いがみの権太の野球日記・笛猫茶番9月15日

平成二十二年九月十五日
 ドラゴンズは今夜もマツダスタジアムでの試合で広島に勝った。
 初回、ブランコが29号3ランを打つなどリード、圧勝かと思ったものの、その後5―5まで追い付かれた。しかし、八回表に2死一、三塁から代打小池の左前打で勝ち越し、そのまま6―5で逃げ切った。先発山井を六回からは高橋、浅尾、岩瀬の順に継投して競り勝った。浅尾が11勝目なら、九回を締めた岩瀬は40セーブ目となった。たとえ1点差であろうが、勝てば官軍とは、このことをいうのか。

『ねぇ~』   こすも・ここ
 

       『なぁに』  シロ

 【笛猫茶番日常の劇】きょうのオトンときたら、帰ってきてからも、なんだかしなければならないことが一杯あったみたいで自室を出たり入ったりしていましたよ。
 それでも夜、Mとテレビの前で話し合っているところを見ると、なんだかドラ息子三人の子育ての段階で現れ出たるアニメやヒーローもの、宇宙ものについて、あれやこれやと楽しそうだった。育った順にMが語った内容を、個条書きにしてみるとー
▽A男 ウルトラマン、ガンダム、スターウォーズ▽B男 仮面ライダー、ドラゴンボール、アラレちゃん▽三男 トトロ

 なんでも、MがNHKテレビで「歴史秘話ヒストリア ウルトラマンと沖縄……」を見るうち、ふたりの間で会話が弾んだようだ。つくづく思うに、三人ともこうしたアニメやヒーローものに支えられてこれまで生き、育ってきたんだよ、ね。

 アタイ、少しだけ心配なことがあるの。それはシロちゃんが、またしても首の青い鈴を落としちゃったこと。ちいさいけれど、とってもステキな青い鈴なのに、これで最近だけでも三度目になる。
 幸い、シロちゃんがいつも寝ているイスの布団の上に落ちているのを珍しくオトンが見つけたからよかったものの、これからは大切にしてほしい、な。Mには今度こそ、はずれないようしっかりつけてよ、とたのまなくっちゃあ。

☆政府・日銀が円高阻止のため六年半ぶりに為替介入、円は一時、84円後半に急落した。菅首相が党人事に本格着手した。

平成二十二年九月十四日
 どうにもとまらないとは、今夜のマツダスタジアムでのドラゴンズの打線のことか。
 まさに破竹の進撃だ。今シーズン、広島に3勝負けなし、の先発チェンが好投し、12勝目をあげ10―1で広島に快勝した。五回表に2死二塁から荒木の三塁打、大島の左前打で2点を入れ、均衡が破られたあとは七回、森野の2点三塁打などナダレを打つ打力で、まさに中日の「打撃力」が火を噴いた。
 ドラゴンズは、これで1引き分けを挟んで5連勝。チェンは8イニング7安打無失点、広島は、このカード10連敗と不名誉な結果となった。テレビ画面にチラリと映った落合監督の満足そうな顔が印象深い夜でもあった。大相撲ではないが、あとは脇を固めて。落合中日らしい試合を重ねれば、セ・リーグ優勝も夢ではなくなってきた。

 一方、二位阪神は横浜に6―3で破れ、三位巨人はヤクルトに3―2で勝ち4連勝だ。

 【笛猫茶番日常の劇】民主党代表選は大差で菅直人首相が小沢一郎前幹事長を破り、新しい代表に選ばれました。任期は二年間だそうです。きのう、お父さんは菅さんが「一票差」で勝つといい、十分ありうる、だなんて書きましたけれど。やっぱり、皆さん、最後は安全パイで菅さんの方を選んじゃったようです。
 オトンの本音は前々から「菅さんがいい」でしたけれど。今となってみれば、皆さん、常識論が優先して無難な方を選んだとみていい、とはウチのMとオトンの共通した見方です。特にオトンの場合は、これまで大学の授業で菅さんの師でもある市川房江さんを取り上げ、そのつど市民運動から政界に入った菅さんのことにも触れてきただけに、心底から「良かった。これでニッポンも少しは落ち着いてよくなっていくのではないか」と思っているようです。
 やはり、婦人参政権を勝ち取った、あの市川房江さんが、菅さんのことを草葉の陰で見守ってくれていた。アタイには、そんな気がしてならないのです。

 それはそうと、オトンはクジ引きとか予想あてとか、そういうことになるとカラキシだめなんだから。「一票差」もありうる、なんてとんでもなかった。やはり、菅さんに対する地方のサポーター票は圧倒的な多さでした。
 クジ運と予想当てでは、ニュアンスが違うけれど。それにしても、オトンの予想はどうなっているの。やはり、菅さんに勝ってほしいーという願望が先にたち「一票差もありうる」との大事を取った、危機感最優先の見通しになったみたい。それにしても菅さんのこれまでの政治姿勢を評価するなかで「現職の強み」が大いに発揮された代表選だったことも確かです。いずれにせよ、政治を知らないものが、あまり知ったかぶりをするものではないよ、ね。

 ところで、きょうのM。美容院に行ってきたみたいで、別人に生まれ変わったのでは、とアタイたち錯覚しました。パリジェンヌが突然、わが家に現れたのでは、と錯覚しちゃいました。

 きょうの中日夕刊8面・水の透視画法(辺見庸)「ツユクサの想い出 直腸熱三十九度の孤独」はよかった。一部を以下に抜粋。
 ―……この死には私たちの居場所と地つづきのツユクサのようなふつうさが見える。異様とふつうが、ほの暗い同一空間にふたつながら平然となりたっている。それが怖い。たぶんこの国の日常とはそういうものだ。ふつうが反転して、ある日とつぜん悪鬼の顔になる。(略)
 国会議員らが百数十人も「研修」と称して軽井沢の緑陰にあつまった。(中略)議員たちは貧者のくらしに役立つなにを研修したというのだろう。研修というのなら、全員そろって軽井沢から死んだ老人の木造アパートにおもむき、順ぐりにせんべい布団にあおむいてみて、死んだ人の腹が三十九度の熱をたもっていた厳酷無比のわけを、とくと探究すべきだった。…

 菅さんなら、せんべい布団にあおむいてみて死んだ人のことを探究できる。いや、してくれるはずだ。でも、ハトヤマさんとか、オザワさんでは、ね。ーとは、オトンの率直な感想なのだって、サ。

☆菅直人首相が十四日、民主党新代表に選ばれた。全国で二〇一〇年度中に百歳の誕生日を迎える高齢者は九月一日現在で過去最高の二万三千二百六十九人(前年比千六百六十六人増)に上ったことが厚生労働省の調査で分かった。横綱白鵬が十四日、50連勝。シュワルツェネッガー米カリフォルニア州知事が十四日、特別チャーターした新幹線車両で東京ー大宮間を試乗。

 合成麻薬を飲んで容体が急変した女性を放置し死亡させたとして保護責任者遺棄致死など四つの罪に問われている元俳優押尾学被告(三十二歳)の論告求刑公判が十四日、東京地裁で開かれ、検察側は懲役六年を求刑、弁護側は無罪を主張し結審。著名人が被告となった初の裁判員裁判で判決は十七日下される。

平成二十二年九月十三日
 けさは新聞休刊日。だから、新聞がわが家に届くことはない。ということは、昨夜勝ったドラゴンズの勝ちっぷりを、新聞でもう一度、味わうということが出来ない。どこかしら、手持ちぶさただ。デ、いつもより、待ち遠しい夕刊が来ると、ついつい開くのがスポーツ面ということになる。

 見出しは昨日の快勝を受け、「森野猛打 竜4連勝」「1・5差変わらず」「浅尾56HP(ホールドポイント) 新記録」……というものである。見出しを追うだけで、きのうの結果を確認できた気がする。

