一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2022年7月~)
2022年7月31日
日曜日。古知野神社の境内清掃で朝早く神社に出向いた。落ち葉やゴミなどを地域の人びとみんなで掃き清め、終わったあとは全員でお払いを受け戻ってきた。舞がいたころには、一緒に出かけたものだが。相棒が傍らにいないとなると、やはり寂しいものである。でも生前の舞が、ことのほかよくして頂いた〝あ~ちゃん〟や〝アルプスの少女〟=私が勝手にそう呼んでいる=ら皆さんにお会い出来て、雑談も交わし、やはり出かけてよかったナ、と思っている。
午前中なのに。帰宅すると、全身が汗でびっしょり。心配そうな顔をして玄関先まで駆け寄ってきたシロちゃんを前に下着をそっくり替えたのである。それにしても、きょうは暑い。ひと息ついたところで新聞を開く。
【愛工大名電 2年連続甲子園】とは、夏の全国高校野球選手権愛知大会が30日、岡崎市の岡崎レッドダイヤモンドスタジアムであり、愛工大名電が7-4で東邦を破り、2年連続14回目の夏の甲子園出場を決めた、とのニュース。【コロナ「2類相当」見直しへ 第7波収束後 感染全数把握 是非も】といった見出しや【平和の俳句 あすから1カ月間 入選作 1面に掲載します】の社告などが目立った(いずれも31日付中日新聞)。ほかに【胎内被曝50人審査中断 「黒い雨」新基準 母「死亡」定めず】【全数把握停止へ オミクロン株 政府、第7波後】(いずれも31日付毎日)の見出しも目にとまった。
午後。イオン扶桑店へ。舞が大好きだったヒマワリ2本、それにミニトマトなどを買って帰った。彼女はヒマワリを育てることも上手で、私たちの畑・エデンの東に身の丈ほどもある立派なヒマワリをチューリップなどと育て、見事に花開かせたことが何度かあり、そのつど私を驚かせた。その気になって探せば、あのころのヒマワリの写真も私のスマホの中にはあるはずである。余裕があるときにでも探してみよう。
(7月30日)
庭に面した窓を開けると、ドんと。わっ、といった具合に蝉たちの声が、一斉にわが耳と視界に飛び込んできた。わが妻たつ江だったら「うわあ~。すごいよね。すごいよ。この蝉時雨。だってえ」と感嘆の声をあげて言うに違いない。でも、たつ江はもはや、この世にはいない。
真夏だ。蝉たち。彼ら彼女たちは、一体全体、いま何を思ってミンミンミン、ミンミンミ~ンと声を限りに鳴いているのだろう。それとも、わざとはしゃいで騒いでいるのか。もしかして。世を儚んで泣いているのか。新型コロナウイルスの感染急拡大に伴うパンデミック(感染爆発)、すなわち日本で突き進むコロナ禍の流行第7波。ほかに炎熱地獄の中での熱中症の多発…。そして。一向に止まない、おろか極まるロシアのウクライナ侵攻と、このままだと、この世は地獄と化しても決して言い過ぎでない。いやいや、既に【地獄の1丁目】にいるのかもしれない。人間社会がこのまま何かの手によって破壊され尽くしたとしても、決して不思議ではない。
そんな折も折、ことしも名古屋が誇る名物麻雀講師きむらとんぺい氏から、お見事の一言に尽きる律儀な暑中お見舞いはがきを頂いた。中身がすばらしいのではがきそのものを、ここに紹介させて頂く。とんぺいさんは、ほんとにほんとに頓知の効くすばらしいお方だ。
とんぺいさんから届いた暑中お見舞いのはがき
こんな、この世の中ではあるが。本日付の中日新聞1面には【小惑星初「りゅうぐう」砂から 太陽系「先祖」の有機物か】といった見出し。先に探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の砂から、太陽系が形成される前にできたとみられる有機物の粒子が岡山大の中村栄三特任教授(物質科学)らの研究チームにより発見されたという内容で、こんご太陽系そのものの起源を解明する手がかりになるという。
ほかにオールスターが終わったプロ野球は、各地でペナントレースの後半戦が始まり、セ・リーグの首位を独走するかに見えたヤクルトは0-6で阪神に敗れ、試合のなかったDeNAの自力優勝の可能性が点灯。ヤクルトの優勝へのマジックナンバーが消えた中、昨日はドラゴンズが9ー0で広島に大勝した。
ほかに気になる記事はといえば、だ。2021年の日本人の平均寿命が、女性が87・57歳、男性が81・47歳となり、前年比で女性は0・14歳、男性は0・09歳縮んだということか。見出しには【平均寿命10年ぶり縮む 21年、厚労省公表 コロナ流行影響か】とあり、「前年を下回るのは東日本大震災があった一一年(2011年)以来で、男女とも十年ぶり。新型コロナウイルスの影響とみられる。」と記述されていた。
(7月29日)
金曜日。午後。一宮スポーツ文化センターへ。社交ダンスのレッスンのためだが、一宮の七夕祭りの期間中でもあり一宮スポーツ文化センターの駐車場は満タンと思いきや、結構空いており、ホッとした。というわけで、きょうは最初にワルツを繰り返し踊ったあと、久しぶりにタンゴを学んだ。全身を動かしながらの足の配り、ステップと体の方向が何度繰り返しても今イチで自身の動きがじれったくなるほどだった。それでも、【ごんたさん。ごんた。がんばって】の声援に励まされ、何度も何度も繰り返すうち、やっとこせ少しはマスター出来、勘どころもつかめた。やれやれだ。
一宮は、28日夜から始まった一宮七夕まつりのさなか。コロナ禍の時代もあってメイン行事である盆踊り大会が昨夜から一宮駅前銀座通りに設けられた特設会場で3年ぶりに復活。先着順1日250人に参加を絞り込んでの盆踊りが行われている(31日まで毎晩、実施)。これとは別に私は社交ダンスのレッスンからの帰り道。浴衣姿のおかあさんに手を引かれ、法被をきて歩く子どもたちの姿になぜか弾むものと哀愁を感じた。そして道行く女性の浴衣姿に、私の妻たつ江が生前、このころになるとは、毎年、お店で開いた七夕祭りなどの際に決まって2、3度は浴衣姿で出ていた姿を思い出した。あのにこやかな、かわいかった笑顔が忘れられない。
(7月28日)
世界保健機関(WHO)が27日、日本の新型コロナウイルスの新規感染者が24日までの1週間で96万9千人超に上り世界最多だった、と発表。日本ではオミクロン株の新たな派生型「BA・5」による第7波の勢いが続いている、としている。また世界全体の感染者は660万人超に及んでおり、国別感染者では米国が約86万人、ドイツが約57万人、イタリア約53万人の順。死者は米国が最多で約2600人、ブラジル約1400人、日本は272人。なかでも世界全体の感染者数は前週より約30万人増でWHOのテドロス事務局長は27日の記者会見で「世界的大流行、パンデミックは終わりには程遠い」と強調しているという。
コロナと言えば、本日付の毎日夕刊に【バイデン氏回復誇示 コロナ検査陰性】の活字。それによれば、バイデン米大統領(79)は27日、新型コロナウイルスの抗原検査で陰性になったのを受けて、21日の陽性判定後に続けていた自主隔離を終了し、大統領執務室での公務を再開。隔離終了直後の演説で「症状は軽く回復も早かった。とても元気だ」と健康をアピールしたという。
夏の甲子園出場をかけた全国高校野球選手権岐阜大会の決勝が28日、岐阜市の長良川球場であり、県岐阜商が7-6で帝京大可児にサヨナラ勝ちし2年連続30回目の夏の甲子園出場を決めた。
地場産業である繊維とまちの発展を願って1956年から毎年開かれ、一昨年は新型コロナで初の中止、昨年はオンラインイベントを中心に開催した愛知県一宮市の「おりもの感謝祭一宮七夕まつり」が28日、市中心部で4日間の日程で開幕した。3年ぶりとなった人を集めての祭りの再開となっただけに、待ち望んだ人々が、約千本の吹き流しの七夕飾りが揺れる本町商店街のアーケード街に繰り出したという。今回も感染対策のため路上での出店は禁止され、恒例のパレードも見送られた。
2022年7月27日
水曜日。けさ未明のここ尾張名古屋上空の稲妻はそれこそ、すさまじいものがあった。三重県志摩半島から愛知に向けて駆け巡ったという積乱雲を思うにつけ、私の頭は、なぜか、たけり狂う空たちに亡き妻たつ江の幻影をみる思いがした。
上空を割れ尽くすまでの大音響と雷鳴、稲妻の光りの数々。延々と続いた恐怖のときが、やっと終息したと感じた私は愛猫シロとともに、大きな息を天に向かって吸い込んだあと、2、3秒の間隔を置いて【たつ江。たつ江。たつえ!】【おかあさん。おかあさん。オカン】と3度、雄叫びにも似た声をあげたのである。雨はやっとやんだ。
案の定、夕刊は【愛知・三重で記録的大雨 未明から浸水や停電相次ぐ】(27日付中日)と報じていた。その内容はといえば、だ。『東海地方は二十六日夜から二十七日朝にかけて、暖かく湿った空気の影響で雷を伴う猛烈な雨に見舞われた。愛知、三重両県では同日未明に激しい雨が降り、気象庁は「記録的短時間大雨情報」を発表。同日午前十時までの二十四時間降水量は、愛知県新城市作手で一八〇・五㍉、三重県南伊勢町で一三〇㍉、浜松市天竜区北部で一一三㍉を記録した』といった具合だった。
でも、この世の中。そんなことは関係ないとでも言いたげに、あくまでも無関心を装いきょうも、このようにトントン、トントン、トトンがトンと動いてゆくのである。一方で、このところの人類にとっての最大の脅威と言っていい新型コロナウイルス感染症の流行「第七波」は夏休みに入っても、一向に勢いが止まらない。きょうも全国で20万9694人と過去最多の感染者を記録。うち東京は2万9036人と1週間前より8000人増、大阪も2万1860人で医療非常事態を宣言。全国25道府県で過去最多を記録するなど異常事態となっている。
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【五輪組織委元理事聴取へ 受託収賄疑い 自宅捜索 東京地検】(中日)【五輪組織委元理事宅捜索 審判団制服で口利きか 東京地検】【橋本元会長「非常に残念」】(毎日)【明治用水復旧最短2年 頭首工漏水 川底に幅5・8㍍空洞】(中日)【加藤死刑囚の刑執行 08年秋葉原無差別殺傷】(毎日)とは、けさの新聞の見出し。さらには英国のボリス・ジョンソン首相(58)の後任を決める与党・保守党党首選にからんでリン・スナク前財務相(42)とエリザベス(リズ)・トラス外相(47)の2人が決選投票に進むに当たっての見出し【財政再建か 減税実行か 英国保守党党首選 中国対応でも違い】が目立つ。ほかにロシアのウクライナ侵攻にからんでの【穀物輸送近く再開 国連副報道官「数日内に出港」】といった記事が気になる。
