一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2022年1月~)
2022年1月29日
土曜日。この地上は、寒い日が続いている。舞よ、マイ。たつべえ。おかあさん。おまえは今、どこで。どうしているのか。周りはみんな良い人ばかりか。あったかくしているか。私は毎日、仏壇に手を合わせ「元気でいるか」「幸せでいてよ」「シロちゃんも、こどもたちも皆、元気でいるから。心配しないでナ」と語りかけている。
舞の周りは、どこも美しい花で飾られている
いつまでも、泣いてばかりもいられない。デ、きのうは一宮のスポーツ文化センターに行き、週1で学んでいる社交ダンスのレッスンに励んできた。首には、あのはるこさんから以前に頂いた猫ちゃんタオルをちょっと粋に巻いて、だ。
【魅惑のワルツ】【ライムライト】に合わせてのブロンズ級ワルツに挑んだあとは、ルンバを繰り返し、学んできた。先日の不燃ごみ集積場での当番、ほかにコラム執筆など、このところはあれやこれやとすべきことに追い立てられていることもあってか。腰に痛みを感じていたが、レッスンをしたらなぜか少し回復した。
そして。昨夜は「ごんちゃん。ごんたさん、今夜見てよね」と若さん(ダンス教師)に言われるまま、CBCで【浅田舞ペア世界へ】を見たが、元々、嫌がる私に社交ダンスを始めるきっかけを作ってくれたのは、ピースボートによる地球一周の船旅乗船時におまえ、すなわち伊神舞子が私に言ったひとこと「どんなに下手でもいいから。あなた、船内で社交ダンスだけは続けてきてね」だったことが思い出され「元気でいてくれたら、一緒に見られたのに」と画面の一部始終にくぎ付けになったのである。
ひとこと言わせてもらえば、私のような者がプロに対して言うのもおかしいが、欲を言えば「もう少しからだ全体からあふれ出る、そこはかとない抒情とか感情表現のようなものがにじみ出たなら、さらにすばらしいダンスになる。その点、1位の押川・和田ペアは流れるようなステップのなかにも瞬間的にではあるが抒情というか、キラリ輝くひらめき、閃光とでもいったものを感じたのである。むろん、浅田舞さんとオチョロさんのあくなき挑戦、情熱にも感動を覚えたことも、また事実である。このコロナ禍の中にあって、本当に皆さん、よく頑張っておいでだナ。俺も頑張らなきゃ。そんなわけで、テレビから流れる画面に、少しは刺激を受けたのである。
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さて。新型コロナウイルスの全国的な感染急拡大が依然、続いている。国内では28日、新たに8万1808人の感染を確認。新規感染者が8万人を越えたのはこれが初めて。4日連続で過去最多を更新。重症者も前日から160人増の697人、死者44人が確認されたという。
このうち東京都内では28日、1万7631人の感染が確認され前日の1万6538人を上回り4日連続で過去最多を更新。また大阪府でも過去最多の1万13人の感染が確認されたが、1万人を越えたのは、これが初。ほかに神奈川(6469人)愛知(5267人)兵庫(4342人)など23都府県でも過去最多となったという。
さらに全国の自宅療養者となると、26日午前零時時点で過去最多の26万3992人に及んでおり、1週間で約16万人増え2・5倍超に。これまで最多だった流行第5波ピーク時、昨年9月1日時点の約13万1000人と比べ二倍に。自宅療養者の健康観察など対策拡充が急務となってきた。自宅療養中の人も1日で1万人あまり増え、初めて6万人を越え、都の担当者は「今後さらに増えることが予想されるので週明けに開設予定のサポートセンターなどを通じて支援していきたい」としている。いやはや、とんだ世の中である。
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(1月28日)
舞よ マイ・元気でいますか。おまえが愛するシロちゃん、きょうは春の陽射しのなか、午前10時半過ぎに外に出たが午後一時前には無事、帰宅。元気でいるので安心するように。
-さて。こちらは、この星で生きる誰もが毎日毎日、新聞、テレビなどマスコミ各社が流す新型ウイルスの感染者数の発表に翻弄されています。本日朝刊の報道によれば、国内では、きのう27日に新たに78920人もの新型コロナウイルス感染者が確認され8万人に迫った、という。7万人を超えるのは2日連続。過去最多も3日連続を更新、今月12日に1万人を突破して以降は連日の最多報告で、新たな変異株「オミクロン」の勢いは増す一方です。
愛知県がきのう(27日)、長久手市の愛・地球博記念公園内で整備中の「ジブリパーク」をことし11月1日に開業する、と発表。26日の新大関の伝達式で「大関の地位を汚さぬよう、感謝の気持ちを大切にし自分の持ち味を生かした相撲道にまい進してまいります」と述べた新大関御嶽海(29)=本名大道久司さん=がひとつ年上の一般女性と結婚していたことを27日、師匠の出羽海親方(元幕内小城ノ花)が明らかにした。めでたいことである。
一方で暗い話題といえば、大学入試共通テストの試験中、世界史Bの出題内容を写した画像が何者かの手で流出した問題で大阪府在住の大学1年の女子学生(19)が27日、家族とともに香川県警丸亀署に出頭し「ひとりでやりました。スマートフォンを上着の袖に隠して撮影しました」と話したとのこと。ほかには、北朝鮮が短距離弾道弾2発を日本海に向けて発射、ことし6回目の発射で専門家は「国防力強化を追求する姿勢を誇示したものだ」と話しています。
このほか27日夜には埼玉県ふじみ野市で猟銃とみられるものを持った男が医師鈴木純一さん(44)を人質に民家に立てこもったが、けさ28日朝、警察官が突入し、男を緊急逮捕。鈴木医師は心肺停止で意識不明の重体だったが死亡するなど、何だか暗い話ばかりが続発しています。
マイよ。おまえの方はどうですか。おまえのことだ。寂聴さんや松谷繁次さん、金子兜太さんらいい人ばかりに囲まれ、楽しく過ごしているに違いありません。ちょっとうらやましいが、私はありがたいことだと本気で思っています。
(1月27日)
きょうは早朝、3組2班の3軒が不燃物収集の立ち番に当たっており、ちょっと大変だった。いつもなら、おまえ(たつ江)が「あたしがやってくから」と自発的に立ってくれ助かったものだが、おまえはもはやこの世にはいない。デ、けさは私が出向いて他の荒木さんたちと一緒に当番をこなさせて頂いたのである。とにもかくにも気になっていた大役をなんとかこなしホッとすると同時に「これまで当然のように、こなしてくれていたたつ江には感謝のしようもない。