 さて、大リーグの方は。マリナーズ・イチローが十三試合連続ヒットで打率3割1分2厘、二百本安打まで、あと14本に迫ってきた。

 【笛猫茶番日常の劇】あのね。アタイのお母さんMの、このところの口癖を教えてあげようか。そ・れ・は・ね。「だって、うちら~ぁ、には選挙権がないのよ」の言葉だ。

 いったい何のことか分かりますか。それはね、このところ、かなり盛り上がっている民主党代表選の話がオトンとMとの間で出るたびに、Mがオトンをたしなめるようにいうひと言なんです。オトンは、あすに迫った代表選を前に今夜、アタイに向かってこんなことを言いました。
 「こすも・ここ、オレは思うのだよ。菅直人も小沢一郎もこの国をよくしよう、と真剣に思っていることは分かった。だから一票差でどちらか、が勝つ。できたら、菅さんに続けてもらった方がいい。そうしたら、互いの結束力、いや、民主党の結束力が一段と上がるような気がするのだ。日本が少しはよくなるのだ」ってサ。

 ここで、ひにくれものは、返って亀裂が深まるというかもしれない。でも、オトンは、ここまで両雄相対してきたのだから、今度は互いに同志である相手をたたえ、日本国を幸せな国にするため真剣に取り組んでいくのではないか、とそう言いきっているのです。
 一票差にホントになるだ、なんて。誰も思わないかも知れません。でも、アタイはありうる、と思います。だって、新聞の世論調査はよくはずれるのだから。「一票差」とまでは言わなくとも「十票差」内なら、十分、ありえます。アタイの感なのですよ。さて、結果がどうなるのか。アタイもシロも重大な関心を寄せています。

☆民主新代表が、いよいよあす選出される。元大関琴光喜が十三日、日本相撲協会を相手取り東京地裁に不当解雇だとして、地位保全の仮処分申請をした。

平成二十二年九月十二日
 ドラゴンズは、きょうも横浜に勝ち、ナゴヤドームに詰めかけたファンを喜ばせた。スコアは5―2。勝ち投手は先発の中田賢で今季100イニングを突破、6イニング2失点で6勝目。この日は高橋、浅尾と続き、最後は守護神・岩瀬が抑えた。また、森野の活躍が目立ち、一回に先制の20号3ランを放ち、4―2の七回には右前打でダメ押し点を挙げた。
 きのうはブランコが復活騨を打ち、きょうも森野が4安打4打点。これで球団最多タイの20猛打賞を記録、ドラゴンズは、先日の阪神戦との1分けを挟んだ連勝を4に伸ばした。特にナゴヤドームでの横浜との3連戦は、勢いに乗るドラゴンズとそうでないチームとの差が強く出た。セ・リーグ優勝、クライマックス制覇、日本一とここまでくると、完全日本一の可能性も十分ある。

 これからは、なんといっても一つひとつの試合を悔いなく、戦っていってほしい。
 ドラゴンズが優勝する年は政変がある、とよく言われるが、そちらの方も気になる。でも、やはりボクは菅直人にこのまま首相を続けてほしい。一方で、小沢氏にやらせてみたら、という気持ちもないことはない。
 実際、ニンゲンの心理ほど不安定なものはない。その時々でクルクル、くるくると変わってしまう。ころころと変わるから『こ・こ・ろ』というのだろうか。プロ野球も、そうした一人ひとりの「見えない心」を抱えながら日々、行われている。ふとしたことで、選手の気持ちが変われば、監督の采配とて変わるのだ。

 【笛猫茶番日常の劇】きょうは日曜日とあってか、オトンの携帯電話には、友だちからも含め、さまざまなメールが入ってきました。なかに一つ。「26日、是非おこしください」とのメールは、魔法の手をもつ、バイオリニストでウエブ文学同人誌「熱砂」のメンテナンスでも、ことのほか、お世話になっている来島里奈(きじま・りな)さんからのソレでした。

 実は、アタイと里奈さんは、猫とニンゲンの違いこそあれ、昔から大の親友なのです。いや、里奈はアタイのお姉さんも同然です。彼女からオトンに届くメールには、いつも「こすも・ここちゃん、元気にしていますか。うちのすけちゃん(愛猫の名)も元気でいますよ」って。そんなあいさつが含まれているのです。でも、きょうのメールによると、「こすも・ここちゃんによろしくお伝えください。うちのすけちゃんは夏バテで1kgも体重が減りました」と書かれていたそうです。だから、アタイたち、すけちゃんのこと、とても心配してるの。早くよくなってくださいね。

 ところで、本題からはずれてしまいましたが、その里奈さんが二十六日の午後六時半に名古屋市中区大須の七ツ寺共同スタジオで開演する「ポエトリー・リーディングの夕べ」(主催・七ツ寺共同スタジオ、共催・あいちトリエンナーレ実行委員会)に出演されるそうです。俳人でもある馬場駿吉さん(ボストン美術館の館長)の俳句に、里奈さんがメロディーをつけ、バイオリンで即興演奏するのだそうです。これには、俳句をたしなむお母さんのMときたら、今から「見てみたーい。一緒に行こうよ」って。オトンを誘ってるみたい。でもサ、この日は国際ペン東京大会2010記念パーティー(東京・京王プラザホテル)もあり、既に出席の返事を出してしまっているだけに、どちらにするか、かなり悩んでいるそうです。

 それからいまひとつ、秘密めいたナゾの女性からのすてきなメールはー。

 現在、オトンが執筆中の小説に関わる秘話なので「教えてよ」といっても、これだけは教えてくれませんでした。肝心なこととなると本当に口が堅いのだから。あ~あ。

 その代わりに、オトンが教えてくれたことがあるのでお伝えします。
 それは、平成二十二年度上半期(第143回)の芥川賞作品「乙女の密告」(赤染晶子)と直木賞作品「小さいおうち」(中島京子)をきょうまでに読みあげた、そうです。オトンは、これより先にも第二十三回中部ペンクラブ賞受賞作の「オールドローズガーデンB&B」(西澤しのぶ)「光り苔」(村山清江)の二作を読み終えてます。選考委員諸氏の作品評価は、それぞれ違いオトンの目と感性、文体からすれば、まだまだ納得のいかない作品もあったや、に聞きます。
 とはいえ(どんなに、その作品の出来に不満を感じようとも同じ小説を世に問う一人の作家として)他者の作品を読み参考になる点は盗むことこそ、文学の基本で自らのためにもなる、というのがオトンの姿勢です。読後感は四作とも、文章表現や構成面で部分的に気になる箇所が多少あったものの、それなりに味わいがあり学ばせられた、というのが実感だったそうです。
 ともあれ、オトンにはいまのペースで焦らず、慌てず、わが道を進んでいってほしく思っています。これは、シロちゃんも同じです。百歳になったら、世界の文壇を取り、リードする。これが、オトンの口癖なのですから。ただ、それまで生きていられるかどうか、が課題だよね。

☆三菱重工業と宇宙航空研究開発機構は十一日夜、位置情報の高精度化を目指す準天頂衛星「みちびき」を載せたH2Aロケットを鹿児島県・種子島宇宙センターから打ち上げ、成功した。「菅首相支持67パーセント優位守る 政治とカネ・小沢氏説明84パーセント不満 民主党代表選世論調査」(中日新聞1面・12日付)

平成二十二年九月十一日
 きょうは、ナゴヤドームのデーゲーム。
 ボクは社に上がって優勝を想定した原稿書きと捕捉取材に終日追われた。

 試合の方は、四十五歳のマサさんが先発すると、ドームには歓喜のどよめきが沸き、マサさんは六回、途中まで2失点ながら期待に十分応えての好投で五勝目。ドラゴンズは横浜を7―2で下した。きょうのドラゴンズは、二回に荒木の2点打などで3点を先行し、三回と七回にはブランコが2ランを放って突き放し、ファンにとっては満足のいくものとなった。このところ不発弾だったトニ・ブランコ内野手にやっと当たりが戻ってきた。2位阪神がヤクルトに連敗したため、ゲーム差は、1・5に広がった。

