生きてゆく人間花たち/七月の唄

平成二十五年七月三十一日
 伊神権太の連作長編小説「マンサニージョの恋」(クリックしたら、見られます)=全国書店とアマゾンで発売中
 
マンサニージョの恋
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 記録的な大雨被害に遭った山口、島根両県ではそれまでの天候とは打って変わった暑さに。猛暑のなか、萩市須佐地区など被災地では人々が復旧作業に励む姿がテレビニュースで映し出された。本当にこのところの天候異変は踏んだり蹴ったりである。
 かといって、自然を恨むわけにもいくまい。宮崎県延岡市ではナント、38・4度にまで気温が上昇したそうだ。

 こうした中、気象庁は昨日、ことしの八月三十日から開始する〝特別警報〟に関する自治体向け説明会を開いて〝特別警報〟発表の目安などについて説明したという。それによると、特別警報は【50年に1度】のレベルの大雨、暴風、高潮、大雪などの現象が予想される場合に発表する、としている。近年の災害では、大雨なら「2011年台風12号」「12年7月九州北部豪雨」などが該当し、28日の島根、山口両県を襲ったゲリラ豪雨も当然、発表対象になるという。

 きょうは、先日の中部ペンクラブ理事会の席上、手元に第20号記念号が届いたこともあり、第26回中ペン文学賞に輝いた猿渡由美子さんの小説「風の訪れ」を読ませて頂いた。首のキスマークの下りなど、理解不能カ所もあるにはあったが別れた夫婦の得も言われぬ距離感が実にうまく表現されており、読後感も悪くはなかった。

【きょうの一文・ことば】「あらたま」の「あら」は漢字で書くと荒、粗、新となる。どれも正しい。/もっといえば「あら」は「生る」「在る」とも同じことばだ。「改まる」も「洗う」も同類、つまり日本人は次のようなことを考えたのである。/物が誕生すると一つの存在となる。もしこの存在に変更が起こった時、生命は更新される。……=中西進著、【美しい日本語の風景】のなかの〈あらたま〉より

【新聞テレビから】
☆『津空襲から68年 教諭の遺志紙芝居に 未完成分、中学生描く』、『〈米ロス近郊に少女像〉米ロス近郊の公園に従軍慰安婦の被害を象徴する少女像が設置され除幕式』(31日付、中日夕刊)
☆『国と地元調整遅れ/人手・資材不足 復興費35%積み残し 昨年度3.4兆円』、『中東和平交渉「包括的合意」目指す 2週間以内に次回協議』(31日付、毎日夕刊)
☆『96歳2800万円抱え家出、妻とけんか…「どこか移り住むつもりだった」 北九州→沖縄 中部空港で保護』、『iPS(人工多能性幹細胞)臨床あす開始 理研など 網膜再生、患者募る』(31日付、中日朝刊)
☆『全柔連 上村会長ら来月辞任 内閣府勧告受け前倒し』、『バルサルタン試験データ 慈恵医大も操作認める 降圧以外の効果根拠失う』『患者は余分な負担 高価でもメリット信じ』(31日付、毎日朝刊)

七月三十日
 若者の新聞離れがとかく言われがちな昨今だが、その新聞小説がなかなか面白い。

 私の場合、中日新聞朝刊の連載小説「しんらん親鸞完結篇」(作・五木寛之、画・山口晃)と「雨の狩人」(大沢在昌、河野治彦画)、夕刊の「水軍遥かなり」(加藤廣、山崎正夫画)、そして小説ではないがヒューマンストーリーとも言ってよい「この道」(落合恵子)を毎日楽しみにしている。
 なかでも「雨の狩人」と「水軍遥かなり」の二編。いずれも、ここにきて興味深く、かつスリリングでサスペンスティックな展開もあって、なかなか読ませる。私の書く小説とは少しジャンルこそ違うが、読者を物語の世界にグイグイ引き込んでいく点とストーリーの筋立て面から言えば、大いに参考になる。

 願わくば、文全体が醸し出すテンポの速さとリズム感、哀愁を呼び覚ましてくれるような〝抒情性〟、欲をいえば〝どんでん返し〟といったようなシーンが今少し加われば、と思う。かといって、二人の筆遣いに関する限り、そこまで要求するのは無理かもしれない。
 いずれにせよ、しっかりした幅広い取材が土壌になっているばかりか、作者が訴えたい主張性も随所で見られるだけに、読んでいて共感する強い「何か」を感じる。また、物語を展開していくに当たっての知識も多少は得ることにもなる。
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 きょうは昨日の雨天が一転して猛暑に。尾鷲では37・4度を記録したという。
 中日社友会報(8月1日付)が届いた。
 そこで見たものは。私の駆け出し時代の支局長(当時松本支局長)、栗林良吉さんの訃報だった。「6月11日、肺炎のため死去。85歳。喪主は長男茂さん。」とあった。栗林さんには、随分と多くを教えられた。
 昭和38年1月の愛大生の薬師岳遭難取材など良吉さんは日本の山岳遭難取材の草分け的存在でもあった。残念ではあるが、今さらどうしようもないことである。合掌―

【きょうの一文・ことば】「富士には月見草がよく似合ふ」は、太宰治の名作『富嶽百景』の1節だが、この文句の前段は、「三七七八米の富士の山と、立派に相対峙し、みぢんもゆるがず(略)けなげにすつくと立つて」いるのが良い、とある。…=30日付中日夕刊、【〈新書物浪漫〉富士山 出久根達郎】から

【新聞テレビから】
☆『町おこしの思いは混じりけなし 「近江ちゃんぽん」歌って踊って発信 いつか彦根で〝サミット〟を』、『韓国人遭難 3人心肺停止1人不明 中央アルプス 1人の生存確認』、『カンヌ宝石強盗133億円 見積もり修正 世界最大』(30日付、中日夕刊)
☆『新たに12機 オスプレイ岩国に搬入』、『南吉生誕100年記念式典 半田 中学生ら合唱披露』(30日付、毎日夕刊)
☆『横井庄一さんの戦死公報信じず 「生きとる」母の一念』『供養の申し出…葛藤も』、『〈この人〉評伝「素顔の新美南吉」を執筆した斎藤卓志さん』、『体外受精助成42歳まで 厚労省 回数も10→6に制限 成功率など考慮』(30日付、中日朝刊)
☆『ISS(国際宇宙ステーション)日本人初の船長 若田さんが抱負』(30日付、毎日朝刊)

七月二十九日
 一日、重苦しい雨が降り続いた。きのうの猛暑がとても信じられない。

 山口、島根両県を中心とする中国地方では萩市や津和野市など全域で昨日から記録的な大雨に襲われ、各地で河川が氾濫し土砂崩れが発生。民家が土砂で押しつぶされたほか、床上、床下浸水家屋が続出したり死者が出たりした。道路も各地で寸断、集落や特別養護老人ホームが一時、孤立。多くが避難するなどの事態に陥った。また山口県阿東地区では小学生200人がキャンプ地に取り残され、ヘリコプターで救出されるなど大荒れの日となった。
 気象庁でも「土砂災害や河川の増水に注意するよう」異例の呼びかけをしたが、いやはや自然の猛威にはされるがままだ。何ともしようがない。
 かつて若かりし新聞記者時代に岐阜の栃尾温泉郷の土石流による崩落はじめ、老人ホーム・松寿荘が壊滅した長野・地付山の地滑り、さらには長崎大水害、三重の嬉野豪雨、山陰豪雨禍……など。数え知れず現場取材を重ねた経験がある私としては、その状況が生き映しの如く甦ってくる。いまは一日も早く平穏な日々が戻ることを願うほかない。

 自然災害のあるたびに、いつも思う。
 自然の猛威に人間は為すべきもない。ただ大海の小舟の如くされるがままだ。私には、このところ全国各地で相次いでいるゲリラ豪雨がナンダカ福島第1原発事故の発生で人為的に作られた汚染にオロオロしている〝放射能〟もさるものの、「俺たちだって怖いのだから」とあらためて雨たちが宣言しているような、そんな気がしてならない。

 そんななか、私は朝から先に名市大で教壇に立った講義に関して大学生から寄せられたレポートに採点も兼ねて目を通した。憲法と平和、報道被害、差別表現、平和の在り方と日本国憲法、ピースボート、「新聞」のあり方について…など。レポートは、みな質的に高レベルにあることを今更ながら痛感、私のつたない授業もそれなりに意義があったことをあらためて認識し満足感を覚えたのである。

 それはそうと、このところ沸々と体内に湧き上がってきている、私ならでは、の〝新体小説〟の執筆に早く取りかからなければ。しなければならないことが山ほどある。
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 日本サッカー協会は昨日ソウルで行われた東アジア・カップ男子日韓戦で、韓国応援団が歴史問題で日本を非難する巨大な横断幕を掲げたことに対して大会を主催する東アジア連盟に抗議文を提出したことを明らかにした。横断幕には韓国サポーターにより「歴史を忘れた民族に未来はない」と書かれており、応援時の政治的な主張を禁じる国際サッカー連盟(FIFA)の規定に違反する可能性があるという。

【きょうの一文・ことば】球場に入った瞬間、泣きそうでした。でも、あらためて幸せな野球人生だったな、と思いました=28日。ヤンキースタジアムでのレイズ戦の前に行われた極めて異例な〝一日契約〟の特別引退セレモニーのあと、記者団の質問に答えて。昨季限りで現役を退いた松井秀喜さん(39歳)

【新聞テレビから】
☆『〈報道ステーション〉福島「相馬野馬追」 避難区域=南相馬市小高区=からの〝出陣〟』(29日夜、メ~テレ)、『〈NEWS23・復興フロンティア〉農業を再開 原発から7キロの農園 ジャガイモ姿現す』(29日夜、CBCテレビ)
☆『松井さん引退 NYに愛された男 ジーター「いつだって彼は最高」』『イチロー惜別4安打 復帰ジーターも先制弾(試合の方も3時間34分に及ぶ総力戦でヤンキーズが松井さんの引退記念を白星で飾った)』、『中東和平交渉29日再開 イスラエルパレスチナ 米が仲介、3年ぶり』、『バス転落37人死亡 イタリア南部(ナポリに近いアベリーノ近郊) 高速道路から30㍍』、『〈中部発〉愛知・安城 下宿部屋へ道しるべ ごんの友達南吉訪問?』(29日付、中日夕刊)
☆『不安な一夜「怖かった」 豪雨厳戒・救出続く 山口』、『萩野 400自「銀」史上初』、『「55」の雄姿忘れない 松井さんNYで引退式』(29日付、毎日夕刊)
☆『宇宙へトヨタ先端ロボ 若田さん相棒 自然な会話人間くさく 困ってごまかす事も』『ミラタ一問一答 「憧れは?」「鉄腕アトム?」』、『〈虹〉まっすぐ野球も勉強も 私立滝高校野球部』(29日付、中日朝刊)
☆『山口・島根「経験のない大雨」 数十年に1度 特別警報並み』『「命守る行動を」気象庁』、『集団的自衛権「行使容認に反対」51% 本社世論調査「景気優先を」35% 内閣支持率横ばい55%』(29日付、毎日朝刊)

七月二十八日
 午前十一時から、われらがウエブ文学同人誌「熱砂」の例会。引き続き午後一時半からは中部ペンクラブ理事会(いずれも会場は名古屋駅近く「つちやホテル」)に出た。

 相変わらず、とても暑い一日で夕方、帰宅したら半袖のシャツがびしょ濡れだった。「熱砂」例会の方は、今後の会の進め方を中心に熱心に語り合い何はともあれ、作品の積極提稿を確認し合った。
 また出来るだけ早い時期にウエブ作品集の作家枠に同人共有の〝外国語バージョン〟の枠を新設。当初は英語やフランス語、スペイン語の簡単な詩やエッセイを発表することから始め、ゆくゆくは世界に向けての文学発信を実現させることも確認し合った。

 この日はほかに若手女性同人(23歳)の結婚話も報告される―など会は和気あいあいのうちに進行。同人で詩人でもある牧さん作曲の「恋の犬山」のカラオケ全国配信についても牧さんご自身の口から説明があった。
 この「恋の犬山」。前にも本欄で触れさせて頂いたが、〝犬山〟を歌った昭和五十年発売のご当地ソングでつい最近になり復活。その記念式典が最近、犬山市内の昭和横丁で行われたが、これを記念した大々的なカラオケ大会も地元犬山市はじめ、市商工会、市観光協会などの提唱で近く実現しそうだ、とのこと。楽しみである。
 皆さん、ぜひ居酒屋やスナックにお出掛けになられたら、「恋の犬山」(DAM、曲番号は2540―88、歌手名・都はるみ)をリクエストしてくださいね。
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 中ペン理事会の方も刊行されたばかりの中ペン第20号記念号(第26回中ペン文学賞決定発表)が出席者全員に手渡されたほか、九月二十八日に名古屋国際センター研修室で開かれる【『中部ペン』を読み文学を語る会】、さらには十一月九日に三重県で開かれる【「鈴鹿市出身の文学者や歴史人物を訪ねる」文学散歩】など当面の課題について熱心に話し合われた。

 いつも思う。派手さこそないが、中ペンに所属される各同人誌メンバーのお一人ひとりのこうした文学活動への地道な取り組みと底知れぬ情熱は棄てがたく、ほめられて良いことだ、と。別におべっかを言う気など、さらさらない。でも、毎週中日新聞の金曜日付夕刊で連載されている三田村博史さん(中ペン会長)の〈東海の文学風土記〉もなかなか、好調だ。
 その調子で! とエールを送りたいのは私だけでもなかろう。

【きょうの一文・ひとこと】最後は案外、あっさりしたもんだな。いつか辞めなきゃいけない時がくる。誰でもそう。家族も、分かっている=28日付中日スポーツ〈44歳不屈の男ついに 今季限り〉の記事のなかで。中日・山崎武司内野手

【新聞テレビから】
☆『モルシ派犠牲多数 カイロ衝突拡大 当局強硬 同胞団「死者70人超』、『感謝の花咲く 長良川中日花火』、『南吉と夢見た卒業式 安城高女の教え子68年後に証書 「天国から先生手助け」』(28日付、中日朝刊)
☆『被災地で児童虐待急増 昨年度 福島沿岸部 倍に』、『中韓と首脳会談模索 首相 増税「情勢見極め判断」』(28日付、毎日朝刊)

七月二十七日
 土曜日。日本ペンクラブから会報P.E.N.第419号が届いた。
 浅田次郎会長の写真入り「再任のご挨拶」を1面に、第57回定時総会の内容紹介、日本ペンクラブ声明「憲法第九十六条改変に反対する」の声明文掲載、第45回国際ペン平和会議(スロベニア・ブレド)と獄中作家委員会・クラコフ(ポーランド)大会の報告、ほかに各定例理事会報告、会員短信…といった紙面構成である。

