震災後〈笛猫日記4月/21日〉

(この日記はアタイ=こすも・ここ=が、お父さんの「私」になりきって書き進めています。ごくごく、たまにアタイそのものが突然、出てくることがあります)

  『ねぇ~』   こすも・ここ
 

    『なぁに』  シロ

 土曜日。“忙しい”という言葉は現役時代から一番嫌いな言葉だがあえて言えば、きょうという日は“忙しい”に値するのだろうか。いやはや、何やかやとやることが多すぎて慌ただしかった。これでは、一番したい、執筆もままならない。

 いちいち列挙するほどのことでもないので大半、割愛させていただくが、午前中はMと退院が間近に迫った母が入院する病院へ。母は病室から診察室までの道のりをMに付き添われ自分で歩いて往復した。その後、私は待合室で携帯を手にあれこれとすべきことをする間、Mは母の背中をさすったり、話し相手をするなどして、ひとときは過ぎていった。

 きのうの1日で全国で合わせて80冊以上に続き、きょうまた新たに60冊、自著の注文をしてくださった人がおり、その兄貴に深謝。英語でお礼のメールを打つと、彼からの返事は、「I,m very glad ,because I can help you」というものだった。ありがとう! 
 このところは、ドラゴンズをこよなく愛する三重の販売店主さんはじめ、大垣の学園理事長、高校時代の親友、ケーブルテレビ局などから50冊、30冊、20冊、10冊単位の注文がボツボツと寄せられはじめ、本の売れ行きにも少しは火がつき始めたようだ。むろん、全国各地からも1冊、2冊、3冊の注文が寄せられており、これら支援者には心から礼を述べたい。

 私自身、本の存在をユーチューブにあくまで試験的にアップ、本の出版に併せ誕生した笛書房スタッフも初体験ながら日々、拡販によく努力してくださっている。そればかりか、東京のマスドラ会有力メンバーもフェイスブックでPR、ほかに会員ご自身のホームページの中でも紹介してくださるケースなど、感謝のしようもない。

 本音を言えば、本当に読んでほしい方々に手にとって頂けたら、それだけで幸せである。それだけに、まだまだ存在感のない本の存在は伝え、読んでもらえる人が一人でも増えれば、と単純に願っている。みなさん、1冊の本〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉をくれぐれも。よろしく頼みます。
♪紙の雛君想いつつ眼を入れる(伊神舞子)

 プロ野球はマツダスタジアムでデーゲーム。携帯の試合速報によれば、高木竜は広島に6―1で完勝し、4連勝である。きょうは、あれこれとあり、とても試合を見たり聞いたりしている余裕はなかった。でも、私の好きな岐阜県出身の岩田投手が先発した試合に勝て、今シーズン初勝利となり本当によかった。嬉しい。あすの中日スポーツと本紙運動面が楽しみである。

【きょうの1番ニュース】母が病室から診察室までの道のりを自力で行き、帰りともに歩いたことか。顔のはれも引いて、あとは口の中の痛みが早く取れ、入れ歯の調整が順調に進むよう願っている。

☆「北朝鮮で2万人餓死か 総書記死去後 100日服喪が影響 正恩氏、米の配布指示」、「〈編集局デスク〉 同心円が消える日(真能秀久)=記事を分かりやすくするために、よく地図を添えます。そこにコンパスでくるりと円を描く時は、危険が迫っているニュースの場合が多いようです。……」、「『さくら道ネイチャーラン』開会式」(21日付、中日朝刊)
 「独房で再審待つ日々 名張毒ぶどう酒事件 奥西死刑囚(86) 『自分の足で裁判所を出たい』」(21日付、中日夕刊)、「グレートネイチャー潜入! 謎の氷床洞窟へ 北極圏・青き氷の神秘」(21日夜、NHKBSプレミアム)

平成二十四年四月二十日
 きょうは暦どおり穀雨の春雨が一日中、シトシトと降り続けた。

 午前中は、自著〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉の販売の件で、これまでにどれぐらい売れたのか、をあらかた検証し北海道から沖縄に至るまで、まだまだ直接出版のお知らせをしていないドラゴンズファンの方々にも今後随時、笛書房の方からお知らせしていく手法を再確認した。お世話になった知人など、どうかすると進呈するばかりになってしまっている。やはり一冊でも多く買っていただいた方が本自らがこの世の中を泳いでいくような、そんな気がする。

 合間を見て母が入院している大口町内の病院へ。買い物などで母がいつもお世話になりどおしの“まるは商店”のおかみさんが「最近、ちょっとも来てちょうせんもんで。何かあったな、と思って聞いたところ、えりゃあめに遭いなさったと聞いてあわてて飛んできた」とお見舞いにきてくださり、私が居てよかったな、と思った。母は不幸中の幸いで頭もからだもしっかりしており、そのうえ周りの人々は担当の勝俣女医や看護師さんも含め皆いい人ばかりだ。母はどんなことがあっても、幸せに変えてしまう、そんな女性である。

【きょうの1番ニュース】私が信頼する女性作家の1人から思いがけず「ご出版おめでとう」とお祝いが届いた。思ってもいなかっただけに、なんだか気恥ずかしい。でも、とても嬉しかった。
 また、かつてあの作家井上靖さんから可愛がられ、なぜか、いつも僕のことを気遣い通しの女流詩人からも10冊購入したい、と嬉しい便りでなんだか悪い気がしてしまう。でもその分、これからも良い作品をどんどん生み出していこう、と心に誓った。母の言う通りで「本は心底から買う気持ちのある人に買って読んでいただくのが1番だ。」と思う。

 マツダスタジアムでの広島戦。ドラゴンズは広島を2―0で破り、今シーズン10勝6敗に。阪神にとって代わり、首位になった。この日は七回表、谷繁の決勝タイムリーが効いた。中日の山内投手は2勝1敗と、幸先のいい出だしである。

☆「〈通風筒〉◇…男性長寿世界一で、国内最高齢の木村次郎右衛門さんが十九日、京都府京丹後市の自宅で百十五歳の誕生日を迎え自宅にひ孫や玄孫がお祝いに駆け付けた。」、「『がれき気をつけて』(と天皇、皇后両陛下) 春の園遊会に2000人出席」、「●訃報 犬山市長4期16年 松山邦夫氏が11日、肺炎のため死去。84歳。」(20日付、中日朝刊)
 「田植えOK 恵みの穀雨 弥富」「2閣僚の問責可決 国交相防衛相 首相、続投させる方針 参院本会議」(20日付、中日夕刊)

平成二十四年四月十九日
 きょうは思うところあって午前中、これまで私が書き溜めてきている小説の一部について、あらためて推敲かつ整理。これら作品を、この先どう発展させてゆくか、を沈思黙考して考えてみた。
 昨夜遅く、信頼する女性作家から電話がかかり励ましを受けたこともあるが、私はあくまで今のペースで一歩一歩、世界の作家として伊神権太の時代を築き上げていけたら、それでよい。
 悠久の流れの中にあって、その時々の人々の生き方や心情、時代風景といったようなものを作品に反映させ、後世の人々が「あぁ~、このころはこんな時代だったんだ」と思ってくれたら、と願う。

 あくまで勇名こそ、はせなくとも貧しく、清く、正しく、書き続けていきたい。年金3文作家の身ではあるが、私にしか書けない作品を今の時代の生き証人として表現していくことが出来たなら、それでいい。私を推す誰かが半分冗談で言っていたが私はこれから、ただヒタスラに最高齢者としてのその偉大なる文学賞をめざして前に進んでゆきたい。

 今夜のナゴヤドームの巨人戦。ドラゴンズは吉見投手が今シーズン、初完投。平田が4号2ランを放って4―1で勝った。吉見は早くも3勝1敗。このほか、広島が横浜DeNAに6―1で勝ち、これで横浜には6連勝となった。

【きょうの1番ニュース】日本ペンクラブの会報P.E.N.第409号が手元に届いた。「〈報告・一年後の「福島」を訪ねて〉地震・津波・原発事故から一年」と題して高橋千劒破さん(日本ペンクラブ常務理事・平和委員長)が書いている。また会員短信では私、すなわち伊神権太の「第76回ピースボート地球一周の船旅乗船を前に世界の子らからの“平和のメッセージ”言の葉流しを実現すべく準備を進めています」が掲載されていた。いよいよ近づいてきた。

☆「三重野元日銀総裁死去 バブル沈静化『平成の鬼平』 88歳」「三重野元日銀総裁を悼む 斗酒なお辞せず 編集局長河津市三」、「東電会長に(弁護士の)下河辺(和彦)氏 政府起用へ (原子力損害)賠償(支援)機構(運営委員長)から横滑り」(19日付、中日朝刊)
 「スーダン 南スーダン打倒を宣言 大統領が油田攻撃示唆」、「影響力ある100人に正恩氏 タイム誌『極悪人も見方次第』」(19日付、中日夕刊)

平成二十四年四月十八日
 病院に母を見舞ったあと、久しぶりに中日新聞本社へ。新聞記者時代の大先輩Aさんの適切な助言もあって五月八日からのピースボート乗船を前に、社にあいさつだけでもさせていただいた方がよい、と判断したためだ。きょうはAさんがわざわざ編集幹部と引き合わせてくださり、皆さんとても忙しいところを温かい心遣いで貴重な時間を割いてくださって、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだった。本当にありがとうございました、と礼を述べておきたい。

