詩「~遠い日のこと~」

あれは遠い日のこと
ホームで一人列車を待つ君
何気なくかけた言葉に振り向いた笑顔
かわいいえくぼが
春の陽射しのように眩しかった

あれは遠い日のこと
海辺のテラスでお茶を飲むふたり
「あの船に乗ったらどこの国にいけるのかしら」
夢見る少女のような君の瞳
赤いサンゴのネックレスが
白い波に映えていた

あれは遠い日のこと
落ち葉の歩道
風が冷たいからと
僕のポケットに手を入れた君
肩先に触れる柔らかな髪が
バラの花のように甘く心に匂った

あれは遠い日のこと
  あれは遠い日のこと

そして君は今 僕の横で眠っている
子供のように
小さな寝息をたてて