【一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2019年9月)】

2019年9月30日
 月曜日。ことしの9月は、きょうで終わり。あすからは、いよいよ消費税が8%から10%に増税される。一方では赤いヒガンバナやコスモスがあちこちで咲きそろい、ここ1週間ですっかり秋めいてきた。秋本番の到来である。

 あらばしりAI「ひばり」と夢一夜
 =伊神舞子の〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 昨夜はNHKスペシャルで「美空ひばりAI(人工頭脳)で復活発表! 30年ぶりの新曲よみがえる奇跡の歌声 一夜限りの感涙ライブ」を見て科学の急速な進歩をあらためて思い知った。私と舞は、AIによって音程、タイミング、音色、ビブラートなどを検討のうえ精密に作りだされた新曲〈あれから〉に聴き入ったが、「まだまだ課題はあるけれど、よくやったと思うよ」とは彼女のすなおな感想。私はといえば、逆に「人間そのものの存在は、やはり科学を上回り、科学を超える存在である」ことを痛切に感じたのである。
 きょうは、舞がお休みでもあり、それとなんでも「ゼロの日はポイントが5倍になる」というので2人で近江商人の店・平和堂へと出向いた。いやはや、驚いた。駐車場は満杯。あげくに店内は人、人、また人の賑わいぶりだ。店先に設置された各金融機関のATMは、どこも長蛇の列で、もしかしたらここは〝不思議な国〟なのでは、との錯覚にまでとらわれた。そこには、【売り手によし、買い手によし、世間によし】のまさに近江商人ならでは、〈三方よし〉の精神が息づいていた。

 尾張の国でもそれほど多くはない人口のこの街・江南のショッピングセンターが人で溢れかえっている。ひとりぐらい知人と会っても不思議でないはずなのに通りすがりの人は誰ひとりとして知らない。皆この世で、いや宇宙で、地球上で。初めて見る顔、顔、顔ばかりである。ポイントが高くなるのと消費税値上げ前日の買いだめにこの街の女性たちが男たちを引き連れ、買いだめに走ったのか。そんな光景である。
 私はなぜか、45年前の石油パニックで三重県志摩半島の真珠の海・英虞湾に面した阿児町鵜方(現志摩市)で一緒になってまもない舞がトイレットペーパーの買いだめに走った、あの日々を思い出した。でも、今はあのときの悲壮感はない。やはり違うな、とも思った。それはそうと、人間たちのやってること、ニンゲン心理はいつだって同じみたいな。そんな気がする。

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 この1週間、本欄ではとても書ききれないほど、いろんなことがあった。
 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会。28日に静岡県袋井市の静岡スタジアムで行われた一次リーグA組第二戦で世界ランキング9位の日本は同2位の優勝候補アイルランドを19―12で破る大金星をあげ、史上初のベスト8進出へ大きく前進。将棋の王位戦七番勝負(中日新聞社主催)では木村一基新王位が誕生、29歳の豊島将之前王位ら20~30代が棋力のピークとされる将棋界で46歳にして遅咲きの花を咲かせた。もうひとつ。明るい話でNHKの朝ドラ「なつぞら」でも人気だった、あの貫地谷(かんじや)しほりさん、33歳が一般男性と結婚したそうだ。おめでとう。

 ラグビーの金星を報じた中日スポーツと中日新聞本紙
 

 そうかと思えば、27日には関西電力の八木誠会長(69)らが、関電高浜原発が立地する福井県高浜町の元助役で生前、若狭のドンとまで呼ばれていた森山栄治氏(ことし3月90歳で死亡)から多額の金品を受領していた問題で岩根茂樹社長(66)が臨時の記者会見を開き、2011年からの7年間で20人が総額3億2千万円を受け取り、自身や八木会長を報酬減の処分にしたことを明らかにした(辞任は否定)。いやはや。なんたることだ。開いた口が塞がらない、とこのことか。聴けば、関電幹部に金品を渡していたとされる高浜町元助役の森山氏は1969(昭和44)年に高浜町に入庁。人脈を駆使して建設事業を呼び込むなど手腕を振るっていたという。
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 26日は台風災害としては明治以降、日本で最多となる5098人もの死者・行方不明者を出し53万人が被災した昭和34年の伊勢湾台風から満60年。この日、うち1851人の死者・行方不明が出た名古屋市の千種区にある慰霊碑前で河村市長や遺族らが出て慰霊祭が営まれ、1分間の黙祷のあと花が手向けられた。
 ことし1月の初場所限りで現役を引退した荒磯親方(33)=元横綱稀勢の里、本名萩原寛、茨城県出身、田子ノ浦部屋=の引退相撲が29日、東京の両国国技館で開かれた。断髪式では元横綱3代目若乃花さんや元横綱日馬富士さんら約300人が別れのはさみを入れた。中日ドラゴンズは甲子園での阪神戦で6―3で敗れ、残り1試合を残して3年連続の5位が確定。
 この日、ドラフト新人1位のルーキー、根尾昴が七回から遊撃の守備につき、プロ初出場。それにしても出すのが遅すぎた。いやしくも鳴り物入りの新人だけに、ファンサービスと本人のためにも与田監督にはもっともっと早く出してほしかった。京田と根尾を互いに競い合わせるわけにはいかなかったのか。それとも、根尾はまだ力不足だ、とでも言いたいのか。そのあたりになると、私にはわからない。
 ただ、これはファンに共通した思いであることだけは確かだ。

