生きてゆく人間花たち/十二月の唄

平成二十四年十二月三十一日
 わが家に飾られた短冊形の2012年カレンダー 稽古始めの日に横笛の家入師匠からいただいた
 
 
 きのうと比べたら、きょうは空も、雲も、空気も、〈かぜ〉までが透き通っている。少し寒くはあるが、清らかな日和である。あっという間の大晦日。なんだか、一年がたったの一日でグイと引き寄せられてしまったような、そんな気がする。

 青い空に浮かんだ黒い雲。その間からは、清らかな陽射しが。
  

 妻はあす、みんなが来るので買い出しやらなんやら、で忙しそうだった(きのう買い出しに付き合ったが足りないらしい)。午後になると「チョット」と言うので何かと思ったら「ダイコンとレタスとキュウリ、それに布団を買ってきて」ときた。
 どうせ、そんなことだと覚悟はしていたものの、バローのあと、暮らしの衣料・マツオカとかいう店で「布団を」と言うと「何布団ですか。奥さまに確かめられたら」と言われ携帯を持たないでいたこともあり、答えに窮した。それでも「たぶん布団のはず」と座布団を持って帰宅し「これでいい」と言われた時には大役を果たしてホッとした。

 ともあれ、外野で見る限り、体を休めながらの重労働で大変そうではあるが得意の料理は、彼女ならではの腕の見せどころだ。体力も少しずつ回復してきており、そのことで幸せなら、それだけで私は嬉しい。

 きょうは私にとって大切な友の一人、作家の太田治子さんから思いがけず、愛媛県は宇和島産の〝かまぼこ・じゃこてん〟が届き、感激。一気にお正月が来た気分になった。太田さんには、いつも心遣いをしてもらってばかりで申し訳ない気持ちでいっぱいだ。そのうえ何かと助言を頂き、私たちを精神的に支えてくださっているだけに嬉しく、かつ、ありがたい。
        ×        ×   
 さて、ことしのわが家のニュースを思い出すままに以下、列挙しておこう。一つひとつのニュースに軽重はなく、思いだした順番に書きとどめていく。
▽舞が順調に回復。一月早々に名駅前のアソシアホテルで長男夫妻に還暦祝いをしてもらう。秋になり、彼女の夢だったリサイクルショップ「ミヌエット」での〝ちいさな音楽会〟を実現させた▽〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉を笛書房から出版▽春先に高齢の母が車にはねられたが全治し奇跡の回復を遂げた
▽私が地球一周102日間の船旅(5月8日~8月17日)を決行。ユーチューブで「伊神権太が行く世界紀行 平和へのメッセージ/私は今その町で」を洋上から世界に発信。帰国後は徳川園の宝善亭で中京テレビ事業社長小野憲生さま、ヤマハの濱田八郎さま主唱の帰朝報告会を兼ねた祝賀会までしていただいた。これには感謝している
 また、ユーチューブによる平和へのメッセージ発信の話題は、CBCが論説委員のコーナーで取り上げてくれた。▽このほか、船上から連日、地球一周船旅ストーリー〈海に抱かれて みんなラヴ〉を私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」紙上で連載、国内外で話題を呼んだ。船上では生まれて初めての社交ダンスに挑み、下船後も週一回のレッスンを続けている
▽その「熱砂」が私の航海中に新生「熱砂」に生まれ変わり、スマートフォンからも同人の作品を読めるようになった▽大津の「湖都の文学」編集委員で同人誌「くうかん」代表の眞鍋京子さんが「熱砂」同人に加わった▽こどもたちは全員、ことしもそれなりに、わが道を前進している▽舞の作句がことしも各地の俳句大会で入選。中日俳壇にも掲載された▽ことしはじめ、東日本大震災の傷跡がいえぬ山元町へ。ここの災害臨時エフエム「りんごラジオ」のスタジオと被災地を訪ねた
▽地球一周の船旅を前に、舞とパシフィック・ヴィーナスに乗船。一週間ほど小笠原への船旅を楽しんだ。一線記者の現役時代、ペンとカメラは片時も離さなかったが、ビデオを手にしたのはこの時が生まれて初めて。ユーチューブによる発信も、船内でテストで手がけたが、この事前の船旅の体験が地球一周の船旅で大いに役立った▽横笛とハモニカ演奏を地球一周のピースボート、オーシャンドリーム号船上で何回も行った
 
 新しい年を前にわが家の玄関先に供えられた鏡餅
 

 まだまだ書き切れないことばかりだ。ことし私にとっての一番の大ニュースは、この広い宇宙の片隅で、地球一周の船旅を実現させたことにより、多くの船友を得た。皆さん、いい人ばかりだった。その一語に尽きる。船友たちの誰もが来る年も幸せに過ごせることを心から願って、ことしのペンを置く。みなさん、ありがとう。そして。いつまでも元気で! 

 今宵のNHK紅白歌合戦。後半から舞と一緒に見たが、一番心に残ったのは、アフリカ・ナミビア共和国のナミブ砂漠でMISIAが生中継で歌った「You,re everything」と「明日へ」、そして石川さゆりの「天城越え」だった。私の心の感情といっていいのかもしれない。MISIAは、今春の新しい小説「マンサニージョの恋(仮題)」発行(幻冬舎)を前にした私の今の率直な心情、そして「天城越え」は、新聞記者の第一線を離れたあの日、私を送り出してくれたある女性のことを思い出したからかもしれない(少し酔っている)。
 みなさん、よいお年を。

【新聞テレビから】
☆『第63回紅白歌合戦』(31日夜、NHK総合)、『大晦日恒例…第45回年忘れ!! にっぽんの歌〝4時間30分生放送〟』(31日夜、テレビ愛知)
☆『願いずっしり モチ上げて 熱田神宮』、『第五福竜丸元船員 教員の遺志 反核つなぐ文庫 蒲郡・三谷水産高で四半世紀 機関士の卵ら手に』、『復興増税新年から 25年間、所得税2・1%上乗せ』、『66歳「はな子」末永く 東京戦後来日1号 国内飼育ゾウ 最高齢更新へ(東京武蔵野市の「井の頭自然文化園」)』、『レコ大(第54回日本レコード大賞)AKB2連覇』、『〈通風筒〉岩手県陸前高田市のそば店「やぶ屋」が年越しそばを出すのは二年ぶり…』(31日付、中日朝刊)
☆『拉致「解決済み」撤回示唆 北朝鮮 11月局長級協議で』、『首相、原発新設前向き「国民的理解を得て」』、『新年準備大にぎわい 名古屋・柳橋中央市場』、『笹子トンネル 5台事故 前日に仮復旧、一時閉鎖 一人軽傷』(31日付、毎日朝刊)

十二月三十日
 写真は私の父と義父が眠る墓。冷たい雨のなか、墓前に花を手向けた
 
 
 

 ことしも、二日を残すだけ。冷たく寒い雨が降るなか、ふたりの父が眠る墓を順番に訪れ、花を供えお参りをした。

 その足で母がいる実家へ出向く。母は静かに編み物をしていた。こんどは誰のマフラーを編んでいるのか。嫁か、孫(孫とはいえ、わが家の息子以外は皆三十代だ)か。どちらかに決まっている。妻の舞もこれまで何度かホッカホカの編みたてのマフラーをもらった。前にもらった時は確か大手術後に病院を退院したときだった。確か「これからは、もっと暖かくしてなきゃあ。アカンよ」と言われ、とても嬉しそうだった。
 だから、そんな母を嫁たち、いや婿さん(妹の夫)も大好きだ。

 というわけで夢中になって編み物をしていた母に「おふくろ、来たよ」と声をかけると最初に出た言葉が「たかのぶ、板東さんって。えらいことしたな。〝所得隠し〟なんてしとっていかんな。おまえたちも泥棒とか悪いことだけは絶対やっちゃあいかん。私のお母さんが、よう言ってらした。極端だけれども、乞食はやってもいい。だけれど盗みとか、ヒトサマを危めることはやっちゃいけないって。いっぺんに信用を落としてまう。私は、ホントは乞食だってしてもらいたくない」の弁。

 今は亡き父が退職前は名古屋国税局監察官室長をするなど、いわば嫌われ役の【マルサの男】が長かっただけに、その妻だった母は新聞を見ていても「板東さん事務所申告漏れ 名古屋国税指摘 7年間で7500万円 5000万円所得隠し」(27日付、中日夕刊)の記事がよほど気になっていたと見え、いきなりの言葉に「分かっているから」と私たち(第一、そんなに隠すほどのお金がない。貧しいのだから)。
 母は話を切り替え「きのう、よしひろ(私の兄)たちが来てくれ、私が出てる間にお正月の飾りなんかをしていってくれた。ここだけは、もうお正月よ」と続けた。とても満92歳とは思えない。

 それから何を思ってか。母曰く「昔は、みんな、あちこちから沢山集まってきて大騒動だった。わざわざ新品の布団を買って能登からおまえたちが帰って来るのを待っていた。家じゅうが、人だらけで大変だった」と。そして、しみじみと「お母ちゃん。本当言えば、普通がいい。〝普通の日〟ほどいいものはない」とも続け、私たちは頷かざるをえなかった。

 新聞記事といえば、実家に行く途中の車のなかで「あのねえ。マツイがねえ……」とだけ、いつもの彼女。「あのねえ、だけじゃ分からん。何が言いたいのだ」と私。また「あのねえ、松井がねえ」と話しかけてくる。いつも片言しか言わないので解読するのに困る。
 デ、言わんとすることを問うと「松井引退に伴うイチローの談話が毎日新聞に載ってたよ」という。えっ。少なくとも28日付夕刊には掲載されてはいなかったはずだが。見落としたのか? いや、そんなはずはない。
 というわけで、帰宅してもう一度新聞をしらみつぶしに見ると「あった」。きのう29日付毎日新聞朝刊スポーツ面に〝イチロー「寂しい」〟の見出し入りで掲載されていた。「ヤンキース・イチロー外野手(の話) 何時間も話し込んだことがあったが、僕とはまったく違う思考でとても興味深かった。ヤンキースでプレーしてあらためて、松井選手が残してきた実績がいかに重く、難しいことであったかを知った。中学生のころから存在を知る唯一のプロ野球選手がユニホームを脱ぐことが、ただただ寂しい」という内容。きのうは新聞を読んでいる時間があまりなくて、私が見落としていたのだ。
 私は28日付本欄〈生きてゆく人間花たち〉で松井選手が引退するのに、イチローの談話がないのはどうしたことだーと疑問を呈していた。さすがイチローの談話を取らないなぞ、ありえないことだと確認でき、へんなところでホッとしたのである。これも元新聞記者崩れの考え過ぎということか。醜い限りのオレ。あ~ぁ。

【新聞テレビから】
☆『世界びっくり旅行社▽魅惑の世界遺産イスタンブールへ黒谷友香、ほか』(30日夜、NHK総合)、『名曲ベストヒット歌謡〝昭和30年代40年代〟』(30日夜、三重テレビ)
☆『再会つなぐ 光の道 帰省ラッシュがピーク』、『笹子トンネル 27日ぶり開通 対面通行』、『名駅前に地下回廊 高層ビル間 1キロ周遊 「迷路」返上、16年完成へ(名駅「地下回廊計画のイメージ図入り)』、『ゲオ(CD・DVDレンタル大手のゲオホールディングス)2億3000万円所得隠し 2年間で「元会長ら支出」 名古屋国税指摘』(30日付、中日朝刊)
☆『ノロ感染か4人死亡 横浜の病院 症状95人 わずか5日急拡大』、『1人で迎える命日 世田谷一家(4人)殺害事件 きょう12年=7面に特集「忘れない『未解決』を歩く」』(30日付、毎日朝刊)

十二月二十九日
 「イコールあなた」「あいつ」(「詩集すてき 牧すすむ」より)と、詩集すてき 
 
 
  
 

 一年が終わりに近づき、きょうも目まぐるしい一日となった。

 まず朝からずっと賀状書きに追われた。相変わらず、書いても書いても終わらない(おそらく、それでも重要なひとを、まだまだ多く忘れている気がしてならない。住所が分からない方は仕方ないか。しっかりした名簿を作っておかなければ)。

 デ、きょうは珍しく、パソコンを丸1日、開かずじまいだ。
 いや、開いている時間がなかった。ここにきて「あの人には年内に出しておかなければ。忘れるわけにいかない」との思いが膨らみ、以前届いた年賀状を二、三年前にまで溯って調べ直すなど結構、時間がかかった。
 五月八日~八月十七日までの地球一周の船旅に当たって〈伊神権太が行く世界紀行/私は今その町で〉のユーチューブ発信や船旅の途次、あれやこれやとお世話になった人々にも出来れば一人でも多く、お礼を兼ねて出しておかなければ、と書き進めるうち時は脱兎の如く過ぎ去っていった。

 そして夜はー。
 名鉄の電車とバス、タクシーを乗り継いで、久しぶりにかつての任地で息子たちの〝第二のふるさと〟ともいえる小牧へ(それぞれがあちこちで生まれた。第一、第二の〝ふるさと〟となると、志摩、岐阜、能登…と各地にまたがる)。
 この町の名古屋コーチン料理で知られる店「かな和」で私にとっての生涯の兄貴分・牧すすむさん=ウエブ文学同人誌「熱砂」同人で詩人、琴伝流大正琴大師範・弦洲会会主の倉知弦洲さん=と長男崇さんを囲み、中日新聞の現小牧通信局長、私と同じくかつての〝小牧出身記者〟で現在は豊橋総局次長の記者仲間も集っての楽しくなごやかな忘年会とあいなった。

 日光東照宮での演奏を前に練習に励むメンバーと、東照宮から届いた感謝状を報じる中日新聞地方版(近郊版)
 
 

 席上、牧さんからは今月二日に世界遺産である日光東照宮(栃木県日光市)で開いた特別奉納演奏会に対して東照宮から感謝状と記念の看板が届いたこと。そして、2015年の「徳川家康公四百年祭」への正式招待があり、境内で再び演奏することが決まった、との報告もあった。帰りは、名酒をいただいたあげくに奥さんの〝かよちゃん〟にわざわざ江南の自宅まで送ってもらい感謝のしようもない。

 帰宅後、牧すすむの「詩集すてき」(人間社発行)をあらためて繰り返し読ませていただいた。やはり分かりやすく、メロディーを奏でるトーンがいい。どれも名作ぞろいだな、と実感。やはり彼は「熱砂」いや、この地方に誇る詩人であることを確信した。 嬉しい時も悲しい時も、愛するひとと笑ってみんなで乗り越えていくーそんな詩である。

 「熱砂」は世界はひとつを心に刻み、この世に生きる人びと全ての琴線に触れる魂、そして優しさに満ち溢れた文学確立を目指す、そんな仲間たちの集まりである。

【新聞テレビから】
☆『古里へ心はやる JR名古屋駅帰省ラッシュ』、『大納会で今年最高値』『1万395円 東証終値、13年ぶり』、『子宮頸がんなど3ワクチン 無料接種恒久化へ』、『笑う門には商機あり 笑顔で開く冷蔵庫 漫才講習で営業力 ビジネス界が注目』(29日付、中日朝刊)
☆『未来の党分裂 「裏切り」「やっぱり」 卒原発 投票者の思いどこへ』『「円満離婚」を演出 河村氏「いかんかった」』、『拉致の可能性868人 捜査・調査対象 警察庁が情報開示』『拉致被害者家族 安倍首相と面会』、『原子力委、官邸欺く報告 秘密会議「議論していない」』(29日付、毎日朝刊)
☆『60歳ー新しいこと挑戦しましょうよ 歌手・ミュージカル女優 今陽子さん』、『〈挑む〉WBC日本代表候補に選出 中日 大島洋平外野手(27) 出塁に集中 1番がいい』(30日・1月6日合併号、しんぶん赤旗日曜版)

十二月二十八日
 プロ野球の巨人や米大リーグのヤンキーズなどで強打者として活躍し、「ゴジラ」の愛称で親しまれた松井秀喜外野手(38歳)=98年と2000、02年に本塁打王と打点王、01年に首位打者を獲得。セ・リーグ最優秀選手(MVP)に3度選ばれた。09年ワールドシリーズでは3本塁打を放ち日本人初のMVPにも。日米通算2643安打、507本塁打=が二十七日夕(日本時間二十八日朝)、ニューヨーク市内のホテルで記者会見し、現役引退を表明した。

 松井と言えば、同じヤンキーズのイチロー選手と並び、日本出身のプロ野球選手で私がもっとも敬愛する選手の一人である。
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 寂しさをぐっとこらえて。米ニューヨークで現役引退を表明する松井秀喜外野手(NHKテレビから)
 

 両選手を好きな理由としては、ふたりとも私の長男と同じ年だから、ナントナク思い入れがあるのかもしれない。特に私が〝空飛ぶ記者〟として長崎大水害やオホーツクの海への大韓機撃墜など全国各地の被災地や誘拐殺人、世界一周ヨットの帰航などの現場に特派されていたころ、長男が妻に手を引かれて小牧市内の少年野球チームに所属。練習に励んでいた当時が思い出される。
 ちょうどそのころ、隣町の豊山町では現イチロー選手もおそらく野球少年としてのスタートを切っていたはずだ。あのころ、日航名古屋空港支店がジャンボ機の古タイヤを航空機騒音に伴う周辺対策の一環として豊山小学校に「遊具用に」と贈ったことがあって取材したことがある。
 「わぁ~、スゴイや」と大喜びだった少年たち。その中におそらくイチロー少年もいたか、と思うと感慨無量だ。