 このうち会員短信では「伊神権太 ピースボート船上からユーチューブで世界に発信した平和のメッセージを各地で上映。小説『マンサニージャの恋』も売れてきた」と私の短信も紹介されていたが、残念なことに本の名前が一字違い、がっかりした。マンサニージャではなく『マンサニージョの恋』なのである。ジャではなく、ジョなのだ。
 それとも、私の字が読みづらかったのか。そんなはずはない。それにしても、会報の編集に携わった人物がメキシコのマンサニージョを知っていれば、こうした誤りは防げたはずである。だから本欄の読者、そして日本ペンクラブの会員の皆さまにはこの際、この場にて声を大にして「マンサニージョの恋」が正しいです。ぜひ、読んでくださいね―と訴えさせて頂く。
 ここは心して二度同じ間違いを繰り返すことのないように願っておきたい。

 人間、誰だって過ちを起こすので、これ以上の追及は止めておこう。
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 きょうは、あすの私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」例会を前に資料づくりに追われた。

【きょうの一文・ことば】「書き始めると、登場人物が勝手に動き始め、私は彼らを追いかければいいんです。そうでないと面白い小説は書けませんね=赤旗日曜版7月28日号〈松本清張賞〝食堂のおばちゃん〟〉の中で。作家山口恵以子さん

【新聞テレビから】
☆『北朝鮮 休戦60年、軍事パレード』『韓国大統領「核放棄を」』、『CIA元職員の死刑回避を確約 米司法長官 ロシアに書簡』、『帰郷喜ぶ尾頭付き (南知多町の)豊浜鯛まつり』(27日付、中日夕刊)
☆『エジプト 軍支持デモ数十万人 クーデター後最大 衝突、7人死亡』、『周南5人殺害 「殺されるかも」 被害者夫 水田管理で口論 保見(光成)容疑者を送検』『2被害者宅から指紋』(27日付、毎日夕刊)
☆『〈終わらぬ戦争 休戦協定60年〉〈上〉正恩体制核で孤立 「会いたい」願い分断』(27日付、中日朝刊)
☆『〈式年遷宮〉伊勢神宮 新正殿前に願の石』(27日付、毎日朝刊)

七月二十六日
 午後九時過ぎ。またしても尾張の夜を雷とゲリラ豪雨が襲っている。次女猫シロちゃんは台所の片隅で縮こまったままだ。仙台と並んで日本三大七夕まつりのひとつでこれまで名物だったアーケード街の一角の天井が無くなった一宮で昨日から始まった七夕まつりが気にかかる。二夜連続の雨だから、だ。
 深夜遅く。ニュースで、東北地方がこの地方よりは一段と激しいゲリラ豪雨に襲われ大変だと知る。宮城県毛仙沼では十一地区合わせて五千二百二十三人に対して避難勧告が出されたという。

 仙台のKスタ球場であった楽天―ロッテ戦。結果は3―2で楽天が勝ったが、ロッテの井口資仁選手が日米通算安打2000本達成を本塁打で飾り、楽天のマーくん(田中投手)も井口に打たれこそしたものの、開幕からの連勝記録を14にまで伸ばした。
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 伊勢神宮の二十年に一度の式年遷宮を前に今日からいよいよ、新正殿の周囲に白石を敷き詰めるための〝お白石持〟行事が始まった。これから九月一日まで計二十二日間をかけ地元七十七奉献団からの延べ十五万七千人に、全国の神社関係者七万三千人も加わってのお白石持が続く。初日のこの日は、お白石を木製そりに乗せて、五十鈴川の清く透明な流れの中を通って内宮まで運ぶ川曳(かわびき)で幕開けした。
 きょうは、社殿を建て替える式年遷宮に向け、ご神体を移し入れる新社殿もお白石持行事の開幕に合わせてお披露目されたという。ことしの十月二日夜営まわれるクライマックスの祭事「遷御」が刻一刻と近づいてきた。「遷御」当日は、三種の神器の一つで、ご神体の八咫鏡(やたのかがみ)が新社殿の内部に納められることになっている。
 ちなみに、きょうの中日夕刊によれば、内宮正殿は遷宮で建て替える六十五棟の木造社殿のうち外宮正殿とともに最大。弥生時代の穀物倉庫に由来する唯一神明造りと呼ばれる構造で高さ十二㍍と、三~四階建てビルに相当する。また部材はすべてヒノキの巨木を使い、屋根もかやぶきである。

 私自身、四十年前、地方記者のころに体験した遷宮取材の数々を思い起こし、ナンダカわくわくしてくる。四十年前、あの遷御のさなかに夜空にポッカリと浮かんでいた神月。あの日の月が、また舞い戻ってくる。そんな気持ちがして仕方ない。瞼に焼きついたあの光景は、消し去ろうとしても消せない。人間の魂を揺り動かす、そんな何か、があるのだ。
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 母はけさ、隣に住む年下のともだち=私にとっては〝隣のおばさん〟=と近くの内科医に車で出向き、点滴をしてもらって帰ってきた。朝、心配して私が実家に出向いた時には既に出かけたあと。いっとき妹と「どこへ行ってしまったか」と大騒ぎになったが、しっかりしたもので、どうやらこの〈逃亡劇〉は昨日のうちに仕組まれていたらしい。

 妹によれば、医師が診断したところでは、どこも悪くないとのこと。どうやら、このところの暑さ続きに熱中症とまではいかないものの、食欲がなくなって体力が低下。そこで、ふたりで点滴をしてもらいに私たちの心配をよそに、病院への〝逃亡劇〟とあいなったらしい。
 妻が「これ、点滴と同じ効果があるんだってよ」とヘルスバンクでWHO(世界保健機構)提唱の経口補水薬なるものを手に入れてきたので、さっそく母のところに持参したが、点滴までが販売される世の中だなんて。この世の様変わりには驚いた。

【きょうの一文・ことば】海はつながっている。福島だけの問題じゃない。ゲリラ豪雨だって、サ。自然が怒っているのだから=テレビニュースの東電福島第1原発の放射能汚染水流出問題を聴きながら。ある女性

【新聞テレビから】
☆『〈ニュースウオッチ9〉朝鮮戦争休戦から60年中継・北朝鮮最新情報▽老イルカ今も奮闘中「再び〝晴れの舞台〟へ ジムの挑戦」』(26日夜、NHK総合テレビ)
☆『〈式年遷宮〉神の新居へよいこらしょ お白石持 川曳で開幕』『ヒノキ香る 厳か新正殿 伊勢神宮・遷宮』、『旧3級品たばこ人気再点火 「わかば」「エコー」懐に優しく』(26日付、中日夕刊)
☆『周南5人殺害 63歳男の身柄確保 山口県警 集落近くの山中で』『男肌着にパンツ姿 周南・身柄確保 集落から1㌔ 発生6日事件動く』、『消費者物価上昇0.4% 先月 円安が影響 1年ぶりプラス』(26日付、毎日夕刊)
☆『日本人12年平均寿命 女性86・41歳世界一奪回 3年ぶり延びる 男性は79・94歳。5位に』、『TPP初交渉閉幕 重要農産品協議の余地 首席官見解「各国間に開き」』『日本デビュー聖域主張なし 肩すかし?先行国戸惑い』(26日付、中日朝刊)

七月二十五日
 夕方突如、猛烈な雨が雷鳴とともに降り始めた。
 天が急に何者かに腹をたてたような、そんな降りである。例によって次女猫のシロちゃんは全身を凍りつくように縮め、腰を丸めて恐る恐る私の部屋の押し入れ部分の奥深くに潜り込んだまま。長女猫、こすも・ここも時折、心配そうな表情で家中を見回って、定位置の私の横に戻ってくる―という繰り返しとなった。彼女なりに見回りをしてくれているようだ。

 午後六時四十分過ぎ。閃光を伴った雷は遠のいたようだが、家の外壁や周りの木々、窓、路面に降り注ぐ雨音を聞いていると、なんだか雨が吹雪となって怒涛の音をたてているような、そんな無気味さである。雨音はちいさくなったと思ったのも束の間、少しすると洪水のような音となって迫ってくる。その繰り返しだ。
 我々、人間がどんなに喚き、叫ぼうが、雨たちは大きな気狂い音をだし大気全体を盾に押し寄せるようにして自在に大地に降り注いでいる。私には、その雨たちの声、〝自然界の合従連衡〟が人間社会に対する、ある種の挑戦のような気がしてならない。

 社民党の福島みずほ党首が参院戦敗北の責任を取り「党首を辞任する」と記者発表。少し寂しい気がした。でも、仕方ないか。

 夜に入り、母に電話すると「ここのところ調子があまり良くないの」との返事。きのう7月24日は父の命日でもあり、どこか気弱になっているような気がする。満93歳の母は、まだまだ若い。もっともっと長生きをしてもらい、私が天下をとる、その日を見届けてほしい。
 
【きょうの一文・ことば】あきらめなければ失敗はない=25日夜、テレビ愛知『〈カンブリア宮殿〉奇跡のタクシー会社!』の中で。中央タクシー社長

【新聞テレビから】
☆『一宮七夕まつり今夕開幕 商店街1000の彩り』、『高速鉄道脱線77人死亡 スペイン、速度超過原因か』、『富山の元警部補 殺害「不起訴と思っていた」情報漏えい猶予判決で釈放』(25日付、中日夕刊)
☆『〈英王室ベビー〉ジョージです。よろしくね 女王父から継承』、『〈チェック〉「華麗なる一族」手腕未知数 キャロライン・ケネディ米新駐日大使指名 父と叔父暗殺看板背負う』、『東大43論文で不正 元教授グループ 調査委「撤回が妥当」』(25日付、毎日夕刊)
☆『殺人放火事件 富山の元警部補不起訴 犯行状況と供述矛盾 遺族、検審に申し立てへ』『「自供は何だった」元警部補不起訴 遺族怒りあらわ「市民感覚で裁くべき」』『現場状況、CD―R作成時期 捜査裏目進展見えず』、『奥西死刑囚容体厳しく 特別面会人が訪問 意識は回復、呼吸弱いまま』(25日付、中日朝刊)
☆『龍馬の血判初確認 高知の記念館』(25日付、毎日朝刊)

七月二十四日
 夜、名古屋のとある居酒屋へ。ここで将来有望な青年彫り師と偶然、出会った。この青年は、いわば〝からだのデザイナー〟、すなわち入れ墨師。からだの芸術家といってよく、入れ墨を彫るに当たっては、相手がどんな人物であれ「十分にこの先のことなども考えてもらったうえで、彫らせてもらっている」とのことだった。刺青をすること自体がその人の人生にとっては一生一大の大勝負だからである。誠実かつスケールの大きい彼のこれからを注目したい。
 あらためて、その世界をこの目で見させていただくことで別れた。

【きょうの一文・ことば】「そりゃあ楽しみだ。吉報、心待ちにしてます。うまくいくといいね。良くても悪くても飲みましょうよ」=名古屋市内の居酒屋にて。元NHKアナウンサーのAさん(現在は大学客員教授)。私がかつて世に出した本が某賞の最終候補作のひとつに選ばれたことに対して。盃が進むうち私がついつい、彼だけにもらした

【新聞テレビから】
☆『富山夫婦殺害 元警部補不起訴へ』『物証なく立証困難に』、『清張初期の短編小説 記念館確認 全集未収録「女に憑かれた男」』(24日付、中日夕刊)
☆『丸山健二賞を創設 23歳で芥川賞受賞後文壇離れる 「文学の道筋付けておきたい」=「今の文学賞の逆をやります。賞をお祭りにしてはいけません」』、『夫妻「とても感動的」 英ロイヤルベビーお披露目 王子おむつ取り換え』(24日付、毎日夕刊)
☆『TPP交渉日本合流 5品目関税焦点 まず経過報告』『条文案閲覧「精査する」』、『カネボウ化粧品 重い症状2250人申し出 白まだら、完治まで補償』(24日付、中日朝刊)

七月二十三日
 「大暑」のこの日、午後一時半までの最高気温は名古屋36・9度、岐阜35・7度、津35・4度で、東海地方はいずれも猛暑日となった。いつも思うが、暦は本当に的確である。

 と、思いきや。実はこの日午後、首都圏と東北の福島地方が思っても見なかったゲリラ豪雨に見舞われ、東京の目黒、世田谷両区では100ミリを超える雨量に。目黒川が一時、氾濫の危険にさらされたばかりか、東急東横線が落雷などで一時不通になったほか葛飾区で予定されていた夜の花火大会も中止になった。
 関東以北では、まさに踏んだり蹴ったりの一日になった。「雨ではなく、自然界が理不尽極まる人間社会に対して怒っているんだよ」とは、同居女性の率直な感想である。
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 けさの新聞の片隅。一段ベタ見出しの★村治さん長期療養★村治さん、舌腫瘍で活動中止、の活字が目に留まった。それによると、クラシックギタリストの村治佳織さん(35)が自身のホームページで「舌腫瘍のため長期療養して公演などを中止する(復帰の時期は未定)。」と発表した、とのこと。
 村治さんは「みなさまへ この度 私 村治佳織は止む無く活動をお休みすることに致しました。今はじっくり体に休息の時間を与えることが一番大事なことではないかとの思いに至ったからでございます。 2013年7月22日」とコメントしている。でも、ご本人の気持ちを思うと、なんだか残念を通り越し、可哀そうな気がしてならない。
 私は、疲れたりするとはユーチューブで村治さん演奏の〈アルハンブラの想い出〉を聴くことにしている。大空のかなたにまで、どこまでも澄み切って広がってゆく、あの彼女ならでは―のクラシックギターの調べが大好きである。いまは何よりも、しっかりと療養して復帰のステージに立たれることを、ただ祈るばかりだ。きっと治る。そう信じている。
 
 それにしても、横着極まる、こうした見えない神々の容赦なき悪行がうらめしい。
 あれほどまでに世の人々に、それもギターの優しい調べを通して勇気と希望、元気を与えてくれているのに。この世は非情、いや、〈あ~ぁ、無情〉である。
 
【きょうの一文・ことば】「戦争の時代、つまり有事の際に、人間はどうするのか、って考える時期が、まさに今きたなと思うんです。それは、72歳の宮さん(宮崎監督)も同じ」=毎日夕刊23日付文化欄【〈Interview 鈴木敏夫〉今、有事を考える 宮崎アニメ「風立ちぬ」仕掛け人】

【新聞テレビから】
☆『80歳ばあちゃん合唱団 歌って生き生き』『29日に名古屋でデビュー♪「入院の子どもに元気を」』、『若者発忍者の旅 伊賀と名張アイデア募る 「自由な発想を」』(23日付、中日夕刊)
☆『ロイヤルベビー誕生 キャサリン妃第一子は男児 英王位継承順位3位』、『法王里帰り 熱狂と反発 初外遊ブラジル入り』『青年の日100万人参加へ/同性婚求めデモ』(23日付、毎日夕刊)
☆『文化欄〈ひと・しごと〉 会話が生き生き、間も絶妙 中部ペンクラブ文学賞を受賞 猿渡由美子さん(石屋法道)』、『首相 憲法解釈変更に意欲 集団的自衛権行使で』『参院選一票の格差4・77倍 無効求め全国一斉提訴』(23日付、中日朝刊)
☆『JCJ(日本ジャーナリスト会議)賞に琉球朝日放送など=ほかに特別賞が3・11東日本大震災後の原発事故被害や放射能の恐ろしさに積極的に取り組んできた福島県立相馬高校放送局に与えられる』『中国の地震 死者89人に』(23日付、毎日朝刊)

七月二十二日
 土用の丑の日。きょうも暑い日だった。

 ロイヤルベビー誕生の瞬間を願うイギリスでは英王室・ウィリアム王子の妻キャサリン妃がロンドン市内のセントメアリーズ病院に王子に付き添われて入院、日本時間の本日午後二時(英時間午前六時)から陣痛が始まったという。
 
 一方、日本はといえば。
 山口県・周南市で民家二軒の連続付け火殺人が発生、五人の遺体が焼け跡と近くの別の民家から発見され、現場周辺にいると見られる犯人の影に集落全体が脅えている。現場は山間の僻地で携帯電話もつながらないところだと言う。
 ブンヤの世界では【殺し三年、火事八年(殺人事件は記者になって三年そこそこで書くことが出来るようになるが、背後に保険金殺人など何が潜んでいるのか分からない火事は八年かかっても、まだ書ききれない―の意味)】の言葉があるが、さて背後にあったものは何なのか?