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 死者58人、行方不明者5人を出した御嶽山の噴火災害が27日、発生から5年を迎え、麓の長野県王滝村で追悼式が営まれ、遺族らが山に向かって祈りを捧げた。夜には木曽町の公園で慰霊式があり、灯籠をともして犠牲者を悼んだ。
 日本文学研究の世界的権威で2月に96歳で亡くなった米コロンビア大の名誉教授ドナルド・キーンさんの追悼会が27日、ニューヨーク市にある母校の同大で開かれた。
 地球温暖化対策を訴えるスウェーデンの少女グレタ・トゥンべリさん(16)が27日、カナダ東部モントリオールで抗議デモに参加。「安全な未来のために闘い続ける」と訴えた。この日、若者らの抗議行動はアジア諸国に続き、欧州や米国など世界各地でも行われた。
 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」が中止になった問題で26日、国は愛知県に約7800万円の補助金を交付しないと決定。

9月23日
 秋分の日。台風17号はきょうの午前9時過ぎ、能登半島沖で温帯低気圧に変わった。

 きのうは中部ペンクラブの秋の公開シンポジウム『中部ペン』を読み文学を語る―が愛知芸術文化センターであり、出席者による活発な論議が繰り返された。帰宅したら関脇御嶽海が同じ大関貴景勝と12勝2敗同士で優勝決定戦に臨み、御嶽海が寄り切りで勝ち、7場所ぶり二度目の優勝を決めた。何でも関脇による2度目の優勝は1956年春場所と1957年春場所を制した朝汐(後の第46代横綱朝潮)いらいだそうだ。
 
 中部ペンクラブの公開シンポジウム。作品について熱心で実りある話し合いが進んだ=愛知芸術文化センターアートスペースで
 
 
 

 貴景勝を寄り切り、インタビューに答える御嶽海と息子の勝利に「やった」と喜ぶ母親マルガリータさん(NHK総合から)
 
 
 

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 そして。きょうは秋分の日。午前中、舞と一緒に和田霊苑まで行き、亡き父の墓前に花を供え、その足で私たちの畑〈エデンの東〉へ。幸い、畑は十分とは決して言えはしないが、私たちふたりのそれなりの努力に協力者の温かい配慮もあって、それほど荒れてはおらず私たちはホッと胸をなでおろしたのである。
 それよりも、和田霊苑では無縁仏の墓にも手を合わせたが、小高い丘の上に寄り添うようにしてそびえ立つ多くの仏の数々には、何といっていいか。強烈な死者の魂と〝叫び〟のようなものを感じた。

 久しぶりに訪れた〈エデンの東〉の一部
 
 和田霊苑の無縁仏
 

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 秘境駅で知られるJR飯田線大嵐駅(浜松市)で待合室に備え付けてあった記念スタンプがなくなっていることが駅を管理する愛知県豊根村富山支所への中日新聞の取材で分かった。支所は何者かが持ち去ったとみており「多くのみなさんが楽しみにしているスタンプ。持ち去った人は、そっと送り返してほしい」と話している。
 岐阜県が22日、恵那市の民間養豚場の豚から豚コレラの陽性反応が出たと発表、県は陸上自衛隊に災害派遣を要請し、飼育している全8000頭の殺処分に入った。岐阜県内の飼育施設で陽性反応が出たのは24カ所目。今回を含め計7万頭が殺処分されることになり、県内の飼育頭数の実に6割が失われるという。
 女子ゴルフの渋野日向子(20)が22日、愛知県美和町の新南愛知CCで行われたデサント東海クラシックの最終ラウンドで8バーディー、ボギーなしの64をマークして通算13アンダーとし、8打差の20位から逆転優勝。
 米大手ホテルチェーン「ヒルトン・ホテルズ」元会長のバロン・ヒルトンさんが19日、老衰のため西部ロサンゼルスの自宅で死去。91歳だった。

9月21日
 露草の瑠璃色の帆の張るごとし
 =伊神舞子〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 土曜日。あれほどまでに暑い日々が続いたのに、いまはもう秋だ。確実に涼しくなってきた。とはいえ、またまた大型で強い暴風域を伴った台風17号が沖縄を経て東シナ海を北上。九州北部と対馬海峡に接近、こんご中国地方を経て日本海に向かうと見られ、被害が心配されている。
 新聞(毎日・余録)では1991(平成3)年に日本海側をかけ抜け、青森県で収穫予定のりんご50万㌧のうち39万㌧を吹き落とした猛烈台風、リンゴ台風に似ている、と論じていた。
 あのころ私たちは能登半島にいて嵐が通り過ぎたなか、倒木などで道路がズタズタに寸断された台風一過の能登路を各チームが郷土の栄誉をかけて走る全能登駅伝(2日間にわたって能登半島を縦断する)を出場全チームの賛同をえたうえで強行。レース二日目早朝には定置網の被害状況をこの目で、と早朝に地元漁民の漁船に同乗し沖合で破壊された定置網の現状を確かめ、トンボがえりした。そればかりか、当時家族で暮らしていた七尾にあった支局長住宅の瓦という瓦が吹き飛ばされ、大改修した苦い思い出もある。

 ラグビーのワールドカップ(W杯)日本大会が20日夜、東京・味の素スタジアムで開幕。日本はWTB松島幸太朗(26)がW杯での日本代表史上最多の3トライを挙げ、ロシアに30―10で快勝した。日本は引き続き28日にアイルランド(世界ランキング1位)、10月5日にサモア(同16位)、13日にスコットランド(同7位)と対戦する。
 優勝へのマジックナンバーを「2」としていた巨人が今夜、2位DeNAに延長十回、3―2で勝ち、5年ぶり37度目、1リーグ時代の9度を含めると46度目の優勝。原監督復帰後1年目にしての快挙である。われらが中日ドラゴンズもヤクルトに14―2で勝って4連勝、3位広島に1・5差に詰め寄り、7年ぶりのクライマックスシリーズ出場への夢をつないでいる。
 さあ、いけ。ドラゴンズ!

