一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2022年6月~)

2022年6月30日
 夏越の大はらい。この日がくると先日、満百一歳の旅路を閉じた母に幼き手を引かれ、和田の神社まで連れて行かれた〝輪くぐり〟のことが思い出される。あのころ。いや、今もだが。私は何かに集中したあと、すぐに眠たくなってしまい、いつもコックリコックリと居眠りをしていた記憶が蘇る。
 そんな私のことを母はよく「たかのぶ。た・か・の・ぶ。また寝ているの。たかちゃん。たか坊。あんたはいつも寝てるのだから。〝おねぶたさん〟だよね、と。そうよびかけた。そして。そう言いながら「この子は、きっと天下を取るよ。見ててごらん。〝おねぶたさん〟なのだから」ともよく言ったものだ。なぜか、うとうとしながらも、こどもの私はこの母の言葉だけは、不思議と今なお忘れはしない。
 母のことだ。兄や妹にも何らかのふさわしい、おだてことばで励ましていたに違いない。

 私たちにとっては、いつもやさしく太陽のような存在だった母(左)
 
 

 若いころの母。妹に耳を引っ張られているのが私。右端は親戚のお姉さん・さっちゃん
 

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 暑い。暑い。暑いとはこのことか。かといって、私には母はむろん、たつ江との思い出もやはりどこまでもつきまとってくる。あの毎年7月1日にあった白砂で知られる黒潮洗う熊野灘に面した三重県志摩半島突端、御座白浜海水浴場での海開き。上空には新聞社本社のヘリコプターが飛来し祝賀メッセージを投下。その日の取材と報道(新聞と三重テレビ)はむろんのこと、長い砂浜をカメラを肩にタッタッタッ、タッと走ってメッセージを拾い、主催者側代表の地元御座漁協組合長に手渡すのが若きころの地方記者、私の大役でもあったのである。
 あの日々も海の砂は、至るところ、まるでヤカンのように火照っていた。ある年などたつ江を取材用自家用車の助手席に乗せ、新聞社の旗をはためかせて鵜方から御座まで向かった。車内カセットは言わずと知れたレット・イト・ビーやヘイ・ジュードなど当時、大人気で日本にも初来日したビートルズの曲、メロディーたちである。これまた、若きふたりの日々の残照とでもいえようか。

 こんな時代もあった。真珠の海、英虞湾上で
 

 さて。ちまたは。といえば、だ。第6波の感染拡大が沈静化しつつあったコロナ禍がこのところ日本全域で下げ止まり傾向になっており、きょう(6月30日)1日の全国の感染者は2万3448人と1週間前に比べ逆に6700人増とリバウンドし、心配される事態となっている。実際、このところのコロナ感染者数は増加に転じ前の週より13日連続で増加しているという。
 そこにきて。このところの酷暑続き。きょうも高気圧の影響で気温はぐんぐん上がり、この日は岐阜県多治見市で39・4度を記録するなど東海3県の三カ所で39度を超え、愛知、岐阜、三重の47観測点のうち30カ所で猛暑日となったが、うち名古屋、岐阜両市など9カ所が4日連続。29カ所で6月の観測史上最高気温を更新。各地で熱中症で救急搬送される人が相次ぎ、きょうだけで11人が死亡したとのニュースも伝わっている。
 まさに炎熱地獄ここに極まれり、という悲惨な事態が続く。
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 木曜日。早朝、指定場所での不燃ごみ出しに続き、週に2回の一般のゴミ出しも終える。シロちゃんと共に食事をしたあとは、このところ何度も推敲して書きあげた文士刮目第14回を繰り返し読み直し「脱原発社会をめざす文学者の会」の担当者に出稿する。
 また、それとは別に本日付夕刊を開くと【豊田39・3度 東海4日連続猛暑日】【「涼」に笑顔 金沢で氷室開き】【大熊の一部避難解除 帰還困難区域 福島第一立地で初】【名鉄レジャック 年度内にも閉館】(30日付中日)の見出し。なかには【収穫直前の1万4400個組織的犯行か 消える桃 山梨で盗難多発 まさに緊急事態】(30日付毎日)といったものまである。いやはや、この世はいろいろである。レジャックへは若いころ、よく足を運んだものである。

 それにしても、きょうのこの暑さときたら、尋常でない。

(6月29日)
 本日付の中日夕刊1面トップは【北欧2カ国NATO加盟へ トルコが一転支持 「テロ組織」対策で合意】の見出し。トルコのエルドアン大統領は28日、マドリードで北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請中の北欧フィンランドとスウェーデンの首脳と会談し両国の加盟を支持することに合意したという。

 人間たちは皆、命がけでこの地上で生きている。スーパーに行っても、愛車を運転していてもだ。車窓に移る人々のだれもがヨイコラショッ、と何か重いものでも抱えるような真剣な表情で、ただ一点を見つめながら歩いていく。そんな真剣な表情がよく分かる。
 そして。おそらくその一人ひとりの大半が互いにこの世でその瞬間にただ一度だけ、すれ違う人たちに違いない。それでも。私たちはそうしたなか、それぞれのちいさな今にも壊れそうな、ひと筋の希望を胸に生きていく。ましてや、友人や知人となれば、それこそ運命とはいえ、大変なことで、私たちはそれでも互いに互いを理解しつつ生きてゆくのである。なんと悲しく、かつ辛いことよ、と思うのは私だけでもあるまい。
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 日本列島はきのう28日も高気圧に覆われ、東北などを除く各地で晴れ間が広がり気温が上がった。気象庁によると、全国九百十四カ所の観測点のうち30度以上の真夏日は五百七十地点を超えた。うち35度以上の猛暑日も百地点に達し、いずれも今年最多となった。山梨県甲州市では38・7度を観測した。経済産業省は東京電力管内に発令している電力需給逼迫注意報を二十九日にも継続すると発表した。注意報に基づく節電の呼びかけは三日目となる。(中略)気象庁によると、岐阜県多治見市では37・9度、愛知県豊田市で37・8度、長野県安曇野市で37・7度まで上がった。東京都心は午後一時過ぎに35・1度となり、四日連続で猛暑日を記録した。
――以上は、本日付中日新聞1面見出し【猛暑日100地点 豊田37・8度】【6月の熱中症輸送最多 20~26日 前週の3.4倍】のなかの記事の一部分である。ことほどさように日本は今、有史以来の炎熱地獄、酷暑に襲われているのである。

 こうしたなか、ドイツ南部エルマウでは日本の岸田文雄首相も参加しての先進7カ国首脳会議が開かれ、ウクライナに一方的な軍事侵攻をしたロシアに「厳しい経済的代償を科し続ける」との首脳声明を採択、ロシアに対する制裁と圧力を強化する姿勢を鮮明とし、侵攻の影響による世界的な食糧危機に対応するため45億㌦(6100億円)の拠出を表明。ロシアに友好姿勢を続ける中国に対しても即時、無条件の撤退をロシアに突きつけるよう要求、世界は動いている。

(6月28日)
 新聞の見出しは【西日本・北陸で初 6月の梅雨明け 列島猛暑 浜松・豊田で36度台】(28日付夕刊)と相変わらずの猛暑を、いや、酷暑を告げている。そんななか、【大熊町の復興拠点 30日避難解除決定】(同日付夕刊)は、東電福島第一原発事故による帰還困難区域のうち、福島県大熊町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)での避難指示を30日午前9時に解除する、というもので、どこかホッとした。復興拠点の避難解除で住民の居住再開が可能になるのは12日の同県葛尾村に続く2例目で、第一原発が立地する自治体では初。原子力災害対策本部の持ち回り会合で決定したという。

 火曜日。私が主宰するウエブ文学同人誌「熱砂」をこんご具体的にどう充実させ、発展させていくかにつき、あれやこれやと思案。読者からの投稿も視野に何よりも短く、簡潔な文章を「熱砂」紙面に反映させていく。この点につき、話し合う。やはり人々の心を打ち、共に楽しく生きていくには、どうしたら良いかについて、あれやこれやと探求する必要性を感じたのである。この際、読者からの投稿欄を開設しようかなど。いろいろと考えてみる。

2022年6月27日
 東海地方が、きょう梅雨明け。梅雨の期間は1951年の統計開始いらい最短の13日間。平年に比べ22日、昨年より20日早く、6月22日だった1963年に次いで過去2番目の早さとなった。気象庁によれば、27日は九州南部、関東甲信でも梅雨明けした(気象庁は「梅雨明けしたとみられる」)と発表しているが「梅雨明けした」で良いではないか。いつも思うのだが、この表現は、まだるっこいし、発表への妙な気象庁の保身が感じられ、この〝みられる〟発言は、好ましくない。撤回すべきである。もっと素直な発表をしてほしい)。

 月曜日。朝刊に【電力逼迫初の「注意報」 東電管内きょう需要増で】【猛暑の週末「今季最高」相次ぐ】(27日付中日)の見出し。
 それによれば、経済産業省は昨日26日に「気温上昇に伴い東電管内の27日の電力需給が逼迫する見通しになった」として各家庭や企業に節電の必要性を呼びかける「電力需給逼迫注意報」を初めて発令。特に27日午後4~5時は需給が厳しくなるため、午後3時~6時の時間帯は、使っていない照明を消すなど無理のない範囲で、出来る限りの節電をするように、と呼びかけている(経済産業省は引き続き、28日も需給が厳しくなるとみて注意報の継続を決めた)。
 また猛暑の方も群馬県伊勢崎市で25日の40・2度に続き、26日にも36・8度まで上昇。2日連続で全国トップに。西日本でもことし最高気温となる観測点が相次いだという。また、この日は全国に914カ所ある観測点のうち30度以上の真夏日となったのは、ことし最多の539カ所。このうち30カ所が35度以上だった。
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 27日朝。朝食を終えたシロが、この炎熱地獄のなかを外に出たがる。どうしても、と言うので出してやると、彼女が向かったのは、先輩猫のこすも・ここと先代シロちゃんが眠る庭の一角にある墓だった。きのう息子が墓前に新しい花を供えたのを知っていたかのように、さっそくクンクンと花に鼻先を置いて確かめるようにして匂いをかぎ、そのままいずこかへ消えたのである。
 いつも思うが。シロちゃんは、本当にかわいい娘(こ)である。そのシロが、である。いつもなら昼過ぎには帰るはずなのに。きょうに限って午後1時になっても帰らない。私は待つのをやめ、車で買い物に外出し2時半ごろ帰ったが、帰宅したその刹那、いつものように上がり框で両手をそろえて静かな表情で待っていてくれた。そのあどけない姿には感激を通り越したものがあったのである。