 松井の場合は、金沢の星稜高校から甲子園に出たころ、わが息子も同年代で七尾高校ボート部員として石川国体に出場、津幡の漕艇競技場で試合に臨んだが一心同体となってボートを漕ぐ七高ボート部の姿は本当に素晴らしく、まさに〈すばらしき君の記録にわが拍手〉そのものだった。そうした〝運命の糸〟とでもいったようなものが重なり合っていただけに、他の選手では考えられない親近感を覚えている。

 ともあれ、松井はこの日の記者会見で「結果が出なくなった。命がけのプレーが出来ないので、(プロ野球生活を)終えることにした。思い出といえば、巨人長嶋監督と2人で素振りをしたことです」と語った。またニュース報道によれば、原巨人軍監督は「ひとつの松井時代が終わったな、という気がします。すばらしい野球人生だった。ご苦労さん」と、その労をねぎらい、星稜高校監督の山下智成さんも「隠れて努力する姿が目立った」。また父昌雄さんは「長い間ご苦労だった。よくやったな、のひと言です」とも述べた。

 松井の引退報道は各紙とも夕刊の1面と軟派を使っての大きな扱いとなった。
 ただ、ひとつ不満なのは、松井とは同世代で、これまた日米球界を代表するイチロー選手がどんな思いでいるのか。そこを聞きたかった。少なくとも中日、毎日、NHKと私が見た限りでは、イチローの談話はなかった。一人の読者としては、そこを一番読みたかったのである。「イチローがどう言うのか。それを聞きたかったのに」とは、妻も同じである。
 それから、私の著作「火焔 ―空と海」でも触れているが、松井本人の努力はもとより、最初から強運の持ち主だった点も紹介してほしかった。以下に「火焔」からホンの1節を紹介させていただくと。
――テレビ新聞で連日、報道されてきた星稜高の松井選手。ドラフト会議で巨人軍の新監督長嶋さんが指名権を引き当て、強運ぶりを示した。このところ、マスコミ各社は「貴さま・りえちゃん」と大騒ぎ。松井選手に対する報道も大フィーバーだ。(250頁、平成4年11月24日・松井フィーバーより)

 きょうは松井引退のニュースに始まり、相も変わらぬ賀状書き(重要な人たちが抜け落ちたりしているのでいまだに合間を見て延々と続いている)、東京の出版社担当編集者とのやり取り、先にビデオ収録したミヌエット「ミニ音楽会」のDVDへの収録、ほかにドラゴンズ公式ファンクラブのお母さんである安江都々子さん、元中日新聞・中日こども会の売れっこ主事〝三宅おじさん(三宅邦夫さん)〟からも、それぞれ年の瀬の丁重な挨拶を兼ねた電話を頂くなど、ドタバタと一日が過ぎていった。ありがたいことだ、と思っている。

【新聞テレビから】
☆『〈安倍政権の行く先1〉「民主色」リセット 始動一夜で保守回帰』、『松井が現役引退 大リーグ10年、戦力外で』、『大津のいじめ 2人書類送検 暴行容疑など13件』、『飯田のハチ公 新しい家へ 長野県の家族引き取り 対面直後 すり寄り甘え』
☆『「最高に幸せな日々」 松井引退を表明 日米20年507本塁打 努力、献身、米に愛され』『〈松井 現役引退〉ゴジラの挑戦潔く幕 涙浮かべ「結果出せず」』『「真のプロだった」NYも惜しむ』『最高のホームラン打者 長嶋茂雄・元巨人監督の話』、『115歳253日 京都の木村さん、史上最長寿男性』(28日付、中日夕刊)

十二月二十七日
 私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の同人たちが、このところ相次いで意欲作を出稿している。良い傾向だ。

 具体的には奈良の詩人加藤行の積極提稿はじめ、この十二月以降だけでも、加藤の詩六編(「山蟻」「一生懸命」「叶わぬ夢」「一生いっしょ」「青春の君に」「笑顔の秘密」)、そして新鋭・黒宮涼が新境地を開いたともいえる文学ワールド・ファンタジー小説「窓の向こう 花壇の明日」を、本日アップしたばかりの若手女流作家、山の杜伊吹の掌編小説「雪葬」…と好編が相次いでいる。
 さらに溯れば、エンタテイナー作家でギタリストでもある真伏義人の意欲作「黒いへび」、琵琶湖畔の文学を引っ張る同人誌「くうかん」代表でもある眞鍋京子の「幻の初恋の人を慕いて」と彼女推薦による「くうかん」同人・竹花外記の「音もなく忍び寄る」、琴伝流大正琴上席大師範で弦洲会の会主として日本武道館はじめ、カーネギーホール、万里の長城、清水寺、エルミタージュ、日光東照宮など各国を代表するステージで門下生とともに活躍する〝新未来派〟の浪漫詩人・牧すすむの「表彰状」など。枚挙に暇がない。

 引き続き、新しい年は牧さん提唱の〈巡り会い〉からヒントを得た【巡り】をテーマとした同人全員集合のテーマエッセイ集を企画しているが、このところ多忙もあって未提稿の俊才・香村夢二も含め、この先同人各位からどんな名作が寄せられるか。大いに期待している。

 既に片山善人からは〈猫巡り〉なる奇怪なエッセイが私の下に寄せられている。
 この〈猫巡り〉、猫は見たさや猫憎しと言えるかどうか。猫大好き人間の主人公が田舎の町中を、猫を求めてポーカーフェイスを気取りながら自転車で探して回る、彼ならではの誠に風変わり極まるエッセーである。
 のらちゃん、飼い猫、半のら…。猫たちと人間サマの微妙な心の探り合い、心理作戦がとてつもなくいい。わが道をどこまでもいく者同士の猫と人間。そこには最後のクライマックスに、不敵な面構えの黒猫の前に一敗地にまみれ気後れするニンゲンサマの哀れな姿が垣間見えてくるのである。

 こすも・ここの最新映像。きょうも深夜から未明にかけて私を見守ってくれた。来年で満19歳。いつも伊神権太の傍らに座っている。先日はヤマノモリさんに「かわいいね」とほめられました
 

 ポーズをとるのが得意です。でも、少しだけ年をとりました
   

 それにしても、今宵の私はどうしたことか。書きながら、このところの寝不足がたたって(半ば自業自得といえよう)とても起きていることは叶わず、全身が眠たくて仕方ない。全身が、睡魔に襲われている。いや全身が眠っている。これだけ全てが眠ってしまっていたのでは、推敲どころか書くことなんて、とても出来ない。何も「そういう時は寝た方がいいに決まっている」との妻の助言=とはいえ妻は既に眠っているはずだが=に、このまま寝ることにしよう。
 きょうはメールで私の大好きな船友仲間の一人から今後、私が生きる道に関して心からのアドバイスを受け、本当に嬉しかった。隣では、こちらはわが戦友ともいえる愛猫の一人、こすも・ここちゃんが〝愛〟も変わらずマイペースで私のやること為すことを見つめている。
 そろそろ寝ようか。
 …私はいつだって寝ているのだから。それより、おとうたん。早く寝なさいよ。
 こすも・ここちゃん。今度は目をぱっちりと開け無言で語りかけてきた。そろそろ本当に寝ようか(日をまたいで28日の午前4時過ぎ)

【新聞テレビから】
☆『安倍首相を選出』『戦後2人目再登板 第2次内閣が発足 経済再生を重視』『原発相に石原氏 脱原発遠のく』、『未来の党 分裂へ』『嘉田氏表明 小沢氏と決別』(27日付、中日朝刊)
☆『板東さん事務所申告漏れ』『名古屋国税指摘 7年間で7500万円 5000万円所得隠し』『滋賀県立大 申告漏れ 税務署指摘 入試業務謝金5700万円』、『経産省 原発ゼロ「再検討必要」 新増設容認を示唆』、『トヨタ940億円で和解 米のリコール集団訴訟』、『「大好きです これからも」勘三郎さんに最後の別れ』(27日付、中日夕刊)
☆『ボート転覆 18人救助』『高校生 川で練習中に強風 千葉』、『「商売人支えられない」 河村氏「未来」との距離示唆』(27日付、毎日朝刊)
☆『タツからヘビへ 干支引き継ぎ式 大阪・通天閣=大阪浪速区の通天閣で27日、師走恒例の「干支の引き継ぎ式があり、今年の「辰」と来年の「巳」にちなみ、タツノオトシゴとニシキヘビが対面した。』、『タイガーマスク運動のきっかけ 私が伊達直人です 「自分のような経験させたくない」 群馬の児童養護施設 施設長と親交30代男性=2010年12月25日朝、群馬県中央児童相談所の玄関前に新品のランドセル10個が置いてあるのを職員が見つけた。漫画「タイガーマスク』の主人公、伊達直人の名前で「子供たちのために使ってください」とのメッセージが添えられていた。これがきっかけで、匿名による善意の品々を施設や学校に届ける輪が全国に広がった』(27日付、毎日夕刊)

十二月二十六日
 名古屋市千種区は池下の居酒屋「當り屋本店」で名古屋市立大学の山田明教授と久しぶりに一献とあいなった。この夜は、本当に厳しい冷え込みで、地下鉄池下駅で待ち合わせ赤提灯の〝當り屋〟に行くわずかな道をブルブル震えながら歩いた。

 御一緒して盃を重ねながら話しあったのが、ことし六月三十日午前三時二十分に胃がんで黄泉の国に旅立った【ミキちゃん】、すなわち加藤幹敏さん=平成二十一年六月に中日新聞取締役編集担当・スポーツ紙担当。昨年六月、取締役に再任され論説担当(東京駐在)、ことし六月にスポーツ紙担当=のことである。

 そして山田さんから自ら執筆の月間マスコミ評【「お任せ民主主義」に対する問題提起(10月25日付)読者を「お客さま〉扱いするマスコミ(12月25日付)、いずれも「ジャーナリスト」紙面】のコピーと一緒に「読んでください」と渡されたのが、ことし七月二十日に中日パレスであった、お別れ会で参加者に配られた小冊子【加藤幹敏さん お別れの会(中日新聞社有志一同)】だった。

 元気なころの加藤幹敏さん(小冊子から)。残したものは限りなく偉大だ
 

 この小冊子は全部で16ページあり、冒頭に講演会か何かでミキちゃんが話している写真を掲載。▽新聞人 故加藤幹敏さんの歩み▽幹さん語録、から成り最後に紀枝夫人の言葉が添えられていた。このうち、歩みは昭和24年7月7日の誕生日に始まり、京大野球部時代の話から中国シシャパンマ峰(8012メートル)登山隊同行取材と『鳥葬の里』連載と出版、中日(東京)新聞本紙で連載された「テロと家族」が新聞協会賞の栄誉に輝いた米中枢同時多発テロの際のテキパキした指揮の模様などが克明かつ簡潔に紹介されていた。
 また幹さん語録は「ばかもん!」「もぉーし」「僕はそんな器用な生き方、できないんすよ」「やかましい」「新聞には、まだできることがある」など、生前に彼がよく口にした言葉を解説付きで並べ、最終ページに紀枝さんの言葉「主人は記者が好きでした。中日新聞社と云う職場が大好きでした。……思い出話は尽きません。ともすれば忘れてしまいそうな思い出をこの様に丁寧に綴って頂き、携わって頂いた方に感謝します」が掲載されていた。

 私にとっての加藤幹敏さんは、どこまでも社会部時代、昭和50年代にナゴヤキャッスルホテルを舞台に起きた愛知医大をめぐる三億円強奪事件で犯人を追い求め、夜となく、昼となく、そして朝となく歩き回った、あの過酷極まる日々である。夜討ち朝駆け取材の合間には、居酒屋で事件の筋道を話しあいながら、よく時間つぶしをしたものだ。あのときは、Kが名駅周辺のうどん屋で働いていたらしい、とのデカ情報に駅周辺のうどん屋という、うどん屋を手当たり次第にあたり、本人の居場所を突き止め、社まで連れ出し、カメラさんに隠し撮りをしてもらったことまである。
 当時、彼は豊橋支局から社会部に上がってきたばかりの新鋭だった。私も岐阜県庁汚職事件、長良川決壊豪雨、淡墨桜再生取材に駆け回った岐阜総局(兼北方通信部、岐阜総局は現在岐阜支社)から社会部に上がってまもないころだった。血を吐くように、二人で足を棒にして歩き回ったあの日々を忘れるわけにはいかない。帰宅はたいてい午前二時か三時だった。

 〝ミキちゃん〟は、事件が起きたら、その背景に始まり人間関係、歴史的経緯、関係者の動きの洗い出しと時系列化、周囲や家庭の状況、他社の動きなどを一つひとつ丁寧かつ地道につぶし、積み上げていくタイプの記者だった。そして、そうした努力をそぶりも見せない男だった。「忙しい」などといった、安易な言葉もはかなかった。あの徹底した取材ぶりを知るひとりの元記者として、ミキちゃんの心身にかかる荷重は大変なものだったと想像する。
 
 いまごろ、彼は大好きだった中原中也の世界で【ゆあ~ん、ゆよ~ん、ゆあ、ゆよ~ん】と青い空の下、ブランコに乗って人間時代の疲れを癒しているのかもしれない。ミキちゃん、本当におつかれさま。    合掌
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 実は、私こと伊神権太が加藤幹敏さんの死を知ったのは、ピースボート(オーシャンドリーム号)による地球一周船旅の途次、北欧はグリーンランド沖、流氷の海を航行中のことだった。その時の模様を私はこう、綴っている。
ーきのうの午後、新生「熱砂」関連で衛星回線からの洋上メールをする一方で、着信メールをチェックしていたら、たまたま加藤幹敏さんが亡くなったとの訃報連絡が息子から届いていた。
 なんとも悲しい。かつて主犯とみられるKを求めて、共に歩き回った名古屋の愛知医大を巡る3億円強奪事件などが思い起こされ、せきを切って涙があふれ出た。私の本「町の扉ー一匹(いっぴき)記者現場を生きる」の出版に当たっても、いつも気遣いをしてくれたかつての同僚である。彼が編集局長になった時は、ささやかながら名古屋市内で酒も酌み交わした。その彼がこの世に生きてはいないだなんて。
 胃ガンとは聞いていた。でも、ミキちゃんのことだ。強靭な精神力で病を克服してまた元気になってくれるもの、と信じていたのに。なんと、儚き命だったのか。7日の七夕誕生日を前に62歳で逝ってしまうなどとは。かわいそすぎる。現場取材に撤したペンは彼ならでは、のものだった。もはや言葉はない。 合掌。お安らかに。(平成二十四年七月五日付伊神権太の地球一周船旅ストーリー〈海に抱かれて みんなラヴ〉より)

 ちなみに私は八月十七日に横浜港に下船し、帰国。七月二十日のお別れの会には参列できなかった。
 
【新聞テレビから】
☆『野田聖・総務 高市・政調 自民4役に女性2人 安倍内閣きょう発足 外相に岸田氏』『民主新代表に海江田氏 馬淵氏破る 幹事長 細野氏を起用』、『寒ブナ夜明けに躍る 海津・漁解禁』(26日付、中日朝刊)
☆『安倍内閣 今夜発足 法務・谷垣、環境・石原氏』『「さわやかな気持ち」安倍氏』、『円安進行 一時85円台 金融緩和期待 1年8カ月ぶり』、『知事に兼務解消要求 滋賀県議会が決議案 自民提出へ、可決の公算』、『山梨・短大生殺害 容疑者「衝動的にやった」 2年前から交際と供述』(26日付、中日夕刊)

十二月二十五日
 原爆投下後の広島を生きる少年を描いた漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さんが十九日に肺がんのため広島市民病院で亡くなっていた。七十三歳。葬儀は近親者で二十一日に済ませたという。

 中沢さんは六歳の時、爆心地から1・2㌔の国民学校に登校途中、校門付近で被爆。父と姉、弟を亡くし、その後1961年に上京。73年、週刊少年ジャンプに被爆者としての自伝的作品「はだしのゲン」の連載を始め以後、中断を経ながらもコミック十巻分を描き、今では出版部数も千万部を超え十八カ国で翻訳がされているという。
 遺族はさっそく広島市を通して「中沢啓治は星となり、ゲンとともに空から核兵器のない平和な世界の出現を願っていることと思っています」とのメッセージを寄せ、故人への思いを明らかにした。

 民主党の代表選が行われ、海江田万里元経済産業相が新代表に選ばれた。一方、自民党は党三役のうち、政調会長に高石早苗さん、総務会長には野田聖子さんをそれぞれ選んだ。

 きょうは、朝から晩まで賀状書きに追われる一日となった。
 先日、いつもの年に比べかなり早く書き始めはしたものの、ここ二、三日はとても書いている暇などなく、それでも元日に届くには二十五日がリミットだというので書き始めた。が、書けども、書けども賀状はなくならず、賀状書きが延々と続くなか、途中気晴らしを兼ね近くの特定局まで歩いて出かけ、きょう書いた最初の分を投かん。帰り道は時折、立ち止まって社交ダンスのステップをシャドーで繰り返し、挑んでみたりした。

 ひと足早く掲げられた日章旗=江南市の桃源通りで
  

 歩いていて。あらためて気付いたことは、お正月を前に桃源通り一帯の道路という道路の両側街灯に日章旗が整然と掲げられていたことだ。新年までは、まだ一週間近くあるのに少し早いな、と思いつつも日の丸を掲げて気分を新たにすることは、ある面では日本文化の表れともいえ、歓迎してよいと思ったのである。
 かつて能登半島の七尾に居たころ、お正月ともなれば、支局に面した一本杉通り両側に日章旗が掲げられ、それは見事だった。まさかこの木曽川河畔の街でも年末年始に同じように日章旗が抱げられるだなんて。数年前、初めてそれを知った時は、ちいさな驚きだったが、私個人としては気分一新にもなってなかなか良いことだ、と思う。