 米ニューヨークで23日に開催される国連気候行動サミットを前に20日、各国のリーダーに具体的な気候変動対策を求めるデモ「気候ストライキ」が欧米やアジアなど世界各地で開かれ、400万人以上が参加。このストライキは、サミットに参加するスウェーデン人の環境少女グレタ・トゥンベリさん(16)が昨年以降、政治家らに気候変動対策を求めるために母国の国会議事堂前で座り込みを続けてきた金曜日に合わせ行われた。
 このうちニューヨークでは市が「自分たちにとって重要な問題に声を上げる児童生徒を称賛する」と保護者の同意を条件にデモ参加を理由に学校を休むことを容認。デブラシオ市長ら25万人がマンハッタン南部の公道を2㌔にわたって行進。「今こそ行動を」「立ち上がろう」などと声をあげた。日本でも東京、名古屋など23都道府県で計約5000人が参加。このうち東京・渋谷区では3000人近くが「石炭火力を止めて」などと書いたプラカードを持ち訴えて歩いた。
 
 地球を守る運動が若者を中心に世界各地で広がっている(NHK総合から)
 
 

 同じ20日、ニューヨークの国連本部では日本が贈った〈平和の鐘〉を鳴らし世界各地の紛争の平和的解決を訴える催しがありグテレス事務総長やムハンマドバンデ国連総会議長、日本の別所浩郎国連大使らも参加。「気候変動が干ばつを起こし資源争奪の原因となり、テロリストの活動を助長している。平和のための気候行動を」と、グテレスさん。
 
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 26日の伊勢湾台風=1959(昭和34)年9月26日=60年を前に「伊勢湾台風風化させない 風神の袋に刻んだ4700人の証し 中川区の龍潭寺あすから公開」とは21日付中日夕刊1面見出し。江藤拓農相が20日、豚コレラ対策として養豚場の豚へのワクチン接種をする方針を表明。
 レスリングの世界選手権が20日、ヌルスルタン(カザフスタン)で行われ、女子62㌔級で川井友香子さん(22)=至学館大、石川県出身=が3位決定戦で北朝鮮選手にテクニカルフォール勝ちで銅メダルを獲得し、東京五輪代表に内定。今大会57㌔級金メダルで姉の梨沙子さん(24)=至学館大卒、ジャパンビバレッジ=とともに姉妹で東京五輪の切符を手にした。
 「憲法は世代を超えたプロジェクト。今の時代に終わらせてはならない」と平和主義の大切さを社会に改めて問いかけるのは、20日付中日夕刊「あの人に迫る」の愛知県犬山市出身の井上淳一さん(54)=東京都中野区=。
 新体操の世界選手権が21日、バクー(アゼルバイジャン)で団体総合が行われ日本がフープ・クラブとボールの2種目合計58.200点をマークし、1975年大会いらい44年ぶりに過去最高に並ぶ銀メダルを獲得。東京五輪の出場も決めた。
 大蔵流狂言師の茂山千作さんが21日朝、膵臓がんのため京都市の病院で死去。74歳だった。

9月19日
 木曜日。ここ木曽川河畔の尾張地方の空にも、ようやく青が広がり、いよいよ秋がやってきた。北海道の大雪山系黒岳(1948㍍)の山頂付近では18日深夜、初雪が確認されたという。

 何もかも散らし颱風去りました
 =伊神舞子〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 東京地裁(永渕健一裁判長)はこの日、東電福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(79)ら東電の旧経営陣三被告に対して無罪を言い渡し、未曾有の被害をもたらした原発事故で経営トップの刑事責任は認められなかった。
 私は判決が下された直後の様子をNHK総合で見ていたが、裁判の結果に「私ら避難民としては受け入れられない。責任というものが一体どこにあるのか。裁判までウソをつくのか(双葉町から避難し、いわき市に住む齋藤宗一さん)」と話してがっくり、肩を落とす被災者の姿が胸に突き刺さったのである。
 実際に大津波は予見できたのか、となると私にはわからない。ただ本来しておくべき万全の備えという点では、人間たちは甘かったと言われても仕方ない。あぁ~。とはいえ、刑事責任は誰も問われない、責任を取らない結果は「国の原子力行政にそんたくした判決だ」と批判されて当然である。それ以外にはどう言ってよいのかわからない。そこで本日付中日新聞の夕刊1面と争点が分かりやすく記された表などポイント部分だけは、NHKの画面も含めここに永遠の記録として留めておきたい。

 
 
 
 

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 けさというか、本日未明のNHKラジオ深夜便。たまたま、作家の髙樹のぶ子さんが話している声が聴こえてきた。彼女は、次のように話していた。
「本当に小説って。気恥ずかしいというか。でも、そんな恥ずかしいところをみんなが分かる、分かるよって。言って共感してくれる。文学はお陽さまがサンサンときらめくのとは違い、ひそやかにしめったキノコのように生き続けるものなのです。人には見せられないところ、胸を張って見せられない。むしろ、そうした(秘部とでもいえようか)恥ずかしいところをさらけ出すと、人々はウンそうだ、そうだよね、と共感してくれる」と。
 この言葉。とても分かる。高樹さんといえば、若いころ彼女の小説〈波光きらめく果て〉を読んだ記憶が蘇るが、いまなお自ら信じた新しい文学(最近では在原業平に焦点をあてた作品づくり)に果敢に挑戦していく、その気迫たるや素晴らしく、大いに刺激になる作家だな、とあらためて思った。こんごの健筆を祈りたい。

 話はここで久しぶりに事件に。
 愛知県稲沢市で新聞記者、いわばブンヤことばに言う【殺し3年、火事8年】を地で行くような奇怪な事件が発覚。愛知県警と稲沢署は18日、3年前に全焼民家の焼け跡から住人(塾講師角田幸司さん。当時60歳)の遺体が見つかった事件で角田さんを刺殺したとして角田さんの当時の妻で介護ヘルパー菅井優子容疑者(51)と菅井容疑者の知人で美容院経営浅野勉容疑者(65)を、それぞれ殺人の疑いで逮捕した。
 ここで私が触れた【殺し3年、火事8年】とは、駆け出し記者の場合、ふつうの殺人事件なら三年もあれば、そこそこ書ける原稿も火事となると、時に、その裏側に保険金殺人などいろんな事件が隠されていることが多く八年かかっても書けない―といった意味である。それほど火災原稿を書くのは難しい。だから、軽く見ないで出来得る限り現場に行き、足で取材する。これが鉄則である。

