あぁ~大震災を悼む 笛猫野球人間日記/5月15日

平成二十三年五月十五日
(この日記はアタイ=こすも・ここ=が、お父さんの「私」になりきって書き進めています。ごくごく、たまにアタイそのものが出てくることがあります)

 『ねぇ~』   こすも・ここ
 

       『なぁに』  シロ

 甲子園での阪神―中日戦。中日は二回に1点先制したものの、四回裏にマートンに適時打を打たれ同点に。五回と八回にも1点ずつ加点され3―1で負けた。中日はエース吉見がよく投げたが、敗戦投手に。阪神はメッセンジャーが2勝目、藤川も今季6セーブをあげた。中日の連勝は3でストップ。

 ウサマ・ビンラディン。彼の存在は(死んでいようが、生きていようが、だ)私にとっては永遠の人物である。記者小説集「懺悔の滴(しずく)」(人間社刊)のなかの“再生”でビンラディンの思いを代弁し執筆してから早いもので、まもなく七年になる。
 なぜ、こんなことを書くかーといえば、昨日付中日本紙夕刊を読み返していて、十三日朝、パキスタン北西部にある訓練施設で起きた自爆テロ(死者八十人、負傷者百四十人中四十人が重体)が実は、先に殺害されたウサマ(ビンラディン容疑者)の殉教に対する最初の報復であるーとイスラム武装勢力「パキスタンのタリバン運動」(TTP)が認めたとの報道があったからである。TTPは「パキスタンとアフガニスタンでのさらに大きな攻撃を待つように」と新たなテロ攻撃を予告しており、まさに刃には刃を、といった情勢が続いている。
 ビンラディンの殺害が返って、報復の連鎖を招いている。今さら取り返しはつかないが、オバマ米大統領はなぜ、殺してしまったのか。身柄を確保するわけにはいかなかったのか。あらためて残念なことをしたものだと思う。こんご、さらに多くの殉教と犠牲をもたらすことは、目に見えている。

 【きょうの1番ニュース】わけあって、織田信長の側室・吉乃(きつの)が住んでいた江南市小折の生駒屋敷跡や、吉乃の眠るお墓、生駒氏の氏神で信雄(のぶかつ、吉乃の次男)の守護神・龍神社などを、郷土史にくわしい歴女・ノリさんの案内で、いっとき巡ってきた。
 ノリさん曰く「私はむろん、吉乃にも興味がありますが、それよりも吉乃の兄である家長さんに関心があるのです。彼は、いわば信長のパトロンで家長さんの存在がなければ歴史は変わっていたと思います」と。.
 なんだか、江南に住む女性たちが神々しく見えてきたのである。

☆「3・11から 日本の底力信じる ビル・エモットさん」、「福島・飯館村 計画的避難きょう開始 全村規模 移転先確保は難航」、「東日本大震災で被災し、手書きで発行を続けた石巻日日(ひび)新聞社(宮城県石巻市)の「壁新聞」が十四日、横浜市の日本新聞博物館で展示された。二十九日まで。=この項、通風筒」、「6億円強奪 屋外消灯の30分後犯行 近くで時機うかがう?」(15日付、中日朝刊)

平成二十三年五月十四日
 きょうは、テレビもラジオも、ケータイのドラゴンズ情報もこちらから見るのではなく、ニュースか何かで自然にドラの結果を知ることができたら、と思う。それよりも今の私には、もっとしなければならないことが山ほどあるのだ。携帯電話やポケベルがなかった時代に帰り、ただラジオやテレビから流れくる音声、それこそ、そうした自然のなかのニュースに身を任せたいのである。
 結果は、午後9時過ぎ、風呂上がりの私にMがポツリとひと言漏らした言葉から分かった。彼女は言った。
 「ブランコさまさまよね」と。えっ、と言うことはドラゴンズが勝ったということだ。「デ、何対何なのだ」と問うと「4―3だよ」「ほんとにブランコさまさまなのだから。それに何とかいった、その外人選手も打ったんだってよ」の返事。「なんで、おまえ、知ってるのだ」には「ニュースで言ってたよ」だってサ。
 私はMの、この言葉に急に壮快になり、あらためて本当かどうかをドラゴンズ情報で確かめてみた。Mの言うとおりで二回にブランコが打ち、八回にはグスマンがそれぞれ甲子園球場でホームランを放ち、七回には代打堂上剛の適時二塁打なども加わり、勝っていた。チェンが勝利投手、岩瀬が6セーブ目、ドラゴンズは3連勝し勝率を5割に戻した。敵地での勝ち試合だけに、なんだか阪神ファンのみなさんには悪い気がしてしまう。

 一宮に少し寄るところがあり、帰り道に市内の本屋に顔をのぞかせたら、東日本大震災の被災地の写真集が各社とも先を争うどころか、所狭しーと並んでいた。被災地の写真集だけに、いち早く発売された河北新報の報道写真集同様、記録性のあることは間違いない。だが、あのように各社ともガンクビをそろえて並んだ写真集を見ると、なぜかしら違和感のようなもの、それはある種、怒りに煮たようなものが、心底から湧き上がってきたのは、なぜか。
 これまでも何度もテレビの映像として映し出された壊滅した町や村、港、川、小学校、田や畑、病院、空港、住宅街…を記録に留めることも大切だが、それよりも被災地に咲いた一輪挿しのような明るい話ばかりを一冊にまとめられないものか。と、素直に思う。いまは壊滅した町や村よりも生きて残った、生きようとするひたむきさにこそ、光りを当てるべきではないのか。
 これまで読んだ新聞各紙から拾っただけでも、十分一冊の写真集になるはずだ。久しぶりに戻ってきた家族や友だち、職場の同僚たちの笑顔、主人と再会した飼い犬、避難所での炊き出しや整髪ボランティア、被災地を励ますプロ野球の慈善試合、世界中で繰り広げられている義援金受け付け、慈善コンサート、原発の村への一時帰宅、小中学校の入学式、再開した授業、ガレキから出てきたアルバムなぞ宝物の数々、仮設所設置と設置に伴う移転、被災地に咲いたスイセンなどの花々、不幸のなかで芽生えた恋……など。いっぱいあるはずだ。

 【きょうの1番ニュース】本屋で見た夥しいほど多くの痛ましい写真の数々。そんななか、私は週刊新潮5月5・12日発売のゴールデンウイーク特大号ワイド集・追憶の3・11の見開き紙面に見た2匹の犬に心引かれた。
 「原子力明るい未来のエネルギー」と書かれた町の入り口に掲げられたスローガンを背に何も知らない二匹の犬が放射能汚染で無人となった双葉町の町並みを後ろにカメラのレンズに目を注いで立つ、といった構図である。そして、今一枚。それは同じ放射能汚染でひとっこ一人いなくなり取り残された浪江町の牛舎に放置されたままの目玉の無くなった牛の死骸だ。二枚とも、放射能汚染にうろたえた醜いニンゲンたちの身勝手さを暗黙のうちに告発している。撮ったのは私も知る、あの南慎二カメラマンである。無人の現場でとらえた見事な写真で、「さすがだ」というほかない。4月2日撮影となっていた。
 Mが江南市生涯学習教室のフォークダンスに参加。東公民館までかなりの距離を自転車で往復した。フォークダンスは元々大好きだけに、久しぶりの復帰に拍手を送りたい。

☆「津波生還(地元夕刊紙、岩手東海新聞=釜石市=の千葉東也)記者 その瞬間 冷静さ欠き『死ぬかも』 『取材に欲 判断ミス』斜面のロープつかみ助かる」、「浜岡原発が全面停止 5号機も作業完了」、「福島原発で作業員死亡 機材運搬中体調不良に 放射性物質付着なし」、「大船渡・越喜来(おきらい)地区 元気の未来予想図」(14日付、中日夕刊)
☆「出荷停止後 命絶ったキャベツ農家 父ちゃん原発に殺された 妻の時間止まったまま」、「福島原発事故 工程表 大幅見直し 燃料溶解 データ再検証」、「浜岡4号機 原子炉停止 中電5号機も作業開始」、「満潮 沈む気仙沼 震災死者1万5千人超す」
 「丸栄、百貨店業撤退も 栄の本館ビル建て替え 親会社方針」、「三重知事 年収1375万円へ 700万円減案を来月提出 全国で最低」(14日付、中日朝刊)