 それはそうと、きょうはナゴヤドームで見逃せない、ちょっといいことが起きた。何か。
 それは、中日ドラゴンズの元名捕手でコーチを務めたこともある現球団スタッフ・片貝義明さんによる野球解説を聞きながら子どもたちがプロ野球を観戦する新企画が中日旅行会の主催で実現したことである。参加したのは「少年瑞穂」のメンバーで、投手の配球や攻撃の狙いなどについて片貝さんから学び、楽しいひとときとなった。
 片貝さんと言えば、かつてドラフト2位でドラゴンズに入団され、現役時代の名手ぶりは知る人ぞ知る。人格識見ともにステキな人柄でファンサービスへの情熱の高さで知られ、ボク自身常日ごろから、尊敬している存在だ。その片貝さんによる野球少年に対する生の解説が始まったのだ。これはホットニュースである。
 球団のファンサービスもいよいよ、ここまできた。選手も負けじ、と強くなるはずだ。片貝さんの熱情を知る一人として。ボクは心から、こんどの企画に拍手を送りたい。

 【笛猫茶番の劇】きょうのオトン。夜遅く家に帰ったまでは、よかったのですが。少し目が虚ろだったみたい。なぜでしょう、そのわけを読者の皆さんに教えてあげる。

 オトンは、ドラゴンズ公式ファンクラブのスタッフのみなさんが、ナゴヤドームやドーム前イオン店で2011年の入会案内のPR作戦で忙しいので、自分もやらなきゃあ、と、きょうは一日中、事務局でドラゴンズが優勝した時に紙面化される記事の予定稿づくりに追われたそうです。デ、話は、それからなの。

 “事件”は仕事が一段落したところで、夜になり、ボサボサに伸びた髪をカットしてもらいに、いつも行く名古屋市内のメナード美容院を訪れた、そのときに起きたのです。(少し、大げさかな)。
 オトンの頭の洗髪手入れをしてくれた見目(みめ)麗しい、その女性がこう言ったのです。
 「あたし、いつも読んでますよ。“いがみの権太の野球日記”を。先日は、あたしのことまで紹介していただき、うれしかった。あたし、まだ若いのですが、実は私の中に輝く花のオーラみたいなものを感じているのです。あたしのなかに。ほんとにオーラがあるんです。こんどは、そのこと、書いてほしいな。野球日記、みんなで毎日楽しみにしてます」だってサ。=ちなみに前回の紹介日は六月二十日でした。ぜひ、もう一度読んでくださいね。

 それを聞いてオトンは、ぶったまげた。いつも、たった一人の人間に向かって書いているはずなのに。思いもよらない若い女性にこんなにも喜ばれていたとは、と。
 そこで、彼女は続けた。
 「私の名前は、フクダサナエ(福田早苗)と言います。三重県の亀山市から名古屋のメナード美容院まで通う日々ですが、毎日が充実しています。誕生日は一九八七年四月二九日です……」
 それって。昭和天皇の誕生日と同じ日では。デ、どんな花のオーラかな。

 というわけで、帰宅したオトンはさっそく「花ことば 小さな花に想いをたくして」という書物を本棚から出し、フクダサナエ・四月二九日にふさわしい花を捜したそうです。そしたら、季節的にはスミレ、チューリップ、タンポポ……といろいろありましたが、オトンの目で見た彼女を花に例えれば『スイートピー』が一番お似合いではないか、と思ったそうです。

 そこでスイートピーについてひと言。花ことばは「デリケートな喜び」「門出」「別離」なんだそうです。そして花言葉の意味としては、次のように書かれていました。
「たとえどんな荒くれ者でもこの花の、愛らしくやさしく、繊細な姿に接すると、ほっと心がなごみ、そっと顔を近づけてみたくなるのではないでしょうか。また、まるで蝶のように軽やかに、空に向かって飛び立っていくかのような花姿は、未来へ、新しい世界へと夢を追って飛翔する美しい少女たちの巣立ちのころを想わせます」

 そういえば、フクダサナエさん、すなわち彼女自身が自分のなかに花のオーラを感じている、と話してくれたのは、彼女自身が「空に向かって飛び立とうとしているから」ではないでしょうか。フクダサナエさんはオトンに向かってこうも言ったそうです。
 ―なんだか、急に人恋しい季節になりました、と。

 オトンは、その言葉に彼女のからだの中を“恋風”といったような、そんな言い知れない何かが走りぬけていこうとしている、とも思ったそうです。飛翔といえばいえないこともありません。花のオーラが体内にある気がするーだなんて。なんとステキな表現なのだろう、とも思ったそうです。

 メナード本社内にあるこの美容院では現在、男女各四人ずつが働いていますが、すべてが光り輝いている、とオトンは話していました。その中には、オトンが昔、取材で飛びまわっていた小牧市篠岡で育った“しのっ子”の若者もいます。その若者の縁でオトンはメナードで散髪をしてもらうようになったそうです。メナードは創立者が小牧市出身、そして、この“しのっ子”はドラゴンズファン、もちろん、公式ファンクラブ会員かつ、熱烈なガブリファンなのです。

 人生って。時々、悲しくて辛いこともあるけれど、面白い。楽しい。ナゾめいている。不思議ですね。
 毎日、毎日、数え知れないほど多くの人々とすれ違っているのに友人、知人となると、ごくごく一部に限られちゃうんですよね。実際、日々この地球上を歩いていても知ってる人と出会うのは、ほぼ無いに等しい。たまに多く出会ったとしても、せいぜいが五、六人で、すべての人が孤独の道をあるいているのだ。だから、人と人とのつながりを大切にしなければ、とオトンは話しています。

 フクダサナエさん! 幸せのちいさな花を見つけて、これからも、もっともっと、大きく社会に羽ばたいてくださいね。

☆二〇〇一年の9・11米中枢同時多発テロから丸九年を迎えるのを前に、テロで崩壊したニューヨークの世界貿易センタービル跡地「グラウンド・ゼロ」近くのモスク(イスラム教礼拝所)建設予定地前では十日夜、建設支持の市民ら約千人が集結した。

 「クレージーキャッツ」のメンバーとして活躍した俳優、コメディアン、トロンボーン奏者の谷啓さんが十一日午前五時七分、死去した。七十八歳だった。東京都三鷹市の自宅階段で転倒、頭を打って倒れているのを家族が見つけた。一九五六年にクレージーキャッツに参加。「ガチョーン」などのギャグで知られた。

平成二十二年九月十日
 今夜のナゴヤドーム。あの岐阜出身の若竜・岩田投手が先発し、7イニングをわずか2安打に抑え、浅尾、岩瀬の両投手に勝敗を託した。あとは落合野球の真骨頂で八回裏、1死二、三塁から森野の中犠飛で1点を取り、野球の基本どおりにドラゴンズは1対0で横浜から勝ちをもぎ取った。とはいえ、五回ノーアウトでのランナーミスなど、相変わらず基本動作上のミスが目立つ試合だった。
    ×    ×
 ところできょうは、アナタに向かひて書く。
 一見、クールで冷たく映るアナタだが、実は。もしかしたら、この世で一番に弱くて優し過ぎる男じゃないか、と。そう感じたからである。ゴンタクレのわたくし、“いがみの権太”の目には、そう思えてならない。それは、次のひと言だ。

 「イワタに勝ち星をつけてやりたかった」「いつまでピッチャーに迷惑をかけてるんだ」
 一部報道によると、試合が終わって最初にボクが思ったと同じことをアナタは吐露したようだ。ボクの場合は、一ファンとして素朴な岩田が大好きだから、勝たせたかった。もしかしてアナタも同じ気持ちで、つい、ホロリとそんな言葉が出たのではないか。一面で人間的ではある。
 「そんなこと、アンタたち(新聞記者蓮)には関係ない」発言に比べたら、より人情味がある。でも、ボクだったら、こう言う。

