【一匹文士伊神権太がゆく 人生そぞろ歩き(2018年12月)】

平成30年12月31日
 ともかくに大晦日やケセラセラ
 =伊神舞子〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 来る年も平穏に、と祈る人々と除夜の鐘(岐阜県関市)。東京・渋谷には大勢の人々がつめかけた=NHK総合ゆく年くる年から
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 30年に及んだ平成の世とも、きょうでお別れ。
 思い出すだけでも阪神淡路大震災(平成7年1月17日午前5時46分、1995年)、地下鉄サリン事件(同3月20日、1995年)、ニューヨーク同時多発テロ(平成13年2001年9月11日)、東日本大震災(平成23年3月11日午後2時46分、2011年)、そしてことしは西日本豪雨に北海道地震…と災害や事件の多い時代だった。
 神戸や福島など大震災の現場には、担当でもないのに。何度も足を運んだ。異動で特報面のデスク席に座ったその日にニューヨーク同時多発テロが発生し東京から、世界各地の特派員から。外電原稿も。洪水のように溢れ出た記事の数々に目を通した、あの日々のことは忘れられない。
 デスクとして連日、一線記者たちから送られてくる当時、主犯と見られた今は亡きウサマ・ビンラディンの記事を読むうち、なぜか彼の気持ちが妙に私に乗り移ってしまい、何度も書き直し数年がかりで【再会】という小説も書きあげた=記者短編集「懺悔の滴」(人間社刊)所蔵。日本ペンクラブ電子文藝館にも所蔵=。

 この間、地方記者として能登七尾、大垣、大津、一宮支局から文化芸能局へと流れ流れて、本社編集局(特報、サンデー版デスク長)へ。サンデー版に300字小説欄を提言して設けたり(今も続いている)、夕刊特報面に読者に募集して寄せられた都々逸を連日連載したり、また同人誌活動が盛んな中部圏にスポットをあてた〈同人誌その土俵〉を連載するなどしたあと、まもなく定年となり、しばらくはドラゴンズ公式ファンクラブで会報も担当し、中日スポーツにファンクラブ通信欄を開設するなどした。
 そして。落合博満監督体制下でファンクラブスタッフの一員としてドラゴンズのセ・リーグ2連覇と日本一を見届け、いまは文壇の〈いがみの権太〉ならぬ一匹文士(日本ペンクラブ会員、日本文藝家協会会員、脱原発社会をめざす文学者の会会員など)としての日々を過ごす私である。

 奇しくも平成最後となったこの日、31日は私が渾身の筆で1昨年春から2年近くをかけて書き下ろし上梓した短編集「ピース・イズ・ラブ 君がいるから」(人間社刊)のなかの〈信長残照伝 わたしはお類、吉乃と申します〉が日本ペンクラブの電子文藝館(小説部門)に所蔵、公開される日とも重なり、とても嬉しく思っている。

 さて。それはそれとして。今宵はいまや国民的行事と言っていい、ことし、すなわち平成の世最後の大みそかのNHK紅白歌合戦の模様を、ここに写真でオムニバス形式とし再現し記録に残しておこう(いずれもNHK総合画面から)
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 この1年。ひとくちで言えば、私の場合は肺の手術に、利き腕(右肘)の骨折と〝傷だらけの人生〟ではあったが、舞と息子たち家族をはじめ友人たちがどんな時にも、わがままな私を支えてくれ、結果的にはその分多くの経験も出来、実り多き日々となった。IさんはじめFさん、Kさん、Mさん、Gさん、Aさん、Sさん、Yさん、Oさん、Nさん、Tさん…。本当にありがとうございました。
 ここでいつもの大晦日のように、ことし1年の私たちのニュースを以下、記しておこう。
①1月に放線菌による肺化膿症で右胸の3分の1を切開手術
②10月2日夜、自宅前でタクシーから降りた際、泥酔していて転倒。右腕肘の骨を骨折
③短編集「ピース・イズ・ラブ 君がいるから」(人間社刊)を発刊。このなかの〈信長残照伝〉が日本ペンクラブの電子文藝館・小説部門に収録、公開される
④新聞社の記者時代の同期との有志同窓会が入社式いらい、それこそ50年ぶりに金沢市内で実現。能登印刷の能登隆市会長さんら懐かしい人々にもお会いした
⑤わが家の畑〈エデンの東〉の聖地化(これは私が胸を切ったり、肘を折ったりして畑に関わることが出来ず、畑地が草茫々になってしまったため江南園芸さんに頼んで見違えるほど美しくしていただいた)
⑥舞と夏に懐かしの地、能登七尾を訪れ、一本杉通りを歩いた。御祓川は市民の手で見違えるほど美しくなっていた
⑦中村敦夫さんの朗読劇「線量計が鳴る」が暮れに市民有志の手で江南市の永正寺本堂で実現
⑧わが家のベランダに三々五々集まってくる野良猫たちのなかのシロちゃん、猫パンちゃんが半分、わが家の猫、【半野良】と認められ、半分飼い猫のような生活が始まる
⑨舞が1年を通じて〈きょうの俳句〉を作り続けた。無理をし過ぎて胸が痛くなり何度も検査をしてもらうこともあったが幸い、助かった
⑩私の場合、病気にケガなどが重なり、横笛にサンポーニャ、社交ダンスのレッスンが思うに任せずおろそかに。でも、来年は自主レッスンなど再開できそうだ

 ほかに東京でがんばる科学者である息子の談話が新聞でしばしば紹介されたこともニュースといえばニュースといえようか。
 みなさん。来年もよろしく。よいお年を―
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 安倍晋三首相が5月1日午前零時から改められる新元号を4月1日に決定する、と発表。31日午後11時10分ごろ、宮城県石巻市で震度3、マグニチュード4・8の地震が発生。

12月29日
 朝。起きたら、北日本を中心に日本中が寒波に襲われ、山形では積雪が1・5㍍を超えたところも。ここ尾張名古屋も窓の外は一面、白一色の雪の原だった。なんだか身も心も清められた気がする。この世は不思議、異界である。

