【生きてゆく人間花たち/2015年9月の唄】

平成二十七年九月三十日
♪ひとり酌む李白は月に吾は虫に 京極 杞陽

 立待月である。
 ただ黙々と書き続ける。傍らでは、愛猫こすも・ここが座り私を見守っている。
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 中国は、あす10月1日が国慶節。その建国記念日を前に、きょうの夕方、南部の広西チワン族自治区の柳州市柳城県の地元政府や鉄道駅、市場、病院、刑務所など十数カ所で連続して爆発が起き、建物が倒壊する被害が続出した。地元メディアによれば、7人が死亡、2人が行方不明に。50人以上がケガをしており、社会に不満を持つ何者かが大型連休に入るこの時期に合わせ、テロに及んだ可能性が強いという。

 中国といえば、ほかにも愛知の男性ら日本人男性ふたりが「スパイ行為」に関わったとして拘束されていることが分かった。1人は中国東部・浙江省の軍事施設近くで、いま1人は東北部・遼寧省の中朝国境地帯で。どちらも拘束は5月ごろで、拘束は現在まで数カ月に及び、中国が昨年11月に施行した反スパイ法や刑法がその根拠になっているとの見方がつよい。中国では2010年9月、準大手ゼネコン「フジタ」の社員ら日本人4人が河北省石家荘市の軍事管理区域でビデオ撮影をした、として拘束されたが、このときは20日以内に釈放されたという。
 世界も日本も日々歴史を刻んではいるが。なんだか暗い話がつづく。
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 保育所や認定こども園などに申し込んでも利用できない待機児童の数が今年4月1日時点で2万3167人(前年比1796人増)で5年ぶりに増加した、と厚生労働省。待機児童解消を目指した子ども・子育て支援新制度導入により、保育の受け皿そのものは拡大したが、それを上回る勢いで利用希望者が増加。依然として2万人を越える状態が続いているという。
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【きょうの一文・ことば】
「食事もおいしいし、無重力でよく寝られて快適。星もきれいに見えますよ」「重力がないので時間があるといつもくるくる回ったりして遊んでますよ」「窓から見る地球が非常にきれい。写真を撮るのが楽しみです」(油井亀美也さん)「(長野県)川上村にいながら宇宙と交信できるなんて。夢のようだった」(川上中3年新海智也さん)
=30日付中日朝刊『宇宙と故郷の結い 長野・川上村出身 油井さん交信』の記事のなかで。国際宇宙ステーションに滞在中の宇宙飛行士、油井さんと母校の川上中に集まった地元の子どもたちとの交信内容と地元中学生の交信後の感想

【新聞テレビから】
☆『トラックガール走りだす 福井 女性だけの運送会社誕生』、『ダイアナ妃写真155万円 結婚式撮影14枚、米で競売』、あ『中国、愛知の男性ら拘束 スパイ容疑か邦人2人』、『日歯連前会長=高木幹正容疑者(70)、岐阜県美濃加茂市=ら3人逮捕 虚偽記載容疑 上限超す献金』『迂回献金で初立件 同じ日に同額振り込み』『「行動派」「政治に熱心」 日歯連前会長 美濃加茂の知人ら』、『遺体に抵抗の跡なし 女子高生殺害容疑 伊勢の少年 送検』『内閣改造は来月7日 首相会見 石破・稲田氏ら焦点』(30日付、中日夕刊)
☆『パリコレ開幕』、『御嶽山危険と魅力追い 加茂農林校 ドキュメンタリー制作』、『帰国の日本人刺しゅう買い取る シリア女性支える針と糸 経済面で生活応援、』『心の復興 実り待つ 石巻NPOが農園開設』、『安保関連法公布 来年3月までに施行』、『鉱工業生産0・5%の低下 8月・判断下方修正』、『ラーメン店強殺 元従業員金銭問題で退職 春日井 強殺容疑で逮捕』(30日付、毎日夕刊)
☆『高3刺殺「本人に頼まれ」 伊勢 容疑の少年供述』『演劇部、看護を志す■「18歳で死ぬ」』『マイナンバーいつ届く? 来月下旬から順次』、『元従業員 強殺容疑で逮捕 ラーメン店事件 任意聴取中 逃走』『捜査員 1人で追尾見失う』、『「元名大生責任能力あり」知人殺害、名家裁が逆送』、『架空百万ドル札「1枚150万円」北署、詐欺容疑2人逮捕』(30日付、中日朝刊)
☆『東証1万7000円割れ 714円安「新三本の矢」反応薄く』、『浪江町117人集団提訴 東電・国相手取り原状回復求め 福島地裁支部』、『新幹線採用されず インドネシア中国方式に』、『難民支援に969億円 国連演説 首相表明へ』、『奥田さんに殺害予告 シールズ中心メンバー 大学に脅迫状』、『「出産で国家に貢献して」 福山さん結婚で菅官房長官』、『〈クローズアップ2015〉日露首脳会談 北方領土手詰まり「サシ会談」わずか10分』『露、狙いは経済協力』(30日付、毎日朝刊)

九月二十九日 
 一見、何げないよく晴れた秋の1日である。時折、ここちよい〈かぜ〉のなかにヒヤリとする寒さも感じられる。知らない間に深まりゆく秋。

 愛知県春日井市の「うま屋ラーメン春日井朝宮店」で従業員ふたりが死傷し売上金250万円が奪われた強盗殺人事件で県警は今夜、元従業員の無職宮地良多容疑者(27)を大阪府岸和田市内の実家庭先で逮捕した。
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 昨夜、名古屋の兄宅から入った電話によれば、日進の施設で過ごす95歳の私の母がつい先日の金曜深夜から翌土曜未明にかけ原因不明の全身の震えに長時間、襲われたという(母は彼岸なので「お父ちゃんが、私を迎えに来たのかな、と思った」と話している)。 
 月曜に検査してもらったが、どこも悪くはないとのことだったが、妻の舞は仕事を急きょ臨時休業にして、けさ早く名鉄鶴舞線とタクシーを乗り継いで日進へ。いつも思うが、こうした時の彼女の対応は電光石火の如くすばやく、すぐに実行に移す。どんなにか、私が救われていることか。
 と言う私は、昼に横笛レッスンで名古屋に出た以外はこのところは自宅で缶詰となって執筆に追われており、おかげでどれだけ助けられていることか。それこそアレヨアレヨと言う間の判断で、かつて私の「志摩に来るか」に即座に対応、はたちで家を捨て私のもとに飛び込んできた駆け落ち当時と何ら変わりがない。ありがとう。おかげで私は、いまこうして小説を書き続けることができる。
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 オバマ米大統領とプーチン露大統領がニューヨークの国連本部で首脳会談を行い、シリア内戦への対処やウクライナ情勢をめぐって協議した。ロシア側がアサド大統領を過激派組織「イスラム国」(IS)に対抗する存在だと評価したのに対して米側は宗派対立をあおる存在として否定的に見ている、と主張。一方で両大統領とも内戦を終結させる政治的プロセスの必要性を認識、こんごは両首脳とも両軍の衝突回避のためにも連絡を取り合うことで合意したという。それなりに一歩前進といえようか。
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 伊勢で28日夜に起きた高3女子死亡(殺人?)。松阪市の高3波田泉有(はだみう)さんが同じ高3男子に胸を刺されて死んでいた場所は、虎尾山の記念碑近くだった。この虎尾山。伊勢市出身作家橋本紡さんの純愛小説「半分の月がのぼる空」の中で〝砲台山〟として登場する場所で、熱心な男女が恋愛の聖地として訪れるとか。この日は10人ほどの男女が山に入って行き、しばらくすると叫び声が山の方から聞こえてきたという。いったい何があったのか。少年は「頼まれて刺した」と話している。
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【きょうの一文・ことば】
 人間は過去に大変失礼なことをされたことがあっても、おだてられるとついつい忘れてしまう。それじゃあ、いけない。礼儀はいつだって、しっかりしなければ。おだててくるときには相手に何らかの魂胆があるので、注意しなければ。
=名古屋の横笛師匠宅で。レッスンのさなかに。師匠のことば

 星がにじんで見えるのは失恋の時だが、火星が心なしかうるんで見えるのはこのニュースから? 流れる水存在の証し発見、と。
=29日付毎日夕刊〈近事片々〉から

【新聞テレビから】
☆『木材繊維研究で成果 「森林のノーベル賞」日本人3氏』、『油井さんアーム不具合中断も こうのとり分離成功』、『胸刺され高3女子死亡 伊勢 殺人容疑、同級生逮捕』『現場近く 住民、うめき声聞く』、『シンドラー社員無罪 06年・高2死亡 保守会社3人有罪』『事故9年エレベーター乗れず 遺影持つ母無念』『PKO任務拡大に対応 首相国連演説「安保法」で可能に』『ロ大統領訪日年内目指す 首脳会談領土問題なお隔たり』、『元名大女子学生を逆送 知人殺害 名家裁、重大性考慮』、『中電・ドコモ提携しポイントサービス』(29日付、中日夕刊)
☆『日露、平和交渉を継続 首脳会談「領土」露は触れず』、『アサド政権巡り米露首脳溝残る シリア問題』、『伊勢・高3女子死亡 住宅街響くうめき声 山林に制服姿の男女 同級生「分け隔てない人」』、『「火星に今も水」証拠 NASA時折現われる模様』、『「18歳選挙権」で副教材 高校生対象 政治的中立に配慮 文科省』『「論争の過程が大切」』(29日付、毎日夕刊)
☆『東京五輪5競技追加 IOCに提案来夏決定 若者重視IOC意向』、『木造復元調査費可決へ 名古屋城天守閣で市議会』『エアアジアJ=マレーシア拠点の格安航空会社=が中部空港に本社』、『国内最高齢の115歳女性死去=女性の死去で国内の最高齢者は鹿児島県喜界町の田島ナビさん(115歳、8月生まれ)となった』、『愛知県警 著名人に吹き込み依頼 街であの声が 安全呼び掛け』(29日付、中日朝刊)
☆『VW前会長を捜査 規制逃れ詐欺容疑 独検察』、『新国立完成「20年1月に」 首相前倒し』、『エンブレム問題 森会長「心配かけた」謝罪 公募前 8人だけに文書』、『国宝・本殿の修理開始 春日大社20年ぶり衣替え』、『「契約金は標準額超過」朝日の報道 巨人軍の請求棄却 東京地裁』、『110番 2カ月で337回 業務妨害容疑大分の男を逮捕』(29日付、毎日朝刊)

九月二十八日
 東京五輪の大会組織委員会がきょう都内で理事会を開き、2020年東京五輪追加種目選定で野球・ソフトボールと空手、ローラースポーツのスケートボード、スポーツクライミング、サーフィンの5競技、合計18種目の実施を国際オリンピック委員会(IOC)に提案することを決めた。注目の野球は実現すれば、ソフトボールと統合した1競技として2008年北京大会いらいの五輪復帰になる。
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 あき。天に向かって。おおぞらをカンバスに。
♪秋空に未来永劫と書いてみし
と、指でなぞってみる。
 この俳句は、妻・舞がかつて新聞の俳壇に応募し、優秀賞に選ばれた作品である。確か私たちが小牧か七尾のいずれか、にいたころの作句で以降、私は秋が訪れるとは、この俳句を口ずさむことにしている。あのころは、こどもたちもまだ幼く、空港のある町・小牧では数々の大災害や凶悪事件などが起きるつど取材ヘリなどで現場に送り込まれ、七尾では市民あげての港の町づくり、いわゆるマリンシティ運動とこれに伴う七尾青年会議所との全国でも初めての海の詩(うた)公募、中国残留孤児の帰国ラッシュ、志賀原発(当初は能登原発)の公開ヒアリング・漁業補償取材などに追われていた。
 なかでも新聞社から能登管内の各支局、通信局部に原発事故に被災した際のヨウ素剤が配られてくるなど緊迫した日々の連続でもあった。それだけに、この1句には、どれほど支えられてきたことか。
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 台風21号が28日、沖縄県・先島諸島付近の海上を通過して台湾へ。沖縄県与那国町では午後3時41分、全国歴代4位となる最大瞬間風速81・1㍍を記録。この地点では観測史上最高になる、という(気象庁調べ)。
 歌手で俳優の福山雅治さん(46歳)と俳優の吹石一恵さん(33歳)が結婚した、とそれぞれの所属事務所が発表。福山さんは「吹石さんとは友人関係から始まり、数年前から付き合いが続く仲。いつしか人生を支え合う存在として意識するようになりました」とのコメントを寄せた。28日は吹石さんの誕生日。
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【きょうの一文・ことば】
「戦後七十年間、平和であった実績にもっと自信を持つべきだ」
=28日付中日朝刊『玄侑さん、姜さん安保法など議論 岐阜「こころの好縁会」』の記事のなかで。玄侑さんと姜さんの基調講演に続く鼎談での小出宣昭中日新聞社長の発言

【新聞テレビから】
☆『排ガス問題「雇用どうなる?」 独ウォルフスブルク VW城下町に不安 1100万台リコール検討』、『安倍内閣の9条解釈変更 法制局、検討資料残さず』、『とにかく今を楽しむ 声帯摘出つんく♂さん 命ひとまずあれば やるべきことはやれる』、『孫の高3 逮捕状請求 山梨、80代夫婦殺害容疑』『被害者が周囲に「別れたい」相談 小平の殺害』『広島の46歳女性 浴室に遺棄容疑 新聞配達員の男逮捕』(28日付、中日夕刊)
☆『広がる田んぼアート 青森の村から全国100カ所へ 展望台収入が急増』、『シロザケ波間に見え隠れ 北海道・羅臼』、『安倍首相 朴大統領と立ち話「日中韓会談楽しみ』、『日イラン経済協力推進 投資協定 早期締結目指す 核合意履行日本要請』、『カタルーニャ独立派勝利 議会選 中央政府と対立激化へ スペイン』『州知事「計画推進へ力」』
(28日付、毎日夕刊)
☆『希望の白星重ね 御嶽海新入幕確実に』『惨事繰り返さない御嶽噴火1年追悼式』『「魂きっとここに」』、『MRJ(三菱リージョナルジェット)に大規模投資検討 量産化支援で1000億円』、『安保法声上げ続ける 名駅前 シールズTOKAIが街宣』『玄侑さん、姜さん安保法など議論 岐阜「こころの好縁会」』、『新図書館の賛否問う 小牧市住民投票告示』(28日付、中日朝刊)
☆『一緒に空の旅 十五夜大きく明るく』『神聖な「車田」稲刈り今年も 高山』、『核燃料70%溶融か 福島2号機 名大チームが調査』、『アフリカから欧州へ 生きるためサハラ縦断「他に選択肢ない」』『サハラ密航 不法行為横行 武器麻薬売買にも利用 カネなければ足止め』、『仏がシリア領空爆 対IS 難民急増で方針転換』、『憲法解釈変更 法制局1日で審査 過程公文書残さず』、『選考委員に王貞治さん 五輪エンブレム』(28日付、毎日朝刊)

九月二十七日
 わが家の頭上高く浮かんだお月さん
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 十五夜お月さんである。夕食後、ベランダの空高く浮かぶ月を仰いだが、周囲に神秘的な光りを放ち、それは美しかった。私は思わず長女猫、こすも・ここを抱きあげ夜空を仰ぎ見た。ここも一瞬、不思議な仕草で月に目をやり何かを感じたようだ。舞によれば「本当の満月はあすなのよ」とのこと。もう1日、見られる。幸せ。贅沢な気もする。
♪羽ばたいてみる十五夜の猫たちは  火箱 ひろ 