名古屋市教育委員会は26日、同市立中1年の女子生徒(当時13歳)が昨年3月に自殺した問題で第三者委員会「市いじめ対策検討会議」の調査結果を発表。女子中学生が同級生から無料通信アプリのライン上で人間性を否定するメッセージなどが送られたことを「いじめ」と認定。「死亡のきっかけになった」とした。同時に学校側にも「対応が担任任せで、組織的な対応ができていなかった」などの問題点を指摘した。
(7月26日)
東京・秋葉原で2008年6月、7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で殺人罪などに問われ死刑が確定していた元派遣社員加藤智大(ともひろ)死刑囚(39)=東京拘置所=に対する刑の執行が行われた。古川禎久法相が執行した、と発表。死刑の執行は2021年12月以来で、古川法相が命令、岸田政権では2回目となる。古川法相は記者会見し「7人の尊い命を奪い、社会にも大きな衝撃を与えた。慎重な上にも慎重な検討を加え、執行を命令した」と述べた。執行命令書に署名したのは、今月22日。これにより、確定死刑囚は106人になったという。
そういえば、きょう26日は相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で45人が殺傷された事件からちょうど6年になる。同園ではこの日、県などが主催しての追悼式が行われ、遺族らが亡くなった入所者19人に黙とうを捧げた。ほかに【島田陽子さん死去 69歳 映画「砂の器」】【金城重明さん死去 93歳「集団自決」証言】の記事が痛ましい。
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【サル痘 国内初確認 都内の男性 欧州渡航歴 感染爆発や重症化 危険性低く】とは、本日付中日新聞の見出しだ。それによると、欧米を中心に患者が増加しているウイルス感染症の「サル痘」について厚生労働省は25日、国内で初めて感染者が確認されたと発表。欧州に滞在歴のある東京都の30代男性で都内の医療機関に入院。発熱や発疹、頭痛、倦怠感の症状はあるが状態は安定しているという。
このサル痘については、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が23日、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に相当する」と宣言。WHOとしては最高度の警告を発し、各国当局に感染拡大防止に向けた取り組みの強化を促している。
(7月25日)
全国同人雑誌協会代表理事(五十嵐勉さん、文芸思潮編集長)からの要請もあって、久しぶりに大阪文学学校へと五十嵐さん、前橋文学伝習所・文芸同人誌『クレーン』の和田伸一郎さんと共に出向いた。尾張名古屋から出向いた私の場合、行きの名鉄バス車内はじめ、名鉄犬山線の名古屋行き電車、名古屋で乗車した新幹線新大阪行き、新大阪からの谷町6丁目までの地下鉄と車内の乗客の全員がマスク姿であることは、今に始まった事でもないのだが。一種異様な世界を感じたのである。
そういう私も車内の離れたところでマスクはつけないでいよう、と。そう思ってはいたものの、多くが乗り込んでいる車内で自分だけがそうするわけにも行かず、結局は江南駅-自宅近くバス停間の行き帰りのバス車内だけ、他の乗客と離れた席に座り、マスクを放免させて頂いた。いずれにせよ、へんな世の中になったものだ。壊れかけのレイディオならぬ、壊れた社会で、これでは皆、本来の人間ではなくなってしまっている。あ~あ。何と言うことか、とため息が出てしまう。
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大阪文学学校では、全国各地から寄せられてきた夥しい同人誌の山、山に圧倒されつつ自らも風雪の文学人生を歩んでこられた文校の生き字引き、かつ守護神・番人といっていい小原政幸事務局長(作家)に1954年創立の同校の過去、そして現在とこの先、たとえばウエブ授業の導入などについてもいろいろと伺った。
小原さんの一言ひと言に耳を傾けるうちに「書くこと、すなわちそれぞれの人生を味わい、生きること、文学こそ、それぞれの人生の同伴者なのだ」との思いを強くしたのである。この日は、文学学校でチュータ(講師)も務める美月麻希さん、飯田未和さん(mon代表)の二氏も同席され、文校の歴史と今につき、あれやこれやと伺ったが田辺聖子さん(故人)ら多くの人材を出した大阪文学学校ならでは、のド根性のようなものをひしひしと感じたことも、また事実だ。大阪文学学校については近く発行される文芸思潮に私がその紹介記事を執筆するので、皆さまにはぜひ読んで頂きたく思う。
小原さん(横顔。こちら向き)ならでは、風雪の年月につきわかりやすく丁寧な説明を受けた
帰りは大阪駅でたつ江(舞)が生前、大好きだった奈良・中谷本舗の柿の葉すしを買って帰ったが夜おそく自宅に着いた時には、久しぶりにかなり歩き回ったこともあって、疲労を感じた。これも歳のせいか。でも、舞ならぬシロちゃんが、いつものように走って玄関先まで迎えに出てくれ、嬉しく思った。シロは、もはや完全に家族の一員である。
舞の仏前に供えた柿の葉すし
(7月24日)
この日、24日付朝刊の中日新聞1面見出しは【国内コロナ感染20万人超 4日連続最多 第6波ピークの倍】【松野官房長官が感染し自宅療養 濃厚接触者なし】【歌人・半藤一利心のままに 結社誌などに短歌・長歌186首 「歴史探偵」の視点色濃く】【北口やり投げ銅 世界陸上】というものだった。
なかでも新型コロナウイルス感染者の急拡大に関する記事は留まるところを知れず、次の如く記述されていた。
――国内で二十三日、新たに報告された新型コロナウイルス感染者が二十万九百七十五人となり、一日当たりの過去最多を更新した。最多更新は四日連続。流行「第六派」のピークだった二月三日の約十万四千人からほぼ倍増した。第七波の勢いは止まらず救急外来や一般診療を停止する医療機関も出ている。
新型コロナウイルスによる感染急拡大で力士の休場が相次いだ大相撲名古屋場所の千秋楽が24日、名古屋市中区のドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)で行われ、西前頭2枚目の逸ノ城(29)=本名三浦駿(たかし)、モンゴル出身、湊部屋=が12勝3敗で初優勝した。この日、逸ノ城は東横綱照ノ富士とトップの3敗で並んで千秋楽を迎え、西前頭3枚目の宇良に寄りきりで勝った。照ノ富士が東大関貴景勝との結びの一番で敗れたため、逸ノ城の優勝が決まった。名古屋場所での平幕優勝は、これが6度目。1958年に年6場所制になって以降、6場所のなかでは最も多い。
今場所は新型コロナウイルスの感染拡大後の大相撲本場所としては初めて観客制限を設けずに開かれ、千秋楽は満員となる7696人が入場。一方で、場所中には新型コロナの陽性者が相次いで休場する力士が続出。千秋楽も八角部屋で陽性者が判明。表彰式での賜杯授与は八角理事長(元横綱北勝海)に代わって陸奥事業部長(元大関霧島)が行った。
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日曜日。亡き母の形見分けで名古屋市名東区社台の兄宅へ。
久しぶりに乗車した地下鉄東山線の車内は、ここも乗客の全員がマスク姿で、何か異様なものを感じた。そして。つくづく思ったのは、人間とは実に忠実ないきものだな、ということで、乗客の全てがマスク姿だった。形見分けでは母に私が書いて送り、大切に保存してくれていた最後の手紙や母が亡くなる間際まで手にしていた腕時計、さらには満百歳を超えるからだで作った手づくりの草履、父が生前使用していたネクタイピン、ほかに男用のちょっとカッコいい衣類なども手にして帰ったのである。
嬉しいというか。胸にジ~ンときたのは、何よりも、母が死ぬ間際にありながら、私が送った手紙を大切に保存していてくれたことか。そればかりか、いつの間に手にしたのか。舞の元気なころの写真、さらには私の著作【ピース・イズ・ラブ 君がいるから(人間社刊)】を赤い布に入れ、大切に保存してくれており、なんだかこみ上げる思いにかられたのである。
午後8時5分ごろ、鹿児島県の桜島で爆発的噴火が発生。大きな噴石が火口から2・5㌔まで飛散。気象庁は噴火警戒レベルを3の「入山規制」から、最高レベルの「避難」に引き上げた。桜島に噴火警戒レベル5を適用したのは今回が初。同夜現在、大きな被害は起きてはいない。桜島では過去、1914年の大正噴火で多数の死者を出している。今回のように大きな噴石が2㌔を超え飛散したのは、2020年6月4日いらいだという。
(7月23日)
夜。NHK総合で、たつ江が好きだった番組ブラタモリを見る。たまたま、きょうは【輪島へ 優美な漆器の町の秘密▽強さ生む謎物質の山▽人間国宝スゴ技拝見 タモリ職人の館を訪問】といった内容で、輪島塗の人間国宝はじめ、かつてふたりで訪れた総持寺のほか、輪島塗の存在を全国各地に広めた北前船の紹介などもあり、懐かしく思った。出来たら、門前の鳴き砂の浜の紹介もあれば言うことなし、だったかもしれない。
きょうは1年でイッチバーン暑い大暑。土用の丑である。昨年は確か、妻たつ江と一緒に馴染の料理店「魚仙」さんに注文しておいたうな丼を受け取りに出向いたが、まさか一年後に彼女がこの世から消えてしまうだなんて。思ってもおらず、主なしの土用の丑だなんて。とても信じられない。それだけに、今宵は息子と私、シロちゃんの3人で膳を囲んだのである。
魚仙さんの特上のうな丼は舞と一緒に
新型コロナウイルス第7波の感染者が23日、全国で20万975人となり、これまでで最も多かった22日の19万5000人余を上回り、4日連続で過去最多に。全国17の道府県で最多に。感染による死者も72人に及んだという。これでは感染急拡大どころか、感染爆発といってもよい深刻な事態となっている。埼玉県下のある病院では早朝から病院入り口に約100人の患者が殺到したそうだ。
そういえば、きょう23日は長崎大水害の発生から40年になる。当時、名古屋空港を受け持ち、社会部の空飛ぶ記者として全国各地の災害や事件発生現場にそのつど飛んでいた私はあの日、長崎へ。取材機は降りしきる雨のなか、長崎空港に強行着陸。空港からは道行く大型トラックの前に立ちはだかったうえやっとの思いで、うち一台のトラック荷台に乗せてもらって長崎入り。【眼鏡橋は泣いていた】と現地リポートしたあの日がついきのうのようでもある。