 「イワタ、貴様はナゼ勝てないのだ。なぜだ、なぜだ、なぜ?」と。闘将たるもの、こうあってほしい。別にボクがいつだって「孫子」と「武士道」の二冊をしのばせて歩いているからでもない。時にはノブコさんみたいに樋口一葉の「たけくらべ」や高村光太郎の「智恵子抄」だって持ち歩いているのだ。ボクは正直、今夜の如き少年発言をしたアナタを、むしろ好む。いつだって温かい目で見ている。だが、日本一の監督たるもの、そうはあってはいけないのだ。

 「イワタに勝ち星をつけてやりたかった」。
 何度も言う。ボクも岩田は2軍戦で見ていても向こうから笑顔で手を振ってくれる。だから、大好きなので全く同じ気持ちだ。でも、監督たるもの、そうした私心を、あまり見せない方がよい。アナタの口から、ついついよく出てしまう言葉でもう一つ、気になる言葉がある。
 それは「岩瀬で打たれれば仕方がない」だ。これも、よくない。ファンの通(つう)に言わせれば「何回、同じことを言ってるのだ。バカじゃないか」となってしまう。「岩瀬も力が衰えてきたかもしれない。でも、ああした場面では、と確信していたのだが」となぜ言えないのだ。

 案の定、きょうの中日スポーツ「わいわい広場」には、手厳しい声が出ていた。
 「9日の阪神戦、中日は岩瀬の抑え失敗で勝ちを逃した。今までの実績は評価するがこの大事な時期に連打されると取り返しがつかない事態になる。現状を見ても、将来を考えても浅尾か高橋と抑えは入れ替えるべきではないか。『岩瀬で打たれれば仕方がない』というコメントは聞きあきた」=愛知県瀬戸市、Aさん=。
 ボクには、この指摘が大方の意見を代表していて、正しい気がする。そして「岩瀬で打たれれば仕方がない」のコメントもあまり、よくない。ボクに言わせてもらえば「何回、打たれたら気がすむのだ」としかいいようがない。そう言ってくれた方がスッキリする。名将は時に、選手から憎まれるほどの逸材でなければならないのだ。

 幸い、今夜は岩瀬が締めてくれたので、ホッとしている。さすが、大一番に強い。人間・岩瀬が謙虚で素晴らしいことはボクも十分、分かっている。
 ボクは、悪い癖で、昔の荒らくれ記者魂丸出しで、すぐ人を疑ってかかるが、こうまで「仕方がない」と言われると、岩瀬との間に何かやましいことがあるのではないか。まさか、とありもしないことまで勘ぐってしまう。ドラゴンズファンは怖い。岩瀬が年俸の一部を誰かさんに上納しているのではないか、と。そんな邪推さえ出かねない。「あいつも、とうとう衰えてきている。でも、この場面はアイツでなければ。大一番では、まだ一番頼りになる」と答え、負けたら負けたで、双方そろって傷つけばよい。それがフェアというものではないか。

 誰も読んでいないかも知れないこの野球日記だが、熱い気持ちだけはいつだって持ち、ボクは、たった一人の読者に向かってこうした心の灰汁(あく)とでもいうものを日々、吐き出し書いている。知らぬ間に落合中日の罠のなかにはまってしまっているのかも知れない。

 言葉は大切な、いきものである。端唄にこんなのがある。
 ♪どうした拍子かあなたといふ人 憎うて憎うて たまらないほど好きなのよ

 【笛猫日常茶番の劇】今夜はドラゴンズが横浜に勝ち、アタイうれしいな。とうとう阪神を抜いて四月十五日いらいの首位に躍り出たのです。これで、きょうヤクルトに負けた阪神とは0・5差になりました。次いで2ゲーム差で巨人が追いかけてきています。今夜の野球日記。オトンが誰かさんの心を傷つけたとしたなら、アタイから謝らせていただきます。

 さあ、さ~あ、さ~あ、さ~あ。
 いよいよ、落合野球の名場面があすから始まります。どいつもこいつも、さっ、さっ。さっとー
 ごらん、あれ~え。(チャチャ、チャンチャ。チャ……)

☆多額の不良債権を抱えて経営難に陥っていた日本振興銀行(東京・千代田区)は十日、六月末時点で千八百七十億円の債務超過に陥ったとして自主再建を断念し、金融庁に破綻を申請、同時に民事再生法の適用を東京地裁に申請する。政府と預金保険機構は、預金保険法に基づき、預金の払い戻しを元本一千万円とその利息までとする「ペイオフ」を発動した。発動は、1971年に制度ができて以来初めてという。

 戸籍「生存」100歳超23万人 法務省調査 住所不明なら削除へ。(中日新聞10日付)大阪地裁が厚生労働省文書偽造事件で村木厚子元局長(五十四歳)に無罪を言い渡した。

平成二十二年九月九日
 午後十一時を過ぎたというのに。甲子園では、まだドラゴンズ対阪神の竜虎首位攻防が繰り広げられている。両チームの監督、選手とも見上げたものだ。すばらしい。
 ボクはつい先ほどケータイのドラゴンズ情報・実況中継を確かめたが、午後十一時九分四十七秒更新の段階で、試合は十二回表ドラゴンズの攻撃中で、2―2のままである。ここまできたら、どちらが粘り勝つか、だ。勝ち負けに関係なく、試合終了後には全ての選手に敬意を表したい。

 日本はまだまだ捨てたものでない。プロ野球の選手がこんなに遅くまで延々とただ、勝敗だけをゴールに投げ、打ち、守り、走る。プロ野球とは、なんとすばらしいスポーツなのだろう、とつくづく思うのである。
 午後十一時二十一分。こすも・ここがボクの部屋の入り口で何かを訴えるように、ニャン、ニャオウ、ニャン、ニャオウとただごとではない声を出している。ボクはここで、もう一度、ドラゴンズ情報・実況中継の画面を見てみる。更新はまだ、されないままで、画面は先ほどと変わらない。さあ、今夜の成績は一体どうなることか。まさにセ・リーグの首位攻防にふさわしい戦いが続いている。

 午前零時前。ケータイのドラゴンズ情報によれば、結局、今夜は2―2で、十二回表裏を終わったところで引き分けに終わった。延々五時間二十一分に及ぶ攻防の末、延長十二回規定による引き分けとなった。ドラ情報の評は、こうだった(原文のまま)。
 「9回途中から救援の岩瀬が誤算で、逃げ切りに失敗。引き分けに終わり、首位を逃した。阪神は1―2の9回2死三塁で、代打檜山の二塁後方へ落ちる適時打で同点。その後はチャンスを生かせなかった。」

 ともあれ、両軍の選手、監督、コーチなど全スタッフのみなさまの全員に「お疲れさま」と、その労をねぎらいたい。さすがは、プロ野球である。これだけ戦って、ファンとしては、負けなくてよかった。

 【笛猫日常茶番の劇】きょうのプロ野球、アタイも応援してたのだけれども。ニンゲンって、すごいな、とつくづく思った。知恵と体力、意地、それから見栄もあるのでは。ニンゲンって。こうした、いろんなモノのかたまりなんだよね。
 あんなに長い間、戦い続けるなんて。とても、考えられなあ~いデス。戦国時代は、もっと大変だったよね。殺し合いが終わるまで続くのだから。戦争だって。同じこと。まだ、プロ野球でよかったよね。いまの世の中、平和なんだ。

☆愛知県警が来年四月の施行を目指す暴力団排除のための条例案を発表。それによると、名古屋市中心部の歓楽街「錦三」などに特別区域を設定し、約三千八百に上る接客業者に用心棒代の支払いを禁止する条項などが盛り込まれた。

大リーグ・マリナーズのイチローが十試合連続ヒットをうち、十年連続200本安打達成まで、あと十七安打となった。甲子園であったドラゴンズ×阪神戦で阪神・真弓監督は五月に右足を骨折し復帰が待たれていた能見篤史投手を起用、四カ月ぶりにマウンドに立った能見は三者連続三振を取るなど期待に十分、答えた。