 亡きここと先代シロの墓に直行したシロちゃん
 

 それにしても、お墓のあとはどこへ消えてしまったのか。この世の果て、にでも行っていたのか。それとも天空でおかあさん(伊神舞子)が開いた記者会見にでも立ち会ってきたのか。その辺はわからない。でも、何はさておき無事、帰ってきてくれ、私は涙が出るほどに嬉しかったのである。
 そういえば、私と舞にとっては宝も同然の愛猫シロちゃん(「白」の俳号を持つ、この世でただ一匹の俳句猫)、すなわちオーロラレインボーはコロナ禍に世界中が呻き始めたころ、いち早く私の指示でイタリアに飛び、コロナと闘う人々の心の癒しとなってきたこともある。

 ごめんなさい。帰宅後はお気に入りの段ボールの空き箱のなかに
 

(6月26日)
 日曜日。朝。いつものようにNHKラジオの【音楽の泉】にシロとゆったりとした気持ちで耳を傾ける。パンとヨーグルトでの朝食をしながら、モーツァルトの第3楽章ミヌエットや<歌劇「フィガロの結婚」から 恋とはどんなものかしら>などを聞いて1日がスタート。舞(たつ江)をウィーンに連れていく夢はもはや、かなわない現実を身に染みて感じた。もし元気な間に連れて行けていたのなら。少女のような彼女はあの顔をほころばせて喜んだに違いない。
 音楽の泉を聴き終わると、シロはいつものように出たがるので「家の周りには『ブ。ブ。ブーが通るから。気をつけるように』」と十分に言い聞かせたうえで、外に出す。室内に居てばかりでは息詰まってしまう。美容と健康上もよくないからである。彼女は喜び勇んで外に足を踏み出し、目の前で寝そべって一回転。それから。知の世界への探訪へ、と出かけ、昼過ぎには帰ってきた。それにしても、きょうも昨日に続いて暑い、暑い。暑い。なんでだろう。なんでかな。
 帰宅したシロちゃんも、ぐったりである。

 午後。いつものように新聞を読み終え、筆も置いたところで久しぶりにマイカーでイオン扶桑店へ。サクランボに桃、スイカ、ミニトマト、オレンジにパイナップルと店頭を彩る旬の果物の数々には、舞と一緒だったなら。どんなにか喜んだだろう、と。そう思うと、思わず目頭を熱いものが走った。彼女はホントに、もう私たちの許には帰ってはこないのか。いやいや、そうではない。いつも一緒だ。と。またまた同じ繰り返しになるのであった。それとは別に。いま現在の日本を見渡す限り、ここはもしかしたら天国かもしれない。ウクライナやアフガニスタン、ミャンマーなど。苦難を背負う国々の人々に比べれば、豊富な食べ物にも恵まれ、幸せであることは間違いない。
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 26日付の中日本紙<核心>欄に【弱い立場 女性に負担 米最高裁中絶権利認めず 半数超の州 規制強化へ】【行き場なくす妊婦も】の見出し。米連邦最高裁が24日、人工妊娠中絶の問題を巡り中絶は女性の権利だと認めた1973年の最高裁判決を覆し「憲法は中絶する権利を与えていない」と判断し、中絶の規制を容認するというものだった。

 大きな果実が特徴のさくらんぼ「ジュノハート」の初セリが25日、青森県八戸市の市中央卸売市場であり、上級ブランド「青森ハートビート」15粒入り一箱に60万円と過去最高値がついたという。愛知県の矢作川から農工業用水を取水する「明治用水頭首工」(豊田市)で大規模漏水が発生した問題で、用水を管理する明治用水土地改良区(安城市)が25日、給水制限を緩和。頭首工の応急工事が完了し、一定の貯水量を安定して見込めるようになったためだという。この世はアレヤコレヤといろいろ起きる。やれやれ、である。
 それにしても昨日、ドラゴンズは甲子園で阪神と戦い、10-0と大敗。【竜が4連敗 負け越し10】とは、何たることだ。おまけにきょうも延長11回に6-5で負けてしまった。あ~あ、とため息が出る。

 26日付の毎日新聞朝刊に「夜明けに 惑星ズラリ」のイメージ図が載っていた。舞が見れば、どんなにか喜んだことだろう。彼女はこうした星に関するニュースが大好きだった。
 

(6月25日)
 夜。亡き妻が大好きだった番組で一緒に、よく見たNHK総合の【ブラタモリ】を今宵もシロを傍らに見た。新聞の番組欄には「大原へ 京都奥座敷癒やしの里▽三千院こけの庭の謎▽しば漬け美味の秘密▽タモリ奇跡本尊と対面」とあったが、きょうのテーマは【なぜ 大原はいやしの里なのか】で元をたどれば平徳子、すなわち建礼門院が、平家一族が源氏に敗れたあと、心穏やかに地元の人びとと過ごした場所に由来することがとてもよく分かる良い内容だった。
 平家滅亡と同時に全てを失ってしまい、なお、たくましくかつ気丈に生き抜いた建礼門院を思うとき、私は人の世が、はかなさばかりではないことを、その後の彼女の安らかな生き方から学んだ気がしたのである。赤紫蘇を使ったつけもの紫葉漬けは建礼門院が名付け親だったとも知り、隣に舞がいたならさぞや満足して見たに違いない、と。そんなことを思ったりもした。なぜ、大原がいやしの里になったか、がとてもよく分かる内容でもあった。京都。恋につかれた女がひとり……。【女ひとり】の歌の意味も分かる気がした。番組では日本海と結ぶ〝さば街道〟という、あの懐かしい日本海と結ぶ交易路についての説明もされていた。

 いずれにせよ、建礼門院ならぬ妻に去られて8カ月余。なぜか。私のからだのなかの全てのものが少しずつ音をたてて剥ぎ取られ、カラッポになっていくような。そんな気がしないでもない。この世は所詮、だれとて定めのなかを生きていけ、ということなのか。

 きょうは異常に暑いからなのか。シロは不思議と冷房の効いた寝室または私の書斎の一角で静かに丸まっている。外に出たがらない。私が自室で筆を進めるうち、その様子を見つめながら私を守ってでもいるようにしているのである。
 この日、関東を中心に高気圧に覆われて晴れ間が広がり、各地で猛烈な暑さとなった。なかでも群馬県伊勢崎市では最高気温が40・2度を記録。6月の観測記録としては全国で初めて40度を超えた。気象庁によれば全国914観測点のうち真夏日(30度以上)は470地点、猛暑日(35度)も60地点を超える64地点に達し、いずれもことし最多となったという。

(6月24日)
 金曜日。社交ダンスのレッスンから帰宅しポストを確かめると、たつ江が若かったころに書いた詩の掲載紙コピーが朝日の佐藤雄二記者から郵送されてきていた。「ありがとう。」と感謝し、私はさっそくこの詩【夕暮れの諧調 平光善久選】を舞(伊神舞子)の仏前に供え、こどもたちにもコピーを複写してメールで送った。わが家にとっては心が晴ればれとした大ニュースである。よかったね。たつ江。

 送られてきた新聞コピー
 

 仏前に供えられた伊神たつ江の詩
 

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 中部地方は気温がぐんぐん上昇。この日は三重県伊賀市で35・5度、福井県小浜市で35・3度、滋賀県東近江市で34・7度を観測。岐阜県多治見市34・6度、愛知県豊田市でも33・2度に。こんご少なくとも一週間は多くの地域で30度以上の真夏日が続く見込みだという。

 社交ダンスの方は、発表会に躍るワルツを繰り返し踊り、続いてジルバ、ブルースも数回、パートナーを替えて踊ったが、終わったあとはさすがに疲れた。でも、こうしてレッスンを続けているので、それなりに体力が維持されているのかもしれない。これまた、舞が私に残してくれた遺産のような、そんな気がする。

 実際、世界一周のピースボートの船旅に出る際、当時、脳腫瘍の大手術を終えて、まだ間もなかった彼女が「あのね。私はまだ行くことが出来ないけれど。船内で社交ダンスのレッスンだけは続けてきてよね。続けるのよ」と言ってくれた、あの日のことを、きのうのように思い出す。ダンス教師若さんの言う「今にして思えば、社交ダンスは奥さまマイちゃんの遺産だったのだから。ごんたさん。途中で棒を折らないで続けてよね。マイちゃんとの約束だったのでしょ」という言葉は、まんざら間違いでもない。そんな気がする。