忘れられないのは、西日本新聞の長崎総局を基地に長崎市内をカメラマンとともに歩き回って【長崎市民救った長崎放送】の記事を書いて紙面化。これが大きな反響を呼んだことである。あの日、たつ江は取材に飛び立つ私に「あまり無理しないでよね」と言って送り出してくれた。彼女のあの時の顔は今でもヨオーク覚えている。あらためて「ありがとう」と礼を言いたい。
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安倍元首相の「国葬」を正式決定。法的な根拠はなく、弔意押し付けも起こりかねない。疑問や懸念が尽きない。 ◇やはり、国会での説明が不可欠だ。要人警護のあり方、旧統一教会と政治の関わりなど、議論すべきこともある。 ◇連日、最多更新の新規感染者。その中で政府は社会・経済活動を重視。休日の人出を見ながら、心配になる。……
とは、本日付の毎日新聞夕刊【近事辺々】氏。まったくもって、このところの社会はオンボロロというか、全身傷ついた鳥のようでもある。
(7月22日)
新型コロナウイルスの第7波の感染急拡大が尋常でない。これでは非日常どころか、破壊されたに等しい社会だと言っていい。バンテリンドームナゴヤできょうから予定されていた中日×巨人3連戦の延期が決まった。
「プロ野球12球団は21日、臨時実行委員会をオンラインで開き、22日からの中日-巨人3連戦(バンテンドリームナゴヤ)の延期を決めた。前日(20日)の段階で巨人に新型コロナウイルスの集団感染が起き、すでに開催が危ぶまれていたが、この日の判明者も含め、選手41人(うち支配下34人)が陽性となり、チーム編成が困難と判断した。中日は4月8~10日の対DeNA3連戦(横浜)に続く新型コロナ起因の中止となった。」とは、22日付中日スポーツ1面の総合リード(前文)である。
そしてその1面の見出しには【巨人コロナ拡大…41選手陽性 竜3連戦 きょうからのバンテリンD 延期】【選手がコーチが次々…収束を最優先 編成が困難に 1日だけでは 29日を目指す ◆巨人、新たに10人陽性】【G山口オーナー「球宴は必ず開催」】といった活字が躍っている。
コロナの感染急拡大はプロ野球に限らず、名古屋のドルフィンズアリーナで開かれている大相撲名古屋場所も同じで、日本相撲協会は22日、芝田山、片男波、伊勢ノ海、追手風の4部屋で新たな感染者が出て所属力士の休場を発表。全力士の3割近く計172人が感染に伴う休場という事態になっている。
こんななか、明るい話題はといえば、だ。6場所出場停止処分から復帰した元大関朝乃山(28)=高砂=が三段目で大青山を寄り切りで破り、七戦全勝で優勝を決めたことか。
朝乃山の三段目優勝を告げた中日スポーツ
北の富士親方の辛口評は、なかなか好評である
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午後、社交ダンスのルンバのレッスンを終え、さあ帰ろうとしたところにピコピコピコと、スマホの電子音。歯科医院からの留守電なので折り返すと、「歯科衛生士がコロナに感染してしまいましたので、診察予定日を変更させてほしい」との電話。「ええ、よいですよ」と私。それにしても、どこもかしこもコロナ、コロナ、またコロナの世である。あ~あ、と。思わず、ため息が出てしまう。
(7月21日)
新型コロナウイルスの感染者が20日、全国で新たに15万2536人確認され、1日当たりの新規感染者数としては今月16日の11万660人を超えて過去最高に。大阪府で初めて2万人を超えるなど30府県で過去最多を更新した。新規感染者が最多となったのは、青森、宮城、秋田、岐阜、愛知、大阪、兵庫、島根、福岡、長崎、熊本、鹿児島、沖縄など。このうち愛知県は新たに13628人が新型コロナウイルスに感染した、と発表。1日当たりの新規感染者が1万人を超えたのは初めてで、これまでで最も多かった今月16日の7269人を大幅に上回り、過去最多を更新。大村秀章知事は「驚異的な数値で、衝撃的な感染者増だ」と述べたという。
第百六十七回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が20日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は高瀬隼子さん(34)の「おいしいごはんが食べられますように」(「群像」一月号)に、直木賞は窪美澄さん(56)の「夜に星を放つ」(文芸春秋)に決まった。おふたりの今後の栄進に期待したい。
(7月20日)
先日、満百一歳の生涯を閉じた母の遺言書を確認しに名古屋家庭裁判所からの検認通知書に従って、きょうの午後、家裁に出向き、裁判官立ち合いのもとで3通の遺言書を兄と妹、そして私の3人で見た。懐かしい母の筆先に、この遺言書を母はどんな気持ちで書いたのだろう。そう思うと、胸にじんと迫るものがあった。母のことだ。3人のわが子の顔を思い浮かべ公平に、と大きく息を吸って書いたに違いない。
久しぶりに出た名古屋の街。帰りは途中、織田信長の父である信秀ゆかりの那古野神社に寄ってお参りし、街中を堀川経由で歩いて名古屋駅へ。ここで名鉄犬山線に乗って帰った。毎度のことながら乗客の全員がマスクをしている光景には、どこか異様な社会を思う。この世、いや、この社会は確実にある面で、もはや崩壊している。私ひとりだけでもマスクを取ろうとしたところで、この社会は認めてくれないかもしれないナ、と。そんなことを思いながら江南の自宅に帰った。
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この日の朝刊は【羽生引退 プロ転向結弦らしく挑戦し続ける けがと闘い大技 北京五輪後に決心】【首相「懸案解決へ尽力を」 元徴用工問題 韓国外相と会談】(中日新聞20日付)といったところか。夕刊は【米球宴 大谷初安打で幕開け 一番DH(指名打者)初球打ち】【安倍元首相国葬9月27日 政府調整 全額国費 日本武道館で】【組織委元理事に数千万円か 東京五輪 スポンサーAOKIから 東京地検特捜部が捜査】(同)。大リーガー、大谷が世の中を明るくしてくれている。
2022年7月19日
火曜日。午後零時40分。豪雨である。つい先ほど零時26分に、ここ江南市と津島市に大雨注意報が出された、とラジオのニュースが言っている。スマホを開くと「九州で線状降水帯が発生し災害危険度が高まる恐れ 東日本にかけても警戒が必要」とある。
きょうは、朝から雨、雨、雨の日で、さすがのシロちゃんも椅子の上にからだを横たえたままだ。自然ばかりは、どうしようもないねーといった表情でつぶらな瞳でジッと私をみつめる。
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日本国内の新型コロナウイルス感染者は十八日午前十時現在、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」乗船者を含めた累計で千三十三万五千二百六十三人となった。一週間の新規感染者は前週の二・〇四倍となる六十二万四千九百四十六人。十六日には一日当たりの感染者数が十一万人を超え、年明けからの「第六波」を上回り過去最多を更新した。死者の累計は三万一千六百十五人。一週間で百七十人増えた。ーとは中日新聞の19日付【週62万人感染 前週の倍】の見出し付きの紙面である。新型コロナウイルスの感染急拡大は一向に治まりそうにない。
不景気な話は、いったんやめて。新聞報道によれば、名古屋市中村区の名古屋四季劇場で18日、ミュージカル「キャッツ」が開幕した。名古屋での上演は二十一年ぶり(19日付中日通風筒)とのことだが、そういえば21年前には、確かたつ江が「見に行きたい。一緒に行こうよ」というので観劇に訪れたが、あの日のことが鮮やかによみがえった。
新聞はほかに、参院選の演説中に安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件に関連し殺人容疑で送検された山上徹也容疑者(41)が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みなどを記した手紙を島根県のフリージャーナリストに送っていた事実が判明したことや元横綱2代目若乃花氏死去(16日に肺がんで死去。69歳だった。現役時代は優勝4度で、引退後は間垣部屋を興し、横綱照ノ富士の入門当時の師匠だった)のニュース、さらには【「遺志つなぎ、アニメ作り続ける」 京アニ放火殺人3年】(19日付中日朝刊)などを報じている。
(7月18日)
月曜日。海の日だ。かつてなら、七尾港まつりに併せ新聞社の主催事業として能登半島七尾市の小丸山公園などを会場に行われていた〝ちびっこ広場〟の開設はじめ、七尾港府中波止場での国際テント村の支局あげての取材、ほかに私の提言で実現した七尾青年会議所と中日新聞社共催による【海の詩(うた)大賞】の国内外への公募事業とこれに伴う審査、取材などで当時つわものぞろいだった支局員らとともに大忙しだった。なかでも第一回の大賞【海はなぜ広いの(本藤理恵さん作詞)】には特別の思い入れがあり、つい最近まで愛車にカセット(この歌は大賞決定後に門前町役場の門前バイストリートバンドによりレコード化された経緯がある。酒井郷夫さん作曲)を常備して妻と一緒に何度も何度も聞いたものである。
令和四年七月十八日。あの日々から早や30数年がたつ。ちまたで言う三連休最後の日となった、この日。名駅近くの「ウインクあいち」へ。私は、ここの5階小ホールであった社交ダンスの発表会【ラララ☆発表会】に出場、ミックスワルツに他の仲間も含め計5組で参加した。いつもレッスンして頂いている先生の〝若さん〟と共にワルツを踊ったのである。おどったといっても危ういもので、危機に陥るつど先生の巧みな手綱さばき? いや華麗なる演技とステップ、とっさの瞬間的な判断に支えられ、なんとか終えることが出来た。
それにしても、参加者は大半がマスクをしての演技で異様といってもいい雰囲気のなか、発表会は関係者の努力もあってEiちゃんグループのルンバを皮切りにワルツデュエット、ミックスルンバ、スローフォックストロット、ミックスワルツ、タンゴデュエット、パソドプレ……とプログラムどおりに進行。途中、音響の担当者がコロナ感染で出られず急きょピンチヒッターに替わったこともあり、流れるはずの音楽がしばらく途絶えてしまうハプニングにまで襲われたが、何とか修復し、発表会は続行された。