 東京・葛飾区柴又の民家で上智大生小林順子さん(当時二十一歳)が殺人放火で殺害されてから丸十四年、遺族が自宅跡に消防格納庫を提供。

 米フロリダ州のキリスト教会が米中枢同時テロから九年となる十一日にイスラム経の聖典コーラン約二百冊の焼却を計画している問題で、同教会のテリー・ジョーンズ牧師は八日、記者団に「計画を中止する考えはない」と焼却を強行する考えを示した。

平成二十二年九月八日
 今夜のスカイマークでの首位攻防戦は見ての通り、ドラゴンズが阪神に10―0と圧勝した。文句のない勝ちっぷり、大勝とは、こういうことをいうのだろう。
 ボクは昨夜の勝負を見て、この野球日記を記したが書き終えてから、重要なワンフレーズを書き忘れていたことに気付いた。その一行は「それにしても、なんて、打てねえチームなんだ。情けないことよ」だった。が、いまになれば書かなくて良かった、と思っている。今夜は、みんな“火の玉”になって打ち、守り、ドラゴンズの強さを見せ付けてくれた。何もいうことなぞは、ないのだ。

 山井がよく投げ、ブランコが2点適時打を打ち(一回)、死球を受けて一時は立ち上がれず、どうなることか、とファンの誰もが心配した森野が2ランを打ち(四回)、山井、荒木の適時打(七回)で完璧に突き放した。
 山井は8イニング1失点、11奪三振で7勝目。先日の堂上直倫に続く、森野への危険球にはファンの間で「(このところのドラゴンズが強すぎるので)中日の選手が狙われているのではないか」と本気で危惧する声さえ出た。

 【笛猫茶番日常の記】アタイ、今夜は最初からドラゴンズの野球中継をするテレビ画面に、かじりついてた。実は、チュウニチのモリノさんがシキュウを受け、なかなか立ち上がらないので心配してた。でも、ネ。立ち上がったので安心しました。
 そしたら帰宅したオトンが、アタイに向かってこういいました。
 「ありがとさんよ。今夜のおまえの表情を見る限り、心配ない」だってサ。というわけで、ドラゴンズは勝ちました。オトンは本を抱え込んだまま、眠ってしまったのでアタイたちのこの欄も終わりかなっ、て心配しました。そこは、やっぱりお父さんです。午前五時には起き、こうして笛猫の記が、きょうも生まれつつあるのです。

☆北海道開発局発注の公共工事をめぐる受託収賄などに問われた衆議院議員鈴木宗男被告(六十二歳)の上告審で最高裁第一小法廷が上告を棄却。懲役二年、追徴金千百万円の実刑とした一、二審判定が確定、国会法と公職選挙法により同被告は失職、収監される。
 台風9号が北陸沖の日本海を東進し敦賀に上陸、東日本を横断。東日本では大雨による被害が相次いだ。

 静岡県東部で住民がサルにかみつかれる被害が相次いでいる(八月二十二日以降の被害者は計八十一人)問題で三島市は七日、サルを家屋などに閉じ込めることに成功した市民に懸賞金二十万円を出すことを決めた。

平成二十二年九月七日
 今晩のドラゴンズ対阪神戦はスカイマークであった。ドラゴンズはチェン、阪神はスタンリッジが先発、1点を争う緊迫した試合展開となった。結果は、五回裏に1点を入れた阪神がそのままストッパー・藤川球で八、九回と逃げ切り、ドラゴンズの連勝は6でストップした。不思議なもので、これまで勝ち続けてきたこともあり、一敗しただけなのに、あすからは、また「ゼロからの旅立ち」のような気がしてならない。
 中日は八回に2死満塁、九回にも2死一、二塁としたが、あと1本が出ず完封負け。ランナーを出し絶好のチャンスに恵まれながらも、1点をすらあげることも出来ず、苦杯をなめた。残念無念、とはこうした結果を言うのか。

 これでドラゴンズが阪神に0・5ゲーム差まで縮まった首位争いも、1・5ゲーム差に再び引き離され、セ・リーグ優勝をするには、もはや今後の試合は1敗も許されない。待ったなし、のときが来た。

 【笛猫茶番日常の劇】相変わらず、毎日暑い日が続いています。でも、台風9号の影響か、少しずつ、これまでの日照り現象も緩和されてきているみたい。アタイには、なんとなくそんな気配が感じられるのです。あさの食卓にはMの手で先日のいちぢくに次いで、梨が出されました。

 アタイは、深夜未明になってオトンの横でよく鳴きます。その時々で、アタイなりの訴えをしているつもりなのですが。たったいまも執筆中のオトンに「こらっ、訳もなく鳴くなよ。ご近所にも迷惑をかけることになる」と叱られてしまいました。でも、アタイが声を立てる時には、それなりの理由があるのです。

 「お水を飲みたい。飲ませてよ」とか「ドラゴンズが勝ちそうだ」とか、「食事が無くなったので、猫缶を開けてよ」とか、時には「不覚にもゲロをはいてしまったのできれいにして」とか、「トイレをしたい」「外に不審者がいる」「シロの姿が見当たらない」「オトンとお話がしたいよ」とか。アタイにだって、言いたいことがいろいろあるのです。

 それからアタイの妹のシロちゃん。最近、どうした拍子からなのか。二度にわたってシロ自慢でもある首の青い鈴を落としてしまいました。Mが家中を捜して見つけ出し、再び首紐に結わえてくれたときには、シロちゃんは当然ながら、アタイもオトンもバンザーイと、叫んでしまいました。

☆カナダで開かれていた第34回モントリオール世界映画祭で七日午前、授賞式があり、李相監督の映画「悪人」でヒロインを演じた深津絵里(三十七歳)が最優秀女優賞を受賞した。

 中東和平の直接交渉が再開された。二国家共存には双方の譲歩しかないが、パレスチナ、イスラエル双方の隔たりは大きく難航は必至である。仲介役米国の指導力、真剣味が試される場でもある。(中日新聞の七日付社説から)

平成二十二年九月六日
 きょうは月曜日で試合はない。
 中日新聞夕刊から、野球に関する記事の見出しを抜粋してみるとー
 「松井秀3安打 らしさ発揮勝利に貢献」「初の『コージ・コール』 上原 強力打線抑え存在感」「興南のエース 島袋が中大進学意向」「オリオールズ 消化試合の季節も熱く」……

 きょうは帰宅すると、ボクの机の上に一冊の本「プロ野球 実況できなかったスゴイ話」(松本秀夫著、ぜんにち出版)が置かれていた。
 クロネコメール便でお届け予定日・9月6日とある。中を開くと、東京に住むAさんからで「9月6日 A」とあり、なんと速い宅急便かと、つい驚いてしまった。
 「シーズンも大詰めですが、読売に勝ち火曜日からの阪神戦で踏んばってくれれば、きっと中日が頂点に立ってくれることと信じています。本日は是非と思う本を拝送申し上げます。著者は東京ニッポン放送の松本秀夫アナウンサーです。ニッポン放送のアナウンサーですが、しばしば『東海ラジオガッツナイター』にも登場されます。インターネット上で会話に応じてもくださいますが、とても温かいお人柄です。本文中には、落合監督や山本昌投手、中田投手や谷繁選手についての項目もあります。お目を通していただければ幸いです。私は、チームのみならず、ファンクラブへの愛着も持っています。もう6年目、早いものだなぁ、と思っています。……」と続いていた。

 ついでながら、本の帯は読売巨人軍監督・原辰徳さんで「松本クンのようにしっかり伝えてくれる人がいるからナイターが面白いんだなと実感しました」と書かれていた。
 心から、ありがとう。Aさん! さっそく読ませていただきます。