 日曜日とはいえ、きょうも執筆を中心にバタバタバタッ、と時は流れていった。私の意識はやはり半分はうとうと。寝たままだったが。午後4時過ぎ、いつものように舞から〈イ・ク・ヨ〉の出撃命令が出され、野菜畑へ。きょうも彼女の指示の下、これまで大いに花を咲かせ、実もつけてくれた長茄子とピーマンの根っこ部分を全て抜き取って処分した。
 そして。舞がことし初の柿を一個一個収穫している間、私は例によって草引きをし、畝の横の部分の土を備中で掘り起こすなどしてみた。これらは全て舞の指令による。こと野菜づくりに関しては彼女の言うとおりにしていれば間違いない。最近、そう確信するようになったからである。
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 畑からの帰り道。突然「ほんと言うと、きょうは柿を取りにきたんじゃない。これからお月さんをお迎えするススキをとりたい。でも、この辺ではどこにもないじゃないの」と言う。デ、「そんなことはない。俺が昔、飛び回っていた一角にススキは確かに生えているはずだ。任せろよ」と車で少年時代の記憶を手繰りよせながら川を挟んで水田が広がる一角に。それこそ急に目の前に現われ出た、思ってもいなかったススキ野に、舞の喜びよう、ときたら大変なものだった。

 ススキ野に満足そうな舞とわが家に飾られたススキ
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 中日ドラゴンズは26日、横浜球場でDeNAと対戦。3―2でサヨナラ負けし最下位に転落。この試合、谷繁監督兼捕手が現役としてラストゲームに出場。27年間の通算出場試合は3021に。ちなみに27日付中日本紙スポーツ面の見出しは『3021試合 谷繁万感』『思い出深い横浜で現役最終戦』『竜逃げ切れずサヨナラ負け』だった。
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【きょうの一文・ことば】
 (優勝決定戦になりましたが、の問いに)またダメかな、と思いました(国技館に笑いがドッと沸き上がった)でも、腐らないでやってきて、最後に自分の相撲が取れてよかったです。横綱になって長い暗いトンネルからやっと脱け出ることができたので、これから頑張りたい。
=東京・両国国技館であった大相撲秋場所千秋楽。本割で寄り切られた大関照ノ富士を決定戦で上手出し投げで破って12勝3敗で優勝した横綱鶴竜が、インタビューに応えて
※鶴竜は横綱昇進後、9場所目の優勝で横綱では初。2回目の優勝に輝いた

【新聞テレビから】
☆『〈俳句甲子園〉日本一へ 高校生達が俳句で勝負 あふれ出す10代の感性』(27日、NHKEテレ)
☆『〈サンデー版大図解〉中国の海洋進出』、『安保法私たちも考えた 成立1週間 東邦高で模擬投票』、『御嶽噴火きょう1年 遺族が慰霊式』『不明の友、消せない番号「引きずりたくないけど、忘れたくない」』、『自動運転車17年ごろ市販 トヨタ 高速道で操作補助』『20年には一般道で 異業種も参入、競争激化』、『〈カタルーニャ議会選きょう投開票〉盛り上がる独立賛成派 反対派住民分断を危惧』(27日付、中日朝刊)
☆『秋の夜に浮かぶ きつねの嫁入り 飛騨』『亡きあなた「見守って」御嶽山噴火1年』、『映画監督の会が安保法抗議声明』、『米大統領「行動が重要」 サイバー問題中国にクギ 首脳会談』『「迂回資金」で選挙用名簿 参院選前 日歯連、56万人分』、『山本昌投手引退表明 「もっと見たかった」ファンから惜しむ声』、『井上監督最多59冠 バスケ女子 桜花学園が国体優勝』、『ラーメン店強殺 金庫以外荒らさず 売上金管理方法を熟知か』『「無念でならない」オーナー』(27日付、毎日朝刊)

九月二十六日
 土曜日。
 しばらく離れていた、ある小説の執筆を再開したまでは良かったが。どうしても時間が限られてくる。デ、今日こそ執筆1本に専念しよう、と思いつつやはり「そんなことでは何かにつけ自分を甘やかすことになる」と自らにいい聞かせ、いつもどおり毎週土曜の社交ダンスと月1度、土曜のサンポーニャのレッスンにも挑んだ。昨夜遅くから未明にかけ、本欄〈生きてゆく人間花たち/9月の唄〉の9月25日分を書き終え、編集作業を終え公開にたどり着いたのが午前10時半。

 さあ、ここからが大変。車で木曽川の愛岐大橋を渡って各務原市内のレッスン会場へ。少し遅れてしまったが、ルンバを踊る際の足と腰、からだへの重心の取り方に始まり、身のこなし方などをピースボート乗船時以降、ずっとお世話になっている〝京子先生〟から「お腹を引っ込めて」「背筋を伸ばす」「重心を置く時は絶えず垂直に。釘を1本の線で通すように。そうすれば、自然にお腹もへっこんでくるはず」「体が傾いてる。まだまだダメよ。背中は俯き加減ではなく、そらして! 胸を張って」など優しき鬼軍曹といったところか。
 徹底的に基本を教えられ、少しさまになってきたかな―と思ったところで早引けし、こんどは車で1時間かけ、北名古屋市は西春のサンポーニャの教室へと走った。いやはや、目まぐるしい。本当を言うと、社交ダンスかサンポーニャか。どちらかに絞るか。それとも、きょうは思い切って両方のレッスンともに潔く捨て、遅れている小説書き1本にするか。逡巡があったが、こうした時にこそ、敢えて自分に厳しくなければと全部に挑むことにしたのである。レッスンをやめて小説の執筆に絞ったところで恐らく、たいしてかわりはないだろう。
 きょうは、本欄執筆もここらでやめておこう。たとえ自身へのノルマにしても、だ。毎度のことではあるが、睡眠不足もここまでくると尋常ではない。それはそうと、ここ数日間は動き通し、歩き通しだったこともあり、全身の手足が痛む。
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 冬支度をするエゾナキウサギの冬支度を報じる26日付毎日新聞の夕刊
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 毎日新聞の本日付夕刊によれば、「秋を迎えた北海道の十勝岳(標高2077㍍)の険しい岩場で、冬眠をしないエゾナキウサギが、餌集めに忙しく動き回っている」という。「時折、岩の上に立ち止まって周りを見渡すようなしぐさも見せていた。」とあり、動物たちの世界もいよいよ冬支度が始まった。それにしても、このエゾナキウサギちゃん、本当にかわいい。
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 プロ野球の現役最年長で〈プロ野球最年長勝利記録〉など数々の栄光の記録を持つ中日ドラゴンズの山本昌投手(50歳)が今季限りで現役を引退する。25日に昌さんご自身が中日新聞社を訪れ、ドラゴンズの白井文吾オーナー(中日新聞社会長)にあいさつを兼ね伝えたという。今季の残り試合が少なくなり復帰は困難と判断。チームの若返りが進むなか、自ら身を引く決断となった。昌さん、長い間お疲れさま。
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【きょうの一文・ことば】
 新三本の矢をひもとけば、強い経済は「富国強兵」、子育て支援は「産めよ増やせよ」…。そして一億総活躍社会は「進め一億火の玉だ」。まだ夢の中ならいいのだが、本当にいいのだけれど。
=26日付中日夕刊夕歩道から。抜粋

【新聞テレビから】
☆『大水害記憶と備え忘れない 伊勢湾台風56年 慰霊祭』『御嶽噴火あす1年 午後、慰霊式』、『サイバースパイ禁止合意 米中会談元再切り下げ回避 「南シナ海」では溝』、『幼児そろばん ご名算 親早期脳トレ 塾生徒減歯止め』、『300年前天ぷらレシピ 茶会の料理 通説より35年早く登場』(26日付、中日夕刊)
☆『〇eye 難民、新たな人生求め』、『50歳山本昌、引退 中日一筋219勝 昨年、最年長勝利』、『福島に「復興牧場」 原発事故避難 (避難生活を送る飯舘村などの)酪農家5人が経営』、『〈千の証言〉茶道家・千玄室さん 特攻仲間と母思い涙 武器に勝る一服の茶「文化は平和、世界に心開いて』、『お帰り 100年前の桜 英植物学者の標本写真公開』、『私たちの将来に投資を マララさん国連で演説』、『FIFA(国際サッカー連盟)会長を捜査 スイス検察 資金不正使用疑い』(26日付、毎日夕刊)
☆『「採決存在せず」署名3万2000筆超 安保法、参院側に申し入れ』、『50歳山本昌引退へ 中日チーム若返りで決断』『マサ 32年目の降板 チーム最優先「まだできるけど…」』、『事故2年前津波対策拒む 東電側、保安院要請に』、『米シアトル バス衝突邦人1人死亡 水陸両用車に異常か』(26日付、中日朝刊)
☆『米大統領「人権が重要」 中国主席をけん制 首脳会談開始』、『VW経営陣刷新へ独当局、他社も調査』『抜き取り検査強化 日本』、『稲田氏入閣へ 丸川氏起用も検討』、『避難指示・勧告常総市が全解除 関東・東北暴雨』『〈御嶽山噴火1年〉自分の身を守る術学ぶ/知らせて出かける「息子の死教訓に」写真集め最期たどる』、『福島菊次郎さん死去 94歳 反骨の報道写真家』、『店員に殴打痕3カ所 ラーメン店強殺 ほぼ即死の状態』、『水道料金1カ月3614万円 熊本市がミス 実際の275倍引き落とす』『家族でラスベガスへ 国交省係長 元社長が費用負担』(26日付、毎日朝刊)

九月二十五日
 軽井沢の町で出会った愛らしいホンドリス。クルミを手にしていた
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 先日。松本、長野経由で軽井沢を訪れ、脱原発社会をめざす文学者の会提唱の〈自然災害と原発事故を考える〉会に参加した。表現者仲間との議論を重ねることによって何かと思うところが多い軽井沢行きとなったが、きょうはその番外編として道すがら感じたことをここに記しておきたい。
        ★        ★
 まず感じたのは、国民の間で戦争法案だと批判され近年にない〈評判の悪い安保法案〉の参院可決の過程で、あれほどまでに傷ついたはずの国民が意外とあっさり、かつ、平然とした顔でシルバーウイークなる大型連休を楽しんでいる、そんな異様な怪体さだった。やはり、一般国民にとって、安保法案なぞといったシロモノは他ごとでどうでもいい。今の日本人にはナンチュウことない。のかな、と思わず首をひねってしまったのである。そして〈評判の悪い安保法〉がなぜか奇妙きてれつ、かつしたたか、要するに不思議な法律に私の目には映ったのである。
 人によっては【世紀の悪法】と言われる法律が通ってなお、こうしてレジャーを楽しむ人の波は松本も、長野も、軽井沢も、帰りに途中下車して歩いた木曽福島の中山道も。みな同じ風情であった。ニンゲンみな、今を楽しむために何ごとも忘れて生きようとしているのか。いやいや、戦争が起きないうちに束の間の幸せを噛みしめておかなければ、と。そう思いアキラメの境地で悪法の上に座すつもりでの行動なのか。それとも、悪法撃沈を前にしたポーズなのか。私には、そこが分からない。
        ★        ★
(時代は溯る)昭和40年代。松本支局のサツまわり記者だった私は新聞社から半ば強制的に送られてきた防弾チョッキ入り重装備を身につけ当時、火を噴いていた信大医学部学費値上げ反対闘争を取材するため学生たちのデモ隊に連日の如く付き合わされた。全身汗びっしょりとなって着いたデモの終着点、信大・県(あがた)の森では警備に当たる機動隊に学生たちが投石。正門入り口部分が椅子や机などのバリケードで封鎖され、カルチェ・ラタンと化し、街じゅうが騒然としていたものである。M社の記者が投石を頭に食らって救急車で病院に運ばれた、あのデモ取材は忘れることができない。
 が、先日の松本は全くの別人と化していた。サッカーとか、全国リクリエーション大会の開催とか、大型連休のさなか、観光や登山ラッシュもあってか。どこから、こんなにも集まって来たのか。女鳥羽川沿いのその街は、あのころとは打って変わった色に染め尽くされていたのである。あの日々のような緊迫感なぞ、どこにも見当たらない。これがつい先日まで法案可決阻止を叫んでいた日本なのか。心底から疑問に思ったのである。
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 軽井沢を歩いていて、忘れられなかったのはホンドリスたち、との出会いだった。メーンストリートに面した歩道の至るところで出迎えてくれたリスちゃんの木彫りの像。くるみを手にしたその一匹一匹の姿がなんとも可愛らしくて、私はこの町に来てよかった、とつくづく思ったのである。 
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【きょうの一文・ことば】
「子どもらはやり場のない思いを抱えているもの。それを吐き出させるのが詩なんです」
=25日付中日夕刊『子どもの詩あっぱれ 元教員・駒瀬銑吾さん「小学生の詩」発刊 願望や想像力重視』から。〈詩は本来、心の内面を描くものだ〉と主張する駒瀬さんのことば

「変わらない心だけが、心なのではないでしょうか」
 辰姫は再び夜空を見上げた。
=25日付毎日夕刊連載小説『津軽双花 26 葉室麟 中川学 画』から。抽出文

【新聞テレビから】
☆『F1爆音水しぶき 日本GP 鈴鹿で開幕 20台フリー走行』、『モンゴル童話和訳秀逸 逸ノ城関「故郷を伝えたい」協力 江南の交流協会が紙芝居』『女性300万人就業目指す「活躍法」来春施行 政府が基本方針』、『8月消費者物価28カ月ぶり下落 0・1%マイナス 電力料金など要因』(25日付、中日夕刊)
☆『新国立問題 文科相給与を自主返納「改造近い」辞意、遺留で撤回』、『安保法30日交付 半年内施行』、『米中今夜首脳会談』、『終戦間際空襲の恐怖まざまざ 米軍の航空写真35枚発見 広島・呉の戦艦/長野・上田飛行場/岩手・花巻空襲など』、『宅見組を家宅捜索 大阪府警 分裂後、抗争に警戒』、『八代目芝翫(しかん)襲名へ 中村橋之助さん』(25日付、毎日夕刊)
☆『〈忘れない御嶽山噴火一年9・27〉㊤遺族会 悲しみ共有支え合う』、『首相「参院戦公約に改憲」 安保法成立で意欲表明』、『さらば打撃の職人 和田選手引退試合 ファン拍手』、『連休の売上金250万円被害 春日井の強殺 計画的犯行か。』(25日付、中日朝刊)
☆『メッカ巡礼717人圧死』、『経済と社会保障前面に 安倍首相が政権運営方針』、『VW不正 欧州でも』、『新国立検証委「無責任」空気任せの末 リーダー不在議論なく 引責もお手盛り』、『容疑者意識戻る 埼玉殺害 自分の名前答える』、『「ラグビー界の秩序戻った」日本敗戦で英紙安堵』(25日付、毎日朝刊)

九月二十四日
 21日から外出していた。帰宅後は、そのレポートを1部、本欄に記しておきたい。

「原発は絶対大丈夫だ、と言ってるがそんなことはありえない。私たちは悪いことをしたくない。そのためにも歴史の教えを学ぶのが出発点です」と語る加賀乙彦さん=22日。軽井沢の朗読館で
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 外出していたわけは、22日に軽井沢で〈浅間山の麓で、自然災害と原発事故を考える〉をメインテーマに開かれた第1部「ライブとトークin朗読館」、引き続き場所を朗読館から軽井沢町内のwine&musicRUBATOに移して催された第2部〈福島を語るタンゴとワインの夕べ〉=いずれも脱原発社会をめざす文学者の会(代表・加賀乙彦)主催=に出席したためだ。1、2部ともにこんご原発社会から脱却するために私たち表現者はどう生きていくべきかをはじめ自然災害や原発事故への備えと心構え、マスコミの報道本来の責務などについても、それこそ魂を揺さぶる熱心な発言が相次ぎ有意義なひとときとなった。
        ☆        ☆
 前日。私は、かつて駆け出し記者生活を過ごした松本で一泊し長野経由の北陸新幹線で軽井沢入りすることを決め、長野行き「特急しなの17号」で名古屋を出発。松本で途中下車したものの、市内のホテルが全館満室と知り急きょ予定を替え今度は「特急しなの21号」に乗って長野へ。長野も松本と変わらず「全館満室」のホテルばかりだったが、幸い飛び込んだ4件目で「障害者用のバリアフリーが完備した部屋一室だけが開いています。そこでもよろしければ」と言われ、ここでの投宿を決めた。落ち着き先が決まったときは、午後10時を過ぎていたがその分、長野駅に近い居酒屋での1人酒が身に沁みたのである。