そういえば、私たちのグループも熱心な仲間のひとりが発表会の直前にコロナの家庭内全員感染に襲われ、泣く泣く出演をあきらめざるをえない事態に発展。こうした経緯があるだけに、より意義深い、コロナ禍での貴重な催しになったのである。【ラララダンス発表会】の<ラ・ラ・ラ>は「ラッキー・ラブリィー・ライク」フェスティバルの意味だ、とのことだった。
--というわけで、この日は誰もが久しぶりの発表会に臨んだが、私の目をひきつけたのは90歳前後という高齢をものともせず、見事な演技を踊りきった出演者のあの見事なダンスだった。ヨシッ、私もがんばらなければ、と思ったのは言うまでもない。踊るときには、舞といっしょに踊る気持ちになってステップを踏み続けたが、やはり先生のうまさにはイマイチついていけなかった。でも、まぁっ。いいか。私の今現在の力は、こんなものなのである。さらなる向上をめざし、いつの日にか舞を驚かせてやろう。
コロナ禍にもかかわらず、楽しくなごやかに進んだ社交ダンスの発表会(ウインクあいち5階ホールにて)
高齢女性も若々しく。歳を感じさせないステキなひとときが過ぎていった
(7月17日)
日曜日。昼過ぎ、和田の実家へ。兄から「亡くなったおふくろ伊神千代子のピアノを調律してもらうので和田へいく。よかったら、たかのぶ。おまえも来たらいい。無理せんでもいいが」との電話が入ったため、おふくろが使っていたピアノをぜひ、この目でもう一度しかと、見ておきたい」と足を運んだ。
ところが、である。実家に着くと、ピアノは調律中のためもあって解体され、バラバラでさながら骸骨みたい。見た瞬間、後じさりした。おふくろがこよなく愛したピアノの写真のひとつでも撮っておこう、と思って来たのだが。これでは、と思いつつも「いやいや、これもまた骸骨ピアノで味があって良いのではないか」と自らに言い聞かせ、パシャリ、パシャリとスマホのシャッターを切ったのである。
考えように寄ったら、こんなシャッターチャンスにめぐり逢うことなんて、めったにないだろう、と。そう自らに言い聞かせて、だ。この地方では、いや日本でも、ちょっと知られた音楽療法士の先駆者としても知られる妙子姉さん(義理の姉。兄の妻)によれば、このピアノは母の遺言に従ってしっかり調律したうえで、晩年の母がお世話になった愛知県日進市内の老人保健施設「愛泉館」に寄贈するのだ、という。母は亡くなる前、この施設では最高齢の満101歳、あと少しで満102歳になる直前で、施設ではピアノを弾くこともしばしばだったというだけにこれまた、いい話。お袋ならではではないか、と。そう思ったのである。
なるほど、そういうことだったのか。施設の皆さんも喜んでくださるだろう。
解体調律中の母がこよなく愛したピアノ
そして。きょうは今一つ。思わぬ嬉しい出来事にも恵まれた。
というのは、ピアノが置かれていた部屋には、私も含めてこれまで伊神家の人々が大切にしてきた本なども置かれていたが、その書庫の一角で思いがけず、亡き私の妻、舞がかつて所属していた1行詩のグループ「颱」編集による【1行詩 颱 第4集】を発見。そこに舞の作品54編が掲載されており、そんな思ってもいなかった運の良さにも恵まれた。そういえば、一時期、舞は俳句や短歌と同時進行で1行詩にもこだわり熱心に作詞に打ち込んでいた時代があり、作品紹介とともにあった『いがみ・まいこ 本名たつ江 1990年5月より「颱」に参加 岐阜県大垣市藤江町』の記述には思わず、涙がホロリと出たのである。
1行詩「颱」第4集
舞の作品の一部
2022年7月16日
土曜日。朝。わが家の庭の一角にある猫塚の花をシロちゃんの先導のもと、新しく替える。紅白の花を供えようとした際、変身したおかあさんなのだろうか。大きな美しいカマキリが目の前にドッと姿を現したのには驚いた。カマキリはすぐに草むらの中に消えていった。お墓の前に花を供え、ホッとして執筆を始め、しばらくすると雨粒が軒を叩き始めた。
シロは、またしても外に出たままだ。「しまった」と窓辺に出て「シロよ。シロ、シロ」と呼んでも彼女は出てこない。雨が小降りになるのを待つほかあるまい。シロは、その後、雨が治まり止んだところで帰宅とあいなった。やれやれ、である。おまえが居なくなると、寿命が縮む。
先代のシロとこすも・ここの猫塚には新しい花が供えられた
亡き猫たちを励ますようにことしも花を咲かせた朝顔くんたち
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16日付の各紙は【患者増 第6波より「急峻」 藤田医大 教訓生かし入院体制整備 BA・5感染力1・3倍 換気必要】【安倍氏銃撃1週間 容疑者母 献金1億円 伯父証言 死亡保険金など原資】(中日)【<ウクライナ侵攻>チェルノブイリ原発露軍占拠 職員「このままでは福島のように」 「安全」巡り応酬8時間】【容疑者17年前に自殺未遂 母多額献金で一家困窮し 元首相銃撃】【中国GDP急減速0・4%増 4~6月期 ゼロコロナで停滞】(毎日)…と、どこもコロナ、安倍氏の銃撃死を中心とした紙面展開である。
コロナの感染急拡大と安倍元首相銃撃死の記事で埋まった16日付中日新聞朝刊
なかでも毎日の【余録】に国葬についての適切な記述があった。部分的に以下、紹介しておこう。
戦後初の「国葬」となった吉田茂元首相の葬儀は皇族を含む6500人が参列して東京・日本武道館で営まれた。1967年10月31日のことだ。献花を待つ人波は約1㌔離れた毎日新聞社前まで続き、夜までに3万5000人を超えたと小紙は伝えている(中略)▲岸田文雄首相はそれを55年ぶりに復活させる。参院選中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相の葬儀を今秋に国葬で実施すると発表した。長く国政を担ったのは事実だ。凶弾に倒れ、突然の死を迎えた無念は察するにあまりある▲それでも政権の功罪が検証されていない今、首相の一存で内閣・自民党合同葬の慣例を覆し、国葬ありきで進むことには違和感がある。弔意は一人一人の自由意思で示されるのが、本来の姿のはずだ▲国民の意思を探る丁寧な進め方があっていい。例えば、国葬実施の国会決議を採択したり国葬の基準を政府見解で明確にしたりすることは、一つの方法だろう。
そのとおりである。安倍元政権の功罪に限って言わせてもらえば、森本学園、加計学園、花見の宴の政治の失態ともいえる所業を認めざるをえない。この点で国葬が適切かどうか、となると私は首を振らざるを得ない。むしろ中曽根元首相の方が謹厳実直で国民のために働いた方ではなかろうか。私心がないのが良かった。
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(7月15日)
金曜日。舞(たつ江)の祥月命日だ。朝。出たがるシロを外にだし、三十分ほどしたところで地面をたたき割るような、猛烈な雨が降り出し、窓を開け「シロよ。シロシロ」と呼ぶが、どこにいるのか分からない。まもなくして雨が小降りになったところでニャンニャア~ンと窓辺に駆け寄る姿があったので窓を開け室内に。縁の下かどこか、隠れ家にいて、小ぶりになったところで出てきたのだろう。ずぶ濡れにはなっていなかった。やれやれ、だ。シロちゃん。おかえりなさい。大変だったね。おかあさんに会いに行っていたのだよね。
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それにしても、舞がいなくなってからの世の中の変わりようときたら、大変なものだ。ロシアのウクライナへの軍事侵攻はじめ、新型コロナウイルス・オミクロン株による新たな感染拡大、瀬戸内寂聴さん、石原慎太郎さんの逝去、能登半島突端の珠洲市などで多発する地震(私たちが七尾に居た三十数年前にも大きな地震があり、七尾から珠洲の現場に駆け付け、取材基地を設けて一週間ほど現地取材の人頭指揮を取ったことがある)、そして最近では奈良での元首相安倍晋三さんの銃撃死。何よりも私たちの母の満101歳での旅立ち…といろいろ起きたが、舞はその全てを知らない。いや、彼女のことだ。もしかしたら、全部知っているのかもしれない。
わずか九カ月の間に、この地上の顔は、ほかに円安、燃料高騰に諸物価高、穀物などの食料不足……と、依然として続くコロナ禍以外には何もかもが変わってしまい、たつ江(伊神舞子)が生きていたら驚くに違いない。と同時に、なんだか、この世を憂えた彼女が、これらの全てを起こしたのではないか、と。そんな気もするのだ。
さて。コロナ禍だが。このところは、ここ日本で新型コロナウイルスの感染急拡大が日に日に目立ち、とうとう第7波に突入。感染者の急増が各地で続き、14日に国内で報告された感染者数は9万7000人余となり、累計で1000万人を突破。感染が広がりやすいオミクロン株の派生型「BA・5」への置き換わりが進んでいるのが一因だという。今のところ、重症者、死者数は低い水準にあるが、病床使用率は上昇傾向にある。
そして。第7波の急拡大を受け政府は14日、ワクチンの4回目接種の対象を全ての医療従事者や高齢者施設の職員に広げるなどの対策も明らかにした。岸田首相はこの日の記者会見で「現時点では行動制限は求めず、社会経済活動と感染拡大防止の両立をめざす」とも語った。
ほかに、けさの新聞報道は【「原発 今冬9基稼働」指示 物価高 月内に予備費支出 首相会見】【双葉町避難指示 来月に一部解除 帰還困難区域11年5カ月ぶり】【円急落一時139円台 24年ぶり水準 米1%利上げ観測で】【ウクライナ穀物輸出 黒海航路確保で合意 ロシア・国連など4者協議】【安倍元首相 秋に「国葬」 首相経験者吉田茂氏以来】【安倍氏国葬 全額国費に賛否 通例は内閣、自民の合同葬 対象者を明文化した法令なく】【勇壮 熱気久々 那智大社】といったところか。
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(7月14日)
フランス建国記念日。
東京地裁は13日、東電福島第一原発事故を巡り、旧経営陣が津波対策を怠ったことで東電に巨額な損害が生じたとして株主が勝俣恒久元会長(82)ら5人に会社への22兆円の損害賠償を求めた株主代表訴訟の判決で勝俣元会長ら4人に計13兆3210億円の支払いを命じた。でも、五氏はこれほどの大金をどうして支払うのか。私にはその点が良く分からない。こんなに高くては払えないのではないのか。裁判官はそこまで考えて賠償命令を出したのか。