(6月23日)
 木曜日。沖縄慰霊の日である。
 この日は、太平洋戦争末期の沖縄戦で命を落とした日米双方の20万人超を悼む「慰霊の日」。旧日本軍が組織的戦闘を終えた日で、ことしで77年。最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和記念公園では恒久平和を誓う沖縄全戦没者追悼式(県など主催)が開かれた。正午に1分間、黙とう。玉城デニー知事が平和宣言で「沖縄を二度と戦場にさせないため核兵器廃絶、戦争放棄に向け努力を続ける」と誓い、沖縄市立山内小二年の徳元穂菜(ほのな)さんが自作の「平和の詩」を発表、戦争の怖さや平和の尊さを訴え、岸田文雄首相もあいさつに立ち「米軍基地負担軽減の目に見える成果を一つ一つ着実に積み上げる」と述べた。
 この日の参列者は新型コロナ対策で参列者は絞られ、主催者側や招待者ら327人にとどまり、一般参列は3年連続で見送られた。国籍や軍民を問わず、戦没者の氏名を刻んだ公園内の石碑「平和の礎(いしじ)」には、ことし新たに55人が追加され、計24万1686人となった。

 テレビ中継を見ながら、社会部の空飛ぶ記者として長崎大水害や長野富山連続女性誘拐殺人、オホーツクの海への大韓機撃墜、中部日本海地震、日航機墜落等など。全国各地の災害事件現場に飛んで飛んで、それこそ飛んで回った「事件記者」だったころ、寸暇を惜しんで夏休みのひとときを舞とわが子らを伴い、長崎に飛び摩文仁の丘を訪れた日のことが大きく目の前に浮かんだのである。あの日こどもたちは平和の大切さを自らの目と足で体感したはずである。その子らが今では一社会人として立派に過ごしてくれている。これぞ、舞のおかげか。心からありがとう。

 ほんとうにあったことなのだ こわいをしって、へいわがわかった
 少女の「平和の詩」朗読を紹介した23日付の中日新聞夕刊
 

2022年6月22日
 生前の妻は、向日葵と海、空をこよなく愛する女性だった
 

【夕暮れの諧調(小牧市) 伊神たつ江】
 見よ
 今 陽は沈む
 高くやがて低く
 パールのきらめきを
 曳航して
 波はひかりをさそい
 ひかりは波をさそう
 太陽の僕となった船たちは
 水平線を畏敬する
 そして夜の帳は
 秘めやかな愛をこめて
 甘くやさしく語りかけた

 上の詩は、1981年3月22日付の朝日新聞地方版「あいちの詩」に掲載された亡き妻、伊神たつ江(伊神舞子)の二十代後半の詩である。これまで探しても、探しても出てこなかった詩を私の求めに朝日の記者佐藤雄二さんが、激務のなか、縮刷版までめくって探してくださった。「もう、出てこないもの」と半ば諦めにかかっていただけに、感謝のしようもない。と同時に、わが両の目からはまたしても、だ。大河の如き涙があふれ出てきたのである。涙とは、不思議なものだ。拭ってもぬぐっても嗚咽とともにポトポトポト、ポトポトポタリと。全身をしゃくりあげながら落ちてくる。
    ※    ※

    ☆    ☆
 第26回参院選が22日公示され、7月10日の投開票に向け、選挙戦が始まった。たまたま私の高校、大学時代の後輩でもあるその人物(現職)も含め、日本国民全ての幸せと平和を求め全候補者に思う存分、それぞれの主張と思いの丈を有権者に訴え、それらのことを有言実行してほしく思う。そして。みんなの力で、この国と私たちの生活をよくして頂けたら、と願う。今は何よりも元のような【普通の生活ができる日常の復活】に全力を注いでほしい。

 唯一の戦争被爆国、日本が参加を見送った中、核を非人道兵器として史上初めて違法化した核兵器禁止条約の第一回締約国会議が21日、オーストリアの首都ウィーンで始まった。広島市の松井一実市長は「条約の壮大な目標が達成されることは、被爆者の切実な願いだ」と強調。長崎市の田上富久市長もウクライナ情勢に言及しつつ「核兵器が再び使われる危険がある」と警告。「核を絶対に使わせないという共感を世界中に広げていこう」と呼びかけた。国連によると、条約を批准した国と地域は65となったという。

(6月21日)
 火曜日。夏至。北半球で昼の長さが1年で最も長い日である。ここ尾張名古屋は1日中、雨が降ったり止んだりでぐずついた日だった。このためシロはずっと家の中。私が外出する際には留守番をしてくれ、帰宅するつど玄関先まで走って出てくるの繰り返しで、「生きていたころのおかあさんと同じだ」と思い、心から感謝している。というわけで、このところは、家を出る際には決まってシロとおかあさんの幻霊の〝ふたり〟に「シロよ。シロ、シロ。シロちゃん。おかあさん。たつ江、舞。行ってくるからね」と声をかけるのが口癖になってしまったようだ。心底、私にはシロがおかあさん本人に思えてならないのである。

 きょうは午前中、歯のメンテナンス治療で近くの歯医者さんへ。いったん帰り、お風呂を沸かすなどしたあとで大手ショッピングセンター「平和堂」へ、と車を走らせた。店内レストランで昼をすませ、さあ買い物をと店内を歩き始めてまず目に飛び込んできたのは、たつ江が大好きだった花、向日葵(ヒマワリ)である。かつてフランスを共に旅した時も彼女のお気に入りは一面に広がるヒマワリ畑で、親から譲り受けた私たちの畑<エデンの里>でも彼女がチューリップと並んでこだわって育てたのはヒマワリだった。
 ある年など高さ二㍍近くにまで立派に育った黄色い花を目の前に「このヒマワリ。アタシ、私が育てたのよ」と自慢げに話したこともあった。彼女がこだわったのは、ほかにタマネギ、サツマイモ、スイカ、茄子、柿に梅などだったが、今から思えばふたりで汗した雑草刈りも含めて二度と帰ってはこない楽しく貴重な日々でもあった。
 そのヒマワリがいま、ロシアによるウクライナ侵攻の犠牲となっている。泣いているのだ。私はきょう、「平和堂」の店内をひとり寂しく歩き始めた、まさにその時、仏花を中心とした生花売り場一画で黄色い花を大きく開いたヒマワリたち、を見つけたのである。そしてもうひとつ。きょうは、これまた毎年このころになると、彼女がこだわって買い求めた、今が旬の果物さくらんぼ=19日はサクランボの日=も店頭に並んでいた。当然のことながら、私はヒマワリも、サクランボも、だ。舞の化身と思い、購入したのである。

 舞はサクランボも大好きだった
 

(6月20日)
 大阪文学学校の小原政幸事務局長と久しぶりに電話で話をする。前回、東京で開いた全国同人雑誌協会の全国大会を大阪で開くにはどうしたら良いか。それには、まず関西の文学のかなめと言っていい文学学校を訪れ、その趣旨と意向を丁寧に話し、協力と理解を求めることが実現への第一歩だ、ということとなり、電話をさせて頂いた。私はたまたま前大阪文学学校校長の長谷川龍生さん(元日本現代詩人会会長。藤村記念歴程賞詩人)との長年に及ぶよしみもあって大阪文学学校の内容にかけては生き字引的存在ともいってよく、これまでも何度かお会いしている小原事務局長を知っている関係で電話させて頂いた次第。
 私(伊神)→小原事務局長。伊神→五十嵐さん。五十嵐さん→小原事務局長の順で電話し「それでは。来月25日に大阪文学学校へ五十嵐さんと私で出向き、過去の大会など経緯について小原さんに説明を」となった次第である。

 この日の午前10時31分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、能登半島突端の珠洲市で震度5強を観測。午後2時50分ごろにも震度4の地震が発生。いずれも能登半島で活発化する一連の群発地震とみられる。今月19日観測した震度6弱以降で震度1以上の地震は、午後7時現在、14回に上るという。

(6月19日)
 中部ペンクラブの令和4年度第37回総会と第35回中部ペンクラブ文学賞の表彰式、そして【公開 文学鼎談 直木賞作家大島真寿美さんに訊く 「名古屋生まれの作家が名古屋を書く」―『ツタよ、ツタ』にも触れて― 訊き手・加古淑(小学館)、三田村博史】が、この日、名古屋市千種区覚王山のルブラ王山で開かれた。
 このうち第35回中ペン文学賞に選ばれた三重県志摩市、水田まりさん(76)の作品「ピンクのワンピース」=自費出版短編集「欅のある家」所蔵=は、母の死後に若い女性と暮らし始めた父に対する年ごろの娘の心の揺れ動きを巧みに描写するといった内容だったが、この小説について文芸評論家清水良典さんは「はらはら、ひりひりとした状態が非常によく書かれていた」などと選評を述べた。中部ペンクラブの新会長中村賢三さんらから中日賞と花束を贈呈された水田さんは感無量といった面持ちで「私のテーマは自立する女。これからも頑張って書き続けます」と語り、つくづく良かったナと思った次第。志摩市といえば、私自身、かつて志摩郡阿児町鵜方で記者生活をしていたことがあるだけに、心から賛辞を送りたい。
 
 花束を胸に感無量の水田まりさん(左)=ルブラ王山にて
 

 この日はほかに【名古屋の栄さまと『得月楼』 父の遺稿から】(鳥影社)を書いた寺田繁さん(74)にも特別賞が贈られる旨、報告があった(寺田さんは、この日たまたま体調が悪く欠席された)。

 私はこの後、東京から訪れた全国同人雑誌協会代表理事でもある文芸思潮編集長五十嵐勉さん、同理事の前橋文学伝習所・文芸同人誌『クレーン』の和田伸一郎さん、新潟県柏崎市の玄文社主人柴野毅実さんと近くの居酒屋で名古屋の焼き鳥を食べながら、同人誌の今後について真剣に語り合いながら懇親。話は熱気を帯び、久しぶりにカツオのたたきを注文し食べたが、これがまたおいしかったこと。妻に食べさせたい気がすると同時に、志摩でよく食べた海女さんの手になる、あのてこね寿司を思い出したりした。

