「キュアいわき駅前店」で、駅前交番で教えて頂き利用したが、若いスタッフの応対が誠にてきぱきと手際よくて気に入った。
 翌日は、いったん湯本に出たあと亘理へ。ここで代行路線バスに乗って山元町を経て相馬へ。相馬駅前の相馬ステーションホテルで一泊。翌日の朝早く、ホテルを出た私は相馬発の路線バスで再び亘理へ。ここで常磐線に乗って名取駅で下車。700人以上もの多くの人々が波にのまれて犠牲になった広瀬川河口部分(名取川)海岸線一帯の被災地を訪れた。
 名取では駅でタクシー1台をチャーターし、被災現場を一望できる日和山=火折山とも=から復興が進む一帯を望み見た。引き続き建物だけが残された閖上小学校、土産物店が並ぶ閖上さいかい市場へも。ここで地酒「浪の音」を購入したことは言うまでもない。仮設住宅にも立ち寄った。
 きょうのところは、その他、被災現場の写真のごく一部を紹介。東日本大震災への鎮魂としたい。
        ×        ×
 被災後の復興を見守る塩屋埼灯台。国民的歌手だった故美空ひばりさんの〈みだれ髪〉の舞台として知られる
 
 夕日に染まった雲と海。一夜明け、塩屋埼灯台展望台から眼下に広がる四倉・豊間地区
 
 
 依然、ガレキの撤去が進む
 
 整然と整地された被災地と、進む復興作業
 
 手つかずの豊間中と校門部分の碑文
 
 
 JRいわき駅の夜の看板
 
 幸せを運ぶとされる〝笛吹き少年の銅像。湯本駅前でみつけた
 
 いわき市の珍味【めびかり】の素焼き=市内で。ただ放射能汚染の影響で福島産の水揚げはなく、もっぱら茨城、静岡産によっているという
 

【きょうの一文・ことば】
「つらい。辛いです。でも、(この悲しさ、苦しみ、思いは)誰にも話せません。一番大切な人を守らなきゃいけないのに、守れなかった。」(東日本大震災で妻とお腹にいた長女を失った男性)
「どうせ他人ごとなのだから。どんなに口で繕ってくれたところで、私たちの今の気持ちを分かってくれる人なんて、いやしません。」(長女がいまも見つからないままの夫妻)
「アタシ、ひばりちゃんとは同い年なの。ちっちゃいころは、よく箒をマイクがわりに、りんご追分や東京キッド、越後獅子などを歌ったものよ。あらっ、ひばりちゃんがアナタとアタシを会わせてくれたんだ。お帰り、すぐそこまで送らせて頂きます」(いわき駅前で。JR泉~いわき駅までご一緒した女性)
「うちは長女が2011年3月3日のお雛さまに生まれ、桃葉と名付けました。その直後の11日に大震災に遭いましたが幸い、四倉から東京日本橋まで続くロッコク道路(国道6号線)がガードとなり、助かりました。奇跡としか言いようがありません」(いわき市内の大衆酒場店長)

【新聞テレビから】
☆『福島忘れない 英で追悼』、『マラッカ海峡まで捕捉 北京行き不明機 数百㌔逆に飛行?』、『ウクライナ協議 米ロなお平行線』(12日付、中日夕刊)
☆『自動車・電機高水準ベア 一時金満額相次ぐ 春闘集中回答』、『黄砂高濃度で急患増 国立環境研 汚染物質付着か』(12日付、毎日夕刊)
☆『〈被災地からの手紙 助けてくれたあなたへ②〉未来僕らがつくる 宮城県女川町 千葉洸星君(15)』『3・11 失われた命 思い続ける』『〈東日本大震災3年〉止まった故郷「私は変わる」』『浪江の准看護師 亡き家族に誓う』、『未来へ語り伝える 政府主催追悼式で』(12日付、中日朝刊)
☆『〈東日本大震災3年〉生涯吹き癒やす 天国の娘よ聴いて 釜石の49歳 思い出の笛の音』、『悔しい でも前に』『お父さん私は大丈夫だよ 福島の遺族代表 田中友香里さん』、『STAP論文撤回視野 理研「指摘受け止める」』(12日付、毎日朝刊)