 尾張地方の桜の名所、五条川堤のソメイヨシノは、大方が葉桜に変身し月日の流れを感じる。こうしたなか、かつて岐阜総局時代に私が何度も桜の保護問題につき書き続けた岐阜県本巣市根尾板所に立つ国の天然記念物「淡墨桜」が満開になったーと、けさの毎日新聞が1面で写真入りで報道していた。この淡墨桜は、継体天皇お手植えのヒガンザクラで、樹齢1500年を超える。樹高16メートル、幹回り10メートル、枝張りは東西27メートル、南北20メートルの巨木である。
 故平野三郎岐阜県知事に呼びかけるなどして桜の保存に情熱を注いだ作家の故宇野千代さん。彼女の小説「薄墨の桜」は、あまりにも有名だ。つぼみは薄いピンク、満開になると清楚な白がいじらしく、散り際には微妙に薄い墨を融かしたような薄墨色に変化する。あのころ、宇野千代さんに桜のお宿「住吉屋」で食事をごちそうになったことがあるが「イガミさん、あたしわね。この老い桜の銀の小粒にも似た花びらが雨にシトシト打たれる姿がいとおしくってね。とてもいとおしく、生きる力を与えてくれるのよ」と話してくださった。

 桜といえば、きょうは東北・仙台で桜が開花したという。また中日新聞1面では琵琶湖岸の桜並木(800本のソメイヨシノ)で知られる滋賀県高島市マキノ町の海津大崎の桜が満開になった、と報じている。かつて地方で見た志摩半島は志摩老人ホーム園内の桜をはじめ、小牧山、能登は七尾の小丸山公園、大垣は水門川河畔、そして琵琶湖岸の桜…と早いところも遅いところも、美しい桜の季節がことしもまた、こうして過ぎ去ってゆく。

 今夜のナゴヤドーム、中日×巨人戦。先発中田賢一投手が巨人打線を寄せつけなかったばかりか、自らも五回にはタイムリーを放つなど投打に活躍し5―2で巨人を破った。中日は今シーズン、巨人戦、初勝利。大リーグのモイヤー投手が49歳と151日で大リーグの最年長勝利投手記録を、80年ぶりに更新した。

【きょうの1番ニュース】毎日新聞の〈東海 TOKAI ワイド〉の「素顔の映画人 羽田澄子と工藤充『薄墨の桜』」の写真と文を読んで、急に懐かしさを覚えた。文中には「この桜を撮るだけで、短く美しい音楽のような映画ができるはず」とあるが、当初、羽田澄子さんを淡墨桜の元にせがまれるまま案内したのは、当時“淡墨記者”だった私だった。僕も若かったが、羽田さんはあのころから、とても美しく思いやりのある方だった。

☆「北朝鮮が米朝合意破棄 『安保理声明を全面排撃』」、「東電、顧問に月90万円 天下り官僚ら26人 震災後も高額支給」、「吉武輝子さん死去 80歳 評論家、市民運動を展開」(18日付、中日朝刊)
 「『ほうしゃのう』がないばしょであそびたい 園児の言葉 坊さん歌う 名古屋でバンド 福島の声 そのままCDに」、「トロッコ列車 出発進行 黒部」

平成二十四年四月十七日
 きょうは午前中、パソコンからユーチューブへの画像アップをあくまで試験的に初めてやってみた(スマートフォンからのアップは既にマスター済み)。午後は家庭でいらなくなった衣類などを100円、200円単位の超安価で売って社会に還元する、ボランティア奉仕と女子会の皆さんへの雑談の場開放に徹する、わが妻Mに命じられるまま家事と買い物などMの諸雑用支援のサポーターに徹して車で飛び回り、合間に母の病床を訪れて一日が過ぎた。

 このうち買い物だが、Mに言われるままアピタ内の夢書房を訪れ「うちのが注文していた本を受け取りにきました」と言うと、女性の書店員がいきなり「ハイ、一万五千八十円です」と言うのでおったまげた。お金を払うと小学館の「日本の歳時記」だった。どうせ、俳句か短歌の二千円前後の本だろう、とタカをくくっていただけになんだかおかしなところで一本取られた。
 歳時記ならわが家に何冊もあるはずなのに…。僕の部屋にだってある。あっ、そうか。彼女は一番新しい歳時記がほしいのだ、と自らに言い聞かせ、広辞苑よりもでかい本を手に帰宅した。伊神舞子が俳人として、それだけ真剣になっている。ということは、小説家の俺サマに文学者として挑戦状を突きつけてきた。よし、受けてたとう、と真剣に思ったのである。

 今夜のナゴヤドーム。ドラゴンズは巨人と戦い、4―1で負けた。巨人杉内、中日山井の投げ合いとなったが、杉内は10奪三振で中日を寄せつけなかった。本拠地での黒星が続いていた西武は日本ハムと対戦。3―2で勝ち、7試合目にして、やっと勝てた。DeNAと対戦した広島は3―0で勝ち、連敗を4で止めた。

【きょうの1番ニュース】母の病室で。彼女は突如、腕にはめていたセイコー時計の皮バンドをはずし「たかちゃん。この腕時計、お父ちゃん=父は先年、92歳で他界=が亡くなるまでいつもはめていたのを私がこうして使ってきた。おまえがどこやらへ行くと聞いたから、おまえにやる。これをしてピースボートやらに乗ってくるがいい。お父ちゃんのお守りだから。きっと守ってくれる」ときた。

 私は正直、腕時計は苦手で現役の記者時代はよほどの大事件で発生現場に急きょ飛ぶ時をのぞいては、いつもしたことがない。でも、母が言うのだから、と今回は有り難くいただきオーシャン・ドリームズ号での船旅の間は大切に使おう、と。そう決めた。(私は本来、からだにチャラチャラつけることが嫌いなのだ。最近はやりのカードなど、首からかけている姿を見ると、なんだか牢屋のなかにいれられたニンゲンたちが、ちいさなコップの中で右往左往しているみたいだ)。

☆「春山準備 北ア・涸沢カール 山小屋に荷上げ」、「北非難声明を採択 ミサイル発射 安保理が全会一致」、「スポーツ交流事業『南京発言』で中止 名古屋で夏に予定」(17日付、中日朝刊)
 「脱原発依存 工程表を 滋賀、京都が7項目提言 『被害地元』明記」、「『都が尖閣諸島購入』 石原知事表明 所有者と合意」、「スマホ 不正アプリ29種に拡大 情報流出は数百万人分か」(17日付、中日夕刊)

平成二十四年四月十六日
 福島県南相馬市の原発事故放射能漏れの警戒区域解除で4000世帯が自宅への立ち入りが自由になった。自由の身になったとはいえ、被災者たちは自宅に溜まったままのゴミなどの整理をしながら、この先どうしてよいのか、途方にくれている。特に海岸沿いの場合、「津波プラス放射能汚染」に襲われ、がれき処理は手つかずのままだ。今後、被災した地域の人たちは、どう生活再建をしていくのかーが、とても心配である。

 アフガニスタンの首都カブールで日本大使館が反政府軍タリバンによりロケット弾三発を撃ち込まれた。幸い、けが人は出なかったが2001年のタリバン政権崩壊後も依然、アフガニスタンは混迷している。
 北朝鮮では昨日あった故金日成主席生誕百年の軍事パレードで新指導者、金正恩・朝鮮労働党第一書記が、父の金正日総書記とは違い「建国の父」で演説を好んだ祖父をほうふつさせる演説を行い、軍事優先姿勢を鮮明に打ち出した。テレビ画面に映しだされた若き金正恩第一書記の姿は、かつての金日成主席そっくりだった。軍事優先姿勢の表明により、しばらくは日米韓国との瀬戸際外交の緊張が続きそうだ。

 世界は動いているのか、止まっているのか。動いてはいるが、止まったままだ。人類のやることは少しも進歩がないではないか。北朝鮮のいう人工衛星(地球観測衛星)発射に当たっての海外メディア招待や折々のプレス発表、失敗の容認など資本主義的手法の取り入れが一部で目立ち金正恩第一書記が若いだけに、私は内心、核開発の一時停止など世界平和への思い切った軌道修正を願っていたのだが。甘かった。このありさまでは、まだまだ、とても道は遠い気がする。

【きょうの1番ニュース】知人でCafe画廊「音彩」(ねいろ)店主、尾張音楽協議会会長、アサクラ電子社長でもある後藤正敏さん、すなわち“ごとう正五郎”さんが私の著書〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉のことを、愛知北FMのご自分が出演されるレギュラー番組で心温かくも紹介してくださった。礼を申し上げたい。正五郎さんは、これからも随時、本の中身をご自身で朗読してくださる、とのことだ。感謝のしようもない。こうしたところから本の輪が広がってくれたら、と願っている。

☆「金正恩氏 資本主義論議を容認 発言録入手 改革に意欲」(16日付、毎日朝刊)、「御前崎市長に現職3選 (浜岡原発再稼働に)慎重姿勢を強調」、「下呂市長に野村氏再選 元犬山市長・石田氏を破る」(16日付、中日朝刊)
 「袴田事件 検察側も『DNA不一致』 静岡地裁 再審の条件検証」、「我ら宝塚100期生 音楽学校で入学式」(16日付、中日夕刊)

平成二十四年四月十五日
 日曜日。けさは、なれない手つきで朝食を準備した(日曜日の朝は私が作ることになっている)のにMはからだがしんどそうで、朝からずっと横になったまま無言でいた。おかげで、せっかくの朝食なのにハシ一本手にしない彼女を横目に食べ、重苦しい一日が過ぎていった。
 正直言って私は私で、年金三文B級作家なりにやることが山ほどある。なのに、彼女は私がパソコンの前に座っていたり、携帯電話を操作していること自体に抵抗感があるらしい。そんな。ボクを独り占めしようとする方が無理なのに…。でも、たまにはいいか。とはいえ、Mのからだが心配なので、きょうのところは私一人で母が入院する病院へ。