 それどころか、今は亡き長谷川龍生さんや、これまた最近命を落とした私小説作家で藤澤清造をこよなく尊敬してやまなかった西村賢太氏の話などで盛り上がったのである。ちなみに、亡き西村氏は30数年前、当時新聞社の七尾支局長だった私のもとを訪れ、文学、いや「文章とは」についてトコトン話し合った経緯がある。あの時、私は「文は何よりも分かりやすく書くことだ。一人だけ分かった気持ちになる文はダメだ。それから何でもいい。正直に思ったままを恐れず、とこまでも書くことだ」なぞと雨滴が軒を伝わる中で立ったまま、雨のなか、傘を手に延々と話し合ったことがある。
 その後「苦役列車」で世に出た西村氏。あの雨の日の私の言葉を一体全体、どこまで覚えてくれていたか。いや、彼の小説に登場し続けた主人公・北町貫太のその後の生きざまと文体を見る限り、そのことを、ある程度は実践してくれたと私は勝手に思っている。ただ新聞社の地方支局の女性に一方的に安易に惚れる見苦しさだけは気にはなったが。正直と言えば、正直か。と今では思っている。五十嵐さんと話し合いながら、そんなことを思い出したのである。私は文学とは。ある面では、底のない、得体の知れない魔物のような、そんな気がますますしてきたのである。
 八方破れでよい。いや、むしろそうした文の方が読者の胸に響く、と。そう思っている。そして。座はなごみ、いまは亡き清水信さんの口癖と言うか、誉め言葉【おったまげた】にまで話は及んだのである。

2022年6月18日
 土曜日。早朝。曇り空。今にも空が割れ、そこから雨がドっと舞い落ちてきそうだ(実際、まもなくして雨がどっさり降ってきた)。梅雨だから。仕方ないか。おまえは今、天の川で元気にしているか。いつも心配している。耳を澄ます。「心配したって仕方ないじゃないの。舞ちゃんは、もういないのだから」と誰かの声が聴こえてくる。「何を言ってるのだ。今もいるよ。いや、永遠に俺たちの心の中で生き続けているのだから。彼女は俺たちにとって女神なのだから」と私。

 18日付の中日新聞夕刊によれば、21日からの核兵器禁止条約第一回締約国会議が開かれるオーストリアの首都ウィーンで会議を前に17日、核廃絶に取り組む世界の若者たちが交流する「ユースオリエンテーション」が開催され、日本から訪れた被爆者が「こんな地獄は二度と起こってはならない」と訴えたという。一方、ロシア北西部サンクトペテルブルクで開かれている国際フォーラムのパネルディスカッションの席上、ロシアのプーチン大統領は17日、ウクライナへの自国ロシアの軍事侵攻に触れ「われわれの安全を保障するのは陸軍と海軍しかない」と発言。対ロ制裁を科した欧米側の圧力に、あくまで軍備増強で対抗していく姿勢を示したという。愚かな人物である。

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 きょうの朝刊1面トップは、東電福島第一原発事故で避難住民らが国に損害賠償を求めた4件の訴訟の上告審判決で最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)が「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」として国の賠償責任はないとする統一判断を初めて示した-ということか。記事によれば、裁判官4人中3人の多数意見だったが、三浦守裁判官(検察出身)が「原子力安全・保安院(当時)と東電が法令に従って真摯な検討を行っていれば事故を回避できた可能性が高い」とする反対意見を出した点が、ある面で人間味を感じて救いになったような。そんな気がした。
 また争点は➊原発事故の原因となった津波を予想できたかどうか➋防潮堤の設置や原子炉建屋の浸水対策などの対策を講じていれば事故が防げたかの2点だが、中日新聞本紙解説にある【再発防止には、責任の所在の明確化が欠かせない。未曽有の被害を出した原発事故で「加害者」が曖昧なままでは、将来の世代に対し「二度と事故は起きない」とは到底言えない。(東京社会部・小沢彗一)】の言葉。関係者には、この点を忘れないでほしい、と訴えたい。

【最高裁「対策命じても津波防げず」 避難者訴訟で初判断】の見出しが躍った18日付の中日新聞(東京新聞)
 

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 日銀が17日、金融政策決定会合を開き、金利を極めて低い水準に抑える大規模な金融緩和策の維持を決定。急速に進む円安ドル高の是正に向け、長期金利の上限を0・25%程度から引き上げるとの観測があったが動かなかった。これにより、利上げを進める米欧と日本の金融政策の違いは一段と鮮明化。こんご金融市場の波乱化が懸念され、円安が加速する可能性が出てきた。黒田東彦日銀総裁は会合後の記者会見で「急速な円安進行は経済にマイナスで望ましくない」とする一方で「長期金利の上限の引き上げは、金融緩和の効果が弱まるので、そういうことは考えてはいない」と強調。この点となると、どちらがよいのか。私には分からない。

(6月17日)
 午前中、屋敷のまわりで草引きに孤軍奮闘(いや、シロちゃんが応援してくれてた)。少なくとも草茫々、お化け屋敷だけは避けねば、と。そう思って挑んだが。やはり、これがなかなか大変だ。シロちゃんも一緒に外に出て何やら草の匂いをかいだりして私の傍らで遊びながら応援協力してくれ助けてくれた。あれでも自分も何か役立たなければ、と思っているところが、またけなげである。

 昨年の今ごろには庭師さんに来て頂き、舞自ら陣頭指揮であれやこれやとお願いをしていた(2021年6月15日写す)
 

 午後は、ちょっと疲れたからだに鞭打ち一宮のスポ文(スポーツ文化センター)へ。社交ダンスのレッスンを受けるためだが、7月18日に迫った発表会を前に、かなりハードな特訓となったのである。上手下手は別にして私は当日、ダンス教師と演じるワルツを何度も何度も何とかこなしたが足、手の動きとともに身のこなしもまずまず。と言いたいところではあったが、レッスン終了後にはドッと疲れが噴き出してきたのも、また偽らぬ事実。この日は、ほかにジルバとブルースの特訓も受けたのである。「ワルツもブルースもタンゴも。扇を開くように踊ることよ」とは、先生・若さんの話。

 東電福島第一原発が立地する福島県大熊町の帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が30日午前9時に解除されることになった。吉田淳町長と政府の原子力災害現地対策本部、福島県の各幹部が16日、町役場で合意、共同記者会見で発表した。
 きのう16日。衆院選挙区画定審議会が小選挙区定数を10増10減し「一票の格差」を是正する区割り改定案を岸田文雄首相に勧告。見直し対象は25都道府県、140選挙区で、いずれも過去最多。格差は現行区割りの2・096倍から1・99倍に縮小した。将棋の羽生善治九段(51)が16日、大阪市の関西将棋会館で指された第八十一期名人戦順位戦B級一組の一回戦で山崎隆之八段(41)を破り、節目の公式戦通算千五百勝を挙げ、自身の最多記録を更新。

 目を世界に転じる。仏独伊の首脳がウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のイルビンを訪れた。3首脳とも侵攻後初の訪問で結束をアピール。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)が15日、連邦公開市場委員会で主要政策金利の誘導目標を0・75%引き上げ、Ⅰ・5~1・75%とすることを決めた。1994年11月いらい、27年7カ月ぶりの異例の利上げ幅で、通常の3倍に及ぶ大きさだという。

(6月16日)
 木曜日である。このところは毎日のように大口町のドンドンドンキに買い物に行くついでに五条川沿いの桜の木に会いに行く。木のなかにおまえ、たつ江(舞)が居る。そんな気がするからだ。とはいっても満開の桜ではなく、緑の葉が染み入る樹々たちに、である。春に、あれほど美しく花を咲かせていたのに。今は別の顔。どの桜も大役を終えて満足そうだ。大役を終えた桜の枝と葉を車窓に私はおまえが好きだったものを一つひとつ頭に描いてみる。
 NHKラジオの「音楽の泉」に「深夜便」。科学や美術に関する各種テレビ番組。おまえが好きだったものは、ほかにもいっぱいあるがハンドルを手に思い付くまま頭に描いてみた。まずは、おまえ自身が張り切ってボランティアの社会奉仕同然に営んでいたリサイクルショップ「ミヌエット」。大変な努力をして月に一度ミニコンサートを開いていたことも。どこに頼んだのか。「ミヌエット」店内で大道芸までやってのけたよね。そして。お店のほかには長年、親しんできた俳句に短歌、若いころは詩もよく書いていた。
 それに、フォークダンスが大好きで、世界中のフォークダンスを、ひと通りは踊れたのには感心した。そういえば、郡上踊りが大好きで着物に浴衣姿が良く似合った。能登七尾の三尺玉花火も何度も見て、好きだった。料理も調理師資格を持っており、ほんとに料理すること自体が大好きだった。ほかにも介護士(ホームヘルパー)資格制度が出来ると同時に文化センターに通って誰よりも先に資格取得をするなどいろいろあったが、書き切れないのできょうのところはもうやめておこう。

 俳句も、短歌も。何事にも果敢にチャレンジしていた伊神舞子(右端。大垣時代)
 

 フォークダンスも大好きだった(中央、一宮時代)
 

