詩「風よ」 

青空が輝いているというのに
どうしてですか
風がうなりを上げて吹きあげます
濃い緑の桜並木の葉っぱが
裏返しになってちぎれそうです
伸びた雑草も反り返ってこらえています

空中では
大きなカラスがヨロヨロリ
子雀のいる家族たちは
大杉の枝に身を寄せて
やめてやめての大合唱

緑を塗りたくった遊歩道
ダンゴムシが歩いています
指でちょこんといたずらをすると
本当に団子になって死んだふり
この風の強い中
どうして出かけたりするのでしょうか
たぶん
引っ越し日和なのでしょう

風を避けてベンチに腰を下ろします
右のポケットからカロリーメイト
尻のポケットから缶コーヒー
虹色の幸せがふわっと広がります

桜さん 長くなった雑草さん
吹き荒れる風は大迷惑なんでしょう?
人間になりませんか
そういう僕は遥か昔
あんずの木だったような気がするのです

カラスさん スズメさん 
そして ダンゴムシさん
食べることが
一時も頭から離れないのでしょう?
人間になってみませんか
そういう僕は遠い覚えに
トンビだったような
ゲジゲジだったような感もあるのです

風さん 風さん
あなたも改心を積めば
人間のような心は持てますよ
きっと