 病室で母はちょうど昼食中で、考えようによっては食事のあとに二人でいろんな話をする機会にも恵まれた。母は「大事にしなければ」とMのことを心から気遣ってくれ、「終戦の翌年に満州の奉天で生まれたばかり、生後十三日目に引き揚げ船に乗って舞鶴に帰国したおまえが、今度は世界一周だなんて。めでたいことだ。でも、Mさんのからだ最優先で。悪いなら、その時は行っちゃあいけない」とも続けた。

 病院から帰宅後は、私の本の販売の件やテーマエッセイ「声」の執筆、同人から届いた作品チェック、ピースボート乗船前の準備、さらには文学界や宇宙詩人の読書とチェック…などに追われた。

 ドラゴンズは甲子園でプロ29年目、46歳と8カ月と4日=8月11日生まれ=の山本昌広投手が先発、阪神に3―0で勝った。マサさんは今季初勝利で1年7カ月ぶりの勝ち星、それもスクリューがさえ、コントロールもすこぶるよくて、先発勝利のプロ野球記録、最年長勝利のセ・リーグ記録を更新、通算勝利数も211勝となり、杉下茂(86歳)の球団記録に並んだ。
 今夜はたまたまNHKのサンデースポーツに前中日監督・落合博満さんが出演、今シーズン早くも3人の危険球が出ていることに触れ、「ボールはひとつ間違えば凶器になる。自分のからだは自分で守る、この気持ちが薄れてきているのでは」と警告。このほか、きょうの試合を見た限りではたまたま平田の中越え2ランに助けられたものの、自らの監督経験も踏まえまだまだ阪神・岩田投手を攻略できたとはいえない、と強調している点で彼らしいな、と思った。

【きょう1番のニュース】母が入院する病院にきのう妹のお孫さんである光希ちゃんと有希ちゃんが見舞いに訪れ「大おばあちゃん、早くよくなってね」と光希ちゃんの描いた絵を置いていった。これには大おばあちゃんも大喜びだった。

☆「大飯原発 再稼働関西圏の理解を 経産相会談 福井知事が要請」、「菅前首相再稼働に警鐘 電力不足は供給側の理屈 将来のエネルギー議論必要」、「より早く 災害に強く 御殿場―三ヶ日 新東名高速開通」「奥三河 集客に期待感 一部開通『効果限定的』の声も」(15日付、中日朝刊)

平成二十四年四月十四日
 土曜日。朝からバタバタとして相も変わらぬ一日に。きょう、あすと私たちの住む、このいなか町は、古知野神社春の祭礼『古知野まつり』だが、午前中は雨で法被姿のこどもたちは少し残念そう。それでも午後は雨も止み、みこしを担いだ子と母親らが地区内を回って歩いていた。
 私とMは地区の宿兼待合所にご祝儀を届けたあと、五条川の桜ふぶきを横目に母が入院する病院へ。引き続きMの買い物に付き合い、帰宅後は例によって新聞のチェックに続いてパソコンの前へ。パソコンでの画像アップに四苦八苦するうち、アッという間に一日が過ぎていった。幸い、アップもままならないまま途方に暮れていたら息子が助けてくれ、なんとか画像をアップする自信もできた。

 それにしても、スマートフォンにせよ、パソコンにせよ、今の機器には、とてもついていけないところがある。最後は、やはりペンの力だと思うだけに、メモ書きだけは日々忘れないで延々と書き続けている。パソコン画面は消えても、メモ書きは永遠に残ってくれる。そんな気がする。

 ドラゴンズは甲子園で阪神戦。一回、森野の2点打などで一挙6点をいれ、その後4点を取られたものの、ルーキー田島慎二投手らが好投し7―4で勝った。中日は、開幕5連勝のあと5連敗で、このままだとファンが怒りだすのでは、と思っていた矢先の勝利だけに、やれやれだ。田島はプロ初勝利をあげた。

【きょうの1番ニュース】〈焼きたて、つくりたてのおいしさに勝るものなし〉。昔、なじみのデカ(刑事)だった小牧の泥刑・タニさんから、思いがけず、新潟味のれん本舗の「米菓」が宅急便でわが家に送られてきた。お菓子の中には「お元気ですか ご無沙汰致しております 心ばかりの品ですがお召し上がりください」とだけ書かれたメモが入っていた。タニさんとは、かつて愛知県警の刑事でスリを捕らえる“スリ専門刑事”で勇名をはせた谷奥二生さんである。夜、さっそく食べたが、なんともおいしい味である。もう八十も超えたお歳のはずだ。タニさん! お元気ですか。ありがとう。新潟へ行ってこられたのですか。

☆「あっこと僕らが生きた夏『一緒に甲子園に行くんや! 実在の高校野球部とマネージャーの絆~闘病日記を元に描く感動のドラマ』」(14日夜、NHK総合テレビ)、「大飯再稼働方針を決定 首相、3閣僚会合」「政府 安全性を強調 経産相きょう福井訪問」、「北朝鮮 正恩氏、国防第1委員長に 新ポスト 党、国家機構、軍を掌握」(14日付、中日朝刊)、「『江南駅前交番』開設 『古知野交番』老朽化のため移設」(14日付、尾北ホームニュース)
 「高山祭 春雨の開幕」、「名駅前 ビアガーデン『マイアミ』 歓び半世紀 名残の乾杯 ビル建て替え 今シーズンで営業終了」(14日付、中日夕刊)

平成二十四年四月十三日
 このところ、各国メディアを招いて再三にわたってプレス発表し公開するなど、世界の耳目を集めてきた北朝鮮のミサイル発射実験がきょうの早朝、東倉里(トンチャリ)の発射台で行われた。北朝鮮の言う、この人工衛星(地球観測衛星)はあいにく発射後、一~二分後、120キロまで上がり大気圏に突入したところで空中爆発しバラバラになって、朝鮮半島西の黄海上に落下して失敗に終わった。
 北朝鮮の朝鮮中央通信も「地球観測衛星は軌道に乗らず失敗した。現在、科学者と技術者、専門家たちがその原因を調べている」と珍しく失敗をすなおに認める発表をした。そもそも、このミサイル、北朝鮮側が「人工衛星だ」と主張しているのに対し日米などは(核を搭載するための)長距離弾道ミサイルだとして、発射した場合は国連安全保障理事会での非難決議の採択を求める方針でいた。さて、国連での扱いはどうなるのか。中国の出方が注目されるところだ。

 五条川堤の桜は、きょうも満開の状態が続いている。あちこちの神社境内などでは桜ふぶきが風に舞うなか、この川の川面だけはやっと白い花がヒラリヒラリと舞い始めている。あすになれば、川面は真っ白の桜の筏と化してしまうかもしれない。もののあはれ、を感じつつ、きょうも午前中、病院へ。その足で名古屋に出向き、さきほど帰ったところである。
 一方で昨年の三月十一日。一瞬のうちに何もかもが流されてしまった東北は福島県のフラダンスの町・いわき市の小名浜では、きょう桜が開花したという。昨年、大震災が発生してまもなく、あの塩屋埼灯台直下に広がる廃墟の町を無言で延々と歩いた私にとっては、忘れられない土地だけに、桜の開花を心から喜びたい。

 ドラゴンズは甲子園で阪神と対戦し3―1で完敗。阪神の能見は2勝目、中日は山内が敗戦投手となった。楽天×日本ハム戦は甲子園で戦った田中VS斎藤投手の投げ合いとなったが、2―1でマー君(田中投手)が勝利投手となった。

【きょうの1番ニュース】北朝鮮が人工衛星の発射の失敗を認め、北朝鮮の朝鮮中央通信も「衛星は軌道に乗らなかった」と失敗をすなおに伝え、原因を究明中だと報道したことは、ある面で大いなる前進だ。このうえは金正恩第一書記に核開発からの撤退と開かれた北朝鮮実現への努力に期待したい。もしかしたら、金第一書記は「戦争のない平和な国際社会」を生み出すきっかけを作る、英雄になるかもしれない。

☆「祇園で車暴走 7人死亡」「横断者 次々はねる 運転手発作? 電柱に衝突、死亡」(13日付、中日朝刊)
 「北朝鮮ミサイル失敗」「発射直後に分解 『軌道乗らず』認める」「(日本)政府の発表、40分後 米情報の確認手間取る」、「正恩体制 威信に傷」、「来嶋被告に死刑判決 さいたま地裁 3男性殺害を認定」(13日付、中日夕刊)「江戸で生まれた河東節とは」(NHKEテレ13日付、にっぽんの芸能「芸能百花繚乱)

平成二十四年四月十二日
 笛書房の小川章紀さんと大垣へ。私の本〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉のPRと、五月八日から乗船する地球一周ピースボートからの平和のメッセージ発信に関する協力を心当たりの方々にお願いするのが目的だ。幸い、いずれもよき理解者に恵まれ思っていた以上の返事を聞くことが出来、嬉しく思った。

 これもそれも大垣の教育界を代表する順ちゃん(学校法人平野学園理事長・平野順一さん)、そして大垣ケーブルテレビの河嶋厚さんらスタッフの皆さんのおかげ、だと感謝している。あとは、順ちゃんたちが蒔いてくださった種がきっかけとなり、本と平和のメッセージがどこまでひとり歩きしてくれるか、だ。そのためにも協力者には恥をしのんで一冊でも多く買って読んでもらえるように私たち自身が粘り強くお願いして回る必要がある。

 それはそうと、本の購入はむろんのこと、きょうは順ちゃんにたいそうごちそうになってしまった。このあとはタクシーでJR大垣駅に行く道すがら、久しぶりに大垣で暮らす次男坊とも会え良かった、と思っている。Mに“順ちゃん”にあいさつしないで、何も始まらないわよーと言われたが、彼の太っ腹を見ると、まさにその通りだ。
 あとは“順ちゃん”みたいな人がどれだけ出てくるか、だ。それによって本に猛火がつくかどうか、が決まってくる。要するに今は一人でも多くの方々に読んでいただくことだ。私としては、たとえ一冊でも購入し読んでくださった人、こういう方々を大切にしたい。