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 18日夜のナゴヤドーム。ドラゴンズは終盤7回裏に大島の2ランで逆転し巨人に3―1で勝った。そして今夜も先ほど終わったナゴヤドームでの巨人戦で2―1で勝った。これで7年ぶりのクライマックスシリーズ出場も夢でなくなった。さあ、がんばれ! ドラゴンズ。東京・両国国技館での大相撲秋場所の方は関脇貴景勝が平幕の妙義龍を突き落としで破って10勝をあげ、来場所からの大関復帰が決まった。
 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会が20日夜、東京・味の素スタジアムで行われる1次リーグA組の初戦、日本とロシアの試合で開幕する。ラグビーといえば、2015年ワールドカップで日本がW杯2度優勝の強豪、南アフリカを破ったのがちょうど4年前のきょう9月19日だった。18日ヌルスルタン(カザフスタン)であったレスリング世界選手権で女子57㌔級の川井梨紗子(ジャパンビバレッジ)と76㌔級の皆川博恵(クリナップ)がともに4試合を勝って19日の決勝進出を決め、東京五輪への出場を決めた。

 19日付中日夕刊によれば、厚生労働省によるシベリア抑留で亡くなった戦没者遺骨収集事業で日本人の遺骨を外国人のものと取り違えていた問題でロシア国内で収集した約600人分が日本人のものではない可能性が関係者への取材で分かったという。警視庁捜査二課がきょう、19日までに中国・吉林省を拠点にしていた国際的なニセ電話詐欺組織を摘発、西矢季広容疑者(44)ら10数人を逮捕。組織は中国人を首謀者に50人ほどで構成され、被害は1億8000万円に上るという。
 埼玉県警が19日、さいたま市見沼区の集合住宅で小学4年生進藤遼佑ちゃん(9つ)の遺体が見つかった事件で遺体を隠した、として死体遺棄の容疑で同居する義理の父親である無職進藤悠介(32)を逮捕した。17日夕、電気や水道設備を収納するメーターボックス内に遼祐ちゃんの遺体を放置したのが逮捕容疑。その後の調べによると、遼祐ちゃんの母親(42)は昨年12月に進藤容疑者と再婚していた。
 19日付中日新聞1面に「名古屋城解体先行せず 河村市長検討 天守復元と一体申請」の見出し。少々わかりづらくはあるが、名古屋市は今後、復元事業の許可も見据えたうえで石垣部会の理解を得ることを最優先に取り組んでいくという。

9月16日
 敬老の日である。
 朝。妹から「たかぼう、茄子できたで持ってってもいい」と電話があった。「いいよ」と言って待つ。しばらくすると、茄子を手に抱えた妹が颯爽と車で乗り付け「ハイッ」と手渡して帰った。実の妹とはいえ、ありがたいことだ。ふと、そう言えば「きょうは敬老の日なのだ。だから、オレを労ろうとしてきたのか」と思い、何と年を食ってしまったことか、とつくづく思う。でも、正直言ってまだまだ私は若いつもりでいる。
 新聞テレビでは100歳以上のお年寄りが何と7万人を超えた、と叫んでいる。喜ぶべきか。悲しむべきか。誰とて一度しかない人生だ。やっぱり喜ばなくっちゃあ、と私は思う。

 木曽川河畔に広がる江南フラワーパークで撮った数々のショットの1部
 
 
 

 午後。コラム執筆やらナンダカンダと終え、ひと息ついたところで木曽川河畔の国営木曽三川公園江南フラワーパークに車を運転し行ってみた。なんと、こんなステキなところがあっただなんて。オレは地元のことを何も知らないな、とつくづく自らを恥じつつ歩いてみた。なんだかムード満点で恋の散策路、ステージとしてはもってこい、の場所である。
 ヨシッ、と思って帰ってきた。

 でも。帰宅したら、私が応援している小結遠藤が大関栃ノ心にはたき込みで一瞬にして負け、それまで気宇壮大になりつつあった胸なのに。風船がはじける如くに夢がしぼんでしまった。
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 2020年の東京五輪男女マラソンの代表各2人を決める選考レース「グランドチャンピオンシップ(MGC、中日新聞社など共催)がきのう、15日、東京・明治神宮外苑を発着点に行われ、男子は中村匠吾(26)=富士通、三重県四日市市出身、上野工高(現伊賀白凰高)卒=が2時間11分28秒で優勝。8秒差で二位の服部勇馬(25)=トヨタ自動車=とともに代表に内定。
 女子は2時間25分15秒で一位となった前田穂南(23)=天満屋=と二位に入った鈴木亜由子(27)=日本郵政グループ、愛知県豊橋市出身、名古屋大卒=がそれぞれ五輪切符を手にした。