新型コロナウイルスの感染者はその後も増え続けている。本日付け朝刊によれば、昨日(26日)新たに確認された新型コロナウイルスの感染者は初めて7万人を超え、7万1632人となった。2日連続で過去最多を更新し、内訳は東京が1万4086人、大阪9813人。神奈川が4794人だったという。これらは前週の同じ曜日から1・7倍、2週間前と比べると5・4倍になっており、全国各地で感染が拡大。医療従事者や検査キットの不足など医療体制の負荷が増しているという。
(1月26日)
舞よ! マイ。たつ江。たつべえ。元気でいますか。俺のいる、この社会は相も変わらず新変異オミクロン株の感染急拡大による第6派襲来で大変なことになっている。きのう25日に新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を開いた政府はコロナ対応の改正特別措置法に基づくまん延防止等重点措置を新しく18都府県にも追加適用することを決定。期間はあす27日から2月20日までで、既に9月から適用されている沖縄、広島、山口3県も当初、今月31日までだった期限を2月20日までに延長される。これで対象地域は全部で34都府県に拡大されることになった。
それにしても、今回の感染急拡大はすさまじいものだ。国内で25日に報告された新規感染者は過去最多の62610人と初めて6万人を超え、26日付朝刊によれば、愛知4120人、岐阜816人など30都府県で最多となったという。
というわけで、こちら。この世は厳しい寒さのなか、感染急拡大が進んでおり、このまま事態が悪化した場合のことを思うと、社会そのものが崩壊しかねない、そんな状態にある。デ、このところはこうした環境下でいかに社会経済活動を維持していくか、が大きな問題として浮上している。まさに、社会という壊れかけのレイディオー(ラヂオ)が、破壊されてしまいかねない。
ニンゲンたちは、そうしたなかで皆それぞれに「それ、マスクはしたか」「うがいは」「手洗いは」と右往左往しているのである。それでも大寒を過ぎたいまはおまえの好きな梅がそろそろ咲き始め、日中ともなれば、きのう、きょうと陽射しが強まり、外界を見るかぎり、春の足音は微かではあるが少しずつ高鳴ってきている。舞よ。マイ。たつ江。おかあさん。おまえは、いまどこでどうしていますか。
たった今、【かぜ】なのか。【ひかり】なのか。廊下をスッと横切ったものがあるけれど、もしかしたら、おまえではないですか。いや、おまえに違いない。わたしには、いたずら好きのおまえ、たつ江が私を驚かしてやろうーと、室内に入ってきたことがよくわかるのである。それに、いつもおまえが【シロよ。シロシロ。シロちゃん】と呼んでいたシロちゃん。俳句猫のオーロラレインボー、彼女も元気だから。安心してください。
というわけで、私たちニンゲンは現在、地獄の1丁目で皆、息をひそめて、それぞれに大変な思いをしているのである。
2022年1月24日
月曜日。快晴。午前10時半過ぎ。シロちゃんは悲しみを振り払うようにして、つい先ほどお外に出た。3日ぶりの外遊だけに、「気をつけて。早く帰ってくるのだよ」と私。
本日付朝刊1面を見ると【美濃加茂市長に藤井氏 現職破り返り咲き】と【名護市長に自公系現職 辺野古反対の新人破る】【御嶽海V 大関確実】の見出しが飛び込んできた。そして中日スポーツ1面の【照破り3度目賜杯 長野に大関‼ 御嶽雷電以来227年ぶり】の見出しが、またふるっており読みごたえがあった。
雷電為右衛門いらいの長野からの大関誕生を報じた中日スポーツ
(1月23日)
日曜日である。きょうも寒い。
朝。おまえ、たつべえ(私はたつ江のことを時に【たつ江】とか【舞】と呼ぶほかに、気が向いたときなどに親愛の情を込め【たつべえ(たつ兵衛)】【たつべえ】と呼んでいた)の好きだったNHKラヂオから流れる「音楽の泉」を耳に、そろそろ起きねばと「シロよ、シロ。シロ。シロちゃん」とおまえが呼んでいた呼び声そのままに布団の奥深くにもぐりこんだままのシロちゃんに声をかけ、エイヤァーッと気持ちを奮い立たせて起き上がる。
いつもなら、息子の出勤もあり午前7時には起きるが、きょうは日曜日だ。なので、たつべえが生きていたころと同じように「音楽の泉」を目覚ましがわりに起きるのである。「たつべえ。おまえも起きましたか。どこにいるかは分からないが。そちらも寒いですか。寒かったら、あったかくして。な。おまえは元々、寒がり屋だったから。ちょっと心配している。」
そういえば、おまえが生前好きだった、いや愛したものの、ごくごく一端をここに記録として、思い付くまま記しておこう。
まず何よりも愛猫シロちゃん=シロは私と元気でいる=。次に自ら句作と短歌づくりに長年、励んだ自由律俳句を含んだ俳句と短歌仲間(俳句結社「草樹」、短歌雑誌「澪」=前身は短歌雑誌「凍原」。ほかに最近では自らも会員としてずっとお世話になった江南俳句同好会の皆さま)。新聞にもかつて掲載された詩。おまえ自らが営みこよなく愛し続けたお店「ミヌエット」。「ミヌエット」でしばしば催したミニコンサート。そして歌の「エーデルワイス」、「みかんの花咲く丘」、フランク永井さんの「公園の手品師」。レモン。赤いつばき。梅。さくら。サクランボ。みかん。チューリップ。真珠母貝のアコヤガイ。玉ねぎにさつまいも。フォークダンス。(かつてミヌエットによく来てくださった)謎の女性・錦のママさん。ヨハンシュトラウス。NHKラジオの深夜便、同音楽の泉、ブラタモリ。CBCの俳句の査定ランキング「プレバト」。美術評論番組なら何でも。福島のフラダンス。伊勢志摩。小牧。能登半島。大垣。大津。一宮。江南の土地とそこで生活する人々。
そして。はるこさまから送られてきた【不思議のメダイ】【奇跡のメダイ】も離さなかったよな。そういえば、これも、はるこさまから送られてきたかわいい猫ちゃんタオルもあった。それとスキンクリームのブラバス。これは髭剃りあとの私に塗らせるためだった。そして【だいじょうぶ。だいじょうぶよ。大丈夫だってば】とも、よく言って私たちを勇気づけてくれたよね。
大丈夫よ、の言葉に負けず劣らず、おまえはなぜか大阪が好きだった。道頓堀、通天閣。ふたりで歩いた日々が今となっては、とてつもなく懐かしい。そして。おまえは【海と山と川】【秋の空】がどこまでも好きだった。最後に俺のおふくろ(満102歳の千代子さん。健在である)と亡き父、そしておまえのおかあさんのことをどこまでも愛し、やさしくしてくれた。ありがとう。
舞が終生、手に握りしめていた<不思議のメダイ>さま
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23日付中日新聞1面に【感染の最大想定数 39都道府県で超過 国内新規5万人突破】の見出し。記事は『新型コロナウイルスの新規感染者数が22日、39都道府県で一日当たりの最大総定数を超えた。広島は四・四倍、島根は三・五倍。新変異株「オミクロン株」の猛威によって流行「第六派」対策として都道府県が昨年想定した医療提供体制のシナリオを大きく上回った。国内の新規感染者数は五万人を突破し、五日連続で過去最多を更新。東京都は一万人を超えた。』というものだった。あ~あ、なんていうことなのだ。
