エッセイ「東日本大震災によせて」
この度の大地震により被災されました皆様方に、心からのお見舞を申し上げます。
口を開けば「未曾有」だの「想像を超えた」だのという、そんな言葉でお茶を濁す“おエライ”人達の態度にイラ立ちをを感じている毎日ですが、本当に防げなかったものなのでしょうか。 確かに千年に一度の出来事かもしれませんが、疑問に思えてならないのです。
又、私には別の意味でこの地震に大きな恐怖が甦りました。それは昨年の二月に海の向こうで起きたあの「チリ地震」のこと─。マグニチュード8・8を超える大揺れに「コンセプシオン」の街は壊滅的な被害を受けたのですが、ちょうどその時、次男がそこから三百五十kmの所にある首都の「サンチアゴ」に住んでいたからです。
今回の災害と同じく通信は全く途絶え、安否が分からないままの数日間は、ただただマスコミが伝える惨状に怯えるばかりでした。そして幸いにも息子の無事が大使館を通じて知らされた時、その喜びはまさに“安堵”としか言いようのないものでした。
そんな経験から、日々報じられる現状には人一倍胸が痛む思いです。被災地、そして被災された皆様の一日も早い復興と御健康を心より願って止みません。