 こうしたなか、福島では東京電力福島第一原発敷地内の海側にある汚染監視用井戸で高濃度の放射性物質が検出された問題で、高濃度汚染水が地下水と混じって海に流出していたことがわかり、東電は福島県に謝罪。原発汚染水の海への流出が、漁民たちを怒らせている。

【きょうの一文・ことば】きょうからが本当のスタートだと思います=参院選での勝利を受け党本部で開かれた記者会見で安倍晋三首相(自民党総裁)

☆『2大政党制崩壊 参院民主 自民の半数に』『自民31増 民主27減 全議席確定』、『両陛下 福島に到着 今月2度目の被災地訪問』、『谷岡さん引退 行動の人一期で幕 脱原発カーター氏と面会』、『中国甘粛省でM6・6 22人死亡、290人以上負傷』(22日付、中日夕刊)
☆『安倍自民が圧勝』『対話の政治を望む 論説主幹・深田実』(22日付、中日朝刊)

七月二十一日
 第23回参院戦は国民の経済改善への期待感が膨らんでか、予想通り自民の圧勝となった。自民が65、公明が11の計76議席を獲得、非改選の59議席も合わせると計135議席と定数242議席の半数121議席を上回り衆参のねじれは解消される。
 ちなみに投票率は前回の57・92%より下がって52・61%と過去3番目の低さだった。
 私としては、晴れて当選した議員諸氏の全員に「国民の選良」にふさわしい国会議員職に専念してほしく思う。全ての選良に、このまま戦争のない、平和な日本の維持と継続に力を注いでほしい。そのためにも、まずやるべきことは日中、日韓関係の改善である。

 ほかに、今なお多くの人々が苦しんでいる福島原発事故発生に伴う底知れない放射能汚染を教訓に決して原発推進を加速させることがあってはならない。今回の自民大勝が原発推進の免罪符を得た、と受け止めることがあったとしたら、それは誤りだ。国民の誰もが原発事故の不安と恐怖におののいているのが現実であるからである。
 この点では、自然エネルギーへの転換も踏まえて叡知を集め、十分な議論をしたうえで「安全第一で」と願いたい。

 改憲論議の方も、これで改憲にヒタ走ってよいなどと決して早合点することのないようにしてほしい。日本国憲法を見直す絶好のチャンスでもあるので、議論を深めること自体は決して悪くはない。むしろ、歓迎すべきだと思っている。
 ただ「平和日本」の象徴で〝世界遺産といってもよい〟と、各国での評価も高い憲法9条だけは決して変えることがあってはならない。

【きょうの一文・ことば】……今、自衛隊があちこちの災害に出動しているのを見ると、やっぱりこれはいいものだと思います。隊員たちはよくやっていて、礼儀正しい。イラクに行かざるを得なくなっても、一発も撃たず、ひとりも殺しもせず帰ってきました。僕は立派だったと思います。……=19日付中日夕刊【〈宮崎駿監督の寄稿抜粋〉思いつきのような96条の改憲は詐欺 戦前、日本は悪かったそれは認めないと】から

【新聞テレビから】
☆『ぼくらの未来に一票』『熱く 最後のお願い』、『デトロイト財政破綻 支援具体策なし ホワイトハウス』、『〈サンデー版大図解〉「住んでみたい国」1位 マレーシア』、『〈訃報〉大統領の名物記者 ヘレン・トーマスさん=元UPI通信女性記者。20日、ワシントン市内の自宅で死去、92歳』(21日付、中日朝刊)
☆『経済 改憲 どう判断』『参院選きょう投開票』、『ブルース・リー 没後40年追悼』、『白鵬連勝43でストップ 稀勢またもや撃破 冷静さ失わず前へ』(21日付、毎日朝刊)

七月十九、二十日
 きのう、きょうと私は愛用の横笛とメモ帳を手に、自分を消し去るさすらいの旅に出ていた。足の赴くまま、電車やバスを乗り継いでいった。どこへ行き着いたか、はヒミツにしたい。今後人びとの共感を得る小説を生み出すためにも、だ。こうした放浪は世界を舞台にこれからも随時、積極的に続けていきたい。
 今回のちいさな旅は、いわば序章とでもいえようか。旅の友を敢えていえば、それは一匹文士の私だけに与えられた1本のペンとでもいえようか。

 一件だけ。その旅のさなかの深夜未明、東京在住の詩人、最匠展子さん(日本ペンクラブ名誉会員、「微笑する月」で日本現代詩歌文学館賞受賞)から電話が入った。
 何事か、と聞くと「八月十日に亡き詩人、左和伸介さん=代表作に詩集「あの町で」「唖者の祈り」など=の二十三回忌を有志で東京の〝なだ万〟で開くので、ぜひ出てください」との連絡だった。左和さんの御霊は静岡県小山町の「文学者の墓・富士霊園」に葬られており、私自身かつて最匠さんはじめ、長谷川龍生さんらと一緒に墓参したことがある。
 電話のさなかに地震が起き、かなり長時間の揺れに襲われたが、私たちは文学について構わずしゃべり続けた。むろん、私がどこにいるか、なぞ野暮なことは一切口には出さず、ただ淡々と、である。

【新聞テレビから】
☆『米黒人少年射殺無罪評決 オバマ氏「私が犠牲者だったかも」 抗議行動理解示す』、『ついに出産!? ▶▶▶そっくりさんでした キャサリン妃待つ病院前 ひと騒動』(20日付、中日夕刊)
☆『ナノカーボン くら形初合成 名大太陽電池へ応用期待』、『〈富士山臨時支局 2013年夏〉次のパール富士=富士山頂と満月が重なる光景=は23日朝 山梨の科学館員 観測地、日時を予測』(20日付、毎日夕刊)

七月十八日
 いゃあ~、懐かしかった。
 妻が私の部屋にとんで来て「10チャンネルを見て」と言うので、さっそくテレビをつけて見ると、そこには、あのオダサダさん、すなわち「加賀屋」会長の小田禎彦さんが映し出されていた(「禎」の字は示す篇は誤りで、実は〝ころも編〟なのだが、このワープロでは出て来ない字なので示す篇のままにした)。
 少しお年こそ召されたが、私が新聞社の七尾支局長在任時と少しも変わらない。かくしゃくとした風貌である。番組は〈カンブリア宮殿〉の【33年連続! 日本一の宿能登〝加賀屋〟の全貌 ハイテクで極上接客! クレーム対応の㊙会議】というもので、おもてなしの神髄に迫るものだった。私は、思いがけず小田さんの顔を見ながら彼の母である伝説上の初代女将、孝さんを思い出していた。

 孝さんといえば、加賀屋の基礎を作ったといっても過言でない初代女将である。
 孝さんには二、三度お会いしたことがある。彼女が一部屋一部屋を膝が擦り切れるほどにあいさつして回った〝孝さんのにじり膝〟人生は知る人ぞ知る。それだけに、能登時代が思い出され目がうるんだ。亡くなられたあの日、長男禎彦さんと次男孝信さん(たまたま、私の本名と同じ。オダサダさんは、よく私のことを〝たかのぶ〟〝たかのぶ〟と弟のように呼んでくださった)が物言わぬ母を前に涙にくれていた、あの時の様子が、今も瞼に焼き付いて離れない。
 このほか、雪月花オープン時には本社ヘリから異例の祝賀メッセージを落としたことや、今の女将である真弓さんにも森繁久弥さんがクルーザーで北回り日本一周の途次、七尾に停泊した際に随分とお世話になったことが思い出される。
        ×        ×

 このところは合間を見て室内にあふれた、というよりも足の踏み場もないほどになっていた本の山を一冊一冊チェックし、保存の必要がないと判断したものをひとまとめに。きょう、分別収拾ゴミとして市指定の集積場に出した。それにしても、一冊一冊に愛着があるだけに捨てるか残すか、その判断には結構、迷った。
 それでも、いつまでも未練たらしく保存しておいたところで結局のところは読みもしない本が増える一方だ。そればかりか、頭のなかまでが混乱してしまう。デ、これからの私自身の創作活動に必要な書物だけを残し、余分なものはこの際、全て捨て去ろうと心の中で決断した次第である。
 これからも指定のゴミ回収日に併せ、そのつど一冊でも多くの不要書物を処分し、室内そのものもスッキリさせ、私ならでは、の一匹文士の部屋に改造できたら、と思う。二階の書物も不要な物はどんどん処分していかなければ、と思っている。未練を断ち切る。そうしなければ、いい作品なぞは、とてもじゃないが書けっこないのである。

 ただ、もう何十年になるだろうか。学生時代からずっと定期購読者として読み続けてきた文學界だけは、全て残しておかなければ、と思う。かつて同人雑誌評で〈今月の五編〉の一作として二度、三度と紹介されたときの喜びが、いまも胸の中にあるからだ。ほかに過去、何度も何度も読み返してきた無冠作家の太宰治の小説、今は亡き中道風迅洞さんの折り込み都々逸の本などは、いつも手に取れるところにおいておくことにした。
 そして。本の整理をしていく中で私自身、本屋さんに行き購入した記憶がある【美しい日本語の風景】(中西進著、淡交社編)は、これから片時も離さないで目を遠し、私自身の創作活動にも生かしていけたら、と思っている。
        ×        ×

 というわけで、本日も時はまたたく間に走り去っていった。
 それでも、午前中は例によって、まだまだの社交ダンスのレッスンに出向き、ジルバ、タンゴ、ルンバに続いてワルツの基本にもう一度、チャレンジ。やればやるほど、ワルツの奥深さとむずかしさを思い知ったのである。
 これ以外には、一日中、室内での本の整理などに追われたが疲れたところで、自ら内心「極める」と誓った横笛の自主練習も。そんな私を二匹の猫が心配そうに見守ってくれていた。ダンスも、笛吹き…も、これ全て私自身納得がいき、かつ多くの人々の心を打つ小説を書くがために、である。わがままなのかも知れない。

【きょうの一文・ことば】変化を認めながら、下品な流行語は使わず、大昔のものに固執せず、一歩遅れたところでことばを使うと、これはみごとなばかりに美しいことばの使い手となる。じつは人間の品というものはすべてこの一歩遅れにあるのだから――「美しい日本語の風景」本文より。中西進さん

【新聞テレビから】
☆『中国7ガス田開発か 2カ所日中中間線付近 東シナ海』、『「武器移送は決議違反」 英国連大使 安保理で対応協議へ』『武器搬送を認め船員の解放要求 北朝鮮、パナマに』、『広島遺棄 接客業で金銭トラブル 少女ら売上金分配めぐり』(18日付、中日夕刊)
☆『CIA元職員、ロシア語勉強』、『広島・死体遺棄 少女「みんなで暴行」 殺人容疑視野に捜査』、『海保長官に佐藤保安監 尖閣緊張で初の現場出身』(18日付、毎日夕刊)
☆『名古屋・中2自殺検証委 大河内さんらに打診』、『広島の遺棄6人逮捕 5人は16歳容疑認める 「みんなで暴行」』、『ネット選挙関心低調 「参考に」3割■ツィッター利用1割』(16日付、中日朝刊)
☆『「全社挙げ再生」内田新社長会見 東海テレビ』(18日付、毎日朝刊)

七月十七日
 第149回の芥川賞に藤野可織さん(33)の「爪と目」(新潮4月号)が、直木賞には桜木紫乃さん(48)の「ホテルローヤル」(集英社)がそれぞれ決まった。
 
 きょう横笛練習の帰りに、JR名駅高島屋内の三省堂書店でことし松本清張賞に輝いた山口恵以子さんの小説「月下上海」(文藝春秋)を1冊、1365円(税込)で購入した。私は人込みのなか書店員に聞いて、きょうから発売が始まったという「月下上海」を見つけたが、一人の読者として本1冊を買うことの重みを、また一作家としては読者に対するありがたさを感じた。
 店頭に並ぶ夥しい本の数々。1冊1冊に作者の魂が込められ、その向こう側には家族がいて、知人がいて、恋人たちが…。編集者もいるのだ。私の本「マンサニージョの恋」(幻冬舎ルネッサンス)も同じように限りなき読者の愛で買われているのだな、と思うと自ずとその場で感謝の手を合わせたい気持ちがこみあげた。
 本屋に行き、そこで本を探し、お金を払って買い求め家に帰ってこれを読む。この一連の愛があればこそ、の本なのである。私は私の本を読んでくださったり、これから読んでくださる方々に、この場を借り心から礼を申し上げ、同時に少しでも読み応えのある作品づくりに今後も情熱を注いでいくことをお約束したい。

 きょうは、北海道の帯広ドラキチ会の会川桂一さんから思いがけずメールを頂いた。メールは、以下のようなものだった。
―こんにちは。お久しぶりです。北海道の会川桂市です。7月14日に46歳になりました。平成2年以来23年ぶり勝利を挙げました。12日~14日までナゴヤドームに来ていました。今は広島マツダズームスタジアムに来ています。明日に札幌に帰りまして19日札幌ドームのオールスターを観戦して十勝(とかち)に帰ります。名古屋も広島も猛暑日で、部屋でクーラーをつけています。昨日は勝ったのでお好み焼きを食べて来ました。

 それにしても会川さんって、凄いお方だ。
 私の「お誕生日と23年ぶりの勝利、心からおめでとうございます。遠征費すごいですね」といった返信メールに対しては「今年の6月8日から帯広のばんえい競馬場でもJRAの馬券が買える様になりました。パチンコや競馬で儲けたら野球の遠征費に充てています。昨日も今日もラッキーな逆転勝ちでした」の弁。
 そうか。会川さんってそういう面でも〝名手〟なんだ。もしかしたら、そのうちに宝くじで何億円とか、を充てるのじゃないか。いや、既に当たっているのでは―とふと思ったりしてしまう。貧乏人の一匹文士の考えることは、これぐらいのものなのか。あ~ぁ。
        ×        ×