平成二十三年五月十三日
 中日が阪神を甲子園で4―2で破った。ケータイ中スポのドラゴンズ情報によれば、この日、甲子園の観客数は4万1873人。端数まで発表されているのが、いじらしい。この数では絶対にないことが分かっていながら観客一人ひとりを大切にしている表れにも思われ微笑ましいのだ。
 この日のドラゴンズは、力のあるネルソンが投げ、四回と六回に各1点を取りラッキーセブンの表には谷繁に貴重な2ランが出て4対0に。阪神はネルソンに代わった浅尾に八回、3連打を浴びせ2点差、2死満塁と迫ったが、あと1本が出ず、最後はストッパー岩瀬で締めた。ネルソンは今シーズン2勝目、岩瀬も5セーブと、ここに来て、なんとなくドラゴンズのパターンが戻ってきた。

 中電は、この日午前、これまで稼働中だった浜岡原発4号機(出力一一三・七万キロワット)の発電を停止し、まもなく原子炉も停止した。あすには5号機の運転も停止予定で、これにより、定期検査中の3号機も含め全面的に停止することになる。私は内心で正直、4号機を止めようとしても止まらず、福島原発のように原子炉が暴れ出し手がつけられない状態になるのではないかと心配していただけに、まずはホッとした。
 ところでこうした不気味でなにやら危うい世相のなか、日々女性たちにとって、この辺りでは貴重な“女子会”、いや団らんの場にもなっているというMの営むリサイクルショップでは、早くもこの夏の節電をどうしたらいいか、を巡ってピーチクパーチクあひるの子の状態だそうだ。Mはその中でどんな顔をしているのだろう。

 【きょうの1番ニュース】本日午後、人事部の女性が私のもとを訪れ、「これが最後です」と一片の紙切れを置いていった。よく読むと、紙切れではなく一枚の文書で、それには次のように書かれていた。
 「高年齢雇用継続給付金について、同封の通知書のとおり支給が決定しましたのでお知らせします。……なお、高年齢雇用継続給付金は65歳到達月まで支給されることとなっておりましたので、今回で終了です。…」
 ニンゲンとは、どんなに元気であろうが、だんだんと周りから殺されていく。人間として価値のない物体に変えられていくものなのか。支給決定の「支給」が「死球」に思われてきた。私にとっては前代未聞ともいえる、先の健康診断での初めての『再検通知』にせよ、今度の文書にせよ、見えない神がどこかで一人のニンゲンを消していくために画策しているのではないか。私にはそう感じられてしまうのである。他のニンゲンたちとて、同じか。

☆「格納容器水漏れ 福島第1・1号機 圧力容器にも穴」、「警備会社で6億円強奪 男2人組が宿直員殴る 被害国内で最高額 東京・立川 3億円以上過去4件」(13日付、中日夕刊)
 「浜岡4号機発電を停止 中電原子炉に制御棒」、「夏の15%節電決定 政府・東電、東北電の管内で エアコン控え扇風機 冷蔵庫詰め込まない」(13日付、中日夕刊)

平成二十三年五月十二日
 本日付の中日スポーツ1面は、十三日から甲子園で始まる阪神3連戦を前に、「貯金作って交流戦!!」「森野が打ち」「三本柱(ネルソン、チェン、吉見)が抑え」「虎を3タテ」と分かりやすい。ドラゴンズファンなら、誰しも、この見出しと記事には、願望も込めウンウンとうなづいて読んだに違いない。
 中スといえば、中日選手を直撃するインタビュー企画「旬激―竜戦士を直撃」が、読ませた。中国六大学リーグ2部の岡山理大に進学した際、「うちの高校の方が強いんじゃないかというぐらいのチームだった」「休部を機会に野球を辞めて、草野球でもやろうかと思ってたんです」と話す三瀬孝司(三十五歳)。そんな彼の野球人生を辿る世界は、それこそ見出しにある通りの「雑草野球人生」で、名もなき多くの人々の共感を得る内容ともいえる。
 夕刊紙面によれば、米大リーグのドジャース・黒田がパイレーツ戦に先発して2―0で勝ち、4勝目をあげた。

 月日はきょうも、どんどんと見知らぬ道へ、と入ってゆく。そこには、想像もつかない世界が待っているや知れぬ。押しても引いても、なかなか思うようにいかない福島第1原発事故と人間たちとの闘いをみていると、そんな気がしてくる。暴れだした原発を本当に制御できるのか。

 【きょうの1番ニュース】中日本紙夕刊で久しぶりにイズミちゃんの原稿を目にし、心がなごんだ。記事は軟派トップの「虹 いま寄りそう」で気仙沼・避難所理容店から発信された「時忘れる 心の散髪」である。
 イズミとは、中スの元競馬記者でもあった小塚泉記者。昭和六十年代のはじめ私が七尾支局長当時に“七尾”を駆け出しに、記者の道を走り始めた。誰も知らないが、あのころ彼は、一日の仕事を終えた後、夜遅くまで来る日も来る日も自発的に中日春秋や天声人語を書きなぞる努力の記者でもあった。
 ある日、長い一日を終えていつものように深夜、支局のシャッターを閉め帰ろうとしたところ、酔っぱらいが近くの御祓川に落ち、おぼれそうになっていた。着の身着のまま、飛び込んで自らもびしょ濡れとなって川に飛び込み、助けあげ、地元・七尾警察署長から感謝状までもらった男だ。他の同僚記者たち同様、時には延々と続く夜討ち朝駆け取材にも耐え、厳しかった私に歯を食いしばってついてきてくれた。

☆「福島第1の周辺汚染 居住域も地表高濃度 チェルノブイリ時 強制移住の対象」、「心打つ伝統 雨の開幕 岐阜・長良川鵜飼 避難の被災者を招待」、「パキスタン情報機関元長官に聞く 『軍も潜伏情報知らず』 ビラディン容疑者殺害 米の単独作戦批判」(12日付、中日朝刊)
 「伊勢湾台風被害を電子化 高潮痕 カラー画で 京大教授 津―碧南110枚 現在と対比」、「中部ペンクラブ文学賞に 宇佐美(宏子)さんの『裸身』」(12日付、中日夕刊)=心からおめでとう、宇佐美さん!

平成二十三年五月十一日
 きょうの北陸シリーズ(富山球場)も昨日の金沢球場に続き雨のため中止。このしわ寄せは、当然の如くペナントレース後半の十数連戦という形で、ドラゴンズに重くのしかかってくる。でも、そのことは、やむをえまい。それにしても、北陸シリーズでは二日間とも試合前のファンを対象とした練習見学会が予定され、公式ファンクラブからも精鋭スタッフ三人が出向いていたのに…。あ~あ、とため息だけが出てしまう。ただ、自然の仕業だけに、どこに怒りをぶつけるわけにもいかない。
 東日本大震災から、丸二カ月が過ぎようとしている。この日、仙台球場では楽天―日本ハム戦があり、楽天が1―0で日本ハムを下し、それまでの連敗を4で食い止めた。勝利投手になった永井怜投手は、観客に向かって「まだまだ皆さん、苦しいのに、こんなにもたくさんに見て頂けて幸せです。やりました! 」と声を限りに叫んだ。

 外は雨の音が一日中する日であった。警戒区域に一時帰宅した福島県川内村の方々の、全身頭まで白装束の防護服ですっぽり包んだ被災者の姿の写真を見るにつけ、胸が締め付けられる思いがしたのは私だけであろうか。政府によると、昨日一時帰宅した九十二人全員が放射性物質の除染の必要はなく、除染した持ち出し品もなかったというが…。このところ気にかかるのは、雨の中に含まれているであろう放射能である。なぜか雨中の放射線量についての発表は、ない。発表した場合のパニックを恐れて政府が発表を控えている気がする。