 【笛猫茶番日常の劇】猛暑残暑とはいえ、時折吹く秋風に、アタイよく思うの。ニンゲンたちもアタイたちも、いったい全体、何を目的に生きているのか、と。そこでオトンは言います。
 ーありきたりかも知れない。でも、やはり、もし「愛」というものがあるとしたなら、誰だって家族に代表される愛する人たちのために生きているのだ、と。
 だったら、アタイはオトンやM、シロちゃん、おニイのために生きているんだ。みんなが、ある日突然にアタイの目の前から消えてしまったとしたなら、アタイもう生きていても仕方ないよね。それとも、そこから、また新たな愛の対象が生まれるのだろうか。
 おかしな話になってしまいましたが、アタイは時折、ふっと寂しくなることがあるのです。

 そこでオトンになぜなの、と聞いてみました。そしたら彼曰く。
 「オレは、こすも・ここやMに毎日、こうして会え、気持ちをかよわすために生きている。朝起きたら、きょうも一日がんばって、またMやおまえたちのところに帰ってこよう、と。そう思っている。
 それから、ここに記されている野球日記でも、だ。
 毎日、結構のヒット数で驚いてはいる。でも、これで有名になろうとか、そんな気持ちはさらさらない。ただオトンとして出来るニンゲンたちの歴史を平々凡々に記録し、それに共感してくださる人々に向かってだけ、書いている。
 だから書く時は、いつも一人の読者に向かって真剣勝負で書いている。毎日、この日記を楽しみにしてくださっている。そんな読者がひとりいたら、それで十分である。だから、読んでくださっている方々には心から、貴重な時間をありがとう、と感謝したい」。

☆毎日新聞によれば、東京のネオン街で弾き語りを初めて四十五年になる六十六歳の新田晃也さんが大手レコード会社から新曲「振り向けばおまえ」を引っ下げてCDデビューを果たした。
 「世界のオザワ(指揮者・小沢征爾)復活 9カ月ぶり松本で指揮」「松ケ根親方 2階級降格へ 組関係者のビルに宿舎・特別委、提言見通し」(中日6日付朝刊)「名古屋市 職員給与 年22万円減を 人事委勧告 下げ幅、過去2番目」(同夕刊)

平成二十二年九月五日
 中日ドラゴンズはナゴヤドームでの巨人3連戦をまたしても、3タテとしたが、首位を走る阪神もきょう広島に11対5で勝ったため、首位との差は0・5ゲーム差のままだ。巨人は4連敗。ナゴヤドームでは9連敗という不名誉な記録となった。
 きょうのデーゲームは先発・中田賢投手が終盤浅尾に替わるまで完璧な出来栄えで、見るほうも安心して見られた。打っては、初回裏、四番和田がいきなりの先制の33号2ラン。五回にも不調だったブランコの右前適時打で和田が帰り、あとは中田、浅尾、岩瀬の好投で逃げ切った。

 これでドラゴンズは今季四度目の6連勝である。それにしても、今シーズンのプロ野球は各チームとも連勝したかと思えば、連敗し気がつくとガラリと状況が変わっているケースがセパ両チームともに目立っている。
 連勝・連敗現象には以前にも触れたが、猛暑残暑のせいか不思議な兆候だ。それだけに、ここまで首位に急追してきたドラゴンズ。あとは連敗しないで、今の調子で突き切ってほしい、と願うのはファンに共通の思いだろう。

 落合監督は、このところ試合後の質問に「野球は投手だ」と繰り返し答えているが「なるほど」と思う。ここのところの連戦連勝は投手の調子がよければこそ、だ。投手が良ければ、打てなくても勝てる、ということか。でも、打撃の方も和田はじめ、あとはニューウエーブの波が入れ替わり立ち代わり打っており、チーム力は確実に上がってきている。日替わりでニューヒーローが出てきても少しも不思議でないのである。

 【笛猫茶番日常の劇】きょうは江南市内のコミュニティセンター・老人福祉センターの一部屋をお借りし、お父さんたちのウエブ文学同人誌「熱砂」の例会が行われました。みな、忙しい仲間たちばかりの集いで最も若手、はたちの女性Rさんの場合。毎日書こう書こう、としているがあれもこれも書こうとするので「あっちも、こっちも中途半端になってしまいがち」の声が出されたみたい。このRさんは老人介護のファンタジーをなんとかモノにしたい、と現在意欲的に取り組んでおり、オトンに言わせれば「そのうち芽が出る可能性が大いにある」そうです。

 このほか、無類の阪神ファンで無口でいつも余分のことは一切しゃべらず、斜めに首を傾げ腕を組んだ姿がなんとも神々しい、独特のポーズのKさん。彼は、この日テーマエッセイ(テーマは「贈りもの」)とともに五十枚ほどの小説を持ち込みましたが今度のウエブでの小説発表と同時にペンネームを○○●●に替えたい、と意気込みのほどを見せられ、同人みなさんの発奮材料になったみたい。

 A女性編集長の「なかなか(書けないわ)ねえ。でも、私も書いてみる、書かなくっちゃあ」の弾む声もあり、和気あいあいのうちに一時間半というときが、アッという間に流れたのです。テーマエッセイの文庫本化も早く実現させたいものの、なにしろ貧乏所帯。予算の関係もあり、みな四苦八苦といったところのようです。ただ言えることは、この日欠席した同人も加え、努力さえ怠らなければ熱砂の仲間たちのすべてに、限りなき希望の光りが注がれている、ということだけは確かです。

 これは主宰を務めるオトンの直感だそうです。読者の皆さま、長い目で、この「熱砂」の仲間たちを、温かく見守ってくださいね。本当の文学とは、こういう地道で控えめなものなのです。文学とは。アタイやシロも含めたニンゲン社会を映し出す鏡だ、とはオトンの持論でもあります。

 実を言うと、アタイきょうもオトンの部屋でテレビの野球中継を見ていたの。そしたら。あの当たりの止まっていたブランコさんがなんだか、おかしなヒットを打ち和田さんをホームに返したかと思ったら、こんどは中田賢投手の投げた球が巨人エドガーのバットをへし折ってしまう、などなかなか面白かった。オトンには内緒だよ。アタイがオトンの部屋で、ただ一人でプロ野球を見ていたことは。これは、あくまでヒ・ミ・ツなの。

 オトンがたまに言っているじゃない。ニンゲン、秘密が多ければ多いほど、魅力的になっていくんだーとサ。だから、きょうのアタイの秘密のこと、誰にも口に出さないでよ、ね。

☆名古屋市の市営地下鉄金山駅女性トイレで奥田トシさん(八十一歳)が包丁を手にした見知らぬ若い女に肩や背中を何カ所も刺され、まもなく死亡。金山駅は一時騒然となった。女は改札口付近で包丁を手にしているところを逮捕されたが、春日井市に住む二十三歳で「私はきょう生まれた」などと、わけの分からないことをしゃべっているという。ある面で、得体の知れない現代社会を投影した痛ましい事件が、また起きた。

アフガニスタン北部で行方不明となり、反政府武装勢力タリバンに拉致、監禁されていたフリージャーナリスト常岡浩介さん(四十一歳)=長崎県出身、東京在住=が四日解放され、カブールの日本大使館に保護された。

平成二十二年九月四日
 人間とは、どいつも、こいつも何故に、これほどまでに素晴らしいのか。いたいけないのか。その代表が山本昌広さん、すなわちドラゴンズのマサさんである。

 ドラゴンズは、きょうも巨人を3―0で破った。それも、四十五歳の投手、マサさん、われら人間たちの星・山本昌広さんを要しての試合で、である。おまけに、マサさんは、プロ野球史上最年長、四十五歳二十四日での最年長完封を演じた(これまでの記録は一九五〇年に当時の毎日・若林忠志投手が近鉄戦で記録した四十二歳八カ月)。完投勝利も二〇〇八年八月二十四日の巨人戦で自らがつくった四十三歳十三日を更新する史上最年長記録となった。今シーズン4勝目。ナゴヤドームがありとあらゆる人たちの歓喜と歓声の渦に沸いたのは、言うまでもない。ドームが破裂する寸前までにどよめいた。