 ともあれ、このところのドラゴンズは調子が上向いてきており、きょうも広島戦で勝った。これも、名古屋はむろん全国に散らばるドラゴンズファンの応援があればこそだ。

【きょうの一文・ことば】愛の階段には見た目の美しさ「肉体の美」に始まり、「魂の美」、「知識の美」、そして「美そのもの」があり、これが〝愛の奥義〟に通じる=17日夜NHKEテレ〈100分de名著・プラトン 愛の秘儀! 肉体美と心〉から

【新聞テレビから】
☆『清く正しく美しくОG一堂に 創立100周年式典華やか 宝塚音楽学校』、『33基 都大路の夏 祇園祭山鉾巡行』、『レタスやピーマン平年の倍 野菜高値 頭痛のタネ スーパー各社 安売りで応援』、『★11年ぶり来日公演へ=元ビートルズのポール・マッカートニーさん(71)』(17日付、中日夕刊)
☆『参院選終盤情勢 自民改選倍増の勢い 投票先未定なお4割』『中部6県 自民先行 選挙区情勢』、『名古屋・中2死亡「いじめ自殺の可能性」 市教委、校長認める』、『黄色い花に涼求め 霧ヶ峰・ニッコウキスゲ』(17日付、中日朝刊)(17日付、中日朝刊)

七月十六日
 きょうは7月16日。ナナ・イロの日ということで、〝虹の日〟だそうである。
 NHKのニュース報道によれば、熱中症でことしに入り、東京都内だけでも二十八人が亡くなったという。信じられないけれども、現実なのだから仕方がない。
 
 きのうは社交ダンスパーティーで自らの幼稚さを思い知った。それだけに、せめて横笛だけでも少しは上手く吹けるように、と二刀流(古い笛と新しい手づくりの笛)での練習に励んだ。精神を集中して真剣勝負さながら、に〈さくら〉と〈風の盆恋唄〉、〈酒よ〉などをふいてみる。このあとは南米のサンポーニャも、ユーチューブに合わせて見よう見まねで吹いてみた。
 どれも、まだまだ未熟だ。でも、それなりに少しずつ進歩しているとは思うのだが…。

 船友仲間からの連絡で知ったが、私が昨年乗船したピースボート(第76回)の船旅が、その後回を重ねてピースボート30周年記念を兼ねた第80回クルーズとして十八日に横浜を出航、十月十日まで八十五日間の地球一周の船旅に旅立つという。乗客の皆さんは皆、ピースボートの精神に則り世界平和を願う「平和の使者」たちばかりだけに、大いなる成果を期待したい。
        ×        ×

 楽天のマーくん、すなわち田中将大投手が大阪・京セラであったオリックス戦で無失点記録こそ42イニングでストップしたものの4―1で完投、開幕以来の13連勝を飾った。ドラゴンズの岩瀬投手も広島戦(3―2で中日の勝ち)で十年連続20セーブを達成した。どちらもすごい。

 広島で十六歳の少女が同じ十六歳の友だちを殺して山中に遺体を捨てていたかと思えば、名古屋ではいじめにあった中学二年生がマンションから飛び降り自殺をする―など暗いニュースが次々と起きている。

【きょうの一文・ことば】「憲法九条を改正して強い日本にすることが、自分の大切な人を守ることになるんです」=16日付中日朝刊軟派トップ【〈不安に踊る 2013参院選1〉愛国に走る「右女」 揺らぐ価値観強さに憧れ】の記事のなかで。名古屋市に住む幸希さん(41)

【新聞テレビから】
☆『富士山 マグマ一触即発 産業技術研など分析 大地震でひび入れば噴火? 多様な「噴火のデパート」』『東証、世界3位市場に 大証と統合 トラブルなく始動』、『高速網整う三重北中部 パワーショベル26台盗難 上半期関西経由で海外へ?』(16日付、中日夕刊)
☆『原発再稼働 審査入り』『5カ所10基 最速、年内終了』『福島と違う加圧水型』、『宝塚市役所が業務再開 放火被害の部署は移動』、『バイクの2人はねられ死亡 伊賀・トラックに』(16日付、毎日夕刊)
☆『伊勢の「おもてなし」20年 おかげ横丁 季節の催し方言で接客 来場者最多の勢い』、『中国 成長7・5%に減速 4~6月期 人民元高など響く』(16日付、中日朝刊)
☆『〈原発再稼働を聞く〉寺島実郎・日本総合研究所理事長 「脱原発」相当の覚悟必要』、『軍とモルシ派衝突引き金 双方に銃撃謎の集団 エジプト複数の目撃者』、『秋まで280万本 南知多のヒマワリ』(16日付、毎日朝刊)

七月十五日
 伊神権太の連作長編小説「マンサニージョの恋」(クリックしたら、見られます)=全国書店とアマゾンで発売中
 
マンサニージョの恋
・幻冬舎ホームページ
・amazon

 海の日。
 午後三時過ぎに自宅を出て名古屋へ。
 名駅近くキャッスルプラザ鳳凰の間で開かれた愛知県インターナショナルダンス教師協会主催の〝夏の舞踏会 クリスタルダンスパーティー〟なる集いに出てつい先ほど、午後十一時前に帰宅。さすがに、ああした人の多い場所は元々苦手なだけに、最後まで付き合った私自身を褒めてやりたい心境にかられた。やっぱり疲れた。

 「やはりここが一番いい。やすまるよ」と妻の横のソファにドッカと座ると「そんなに、昔のようにいつも、いつも料亭みたいなところばかりじゃないのだから。そういうのが普通なのよ」とさっそく叱られた。あげくに「一人で無事、行けたの。どこか、ほかの会場に行ってしまったのではないの」と痛い点をついてきた。
 実は昔からキャッスルと言えば、かつて愛知医大を巡る三億円強奪事件の舞台となり取材で足しげく通い、ほかにも各種の集まりで何度も訪れたことがある西区の名古屋キャッスルホテルしか頭になかったので名駅からタクシーで直行したが、ホテル違いと分かって再びタクシーに乗車。名古屋駅から、それこそすぐ近くのキャッスルプラザまで逆戻りした。

 80歳を超えた女性も加わり見事な社交ダンスを披露する人々、みな日頃の練習成果を競い合った=キャッスルプラザ「鳳凰の間」で

 座をいっそう盛り上げた仮装しての社交ダンス

 余談はさておき、ルンバ、チャチャチャ、タンゴ、ワルツ…と、皆さんご高齢が多いにもかかわらず本当に社交ダンスがお上手である(むろん、私のように若い方もおいでだったが)。あれほどうまくなるには一体、どこでどんな練習をしているのだろうか。時間さえあれば、ダンスばかりやっているに決まっている―と、見れば見るほど自身を喪失してしまう。
 それに女性陣が身を包んだあの何とも言えないほどにカラフルかつ、きらびやかな衣装にも圧倒された。一方で、私のダンスは、と言えば。ステップも身のこなしも…、お世辞にもまだまだ一定のランクにまでは達していないことを実感した。社交ダンスは底知れぬほどに奥が深いのである。

 でも、だが待てよ。これぐらいなら出来ないことはナイ。と、〝めぐり逢い〟なるタイムに勇躍、気負ってはみて踊りの輪の中に入ってはみた。デ、結果はというと。タンゴはそこそこ下手なりにもこなしたが、マスターしていたはずのワルツの方がとんと足がついてこないではないか。終わると相手の女性は、まるで私を憐れむでもするかの如く「ハイ、ありがとう。ご苦労さま」とホッとしたようでもある。
        ×        ×

 きょうは名古屋に出かける前に聴こうと思っていたニッポン放送のホリデースペシャルナイト「~雨谷麻世 木漏れ日の音~」もスマートホンで聞こうとしたが、〝関東地区以外では聞けません〟との冷たい仕打ちに遭って結局は聴けないままに終わった。雨谷さんには、申し訳ないことをしてしまった。

【きょうの一文・ことば】「(日本の百寿者は)顔のしわが少なくて驚いた。詩作や編み物といった趣味があることも強く印象に残った」=15日付中日朝刊〈短歌、編み物百寿の秘訣 独の写真家、愛知で撮影開始〉の記事の中でドイツ人写真家、カルステン・トーマエレンさん(47)

【新聞テレビから】
☆『湾曲炭素ナノ分子 第4の形状名大が合成 ノーベル賞 グラフェンに続く発見』、『株式市場あす統合 東証、大証』、『〈ニュースがわかる〉世界の同性婚事情 現状は? 合法化14カ国に拡大 今後は? 進む容認保守層反発』、『大たいまつ燃える男心 那智の火祭り』、『16歳少女「友達殺した」 広島自首、遺棄容疑で逮捕 山中で遺体発見』(15日付、中日朝刊)
☆『本社世論調査 投票先「自民」減少37% 内閣支持55%2連続下落 自公過半数望む52%』『各地で舌戦 ラストサンデー』、『金総書記小泉(純一郎当時首相)氏に伝言託す 「核兵器持つのは米のせい」 02年日朝会談』(15日付、毎日朝刊)

七月十四日
 朝。起きて周りを見回しても、妻がいない。一体どこへ消えてしまったのか、と不安な気持ちにかられ、心配して玄関を開け外を見ると、ちょうど自転車でかえってきたところだった。「どうしたんだよ」と聞くと「神社掃除に行ってきたの」の弁。アッ、そうか。きょうは古知野神社の掃除の日だったのだ。すっかり忘れて寝入っている間に、妻はひと仕事を終えてくれていたのだ。「あっ、そうか」と言いつつも心の中で「ありがとう」と感謝した。

 午前中、NHKラジオ第2でカルチャーラジオ「詩歌を楽しむ」を聞いたが、きょうは東日本大震災の被災地でたくさんの俳人たちが震災を契機に俳句を詠み続けている作句活動に関する特集で、震災発生後に生まれた名もない人々の俳句の数々が披露され、一句紹介されるたびに胸に熱くて痛いものが走った。
 私は、こんなにノホホンとしていてよいものだろうか。というのが、実感である。なかに一句―
 ♪サンダルを捜す魂名取川

 午後は例によって猫缶をはじめとした1週間の買い出しで街中に。帰りに私の実家を訪ねると、母がこの夏第1号で自ら収穫したという手塩のスイカを4分の3切って貰って持ち帰った。4分の1は母に残したが、丸々とした上出来のスイカだった。
        ×        ×

 夕方、滝高時代のクラスメートから私の携帯に留守電が入っていることに気付く。「イガミの書いた小説をたったいま読み終えたところだ」といった内容で私は無性に嬉しくなって、すぐに折り返し電話を入れ「貴重な時間をありがとう」と礼を述べさせていただいた。クラスメ―トとは、有り難き哉である。

 夜。たまたま検索していたユーチューブで今月六日に木曽川河畔のウ飼いの町でも知られる犬山市昭和横丁であった【「恋の犬山」カラオケ配信記念式典】なるものを繰り返し見た。「恋の犬山」は、「熱砂」同人でもある牧すすむさん作曲で都はるみさんが歌っているご当地ソングだけに、この先リバイバルソングとしてなんとか復活し、全国ヒットしてほしい。そう思いを重ねながら何度も何度も大正琴や二胡の演奏に聴き入った。

【きょうの一文・ことば】最近、急速に伝統が弱まっているように思います。必ずこれをしなければいけない、という縛りがない暮らしになってきました。伝統が弱まると、革新が弱まります。=中日14日付朝刊〈玄侑宗久さん こころの好縁会/基調講演「伝統と革新」 突き破る「造反」の歴史、から

【新聞テレビから】
☆『駐日米大使 ケネディ氏 初の女性、起用を内定』、『球児の夏 被災地から 石巻で初の開会式』、『郡上おどり開幕 雨に負けぬ熱気の輪』、『猛暑 電力需要が急増』『各地で最大更新 老朽火力も総動員』、『祝・遷宮1万(発)の彩り 伊勢』、『バッテリ―無関係か 英空港のB787出火を調査』、『サンデー版+テレビ 〈大図解〉ハワイの民族舞踊 フラの世界』(14日付、中日朝刊)
☆『〈ストーリー〉取り戻せない日常―集団避難の福島・双葉町民』『遠のいていく古里 旧騎西高校で暮らす福島・双葉町民 プライバシーなし』『閉鎖後も埼玉で生きる』(14日付、毎日朝刊)

七月十三日
 土曜日。
 きょうは、私たちをここまで育て導いてくれた、今は亡き父の誕生日だ。大正五年七月十三日生まれだから、生きていれば満九十七歳である。生前、父は「俺が生まれた日はパリ祭の前日だ」が口癖で、フランス革命の発端ともなったこの日がよほどの自慢のようでもあった。

 今夜のCBCテレビの「世界ふしぎ発見!」には感銘した。
 後にスリランカの初代大統領になったジャヤワルダナ氏が戦後のサンフランシスコ講和会議で「憎しみは憎しみでは解決できない。(憎しみは)愛することによってなくなる」との名言を残し、日本に対する戦後の国家賠償補償を全て放棄したいきさつにまで踏み込んでおり、なかなか味わい深い内容だった。
 スリランカと言えば、私は昨年の第七十六回ピースボートの船旅で訪れ、その時の模様をユーチューブで「伊神権太が行く世界紀行 平和へのメッセージ/私は今その町で〈コロンボ/スリランカ編〉で発信した国でもあるだけに、懐かしさがこみあげた。
 番組でも触れていたが、「スリランカは小さな国ですが、心は大きな国です」とは、まさにその通りで「遠くて近い国」なのである。もし、本欄を読んでくださった方がおいででしたら、私がピースボートの船上から発信した平和へのメッセージの中の「コロンボ/スリランカ編」をぜひとも、ユーチューブで覗いてほしい。そして真の平和の尊さとは何か、を共に考えてみてほしい。
        ×        ×

 話は変わって。なかなか思うに任せない横笛だが、このところは精神を落ち着かせて自らの意識という〈川の流れ〉のなかに笛の調べ一つひとつを落とし込んでいく、そんな方法で少しずつ良い音が出るようになってきた。
 この調子だと、それこそ私が本気で言っている【〝ニッポンイチの笛吹き男〟の誕生】も、あながち夢でもなさそうだ。この場合の笛吹きの根本なるものは一般的な音の優劣、すなわち比較判断ではなく、自分なりに自らの心に忠実に吹けたらいい。だから言い訳めくが、私の言う〝ニッポンイチの笛吹き男〟は、本人さえ確信すれば、それはそれなりにこの世に何人居ても良いのだ。
 この希代な文、をもしかして目にした笛仲間がいたら「そんなバカな」と一笑に付されるに違いない。でも、それはそれでいい。私の内部で横笛を吹く時の心構えとして、精神を統一してこうすれば、いやこう吹けば…といった開眼に似たものに突き当たったからである。だから、これ以上は私の極意なので口は堅く閉ざしたままでいこうと思う。

 いずれにせよ、先日のレッスンでの師匠の指摘いらい、私は自宅での笛吹きの稽古に当たっては〈二刀流〉で臨んでいる。一つは福井の笛の里で女性の笛師に教えてもらいながら作ったつたない一本、今ひとつはそれより前に初めて笛の里を訪れた時に思い切って購入した高価な笛である。このところは、この二本が互いに意地を張りあうように、まるで生きもの同然に私に襲いかかってくるようになった。