 雪が降る町、ベランダにも雪の花が舞った=江南市花霞で。29日早朝
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 中日新聞朝刊を開く。〈通風筒〉に「◇…大みそかを前に、大津市の三井寺で、近江八景の一つとして知られる「三井の晩鐘」(滋賀県指定文化財)のすす払いがあり、僧侶が一年間のほこりをはき落とした」の記事。三井の晩鐘は記事にもあるとおり、琵琶湖の竜女と結ばれた漁師がこどもの健在を知らせるために鐘を鳴らした―とされる悲しい伝説があり、かつて滋賀在任中には私自身、何度も訪れたことがある。それだけに、懐かしく思い出された。
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 午前中、いや昼からも居間のデスクで年賀状を書き続ける。誰が窓を開けたのか(きっと舞だろう)。いつのまにか室内に入ってきた半野良シロちゃんが足元でじゃれている。時折、外に出そうと窓を開けてはみるが、一向に出ていこうとはしない。
 筆を進めるうちに事前にいつもの名古屋の印刷屋さんに用意してもらった印刷済み賀状がやっぱり底をついてしまったので、しぶしぶ近くのコンビニ店へ。ここで分かりやすくて気に入った三種類の賀状を計30枚購入して自宅へ。再び書き始めるが、またしても無くなってしまったので、これらを近くの郵便ポストまで出掛けて投函し、きょうのところは、これ以上の賀状書きは止めることに。
 シロちゃんは、気を遣ってか、いつのまにやら居なくなっていた。

 私は私で今度は自室にこもり、こうしてワープロに向かって〈そぞろ歩き〉のキーを打ち始めた。
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 防衛省は28日、韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射したとして、哨戒機が駆逐艦を撮影した動画をホームページで公開。これに対して韓国国防省の報道官は「レーダーを照射した客観的な証拠とみることはできない。深い憂慮と遺憾を表明する」と反発。さらに「救助活動をしていたわが国の艦艇に、哨戒機が脅威を与えるような低空飛行をしたことに失望する」と逆に日本の海自の対応を批判している。
 大納会を迎えた東京株式市場は28日、前年末に比べ2750円安の日経平均株価(225種)20014円で取引を終えた。7年ぶりに前年末終値の水準を下回り、アベノミクスが始まった2012年以降では初めての下落となった。

12月28日
 とりあえず御用納めシャシャンと
 =伊神舞子〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 北風の吹く寒い1日。
 岐阜市と津市でけさ、初雪が舞った。名古屋地方気象台によれば、岐阜は平年より13日、津は6日それぞれ遅い観測となった。
 静岡市葵区で飼われ行方不明になっていた飼い猫(2歳、雌)が1カ月後に170㌔も離れた名古屋市中区の大須観音の屋根裏で発見、保護されて無事、飼い主の元へ。
 猫の首付近の皮下に埋め込まれたマイクロチップで飼い主がわかったという。めでたし、めでたしである。「チップがなければ飼い主は見つからなかったかも知れない」とは、名古屋市動物愛護センター職員。
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 ことしも、もはや待ったなし。きょうを含めてあと4日だ。私はこのところ新春から依頼されている、とある生活情報誌の連載こらむ執筆に始まり、日本ペンクラブ電子文藝館に出稿済みの自作「信長残照伝|わたしはお類 吉乃と申します」の再チェック、さらには右腕骨折後のリハビリ治療や舞の頭部手術後の定期MRIの画像検査結果の受診で病院を訪れるなどで結構バタバタしており、本欄を書いている余裕なぞ、とてもなかった。
 ただ題が〈そぞろ歩き〉で無理は極力しないことにしてあるだけに、どこか精神的にも落ち着いて書けるのが気楽だと言えなくもない。

 というわけで、きのうの午後から遅がけの年賀状書きに本格着手。まだまだ痛さの残る右腕をつかっての賀状書きに挑み始めたのである。賀状を書きながら感じたことはやはり、利き腕がまだ完治していないので、その分だけ遅筆になるということか。デ、書けども書けども一向に進まない筆には、正直うんざりしつつも一枚一枚に懐かしい相手の顔が眼前に浮かび上がってくる、そんな思い入れがある。それだけに、おろそかにも出来ず、やっとこうして〈そぞろ歩き〉の執筆を進めているのである。

 この間、熱心な市民有志の情熱もあって盛況に終わった永正寺本堂での中村敦夫さんの朗読劇「線量計が鳴る 元・原発労働者のモノローグ」上演の翌日は戦後、私たちが育った和田の実家での満98歳になる母を囲んでの兄妹会(これは市内在住の私の妹夫妻が幹事を買って出た)、さらには永正寺さんでの朗読会の反省会などもあって、なかなか本来の執筆には至らなかったのが現状だった。

 【まだまだ若いよ】 齢はとっても。いつも綺麗な私たち自慢の母。ことしも手作りの草履とセーターを用意し、娘たちに分け与えた
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 法務省が27日、1988年に投資顧問会社社長ら2人が殺された事件で強盗殺人罪に問われた確定死刑囚2人の刑を同日午前に執行した、と発表。これにより、ことしの死刑執行者数は計15人となり一時中断していた死刑が再開された1993年以降、最多だった2008年の15人に並んだ。これで平成に入ってからの死刑執行は128人で、刑事施設に収容されている確定死刑囚は109人となった。
 岐阜県関市の大規模養豚場で家畜伝染病「豚コレラ」が発生した問題で県は27日、飼育されていた全8083頭の殺処分を完了。