 【きょうの1番ニュース】わけあって、昼食時に社近くの中日病院に出向いた。
 だれにも信じてもらえないかも知れない。長年、新聞社が経営する病院でありながら、私がこの病院に行ったのは、きょうが初めてだ。地方記者生活が長く、健康診断は、その土地土地でしてきたのと十五年ほど前、本社勤めになってからも健康診断は本社内であり、どこも悪くはなく、行く機会は皆無だったからである。それが、今回は意地悪な再検を指摘され、初めて行かざるをえなくなった。
 病院は、どうして、どこもかしこも、こんなにも混んでいるのだろう、というのが率直な感想で待つこと二時間以上、やっとのことでとりあえずの再検日時を決め社に戻ると、ちょうど四時だった。それにしても、本音をいえば。再検の必要などないはずなのに…。それは私が一番知っている。他人に私の大切なからだに触れてほしくもないのだ。それとも、私が健康すぎるので、誰かがいよいよいじめにかかってきたのか。帰宅しMにぶつぶつ言うと「(再検を)やるの」のひと言で片付けられた。

☆「祈り 震災2ヵ月 11万人なお避難所生活」、「イージス艦衝突事件 自衛官2人に無罪判決 検察側の航跡図却下『漁船に回避義務』 横浜地裁 海難審と逆の判断」(11日付、中日夕刊)

平成二十三年五月十日
 プロ野球北陸シリーズの初戦、金沢でのヤクルト戦は雨のため中止になった。せめてあす、富山での対戦は、今シーズン早々からヤクルトには負けが込んでいるだけに、対戦して勝ってほしいのだが。
 乏しいプロ野球ニュースのなかで米大リーグのレッドソックスが球団スポンサーの食品会社を通じて東日本大震災の被災地に500ミリリットルの飲料水10万本を寄付した、と発表。松坂の呼びかけで実現したもので、試合前のセレモニーに参加した松坂は「協力に感謝している。これからも、ファン、球団とともに支援を続けていきたい」と話したという。

 日本では福島第1原発から半径二十キロ圏内の警戒区域にある福島県川内村の住民がきょう、警戒区域に入り一時帰宅した。同区域に指定された九市町村で初めての一時帰宅で、滞在時間はわずか二時間。持ち出しは、縦横七十センチのポリ袋一枚に入る分量に限定されたという。
 新聞の表現を借りれば「川内村の村民が入った民家は、石垣や屋根が崩れ、ブルーシートが掛けられた家もあり、震災の爪痕が残った。住宅近くの畑は放置され、菜の花や雑草が生い茂る。道端の自動販売機は電源が切れ、張り付けられた広告も敗れたままだった。」

 そんな福島の現状のなか、本紙夕刊文化面の「頭を下げて返す 福島の姿 胸に 国は目を覚ますべき時」(中村文則)には感動した。
 「…注意深く見ると、頭を下げる東電の幹部達に対して、頭を下げて返す県民の方々の姿があった。絶対に許せない相手であっても、頭を下げてきた人間に対しては、人間の礼儀として、頭を下げて返す。冷えた避難所の中で、厚着をした方々が善良にも頭を下げて返す映像を見ながら、何だか泣けてきた。」と書いていたが、なんだか、分かる。筆者が福島大学に四年間通い、土地の人々と共に暮らした過去があるだけに、よけい実感として迫り、とてもさわやかで気持ちが満たされ、心までが伝わってくるよい文だった。

 【きょうの1番ニュース】ネパール・カトマンズから一時帰国中の、その女性の言は、次のようなものだった。
 「ネパールの人たちは、日本みたいにいろいろなものに恵まれてないので、あまり欲がない。欲のない分、気持ちにゆとりができ、相手のことも思う、不思議な感覚に陥ってしまう。でも、これでいい。幸せは自分の近く、足もとにあって、普通に、平凡に生きてゆくことがどんなに大切なのか、を実感している。
 こんなネパールで過ごすうちに、幸せの本当の意味をあらためて考えるようになった。いま思えば、日本にいたころ、私は自分のことしか考えていなかったようだが、逆に日本の場合は、テンポがはやくて、それこそ自分磨きとか、自分のことしか思っていなければ生きてはいけない。」
 これは日本人に対する痛烈なアイロニーでもある。欲が欲を生む国。そんなニッポンに誰がした。この国に住む愚かなニンゲンたちではないのか。どうにも制御ができない状態の原子炉、放射能汚染だって、そうなのだ。

☆「福島第1原発20キロ圏 警戒区域初の一時帰宅 2時間めど 川内村の92人」、「『薬取りに』『猫心配』 とにかく帰りたい 帰宅説明会『自己責任』反発も」、「東海市の刺殺 知人の男を逮捕 愛知県警殺人容疑『刺していない』否認」、「東電社長が報酬返上 原発賠償、政府に支援要請」(10日付、中日夕刊)

平成二十三年五月九日
 月曜日でプロ野球の試合はひとつもない。なんとなく、それだけで気分が安らぐ。
 それでも、朝刊に目がいけばきのうの巨人戦に触れ「竜連敗脱出」「荒木意地の二点打 『絶対かえす』誓い」とか、同じく途中降板した日本ハム・斉藤佑樹投手にふれ「斎藤佑 抹消へ」「左脇腹痛 10球で降板 『申し訳ない』落胆」といった見出し、さらには同じ“ゆうちゃん”でも破竹の勢いのオリックス・西勇輝投手に関しては「西 開幕4連勝」「勇ちゃん『ついている』」と見出しは正直だ=いずれも中日朝刊=。これが、同夕刊になると「斎藤佑 全治2、3週間」とより詳しい。
 夕刊では、ほかに「松坂 ほろ苦3勝目 『母の日 白星がプレゼント』 球速、球離れ改善 6回5安打4失点」と米大リーグのツイング戦に先発したレッドソックス・松坂選手についてボストン・フェンウェイ・パークから伝えている。

 夜のニュースで中部電力が午後開かれた臨時取締役会で先に菅直人首相からあった浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止要請を受け入れる旨を決めた、とのニュースが流れた。八百長問題を受けて興行色のない異例の大相撲技量審査場所がきのう、東京・両国国技館で始まり、初日は7場所連続優勝を目指す横綱白鵬が小結豊ノ島を押し出し、好スタートを切った。

 【きょうの1番ニュース】息子が風邪を引き、近くの町医者へ。Mは何も大きな総合病院ばかりでなく、たまにはこうした町医者こそ大切だ、と。私が「みんな弱いな。大事にしなければ」と話すと、彼女曰く「あなたが一番、弱っちなんだから。人のことを言えた義理じゃないわよ」と。

☆「モンゴルに核処分場計画 日米、昨秋から交渉 原発ビジネス拡大狙い 福島事故受け批判必至」(9日付、毎日朝刊)
 「ビンラディン容疑者 生前『最後』の音声声明 『米は安全の夢見られぬ』」「ブッシュ政権高官ら 収容所の『拷問』正当化 『ビンラディン殺害に直結』 暴露文書も『機密指定』 拘束の実態不透明」、「もう一つの被災地 長野・栄村 『忘れないで』ブログ発信 移住の大学准教授 支援者と住民 橋渡し」、「知人男性の行方追う 東海市の男性刺殺」、「岡田茂名誉会長死去 東映任侠実録路線ヒット 87歳」(9日付、中日夕刊)