こんな状態がこのまま進めば、ありとあらゆる日常活動と社会経済活動がそれこそ切れ切れになってしまう。それでも、ニンゲンたちは生きてゆかねばならないのか。
大相撲初場所千秋楽が23日、東京の両国国技館であり、関脇御嶽海が結びの一番で横綱照ノ富士を寄り切りで破り、13勝2敗で令和元年秋場所以来となる3回目の優勝を果たした。日本相撲協会は場所後に臨時の理事会を開催することになり、御嶽海の大関昇進が確実となった。昇進すれば、昨年の春場所後に返り咲いた照ノ富士以来。長野県出身では史上最強と評された雷電(1767~1825年)いらいの大関誕生となる。
3度目の優勝をした御嶽海と母親(NHKテレビから)
(1月22日)
土曜日。このところは寒い朝の連続が続いている。舞が元気でいたころは「俺は極寒の地、満州の奉天で真冬に生まれたのだから〝寒さ〟には超、強いのだよ」といつだって言って聴かせ、やせ我慢を張っていた。でも、やはり寒いものは寒いのである。
そして。きょうはわが妻たつ江、伊神舞子すなわち静汐院美舞立詠大姉=せいせきいん・びまい・りゅうえんだいし=の仏壇開きを兼ねた100ケ日忌法要が午前11時半から彼女の住み慣れたわが家の台所横居間の一角で臨済宗妙心寺派永正寺の中村建岳副住職に来ていただいて行われ無事、終わった。今回は昨年11月27日に催された永正寺仮本堂での49日忌に続く法要で、あれから仏壇の設置に始まり、場所の選定などを家族みんなでアアダこうだと話し合ったうえでのひとつのゴール・インになったと言っていい。
この間、仏壇の選定購入に始まり、日々の供え花の選定、さらには従来の仮設祭壇から本仏壇への移行などアレヤコレヤと大変ではあったが、子どもたちの応援協力もあって、どうにかここまで辿り着くことが出来、どこかホッと胸をなでおろしたのも事実である。
というわけで、きょうの法要は舞が生前、愛してやまなかった愛猫シロちゃん(「白」の俳号を持つ世界でただ一匹の俳句猫。本名はオーロラレインボー)も神妙な表情で室内の一隅に座って静かに見守るなか、始まった。舞が、建岳副住職の読経に何を思い、どんな表情で聴き入ったのか。その読経に私自身も聴き入りながら、おそらく彼女は彼女なりに満足してくれたに違いない、と確信したのである。
ごくごく内輪で進んだ舞の100日忌法要
これまでの祭壇は遺影とともに、しばらくそのままに
【ところでたつ江。舞よマイ。おまえは元気でいますか。俺の方は、きょうは今も話したようにおまえの100ケ日忌の法要を終え少しはホッとしたこともあってか。おまえがNHKの深夜便や日曜朝の<音楽の泉>と同じように、いつも土曜の夜に楽しみにしていた番組・ブラタモリを俺から離れようとしないシロちゃんを傍らに一緒に見た。今夜のテーマは「石垣島サンゴ礁が生んだ奇跡」でなかなかためになったよ。おまえにも聞かせたかった。それにブラタモリのエンディングとして流れる井上陽水の曲<瞬き>。おまえは、フランク永井ともうひとり、井上陽水が、本当に好きだったよな。
そういえば、先週のブラタモリは、おまえが(俺と)一緒に行きたい、連れてってよ-と言っていた和歌山編だった。紀の川の北側には中央構造線が走っているとか、父・徳川家康への頼宜の思いが紀州東照宮を作らせた話などおまえにも聞かせてやりたかった。
今は、車を運転していても、食事をしていても、音楽を聴いていても、スーパーを歩いていても、だ。いつも俺ばっかりがいい思いをして生きていて本当に悪いな、と反省している。でも、おまえが興味を持ったことを俺もこれからひとつずつ知っていけば、おまえの魂がその分救われるような。そんな気がしてきた。どうなのだろう。でも俺ばかりが、おいしいものを食べたり、美しい景色を見たりして。本当にごめん。悪いな、と思っている】
2022年1月20日
木曜日。きょうは「寒」の真ん中で、寒さが最も厳しくなる【大寒】である。
はるか、かなた。昔の話ではあるが。武道では寒げいこの時期で私も中学、高校、大学と毎年、この時期には朝早く出校。柔道着姿となり、ぶるぶる震えながら柔道の寒げいこに励んだものである。でも右足を骨折した治療在宅期間(半年ほど)を除いては、1日たりとも練習は休まなかった。だから、大学2年で講道館の実力三段の資格を取得でき、オールミッション大会では優秀選手賞に輝き、ユニバーシアードの候補選手にもなれたのである。今から思えば、私の青春時代は勉学と柔道の両立に追い立てられる日々だった。それだけに、当時の寒げいこは毎朝、相当厳しいものがあった。
そして。時はながれ。2022年1月20日のこの日。東電福島第1原発事故による全町避難が唯一続く福島県双葉町で住民帰還に向けた待望の準備宿泊が始まった。6月以降の避難指示解除をめざす特定復興再生拠点区域(復興拠点)などの自宅で夜間も寝泊まりできるようになり、七戸が生活再建のための準備宿泊を始めたという。十年と十カ月ぶりのわが家。その感慨やいかばかりだろう。双葉町は私自身も以前、大震災直後に2回ほど現地を訪れ、目の前に広がる廃墟の街並みに呆然と立ち尽くしたことがある。それだけに、感慨無量である。よくぞ、ここまで待ちに待たれたな、と思うと自ずと目頭が熱くなるのである。この先、この町はどう再生されていくのか。まだまだ双葉の人々にとっては再生への出発点、これからなのである。
それから。福島といえば、東電福島第一原発事故による放射線被ばくの影響で甲状腺がんになったとして、事故時に福島県内に住んでいた17~27歳の男女6人が今月27日に東電に対して総額6億1600万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こすとのニュースが昨日の中日新聞に【「福島で甲状腺がん」男女6人東電提訴へ】の見出し入りで掲載されていた。原発事故による被ばくと甲状腺がんの因果関係については現在、福島県の専門家会議としては「現時点では認められない」との立場だけに、こんごの推移が注目される。これとて、放射線との因果関係をこんご解明していく点で出発点に立ったと言ってよかろう。