 台風15号の影響による千葉県の大規模停電。台風通過から16日で1週間たつが、なお10万8700戸で(15日午後10時現在)で停電が続いているという。また、東電パワーグリッドの発表によると、復旧が今月27日までと最も時間を要するエリアがこれまでの県南部の4市町から22市町に拡大、住民生活への影響が長期化する恐れが出てきた。
 ここで私の相棒が曰く「東電さんの人たちだって、自衛隊と一緒で、みんな復旧工事に一生懸命なのだから。批判するばかりじゃだめよ」とひと言、そのとおりだと思う。みんな一生懸命だ。人間、みな同じだと思う。
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 トランプ米大統領が14日、国際テロ組織アルカイダ指導者の故ウサマ・ビンラディン容疑者の息子で国際テロリストに指定していたハムザ容疑者をテロ掃討作戦で殺害したとする声明を発表。
 総務省が15日発表した人口統計によれば、65歳以上の高齢者は同日時点で前年より32万人多い3588万人、総人口に占める割合は28・4%といずれも過去最高を更新。
 サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が14日に無人機(ドローン)による攻撃を受けた事件でサウジアラビアは同日、石油生産の一部を中断した、と発表。この事件はサウジの隣国イエメンの親イラン武装組織フーシが傘下のテレビ局を通じ「サウジの製油所を標的とし、無人機10機で大規模な作戦を実施した」との犯行声明を出している。

9月14日
 土曜日。満月。本日付中日新聞の朝刊1面には昨夜の名月が布藤哲矢カメラマンにより【岐阜城中秋の美】として一枚の写真として見事にとらえられ、読者の関心を誘った。
 
 14日付中日1面を飾った13日夜の【岐阜城中秋の美】
 
 今宵のわが家上空の満月=午後10時40分過ぎ写す。2階ベランダにて。遠景と近景。「ことしの月は、地球から1番遠いところの満月」だそうだ
 
  

「年末に87歳になります。赤秋(せきしゅう)という言葉がありますが、私は役者人生をかけてやります。私は能登が好きです。七尾が好きです……」
 早朝。NHKラジオ朝のサタデーエッセイ。無名塾主宰仲代達矢さんの、あの力強い声が耳に飛び込んできた。仲代さんといえば、石川県七尾市は中島の能登演劇堂が頭に浮かぶ。その能登演劇堂での10月26日~11月3日までの無名塾公演「ぺてん師 タルチュフ」での自らの主演を皮切りに全国35カ所、78ステージの長丁場巡演をする、というのだ(東京は来年3月8日から15日まで。池袋サンシャイン劇場)。がんばってほしく思う。

 ローマ法王庁のバチカンが、法王フランシスコが11月23~26日まで訪日し、東京、広島、長崎を訪れると正式発表。核兵器廃絶を繰り返し、訴えてきた法王の被爆地ヒロシマ・ナガサキからの平和のメッセージ発信がとうとう実現する。ローマ法王の来日は1981年2月に広島と長崎を訪れた故ヨハネ・パウロ2世いらい。38年ぶり2度目の法王来日となる。
 また関係者が明らかにしたところによれば、法王フランシスコは訪日の際、静岡県の一家4人強盗殺人事件で死刑が確定した袴田巌さん(83歳)=2014年に死刑執行停止・釈放されたが、無罪判決はまだ出ておらず、現在も「死刑囚」扱い=と面会することで調整しているという。法王をトップとするローマ・カトリック教会は昨年、死刑を一切認めないとする立場を打ち出しており、日本政府に死刑制度の廃止を働きかけるかどうかも注目されている。

 中日ドラゴンズの大野雄大投手(30)が14日、ナゴヤドームでの阪神23回戦で史上81人目(通算92度目)となる無安打無得点試合、ノーヒットノーランを達成。6日のソフトバンクの千賀滉大投手に続く快挙を成し遂げた。試合は3―0で中日が勝った。東京・両国国技館での大相撲秋場所7日目。東前頭4枚目の玉鷲が大関豪栄道と対戦、破れはしたが通算1203回の連続出場を果たし、大相撲史上10人目のこれまた快挙だ。

        ★        ★
 台風15号による千葉県下の大規模停電はその後の東電の発表で復旧は大幅に遅れ、2週間以内になるとの見通し。依然として約14万戸(15日午前零時現在)が停電したままで深刻な事態となっている。いやはや、電気がつかなくなると、何もかもが出来なくなってしまう。何はともあれ、1日も早い復旧が望まれている。

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 囲碁の17歳、上野愛咲美女流棋聖が14日夜、第二十八期竜星戦の準決勝(東京・日本棋院)で、許家元八段(21)に勝ち、全棋士に参加資格がある棋戦で女性として初の決勝進出を果たした。決勝は一力遼八段×鈴木伸二七段戦の勝者と。23日午後8時から。
 漁業者の求めた「開門」と営農者が求めた「開門差し止め」という相反する司法判断が併存したまま続く、潮受け堤防の排水門を開けるかどうかを巡って過去17年の長きにわたって続く法廷闘争――国営諫早湾干拓事業の潮受け堤防排水門訴訟で最高裁第2小法定(菅野博之裁判長)は13日、排水門の無効化を認めて国が勝訴した2審・福岡高裁判決(2018年7月)を裁判官4人の全員一致の意見で破棄し、審理を福岡高裁に差し戻した。
 若手音楽家の登竜門として世界的に知られるドイツ・ミュンヘンでのミュンヘン国際音楽コンクールで13日、ベルリン芸術大の佐藤晴真さん(21)=名古屋市出身=がチェロ部門でショスタコービッチの作品をオーケストラと演奏して1位に輝いた。
 13日夜遅く。三重県四日市市の新名神高速道下り線で先の豪雨により一部で土砂崩れが起きていたのり面が高さ14㍍、幅60㍍にわたって再び崩れ、土砂が崩落。この影響で新名神の四日市ジャンクション―新四日市JCT間の下り線が通行止めに。通行止め解除までに1週間ぐらいかかるという。
 14日午後9時25分ごろ、名古屋市の金山総合駅南口ロータリーで75歳の男性運転手が運転するタクシーが路上ライブでにぎわう歩道に突っ込み、男女7人が重軽傷。愛知県警中署は男を自動車運転処罰法違反(過失傷害)で現行犯逮捕。