 と、こんなドタバタ劇の果てに翌日は北陸新幹線の長野発「あさま638号」東京行きで軽井沢へ。しなの鉄道で中軽井沢まで行き、軽井沢の事情に詳しい作家で同じ日本ペンクラブ仲間でもある森詠さんが、わざわざ駅まで車で出向いて下さり無事、会場入りすることができた。森詠さんには、ここであらためて礼を述べたい。
        ☆        ☆
 さて詩人の森川雅美さんの司会で始まった作家加賀乙彦さんと、「今こそ知っておきたい 災害の日本史 白鳳地震から東日本大震災まで」(PHP文庫)の著者でも知られる岳真也さんによる1部のトークライブ「福島第一原発事故と自然災害」は、文学者の会事務局を預かる山本源一さん(編集者)が中心となって準備が進んだだけあって、さまざまな切り口からの視点が参加者の関心を誘った。
 具体的には「脱原発」を訴えている表現者として文学活動を通して一体何ができるのか、を中心に展開。参加者全員が、この日用意された日本の災害史年表や震度6弱以上の地震確率分布図、日本の原発地図を前に、真剣に考える絶好の機会となった。
 なかでも加賀さんは「原発や災害に〝絶対〟とか〝想定外〟の言葉はあり得ず、私たちは正直に歴史の教えに学ぶ必要がある。安倍首相は、原発は絶対に大丈夫と言っているが、これは真っ赤なうそだ。私たちは誰だって悪いことはしたくない。ということは人間としての倫理を大切にする。このことをあらためて噛みしめたい」「戦争はなぜ始まるのか。過去の歴史を見ると、欲望が国家に産まれた時に決まって戦争が起きている」と自らの小説『永遠の都』などにも触れつつ、人間としての倫理面での大切さ、を強調された点が深く心に残った。
 岳さんも、戦争さなかの1944年12月7日に起きたマグニチュード7・9の巨大地震、東南海地震に触れ「これを報道したのは日本では中部日本新聞(現中日、東京新聞)ただ1紙だったが、ニューヨークタイムズは1面トップで報じた」事実を紹介。さらに翌1945年1月13日に起きた三河大地震は報道管制が敷かれ、一切報道されることなく、このことが日本の敗戦を決定づけた。もし報道されていたなら、広島、長崎と続いた原爆投下の悲劇は避けられてかも知れない、とまで言い切り情報公開をしないことの怖さを訴えた。

 故郷への思いを年ごとにリレー形式で歌う橘光顕さん=22日軽井沢の朗読館で
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 1部は次いで福島県の浪江町で被災し埼玉県上尾市シラコバト団地で避難生活をしながら故郷への思いを歌い続けるシンガーソングライター、橘光顕さん(「東日本大震災に咲く会ひまわり」会長)が登壇。被災後、1年目から5年目までの心の揺れ動きを1年ごとにリアルに告白、その過程で歌が生まれ、人と人との絆、互いに思いやる輪が拡大していったいきさつを語りながら、自ら作詞作曲した歌「旅立ちの歌」「託された未来」「最後の日まで」などを1曲ずつうたい、会場の感動を誘った。
        ❤        ❤
 第2部〈福島を語るタンゴとワインの夕べ〉もなかなかの聞きごたえ、見ごたえある内容の異色の試みとなった。女性タンゴデュオ「月の虹」(バンドネオン力石ひとみさん、ピアノ丸野綾子さん)による本場のアルゼンチンタンゴの演奏に続き、「4人の文学者が福島を語る」の順ですすんだ。
 
「4人の文学者が福島を語る」ワンシーンとアルゼンチンタンゴを演じる力石さんと丸野さん=22日夜、軽井沢町のRUBATOにて
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 福島を語る―では、まず最初に文芸評論家でラテン文学にも詳しい川村湊さんが「本場のアルゼンチンタンゴを聴きながら、ラテンアメリカと福島は故郷を離れた人たちの郷愁というか、同じ悲しみ・サウタージを抱えて生きている気がする」と口火を切り、この発言には「いま聴いた音楽は砂の器のテーマ曲にすごく似ている。原発用地に来た多くの人々は、原発事故でその土地すら追い出されてしまった。〝あそこの家は【移民】だから〟と、今だに言われている。この点では確かに哀愁といおうか。悲しさで共通する点がありますね」と志賀泉さん。
「情けない。けれど決してあきらめない」と誰かが言うと「この悲しさをどうやって伝えていったらいいのか。報道だけでは限界があって無理で音楽や芸術、文学の果たす力は、とてつもなく大きい。福島の人々が〝国内難民〟として生きている今、原発事故は許せないが波及して生まれるモノも必ず出てくる。その担い手として我々がどこまで書けるか、がいま問われている」(森詠さん)「1人ひとりが原発に向き合わなければ。日本人の全てが当事者でありたい。今こそ、福島の苦海浄土が書かれなければ。原発事故という苦しみのなかから大きな文学が生まれてくる。いや、そうでなければ。そう信じています」(村上政彦さん)など。時の流れも忘れるほどであった。
        ❤        ❤
 ここで私は思う。何より大切なことは文学者の矜持とか、そんなものはかなぐり捨てて被災地の現状を知り、自らの目と耳、足でその気持ちを描き書き続けてゆく。そして、そのことが1人の小説家として被災地の人々のためになるのであれば、と。そう、つくづく決意した次第である。 
 終始一貫、ワインを飲みながらの楽しく、かつ有益な夕べとなったが、社交ダンスでタンゴを少しばかり踊れる私はタンゴデュオの演奏中は目を閉じ、網膜のなかで踊る自身がいるのに気付いた。「ダンスが踊れたら、もっと良かったのに」。相変わらず自分勝手なことばかりを思う自分自身には、ほとほと呆れ果てもしたのである。
 そして。最後に、この粋な夕べは軽井沢に別荘を持つ作家橘かがりさん(東京在住)が中心となって文学者の会事務局長山本さんらと協力して準備を重ねこの日にこぎつけただけに、その労には心より感謝しておきたい。
        ×        ×
 名古屋は中村高校出身の有名人で映画「失楽園」でも知られた女優の川島なお美さん。彼女が今夜、胆管がんで東京都内の病院で亡くなった。54歳だった。川島さんといえ青山学院大在学中に歌手デビュー。女子大生タレントの先駆けとしても人気を集め、彼女ならではの演技力の冴えもあった。まだまだ若いのに。合掌―
 警視庁は、児童ポルノ根絶を訴える歌手アグネス・チャンさん(60歳)の公式ツィッターに「めった刺しにして殺してやる」と脅していた東京都昭島市に住む中3男子生徒(15歳)の自宅を家宅捜索。書き込みに使われたとみられるスマートフォン1台も押収した。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 いろんなことにガツガツしないで。のんびりと自然体でやっとりますわ。もうガツガツしたってしようがないもの。お店に入ってきたお客さん1人ひとりを大切にするよう心がけています。もう75歳ですよ。
=23日の午後。軽井沢からの帰りの道すがら。中央線の木曽福島駅で下車し、中山道を散策後に、ふらり立ち寄った喫茶・軽食の「ボン」で。ママさん倉野光恵さん(75歳)が私に向かってしみじみと語ってくれた

 れもんかみつつ思う事平和  伊神舞子(55) 愛知県江南市
=24日付中日朝刊1面『〈平和の俳句〉戦後70年』から。朝刊を何げなく読んでいたら、思いがけず妻の作品が目に飛び込んできた。ここは、おめでとう。すなおに祝福したい
【評】〈いとうせいこう〉酸っぱいレモンを噛みながら、あふれる果汁にふと平和を思う。平和とは何だろう、どこから来るのか、そう思える時間が平和。

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【新聞テレビから】
☆『杉原資料 記憶遺産候補に ユネスコ国内委選定』『「命の大切さ世界に発信」杉原氏の出身 八百津で期待』、『82歳院生創作の旅 常滑の会社社長 絵学び直し訪れた各国描く』、『排ガス規制他社も調査 米環境当局、VW(フォルクスワーゲン)不正受け』、『ラーメン店で強盗殺人 春日井、従業員2人死傷』、『電子マネー詐欺東京地検起訴前 捜査情報を開示5000万円取り戻す』(24日付、中日夕刊)
☆『秋駆け下りる 北海道・旭岳』、『習氏「市場へ透明性」 米中投資協定交渉加速』、『VW不正会長辞任 関与社員を告発へ』、『11月までに難民施設 EUギリシャなど3カ国(ギリシャ、イタリア、ブルガリア)に』、『「子は先生の言うこと聞くしかない」 大川小遺族ら陳述へ 有識者会議』、『国交省贈収賄 使用延長「問題なし」 格納庫用地 係長、上司に報告』、『3活動家逮捕で拠点を家宅捜索 安保法案抗議デモ』(24日付、毎日夕刊)
☆『脱原発民主主義取り戻せ反安保 東京で集会・デモ』『〈平和の俳句戦後70年〉れもんかみつつ思う事平和 伊神舞子(55)愛知県江南市』、『日本 第2戦敗れる ラグビーW杯』、『2人8000円のはずが 請求15万円 接客女性の酒1杯8000円 錦三で頻発「ぼったくり」ルポ』『フリーの客引き暗躍』、『中村・阪神GM急死 66歳 都内、ホテルで心不全』、『これも五輪予算? 国産アジサイ栽培や地震対策費 概算要求で各省庁』(24日付、中日朝刊)
☆『〈3・11それから ’15秋㊦〉28歳ノリ漁師 家再建うれしく重く「最初からコケられない」』、『♪誕生日の歌♪みんなのもの 米で著作権無効判断』、『「新型大国関係推進を」習主席 米訪問を開始』、『〈平和国家の転換 安保関連法成立⑤〉来夏へ続く反対の波』、『STAPの虚偽立証 ハーバード大・理研 ネイチャー投稿』(24日付、毎日朝刊)

九月二十一日
 わけあって2、3日、わが家を離れる。

 あす軽井沢の朗読館で行われる「脱原発をめざす文学者の会」主催のシンガーソングライター橘光顕さん(東日本大震災に咲く会ひまわり代表)によるライブ〈福島・浪江町で被災したシンガーソングライター、故郷と避難を歌う〉と作家加賀乙彦さんと岳真也さん、詩人森川雅美さんによるトークライブ【福島第一原発事故と自然災害】、そして【福島を語るタンゴとワインの夕べ】(女性タンゴデュオ「月の虹」と川村湊、志賀泉、村上政彦、森詠の四人の文学者が福島を語る」)に参加するためだ。
 予定は未定でどういうコースで軽井沢入りするか、は気ままにと思っている。出来たら前夜に、かつて新聞記者としてスタートを切った信州信濃は松本の地を訪れ、昔飛び回った懐かしの家並みをたとえ少しでも踏み締めることができたら、とも思っている。無理かもしれない。
 それでは、みなさん。しばらくサヨウナラ。

※橘光顕さんの主な曲は「託された未来」「最後の日まで」「今を生きる若い命」「旅立ちのうた」などです。橘さんは東日本大震災で浪江町の家を追われ、いまは埼玉県上尾市のシラコバト団地で避難生活をしています。皆さん! ぜひ、橘さんの歌を聞いてください。 

【新聞テレビから】
☆『安保法79%が「審議不足」 世論調査 内閣支持率38%に下落』『安保法反対連休も響く 名古屋など市民ら抗議』、『80歳以上人口 初の1000万人超 総務省推計』、『日本強豪南ア破るラグビーW杯24年ぶり勝利 ジョーンズHC「勇気たたえたい」』『ラグビーW杯「ジャパン」コール一色 「この日来るとは」』『「最高の試合」海外から称賛』(21日付、中日朝刊)

九月二十日
 ちまたには、安保法案可決の余韻が残ったまま、何か得体のしれないカケラがどこかに引っかかっているやうな、そんな感覚が沈潜している。みな、それなりに自分の意識を抱えてあるいており、それでも生きていかねばといった様子がなんとなく分かるのである。これは私の妄想なのか。きょうも1日、大気の海のなかをただ黙々と小説のことを思って歩き続けた。頭にあるのは、いつだって、ただひたすらに書く。このことばかりである。

 彼岸の入り。秋空の下、ふたりで墓参りに。
 帰ったその足で名古屋へ。午後から愛知芸術文化センターアートスペースで開かれる中部ペンクラブの理事会と、引き続いての公開シンポジウム〈『中部ペン』を読み文学を語る会〉に出席するためだ。シンポのあとは、近くの居酒屋であった有志による懇親会にも出させて頂いたが、帰宅後は少々疲れ、しばらく熟睡。(21日)午前2時過ぎに起き、パソコンに向かって書き始め、まもなく6時になろうとしている。
 隣では、いつものように愛猫こすも・ここが私に寄り添ったまま黙って座ってくれている。私は心の底からつぶやく「こうして、どんなに忙しかろうがわが身に鞭打って書き続けることが出来るのは何よりも、おまえがいつも傍らにいて、俺のことをいつだって気遣ってくれているからだ」と。ありがとう。ボス。

 さて、その文学を語る会だが。会の司会進行に大変な努力をされた木戸順子さんをはじめとした役員諸氏の努力もあって充実した内容となった〈語る会〉もさるものの、そのあとの懇親会で満身創痍の身で闘病生活を過ごされる市川しのぶさんに久しぶりにお会いでき、ほかに棚橋鏡代さん、臼田慶子さん、桑原加代子さんらとも楽しいひとときとなり嬉しく思った。
 手術に次ぐ手術を克服し今を過ごされる市川さんの、どんな事態になっても動じない人生哲学を聞くに及び、その凛とした着物姿がとても印象に残り、また会う日までをお約束して今宵は家路を急いだ。本欄執筆も加え、やらねばならぬことが多いからである。
        ×        ×
 ラグビーのW杯イングランド大会。
 1次リーグB組の日本―南アフリカ戦が19日、英国南部のブライトンで行われ、日本が大逆転の34―32で優勝候補の南アフリカを下し、世界のラグビー史上に残る大金星をもぎとった。W杯での日本の勝利は6大会ぶり24年ぶりだという。日本はこの後、スコットランド、サモア、米国と順に対戦し、初の決勝トーナメント進出を目指す。この結果には「W杯史上最大の衝撃だ」「ラグビー二流国の日本が優勝候補の強豪、南アフリカに劇的な逆転勝利を果たした」と、英国メディア。ラグビー発祥の地の英国をはじめ、世界でジャパン旋風を巻き起こしている。
 私も大好きだった中日ドラゴンズ・和田一浩外野手(43歳)がナゴヤドームで引退会見。「ドラゴンズにFAで入ったときは3年契約。3年でクビと言われたらユニホームを脱ぐつもりで来ていた。他のチームでやるという選択肢は8年前からなかった」と語り、後輩へのメッセージは、との問いには「勝てばいい思いができる世界。給料も稼げる。チャンスはいっぱい転がっているので何とかつかんでほしい。来年以降、常勝軍団になれるようみんなで頑張ってほしい」。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 平和主義は、センチメント、情緒的という見方がある。逆に自衛隊の海外活動が高い評価を得てきたのは武力行使をしないからだという指摘もある。実際、武力はテロを拡散させている。そうならば武力不行使はセンチメンタルどころか平和創出のリアリズムではないか。
=20日付中日朝刊1面の『不戦の意志を貫こう 取締役論説担当深田実』から。抽出

 安保法は数のごり押しで成立しました。与党は最初から自信満々でしたし、野党だって通ることは分かっていたはず。成立の時の混乱も茶番劇にすぎないんです。強引に物事を進めるやり方は結局のところ、あの戦争に突き進んだ軍事内閣と同じじゃないですか。……
 日本は「大和の国」。文字どおり、大きな「和」で成り立つ国です。金持ちも貧乏人も、醜い人も美しい人も、分け隔てなく、いさかいなく、上手にやる国なんです。それなのに今では、国会の運営すらまともにできない、恥ずかしい国になってしまった。
 権力者と政治を変えるには、一人一人が考え「知性」を持って行動することです。……
=20日付中日朝刊『試される知性 美輪明宏さん語る』から。抽出

