詩「小さな貝殻」

てのひらにそっと小さな貝殻をおく
それは僕が拾った特別な貝殻
長い歳月をへて
限りなく丸くなり
寂しそうに笑ってる

この小さな貝殻は
どこから来たんだろう
そして
僕をあとへ残して
どこへ去っていくんだろう
そう思うと
愛しくなって
いつまでも
ここにいてくれと
握りしめる

貝殻のなかにも心がある
貝殻も小さな宇宙
なにものも傷つけない
温かいぬくもりを与えてくれる

僕はもう手を開かない
このよろこびで
僕は駆けていこう
手にぬくもりをうけて
君のところへ
このよろこびを
届けに行こう

堤防を駆け抜けて
夕陽が沈まないうちに