平成二十三年五月八日
 きょうのナゴヤドームは、ドラゴンズが巨人に6―0で完勝し川井が今季初の勝利投手となった。三回に荒木の犠飛で先制、五回には荒木、井端の連続適時打に森野が2ランで続き、6―0で勝った。森野は、十九試合ぶりの本塁打。この日はたまたま、公式ファンクラブ事務局が会員増強などで大変、お世話になっている新聞販売店の従業員代表をドームにお招きした日でもあり、目の前で打ち、走り、守るドラ戦士に歓喜する場面が相次いだ。なかでも女性は母の日のピンクの帽子をプレゼントされ皆、大喜びだった。
 ことしのセントラルリーグはヤクルトと広島が強いので、その分バラエティーに富んでいる気がする。そのヤクルトと広島戦が松山球場で行われ、3―3で引き分けに。テレビの野球解説者によると、今シーズン、広島が強いわけは、初回の得点が多く、既に初回だけで25点もあげている、という。先手必勝というやつだ。
 私が大好きな、三重・菰野高出身のあのオリックス、笑顔の投手・西は、ほっともっとフィールド神戸で先発し、ロッテを下し(4―3)て4勝目をあげた。このまま突っ走れば、今シーズンのシンデレラボーイ間違いなし、だ。彼の笑顔の投球を見ていると高校球児が、そのままプロ野球界に飛び出してきたような、そんな感じがするのである。日本ハムのルーキー、斎藤佑樹投手は、札幌ドームでソフトバンク戦に先発したが、一回裏をゼロ点に抑えたところで、わき腹に違和感を感じ途中退場、しばらく2軍落ちになる。

 母の日。東日本の被災地で地震に、津波に、貴重な命を落とした母たちは一体、何人に及ぶだろうか。テレビのニュースで今なおガレキの残るわが家に膝まづき白のカーネーションを手向ける姿が新たな涙を誘った。たとえ、この世から去ろうと。被災者一人ひとりの心に「母」は、いつまでも残っているに違いない。合掌―

 ここまで書いたところで、アタイ(こすも・ここ)が急にニャアーゴ、ニャアーゴと主張を始めた。
 「アタイたちにも、ひと言いわせてください。アタイも、妹のシロちゃんにも本物の母はいたんだよね。でもサ。アタイとシロにとってのお母さんは、ここまで育ててくれたMのおかげなのだから。だから、アタイたちにとってのお母さんはMなの」

 【きょうの1番ニュース】というわけで、お父さん、ナゴヤドームの帰りに名鉄江南駅で下りると、いつも乗るはずの定期バスをやめ、あるいて帰り始めた。そして昨年、カーネーションを買った花屋に行ったが、既に店は閉じたあと。それではバローにとも思うが、もはや八時を過ぎている。で、もう少し歩いて探すことに。しばらくして花屋さんをやっと見つけた、と思うや店の電気が消えた。それでも、オトンはめげず玄関先で「あの、カーネーションいただけませんか」と大声をあげたんだって。そしたら再び、店の明かりがパカリとつき、カーネーションを買うことができたのだそうです。
 帰宅したお父さん曰く「これは、オレさまから、おまえへの一生に一度の花だ。毎年、これが最後だと思って贈るカーネーションだ。だって、一年先、オレはこの世に生きているとは限らないから」だってサ。
 そういえば、Mは息子たちからも、ミニバラやら、招き猫の幸せ陶磁器などをもらったんだってよ。いいな、お母さんって。お父さんのお母君は、Mから何か贈られたみたい。

☆「中電 浜岡停止 結論先送り 顧客、地元、株主『広範囲に影響』」「中電会長、カタールへ 火力燃料LNG調達交渉」「4000人『原発要らない』 渋谷デモ」、「母の愛 強く 大きく おなかの命に 亡き母の名を 宮城・石巻の女性 励まし胸に」「『原発から子を守る』 親たち3000人廃炉訴え きょう名古屋でパレード」(8日付、中日朝刊)

平成二十三年五月七日
 昼過ぎ。新聞社で本日付中日スポーツの公式ファンクラブ会員紹介コーナー・ファンクラブ通信で紹介した原稿2本の公式ファンクラブホームページへのアップを終えたところへ、胸のなかのケータイメールが鳴った。
 開くと、公式ファンクラブの母とも言われる・安江都々子さんからのショートメールで「こんにちは、今、淡路の佐野運動、公園にてー試合応援してます、海は、すぐ横快晴一回表1点先行です、明日まで応援して帰ります、先発岡田ですー」(原文どおり)とあった。
 淡路、と聞いて「いいなあ。それも海の横だなんて」と先日、東日本を襲った地震津波の恐怖も忘れて、うらやましく思う。

 私のなかでは自然と、能登の七尾時代に私が提案し地元JC(青年会議所)の若者たちと共に実現させた「海の詩(うた)」大賞公募の第1回大賞作品(当時、東京都小平市立第1中学校1年・本藤理恵さんの「海は なぜ広いの」)のフレーズが頭をよぎった。
―海は なぜ広いの
 それはすべてのいのちのはじまりだから
 海は なぜ青いの
 それは 地球をかこむカーテンだから
 海は なぜすきとおってるの
 それは 心だから

 海から いのちは はじまった
 みんなの海 広い海
 そんな海が
 ぼくらへ よびかけている
 ……

 私は、新聞の切り抜きに続き、月刊ドラゴンズの「ファンクラブだより!」の執筆など仕事を一段落させたところで、ショートメールをこう、打ち返した。
 「きょうは、淡路の女ですね。海とかぜに染められ、ますますお美しいに違いありません。ボクは、今まで社で原稿書きをしており、いまはドームに向かっています。」
 安江さんからは、この後、「3時半ごろ、3対3引き分けで終わりました。」の簡単な続編が再びショートメールで入った。

 この日、ナゴヤドームでは、四月の中日スポーツ月間MVP・谷繁選手に対するファンクラブ会員プレゼンターからの表彰が行われ、ドーム1番ゲートを入ったところでは球団の東日本大震災義援金受け付けを助ける会員ボランティアらによる協力呼びかけもあった。肝心の試合は、ドラゴンズの先発ネルソンが好投し巨人小山らとの投手戦となったが、九回表にネルソンが坂本に決勝の4号ソロを打たれ、2対1で涙をのんだ。

 夜、少しだけ疲れたからだを引きづるようにして、帰宅後に見たテレビがNHKスペシャル「巨大津波“あの日何が起きたのか”」で津波の怖さをあらためて思い知った。黒い、夥しい津波が海岸線から町や田畑をのみこんでゆく姿に、それでもMは「海は、なんにも悪くないのよ。なんにも悪くない」と繰り返していた。中日、毎日とも夕刊1面で「浜岡停止受け入れへ 中電が取締役会…」(中日)の展開だが、夜のNHKニュースは「結論は先送り」の論調だ。結果がどうなるにせよ、中電は停止すべきだ、と私は思う。人の命と、経済優先(自社利益優先)のどちらを取るか、だ。私は家での電力使用を半分にするようMに提言。これまで、これは私たち自身にも責任があるのだが、「飽食時代の過剰電気の使用料」で、中電には料金を払いすぎてきたきらいがある。

 【きょうの1番ニュース】けさの中日新聞特報面に、やっと「忘れられた被災地」いわき市が、福島・いわき北部ルポ記事として掲載され、安堵した。他紙は、まだ載っていないはずだけに、今後、風評被害などいろいろ問題が出てくることを思えば「よかった」と思う。この地には、あくまで私が小説家・伊神権太として個人的に三月二十六、二十七日にいち早く入ったが、いわき市内は人一人として歩いておらずゴーストタウン化した市街地はじめ、海に面した久之浜、小名浜、四倉…と惨憺たるありさまだった。欲を言えば、美空ひばりの歌「みだれ髪」の舞台で知られる塩屋岬直下の町が殲滅(せんめつ)同然と化し、かなたに立つ塩屋埼灯台が無言で泣いていたーといったような、そんな生きた情景描写もほしかった。

☆「浜岡原発 全面停止へ 首相、中電に要請 東海地震『対策が不十分』 安全重視した決断」「夏の節電 必須 昨夏並み猛暑なら 供給力ぎりぎり」、「『忘れさられた被災地』今も 福島・いわき北部ルポ」、「『初めまして、山本省吾です』 2勝目は本拠ハマ初(白)星 光る変化球8回1失点(横浜が阪神に3―1で勝つ)」(7日付、中日朝刊)
 「大好きな学校でなぜ…大川小の集団避難 津波迫る川へ向かった 息子失った両親悔しさぬぐえず 津波想定 避難路なく」、「平泉、小笠原諸島 世界遺産登録へ 来月」(7日付、中日夕刊)