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さて。世界を脅かしている新型コロナウイルスだが、19日には国内で新たに確認された感染者が4万1487人と初めて4万人を超え、2日連続で過去最多を更新。政府は東京など13都県で「まん延防止等重点措置」の追加適用を決めた(期間は21日から2月13日まで)。というわけで、日本では感染の「第6派」が現在、爆発的な広がりを見せている。なんだか、こうも毎日、感染急拡大化のニュースが新聞やラジオ、テレビに流れると「このままだと、ニンゲン社会はどこへいってしまうのか。もしかしたら、人類がウイルスにより崩壊し近い将来、絶滅することだって十分あるのではないか」と。不遜なことまでを思ってしまう。
「まん延防止13都県決定」を報じた20日付朝刊各紙
第166回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、直木賞は米澤穂信さん(43)=岐阜県飛騨市生まれ、高山市出身=の「黒牢城」(KADOKAWA)と今村翔吾さん(37)=大津市=の「塞王の楯」(集英社)の受賞が、また芥川賞には砂川文次さん(31)の「ブラックボックス」(「群像」8月号)の受賞が、それぞれ決まった。
3氏には、心からお祝いの言葉を贈りたい。なかでも、私自身、かつて滋賀県大津市に在任時に気になっていた【穴太の衆】の石垣に光りがあてられた「塞王の楯」の受賞を、とても嬉しく思うのである。
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(1月19日)
このところ、増加の一途をたどり恐れていた流行の【第6派】に入った感がある新型コロナウイルスの感染者。けさ19日付朝刊各紙によれば、国内で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者が18日、とうとう32197人となり、初めて3万人を超え、これまで最多だった昨年8月20日の25992人をも更新、新変異株のオミクロン株が猛威をふるう感染急拡大の勢いは増す一方だという。あ~あ、なんたることだ。思わず、ため息が出てしまう。
このうち中日新聞は「今月1日時点での国内感染者数500人台が12日には1万人に到達し、わずか2日後の14日には2万人を超えた。デルタ株が主流だった第5派では1万人を超えてから2万人に達するまで約半月を要しており、第6派拡大の驚異的なスピードが浮き彫りとなっている。18日は大阪5396人、東京5185人、愛知2145人の感染を確認。栃木、群馬、山梨、長野、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、鳥取、島根、香川、愛媛、福岡、佐賀、長崎、熊本、宮崎の18府県で過去最多を更新した」と断罪している。
さらに記事では「総務庁消防庁は18日、患者の搬送先がすぐに決まらない救急搬送困難事案が10~16日の1週間に全国52の消防で計4151件あった」と発表。「昨年8月の3361件を上回り過去最多で、このうちコロナ感染が疑われる事案は1031件だった」ことも明らかにした。
新聞記事といえば、だ。毎日新聞の朝刊二社の【岐阜火災死者は中日新聞相談役 元ドラゴンズ社長】のベタ記事には驚いた。あの元中日新聞編集担当で、その後ドラゴンズ社長も務められ、【ベタ記事 危うし】の著書でも知られた佐藤毅さん、〝つよっさ〟が13日未明に岐阜市内の6階建て集合住宅であった火災で3階の部屋から遺体で見つかった、というのだ。焼死だったという。
一体全体、なんということなのだ。佐藤さん、〝つよっさ〟は生前、不戦への情熱が人一倍強く12月8日の日米開戦を生涯憂いておられた、その姿勢は今も忘れられない。サンデー版の大図解誕生にも編集トップだった編集担当時代に着手されるなど貢献は知る人ぞ知る。でも亡くなられてしまったとは。今さらどうしようもない。お安らかに。合掌-
2022年1月18日
舞の食卓遺影前に新しく飾られた菖蒲など色鮮やかなお花
寒い日が続く。
ニンゲンたちは、誰もがその厳しさの中をあすへの期待と夢を膨らませ、ロシアの文豪ツルゲーネフでもあるまいに「きょうは。きょうこそは。あしたこそ」と生きている。舞よ、おまえの住む天上の世界はどうですか。寒くはないですか。おまえも知るホワイト好子さんから丁寧な寒中見舞いが届き「舞子さんはいつも傍らにいてくださいます たくさん語り合ってくださいね」と書かれていた。また私の妹からも最近ご主人を亡くされた知人女性から頂いたから、とステキな花が届けられ、息子がさっそく飾ってくれたりした。その後に妹から届いたラインの写真によれば【天女舞ふ三保初富士のうらおもて 木村晴代】といった句までが添えられていた。みんな、あったかい人ばかりだ。
それはそうと、こちら下界はとても寒い。そちらはどうですか。あったかい、といいよね。
さて下界のこちらは相変わらず悲惨な毎日が続いている。そちらから見れば、チョットした地獄の一丁目かもしれない。けさの新聞報道によれば、いま地上を騒がせている新型コロナウイルスの感染者が17日現在、全国で新たに20991人が確認され、4日連続で2万人を超えたそうだ。前週の月曜日(6431人)の約3倍で感染拡大傾向は続いている。こうしたなか、愛知、岐阜、三重の3県知事は17日、オンライン会議を開き、一両日中に国に対してまん延防止等重点措置の適用を国に対して要請することを確認したという。人間と疫病との闘いは、どこまでも続いている。
この日は皇居・宮殿「松の間」で新春恒例の「歌会始の儀」が開かれた。お題は「窓」で天皇、皇后両陛下や皇族、一般の入選者10人らの歌が独特の節回しで披露された。このうち天皇陛下は昨年に続き、新型コロナウイルス禍の収束への願いを込められ、【世界との往き来難(がた)かる世はつづき窓開く日を偏(ひとへ)に願ふ】というものだった。
「ドカベン」などの野球漫画で知られた漫画家水島新司(みずしま・しんじ)さんが10日、肺炎のため死去。82歳だった。
(1月17日)
月曜日。こちら寒い朝が続いています。舞よ。元気でいますか。寒い毎日ですが、そちらはどうですか? こちらは昨秋のおまえの死後、突如、新型コロナウイルスの新変異として現れ出たオミクロン株による感染急拡大が地球全域にまでまん延。ほかに、つい最近も大学入学共通テストの受験生らが東大前の路上で突然、名古屋から来た受験ノイローゼと言ってもいい、男子高校二年生に刺されたかと思ったら、南太平洋の島国トンガでは海底火山が大噴火、これに伴う日本海域太平洋岸での津波の発生…と毎日が大変な日々の連続です。
そのせいもあってか。おまえが愛し続ける愛猫シロちゃん。シロは時折、自分を奮い立たせてお外に散歩に出かけるほかは、いつも私の傍らにいて離れようとしない。でもシロも、家族のみんなも何とか励まし合い元気で生きています。そうすることが天の川での生活を始めてまもないおかあさん、すなわち、おまえ。天女の舞、たつ江を幸せにする、と思うからです。
