詩「喧噪の隔離」

快中枢に支配される自己
快びそのものが生命の源
それは脳を遺伝子をふるわせる

容赦ない現実にたたかれ
内なる自己の安定と
心の救済をもとめ
しかし挫折して
甘美な麻酔を欲するのか

デモ行進が衝突する
蹴られて野良犬が悲鳴する
衝突した車がクラクションを上げる
閉じられた窓ガラスが叩かれる

まどろみながら
都会の喧噪に耳をかたむける
もはや隔絶された世界に
自己は保全された

自己否定の虚無
疎外感の苦悩
存在意義の絶望
崩壊する心の危うさ

まどろみながら
心の叫びに耳をかたむける
やがて麻痺がはじまり
ひとときの安息に満たされる

しだいに麻酔は失われ覚醒し
喧噪の中へと自己は放り出され
ありのままに身を委ねる
渦巻く時の流れは自己を目覚めへと
大自然のふところへと回帰する