平成二十三年五月六日
 ナゴヤドームでのドラゴンズ対巨人戦。チェンと内海の投げ合いになったが、結果は3―0で巨人の勝ち。4安打で今季初登板のチェンを、勝たせられなかった。チェンは0―0の7回裏、安打と2四球で1死満塁とされ、坂本の中前打で先制の2点を許した。さらに、この回、巨人は河原から押し出し4球を選び加点。巨人の先発、内海はドラゴンズを6イニング3安打無失点に仕留め、3勝目をあげた。巨人はナゴヤドームでの対中日戦を9連敗で止めた。
 今シーズン、活躍が目立つのが、岩手県出身のヤクルト・畠山選手だ。いまのところ、3割8分3厘、本塁打6本という記録を残している。2001年に専大北上高から入団。入団会見で「将来は、ヤクルトの四番打者になりたい」と話していただけに、夢が叶ったといった感じだ。

 二日の八十八夜、三日の憲法記念日、四日のみどりの日、五日のこどもの日に続いてきょうは立夏。さすがに吹くかぜはさわやかだ。だが、福島第1原発周辺では、こうして吹くかぜも放射能汚染されているとなると、なんとも言葉を失う。人間たちの叡智を集めて生まれた放射能が暴れ、どうにもならなくなっているのだ。これは自然界の仕返しであり、ある面では深入りしすぎた人間にとっては、自業自得の所業と言われたところで仕方がない。
 昼食に出て社近くを歩いていたところ、元カイロ特派員で海外事情にも詳しい論説のある人物に出くわしたので「丸腰のウサマ・ビンラディンを、どうして殺害しちゃうんだ」と言葉を投げると、彼曰く「アノネ。殺すことはクリントン(大統領)のころから決まってたそうですよ」と。分からないでもないが、それにしても単純過ぎる。ということは世界の為政者たちには憎悪しかないのか。直接問いただすことを、すべきではないか。

 【きょうの1番ニュース】菅直人首相が夜、記者会見を開き、静岡県・浜岡原発について今後、発生する可能性が高い東海地震や津波に対して十分な安全性が確保されていないことを理由に稼働中の4、5号機を含め「すべての原子炉を停止すべきだと判断した」と表明。中電に全面停止を要請した。

☆「ユッケ食中毒 捜索へ 本社や卸売業者など 業過致死傷害容疑 死亡は4人に 生肉衛生基準 罰則も 厚労省」、「当初から殺害命令 ビンラディン容疑者」、「一度は断念 息子夫婦が励まし ホタテ養殖 再起決意 石巻の漁師『やれるとこまでやるか』」、「両陛下が岩手入り 千葉、茨城、宮城に続き4県目の被災地訪問 11日には福島県にも」(6日付、中日夕刊)

平成二十三年五月五日 
 いまは午後六時過ぎ。きょうはあすの朝、自宅で中日スポーツを読むまでは辛抱しよう、プロ野球からはずっと離れていようと心に決めながらも、(そういえば明日は休刊日で、わが家に新聞は届けられない、と)わが手はついつい、ケータイ中スポのドラゴンズ情報を開くはめに。
 でも、先発館山らヤクルト投手陣にブランコ、荒木、和田と怒りの本塁打攻勢をかけ、これまで連敗が続いていた神宮でヤクルトに8―2で勝ったと知った時は、それこそ、両手を力いっぱい挙げて「バンザイ」を三度ほど繰り返したい気分になった。ほんとうに、勝ってくれてよかった。嬉しかった。これが能登半島だったら、まだこれからというのに、バンザイ三唱をするとは不謹慎だ、ユルセナイ、ダラ! と顔をしかめるファンもいるに違いない。能登では、バンザイは両脇を開くので脇が甘くなる、と極力控えるからである。
 ガムをペチャクチャとかみながら打席に立ち、こうした品のない姿が大嫌いな巨人・小笠原選手が東京ドームの阪神戦で史上38人目の通算2000安打を達成した。あまり好きでない選手だが、快挙に関しては、おめでとうと賛辞を贈りたい。それも1736試合での到達で川上哲治、長嶋茂雄、張本勲に次ぐ歴代4位のスピード記録だけにすごい。

 こどもの日。NHKテレビの朝のニュース番組のなかで被災地に住む小学生の少年野球チームを紹介していたが、最後に子どもたちがこぶしを空に向けてふりあげ「そら、を見ろ。オレたちの可能性が無限大に広がっている」と叫ぶ姿には正直、感動した。NHKといえば、正午前の番組「被災地 再起への記録」でも、夏の甲子園まであと20日に迫った大槌高校野球部の足跡を収録、ある高校球児が「(大震災が起きるまでは)野球するのが当たり前でしたが、今は一瞬一瞬が大切なときです」と語る姿が身に染みた。
 きょうは午前中いつもの習いで新聞をしっかり読んだ。先日、米特殊部隊により、イスラマバードの北約60キロのアボッダバードにある居宅(3階建て)で殺害された国際テロ組織・アルカイダの最高指導者、ウサマ・ビンラディンが実は殺害されたとき「武装していなかった」と各紙とも報じており、こんご「だったら、なぜ武器を持たない容疑者を射殺してしまったのか」。その正当性が国際論議を呼びそうだ。私は、まだビンラディンの死を、とても肯定するわけにはいかないのである。その死を、全く信じてもいない。そのうち、必ず何か思いがけない新事実が露呈される、そんな気がしてならないのだ。

 新聞といえば、中日も毎日も被災地のこどもの「願い」や「夢」を紹介していたが、この子らが今後たくましく、かつ幸せに育ってくれることを祈らずにはいられない。そういえば、今井美樹さんが「歌でつなごうー被災者の皆さん」の番組のなかで「私たちが逆に(被災者のみなさんから)大きな力をもらっています。どうか、どうか、心を強く あしたという日を信じて生きていってください」と話していた。
 新聞をしっかり読んだあとは、かつて信長の居城があり、平成元年に建て替えられた清洲城へ。城のなかを見て回ったが、戦国の世が目の前に生きて、浮かんでいるようで、楽しいひとときとなった。このところ、信長にはかなり詳しくなってきたが、小和田哲男さんの「詳細図説・信長記」(新人物往来社)を一冊購入しておいた。

 【きょうの1番ニュース】能登に出かけた三男坊が、七尾の「わくうら印刷」から電話してきた。かずちゃん(一之さん)や、彼のお母さんから、随分とよくしてもらったようだ。この場を借りて心からお礼を申し上げたい。それから、電話でかずちゃんと話し合った際、デカ山花火がことしは中止になった、とのこと。あの花火は、めでた花火で私が七尾支局長として在職中、JCメンバーや、町の商店主、北陸電力、和倉温泉の旅館などからお金を寄せて頂いて実現したいきさつがあるだけに、残念である。それとも、ことしは東日本大震災の発生で自発的に自粛したのかもしれない。

☆「町を元に戻したい 避難所の子どもたち願いは 友達と一緒に運動/勉強がしたい」、「福島第1原発 高台25メートル削り建設 元東電幹部 津波軽視認める」、「『生食』牛肉 出荷ゼロ 集団食中毒 基準違反に罰則なし」「死者3人に 富山で40代女性」(5日付、中日朝刊)

平成二十三年五月四日
 ガックリだ。何ががっくりか、と言えば。わがドラゴンズが神宮のヤクルト戦でまたしても4―3で負けたからだ。あ~あ、ため息とは、こうしたとき本当にからだの底から、マグマの噴煙の如く立ち上がってくる。あ~あ。つまんない。何が得で、こんなに応援しているのかーと、つい愚痴まで言いたくなってくる。これでヤクルトには5連敗。昨季からだと8連敗だ。
 風貌から気質まで私が大いにかっている岩田が先発しながら、だ。負けてしまった。岩田、そして三番手の平井投手ともどもホワイトセルから2号、3号ホームランを打たれた。8イニングを5安打2失点に抑えたヨシノリ(由規投手)に勝ち(3勝目)を譲ってしまった。またヤクルトの林昌勇は通算100セーブとなった。
 東京ドームでの巨人―阪神戦。九回裏、途中出場の巨人・実松が今季初打席で無死一、三塁から阪神藤川のフォークを左中間に運ぶ値千金のサヨナラ打で4―3で巨人が勝った。実松にとっては、野球人生最初の晴れ舞台だ。これだから面白い。
 