この日は長野地裁松本支部が死者58人、行方不明者5人を出した2014年9月の御嶽山(長野、岐阜県)噴火火災で気象庁が噴火警戒レベルを引き上げるのを怠ったとして遺族ら32人が国と長野県に3億7600万円の損害賠償を求めた訴訟で「気象庁が警戒レベルを据え置いた判断は合理性に欠け違法だ」と指摘したうえで原告の請求を棄却した。山城司裁判長は「15~20分程度の検討に基づき結論を出したのは、注意義務を尽くしたとはいえない」と非難。一方で、その時点からレベル引き上げなどの対応をしても自治体による立ち入り規制などが間に合ったとはいえず、気象庁職員の違法行為と被害者の死傷に因果関係があるとはいえない」として請求を退けた。
――ほかに【感染9万人超 最多迫る 無料検査駅や空港に設置へ】【幼稚園連合前会長ら逮捕 6.8億円不明 700万円着服疑い】【銃撃現場90㍍先 弾丸? 複数発見「コロナで安倍元首相標的」】【沖縄知事選に下地氏出馬表明】など。テレビ、ラジオはきょうも多くのニュースを伝えている。この世は、いろいろある。
こんな中で気になるのは、このところ目立っている新型コロナウイルスの感染急拡大である。感染拡大はこの地方も例外ではなく、中日新聞では「愛知県は十三日、新たに六千三百六十四人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。一週間前の二倍超で、新規感染者数が前週の同じ曜日を上回ったのは二十三日連続。名古屋市は二千五百六十一人。豊橋市は一人の死亡を公表。累計の死者は二千百七人となった」「三重県は十三日、新たに千六十八人が感染したと発表した。千十三人が感染した二月三日以来、百六十日ぶりに過去最多を更新した」などと報道している。
(7月13日)
未明。ベランダに立ち、大空を仰いで過去なんども妻と一緒に眺めたスーパームーンを見る。今宵の月は美しい。なんて清らかなのだろう。たつ江。元気でいますか。
私は漆黒の大空を見上げ、微かな風を頬に受けながら「しあわせでいるか」と言葉を重ねた。実際、昨夜からきょうにかけての月は伊神舞子が宇宙という画面から笑顔で飛び出してきそうな、そんな気がするほど美しかった。
1人での月見となったスーパームーン
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7月13日。この日はフランス革命(1789年7月14日)の前日である。生前はマルサの男で四日市、千種両税務署長や名古屋国税局監察官室長も務め後年、勲四等にも輝いた今は亡き私の父の誕生日である。その父をはじめ、母そして私の妻たつ江の3人ともが、もはや彼岸、黄泉の国の人となった。これを運命、定めというのか。ああ~、と思わず嘆息、ため息が出る。
でも、たつ江が愛した俳句猫、「シロよ。シロ、シロ、シロちゃん」のシロは涙を乗り超えて健在である。けさも、朝からどこかに出かけたままだった(しばらく出かけたまま帰宅しなかったので心配したが。午後2時過ぎ、無事帰った)。
実際、このところ私の身の周りは悲しさばかりだ。こうしたなか、けさは不燃ゴミ出しの指定収集場所での当番日であり、午前7時から30分間、指定の場所に立った。たつ江の生前は、当番日が来るつど彼女が立ってくれ時折、私が代わって出ることもあったのだが。けさのように立っていると、なぜか元気なころの彼女の姿が思い出されてくる。
おかげで、たつ江がよくして頂いた<ア~ちゃん>はじめ、その姿から私が勝手に名付けた<アルプスの少女>の吉川夫人、さらにはお隣の大槻さん、3班の吉田さんらとも作業の進め方などを教えて頂きながらの雑談も出来、「地域社会の連携とはこうしたところから生まれるのだな」と、つくづくひとり合点したのである。おかげで生前のたつ江は、この町の人々に温かくして頂いた、そんな現実が実感として思い出され、ア~ちゃんに突然「がんばってね」などと言われた時には、またしても涙が私の全身を流れたのである。「なんて、弱っちいの。相も変わらず、あなたは弱っちい人よね」とまたまた、たつ江に言われそうである。
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朝刊の見出しは【第7波 12県で最多更新 国内感染7万人超す 愛知6000人超6波ピークに迫る 重症者は現状少なめ】【麦畑の陽に意味なき死和を求む ヘルマン・ファンロンバイ EU初代大統領ウクライナに寄り添う 続く侵略平和への渇き 本紙に俳句寄せる】【別れ惜しむ人波 安倍元首相葬儀】【「岡山とは別の銃持参」 安倍元首相銃撃 散弾 高い殺傷力 火薬も自作か】【埼玉豪雨、土砂崩れや越水】【東海も大雨、ダイヤ乱れる】(いずれも13日付中日)といったところか。このところは、コロナの感染者が全国的に確実に増えている。困ったものだ。
(7月12日)
午後5時前。スマホがピコピコ鳴るので何事かと手にして画面を見ると、【Yahoo! 東京都で1万1511人の感染確認 1万人超えは約4カ月ぶり】の表示。中日新聞夕刊を開くと【愛知 感染6000人超見通し 午後発表 最多の2月半ば水準】の見出し。困ったものである。夕刊は、ほかに【安倍元首相葬儀 献花の列】【インドの人口来年中国超え 国連報告 世界平均寿命 コロナで低下】と並んで【欧州最大原発を基地化 ロシア軍、反攻防ぐ狙い】といった記事まで見受けられた。この記事はウクライナ南部にある欧州最大級のザボロジエ原発を占領中のロシア軍が軍事基地化していることが分かり、この事実を米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版が伝えたというもので、原発を基地化することでウクライナ側の反攻を困難にする狙いがあるとみられる、としている。
安倍晋三元首相が銃弾に倒れ命を落としたなか、新型コロナウイルスによるコロナ禍は第7波に突入した。岸田文雄首相(自民党総裁)は11日、参院選での大勝を受け党本部で会見。憲法改正の国会発議に関して改憲に向けた「民意」が示されたと語り、党総裁として国会での議論を主導する決意を示し同時にウクライナ情勢など「有事」を強調。党内が一致団結し対応に当たるとした。また首相は内閣改造、党役員人事の調整も本格化させたい、としている。
安倍元首相が奈良市内で参院選の街頭演説中に手製銃で銃撃され死亡した事件。奈良県警のその後の調べによれば、犯人の元海上自衛隊員、無職山上徹也容疑者(41)は、恨みを抱いた宗教団体=世界平和統一家庭連合(旧統一教会)=について「海外から日本に招き入れたのが岸信介元首相。だから安倍氏を殺した」と話しているという。同県警では「犯人はインターネット上などの不確実な情報を信じ込み、岸氏への反感を孫の安倍元首相に向けた」とみて、さらに調べを進めるという。この日(11日夜)は東京・芝の増上寺で安倍晋三元首相の通夜が営まれた。喪主は妻昭恵さんで岸田首相はじめ、エマニュエル駐日大使ら大勢が参列。その数は2000人以上に及んだという。また政府は11日の持ち回り閣議で8日に死去した安倍晋三元首相を従一位に叙するとともに最高位の勲章である大勲位菊花章頸飾を贈ることを決め、併せて大勲位菊花大綬章の授与も決定。戦後、大勲位菊花章頸飾を受章するのは首相経験者の吉田茂、佐藤栄作、中曽根康弘氏に続いて四人目になるという(いずれも死後の叙勲)
松野博一官房長官は授与の理由について「多年にわたる経歴・功績に鑑みたもので、首相として日米関係を基軸とした外交や経済、安全保障政策に力を尽くした功績、多年にわたる国会議員としての功績などが挙げられる」と述べている。
朝。スマホをチェックしていたら。【7月10日 華房小真「東海道どどいつを聴く会」 どどいつで旅する東海道五拾三次出版記念会】なる記述が目に飛び込んだ。どどいつ、といえばかつて現役の記者時代に読者から寄せられた<どどいつ>を、<どどいつ短冊>として夕刊で長期連載したことがある。それだけに、なぜか懐かしさにかられ【どうした拍子か あなたというひと 憎うて憎うてたまらないほど好きなのよ】とエールを送る。今の世には、こうした心身ともにあったかいものがほしい。
(7月11日)
第26回参院選が10日、投開票され、自民党は改選55議席を上回り、単独で改選過半数(63議席)を確保し大勝。公明党を含む与党で75議席以上に達した。このうち改選1人区は自民が28勝4敗と野党を圧倒。改憲に前向きな改憲勢力は国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持。一方、改選23議席の立憲民主党は20を割り、後退。日本維新の会は改選6議席を10台に乗せ、共産党と国民民主党は議席を減らした。れいわ新選組と社民党、諸派の参政党は辛うじて議席を得た。投票率は、選挙区で52・05%、比例代表で52・04%で過去2番目に低かった前回2019年参院選の48・80%を上回った。
東海3県では6議席のうち与党が4議席、野党が2議席を獲得。17人が乱立した愛知選挙区(改選数4)は、藤川政人氏(自民現)と斎藤嘉隆氏(立民現)が三選。里見隆治氏(公明現)と伊藤孝恵氏(国民現)が再選。旧民主系の二人が維新の初議席獲得を狙った広沢一郎氏(維新新)を振り切った。岐阜選挙区(改選数1)は渡辺猛之氏(自民現)が、丹野みどり氏(国民新)ら4人を退けて三選。立民現職が引退する三重選挙区(改選数1)は、山本佐知子氏(自民新)が事実上の野党統一候補の芳野正英氏(無所属新)ら新人3人を破って初当選した。
自民大勝を報じた11日付の朝夕刊
確定議席数
午後4時から「脱原発社会をめざす文学者の会」のオンラインによる幹事会に出席。久しぶりに見る顔と顔には、どこかホッとしたものを感じた。その幹事会では、こんごの「文学者の会」の新体制、そして文学賞に特化した会そのものの方向づけなどについて熱心な討議が重ねられたのである。いずれにせよ、みなさんの元気な表情に接し、うれしく感じた。