 新幹線の新横浜駅弁当売場で一箱だけ残っていた仙台黒毛和牛弁当。とてもおいしかった
 

 話は変わるが、賀状執筆の間には、昨夜、新幹線横浜駅で一箱だけが売り残っていたので購入した仙台の黒毛和牛弁当を温めて食べてみた。東北のものを少しでも食べなければ、と思って買ったのだが、電子レンジで温め直して食べる味は、また格別だった。

 結局のところ、きょうの賀状書きは、午後十時ごろまでかかり、私は書き上げた賀状を今度は郵便局本局まで車で行き局内で働く局員に直接、手渡しした。まだ半分ほど残っているので、あすからまた合間を見て少しずつ書いていこう、と思っている。新聞社の現役時代に比べれば、だいぶ少なくしたつもりなのに…。この按配だと、実はあまり減ってはいない気がしてきた。明らかに地球一周の船旅でお会いした船友への分が増え、プラスマイナスで、ことしもあんまり変わらないような気がしてきた。
 そうこうしている間に賀状書きのあとは本欄執筆に時間を費やし、今は(翌26日の)午前2時半を過ぎたところだ。

【新聞テレビから】
☆『3・11から半年後3兄妹へ 母の手紙天国から 生前の思い絵本に 絵本「かあさんのこもりうた」』、『東電賠償書類7000人届かず 避難先不明者 留守宅に送付 家屋修理対象』、『聖夜の大合唱団 久屋大通公園中高生640人』(25日付、中日朝刊)
☆『中沢啓治さん死去 「はだしのゲン」被爆描く 73歳』『核「まだ人間は制御できない」 福島事故に心痛め』、『南三陸で握ろう 津波流失 すし店が再開 「ここが好き」帰郷決断』、『師走凍る朝 名古屋氷点下2・3度』(25日付、中日夕刊)

十二月二十四日
 クリスマス・イブ。聖夜である。

 横浜。いや、正しくは新横浜から横浜線で長津田まで行き、ここで東急田園都市線に乗り換えて大和市の中央林間まで行ってきた。船友仲間の八重姉さん(小泉八重子さん)から、「2012年小泉家のお餅つきに来てください!」のはがきをいただいていたからだ。

 いつも思う。世界から見れば日本はちいさな島国だ。それでも、結構広いな、と。
 当たり前のことではあるが、そのなかをきょう生まれて初めて見る多くの人々がそれぞれの夢や希望を胸に、どこかの方向に歩いている。私には、そんな普通の人々がいとおしくみえる。おそらく、これら全員の方々と二度とこの世でお会いすることはないだろう。私は幾マン、幾千万分の一ともいえる「点」という目的地に向かって、こうして歩いているのだ、と。これ、すべて運命のなせるわざだ。ふと、そんなことを思いながら途中、新横浜駅で駅員に行き方を聞きながら目的地を目指した。

 午後。「ゴンタさぁ~ん」「ゴンタさぁ~ん」。怖くて優しい〝お姉さん〟に言われた通り、東急田園都市線・中央林間駅の改札口前で待つ私の前に、真っ赤なサンタクロース姿の八重姉さんが突如現れたのには驚いた。気恥ずかしくて、それこそ、こちらがサンタさんよりも真っ赤になってしまった。でも、ありがとう。私は彼女の車に、まるで拉致でもされるように乗せられ、お宅へ伺った。

 広い庭でたき火を囲んで談笑する第76回ピースボートの船友仲間たち=神奈川県大和市中央林間西の小泉正道・八重子邸中庭にて
 

 そしたら、広い庭が訪問客に開放されており、皆さん〝ゴンタさん〟〝ゴンタさん〟と近づき握手を求めてくるではないか。みんなイイひとばかりだ。お顔には覚えがあるが、船内で話した方となると、ミオ(美緒)ちゃんに、津江さんに、私と同じく遅れて駆け付けたもう一人の〝サッちゃん〟こと祥子姉さん(阿部祥子さん)、それから貨物船の船員として世界の海を航海していた亡き夫の後地を訪ねているのですよ、と教えてくださったメガネをかけた貴婦人(名前を一度だけ、互いに名乗りあったことがあるが名刺を交わすなぞといったことはしておらず、どうしても思いだせない)…と、ほんの数えるほど。
 船内ですれ違っていたためか、お互いに顔は見たことがある。でも、船上ではひと言も話さなかった人たちが多く、その方たちとも船内仲間として共通のお話しができ、嬉しかった。下船してからの思ってもいない出会い。その中には私と同年齢で元日経記者だった眞水潔さん、恭子さんご夫妻、船内で一番高価な十階の船室で過ごされた河合工務店会長・河合孝さんご夫妻も居られ、話が弾んだ。

 なかでも船員の妻は、孤独を愛する私が朝食時に自分だけの指定席としていた九階プールサイド横デッキでいつもデスクひとつ離れ、向かいあう形で海を見つめながら、食事をしておられた。最初は会釈する程度で話をすることもなかったが、船を下りる前になって何かのきっかけで「わたくしね、世界の海で働いていた亡き夫の後を追ってこうして独りで船に乗っているのよ。ここに座っていると、なんだか夫がいつも隣にいてくれるような気がして」と話してくださったことを鮮明に覚えている。
 最後は朝食後のお茶まで出してもらった。

 きょうの横浜行。最初は背広にネクタイ姿で、と思ったが「餅つきのできる服装できてください」とのことだったので、いつものラフな姿でお伺いした。でも、到着した時には既に餅つきの臼も全て片づけられ、庭全体と室内の一部を開放した懇親の場に一変。餅つきは午前中に、なんでも八重子門下の保育士さんはじめ、近所の人々らも加わって計百人(うち20人が船友)で盛大に行われたという(遠慮しないで、もっと早く行けばよかった、と反省している)。

 結局のところは、庭の焚き火にマキをくべ、みんなで囲みながらお酒を飲んで、おいしいものを食べ時は流れていった。辺りが真っ暗になり、かなり寒く冷え込んで来たので「それでは」と、帰ろうとすると「ゴンタさん、泊まって行きなさい」と八重姉さん。でも、やはり帰らなくては。このまま居たら迷惑をかけてしまう、と判断。後ろ髪を引かれる思いでまたまた駅まで送ってもらって帰った。

 途中、横浜でケーキを買ったが帰宅すると、食卓に「自転車で遠くまで出かけ買ってきた」というケーキが置かれていた。「バカねえ。買って来なくていいものを」と叱られながら、互いに買ってきたものを分け、食べあった。今宵は、クリスマス・イブ。【きよしこの夜】、【Silent Night】である。そろそろ、サンタさんがやってきそうだ。

 神奈川新聞の24日付【サンタさんはいるの?】の特集記事
 

 サンタさんといえば、小泉家を訪れると同時に八重姉さんから見せられた、神奈川新聞・学ぶ〈かながわ学びルネサンス〉欄【サンタさんはいるの?】のトップ記事で八重姉さんが『「信じる心大切に」〝アカデミー〟県本部長 小泉さんが回答』の見出し入りで紹介されていた。
 紙面は24日のクリスマスイブを前に「サンタクロースっているんだろうか?」という素朴な疑問にサンタクロースアカデミー神奈川県本部の本部長・小泉八重子さんが答える、といった内容。八重姉さんはこの中で「サンタクロースは、います」と答えている。

  「サンタさんがいる」ことにこだわる理由について彼女は紙面の中で次のように話してもいた。
―『サンタはいる』と信じることは、いつも自分を見ていてくれる、自分の願いをかなえてくれる人が、どこかに必ずいると信じること。つらいことや悩みごとがあっても、「自分は一人ではないと思い出して。サンタという存在が、信じる心を持つきっかけの一つになればと思っています」。

【新聞テレビから】
☆『ノロウイルス猛威 宮崎の病院6人死亡 山梨弁当で1100人症状』『06年以来の大流行 遺伝子変異で新種も 感染防ぐには』、『南極昭和基地 9年ぶり雨』、『豊川初陣V 高校駅伝男子 女子は2位』、『富山殺人・放火 事件後に自殺未遂』『容疑の警部補「健康、家族で悩み」』『加野容疑者 被害者宅間取り詳しく 事件8日後 取材に説明』(24日付、中日朝刊)
☆『サンタさんはいるの? 「信じる心大切に」〝アカデミー〟県本部長 小泉さんが回答(遠藤 綾乃記者)』『〈2012師走〉 サンタが雪贈る=横浜市旭区の「よこはま動物園ズーラシア」で23日、造雪機による雪が舞った=』、『外相に川口(順子)氏有力 茂木氏入閣固まる』、『普通に生活「安心して」 陛下79歳祝い一般参賀』、『家族の絆も奪われ 振り込め詐欺1400万円被害 横浜67歳女性 電話や資料使い追い込む』(24日付、神奈川新聞朝刊)

十二月二十三日(祝日)
 日曜日。天皇陛下の満七十九歳の誕生日である。
 陛下は誕生日を前に、ことし二月に受けられた心臓の手術について「手術を決めたのは、心筋梗塞の危険を指摘されたから。東日本大震災一周年追悼式にどうしても出席したいという希望を述べ、それに間に合うように行っていただきました」と話されたという。救われる気がする。
 (祝日)ということは、あすは振替休日なので昨日から三連休だ。そして。二十四日はクリスマス・イブ。この地上では、いろんな愛のドラマが繰り広げられるに違いない。

 富山県警の現職警部補、加野猛容疑者(54)が2010年4月に富山市内で起きた老夫婦放火殺人事件で昨日、殺人と現住建造物等放火、死体損壊容疑で同県警に逮捕された。調べに対して加野は「私がやったことに間違いありません」と容疑を認めている。加野は当時、複数の消費者金融から二百数十万円の借金をしており、殺された老夫婦(当時は夫79、妻75)とは30数年来の付き合いだったという。
 それにしても、一体なぜ。現職の、それもいつも犯罪者と接する留置場を預かっていた高岡署留置管理官(当時は留置管理係長)だった男が犯行に及んでしまったのか。何故、今になって犯人逮捕に至ったのか。新聞記者の間でよく言われる【殺し3年、火事8年(殺しの記事は新聞記者になって3年たてばそこそこ書ける。でも、火事となると8年たっても書けない。実際、忘れたころになって保険金殺人が発覚することがよくある)】のいい例である。

 捜査陣の徹底捜査はむろんのこと、新聞記者たちも、もっと徹底的な基本取材を続けていたなら、犯人逮捕への道は早まった気がしてならない。
        ×        ×
 「母」=中央=を囲んでパチリ。あれれっ、一番美人(右から三人目)のはずの妹が目をつぶってしまった。右端が「つちやホテル」の若女将、久美ちゃん
  

 きょうは、年に一度の兄妹会。それも、ことしは私たち夫婦が幹事とあって満九十二歳の母を車に乗せ、江南から名古屋駅近くの〝(第七代尾張藩主)宗春の宿〟で知られる「つちやホテル」へ。途中、日の丸を掲げて行き交う市バスを目の前に来年七回忌を迎える亡き父が存命のころは、祝日になると決まって、わが家に日の丸の国旗が掲げられていたことを思い出した。弁護士の兄、税理士の妹、一匹文士の私の三兄妹とそれぞれの連れ合い、まだまだ元気な母にも加わってもらい、計七人による食事会で楽しいひとときとなった。

 具体的には兄夫妻はつい最近、長男に授かった赤ちゃん(孫)の話を、妹のご主人で大手企業の元半導体最先端技術開発者として知られた彼は会うが早いか、今度の衆院選に触れ「お兄さん、(自民党が)ちょっと勝ち過ぎですよね」を挨拶代わりに一年務めた区長という存在が「一般人の日々の生活にとっていかに大切な仕事か」を力説。そして私の場合、地球一周の船旅でのエピソードと、妻・舞がリサイクルショップ「ミヌエット」でこれまで夢だった〝ちいさな音楽会〟を実現させた話などをした。
 母は「おかあちゃん、けさは畑に行ってミカンの木から、おまえたちに渡すミカンをとってきた。そのあとはいつも休みの日に近くの喫茶店に仲間で集まる【朝茶の語らい】をし、たかのぶ(私)が迎えに来たので一緒に連れてきてもらった」と嬉しそう。そこには、ことし春先の突然の交通事故(畑から自転車で帰宅途中、交差点で車にはねられ一時は顔面の強打と全身打撲の重体で一カ月以上、入院)から見事に立ち直った〈九十二歳のたくましく、どこまでも優しい〉母の姿があった。

 何を隠そう。懇親会場となった「つちやホテル」の社長さん(土屋純二さん)は、私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」同人、「宇宙詩人」同人でもある小説家で詩人の平子純さんで同ホテル喫茶室など「熱砂」の例会などでお世話になることもしばしばだ。また地方の同人誌からなる中部ペンクラブも理事会やその他の催しなどで再三、利用していることは、よく知られている。

 そしてその「つちやホテル」の若女将こそが、私の妹の長女、久美ちゃんだ。この日は板場の料理人が得意の腕を振るってくださったこともあり、見た目も華やか、贅を尽くした、とてもおいしい会席料理の数々に舌鼓を打った。御膳の下に敷かれた〈尾張中納言宗春が通る〉の敷き紙も歴史文学、特に宗春ものに詳しい土屋社長ならではの発想で、なかなかオツである。

 緊縮財政の享保の改革などそこのけ、と8代将軍吉宗による隠居謹慎にも反発して贅を尽くしてカッポする往時の宗春公(渡辺博史著「尾張の土産話」から)。【芸処・なごや】の所以は、ここから始まった
 

 それに、みどり姉さん(トキの名まえ〝みどり〟にあやかって私は彼女をトキさん、トキさんと呼んでいる)ら従業員のどなたも笑顔の応対で見習わなければ、と思った次第である。「つちやホテル」は以前、愛知万博の際に、当時、中日新聞のサンデー版で連載中だった漫画【元気くん】の作者・北見けんいちさん一行が泊まられ、食事をご一緒したり、同僚の昇進時に「お祝いだ」と言って飲みに行ったり…、で馴染みのホテルでもある(詳しくは「熱砂」画面に張られた「つちやホテル」のリンクを開かれるとよい)。

 プロ野球シーズンともなれば、ナゴヤドームへのドラゴンズ観戦客はむろんのこと、最近では全国各地から訪れる修学旅行の児童生徒、女性仲間のお客さんたちも多い。女将さんはじめ、従業員の誰もがステキな方ばっかりで現在、まだまだ修行中の久美ちゃんも立派な若大将、造(つくる)さんとの間にかわいい娘さん二人も授かって、大変ではあるけれど。幸せだなあーとつくづく思ったりした。名古屋駅近くでキラリと光る、庶民を対象とした本物宿。それこそが、この旅館である。

 食事会のあとは、実家まで母を送った。
 久しぶりの名古屋往復となったが、たまにはドライブも悪くはない。でも、少しだけ疲れた。地方記者のころ、いつもカメラを肩にぶら下げ、オートバイや車、社のジープで飛び回っていたころが懐かしく思い出された。あのころは、日に百キロ、二百キロも珍しくなく、本当にタフだった(松本から上高地まで往復取材したり、雪深いなか七尾から能登半島先端の禄剛崎まで行ったこともなんどか。阿児~御座岬~伊勢まで、志摩半島往復なんて始終だった)。

 タフと言えば、母のタフネスぶりには、毎度ながら頭が下がる。彼女の場合、他の女性たちと同じく元気というよりも戦前、戦後を今日まで歩き抜いてきた精神的な強さのようなものを感じる。誰とて同じだが、私はこんな母を心の底から尊敬している。本欄読者の皆さんも、お父さんお母さんを大切にしてください。
 ネ!