 夜。大垣から帰って茶の間に座る。そこに飛び込んできたのが、てんかんの若者運転による車が京は祇園の町を暴走し、七人もの命が奪われるというものだった。この世は、私たちの知らないところで一瞬にして地獄になる。これも見えざる“神の手”なのか。

今夜の東京ドーム。中日×巨人戦。吉見対内海のエース対決となったが紙一重、3―2で巨人に軍配があがった。吉見の6イニング、8被安打、3失点と連勝記録が12で途絶えたのが返す返すも残念だが、これまで勝ちのなかった内海が勝利投手になり、なんだか判官びいきみたいで申し訳ないが、ホッともした。勝ち続けもよくないが、負け続けもよくない。ニンゲンらしいプロ野球は勝ったり負けたりだ。だから面白く、3連覇への夢も託せよう、というものだ。でも、高木さん。次の試合は勝ってくださいね。デナイト、名古屋のファンは怒り始めます。

【きょう1番のニュース】大垣の平野学園を訪れ、学園HIT編集部発行のフリーマガジン第二号「松尾芭蕉特集」の発行に触れ、心身ともにさわやかな“かぜ”が流れていった。こうした教育現場があれば、日本の将来は間違いなく良い方向に向かうだろう。「HITにおける追求とはなにか。それは平野学園における教育現場の『いま』を見つめてゆくことであり、大垣における地域活動の『いま』を見つめてゆくことです。そうした視野の延長線上に日本の『いま』があり、世界の『いま』があると考えます」(編集後記より)。
 こんな学園で学ぶことが出来る生徒たちは、なんて幸せな環境に恵まれていることか。平野学園では、そればかりか、『復興ニッポン』をテーマとした国際ビジネス科第3学年全員による卒業論文にもふれることができた。

 大垣ではこのほか大垣ケーブルテレビ放送部・大塚英司さんら映像編集スタッフの情熱的かつ、寸暇を惜しまない努力の挑戦が続く第一線の編集制作現場を訪れ、多くの部分で私自身の勉強にもなった。まもなく始まる大垣祭り。その山車13両をそろって70年ぶりに勢ぞろいさせよう、というもので感銘した。なかでも昭和24年にリアカーが山車替わりとなって子どもたちに引かれる写真を目にしたときには、風雪を経て今に至った歴史の重みのようなものを感じた。

☆「北朝鮮 正恩氏 第一書記に ポスト新設『党の最高位』」、「放射性物質 全原発で拡散予測へ 緊急防護区域設定の材料に 来月にも着手」(12日付、中日朝刊)
 「北ミサイル G8『安保理決議に違反』 外相会合発射予告期間入り 北当局者「今日は見送り」、「正恩氏 軍事委員長にも就任 党代表者会 父のポスト継承進む」(12日付、中日夕刊)」

平成二十四年四月十一日
 お天気次第とは、よくいったものだ。きょうは一日中、雨、雨、雨…で外に出ていてもナントナク気が滅入った。そんななか、五条川の桜ばかりが雨に打たれ、いっそう白さを増したような、そんな気がする。それとも私だけの錯覚なのか。私が見る限り奇跡なのか。川面には、まだ一枚の花びらとて浮かんではいなかった。満開持続の証しといえようか。テレビニュースによれば、全国的には桜吹雪が各地で舞い始めているという。

 母の病室。私の本「笛猫野球日記」を声を上げて読む。それによると、昨年の今ごろは既に五条川の花も散り初め、次のような按配だった。
―春らんまん、五条川両岸の桜は満開で見事だった。満九十歳を過ぎている母は当初、車の中から見るだけでいいと話していたが、私が「少しは川岸を歩かなければ、それじゃあ情緒も何もあったものでない」と不満を述べると、しぶしぶ歩き始めた。それでも、よほど気に入ったとみえ、しばらくはそのまま川岸に立ち、透明な川面に白い花びらを浮かべ、かぜに揺れるソメイヨシノの花々に満足そうだった。散り初めし花々。白い花弁が、川面を流れてゆく姿には、えもいわれぬ美しさを感じた。(昨年四月十日から、抜粋)

 病院からの帰り道に江南市内、山尻の喫茶「音彩(ねいろ)」へ。マスターの後藤正敏さんに私の著書〈いがみの権太 大震災『笛猫野球日記』〉を思いがけず、二冊も購入していただいた。それどころか、後藤さんは“ごとう正五郎”の名前でレギュラー出演している愛知北FMの月曜日午後七時二十分からの番組で本の紹介をしましょう、と約束までしてくださった。ちなみに後藤さんからいただいた名刺には「良き日の今日 お会い出来た事に 感謝いたします」の文言までが入っていた。

 きょうのドラゴンズ、昨日に続き、東京ドームで巨人戦だった。三回裏、巨人・長野の同点タイムリー、八回には5番村田にチーム初ホームランを打たれるなど5―1で負けた。この日、阪神・藤川投手はマツダスタジアムであった広島戦でプロ野球史上5人目の通算200セーブを達成した。

【きょうの1番ニュース】本日付中日新聞の「中部の文芸 小説・評論」で文芸評論家の清水信さんが私の著作について次のような評価をしてくださり、率直に嬉しく思った。
―伊神権太(名古屋市)の『大震災・笛猫野球日記』(笛書房)は一転、ドラゴンズの全試合に密着した熱烈ファンの証言集。大震災をはさむ二〇一〇、一一年度の連覇を果たした球団の全試合の記録と、ファンの哀歓を、文学的に綴っている快書。ファン垂涎の書たるを疑えない。

☆「天皇陛下が英首相と会見」、「『北の発射』備えに不安も Jアラート(全国瞬時警報システム) 岐阜で自動伝達できず 中津川市 美濃市 白川村」、「本社 増田(俊也)記者ら受賞 大宅壮一ノンフィクション賞 柔道家の生涯追う」、「東京本社論説主幹・中国報道で記者クラブ賞 清水美和氏が10日、すい臓がんのため死去。58歳」(11日付、中日朝刊)
 「米大統領選共和候補 ロムニー氏指名確実 サントラム氏撤退」、「カードいらずのATM(現金自動預払機) 大垣共立銀 手のひらだけで認証 全国初 震災対策で今秋導入」(11日付、中日夕刊) 

平成二十四年四月十日
 私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の次回テーマエッセイのテーマが「声」と決まったので同人にこの旨伝え、二十日ごろまでには400字詰原稿用紙4枚にまとめて出稿するよう連絡した。一人ひとりに連絡することにより、同人各位が皆さん、それぞれに忙しい時を過ごしていることをあらためて感じた。
 何度電話しても出ないのは、おそらく小さなお子さんを抱え育児にきりきり舞いのために違いない。ほかに、電話が通じず、ショートメールせざるを得ない同人も仕事中などのため、なかなか電話に出ることが出来ないためなのだろう。それぞれに多忙な日々を暮らしていることは、何よりでもある。

 入院中の母は、きょうやっと口の中の金具が取れ、食事も鼻からではなく自分の口でおかゆを食べるところまで回復した。あれだけの重傷事故に遭い、長時間に及ぶ手術にも耐えたばかりか、まだまだ口の中の痛みも治まってはいないーことからして、まだ落ち着くまでには2週間ぐらいは必要だ、と私は思う(担当女医によれば、あす退院していただいてもいい、とのことだが…)。
 それに何もあわてて退院するよりも、ほかに右肩や首筋の痛みも残っているのだから、この際じっくりと治療してもらって、ゆっくりと出た方が後々のためにも良いと思う。

 ドラゴンズは東京ドームで今季初の巨人戦。巨人に先取点を取られはしたが、六回表の山崎の2点タイムリーなどで追いつき、6―6になったものの引き分けに終わった。横浜DeNAは、ヤクルトにさよなら負けで6連敗。大リーグ・レンジャーズに加入したダルビッシュ有投手(25歳)は、本拠地のテキサス州レンジャーズ・ボールパークでマリナーズ戦に先発してメジャーデビュー。六回途中までイチローなどに8安打を浴び5失点で万事休す、と思われたが、その後味方打線の奮起で11―5と逆転、勝利投手となった。ダルビッシュは持ってる、というよりは限りなくついてる男だ。

【きょうの1番ニュース】ああだ、こうだとスマートフォンとパソコンをいじくりながら、ユーチューブに私の新刊著書〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉をアップしてみた。母の言葉じゃないけれど「どんなに手紙でお褒めの言葉を頂いたところで、(せっかくいい本なのだから)たとえ一冊でも買ってもらわなきゃ、なんにもならへん。おまえみたいに気前よく渡すばかりが能じゃない。買ってくださる人こそ、大切にしなければ。多くの本を買ってもらわなければ、社会に認められたとは言えない」はその通りだ。だから、なんとかこの本の存在を知ってもらい、たとえ1冊でも多く買ってもらおう、とユーチューブでのアップを思いたったのである。

☆「大飯工程表を了承 再稼働『基準に適合』 閣僚会議」、「ソニー人員 1万人削減」、「並木の桜 遠くまで 岩倉・五条川=全国の『さくらの名所百選』に数えられる愛知県岩倉市の五条川沿いでソメイヨシノが満開となり、千四百本の桜の帯が市街地に浮かび上がった。市の前身の旧岩倉町が戦後復興の象徴にしようと、一九四九(昭和二十四)年ごろ植樹を始め、市内全域の七・六キロに広がった。」(10日付、中日朝刊)
 「ダル試練の船出 5失点…立ち直り初勝利 序盤、四球で崩れる」(10日付、中日夕刊)