きょうは車を布袋の方に向かって走らせる途中、通りすがりの道沿いに、どこか気になる飲食店【とんかつ 喜八】なるお店が目に飛び込んできたので思い切って入りランチを食べたが、とても美味しかった。高齢夫妻で営んでおられるようで店のマッチ箱をもらって帰ったが、住所は「江南市木賀本郷町西」とあった。おまえが生きていたなら、さぞかし喜んで食べたに違いない。連れていきたかった。
あ~あ。俺は生前のおまえに一体全体何をしてやったというのだ。おいしいものひとつ食べさせてはいなかったのではないのか。このところは、そんな罪悪感に責められ日々、悔恨の情に責められての毎日である。
今おまえが元気に生きていたとしたなら、スーパーへ行けばいったで、平和堂であろうがドン・キホーテ、アピタ、布袋駅近くのピアゴであろうが、だ。おまえは目をらんらんと輝かせ俺を従え、カートを押して店内を堂々かつ嬉々として、興味津々に目を輝かせて歩いたに違いない。なのに、だ。そのわが最愛の女性はもはや、この世には居ないのである。何という儚く、かなしいことなのだ。
【忘れない 忘れられない】 阪神大震災27年を報じた17日付の夕刊各紙
ところで、俺たちの住む地上の方だが。きょう17日は6434人の尊い命が奪われた、あの阪神大震災から発生27年の日である。この日は新型コロナウイルス感染対策でマスクをした市民らが兵庫県内各地で開かれた追悼行事に参加。震度7の地震が発生した午前5時46分に合わせて黙とうを捧げた。
27年前の私は新聞社の大垣支局長だったが、発生した翌日に管内でもないのに若いころからの現場百回の精神が疼き、支局員に新幹線羽島駅まで送ってもらい被災地へ。大阪からはバスを乗り継ぎ船、徒歩で被災地へ。夜は大地震でビルの壁にひびが入りミシミシと音を立てるカプセルホテルにこわごわ逗留、丸2日間をかけ、がれきの山と化した長田町など現場を歩きまわった日のことが思い出される。
確か明治時代にお雇い外国人として来日、木曽・長良・揖斐川の木曽三川分流に力を尽くし日本人妻を持ち、大垣で過ごしたオランダ人水理工師、ヨハネス・デレーケの墓が海を見下ろす天保山の墓地で倒壊し無残な姿をさらしていたのを自らの目で確認した記憶がある。というわけで、あの時の現場行は全く大垣と関係ないことはなかったわけである。
(1月15日)
舞の祥月命日である。
海部さん(海部俊樹元首相)が91歳で9日、東京都内の病院で逝去。オミクロン株による感染急拡大で14日には日本国内で1日当たりの新たな感染者が2万人を突破。体操男子の第一人者として活躍、五輪と世界選手権の個人総合で世界8連覇を果たした内村航平(33)=ジョイカル=が14日、都内で引退記者会見に臨み現役最後の試合となった昨秋の世界選手権種目別鉄棒に触れ「これが体操だ。本物の着地だというところを見せられた」と自らを振り返った。
また14日は2022年の野球殿堂入りが東京・文京区の野球殿堂博物館で発表され、中日ひと筋で50歳まで投手としてプレーし、史上最年長勝利を含む通算219勝を挙げた山本昌さん(本名・山本昌広)と歴代2位の通算286セーブを挙げた現ヤクルト監督の高津臣吾さん(53)が選出された。
(1月14日)
朝起きると、外界が白一色に。その雪のなかをシロちゃんは自らを奮い立たせるようにしてお外に散歩に出た。きっと、おまえに下界の様子を伝えながら雪一面の世界のなかを、おまえ、すなわち、おかあさんに会いに行こうとしたのだろう。シロちゃんは、そういう猫なのである。
雪の庭を歩くシロちゃん
2022年1月13日
木曜日。きょうも寒い朝である。とてもさむい。
愛猫シロちゃんは、ストーブ近くの椅子に座って新聞を読む私の膝に座ったままだ。なかなか動こうとはしない。近くのテーブルには舞の遺影が置かれ、私のスマホからは彼女が好きだった♩エーデルワイス、に続いて♩みかんの花咲く丘、が流れる。シロとふたりで聴きながら、思わず涙が頬を伝う。でも今さらどうにもならない。舞には目の前に座り、いつものように【あのねえ】とか【だって】【なあ~に】【ちがうよ】と話しかけてほしい。のに、だ。それも今となっては夢のまた夢。かなしいものがたりだ。
何思うシロちゃん。彼女はもしかしたら、舞本人ではないかと。時折、そう思う 12日夜
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13日。本日付朝刊各紙によれば、全国の新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」を中心とした感染者が12日、新たに1万3244人確認された。国内での1万人超えは昨年9月9日の1万394人いらい4カ月ぶり。新規感染者の内訳は東京都の2198人を最多に▽大阪府1711人▽沖縄県1644人といった順序で、長野県(167人)や山口県(182人)などでは過去最多となったという。
また重症者は前日から5人増え105人に。死者は5人だった。年代別では東京都内の場合、20代が3割強と最も多く、次いで30代が2割で全国的に若者世代の感染が目立っている。ちなみに東京都内の場合、12日の新規感染者数は前週1月5日(390人)の5・6倍で元日(79人)からわずか10日あまりで27倍に急増。小池都知事は12日午後開かれた全国知事会の席でオミクロン株の疑い例が9割に及ぶことを明らかにしたうえで「実効性ある対策の大切さ」を訴えた。
こうしたオミクロン株の感染急拡大は世界各国でも同様で米国の場合、10日に報告された1日当たりの新規感染者数は実に140万6000人を超え、過去最多を記録。深刻な事態に陥っている。舞が生きていたなら、この事態をどう詠むだろう。
(1月12日)
新型コロナウイルス「オミクロン株」感染が世界中で急拡大の一途にある。世界保健機関(WHO)のクルーゲ欧州地域事務局長は11日、今後6~8週間で管内の人口の半分が変異株「オミクロン株」に感染する恐れがある、と述べたという。ちなみに同事務局の管轄はトルコや中央アジアの旧ソ連諸国も含め50カ国以上に上る。
また欧州での1日当たりのコロナ新規感染者数はフランスで36万8149人、イタリアでも22万532人(各国当局の11日の発表による)となり、ともに過去最多を更新した。
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きょうも私は買い物途次の車の中で、ひとり恥をさらして何度も何度もハンドルを手に叫ぶ。【たつ江、たつ江。たつ江! おまえは何で俺を残して先に逝ってしまったのだ。こどもたちも立派になり、これから。やっと幸せになろう、という時なのに。なんでおまえはいとも簡単に。それもあっさりと逝ってしまったのだよ】