9月13日
 金曜日。旧暦の8月15日。十五夜お月さまの日。中秋の名月だ。そして。あすは、満月である。
 朝起きて。「十五夜よ」と、そう言われハタと気がついたが今宵は天気が思わしくなく、お月さまを見ることはできそうにない。彼女いわく「わたし、もう見たわよ。真夜中に。ベランダから。とっても美しかった」と。「なぜ、教えてくれなかったのだ」と一本取られた私。

 名月や目指すは私服月旅行
 燃え盛る大地やいよよ曼珠沙華
 =伊神舞子〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

        ☆        ☆
 千葉県では台風15号による大規模停電から5日目の朝を迎え、依然として25万戸(12日午後11時半現在)で停電が続いている。約3万戸で断水がつづいており、固定電話も約31000回戦で不通となっており、携帯電話も通じないなど日常生活に大切なライフラインがズタズタに切断され、深刻な事態となっている。一刻も早い復旧が望まれる。

 嬉しい話といえば、だ。大相撲春場所が始まり、能登穴水出身の小結遠藤がきのうも碧山(西前頭1枚目)をおしだして勝ち、4勝1敗と好調なことか。ちなみに、大関復帰をめざす関脇貴景勝も北勝富士(東前頭1枚目)をつきおとしで破って5戦5勝。逆に残念なのは、元関脇で西十両7枚目の嘉風(37)=本名・大西雅継、大分県出身、尾車部屋=が12日、引退と年寄「中村」の襲名を発表したことか。これも時の流れか。
 そして。もうひとつ。ちょっぴり、心を打たれたのは中日新聞尾張版の本日13日付囲み記事【モーニング 読者】か。そこには駆け出し記者の生きた言葉で「地域に寄り添う情熱を秘めた記者になりたい。」と書かれていた。

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 IT大手のヤフーが12日、インターネット衣料通販大手ZOZOを買収する、と発表。買収費用は約4000億円。ヤフーはネット通販を成長の柱としており、米アマゾン・コムや楽天に対抗するのが狙い。ゾゾの創業者、前沢友作社長は辞任し、こんごは月旅行や新たな起業に取り組むという。

 愛知県がんセンターが「大腸がんの増殖分子狙い撃ち薬の効果が新たに確認された」と発表。その成果が12日付の米がん学会誌に掲載された。内閣改造で文部科学相を退任した柴山昌彦氏が、18歳と名乗る人物の「高校で昼食時間に政治の話をした」とのつぶやきに「適切でしょうか」と自らのツイッターに書き込み、波紋を呼んでいる。
 ちなみに選挙権の年齢は既に18歳に引き下げられており、文科省は若者の政治参加を促す主権者教育の充実に力を入れている、のではなかったのか。

9月11日
 降りてきしロープウエイと秋茜
 =伊神舞子〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 水曜日。2001年。米ニューヨークとワシントンで9・11同時多発テロが起きた、忌まわしい日である。あの日は新聞社の編集局特報デスク席にいたが、世界各地から飛び込んでくる洪水の如き原稿を読むのに追い回された。
 と同時に原稿に目を通すうちテロの主犯とされたウサマ・ビンラディンの存在がどうにも気になり、ビンラディンに関するあらゆる情報に神経をとがらせ、気がつくとなぜか「彼とて、人の子。なぜ、なぜこんな事件が起きてしまったのか」と思う自分自身に気づきもする日々であった。

 そして18年後のきょう。この国では第四次安倍再改造内閣が発足し、橋本聖子五輪相はじめ小泉進次郎環境相、萩生田光一文部科学相、全世代型社会保障改革を兼務する西村康稔経済再生担当相=いずれも初=らが誕生。「安定と挑戦の布陣」とのことで、各人それぞれの手腕が、この先期待されている(菅義偉官房長官、麻生太郎副総理兼財務大臣、ほかに自民党の党役員人事では二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長はいずれも留任)
 「進次郎環境相」ならどう向き合う。福島・汚染処理水巡り原田環境相(前任)が「(海に)放出するほかない」と発言。―とは、11日付毎日新聞夕刊の〈近事片々〉氏。進次郎さん、さあどうする。

 内閣改造などを報じた11日付中日新聞夕刊
  
 閣僚名簿を発表する菅義偉官房長官と閣僚一覧、こんごへの期待大の橋本五輪相、小泉環境相、留任の二階俊博幹事長(NHK総合)
 
 
 
 
 

 さて。それはそれとして。国内はといえば、だ。
 先の台風15号で被害を受けた千葉県では10日、50万戸以上で停電が続き、日ごろの生活を支えるライフラインがマヒ事態に。断水家屋も約8万4000戸に上り、自衛隊が給水活動を実施するなど市民生活に大きな影響が出ている。
 その一方で10日には台風15号が静岡、関東から福島へ、と縦断して通り過ぎ、太平洋高気圧に覆われた各地が一転して35度以上の猛暑日となり、岐阜県多治見市ではこの日全国1位の37・6度を記録。同じ岐阜県の美濃市と岐阜市で37・4度、愛知県岡崎市でも37・0度を観測するなど大変な暑さとなった。名古屋市港区の愛知県立惟信高校では体育祭を終えた1~3年生の男女15人が気分の悪さや手足のしびれなど熱中症の症状を訴え、病院に搬送されたという。

 本日、11日付の中日夕刊【大相撲の時間です 千代の国幕下からの挑戦】が胸にジ~ンときて、泣かせる。「番付は東前頭15枚目から西幕下46枚目まで下がり、頭に大銀杏はない。左膝には頑丈なサポーターが巻かれ、締め込みも黒の稽古まわしに変わった。それでも元幕内、千代の国の表情に悲壮感はなく、取組後にこぼれた笑みが印象的だった。/8日に初日を迎えた秋場所で復帰した。取組を待つ間、気合の入った表情は幕内の時と変わらなかった。………」
 あとは夕刊4面Sports Storyの〈大相撲の時間です〉を読んで頂けたら、と願う。ある面で他の出来事とは比べものにならないほどの人間ドラマが、ここには隠されている。なんといっても、伊賀が生んだ名力士だ。がんばれ! われらが千代の国である。