12月22日
 愛知県江南市を拠点とした尾張地域の芸術文化活動の振興をめざそう、とこのほど有志市民からなる「尾張芸術文化懇話会」(舩橋紀公子座長)が誕生。その旗揚げを兼ねた朗読劇「線量計が鳴る 元・原発技術者のモノローグ」の上演が22日午後、作家で俳優の中村敦夫さんの脚本・出演による一人芝居で同市高屋町中屋舗の臨済宗妙心寺派高屋山永正寺(水谷大定住職)本堂で行われ、多くの市民が鑑賞し共感の輪が広がった。
 この朗読劇は原発の町で生まれ育ち、原発で働き、そして原発ですべてを失った元原発技術者の物語を78歳の中村さんご自身が豊富な取材力と現地行、真理の追究などを通して元・原発技師のモノローグとして書き下ろした(而立書房、10月新刊)。かつて空前のブームとなった木枯し紋次郎で一世を風靡し、その後も「地球発22時」のニュースキャスター、参議院議員など各界で活躍した作家の中村敦夫さん(日本ペンクラブ会員で元同ペンク環境委員長)ご自身も福島県いわき市に生まれ育った。それだけに、福島第一原発事故が起きた現場はむろんチェルノブイリの原発事故現場にも自ら出向き、原発社会が抱える原発技術と問題点、被曝の危険性、事故現場の実態などを鋭く、かつリアルにえぐり出す内容となった。
 大気中に含まれる放射線量が多いとピィッー、ピイ―ッ、ピィッと、人間たちの叫び声のように激しい警告音を出す線量計を手に、舞台に登場した中村さん演じるひとりの老人。東北弁で時には皮肉なユーモアもまじえポンポン飛び出す原発社会と杜撰極まる政治に対する批判、そして苦言の数々には皆真剣な表情で聴き入った。なかには名古屋から訪れた「愛知私学助成をすすめる会」の寺田京子会長ら代表メンバーの姿も見られ皆、口々に「教育的価値も高いのでこれからはぜひ、こどもたちも含め一人でも多くの方々に聴いてほしいですね」と話していた。
 また、中村さんの話に江南市内に住むある女性は「放射能汚染の危険性は福島だけではなく関東全域はおろか、もしかしたらこの地方にも忍び寄っているかも知れない」と〈線量計の鳴る どこに鳴る どこにでも〉と即興の自由律俳句を口ずさんだ。

 誕生まもない尾張芸術文化懇話会の旗揚げをかねての今回朗読劇の上映は、中村敦夫さんの一人芝居誘致に始まり、本堂ステージでの事前直前の再三に及ぶ照明・音響設営、さらには新聞各紙や寺のホームページなどによる告知……と、舩橋座長はじめ中村建岳副住職ら有志市民が東奔西走し実現させた。懇話会では上演をきっかけに、こんごも市民の市民による市民のための芸術文化(文学含む)活動の向上をめざしていきたい、としている。中村敦夫さんは朗読劇の100回公演をめざし全国ツアー中だが、江南市での公演は55回目。お寺での上演となると、徳島県に続き今回が2度目だという。この日は急な風邪や葬儀などで楽しみにしていたのに来られなかった人々もおいでだった。それだけに、これらの人々にも心からの礼を述べ、本欄【一匹文士 伊神権太の人生そぞろ歩き(2018年12月)】でも公演の報告とさせて頂いた。
 なお、会場受付一角では中村さんの著作販売もあったが、用意された本のほぼ全部が売り切れた。
 
 苦心のたまものとなった事前、直前の舞台設営のひとコマ
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 上演に先立ち「尾張芸術文化懇話会誕生には何よりの朗読劇を誘致することができました。これを機にこの輪をみんなで広げてゆきましょう」とあいさつする舩橋座長
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 「今か」「今か」と、開演を待つ多くの市民と開演に聞き入る市民
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 朗読劇で「死ねといわれたら死ぬ。そったら日本人にはなりたくねえ」「もう1発、原発事故をやらかしたら、日本列島はおしまいだ。皆さん、怒ることも大切。怒らなければ」と語る中村敦夫さん
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 大役を終え。中村敦夫さんと一緒にスタッフら
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 天皇陛下があす23日に85歳の誕生日を迎えられる。おそらく陛下は平成の世が戦争のない時代で終わろうとしていることに心から安堵されているに違いない。

 今宵(22日夜)、私は私と同じ日本ペンクラブの会員仲間でもある中村敦夫さんと応援に駆けつけた山本源一さん(現日本ペンクラブ環境委員長、脱原発社会をめざす文学者の会事務局長。編集者)を、舩橋紀公子座長と新幹線名古屋駅までお送りして夜、帰宅すると妻の舞から「これ見て。加賀乙彦さんが載っているよ」と短歌研究1月号を手渡された。
 そこには〈総力特集 平成の大御歌と御歌〉【民に寄り添う世界 加賀乙彦】とあり、次のような文が掲載されていた。冒頭部分だけをここに貴重な紙面記録として紹介させていただく。
――天皇さま皇后さまの歌が私は大好きだ。身辺の出来事、家族や自然や旅先の様子が見事に詠み込まれているのが興味津々である。とくに皇后さまの肌合い細やかな歌が嬉しい。
  
 この国に住むうれしさよゆたかなる冬の日向に立ちて思へば(昭和五十七年)

 すると天皇さまのずっと昔の歌が思いだされてくる。

  荒潮のうなばらこえて船出せむ広く見まはらむとつくにのさま(昭和二十八年)

「このくに」と「とつくに」のあいだに海がある。しかも荒海である。十九歳の君の外遊が好ましく見え、なつかしくも思える。

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 東京地検特捜部が21日、日産自動車に私的な投資で生じた18億円余の損失を付け替えて会社に損害を与えたとして前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)=金融商品取引法違反罪で起訴済み=を今度は会社法違反(特別背任)容疑で再逮捕。将棋の羽生善治竜王(48)が21日、第31期竜王戦七番勝負で挑戦者の広瀬章人八段(31)に敗れ、竜王を失冠、27年ぶりの無冠に。政府はこの日、一般会計総額が101兆4564億円の2019年度予算案を閣議決定。
 愛知県犬山市野中の山中で19日に捕獲された野生イノシシから、家畜伝染病「豚コレラ」の陽性反応。県内での感染は初めてだが、先に岐阜県内で確認されたウイルスと同型でこんご県境を越えた感染の拡大が心配される。

12月20日
 京都の西本願寺と東本願寺でこの日、年末恒例の「すす払い」があった。いよいよ、平成最後の御世であることしも残りわずかになってきた。このところは【町】という生きものまでが一斉に路地という路地を走り始めたような、そんな気がする。