【新聞テレビから】
☆『殺人容疑 警部補を逮捕 10年 夫婦殺害・放火事件 富山県警』、『除染 復興描けず 山から放射性物質 線量再上昇… 3年で1兆円、住民疑問視』『チェルノブイリ取材記者 「住民の選択肢広げて」』、『民主代表選25日に決定 蓮航氏意欲 海江田氏が出馬表明』、『リニモでメリクリ(愛知高速交通が22日夜、リニモ=東部丘陵線=を貸し切りにした「クリスマストレイン」を運航した)』

十二月二十二日
 朝。NHK第一ラジオの「ラジオ文芸館」で、たまたま浅田次郎さんの小説「供物」の朗読を聞いた。構成の見事さはむろん、表現力も余韻があって豊かで、人の心をぐさりと突く、とてもいい内容だった。
 主人公の女性が別れた夫の死の知らせに供物を手に、かつての家を二十数年ぶりに訪ね自らに言い聞かせた通り、毅然として早々に帰る途中、軽トラックで追いかけてきたわが子(長男)に再会するーといった粗筋。全編に情緒に流されまいとする主人公が、最後に今の夫と生みの子の優しさに触れ、涙ながらに帰るところなど名画のシーンを見ているようだった。いい作品である。私はこれから、こうした小説を書きたい。

 新聞各紙によると、今月十七日に死去した日系のダニエル・イノウエ米上院議員の葬儀が二十一日、ワシントン大聖堂で営まれたが、私、伊神権太はこの席でのオバマ大統領の弔辞に魅かれた。
 オバマ大統領は米政府が第二次世界大戦時に日系米国人を「敵国人」と宣言した中、イノウエ氏が志願して従軍したことに触れ「米政府が彼を信用しない時、米国を信じた男だった」と称賛。ウォーターゲート事件の上院調査委員会でイノウエ氏が活躍する姿に少年時代の自分が強く感化され、後に政治家への道を志すきっかけになった、とも述べた。これまた、いい話だった。

 そして今ひとつ。
 きょうの中日新聞朝刊の【編集局デスク クリスマス余談(編集局次長・真能秀久)】がいい。筆者は特派員時代に目にしたフィリピン山奥でのホタルの木=一本の木に数万匹のホタルが集まり、夜通し点滅して光のショーを見せてくれた=と、ニューヨークの教会にあったクリスマスツリー=飾りは純白の折り鶴だけ。原爆犠牲者の祭壇に置かれていた=を紹介。
 「ぜいたくでなくても、胸の奥に灯がともるような贈り物。復旧、復興策にも、そんな心配りを期待します」と結んでいたのが、胸を打った。

 ビンゴゲームでなごやかに進んだ「ミヌエット」感謝祭
 

 妻・舞が営むボランティア同然のリサイクルショップ「ミヌエット」で〈ちいさな感謝祭〉が行われ、この一年、何かと手助けをしてくださった人々が集い、ビンゴゲームがあった。きょうこそ「俺が行く必要はない」といったんは出向くのを頑なに断ったが「写真だけでも撮ってほしい」と言うので、しぶしぶ出向いた。
 それでも、二年前の大病、そして十時間に及ぶ大手術から立ち直った舞が、サンタさんの赤い帽子までかぶって、これだけ生き生きと少女のような目を輝かせて動いている姿を目の前に、皆さんに礼を述べることが出来てよかったな、とつくづく思う。
 
 おかげで、ここ二、三日の間、気にしていた天気も午後にはよくなり、ことしから始まった〝ちいさな音楽会〟への協力も含め、いつも彼女を支えてくださっている皆さんが三々五々、店を訪れてくれ、ビンゴゲームは和気あいあい進んだ。景品は、わが家に届いたお歳暮のうち、蟹缶や上等なお菓子、サラダ油などを一部役立てたため、ほかに手袋などもあって日常生活に生きるものが多く、皆さん喜んで持ち帰ってくださった。

 サンタの帽子で「そらっ、当たったわよ」と楽しいひととき
 

 帰宅後、夕食の席で私は妻を前に「よくやった。お疲れさま。でも、そんな〝しゃかりきに〟なってやる必要はない。来年は、もっとのんびりゆったりとやらなきゃあ。なにごとも〝いい頃加減〟でいかなくては」と釘を刺した。
 彼女は「ここ十数年というもの、六十歳なんて、とても想像するだけでもイヤ。考えられない。六十になんかなりたくない。その前に死にたい」が口癖だったが、二年前に大手術から奇跡の生還をしてからは過激発言が少しずつ影をひそめ「六十からは、オマケの人生だよね」と人生観も少しずつ変わってきたようだ。
 
 熱中してビンゴに興じる
 

 四十年前。はたちで着の身着のまま、素足のまま志摩半島で地方記者生活を過ごす私の元に飛び込んできた時は、だれにも負けないほどのかれんさだったが、今や【おまけの人生】の通り、少しだけ年を取ったのも事実だ。
 だったら、おまえよりも年上の俺はどうなるのだ。俺はまだまだ若い、と思っているのに。「おまえも恋の一つやふたつ、してみたらどうなんだ」「老け込んだら、〝らしさ〟が失くなってしまう」。こんな声が、どこからか、私の耳に飛んで聞こえてきた。

【新聞テレビから】
☆『松本清張没後20年ドラマスペシャル「熱い空気~家政婦は見た! …』(22日夜、メ~テレ)『SONGS 小椋佳・吉永小百合と語り歌う』(22日夜、NHK総合)
☆『大地震確率 関東で上昇 政府の予測地図 今後30年 静岡・津は80%台』、『「口利き」市議側に献金 名古屋市不正採用 嘱託職員計19万円』、『原発新増設容認も 安倍氏「民主の方針見直す」』(22日付、中日朝刊)
☆『犬のように、健やかに』『三重・紀北町の名つけ式 町ぐるみでお祝い』、『グアム移転費を可決 米上院 沖縄基地返還へ前進 尖閣防衛も明記』(22日付、中日夕刊)
☆『米国務長官にケリー氏 大統領指名 民主重鎮 広い人脈』、『財政の崖「年内解決を」 米大統領 共和党に再要請』(22日付、毎日夕刊)
☆『「戦争する国にしちゃいけませんやね」 追悼小沢昭一さん 飄々と貫いた平和の心』、『詩人会議50周年「アンソロジー」刊行 人と人をつなぐ』(12月23日号、しんぶん赤旗日曜版)

十二月二十一日
 ♪味噌汁にかぼちゃ浮きたる冬至かな 照葉女

 冬至。これからは次第に日脚が伸びる。昼間最も短く、夜間が最も長いのが、この日だ。新歳時記増訂版の「花鳥諷詠」によれば、「特に粥を食べたり、南瓜を食べたり、また柚子風呂を立てて入る習慣などがある」。

 写真は、柚子が浮かんだわが家の柚風呂
 

 ♪今日はしも柚湯なりける旅の宿    虚子
 ♪病みほけし身を沈めたる柚子湯かな 都穂

 わが家も、きょうは南瓜の〝いとこ煮〟やら、が食膳に出、柚子湯に入り、一日の疲れを家族そろって癒やした。人間サマばかりか、愛猫のこすも・こことシロちゃんまでが、お風呂が沸いたとみるや、湯船からあふれ出た柚子湯をゴックン、ゴックンとおいしそうに飲み、こちらは〝柚飲み〟に夢中で満足そうな面持ちだった。
 ことしは私が社交ダンス仲間、妻も女子会仲間からもらったという柚子をひとつずつ順番に湯船に浮かべ気持ちの良い柚子風呂に浸かった。夕食を前に「どうして〝いとこ煮〟なんだ。アズキとカボチャがいとこなのか」と聞くと、「そう言うわよね。でも、なぜ〝いとこ〟なんだろう。調べてよ」と挑戦的な彼女。

 ちなみに新村出編の広辞苑第五版によれば、【いとこに(従兄弟煮)】すなわち「小豆・牛蒡・大根・芋・豆腐・クワイ・焼栗などを堅いものから追い追い煮込んだ料理。(「追い追い」と「甥甥」をかけたものという)―と、分かったようであまりよくは分からない解釈だった。

 きょうは、あれやこれやと私なりにすべきことを一つずつこなす一方で、私としては随分早い年賀状書きに着手した。昨年までは新聞人として現役だったこともあり、どうしても御用納め以降の二十八、九日から書き始めるのが常だっただけに、こんなに早いのは初めてだ。とはいえ、一番、最初に書く相手は「その年、私にとって一番お世話になり、これからも大切にしたい人であること」に変わりはない。

 というわけで、きょうも本欄では書けないことなどいろんなことに追われ、アッと言う間に時が流れていった。毎日、この〈生きてゆく人間花たち/十二月の唄〉をこうして、「今」を生きる人間の証しとして書き綴ってはいる。けれども、本欄で紹介しているのは日々の出来事のエキスに限っているので、私の周辺で繰り広げられる一日のドラマに比べたら十分の一あるかなしか、だ。

 当然ながら記事にならない日常茶飯事を書き連らねるとなると、限りがない。だから、自分なりに取捨選択して書いている。中には書きたくても書けない、そして書いてはならないストーリーもあるが、これら〝秘めごと〟の中にこそ、キラリと光る本物が潜んでいる気がする。だから、そうした気持ちは大切にしたい。

 要は、本欄で私の分身を曝け出すわけにはいかないということだ。小説執筆時に、【秘の部分】をより効果的に生かせれば、というのが私の本心だ。とはいえ、事件、事故、災害、世界情勢も含め、この世で繰り広げられている素顔だけは、後世を見据えて誰よりもしっかりと記録していかねば、と思っている。
 
【新聞テレビから】
☆『〈にっぽんの芸能〉「百花繚乱」 古典芸能の話題で振り返る1年』(21日夜、NHKEテレ)
☆『せっせと花餅 近づく新年 高山』、『名古屋市幹部 採用で不正』『答案改ざん「市議の口利き」 3人書類送検へ』、『韓国大統領に朴氏 女性リーダー歓迎 「日本追い抜かれた感じ」/「歴史問題解決を』、『老朽化、客足遠のき… 尾張温泉観光ホテル閉鎖 来月限り、演芸場も3月に』、『新聞受けに匿名100万円 稲沢市役所宛て「透析患者より」』(21日付、中日朝刊)
☆『■伊勢神宮 冬至 恵みの朝日』、『ネット選挙運動解禁を 安倍氏表明 来夏参院選から』、『嘉田知事 未来代表継続の意向 小沢氏と会談 共同代表案も表明』(21日付、中日夕刊)
☆『安倍総裁 韓国に特使 「竹島の日」政府式典見送り』(21日付、毎日夕刊)

十二月二十日
 きょうは日本全国の3/4で最低気温が氷点下になり、寒い一日だった。

 私はといえば、午前中、週に一度の社交ダンスの練習に江南市民文化会館へ。ラテンのジルバのステップを踏んだあとは、スタンダードのボックス、ブルース、ワルツの順で学んできた。ずっとステップを踏み通しで少し疲れたが、健康上もよく、それがまた快感かもしれない。

 このうちワルツは、スピンターン、リバースターン、シャッセ、ウィスクからヘジテーションまでを大体マスター、先生に教えられた基本に忠実にあとは繰り返しステップを踏むことだ。今のところは、なんとか皆さんと同じ2級コースをついていっている。途中で振り落とされることがないように、と思っている。

 というわけで、このところは、道路を歩いていても室内に居ても誰も居ないことを確かめたうえでの〝シャドーダンス〟を繰り返し、【シャルウイ・ダンス】の私版を実行している。一人で踊るダンスが、これほどまでに気持ちいいものだったとは。もっと早くから学んでおくべきだった。ここまでついてゆけるようになったのも、地球一周の船旅で初級コースを学んだからこそ、だ。

 きょうの言葉は「普通に歩く」「ステップを踏むつど、確認を兼ねて足をトントンとやる」の二点か。
 
【新聞テレビから】
☆『韓国大統領に朴槿恵氏 初の女性父娘2代』、『瑞浪中自殺 二審もいじめ認めず 名高裁判決 両親の訴えを棄却』(20日付、中日朝刊)
☆『韓国大統領に朴槿恵氏 女性初 親子2代 暫定投票率大幅上昇75・8%』、『「震災思い出して」避難呼びかけ賛否 NHK』(20日付、毎日朝刊)
☆『ジャンプで転倒 高梨選手=ノルディックスキー・ジャンプ女子で日本のエース、16歳の高橋沙羅選手=を搬送 北海道で合宿中』、『日銀10兆円追加緩和』『2%物価目標検討へ 決定会合』『路上の声 聞こえますか ホームレスら 安倍新政権に望む=政治には何も期待しない。むしろ身近で心を許せて相談できる相手がほしい(63歳男性)』(20日付、中日夕刊)
☆『韓国大統領に朴槿恵氏 「正しい歴史認識土台」竹島念頭に発言』、『浜岡防波堤 4メートルかさ上げ 中電方針 国の津波想定対応』

十二月十九日
 大勢でにぎわう師走の大須商店街
 

 横笛の稽古で大須の師匠宅へ。
 きょうは、来年の発表会(2月9日)を前に演奏する「酒よ」に、最後の2小節をイントロ(前奏)として加えたら「深みが出る」ということで、そうすることに。そして「酒よ」をふき終えたら、そのまま「津軽平野」の4、5、6小節に曲をつないでフィッニッシュすることを確認し合った。

 こうした編曲(いや、変奏曲といった方が良いかもしれないが)の妙を見出すのは、家入三津恵師匠ならでは、の感性が為す得意技といっていい。あとは私が、これをどこまでふきこなせるか、だ。ふくに当たっては、♪ナミダニハ イクツモノ オモイデガアル……と、心のなかで歌いながらふくとよい、とも教えられた。

 ジャンボ招き猫が見守るなか(写真上)、大須は一気にクリスマス商戦に(写真下)
 
 
 

 稽古のあとは、名古屋ではこのところ一番の勢いがある大須の街をテクテクぶらぶら、と少し歩いてみたが例の〝ジャンボ招き猫〟が見守るなか、一角にはジャンボサンタクロースが飾られ、町中は既にジングルベル一色の観だった。
 携帯電話をチェックしたところ、久しぶりに名市大人文学部の山田教授からで折り返させていただいたが、お元気そうな溌剌とした声で懐かしく思った。近々いっぱいやりましょうよ、ということで受話器を置かせて頂いた。互いに積もる話がいっぱいあるはずだ。
        ×        ×

 ここ数日は、自民党圧勝に伴う期待感が先行。安倍総裁にあやかってか、〝アベノミクス〟なる言葉までが、いつの間にか浮上。それもあってか、きょうは日経平均株価が10160円40銭と八カ月半ぶりに1万円台を回復。韓国大統領選は与党セヌリ党のパク・クネさん(朴槿恵さん、60歳)が当選、韓国では初の女性大統領が誕生した。パクさんは、元大統領・朴正煕(パク・チョンヒ)さんの愛娘。
 総延長301キロに達する巨大インフラ・首都高速道路が開通し、あすで満50年になるという。先に落下事故を起こし死傷者を出した笹子トンネルのように老朽化が目立ってきているだけに、今後安全面での万全な対策が望まれている。

【新聞テレビから】
☆『核燃サイクル施設集中 六ヶ所村断層調査へ 規制委 下北沖と連動懸念』、『物価目標2%検討 日銀、安倍氏の要請受け』、『風船爆弾作ったわ 千種の椙山女学園高 花園の秘密 先輩から証言 放送部16人 戦時伝える作品制作』(19日付、中日朝刊)
☆『自公 補正10兆円規模 経済再生相に甘利氏検討 党首会談』、『猪瀬新都知事が会見 「ツィッターで情報発信加速」』『最多得票記録の433万8936票 人口増と同時選効果(投票率も37年ぶりに60%を超える)』(19日付、毎日朝刊)
☆『真紀子氏恨み節「首相は独り善がり」 「自爆テロ解散」言った通りに』(19日付、中日スポーツ)
☆『日本郵政社長に坂氏』、『銃には銃 悲しき米』『乱射事件後 売り上げ急増 ライフル協 規制協力も』(19日付、中日夕刊)
☆『12年見通し 貿易赤字32年ぶり最悪 11月は9534億円』、『東証1万円台回復 デフレ脱却期待』(19日付、毎日夕刊)

十二月十八日
 「平成二十四年二月十九日 母ツギヱが百五歳にて旅立ちました。元気で明るい母でした。四人の娘と嫁に囲まれ、幸せな人生でした。」「最愛の伴侶 妻寧子を七十一歳で亡くしました 無念です 生前賜りましたご厚情に心から感謝申し上げます 本年は七十七年の人生で最も辛らく寂しい年でした」……
 わが家への喪中はがきもここにきて出尽くした観がある。みなさまの悲しみを思うと、言葉もない。

 こんななか、かつて名古屋空港を担当した〝空飛ぶ記者〟時代に大変お世話になった元名空港ビル専務早川清さん、佳子さん夫妻から届いたはがきは、と言えば。
 次のようなものだった。
 「向寒の候
   私、誠に勝手乍ら
   今後新年の
   御挨拶を御遠慮させて頂きます
              早川  清 
                  佳子」
 いかにも早川さんならでは、潔さが伝わってくる。
 このうえはご夫妻おそろいで、いついつまでも元気で長生きをしてほしく願う。元気でおいでなら、またお会いする日はきっと来るに違いない。

 きょうは、先の船上で連載した地球一周船旅ストーリー〈海に抱かれて みんなラヴ〉のあとに、下船後に私が書き上げた小説(未公開)の読み直しをはじめ、その他もろもろのことに追われ、アッという間に一日が過ぎ去っていった。

【新聞テレビから】
☆『安倍氏改憲で連携意欲 96条「維新・みんなと」『自民信任 有権者の1/4 小選挙区8割制しても…』『「一票の格差」一斉提訴 愛知など27選挙区 衆院選無効求め』『河村市長「減税」出直し』『「未来」で埋没 離脱も示唆』『出身候補16人全滅』『求心力に陰り 慢心も?』(18日付、中日朝刊)
☆『夫に届かない声拾いたい 安倍総裁妻・昭恵さんに聞く』、『日銀、合意文書修正着手へ 「物価目標2%」自民要望に対応』(18日付、毎日朝刊)
☆『木村さん 長寿世界一 115歳「15日違い」米女性死去』『食細くして、命永かれ 〈10月、男性長寿世界一のギネス記録に再認定された木村次郎右衛門さん=京都府京丹後市で〉』、『日本ライン下り来年休止 天竜川下り事故が影響 利用者減で継続困難』、『聖夜に甘~い彩り 豊川 ケーキ用イチゴ収穫』、『米長邦雄氏死去 永世棋聖、将棋連盟会長 69歳』(18日付、中日夕刊)

十二月十七日
 私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」同人で若手のホープ、山の杜伊吹さんが長女亜里紗ちゃんを伴ってわが家へ。先に江南市内で開いた「熱砂」例会に家事と育児の都合で出席出来なかったためで、きょうは各務原の新居からマイカーで訪れ、例会の内容を中心にしばらく歓談後、近くの中国料理の店で一緒に食事をした。