 これで巨人はナゴヤドームで8連敗の屈辱である。人間とは、誠に異な生きもので、巨人にこれだけ勝つと、なんだか怖い気がし、負ければ負けたで、限りなく腹がたつ、勝手なのだ。

 ところで、ボクの場合、マサさんの投法を見ていると、しばしば恥ずかしながら知らない間に眠りこけてしまっている。これは、どうしてか。1球1球をヨイコラショッ、と大切に投げる姿を見ているうち、こちらまで力が入り過ぎ眠ってしまっている場合が多い。マサさんの揺りかごの中で、ボクが揺られ、揺られて、いい気持ちで眠っているのである。「もう起きなければ」とハッとし我に返ると、ドラゴンズは決まって勝っているのだ。だから、ボクは彼の投法をボクだけの世界で『マサさんのゆりかご投法』と名づけている。

 試合内容は、マサさんの低めに丁寧にコーナーを突く投法が効き、巨人打線を6安打に封じる出来栄え。打線も一回裏、森野の18号ソロで先制、四回には野本、堂上直倫の適時打で加点するという理想的な展開となった。

 【笛猫茶番日常の劇】暦の上では、もう秋だというのに。ニンゲンたちが言うにはことしは、少しヘン、気が狂った天候じゃないか、だって。
 その証拠にきょう、あの岐阜県の山奥の郡上八幡で39・1度、愛知の東海市38・8度、名古屋でも38・0度を、それぞれ記録したんだってサ。それでもオトンたちは、きょうはずっとナゴヤドームの1、2番ゲートの間にある総合案内所近くの炎天下でまさに「熱波」のなかに何時間も立ち、ドラゴンズ公式ファンクラブの2011年入会案内呼びかけに汗を流してきたそうです。汗を流すというよりも、汗は自ずとタラタラと肌を伝って流れ出てきたとか。
 幸い、ドームを訪れたファンの反応は上々。一緒にPRに出たガブリ人気も相当なものだったそうです。(この入会案内のPR活動はきょうも同じ場所で行われる。2011年の新しい特典グッズとなるワンショルダーバッグはじめ、好評のレディースユニホームなどグッズの数々も置かれていますよ)

☆「自分が投げていていいのか」「45歳・山本昌 最年長完封」「すげーおじさん 六〇年ぶり快挙」(中日新聞翌5日付朝刊1面トップ見出しから)

 「土俵の鬼」両国に別れ。大相撲の元横綱初代若乃花で日本相撲協会元理事長花田勝治氏(享年八十二歳、一日に腎細胞がんで死去)のひつぎを乗せた車が四日、通夜を前に東京都墨田区の両国国技館に立ち寄り、協会役員、力士たちの見送りを受けた。

 「帝京大病院 緑膿菌でも1人死亡 3人から検出 会見で公表せず」「臓器移植 家族承諾で6例目 過去最多、8人に提供」(4日付、中日新聞夕刊見出しから)

平成二十二年九月三日
 よくやった! ドラゴンズ。
 中日は、今夜、本拠地のナゴヤドームで宿敵巨人と対戦し、吉見が先発、やや不安定な投法ながら3―2で勝ち今シーズン巨人戦との勝ち越しを決めた。吉見はこれで、12勝7敗。落合監督はシーズンに先だち「ことしこそ、巨人には勝ち越す」とファンに約束していたが、とうとうボクたちが何より望んでいた夢のひとつをかなえてくれたのだ。これでチームは四連勝、二位に浮上した。
 試合の方は、五回に森野の適時二塁打と和田の通算1500安打となる32号2ランで3点を先行、六回途中からは吉見のあとを高橋、浅尾、岩瀬の黄金の投手リレーで逃げ切った。重ねて、よくやった。ドラゴンズが勝った日は、ナントナク一日中うれしいのである。首位・阪神が広島に5ー4で負けたので阪神とは、1・5ゲーム差となった。

 海の向こうの方は、米大リーグのレッドソックスの松坂がボルティモアでのオリオールズ戦に先発、5回3分の2を6安打6三振の4失点ながら、今季9勝目(4敗)をあげた。

 【笛猫茶番日常の劇】人生いろいろ、アタイたちもいろいろ。ことしは、オトンが言うように過去にはなかった“猛暑残暑”に責められ、ニンゲンもアタイたちも、みな暑さに責められて大変。アタイなんかは、毎日四、五回、いや六、七回は木曽川から運ばれてくる清流のお水を飲んでいます。それでも、町からはミンミンゼミのかしましい鳴き声が遠のき、どうかするとスズムシやコオロギの寂しげな声さえ聴こえてきます。

 そんな折、つい最近思いがけなく、かつての同人誌仲間から一通のはがきが届きました。
 はがきには「残暑お見舞い申し上げます」とあり、「その後お変わりございませんか まだまだ暑い日が続きますのでくれぐれもご自愛下さいますよう」とつづられ、さらに「奥方の『ひとりあやとり』をイメージしました」と、♪送電線綾取りのごと二重虹、♪句作りも尽きたる今日の暑さかな、の二句が添えられていました。なんだか情景が瞼に浮かぶようですね。作者、すなわち、はがきの主は、大垣在住の文人・椿井愛一郎さん。その人でした。すばらしい、よね。オトンに代わって本当にありがとう。
 それはそうと。こんなにも暑くって。ニンゲンもアタイたちも、この先、どんなところに連れられて行ってしまうのかしら。なんだか、怖い気がするのです。

 アッ、そうそう。昔、中日ドラゴンズ公式ファンクラブ事務局で働き、草創期の立ち上げに大変な努力と情熱を注がれた鬼頭真美子さんがNHKの番組「金とく 戦国クイズ・歴女グランプリ完結編▽今夜決定! ナンバーワン歴女▽魅惑の歴女が武将の秘話に迫る」に出演。オトンと一緒に見ましたよ。オトンいわく「美貌は、相変わらず衰えていないね。それに昔から歴史や文学に関心を持たれていたが、やはりそうだったのか」だってサ。それよりも何よりも、お元気そうで活躍されていたことが分かっただけでも、とても嬉しかったみたい。

☆大相撲のNHK生放送が十二日に初日を迎える秋場所(東京・両国国技館)から再開される。また優勝力士に対する天皇賜杯の授与も復活する。民主党代表選(十四日に投開票)に立候補した菅直人首相と小沢一郎前幹事長が二日、東京都内で開かれた日本記者クラブ主催の公開討論会に臨んだ。
 名古屋市中村区椿町のキャバクラに三日未明、男二人が押し入り、液体をまいて火をつけ逃げた。店内は一時パニックに。男女三人がやけどなどを負った。

帝京大病院(東京都板橋区)は三日、複数の抗生物質が効かない多剤耐性のアシネトバクター菌に患者四十六人が院内感染し二十七人が死亡、このうち九人は感染が死亡の原因になった可能性があると発表。

平成二十二年九月二日
 今夜のドラゴンズ。ナゴヤドームでの残り試合も少なくなってきたが、いよいよ本来の力を発揮し、先発ネルソンが広島を散発4安打に抑え来日三年目にして初めての完封で3勝目をもぎ取った。
 バックの好守もあり、自らも二回に中前打で先制点の口火を切り、三、四回にも加点、八回には2死から3点をあげ、6―0で突き放した。「これだけ必死に投げてる投手はいない」(落合監督)の思い入れに、今春沖縄キャンプ帰りに那覇空港で発覚した悪ぎのない銃弾持ち込み事件が頭をよぎる。辛かっただろう。でも、よくぞ、ここまで立ち直ったものだ。

 今シーズン、ニューウエーブの旗手となっている堂上直倫も今夜はナゴヤドームでは初、プロ二年目の猛打賞で若い力を発揮した。ドラゴンズはこれで広島に9連勝となった。そして、いよいよあす三日からは巨人との3連戦が始まる。口は悪いが愛情いっぱいのドラゴンズファンの願いが少しずつ現実のものとして近づいている。不思議だ。この心理は、どう表現したらよいのか。名古屋びとの特徴は、こうした際に決まって本心とは裏腹に本音とも取れる“照れ口(くち)”をたたくのである。「こんな状態じゃあ、まだまだ。ことしのリーグ優勝はダメに決まっとるがや」と。そう言って自らを戒める。

