詩「忘却~そしてあなたへ~」

誰にでも初めてはある
どんなことにも初めてはあった
少し恐くて
それでいて無性にわくわくと胸が躍る
そんな初めての日 初めてのこと

でも 人は愚かな生きもの
砂の山が崩れるように
美しい花が色あせるように
いつしかそれらの全てを
時という名の旅の道々に置き忘れる
取り残された無数の“初めて”達は
ただ 黙って深い眠りへと落ちて行く
人とは本当に 悲しい生きもの

だからせめて せめてたった一つだけでも
あの心震えた“初めて”を取り戻し
もう一度この手に握りしめたいと そう思う

その時僕はきっと
きっと 君に優しくなれるだろう