【おまえがなぜか、大好きでパンダを見たい。見たいの、と言っていた和歌山。その和歌山へふたりで行くと約束してたじゃなかったのか。それに和歌山と言えば、「恍惚の人」「紀ノ川」で知られ、おまえの好きだった作家有吉佐和子さんが確か和歌山市出身だったよな。それに「岬」で芥川賞を受賞し同世代だったこともあって俺がなぜか若いころから一目置いていた中上健次も確か新宮市の出身だったはずだ】
【ことほどさように、ふたりでまだまだ行きたいところがいっぱいあったのに、だ。なぜ、おまえは死んでしまったのだ】
ひとりの車内で叫び続ける私の心は、もはやボロボロ。切れ切れ。血まみれである。
12日昼過ぎ。
太陽から注ぐひかりのなかを小雪が冬の日に映え、キラキラ、ほろほろと舞っている。運転席ウインドーから見る雪片はひとひらひとひらが輝き、まるで生きものみたいでもある。私は雪片にじっと目を凝らす。このキラキラ星は舞、舞だ。マイ。たつ江に違いない。車内カセットからは青春歌謡歌手だった舟木一夫さんの、あの学園広場を歌う声が聞こえてきた。
学園広場は、私が舞を助手席に乗せカセットから流れる曲にあわせよく歌ってきた曲である。♩空に向かってあげた手に 若さがいっぱい飛んでいた がくえんひろばで肩くみあって……とよく口ずさんだものである。そんなとき、舞はいつだって、黙って物静かに音楽にあわせ幸せそうにしていたのである。今にして思えば、余分なことは何ひとつ言わない、本当に物静かな女性であった。学園広場は舞がこの世を去る、ついこの間まで車で一緒に出かけた際などに、私が繰り返し、口ずさんだものである。ほかに<絶唱>や<高校三年生><君たちがいて僕がいた>など。私は愛する舞を横に何度も何度もうたってきたのである。あゝ……。
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12日夕。ポストに「寒中お見舞い申しあげます」のはがき。三重県志摩半島は志摩市阿児町志島の上村格也さんからで【秀句拝読させていただき、河野裕子の最後の一首を思いました 「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息がたりないこの世の息が」 どうぞご自愛ください】というものだった。
上村格也さんといえば、私が伊勢志摩在任時に取材でいろいろ教えて頂いた志摩郷土史会の会長・上村角兵衛さんの確か息子さんだったはずである。当時、格也さんは志摩観光ホテル社員で、その一方で中日写真協会志摩支部のカメラマンとしても活躍。通信部で開いていた月例会にもよく顔を出されており、その接待の関係でたつ江もよく知る方である。
いわば父子ともに、お世話になっていただけに、格也さんからのはがき文面には思わず、「ありがとう」とつぶやく私がいたのである。
(1月11日)
11日。名古屋空港を担当していた小牧時代、空港記者のころに大変お世話になった小牧市の川島公子さん(元小牧市議会議長)から、こんな寒中見舞いが届き、またしても涙が頬を伝い濡らした。私は、もはや涙男になってしまったのか。
――寒中お見舞い申し上げます 例年に比べ、暦通りの寒の厳しさを感じておりますが お変りございませんか お伺い申し上げます。/今年も正月早々 コロナ禍のニュースばかりで何か大へんな年を暗示しているような不安を覚えます。/ところで昨年暮れに喪中葉書をいただきましたが ご令室様の服喪中でいらっしゃいました由、心からお悔やみ申し上げます。/早や過ぎる旅立ちの報に接し、納得出来ません。私が残念に思う以上にご令室様にとりましてはやりたい事がまだ沢山おありであったと推察申し上げます。/ご令室様のご冥福を心からお祈り申し上げます。/伊神様ご一家にとり 今年がお健やかな年になりますようご祈念申し上げます。書面で失礼ですがご挨拶と致します。/寒冷の候、お身大事にしていただきますようお願い申し上げます。
手紙はほかにも滋賀県栗東市の中島泰子さんから「だんだんに寂しさが増すと存じますがどうかお体をご自愛下さい 美しい日本語でのエッセイ楽しみにしております」と。歌人で名古屋市天白区在住の西穂梓さん(水谷三佐子さん)からも【雪の内に春は来にけり鶯の 凍れる涙今や融くらん(古今和歌集 春 二条の后=藤原高子=の御歌)】の和歌に「一日も早くゴン太さん 立ち直って」との文が添えられ送られてきた。私は、これらの一枚一枚を仏壇に供え「マイよ。舞、たつ江。みんな良い人ばかりだね。おまえも早く旅先の新天地に少しでも慣れて立ち直るのだよ」と語りかけたのである。
寒中見舞いはほかに私たちがいつも事あるごとにお世話になってきた【電化センター 真弘社】さんからも届いた。
みんな温かい人ばかりだ。仏前に供えられた寒中見舞いの数々
2022年1月9日
寒い朝。朝起きて近くの古知野神社へと出かけた。
私が住む花霞町内会の神社清掃の日だからである。これまでなら、たつ江と「寒いな」と言いながら一緒に仲良く出掛けたものなのだが。その舞は、もはやこの世にいない。だから。心配そうな面持ちの愛猫シロちゃんと息子に留守を頼み、ひとりマスク姿で出かけた。境内では、手がかじかむなか手袋をして神社の箒を手に主に枯れ葉や枯れ枝を集めて焼却炉まで運んだが、舞がいたら行き帰りは無論、掃除をする間もどんなにか楽しかっただろうかと思うと、またしても涙がポタリポタリ、はらはらはらりとまるで大地でも揺るがすように脈打ち、容赦もなく流れ出たのである。
いつもの年なら掃除の後は、みんな集まったところで神社宮司さんの話があるのだが。ことしはコロナ禍の感染急拡大ということもあって取りやめに。代わって私は神前で「天国の舞を守ってください」と両手を合わせ一人でお参りして帰宅。するとシロちゃんが心配そうな顔で玄関まで走って出迎えてくれた。シロちゃん、ありがとう。シロよ、シロ。シロ。シロちゃん。と舞がいつも呼んでいたように私。それから。彼女の目の前で、きのうわが家入りした仏壇の位牌=静汐院美舞立詠大姉(せいせきいん・びまい・りゅうえんだいし)=を前に線香とろうそくを立てお参りしたのである。
舞の清らかな魂。これからは新しい世界で永遠に生き続ける
(1月8日)
土曜日。政府はこのところの沖縄をはじめとした新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の急拡大を受け7日、コロナ対応の改正特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」を沖縄、広島、山口三県に適用すると決定。期間は、あす9日から31日まで。一方、オミクロン株の急拡大もあって、国内の新規感染者は東京都の922人など6千人を突破。昨年12月に市中感染が初確認されてから2週間余で事態は新たな局面に突入、こんご第6派の進行拡大化に伴い、心配される医療提供体制の逼迫をどう防ぐか、が課題となってきた。