 あれこれつもる話でいっぱいだったが、先に実施した例会の内容につき、ひと通りの説明をし、せっかくの機会なのだからと本欄「生きてゆく人間花たち/十二月の唄」の昨日付分を私が実際にアップするところを見てもらい、外へ。中華料理の店で会食しながら互いの近況を語り合った。彼女は、まだまだ若い。それに書くことに関しては〝天賦の才〟を秘めているだけに、今後、大変ではあろうが長男、長女の子育てをこなしながら、いっそうの文筆に励むようハッパをかけさせて頂いた。

 それにしても、まだ二歳七か月の亜里紗ちゃん。お母さんに似た美人で、お話し中は静かにしていて、とても良い子だった(亜里紗ちゃん、わが家の愛猫こすも・ここと結構仲良くしていました)。山の杜さんに限らず、同人たちは全員、それなりのハンディをこなしながらの執筆生活だけに、読者の皆さまには末永く温かく見守って欲しい。

 山の杜さん母子が帰宅後は、舞が既に大半を終えていてくれた庭の木の不要部分の枝切りや拾った落ち葉をごみ袋に袋詰めする作業に追われた。

【新聞テレビから】
☆『おごらず、人に優しく 論説主幹・深田 実』。『自公320超 政権復帰 改憲勢力維新含め3分の2 民主惨敗 野田首相退陣』『安倍氏、連携に期待』『脱原発の民意とズレ』『愛知 自民13、民主2』『巨大自民が再稼働 安倍総裁「危機突破する」』『民主落日 未来暗く』『野田首相「痛恨の極みだ」』『官房長官など現職8閣僚が小選挙区落選』『田中文科相 父・角栄氏の命日に涙』(17日付、中日朝刊)
☆『安倍内閣26日発足 衆院選大勝 連立政策協議入り 自公あす党首会談 大型補正を編成へ』『自公325席、3分の2超える 投票率 戦後最低59・32%』『菅前首相 比例で復活当選「脱原発の語り部に」』(17日付、中日夕刊)
☆『安倍政権構想本格化 自公325議席』『麻生副総理起用へ 石破幹事長留任固まる』(17日付、毎日夕刊)

十二月十六日
 自民294、公明31の計325議席を取り自民大勝を伝えるNHKニュース
 

 「最大の責任は私にある」と民主党代表辞任を表明する野田首相=いずれもNHKニュースから
 

 きょうの衆院選―。
 「だって。野田さん。美辞麗句ばかりで〝ホントのドジョウ〟になってなかったじゃないの。ドングリコロコロ…の歌、思い出してみてよ。お池にはまってさあ~大変、という国難の時に【ぼっちゃん、一緒に遊びましょ】って。全然一緒になんか遊んでくれなかったじゃない」。
 妻・舞の手厳しい言葉通り、政権与党の民主党は惨敗した。
 午後十一時現在の獲得議席数は自民233、民主35、未来4、公明24、維新34、共産4、みんな11、社民と大地各1といったところだ。

 野田首相は、午後十一時二十分過ぎに開いた記者会見で「(大敗の)最大の責任は私にある」と民主党代表の辞任を表明。岡田副総理もこれより先のテレビ番組のなかで「結果をしっかり受け止め、再出発しなければ。ひと言で言えば力足らずだった。ただ政権野党になっても、足を引っ張るやり方だけは、控えたい」と述べた。
 民主大敗の象徴が、新潟5区の田中真紀子文部科学大臣の落選。逆に自民大勝の象徴と言っていいのが岐阜県の全区が自民党勝利に終わったことだ。なかでも大垣2区棚橋泰文さんの「少しでもこの国をよくしたい」の発言には、大垣支局長時代、彼をまんざら知らない仲でもないだけに、エールを送りたい気持ちだ。

 衆院選の最終勢力図=NHKニュースから
 
        ×        ×

 日曜日。「ごはんよ」の声に起きると、午前九時を過ぎていた。
 枕元では「神社掃除に出たあと、投票に行ってきたから」と妻の声。今度の神社掃除は私が出て彼女の負担を少なくしてやらなければ、と思っていただけに、また一本取られた気がした。ありがとう。

 午後は指令通り、ヘルスセンター、生活良品店(百円ショップ)、アピタ、ホームセンター…の順でアッシーマンに徹しての一日。生活良品店では正月の飾り物があれやこれやと並んでいるのに驚き、ホームセンターでは竹箒とか庭に植える花の苗を買うのが目的だと知った。こうして運転して歩いていると、私はもはや一匹文士でいる時以外は、完全に誰かさんの〝付き人〟である。でも、それでいいのだ。そう、自らに言い聞かせる。
 これまで家庭のことをやらなさ過ぎだった、そのトバッチリ、罪と罰だと思えばいい。あちこち回る合間には、母が育てた大根三、四本を抜きに畑へ。そこから実家にも顔を出した。このところは日に日に、お正月が近づいてくるのを実感している。
 
 私と息子も夕方までには清き一票を投じた。ただ、今回の衆院選にはしらけムードが色濃く、投票率はかなり悪く小選挙区の投票率は59・26%と過去最低水準だった。東京都知事選の方は、石原路線を継承した元副知事で作家の猪瀬直樹氏の圧勝に終わった。

【新聞テレビから】
☆『復興託す一票 衆院選きょう投開票』『原発政策選択の時 「次世代のため考える」』『〈12・16見極める衆院選〉さあ選ぼう 政権攻防の訴え寒空熱く 「信頼を取り戻す」「今度こそ助けて」』、『〈通風筒〉◇…東日本大震災で津波被害に遭った岩手県沿岸を走る三陸鉄道は十五日、震災後に休止していた「こたつ列車」を二シーズンぶりに再開した』(16日付、中日朝刊)
☆『都知事選も投開票』、『「放射能がうつる」と言われ人権の問題に気づいた 大熊から新潟に避難の中3 原発で受けた差別を作文に(第32回全国中学生人権作文コンテストで文部科学大臣奨励賞)』(16日付、毎日朝刊)
☆『総選挙私の選択 ぶれない共産党 憲法9条変えてはならない(俳優仲代達矢)「党名変えろ」と言ったが…(作家瀬戸内寂聴)』(16日付、しんぶん赤旗日曜版)

十二月十五日
 尾張一宮駅前を彩る電飾。あすの衆院選投開票を前に候補者が最後のお願いをする声が、聴こえてきた
  

 正午のニュースによれば、米国コネチカット州の小学校で十四日午前(現地時間)、はたちの若者が銃を乱射、5歳~10歳のこどもを中心に二十六人が死亡したという。犯人は防弾チョッキを着ており、母親を殺害後、乱射に及んだらしい。本人も自殺を図った。
 それにしても一瞬の凶行に若者はなぜ、及んだのか。

 事件発生後、オバマ大統領が涙を浮かべて「全米が悲しんでいる」とお悔みの言葉を述べている姿が、乱射社会の実態を浮き上がらせていた。

 きょう舞の俳句が尾北ホームニュースの江南俳句教室欄に掲載されていたが、なんだか元原(最初の原稿)に主宰とやらが手を加え、全く別の内容の俳句になってしまっていた。最初に読んだ私は、彼女がこんな句を詠むはずがない、と思っていたが、その通りだった。だいぶ傷ついたようだ。主宰氏も人生の熟達者。〝良かれ〟と思い、善意で書き改めただろうが。主宰の権限で手を加えてもいい。だが「ここは、こうしたいが」「こうした方がいいと思う」と一声あってしかるべきだ。
 
 まず、尾北ホームニュース・江南俳句教室のコーナーで見た句は
♪洗い髪露けし夜を夫と旅、だ。
 私は舞がこんな殊勝な俳句を詠むはずがない、と思い「おまえ、これ本当に作ったのか」と聞いてみると、案の定「私、あんなの作った覚えはない」の声がはね返ってきた。
 デ、元の俳句は次の通りである。
♪髪を梳くこの身露けしただ一世
 これなら、分かる。彼女らしい。

 たまたま、きょうは俳句教室の忘年会、とのこと。彼女は「主宰に言わなくっちゃあ」と勇んで外出したものの帰宅時に「デ、どうしてああなったのか、を問い詰めたのか」と聞くと「会の冒頭に、皆さんの作品は勝手ながら添削させて頂いて提稿していますーと話されたので、せっかくの楽しい場が気まずくなってもいけないので、やめた」とあっさりしたもの。私は「そうだ。ああした視点もある、と思い今後の自らの作句世界への肥やしにすれば視界が広まってよいのかも」と無理して思った。
 ただ、作品の内容が全く変わるような添削はやめてほしい。二度、三度と同じことが続いたら、痛烈に抗議し指摘すべきだろう。

 私自身、ウエブ文学同人誌の編集をしているが、どんな場合でも本人の文を最優先にこれまでやってきた。文は人なり、で人にはその人ならでは、の筆致と思考があってしかるべきだからだ。もし、変えた方がいいと判断した場合は必ず本人への確認を怠らないようにしている。新聞社のデスク長当時も、若い記者の書いた記事は全て俺よりうまい、と自らに言い聞かせ尊重してなるべく原文を生かし、どうしてもーという時だけ本人に断わりを入れたうえでバッサリと削ったりしていた。

 さて私は、と言えば夕方から〈友、遠方より来る〉で外出。友は、劇団希望舞台の売れっこ女優、荻原ゆかりさん。久しぶりに一宮市内の居酒屋「つわの」で二人だけの忘年会を兼ね旧交を回想した。彼女は全国を渡り歩いている旅役者だが、私の能登半島時代から、もう二十年以上の付き合いになる。いつも、心のどこかでつながっている、そんな女優さんである。それはそうと、新生尾張一宮駅「iビル」前の電飾が鮮やかだった。

【新聞テレビから】
☆『衆院選 あす投開票』、『許永中受刑者韓国へ移送 イトマン事件中心人物 国際条約に基づく』『飯田のハチ公山道に10日 案ずる電話 全国から200件 保健所が保護』、『東通原発に活断層か 規制委調査団 全員が指摘』、『「金の年」の笑顔 小原日登美選手 中日体育賞贈呈式』、『〈通風筒〉◇…愛知県田原市の渥美半島沖九キロで十四日朝、シラス漁をしていた漁船が底引き網で銀色に輝く深海魚のリュウグウノツカイを引き上げた(略)◇…(略)古来、自然界の珍事は「天変地異の前触れ」とも言われるが、衆院選の投開票を目前に「政界大変動」の予兆か』(15日付、中日朝刊)
☆『イチロー ヤンキーズ残留決定 2年10億4000万円』、『東京タワー文化財に 戦後日本復興&高度成長のシンボル』(15日付、中日スポーツ)
☆『米の小学校 乱射、子どもら26人殺害 20歳男自殺 母の教員も死亡』『血の海「まるで虐殺」 米小学校乱射』『児童の前 教師射殺 6歳「みんなで逃げた」』『「米は銃規制進めて」 留学中に犠牲 服部剛丈君の両親』、『どうなる師走の投票率 あす衆院選 低調な期日前 後悔なき一票行使を』(15日付、中日夕刊)

十二月十四日
 中日新聞福島特別支局の開局式が昨日(十三日)、福島市内の現地新局舎であった。支局は地元紙・福島民報社の協力で同社の本社ビル四階に置かれた。東日本大震災と福島第一原発事故に喘ぎながらも再生への道をたくましく歩む被災者たち。こうした人々の叫びにも似た生の声を少しでも多く伝えることは、被災者に真から寄り添い同時に復興にもつながり大変よいことだ。

 中国機による「領空侵犯」が波紋を広げている。きょうも中国船六隻が接続水域を航行するなど、かなりの強硬姿勢だ。こうしたなか、北朝鮮は先の人工衛星(長距離弾道ミサイル)の発射成功で祝賀ムード一色に包まれている。

 イタリアとフランスの旅から帰った友曰く。
 「向こうも、とても寒かった」と。イタリアのバチカンを訪れた時は、バチカンが舞台となったトム・ハンクスの主演映画「天使と悪魔」「ダ・ヴィンチコード」を思いだし、ドキドキした、とも。
 恥ずかしながら、その映画をまだ見ていなかった私はさっそく、インターネットで検索してみた。この結果、「天使と悪魔」は2009年公開のアメリカ映画で、原作はダン・ブラウンの同名サスペンス小説「天使と悪魔」と分かった。また同じ作者による小説「ダ・ヴィンチコード」を映画化した2006年のヒット映画「ダ・ヴィンチコード」の続編で主人公は、いずれもトム・ハンクスだった。ロン・ハワード監督、他にアィェレッド・ソラーも出演。教皇が病死し、次の教皇を選出する際、かつて弾圧された秘密結社が復讐を企てるーといったストーリーらしい(やはり原作を読んでみる必要がある)。
 インターネットをあれこれ検索していると、たまたま〈世界の終わり/天使と悪魔〉というユーチューブの画像があったので、クリック。そしたら若者が「悪魔と天使の世界であちらが正しいとかこちらが間違っているとか、分からないんだ。悪魔と天使、ボクらはどちらなのかなんてさ。分かるはずもなければ分かりたくもない。……正しいとか戦うべき悪は自分の中にいる。何かを替えることは自分自身も替えること」云々と歌っていた。

 私は思わず、へええ~と驚き彼女から、また一つ教えられたか、と思った。それにしても妻がよく私に言う「あなたは何も知らない。〝お坊ちゃん〟なのだから。そんなことで小説なんて書けないよ」の言葉の鞭もまんざら当たっていないこともない。知らなさ過ぎる自分を痛感した次第だ。

 夜。毎日新聞夕刊で20歳のときに弟を海難事故で亡くし、35歳のときに前妻、夏目雅子さんを白血病で失った作家伊集院静さんのことが書かれた記事〈別れに底力あり 弧になり根を張れ 「大人の流儀」シリーズが好調 伊集院静さん〉を読んだ。
 記事のなかに次の一節があった。
―「……この世の中、別れたことを口にせず、平然と生きている人間があふれている。出会いとか絆とかいうんだけれど、別れにだって底力があるんじゃないかと思った」「とにかくみんな〈孤〉になれ、と言いたいんだ。いまはずっとずっと携帯でつながっている。〈孤〉になれやしない。(略)友だちと携帯でつながってばかりじゃ、ぽきっと倒れるぞ。根っことつながり、そしてどんどん根を張れ」 
 ……伊集院静は風雪に耐え抜いた一本の木だ。
 
 分かる気がする。
 夕方になり、埼玉に住む友から電話が入った。

【新聞テレビから】
☆『〈強龍伝 1974年の記憶〉巨人のV10阻止…竜20年ぶりセ界制覇』『一瞬の静寂 午後8時9分 大歓声』(14日付、中日スポーツ)
☆『よろい人骨に議論百出 噴火その時の行動は……1500年前の人骨 最期の瞬間何を?』(14日夜、NHKニュースウオッチ9)
☆『トンネル天井670カ所不具合』『笹子下り ボルト脱落や緩み』、『尖閣領空に中国機 初の侵犯 空自が緊急発進』、『拡散予測 全原発で訂正 規制委が検証』、『中国の両親「なぜ」 蟹江の一家殺傷』『「奨学金なく困窮」 三重大入学後 以前の担任に手紙』『林容疑者へ仕送り計540万円』『公務員家庭無口な一人っ子 母「私の命で償いたい』(14日付、中日朝刊)
☆『分秒を争い命を救う 鳥羽海上保安部の潜水士5人 三重県鳥羽市の鳥羽港 毎月9階、救助訓練 写真・文 中村千春』、『〈12・16 見極める衆院選〉進まぬ復興 むなしい選挙 被災地・陸前高田ルポ』『仮設住民 募る政治不信』、『葉ボタン 景気づけ 稲沢で収穫』(14日付、中日夕刊)

十二月十三日
 ことしは日本ばかりでなく世界的に強い寒波に襲われている。シベリアでは、なんと例年の寒さを10~20度も下回る氷点下43~53度を記録、ロシア非常事態省が警戒を呼び掛けている(日本の北海道・旭川では氷点下15・3度)。

 このところ、尖閣列島で海監による領海侵犯を日常化させている中国が、今度は航空機で同諸島上空を侵犯、日中間に、きな臭い雰囲気が漂う。どうやら、衆院選ただ中の日本の今後の国政をにらんでの牽制と見る向きが多いようだ。

 本日付朝日新聞の天声人語によれば、『きのう、2012年12月12日はいわば12の日だった。西暦の年月日が同じ数になる日はもう22世紀までない。この種の並びに無頓着な向きにはどうでもいい話だが、星占いの十二宮(きゅう)で知られる通り、12は「宇宙の秩序」を表す数でもある』という。
 ついでながら、きのう12日付の中日新聞愛知総合版〈愛ラブ自然〉によれば、「毎年十二月中旬には流れ星が多く見られます。ふたご座流星群です。流星が最も多く現れるであろう、今年の極大予想時刻は十四日午前八時、日本では明るくなっていますが、その前後も流星が多いので十三日の夜から十四日の明け方がお薦めです。今年は月明かりの影響がなく、好条件なので、空の暗いところなら一時間に数十個(一分に一個程度)、市街地でも一時間に五~十個(五~十分に一個程度)は見られるでしょう。」とのこと。
 ちなみに「昨夜の星空、とってもきれいだったよ」とは、彼女。

 きょうは、この尾張地方。相変わらずの寒さだったが良い日和に恵まれた。
 そんななか、私は午前中、宮田公民館で開かれた社交ダンス教室へ。ジルバとワルツの〝足〟を中心に、じっくり先生に教えて頂いた。なかなかうまくいかなかった足運び(ステップ)だが、このところのレッスンでこの調子なら、なんとか踊りこなせるところまでいけそうだ。