【新聞テレビから】
☆『「この日を忘れない」 安保法成立 抗議、違憲議論続く もうすぐ有権者 高校生も訴え』『参院特別委採決 有効性に疑問? 未定稿議事録に「議場騒然、聴取不能」』『問われる説明 安保法中部参院議員の安否「抑止力に」「憲法違反」』『「恩人を戦争に行かせないで」茨城 救助された水害被災者』『名古屋のデモ 成立後2倍に=名古屋市中区の市民団体「安保法案の廃止を求める中区の会」は繁華街でデモ行進を行い「法律の廃止に向けて戦い抜こう」「賛成した議員は落選させよう」と声を響かせた』、『「オペラ座の怪人」が名古屋できょう開幕 劇団四季』、『自責の1年再び御嶽へ 豊田のグループ、慰霊登山』『御嶽の入山規制 9合目まで緩和』、『小中生も水害地で活躍 大型連休初日 常総にボランティア2000人』『川岸の掘削中止拒否 (大規模太陽光発電所メガソーラ―を建設した)民間業者』、『加納俊治さん死去 86歳 小原和紙の工芸家』、『姫路城の大天守にドローン衝突し傷』(20日付、中日朝刊)
☆『70年の歩みいま考える 名古屋の高校生70㌔踏破=名古屋大谷高校の生徒70人が平和を祈って約70㌔歩く「徹夜ピースウオーク」に挑戦し19日午前10時ごろ、約21時間かけゴールの同校に到着』『高校生征服で「NO」=京都市内では安保関連法に反対する高校生の団体「スクール・オブ・デモクラシー」が抗議デモを実施した』『「歴史的な暴挙」村山元首相批判』『「おかしいだろ」異例のコメント 新潟県弁護士会長』『〈平和国家への転換1〉12月に邦人救出訓練 安保関連法成立 自衛隊、加害リスクも』『首相、説明継続の姿勢 民主は全国抗議を開始』『菅・谷垣氏留任へ 内閣・党人事 麻生氏も閣内残留』『議論尽くさぬ国会』『選挙で声上げよう 訴え始まったばかり』『与党、説明に追われ 議員地元入り 野党は廃止訴え』『与党議員胸中複雑』(20日付、毎日朝刊)

九月十九日
 雲ひとつない秋晴れの空が広がった。町の家並みも。自然も。人々の往来、行き交う車。吹きわたる風だって、何ら変わりがない。かわったのは私たち日本人の心だけか。いや、変わってはいけない。どこまでも平和な世の中の希求、これを忘れてはならない。新しい日の朝である。
        ☆        ☆
 愛猫の長女こすも・ここのほっぺを些細なことで引っ叩いてしまった。一連の安保関連法案の強行採決、可決、成立で腹の虫が治まらなかったのは、紛れなき事実なのだが。彼女は汚物を流してしまった度重なる失敗を正直に私に知らせようと2階から階下に降りてきて〝ニャア~ン、ニャア~ン〟と私に教えにきたのに、だ。
 短気な私は2階の汚れに気付くや(ほんの微々たるものだったのに)、「何度言ったら分かるんだ」と彼女の両の頬を手加減はしたが、とうとう何度も叩いてしまった。殴られても、身を小さく縮こまったまま「ごめんなさい」と謝る仕草でいた彼女には申し訳ないことをした、と今では手遅れを承知で反省している。これでは家庭内暴力である。

「ボスだって。シロちゃんだって。一生懸命に生きているじゃないの。いくら他に腹がたつことがあっても殴るだなんて。よくない。あなたは、本当に猫ちゃんたちのこと思ってるの。愛してるの」と帰宅した妻にも叱られ、いまでは「悪かった」と思っている。
 殴ってしまったことは安保関連法案の通過と同じで今さらどうにもならない。ただ安保法案の可決と違うのは、言論封圧とか、集団的自衛権を行使するという暴挙とはまったく異なるもので、互いに互いの非を分かり合っている。それが私とボスの関係なのだ。1時間もすれば、すぐに仲直りし、ケロリとした顔でいるのである。ごめんね。こすも
        ×        ×
 19日未明の安全保障関連法成立は戦後日本の安保政策の転換点となるだけに「海外での軍事的役割拡大」(英国・BBC)、「平和主義を放棄」(米国CNN)など写真付きで海外通信社も速報で伝え、欧米メディアの関心の高さを示した。
 ロイター通信やAFP通信も「歴史に残る政策転換」「物議醸す安保関連法成立」などと速報。AFP通信は国会議事堂の周りに連日、反対派の市民多数が集まったことを取り上げ「国民の怒りが示された」と指摘。安保関連法が最高裁で違憲判断を受ける可能性などにも言及、自衛隊が直ちに戦闘地域へ派遣されるわけではない、とも報道した。

 生活の党と山本太郎となかまたちの山本太郎共同代表は18日の参院本会議で、安倍晋三首相の問責決議案の記名投票に際し、議場をゆっくり歩く「牛歩」戦術で議事進行を遅らせたばかりか、投票直前には焼香のしぐさを見せるパフォーマンスもしてみせた。山本氏は17日の参院平和安全法制特別委で、安全保障関連法案の採決時に「自民党が死んだ日」と書かれたプラカードを掲示。18日の参院本会議では喪服に身を包んで審議に臨み記者団に「本日は告別式の流れになる」と持論を展開。わかる気もする。

「塩爺(しおじい)」の愛称で知られ、小泉政権の財務相を務めた元自民党衆議院議員の塩川正十郎さんが19日午前10時15分、肺炎のため大阪市内の病院で亡くなった。93歳だった。発言の一言ひと言にユーモアがあって魅力的で、面白く、とても人間味あふれる忘れられない政治家だった。合掌―

【きょうの一文・ことば】
 平和安全法制は国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な法制で、戦争を未然に防ぐためのものだ。子どもたちや未来の子どもたちに平和な日本を引き渡すために、必要な法的基盤が整備された。今後とも積極的な平和外交を推進し、そして万が一への備えに万全を期す。今回、参議院では、野党からも複数の対案が提示され、議論も深まったと思う。民主的統制をより強化するうえでの合意が、野党三党となされたわけだ。与党だけではなく野党三党の賛成も得て、皆さまの支持の下に、より幅広く法案を成立させることができた。今後も国民に誠実に粘り強く説明していく。世論調査の結果によれば、(国民理解のために)まだまだこれから粘り強く、丁寧に法案の説明を行っていきたい。
=9月19日付中日夕刊1面『安保法成立』の記事のなかで。安全保障関連法の成立を受けた安倍晋三首相の発言の全文
〈死にます。芥川龍之介とはちがふかも知れないが、或る漠然とした不安のために。すみません。おゆるし下さい。さやうなら〉=19日付中日夕刊『〈土曜訪問〉伯父・火野葦平に向き合う 中村哲さん(アフガン支援の医師) 妄信今こそ問い直せ(出田阿生)』の記事のなかで。芥川賞作家火野葦平の遺書
※葦平は1960年1月、自宅の書斎で睡眠薬を飲み、53歳で命を絶った。その火野の甥っ子にあたるのがペシャワール会現地代表の医師、中村さんだ

【新聞テレビから】
☆『「まだ諦めない」安保法成立 専守防衛を転換』『(名古屋の)栄で市民3団体「法の廃止まで闘おう」国会前抗議集会』『反対の風やまない』『安保法成立 未明の国会 怒号と喜び』『「選挙に行こう」国会前で呼び掛け』『「政権終わりの始まり」傍聴席』『慶大名誉教授 集団訴訟を検討 廃止の熱消えない 賛成派の団体「心から歓迎」』、『「夢の8年間」中日・和田選手 引退会見』、『旅行の秋にぎわい 「シルバーウイーク」始まる』(19日付、中日夕刊)
☆『安保関連法成立』『違憲批判押し切り 参院、未明の採決』『来夏参院選の争点に』『闘いはこれから 安保関連法成立 未明抗議の叫び』『おごり許せない 反対討論 国民へ謝罪 立憲主義軽視/撤回求める/国民の力は(政府与党を)圧倒』『〈識者こう見る〉傲慢な政治を見た 元官房長官武村正義さん 横暴許した支持者 作家高村薫さん』『朝鮮戦争 機雷除去中に船沈没 集団的自衛権「必ず犠牲者」「戦死」海保職員の遺族警鐘』、『釧路新聞社長が海で遊泳中死亡 沖縄・宮古島』(19日付、毎日夕刊)
☆『安保法成立へ 集団的自衛権可能に 参院、未明まで攻防』『民主主義まで壊すな 論説主幹喜聞広典』『不戦70年願う未来』『「国民そっちのけ怖い」 民間戦傷者 杉山さん100歳 誕生日に安保国会』『中部の自衛官「許せない」「命令従う』『私たちの声届ける 安保法案ドキュメント』『「政治に参加しないと」参院選で投票 18歳決意』、『線状降水帯10個発生 気象庁 関東・東北豪雨と命名』(19日付、中日朝刊)
☆『安保法案成立へ 平和国家の転換点 集団的自衛権可能に 安倍政権強行重ね』『国家の過ちに謙虚であれ 論説委員長 小松浩』『許されぬ「強行」 安保法案成立へ 全国に怒りの渦』『「政府対応 常軌逸すむ』『「どえりゃー反対 東海でも街頭活動』『殴った? 押さえた? 佐藤氏VS小西氏』『語られぬリスク イラク経験者懸念 「非戦闘地域」住民の手に銃「米国の都合で戦えぬ」』、『トンネル照明18個撤去 中日本高速1万3000個緊急点検』、『大須演芸場準備万端 内外装改修完了22日に再開』(19日付、毎日朝刊)

九月十八日
 19日未明に安保関連法案は可決、成立した。何思うのか、ボス猫のこすも・ここ。こんご世の中に平和が持たらされるのを願っているようにも見える
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 これまで歴代政権が禁じてきた他国を武力で守る集団的自衛権の行使を容認する安保関連法案が19日未明の参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。成立阻止を目指した野党は18日、衆院に安倍内閣不信任決議案、参院に首相問責決議案などを提出したが、いずれも数の力の前にどうすることも出来ず反対多数で否決された。
 私はテレビで中継される法案可決に至る過程を一コマひとコマ見ていたが、プラス志向で考えれば〝戦後最悪の戦争法案〟とされた安保関連法案も、この先若者たちの間に戦争のない民主主義を守っていかなければ、といった機運を芽生えさせ、国民に戦後七十年続いた「平和の尊さ」をあらためて実感させ、同時にこの平和を憲法九条を守ることでいつまでも大切にしなければ、との意識を育んだ点に関してなら評価していい、と思う。
 この世のなか、よかれと思っていたことが実は逆で、悪と決めつけていたものが案外そうではなく良かったということもあるではないか。ここは安倍首相が約束した「この法案は、戦争法案ではなく、戦争を起こさせないための法案です。私たちには国民の平和とくらしを守っていく責任と義務があります。徴兵制などありえません」の言葉を信じようではないか。  
 全ての国民が〈真の平和とは何か〉について考え、思いを新たにした点ではよかった。これからこそ、我々は厳しい目で国を見守り、政府が誤った方向に突き進むことがないよう、みんなで目を光らせていかなければ。そうした点では、マスコミ各社ともこれまで通り国家権力に屈することなく、厳しい姿勢で臨んでほしい。
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 朝起きる。と、「霧よ。キリが、かかってる。さっきに比べたら、だいぶ晴れちゃったけど」と妻の舞。少年の頃よく歌った〈霧の中の少女〉を思いだし少しだけ、嬉しくなった。

 きょうは、わが家の愛猫シロとこすも・ここの行状に振り回される1日に。戦後最悪の悪法とされる安保法案の成り行きを気にする私に、もっと大切な「日常」があると敢えて私を困らせる虚に出たのか。姉と妹の息はピッタリで、愚かなニンゲンに付き合う暇があれば、あたしたちのことをもっと気遣いなさい、とでも言いたげな、そんな所作である。
 最初は神猫シロちゃん。顔を洗っていると、急に居間の窓の方でドサリと何かが落ちた音がしたかと思ったら〝ニャン、ニャン、ニャニャン〟とシロの呼ぶ声がするではないか。駆け付けると、日向ぼっこをしようとした窓枠の桟で足を踏み外し、桟に片手でつかまりはしたものの、下に降りられず宙吊りになっていた。さっそく床におろしてやりナントカ危機一髪の脱出となり、滑り込みセーフとなった次第。
 やれやれと思いパソコンに向かってある小説の執筆を続けていると、こんどはボス猫のこすもが私の傍まできて隣家にまで届く程の大きな声で、これまた何かを訴えでもするように執拗に叫びかけてくるではないか。私の目をみつめたまま決してたじろがないボス。一向にやもうとしないので、悪い予感を覚え、もしかしたらと2階へ。案の定、布団の片隅が吐瀉物でよごされていた。人間なら百歳近い年老いたこすも。彼女は最近よく食べたものをもどすが、もどせなくなったら終わりである。
 というわけで、こちらもやむなく執筆を中断し、ボスの指示通り洗いなおした布団をベランダに干しなおす、のに結構の時間を要した。やれやれと思って定位置に戻ると、ふたりとも何ごともなかった様子でグーグースヤスヤ。おまえたちの召使いじゃないのだから、と言ってもふたりに通じるはずもない。

(翌19日の)午前2時過ぎ。ニンゲンたちの醜さばかりを、まるで写し絵のごとく、さらけ出した安保関連法案が国会周辺での「戦争法案許すな」の声のなか、参院本会議で可決された。国民の理解が得られないなかでの、なんとも不思議な可決成立である。なんということだ、と怒ってみたところで今さら、どうにもならない。今までどおり戦争のない平和を国民みんなで守っていくほかあるまい。戦争はしない、この一点では日本人の気持ちは皆同じのはずである。
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 気象庁はチリ沖で発生した津波で太平洋側を中心に出していた津波注意報を夕方になり全て解除した。埼玉県熊谷市で6人が相次いで殺害された事件は埼玉県警のその後の調べで、刺殺された夫婦の自宅と、母娘3人の遺体が見つかった住宅に残された血痕がペルー国籍のナカダ・ルデナ容疑者(30歳)の血痕のDNAと一致することが分かった。ナカダ容疑者は父親が日本人、母親がペルー人の日系2世で2005年に来日、日本には自身の姉2人と兄2人が暮らしているという。
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【きょうの一文・ことば】
「人間が本来持っている自然治癒力ともいうべき豊かな感情を大いに利用して、アレルギー反応を減弱させてほしい」=18日付中日夕刊『キス30分♡ 鼻炎、皮膚炎抑制 イグ・ノーベル医学賞』の記事のなかで。ユーモアにあふれた科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」医学賞に選ばれた大阪府のクリニック院長、木俣肇さん(62歳)のコメント

【新聞テレビ】
☆『安保攻防大詰め 野党 内閣不信任案を提出』『広がる民意政権焦り』、『津波 岩手80㌢ チリ沖地震』『志摩では89人が避難 各地で注意報や勧告』『米利上げ見送り FRB(米連邦準備制度理事会) 議長、来月実施に含み』、『〈あの人に迫る〉夏苅郁子児童精神科医 統合失調症の母40年を経て尊敬』、『米にキューバ大使復活 国交回復で54年ぶり』、『クロアチアが国境封鎖 難民流入で軍警戒態勢』、『ヨーカ堂2割閉鎖へ セブン&アイ 20年までに40店舗』、『16歳溺死3少年逮捕 傷害致死容疑 琵琶湖に突き落とす』、『武豊襲撃容疑者 鑑定留置を開始』、『確保時、包丁2本所持 熊谷事件 ペルー人男、盗む?』(18日付、中日夕刊)
☆『安保攻防最終局面 野党、内閣不信任提出へ 与党きょう採決目指す』『野党の抵抗策封じ 問責討論 10分以内に制限』『〈安保攻防最終局面〉「日本が敵視される」NGO関係者懸念』 自衛隊員家族「国民理解得られぬ」 閣僚コメント控える』、『倉庫街でクラブ可能 ダンス営業 警察庁改正案公表』、『脱力、記憶障害…母を認識できず 子宮頸がんワクチン 千葉の高校生家族「厚労省見解見直しを」』(18日付、毎日夕刊)
☆『安保法案また強行採決 参院特別委可決 野党 内閣不信任案提出へ』、『「消費税還付案 混乱招く」新聞協会 軽減税率求め声明』、『木曽川導水路二審も敗訴 住民訴訟「支出、違法ではない」』、『チリ沖地震死者10人に』『日本に早朝 津波到達も』、『タカ独壇場最速V 進化し続け強さ証明』『小笠原「理想とギャップ」引退会見 泥くさく練習積み重ね 通算打率3割超』(18日付、中日朝刊)
☆『安保法案採決再び強行 衆院委可決 攻防本会議に 野党は問責提出 内閣不信任案も準備』、『埼玉殺害 事件2日前、突然退職 ペルー人容疑者 来日10年、工場転々』、『除染作業員5人沢増水で動けず 福島(飯舘村八木沢の山中)』(18日付、毎日朝刊)