 いずれも、撓うように出る音には私自身吹きながら完全にその虜となっていく。笛も、文章も。究極のアンソロジーでなければならない。それだけに、これからも一歩一歩道を極めていこう。出来たら死の果てまで、と思っている。
 
【きょうの一文・ことば】「私は過激派を憎んではいない。過激派の子どもたちを含むすべての子どもに教育の機会を与えてほしいと伝えるためにやって来た」=13日付中日朝刊〈子どもに教育を マララさん国連演説 「一冊の本が世界を変える」〉の中で。昨年10月、パキスタンで下校途中、イスラム過激派に銃撃されたマララ・ユスフザイさん。12日はマララさん16歳の誕生日

【新聞テレビから】
☆『パリ近郊脱線死者6人 特急、ホームに乗り上げ 30人けが』『仏列車脱線 発車15分、休暇暗転 乗客ら混乱「まるで戦場」』、『B787火災 駐機中天井焦げる EU、運航停止は見送り』(13日付、中日夕刊)
☆『銃弾は我々を黙らせることはできない マララさん国連で演説 教育の必要性訴え』、『平山郁夫氏遺産申告漏れ 3億円 妻に追徴1億5千万円 国税指摘』(13日付、毎日夕刊)
☆『子どもに教育をマララさん国連演説 「一冊の本が世界を変える」』、『御園座出資170社32億円 トヨタや中日新聞 建て替えにめど』(13日付、中日朝刊)
☆『63光年先に青い惑星 NASAなど「ハッブル」で確認』、『岡村孝子さんデビュー30周年 「あっという間だった」リスナー、スタッフのおかげ 30日に名古屋でコンサート』、『宝塚放火「差し押さえられ立腹」 容疑者、固定資産税払わず』(13日付、毎日朝刊)

七月十二日
 今夜のナゴヤドーム。わが中日ドラゴンズが巨人を9―1で破り、久しぶりに気持ちの良い内容だった。なかでも、九回には今季初登板の浅尾が三人で締めてくれ久しぶりにドラゴンズ本来の勝ちっぷりを見せてくれた。これから、浅尾がどんどん出てこれば、かつてのドラゴンズ黄金時代の再来も夢ではない。

 東京で予定されていた、七月の反原発を目指す文学者の会がメンバーの都合もあって急きょ中止に。
 ということで、このところ、せっかく「熱砂」主宰である私のもとに贈られてきながら、なかなか目を通している暇がなかった受贈誌一冊一冊を丁寧に拝見させて頂いた。今後、気付いた点は私なりのコメントを本欄で「そのつど」掲載させて頂くつもりでいる。

 いつも感心するのだが、この地方の同人誌活動は間もなく第600号を迎える「北斗」はじめ、「じゅん文学」「文芸中部」「文芸きなり」……と、どれもこれも全国的に見てもかなり上のハイレベルにあるような気がしてならない。まだまだ歴史の新しい私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」などはヒョッコで、この先なんとかついていかなければ、と思っている。
 というわけで、本日のところは「What’s New」欄で受贈誌に対するお礼だけは遅まきながら紹介させていただいた。このところはナンダカ急き立てられているような気がしないでもなかったが、やっと少したまっていた受贈誌の紹介が出来、ホッとしたのも事実である。
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 それにしても、名古屋市南区の市立中二年の男子生徒が昨日、自宅近くのマンション11階通路の手すりを乗り越えて自殺した事件。自宅で母親が見つけた大学ノートに書かれたメモには「複数の人から死ねと言われた」「自分に嫌気が差した」などと書かれていたという。
 でも、けさの毎日朝刊軟派トップ記事で紹介されていた、小学校の卒業文集に寄せた彼の作文【ぼくの将来の夢】を読む限り、「なぜ、こんなに優しく将来性豊かな少年が〝死〟までを決断せざるをえなかったのか」が納得できない。惜しい人材が失われてしまった。合掌―

 【きょうの一文・ことば】ぼくの将来の夢は、ロボットの研究をし、人の役にたつロボットをつくることです。そして、ロボットの会社をつくり、そのロボットをたくさんつくり、世界の人が少しでも安心できるようにしたいです。/ぼくのつくりたいロボットは、例えば災害の時に人を助けるロボットや、お年寄りの手伝いをするロボットです。/災害の時に人を助けるロボット―三月十一日の東北の大しん災もそうですが、災害の時に人が入れないことがあります。その時に人のかわりにロボットが人を助ければ多くの人を助けれると思います。/お年寄りの手伝いをするロボット―お年寄りには、不自由なところがたくさんあります。ロボットがお年寄りの手伝いをすれば便利になると思います。/……=12日付毎日朝刊軟派トップ〈名古屋・中2飛び降り〉記事のなかの男子生徒の小学校卒業文集【ぼくの将来の夢】から抜粋

【新聞テレビから】
☆『中2転落死で第三者委 名古屋市 いじめ有無調査へ』『同級生「真実知りたい」 部活中止沈む校内』、『市役所火炎瓶で放火 宝塚、容疑者逮捕 滞納指摘に激高』『立ち上る黒煙 鼻を刺す臭い』(12日付、中日夕刊)
☆『スギちゃん5億円当選? 独大衆紙が誤報』、『名古屋・中2飛び降り 「いじめ」アンケート 市教委全校生、無記名で』『教室で「死ね」連呼 生徒証言』、『NY株最高値更新=1万5460・92ドル= 169ドル高』(12日付、毎日夕刊)
☆『中2男子いじめ自殺か 名古屋メモ「死ねと言われた」マンションから転落』『「死なないで」「希望もって」 ―いじめ被害者ら呼び掛け』、『印象派と響き合う美 日本画・平松(礼二)さん=神奈川県鎌倉市在住、71歳=仏で展覧会 「共通する探究心、感じ取って」』(12日付、中日朝刊)
☆『猛暑日140地点 館林39・5度 桑名38・5度』(12日付、毎日朝刊)

七月十一日
 名古屋は、5日連続の猛暑日に(東京はきのうまで4日連続)。きょうも全国140カ所で気温35度以上の猛暑日になった。

 自然の猛威を前に、私たち生きものはタダひれ伏すしかないのか。いつも思うことだが、台風のエネルギーを科学の力でどこかに貯めて確保し保存しておいて、猛暑のときに涼風を送り込んで調合して、どんな時にでも秋空のような、さわやかな天気には出来ないものなのか。
 電力だってそうだ。台風のエネルギーを電力源として保存し代替エネルギーに転化できないのか。そうすれば危険極まる原発なんて必要ない。人間の叡知を結集すれば、それぐらいのことは出来る気がするのだが…。素人の戯言と言われようが、そうでもしてもらわなければ―と科学者たちには訴えたい。

 福島第1原発事故発生に伴って〝垂れ流し〟同然に漏れ出た放射能汚染の除染だって、土を剥いで削り取るなど現在は極めて原始的な方法に頼っているが、どこかに救世主的なものが潜んでいる。それも「あっ、なんだ。そんなことだったのか」と誰もが気付くような意外な救世主が存在しているような気がしてならない。
 要するに放射能汚染が、そのモノが現れると退散してしまうというか、消えてなくなってしまう。そんな放射能汚染物質を消滅させてしまうものはないのか。それこそ、ド素人の考えだが、砂に弱いとか、風、草、灰、アルコール、赤い色、暑さや氷……に弱いとか。たとえば風に弱くて風に吹かれると、そのまま消滅してしまうとか。熱湯に弱いとか。放射能に天敵があるとしたなら、なぜ、この点の科学技術を進めないのか。
 
 これは私のつたない取材経験なのだが、かつて三重県志摩半島で地方記者として飛び回っていたころ、腸炎ビブリオ菌による食中毒が発生。この際、時の志摩保健所スタッフから「この菌は真水に弱いから、魚など真水でしっかり洗ってさえおけば菌は消えてしまいます」と聞いたことがある。そうした際の【真水】みたいな、放射能が恐れる正義の味方がどこかに存在するのではないか。科学者たちには、もっと目を見開いて人類を救う術を見つけてほしい。

 あ~あ。でも、これらは皆、単なる願望であって夢物語に過ぎないのだろうか。

 へんな話しだが、今日ある船友仲間から届いたメールにこんなものがあった。
 「日本もそのうち熱帯気候になって、パイナップルやバナナやマンゴーが野生で育ってくるかもしれませんね」
 私はこのメールに「その時は熱帯人となって一緒にパイナップルやバナナ、マンゴーを食べましょうよ」と返信したが、もしかしたらそんな異常な時代が目の前に迫ってきているのかもしれない。……。どちらにせよ、なんでこんなに暑いのか。いや、「暑い」のではなく、このところのアツさは「熱い」アツさといっていい。
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 というわけで、午前中、江南市民文化センターであった社交ダンスは、皆かからないエンジンを一生懸命にかけステップを踏むような、そんな繰り返しとなった。それでも、ルンバの【最後の3歩】をなんとかこなせてホッとした。猛暑でパートナーの女性の背中がびしょ濡れで「濡れていますよ」と言うのもナンダカ失礼ではないかと気が引け、暑さの中のレッスンが進んだ。
 帰宅後は、いったん執筆からはずれて、これまでに積もり積もった貴重な資料の整理整頓を始めたが、これが始めるとなかなか終わらない。いつ果てるともなく、延々と続いた。

 日銀がきょう開いた金融政策決定会合で景気の現状判断を「緩やかに回復しつつある」とし前月から引き上げたが、米国FRBのバーナンキ議長もこれに呼応するかのように「金融緩和の継続」を強調した。
 札幌市内で自称31歳の男が両親と兄を金属バットで殴り殺したかと思えば、岐阜県池田町では脳梗塞で寝たきりの91歳の母親を殺した、と64歳の娘から岐阜県警揖斐署に110番通報があった。また、たまたま見た夜の民放テレビニュースによれば、私が住むここ江南市では57歳の男性派遣社員が自らの左手首を文化包丁で切って自殺した。男には一体何があったのだろう。

 そうかと思えば、松坂屋名古屋店が販売した中元ギフト商品2点に縫い針が混入されており、あってはならないことが次から次に起きている。

【きょうの一文・ことば】弱気は最大の敵=11日夜のCBCテレビ〈やり投げエビちゃんの素顔〉で。海老原有希選手

【新聞テレビから】
☆『日銀決定会合 景気判断「回復」復活 2年半ぶり緩和策は維持』、『ボストン爆破 被告無罪主張 連邦裁』、『食卓には秋風 サンマ初競り 名古屋・中央卸売市場』、『不明の姉弟か 下呂の川で1遺体発見』(11日付、中日夕刊)
☆『タイ山岳地帯の(カレン族の)村に119歳男性?』、『南吉の英語試験 中2挑む 安城の8校「ちょっと難しかった」』、『7月上旬の平均気温過去最高 酷暑ゆだる列島 名古屋午前に35度超』(11日付、毎日夕刊)
☆『戦時強制労働に賠償命令 ソウル高裁 新日鉄住金、敗訴 戦後補償 個人の請求権認定』『官房長官「解決済み」』、『クールな直滑降 乗鞍岳・大雪渓』、『酷暑の名古屋ラマダン体験記 渇き…苦しさの先に喜び 大砂嵐には及びませんが』『笑顔の夕食、悪くないかも』(11日付、中日朝刊)

七月十日
 きょうは、江南市内に住むトシコさん宅に招かれ延々三時間にわたってトコトン、あるべき小説作法、私が目指す文学世界とは、について話し合った。「浅田次郎と曽野綾子が大好きです」というトシコさん。私の連作小説集〈マンサニージョの恋〉を二度まで読み直したうえ、かなり踏み込んで手厳しい感想を述べてくださり、今後新たな作品を書くに当たって、とても良い刺激となった。
 酷評の中身が具体的に「何か」については本欄では控える。でも、これまでにも名古屋と関西に住む心ある大切な知人から容赦ないほどまでに、こっぴどく指摘され内心、真剣に受け止め感じているところだっただけに、ズバリと気持ちよいほどまでの批評は、こんご私の小説を執筆するに当たっての姿勢がここでさらに覚醒化されたような、そんな新鮮な気持ちにさせられたのである。

 「あなたにしかないキラキラしたカ所がいっぱいあるのだから。惜しい。もっと、もっと。トコトン、書いてみてください。ありがたい、などと言った表現は使わない方がよい。もっと、ありとあらゆる〝毒〟を出さなければ」といった励ましは正直、涙がでるほどに嬉しかった。と同時に、真剣に立ち向かっていけばヤマを乗り越えることが出来そうな気もした。柔道で言う【人に勝つより自分に勝て、と…】である。
 あとは私の持ち味でもある経験の豊富さと現場主義、全てに対する愛の目を胸に私ならでは、の特異の文体と手法を今後いかにうまくミックスさせていくか、だ。要は私でしか書けない、かといって人々の心に寄り添った、そんな伊神権太ならでは―の新たな文体と小説世界を【権太ワールド】として構築していくほかない。

 かつて仙台で暮らし東日本を知り、多くの被災者を知るトシコさんは、こうも言ってのけた。
「励ましとか、有難みなんて。そんな表面上のものなぞ、力にはならない。〝怒り〟こそが、力になるのだから。〝怒り〟がなければ人の胸を打つ小説なんて書けっこないわ。寄付だとかボランティアだとか、いろいろ言ってはいるけれど。これからは被災者の間で狂う人とか、死ぬ人がどんどん増えてくると思うの」と。
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 きょうも日本全国の109地点で猛暑日となった。山梨県勝沼では観測史上、最高の39・2度を記録。東京も35・3度を記録し四日連続の真夏日に。

【きょうの一文・ことば】「他人がやってもやらない、他人がやらなくてもやる」。これが私の生き方なのです。だから、みんなが悪い人だと言っても私にとっていい人はいいのです。=江南市内の女性宅で。トシコさんは、このあと「再会」(作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正 唄:松尾和子)が大好きです、と教えてくれた
〈再会〉
逢えなくなって 初めて知った
海より深い 恋心
こんなにあなたを 愛してるなんて
ああ ああ 鴎にも
わかりはしない

みんなは悪い ひとだというが
わたしにゃいつも いいひとだった
ちっちゃな青空 監獄の壁を
ああ ああ みつめつつ
泣いてるあなた

仲よく二人 泳いだ海へ
ひとりで今日は 来たわたし
再び会える日 指折り数える
ああ ああ 指先に
夕陽が沈む
 
【新聞テレビから】
☆『サマージャンボに行列 五億円の夢今年こそは』、『壁倒壊高2死亡 解体業2被告実刑判決 岐阜地裁「安全意識が薄い」』、『福島第1原発 「汚染水、海に拡散」 規制委見解 東電の説明疑問視』(10日付、中日夕刊)
☆『エジプト 副大統領エルバラダイ氏 暫定政権 ベブラウィ新首相 暫定憲法に反発相次ぐ』(10日付、毎日夕刊)
☆『業界団体は自民に回帰 参院戦民主と両にらみ一転 中部のJAや建設業 単独推薦「恩売りたい」』、『バチカン改革本格化 フランシスコ法王人気背景に 「清貧」姿勢を信者支持』、『ダライ・ラマ誕生日(今月6日)に発砲 四川省集会でチベット族重傷』(10日付、中日朝刊)
☆『吉田昌郎さん死去 福島原発 事故時の所長 58歳』、『カナダ列車事故 死者13人に(ほかに40人近くが行方不明) シェールオイル開発で輸送急増 沿線の懸念増大』(10日付、毎日朝刊)