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 韓国産業通商資源省は11日、日本が7月に韓国に対してフッ化水素など3品目の半導体材料の輸出規制を強化したことは不当だとして11日、世界貿易機関(WTO)に提訴。
 トランプ米大統領が10日、ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の解任をツイッターで明らかに。「私は昨夜ボルトン氏に、彼の業務はホワイトハウスではもう必要ないと伝えた。私は彼の提案の多くに強く反対し、政権の他の人々も同じだった」とトランプ氏。
 東電福島第一原発事故に伴う避難指示が4月に一部解除された福島県大熊町の渡辺利綱町長(72)は11日開かれた町議会本会議で任期満了に伴う11月の町長選には出馬せず、退任する意向を表明した。これにより、国の避難指示が出た県内11市町村のうち、当時から現職でいる首長は飯舘村と川内村だけとなった。
 NHKから国民を守る党の立花孝志党首が9日夕、国会内で記者会見を開き「警視庁から脅迫容疑で事情聴取を受けた」旨明らかに。有罪が確定すれば、議員を辞職する考えを明らかにした。関係者によると、立花氏は春の統一地方選で東京都中央区議に同党公認で当選した男性との金銭トラベルで除名となった男性を「裏切り者」などと非難する動画を動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿し、議員辞職を迫ったという。
 毎日新聞が「朝刊の1部売り定価でお願い 来月1日から10円上げ、150円に」の社告。

9月5日
 木曜日。きのう、きょうと三重県の桑名、いなべ、鈴鹿、志摩市などで、ところによっては1時間に100㍉を超すほどの猛烈な雨が降った。四日市で8棟が床上浸水、いなべ市大安町の鉄道高架下の道路(アンダーパス)では、水に埋まって行き場を失ったトラックの運転手(50)が救助されたものの、亡くなった。
 そして。きょう、5日午前11時40分ごろ、横浜市の京浜急行の神奈川新町―仲木戸間の踏切で下り快特電車(8両編成)とトラックが衝突、複数の車両が脱線してトラックは炎上、乗客ら32人がけがをした(神奈川県警調べ)。
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 新聞テレビなど各メディアの報道によると、真珠の海・三重県志摩半島の英虞(あご)湾で真珠母貝(アコヤ貝)が大量死しているという。アコヤ貝の大量死といえば、かつて私が昭和四十年代後半に三重県志摩半島で地方記者をしていたころの長期取材が思い出される。当時は連日、舟で海の湾内に出て取材したものである。
 無名だった鳥羽一郎さんが何度もマネジャーを伴い通信部を訪れ、赤ん坊を抱いた舞がそのつど応対したが私は大量死の取材に追われてそれどころではなかった。妻には何度も「早く書かなければ。若くて熱心で一生懸命なのだから。いい話だと思うよ」と言われたが、私は非情にも、とうとう1行も書くことはなく今になって深く反省している。それだけに、母貝のポックリ死(あのとき真珠養殖漁民はそう呼んだ)は他人事とは思えない。鳥羽さんも大好きな歌手である。
 あの時は田中角栄氏による列島改造論華やかなころで志摩半島も乱開発に伴う沿岸ホテルや合歓の郷など各施設からのたれ流しによる【富栄養化】が悪性赤潮(確かギムノディニウムといった)を発生させたばかりか、海の環境が急速に悪化して核入れまもないアコヤ貝にも悪影響を与え、真珠母貝が大きな口を開け、次々と死んでいった。環境先進地の滋賀県で女性たちによる粉石鹸運動が定着しつつあった、そんなころである。
 それでも、中日新聞による環境浄化キャンペーンが功を奏してまもなく私提唱による英虞湾の沿岸真珠養殖漁民が一体となっての〈英虞湾を守る会〉が誕生。地方記者として先頭に立ち「これでもか」と執拗に書き続けた日々のことが、つい昨日のことのように瞼に焼き付いて離れない。あのキュッ、キュッ、キュウと悲しい声をあげて死んでいった母貝たち。大量死の悲しい現実を見てきているだけに、他人事とはいえない。現役だったなら、今すぐにでも現場に走っていきたい、そんな気がする。
 それに今回は母貝の元になる愛媛県宇和島の稚貝の大量死も目立つ、とのことだ。一刻も早い対策を心から願う。

 香港政府のトップである林鄭月娥(りんていげつが)行政長官が4日、犯罪容疑者の中国本土への移送を可能にする逃亡犯条例の改正案を完全撤回する、と表明。EU(欧州連合)からの離脱期限が10月末に迫るなか、英下院(定数650)は4日夜(5日未明)、合意なき離脱阻止に向けた野党の「離脱延期」法案の採決を行い、賛成多数で可決した。

 三重県四日市市の萬古焼の窯元「丸英陶器」では来年のえと「子(ね、ネズミ)」の置物づくりが早くも最盛期を迎えているという。内閣の改造は11日に、とか。

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 久しぶりに訪れた小牧市の市民病院前には市民憲章の石碑が見られた
 
 ホテル9階から見る小牧市の夜景。正面の黒い山が織田信長築城で名高い小牧山だ
 

 9月2、3、4の3日間、わけあって過去、公私とも大変お世話になった近郊の小牧市にいた。
 私が空港のある街・小牧で新聞社の記者として過ごしたのは、昭和50年代半ばから61年まで。能登半島に着任するまでの7年で、当時この街は桃花台ニュータウンやニュータウン建設に伴う新交通システムの誕生、さらには名古屋空港に国内線新ビルも出来、これに合わせて航空宇宙館も出来るなどし、それぞれ本紙で〈名空港新時代〉などの大型企画を連載するなど、とても活気に満ちたころだった。
 まさに〈青春の街・小牧〉=この曲は「熱砂」同人でもある、われらが牧すすむさん作曲で誕生。チェリッシュが今も歌っている。ユーチューブで聞いてもらえたら、嬉しい=そのものであった。新聞の子版(地方版)では〈空港昨今〉の長期連載もした。