きょうは末の息子と江南市内の仏壇屋さんへ。亡きおかあさん(伊神たつ江、伊神舞子)にふさわしい手ごろな仏壇を購入し自宅一階室内、テレビ横の一角に備え、さっそく舞=位牌の戒名は静汐院美舞立詠大姉(せいせきいん・びまい・りゅうえんだいし=に入居してもらった。こぢんまりとした仏壇(住居)ではある。でも、清楚なおかあさんには、清らかな感じがしてふさわしいと思う。
まだまだではあるが、私は行く末は俳句と短歌、詩などの創作に生涯、情熱を注いだわが妻、伊神舞子の文学碑(文学塚)建立を、と思っており、これはこれで舞はじめ家族そろっての安らぎというか、くつろぎの場にでもなればと思っている。そう言って位牌を前に両手を合わせて拝むと、彼女の笑顔がキラリ、キラキラ、キラリと輝いたのには驚いたのである。
(1月7日)
昼過ぎ。宅配便が届く。思いもしなかった新聞記者仲間だったアベちゃん(阿部和久さん)からだった。中身は立派な線香(夕霧2種香)で「奥様の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。ご心痛はいかばかりかとお察し申し上げます。七尾支局時代に大変お世話になったこと、感謝の気持ちでいっぱいです。奥様の旅立ちが安らかなものでありますよう心からご冥福をお祈りいたします…」と簡単な文面が添えられており私は、それを手に両の目から、またしても滂沱の涙が流れ出たのである。アベちゃん、激務で忙しいところをわざわざありがとう。さすがは、越中おわら風の盆で知られる八尾出身のことだけはある。
アベちゃんとは、私が七尾支局長在任時の支局員、駆け出し記者だった阿部和久さん。その人である。かつての能登半島は港七尾の海上保安部回りも兼ねたサツ回り記者である。亡き妻も巻き込んでの最大の思い出話といえば、だ。彼が取材先から支局に持ち込んだミニクジラのことか。ミニとはいっても、デカい。これを支局の記者たちみんなで四苦八苦して分解し食べた思い出は今も忘れられない。たつ江も包丁を手に何やら、アベちゃんと一緒に悪戦苦闘していた姿を思い出す。
ほかに彼がカマスを題材に書いたチョット風変わりな、でも見事な褒め殺しコラム(金沢のえらいさまをエラク怒らせてしまったが)、のちに七尾港に誕生した能登食祭市場(フィッシャーマンズワーフ)誕生のきっかけとなった【港の町づくり連載企画】で米国西海岸に長期出張に派遣したことなど等。大変おせわになったのである。あのころ。まだヨチヨチ歩きだった私の末っ子も一緒に小丸山公園を手を引いて散歩してもらうなど随分よくして頂いた。
さてと。きょうは五節句のひとつ。「人日(じんじつ)の節句」で七草がゆを食べることから<七草の節句>でも知られる。益軒(江戸時代の儒学者貝原益軒)は寒い朝にかゆを食べると、胃腸が整えられ、体が温まると推奨している。
というわけで「無病息災を願って七草がゆはいかが」とは本日付毎日新聞朝刊の「余録」である。わが家でも朝は末の息子がつくってくれた七草がゆを、おまえ・たつ江の遺影前に置いて一緒に食べた。なずな、はこべら、すずな、せり、おぎょう、ほとけのざ、すずしろの七草の味が喉にしみこむほどに心地よく、本当においしかった。おまえにも食べさせたいのに。俺ばっかし、このまま食べていいのかな、とも思ったのである。
どうぞ召し上がれ、とおまえに出された七草がゆ
俳句や短歌づくりに常日ごろ、とても熱心に情熱を傾けていたおまえならではか。自然の営みや季節の習わしに敏感だったおまえ、たつ江は、どんなに忙しかろうが、この日がくると決まって七草がゆをこしらえ、俺たち家族に当然のことのように食べさせてくれた。今になっては遅いが、いつもチョットした心遣いを本当に嬉しく、ありがたく思っていた。ありがとう。
2022年1月5日
きょうは、小寒。「寒の入り」で、これから節分までが「寒」。寒中見舞いを出し始めるころである。
さて。ちまたの方はと言えば、だ。米軍基地を中心に新型コロナウイルスの市中感染が深刻化。5日だけでも新規感染者が623人となり「第6派は既に始まっている」と知事が発言した沖縄県はじめ東京都(390人)、大阪府(244人)、広島(138人)、米軍岩国基地がある山口(104人)、ほかに愛知(73人)石川、山梨、愛媛、大分など全国各地でも感染力が強いとされる新変異株「オミクロン株」による感染急拡大が進行、国内の新規感染者数はこの日だけで、新たに2638人が確認され前日から倍増。米、英、仏など海外各国での「オミクロン株」感染の急拡大も併せ、こんごどう推移していくのか。これからの成り行きが大変、心配されている。
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(1月5日)
私は今になってつくづく思う。
舞よ、マイ。たつ江。おまえは俺が寒さで凍えてしまいそうな日にだって、いつも全身の光りで俺の心身ともに照らして、笑顔で温かくしてくれていた。太陽の如き存在であった。いまは午後の二時だが俺たちのいるこの地上は、とても寒い。でも、おまえが天から放つ燦燦と輝く太陽の陽が私とシロに注いでおり、あったかくて気持ちがいい。
きょうは街に出るのに初めておまえが生前使っていた腰のベルトを使ってみた。先日、長男と帰省した嫁の恭子さんに聴いてみたら「別におかしくなんかはない」とのことだったので思い切って恥ずかしげもなく、着用して見た。そしたら腰の感じも軽くて良く、おまえと一緒に歩いているような。そんな気がしたのである。
それはそうとシロはこのところ、ずっと俺に寄り添ったままだ。時折、哀愁をおびた澄んだ目で私をじっと「大丈夫」といった表情で見守ってくれ、俺のことを心配し過ぎじゃないかと思ってしまうほどだ。おまえが生前、俳句をつくりながらよくつぶやいていた「シロちゃん。シロ、シロ。シロ。おまえは何でも知っているよね」の言葉が、このところは俺の胸にズシンと迫りくるのである。たつ江、シロちゃんは元気でいるから。心配しないで。それとも、もしかしたら。おまえ、おまえはシロになってしまったのか。シロと同化して地上に降りてきたのか、と時折そんな気がしてしまうのである。
たつ江が傍で私を見守っている。シロにはそんな寄り添うようなやさしさがある
「あのねえ」と懐かしいたつ江、舞の、あの甘えたような声が鈴でリンでも鳴らすように耳元に飛び込んできた。たつ江は、もういちど「あのねえ」を繰り返す。「きょうも、バタバタしていた。よね。あたし、知っているのだから。地上で右往左往している姿を見ていてホントにもう。ハラハラドキドキのしどおしだよ。それとベランダで洗濯物の出し入れをするぎこちなさ。つくづくあなたには私がいなければ、って。そう思った。でも、あなたのそうした気持ちが嬉しくて。どうせ息子が洗濯をしてくれたに違いないが。その洗濯物の出し入れをしている姿を見ていて思ったの。私が居なくなっても生きていこうとする。そんな気持ちこそが大切だ、と。わが夫ながら、つくづく思ったの。それなりに、やっていてくれているナ、と。ホントよ。それと。こどもたちの一生懸命さを見ていると『さすがは、たつ江さん。舞ちゃんの育てた子だよ』とみんなから誉められているみたいな。そんな気までするの」