 デ、嫌いだったものといえば、だ。私が酔っ払って帰宅するとは、よく冗談で歌う千昌夫の歌【星影のワルツ】だった。おまえは本気で何度も何度も嫌がった。「わたし、その歌。大嫌いだもん」とだ。私は面白がって「別れることは辛いけど 仕方がないんだ 君のため 別れに星影のワルツを歌おう…」と続けると、「もうやめてよ。その歌。大嫌い。きらいだよ」といって私をにらみつけたものだ。
 フランク永井の歌がお気に入りで、なかでも♩公園の手品師♩ウーマン♩おまえに、が大好きだった。この世を去る前には、自らミヌエットのテーマ曲としていた【みかんの花咲く丘】、ほかに【エーデルワイス】を聞かせてほしい、というので、そのつどユーチューブで一緒に聴いた。あの日々は忘れられず、私は今も毎朝、愛猫シロちゃんと一緒にこの2曲を朝の日課として聴いているのである。

 きょうは、これでやめておこう。

(6月15日)
 第二百八通常国会が15日、閉会日を迎えた。政府は午後、臨時閣議を開き、参院選の日程を「22日公示、7月10日投開票」と決定した。

 ここ尾張平野は朝から相変わらずの雨、雨、雨だ。そんななか、けさは不燃物のゴミ回収日のため。空き缶、ペットボトル、その他使用済み容器などを指定の場所へ、と車で運んだ。いつもなら、助手席のたつ江と一緒なのだが。彼女はもはやこの世の人ではなく、天女である。だから一人で行くしかない。

 私は、きょうは夕食弁当を買いに久しぶりに「西友」へ。その足で、吉野家に寄って簡単な昼食をすませて帰った。帰宅すると、シロがいつものように玄関先まで出迎えてくれ、両手をそろえての立ち姿に私は思わず「シロちゃん、毎日本当にありがとうね」と礼を述べた。いじらしい、その姿には自ずと涙がにじみ出てしまう。シロちゃんは、私の帰宅時には、決まってこうして玄関先まで出迎えてくれるのである。シロちゃん! いつも、いつも本当にありがとう。おまえは俺の奥さんみたいだね。いや、おかあさん代わりか。

 今では私の奥さんも同然のシロ(💛入り首輪は、おかあさんにつけてもらったものだ)
 

 中日新聞の本日付夕刊報道によれば、覚醒剤を中国から日本に運ぼうとしたとして麻薬密輸罪に問われ、中国の裁判所で無期懲役の判決を受けた愛知県稲沢市の元市議、桜木琢磨被告(78)の二審公判が今月20日開かれるという。桜木被告は2019年11月、広東省広州市の中級人民訪院(地裁)で無期懲役の判決を受けたが、これを不服として上訴していた。同被告は2013年10月、広州の空港から帰国する際、手荷物検査でスーツケースに入っていた約3・3㌔の覚醒剤が見つかり拘束された。このスーツケースは広州のホテルでアフリカ系男性から「日本の知人に届けてほしい」と渡され、桜木被告は「中に覚せい剤が入っているとは知らなかった」と一貫し無罪を主張している。

(6月14日)
 14日午前零時に続き、朝9時からもNHKのラジオニュースで久しぶりにあの内藤アナウンサーの声を耳にした。NHKの内藤アナウンサーと言えば、亡きたつ江が深夜便の後藤アナと並んで大好きだったアナウンサーの一人である。相変わらず、ひとつひとつ言葉をかみしめるような味のある声である。【九時のニュース。ないとうがお伝えしました。九時五分です】。一言ひと言かみしめるような声に「たつ江、聴いたか。内藤さんだよ。」と私。むろん、私も内藤アナウンサーの隠れたファンである。

 きょうは【高校三年生】や【学園広場】【仲間たち】【絶唱】……と、これまで聞きなれている舟木一夫さんのカセットテープを、かつて一宮時代に私の小唄・端唄の師匠で、今は亡き小境さんの声が吹き込まれた、あの懐かしいテープに替え、道中聞いてみたが、なかなか味わい深いものがあった。これからも出来るだけ多く聴くようにしてみようと思う。中国、近畿、東海、北陸が梅雨入りした。小唄を聴いたら横笛もふきたくなり、ふいてみたが、まだまだいける。これからもふいてみようと心に誓った。ハモニカもふかなければ。文も書かねば。やることがいっぱいだ。

 朝刊紙面には【円安24年ぶり一時135円台】【帰還困難区域 初の居住再開 福島・葛尾】【井山四冠11連覇 囲碁本因坊戦 七大タイトル最多】といった相も変わらず、重い見出しばかりが並ぶ。世の中は、いつも何らかの形で動いている。そして。人びとは。そのつど、その渦のなかに巻き込まれるのである。これは宿命か。それぞれの人に与えられた運命、定めかもしれぬ。

 一方で気になるのは【竜6連敗 過去最低の11位 好調一転また貧打 日本ハム2-0 福留は登録抹消 再調整】といった悲劇的な報道だ。そんななか、【根尾 投手に登録変更へ 立浪監督野手起用も含み】【独自の二刀流像模索<青木スピリット>】といった本日付中日新聞スポーツ面の見出しには、明るい希望のようなものを感じた。根尾には、ある面チャンスを与えられるわけだから、ここは何としてもチームに貢献してほしい。今の窮状を救うメシア(救世主)になってほしく思う。私は、飛騨育ちの根尾は理由もなく大好きだ。なんとしても、ここは男を挙げてもらわなければ。

(6月13日)
 休刊日。代わりに「赤旗」の日曜版で岸恵子さんを読む。
 それから銀行へ出向き振り込みをして古紙回収ステーションへ。お昼は、久しぶりに【あみもとの里】に出向いて握り盛り合わせを、たつ江が大好きだった〝あおさ汁〟と一緒に食べたが、おいしかった。一緒に食べたらどんなにか。喜んだに違いない。

 久しぶりに食べたお昼の握り盛り合わせ
 

 いったん帰宅して今度は永正寺に出向く。一周忌(10月2日)を前に、たつ江のお墓の手続きについて、中村建岳副住職から、いろいろその方法について教えて頂くためだ。その際、水谷大定住職がつい最近、腰の骨を折られた、と知り、どうお応えして良いものか。逡巡したのである。このうえは、1日も早い回復を祈るほかあるまい。大定さんには亡き妻、そして母、父ともにそれこそ、大変お世話になっており、とても他人ごとなぞではないのである。1日も早くよくなられるよう心から願う。祈っている。

 夜、子どもたちと、お母さんの墓をどの場所にするか、を真剣に話し合う。話し合いには「何ごとか」と神妙な顔をしたシロちゃんも加わり、みんなであれやこれやと考えたのである。午後。全国同人雑誌協会代表理事で「文芸思潮」編集長の五十嵐勉さんから電話が入り折り返して話し合う。19日の中部ペンクラブの集まりにお出でになる、とのこと。五十嵐さんは文学への愛は人一倍強く、情熱の人だけに、お会いするのが楽しみである。

2022年6月12日
 日曜日。早朝、あさの換気のため風を入れよう、と少しだけ開けた窓から。またしてもシロちゃんが外に出ていってしまった。1時間ほどで帰ってきたので、ほっとしたが彼女の身にもなれば、だ。四六時中、家の中では、やはりつまらないのだろう。デ、少しだけ開けた窓から彼女が外出するのは私も半分、覚悟のうえ承知の助である。大気に触れ、おかあさん(たつ江、すなわち舞)に会いに行くのが、暗黙のうちに分かるからなのである。

 それはそうと、中日ドラゴンズは何たることだ。昨日、札幌ドームでの交流戦で日本ハムに10-0で、また負けた。朝っぱらから【10失点5連敗ついに…田島2ランスクイズ食らった 立浪竜 単独最下位 20年8月15日以来】の中日スポーツ本日付見出しには、わが心までがボロボロに破壊され尽くしたような、そんなみすぼらしい気持ちにされたのである。全くもってドラは何をやっとるのだ。勝たないかん。勝たねばならないのだ。北海道在住の会川さんらドラキチファンはじめ、月間ドラゴンズ美貌の有能記者、ほかに記者、カメラマンたちだって。誰もがグッと我慢をして。そう思っているにちがいない。
 でも、野球は人生と一緒。勝つときもあれば負けるときだってあるのだから。負ければ、私も大好きな新庄新監督の方の多くのファンが喜ぶ。だから。それはそれでイイジャナイカと。そう、無理矢理に自らに言い聞かせる私。
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 早朝。窓を開けると、<かぜ>がそよぎ、草の葉が揺れていた。その揺らぎの大気の中に。おまえ、かわいいたつ江、舞がいる。そして。その傍らには、つい最近亡くなったばかりの、やさしかった私の母親もいる。シロちゃんは、そのふたりのおかあさんに会いに行ってきたのだ。

 東電福島第一原発事故で国が立ち入りを規制する帰還困難区域のうち福島県葛尾村野行地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)がきょう、12日午前8時に避難指示解除となった。県内に残る帰還困難区域で住民が居住を再開できる避難解除は初。4世帯が帰還の意向だという。
 話は変わるが、日銀黒田総裁の値上げ許容度発言、批判に能天気なご本人はすぐに撤回したというが。一体全体、この人物は、いつまで総裁ポストにしがみついているのか。発言が庶民感情から遊離していたのでは、やはり辞めてもらうしかないのではと思うのだが。安倍クン、いや、岸田さん。いかがなものか。
 賢明でやる気満々の岸田首相には人事の方もバサリバッサリとやってほしい。それをやらなきゃ、いけない。部落解放同盟の第79回全国大会最終日が9日開かれ、中央執行委員長を24年間務めた組坂繁之氏(79)が勇退し後任に西島藤彦中央書記長(68)を充てる新執行部を選出して閉幕。新しい書記長には、赤井隆史中央財務委員長(60)が就いた。カシマスタジアムでのサッカーJリーグ。鹿島-福岡戦で、やっと声出し応援が一部で解禁された。そうかと思えば【帝国版図「奪還は責務」 プーチン氏ピョートル大帝に自らを重ね 「ロシアの日」戦果誇示か】といった見出しまである。
 そして。光明というか。救い、いや大相撲ファンの私としては、嬉しい話というべきか。新型コロナウイルス対策のガイドライン違反による6場所出場停止処分が解けた元大関朝乃山の稽古が11日、東京・墨田区の高砂部屋で報道陣に公開されたことか。三段目での復帰が濃厚な名古屋場所(7月10日初日)に向け24番の申し合いを行い、師匠の高砂親方(元関脇朝赤龍)が「再出発です。頑張ってもらいたい」と語ったという。