 きのうは横笛の稽古で名古屋・大須の師匠宅へ。
 中村勘三郎さんの死後の、周りの女優らの動きについて、あれやこれやとお師匠さんならでは、のご高説を承り〝人生道〟とでもいったようなものを教えて頂いた。〈人のふり見てわが身を正せ〉じゃないけれど女優1人をとっても、したたかな人生街道があるかと思えば、あくまでどこまでも控えめな女性と、さまざまだ。人生いろいろ劇。いろいろな生き方があるな、とつくづく思う。

 横笛だの、社交ダンスだのとこうして書いていると、おまえは一体何奴なのだ。【遊び人か】、と揶揄されそうな、そんな意識が時折、頭をもたげもする。私は遊び人などではない。それを超えた一匹文士なのである。

 いやいや、私自身は何事も小説家としての心意気だと思っている。いい小説を書かなければ、と思い、これら稽古事以外には行く川の流れが絶えないように、いつだって読んだり、書いたり。ほかにもいろいろやっているのだ。

【新聞テレビから】
☆『衆院選終盤情勢 自公300議席の可能性 投票先未定なお4割』、『北ミサイル発射 技術向上新たな脅威に 3段目切り離しに成功』『安保理が緊急協議』、『〈九条を選ぶ・見極める衆院選 下〉悲惨さ知らぬ怖さ 風化する戦争』、『希望の「金」字塔 今年の漢字初の〝再選〟(2000年にも「金」が選ばれている)』(13日付、中日朝刊)
☆『北朝鮮「衛星」軌道に到達 米韓両政府が発表』『国連安保理 制裁強化を協議』、『新種カエル 佐渡で発見(サドガエルと命名)、南西諸島以外の国内で22年ぶり』、『訃報〈ラビ・シャンカールさん 92歳=インドの弦楽器シタールの世界的奏者=、ビートルズに影響 シタール奏者』(13日付、毎日朝刊)
☆『すくすく1カ月 危険を回避 名港水族館 シャチの赤ちゃん 子育て注視』『ミック(ローリング・ストーンズのミック・ジャガーさん)の恋文2500万円 英で落札』、『ミサイル発射 安保理が北朝鮮非難 「決議違反」制裁拡大など協議』

十二月十二日
 きょうは1、2、1、2の日で【イチ、ニッ。イチ、ニッ】と、リズミカルで何となく好きな日だ。

 北朝鮮がとうとう長距離弾道ミサイルを発射したかと思ったら、京都府舞鶴市で二〇〇八年に起きた高1少女殺人事件で殺人罪などに問われた無職中勝美さん(64)の控訴審判決で大阪高裁が一審京都地裁判決を破棄、「被告を犯人と認定するに足る証拠はない」と逆転無罪を言い渡した。北朝鮮のミサイル発射に伴う被害がなくホッとしたのも束の間、今度は六人を殺し三人が行方知れずで、殺人罪に問われていた尼崎事件の主犯角田美代子容疑者が留置場で自殺。目まぐるしい一日となった。

 午前九時四十九分ごろ、北朝鮮は北西部・トンチャリ(東倉里)から南に向かって人工衛星と称する長距離弾道ミサイル一発を発射。弾道は上空で三つに分かれ、一つ目が朝鮮半島西方二百キロ地点の黄海、二つ目が南西三百キロの東シナ海、三つ目がフィリピン東方沖三百キロの太平洋上の順に、それぞれ予定された海域内に落下した。
 北朝鮮は、まもなく成功の声明をだしたが、日、米、韓国を中心とした世界の各国は「地球の平和と安全を損ない、国連安全保障理事会の決議や議長声明に違反する発射強行で容認できない」と、さっそく抗議した。

 午前十時過ぎ。いつものように静かに聴いていた語学中心のNHK第2ラジオがいきなり、北朝鮮のミサイル発射のニュースを流し始め、繰り返し報道。幸い、上空を通過した沖縄海域での落下物や被害はないというので、安心した矢先の相次ぐニュースとなった。
        ×        ×
 寄せられた文学同人誌と「湖都の文学」
 

 合間を縫って私、すなわち「熱砂」主宰の伊神権太あてに届いた同人誌三誌(「文学街」「北斗」「文芸きなり」)と滋賀県の「湖都の文学」を本欄〝What’s New〟で紹介。あらためて各誌のページを開かせて頂いたが、どれも文学への情熱が迸り出るものばかりで感銘した。
 このうち「文学街 303号」は、第15回「作家&読者交流の集い」を多彩なグラビアで紹介しており、意気込みが伝わってきた。「北斗 十二月號」も文芸評論家・清水信さんの〈ひたすら書いた人たち〉が39回目の連載となり、ほかに同人各位のエッセイ、小説、詩、短歌、評論とますます磨きがかかった感じである。
 さらに「文芸きなり №75」では、同人長澤奏子さんの死を悼んだ特集【追悼】があまりにも痛ましく、私自身、生前の長澤さんにはお会いするつど優しい言葉をかけられていただけに読みながら「なぜ、そんなにも早く」と、早過ぎる死が残念でならなかった。
 
 文芸きなり代表・石川好子さんからの「【追悼】 奏子さんへ」
 

 このほか、先日の本欄でも一部触れさせて頂いた「湖都の文学」も志村宣子さん(随筆「花の奥には」)、竹花外記さん(随筆「したおび」)、津野洋子さん(小説「昭和に生きた女)、眞鍋京子さん(小説「次男坊の結婚式」)と健筆ぞろいで、まさに地方文学ここにあり、の観がしたのである。

 【新聞テレビから】
☆『〈九条を選ぶ・見極める衆院選 上〉 守られた命 自覚を イラクに学ぶ』、『国際教育調査 小学生の理数学向上 文科省「脱ゆとりで改善」』、『あおなみ線SL どえりゃあ人気 (来年2月に実施する)実験走行 全国から応募6万人』(12日付、中日朝刊)
☆『北朝鮮ミサイル発射 沖縄上空を通過 関係国、追加制裁へ』『意表つく強行』、『角田美代子容疑者が自殺 留置場、首に衣類巻き 尼崎事件』、『舞鶴高1殺害 逆転無罪 高裁「犯人とする証拠ない」 一審無期を破棄』(12日付、中日夕刊)
☆『北朝鮮ミサイル発射 国内に被害なし フィリピン沖落下 破壊措置実施せず』『北朝鮮が成功声明』(12日付、毎日夕刊)

十二月十一日
 私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の若手ホープ、黒宮涼さんから送られてきた意欲作「窓の向こう、花壇の明日」のアップにかなりの時間を割いた。彼女は元々、筆力があるだけに私たち同人の期待も大きい。作品を読む限り、絶えず等身大の自分自身と対峙して、じっくり書き込んでいる点で将来有望だといってよい。
 「私であって私ではない少女の奇怪な行動」は、読む者を作品世界にグングン引きずり込んでいく黒宮さんならでは、の魅力も感じた。読者の皆さまには、ぜひ本欄の〈天空を駆ける未来の作家〉黒宮涼作品集を開いて読んでほしく思う。=関連、本日付「What’s New」と黒宮涼作品集

 きょうは、ほかに先日撮った大正琴のビデオを同人仲間に送ろうとしたが「メッセージを送信できませんでした。メモリが足りません」の表示が出るばかりで、どうしても送れない。このためパソコンの購入先であるヤマダ電機に電話をして、どうしたら送れるようになるか聞こうとしたが午後八時現在、先方からかかるはずの電話はなく、データの送信はあす以降になりそうだ(その後、電話が入り「圧縮ファイル」とやらを、インストールすれば送れるのでは、のアドバイスを得た。それでも、なかなかうまくいかない。今は午前一時)。

 そんな私の奮闘ぶりに妻曰く「チョット。(あなたの)パソコンにあれもこれもデータが入り過ぎで、パソコン自体がだいぶ重くなっているからじゃないの」と。そうだ。そうかも知れない。あぁ~。
 かといって、パソコンを軽くするため、中に入っている貴重なデータをそのまま消し去るだなんて。〝非情なライセンス〟と言えなくもない。第一、こうして毎日書いている血も、涙も、汗もある原稿に限っては、そう易々と葬りさるわけにもゆくまい。
 それとも、これを機会にこの際余分なデータはバッサリ斬り捨てようか。

 人間の世なんて知らない、とばかり高鼾をして熟睡する。こすも・ここちゃん
 

 とまれ、こうしてパソコンを前に原稿を書いたり、チェックしたり、アップしたりする私。その傍らでは愛猫こすも・ここが我関せず、で高鼾をかいており、これを平和というのかなと思ったりする。今日は雪も融け、まずまずの日和。それでも相変わらずの寒さで、ここもシロも、それぞれお気に入りの場所で、まあるくなったままだ。幸せな猫たちだ。

【新聞テレビから】
☆『敦賀原発 廃炉強まる』『規制委調査団 真下に活断層と判断 「再稼働審査できぬ」』『廃炉 強制できず』、『ノーベル賞授賞式 山中さん栄誉胸に』『山中教授 晴れ姿 母と亡き父へ』(11日付、中日朝刊)
☆『今後どうすれば 敦賀廃炉不可避 雇用は 生活は』『誘致50年 地元募る不安』『「クロ」判断 大飯などに影響』『株主の中電 経営に懸念も』(11日付、毎日朝刊)
☆『山中さんノーベル賞の栄誉 感動言葉出ない 「受賞は過去形」決意新たに』、『(冬の夜空を彩るふたご座)流星群13日夜ピーク』(11日付、中日夕刊)

 十二月十日

 ここ木曽川河畔に広がる江南市も雪国と化した
 

 きのうに続き、寒い。もはや真冬だ。
 新聞休刊日で、けさの朝刊はなし。なんとなく寂しいのは私だけか。

 名古屋では前日(九日)に平年より十一日早い初雪を観察。十日朝には通勤時間帯の午前八時に3センチの積雪を記録、名古屋での十二月上旬の積雪は十六年ぶりだとテレビニュースが伝えている。ここ尾張地方とて、おそらく同じに違いない。朝は一面、雪の原だった。
 きょうは午前中、断続的に雪が強く降り、車や民家の屋根、庭先の植え込みなどに〝白い雪〟が積もった。それでも、日中の強い日差しで雪はだいぶ融け、車はいつも通りに行き交っている。

 雪雲を押しのけ地上を照らし出そうと現れ出た真っ赤な太陽
  

 舞台、映画、テレビ、ラジオなど幅広い分野で活躍した俳優小沢昭一さんが、きょうの未明、午前一時二十分に前立腺がんのため亡くなられた。83歳だった。

 きょうは闘病生活中の中日ドラゴンズ公式ファンクラブ会員でもある〝ドラゴンズのお母さん〟的存在の、安江都々子さんと携帯電話で久しぶりに話ができ、嬉しかった。たまたま検査の日で失礼してしまったが、「多くのドラファンに励まされ、有難いことです」と安江さん。完治までには、今少し時間がかかりそうだが、いつもと同じ。何ら変わらない声を聞いて安心した。安江さん! あわてないで。ゆっくり病を克服してくださいネ。

【新聞テレビから】
☆『東海大雪 白鳥84センチ』『岐阜13センチ、名古屋も初積雪』『雪の朝 通勤の足 混乱』『東海地方 路面凍結、鉄道に遅れ』、『北ミサイル初日見送り 通告時間内 確認なし 予定時間入り』、『「名駅の看板」に別れ 「ビルヂング』の文字撤去』、『小沢昭一さん死去 舞台、ラジオなどで活躍 83歳』、『(花巻東高校の)大谷投手 日本ハムへ プロ野球 大リーグ挑戦から一転』

十二月九日
 外は雪である。いよいよ冬の到来である。

 きょうはバッテリーがあがりそうです、との警告を馴染みのスタンドでガソリン注入時に指摘され、さっそく替えていただいた。真冬の道を運転中、エンジンが止まってしまったら、どうにもならないからだ。

 阿児町立神の出口さん夫妻から送られてきたヒオウギ貝、別名アッパッパ貝とも呼ばれる
 

 このところは、これまで親交のあった方々からのお歳暮がちょくちょく届いているが、志摩半島は志摩市阿児町立神の出口武生、綾乃さん夫妻から懐かしい檜扇貝(ヒオウギガイ)が宅急便で届き、感激した。この貝、真珠の海、英虞湾で捕られ豊かな肉質の味はそれこそ、絶品といってよい。
 志摩を去って何年かして阿児町を訪れ、出口さんに再会した際、志摩半島を飛び回っていたころ、私が好んで食べたものとしてアッパッパ(ヒオウギ貝の別名)をあげたことを、ご夫妻は覚えて居てくださり、その後忘れたころに送ってくださり、何よりもその気持ちが嬉しい。さっそく妻がいったん蒸した後、コンロに乗せ火であぶつと豊饒な肉質がジュッと音をたて、それはおいしそうに仕上がった。

 出口さんは私が新聞社の志摩通信部記者として飛び回っていたころ、町教育委員会の社会教育主事としてアイデアをこらしたイベントを連発、一緒になって書かせて頂いたいわゆる朋友でもある。当時は綾乃さんと結婚されたばかりだったが、この綾乃さんがまた色白の美人ときており、会うのが楽しみでお宅まで取材に訪れたこともある。

 夜。「雪よ」の声に外に出ると、真っ暗闇のなかに白い雪たちが、まるで宝石のように天から地上にどんどんと雪の精を落としていた。私はただ、黙ってみる。じっとして見ていると白い妖精たちが人間世界に次々と下りたってくるような、そんなファンタジーな世界に自分が居るような、不思議な錯覚にとらわれた。

 妖精のような雪が空から落ちてきた=9日夜 
 

【新聞テレビから】
☆『真央復活〈4年ぶり3度目V〉 GPファイナル 高橋快挙〈日本男子初の優勝〉』『浅田選手「金」 自立した姿 母に捧ぐ』『思いこらえ切れず、涙』、『〈12・16 見極める衆院選〉 維新・未来 寒風の名古屋に集結 看板人気にすがる』、『ノーベル文学賞・莫言さん 生原稿に友情の証し』『翻訳・吉田さんを授賞式招待』(9日付、中日朝刊)

十二月八日
 Imagine all the people Living life in peace
 きょうは太平洋戦争が始まった日で、人類の平和を願った偉大なる曲「イマジン」の、あのジョン・レノンがニューヨークの自宅前で銃弾に倒れ、命を落とした日でもある。
 東京の日本武道館では午後7時から豪華アーティストがそろい、ジョン・レノンスーパー・ライヴが開かれ、ジョン・レノン、オノ・ヨーコさん夫妻の長男ショーン・オノ・レノンさんも初出演し、亡き父がうたった曲を歌ったはずである。ここに心からジョン・レノンの冥福と世界平和を祈りたい。
 私は都合で行けなかったので開演に先だち〈敬愛するオノ・ヨーコさま、そしてスタッフの皆々さま〉あてに「スーパー・ライヴの大盛況を心の底から祈っています。息子さまの日本での初出演、おめでとうございます。 世界平和を願う作家、伊神権太(伊神ごん太)より」とメールを打電させて頂いた。

 演奏をする琴伝流大正琴「弦洲会」会主の倉知弦洲さん(詩人・牧すすむさん)
 

 午後、妻・舞の営むボランティアのリサイクルショップ「ミヌエット」で月に一度のミニコンサート(入場無料)として大正琴の演奏があり、恥ずかしながら私も鑑賞した。演奏とお話の合間に、主婦業に励む女性を前に牧さん自らの詩「表彰状」=♪あなたは多忙な主婦業の傍ら/日々よく精進を重ねられ/立派に目標を達せられました/(略)これは私から私への表彰状です……=の朗読もあった。

 名古屋の大須で大正琴が生まれ、今年でちょうど百年でもあり、今回は私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」同人で詩人(牧すすむさん)でもある琴伝流大正琴「弦洲会」会主、倉知弦洲さんの演奏を聴く会で、ちいさな店にいずれも志を持った多くの方々が集った。この日は、同じ「熱砂」同人(小説家)でギタリストでもある真伏善人さんら同人も顔を見せ、楽しくなごやかなひとときとなった。
 東京の日本武道館はじめ、中国の万里の長城、米国・カーネギーホール、ロシア・エルミタージュ美術館、京都・清水寺…と主に世界遺産を舞台にした演奏で活躍する倉知さんは、今月二日にも栃木県日光市の日光東照宮で門下生を引き連れ、特別奉納演奏会を開いて喜ばれた。
 日々、殺人的なスケジュールをこなしての演奏だけに、みな大喜び。倉知さんは世界各地での演奏会の話をまじえながら、〈紅葉(もみじ)〉や〈人生劇場〉〈奥飛騨慕情〉など唱歌や演歌を自在に演奏し、観る者の心を虜にした。終わってみれば予定の三十分を大幅に超えており、最後は倉知さんご自身にとっても懐かしい恩師・加藤省吾さん作詞による【みかんの花咲く丘】をみんなで合唱して終えた。

 ちいさくともホットな大正琴演奏に聴き入る女性たち
 
  

 ミニ演奏会のあとは市内の喫茶店で牧さん、真伏さんも交え「熱砂」の例会を開き、例会後、牧さんは次の教室会場へ車で慌しく飛び立った。私と真伏さんは真冬といってもいい寒さのなかを震えながら、名鉄江南駅まで歩き店近くの居酒屋で一献交わし、それぞれの文学論を戦わせた。普段はめったにしゃべらない真伏さんだが、お酒が入ったせいか、彼の信じる道のようなものも話して頂け、大変参考になったのである。真伏さんを駅までお送りしたあとはタクシーで久しぶりにママさんたちが頑張るスナック「月うさぎ」へ。夜遅くの帰宅となった。