平成二十四年四月九日
 五条川両岸堤防の桜、ソメイヨシノ(染井吉野)は今が満開だ。これまで母が入院する病院への行き帰りに見る桜はなかなか満開にはならず、じれったくもあったがとうとう〈桜 NOW〉、時来たるーである。病院からの帰途、百メートルほどMと河畔を歩いてみた。幸い、きょうは母の口の中にあてがわれていた金具が取れ、鼻からの栄養補給も今夜で終わる。あすからはおかゆによる口での食事が始まるという。

 桜と言えば、毎日新聞が昨日付の朝刊〈余録〉で福島県出身の映画プロデューサー、今泉文子さんが撮った同県三春町の「三春の滝桜」に触れている。記事によれば、三春町の丘に立つ紅枝垂れ桜は推定樹齢千年。今泉さんらは毎朝三時に宿を出て、近くの畑でカメラを回し、夜の八時に撤収する繰り返しで原発事故一カ月後の四月十一日から二週間、「微速度撮影」を続けたという。
 そして。時間を早回ししたような映像は、わずか10分。「晴れの日は穏やかに、荒天の日は風雨や雪に耐え、昼と夜を繰り返すごとに桜のつぼみは膨らみ、ほころび、満開を迎える▲映像はライトアップされなかった老樹の後ろに広がる星空で終わる。背景に流れるのは音楽だけ。被災地を見せるわけではない。原発を声高に糾弾しているわけでもない。それなのに、今泉さんの上映会が終わると『みんなしんと静かになる。涙をこぼす人もいる』。その気持ちは映像を見るとよくわかる▲三春から約47キロ。福島第1原発では今も綱渡りのような事故処理が続く。…」(余録から)

 今泉さんの滝桜にかける思い。五条川両岸で花開く無言のソメイヨシノを目の前に、私にも桜の気持ちがなんとなく分かる気がした。

【きょう1番のニュース】「ゴンちゃん、お元気ですか。(中略)ドラの野球に関わるこれほど克明な記録はほかに知らず感銘を受けました」。名古屋市内に住む元中日ドラゴンズ球団幹部から、思いがけずはがきをいただいた。この方は新聞記者の大先輩でもあり、なんだか励まされたようで、とても嬉しかった。

☆「北朝鮮発射場を公開 ミサイル設置完了 『宇宙開発ロケット』と正当化」「北朝鮮が核実験準備 ミサイル発射後、強行か 米衛星確認」、「石川遼選手が婚約」(9日付、中日夕刊)

平成二十四年四月八日
 日曜日。先日の強風で傾いてしまった自宅裏の生垣を直さなければ、と思い裏庭に行こうとすると、「もう直した」とM。内心、私が直してMを喜ばせてやろうーと思ったのに、またまた形勢は不利に。彼女が修復してしまった以上、私は「あっ、そう」と言うだけで、ただ沈黙するのみである。

 午後は、Mのアッシー君役も兼ねてスギ薬局、アピタ、母が入院中である病院の順に回った。それにしても、薬局にはビールから猫缶、酒のツマミ…と何から何まで売っている。いつから、こんなふうになってしまったのだろう。どちらが、スーパーなのか知れたものでない。病院では母が背中と首筋部分をさすってーというので二人で交互にさすった。

 ドラゴンズはナゴヤドームでデーゲーム。前日に続いて昨シーズンさんざん手こずったヤクルトと対戦、山本昌投手の力投、荒木選手の同点打にもかかわらず、1―1で延長戦の末、十回に頼みの岩瀬が崩れ3―1で敗れた。あ~ぁ。こんな日もある。悔しいけれど、野球というヤツ、人生と同じだ。いい時ばかりじゃないよね。

【きょうの1番ニュース】NHKラジオテキストの「まいにち中国語 4月号」を買ったことか。このところは毎朝、同ラジオ講座を聴いているが、いかんせん、テキストなしでは限界があっただけに、何だかホッとした気分になった。

☆「「巨大地震メガクエイク 迫る脅威! 超大型津波(8日夜、NHKスペシャル) 北ミサイル 『発射なら安保理対応』日韓外相 中国、なお説得へ」「ロケット先端の『覆い』落下通告なし」「『衛星』説に科学的疑問」(8日付、中日朝刊)

平成二十四年四月七日
 五条川の桜が満開になった。これまで引き分け一つをはさんで開幕五連勝だったドラゴンズが、ナゴヤドームでのデーゲームでヤクルトに2―1で敗れた。中日は川上が先発したが、二回にピッチャーゴロを捕球する際にハプニングが起き、左腰を痛めたようだ。たいしたことがなければ良いのだが。

 きょうの中日新聞地方(尾張)版は、〈いざ 花見へ〉と、各地の桜の名所を取り上げており、なかなか良かった。ことしの冬は例年になく寒い日が長く続き、桜の開花も五日前後遅れていただけに人々の桜への思いはいつもの年にも増して強いものがある。それだけに茶の間の読者からは喜ばれたに違いない。中日は、地方版がきめ細かく、こうした読者に寄り添った紙面展開ができるのが強みだ。

 夜。ことのほか美しい満月(望月)にMともども、空を見上げて思わず見とれてしまう。そういえば、西行法師の句に、こんなものがある。
 〈願わくば 花の下にて 春死なん その望月の如月の頃〉。なんという贅沢な句であることか。
 
【きょうの1番ニュース】桜の名所で知られる五条川堤を、スマートフォンを片手に下手な英語の解説を入れながら歩いてみた。日本の桜の美しさを世界の人々に知ってほしいためで帰宅し、〈heiwano message〉として実験的にユーチューブにアップしてみた。
 ユーチューブでの公開は、これまで試験的にあれこれやってみたが、▽小笠原諸島父島での地元船団との別れのシーンに続き、正式にはこれが2回目だ。あっちへぶつかったり、こっちにぶつかったりして、やっとアップするところまで辿りつくことが出来た。私の本意は、地球に住む人々に、主に世界のこどもたちからの“平和のメッセージ”を発信したい、その一念に尽きる。年金暮らしのB級作家としての挑戦の旅が、今こうして始まったのである。

☆「三菱重大江工場 『787』主翼 電線切られる 製造中、関係者の故意か」、「名古屋、岐阜 桜満開 遅い春めでる喜びかみしめる」、「犬山の弟殺害『豆炭でCО』認識 民事訴訟判決認定 07年、中毒時から 勉容疑者 借金重ね職を転々」(7日付、中日朝刊)
「99年11連勝の星野竜以来 13年ぶり開幕5連勝 吉見公式戦15連勝」、「マエケン ノーヒットノーラン」(7日付、中日スポーツ) 
 「北ミサイル1段目設置 韓国各紙報道 最終準備が本格化」、「新東名 14日開通 技術ぎっしり 落下物新型清掃車で回収 前走る車照明でくっきり」、「B級グルメ 花開く名古屋 熱田区朱色かまぼこ包み餃子 昭和区伝統野菜でレシピ開発」(7日付、中日夕刊)

平成二十四年四月六日
 中日新聞のOB会ともいえる社友会に顔を出した。岐阜総局(現岐阜支社)時代、すなわち岐阜県庁汚職事件のころに随分とお世話になった県警キャップデスク・N氏はじめ、小牧在住で現役時代に大変お世話になった名カメラマン・K氏、入社した年〈昭和43年〉が同じの同期の桜たち、かつては、“新入学児を祝う良い子とお母さんの会”で知られた91歳の長老・元中日こども会主事の三宅邦夫おじさん、ナゴヤドームの生き字引存在でもある神戸さん…など多くの懐かしい顔にもお会いでき、ホントに良かった。

 社友会のあとには編集の大先輩と社近くでコーヒーを飲み五月八日からのピースボート(オーシャン・ドリーム号)乗船に当たって、やろうとしていることに対する貴重なアドバイスを受けた。一緒にコーヒーを飲んでいたら、本社資料部女性スタッフと出会い持っていた私の著書〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉を、その場で贈呈させていただいた。正面玄関に巨漢ガードマン長尾さんが立っていたので(同じ)ガードマンでファンクラブ会員でもある丸尾さんに、と一冊渡しておいた。

 社友会の方だが、本社6階ホールで思いのたけをぶつけるトップの話が延々続いた。社友を前にしての意欲のほどと情熱はわかる。でも社友の中には高齢者も多い。来年はもっと簡潔にーと、お願しておきたい。イイお話だけに、ホールからあふれた全員にもマイクの声が通るようにしていただけたら、と思う。私は入り口部分にいたが格調高き挨拶が全くもって聴けず残念に思った。

 トップの話をじっくり聞いていた人の話によると、昔私が能登半島の七尾支局長をしていたころ、当時“非情の視線”で憎しみあう如くに接していた、北陸にある、もう一方の地元新聞とは今では蜜月関係にあるらしい。とても私には信じられない。どちらが凋落したのか。いや、されたのか。とはいえ、所詮、Tなる男が実権を握るその新聞社とは、同じ地元紙として永遠のライバル関係にあることに変わりはない。騙し、騙されの世界であることだけは肝に銘じてほしい。要はどちらが読者のためになるかだ。
 あのころ私は暮れともなれば、拡張カードを胸に連日連夜、和倉温泉のだんな衆と飲みながら強引とも言える勧誘に必死だったその新聞から、和倉のだんな衆一人ひとりを切り外して、わが中日の読者を守るのに命がけだった。相手はしたたか、油断禁物だ。

【きょうの1番ニュース】社友会に行く前に開花直前となった五条川堤の桜の花々を私自身の声による解説入りでビデオ収録。その足で、やがて満92歳になる母が入院している大口町の“さくら総合病院”へ。病室を訪ねるや、母に満開直前の桜の花々を収録したビデオを見せた。母は「きれいだね」「(満開まで)あと、ちょっとだね」と最初の観客となってくれた。気象庁によると、ことしは寒さがいつまでも続いていることもあり、開花は平年より五日ほど遅いという。