(6月11日)
 きょうは雨。この地方は雨である。あめのなか、田舎の道をハンドルを手に運転しながら、思いがけず若いころ、よく口ずさんだ橋幸夫さんの【雨の中の二人】のリズムが口をついて出た。
 ♩雨が真珠の小粒なら 恋はピンクのバラの花 肩を寄せ合う小さな傘が 若いこころを燃えさせる 別れたくないふたりなら 濡れてゆこうよ 何処までも……

 繰り返し、繰り返し。なんどもなんども唄ってみる。私の妻、舞は少しだけ横着なところがあり、なぜか雨に濡れたまま歩くのが好きだった。私がびしょ濡れになりながら傘をさしかけたことは数え知れない。そして。私もそういう彼女を好きでたまらなかった。ここまで書いたところで突然、隣でニャオン、ニャオ~ンとの甘えたような声がしたので振り向く。と、そこには舞の化身と言ってもいい白猫シロちゃん、すなわちオーロラレインボーが「そうだよ。そうなのだから」といった顔でつぶらな目を私に投げかけ神妙な表情で見上げていた。
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 シロ。すなわち、わが家の俳句猫シロちゃん(俳号・白)は、今や、たつ江そのもの。天女になったおまえ、すなわち舞本人みたいな、そんな気がしてならない。いつも私の傍らで何かを考えるように、時には思いつめたように静かに両手をそろえて何を言うでもなく、ただ黙って私の傍らに座って正面を見ており、もはや、かつてのおかあさんそのものだ。
 そのシロちゃんが、けさ早く何を思ってか。私の部屋の窓のサッシ戸のガラスを自らの手でこじ開け、脱走した(いや、外に出た)。急に姿が見えなくなった相棒のことを心配していると、まもなく台所外の向こう側、クーラーの室外機の上にチョコンと座り、私の方を覗き見るように顔をあげているところを発見。中に入れてやる。やれやれ、である。

 見れば、すぐ近くの縁台には毎朝、シロに会いに来る野良猫の〝ここ二世〟(わが家には、かつて妻舞の庇護の下で〝こすも・ここ〟と先代シロが家族の一員として一緒に過ごしていた。そして。〝ここ二世〟はシロが初代シロそっくりのように、初代ここの生まれかわりと思われるほどの〝そっくりさん〟である)が、これまた満足そうな顔をして私を見上げているではないか。その様子は「アタシたちふたり、シロとここは、これでいいのだから。つべこべ言わないでね」といった表情が見てとれたのである。

 室外機の上で何思う シロはこのように外界を見ることが好きだ
 

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 入梅。月日は人びとの悲しみなど関係ない、とでも言いたげにトントンとんとん、トコトントンと流れ、人間たちはその車輪になされるがまま、どこへとも知れない果てなく、見えない道を歩いてゆく。み~んな。そうである。無情のようだが。第一、悲しみも。幸せも。そんなものは【時】を刻む自然には関係ないのだ。

 朝。きょうも朝刊各紙に目を通す。悔しいのは、中日スポーツの1面記事。【竜延長11回サヨナラ負け】【交流戦勝ち越し消滅 負の連鎖断ち切れ】【打てない粘れない… 今季2度目4連敗】【大野雄熱投に報いられず 阿部がまさかのトンネル 延長戦チーム今季初黒星】の見出しのとおり、ドラゴンズは10日に行われた札幌ドームでの日本ハム戦に2-1で敗れたことである(ドラは11日の試合も負けた)。
 印象深かったのは、11日付中日朝刊の宇宙飛行士野口聡一さん(57)へのインタビュー記事の中で宇宙航空研究開発機構(JAXA)を退職した野口さんが「宇宙は基本的には死の世界。生きていることは奇跡だと感じた」と語っていたこと。そして弦楽器専門の競売会社「タリシオ」が9日、日本から出品されたバイオリンの名器「ストラディバリウス」がニューヨークでの競売で、千五百三十四万㌦(約20億6千万円)で落札されたことを明らかにしたことか。この「ストラディバリウス」は、カレーハウスCoCo壱番屋(愛知県一宮市)を展開する壱番屋の創業者、宗次徳二氏が2007年から所有していたという。

「生きていることは奇跡だ」と野口さん(11日付中日)
  

 ほかに【(岸田)首相「アジアの危機 積極対応」 中国の脅威念頭 安保会議で講演】【英国人戦闘員ら3人に死刑判決 ウクライナ東部の親ロシア派勢力】【「兵士毎日100~200人死亡」 ウクライナ戦況一進一退】【「桜」夕食会酒無償 安倍氏ら4人告発 市民団体】(11日付中日)といった見出しが気になるところか。
 そして。本日付夕刊では【声で刻む24万人の名前 沖縄戦犠牲者あすから読み上げ=沖縄県糸満市の平和祈念公園にある「平和の礎(いしじ)」に刻まれた沖縄戦犠牲者全員の名前を、オンラインで読み上げる催しが12日に始まる】【北朝鮮外相に崔善姫(チェソンヒ)氏=対米交渉を担当してきた女性の第一外務次官】
【井上尚「世界最強ボクサー」 全階級通じたランク1位 米誌認定】【ロシア事業損失 世界で7・9兆円超 撤退や縮小1000社】が気になる記事か。いずれにせよ、良きにつけ悪しきにつけて世界は動いているということか。

(6月10日)
 時の記念日。金曜日。まもなく午後11時半である。愛猫シロちゃんは、相変わらず私の部屋のソファに身を横たえ、私の気持ちを推しはかるように、ただ黙っている。シロよ。シロ、シロ。シロちゃん。きょうも本当にありがとう。午後11時半過ぎ。シロちゃん、きょうもありがとう。もう寝るよ、と私。

 新聞には【ウクライナ 海上「回廊」難航 世界の穀物外交カード 食糧危機の恐れ広がる】【対ロシア策強化 OECDが議論 閣僚理事会】(10日付中日朝刊)といった見出しが躍っている。そして【影響16億人 国連報告書】の見出しつきで『「ロシア軍が黒海を封鎖し、ウクライナ産の小麦など穀物の輸出が滞っている問題で国連は八日、報告書を公表し「穀物価格の上昇など、九十四カ国の十六億人が影響を受けている」と指摘した。グテレス事務総長は「前例のない飢餓と貧困の波を引き起こす恐れがある」と強い懸念を表明した。』などと報じている。
 ほかに、ことしの名古屋まつりを10月15、16の両日に3年ぶりに開催する方針が決まった、だとか。訪日外国人観光客の受け入れが本日、10日から再開されるなど。いろいろある。

 けさは朝のうち、結構強い雨だったが、雨はやがてウソのように止んで、空は晴れた。このところは現在、出版準備が進んでいる天女になった舞の俳句短歌集、そして私の新刊小説集の原稿の出稿や読み直し、出版社とのやり取りなどもあって結構、慌ただしい日々を過ごしている。

 そうしたなか、けさはピースボートスタッフの田中洋介さんから「あれから10年。76回クルーズ10周年記念オンライン同航会を30日午後7時から開催します。途中参加。途中退出OKです。オンラインでの開催ではありますが、地球一周を共にした皆さまとの再会を心より楽しみにしております。当日はクルーズにご一緒したスタッフも参加します」とのメールが入った。いまロシアのウクライナへの軍事侵攻が世界平和を脅かしている時だけに、皆さんがどんな気持ちで毎日を過ごしているかを聞くにはよい機会かと思う。それだけに、私自身、出来れば参加したい旨をさっそく返信させて頂いたのである。

 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手(27)が9日(日本時間10日)、本拠地(アナハイム)でのレッドソックス戦に「2番・投手」でスタメン出場し、0-1の五回に10試合ぶりの本塁打となる12号を放った。投手として先発したリアル二刀流での出場試合での1発は今季10試合目で初となった。

 午後。いろいろすべきことの合間を盗むようにして一宮市のスポーツ文化会館へ。社交ダンスのレッスンのためで、きょうはワルツとジルバ、ルンバの特訓を受けた。

(6月9日)
 木曜日である。新聞は、初夏を彩る名古屋市・荒子川公園のラベンダーが見ごろだとか、同じく初夏を告げる「第31回YOSAKOIソーラン祭り」が8日、開幕したと報道。このソーラン祭り。2021年と2022年は新型コロナウイルスの影響で中止となっていたが、3年ぶりのソーラン祭りで踊り手たちが躍動した、とのことだ。見出しには【札幌 3年ぶりの熱気 YOSAKOIソーラン】とあった。

 国連総会が8日、安全保障理事会で拒否権を行使した常任理事国に説明を求める初会合を開催。先月26日に対北朝鮮制裁強化決議案に対して拒否権を使った中国とロシア両国は共に「制裁緩和が必要だ」とする従来の主張を繰り返し、拒否権行使を正当化したという。ロシア軍との戦闘が続くウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が8日、同州の要衝セベロドネツク主要部からウクライナ軍が撤退した旨を明らかに。支配地域は「市郊外だけになった」としており、ウクライナの劣勢が鮮明になったという。
 なんだかば馬鹿げたことではあるが、ロシア軍は東部のルガンスク、ドネツク二州(ドンパス地域)全域制圧へ攻勢を強めており、ドネツク州でもウクライナ軍主力部隊がいる北部の拠点都市包囲を狙って激しい地上戦を展開しているという。