九月十七日
 何がどうなっているのか。さっぱり分からない。「恥を知れ、なんだこれは」の声が漏れるなか、参院特別委で安保関連法案の強行採決が行われた。混乱と強行採決を伝える各メディア。若者たちは雨のなか、抗議の声を上げ続けた=画像はメ~テレ〈報道ステーション〉から
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「戦争反対。民主主義って、なんだ」「アベを許さん」「平和を守れ」「今の公明党は何なんだよ。私たち創価学会員はだまされた」「戦争は文化なんかじゃない」「独裁者の政権になって悔しい」「立憲主義という法の支配を壊そうとしている」…。今夜も雨もものかわ、国会周辺の空高く若者たちの声が響き渡った。私自身もテレビで強行採決の瞬間をみたが思わず【オマエら。ナニやってんだ。馬鹿野郎】と名古屋弁丸出しで画面にどなってしまう自分がいた。ニンゲンとは、所詮こんな程度のものなのだ。
 それこそ、黙って画面を不思議そうにみやる愛猫こすも・ここ、そしてシロちゃん。妖怪猫のボスと神猫トンヌラの気持ちは、いかばかりだったろう。画面を割って流れ出た愚かな光景には、さぞや驚いたに違いない。
        ★        ★
 集団的自衛権の容認など国の針路を勝手にギアチェンジさせようとする安全保障関連法案がきょう午後の参院平和安全法制特別委員会で自民、公明両党と次世代の党、日本を元気にする会、新党改革の賛成多数で可決された。与党は引き続き本会議での可決・成立を目指したい、としている。これに対して民主党など野党陣営は内閣不信任決議案や閣僚の問責決議案などを提出し、徹底抗戦する構えだ。
 この日の特別委は午前中、鴻池祥肇委員長が開会を宣言。締めくくりの総括質疑を行おうとしたが、民主党が鴻池委員長に対する不信任動議を提出して抵抗。午後の特別委で動議が否決されるや、委員長席についた鴻池氏が質疑打ち切りを宣言、周りを与党議員が取り囲んで守るなか、まさに〝電光石火〟の早業で採決に踏みきった。
 このため野党議員が委員長席に詰め寄ったが、時すでに遅し。野党は一瞬のスキを突かれたが、なりふり構わぬ自民のやり方には失望せざるをえない。と同時に、不信任動議を出したあとの野党陣営はスキだらけでそこを逆に狙い撃ちされた。あらゆる手段を講じても法案成立を阻止すると約束した岡田さん(民主党代表)ら野党の橋頭堡は、一体どうなっているのか。
 皮肉だが、これだけ脇が甘くては〝いざ、戦争(政権奪回)〟の絶好の有事なのに勝てるはずもなかろう。与党も与党で、ああした状態での採決なぞ、とても民主国家とはいえない。野蛮人が食い物を先を争って取り合っているような、私の目にはそんな醜い図式に見えた。あんな見苦しいふるまいは、とても採決なぞとは言えない。もっと、しっかりと。国民が分かるような採決をしてもらわなければ。採決を国民の前でやり直すべきである。

 ちなみに、この日強行採決された法案は自衛隊法や武力攻撃事態法など10本の改正案を一括した「平和安全法制整備法案」と、他国軍の後方支援を随時可能にする新法「国際平和支援法案」の2本。米国など「密接な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生した場合に「存立危機事態」と認定されれば、集団的自衛権の行使を可能にするという内容の法案である。
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 南米チリ中部沖で日本時間の17日午前7時54分ごろ(現地時間16日午後7時54分ごろ)、マグニチュード8・3の巨大地震が発生、チリは全土に津波警報を発令。中部コキンボでは4・5㍍の津波が観測されたという。米ハワイの太平洋津波警報センターはペルー、エクアドル、日本、ハワイにも津波が到達する可能性がある、としており今後日本の太平洋側にも広域にわたって津波の到達が心配されている。
 昨シーズン、プロ野球日本一となったソフトバンクが福岡市の本拠地ヤフオクドームで行われた西武戦に5―3で勝ち、1964年の南海(現ソフトバンク)1995年のオリックスの9月19日を抜いて、パ・リーグ史上最速での優勝を決めた。工藤公康監督(52歳)は、2012年の日本ハム、栗山英樹監督いらいとなるシーズン1年目でのリーグ優勝。
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【きょうの一文・ことば】
「議決の差し止めは権力を抑制する立憲主義にかなうと確信している」=17日付毎日朝刊『議決差し止め松阪市長が提訴 「法案は違憲」』の記事のなかで。立憲主義の根本が危機に陥っている場合は、行政事件訴訟法に基づいて訴訟を起こせる―として国を相手取り、参院での法案議決や法律公布のための閣議決定の差し止めなどを求めて東京地裁に提訴した山中光茂三重県松阪市長(39歳)のコメント

「僕たちはふつうの日常があって、その日常を守るためにやっている」(ある若者)「必ず、今の盛り上がりはこの先の社会につながっていくと思います」(シールズの奥田愛基さん)=17日夜。国会周辺で降り注ぐ雨に打たれて

【新聞テレビから】
☆『安保採決攻防激化 民主、委員長不信任動議 与党、衆院再可決も』『〈解説〉支持ない法案 効果疑問』『「約束が違う」「結論を」 安保参院委 与野党の混乱増す』『雨の中やまぬ抗議』『安保審議中断222回 衆参 曖昧答弁裏付け』、『〈関東・東北水害1週間〉再び雨遠い日常 続く断水、休校』『苦しい時 姉妹都市の縁 茨城・結城市タイから義援金』、『チリでM8・3 各地で津波観測』(17日付、中日夕刊)
☆『〈関東・東北豪雨 医療体制 不安募る』『常総市内 夜間・休日に2病院中止』、『ペルー人、6人殺害か 熊谷 現場の足跡酷似』『路上で現金要求 容疑者か13日、殺人現場近く 熊谷』『「明日も遊ぼう」かなわず』『大正琴が趣味 白石さん』、『〈安保法案攻防 再開「だまし討ち」 国会前、抗議の声続く』『「賛成議員落選させよう」 反対の市民らが呼び掛け』、『にぎわう仮想現実・スマホ向け 東京ゲームショウ開幕』、『サイバー攻撃 「標的型」前年の7倍 今年上半期1472件 手口は巧妙化』(17日付、毎日夕刊)
☆『安保採決未明まで攻防 参院委審議 与党、打ち切りへ きょう本会議開催』、『基準地価 二極化が加速 大都市圏商業地2・3%上昇』、『4人死亡ペルー人確保 埼玉・熊谷 夫婦刺殺の関連捜査』、『北海道新幹線3月26日開業』、『小学校の暴力行為最多 14年度、全国で1万1468件』(17日付、中日朝刊)
☆『安保法案最終攻防 参院特別委 与党採決譲らず 野党は徹底抗戦』『安保法案攻防大詰め 国会内外抗議の声 路上で学者ら批判』『「反対」列島うねり 名古屋で抗議集会 「戦争に巻き込まれる」』『学生会見「行動 政治に影響」』、『2民家女児ら4遺体 ペルー人の男、殺害か 埼玉・熊谷』、『勾留中失明賠償命令 異常訴え放置 国・県に5030万円 岐阜地裁』(17日付、毎日朝刊)

九月十六日
 集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案を巡る参院特別委の締めくくり質疑がいつ始まるか、を気にしつつ長い1日が過ぎていく。政府は、やはり今回法案に国民の6割以上が反対している、その現実に心すべきだ。強行採決でもしようものなら、日本国民の心までが歪んでしまう。ここは、ひと呼吸おき、同じ日本人としてどうしたら良いかを頭を寄せ合って文殊の知恵といけないものか。真摯に考えてほしい。みな、一生懸命に生きているのだから。きれいごとかもしれない。でも、誰も悪くなんかはない。

 安保関連法案で大揺れ、かつ緊迫する国会。国会前では、この日警官隊とデモ隊が衝突し13人が逮捕された。雨のなか、それこそ日ごろ政治とは関係のない〈声なき声〉を抱えた人々が立ち「戦争法案いらない」と深夜未明にかけ、声をはりあげた。抗議の集会は、国会前に留まらず、名古屋の名駅前で、京都で、広島で…と全国各地でも。ニッポンはこの先どうなってしまうのか、と国民の不安感が如実に表れる夜となった。
 安倍なる人物には一体、聞く耳があるのか。ないのか。それに追従する議員諸氏の体たらくだ。これでは、独裁者だと言われかねない。それほどの悪でもないはずなのに。自分で自分の首を絞めることにならねば、よいのだが。いや安倍政権は既に崩落への道が始まっている。破綻への道が間違いなく動き始めた。そんな気がする。国民を大切にする気持ちがあるのなら、これだけ反対の輪が広がっているなかで強行採決なぞ出来るはずもなかろう。

 先ほど午後11時40分に参院平和安全法制特別委の鴻池祥肇委員長が17日午前0時5分から理事会を、0時10分から委員会をそれぞれ開く旨、職権で決定した、とのニュースが流れたが。委員会室入り口には大勢の与野党議員が立ちはだかるようにしており、その後も委員会は一向に開かれる気配はなく、動きも出てはいない。
 さてどうなるのか。このうえは鴻池委員長の職権で「混乱は避けたい」を理由に、この場は散会とし参院の良識で「国民の理解がまだ十分得られていないので、継続審議または廃案とする」と独断で言いきれないものか。参院の公聴会の開催に最後までこだわった彼なら出来ないことはないはず。大英断に期待したい。それこそ、夜は深々と更けていく―
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 埼玉県警は熊谷市の住宅浴室で84歳の女性が殺害されていた事件で、現場近く住宅で母親と小学生の娘2人を殺し、包丁を手に2階窓枠に足をかけ逃げようとし転倒して転落、頭の骨を折ったペルー人の男(30歳)を住居侵入の疑いで確保。これより先の14日、熊谷市の別の住宅で夫婦が殺害された事件も含め関連があるとみて調べている。
 国土交通省がきょう発表した、ことし7月1日現在の基準地価。金沢と名古屋駅周辺の商業地で地価が急上昇。金沢は本町2丁目で16・8%増、名古屋の場合、名駅3丁目が45・7%、中村区椿町も36%と全国1、2位の高騰ぶりで金沢、名駅周辺ともに脚光を浴びている。今春開業した北陸新幹線、そしてリニア新幹線の開通への期待感からの値上がりとみてよく、この数字は東京・南青山や銀座を上回るという。
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【きょうの一文・ことば】
「閣議決定で憲法解釈を変えるなど異例づくめどころか、信じられないことだ。国政は国民の気持ちと完全に離れてしまった。国会はもはや、ない気がする。これでは議会制民主主義という民主国家として恥ずかしいというか。そもそも成り立たない。戦争を知らない者たちが集まって危ないことをやっているとよく言われるが、このアイデアは、むしろ戦争を知る者が作ったのじゃないか、とさえ思う。これでは9条による抑止力も効かなくなる。歴代首相に共通していたのは抑制的な姿勢でまわりの者の意見を聞き、自らも慎重な行動をする、というものだったのに。
=16日深夜のCBCテレビ〈NEWS23〉で。河野洋平元官房長官

「憲法上認められた権利だ。国会議員は当然、許容しなければならない」「平穏なデモ、抗議活動ができないものだろうか」「日本は良い国だ。中国のウイグルやチベットで抗議すると、銃を乱射されて射殺される」=16日付毎日朝刊『抗議活動ウイグルやチベットなら射殺 「憲法上認められた権利」だが…次世代・和田議員』の記事のなかで。14日夜、国会議事堂周辺で行われた安保関連法案への抗議集会に関連しての感想につき和田議員がこう、述べた

【新聞テレビから】
☆『安保法案今夜にも採決 参院特別委 野党、徹底抗戦へ』、『茨城の男性新たに不明 水害で県発表』『鬼怒川決壊2時間知らせず 外国人の作業続行 茨城の部品会社』『ぶじでよかった 浸水の小学校再開』、『〈縁の行方、今〉―大竹省二さん― 忘れ得ぬ珍奇な出逢い 瀬戸内寂聴 横尾忠則画・題字』、『震災復興の今巡る旅 研修の愛知淑徳大生 観光パンフ制作へ』、『ユニー不採算店閉鎖へ スーパーの1~2割』、『進む核家族化遺族に負担 イオンやヤマトも参入 遺品整理代行します』『「電力大量消費許せず JR不審火 容疑者、複数関与供述』(16日付、中日夕刊)
☆『安保法案 参院委今夜にも採決 自公・3野党 国会関与強化合意』『「公明 平和の党に戻って」 安保法案 反対デモで学会員』『演劇人が無言の抗議 全国20ヵ所以上』、『関東・東北豪雨 コメ全滅 農家悲鳴 常総 土砂で麦作付け困難』、『70回目総会始まる 国連 難民問題など議論へ』、『石炭火力規制日米対立 新興国へ輸出巡り』『〈米〉温暖化対策世界へ訴え 〈日〉成長策の柱推進の姿勢』『瀬戸と尾張旭コンビニ強盗 同一犯の可能性』『トルコ軍艦沈没 犠牲者悼み献花 和歌山・串本』『ツノガイ数週間で化石に 名大グループ アンモナイトも同様か』(16日付、毎日夕刊)
☆『〈社説〉「民の声」に耳を傾けよ 安保法案参院審議』『〈核心〉疑問拡大「反対」勢い 安保集会 急増、市民ら続々 政党色薄れ参加しやすく』『元裁判官75人「違憲」 参院に意見書「強行採決は憲法破壊」』『安保きょう質疑打ち切り 参院委 与党、採決の構え』『「国民を無視」「情勢に対応」 中央公聴会で賛否』『衆参審議210時間疑念消えぬまま』『アンポ法案考えようよ 名古屋の高校生 文化祭で模擬投票へ』、『武重邦夫氏死去 若い映画人育成』『JR不審火42歳男逮捕 警視庁 威力業務妨害容疑「やったことはやった」 自称ミュージシャン』、『不明の1人虚偽通報 関東・東北水害 茨城県、確認手間取る』(16日付、中日朝刊)
☆『〈社説〉法案成立に強く反対する』『安保法案 参院委きょうにも採決 与党、週内成立図る』『長渕剛さん、渡辺謙さん、鶴瓶さん…「止めないとだめだ」「安保」語るタレント続出』『シールズの奥田愛基さん「国民の声 聞いて」中央公聴会』(16日付、毎日朝刊)

九月十五日
 東京都内のJR東日本の施設で不審火が相次いだ事件で警視庁は今夜、東京・武蔵野市に住む自称ミュージシャンの男(42歳)を威力業務妨害の疑いで逮捕。

 国会は参院平和安全法制特別委が安保関連法案採決の前提となる中央公聴会を開催。民主党推薦で出席した大学生らのグループ「SEALDs」中心メンバー、奥田愛基さん(明治学院大4年)らが「憲法無視は国民を無視するのと同じだ」などと廃案を訴えたのに対して、与党推薦の白石隆政策研究大学院大学長らも「安保環境は急速に変わっている。法制度を整備しないと対応できない」と反論を展開した。
 国会正門前では、この日も法案に反対する抗議活動が行われ、参加者らは「日本を戦争する国にするな」などと叫び、廃案を訴えた。政府・与党は16日夕に締めくくりの質疑を行い、終了後法案を特別委で採決、18日までには法案を参院本会議で可決、成立させる方針でいるが岡田民主党代表が言う「あらゆる手段で法案可決を阻止する」ことが出来るかどうか、待ったなしの段階に入った。