 ビール六本に銚子(とくり)が三本。昔はどうちゅうこともなかったが…。少しだけ飲み過ぎで今は朦朧、頭が痛い。

 それにしても、きょうは昼間この尾張平野にも小雪が舞って一日中、とても寒い日だった。でも、その分、大気には透明感があり、あとは能登半島のように目の前に清らかで荒々しい海が広がり【波の花】でも舞ってくれていたら良いのに、といつもの思考が頭を駆け巡った。
 昼間、ミヌエットに顔を出すと舞が久しぶりに着物姿になっており、彼女の【ちいさきコンサート】にかける強い意志のようなものが伝わってきた。皆さんに支えられての、このコンサートが町角でちいさな鐘を鳴らし、この先もそれなりの音を泉の如く奏で続けてくれたなら、私としても純粋に嬉しい。それだけで、いい。

 だが頑張りすぎて体を壊さないように。これは舞だけではなく、牧さんへの〝弟〟からの言葉でもある。
 ハードな日々にもへこたれない倉知会主(左)
 

 この原稿、痛い頭を抱え、午前四時前から書き始めた。傍らにいるのは、愛猫こすも・ここばかりである。日本の片隅。世界。いや宇宙のほんの目には見えない、それでもささやか、かつ確かな家庭の姿でもある。私、伊神権太にはこれから書かねばならぬことが山ほどある。これしきの酒に酔っている暇などはないのだ。

【新聞テレビから】
☆『蟹江一家殺傷 中国人元留学生を逮捕』『強殺容疑 当時、三重大に在籍』、『ノーベル賞記念講演 山中教授「自然も恩師」』、『東北震度5弱、津波も』『石巻1メートル 大震災の余震』、『〈12・16 見極める衆院選 愛知4区〉「脱原発」合唱 本物は誰 自民候補まで主張』(8日付、中日朝刊)
☆『パリに(桂)文枝の笑い』『襲名披露公演で自作の創作落語』、『ペニーオークション摘発 4人逮捕 手数料詐取の疑い 京都、大阪府警』、『日本海側で大雪の恐れ』『「しらさぎ」などJR特急が運休』、『ミサイルに備え自衛隊配置完了 防衛相に報告』(8日付、中日夕刊)

十二月七日
 この広い空の下で、海はいつ怒るか知れたものでない。毎日いろんなことが起きては消えてゆく=大西洋上で、7月8日撮影
 

 笹子トンネルの予期せぬ天井崩落が起きたと思ったら、中村勘三郎さんの若すぎる〝死〟が報じられ、今度は関東、東北地方を「またか」と思わせるマグニチュード7・3の地震が襲った。この世の中、次から次へと容赦なく人間社会を襲ってくる。

 午後五時十八分ごろ、三陸沖を震源に東北、関東地方にマグニチュード7・3、震度5弱の地震が発生。「またか」と一瞬、心が闇に閉ざされた。でも、どうすることも出来ない。
 地震発生と同時にNHKは常時、地震に関する情報を流し、アナウンサーもしばらくは「津波が実際に来ています」「沿岸部の方は、急いで逃げてください」「津波は何度も押し寄せます」「津波は斜面をかけ上がって内陸部まで押し寄せます」「みなさん、すぐに高台に避難してください」「すぐに逃げてください」と、絶叫調で繰り返し、一時は宮城、福島、岩手の各沿岸地域に津波警報と注意報、避難指示が出され、一万七千人以上が避難するなど、大騒ぎとなった。
 さすがに午後七時二十分すぎになり、いずれの警報、注意報も解除されたと聞いた時には、ホッとした。「また東日本の人々が被害を受けるのか」と思うと矢も楯も居られなかったが幸い、たいした被害もなくて本当によかった。
        ×        ×

 きょうは昨日わが家に届いた不在連絡票を手に直接受け取りに、江南郵便局へ。
 いやはや郵便局内の動きを見る限り配達の方々はじめ、まだ年賀状を出すにはチョット早いと思うが、局を訪れる人々の吐息と歩き方がナントナク慌ただしく、街はもはやジングルベルとお正月に向かって歩き始めているな、と実感した。師走に入り、人間たちの足音はこれから日に日に高鳴ってゆく。

 そんな中、きょうは地球一周の船旅で大変、お世話になった藤沢市在住の津江慎弥さんから思いがけず封書を頂いた。封を開けると〈ピースボート76回、首都圏会〉の案内状で日時は来年一月二十四日午前十一時十五分からで場所は、東京・神田は御茶ノ水のホテルじゅらく内、レストラン「あけびの実」、参加費は一人2200円となっていた。
 私は中京圏に住んでいるが、せっかくのご案内、津江さんはむろん、船内で〝ムラジ歌舞伎座〟の南京玉すだれ師匠も務められたムラジさん(村田俊一さん)ら多くの顔にもお会いしたいので許されれば出席したいな、とも思う。

 下船して早や四カ月近い。こうして出会った人々が互いに人間の絆を深めていくことは良いことだ。津江さん、ムラジさんならでは、の発案だと思う。そして。もし、この「熱砂」を読んでくださっている船旅仲間で首都圏にお住みの方がおいででしたら、ぜひとも首都圏会に参加され、旧交を温められるとよい。ちなみに連絡先は津江さん=藤沢市亀井野=。

 船友といえば、船内でお世話になった、ヨーロッパを旅行中の女性からメールが届き、嬉しく思った。「トレビの泉を横から見たとこです」の説明入り写真まで送られてきて感激した。彼女は船内で私に「地球一周の船旅は、これまで一生懸命に働いて生きてきた私自身に対する〝ご褒美〟なの。下船し間もなくしたらヨーロッパへの空の旅も計画しています」と話していたが、とうとう、その夢を開花させたわけで、その頑張りには心から敬意を表したい。

 夜遅く。北海道の稚内では猛吹雪になっているという。稚内は、かつて大韓機撃墜事件で日本人記者としては最初にモネロン島周辺のオホーツクの海を飛んだ際、しばらく取材で滞在していた土地だけに、なぜか気になってしまう。

【新聞テレビから】
☆『さようなら勘三郎さん 最後の告白…ガン真相▽父をみとったその日 息子達の涙の襲名口上舞台裏…独占完全密着』(七日夜、東海テレビ)
☆『2人でもう1人殺害 一宮の女性殺人事件』『遺体切断 愛知の山に 渡辺容疑者が供述 被害者林容疑者の同級生』、『ノーベル賞 山中教授「夢のよう」』『共同受賞者と記者会見』、『「嘉田氏給与停止を」 党首兼務 彦根市長が監査請求』、『尼崎事件 高松遺体は88歳女性 (角田)美代子容疑者が暴行か』(7日付、中日朝刊)
☆『エジプト(新憲法制定承認の)国民投票強行へ (モルシ)大統領が演説、野党要求拒否』、『蟹江一家殺傷 男逮捕へ』『現場のDNA型一致』『窃盗で逮捕 津の中国人容疑者』、『米が臨界前核実験』『オバマ政権4回目「核」の堅持 鮮明に』、『自衛隊に破壊措置命令 政府 北朝鮮ミサイルに備え』(7日付、中日夕刊)
☆『「終日選挙応援」 河村市長に抗議 名古屋市議会6会派』(7日付、朝日朝刊)

平成二十四年十二月六日
 正午のニュースによれば、日本列島は強い冬型の気圧配置でグンと冷え込み、北陸、東北、北海道では寒気とともに非常に強い風が吹き荒れている。山形県酒井市では最大瞬間風速41・3メートルが記録された。このあと北日本では大荒れになりそうで、十分に警戒の必要があるとのことだ。
 実際、北日本は午後に入り〝爆弾低気圧〟とやらに襲われ、暴風に落雷もあり一万戸が停電。これから夜半にかけては落雷、竜巻、猛吹雪が吹き荒れそうだという。日本列島がスッポリと氷塊域に包まれていると言ったら言い過ぎか。「冬」は私たちが来るな、来るな! といったところで容赦なくやってくるのだ。

 わが家に届いたカレンダー「Little ANGELS」と「天気のことば」。このうち「Little ANGELS」には、こどもたちの笑顔が満載されている
 

 

  

 寒さとともに聴こえてくるといえば、師走の足音か。
 足音といって良いと思うが、わが家にいつも、お世話になっているお方から早々とカレンダーが届いた。それが「Little ANGELS」なるカレンダーと「天気のことば」カレンダーで、どちらも大変気に入った。このうち「Little ANGELS」の方は、その名の通り〝天使の子たち〟がモデルで、とってもかわいい。これなら一日中見ていてもあきない。
 昔、空飛ぶ記者として新聞社の小牧通信局に在任当時、このころになるとは決まって全日空はじめ日航、東亜国内航空、名古屋空港ビルなど各社広報マンが、いずれ劣らぬ煌びやかな〝空のカレンダー〟を手に、競って通信局を訪れて来てくれた。いまから思えば、懐かしい日々だった。

 きょうは午前中、社交ダンスのレッスン。先生がいいので、ステップがそこそこ踏め、嬉しく思った。先に船内でレッスンを受け続けていたからか、結構難しそうなステップにもすんなり入ることが出来た。
 午後は自宅から駅近くの床屋さんまで歩いて往復、途中、人けのない公園や駐車場、空き地などで〝シャドー〟で、なんどもワルツのスピンターン、ウイスク、ヘジテーション…を繰り返し、「あぁ、こういう練習の仕方があるのだ」と妙に悟ったりした。これから余裕がある時は駅まで歩いて行こう。 
 
【新聞テレビから】
☆『自民優勢 民主は苦戦』『「投票先未定」が半数 衆院選序盤情勢』、『石綿被害 国に賠償命令』『建設作業「規制が不十分」 東京地裁判決』、『家族5人殺害 無期確定へ』『中津川の事件「動機酌量の余地」 最高裁上告棄却』『〈訃報〉ベシー・クーパーさん(長寿世界一の米女性) AP通信によると4日、米ジョージア州の高齢者施設で死去。116歳。存命中の世界最高齢の人物としてギネス世界記録に認定されていた。』『〈評伝〉中村勘三郎さん 江戸歌舞伎 現代流に 襲名から7年 大看板、早すぎる死』『「父が名乗り魂込めた勘九郎精進いたします」長男が襲名口上』(6日付、中日朝刊)
☆『電力 段階的に自由化 競争で値下げ促す 専門委了承』『〈大波小波〉満州日本人作家のこだわり(駒人)』(6日付、中日夕刊)
☆『悔しゅうございます。しかし一番悔しいのは父…… 息子2人 涙の口上 勘三郎さん死去』、『自民 単独過半数の勢い 衆院選序盤情勢調査』『民主激減 70前後 第三極は伸び悩む』(6日付、毎日朝刊)

十二月五日
 古典から新作まで幅広い作品を演じ、多くのファンから親しまれていた平成中村座の顔・中村勘三郎さんがきょうの午前二時三十三分、東京都文京区の病院で急性呼吸窮迫症候群のため亡くなった。五十七歳だった。
 勘三郎さんは東京生まれ。十七代目勘三郎の長男で母方の祖父は六代目尾上菊五郎。59年に五代目勘九郎を名乗り、初舞台を踏んだ。三十二歳で父を亡くし苦労したが、芸のうまさはピカ一だっただけに本当に惜しい。〝見えない神たち〟は、どうしてこんな逸材を人間社会から奪い去ってしまったのか。

 眞鍋さんから送られてきた【湖都の文学 2012年号】
 

 私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」同人で、滋賀県大津市在住の眞鍋京子さん(兼同人誌「くうかん」代表)から【湖都の文学 2012年号】(発行者・大津市文化祭実行委員会、印刷所・サンライズ出版)が郵送されてきた。
 中に葉書が同封されており『寒くなって参りました。何時も御指導いただき厚く御礼申し上げます。湖都の文学遅くなりましたがお送りします。お恥ずかしい作品ですが、どうかよろしく御指導くださいますよう、お願いします』とあり、小説「昭和に生きた女」津野洋子(実名八田キヨミ)、「次男坊の結婚式」眞鍋京子、随筆「花の奥には」志村宣子、「したおび」竹花外記と、「くうかん」同人の作品名と作者名が丁寧に付記され、『「熱砂」のお仲間に入れて頂き感謝いたしております。どうぞよろしく御指導くださいませ』とも付記されていた。

 なかなかどうして。いつも内容の深い立派な作品を読ませて頂き「教えられているのは、むしろ私の方だ」と思いつつ、眞鍋さんの「次男坊の結婚式」を読ませていただいた。これが現代介護社会の現実を見事にとらえた内容だった。脳障害と闘う男性が介護の家のスタッフの温かい目と協力で次男坊の結婚式に、それも〝父の日〟に参列出来、夢がかなうというストーリーで、淡々とひと言ずつ噛みしめ選びながらの筆さばきは、いかにも眞鍋さんならでは、で見事に円熟の境に達していた。
 他の作品もさっそく読ませていただこう、と思っている。眞鍋さんはじめ、八田さん、志村さん、竹花さんの四人全員が湖都の文学編集委員として活躍されている人ばかりだけに、それこそ頼もしい限りだ。こちらこそ、教えを請わなければ、と思っている。

 写真は山本文子さまから届いた「大日本帝国」の復活阻止を願った、手紙の一部
  
 
 手紙と言えば、きょう名古屋市千種区に住む山本文子さん(82歳、無職)という方から「熱砂」主宰と編集長あてに一通の封書が送られてきた。中に山本さんご自身が朝日新聞の声欄に投稿され紙面化された記事・「君が代」立って歌えぬ世代(朝日新聞オピニオンのページ)のコピーが入っており、記事の傍らには毛筆で〈私たちは国にだまされていました。知ってください。歴史の真相を!〉と書かれていた。
 山本さんは、かつて〝戦争〟に突っ走っていった当時のあの、痛ましい歴史の教訓から、『「大日本帝国」の復活を何としても阻止したい私の願いにご賛同、ご協力頂けたら、これにまさる喜びはありません。 十二月二日 山本文子』とも述べられ、ご自身のホームページで公開された「維新の会」についてのコピーまで同封してくださっていた。
 手紙を開封し読ませて頂いたが、ご自身が長年、見て来た体験に基づくご発言だけに、重く受け止めさせて頂いたのである。
 山本文子さんのホームページは、http://bunei999.cocolog-nifty.com/ 
 皆さん! ぜひ、ご一読してあげてください。

【新聞テレビから】
☆『12党混戦 最多1504人 「災後」問う衆院選16日投開票 東海3県106人出馬』『未来名簿深夜の受理 比例駆け込み提出 書類不備』『こんなに怖い選挙はない 社会部長島田佳幸』、『WBAバンタム級タイトルマッチ 亀田興 5度目防衛』『終盤攻め指名試合制す 「来年はSフライ級」』、『WBCへ侍候補34人 国内組で3連覇狙う ベテラン、経験者重視』『中日から5人選出』(5日付、中日朝刊)
☆『政権枠組み焦点に』『衆院選公示過去最多1504人立候補』、『鳥取連続不審死 上田(美由紀)被告に死刑判決 地裁「味しめ2件目、悪質」』(5日付、毎日朝刊)
☆『中村勘三郎さん死去 平成中村座、多彩な舞台 57歳』、『中村勘三郎さん死去 歌舞伎を愛し愛され 名古屋城でも「中村座」』『松本での公演が最後に』、『地下鉄東山線 中村公園駅エレベーター 男性、二十分間閉じ込め』(五日付、中日夕刊)

十二月四日
 写真は、世界平和を願って〝虹色の光〟を天高く放つImagin Peace Tower。ジョン・レノンの命日(8日)まで点灯されている=アイスランド・レイキャビクのビーズエイ島
  

 衆院選が始まった。
 とはいっても、テレビニュースや新聞報道など各メディアや候補者ら一部関係者だけの世界のような気もしないではない。夕方現在、木曽川河畔に広がる私の住むこの街には選挙カーのひとつとして現れてはいない(と思ったが…)。いや、一台来たそうだ。
 政権公約とか、いろいろあるだろう。
 でも、突き放せば「選挙は選挙。いつの時代も変わらない気がする」。どの候補者も、自分が当選したいだけなのではないか。

 今度の衆院選は何よりも先に〝3・11東日本大震災〟からの被災地の復興に有権者の期待がかかっている。ほかに、福島第一原発事故の教訓から生まれた原発に頼らない自然エネルギーの確立。デフレからの脱却と経済復興。日本国憲法9条の保持、見直し。さらには消費税の是非…と、各党の本気度が問われる選挙であることは確かだ。
 それだけに、ただ長々と演説するだけではなく、もっと奇抜でアッと驚かせる、人々の心を虜にしてしまう、そんな政策論争、戦術は考えられないものか。有権者の心を掴みきれる候補者が、どれだけいるか、で政治は良くも悪くもなろう。

 午前中、妻・舞の定期受診で市内の江南厚生病院へ。担当医によれば、特に問題はなさそうでホッとした。ただ彼女は以前に大手術をしているだけに、来年春ごろに改めてレントゲンによる画像検査をしましょう、とのことだった。何かにつけ、無理をしがちなので、今後もしっかりと大切にしていかなければ、と思っている。
        ×        ×