 午前中は昨晩の二日酔いを覚ましがてら、ウサマ・ビンラディン関連の各紙を読み漁った。昼からは、「武功夜話」の舞台となった江南市内の生駒屋敷跡や久昌寺などを半日がかりで探して回った。生駒屋敷は、信長の公室、吉乃(きつの)が暮らしていたことで知られるばかりか、桶狭間の戦いを前に軍議が開かれた場所だったことは知る人ぞ知る、有名な話だ。私の住む町に、信長、秀吉が戦国の世に躍り出てきた舞台があったとは、と思いをあらたにした。

 土地の人々にあれやこれやと聞きながら、あちこちと車で巡っている間に何度か携帯電話にメールが入ってるので何ごとかと開いてみると、小中陽太郎さんからだった。
 「権太さん、孫とヤクルト戦だ」に始まったメールは「谷繁元信凡退、1対1だ、好天気、ビールがうまい」「ここ神宮は大興奮して孫アイスクリーム、じじビール。目の前にイム・チャンヨン、神宮だぞ、ここから夜は韓国人特派員の送別会」とメールは計三度きた。
 でも、最後はドラゴンズの連敗にあきれ返ってか。何も言ってこなくなってしまった。あ~あ、また負けてしまった。小中さん! せっかくお孫さんと観戦なさったのに。ごめんなさい。思いどおりにならないのが、また人生か。

 【きょうの1番ニュース】三男坊が能登・七尾へ一泊二日の旅に出た。彼にとっては、生後一歳から小学二年の七月までを過ごした忘れられない土地で、いわばふるさとへの凱旋行ともいえる。七尾では日本で一番大きいデカ山まつりのさなかだ。久しぶりに見る能登。ふるさとの山や川、海が彼の目にはどのように映っただろうか。天気もいいし最高の旅になるように。

☆「ビンラディン容疑者殺害 幹部集結 緊迫の40分間 オバマ大統領『陣頭指揮』」、「ソニー 情報流出1億人超か 米子会社、2460万人分も」、「復興祈願のぼりたなびく 半田・亀崎潮干祭」(4日付、中日朝刊)
☆「ビンラディン容疑者殺害いくつかの謎 ・イスラム社会では必ず土葬 なぜ水葬に ・本当に本人といえるほどの鑑定が行われたのか 『緊迫し、みな息のむ』 ホワイトハウスその時 はしゃぐ米国に違和感」
 「沈黙の後 大統領『我々は彼を仕留めた』 暗号名『ジェロニモ』 ビンラディン容疑者 殺害へ訓練重ね」、「津波に耐え 陸前高田スイセン」、「警戒区域 一時帰宅 足が不自由 対象外 緊急時を懸念 母娘『一度でも…』」(いずれも4日付、毎日朝刊)

平成二十三年五月三日
 中日ドラゴンズは神宮でヤクルトと戦い、5―3でやられた。敗戦投手は河原だった。これで開幕以降、ヤクルトには4連敗、借金は再び1となった。好材料は野本が五回に石川から今シーズン第2号の本塁打を放ったことぐらいか。今季、優勝するには苦手のチームをつくってはいけない。のに、だ。

 ウサマ・ビンラディンが、なぜ、どうして。(新聞、テレビで殺されたと報道されたのか)
 一日中、この思いが頭を堂々巡りする一日だった。なぜなのだ。どうして。なぜ。私には、ビンが死んだとは、とても思えない。海に流して水葬、だなんて。それでは、遺体がどこにあるのか永遠の謎だ。遺体の証明がないではないか。
 新聞各紙を読んでも、遺体の状況については詳しく書かれてはいない。オバマと前大統領ブッシュ、そしてパキスタンのムシャラフが密通してビンを本当に殺してしまったのか。それともどこかに消し(隠して)命だけは助けたのか。両方考えられる。私はいまの仕事を終えたら、ビンを探す旅に世界にたび立とう、と思っていただけに、ショックは大きい。わが心を、体内を、いまも一陣のかぜがふきぬけていく。
 以下は、私がこの日、かつてべ兵連の闘士だったA氏と交わした“嘆きのメール”のごくごく一部だ。
「ビンは真に死んだのか。海に吹奏だなんて。 津波は許さない。押し返すだろう。ビンはムシャラフとオバマが画策しどこかに隠した。イスラムが黙ってはいない」
 「どういうことですか。本当に殺したとしたなら、許せない。本来、ビンを逮捕して真実を究明すべきではないのか。もしニューヨークテロの犯人としたならば、あれだけ多くの人々を殺した罪は重くて深い。それを簡単に殺してしまうなんて、とうてい考えられない。私はいま、少し酔っぱらっている。」

 憲法記念日。大垣に住む次男坊が生まれた日だ。
 私はその日、岐阜高島屋で行われたちびっこのど自慢大会を取材中に鳴ったポケットベルに、岐阜総局に連絡すると「奥さんが大変だ」と言われ病院に駆けつけたら、既に生まれていた。

 【きょうの1番ニュース】私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」例会が開かれ、奈良から加藤行(すすむ)さんと姉の伊吹山チフミさんが初めて出席され、文学談義に花が咲いた。同人仲間は、皆それぞれに個性が光る逸材ばかりで私自身、誇らしくも思っている。この中から文壇に飛び立つ人材が出てくるやもしれない。いや、早晩、出てくるだろう。読者の皆さんには少しでも多く私たちの作品を読んで応援していただきたく思う。
☆「9・11から10年 急転 ビンラディン容疑者殺害 米『テロと戦い継続』 反米勢力共鳴やまず」「米同時テロ10年 ビンラディンの死? 歓喜の代償『自由の国 亀裂と監視』」(3日付、中日朝刊)

平成二十三年五月二日
 月曜日でドラゴンズは試合がない。というわけで、きょうはナントナク寂しい。試合があったらあったで、本音は「早く終わってくれないかな」と思いつつ、ない日はないで正直いって寂しくてしかたないドラゴンズファンも多いに違いない。

 そんななか、きょうの中日新聞スポーツ面の見出し「西 開幕3連勝 初完投逃し反省」の記事が目にとまった。西と言えば、そう、三重・菰野高校出身、入団三年目のオリックスのあの右腕だ。先日の本欄でも取り上げたが、底抜けの明るさに、私がぞっこん好きになった選手である。あの西が3連勝だと知り、思わず嬉しくなったのである。それに「初完投を逃し反省」しているところが、またいい。反省点は「140キロ台後半の速球と切れの良い変化球で、一回の聖沢から二回の高須まで4者連続奪三振。上々の立ち上がりだったが、大量の援護をもらった直後の三回に連続本塁打を浴び、さらに四、五回にも長打を打たれた」ため、らしい。
 一方、ドラゴンズ・野本選手の昨日の活躍ぶりは中日新聞本紙運動面の「野本新風 逆転呼ぶ」「マエケン相手…『当たって砕けろ』」「追撃ソロ、三塁打」の見出しで一目瞭然。中日スポーツ1面の「マエケンをKО!! 昇格2試合目野本」「口火追撃弾&三塁打」も分かりやすくてよかった。中スでは、ほかに2面トップの「三瀬 2イニングピシャリ! 圧巻7回 三者連続K 救援陣磐石 浅尾は連日の白星」も視点と切り口がよい。

