新連載・地球一周船旅ストーリー〈海に抱かれて みんなラヴ〉8月9日、幻の10日

 。【写真は、〈原爆許すまじ〉 海をバックに「もう二度と」を合唱する人々と、日本の長崎に向かって黙とうする若者たち=太平洋上で】

 朝、社交ダンス教室が行われている8階前方スターライトへ。
 いったん船室に戻り、8階の後方プールエリアに出向いた。午前10時45分から、この場所で〝PEACE DAY〟開会式を兼ねた~長崎原爆の日・追悼セレモニー~が行われたためである。
 追悼セレモニーは、長崎原爆の被爆者を代表して中村京子さんの「憲法9条を守り、もう二度と戦争をしないでほしい」といった呼びかけ、若者たちによる〈原爆の詩〉の朗読、〈もう二度と〉の合唱の順に続き67年前に原爆が投下され、運命の日となった午前11時2分、オーシャン・ドリーム号の汽笛の合図とともに全員で黙とう、引き続き〝PEACE DAY〟の開会式があった。

 なかでも若者たちがバトンリレーする形で▽原爆▽学徒▽悲しみ▽愛▽晴▽願い、の順で朗読した〈原爆の詩〉は胸に深く食い入るものがあり、最後に〈若者たちよ/君たちは 平和がどんなに尊いか/あなたたちは平和がどんなに幸せかを/もっともっと知ってほしい/そして語りついでほしい……/地球に丸い輪がまわる/まわれまわれまわれ 緑の地球よ/まわれまわれまわれ まわれ/平和の地球よ いつまでもーの下りには私のなかに熱いものが走ったのである。

 この日は、このあとも『地球一周を通して見えてきた世界』をはじめ、『これからお父さん・お母さんになる人へ~知ってほしい放射能のこと~』、『ある少年隊員の告白~731部隊の真実~』『僕が出会った復興者からのメッセージ』、平和や憲法9条などについて語り合う『ピーストーク』、さらに夜に入ってからも〈つなげよう~それぞれのPEACE~〉をテーマに、それぞれの平和を証言やダンス、楽器で表現する試みもあった。

 そして僕は、といえば。午前中の社交ダンスの練習で「もう、きょうはないだろう」とホッとしていたのが運の尽き。その後、練習会場が8階バイーアに移して午後もあることを教えられ、自分1人だけがさぼるわけにも行かず、再び今度はバイーアで〝ルンバ〟のレッスンを再開した。
 どうやら、この地球一周の船旅は美雪の言う通り「ダンスに始まり、ダンスに終わる」ことになりそうだ。まさに〝ダンス、ダンス、ダンス!〟である。

 ところで、きのうも本欄で紹介させていただいたが、きょう(9日)は日付変更線を通過。これにより、まもなく「8月9日24時」を過ぎると日付は「8月11日」となり、8月10日は事実上、消滅する。1日が消えてしまう、だなんて。なんだか寂しい気がする。でも、残念ながら私の力だけでは、なんともしようがない。今こちらは午後11時半(時差20時間で、日本は午後7時半のはず)。消えゆく8月10日が刻々と近づいている。