 いよいよ、と言えばである。
 原発の町で生まれ育ち、原発で働き、原発事故ですべてを奪われた男。これは天命なのか。それとも……
 福島第一原発事故による放射能汚染が突き進むなか、幼稚でお粗末極まる原発行政にどうにもならない社会と人間たちの苦悩と格闘の物語が、白日の下にさらされる。現代の歪んだ原発社会を痛烈に告発、批判する朗読劇「線量計が鳴る 元・原発技術者のモノローグ」が、かつて木枯し紋次郎で一世を風靡した中村敦夫さんにより、織田信長の聖地といっていい尾張名古屋は、ここ江南市で市民団体「尾張芸術文化懇話会(座長・舩橋紀公子さん)」の主催で上演される(脚本・出演とも中村敦夫さん)。
 開演は22日午後1時30分(午後1時開場)、場所は同市高屋町の臨済宗妙心寺派高屋山永正寺(水谷大定住職)本堂で、である。一人でも多くの方々に鑑賞していただけたら、と願う。チケットは2000円で永正寺で直接、購入する。永正寺の電話番号は0587(56)2584。
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 午後。バスに乗って舞を伴い、江南厚生病院へ。
 彼女に半年に一度巡ってくる術後の頭部MRI(磁気共鳴画像)検査に付き添うためである。舞は大手術のあとも病身でありながら好きな句作(俳句と短歌)に励み家事、洗濯、買い物をこなすばかりか、自ら営むリサイクルショップ「ミヌエット」の切り盛りも立派にこなし、おまけに私の入院や骨折時には病院に通ったり、手厚い看病までもしてくれた。そんなわけで、せめて重大な検査時には当然、付き添ってやらねば、というのが私の信念と気持ちでもあるのだ。
 そんな彼女の無事平穏を願ってのMRI検査だっただけに、待合室で待つ私も少しは緊張せざるをえない。待つ間、私はただ黙って川端康成の文庫「伊豆の旅」のなかの以前にも読んだ〈伊豆の踊子〉を読み続けた。川端文学は何度読み返してもわかりやすい。そして何よりも、心象と風景描写がいい。この日。舞は舞でいつものように淡々とした表情で検査室に消え、何げない顔で出てきた。
 あとは画像診断の結果が良いことを願うだけ、である(結果は25日に判明するが、彼女の生活ぶりからしても恐らく大丈夫だろう)。

 話は変わるが、先月の21日に名古屋の名鉄グランドホテルで33人が出席してあった昭和39年滝高校卒の同級生から成る二石会の第13回通常総会の報告書が、きょう2017~18年度会長(今井浩壹さん)副会長(大野喜久男さん)名で郵便でわが家に届いた。報告書は全員の記念写真と談笑風景をとらえたユーモアあふれる見事なスナップ写真付きで、通常総会の内容に始まって会計報告まできっちり記されており、さすがは我がクラスメートだな、と思った次第。

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 本日付中日夕刊によれば、欧州連合(EU)欧州議会と加盟国が19日、使い捨てプラスチック食器や発泡スチロールの容器を禁止する新規則策定で基本合意。2021年実施見通しで、実現すれば欧州の海岸を汚すゴミが70%減ると推計されるという。これは文句なく明るい、人類の将来に希望を与える話題である。
 20日の東京株式市場。日経平均株価(225種)が大幅続落し一時、3月23日に付けた終値ペースの年初来安値2万617円86銭を割り込んだ。トランプ米政権が19日、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討作戦のためシリアに派遣していた米軍部隊の撤収を始めた、と発表。

12月16日
 夜。名古屋市熱田区の秋葉山円通寺で参加者が無病息災を願って、炎のなかをはだしで駆け抜ける年末恒例の「火渡り神事」があった。ポーランドで開かれた国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)は、15日(日本時間16日)こんご地球温暖化対策を進めるためのパリ協定の実施ルールを採択して終えた。
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 日曜日。
 肘を骨折した右腕が少しずつ良くなってきた。
 とはいえ、とっさの時などに、手で地面か何かをついて支えるとなると、とても不安で出来そうにはない。それでも、こわごわではあるけれどカミソリで髭を不揃いに剃れ、なんとか箸を持てるようにもなってきた(かといって、箸を口に持ってゆくのではなく、口を箸に近づけるといった方が良いのかもしれない)。

 今の時間(午後6時52分)、今宵は鎌倉市の鎌倉学習センターきららホールで中村敦夫さん脚本・演出による「朗読劇 線量計が鳴る 元原発技師のモノローグ」が開かれているはずだ。私も属する〈脱原発社会をめざす文学者の会〉主体で実現したもので、原発事故が起きてしまった社会がいかに悲惨で救いようのないものなのか。そして今となっては危険と不幸との隣り合わせの原発に頼らない社会がどれほど大切なのか。観客1人ひとりの胸に迫るものがあったに違いない。成功を祈りたい。

 昨日、大津の眞鍋京子さん(「熱砂」同人、湖都の文学編集委員。91歳)から『湖都の文学2018年号 大津市制120周年記念号「湖都の文学」50年記念号』2冊が速達でわが家に届き、さっそくページを開いた。
 記念号は詩、川柳、俳句、冠句、短歌、随筆、小説とジャンル別に収録する、といった内容。『「湖都の文学」は昭和四十四年の第一集発刊より、今回で第五十集となりました。これも偏に皆さまが日々、文学活動に熱心に取り組まれてきたおかげであり、ここに敬意と感謝の意を表します。/今回の「湖都の文学」は、三百九十八点もの投稿をいただきましたが、募集期間中に大きな地震、記録的猛暑の中、編集委員会が行われるなど、これまでにない天災、異常気象の中でしたが、無事発刊に至りました。改めて多くの方の支えのもと作成されている文芸誌であると感じました。……』といった越直美大津市長の巻頭言どおり、それこそ文字通り市民の手による市民のための市民の文芸誌となっているのが特徵ともいえる。