 夕方、職場の私のデスクにいつものように夕刊一部が女性スタッフの手で置かれた。何げなく手にすると、大きな活字が目のなかに飛び込んできた。「ビンラディン容疑者殺害 米軍が地上作戦 パキスタン潜伏中 大統領発表」というものだった。ウサマ・ビンラディンのことをこの十年間、書き続けてきた小説家として、これほど残念なことはない。
 私は、言葉を失った。帰宅し、テレビを見ると、そこにはオバマ大統領の発表に歓喜するアメリカ人たちの姿が映し出されていた。それによると、昨年八月に情報当局から隠れ家を出入りする側近2人の存在など、手掛かりを得ていた米軍特殊部隊がパキスタンの首都イスラマバードの北方百五十キロの隠れ家に潜んでいたビンラディン容疑者を襲撃したという。

 【きょうの1番ニュース】ビンさん、あなたは今どこでどうしておいでですか? と、あれほどまでに私が、私の小説のなかで追い求めてきたウサマ・ビンラディン。遺体は、海で水葬されたというが、私にはまだ信じられない。9・11同時多発テロが起きたグラウンドゼロでは、米国民が歓喜しているようだが、娘さんを失った、ある日本人男性の言葉「ビンラディンは、テロの重要な証人だけに、逮捕できれば逮捕し真相を解明してほしかった」が重くのしかかる。ビンラディンについては、まだまだ続きを書くつもりでいる。

☆「『避難を』命がけの放送 南三陸町職員 遺体見つかる 遠藤(未希)さん (写真は)防災無線で避難を呼び掛けた南三陸町職員の遠藤未希さん」、シドニー五輪マラソンの金メダリスト高橋尚子さんらが一日、スポーツの力で被災者を元気づけようと、福島県いわき市の小学校を訪れ、児童二百人と交流した。=通風筒(2日付、中日朝刊)、「福島第1原発警戒区域 一時帰宅1世帯2人 実施9日以降 国が条件緩和」(2日付、毎日朝刊)
☆「ビンラディン容疑者殺害 米軍が地上作戦 パキスタン潜伏中」「9・11から10年 報復拡大の恐れ」(2日、中日夕刊)

平成二十三年五月一日
 きょうは何となく、プロ野球からは離れたくて、(テレビやラジオを)見もしなければ、聞きもせず、ただヒタスラに自分の世界に没頭した。それでもナゴヤドームの勝敗だけは気になり、そして毎日の野球日記だけは書かねばーとたった今(午後7時20分過ぎ)、ケータイ中スポのドラゴンズ情報をのぞいてみた。
 結果は、5―4でドラゴンズが広島に勝っていた。よかった。広島がマエケン(前田健)、中日はネルソンがそれぞれ先発し、勝利投手は浅尾で2勝目、負け投手は青木だった。野本がマエケンから今シーズン1号本塁打を放ち、2安打2打点の大活躍である。ドラゴンズもいよいよ本来のペースに戻りつつある。

 久しぶりの休日らしい休日。このところの新聞記事の切り抜きをしたり、ウエブ文学同人誌「熱砂」のテーマエッセイ(テーマは「便り」)を書きあげるなど、バタバタ、バタッと一日が過ぎていった。新聞の整理をしながら、見落としていた記事に出会ったりすると、なんだか、拾い物をしたようなうれしい気持ちになるから不思議だ。
 その新聞記事だが、4月28日付中日新聞夕刊軟派トップに「虹 いま寄りそう」のカット入りで「大津・膳所高から被災・宮古島へ 応援ヨット 満帆 愛艇贈ろう 部員一致『インターハイで再会を』」の記事が載っていた。「滋賀県立膳所高のヨット部が(四月)二十九日、六月のインターハイで乗る予定だったヨットを東日本大震災で被災した岩手県立宮古高のヨット部に贈る」というもので、この記事を書いたK記者を、たまたま知っていることもあり、いい記事だな、と素直に思ったのである。

 このほか、福島県いわき市の温泉レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」のフラガールが二十二日、震災後中断していた練習を再開、津波で自宅が損壊したダンサーもいたが、二十九人全員が顔をそろえ、ハワイアンズ近くのレッスン場で一時間、汗を流したという話が、フラガール「元気届ける」の見出し入りで報じられる(4月23日付夕刊)など、捨てがたい記事が何本もあるのに気付いた。

 午後、いっとき実家へ。母とMの三人でたまたまテレビから流れてくる国会中継に耳と目を注いだが、いま一番の国難の危機に瀕しているときに、菅直人総理に対する質問のお粗末さが気になった。この大事に、あと戻りとも言える批判ばかりしていてよいのか。そんな時間があるのなら、自ら被災地へ飛んで行き瓦礫の一つでも拾ってこい、と言いたくなる。
 九十の母いわく「いま日本が大変な時に批判ばかりしてちゃいけない。菅さんなりに一生懸命やってりゃあーすで、みんなで盛り立てて一緒に、この危機を乗り越えなきゃ、いかんがね。」と。私もまったく同意見である。
 それにしても「菅さん、このところ見るたびに顔がだんだん悪くなってきた」とのMの言葉が気にかかる。確かに菅さんは、もっとさわやかなイメージだったのに。国会のタヌキどもに翻弄されていてはいけない。見る人は見ている。だから堂々と自分の信じる道をあるいてほしい。

 日ごろから総じて努力の足りないマスコミの悪いところだが、批判だけなら誰だってできる。「よくやってくれている」と励ましながら、心ひとつに国難に立ち向かう報道を望みたい。帰路、私たちは前々から一度入ってみようと話していた「時代屋」という喫茶店に入ったが、なかなか感じのいい店だった。

 【きょう1番のニュース】本紙夕刊文化欄で「夢さめみれば…洋画家浅井忠と明治」を連載中の太田治子さんから久しぶりに電話をいただいた。携帯が鳴ったとき、あいにく出ることが出来ず、失礼してしまったが、留守電のお声に久しぶりに対面した。連載記事に感動した私が先日「夢さめみれば…ロワン川のほとり、よかった。猫と太田さんの目が“浅井忠の目”と同一線上にある。 揺らがない柳より」などとメールしたことに対する返答で「太田治子です。励ましていただいて、とってもうれしいです」と、まるで少女の生き、が聴こえてくるようだった。この連載は、いわば、これまでベールに包まれ、埋もれていた日本画壇の掘り起こしといってよく、一人でも多くの読者に読んでほしく思う。

☆「安藤4年ぶりV フィギュア世界選手権」、「じえいたいさん ありがとう 大川小女児? 陸自に手紙」、「くじけぬ心 土俵で鍛える 津波で監督失った大槌中相撲部 息子が意志継ぎ部員指導」、琴伝流大正琴弦洲会の演奏会「春の宴」(中日新聞後援)が(四月)二十九日、小牧市のまなび創造館あさひホールであり、東日本大震災の被災地へのエールとして唱歌「ふるさと」など三曲を大正琴の演奏に合わせ来場者全員で合唱。会場で集められた義援金は中日新聞社会事業団に寄託された。=いずれも1日付中日朝刊。

平成二十三年四月三十日
 土曜日。きょうのナゴヤドーム。
 なんといっても嬉しかった場面は、東北・宮城出身のドラゴンズ・小山桂司捕手=秋田経法大、シダックス、2006年に日本ハムから移籍=が二階裏、1死からガキーンと左翼にスリーランを放ち、広島を4―0と突き放した、そのときである。たまたま私は1番ゲート横の義援金受付場所に同僚たちと一緒にいたが、目の前のテレビに映し出された背番号「65」の勇姿には、みな一様に歓喜した。小山は東日本大震災で宮城の祖父を亡くしているだけに、彼の無念さを吹き飛ばす、そんな思いが伝わってくる見事な1打だった。
 ドラゴンズはその後、五回表に一挙4点を広島に奪われ同点とされたが、八回1死二塁から、このところ当たりが戻ってきた和田が左越えに二塁打を放って勝ち越し、そのまま逃げ切った。投手陣は、先発川井に続き平井、小林正、河原、浅尾、岩瀬と続き、5番手の浅尾が今季初勝利、岩瀬も今シーズン、3度目のセーブ。