☆「原発ゼロへ首長会議 『住民の命と財産を守る』28日設立」、「『AKIRA』名古屋疾走 東北支援チャリティー」、「大飯原発再稼働 新基準首相が大筋了承 全電源喪失防止など」、「12年度予算成立 国会の焦点 消費増税に」(6日付、中日朝刊)
 「学びや改善 道半ば 強度不足ピアノ置けず 運動減り体力低下心配 被災3県新学期始まる」「被災173校 7割 仮設や間借り」「古里に笑顔再び 福島・川内村小中学校再開」(6日付、中日夕刊) 

平成二十四年四月五日
 私の著作〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉の売れ行きが少しずつ動きだしてきた。本音を言えば、せめて初版だけでも全部売れてほしい、とは思っているが…。ただ、ここにきてガツガツと売り尽くそう、なんて考えは毛頭ないから、この本は“風の流れ”の如くに一冊一冊売れ、気がついたら初版本がなくなっていた、ということになれば、それでイイのだ、と自らに言い聞かせている。笛書房の小畠さん、小川さんも、あまり欲のない人たちばかりだけに、焦らなくてなるようになればいい。あとは誠意でーと半分、開き直った気持ちでいる。
 
 それでも、「ツィッターとブログで伊神さんの本を紹介させていただきました」「これから読ませていただきます」「10冊買わせてもらったから」「20~30冊でも構いませんよ。中身が良いから」などといったありがたい言葉をはじめ、「ご無沙汰してます。お元気に執筆活動なさっている事と思います。本日、伊神さんの本を注文しました。届くのを楽しみに待ってます」といったメールが届いたばかりか、文学界のある重鎮からは、「〈いがみの権太 大震災『笛猫野球日記』〉恵贈有難うございました。二シーズン一日も欠かさず書きつづけられたことにまず敬服。読みやすいですし、伊神さんの人柄がよく伝わってきます。冒頭大震災も効いています。…〉とお褒めのハガキまでいただき恐縮した。

 そればかりか、きょうは、かつて中日スポーツの中日ドラゴンズ公式ファンクラブの会員コーナーの紹介取材に当たって大変お世話になった方が「おめでとう。ボクの気持ちだから」と回転ずしでごちそうをしてくださった。そればかりか、「まずは、十冊買わせていただく」とポンと一万円冊を手渡される一幕まであり、心から感激したのである。私は、この方には取材協力のお礼を兼ね、本を進呈しなければ、と思っていたのにかえって申し訳ない気がした。その男性には、何よりも「読んでほしい」一心でお会いし進呈させていただいたのだが…。男性の心遣いには、ほとほと参りありがたく思ったのである。

 ドラゴンズは横浜球場でDeNAと対戦し、3―0で勝った。中日は山内壮馬投手が今季、初勝利。森野は2ランを放った。ホームグラウンドのマツダで巨人と相対した広島は2―0で巨人を破り、5年ぶりに巨人に3連勝。3連敗中の日本ハムは、これまで24打席ノーヒットだった中田が八回、今季初のヒットが第1号本塁打となり、3―1でオリックスに勝った。

【きょうの1番ニュース】母が入院する病院に行く途中に、きょうも出会った五条川堤のさくらたち。ようやく、満開まであと一歩に近づいた。ことしは開花する時期が例年よりも、かなり遅い。ニュースによれば、高山では雪が降り、積雪があったと聞く。

☆「一夜で雪化粧 白川郷=豪雪地帯の岐阜県白川村は四日、冬型の気圧配置となった影響で雪となり、世界遺産・合掌造り集落も一夜で冬景色に逆戻りした」、「震災がれき トヨタ受け入れ検討 愛知県、田原に処分場建設」(5日付、中日朝刊)
 「さあ 桜の下へ=東海地方は五日、名古屋で最低気温三・三度、岐阜で二・五度と三月上旬並みに冷え込んだ。」、「福島第1 汚染水12トン漏れる 配管から大半 海に流失か」、「防災ボランティア 若者立つ 大学生の団体21%増」「被災3県で96団体休止」(5日付、中日夕刊) 

平成二十四年四月四日
 きょうは、午前中は先に小笠原諸島で収録したビデオをパソコンに取り込むなど、自宅でやるべきことを行って午後から名古屋へ。今池の鎌倉文庫社長・宮川源さんに私著作のつたなき本〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉を置いていただいているので何よりも、まずそのことに対するお礼を言いたくて、社長にお会いした。合間には今池のドコモ事務所に立ち寄って、昨夜マスターしたはずのユーチューブへの動画送信方法などをあらためて学んだ。この後は名古屋駅前のヤマダ電機に寄り、ビデオをパソコンに取り入れる際の注意事項などを教えてもらった。

 今夜の中日ドラゴンズ。ドラゴンズは、あの暴れ馬・中田賢投手がデッドボールを与えるなど、ハラハラさせながらの登板だったが、要所要所でうまく抑えて横浜DeNAに4―0で快勝、森野の二度に及ぶ手堅い特製フライが功を奏して勝利を引き寄せた。春の選抜高校野球の方は、きょう甲子園球場で大阪桐蔭(大阪)―光星学院(青森)の決勝戦があり、大阪桐蔭が光星を7―3で下した。

【きょうの1番ニュース】東京在住の日本ペンクラブ名誉会員で、かつては小説家井上靖さんにかわいがられた、詩人の最匠展子さん(日本詩歌文学館賞の受賞作家、元H詩賞選考委員長)から写真入りの郵便が届いた。
 「伊神孝信さま 4/1 昨年は(十一月のペンの日に、わざわざ)拙宅にお立ち寄り下さいまして有難うございました。久し振りにお目にかかれ、嬉しゅうございました。私は今年から心臓に病気が出て、狭心症のニトログリセリンを毎日使い、二、三日に一回は救急で病院に行くような始末でいつどうなるかわかりません。淋しくて、淋しくて、不安に死にそうな毎日に、家族も無く高齢だし、真に苦悩の毎日を送っています。……」というものだった。
 最匠さんは、私の数少ない文学の師の一人でもあり“戦友”として岡田里史さんが付き添ってくださっている、とは言うものの、やはり心配である。
 
☆「原発30キロ圏 400万人超 重点防災地域人口密集地も 浜岡は74万人」「保安院内部資料で判明」、「春の嵐猛威 3人死亡 名古屋では風速28・6メートル」、「100平日本新 北島 4連続五輪」(4日付、中日朝刊)
 「爆弾低気圧“落とし物” 高山15センチ 雪の4月 2年ぶり」(4日付、中日夕刊)

平成二十四年四月三日
 火曜日。朝、急速に発展した低気圧の影響で、日本列島は大荒れになった。ここ尾張地方でも早朝、不燃ゴミを出すときには小降りだった雨も昼前から風雨が強まり、午後三時過ぎにはおそらく風速二十五メートルは越えただろう、春の嵐が吹き荒れ、雷までが鳴った。

 そんな悪天のなか、きょうは午前中、Mの検診で江南厚生病院へ。血圧が少し高いので「これだとコントロールが仕切れていません」ということで担当医師は「これまで1日1錠だった血圧の薬を2錠にし、様子を見ましょう」とのことだった。これからはMがどんなに嫌がっても出来るだけ彼女の血圧測定はしなければ、と心に言い聞かせた。

 母が入院中の病院に行く途中、風雨はますます強くなり、駐車場から病院まで歩く間に手にした白い傘が骨組みごと木っ端微塵となった。家ではMが家の裏側生垣の柵が倒れないように、と大変だったという。
 帰宅したら「こんな時こそ家にいてほしかったのに。現役のころみたいに、仕事なら別よ。いつも一番居てほしいときに居てくれないのだから」と叱られた。反省している。
 母は母で「危ないから、みんなに来ないように電話をして」と気を遣って話し通しなので「あまりしゃべると、口のなかの回復がうまくいかなくなるから」と注意すると「先生からも、きのうそう言われた」と母。それでも、こどもたちのことが気になるらしい。

【きょう1番のニュース】ドコモで教えてもらった携帯電話のユーチューブへの登録方法がどうしても、イマイチ分からず結局は帰宅した三男坊に教えてもらって分からなかった部分をクリアし、さっそく「平和のメッセージ 伊神権太がゆく世界紀行」(ただしアルファベットでないと、不具合を生じるらしい)として動画入りで開設してみた。
 あくまで、まだテストの段階だが先日、Mと訪れた小笠原諸島・父島を離れる時の地元船団との別れのシーンの映像を添付してみた。これからは、その時々にあったユーチューブを開設していきたい。

☆「経済復興 新戦力に託す 入社式 トップ訓示」、「台風並み『春の嵐』 昼すぎから夜、警戒を」、「滝正男さん死去 中京商選手、監督 甲子園4度V 90歳」、「『鵜飼桜』春染める 岐阜護国神社」、「東京の民家にミイラ化遺体 住人の男性医師か」(3日付、中日朝刊)
 「『女性宮家』1代限り 政府検討 子どもは皇族とせず」、「春の嵐 82歳転倒死 石川 刈谷では1人負傷 夜まで風雨警戒」、「寒気と暖気せめぎ合い 爆弾低気圧」、「97歳男が殺人未遂容疑 金沢で逮捕 親戚を切りつける」、「【文化】作家らが『女性と原発』シンポ 『小説を考える手だてに』」(3日付、中日夕刊)

平成二十四年四月二日
 月曜日。春がきた。でも、この地方の桜は、まだ咲かない。あと一息だ。新入学生や新社会人、それぞれにとって、歴史に歩みを残す忘れられない一日が始まった。フレッシュマンには、この先イバラの道が立ちはだかっていようが、たくましく生き抜いて! と、心から願う。