 事実、このところの阪神の勢いときたら、それこそ天にも昇る勢いで今夜も横浜に勝ち、5連勝である。「おみゃあさん。何言っとりゃあ~す。今シーズンはダメに決まっとる、がや。あのつっえぇー、ハンシン見取りぁーすか。リーグ優勝なんてできるはずなゃあがや。オチアイではアカンて。ヤクルトもつえーし。クライマックスだって、怪しいもんだて」
 名古屋の人々は、心とは裏腹にこう言いながら、ニンゲンまでも傷つけながら、弱くてしかたのなゃあ、ドラゴンズの優勝を願っているのである。勝てば勝ったデ「そりゃあ、落合がいて優勝せんだったら、なんのための落合だか、分からへんがや」とくる。つくづく思うに横着なのは、何の力もあれへん、ファンのほうだ。Aさんしかり、Bさんしかり、Cさんしかりである。でも、み~んな秋田の人らとおんなじように落合中日の優勝を待ち望んでいるのだ。

 それはそうと、あすからは宿敵巨人との3連戦が始まる。ぜったゃあ、勝ってもらわないかんて。負けてばっかりいちゃアカン。内弁慶と言われようが、ここは、たたきのめすつもりでいかんと、とてもリーグ優勝なんかは、無理だでな。戦争とおんなじだがや。ファンクラブ事務局でも、皆さんに叱られながらも、み~んな本当に一生懸命、ようやっとりゃーすがや。

 【笛猫茶番日常の劇】なんだか知らないけれど、きのうテレビのニュースでやってたけれど、ことしは明治三十一年の観測開始以降、もっとも温度の高い、それこそ「百十三年で一番暑い夏」だったのだって。でも、アタイもシロもなんとか、こうして元気で生きている。
 オトンもMも相変わらず、なんやかんやと毎日忙しそうで、おニイも朝早くから仕事に出かけていってしまう。結局のところ、この家はアタイとシロで守っているんだよね。忙しい合間にもオトンもMも相変わらず、俳句の作句をしたり、何やら訳も分からん小説を書いたり、読んだりで、なかなか、かまってはくれない。家族の中でも、それぞれが、それぞれの道を互いに理解しあいながら歩いてゆく。平々凡々なる毎日。アタイは、それでも思い出したように朝早くから時の声を張り上げるが、寂しいというよりも自らの気持ちを鼓舞しているつもりなんだ。

 それはそうと、今夜も寝る前にオトンにほめられた。
 「オイっ、こすも・ここ! 中日が勝ったよ。おまえが、このところ毎日テレビの前で寝そべって目を開いて見てくれていたからこそ、だよ。ありがとう」だってサ。チュウニチが勝てば、アタイたちだって、とってもうれしいのだから。

☆「作家小川洋子さんが日記体で新刊長編小説『原稿零枚日記』。簡潔な文、浮かび上がるニンゲン」(中日本紙夕刊文化欄) 日記にすることで文章を簡潔にしたかった。雨が降ったら「雨」と書けばいい。…ぶっきらぼうなほど文章を簡潔にそぎ落としていったとき人間が浮かび上がる。…「アンネの日記」を自らの「ものを書く原点」と位置付ける小川さんにとって、日記文学はなじみが深い。……
 ―実はボクも、このところアンネの日記を改めて読み返している。そこには、アンネの目の中に人間たちの見苦しさや可愛らしさ、優しさなどすべてが同居しているからである。

富山、いや日本を代表する「越中おわら 風の盆」が一日、富山市八尾町で始まった。胡弓や三味線の音に合わせ、編み笠に法被、浴衣の踊り手たちが三日三晩踊り明かす。

平成二十二年九月一日
 きょうの試合は未熟なボクにも大変、見応えがあった。延長10回のサヨナラ勝ち。ドラゴンズはナゴヤドームで、3―1で広島に勝った。延長十回、1死二塁で途中出場の岩崎達がプロ初本塁打でケリをつけた。投手も先発山井が8イニング1失点と好投、二番手の浅尾も要所を突く投法で九勝目をあげた。

 わが家では、最近、テレビの前に愛猫こすも・ここが座り耳をピンと立てていると、不思議にドラゴンズが勝つ。そればかりか、きょうはけさの監督のオレ流語録(中日スポーツ)が「緊迫感がない。あと20何試合、優勝争ってるチームの試合じゃねえよ。こんな試合」がよかった。自身を強くたしなめ、選手に対してはむろん、己れに言っているようにもきこえた。この調子で、これからは馬鹿にされようが、だ。心のありったけ、を正直にぶっつけてほしい。選手は、落合監督の一挙手一投足、いやファンのすべてが、固唾をのんで、その采配に踊らされても居るのだ。

 監督の言う緊迫感は重要である。そうそう緊迫感ばかりでもおられないが、やはり気を落ち着けて今は何をやるべきか、を考えて欲しい。が、その境地に至るまでは、まだまだ全てが若いか。
 
 【笛猫茶番日常の劇】きょうは、悲しくてしかたないニュースが飛び込んできました。それは、ネ。昭和の大横綱だった初代若乃花さん(花田勝治さん、元日本相撲協会理事長、優勝十回、二子山部屋創設者)が亡くなってしまったことです。八十二歳でした。
 土俵の鬼とも言われ、あの上手からの投げ、そして大技の“呼びもどし”と、まさに力の名横綱でした。相撲のことは、オトンによく聞かされているので知っています。貴乃花親方(元横綱貴乃花)のおじにも当たり、九十二年に初優勝したおい(当時は貴花田)に、天皇賜杯を渡す姿が日本中の感動を呼んだ話はよく知られています。

 オトンは、その時代のもう一方の覇者で、土俵の神さまと言われた名人横綱栃錦(故人)の方の大ファンでした。力、剛の若乃花よりも技、柔の栃錦の方が好きで、少年時代にはいつも下唇を出す真似をして町なかをあるいていたそうです。これは本当なのだから。
 ある時なぞ、♪すもうのかみさま とちにしき つよくてやさしい われらのひと、どひょうにあがれ……、とハーモニカで作詞作曲した自作の歌「相撲の神さま」を東京・両国の春日野部屋まで郵送した、それほどの少年ファンだったんだよ。あの二枚蹴り、上手出し投げ、とったり、大内山の突っ張りに代表される“かいくぐり”、一直線の押し出し、寄り切りと名技の数々が大好きで、ラジオの前にかじりついて聴いていたのだってサ。

 当然のように、栃若時代の、もう一方の覇者である若乃花の死には、いま大相撲が苦難の時代と対峙しているだけに、もっともっと生きていてほしかった。これはかつての大相撲を知る人なら、誰もが思ったにちがいない。アタイは、オトンのしょげかえった姿を見るにつけ、つくづくそう思いました。で、ね。Mにも若乃花のこと聞いてみたの。
 そしたら、オカン曰く「アタシたちは、巨人・大鵬・卵焼きの時代なの」だってサ。新聞では安易に「巨星、墜つ」なんて表現を使うけれど、オトンによれば、一時代を画した若乃花さんや栃錦さんこそ、巨星に値する歴史上の人物で、そういう方なのだ、だってサ。

☆オバマ米大統領がホワイトハウスの執務室からの国民向けテレビ演説でイラク戦闘の終了を宣言。「イラクでの米軍の戦闘任務が終わった。『イラクの自由』作戦は終了した」と正式に宣言した。
 2000年9月の東海豪雨新川決壊で住民側が求めた国家賠償請求訴訟で名古屋高裁は、国、県側の責任を認めず控訴を棄却した。民主代表選に菅直人首相と小沢一郎前幹事長が立候補。金沢地裁がATM窃盗容疑事件で「カメラ映像は別人だ」と無罪を言い渡す。