本日11日付夕刊は【大勝与党76議席 維新倍増12立民17 参院選全議席確定】といった1面トップ見出しの傍らに【「岸元首相が宗教団体招いた」 安倍氏銃撃 容疑者供述】(いずれも中日)の記事。それによれば、安倍晋三元首相を銃撃、死亡させた元海上自衛隊員で無職山上徹也容疑者(41)が調べに対し、恨みを抱いていたとされる特定の宗教団体について「(海外から日本に)招き入れたのが岸信介元首相。だから安倍氏を殺した」と話していることが分かったとしている。奈良県警では容疑者がインターネット上などの不確実な情報を信じ込み、岸元首相への反感を孫の安倍氏に向けた、とみてさらに厳しく調べているが「容疑者は自分で作った銃を(事件前日の)7日未明に宗教団体の関連施設で試し撃ちした」とも話しているという。
安倍元首相の突然の死。命の重みは、誰とて同じである。悲劇を機にみんなで考えてみたい。病気に地震、風水害などの災害、事故…。そして愚かなる戦争。民主主義への挑戦と言ってもいい暗殺、テロなど。人の死にも、いろいろある。これを機に一度しか、いや、ひとつしかないこの世に住む一人ひとりの命の重み、大切さを考えてみたい。この世に生きるものは皆、運命共同体のなかにいる。ましてや戦争など。もってのほかだ。【命短かし。恋せよ乙女】。この心を永遠に持ち続けたい。
2022年7月10日
♩郡上のなあ~、八幡出ていくときは……
亡き妻たつ江(伊神舞子)が大好きだった郡上おどり(国重要無形民俗文化財)が9日夜、岐阜県郡上市八幡町で3年ぶりに開幕、目抜き通りに流れるおはやしが夏の訪れを告げている。過去2年は新型コロナウイルスの感染対策もあってオンラインで開催。この夏は当初予定した31夜を17夜に絞り込み、9月3日まで踊る。徹夜おどりは8月13~16日までの4夜。
3年ぶりの郡上おどりを報じた10日付中日新聞朝刊
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日曜日。きょうも朝から雨が降っている。
新聞には【参院選きょう投開票 「暴力に屈しない」東海でも最後の訴え 物価高、改憲あなたの選択は】【安倍元首相銃撃 事件前日岡山で犯行計画か 容疑者「演説に足運んだ」 「母が宗教に多額寄付 恨み】【警備体制身内も批判 安倍元首相銃撃事件 接近静止せず/かばう姿なし】【奈良県警本部長「問題否定できず」】(10日付、中日朝刊)【容疑者「母の宗教巡り恨み」 安倍元首相銃撃 標的団体から変更】【衆院選きょう投開票 物価高・安保 焦点に 厳戒下 最後の訴え 「テロに屈せず」各党首が強調】(10日付、毎日朝刊)といった見出しが並ぶ。
「弁明も反論もできないのだから、死者に鞭打つな」。これは正論のように聞こえるが「死ねば、全て免罪」となるのなら、誰も生前に罪を償う気にはなるまい。ただ、懺悔の機会は平等に授けられるべきで、それを奪われた安倍氏には同情する」とは今=10日午前9時過ぎ=から8時間ほど前に某作家がフェイスブックに投稿したことば、だ。いずれにせよ、この発言に限らず、銃弾に消えたひとりの男に対するちまたの声が「ああでもない。こうでもない」と錯綜していることだけは事実といえようか。
だが、である。私はその政治家の死がワイワイガヤガヤと世間の声を錯綜させていること自体は事実として受け止めたいのだが。ただ、これだけ騒がれると、他に病気などで亡くなっていった普通の人々と比べた場合、むしろ、かわいそうで哀れにさえ思えて仕方がない。これまた、その人物に与えられた運命、宿命なのだろうか、と首をひねってしまう。やむをえぬことか。
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ところで、私は昨年の今ごろ、わが家から舞の営むリサイクルショップ「ミヌエット」までの一本道を共によく歩いた。歩を進めながら、懸命に足を一歩一歩前に出す彼女に「俺たちが今向かっている〝この道〟はおまえの<マイロード>だ。ニンゲン誰とて、運命に生かされている。そして。俺たちが今こうしてふたりで幸せな日々を過ごしておられるのも一瞬だと思う。だから生は【無】。俺たちは今こうして【無のなかの一瞬一瞬】を大切に生き、こうして歩いているのだ」などといったことを、よく話しながら歩いたものである。
そして。おまえがもしもこの世から居なくなってしまったのなら、この道はいつの日か【おまえ、すなわち舞のマイロード】となり、人々にとっての希望の道、そして癒しの道になるかもしれない。いや、俺がこのまま生きていたら、そのようにしてみせる、と。舞は、ただ黙って笑っていた。
人は誰だって、〝ぽとぽとはらはら〟と、時には涙しながら家族はじめ友人や知人、恋人らのことを思い、時には喜び時には心配しながら生きていくものなのだ(ここで、この〝ぽとぽとはらはら〟の言葉はオノマトペに長けていた生前の舞が作った言葉で、私の小説の題にもなっている=ネットで<ぽとぽとはらはら>を検索されたら、連載小説が出てきます)。
そして誰にとっても、名もなく、清く、貧しい人々への励みの道になるといいな、と。そんなことを語りながら歩いたものだ。そんな俺の言葉を、おまえはいつだって黙って笑顔で聞きながら、歩いてくれていた。
(7月9日)
4時過ぎ。帰宅すると同時に大量の雨がドッと雷鳴を伴って強烈な勢いで降り始めた。土曜の午後である。まもなくして止んだかと思えば、しばらくしてまたまた天を突き破るようなゴロゴロゴロ、ゴロゴロと、雷の声。稲妻の光り。「シロちゃん。ゴロゴロゴロ、嫌いなのだから。きっと奥に逃げていくよ」と亡き妻、たつ江のいつもの声が耳に大きく迫る。シロはそれでも天から聞こえ来るおかあさんの幻の声に何かを思い出しでもするように窓辺に座り、風とともに降りしきる戸外をじっと見たままだ。目の前に亡霊となって現れ出たおかあさんと二人だけで何か、ふたりだけの話をしているようだ。
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朝刊は【安倍元首相撃たれ死亡 奈良で選挙演説中 41歳元海自隊員逮捕 殺人未遂容疑 「拳銃たくさん作製」】【民主主義への愚劣な挑戦 主筆前田浩智】(9日付毎日)【安倍元首相撃たれ死亡 参院選街頭演説中に 奈良 容疑の元海自隊員逮捕 67歳、歴代最長政権】(9日付中日)といった具合。
安倍元首相の悲報を報じた新聞各紙
国内では各地で新聞社の号外が飛び交い、海外メディアも「あの(安全なはずの)日本で恐ろしい暗殺が起きた。それも安倍さん、元首相が殺された」と速報している。ネットにもいろんな声が入り乱れ「どんな悪党でも、テロは許せない。安倍晋三は、さんざん〝政治を私物化〟した罪を償わなければならないのだから、ここでくたばってはいけない。生き抜け! これが参院選に影響を与えないことを祈る。(8日午後0:37)「首相の暗殺は自分の小説の中でしか起きない出来事かと思っていた。大平首相が急死した直後の選挙では自民党が圧勝したことがあったが、政治はしばしば全く想定外の方になびく」(8日午後0:28)などといった皮肉な声までが飛び交っている。
【強い怒りを覚える。政治家が開かれた場で、自らの信条や政策を語る参院選真っただ中の卑劣な蛮行。安倍晋三元首相が凶弾に倒れた。いかなる理由があるにせよ、言論の自由を暴力で封じる行為は断じて許されない。……フランスの哲学者ボルテールの言葉をいま一度かみしめたい。「君の意見には反対だ。でも君がその意見を表明する自由は僕も命がけで守る」。言論テロには屈しない。民主主義を守り抜くためにも。】(言論封じる凶行 許さない 編集局長寺本政司。9日付中日)。そのとおりだ。
新聞の論調も含め、私はこれら多くの玉石混交の声をチェックしながら「だが待てよ」と首をかしげざるを得ない。それは、「民主主義への挑戦だ」といった判で押したような論調ばかりで、安倍元首相そのものに対する【死の重み】については今ひとつのような、そんな気がするのである。死は誰にでも訪れる。安倍さんであろうが。だれであろうがだ。死に逝った故人の心情にも思いをいたす、ことを忘れたのか。安倍さんは旅立つ直前に、もしかしたら自ら重ねた罪深さにつき瞬間的ともいえる悔恨の情で、この世を去っていったのかもしれない。
「ありえない」という人びとが大半かもしれないだろう。だが、しかしだ。私には、そうとは思えない。森友学園問題など安倍さんとて、揺れ動く反省といったような一寸の魂があったに違いない。いや、人としての、政治家以前の人には言えない、悔しさと辛さがあったに違いない、と。
「力で言論を封殺する行為だ」「民主主義に対する挑戦」等など。正直、誰もが安易にいえる言葉以前に、警備体制はどうなっていたのか。なぜ、急きょ奈良に応援演説に行く必要があったのか。そうした点を突き詰めるべきである。新聞記者はこうした時にこそ徹底した取材に徹し、元首相と犯人の足を徹底取材し、真相を浮き上がらせるべきだと思う。まさに100を聴いて1を知った上での報道に徹してほしく思う。犯人の身辺事情の基本的な状況とか心理にも思いをはせて徹底取材を進めてほしく考える。そして、これまで森友学園問題などで社会的に批判されてきた妻への思いはどんなだったのか。妻の昭恵さん自身はどうだったのか。彼女の心模様はどうなのか。
ほかに、拉致問題のその後はなど。そんなところにまで、少なくとも関心を寄せれば、自ずと今回の安倍さん自身が持つ【死の重み】といったようなものが浮かび出てくると思う。死者に鞭打つわけではないが、ひとりの人間の死、それも総理までした故人を報道するに当たっては、大所高所から、その死をみつめ、分からないなりにもトコトン突き詰めてしかるべきだ、と思う。その点が弱く、おざなりな言葉に流されている。安倍さんとて、ひとりの弱い人間だったのである。長い間、おつかれさまでしたーと言いたい。
というわけで、願わくばだ。人の死には人それぞれ、状況に応じた【命の重さ】【尊さ】がある。かといって、一生懸命に生きてきた名もなき人びとの命とて、みな同じようにけなげかつ、愛しきものなのである。「命の重さ」。これは、どんなに極悪非道な人であれ、同じなのかもしれない。それなりの重さがあるのだ。安倍さんの「死」は、重いものだったのか。それとも、やはり軽いものだったのか。こうした事件発生時には、百を知って一を書く。そんな姿勢でトコトン、真相をえぐる取材をしてほしくも思うのである。
もしかして、彼の死で別の面で嘆き悲しむ多くの人びとがいるような、そんな気もする。「安倍さんは親身にやってくれた」とはいうものの未だ解決されていない北朝鮮による拉致問題しかり、だ。市井にあって、名もなく清く、貧しく、美しく。それでも家族を守り、一生懸命に生き続け、病や不意の事故、災害などで命を落としていった人々……。どれもこれも。全てが重い死、避けられなかった離別なのである。