【きょうの一番ニュース】NTTドコモのスタッフからツィッターなるものを教えてもらって登録。さっそく覗いてみた。私の著書である〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉について発言を寄せられた人も居られ、なんだか恐縮である。

☆「ミャンマー補選 スー・チーさん当選 初の国政 NLD(国民民主連盟)大勝の勢い」、「愛知の中小企業 (福井県おおい町にある関西電力大飯原発3、4号機の)再稼働『反対』が7割」「段階的に全廃 過半数」、「三重財界 昇竜後押し ドラゴンズ後援会が発足」、「大増員 バッジだけでは食えぬ 弁護士 海外に活路 進出企業や日系人支援『得意分野つくらねば』」(2日付、中日朝刊)
 「震災越え涙の決意 『大きなチャンスもらった』 入社・入省式 新社会人80万人」
(2日付、中日夕刊)

平成二十四年四月一日
 毎日、車で通行途中に五条川堤の桜の花を見る。ことしは満開までには、もう少しかかりそうだ。それでもちいさな白い花が7、8輪、空に浮かぶさまは何といってよいのか、心を急かす魔性に満ちている。花がくればあとは散るばかりなのだから、開花直前のいまが一番よいのか知れない。

 きょうは春らしい暖かな日となった。母もだんだんと良くなってきており、私たちは出来るだけ静かに回復してゆく姿を温かい心で見守るほかない。特に私の場合は枕元のラジオの電池切れに気付き、単1の電池4個をコンビニで買い、新しく取り替えることとか、背中をさすってやる程度のことしか出来ない。いずれにせよ、顔の腫れも思った以上に引き母の術後は順調である。これも妹やお姉さんをはじめとした女性陣の奮闘努力、誠意の看病があればこそ、だ。

 ところで、きょうのドラゴンズ。最年長投手、昌さんが先発、よく投げ2―0で広島に勝っていたが途中から継投した期待の浅尾投手が打たれてしまい、2―2のまま延長戦に。結局は3時間半を超える試合で十回引き分けに終わった。今シーズンは出だしが良すぎただけに、1ファンとしては、これでイイと思っている。私はずっとCBCラジオで中継を聞いていたが、解説者としての森繁和氏(昨シーズンまでドラヘッドコーチ)を見直したのである。

【きょう1番のニュース】大口町の病院横民家のガラス越しに、きょうもかわいらしい猫2匹がいたことか。春の陽気に誘われてか、先日は仲良く庭でひなたぼこをしていた。

☆「『3・11』後の作家たち 言葉は壊れなかった」「思いをこめたアンソロジー続々」「思考停止自省/現実と対峙/事態“変えたい”」(1日号、しんぶん赤旗日曜版)「浜岡津波21メートル予測 南海トラフ最大想定M9に 内閣府会議 10県で震度7」「避難など総合対策を」、「皇后さまの喜寿記念展 静養中の天皇陛下鑑賞」(1日付、中日朝刊)

平成二十四年三月三十一日
 土曜日。午前中は雨、午後からは雨も止んで時折、薄日もさしたが相変わらず寒い一日だった。朝、雨の降るなか、マイカーでMと病院へ。五条川の桜は、まだまだ蕾が膨らんだままで開花までには、あと少しかかりそうだ。Mに言わせれば、2、3割方咲き始めているとのことだが。

 手術を終えた母は、鼻から栄養補給されているが、いたって元気だ。午前中には、それまで手術後固定のために口の中にはめ込まれていた突っかい棒のようなものも取れ、少しは楽に。話しも少しずつ出来るようになった。私たちが見舞うと「まあ~、そろそろ帰らなイカン。みんな私のおかげで、その分忙しくしてしまって…。おかあちゃんは一人でおれる。看護婦さんたちも、皆いい人ばかりで心配ないから」と繰り返すが、私には「帰らなイカンよ」の言葉の裏には「本当はいてほしい」という感情があるような気がしてならない。それだけ気丈な女性なのだ、とも思う。

 確かに弁護士の兄、税理士の妹…と皆忙しい。兄は仕事柄か、いつも両手に大きな風呂敷包みとパソコンの入った事務バッグを抱えながらの病院通いで絶えず電話がかかり、そのつど何やら書類を出して親切に応じている。三文弁護士の悲哀もいいところだが、私はこうして社会正義に徹する兄を尊敬している。

 鼻からの食事は点滴のようなもので、この中には母が日常飲んでいる血圧の薬までが入っており医学の発展の度合いを見る気がする。病床に置かれた連絡帳を見ると、妹の字で「(当初は)右頬骨と右上アゴ骨の骨折と診断されたが、右こめかみのケガの部分も骨折していてバキバキに折れていたとのこと。ただ転んだだけでは、そんなにバキバキには折れないと思う。母は(30日夜、私に)事故の時のことを『車にぶつかった私は跳んだ。とんで、車にぶつかったんだと思う』ということを話してくれた。冬用の農作業用帽子をかぶっていたので(頭は助かり)良かった。眼の方も、もう少ししっかり検査した方が良いと思われる。今夜は眼の見え方がおかしいと訴えた。遠近感がおかしい 3/30金 妹」と書かれていた。
 それで、目のことが心配になり「その後はどうなんだ」と聞くと「まあ~、治ったみたいよ。今日はいいみたい」との返事で安心した。きっと手術のあとで麻酔から覚めたばかりなのでしばらく目の方もフワフワと大海原の波間を漂うようでおかしかったのではないか、と私は勝手に判断した。

 川崎の長男が心配して電話をかけてきたが「順調だから、無理してこなくてもいい」と返事をしておいた。あすからの発売を前に、今池の鎌倉書店に笛書房の編集者・小畠辰彦さんから私の新刊が届けられた。同書店には、お世話になり通しだけに心から感謝している。

【きょう1番のニュース】自宅近くバロー店内のファーストフード「もりもり」がきょう限りで閉店とあいなった。ここの主人・河合孝行さんは、大河ドラマで秀吉を演じた俳優によく似た気のいい方で年も私と同じ。堂々と味わいある、いつも淡々とした風情が私の大好きな政治家・輿石さんにも感じが似ている。
 Mが随分とよくしていただいたばかりか、私も、このところは本作成に当たって小畠さんとの打ち合わせを何度も開かせて頂いた。デ、ほんの気持ちの印で上梓したばかりの〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉を贈呈させていただいた。彼は本代を払うと言ってきかなかったが、あれだけお世話になっているのだから「その分、ドラを応援してほしい。本の存在を口コミで広げていただけたら、それだけで感激です」と固辞した。彼曰く「私もずっと中日ファンですから」と。

 その中日ドラゴンズ。きょうも打線が大爆発して広島に9―0で勝った。4年ぶりに大リーグから古巣のドラゴンズに戻ったばかりの川上憲伸が好投し、6イニング89球を投げ4安打、5三振の無失点で勝ち投手となり、まず1勝をあげた。
 川上投手の日本球界レギュラーシーズンでの勝ち星は、2008年10月1日の横浜戦での勝利いらい実に1277日ぶりである。浅尾も初登板し、しっかりとストッパーの役割を果たした。井端も4年ぶり2戦連続猛打賞と絶好調、Mの大好きなブランコも山崎武司の存在が刺激となってか、「負けるものか」と目の覚めるような代打初ホームランを放ち、高木竜のすべてが全開である。いけっ! ドラゴンズ。

☆「“新生”竜歓喜共に プロ野球開幕」、「消費増税 小沢系17人が辞表 政務三役ら 法案提出に反発」、「東海市の女性死亡 連れ去り4人を起訴」「拉致計画半年前から 社長標的“火炎放射器”も」、「お巡りさん有終の美 江南署の藤嶺さん 退職記念の洋画展」=、藤嶺さん! お疲れさま。伊神です。覚えておいででしょうか(31日付、中日朝刊)
 「被災地3県も地デジ化 8カ月遅れで完全移行」、「岐阜市市長公室長(土井治美さん、60歳) 広野町に 定年行政マン福島へ」「東北で学生生活 恩返し」(31日付、中日夕刊)「ヒトラー両親の墓石撤去 ネオナチ『巡礼』憂慮=【ベルリン時事】オーストリア北部レオンディングで30日までに、ナチス・ドイツ総統ヒトラーの両親の墓石が撤去された。クリア紙などによると、『聖地』として巡礼するネオナチが後を絶たないため、ヒトラーの子孫が撤去を決めた。」(31日付、毎日夕刊)
 
平成二十四年三月三十日
 早いもので弥生三月も、あと二日を残すだけ。大口町内の病院に向かう途中に見る五条川両岸の桜も日に日につぼみを膨らませており、遠望する川筋に広がる赤み全体が、次第に明るく染まっていくさまからも開花が間近いことが伺い知れる。あと二、三日もすれば次々と、あのソメイヨシノならでは、の白い花々を咲かせるに違いない。

 ここ数日というもの、自転車に乗っていて交通事故に遭った母が入院していることもあり、行動範囲は必然的に拡大。その分、西に東に、北へ南に、と車と電車、バスで飛び回ることになる。でも、私は今年に入り特定の職場がないB級作家という自由な身だけに、すべてに動きやすい。

  母の傷の方は、きょう右顔面の骨折場所五、六カ所をプレートで固定する口腔手術が、全身麻酔を施し行われた。早朝の血液検査に続き午前九時前、手術室に入っていった。九十一歳のからだが大手術に耐えうるかどうか、少し心配だったが女医の執刀で少し時間がかかりはしたものの、無事終わった。麻酔から目覚めたのは、手術が長引いた分、遅れたようで午後零時四十分過ぎ。まもなく352号室に無事、生還した。母は思った以上にしっかりしており、鼻やら口にパイプのような管をはめられたままの痛々しい姿も、子どもの私が言うのもおかしいが、かえって頼もしささえ感じたのである。