 きょうは、午前中からドームへ。ファームの中日スポーツ月間MVP(堂上剛裕選手)に対するプレゼンターをファンクラブ会員代表が行うのと、試合前のスピードボールコンテストへの会員代表5人の出場、さらには1番ゲート横での球団の東日本大震災義援金受け付けに会員ボランティアが協力呼びかけをするためで、他のスタッフともども現場に出向いた。
 帰宅途中には上前津で途中下車し、横笛の女性師匠宅へ。彼女が、恋人よ、雪が降る、雪の降る町、を連吹で音をさぐる姿に感銘した。まだまだ実力不足だが、私もこれからは、自分なりにいろんな音を吹きあて、さぐることをやってみたい。いや、音にならずとも良い。あすから、音をさぐる練習もしてみよう。

 【きょうの1番ニュース】全国を巡礼者の如く公演して歩いている劇団「希望舞台」の荻原ゆかりさんから、昨日、私あてにメールが届いていた。「ご無沙汰しております! こちらは変わりなく!?やっております。東北でお世話になった方々と連絡がしばらくつかずに心配でしたが、確認出来、ホッとしたり、被害の大きさを聞き、改めてすごい事が起こってしまったんだな、と思ったり。関東公演もいくつか中止になり、急遽、九州に飛び、その分を取り戻すべく活動しています。玉井さんと、とうとう劇団潰れるかも~と冗談のような本気なような会話をしている今日この頃です(原文どおり)」
 私はすぐに、ゆかりさんにあてて「元気そうでよかった。劇団・希望舞台は日本の光りです」と返信しておいた。あぁ~よかった。みんなご無事で。何よりも東北巡業中の被災を心配していたが、そうでなくてホントによかった! 劇団「希望舞台」は永遠なり、だ。近い将来、必ずや、東北の人々を勇気づける舞台を見せてくれるに違いない。そのときは私も見に行こう。

☆「鈴木(桂治)4年ぶりV 穴井に決勝一本勝ち 全日本柔道」(30日付、中日朝刊)
 「支え合い 芽生えた愛 宮城・南三陸 被災男性と支援の女性 来月15日 挙式は出会った避難所で」「被災の子襲うストレス 不安定な心 ケア模索 『乱暴に』『怒りやすく』 惨事体験、長引く避難…」「屋外活動制限 悩む学校 駐車場開放や室内遊び」(30日付、中日夕刊)
 「それぞれのペースで歩けばいい 名取で母と弟失った男性 ブログに心情 復興ムードへ 戸惑いも」「がれきの中 ホテル再開 宮古・海幸園 『廃業』中止 作業員らで満室」「『じっとするより』避難所に理容室 福島・新地 私たちは仕事で前を向くーー人のため、街のため」「歌手 さとう宗幸さん 震災禍の故郷再生へ、僕は歌い続ける。」(30日付、毎日夕刊)

平成二十三年四月二十九日
 「ようやく皆さんの元に帰ることが出来ました」(楽天・星野監督)―
 プロ野球は、楽天がKスタ宮城(仙台)でオリックスと対戦、マーくん、すなわち田中将大投手が投げて3―1で、サッカー・Jリーグのベガルト仙台もユアテックス仙台で浦和レッズに1―0で、いずれも勝った。
 両スタジアムとも、東日本大震災の数知れない苦しみや、哀しみ、離別という不幸を背負うなか、それでも大勢の人々が観戦、いろいろな思いが込み上げてか、テレビニュースの画面にはスタンドで涙する人々の姿が再三、大映しとなり、そのつど私の目までが涙に濡れた。津波に流され、地震に壊滅した夥しい命。親や兄弟、わが子、知人を思っての涙なのだろう。野球が。サッカーが。これほどまでに人々に元気と希望、未来への勇気を与える薬になろうとは。夜遅く、私はテレビを見ながらスポーツがもたらす力をあらためて感じた。

 この日オリックス戦での始球式にはゴルフのマスターズでベストアマを獲得した東北福祉大の松山秀樹さんが駆けつけ、選手たちは皆「がんばろう東北」のメッセージ入りユニホームに身を包んで戦い、マーくんは完投勝利した。お立ち台に立ったマーくんは「このまま終わってしまうのがもったいない、終わりたくないと思った」と話し、試合後のセレモニーで嶋選手会長も「ここで試合をできたことが信じられません。誰かのために闘う人間は強い。絶対に見せましょう、東北の底力を」と訴えた。

 ちなみに、わが中日ドラゴンズは中田賢が先発し、ナゴヤドームで広島と戦ったが、広島のバリントンに来日初完封を許し、7―0で負けた。負けはしたが、きのうのヒーロー・和田が八回に中日打線の初安打を放ち、いつもの調子が少しずつ戻ってきたようだ。9連勝と好調なヤクルトは、阪神と対戦し4―1と阻まれ、連勝が止まった。

 東日本大震災の被災地では、桜が満開になった。日本現代詩歌文学館のある北上市では被災地の人々をバスで花見見物に招いたという。Mの脳裏を、東北が生んだ歌人であり詩人・石川啄木の名歌「やはらかに 柳青める 北上の 岸辺目に見ん 泣けど如くに」がよぎった。この日、イギリス王室ではウィリアム王子と民間出身の王女ケントさん(キャサリン・ミドルトンさん)が挙式、バッキンガム宮殿を訪れた国民の前に華やかな姿を見せた。挙式には日本の皇太子殿下も招かれていたが、東日本大震災に胸痛められ、辞退された。

 昭和の日の休日。私はと言えば、行きは名古屋から新幹線「のぞみ」に乗って京都経由で、帰りは在来線(琵琶湖線)で尾張一宮駅まで帰る方法で、トンボ返りで大津へ。昨夜遅く帰宅後、なんだかやとすべきことが多く寝たのは、ほんのいっとき。睡眠不足のままの大津行きとなった。これではいけない。もっと寝なければ、いい作品は書けない……
 大津へ行ったわけは、新聞社の大津主管支局長当時から関わってきた同人誌「くうかん」の仲間との集まりが大津駅前ビル9階の中華料理店「かすが」であったからだ。この日、会したのは眞鍋京子代表はじめ、徳谷晶子さん、八田キヨミさん、竹花外記さん、山下正昭さん、細見昌平さん、そして私の七人。中華料理を食べながら、かつては芥川賞の候補者(いずれも女性で二人)まで出した「くうかん」の将来につき、熱っぽい議論を交わした。今後は二カ月に一度例会を開き、同人からの要望も強いだけに、できるだけ私も参加する旨を約束。次の同人誌は八月に発行する、などを決めた。同人には眞鍋さんのように「湖都の文学」の編集委員もいるだけに、心強いかぎりだ。

 【きょうの1番ニュース】帰路のハプニングー。尾張一宮駅で江南団地行きのバスに乗り、バス停「尾張一宮駅前」を越えたところで、運転手が突如として「恐れ入ります。ただいまバス停・尾張一宮駅前を(うっかりして)通り過ぎてしまいましたので、これから駅へ戻ります」のアナウンス。結局、迂回して駅前バス停まで戻り、「大変ご迷惑さまです。いまから、もう一度やり直します」とバスは江南団地に向かって走り始めた。戻ったバス停に乗客は居らず、一見、時間の無駄に終わったようにもみえるが、この運転手さんは正直に自らの非を認めてのUターンを決意された。立派な方だ。人間、誰にとて失敗はある。
 このほかにも、大津駅周辺で例会会場の滋賀ビルが分からず、例によって、方向音痴丸出しで、うろちょろと探していたら、たまたま通りかかった三十代ぐらいの女性(モリタさん)が親切に付きっ切りでビルの入り口まで案内してくださった。眞鍋さんと徳谷さんからは、大津の銘菓・湖(こ)っ子サブレーと落雁までお土産にいただいた。なかでも湖っ子サブレーは、滋賀県の鳥・カイツブリを象ったサブレーだけに、嬉しかった。

☆中電「安全性 確認済み 浜岡原発再開計画 社長会見2時間 追加対策、主張変えず 無神経/説得力ない 東海の脱原発団体 反発」、「【モスクワ発】温かさ 演技に込めて 世界フィギュア小塚選手『銀メダル』 被災者を思い」(29日付、中日朝刊)