(6月8日)
 水曜日。朝刊は将棋の第三十三期女流王位戦五番勝負(中日新聞など主催)の第四局が7日、徳島市のJRホテルクレメント徳島で指され、先手番の里見香奈女流王位(30)が八十九手で挑戦者の西山朋佳女流二冠(26)=白玲、女王=を破り、対戦成績3勝1敗で4連覇を達成。通算八期目の女流王位を獲得したこと。そしてボクシングのバンタム級世界3団体王座統一戦が7日、さいたまスーパーアリーナで行われ、世界ボクシング協会(WBA)国際ボクシング連盟(IBF)王者の29歳、井上尚弥(大橋)が世界ボクシング評議会(WBC)王者の39歳、ノニト・ドネアを2回1分24秒TKOで下し、日本選手初の3団体統一を果たしたことなどが報じられている。
 またプロ野球は、投打二刀流の大谷が所属する米大リーグ・エンゼルスがレッドソックス戦で0-1で負け、球団ワーストタイの34年ぶり12連敗が報じられた。日本ではDeNAの今永昇太投手(28)が7日、札幌ドームで行われた日本ハム戦でプロ野球史上85人目、通算96度目の無安打無得点を達成。4月10日に完全試合を達成したロッテの佐々木朗希、5月11日のソフトバンクの東浜巨に続く今季3人目の快挙。試合は2-0で勝った。その一方で、わが中日ドラゴンズはロッテに6-2で逆転負け、3連勝を逃した。

 世の中は生きている以上、かくかくしかじか毎日毎日いろんなことが、あるものである。

(6月7日)
 JAXA(宇宙航空研究開発機構)の探査機はやぶさ2が2020年に地球に持ち帰った小惑星りゅうぐうの砂などの試料から生命の源とされる有機物のアミノ酸が検出されたことが分かったという。新聞は、このことを【りゅうぐう砂にアミノ酸 声明起源解明に期待 はやぶさ2採取 20種以上検出】(6日付中日夕刊)【生命の源 地球外で初確認 りゅうぐう砂にアミノ酸 はやぶさ2採取 どう誕生? 他の星にもいる?】(7日付中日朝刊)【リュウグウ試料にアミノ酸 十数種類 生命の謎解く鍵に はやぶさ2が持ち帰り】(7日付毎日朝刊)と一斉に報じている。
 さらに毎日の7日付余録では「▲探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料からアミノ酸など複数の有機物が見つかった。生命の宇宙起源説を裏付ける世紀の大発見かと色めき立つSfファンも多いだろうが、そう単純ではないらしい▲隕石からも水を含む鉱物やアミノ酸などの有機物が見つかっている。そもそも宇宙航空研究開発機構(JAXA)がリュウグウを選んだのは小惑星がそうした隕石の「ふるさと」とされているからだという▲……」といった具合に補足している。

 「りゅうぐう砂にアミノ酸」 生命の宇宙起源説を裏付ける大発見を報じた各紙
 

 ほかには、相変わらず死闘が続くロシア軍のウクライナへの軍事侵攻に関連、ウクライナ東部ルガンスク州のガイダイ知事が5日、同州の要衝セベロドネツク市を巡ってウクライナ軍が「市の半分を支配下に置いた」と通信アプリに新たな展開を投稿。一時はロシア軍による完全制圧も近い、と伝えられていたセベロドネツク市でのウクライナ軍の猛反撃と制圧地域の奪還などが報じられている。この戦争、まだまだ終わりそうにはない。
 それはそうと、スポーツはやはり良い。サッカーのワールドカップ(W杯)欧州予選のプレーオフが5日、英国・カーディフで行われ、ウェールズが本拠地でウクライナに1-0で競り勝ち、64年ぶり2度目の本大会出場を決めたという。6日には国際親善試合のサッカー、キリン・チャレンジカップが東京・国立競技場で行われ、日本はブラジルに0-1で敗退。日本は、よく耐えたが終盤、エースのネイマール(パリ・サンジェルマン)にPKを決められた。6日は大相撲の出げいこも2020年3月の春場所以来、久しぶりに解禁となり、元大関の幕内高安が小結大栄翔らのいる埼玉県草加市の追手風部屋に出向くなどした。この久しぶりの出げいこは22日までで、23日以降は名古屋場所=7月10日初日・ドルフィンズアリーナ=に向けての各部屋での調整となるという。

2022年6月6日
 杉本治子も。最匠展子も。そして伊神舞子も、だ。皆、いなくなってしまった。私はこの先どうしたらよいのか。でも、重信房子は生きている。まだまだ。彼女は、これからである……

 私=当時のペンネームは、伊神ごん太=の著作で、丸善のベストセラーにもなった「一宮銀ながし」。表紙絵は杉本治子によるものだった
 

 月曜日。本日付の中日新聞朝刊で【市職員の遺志 本巣に咲き誇る 淡墨桜の事業に 寝たきりの間も 最期まで古里のことを考え続けていた 国天然記念物指定100周年】といった、さわやかな明るい話題が目にとまった。
 淡墨桜、と言えばだ。かつて、昭和50年前後のころに当時の平野三郎岐阜県知事はじめ作家の宇野千代さん、地元在住の桜守り、そして根尾村民らによる「淡墨桜顕彰保存会」による精力的な献身努力で枯死寸前に陥っていた老樹・淡墨桜(樹齢1500年)の命を守った人々の話を、何度も何度も現地に足を運んで「これでもか」「これでもか」と書き続け、一時は〝淡墨記者〟とまで言われていた私としては思いがけず、とても嬉しく、心が和む話題である。

 この日の記事にあるとおり、がんに倒れ、49歳の若さで逝ってしまった本巣市職員の古澤美保さんが亡くなる前に残した遺言が花開くなら、それほど喜ばしいことはない。ことし10月に国天然記念物の指定100周年を迎える岐阜県本巣市の根尾谷淡墨桜。地元小学生たちがこの名木を通じて古里について学ぶプロジェクト「Motosuをtomosu(本巣を灯す)」運動に乾杯を捧げ、今は亡き市職員の遺志が実ることを、かつての淡墨桜担当記者として、心から望みたい。=淡墨桜については、私の著作「淡墨桜のような」(幻冬舎ルネッサンス「マンサニージョの恋」所収)と「泣かんとこ 風記者ごん!」(能登印刷)に詳しい

【市職員の遺志 本巣に咲き誇る】の見出しが光る(6月6日付の中日新聞朝刊)
  

    ※    ※

    ☆    ☆
 北朝鮮が5日午前9時8分ごろから同43分ごろにかけ平壌郊外の順安(スナン)などから計8発のミサイルを発射。最高高度25~90㌔で110~670㌔を飛行、いずれも日本の排他的経済水域(EEZ)の外側に落ちたと見られている。かと思ったら、今度はけさ6日になり米韓連合軍が午前4時45分から約10分の間に「ATACMS地対地ミサイル」など8発の短距離弾道ミサイルを発射、北朝鮮の挑発行為への対抗措置とみられる。

 世界は相も変わらず日々、混とんとしている。ロシアのウクライナ侵攻は依然として続いており、ウクライナの首都キーウ(キエフ)では5日朝、市内2地区でインフラ施設に対する複数のミサイル攻撃があったという。ウクライナ軍はロシア軍がカスピ海から巡航ミサイル5発をキーウに向けて発射した、と指摘。うち1発を迎撃、4発はキーウのインフラ施設に着弾。鉄道施設などが被害を受けたという。この醜く、愚かなる戦争は一体全体、この先いつまで続くのか。

(2022年6月5日)
 「マーメイド号」に乗っての【太平洋ひとりぼっちの】旅から60年。米サンフランシスコから「マーメイド3号」に乗って日本に向けヨットで航海していた海洋冒険家の堀江謙一さん(83)=兵庫県芦屋市=が4日午前2時39分、ゴールの和歌山・日ノ御埼沖の紀伊水道に到達、世界最高齢の単独無寄港太平洋横断を69日間で成し遂げた。1962年に世界で初めて達成してから60年の節目に新たな歴史を刻んだ。堀江さんは取材にこたえ「大過なく無事に帰ってくることが出来、大変うれしい。皆さんの応援をいただきありがたい。(帰宅したら)ゆっくり、お風呂に入りたい。僕自身は青春真っただ中なのです」などと述べた。
 各紙報道によれば、堀江さんの快挙を陰で支えたのは、堀江さんに長年伴走してきた技術者や地元企業だったという。このうちヨットを設計した横山一郎さん(76)=横浜市=が堀江さんとタッグを組むのは4回目。父の故・晃さんも著名なヨットデザイナーで、堀江さんが1962年に世界初の単独無寄港太平洋横断を果たした初代マーメイド号を設計。堀江さんが2002年、同じルートを68日間で走破した際は、横山さんがヨットを設計。親子2代で堀江さんの冒険を支えたという。

2022年6月4日
 土曜日である。

【パレスチナの民と重なるウクライナの母と子供の哀しい眼に遭う】
【曼殊沙華逆縁の子に会いたくて会いたくていく燃える畔道】
【一瞬にアリスの国に転がって扉を叩くか逮捕記念日】
【テロリストと呼ばれしわれは秋ならば桔梗コスモス吾亦紅が好き】
 =重信房子の歌集「暁の星」から

 若い日。長髪だった十代のころから。ジョーンバエズの【If We had Wings】などのフォークソングに、ずっと、ただヒタスラにあこがれていたミニスカートでギターを抱えていた少女たつ江。その舞が晩年に、いつもお世話になっていた町の本屋さん、杉浦書店から先日、私が注文しておいた重信房子さんの【歌集「暁の星」(皓星社)】が届いた。