「確認したところ、(15人いた行方不明者は)ゼロになっていました」とは、安否が心配されていた茨城県常総市の行方不明者のその後。県と常総市の情報共有が問題視されるなか、とにもかくにも犠牲者が増えなくてよかった。
        ☆        ☆
 きょうは1日じゅう、小説の執筆に没頭した。
 合間を見て午前中、目医者さんへ。この一週間、医師による点眼薬を12時間おきに両目にさしてきた効果は大ありで、眼圧は両目とも低くなっていた。「この調子なら大丈夫。眼圧15を目標に次回は今の薬がなくなる寸前に、きてください」と医師。
 私は大の薬嫌い。日ごろ薬なぞというものはほとんど使用しない。そのせいもあってか。やはり使った時の効果は今回もてきめんだった。それに周りの「目を使いすぎだよ」といった指摘も少しは当たっている気がする。これからは目もからだも、少しは休めなければ。
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「◇…安全保障関連法案で、戦時の機雷掃海が可能になると政府が主張しているペルシャ湾・ホルムズ海峡の付近で、船旅をしている国際交流非政府組織(NGO)が甲板に「法案反対」の幕を掲げた。◇…抗議行動を行ったのは「ピースボート」(東京都新宿区)。ピースボートによると十一日午後、「地球一周の船旅」に参加している十一カ国の約二百人が、横幅七㍍の幕を掲げた……」と写真入りで報じたのは、本日付中日朝刊の【通風筒】。
 記事にもある通り、「国会前にとどまらない平和の訴えは、さざ波のように世界へ広がってゆく。」。この地球一周の船旅であるピースボートには私自身、3年前に乗船し、世界各国の寄港地から平和へのメッセージを発信したことがある。それだけに、感慨もひとしおと言っていい。世界じゅうの人々が仲良くし戦争は絶対にしてはならない。
※伊神権太の平和へのメッセージはユーチューブで発信中。インターネットで〈権太が行く〉を検索すると、見ることができます。

 朝鮮中央通信などによると、北朝鮮は14日、来月10日の労働党創立70周年にあわせ国歌宇宙開発局が事実上の長距離弾道ミサイルを発射する可能性を示唆したのに続き15日、こんどは「ニョンヨン(寧辺)のすべての核施設が再整備され、正常稼働を開始した」と発表。ミサイル発射と核開発の動きを連動させることでアメリカなどを揺さぶるねらいか。
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【きょうの一文・ことば】
「にくらしい流木、にくらしい台風を止めて、人々を助けることが、できなかったのだろうか」=15日付中日夕刊『にくき流木決めた覚悟 小6で伊勢湾台風建築士に 名古屋市博物館できょうから作文展』の記事のなかで。自身の体験を基に、災害への備えを訴えつづける愛知県岡崎市の川窪巧さん(68歳)が被災当時に、思いをつづった「伊勢湾台風を省みて」の作文から

「形は変えられても、心は変えられません。身は大舘の陣屋にあろうとも、わたくしの心は津軽家の正室のままでございます」
 辰姫のきぜんとした言葉を聞いて、天海はうむ、とうなり口を閉じた。興味深げに辰姫を見つめる満天姫の顔に笑みが広がった。
=15日付毎日夕刊連載小説『津軽双花 20 葉室麟 中川学 画』から。抜粋

【新聞テレビから】
☆『水害不明15人は無事 常総 通信復旧、連絡取れる 被害全容把握できず』『与党、維新と決裂 安保法案修正応じず』『中央公聴会始まる 参院特別委』、『杉林に女性遺体 宮城・栗原、未成年か』、『名古屋城木造復元市民にアンケート 市長方針「判断仰ぐ」』、『バイク22台燃える 西区の山崎製パン工場 不審火か』(15日付、中日夕刊)
☆『紅葉 東日本は遅め 悪天候影響色づき今ひとつ』、『安保法案 採決日程巡り緊迫 野党、水害審議を要求』、『国境厳戒動けぬ難民 ハンガリー線路を封鎖』、『還付金「こだわらぬ」 財務相「与党で問題考える」』、『関東・東北豪雨 ごみ始末四苦八苦 茨城・常総 仮置き場パンク』『除染廃棄物の流出は計395袋』(15日付、毎日夕刊)
☆『初の女性国会議員「声聞き、理解図る熱意を」 安保、成立なぜ急ぐ』『自衛官家族 不安や悩み』『「安保法案支持広がってないのは事実」 首相それでも採決 国会前「採決反対」響く』『シールズ奥田さん公述人 民主、中央公聴会に推薦』、『石綿ニチアス賠償命令 岐阜地裁 元従業員被害に責任』、『常総市の非常電源浸水 洪水予測後も 新庁舎の地上に』『水害で断水衛生面課題 常総市中心部 浄水場復旧見通せず』『浸水家屋 空き巣横行』、『小渕氏元秘書不正認める 東京地裁2人に禁錮求刑、結審』(15日付、中日朝刊)
☆『「安保法案 今国会にこだわるな」 大村知事議論求める』、『石綿肺勝訴『多くの人の救いに』原告 早期解決を切望』、『阿蘇一帯に火山灰 活動収拾の方向 気象庁』(15日付、毎日朝刊)

九月十四日
 新聞休刊日。朝刊がなくホッとし気が安らぐ。
 ドラゴンズの谷繁元信監督兼捕手(44歳)が今季限りで現役を引退、来季は監督に専念するという。大相撲秋場所2日目。横綱白鵬は平幕嘉風に引き落としで敗れ連敗、白鵬は取組後に左ひざに違和感を訴え3日からの休場が決定的となった。
        ☆        ☆
 国の行く末を決定づける安全保障関連法案の採決が近づいている。
 国会前にはきょうも多くの市民が集まり「安保関連法案反対」を唱え、作家の大江健三郎さんは「平和憲法の下の日本がなくなってしまう」と危機感を表明、参加者はペンライトを手に「戦争法案いますぐ廃案」「強行採決絶対反対」と声をあげ、シュプレヒコールが夜の東京にこだました。
 この日の安保関連法案に関する参院特別委員会での集中審議。安倍首相自ら「安保法案の支持が広がっていないのは事実」と述べたが、だったらなぜ国民の理解が得られないまま無理して法案を通そうとするのか。そこが分からない。一度廃案にするか、継続審議にして憲法9条の精神を柱に「真の平和」のありようを国民みんなで徹底討論し、世界に冠たる戦争のない国のお手本を示してみたらどうか。

 噴火を報じるアナウンサーと噴火した阿蘇山中岳=NHK総合のニュース画面から
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 午前9時43分ごろ、こんどは熊本県の阿蘇山中岳第1火口でマグマ水蒸気噴火とみられる噴火が発生し、噴煙が火口から2000㍍の高さまで上昇。気象庁は噴火警戒レベルを火口周辺規制の〈2〉から入山規制の〈3〉にまで引き上げた。火口周辺では大きな噴石が飛んでいるのが確認され、福岡管区気象台では「噴石や火砕流に警戒するよう」呼びかけている。
 それにしても、このところは台風、水害、地震、火山の噴火…と、自然災害は留まるところを知らない。日本じゅうが突然の災害にそのつど呻き、いまや傷だらけのニッポンといえなくもない。このうえは【自然よ もう暴れないで!】と祈るほかない。

 ここ濃尾地方はといえば。
 窓から音もなく入ってくる風の感触に関するかぎり、もはや〈かぜたち〉は皆、秋色に染まりつつある。肌に心地良いといおうか、朝方などはひんやりとながれくる気配に、一瞬の寒ささえ感じる。
 それはそうと、きょうは妻、舞の術後の検診治療の日である。デ、午後、自宅から近い池田病院に付き添って出向いた。手術後は、これまでずっと江南厚生病院で執刀して頂いた脳外の担当医師に定期的に診ていただいてきたが、落ち着いてきたことと舞の意思もあって、こんごはMRIの検査時以外は街なかの病院で、ということになった。
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 週刊新潮の9月17日号に【「6代目」がひざまずいた「山口組組碑」】の写真。見ると写真の傍らに『……末尾になるが、今回の不幸も新生山口組の時代の始まりととらえ、公私共に柔軟に対応し「道なき道を歩く」道を切り開くんだという心意気で前向きに歩むことを望む。』の手紙の記述も。これは今月1日、神戸の山口組総本部で開かれた定例会で配られた6代目司忍組長からのものだ、という。これには「直系72団体のうち13団体が反旗を翻した分裂劇のさなかに、どんなことを語るのか注目していた」とは、ある捜査員。市民生活までを血を血で洗う、なまぐさい争いに巻き込むことだけはやめてほしい。
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【きょうの一文・ことば】
 ……
 私はこの椅子に、還暦から先の人生を託すつもりでいた。赤は精神の集中と崩れを誘う。私は崩れたかった。流れる血液と同じ色に身体を預ければ、外も内も一緒になり、きっと体内の秩序も崩れる。
=文學界10月号「ポンペイアンレッド  高樹のぶ子」から。抜粋

【新聞テレビから】
☆『阿蘇山中岳が噴火 噴煙2000㍍、けが人なし 警戒レベル3に引き上げ』『噴火相次ぐ日本列島』、『新たに3人死亡確認 関東・東北水害 常総市長「ミス」謝罪』、『辺野古承認取り消し表明 沖縄知事 政府と法廷闘争か』、『「安保法案 でら反対」シールズTOKAI初集会 1500人参加』、『中国で起訴の桜木市議 稲沢市議選に不出馬』、『住民情報を無断で持ち出し 560人分流出か堺市職員処分』、『★金獅子賞決まる=第72回ベネチア国際映画祭コンペティション部門の最高賞にベネズエラ、ロレンソ・ビガス監督の「フロム・アファー」が選ばれた』、『神戸殺傷少年の実名と写真掲載 週刊ポスト』、『★九重親方=元横綱千代の富士、60歳=が膵臓がん手術』、『★中山氏(サッカー元日本代表FWの中山雅史氏、47歳)が現役復帰』(14日付、中日夕刊)
☆『「窓ガラスが振動」阿蘇山噴火 地上に広がる噴煙』、『決壊後、川方向へ誘導 常総市 市外避難考えず 死者7人不明15人 関東・東北豪雨』『常総で災害FM』『常総の避難所に新聞を無料配布 本紙販売店』、『福島第1 浄化地下水海に放出 東電、初日850㌧を予定』『除染廃棄物流出さらに53袋確認 福島』、『(東京千代田区の日比谷公会堂で)拉致被害者救出訴え国民大集会』、『秋山シーズン200安打=プロ野球・西武の秋山翔吾外野手(27歳)がロッテ戦で史上6人目(7度目)のシーズン200安打に到達』(14日付、毎日夕刊)

九月十三日
 茨城県常総市をはじめとした関東・東北大水害の被災地では多くの地域で停電に断水が続いており、一刻も早いライフラインの確保が望まれている。
 収穫の秋を迎えたというのに。家や車、人びとが荒れ狂う濁流に押し流され、田や畑までが決壊と同時にあふれ出た泥水に埋まったままだ。稲穂という稲穂が無惨にも全てなぎ倒され、手塩に育てた農家の悲痛を思うと言葉もない。せめてライフラインだけでも早く復旧してくれたら、と誰もが願う。

 日曜日の午後のひととき。妻の舞から「イ・ク・ヨ」と指令が出され市内の種苗店へ。引き続き野菜畑を訪れ、私がこしらえた小さな畝三列に彼女が白菜やレタス、キャベツなどの苗を植えていった。

 ままごとみたいではあるけれど。白菜などの苗が新たに植わった野菜畑
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 太陽の光りの下、長茄子の剪定が進んだ
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 この模様は、きょうの【伊神権太と舞の農業日誌】に記録しておいた。農業日誌は、昨年11月以降に始めた野菜づくり以降、畑地を訪れるつど書き続けてきている。本日分にかぎり以下に収録しておく。
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【2015年(平成27年)9月13日】
 午後、松永種苗へ。ここでキャベツ(彩音)や早生白菜(無双)、サニーレタス、ブロッコリー(おかわりくん)、秋咲き小菊夕やけ、チューリップ(マンゴーチャーム)…を舞が思いのままに各ふたつずつ購入し、和田の野菜畑へ出向く。
 畑では、私がスコップと備中で畝を3列つくり、ここに彼女が夕やけ、キャベツ、レタスの順で苗を植え、例の緑のチューブ入りスプレーのような活力剤(栄養剤)を要所に突き刺していった。「どこに何の苗を植えたか記録しておいた方がいい」との私の提案に「何が出てくるかは、あとの楽しみだから。記録なんてしなくていいよ」の弁。
 私は畝をつくったあと繁殖力の強い長茄子の枝を少しだけ剪定(舞が大半剪定済みだった)し、また周辺に新たに生えてきた草もあらかた抜いておいた。相棒はきょうも長茄子数本とピーマン数個を収穫でき、うれしそうだった。

 夕方、畑から帰って、ひと休みし部屋に入りデスクに着いたところへ兄が母を伴って、わが家へ。「こっちへきたので寄ってみた」とのこと。「野菜畑は俺たちでしっかりやっているから。これから見に行くか」と言うと母も兄も「あぁ、そうか。わかっとるから。行かんでもいいよ」と満足そうでした。
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 中日の本日付朝刊〈通風筒〉によれば、アニメ制作会社スタジオジブリ(東京・小金井市)のプロデューサー鈴木敏夫さん(67歳)が12日、ナゴヤドームであったヤクルト戦で始球式を務めた。名古屋出身の鈴木さんは物心がついたころから大のドラファン。人生で初めて務める始球式で、目標だった「〝投球〟が届くこと」はかなわず、捕手の手前でバウンドしてしまったが、スタンドからは大きな拍手。鈴木さんは、照れながらも満足そうだったとか。
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【きょうの一文・ことば】
「安保関連法案は国民の暮らしと命を守るのに絶対、必要な法案で大切です。みなさん、徴兵制、徴兵制とおっしゃいますがね。徴兵制、って言うのは荒唐無稽なんですよ。軍事的合意性もなければ政治的合意性もありません。そんなこと言い出したら内閣つぶれますよ。(徴兵制には)私も反対します。」=13日夜、NHK総合『〈NHKスペシャル〉どうする安保関連法案 審議大詰め・採決は? 与野党10党代表が集結…』の番組のなかで。高村正彦自民党副総裁

【新聞テレビから】
☆『戦時下の日記をいま読み返す 生活評論家吉沢久子さん(97)』『飢えと空襲 私も戦場にいた』『憲法覆す戦争法案、本当にイヤ』(9月13日号、しんぶん赤旗日曜版)
☆『小笠原も(ドラゴンズを)引退 去就は? 周囲の喧騒に「それはそれ」 週明け会見』『6回代打 魂のV打』(13日付、中日スポーツ)
☆『安保法案97議会が意見書 中部6県衆院通過後11件 「反対」35「慎重に」62』『安保廃案デモの波 中部各地』、『死者4人不明15人に関東・東北水害 常総市4260人避難』『決壊前 避難情報出さず 常総市、被害拡大招く?』『ボランティア心強い避難所で若者「震災の恩返し」仙台育英ナインも』、『平田さん殺害で再逮捕 大阪中1遺棄 山田容疑者「黙秘」』『調書への署名拒否中1殺害容疑者 経緯、謎のまま遺体発見現場数多くの花束』、『「大学人冥利に尽きる」名大浜口前学長退任祝賀会』、『北海道で震度4』(13日付、中日朝刊)
☆『〈Sストーリー〉治療あきらめない――シリア内戦命懸けの医師ら』『同胞救うのは務め シリア内戦医師たちの決意「たる爆弾を止めて」 遠隔ICU(集中治療室)米から助言』、『水害停電1万軒超 茨城・常総 15人依然不明』『決壊の地区 避難指示出ず』『関東・東北豪雨 避難所過酷な環境 断水で衛生に不安』『ボランティア受け入れ NGO「体調管理に注意を」 水害ボランティアの服装』、『地方も還付金批判 公明「参院戦戦えぬ」』、『市議各会派に聞く安保法案 豊橋・桜丘高校生らがシンポ』、『「団結して戦い抜く」 辺野古工事再開 沖縄で怒りの声』、『「石綿被害者立ち上がる契機に」 原告元従業員、賠償願う ニチアス訴訟 あす岐阜地裁判決』(13日付、毎日朝刊)