 わが家に届いた「湖都の文学 2018年号」と眞鍋さんの小説「パルテノン神殿への想い」の1部
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 韓国の仁川であった卓球のグランドファイナル最終日。男子シングルスで日本の張本智和(エリートアカデミー)が中国の林高遠を4―1で破り、初の頂点に。15歳172日での優勝は男女シングルスで大会史上の最年少。また女子ダブルスでは早田ひな(日本生命)伊藤美誠(スターツ)組が中国の陳幸同、孫顕莎組に3―0でストレート勝ちし、優勝した。 
 アメフト(アメリカンフットボール)の第73回甲子園ボウル、全日本大学選手権決勝が16日、甲子園球場で行われ、西日本代表の関学大(関西)が東日本代表の早大(関東)を37―20で下し、2年ぶりに最多優勝回数を更新する29目の制覇を果たした。

 16日午後8時半ごろ、札幌市豊平区の木造2階建て雑居建物でガス爆発が起き、男女42人(うち女性23人)が重軽傷を負ったという。

12月14日
 流れ星冬の夜空と遊ばせん
 =伊神舞子〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 新聞によれば、きのうときょうが出現のピークだという冬の夜空を彩る「ふたご座流星群」。舞は昨夜、その流れ星の多くをわが家のベランダで、ただ独り見たという。
 私はひと足遅れで今宵、空を仰いでみた。が、あいにくの空模様で白い雲が壁となって上空に立ちはだかってしまっており最初は見ることはかなわなかった。「おまえだけ見る、だなんて。なんで教えてくれなかったのだ」と言ったところで、後の祭りとは、このことか。「だって、あなた。きのうは久しぶりに〝もう寝る〟と言って早く寝てしまったじゃない。今夜は雲が多いから。ダメかもね」と言われたのでは返す言葉もない。

 この人生。後の祭りが何と多いことか。
 それでも、雲が切れてきたので、たった今。午後11時前にベランダに再び立ち、しばらく夜空を眺めていると、突然、頭上を上方から下方に、ひとつの星が光りを放って視界を流れて消えた。これでよし、としよう。満足顔でいると「どう」と、いつのまにやら舞の顔が傍らにあった。「見れた。見れたよ。おおきくて、すごかったよ」と私。

「忠臣蔵」で知られる1701年(元禄14年)12月14日の赤穂浪士討ち入りで討たれた名君、吉良義央(きらよしひさ)公を追悼する『毎歳忌法要』がこの日、西尾市吉良町の吉良家菩提寺、華蔵寺で営まれた。
 共にカトリック精神に基づいて設立され、上南戦でも知られる名古屋の雄、南山大と東京の上智大が14日、国際化や教育・研究の充実を目指した包括協定を締結。
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 同じダンス教師のもとで学ぶ一宮と江南の社交ダンスの仲間たちによる合同忘年会が一宮市の真清田神社近く寿司屋さんで開かれた。私は右腕肘の骨折でこのところのレッスンはずっと欠席続きだったが、先生(若原典子さん)からお誘いの温かい声をかけていただいたことと久しぶりに〝悦ちゃん〟ら仲間たちの顔も見たくなり、首にマフラーをして思い切ってバスに乗って出向いた。

 久しぶりに一堂に会した社交ダンスの仲間たちによる忘年会での記念写真
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 やはり出席してよかった。
 この日集まった仲間たちは皆、それなりに齢を食んだ人ばかりで、何といっても「今は1級のワルツにチャレンジしています」など共通したダンスのことで話が弾んだ。合間には、じゃんけんぽん遊びなどもあって皆さん童心に返ったよう。最後に全員に年末ジャンボ宝くじ1枚ずつが参加賞と一緒に手渡された。
 このほか、一人ひとりの自己紹介では、自身の度重なる病との闘いや親の介護、孫の育児、さらにはアルバイトをはじめ、「3年続けて豪華客船あすか(飛鳥)による船旅をしました」といった話やら航空機によるアイスランドへの旅、趣味のバドミントンの話、熱帯魚飼育など人さまざまにユニークな話まで飛び出して座は最高潮に。なかには「私は幸徳秋水や大杉栄の伝記ものを書いてます」といった歴史学者までおいでで時間はまたたく間に過ぎ去っていったのである。

 きょうは朝、先に右肘を骨折した自分の右手で初めてどうにか歯磨きが出来、なんだか嘘のようで信じられなかった。
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 政府はこの日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先、名護市辺野古沿岸部での土砂流入を始めたが辺野古移設に反対する沖縄県の反発は必至だ。
 昨年6月、神奈川県大井町の東名高速道路で、あおり運転を受け無理やり停車させられた夫婦が後続の大型トラックに追突され死亡した事故の裁判員裁判で横浜地裁は14日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)罪などに問われた石橋和歩被告(26)に懲役18年(求刑懲役23年)の判決を言い渡した。
 富山県砺波市では5人家族の住宅が就寝中に全焼、性別不明の1人の遺体が見つかり、残る4人との連絡が取れていないという。冬になると、どうしても民家火災が増える。火の用心。マッチ1本、火事の元である。

12月12日
 三日月が美しい夜だ。
 2018年の世相を1字で表す日本漢字能力検定協会のことしの漢字が「災」に決まり12日、京都・清水寺奥の院の舞台で森清範貫主が越前和紙に力強く、揮毫した。最年少棋士の藤井聡太七段が12日、東京世田谷であった公式戦に勝ってデビューからの勝ちを100の大台に。最年少、最速、最高勝率で到達した快挙である(日本将棋連盟)。
 12日付中日夕刊によれば、冬の夜空を彩る「ふたご座流星群」が13、14日の夜に出現のピークを迎えるという。ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑京大特別教授(76)が11日夜(日本時間12日未明)、スウェーデン国王が主催する王宮晩餐会に招かれ、妻の滋子さん(76)とともに和服で出席。
 中日スポーツの12日付1面では「竜党の聖地、ナゴヤ球場が来年3月7日に1日限定本拠地として復活、DeNAとオープン戦を開催する」とのビッグニュース。
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 木枯し紋次郎で一世を風靡した中村敦夫さんの著作〈朗読劇「線量計が鳴る」元・原発技師のモノローグ〉(而立書房)と文芸評論家川村湊さんの「ホスピス病棟の夏」(田畑書店)を読み終えた。原発行政の限りなき杜撰さ。そして、乳がんに侵された愛する妻の命どころか、魂までをも奪われた男性(川村さん)の、ただ立ち尽くすばかりの底知れない悲しさに驚愕ア然としたのである。
 2冊に共通するのは人間を襲う無情と魔手、そこから立ち直ろうとする永遠なる精神力とでもいおうか。大手をふって〝自爆への道〟をひた走る誰の目にも明らかな幼稚極まる原発行政。一方では自らも人工透析という重い病いと闘いながら限りなき看病の手を注いでも、もはやどうにもならない妻のホスピス病棟での日々…といったような、そうした底知れず哀しいものだった。川村さんの奥さんが日に日に衰えていくその姿には活字を前に涙が止まらなかった。
 ここに2冊のごく1部分を抜粋して人間たちへの貴重な一里塚として紹介させていただく。二度とこうした不幸が起きないことを念じつつ――