 「ジョン・レノン、オノ・ヨーコさまご夫妻の長男ショーンオノレノンさんの初出演、心からお祝い申し上げます。大成功、祈っています。いつも貴重なご連絡、ありがとうございます。それでは、また。  伊神権太(伊神ごん太)より。愛込めて」

 写真は若き日のジョン・レノンとオノ・ヨーコさん(ジョン・レノン・スーパー・ライヴのホームページから)
 

 きょうは先日、ジョン・レノン音楽祭事務局からレノンの命日である今月8日に日本武道館で開かれるスーパー・ライヴを前に、私あて=なぜか伊神権太ではなく、いつも〝伊神ごん太さま〟でくる=に届いたメールに対し上記のような返信を出しておいた。
 届いたメールの内容は以下の通りだ。
 【父の命日に歌う! ジョンとヨーコの息子ショーンの初出演が決定!! Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴまで、あと1週間。本日、最後のアーティスト発表がありました! ジョン・レノンとオノ・ヨーコの長男、ショーンオノレノンが、初出演。父の命日に、父の歌をコンサートで歌うのは初めてになります。日本武道館はジョンが日本で唯一コンサートを行った場所でそんなゆかりのステージに立ち、父への思いを歌うことになります】
       ×        ×
 ちなみに「ショーンはジョンと同じ誕生日の10月9日。一家で何度も日本を訪れ、軽井沢では親子で自転車に乗ったり散歩していました。父との思い出がつまった日本は、ショーンにとって第2の故郷です。震災の津波や原発事故の影響で、たくさんの人たちが苦しむ姿に心を痛め、自分で何かできないか考え、スーパー・ライヴの提唱者でもある母、ヨーコさんに思いを打ち明け、出演が決まったそうです。」=ジョン・レノン音楽祭事務局発行のメルマガより

 日本で父の歌を初めて歌うショーンオノレノンさん
 

 ことしのジョン・レノン音楽祭は大いに盛り上がりそうである。

【新聞テレビから】
☆『(ドラゴンズが)新入団選手発表 66落合前監督継ぐ 古本(武尊外野手) 僕も三冠王』『守道監督「自分で切り開け」』(4日付、中日スポーツ)
☆『示す一票の絆 衆院選きょう公示 〈東京本社論説主幹・山田哲夫〉脱原発 勇気と覚悟問う』、『トンネル崩落 130メートルつり金具全て落下 中日本高速きょう捜索』『笹子のみ打音検査せず』、『急上昇 なぜ電源が エレベーター事故点検状況調査へ=名古屋市中区栄の飲食店で2日深夜アルバイトの女子店員(28歳)が約40分間、エレベーターに上半身を挟まれて死亡した事故で…』
☆『衆院選1482人届け出 16日に投開票』『「3・11後」針路選ぶ』『師走の被災地 希望届くか 福島から第一声』『東海3県の25選挙区 106人が届け出』『原発、増税、憲法、考えるとき』『「避難生活分かるか」「賠償も除染もまだ」 福島県民、党首に冷ややか』、『〈大波小波〉増田みず子の再起』(4日付、中日夕刊)
☆『ゴン中山(サッカー元日本代表FWの中山雅史選手、45歳)が現役引退へ』(4日付、毎日夕刊)

十二月三日
 あすの第46回衆院選公示を前に、日本は山梨県大月市の中央自動車道上り線笹子トンネル内で起きた天井板崩落事故で大騒ぎとなっている。

 死者はその後、四人から九人に増え、各メディアとも崩落原因として中日本高速道路が言及した「天井板を支えるつり金具を内壁に固定するボルトが抜け落ちていた」点をとりあげ、老朽化も含めた日頃の安全管理上の不備をそろって厳しく指摘している。
 それにしても、ある日突然のように起きた崩落事故で命を失った人々とその家族の方々の悲しさには言葉もない。     ーー合掌
 このありさまでは、今後も同じように天井が急に落下してくる可能性は他のトンネルでも十分ありうる。私達は皆、〝ダモクレスの剣〟の下を通行しているといっても過言でない。
        ×        ×
 月曜日。朝から、ほぼ一日かけてこのところ溜まった新聞の整理をした。
 現役時代は、かなり詳しいところまで記事を切り抜いてスクラップ帳に項目別に張ったものだが、これからは「どうしても」という記事の切り抜きだけに簡素化していきたい。とは言っても、昔のころの悪い癖で、ついついあれもこれもと欲張ってしまう。デ、いったん切り抜いた記事を思い返してゴミかごに捨てる繰り返しとなった。
 この点については先日お会いした、ある盟友に「これからは、余分なものはどんどん捨てる。捨てなきゃ、いい小説なんて書けないわよ。いま、あなたにとって気になったり重要だと思うものをノートに書き出して、捨てていいものを一つひとつ消し去っていくといい。そうしたら本当に重要なものが何か、が見えてくるはず。いいもの持ってるのだから」とのご指南を得、この教えを一つひとつ実行に移しているわけだ。

 デ、この厳しくも優しい忠告を受け、このところは自分に関係するもろもろをノートに書き出し、捨てて良いものには×印をつけていくという作業を始めた。今後は絞り切ったものを中心とした執筆活動に当たりたい。

 路傍に密やかに立つ馬頭観音。地蔵尊の前には、誰が手向けたか。黄と紫色の花が供えられていた
 

 夕方、一本の電話が鳴った。
 何事か、と受話器を耳にあてると稲沢市の商工会スタッフだった。きのう黄金色の街を訪れた際、路傍に密やかに立っていた地蔵菩薩のような仁王立ちの〝お地蔵さん〟があったので気になり、「これは何ですか」と土地の方に聞いても誰ひとり答えられなかった。それで、たまたま近くにいた商工会スタッフの男性に聞いたところ「調べて、ご連絡します」と丁寧に応対してくださったが「あぁ、あの時の若者だ」と直感。
 電話の主はその通り、商工会のスタッフで彼は「馬頭観音だそうです。この辺りはその昔、馬が多かったみたいです」と教えてくれた。広辞苑によれば、馬頭観音とは「頭上に馬頭をいただいて忿怒の相をなした変化観音で馬頭を直接、頭にするものもある。馬頭明王ともいい、馬の保護神として特に江戸時代に広く信仰された」云々とある。
 そうか。この観音像が、山崎地区の安全を見守ってきたのだ、と妙に納得すると、急にあのお地蔵さまのところに駈けていきたい気持ちにかられた。商工会の皆さん! お疲れさま。そしてありがとう、と、この紙上で礼を申し上げたい。

【新聞テレビから】
☆『大規模崩落なぜ!? 検証トンネル事故の謎』(3日夜、NHK〈クローズアップ現代〉)
☆『トンネル崩落 4人死亡』『天井落下、車下敷き 山梨の中央道老朽化の可能性』『「恵那山」も同構造』『つり下げ金具脱落か 77年から交換せず』、『衆院選あす公示』、『栄の飲食店 エレベーターで女性重体 業務用、掃除中挟まれる』(3日付、中日朝刊)
☆『トンネル崩落 死者9人に 山梨の中央道事故』『天井ボルト脱落 中日本高速「老朽化が原因』『同構造トンネル 緊急点検を実施』、『挟まれ重体の女性死亡 エレベーター事故 業過致死で捜査 中署』、『名古屋や岐阜など冷え込み今季一番=名古屋市で1・4度、岐阜市は0・4度、津市は2・1度』(3日付、中日夕刊)
☆『天井留め具 脱落』『中央道トンネル崩落 死者9人に 山梨』、『首相第一声 福島で』『衆院選あす公示 自民、未来、社民も』(3日付、毎日夕刊)

十二月二日
 山梨県大月市と甲州市にまたがる中央自動車道の笹子トンネル(全長約四・七キロ)内で今朝八時ごろ、トンネルのコンクリート製天井部分が長さ百十メートル以上にわたって崩落、通行中の車両何台かが下敷きになるという事故が発生した。午後十一時現在、四人が亡くなった。犠牲者はさらに増えそうだという。
 現場は甲府―東京間の東京側出口から1・7キロ地点。管理に当たる中日本高速道路によると、重さ1・2トンの天井板約180枚が同時に落下、ワゴン車に乗っていた三人とトラック運転手一人の計四人の死亡が確認されたという。

 いやはや、この世の中、いつ何が起きるか。知れたものでない。中央道そのものの老朽化も多分に影響していそうだ。今後、第二、第三の同様事故が起きないとも限らない。本来、安全であるべきトンネルがこんな状況では。早急の安全対策が望まれる。
 
 至るところ黄金色に染まったイチョウの里
 

 【久治イチョウ】と、その来歴が書かれた案内板
 
 
 
 きのうの中日新聞夕刊で紹介されていた愛知県稲沢市祖父江町の【黄金色の街】に妻と行ってきた。彼女に名鉄山崎駅近くで開かれている〝そぶえイチョウ黄葉まつり〟に行こう、と誘われていたためだ。わが家からはマイカーで一時間の道のりだったが、極彩色ともいえる黄葉にはふたりとも感嘆の声をあげざるを得なかった。行ってよかった。

 途中、豚汁とギンナンごはんを食べ、抹茶をいただいたりしたが、あとは一帯をあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしながら、それこそ、どこもかしこも金一色の街を散策。メーン会場に並んだ屋台行列の中に五平餅を見つけ、買うなどした。はらほろと〈かぜ〉に舞い落ちる黄葉たち。その潔さには、それこそ精いっぱいに生きてきた「生」のあかしと終焉を見るようで物の哀れを感じつつ、かつ〝いとをかし〟くも、あった。
 舞い散る姿は、ただ黙ってみるほかない。尽きた命は、助けようにも助けられないのである。時折、天から下を伺うように顔を見せる太陽。私たちは歩きながら、一歩あゆむごとに全身が金色に染まってゆく、そんな錯覚にとらわれ、かつて初めて二人でこの地を訪れたときに舞が詠んだ俳句♪日輪に 黄落の風 生まれ出づーと口遊んでいた。
 あのとき私は彼女の作句を受け【黄のひとひら どこへ行く】と返したが、いま再び同じ言葉が浮かんできたのである。

 このほか、天文22年(1553年)に旧長岡村から移転後に植えられたという山崎地区最初の品種原木・祐専寺イチョウ(稲沢市指定天然記念物)、そして現在の銀杏の里繁栄の直接のきっかけを作った〝久治(久寿)イチョウ〟の原木も見ることが出来た。この〝久治イチョウ〟は170年ほど前、富田栄左エ門さんが自宅庭先に紅葉を楽しむために原木2本を植えたのが始まり(うち1本は伊勢湾台風で倒木)。その後、息子の久次郎さんが原木から収穫した銀杏を「久治」として名古屋市場に出荷、実が大きくて高根で売れたことから山崎地区で評判になり大粒種の穂木が広まったとされる。 

 大勢でにぎわったイチョウ黄葉まつり
 

 アタシも見たかったのに。残念そうな、わが家の貴公子・シロちゃん
 

 きょうは本音を言えば、午後一時からの江南九条の会結成7周年記念講演会会場(布袋ふれあい会館)も訪れたかった。でも、時折〈寒くて強いかぜ〉が吹きすさぶ中をだいぶ長い間、彷徨うが如く歩いただけに、舞のからだのこともあり無理はしないでそのまま帰宅した。山崎地区では、可愛い愛犬を連れて歩く家族も多く見られ、なかには子犬を抱きながら見学する若者たちも。たとえシロちゃんだけでも連れて行ってやれば良かったナ、と心底思った(姉のこすも・ここの場合は、恐らく人前でジッとしておれないので無理)。

【新聞テレビから】
☆『〈ドナルド・キーンの東京下町日誌〉 「美しい星」 痛切 三島(由紀夫)との交流』、『北ミサイル発射予告 10~22日 沖縄周辺通過か 日朝協議は延期 首相通告』、『板橋主婦刺殺 窃盗で22歳男逮捕 容疑否認、殺害でも聴取へ』『家賃滞納、事件後支払』、『〈通風筒〉全日空が一日、創業六十周年の式典を羽田空港国際線ターミナルで開き…』(2日付、中日朝刊)
☆『原発ゼロ 福島の願いを国政に』『遅れる除染や賠償 事故前の暮らしを』『災害関連死1000人超 過酷な避難生活今も』(2日号、しんぶん赤旗日曜版)
☆『政権公約比較 「原発ゼロ」8党主張 政権実現 手法、工程あいまい』、『〈追跡2012〉新しいアイドル誕生 名古屋港水族館シャチの赤ちゃんスクスク』『泳ぐ姿人気に』(2日付、毎日朝刊)
 

平成二十四年十二月一日
 「人間のやることは…」と首をかしげる愛猫こすも・ここ。まもなく19歳になる=1日夜写す
  

 ことしも残すは一カ月。金沢、新潟、茨城など北陸と関東北部で初雪が降り、十二月中旬から一月並みの寒さとなった。

 久しぶりにゆったりした一日。新聞テレビは、どこもかしこも選挙、選挙…の花盛りだ。脱原発、消費税増税、TPPへの参加の是非と、「ああいえば、こういう」で、どの党首も話せば話すほどに、身から出た錆びがホコロビとなってポタポタと滴り落ちる始末だ。もしかしたら、党首の誰もが党利党略がからみ、発言の過程で本来あるべき自分の姿を見失ってしまっているのでは、とそんな気さえする。

 本日付の毎日夕刊1面トップに『未来 嘉田氏が原発再稼働容認 「政府の判断あれば」』の見出しが躍っており「そんなはずはないのだが」とドキリとした。実際、嘉田さんはきょうの午前、読売テレビの番組に出演した際、「原子力規制委員会が安全性を担保し、政府が必要だという判断をした場合、再稼働を認める」と述べたという。
 この発言を受け午後七時からのテレビニュースによれば、各社からの〝再稼働容認〟への真意の問い質しに対して嘉田さん曰く。「再稼働するのは針の穴に糸を通すくらいむずかしいこと。今は困難です」と。
 私が予想した通り、案の定の答弁となった。

 それにしても何故、あんな報道になってしまったのか。十年後に原発ゼロ達成を唱える嘉田さんが「再稼働」を容認する、など現段階ではありえないではないか。いくら、言葉の微妙なニュアンスがあるとはいえ、【再稼働容認】など先日の【(減税日本の)河村氏 衆院選に出馬】の〝飛ばし記事〟同様、毎日サンらしくない。今回の合従連衡を見る限り、各党の離合集散や政策の動き、党代表の発言は、ひと呼吸してから報じた方が良い気がする。
 むしろ、他社が書いた後でも十分間に合う、その方がより客観的に、真実の報道の使命を果たすことになるのではないか。

 へんなことを話すが、きょう、ふと思った。わが家の愛猫たち、こすも・こことシロちゃんは、ニンゲンたちのこうした〝珍道中〟、いやドタバタ劇をどう思って見ているのか、と。恐らく誰もが、猫なんて何も思わないに決まってるよ、と答えるだろう。
 しかし、だ。私は、そうは思わない。ちょこんと座って可愛い顔で私たちと一緒にテレビ画面を見ている姿を見る限り、猫ちゃんなりに、テレビニュースから伝わってくる何かを、いわゆる〝気配〟のごときものを感じているに違いない。いや、寧ろニンゲンどもは、どうしてこんなにも実りなきことに時間を費やすのだろう、とあきれ返っているのかも知れないのである。

 写真は、「武功夜話」の歴史を今に伝える尾北ホームニュースの随時連載紙面〈武功夜話を読む〉
  

 そして。きょうのメディアのなかで一番嬉しかったのは、日刊紙に挟まれてきた〝尾北ホームニュース〟である。紙面に毎回、楽しみにしている【武功夜話物語 その120 〈武功夜話を読む(須賀弘之)〉】が掲載されており、私はいつもの如く食い入るように読んだのである。今回は、弘治元年(1555年)に小折生駒屋敷=現江南市小折=で生まれ、戦国の世を文字通り、渡り歩いた生駒一正(後の高松城主)と、その略系が中心だったが、大変参考になった。

 北朝鮮中央通信によると、北朝鮮は今月10~22日の間にトンチャリ(東倉里)から南に向かって人工衛星の打ち上げ(ミサイルの発射)をするという。ことし四月に失敗した打ち上げを成功させ、金正恩(キム・ジョンウン)総書記による新体制を確たるものにする狙いがあるという。そういえば、金総書記はつい最近、〝世界一セクシーな男性〟だとしてアメリカのメディアが報じ、これに追随した人民日報が皮肉にも逆に読者の信用を落とすーなど話題をさらった人物でもある。

【新聞テレビから】
☆『〈11党首討論会〉政策別に対決の構図 原発や消費税 各党交錯』、『「爆発したら死んじゃう」 東電会議映像 所長、本店に怒り 福島第1事故』、『〈青い鳥は…見極める衆院選〉デモで膨らむ脱原発 漂流する票の受け皿』、『自分の鼓動また感じる 新人工心臓で治療 名大病院きょう退院 相田さん、喜びの会見』、『(2014年卒業予定の大学生らを対象にした)大卒就活きょう解禁 説明会、イベント本格化 名古屋など』(1日付、中日朝刊)
☆『ビル街に輝くツリー ミッドランド来月3日まで』、『日本芸術院の新会員 (市川)団十郎さんら8人』(1日付、毎日朝刊)
☆『ようこそ 黄金色の街へ 稲沢「そぶえイチョウまつり」師走の盛り』(1日付、中日夕刊)
☆『未来 嘉田氏が原発再稼働容認 「政府の判断あれば」』、『イスラエル 入植地新たに3000戸 パレスチナ「格上げ」に報復』、『水星に大量の氷 NASA 探査機データで初確認』(1日付、毎日夕刊)