九月十二日
 東京・調布で早朝、震度5弱の地震。グラリと揺れた。
        ☆        ☆
 夏が終わり。野山にトンボが舞い、コオロギが鳴く秋が訪れている。生きとし生きてゆくモノ皆、これから見えない手にひかれて。どこに連れて行かれるのだろう。夜。ささいなことから妻と口論、ひさしぶりに彼女のつむじ風が曲がって吹き荒れ、わが身にドシャンとぶつかってきた。あっさりした性格の彼女のこと。そのうち、治る。
 それはそうと、ニンゲンたちは風水害や地震、戦争、テロ、漂流難民、原発事故による放射能汚染、そして病、介護、認知症、交通事故や殺し、いさかい、騙しあい……に毒されたこの世をけふも、かふして生きていく。いつ何ヤツに襲われるか。命をとられるか、しれたものでない。いや生ある以上、誰もがそれぞれの意識を抱え、先の見えない道を歩いていかざるをえないのだ。
        ☆       ☆
 先日、国勢調査の調査員がわが家を訪れ平成27年度の国勢調査インターネット回答の利用者情報のパンフレットを置いていったので合間を見てパソコンを操作しながら回答。最初は、「次」にいくのに少し戸惑ったが慣れてしまえば簡単で、無事、調査項目全てへの回答を終えた。アッというまの早業でやはり、インターネットは便利だとつくづく思う。
 
 夜。NHKのEテレで『〈ETV特集〉被爆者の子どもたち▽長崎・原爆を語り継ぐ』を見る。被爆2世による語り部たちが、戦争という過ちを2度と起こさない平和につながる行動を持続することを願ってやまない。
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「荒ぶる気象を生んだのは誰だろう? 人は季節をかく乱できる。だが、支配可能というのは大間違い。暴走を止めるのも、元に戻すのも不可能。台風、恐竜、原発、戦争、そして人間それ自身…。」とは本日付中日夕刊の夕歩道。まったくもって、その通りだ。
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【きょうの一文・ことば】
「庭はいつもきれいな草花でいっぱいだった。まさかこんなことになるとは」「押し花も趣味で、家には作品が飾ってあった」「実直でまじめな人。休みもなくこつこつと働いていた。退職して旦那さんとのんびり過ごしていたのに」=12日付中日朝刊『夫と趣味で庭造り 栃木で犠牲・小林さん』の記事のなかで。鹿沼市の自宅で土砂崩れに遭い亡くなった小林フミ子さん(63歳)の生前の人となりにつき近くの主婦や、かつての勤務先の同僚らの声

【新聞テレビから】
☆『茨城 孤立100人救出へ』『鬼怒川決壊8歳2人無事確認 不明は15人に』、『辺野古で移設作業再開 知事、取り消し手続きへ』、『昭和のヒット曲カバー 井上陽水が新アルバム 拓郎、フランク永井……11曲』、『★安藤さんがピアノ1位=オーストリアの南部ペルチャッハで開かれているヨハネス・ブラームス国際コンクールピアノ部門で静岡県出身の安藤真野さん(28歳)が1位に』、『〈ゆうかんさろん〉反戦小説を構想中=元高校教師の岐阜県本巣市曽井中島、高井泉さん(79歳)』、『津波の怖さ子や孫へ 自ら映像撮影 大船渡の男性 私設「伝承館」』、『自動ブレーキ機能 米新車に標準装備 トヨタなど10社が合意』、『殺人容疑で警官逮捕 埼玉・男性絞殺 DNA一致、殺意否認』『妻も警官「いいお婿さん」』、『目を皿にして品定め 瀬戸せともの祭が開幕』、『メッカで107人死亡 暴風雨、クレーン倒れ』(12日付、中日夕刊)
☆『生活再建どこから… 道も家も泥まみれ 関東・東北豪雨』『行方不明者数 常総市15人に』『老人施設疲労ピーク 茨城・常総 食料120人で分け 市役所孤立解消』『NYで震災追悼コンサート開催』、『同居の30歳男逮捕 京都 民家に2遺体遺棄容疑』、『鈴木貴子議員の政策秘書を逮捕 東京・傷害容疑』、『カタルーニャ独立訴え140万人』(12日付、毎日夕刊)
☆『来季構想から外れ決断 43歳鉄人ついに和田引退 来秋にも会見 2007年オフFAで西武から移籍』(12日付、中日スポーツ)
☆『豪雨死者3人不明23人 茨城、宮城など 堤防決壊相次ぐ』『早朝の氾濫ぼうぜん 宮城・大崎 街が急変「何もできねえ」 避難勧告出さず』、『派遣人代えれば無期限改正法、懸念残し成立』、『巡査部長殺人関与か 埼玉県警、逮捕状請求へ』『愛知県警4人懲戒処分 警部補は捜査中に窃盗』(12日付、中日朝刊)
☆『孤立住民救助続く 関東・東北豪雨 死者3人不明23人 最大19000人避難 川氾濫の地区に避難勧告出さず 宮城の警報解除』、『安保16日採決困難に 参院委が公聴会設定』『安保法案官邸介入参院が反発 地方公聴会開催鴻池委員長が決断』『「シールズ東海」発足 安保関連法案あす名古屋で抗議』、『■箱根の警戒レベル「2」に引き下げ』、『〈大震災4年半〉 悲しみ語り合おう 仙台 両親失った女性がサロン』、『殺人容疑警官取り調べ 埼玉・朝霞 浦和署巡査部長』、『組織委、画像無断使用 五輪エンブレム問題 記者説明会で』『JSC(日本スポーツ振興センター)理事長退任へ』、『司法試験漏えい教授を懲戒免職 明治大』(12日付、毎日朝刊)

九月十一日
 天高く馬肥ゆる秋の空=11日午後。木曽川河畔で
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 ひまはりの地球の夜を揺らしゐる  伊神舞子(11日付尾北ホームニュース『〈尾北の文芸〉江南俳句同好会 俳句』から)

 秋の空が広がった。ウサマ・ビンラディンらによる米ニューヨーク同時多発テロが起きた日である。2001年9月11日。私はその日、新聞社の編集局デスク長として局内の広いフロア一角にあった特報デスク席に座っていた。あれから早や、14年の歳月が流れた(ウサマ・ビンラディンの物語は、日本ペンクラブ電子文藝館の伊神権太「再生」、または伊神権太の記者小説集「懺悔の滴」=人間社刊=に所蔵)。
        ☆        ☆
 東日本の豪雨水害を報じる新聞、テレビ(NHKのニュース画面から)
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 昨日の茨城県常総市での鬼怒川の決壊氾濫につづき、こんどは宮城県でも大雨の特別警報が出され、大崎市では多田川と鳴瀬川の支流である渋井川が決壊。住宅街が浸水し地元警察や消防、自衛隊員らがヘリコプターやボートを使って必死の救出に当たった。常総市では浸水範囲が南にさらに拡大、災害本部としていた市役所庁舎はじめ、病院、特別養護老人ホーム、住宅などが次々と浸水し孤立化。これら被災地域でも前日に続き救出作業が進んだ。
 豪雨被害の死者は3人、23人がなお行方不明になったままで孤立し取り残されたままの人は依然、多くに及んでいるという(ほかにケガ人は27人)。茨城県によれば、常総市の浸水被害は約1万1千棟にのぼり、救助要請のあった約840人のうち約650人が夕方までに救助されたという。また気象庁によれば大崎市では11日未明、9月の観測では史上最高となる1時間43・0㍉の激しい雨を観測したという。
 今は、なんとか早く水が引き、平穏な日常が戻ってくれることを祈るほかない。
        ☆        ☆
 こうした水害を見るにつけ、私はどうしてもかつて空飛ぶ記者として新聞社の取材ヘリや双発ジェットでどの記者よりもはやく、一番乗りで全国の災害や事件・事故現場に派遣された、あの過酷だった日々に思いを馳せてしまう。あのころとて、この国は水害はじめ地震などの災害、その他の人為的凶悪事件や事故の繰り返しで、災害や事件事故の多発は少しもかわりはしていないのである。
 ざあ~っと思い出すだけでも、岐阜県栃尾温泉郷の崩落、三重の嬉野豪雨、秋田・男鹿半島の中部日本海地震、山陰豪雨禍、長野の地附山崩落に伴う老人ホームの壊滅、三宅島の噴火、長崎大水害、北アルプスの登山者大量行方不明騒ぎ、さらには長野で起きた日本福祉大学生のスキーツアーバスの転落事故、長野富山連続誘拐殺人事件から、果ては稚内沖オホーツクの海への大韓航空機撃墜、日航機の御巣鷹山墜落……と現場取材や空からのルポに駆り出された回数は、それこそかぞえしれない。
 いったん現場に入ってしまうと、拠点の確保に始まる取材活動が延々とつづき、数日間から場合によっては十日前後も滞在する体力勝負となり、そのつど取材も限界に達し、その繰り返しでもあった。今にしてふり返れば、携帯も何もなく、行き交うのは怒号ばかりだった。常備したハンディトーキー無線と拠点民家の電話や公衆電話だけを頼りによくぞ毎回、過酷極まる取材をこなしたものだ、これも強靭な体力があればこそだ、とホトホト我ながら感心する。時には報道よりも人命最優先で、と航空部員とカメラマン、私が一体となり取材活動をいったんやめてヘリによる被災者救出に当たったことも何度かある。

「オーッ、〝いがみ〟か。今度は三宅島が噴火した。気ィつけていってきてくれなアカンでよう。無理せんといて」。
 名古屋弁丸出しで電話越しに語る時の滝社会部長(故人)の「無理せんといてナ」は「無理せよということだ」と勝手に解釈し、現地に飛んだ日々が懐かしくもある。現在、関東東北で続く水害取材、いや時には被害がさらに大きい長崎大水害など悲惨な現場を前に何日も足を棒に取材をし続けていたのである。

 舞はいつも私に向かってこういう。
「過去は忘れるの。大事なのは、今なんだよ。いまをしっかり生きてゆかなきゃ。過去なんて忘却の彼方にしなければ。いいもの書けないよ」と。ほかの知人女性も含め、同じ調子で叱られそうなので、これ以上はやめておこう。ただニンゲンたちは誰もがそういう苦しみの道を歩いている、ということを言いたかった。それだけだ。でも過去が今のバネになることだって、あるかもしれない。
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 水害一色の本日付中日夕刊【中部発】に『地元素材髪つやつや 伊賀の高校生ら開発』の見出し。思わず目を引かれて読むと「三重県伊賀市の県立あけぼの学園高校の生徒たちが開発に携わったシャンプーとトリートメントが完成した」とのこと。「伊賀産の菜種油などを使い、つやとボリュームが出るのが特徴」で、今月1日から伊賀地域を中心に県内のショッピングセンターなどで販売し生徒たちも店頭に立って消費者にアピール。商品名は、菜の花と伊賀忍者にちなみ「nanonin(ナノニン)」にしたのだ、という。いい話しだ。
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【きょうの一文・ことば】
「両市町の市民、職員が積極的に情報交換や議論をし、具体的に継続して取り組むことが堀尾公への供養となる」=11日付尾北ホームニュース1面『(島根県)松江市―大口町 姉妹都市提携を締結 松江開府の祖、堀尾吉晴公(大口出身)の縁』の記事のなかで。鈴木雅博大口町長の談話

【新聞テレビから】
☆『鬼怒川決壊 不明25人に』『宮城でも堤防決壊 豪雨3人死亡 常総、400人孤立』『東北各地で浸水』『「激甚指定」検討 菅官房長官』『〈鬼怒川上空ルポ〉沈んだ日常(上田千秋、河口貞史)』、『伊調、10度目V 川井も五輪当確』、『改正派遣法が成立30日施行 現場混乱の懸念』、『関東東北 被害心の痛み共有 東海豪雨15年語り継ぐ集い』、『大雨の中、犠牲者しのぶ 東日本大震災4年半』『福島第一原発で汚染水また流出』、『初代長官に鈴木大地氏 スポーツ庁、来月発足』、『〈グラフ 半田赤レンガ建物〉レトロな魅力に乾杯 改修終えカフェや展示室に』、『大同特殊鋼を捜索 群馬県警 廃棄物不正処理疑い』(11日付、中日夕刊)
☆『住民ら身寄せ合い 東日本豪雨 夜通し救助活動 自衛隊員姿にほっと〈茨城〉堤防決壊「まさか」 車から多数通報 ボートなどで32人〈宮城〉』『大震災思い出した 10人救助のヘリ自衛官』『東海豪雨被災忘れない (新川決壊から)きょう15年』『〈東日本大震災から4年半〉長女の携帯今も手元に』、『100歳以上6万人超す 45年連続増 10年間で2・4倍 厚労省調査』、『新韓銀行の株主7億円申告漏れ 名古屋国税局指摘』、『17年春の還付金導入こだわらず 軽減税率で財務相』(11日付、毎日夕刊)
☆『鬼怒川決壊12人不明 関東記録的豪雨 400人救助、690人孤立』『茶色の街必死の救出』、『東日本大震災きょう4年半 避難者全国19万人』、『安保強行採決しないで 母親ら、自民本部に1万9000筆』、『命あるうちに再審を 奥西死刑囚支援者ら訴え』、『韓国の銀行株主申告漏れ 愛知の数人 6億円 国税、全国調査へ』(11日付、中日朝刊)
☆『町のみ込む濁流 関東豪雨逃げる間もなく浸水 間一髪つり上げ』『屋根上救助待ち塀で4時間「怖い」 本紙記者取材中一時孤立 3人で励まし合い』『ホテル一部川に崩落 鬼怒川温泉宿泊客足止め』、『安保関連法案に慎重審議求める 愛知・田原市議会』『国内331団体が反対の共同声明 安保法案=国内外36カ国の計331団体による国際共同声明は「日本の戦争行為によって再び人々が殺し殺される関係に立ち、アジア太平洋地域が再び悲惨な戦争の惨禍に見舞われることに強く反対する」といった内容』、『来月4日に住民投票 小牧市新図書館計画 条例可決』、『日本の朝元気に NHK朝ドラヒロイン交代』、『日馬富士が休場 秋場所』(11日付、毎日朝刊)

九月十日
        ❤        ❤
 ネパール大地震の復興支援に打ち込む愛知県稲沢市出身のカトマンズ在住、長谷川裕子さんから「(夫の)ニルマニがカトマンズ日本語学院の校長先生になりました。益々忙しくなりそうです~!」の知らせ。夫妻に「ネパールにパッと明るい光りがさしてきた気がします。日本語学院の校長先生、心からお祝い申し上げます」と返信させて頂いたのは当然である。
        ❤        ❤

 家が。道路、車、橋が。堤防がえぐり取られ、木々までがそっくり濁流にのまれ流れてゆく……息も絶え絶え、傷だらけのニッポンがそこにはある。

 濁流のなかに浮かぶ民家、根こそぎさらわれる木々、救出ヘリの姿が痛々しい=10日夜、CBCの〈NEWS23〉画面から
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 いったい、この世はいつ何時、不幸に襲われるか知れたものでない。
 台風18号の接近、日本海への通過に伴い関東、東北地方できのうから降り続いた記録的豪雨。上流の栃木県日光市五十里(いかり)で500㍉以上と、たった1日で2カ月分もの記録的豪雨をもたらした大雨が下流で鬼怒川を〝暴れ川〟に一変させた。
 雨は夜ふけても止むどころか、強まる一方で栃木、茨城両県では深夜未明から早朝にかけ相次いで特別警報が出された。特別警報は午前0時20分栃木県に、7時45分には茨城県にも出されたが午後零時50分には、とうとう茨城県常総市で鬼怒川が140㍍にわたって決壊。あっというまに6900戸が浸水、その後、12人が行方不明になるなど悪化の一途をたどり、民家やスーパー、老人ホームなどに取り残された約690人が救出を待つ(10日夜遅く)。
 決壊は鬼怒川に留まらず、栃木県鹿沼市を流れる黒川など各地でも大小河川があふれたり決壊し、テレビ局は各局とも自衛隊や海上保安庁、警察、消防によるヘリやボートによる救出の模様などを報じている(同夜までに400人が救助されたという)。一帯が濁流の海同然と仮すなか、家屋に残され上空に向かって手をあげ助けを求めたり、電柱につかまって救助を待つ人々らの姿を見るにつけ自然の脅威をあらためて思い知らされる1日となった。この日、栃木県だけで30605世帯、80243人に避難勧告が出されたという。