 なんでも、ここ十日ほどは鼻から栄養分が補給される、とのこと。それこそ、負けないで乗り越えてよ、と願うほかあるまい。終戦のどさくさに、満州の大地を逃げ回り、生後まもなく私と兄を伴い引き揚げ船で日本に帰り、その後も数え知れないほど苦難の道を歩いてきた母のことだ。私たち兄弟とその家族は、きっと回復してくれるものと信じている。不思議なもので、こうしたことがあると、家族や兄弟が看病で疲れた分だけ、倍々に結束してゆく。どちらかと言うと、いつも一番なまけもの、人任せの私は兄夫婦、妹夫婦、それにMもよく頑張ってくれるな、と思ってしまう。

 プロ野球のセ・パ両リーグのシーズン戦がいよいよ始まった。高木守道監督率いるドラゴンズはナゴヤドームで広島と対戦、この日は名古屋市出身の女優、武井咲〈えみ〉さんが始球式に登場、浅尾拓也投手から教わったというフォークボールを投げようと試合前、50球も投げ込んで臨んだが、2バウンドで捕手のミットにおさまった。武井さんは昨年の開幕戦で投げる予定だったが、東日本大震災のため実現しなかっただけに、「2年分の気持ちを込めるつもりで張り切って投げた」という。
 試合の方は中日・吉見、広島・前田健太のエース対決となったが中日は山崎、平田らの活躍と吉見の好投に最後は切り札・岩瀬投手が抑えて4―2で勝った。テレビ画面で見る高木さんの真摯なまなざしに私は思わず「がんばって」と両手を重ねていた。母の看病で疲れ切ったまま何も食べないで「もう寝る」といって寝てしまったMの枕元にはなぜかラジオが置かれ、盛んに高木ドラゴンズの勝利をたたえるアナウンサーの声が流れている。

 【きょうの1番ニュース】ことしのドラのスローガンは高木監督提唱の「Join us(ファンと共に)」である。まさに、ファンと共に。手と手を携えてのシーズンがいよいよ始まった。監督は初勝利につき「17年ぶりの勝利は、やはりうれしいものですね」と語り、ヒーローインタビューに立った吉見は「マエケンだけには負けたくなかった。黒星をつけたろう、と思ってた」と名古屋弁で語った。また今季第1号のホームランを打った平田は『谷繁さんから初戦は(緊張するもの)、平常心でいくように』とアドバイスされた、という。
 日本ハムの斎藤佑樹はシーズン初先発で西武に9ー1で完封勝利。「持ってるではなく、これからは背負ってます」とまたまた憎い言葉を言い放った。こやつは、やはり運を持っているー

☆「資本注入1兆円申請 東電国有化には抵抗 会長決まらず改革難航」、「亀井氏連立解消を伝達 首相慰留 国民新分裂も 消費増税反発」、「白鳥事件から60年 中国逃亡 鶴田(倫也)容疑者が(82歳で)病死」、「ミサイル打線中軸(プロ野球ロッテなどで通算2314安打を放ち“ヒットマシン”の異名を取った)榎本喜八さん死去 75歳」(30日付、中日朝刊)「朝日新聞社が4800万円所得隠し 東京国税局認定」(30日付、毎日朝刊)
 「元特捜部長ら有罪(懲役1年6月、執行猶予3年) 大阪地検隠蔽 地裁判決 改ざんもみ消し認定」、「北朝鮮『衛星』防衛相が『破壊命令』」、「スーちゃん(女優田中好子さん)遺志で被災者に写真立て 遺影用に提供」(30日付、中日夕刊)「東京の料亭『佳境亭(女将は山上磨智子さん)』が閉店=作家と同じく時代と一緒に寝てきた(石原慎太郎)料亭の灯」(30日夜、NHKニュースウオッチ9)

平成二十四年三月二十九日
 〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」の発売を前にきょうも本出版のあいさつとPRを兼ね、笛書房の小川代表を伴い小牧の牧すすむさん=琴伝流大正琴弦洲会上席大師範=夫妻を自宅に訪ねた。そこで横笛とハーモニカをふかせていただいたが、妻のかよさんが言うには「(横笛)前よりうまくなったわね」の弁。

 六月一日が来れば、満九十二歳になる母。彼女はあす予定される、先に交通事故で傷めた頬の手術を前に、少しだけ気弱になっている。「おかあちゃん、遺言をまだ書いていないのだから」「三人ともケンカなどしないで兄弟仲良くやるんだよ」「死んだら家族葬にして」「香典はもらわないように。もらうとお返しなどでお前たちが大変だから」など。

 いつまでたっても私たちにとって掛け替えのない母である。きょうは事故のもう一方の当事者が夫婦連れで見舞いに訪れ、果物かごを置いて帰ったという。誠意が感じられる。

【きょうの1番ニュース】本日付中日スポーツ7面の中日ドラゴンズ公式ファンクラブ会報紙面の“ガブリの目”で私の著書〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉が『伊神先輩の本、読んでくださいニャ~』の見出し入り、写真つきで紹介された。思ってもみなかった扱いでチョットびっくり。さっそく林武平(たけひら)公式ファンクラブ事務局長にお礼の電話を入れさせていただいた。もちろん、わが家の愛猫、こすも・こことシロちゃんにも報告。二人とも、神妙な顔つきに見えたのは、私だけの独り言なのか。

☆「さぁ開幕だJoin us!! 岐阜 小牧 浜松 3球場で練習見学会」(29日付、中日スポーツ)、「全国初の記念館建設へ 長野・阿智村に来春目標 満蒙開拓の悲劇伝える 甚大犠牲、帰国後の苦労…遺族ら準備会 語り部育成も」、「北朝鮮 『衛星』の燃料注入開始 12~13日発射の公算大」、(29日付、中日朝刊)
 「世界に感謝 『復活』熱唱 東北の合唱団 NY公演」、「3人の死刑執行 下関駅15人殺傷など 1年8カ月ぶり」(29日付、中日朝刊)

平成二十四年三月二十八日
 笛書房代表の小川章紀さんと午前九時過ぎに江南の自宅を車で出発し、片道百キロの道を二時間半かけ、岐阜県下呂温泉の温泉街にある「おみやげのヤマカワ」へ。私の著書〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉の出版に当たり何かとお世話になったので、進呈本を携えお礼に伺った。幸い山川専務がおいでで、にこやかに応対してくださり、店内一角に本を置いてくださることになった。勝手な注文をきいてくださり、心から感謝している。お礼のしようもない。
 「おみやげのヤマカワ」は、日本を代表する温泉宿の一つで知られる有名旅館の隣にあり、この日はウイークデーにもかかわらず、大勢の観光客が一帯を歩いており、「さすがは下呂温泉だな」と思った。

 温泉といえば、私自身かつて新聞社の石川県能登半島の七尾支局長として七年の長きにわたって支局同人ともども管内である和倉温泉を取材した日々が懐かしい。加賀屋、銀水閣、金波荘、美湾荘、海望…などといった大手から、はまなす、岡田屋、和潮など、チョット味わい深い中小の温泉宿まで。それこそ、なんだかんだと半分仕事を兼ね海に面した露天風呂に入り浸りだった日々を忘れるわけにはいかない。

 当時はバブルのまっただ中。浴客招待旅行で当選したお客をハワイに招待する催しなど今から振り返れば、和倉温泉の最盛期だったかもしれない。実際、和倉温泉が日観連と旅行新聞主催の全国温泉百選で毎年トップに選ばれるような時代だった。加賀屋では、本陣に続き新館「雪月花」がお目見え、小田禎彦加賀屋社長率いるマリンシティー運動(港の町づくり運動)がピークに達する良き日々でもあった。

 「おみやげのヤマカワ」では何といっても、店先に立つ赤いひげを蓄えたジャンボ白猫(ラッキー・ミリオンちゃん)が圧巻で、観光名物的存在だった。山川専務によれば、左手を挙げた、この猫は人を招いているのだそうだ。とすると、私は、このラッキー・ミリオンちゃんに招かれ、本を出版することになったのか(ちなみに、右手を挙げるとお金を招く、とのことでした)。

【きょうの1番ニュース】外出先から帰宅したら、1冊の本が私あてに届いていた。中日新聞(東京新聞)の小島一彦編集委員からで、本のタイトルは「感動場面を演出する音声記録と音響処理のテクニック 日本映画のサウンドデザイン」(紅谷愃一著、小島一彦監修、誠文堂新光社)。
 六十年の長きにわたり、ただひたすらに映画の録音に携わってきた男・紅谷愃一の貴重な経験のあとがきとでもいえようか。羅生門、野生の証明、太陽を盗んだ男、復活の日、謀殺下山事件、海峡、楢山節考、南極物語…など日本名画の数々を振り返り、大映京都撮影所での屋外アフレコの様子や音声収録機器、収録現場などを網羅するといった内容である。
 帯に「東京新聞と中日新聞の連載58回に大幅加筆 待望の単行本化 映画、そして音の旅……」とあり、まさに、日本映画の時代背景が活字と写真、過ぎし日々の機器により、ひとつの〝音響〟となって迫りくるものだ。小島さん! ありがとう。あなたは、スゴイ。歴史に残る、いい仕事を成し遂げた。順番にじっくりと読ませていただく。

☆「原発教育 報道を活用 高校教科書検定 中部でも試行錯誤」「離散や危険性 福島を伝えて」、「ヤマザキマザック中国人社員 企業秘密持ち出し容疑 愛知県警逮捕 情報1万件超」、「350匹 山際そよそよ 垂井」(28日付、中日朝刊)
 「『お客さま喜ぶ相撲を』 大関鶴竜が誕生」、「消費税法案 前原氏に修正一任 民主議論打ち切り 反対派 強く抗議」、「日弁連会長選公示 三たび2氏が出馬 初のやり直し」
(28日付、中日夕刊)