詩小説「FLQX」(8)

目が覚める
カーテン越しの日が強い
昨日のことは夢だったのか
いや
脱ぎ捨てた黒装束がそのまんま

さて
冷たいウオターをまず一杯
顔を洗っていつもの通り
文庫本を尻ポケット
ドアを押して朝の始まり

階段を下りると車の騒音
歩道を西に向かいながら
あれは今日もあのままか

胸を震わせ角を曲がる


あれ
あの白いものが消えている
まさか

通り過ぎようと
その場所で
胸ぐらを
掴まれ 曳かれるおもい

逃げ出したいが
平然 平然
高い白塀の角を曲がって駐車場
さあ急げ
まっしぐらに幹線道路
トラックの間を縫うように
走る走る古いカフェへ

ドアを引く
迷うことなくカウンターへ
まぶしさを遮るロールカーテン
尻ポケットから文庫本
なにか重い
もどかしく
表紙を外して押さえつける
目ん玉を
これでもかと
大きく開く

英語
だったよなぁ
   
ANATAKORE
HIROTEKURETE
ARIGATO
HAZIMEMASITE
WATASIHAMIKA
ANATANOKOTO
SITERUYO

AFNATAKORELKARA
IQIKOTOAXRUYO

KOREGAYOMETARA
DENWASITENE
YAKUSOKUYO
GOGO7ZIKARA8ZI
NOAIDANINE
MATERUYO
ATO6NITIYO
09010345###

-FLQX

もご もご もご

エイネテクオリオ
ハイロテカーテ
エライゲート

英語か?

続けてみる

ウエテスイハンアイケイ
エイネイテインオコト
サイターヨ

まったく分からん
目を通す

090
1034
5###

これって?
最初に戻る

アンアタコレ

待てよ

アンアタ
じゃなくて
アナタ
じゃないか

ローマ字かぁ

アナタコレ

続ける

ヒロテクレテ
アリガト
ハジメマシテ
ワタシハミカ
アナタノコト
シテルヨ

なにい
俺のことを知っている
冗談じゃないぞ
これは

アフンアタコレルカラ
イキュゥイコトアエックスルヨ

なんだ ここは

コレガヨメタラ
デンワシテネ
ヤクソクヨ
ゴゴ7ジカラ8ジ
ノアイダニネ
マテルヨ
アト6ニチヨ
09010345###

ふーむ

ーFLQX

ーフル キュゥ クス

って何だ
(続く)