人それぞれ。ひとには、それぞれの死、命の重みがある。きょうは、ここまでにしておこう。戸外では相変わらず、狂ったような雨が大地に堕ちている。
2022年7月8日
安倍晋三元首相が銃撃され、午後5時3分、死亡した。
午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前の北口ロータリーで10日の参院選を前に街頭演説していた自民党の安倍晋三元首相が背後から撃たれ、心肺の蘇生措置が取られ、ドクターヘリなどで奈良県立医科大付属病院に救急搬送されたが関係者の願いもむなしく午後5時過ぎ、失血死で息を引き取った。67歳だった。
人生、何が起きるか知れたものでない。合掌―
安倍元首相撃たれる、を報じた各紙
奈良県警は、事件発生直後、現場近くで銃を手にしていた奈良市大宮町に住む職業不詳、元海上自衛官山上徹也容疑者(41)を数人がかりで取り押さえて殺人未遂の現行犯で逮捕した(奈良県警はその後、容疑を殺人に切り替え、奈良西署に捜査本部を設置)。調べに対して山上容疑者は「殺そうと思ってころした。特定の団体に恨みがあり、安倍元首相とつながりがあると思って犯行に及んだ。安倍氏の政治信条への恨みでやったわけではない」などと供述しているという。
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午前中、ラジオから突然、流れた【安倍元首相 撃たれる】のニュースには、驚いた。参院選を前に、応援演説をしていたさなかの蛮行による悲劇である。ラジオも、テレビも。何度も何度も、繰り返し、繰り返し、悲報を報じている。
安倍氏は1993年の衆院選で亡き父(晋太郎氏)の後を継いで初当選。小泉政権で自民党幹事長、官房長官に抜擢され、2006年9月に当選5回、戦後最年少の52歳で第90代首相に就任。初の戦後生まれの宰相に。首相には二度就任。通算の在職期間は3188日。2度目は連続2822日で、いずれも歴代最長。母方の祖父が岸信介元首相、父方の祖父が安倍寛元衆議院議員、父は晋太郎元外相という政治家一家で育った。岸信夫防衛相は実弟だ。
そんな突然の蛮行が駆け巡るなか、私は気にはしつつも社交ダンスのレッスンにと一宮へと出かけ、いつものとおり、ブルース、タンゴ、ジルバ、ワルツの順に踊って帰り、ふたたび【安倍 撃たれる】の続報に耳を傾けたのである。森友学園や加計学園、花見の宴など私は安倍首相の政治手法を許せるものとは思っていない。
だが、なぜか、父親晋太郎氏のあのやさしそうな風貌とおおらかな性格が好きであった。こんなことになって、晋太郎氏はさぞかし、あの世で落胆しているに違いない。これとて天命か。
2022年7月7日
小暑。木曜日。きょう7日は、おまえが大好きだった七夕である。
午後。♩夏の涼みは両国の 出船入船屋形船 上る流星星くだり 玉屋が取り持つ縁かいな……と、ハンドルを手にカセットから流れくる小唄【縁かいな】を唄いながら、隣町にあるユニーのドンドンドンキに向かう。昼食と買い物のためだ。昔のように相棒が隣で座っていてくれたらよいのに。今はいない。
帰宅してしばらくすると。作家で美術評論家の太田治子さんから現在、編集が進む妻・伊神舞子の俳句短歌集の巻頭部分に掲載予定である追悼文が届いた。せっかくなので、その一部分をここに記させていただく。
【「コスモスの群生みれば泣けてくる」 コスモスは、舞子さんのお好きな花のひとつだったのだと思う。いじらしく健気な花のコスモスは、どこか舞子さんの感じがあったのではないだろうか。情熱的な赤いばらのよく似合う方だったように思う一方で、どうしてもそう思うのである。一見弱々しく風に吹かれているようにみえるこの野の花は、実は風にも負けずにしっかりと咲き続ける。舞子さんの句の中に、戦争反対の思いがこめられた句がいくつもある。そこに、夫君の伊神権太さんと同じ真っ直ぐなぶれない精神を感じずにはいられない。……】
それこそ、身に余る内容で私は、その文を舞の仏前に供え「よかったね。すばらしい文をおまえのために、治子さんが書いてくださったよ」と報告したのである。原稿には長手牡丹の線香花火に静岡レモンのフルーツティー、マグロのあたま(伊東魚油製造場)までが添えられていた。みな舞の大好きなものばかりだ。太田さん、ありがとう。私はこの文を読み、つくづく感謝の気持ちでいっぱいになったのである。
太田治子さんから届いた原稿は、さっそく舞の仏前に供えられた
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いつまでも少女の気持ちと世界平和を忘れなかった伊神舞子
舞よ、舞。マイ。たつ江。天の川での天使生活はどうですか。元気でいますか。1年前の7月3日。今は亡きわが妻伊神舞子は自ら営むリサイクルショップ「ミヌエット」の20周年記念七夕の催しを店内で開き、心ある友人知人が店を訪れてくださって、楽しく得難いひとときとなった。おまえは、あのとき。それこそ仁王立ちとなり、周りのみなさまの手助けもあって短冊付き七夕飾りの手配など、準備に準備を重ねて念願だった七夕の催しを見事、実現させたよな。あのときの、おまえの「何がなんでも実現させるのだ」との鬼気迫る、いや気迫に満ちた、まるで女神🗽 のような顔を俺はこの先いつまでも忘れることはないだろう。
あらためて。心からおめでとう。よくやったね、と言いたい。そして。あの日の催し実現に携わってくださった皆さま全員に、本紙紙面を通じ、感謝したい。(あの時の七夕の催しの様子は、【本欄<一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き>の作品一覧のなかの2021年7月3日分】を開いて頂けたら、うれしく思う。そして皆さんに読んで頂けたら、舞の霊も浮かばれようというものだ。どうか、よろしくお願いします。)
昨年7月3日に自ら開いたミヌエット20周年記念七夕祭であいさつする伊神舞子
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さて。この世といえば、だ。けさの新聞の見出し【感染 前週比倍増4・5万人 県民割拡大、延期で調整 厚労省、医療体制強化を要請】【コロナ 欧州も再拡大 仏は1日20万人 規制巡り議論も】(7日付中日)が示しているように、このところのコロナ禍の感染再拡大が気になるところである。それによると、国内では6日、新たに4万5821人の新型コロナウイルス感染者が確認され前週の同じ曜日からほぼ倍増。全都道府県で増化し4万人を上回るのは5月18日いらい、約2カ月ぶりで感染が広がりやすいとされるオミクロン株の新たな派生型「BA・5」への急速な置き換わりが進んでおり、このままだと流行「第七波」の懸念が強いという。
いずれにせよ、きょうは舞が毎年、願いを天に託していた七夕である。そこで、きょうは舞が生前、よく話していた言葉のいくつかを、ここに以下、忘れ得ぬ思い出として列挙しておこう。
【あのねえ。だって。うん、いいよ。いいから。シロ、シロ、シロちゃん。はなぐろ(鼻黒)さん=シロちゃんのこと。彼女の鼻のてっぺんがいつも黒いので。今も、である=。その歌。うたわないでよ。わたしは嫌いなの=私(たかのぶ)が酔って<星影のワルツ>を♩別れることは辛いけど…と冗談で歌い始めると、決まってそのように制止してきた=、♩エーデルワイスと♩みかんの花咲く丘。聴いてよね。そんなに食べられないよ。だ・か・ら。半分ずつでいいの。ふたりで一人前でいいよ=ふたりでお店に入ったとき=、(フランク永井の)♩ウーマンと♩おまえに♩公園の手品師を聴かせてよ。聴きたいの=舞は、フランク永井が大好きだった=ちなみに、これも大好きだった<みかんの花咲く丘>は。店内で開いたミニコンサートの時などに【ミヌエットの歌】として、舞の強い意志で何かにつけ流したりしたものだ(時には私がハーモニカで演奏することもあった)。
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仙台市の路上で投稿中の女子中学生二人が7日朝、無職の男(43)に刃物で切り付けられ、男は逮捕。女子中生は重軽傷を負った。
世界は、といえば。英国の財務相と保健相が5日、ジョンソン首相の政権運営に反発して相次いで辞任。ウクライナに侵攻したロシア軍がこのところウクライナ・ドネツク州スラビャンスクに連日、激しい攻撃を仕掛け、ウクライナが抗戦。G20の外相会合が7日、インドネシアのバリ島で開幕したが、日米欧と中ロの対立はじめ、新興国の立場の違いなどを際立たせる場になりそうだ。
2022年7月6日
あすは七夕である。
何かが物足りない。そういえば、かつては本欄「一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き」の冒頭にはいつも伊神舞子の<白猫の俳句>を掲載していたのである。その本欄の特色でもあった【白猫俳句】が舞の逝去とともに消えてしまったのだ。仕方がない。かといって、シロちゃんはきょうも元気に私とともに生きているのである。ちなみに1年前、2021年7月6日の彼女の俳句は次のようなものだった。
びわの実を踏んづけたよな接種会場
雨しとどオーイ夏空どこいった
(読者のみなさまには本欄作品一覧の<一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2021年7月6日)>を見ていただけたら、と思う)
水曜日。新聞やラジオのニュースなどで気になるのは、このところ、またしても新型コロナウイルスの感染者が全国的に増えてきている、ということか。けさの中日新聞(6日付)の見出しには【国内感染3万人超す 5月26日以来】【愛知 2481人感染 知事「第7波」認識】とあり、記事は「国内で五日、新たに三万六千百八十九人の新型コロナウイルス感染者が確認された。一週間前の火曜日と比べて一・八倍超となり、全国都道府県で増化した。全国で三万人を超えるのは五月二十六日以来。島根、愛媛、熊本は過去最多となった。東京は五千三百二人で一週間前の二倍超となった。都の担当者は「新規感染者の増加率が加速し、入院患者も半月で二倍以上増加した」と警戒感を示した。内訳はほかに大阪四千五百二十三人、沖縄二千二百六十六人など。死者は千葉、大阪で各四人など計二十人の報告があった。厚生労働省によると、全国の重症者は六十人で前日から二人減少した」といった具合だ。