七月九日
 暑い一日となった。
 山梨県甲州市では気温39・1度を記録。関東甲信越や東海を中心とする94地点で35度以上の猛暑日に。39度を超えたのはことし初、この地点では観測史上最高タイ記録だという。
 昼の段階のニュースによれば、昨夜は名古屋や岐阜、大阪など各地で最低気温が25度を越す熱帯夜で、きょうも高温注意報が出されるという異常事態が続いた。こうしたなか、北海道の釧路港では燃料代高騰のギャップを背負いながら、サンマ漁が始まった。幸い、初日のけさは5・2トンの大漁で漁師たちを喜ばせた。

 ソマリア沖の海賊対策で政府は現在、展開している海上自衛隊の護衛艦二隻とP3C哨戒機二機の活動期間を引き続き来年七月まで一年延長することにしたという。たまたま昨日付毎日新聞朝刊の〈クローズアップ2013〉で【広域化するソマリア海賊】に触れ『「丸腰」危うい日本船』『民間武装に銃刀法の壁』などと問題点を指摘する記事があっただけに、船舶の安全を守ってくれる護衛艦と哨戒機の活動期間延長は当然といっていい。
 私自身、昨年ピースボートで乗客の一人としてソマリア沖を航行した際、夜間になると、船体全体に暗幕を掲げ全船室窓のカーテンも下ろして恐る恐る航行したあの独特な恐怖感のなか、少し離れて並走してくれた各国護衛船団の姿には頼もしさと安心感を実感したことが思い出される。

〈クローズアップ〉にも書かれていたが、ソマリア海賊の武器は自動小銃やロケット砲で、甲板の高さが低く乗り込みやすそうな船を見付けると、低速度で発砲しながら小型ボートで近づき、はしごをかけ船に乗り込み、船員を人質に多額の身代金を要求してくる―といった大胆不敵なものだ。
 記事によれば、実際に各国船舶の襲撃被害は2007年の44件が08年に111件、11年には237件と4年で5倍超となり、被害が最も多かった11年は28隻が乗っ取られ、490人が人質となり、8人が殺された。米国のNPOによれば、ソマリア海賊が一年間に奪った身代金は実に、推定154億円(2010年)にも及ぶという。

 こうした現実に現在、現場海域では欧米各国や中国、韓国など約三十カ国が艦船を出しており、国際強調して対応しているのが現状だけに、日本も当然協力すべきである。
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 エジプトの混迷は深まる一方で八日未明には首都カイロの軍共和国防衛隊の施設前でモルシ支持派の群集が銃撃を受け五十一人が死亡、三百人以上が負傷したという。地元メディアなどの報道によれば、モルシ前政権を支えた穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団系の自由公正党は「支持派が礼拝中に軍や警察の攻撃を受けた」と主張。一方、軍は「軍施設が武装したテロ集団の襲撃を受けた」と述べ、双方の言い分は食い違ったままだ。
 こうしたなか、自由公正党は「戦車で革命が盗まれようとしており、インティファーダ(民衆蜂起)を呼び掛ける。さらなる虐殺阻止のため、国際社会が介入するべきだ」との声明を出し、双方とも引くに引けない最悪の事態となっている。

 東京電力福島第1原発事務所で原発事故発生当初から、収束作業に当たってきた吉田昌郎元所長=東電執行役員=が食道がんのため本日午前11時過ぎ、東京都内の病院で亡くなった。58歳だった。吉田さんは原発事故発生後格納容器の圧力を下げるベント(排気)作業が難航した際、「決死隊を作ってやる」とまで述べ、自ら先頭に立ち誠意をもって事故収拾に当たってきた方だけに、惜しい方を失くしたというのが実感だ。被ばく線量もかなりに達していただけに、これはもう【殉職】といってよい。合掌―

 楽天のマー君こと田中将大投手が東京ドームであった日本ハム戦で日本ハムを5―0に抑えて完勝、これで開幕以来12連勝、40イニング連続無失点の記録を打ち立てた。マー君といえば、うちの舞がDeNAのホームランバッター、ブランコと並んで大好きな選手だけに、なんとなく彼女の気持ちもウキウキ、といったところか。ちなみに楽天はパリーグのトップをひた走っている。数年前までなら、考えられない好調ぶりだ。

【きょうの一文・ことば】「みんなと同じでなくていい。完璧でない自分を許そう。完璧でなくともやることが大切」=9日夜のNHK総合〈クローズアップ現代・米女性リーダーが語る「一歩前へ踏み出せ」〉のなかで。フェイスブックCОО、サイドバーグさん

【新聞テレビから】
☆『〈NEWS23〉参議院選挙9党首討論』(9日夜、CBCテレビ)
☆『熱中症搬送2594人 1~7日 愛知が全国最多249人 消防庁集計』、『福島第1原発 セシウム3日で90倍 海側井戸 地下水汚染拡大か』(9日付、中日夕刊)
☆『南吉作成の英語試験発見 20日から安城で生誕100年記念展 市内の中学2年生が挑戦へ』、『エジプト 来年1月にも大統領選 国民投票で憲法修正へ』、『「中国活動で不測事態も」 尖閣周辺「極めて遺憾」 防衛白書』、『ビーイング申告漏れ グループ30社 5年間で20億円』(9日付、毎日夕刊)
☆『モルシ派に銃撃51人死亡 エジプト 暫定政府交渉に影響』、『5原発10基再稼働申請 避難計画まだ不十分 7原発周辺市町村6割超進まず』『地震・津波想定ほぼ変更せず 申請4電力』、『特急上下線と連続衝突 名鉄常滑線』(9日付、中日朝刊)

七月八日
 名古屋地方気象台が「東海地方が梅雨明けしたとみられる」と発表。この梅雨明けは平年より十三日、昨年よりは十五日早い。この日はほかに九州、中国、近畿地方でも梅雨明けした。

 日本列島が太平洋高気圧に広く覆われた東海地方は正午前後から35度以上の猛暑日となる観測点が相次いだ。夕刊報道(中日)によれば、三日連続の熱帯夜となった名古屋市では午後一時前に35・8度を観測。ほかに岐阜県多治見市の36・6度を筆頭に、愛知県岡崎市で36・4度、新城市でも36・2度をそれぞれ記録したという。とにかく暑い日となった。

 米西部カリフォルニア州のサンフランシスコ国際空港で発生したアシアナ航空機(B7型機)の着陸失敗事故。その後の米国家運輸安全委員会(NTSB)の調べで、事故直前に「失速警報」が出され操縦士が着陸をやり直そうとしていたことが分かった。また韓国国土交通省によれば、着陸時に操縦していたのは習熟訓練中の副機長で同空港への着陸は初めてだったという。素人考えながら「やっぱり」と言わざるを得ない。

 軍が介入し事実上のクーデターとなったエジプトの方は、反モルシ派とモルシ支持派、すなわち軍とムスリム同胞団との溝が深まる一方で、その後も軍とモルシ支持派が衝突。四十人が死亡し、二百人以上が負傷したとのニュースが伝えられるなど、ますます泥沼化の道をたどっている。
「これ以上の暴力の応酬だけは互いに避けてほしい」と思うのだが。今夜のNHK総合の【クローズアップ現代〝クーデター〟の衝撃 エジプトはどこへ】は、核心部分をとらえ分かりやすかった。

 七日行われたテニス、ウィンブルドン男子シングルス決勝で英国のアンディ・マリーがセルビアのノバク・ジョコビッチを6―4、7―5、6―4で破って初優勝、77年ぶりの英国人王者となった。

【きょうの一文・ことば】「選手が見て、対戦して、感じて投票してくれているということなので、すごくうれしいです」=8日付中日朝刊〈ダル、岩隈球宴選出 ダル手応えの2年連続 奪三振両リーグ最多(6日現在で今季157〉の記事中で。レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)

【新聞テレビから】
☆『今なお進化する28歳 寺川綾 世界水泳 金へ』(8日夜、メ~テレ)
☆『鳴海球場 ベーブルースも打った』『プロ野球の原点 よみがえる 戦後球児の思いを音楽劇に』、『5原発10基 各社再稼働申請』『津波新想定完了せず』『規制委 審査に最低半年』『再稼働申請「福島を忘れたのか」規制委前に地元住民ら』『福井の首長ら 早期審査に期待』、『アシアナ機 着陸やり直しに失敗 習熟期間中の副機長操縦』、『列車爆発 不明40人 カナダ、30棟延焼』(8日付、中日夕刊)
☆『下呂の飛騨川 4歳弟と10歳姉不明 雨で増水、流される』『弟が転落、助けようと姉 「仲良しきょうだい」』、『原発新基準が施行』、『高山で突風 竜巻か』『ビニールハウス107棟被害』、『B777初の死亡事故』、『「一本松」製ビオラ 皇太子さまが演奏』(8日付、中日朝刊)
☆『着陸失敗2人死亡 米でアシアナ機炎上182人けが 日本人1人軽傷』(8日付、毎日朝刊)

七月七日 
 加茂川や誰やら渡る星の夕   士朗

 日曜日で七夕。この年になって、なんとなくウキウキするのは、なぜだろう。
 米国サンフランシスコ国際空港で韓国・アシアナ航空のボーイング777型機が着陸に失敗して炎上、乗客二人が死亡、四十九人が重軽傷を負った。元名古屋空港担当記者だった私に言わせてもらえば、B7によるこうした尻もちをついたような着陸事故は信じられない。恐らく油圧系統の何らかの不具合だろう。それ以外なら、機長の操縦ミスしか考えられない。

 茨城36・2、尾鷲37、岐阜県多治見市36・1度と、きょうは東日本、西日本ともに猛暑日に。全国各地で実に計689人もが熱中症で病院に運ばれ、うち一人が死亡、五人が重体に陥ったという。この調子だと、今夜は最低気温が25度以上の熱帯夜になりそうだ、とのことだ。

 昼間、例によって二人で一週間分の猫缶や飲料水などを買い出しに家を出たときは暑くてたまらないので冷えたペットボトルのお茶を手にするほどだったのに。車のなかで舞が天を指差し「ほら、あちらに積乱雲、入道雲があるから、雨が降ってくるかも、ね」の言葉が帰宅後にズバリ的中した。
 午後六時前になると、パラパラパラ、パラッ。パラパラッとなんだか騒々しい音がするので外を見ると猛烈な勢いで雨が降り始め、しばらくの間そのまま降り続いた。「洗濯物は大丈夫か」と2階に行こうとすると「大丈夫よ。全てたたんでしまったのだから」の声がはね返ってきてホッとした。まさに、この世は天気次第である。
 雨は止んだが、しばらくするとテレビ画面に愛知県に竜巻注意報なるものが出たが、竜巻は今現在、起きてはいない。いや、起きないだろう。

 そういえば、きょうの〈中日春秋〉によれば、「…日本では七夕に雨が降ると、星の恋の願いはかなわなかったことになるが、俳人の黛まどかさんによると、韓国では逆に雨は、逢えた喜びに流すうれし涙だという。中国を起源とする伝説が、朝鮮半島から日本へと広がる過程で解釈が逆転したのは興味深い」と書いていた。
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 大相撲名古屋場所が満員御礼の垂れ幕が下がるなか、愛知県体育館で始まった。
 注目の十両、エジプト出身大砂嵐は鬼嵐を破って白星スタート。横綱昇進への夢が膨らむ大関稀勢の里も豪風を押し出しで破って白星発進、横綱白鵬も寄り切りで時天空に勝ち31連勝、八百長の罪が晴れ14場所ぶりの復帰となった前頭の蒼国来こそ惜しくも負けたはしたものの、何かと話題がいっぱいの充実した場所となりそうだ。

 参院選は公示後初の日曜日。各陣営の舌戦が繰り広げられるなか、有権者はそれぞれの主張に耳を傾ける一日に。エジプトでは、軍による事実上のクーデターで崩壊したモルシ前政権の支持派と反対派両勢力の衝突が依然続き、死傷者は増える一方だ。

【きょうの一文・ことば】もののふ(武士)の猛きこころにくらふれは数にも入らぬ我が身なからも=7日夜のNHK大河ドラマ〈八重の桜「包囲網を突破せよ」〉の中の中野竹子(会津藩の娘子軍結成者)の辞世句

【新聞テレビから】
☆『首相は原発セールスマン 輸出推進の自公民 東電が中心 ベトナム向け』(7日号、しんぶん赤旗日曜版)
☆『「ノーモア・ヒバクシャ」国連演説 山口仙二さん死去』『〈評伝〉核への怒り鋭く激しく 被爆者の無念世界に訴え』、『両派デモ呼び掛け エジプト混乱続く』『報復連鎖やまず エジプト衝突 各地で発砲や投石』『軍は民衆を後押しした 政変の発端「反乱」共同創設者 以降政権には不参加へ』、『群馬37・4度 全国猛暑ご注意 熱中症搬送300人超える』、『「伝統打破の心 革新生む」 岐阜 玄侑宗久さん講演、鼎談』(7日付、中日朝刊)
☆『〈2013参院選〉候補者アンケート 「改憲賛成」公明70% 「国防軍」自民でも49%』、『各地で猛暑伊賀市35度』、『衝突続くエジプト死者36人(負傷者は1079人に) 軍クーデター周到 同胞団排除手際よく』(7日付、毎日朝刊)

七月六日
 今をときめく、ある女性作家から思いがけず【マンサニージョの恋❤読了】のメールが入った。メールは次のような内容で、心からの〝激励〟とは知りつつ、純粋に嬉しく、この小説を世に出して良かったナ、とも思った。
―まずは素晴らしい表紙に大拍手。海を思わせる爽やかなブルーと熟年男女の抱擁にしばし表紙の装丁をうっとり眺めていました。
 一生懸命女性を愛することが一生懸命人生を生きること。そんな著者の生きざまが投影され、一気にラストまで読ませました。ロマンチックな男を大きな愛で包み込んでいる女性たちが魅力的でした。
 次々に恋物語を紡ぐ愛の伝道師の新作上梓に心からお祝申しあげます。……
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 夜九時過ぎ。雷が天に吠え立てる。
 次女猫シロちゃんは、いつものことながら2階に通じる階段踊り場部分で身を潜めるようにして雷光の去るのを待ち、長女猫のこすも・ここは意に介さないでお気に入りの定位置で目を大きく開けて座ったままだ。でも、少しは気にしているのかも知れない。 
 気象庁は相も変わらず「関東甲信越で梅雨明けしたとみられる」とすっきりしない発表をした。なぜ【梅雨明けしました】と言い切れないのか。 