 そればかりか、長崎大水害はじめ、秋田県男鹿半島で何人もの小学生らが波にのまれ亡くなった日本海中部地震、栃尾温泉の崩落、赤いフェアレディーゼッドに乗ったトンボめがねの女(宮崎知子)による富山・長野連続女性誘拐殺人事件、老人ホーム松寿荘が壊滅した地附山の土石流崩落、オホーツクの海への大韓航空機撃墜、山陰豪雨禍、三宅島噴火、編隊飛行中のC1輸送機の菅島への墜落、日本福祉大学のスキーツア―学生によるバス転落事故、御巣鷹山への日航ジャンボ墜落など事件や事故、災害取材もめまぐるしいほど多発。
 そのつど新聞社の双発ジェットやヘリコプターで空飛ぶ記者として現地に特派され、そのまま現場取材に何日もの間、全身泥だらけとなり足を棒にして取材したものである。今から思えば息つく暇もない日々であった。
 その懐かしい、私の愛するこの街・小牧で私は久しぶりに3日間を過ごしたのである。当初、あれほどまでに嫌がっていた舞の入院治療(脳のガンマナイフ治療)のおかげである。懐かしくないはずがない。

 そこで、舞の入院治療に伴い久しぶりに滞在した小牧で書いた私の心境のごくごく一部、をここに書き記しておきたい。
 ――このちいさな、とは言っても。ボクは今、そのシティホテルのビル9階の、ひと部屋にいるがこのビルがそのまま飛行物体となって、いや空飛ぶ円盤となって空、いや宇宙に向かって飛んでゆくような、そんな錯覚を覚えている。
 私は確かに今ここにいる。かつて大変、お世話になったこの街、小牧にいる。〈青春の街・小牧〉の歌詞にある【私が愛したこの街は私を愛してくれる街】の、その街小牧に、である。もはや、40年近くも前の話になるが、私は事件に明け暮れしながらもこの街、空港のある小牧に住んでいた、私たち家族は7年の長きにわたってこの街に住んだのである(もっとも3男は生まれてすぐ、能登の人になってしまったが)。
 そんなことを思い私はわが家に留守番を頼んで残してきた美少女2代目シロちゃん(俳句猫「白」)、オーロラ・レインボー(ローラとも)のことを思い出していた。おもううち、知らない間に私自身の魂が今度はシロちゃんのからだの中に吸い込まれ、同化してゆく自分を感じていた。不思議な感覚である。
 シロちゃんは、ふだんは舞とくらす、片時も離れないで一緒にいる。愛猫シロのことである。この世では珍しい、もしかしたら、世界にただの一匹しかいない俳句猫で、俳号を【白】という。私はふだん彼女を呼ぶとき、2代目シロちゃんとか、ローラ、さらにはオーロラ・レインボーと呼んでいるが舞は違う。あくまで俳句にこだわり、【白ちゃん】とだけ、呼ぶのである。
 その舞が今回、私たちにとっては聖地ともいえる小牧市民病院であれほどまでに嫌がり拒否していた、脳に放射線を照射するガンマナイフ治療を受けたのである。私は広島と長崎への原爆投下はじめ、福島第二原発事故と放射線に対しては、これまで悪い印象しか持っていなかったが、今回の治療で舞を良くしてくれるのなら、放射線にもニンゲンの役に立つことがあり、そうあってほしい―と思うことにしたのである………

 子どもたちの愛に支えられ無事ガンマナイフ治療を終え、さばさばとした表情で食事する舞と、おかあさんのことをいつも心配し家で留守番をしてくれた俳句猫「白」ちゃん。いつも、一緒だ。
 
 

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 経済広報センター(東京)の「企業広報賞」の授賞式が3日、経団連会館であり、経営者を対象にした「企業広報経営者賞」では大垣共立銀行(OKB、岐阜県大垣市)の土屋嶢(たかし)会長らが表彰された。土屋さんは現金自動預払機(ATM)の生体認証システム「手のひら認証ATMピピット」やドライブスルー店舗など、業界初のサービスを実現し、ブランド力向上に大きく貢献。
 史上最多、優勝42度の横綱白鵬(34)=モンゴル出身、宮城野部屋=が3日、日本国籍を取得。国籍取得により、現役引退後に親方となる資格も得た。「やっとというか、正式に本日をもって白鵬翔という名前で日本人として日本国籍を獲得しました」とは、横綱白鵬。
 3日にハードオフ新潟で開かれたセ・リーグ中日×巨人戦は4―3で中日が勝った。先発した新人、梅津が5回1失点でデビューから3戦3勝。新人による初登板初先発からの3戦3勝は1987年の近藤真一(現真市、スカウト)いらいで球団2人目の快挙。中日は4日も前橋・上毛新聞敷島球場での巨人戦を8―4で制し、リーグ首位の巨人を相手に今季初のカード勝ち越し、そして巨人に今季初の3連勝である。さあ、いけ! ドラゴンズ。
 ハリケーン「ドリアン」が大西洋の島国バハマを直撃。国際赤十字・赤新月社連盟当局者は「壊滅的だ」と述べた。米CNNの映像によれば、広い範囲が浸水し、多くの家屋が跡形もなく倒壊しているという。
 韓国で開かれる第24回釜山国際映画祭(10月3~12日)でアジアの映画産業と文化発展に優れた業績を残した個人や団体に贈る今年の「アジア映画人賞」が是枝裕和監督に授与されることが決まった。