 中村敦夫さんの「線量計が鳴る」と、川村さんの「ホスピス病棟の夏」
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【中村敦夫著〈朗読劇「線量計が鳴る」〉から。抜粋】
『文科省は放射能の流れを予測するSPEEDIというコンピューター・ソフトで、飯舘村付近の数値を当初から掴んでいた。命にかかわるような高い線量だった。文科省はその事実を、十日間以上も隠していた。原発から四十キロ離れているから大丈夫だろうと、そこには大勢の家族が避難していた。おかげで、村人も避難家族も強烈な放射能にさらされた。わしらの農場も全滅だ。有機農業をやってた仲間の一人が、絶望の果て、柿の木で首を吊って命を断った。わしは自分にも責任があると思った。原発のために三年間も奉仕したんじゃからな。これからじゃ、本当の地獄が始まるのは。わしはどうなってもいいが、罪のない多くの人々や子供たちが、道徳の欠落した強欲な集団の犠牲になって、とてつもない苦しみと悲しみに巻き込まれるかと思うと、残念で無念で、胸苦しくて……』
『こりゃ問題外だよ。七四〇人いる衆参議員の中で、原発や放射能についての基礎知識を持ってる者は、十数人もおらんだろう。その中には、電力業界から入ってきたのも混じっているがな。東電の副社長だった男が参議院議員になり、「放射能は体によい」と言った話は有名じゃよ。どっちみち、政治家は官僚の操り人形だ。金と票さえもらえば満足しとる。バカでも何でも務まる。ドジョウだって首相になれるんだからのう。』(いずれも〈線量計が鳴る〉の中での老人の話)

【川村湊著最愛の妻の看病記+自らの闘病記「ホスピス病棟の夏」から】
 私は、妻の乳がんも、放射線が関係しているのではないかと、ひそかに疑っている。我孫子市布佐は、3・11の時に、ホットスポットになり、福島第一原発からの放射能雨に汚染された。3・11の当日、窓を目張りし、外出を控え、水道水を使わず、外の雨や風に当たることを避けてきたのだが、しばらくするうちに、亜子は庭の芝生の手入れをしたり、ミカンやブドウ(デラウェアとマスカット)などの庭の果樹の手入れを熱心にしていた。姉さんかぶりをしたり、マスクをして、手袋をはめていたのだが、放射能がそれぐらいで防げたとは思えない。亜子はヘビースモーカーというほどではないにしろ、タバコをずうっと吸っていたので(禁煙問題は、しばしば家庭内紛争のタネとなっていた。妻はそのたびに私の禁酒を対抗的に持ち出した)、それで肺がんではなくても、体中の免疫が弱っていて、それに原発からの飛散し、我が家の庭に降り注いだ放射能が影響したのではないかと考えたのである。
 わが家の庭と道一本を隔てた小さな公園には、放射能測定器が設置されていたが、丹念に数値を調べたことはなかったが、3・11の当時だけでなく、放射能雨や風は、破壊された福島第一原発から、百キロメートル以上離れているこのあたりにも、絶え間なく流れてきていたのではないか。芝刈りや立ち木の枝落としなど、庭にいた時間の長かった妻には、その影響は強かったのではないかと、私はひそかに案じていたのである。……
(川村湊さんの妻亜子さんは、2017年8月30日午後9時20分に亡くなった)
※本の帯には「亜子の声が耳の底に残っている」「悲痛の果てにある類いなき感動」とある
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 カナダ西部バンクーバーの裁判所が11日、先に米国の要請でカナダ当局が身柄を拘束した中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)副会長兼最高財務責任者の孟晩舟容疑者を1000万カナダ㌦(8億5000万円)で保釈。フランス東部ストラスブールで11日夜、男がクリスマスマーケットで発泡、3人が死亡、12人が重軽傷を負った。

12月9日
 12月8日。昭和16年のこの日、日本軍が米国の真珠湾を攻撃し、太平洋戦争が始まった。そして罪なき人々の生活はもとより、世界中がメチャクチャになってしまった。私たち日本人にとっては最も恥ずべき日である。
 1980年の同じ日、何という皮肉、運命なのか。元ビートルズ1員だった、あのジョン・レノンがニューヨークの自宅、ダコタ・ハウス前で当時25歳だった若者、マーク・チャップマンの銃弾に倒れ、暗殺された。
 ジョン・レノンといえば、妻のオノ・ヨーコさんと平和を願い、♪世界はひとつになるんだと歌い続けた〈イマジン〉でも知られる。38年後のこの日、能登の七尾には初雪が舞った。