三月八日
 たったいま、地元の祭礼説明会から帰った。
 午後一時から四月十二、十三両日に迫った春祭りを前に、古知野神社内、江南会館であった祭礼の子ども会みこし説明会に花霞町の副総代として出席したため、である。これから、創作のための取材を兼ね、東日本に旅立つため、本欄【生きてゆく人間花たち】は帰るまで、しばらく休載させていただく。
 何より現場を歩き、自らの目で確かめたいことが多々、あるためだ。いつまでたっても現場百回の気持ちは大切だからである。
                ◇        ◇
 伊神権太の連作長編小説「マンサニージョの恋」(クリックしたら、見られます)=全国書店とアマゾンで発売中
 
マンサニージョの恋
・幻冬舎ホームページ
・amazon

        ◇        ◇
【新聞テレビから】
☆『乗客と乗員計239人を乗せクアラルンプールを飛び立った北京行きマレーシア航空が連絡絶つ』(8日正午のニュース、NHK総合)
☆『被災サングラスと走る 名古屋ウィメンズ がれきから戻った「相棒」』『あす号砲』、『ソチパラリンピック開幕』(8日付、中日朝刊)

三月七日
 東京地裁はきょう、過去17年に及ぶ逃亡の末に出頭してきたオウム真理教元幹部・平田信被告の裁判員裁判で懲役9年を言い渡した。
 ウクライナ南部クリミア自治共和国でのロシアへの編入是非を問う住民投票はウクライナへの主権侵害だ―として米国が対ロシアへの制裁発動を通告。ウクライナ情勢が混迷の一途をたどっているなか、ソチではあす八日未明に冬季パラリンピックの開会式が始まる。平和の祭典の一方での、欧米とロシアの対立。早く円満解決への道をとれないものか。
        ×        ×
 近鉄が大阪市阿倍野区に建設した高さ三百㍍と日本一高いビル「あべのハルカス」がきょう、開業(これまで最高は横浜ランドマークタワーで二百九十六㍍)。うれしい話題の一方で、同じ大阪は淀川区の阪急十三駅すぐ西側の飲食店街でけさ火災が発生し、少なくとも店舗など十一棟計約千百平方㍍が焼けたという。

 「両耳の聞こえない作曲家」として知られていた佐村河内守さん(50)。その佐村河内さんの楽曲が別人の作品だった問題で本人が東京都内で記者会見。「私のうそでご迷惑をかけ申し訳ありませんでした」と謝罪した。
 うそ、嘘、ウソが続き人々は、その【うその海】の中を生きている。
 日本も、世界も、見苦しい事件や国際緊張ばかりが次々と地獄の炎の如く、わきあがってくる。この世は地獄か。とはいえ、森羅万象もの皆すべてが、自然が為すこの世の摂理なのだから、と簡単に言い切るわけにもいかない。一体何が、ニンゲンたちをこれほどまでに醜きイキモノにしてしまったのか。私には、そこが分からない。

【きょうの一文・ことば】
 全人類は科学の恩恵に浴しつつも同時にまた科学恐怖の夢に脅かされている。恩恵と迫害との二つの面を持つ科学、神と悪魔との反対面を兼ね備えている科学に我々はとりつかれている。かくのごとき科学時代に科学小説がなくていいであろうか。=7日のNHK第二ラジオ『カルチャーラジオ〈文学の世界・怪奇幻想のミステリー〉』のなかで。日本SFの始祖として紹介された海野十三(うんのじゅうぞう、または、じゅうざ)の言葉
 我々は、ソチ冬季五輪のパラリンピックに参加します。我々のことを覚えていてもらうために。そしてウクライナを覚えていてもらうために、です。=パラリンピックの入村式で。ウクライナ選手代表
                ◇        ◇
 伊神権太の連作長編小説「マンサニージョの恋」(クリックしたら、見られます)=全国書店とアマゾンで発売中
 