 エジプトでは、ムスリム同胞団が「モルシ氏が大統領に復権するまで抗議活動を続ける」との姿勢を崩しておらず、北部アレクサンドリアやカイロなど各地で軍との衝突が起き、これまでに三十人以上が死亡、混迷の度を深めている。事態収拾のメドが全くたっていない状態が続いており、この先どんな方向を辿るか、気になるところだ。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も双方に「暴力停止」を呼びかけている。

 CIAの元職員エドワード・スノーデン氏は、これまでに二十六の亡命を申請。反米で知られるベネズエラやニカラグァが受け入れに応じる姿勢を国際社会に訴えており、どう落ち着くかに関心が高まっている。
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 おじゃん。水の泡。パァー。ショック……、きょうは夕方になり大変な日となった。

 午後4時過ぎ。「武功夜話」に記された武将たち、をテーマに市民文化会館で開かれた「武功夜話セミナー」を聴き、それなりに満足して自宅に帰ってまもなく、雨たちの容赦ない仕打ちに遭った。お店で頑張っている舞に何と詫びたらよいのか。日中の天気のよさ、各地とも気温は35度前後まで上がりそうなので、熱中症にはくれぐれも気をつけてください―といった昼のニュースのアナウンサーによる、あの呼びかけは一体何だったのか。
 それこそ、突如として怒涛の如く矢のように降ってきた雨には、どうすることも出来ず、私は2階ベランダに駆け上りはしたものの、ただ天を仰ぐばかりだった。

 というのは、舞がけさ早く出かける前に2階ベランダに干した洗濯物が一瞬にしてずぶ濡れになってしまった、からだ。雨の音に気付きベランダに行った時は既に手遅れだった。
彼女は自ら営むリサイクルショップ「ミヌエット」での、きょうのオカリナの【時に夏の 夜空を】ミニコンサート開催に先駆け、昨夜はその準備に明け暮れ私が寝入ってからも頑張って何やらやっており、深夜未明にかけ洗濯機を回していたことを知っていただけに、せっかく苦労して干したのに―と思うと、何だか可哀そうになってくる。
 水の泡と化す、とはこのことか。あ~あ、と思わずため息が出てしまう。昨夜の彼女はほかに俳句づくりで延々と遅くまで挑んでいたので、おそらくほとんど寝ていなかったに違いない。案の定、帰宅すると「あ~あ」とため息をつき「みんな洗い直さなければ」とショックは大きかったようだ。
 でも、「きょうは藍色の浴衣姿でお店に出られた」ばかりか、午前中はこのところ、ずっと顔を見なかったので「心配していたお馴染みさんが思いがけず、ひょっこり店を訪れてくれた」そうで、それはそれなりで良かった。なんでも、お店のお客さんの中に着付け名人がふたりいらっしゃるようで、舞はついついこれら女性に甘えてしまい、あこがれの浴衣姿で店に出たようだ。お馴染みさんが長い間、これなかったのは「癌と闘病中のため」と分かり、雨にたたられたことぐらい、どうってことはないか。
 彼女なりに、一日浴衣姿となれ、ささやかながらも七夕の夢がかなったのだから。それでよし、としよう(上から目線だよ、と叱られそうだが…)。それにしても、ちらりと店内を覗いただけだったが、舞の浴衣姿はとてもチャーミングでかわいらしかった。志摩に逃亡した、あのころと少しも変わらない。

【きょうの一文・ことば】「なぜ(再稼働を)急ぐのか。安全や信頼よりもお金を優先したのか」「安全協定は地元との約束なのに。うそをつく会社か」=6日付中日朝刊〈柏崎刈羽原発 新潟と東電物別れ〉の記事中、広瀬直己東電社長を前に。泉田裕彦新潟県知事の発言

【新聞テレビから】
☆『エジプト30人死亡 モルシ派・反対派 衝突 各地に拡大』『モルシ氏「これはクーデタ―だ。許されぬ 解任時の様子 地元紙報道』、『亡命の受け入れベネズエラ表明 CIA元職員』、『大一番待つ舞台 名古屋場所あす初日』『大砂嵐、ラマダン乗り切れ!』『信仰心 力水に 東海のイスラム教徒注目 「旅人」などは免除も』、『〈高校野球地方大会〉愛知、岐阜開幕 全力プレー球児熱く』(6日付、中日夕刊)
☆『関東甲信 梅雨明け』、『ストレス障害…元裁判員女性、失職』『怒りこらえ「企業も負担」 制度の問題点、裁判で訴え』(6日付、毎日夕刊)
☆『足元に銀河 中津川の博石館』、『再稼働10基8日申請 4電力、大飯原発など』『柏崎刈羽は8日見送り』『浜岡は時期未定 中電』『新たな井戸 90万ベクレル検出 福島第1』、『東名阪走行中バス救う 乗客3人に感謝状 中部運輸局』(6日付、中日朝刊)
☆『自民70うかがう 序盤情勢本社総合調査 与党、参院過半数の勢い 民主振るわず20前後 1人区 自民ほぼ独占』、『エジプト 同胞団デモに軍発砲か』『3人死亡、反発必至』、『自民取材拒否撤回 「TBSから謝罪あった」と』『謝罪でなく回答 TBSが反論』、『伊賀34・9度観測 東海、きょうも真夏日予想』(6日付、毎日朝刊)

七月五日 
 参院戦の期日前投票と海外在住者の在外投票がきょうから始まった。

 モルシ大統領の権限が剥奪され、軍による事実上のクーデターが起きたエジプトではモルシ支持派のムスリム同胞団に所属する人々の間で「選挙で選ばれた大統領の正当性を無視するものだ」との声が高まり、〝金曜礼拝〟に合わせた大規模なデモが各地で計画され、実施に移されるという。そうした中、軍はムスリム同胞団幹部約二百人を次々と逮捕、再びカイロを中心とした全土に緊張感が高まっている。

 こうした動きに各国の反応は、と言えば。イギリス、フランスともに「軍の介入は好ましくない」と現暫定政権には否定的な立場を示している。一方、その半面ではサウジアラビアが暫定政権に歓迎の姿勢を示し、米国のオバマ大統領は、表面上は戸惑いの表情を示しながらも「一刻も早く民主的な方法による新政権樹立を」と訴えている。

 きょうは全国的に気温が上昇―真夏の暑さが日本列島を襲い、各地で35度以上の猛暑となった。また不快指数もピークに達し名古屋、大阪がそれぞれ82%、東京80%、金沢ではなんと84%までに達し不快度はピークに達した。

 東電の広瀬社長が柏崎刈羽原発の審査申請を前に地元・柏崎市の市長と知事を訪ね、理解を求めたが、地元では反発が広がっている。
        ×        ×

 starcat(スターキャット・ケーブルネットワーク株式会社)の若手技術スタッフ、メディアアドバイザーの岩崎博之さんが午後、わが家へ。1階居間と2階息子の部屋に各一台あるケーブルテレビのcasカードなるものを新しいものに交換してくださった。
 せっかくの機会なので、またまた元新聞記者の悪い癖が出てしまい地上波とBS、CSの違いについてあれやこれや、と聴いてみた。本来、メカにすこぶる弱く聴く私本人があまり良く分かっていないので、話は当然の如く行きつ戻りつ、となった。それでも、岩崎さんは嫌な顔ひとつされず親切にかみくだいて教えてくださり、従来通りと衛星、専門チャンネルの違いが分かった気がした。

 今日はそれよりも私に終始寄り添ったままでいたわが家の長女猫、いやこの秋には御年20歳になろうとする長老猫、こすも・ここの姿に岩崎さんは圧倒されたようで「いい猫ですね」と褒めてくださったのが、とても嬉しかった。ついその気になってしまった私は昨年4月1日付で笛書房から発行した自著【いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」】を1冊、岩崎さんに贈呈させていただいたのである。
 でも、こすも・ここをあれほど褒めて頂いたのは久しぶりのことだ。岩崎さんは「私も猫ちゃんは大好きですので」と話されていたが、この世のなか、猫に助けられ生きている人は結構多いのだろうな、とフト思ったりした。私もその一人である。妻が時々、思い出したように私に向かって言う。「あのねえ、アタシたちって。猫のために生きているのかしら」と。

【きょうの一文・ことば】…その船内では「千差万別の人たちが千差万別」の「恥をさらして生きている。さらさねば生きてゆけない」状況だったとか。しかし、それにはサラッとしか触れず「定年後の60男と50女」の「船上の愛」とその男と陸に残した妻との愛の描写に筆力が注がれました。貴兄一流の「透明かつ余韻のある文体」は最後まで崩れることはありませんでした。
 『マンサニージョの恋』と言うしゃれたタイトルにはペンネームは「伊神権太」より「伊神権太郎(けんたろう)」の方が似合いそうです。そうなれば「幻冬舎ルネッサンス」ではなく、ベストセラー常連の「幻冬舎」からの出版となりますかね。書名は「日付変更線上の愛」と差し替えられるかも…=5日に私あてに届いた記者時代の同期の桜の手紙から抜粋(読んでくれ、おまけに感想付きハガキまで送っていただき、とても嬉しかった。ありがとう!)

【新聞テレビから】
☆『被災の工場を両陛下が視察 岩手・大船渡』、『柏崎市長「信頼損ねる」 地元頭越し再稼働表明 東電社長が説明』、『小5の自転車衝突、女性意識不明 親に9500万円賠償命令 神戸地裁』、『美人スパイ、スノーデン氏に求婚?』(5日付、中日夕刊)
☆『エジプトクーデター攻防2日』『モルシ氏亡命「ノー」』『軍、懐柔策に乗らず』『同胞団逮捕進める エジプト軍、力で抑え込み』(5日付、毎日夕刊)
☆『経済・改憲で火花 参院戦に433人』、『エジプトに暫定大統領 軍介入 モルシ政権1年で崩壊』、『カネボウ美白54化粧品回収 「肌まだら」に電話殺到 1万5000件』、『TBSの取材自民党が拒否 報道内容に反発』(5日付、中日朝刊)
☆『第一声 復興・改憲も アベノミクス論戦に熱 参院戦公示』、『■「紳助さん」記事、名誉棄損認めず』(5日付、毎日朝刊)

七月四日
  雨が一日中、降ったり止んだりの日となった。
 昨年十二月の第二次安倍政権発足後、初の大型国政選挙となる第二十三回参院選がきょうの午前、公示された。夕刊報道によれば、衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」が解消されるかどうか、が最大の焦点。二十一日の投開票日まで与野党の論戦が繰り広げられる。
 エジプトではシシ国防省が国営テレビを通じ「憲法を停止して暫定政府を樹立する」と宣言。モルシ大統領の権限を剥奪し最高憲法裁判所のマンスール長官に移す事実上の軍のクーデターが起き、米国がこの体制を暗黙のうちに認める状態となった。軍はモルシ氏の身柄を拘束、2011年2月に『アラブの春』でムバラク独裁政権が倒れた後に、民主的な選挙によって誕生したイスラム政権はわずか一年で崩壊する形となった。
 ただ、これまでモルシ政権を支えた穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団が猛反発しており、この先政情不安が続く可能性は大きい。
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 午前中、江南市民文化会館での社交ダンス教室へ。先回、課題として残されたルンバの最後のステップ、「3歩」を教わった。これでタンゴの裏返しを加えたひと通りのレッスンも出来、ほかにいつものジルバ、ほかに初期の段階で学んだワルツも含め、習った順に言えばワルツ、ジルバ、タンゴ、ルンバとまだまだ未熟ではあるが、なんとかこなすことが出来るまでになった。
 とはいえ、私の目標である【極める】となると、まだまだ。とても足元にも及ばない。華麗さという面も含めて、これからは一歩一歩磨きをかけていかねば、と思っている。小説の創作と同じで慌てないで一つひとつをマスターしていこう。観ている人たちも一緒に踊りたくなるような、そんなステップにも心がけていきたい。
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 ソプラノ歌手雨谷麻世さんから、「MAYO AMAGAI 環境チャリティー・コンサート」の案内状が届いた。コンサートは〈今、聴きたい! 癒しのソプラノ。〉を歌い文句に【鎮魂の森へ捧ぐ~祈りの詩(うた)~東日本大震災・復興支援チャリティ】として八月二十二日夜、横浜の横濱赤レンガ倉庫ホール(1号館3階)で開かれる(午後6時30分開場。7時開演)。国土緑化推進機構/太陽の会共催、文部科学省と環境省、林野庁後援、キングレコード協力で実現する。全自由席で5500円。
 当日の予定曲は、未来(ゆめ)をのせて~はやぶさの軌跡~、百万本のバラ、リベルタンゴ、群青、コンドルは飛んで行くほか。申し込みは雨谷麻世ホームページ=www.mayocrystalvoice.com/=からも可。問い合わせはMayo Crystal Music=045(866)1892=へ。

 そして。
 このソプラノ歌手、雨谷麻世さんの初の特別番組が海の日である今月十五日午後三時~四時までニッポン放送の・ホリデースペシャル! で「雨谷麻世~木漏れ日の音♪」と題して放送される。本欄〈生きてゆく人間花たち〉を読んでくださっている読者の一人でも多くの方々に見て頂けたら、と私自身、雨宮ファンの一人として、とても嬉しく思う。みなさん。ぜひ、見てください。

 それから。私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」同人で詩人、大正琴琴伝流大師範・弦洲会会主(倉知弦洲さん)が作曲し、二日からカラオケの全国ネット配信が始まった都はるみさんの「恋の犬山」も。皆さん! 居酒屋に行ったら、ぜひ選曲して歌ってくださいネ。
 
【きょうの一文・ことば】新幹線秋を真横に走ってる=4日付中日朝刊〈165万句頂点は岡崎の中1(愛知県岡崎市、竜海中1年新谷英二君) 「お~いお茶新俳句大賞」〉から

【新聞テレビから】
☆『統一球問題9月19日オーナー会議で第三者委員会最終報告 加藤コミッショナー「事情聴取受ける(巨人の渡辺恒雄球団会長が次期候補にソフトバンク・王貞治会長を推している点には「報道で承知しております」)」』(4日付、中日スポーツ)
☆『安倍自民信問う 衆院選公示 433人届け出』『〈岐路〉改憲、原発、見極めよう』『愛知10人立候補 岐阜改選数減、1人区4人 三重6人』、『エジプト軍クーデター 大統領を拘束、権限剥奪 暫定政府樹立』(4日付、中日夕刊)
☆『「憲法 原発 TPPつの岐路」応酬 首相、経済実績強調 参院戦きょう公示 9党首討論会』『参院選でのインターネット活用 ネット対応中部の陣営スタンバイ 候補者の「標準装備」?』、『エジプト 大統領 渡航禁止に 軍事クーデター情報』、『★13年7月7日は「伊吹山(標高1377メートル)の日」』(4日付、中日朝刊)
☆『「愛娘の父 明かさない」 安藤美姫がコメント』(4日付、毎日朝刊)