 9日。日曜日。日本列島は今季一番の冷え込みに。京都、福井、彦根でも初雪が舞い、青森の八甲田山系や山形では積雪1㍍に。札幌では最高温度がなんとマイナス4度だったという。
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 9日午後。きょうは、まだまだ右手が不自由であることを自覚しつつも、思い切って愛用の横笛とハモニカを取り出し楽譜を前に、2階自室でそろりそろりと、半ばこわごわふいてみた。
 横笛は〈さくらさくら〉〈惜別の歌〉〈およしなさいよ〉を、ハモニカは〈ふるさと〉〈みかんの花咲く丘〉〈琵琶湖就航の歌〉を、である。
 なんとか曲にはなっていたが、右手が自由だったらさぞかし満足する音色になったに違いない、と。そう、我ながら思いもした。ふたつの楽器を同時にふけばふくほど腕のリハビリにもなるに違いない、とそんな気がした。
 夜。BSで「〝戦争孤児〟の真実 飢え・盗み・友の自殺 終戦から始まった悲劇3年間の取材の完結版」を見る。ノー・モア・戦争である。
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 皇太子妃雅子さまが9日、55歳の誕生日を迎えられた。
 カナダでのフィギュアスケートグランプリファイナルで日本の16歳、紀平梨花さん(関大KFSC)が2005年の浅田真央さんいらい13年ぶりに初出場で初優勝。名古屋では来年3月に閉館する栄の中日ビルで金城学院の中高校生による、恒例の「クリスマスキャロルコンサート」が開かれ、市内ホテルでプロ野球・中日ドラゴンズの新人選手の入団会見があった。

 今臨時国会最大の焦点となった、在留資格を新設して外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が8日未明に成立。フランスでは8日、全土で燃料価格高騰に端を発して政府に抗議する「黄色いベスト運動」デモ。11月17日以降4週連続の大規模デモとなったが、仏政府は厳戒態勢で暴動化の阻止に当たり、約1000人を拘束したという。

 世界には、今日もきょうの風が無情にふき、波立っている。

12月7日
 能登の友から思いがけず、甘い香りの福々しい愛媛みかんが届いた。
 
 あの厳しい豪雨を乗り越えて実った愛媛みかん
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 半分野良猫のシロちゃんは、きょうも朝のいっときだけ私の足元で戯れ、どこかに消えていった。そして夕方、舞が帰宅する時には、どこから舞い戻ってくるのか。匂いで分かるのか。決まって玄関先にきて迎えるのである。

 毎朝、少しだけ私と一緒の半野良シロちゃん。首輪はプライドが許さないのか。そのご自分で取ってしまったらしい
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 このところは何かとあわただしい日が続く。
 というのも、江南市内の臨済宗妙心寺派高屋山永正寺(水谷大定住職)本堂での中村敦夫さんの朗読劇〈「線量計が鳴る」元・原発技術者のモノローグ〉の公演(尾張芸術文化懇話会主催)が22日に迫り、この朗読劇の存在を最初に尾張名古屋の方々に紹介させて頂いた私としては誰にもまして何かとお世話になる永正寺さんはじめ、東京の中村敦夫さんの事務所、地元の熱心な懇話会メンバーら関係各位との打ち合わせなど準備に忙しいのをはじめ、ほかにもあれやこれやと、追い立てられているからだ。
 ここにチラシを本欄〈一匹文士 伊神権太がゆく人生そぞろ歩き〉紙上であらためて掲載させていただく。ちなみにこの朗読劇は尾張芸術文化懇話会(舩橋紀公子座長)の誕生に合わせて開演するもので、懇話会では1人でも多くの人々に鑑賞していただければ、と願っている。そして今回の懇話会誕生を機に、言い出しっぺの1人として「地域住民の、地域住民による、地域住民のための真の芸術文化掘り起こしと文化の振興機運が、ここ尾張名古屋は江南の地を発火点に広く、深く、日本はおろか世界中に発信されていくこと」を心から願いたい。

 中村敦夫さんの朗読劇〈線量計が鳴る〉のチラシ(表と裏)
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 中村敦夫さんの表現者としての言葉の1部
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 6日午後1時39分、ソフトバンクの携帯電話サービスで大規模な通信障害が発生、4時間超にわたって全国的に携帯での通話やデータ通信が利用出来ない状態となった。この通信障害の発生で思いがけず脚光を浴びたのが公衆電話ボックス。都心には順番待ちの行列まで出来たという。公衆電話といえば、なぜか、あの哀愁のポケットベルを思い出す。ポケベルで呼び出され、公衆電話から支局に電話し、殺しや火災などの事件現場に急行した日々となると数え知れない。
 6日の未明、高知沖の太平洋上に米軍のF18戦闘攻撃機と空中給油機が接触し墜落。2機に乗っていた7人のうち1人が死亡、1人が救助され、5人が行方不明に。7日早朝には滋賀県長浜市で民家が全焼、70代夫婦と40代の息子が死亡した。
 大相撲の平幕貴ノ岩(28)=モンゴル出身。千賀ノ浦部屋=が4日夜、冬の巡業先の福岡県内で付け人の弟弟子に暴力を振るった責任を取って7日に日本相撲協会に引退届けを出し受理された。貴ノ岩といえば、昨年の元横綱日馬富士=同年11月に引退=による傷害事件の被害者であったばかりか、平成の大横綱だった元貴乃花親方が育てた最初の関取だった。それだけに、角界ばかりか相撲ファンの間にもショックが広がっている。

 6日。カナダのバンクーバーで開催中のフィギュアスケートGPファイナルの女子SPで16歳の日本の紀平梨花さん(関大KFSC)が大技のトリプルアクセルを決め、ルール改正後の世界最高となる82・51点で首位発進。
 7日夜。私と旧知の仲でもある能登は七尾の老舗「さたみや旅館」の御曹司佐田味良章さまご夫妻から甘くて美味しい愛媛みかんが届き、感激。舞は「明日さっそくお店=リサイクルショップ〈ミヌエット〉=においでになるお客さんたちにも味わって頂きたい」と大変な喜びようだ。ちなみに、愛媛は和服姿が美しい良章さんの奥さまのふるさと。
 ことしの夏は西日本豪雨でさぞかし大変だったであろう愛媛。その愛媛のたくましさが凝縮された甘い味である。ありがとう、さたみさん。そして奥さま。がんばって。愛媛!