マンサニージョの恋
・幻冬舎ホームページ
・amazon

        ◇        ◇
【新聞テレビから】
☆『「じじい部隊の苦闘」原発の町に残る駐在員▽野生動物に汚染水…初の長期密着取材』(7日夜NHK総合、〈NHKスペシャル〉)
☆『武功夜話物語 その135 武功夜話を読む(須賀弘之) 第二十二(2)江南縁の七人の戦国武将 秀吉を支え続けた前野長康』(7日付、尾北ホームニュース)
☆『米、対ロ制裁発動を通告 ウクライナ情勢 首脳が電話会談』『EUも制裁合意』『クリミアの市議会住民投票参加決議』、『「聴覚障害なし」手帳を返納 佐村河内さん謝罪』、『また不審火 稲沢で4件』(7日付、中日夕刊)
☆『日本一のノッポビル開業 大阪・あべのハルカス』、『米大統領「ウクライナの一体性侵害」 露大統領に 対話解決促す』『「ウクライナ政府冷たかった」「露入りで生活良くなるのか」 クリミア住民投票割れる世論』、『〈東日本大震災3年〉語り部40万人を案内 3県で270人 6割は60代以上』、『政府、通貨と認めず ビットコイン公式見解』(7日付、毎日夕刊)
☆『「社会に報復したかった」 柏殺傷容疑者 4件関与認める』『ミュージシャン目指して上京 犠牲の池間さん』、『中国人船員に禁錮3年 栄福丸判決「規則順守 意識欠く』『6人の命失われたのに』(7日付、中日朝刊)
☆『クリミア16日住民投票 繰り上げ実施 ロシア編入問う』『米が対露制裁発動』、『iPS細胞 パーキンソン病臨床へ 来年申請 京大が手法確立』(7日付、毎日朝刊)

三月六日
 啓蟄。
 冬眠していた虫が外に這い出てくる、と言われる。が、まだまだ寒い。
 寒いといえば、私は冬期間、氷点下5~10度がふつうの満州は瀋陽(奉天)で終戦翌年のこの日に生まれ、その後、着の身着のまま命からがら母の胸に抱かれ日本の舞鶴港に引き揚げてきた。というわけで、きょうは私の誕生日。こうして生きていること自体、奇跡に近い。
 誕生日なぞ、自分の口からは恥ずかしさもあって、ひと口も話しはしていなかったのに。夕飯にひそやかながら赤飯をたいてくれた妻(舞)の気持ちが、うれしかった。
 今夜のNHK総合テレビのクローズアップ現代。
 尖閣諸島や竹島、慰安婦問題などでこのところ急速に冷え込み、緊張関係にある日韓、日中間の問題はじめ、安倍首相の靖国神社参拝を巡っての日米間に生じた亀裂、さらには沖縄基地の今後、NHK籾井新会長らの勝手極まる暴言…など。当面する諸問題にまでそこそこ踏み込んでの内容で、どこかホッとさせられた。今夜の番組に関しては、社会の公器としてのNHKの姿勢に誠意を感じた。これならば心配ない。
 それにキャロライン・ケネディ大使の真摯な受け答えも、さすがはケネディ家ならでは、〝ケネディ・スピリッツ〟というようなものを感じたのである。これを機会に日韓、日中、日米間に再び友好の機運が芽生えることを心から願う。
        ×        ×
 きょうも社交ダンスのレッスンに始まり、多忙な一日となった。なんだか遊び人のようでもあるが、実はそうでもない。この【生きてゆく人間花たち】の紙面では書けない、大半が秘密に閉ざされた、多くの波に洗われながらの一日が、また一歩前に進んだ。

【きょうの一文・ことば】
「(米軍普天間飛行場の名護市辺野古への基地移設問題について)稲嶺進名護市長の情熱と決意には感銘を受けました。日米同盟の強化を考えながら、基地が現地に与える負担を軽くしなければ、と思いました」「日韓両国とも民主的で言論の自由もあり、法治国家です。良好な関係は日、米、韓国の国益にもかないます。日韓関係を改善すれば、オバマ大統領もその成果を歓迎すると思います」
「強固な米中関係は日本にメリットを与え、強固な米日関係は中国にメリットを与えます」「私の父(故ケネディ米大統領)は好奇心の旺盛な人だったと母が言っていましたが、私も好奇心旺盛です」「私たちは同盟国であり、友人、強固なパートナーであればこそ〝自分たちの声〟を明確にし、地域の情勢を難しくするのはやめて、前進しなければならない」「(東日本大震災の現場を訪ねた感想につき)勇気と苦難をはね返す力に敬意を表します」
「日本の女性の持つ可能性を全て発揮すれば、すばらしい成果を与える、と信じています」「私は言葉、そして人の思いが力を持っていると思います。アメリカ民主の最高機関は市民です」=6日夜、『〈NHKクローズアップ現代〉日米関係はどこへ キャロ%