また愛知に関する記事では「愛知県は五日、新たに二千四百八十一人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。一週間前に比べて千百八人多かった。新規感染者が前週の同じ曜日を上回ったのは十五日連続。名古屋市は八百五十三人。同市は、市内の七十代男性一人が死亡してことを公表。累計の死者は二千百人となった。江南市の高齢者施設など計三件が、新たにクラスター(感染者集団)に認定された。……大村秀章知事は五日の記者会見で現状について「明らかに『第七波』に入ったといってもいいのではないか。事態は大変厳しい状況と言わざるを得ない」と指摘。感染防止対策の徹底を改めて呼びかけた。」と報じている。
朝刊1面見出しに【元議員1割JRパス返さず 昨年衆院選後 14人が「紛失届」 衆院21年度予算は3・3億円】【障害86時間で収束 KDDI「補償早急に検討」】。どちらも困ったものである。
2022年7月5日
♩心して我から捨てし恋なれど せきくる涙こらえかんねぇえ
うさを忘れん盃の 酒の味さえほろぉにがく……
午後1時過ぎ。シロちゃんに送られ、愛車で隣町のイオンモール扶桑店へ。道中、久しぶりに運転席のカセットから流れる小唄【心して鶴次郎】と【縁かいな】を唄いながら、扶桑へと向かった。2曲とも、はるか昔に新聞社の一宮支局長在任時に激務の間、週に一度通い、今は亡き師匠小境さんに直々教えて頂いた懐かしき小唄である。
ハンドルを手にあの小境姉さんの厳しくもやさしい声が耳に迫り、大きくなって、私自身の口からも自ずと唄のセリフが自然に湧き出てきたのには我ながら驚いたのである。と同時に、あのときも舞が「ウン、おけいこ。行ってもいいよ」と太っ腹で言ってくれ、おかげでそこそこ唄うことが出来るようになったのである。なんだか不思議な話になってしまった。
これより先、本日、火曜日の午前11時過ぎ。ここ尾張の地は雨の音が何かを訴えるように大きくなった。朝から雨、雨、雨だ。わが家の愛猫シロちゃん(俳句猫「白」)、オーロラレインボーは、頑なに外に出ていこうとはしない。「シロちゃんは、何でも知っているのだから。シロよ。シロ、シロ。シロちゃん。そうだよね」と、あの聞きなれた鈴を鳴らしたような甘いおまえの声が風に乗ってどこからか。ふんわりフワリと飛んでくる。けさは早くから新聞に目を通し、珍しく息子が駅まで送ってほしいというので送って帰ってきたところだ。シロは、いつものように玄関先まで走って飛んで出迎えてくれた。
わが家を守り続けるシロ(ハートの首輪は、亡きおかあさんがつけてくれた)
帰宅すると、きょうもこうして甘えた ちょっと肥えすぎかな
KDDIの大規模通信障害は発生から60時間以上が経過した4日午後になり、携帯電話の通話とデータ通信が全国的にほぼ回復したという。利用者の通信状況に問題ないことを最終確認したうえで5日夕をめどに全面復旧を宣言する見通しだというが、さてどうか。午前9時21分。北海道のドラキチファンのひとりから「息子の携帯電話つながりました」とラインによるメールが届いた。「よかったですね」と返信(KDDIは、その後、5日午後になり、音声通話やデータ通信を含めて全国で完全復旧した、と発表)。
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台風4号(アイレー)が午前6時過ぎに長崎県佐世保市付近に上陸。その後は勢力を弱めて9時過ぎには九州で温帯低気圧に変わったという。とはいえ、東海や関東地方にかけては今後、大雨となるところがあるので十分に警戒してほしいとは、気象庁。米独立記念日の4日、中西部イリノイ州シカゴ近郊のハイランドパークで22歳の男が記念日のパレードさなかに銃を乱射。6人が死亡、20人以上が負傷。周辺自治体の独立記念日の行事は全て中止になったという。
(7月4日)
月曜日。
朝。新聞をチェックし、家庭ごみのゴミ出しをし終えたところで、やっとこせ、ひと息ついた。それにしても、このところは少し体力的にもハードな日々が続いた。かといって、どれひとつとしておろそかには出来ない。正直、執筆のことはむろん何もかもを頭から消してしまい心身とも休みたい、そんな心境でもあった(そう言いつつ、この世でただ一人の一匹文士である私は、こうしてしぶとくも体力を削り取りでもするように、「これでもか」と書き続けているのである)。
ハードだなんて。新聞社の現役時代の私は、よく同僚や先輩デスクたちから「ガミちゃん(伊神なので職場では、いつもこのように呼ばれていた)。ガミちゃんは〝書き魔〟だから」とおだてられるように言われていた。そんな私だったこともあってか、私は忙しい、という言葉なぞ口が裂けても言わなかった、いや使わなかった。だが。しかしだ。これも頼りとしていた妻を失った落胆と喪失から訪れる弱さなのか。デ、具体的にこのところの私のつたない行動を披歴させていただくと。こんな具合だ。
まず7月1日の金曜日。この日は18日に迫った。名古屋での社交ダンスの発表会を前にしての特訓レッスンがあった(私は、ワルツ、タンゴ、ブルースにジルバとひととおり踊りこなしたが、これも亡きたつ江、すなわち舞が生前に私に言った「あのね。社交ダンスだけは続けるのよ」の強い一言が効いている)。そして翌2日、土曜の夜は舞の俳句短歌集出版に伴う追悼文お願いと今後の編集の進め方などの件で、作家で美術評論家でもある太田治子さん、人間社大幡正義さんと名駅前JRタワー内、日本料理店「加賀屋」でお会いし、懇親も兼ねた食事会と続き、その翌日の日曜日は先日、6月1日の満102歳の誕生日を前に101歳の生涯を閉じた母の四十九日法要と結構、それこそバタバタと忙しい日が続いたのである。
というわけで、それこそ、母が私の幼き日々に、私をよく呼んだ〝おねぶたさん〟だからといって、ウトウトウト、コックリコンコンなどと、スヤスヤと眠りこけてばかりはおられない、そんな日々が続いたが、どれもこれも私にとっては貴重かつ重要な人生経験のひとコマとなっていることだけは確かだ。
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悲しいことに、このところの、中日ドラゴンズは、またしても負け続け、昨日は阪神に3-0と今季15度目の零封負け。4カード連続で勝ち越しを逃した。私の心までが塞ぎ、立浪ドラゴンズへの熱き思いが今にも氷解し閉じる寸前にまで陥っていることは確かだ。
そればかりか、朝刊を開けば【熱海土石流1年 「人災」憤りと無念さ 静岡県と市を遺族ら提訴へ】【熊本豪雨2年 災害の教訓 次世代へ】【KDDI障害40時間超 最大3915万回線に影響】【不具合連鎖 復旧進まず】(中日)などといった暗い見出しばかり。夕刊は【KDDI通話障害続く データ通信「おおむね回復」】(中日)【国会議員所得3年連続減少2255万円】(毎日)といった内容である。
(7月3日)
土砂降りの雨に襲われたなか、先日亡くなった母の49日忌法要が臨済宗妙心寺派の永正寺(水谷大定住職)=愛知県江南市高屋=で行われた。兄夫妻はじめ、私と同居息子、妹夫妻のごくごく少数が参列したが、この日は、なぜか信じられないほどに猛々しい雨が気でも狂ったように降り、お寺に着いたころには喪服はずぶ濡れに。「おかあさん、(生前は)何かあると、決まって天気がよくなる晴れ女が自慢だったのに。きょうは、一体どういうことなの。これでは雨女じゃないの」とは、妹。
読経に続き、和田のお墓をみんなで訪れ、母は雨のなか、納骨された。納骨の直前、妹の和代が「おかあさん」と言ったまま、しばらく遺骨を抱きしめたままでいる姿が、なぜか私の全身を射て、心に深く残ったのである。
そして。納骨のあとは、みんなで近くにある和田の実家へ。久しぶりのわが家でひと休みして、こんどは市街地にある、わが伊神家にとっては長年なじみの料理屋「魚仙」さんへ。ここで母を偲びながらの談笑とあいなった。「魚仙」といえば、毎年土用の丑がくると、たつ江が決まって訪れ、ウナギを買い求めたものだ(昨年は私も付き添って訪れた)。あのころの彼女が目の前に「おかあさん。わたしも入れてよ」とマボロシとなって、笑顔で現れたような。そんな錯覚にも襲われた。
雨のなか、行われた納骨式と伊神家のお墓。仏壇
生前のたつ江は春、秋と決まって花を手に父の墓参りをしてくれていた
両親が長年をかけて育てた実家の庭の一角
(7月2日)
太田治子さんに久しぶりにお会いした。場所は名古屋のJRビル13階の「加賀屋」で、である。現在、編集作業が進む伊神舞子の俳句短歌集の追悼文をお願いするためだったが、快く引き受けてくださったはるこさんは相変わらず若々しく以前にお会いした時と何ら変わることなく、美少女のように清らかでもあり、私はとても嬉しい気持ちにかられたのである。
「追悼文は、既に書いてはありますが。少し補いたい」とのことで後日郵送してくださることになった。この日は、何かとお世話になっている人間社の大幡正義さんにも同席していただいたが、ふたりの言葉に耳を傾けつつ、その一言ひと言が私自身こんご筆を進めるに当たって大いに勉強になったのである。
席上、治子さんから「舞子さんの声は、どんなだったのかしら」とあらためて聴かれ、わたしはドキリとし、生前のことばとその声の大切さをあらためて感じた。舞は、ひと口で言えばその容姿のように(私が言うのもチョットおかしいかも知れないのだが)かわいい声、甘くて鈴を転がすような声で〝あのねえ〟〝だって〟〝一日ひとつよ。無理はだめっ〟と言うことが多かった。
2022年7月1日
【暑さ異常 重装備でげっそり】とは<東京新聞の7月1日付ふくしま作業員日誌 51歳男性(聞き手・片山夏子)>の見出し。そして中日新聞の同日付朝刊見出しは【節電期間きょうから 9月末まで 逼迫、長期化恐れ】【多治見39.4度 名古屋37.9度 猛暑日 全国179地点】など。
半日を経て。1日付中日新聞の夕刊となると【夏告げる富士御来光 山梨側山開き】【列島ジリジリ 豊田37.6度】【ペットも熱中症注意 散歩や早朝に 水や保冷剤を】【サハリン2全資産ロシア側へ 新会社設立 大統領令】【黒海の島「解放」宣言 ゼレンスキー氏 穀物輸出再開焦点】【香港統治「成功」誇示 返還25年式典で習首席】【路線価 2年ぶり上昇 22年プラス0・5% コロナの影響緩む】【<参院選>コロナ+猛暑 選挙戦手探り 屋外脱マスク 対策して集会 握手でなく名刺】【節電期間始まる 全国で7年ぶり】といったところか。
見えない日々が、きょうも。いつものようにトントンとんとんと。どこか見知らぬ世界に、と歩みを進めていく。