 杉浦書店から届いた重信房子さんの歌集
 

    ※    ※

    ☆    ☆
 きょうは中国・北京の天安門広場に民主化を求めて集結していたデモ隊に人民解放軍の軍隊が武力鎮圧、多数の死傷者を出した、あの痛ましい天安門事件から丸33年の、まさにその日である。私は当時、新聞社の七尾支局(石川県能登半島七尾市)にいて民主化を求めて立ちはだかる学生の群れに人民解放軍の装甲車が次々と突入し、多くの学生が踏みつぶされて亡くなっていった悲惨極まる様子をテレビニュースで見て愕然としたが、あの時の模様は今も忘れられない。と同時に「(私も生まれた)中国って、なんて恐ろしい国なのだ」という印象が頭に焼き付いたことを覚えている。

 時あたかも、日本ではバブル華やかなころで当時、「加賀屋」に代表される和倉の温泉街が温泉百選で日本一の温泉として毎年、名を連ねていたころの話である。和倉温泉ではクジに当たったお客をハワイに招く浴客招待が華やかなころで、私自身も同行取材するなど日本中がバブルに弾け、浮かれていた、そんな時代の思いがけない悲劇でもあった。それだけにテレビ画面に次々と映し出された、あの惨忍極まる、人権という人権が踏みにじられたあの事件のことは今も忘れられないのである。
 おそらく日本人、いや世界中の誰もが今なお脳裏をかすめる天安門だったといえよう。
    ☆    ☆

(2022年6月3日)
 こんな詩を書いてみた。

【涙の向こう】
私は私のこころを一つひとつちぎっては
舞を思い出し、泣きに泣く
心はちぎればちぎるほど
思いが募ればつのるほどに 
大きな爪痕となって無限大に広がってゆく

こんどは涙をちぎろうとした
でも、涙は流れるばかりだ
そして目の前に思いがけず現れ出たのが
舞の化身のシロちゃん
すなわちオーロラレインボーだった

心はちぎれ、ちぎれて
涙は際限もなく流れ、流れてゆく
涙は一体、どこへいくのか
わからない
なぜだろう

 でも、舞が生前話していたように「シロ、シロちゃんはなんでも知っている」。そのシロちゃん。オーロラレインボーは、きょうも健在で、まるで舞の化身のようだ。

 シロちゃんは健在でいる
 

2022年6月2日
 私自身【文士刮目】という連載を皆さんからの要望もあって月に一回書いている「脱原発社会をめざす文学者の会」のホームページが一新されたので、きょうは読者のみなさまに先ずはそのことをお知らせしたい。今後とも、一人でも多くの方々に読んで頂き、共に手と手を携え合って生きてゆけたらイイナ、と思う。ちなみに13回目の文士刮目のタイトルは【沖縄流れてどこどこ行くの 平和のシンボル・夢の島に】。
 そして。私たち「文学者の会」の同志は加賀乙彦代表はじめ皆、戦争はむろんのこと、原発事故による放射能漏れ、さらには気候変動による異常気象などのない豊かで平和な社会の実現をめざして歩む同志たちばかりである。それだけに、これからも、このホームページを【文士刮目】もあわせてご愛読願えたら、ありがたい。
 新しい公式サイトのアドレスは次のとおりである。
 https://dgp-bungaku.com

    ☆    ☆
 さて。ちまたでは、ロシアのウクライナへの軍事侵攻の影響もあって、世界中で石油をはじめ野菜などどれもこれもが軒並み値上がりする危機的事態となっている。こうしたなか、このところの新型コロナウイルスの感染拡大沈静化に伴い、水際対策が緩和され、きのうから日本への入国者数の上限が1日当たり1万人が2万人に引き上げられた。また2023年に卒業予定の大学生らに対する面接による採用試験も1日に解禁され、就職活動が本格化。全日空では3年ぶりに事務や技術職の新卒採用を実施し今後の航空需要の回復を見越し50人超の採用を見込み1・2次面接はオンライン、最終面接は対面で行う。日本航空も3年ぶりに客室乗務員の新卒を採用予定だという。

 一方で日本では新型コロナウイルスの影響で収入が減った個人事業主らを支援する国の持続費給付金をだまし取ったとして東京国税局職員の塚本晃平容疑者(24)らが詐欺容疑で逮捕される事件などが相次いで発覚。これまでに全国で4000人近くが合わせて31億8400万円もの受給を不正に受けていたとあっては、嘆かわしい限りである。
 この世の中には、正直者があすをも知れず苦しんで生きているなか、身に覚えのある小賢しい人物がいっぱいいる。そんな気がするのは私だけか。

 島根県の丸山達也知事が2日、中国電力島根原発2号機(松江市、出力82万㌔㍗)の再稼働への同意をこの日開かれた県議会本会議で表明。「再生可能エネルギーや省エネのみによる電力供給では不安定さや住民・地域生活に大きな負担が生じることが懸念される。現状では原発が一定の役割を担う必要がある」と述べた。島根原発の稼働には既に松江市も同意しており、地元同意は出そろったことになる。再稼働はこんご安全対策工事を経たうえで2023年度以降になる見通しだという。

 気になるロシアによるウクライナへの軍事侵攻の方だが。親ロシア派「ルガンスク人民共和国」部隊のマロチコ報道官が1日、「近く公式にウクライナ東部ルガンスク州の要衝セベロドネツク市の完全制圧宣言が出される」との見通しを明らかにし、ウクライナ軍参謀本部も1日、市東部を制圧された、と発表したという。田中英寿前理事長(75)の脱税など一連の不祥事を受け新体制移行を進める日本大の新理事長に日大出身の作家林真理子さん(68)=現日本文藝家協会理事長=が内定。写真家の田沼武能(たぬま・たけよし)さんが1日、東京都内の自宅で死去。93歳だった。

2022年年6月1日
 水曜日だ。なぜか。幕末は高杉晋作が詠んだあの都都逸「あけがらす」が口をついて出た。
 ♩三千世界の鴉を殺し 主と朝寝がしてみたい

 中国の上海市が新型コロナ対策で約2カ月にわたって続けてきたロックダウン(都市封鎖)を1日午前零時(日本時間午前1時)に解除。住民の外出を許可した。市は鉄道や地下鉄、バスなどの運行をほぼ復旧させ、自家用車の走行も市全域で認めた。中国は厳格な「ゼロコロナ」政策で感染を抑え込んできたが、感染力の強いオミクロン株の流行により上海で多数の感染者が発生。3月末からの都市封鎖で上海や周辺都市で製造業の生産や港湾機能が停止していた。解除により、感染者が出ていない地区の外出制限がなくなり、公共交通機関の運行が再開。市民は5月31日夜、居住区内で音楽会を開くなどして封鎖解除を祝ったという。
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 名古屋市天白区の相生山緑地では体長7~9㍉ほどのヒメボタルの乱舞がピークに。長良川で知られる岐阜では、夏を前に名物「水うちわ」の制作が急ピッチで進み、最盛期を迎えているという。昨秋この世を去ったわが妻たつ江に続いて先日逝った私の母が健在なら、きょう六月一日は満百二歳の誕生日を迎えたはずだった。この世は薄情で、月日は人それぞれの思いとは関係なく無情な時を刻んでゆく。私たちをどこへ連れていこう、というのか。母はいつもこの日がくるとは、私に決まって、こう言っていた。
「たかのぶ。あのね。おかあちゃんが生まれた日は、和田(現在は江南市古知野町和田)に初めて明かり、電気が点いた日なのだよ」と。この歓喜した言葉は、いまだに忘れられない。

 人間社会、それぞれの世界でそれぞれの浅はかなる思惑がからんでか。ロシアによるウクライナ侵攻はじめ、どこもかしこもが結局のところは、私利私欲からの混乱をきたしている。相手の立場に立って考えればよいものを。「私なら」という自分勝手な私心が色濃く反映しないでもない世の中のような、そんな気がしないでもない。これも人間にまとわりついた愚かなるサガなのか。

 それはそうと。けさのホットニュースは、中日ドラゴンズの新戦力に新しく「タバちゃん」が加わったことか。けさの中日スポーツによれば、新外国人のタバ-レス=ドミニカ共和国=が31日にバンテリンドームナゴヤで入団会見。『最速152㌔右腕は、同席した立浪監督からの「先発として期待したい」の声に「準備万端です」と気合十分だった。背番号99で、推定年俸600万円。』。
 あだ名は「タバちゃん」だそうで、このタバちゃん。今季は日本海オセアンリーグ・富山GRNサンダーバーズでプレーし、全て救援で12試合に登板し防御率0・00。2018年には広島で育成選手としてプレー、来日6年目で日本語も得意な苦労人だそうだ。ドラゴンズの新体制の方針なのかどうか。中日はいい選手を獲得したな、とつくづく思う。大いに期待したい。応援しなければ。

 そして、硬派記事では何といっても【泊原発 運転差し止め 札幌地裁判決「津波対策不十分」 廃炉請求は棄却(1日付中日1面見出し)】だろう。これは北海道電力泊原発1~3号機で事故が起きた場合、住民の命や身体の安全が脅かされるとして周辺住民ら1200人が北海道電に運転差し止めなどの訴訟を求めた訴訟判決で札幌地裁が31日、津波に対する安全性の基準を満たしていないとして現在定期検査中である三基の運転差し止めを命じたもので、原告側によれば、津波対策を理由に運転を認めなかった判決は、今回が初だ、という。

 札幌地裁判決を報じた新聞各紙
 

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