「何を言っているのだよ。おまえの亡きあと、みんなで元気に生きていかなきゃあ。第一、おまえに申し訳ない。おまえの霊が悲しんでしまうじゃないか」
「そう。そうなの。みんなの姿を見てると、こんなにもアタシのことを思っていてくれただなんて。なんだか信じられない。死んでそのことが確かめられてよかったよ。ありがとう」
――というわけで、三が日も過ぎ、私たち家族は日常生活に戻った。子どもたちの心遣いには本当に感謝、感謝の毎日なのである。たつ江が生きていたら、どんなにか喜んだことだろう。
新しい年が明けた。早や5日。小寒。寒の入り、水曜日である。かといって、私たち家族にとっての女神と言っていい、た・つ・江、すなわち伊神舞子は、もはやここには存在しない。なんたることだ。神の仕掛けなのだろうか。などと、あれこれを考えると、またしても涙がころころころり、とあふれ出てしまう。われながら、何と見苦しいと自分で自分を情けなく思ってしまうのである。が、一方で、どこからか「はい、はい、はあ~い。食事。しっかり食べていますか」の声が耳元で大きく膨らみ、飛び込んでくるのである。
きょうは朝からことし最初の歯の治療日。歯のメインテナンス治療を受けながら「亡き妻も、何度も診て頂いてありがとうございました。喜んでいました」と彼女が生前、歯の治療でお世話になった礼を述べると「奥さま。大変でしたね。喪中はがきまで頂いてしまい」と若き院長さん。
「私も二年前に母をがんで亡くし、ほんとに悲しくて。父のおち込みようといったら大変でして。あのころは父のことも、すごく心配でした」と歯科衛生士さん。「みんな、いつかは別れの日が来るのですよね」と続けた。月一度のメインテナンスだがこの歯医者さんには舞も生前、随分とお世話になった。わたしはあらためて、もう一度「ありがとうございました」と医師と歯科衛生士さんに礼を述べたのである。
(1月4日)
舞が生前、お店「ミヌエット」への行き帰りに出会うとは挨拶を交わした大池英二さんと私の自宅前でバッタリお会いする。このところは車を運転中、いつも愛犬のココアとモカちゃんを手押し車に乗せて散歩中のところはよくお見かけするが、自宅前でこのようにタイミングよく出会うのは最近では珍しい。
私はさっそく「気になっていました。大池さんとココア、モコちゃんには直接、妻たつ江がことのほかお世話になった生前のお礼を言わなければ、と思っていました。お会い出来てよかったです」とさっそく喪中はがきを「今ごろになって失礼かとは思いましたが。大池さんとココアちゃん、モカちゃんは舞にとって日々、生きてゆく支えでした。本当にありがとうございました」と言って手渡しでわたしたのである。「何いっとりゃあす。この子たちが、奥さんにお会いするたびに、どんだけ喜んだことやら。わざわざ、ご丁寧にアリガトネ」と大池さん。大池さん、ありがとう。
(1月3日)
自宅近くの桃源交差点から、今はがらんどう同然に近いリサイクルショップ「ミヌエット」まで長男夫妻と歩いて往復。「この道を晩年のおかあさんが自転車を手に引き、俺が横に寄り添って毎日お店まで歩いたものだ。だから、この道こそおかあさん、すなわち俳人で歌人だった伊神舞子が通った【マイロードなのだよ】と私。店にはまだまだ書籍類や手書きの多くが残されているが、彼女のデスクに小学館編の「金子兜太 いとうせいこうが選んだ 平和の俳句」が置かれていたので、持ち帰った。この平和の俳句集には、中日新聞(東京新聞)に2015年に掲載された平和の俳句352句が掲載されており、たつ江が伊神舞子の名で詠んだ<れもんかみつつ思う事平和>も掲載されている。
舞の俳句も掲載されている【平和の俳句】集
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(1月1日)
正月。元旦である。昼ごろ帰省した長男夫妻も加わり、家族でおせち料理を囲んで乾杯。おせちを舞の遺影にも供え、あれやこれやとわが家のこれからについて話し合う。
きょうは、朝の光りがまぶしいほどの1年の始まりであった。でも、わが最愛、最強の相棒だったたつ江、すなわち舞のいない正月はやはり寂しさこのうえない。それに世間のことを一緒になって真剣に考えてくれる存在が消えてしまったのである。彼女がいなくては「あれやこれや」と書く気もしない。書くには相当の気力がいる。何をしていても浮かぶのは相棒の顔ばかりである。
「あのねえ」「そうよ」「そうだね。うん」というのが好きだった。その彼女は、もはや大空高く旅立った。彼女がいなくては、どんなに見事なお正月のおせち料理を食べても、何もおいしくなんかはない。
おせちのお品書きも舞の遺影に供えた
だが待てよ。喪中なので届かないはずの賀状にこんなものがあった。
「輝かしい一年となりますよう心からお祈り申し上げます。年に一度の生きているお便りです お元気ですか 私も病院通いで年々頑張れなくなってきています 残り少なくなって来た人生 健康第一に頑張りましょ」(長谷川輝代)
「さて、新年のご挨拶につきましてはひとまず今年をもって区切りとさせていただきます。長年にわたり、温かい賀状をいただきありがとうございました。/末筆となりましたが、皆様のご健康とご多幸を心からお祈りし、以下の言葉をお贈りしたいと思います。/〝BON VOYAGE!〟」(白井文吾)
「喪中を承知の賀状で失礼します。さぞかしさびしい年明けであろうと心中お察し致します。頼りは時間かもしれませんが、ボクなどには推し図れないことです。どうぞ、お元気でお過し下さいますように。」(小田昭太郎)
そういえば、舞の洋服ダンス一番下の引き出し一角から真珠のネックレス二組とイヤリング、ダイヤの指輪が出てきたのには驚いた。ネックレスは確か若かったころ、志摩半島でことのほか私たちをかわいがってくださった元和具漁協組合長松田音吉さんと奥さまから転任時に送別の品として頂いた貴重な品で、たつ江は私の転勤で行く先々で時折、使用していた。
音吉さんは、真珠王御木本幸吉さんを守り続けた幸吉さんの右腕的存在でもあった。彼は私にほれこみ「イガミさんや。あの島ひとつあげるわいね」とまで本気で言ってくださった。私はかつての、その松田夫妻を思い出し、思わず「あのころは、本当にお世話になりました」と頭を垂れ、真珠を手に心から礼を言ったのである。
正月元日の富士山(新幹線車中から。恭子さん写す)
元日の朝。富士山に負けないほどの光りがわが家に注ぎ込んだ。舞からの光りに違いない