12月4日
 九州の福岡、大分両県で観測史上初めて【12月の夏日】に。大分県国東市国見町で正午に27・0度を記録した。
 ことし話題になった流行語大賞が昨日発表され、平昌冬季五輪のカーリング女子代表チームが試合中に何度も発した「そだね」が年間大賞に選ばれた。
 来年、2019年秋に放送が開始されるNHKの連続テレビ小説は、信楽焼で知られる滋賀県甲賀市を舞台とした「スカーレット」に。実在する女性陶芸家の物語だという。湖都滋賀を舞台にした連ドラだけに、なんとなく嬉しい(私は、かつて滋賀県に3年間、在職した)。
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 2日は名古屋市内で午後2時から、私が主宰するウエブ文学同人誌「熱砂」の例会を開催。翌3日のきのうは急病や仕事、高齢で遠方などの理由から出席出来なかった同人に例会資料を添え、一人ひとりの顔を思い浮かべてその内容をメールで連絡。全員にメールし終えてホッとしたのである。
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 本年七月に弊社会長が七十九歳にて永眠、父が八月十二日に、母が一月二十八日に九十五歳で、妻が十月六日に六十三歳で、祖父が本年九月九十四歳にて、母が一月二十三日に九十九歳で、今年二月に実弟が七十歳にて永眠、六月に祖母(享年九十一歳)が、八月二十一日に夫が七十三歳にて……など。

 師走に入り、わが家には心のこもったお歳暮が届く一方で「喪中につき年末年始の御挨拶をご遠慮申し上げます」といった新年の賀状の欠礼はがきが相次いで届いている。亡き人との別れ。誰もが避けては通れない道とはいえ、ことし亡くなられた方々の家族の無念を思う時、ただただ冥福を祈るばかりである。

 なかには大垣時代にことのほか親しくさせて頂いたその方からはこんな葉書が届いた。
――五月に 五十六年間連れ添ってくれました妻をなくしました。皆様方のご恩情をいっぱい頂戴しながらの生涯を七十七歳でとじました。ここに 妻と共に厚く御礼申し上げます 誠に有難うございました どうかこれからも変わらぬご交誼のほど、宜しくお願い申しあげます
 思わず涙が頬を伝った。ありがとう。奥さま。そしてジュンちゃん……。

 私の右腕肘の骨折部位は江南厚生病院でのリハビリ治療の結果、少しずつ良くなってきている。きょうの治療後にメモ書きしたリハビリの模様を以下に記しておかふ。
――療法士の若者の手に支えられ、なんだか私の腕が、手が、宇宙遊泳でもしているみたいである/手を動かす。魔法のような手で動かされているうち時折、手そのものが〈つっかい〉というか。支えでも失いでもするようにガクッと抜ける/ゴツ、ゴツ、ゴツと。不気味な音がする
 かつてはこの利き腕で、得意技だった背負いをはじめ、大内刈りなどをかけ何人もの大男たちを一本勝ちで仕留め、講道館柔道三段を実力で勝ち取り、かつオールミッションでは優秀選手に輝いた、この自慢の右腕は本当に治るのか/元通りになるのだろうか、と/そう思うと、不安が体内を物言わず駆け抜けていく。走り去っていく
 療法士の手がいくら【魔法の手】だと言ったところで、そこには限界があることも確かだ。さあ、どうなるのか
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 「サッちゃん」はネ、の作曲で知られた大中恩(おおなか・めぐみ)さんが3日、菌血症で死去。94歳だった。北海道警木古内署が入管難民法違反(不法残留。旅券不携帯)の疑いで中国人の男女11人を現行犯逮捕。関係者によれば、ほかに中国人の男女46人が行方不明になっているという。
 この世は、いろいろある。起きる。

12月1日
 早いもので、もう師走である。

 富山県氷見市ではこの日、富山湾のブリ漁のシーズン入りを告げる「寒ブリ宣言」が出された。鰤起こし、と言ってこの時期は冬の雷が日本海の空高く轟くことがしばしばだ。かつて能登半島の七尾にいたころ、氷見漁港へは隣町だったのでちょくちょく早朝に車で訪れたものだが、あの日々が懐かしい。
 いよいよ厳しい冬の到来だ。

 東京ではモミジの紅葉が見ごろとなり、皇居・乾通りで恒例のモミジの通り抜けがあった。この乾通りの一般公開、天皇陛下が2013年12月に80歳を迎えられたのを記念して翌年の14年4月に始まった。春は桜の見ごろに実施されている。

 あさ。足元がざわざわするので何ごとか、と思いきや。半分野良の新猫シロちゃんがリビィングの床カーペットで仰向けにひっくり返って喉をゴロゴロさせ、何かにじゃれるようにしているではないか。おまけに首輪までついている(これは舞のしわざだった)。

 首輪をつけられた新猫シロちゃん
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 新猫シロちゃんは、かつて私の著書の記者小説集「懺悔の滴」(人間社刊)の表紙を飾った亡き神猫シロちゃんがシャムの入った猫ちゃんだったのに比べ、舞によれば「日本の雑種の白猫の純粋培養よ」とのこと。それはそうと、人なつっこいこともあり、とうとう首輪までもつけられたものらしい。
 ただ不公平になってはいけない。外では能登と大垣で私たち家族と共に暮らし不意の交通事故で天国に召されたあの〝てまり〟の二代目そっくりの〝ネコパンちゃん〟や、ほかに真っ黒の黒猫の〝タンゴちゃん〟もいるのである。特にネコパンちゃんときたら、中庭から室内に目を注ぎ「不公平はいけないよ。みんなに公平にしてよね」といった顔でいる。

 公平にしてよね、と私を見上げる半野良猫のネコパンちゃん
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 さてさてどうして、いいものか。

 やっぱり、どのこも野良のままにしておく。その方が互いに一番公平でよい気がする。
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 米国とソ連(現在のロシア)が冷戦終結を宣言した1989年12月の地中海マルタ島でのマルタ会談の一方の当事者だった米国第41代大統領のジョージ・H・W・ブッシュ氏。イラクに侵攻されたクウェートを湾岸戦争で解放したあのブッシュ大統領(父の方)が30日、死去。94歳だった。
 第43代大統領で長男のジョージ・W・ブッシュ氏が声明で発表した。1989年といえば日本が平成になった年で、11月には【ベルリンの壁】が崩壊するなど世界が大きく揺れ動いた年でもある。
 J1名古屋が湘南と引き分け、磐田が破れたためJ1残留が決まった。超高精細の4K8K衛星放送が1日、NHKやBS民放四局などで始まった。