七月三日
 朝。雨のなかをゴミ出し。午前中の雨が午後には止んだ。
 いつものように二週間に一度、横笛の稽古で大須へ。稽古というより、雑談の時間が多いことは毎度のことだが、このおしゃべりが結構、有意義である。師匠とは同世代でもあり、きょうもあれやこれやと話し合った。話すほどに若返りもする。

 稽古の方は、この二、三日というもの湿気のせいか笛の音が何度吹いてもカスカスに掠れてしまうので、この点について聞くと「もしかしたら、笛そのものに原因があるのでは」の弁。笛はただでさえ音が出ないとなったら、どんなに吹こうとしても出ない。私が何か悪いことでもして抵抗されているような。そんな気さえする。それとも笛自体が梅雨空とか何か、気に入らないことがあるのだろうか。
 余分なことまで考えてしまう。横笛は、それほどまでにメンタルなものなのだ。

 デ、結論は「イガミさんの笛がうまくなったので、笛がついてこれなくなったのでは。いまの笛に問題があるような気がする。今度来る時には、初めに使っていたもう一本の笛を持ってきてください」(師匠)ということになった。そう言えば私がいま使っているのは、福井県の笛の里を訪れた際にこしらえた手づくりの笛である。ニスも何も塗ってなくて、もはや限界がきているのかもしれない。でも、自分で笛づくりにチャレンジしたものだけに愛着はひとしおだ。
 師匠曰く「笛吹き技術が高くなってきたので、これまでの笛では太刀打ちできなくなってきたのではないかしら」と。なるほど、それならば、分かる。話し方ひとつで、こんなにもヤル気が出てくるとは。師匠はたいしたものである。
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 この日。サントリーホールディングス(HD)の清涼飲料子会社サントリー食品インターナショナル(東京)が東京証券取引所第一部に上場され、株価の初値は公開価格を二十円上回る三千百二十円、発行済み株式数を掛けた時価総額は九千六百四十億円となった。
 東シナ海の日中中間線付近の海域では中国が新たなガス田とみられる採掘関連施設の建設に着手したことが日本政府の調べで確認され、菅義偉官房長官が「一方的な開発は受け入れられない」と非難。反モルシ政権デモが拡大したエジプトでは、このままだと軍による暫定政権樹立の可能性も出てきた。
 また、これまでに二十カ国以上に亡命申請を出した、とされる米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン元職員=米当局がスパイ活動取締法違反容疑で訴追=の行方はその後、反米で知られるベネズエラへの亡命の可能性も出てくるなど混沌としている。

 サッカーJ2・横浜FCの三浦知良さんが、横浜市のニッパツ三ツ沢球場で行われた栃木戦で46歳4カ月7日目にして今季初シュートが初ゴールを決め、自身が持つJリーグ最年長得点記録を更新した。たいしたものである。

【きょうの一文・ことば】エロスは美を求める〝美しい神〟だ、という。だと言うなら、「美を求める」すなわち「美を持たない」こと。「美を欠いているもの」を君は美しいものといっている。ということは「エロスとは、欠けているものを欲求すること」なのか?=3日夜のNHKEテレ〈100分de名著・プラトン 世界最古の恋愛トーク〉のなかで。ソクラテスのことば

【新聞テレビから】
☆『〈2013参院選 岐路〉支持者高齢化進む共産 運動力ネットで補う 若者にはPRサイト新設』『政治家の発言「新聞」に集約 都内のアプリ会社が開発(インターネット上の政治新聞「Social Times」)』、『エジプト軍暫定政権も 介入工程表 大統領「人気全う」』、『元CIA職員同乗? ボリビア大統領搭乗機 仏など領空飛べず』、『一本松復興見守って 陸前高田完成祝う』、『原子力規制委 大飯運転継続を容認 9月まで 関電の姿勢批判』『「歓迎」「落胆」地元で交錯』(3日付、中日夕刊)
☆『9党首が論戦 参院戦あす公示』(3日付、毎日夕刊)
☆『震える署名命の訴え 奥西死刑囚意識戻らず 毒ぶどう酒事件 弁護人ら「再審決断を」』『名張失われゆく証人 住民らの思い複雑「裁判終わる前にみんな死んでしまう」』『7次再審請求 特別抗告審 毒物新証拠めぐり争う』、『ネット募集 いびがわマラソン盛況 1時間弱で定員に』(3日付、中日朝刊)
☆『北朝鮮非核化要求 ARF(東南アジア諸国連合地域フォーラム)議長声明を採択』、『地元反発東電見切り発車 柏崎刈羽 再稼働申請へ 黒字化圧力に焦り』(3日付、毎日朝刊)
☆『橋本(聖子日本スケート連盟)会長「美姫の出産知ってました」 ソチ五輪へ全面支援を約束 フィギュア』(3日付、中日スポーツ)

七月二日
 朝の虹消えて一雨半夏生   黙禅
 
 きょうは、暦の上では、ようやく梅雨からあけ田植えも終わる。「半夏生」である。

 中日新聞夕刊の見出しで『CIA元職員 ロシアに亡命申請 プーチン大統領容認』とあったが、ロシアのプーチン大統領が「ここに残りたいのなら、パートナーであるアメリカに損害を与えるような活動を停止することが条件となる」と言明したことから、その後になって元職員のエドワード・スノーデン氏は亡命申請を取り下げたという。
 世界は本当に日々刻々と動いており、混沌ともしている。スノーデン氏は、EUや日本大使館などでの盗聴活動も暴露、米国のオバマ大統領はフランスやドイツからの批判も浴びる結果となっている。もしかしたら、このスノーデン氏、そのうちに【世界の英雄】になるかもしれない。そんな気さえしてきた。今後の動きが注目される。

 午前中、妻の脳外(脳外科)定期診療の付き添いで江南厚生病院へ。
 病院へ着いたところで血圧管理手帳を忘れてきたことに気付いて、わが家にUターンし再び病院へ。でも、手帳を見た担当医師から「血圧は確実に下がってきており、安定してきています。大丈夫です」と言われてホッ、とした。と同時に日々、嫌がる彼女をなだめすかして、これまで半ば強引に血圧測定をしてきた努力が報われた気がした。(妻の血圧に対する考え方は「血圧なんてコロコロ変わる。死ぬ時は死ぬのだから、毎日毎日測る必要なんかはない」というわがままなもので、私はそんないやがる妻を前に毎朝、腕を取って測定器を装着するのに、ひと苦労している)

 診察を終え妻も少しは安堵したのか、病院から帰ると「美容院に行ってくるから」と出かけ、間もなくすると戻ってきた。なかなかステキに若返り横顔がナンダカ、かつてのフランスの女優、ナタリー・ウッドかカトリーヌ・ドヌーブようにも見えたのである。
        ×        ×

 演奏に聴き入るブタペスト市民、大役を終えカンパイする琴伝流大正琴弦洲会門下生たち
 

 

 ドナウ川をバックに記念写真に納まる倉知弦洲さん(中央の男性)たち、出演者全員で「ハイ、チーズ」
 

 

 ハンガリーのブタペストで先月行われたドナウ・カーニバル国際文化祭に招かれていた琴伝流大正琴の大師範で弦洲会主(倉知弦洲)でもある牧すすむさん=ウエブ文学同人誌「熱砂」同人、詩人=ら一行二十三人が、このほど訪問地のブタペストで無事、日本の大正琴演奏という大役を果たして帰国した。演奏は牧さんの長男で弦洲会次席・崇さんと弦洲会門下の約二十人で披露、〈さくら〉や〈花は咲く〉などを奏でて見守る世界の人々の大喝采を浴びたという。
 この国際文化祭には他に中国、チェコ、コロンビア、ギリシャ、イタリア、ルーマニア、スペイン、ポーランド…と世界各国からも多くの出演があり、民族舞踊などが国際社会に向かって披露された。それだけに、日本古来それも名古屋は大須で生まれ育った大正琴がこうした形で世界の人々の前で演奏されたことは画期的かつ意義深いことだったと思う。
 牧さん! そして一門の皆さま。お疲れさまでした。

 そして。その牧さんと言えば、もうひとつ吉報がある。
 牧さんは、長年、地域社会に根ざした〝ふるさと音楽家(作詞、作曲)〟としても知られるが、三十八年前の昭和五十年に自ら作曲し都はるみさんの歌で世に出された御当地ソング「恋の犬山」(作詞は、東公彦さん)が最近になって復活の兆しとなり、きょうからいよいよ第一興商によるカラオケの全国ネット配信が始まった、のだ。
 さて、この演歌がいよいよ愛され、この先、三十八年の時を超え、全国制覇のリバイバルヒット曲となるのかどうか。非常に注目されるところである。こんなわけで、もし本欄【生きてゆく人間花たち】をお読みの読者がいたら、居酒屋などでのカラオケで、ぜひ一度「恋の犬山」を選曲して歌ってみてほしい。

 犬山は、私が住むここ江南とは北隣に位置し国宝犬山城で知られ、木曽川のウ飼いでは、先ごろ女性の鵜匠が誕生して各マスコミでも話題になったばかりで、このところ街全体が勢いづいている。
 最近になって、犬山市内、本町通りの愛知北エフエム放送局と昭和横丁でこの「恋の犬山」を流したところ、観光客や市民の間ですこぶる好評だったとか。地元市役所はじめ観光協会、商工会議所の全面後押しも既に始まっているという。それだけに、帰ってきた演歌「恋の犬山」に夢をつなぎたい。

 きょうは本欄「生きてゆく人間花たち/六月の唄」が、六月十五日以前が同一日まですっかり消えてしまっていたことに気付き、業者に言って原稿と写真を復活させてもらうなど、結構バタバタした(原因は原稿の容量が多過ぎたからかと思ったが、復活したのでそうでもないらしい)。でも、なんとか元の形になったのでホッとしている。
 お気付きの方がいらっしゃったら、もう一度【六月の唄】を読み直して頂けたら、ありがたい。
 
【きょうの一文・ことば】「情報誌の一時代が終わった。情報を飛び道具として使い、金と結び付ける側面もあったが、芽の段階の情報が育ち、世論形成することもありました。社会の腐敗断面を白日に晒す歴史を残したのでは」。=2日付中日夕刊〈◆記者の眼 解説  メディア展望「情報誌の衰退が語ること」(編集委員・村串栄一)〉の記事中、現代産業情報の編集にかかわったフリージャーナリスト・伊藤博敏氏の言葉

【新聞テレビから】
☆『柏崎刈羽〝再稼働〟申請へ 東電決定に泉田(裕彦新潟県)知事激怒』(2日夜、メ~テレ〈報道ステーション〉)
☆『走行中 運転手が意識不明 観光バスを乗客救う 亀山の東名阪』『死亡運転手勤務は標準 岡崎の会社説明 6月、24日262時間』(2日付、中日夕刊)
☆『ホンダ、GMと提携 燃料電池車開発』、『エジプト 軍介入強まる 大統領、退陣勧告拒否』(2日付、毎日夕刊)
☆『ミキティ出産告白 フィギュア 五輪シーズンで引退へ』、『豊橋4歳児放棄事件 両親控訴せず 母「誰か気付いてほしかった」 きょう一審判決確定』『父「酒に逃げていた」』、『花の六三組(同期生十九人)みんな頑張った 武豊で同期会 貴乃花、曙、魁皇』(2日付、中日朝刊)
☆『「日韓改善重要」で一致 9カ月ぶり外相会議 首脳会談触れず』『北朝鮮と対話 核放棄が前提 日米韓外相確認』、『「米、外国大使館盗聴」報道 日本、過去にも被害 欧州猛反発』(2日付、毎日朝刊)

七月一日 
 伊神権太の連作長編小説「マンサニージョの恋」(クリックしたら、見られます)=全国書店とアマゾンで発売中
 
マンサニージョの恋
・幻冬舎ホームページ
・amazon

 夜遅く入ってきたニュースによれば、岡山大学病院で肺の病気の3歳男児に、母親の右肺の中葉部分を摘出して移植する、世界初の生体肺移植手術が行われ、成功したという。

 中日新聞で本日付朝刊から五木寛之さんの小説「しんらん 親鸞完結篇」が始まった。山口晃さんの画も初回から人間の表情がなんとも言えず、味わい深くてよく、好スタートである。いつも思うが五木さんの新聞小説の文体は、毎回最終部分の一節で次への期待を抱かせ、読者を引き寄せる魔術といおうか、そんな才覚がみてとれる。
 まさに熟達の筆運びで、そこには当然、格調とリズム感、文体が醸し出す匂いのようなものがある。ちなみに本日の最終局面をここに記録しておこう。

――ただごとではない、と申丸は思う。
  急に風がでてきた。庭先の楓の葉が、踊
 るように揺れている。申丸は、体の奥に異
 常ににざわつくものを感じて身震いした。
        ×        ×

 きのうモルシ大統領就任一周年となったエジプトではその後も大統領の辞任を求める反政権デモが拡大、地元メディアはデモには数百万人が参加したと報じている。あの〝アラブの春〟でムバラク政権が崩壊した二〇一一年二月以降では、最大規模とみられている。
 各地で政権を支える穏健派イスラム原理主義組織ムスリム同胞団や系列与党の事務所など数カ所が爆撃されたり、放火されたりしている。AFP通信によると、カイロの同胞団本部も襲撃され、報道官は散弾銃や火炎びん、投石などによる攻撃を受けた。

 デモといえばブラジルでもコンフェデレーションカップ最終日が行われたブラジル・リオディジャネイロでもマラカナン競技場のスタヂアムに向かって五千人がデモ行進。「国が変わろうとしている時に、サッカーなど見ている時でない」「サッカーよりも教育や福祉に投資すべきだ」と気勢をあげた市民が目立つ。
 ここでも世界の胎動が起きている。

【きょうの一文・ことば】「自分らしくやってきた結果」=7月1日付中日朝刊〈谷繁王超え2位(通算出場試合数が野村克也の3017試合に次いでプロ野球歴代単独2位) 2832試合〉の記事中で。谷繁選手のことば

【新聞テレビから】
☆『栄光と挫折…野口みずき×高橋尚子』(1日夜、CBCテレビ)
☆『見えた「世界」のご来光 (世界文化遺産の)富士山』、『伊勢神宮のチカラ 路線価公表 外宮参道復活の兆し 商業施設建設 急ピッチ』、『(CIAのエドワード・スノーデン元職員)米、日本大使館も盗聴 英紙報道 同盟国も標的に』『「米に事実確認」 官房長官が表明』、『旗のおじさん、ありがとう』『3男児切りつけ 事件後初の登校』(7月1日付、中日夕刊)
☆『〈コンフェデ杯〉ブラジル3連覇 スペインに3―0 イタリア3位』、『日銀短観 景況感プラス 大企業・製造業 1年9カ月ぶり』(1日付、毎日夕刊)
☆『世界遺産に一番乗り 富士山山開き』、『今夏の節電きょう開始 9月まで(政府が原発を持たない沖縄電力を除く九電力管内に、冷房使用が多い九月までの節電を要望した)』、『通天閣地下劇場最後のおおきに 歴史に幕』(1日付、中日朝刊)
☆『生活保護集団提訴へ 1000人規模「減額不当」』(1日付、毎日朝刊)