 雨は、ほかに東日本大震災と福島第1原発事故に被災した福島県でも会津若松や福島の浜通り、いわき市などでも大量に降り続いており、予断を許さない状況になっている。雨よ、やんでくれ!懇願したところで彼女たちは容赦なく振り続け、私たちはその豪雨を前にひれ伏すしかない。
        ★        ★
 午前中、社交ダンスのレッスンに。
 規定のジルバから始め、2級のルンバ、チャチャチャ、タンゴ、ワルツとこなして最近習い始めた3級のタンゴ、ワルツへと。ラストは3級のルンバとチャチャチャの順で踊り終えたが、この間1時間半で結構な体力を要した。
 夕方。気分転換もあって横笛で現在、練習中の〈平城山〉をふいてみたが、このところの雨続きからくる湿りのせいか、音が掠れてしまい、思うに任せない。しばらく間をおき、こんどは、ふく場所を1階から2階の部屋に替えふいてみる。と、思っていた以上に清らか、かつ透明感と伸びのある艶っぽい音が出てきたので、ひと安心。湿りけはあまり関係ない気がした。
 つい調子に乗って〈さくら〉〈惜別の歌〉〈風の盆恋歌〉〈酒よ〉〈越後獅子〉と、これまで学んだ曲を手当たり次第にふいてみる。まだまだ息の継ぎ目などが〝キレギレ〟となってしまい、不完全な出来ではあるが、きょうのところは、これでおしまいにした。
        ×        ×
 安保関連法案の廃案を求める市民団体の集会が昨夜(9日夜)、東京・日比谷の野外音楽堂であり、台風の影響による雨にも負けず、約5500人(主催者側発表)が会場や周辺に集まり、廃案を訴えた。ラスベガスで9日(現地時間)行われたレスリング女子世界選手権。五輪3連覇の吉田沙保里(32歳)=ALSOK、津市出身=が53㌔級で優勝。55㌔級で戦った2大会前までを含め13連覇を達成。五輪とあわせた世界大会の連覇も16に伸ばした。また48㌔級の登坂絵莉(22歳)=至学館大、富山県高岡市出身=も3連覇を飾った。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「こんなに変わっちゃって。もう分からないねえ」。「(吉一さんと和行さんのお墓に手を合わせ)どこにいるのかなあ」「自宅跡、お墓、仏壇。どこで祈れば届くのかな」
=10日付毎日朝刊『〈東日本大震災4年半 見つめ続ける ひと、思い〉止まった時間 流れる時間』の記事のなかで。行方不明の父吉一さん(当時87歳)と夫和行さん(当時60歳)とのつながりの場所である宮城県石巻市門脇町の自宅跡で、加藤啓子さん(65歳)※自宅跡は、かさ上げ工事が進み判別できなくなった

【新聞テレビから】
☆『関東など記録的豪雨 鬼怒川氾濫 栃木、茨城に特別警報』『「ゴゴゴ」温泉街襲う音 栃木、茨城 土砂崩れ、住宅埋まる』『二つの台風 湿った空気集中』、『元気に育って飴に祈り込め 熱田神宮、七五三準備』、『被災地の診療所13%休廃止 岩手・宮城・福島 地域医療打撃大きく』、『レスリング 吉田 世界16連覇』『登坂・土性も五輪当確』、『虐待摘発最多376件 1~6月、傷害・暴行が8割』『児童ポルノ被害最多 全国上期383人、4割「自撮り」』(10日付、中日夕刊)
☆『雨音 まるで地鳴り 栃木1人不明 救出見守る住民』『栃木・茨城に特別警報 避難指示5万人 大雨 救助要請相次ぐ』『台風が壁 積乱雲発達』『首相「人命第一」』、『東証一時800円超下落』、『列車、高速道止める 難民阻止へデンマーク』『米、露に懸念表明 シリア政権支援「戦闘激化招く」外相電話協議』、『司法試験漏えい繰り返し答案練習 明大院教授が個別指導』、『少女殺害容疑男逮捕』『横浜の簡易宿泊所「首を絞めた」』(10日付、毎日夕刊)
☆『嵐の一日中部混乱 18号縦断 住宅被害、休校相次ぐ JR334本運休』、『風化させない 東海豪雨あす15年 語り部教訓つなぐ』、『銀河系の外からガス雲衝突確認 名大チーム 星の形成探る鍵』、『遺体は成人男女 京都、殺人断定 女性頭部に骨折』、『職場転々広がる不安 派遣法改正案あす成立へ 待遇改善疑問の声』、『豊明4人殺害遺族らビラ配布 11年 昨日のことのよう』、『川崎のホーム職員暴行入所者家族が撮影、告訴検討』(10日付、中日朝刊)
☆『台風18号 東海各地に爪痕 名鉄知多新線土砂崩れ』、『安保衆院再可決を検討 自民執行部 参院採決で攻防 18日までの成立狙い』、『辺野古埋め立て 承認取り消し表明へ 沖縄知事が方針』、『還付金申請 財務省「郵便局でも可能」 負担軽減策議論 自公反発も』、『司法試験漏えい 採点項目全て正解 細かい表現も暗記?』『教員と学生近い距離 法科大学院「少人数」PR』『明大、懲戒免職へ 学長が謝罪』、『患者の子に国賠償責任 鳥取地裁 ハンセン病初の判断』『〈解説〉家族・遺族の救済へ道』(10日付、毎日朝刊)

九月九日
 台風18号が午前10時過ぎ、知多半島に上陸。愛知への上陸は2013年9月いらいで雨、風の被害を各地にもたらしながら福井、石川を経て日本海に抜け、夜には温帯低気圧になった。
 ところが、この温帯低気圧化が広範囲に積乱雲を集めて居座らせる〝線状降水帯〟現象を起こし東海はじめ近畿、静岡から関東一円、東北地方にまで大量の雨をもたらし、各地が雨でズブヌレ、ずたずたに。避難指示や勧告が相次いで出されるなか、河川が氾濫し家屋の浸水やがけ崩れ、道路の寸断、停電が相次いだ。そればかりか、交通も遮断され、運休や欠航など鉄道や空の便にも大きな影響を与えた。

 昨夜、市街地の1部が水に埋まった浜松に続き、きょうは伊勢、鳥羽でも計9000世帯に避難指示・勧告が出され、豊橋でも162世帯に避難勧告が出されたという。あちこちで至るところが冠水し、道路では立ち往生する車が続出、夜には東京、神奈川、茨城、千葉、埼玉、栃木、山梨、福島県下などでも河川の氾濫などで多くの家々や車が水に埋まった。栃木県日光市では降り始めからの総雨量が400㍉を越え50年に1度の大雨となり、気象庁が特別警報を出すほどだった。いったい何たることか。
 かといって、この雨を鎮めることのできるモノなぞ、この世で誰一人としていない。ただ降られるがまま、なされるままだ。これとて、見えざる【神の手】に違いない。
        ★        ★
 中日の本日付夕刊1面の伊勢市内で水に埋まったままの写真。これを見るにつけ、私はちょうど40年ほど前、昭和49年の七夕の日に伊勢地方を同じように急襲した豪雨のことを思い出さざるをえない。当時、中日新聞の伊勢支局兼志摩通信部記者だった私は勢田川の氾濫で水浸しになった市街地を水に浸かって取材拠点の伊勢支局まで歩いたことがある。あのときの模様はざあっと以下のとおりである。
――七夕豪雨は昭和四十年代の後半、その年の七月七日に起きた。
 参議院選の投票日でもあったが、豪雨のなか、御薗村の投票所の投票用紙が溢れ出た水面にプカプカと浮いて流され投票がやり直されることになった。当時、メディアというメディアがそれこそ、全国各地から御薗村に集結した。世に言う“やり直し選挙”である。
 七夕豪雨となったその日、私は御薗村を管内に持つ伊勢支局からの応援取材要請に新車「サニー」で志摩通信部のある阿児町鵜方から向かった。ところが、伊勢の街中に入ったところで車は水没寸前に。やむなく、エンジンを一杯にふかして近くの水の浸かない場所にまで辿り着き、そこに車を置いて伊勢支局に向かった。街の中心部に近づくに従って水量は増える一方で最後は腰まで浸かって、やっとこせ支局に到着した苦い思い出がある。
 さて、支局に援軍として着いたはいいものの、一階の事務所では既に原稿用紙がプカプカ浮き、同僚記者が重要書類を二階の支局員住宅に持ち運ぶのに大わらわだった。私は、ただ呆然と立ち尽くした。これでは、どうすることもできない。「何のための応援だったか」。手がつけられない状態に私自身も書類運びなどを手伝った日がつい昨日のようだ。
 それでも、それからしばらくは御薗村でのやり直し選の取材合戦に連日狩り出され、地方記者としてはなかなか味わえない取材体験をしたのである。……(詳しくは「熱砂」の第3回テーマエッセイ=テーマは〈雨〉=、伊神権太「雨記者」から。※「熱砂」表紙の〈読む〉をクリック→テーマエッセイ→テーマ~「雨」)
        ☆        ☆
 ついつい回顧談になってしまった。ところで、現在わが家には〝若さま〟が1人と〝お姫さま〟3人がおり、下人すなわち召使いは私である。若さまは息子をさし、お姫さまは妻の舞と愛猫こすも・ここ、シロのふたりだ。というわけで、けさは雨台風襲来もあって、いつものように駅まで歩くとさすがの息子もズブヌレになってしまい、イケメンが台無しになってしまう。デ、車で名鉄の最寄り駅まで送らせて頂いた、というわけ。
 そして夕方。執筆に調子が出てきたところへ帰宅した舞が突然、例の調子で「イ・ク・ヨ」ときた。半ば強制的に命令してくるので、この方も行き先が分からないままマイカーで希望の地へと送り届ける。ト、そこはなんと苦手な畑地だった。なんだか知らないが、舞は目的地に着くと薬局で買ってきたという、長さ20㌢ほどのチューブ入り緑の活力剤なるものを、おもむろに取り出し「いざ出陣」といった様子でジャガイモやピーマン、ナスが植わっている畑に間隔を置き1本ずつさしていった。
 なんだか宇宙の畑に来たような。そんな不思議な気持ちにとらわれたのである。
        ×        ×
 9日の東京株式市場。世界的な株安への警戒感が和らいだのか、日経平均株価(225種)の終値の上げ幅は前日比1343円43銭高の1万8770円51銭となった。これは史上6番目の上昇幅で、バブル崩壊後の景気対策への期待から急騰した1994年1月31日(1471円高)以来、約21年7カ月ぶりの大きさだった。8日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均が大幅に上昇したことに加え、欧州市場の株価も上がったため市場全体に安心感が広がったためらしい。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「誰もが合意できる憲法を作るのは難しく、抗議活動は続くだろう。不安定な政治状況のせいで、地震から4カ月以上たっても被災地では本格的な復興作業が始まっていない」=9日付毎日朝刊『〈ネパール大地震4カ月〉憲法案で混乱 復興停滞 「民族分断」抗議デモ』の記事のなかで。地元紙のシャンプー・カトル記者のことば

【新聞テレビから】
☆『平和の折鶴羽ばたけ 9・11テロ遺族作曲NYで合唱へ』『東日本大震災犠牲米国人教師も追悼』、『ママデモで思う 権力の「母性」利用警戒を 吉良智子(きら・ともこ。ジェンダー史研究者。近著に『女性画家たちの戦争』)』『台風18号知多上陸 避難指示・勧告 伊勢・鳥羽9000世帯』『雨台風通勤を直撃 18号上陸 土砂災害も警戒』、『派遣法改正案を参院可決』、『燃費40㌔に改善 4代目プリウス』、『未返還仮設住宅 (東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の)被災3県に900戸』、『離脱派「山健組」を捜索 大阪府警新組織の実態解明へ』、『模範解答見せ添削 司法試験漏えい、明大院教授』、『私用メール問題でクリントン氏謝罪』、『ボン・ジョヴィの中国初公演中止 「ダライ・ラマ映像」が原因?』、『コンビニ強盗相次ぐ 緑区と東海市、同一犯か』、『京都の住宅2遺体発見 1人スーツケースに』(9日付、中日夕刊)
☆『高齢者環境 日本8位 96カ国・地域 医療項目トップ』、『千葉県浦安市 ビラ文言削除要求 施設内「デモ告知」だめ 安保法案反対団体に 表現の自由侵害』、『東証一時900円高』、『政府と沖縄 対話機関 辺野古移設など協議』、『筧被告4回目逮捕へ 兵庫・伊丹の男性に青酸 殺人容疑』、『放火殺人容疑 女逮捕 大阪府警 遺体から睡眠薬検出』、『司法試験漏えい 教え子ほぼ満点 短答式も 教授担当の憲法』(9日付、毎日夕刊)
☆『還付上限年4000円で検討 消費税10% 食品20万円の2%』、『在外被爆者も医療費支給 最高裁初判断 国、4280人を救済へ』、『ココストア買収 ファミマが発表』、『「平和祈願宗教者の使命」名古屋で宗派超え安保法廃案へ集会』『シールズ東海支部発足 全国4カ所目、13日街頭活動』『安城の公明党員反対署名渡せず 党本部へ9143筆』、『浜松で浸水、負傷者も 台風18号』、『ジャカルタ在住邦人女性殺害か 首に絞められた痕』(9日付、中日朝刊)
☆『浜松7万人避難指示 台風18号』、『安保16日成立目指す』『安倍総裁再選「党内に物言えぬ空気」自民地方議員が懸念』『〈安倍晋三首相が自民党総裁に無投票で再選された8日、有権者に聞く〉生活実態に即した政策を/「独裁色」に拍車心配/安保法案議論深めて』『「安保」法案反対署名9000人集めた学会員 4時間粘り…公明代表会えず』、『「法の下の平等どこへ」司法試験漏えい 受験者失望と怒り』『法科大学院 30校 合格率1割未満 合格者40人増え1850人』、『■伊勢にサミットメディアセンター設置』、『■震災81遺体の身元不明』『■川内村長、仮置き続き給与半分に』『〈声、聞こえますか 原発避難の子ども⑤〉大熊町 「新品の町に帰りたい」』(9日付、毎日朝刊)

九月八日
 〈白露〉 本日付中日朝刊の連載漫画【おーい栗之助 森栗丸】によれば
♪草花に朝露が宿り、秋の到来が感じられる頃、だそうだ。

 安倍晋三首相(60歳)の任期満了に伴う自民党総裁選が告示され、首相が無投票で総裁に再選された。任期は2018年9月までの3年間。自民党総裁の無投票再選は、2001年の小泉純一郎首相(当時)いらい14年ぶりだという。

 雨台風だとされる台風18号が北上し本土に近づいている。このせいで、きょうは朝から雨、雨、雨だった。昼過ぎ、名古屋に出かけたが傘を手にしての外出はホントに嫌だ。第一、みじめったらしい(恋人と一緒なら、こうした雨も〝小粒の真珠〟で、どこまでもあるき続けたく思うのだが。私はそうした時の小雨は昔も今も大好きである)。
 傘を手に雨さんたちのなかを歩いていると、なんだか仏の道を何かに向かって歩いていく。そんな錯覚にとらわれる。まだまだ若いのに。重ねた齢がそう思わせるのか。そこには、あ~ぁ、いやだ、いやだよ、とかぶりをふりながら、それでも歩く自分の姿がみてとれる。周りでは大勢のニンゲンたちも歩いていた。みな何を考えているのか。
 ふと、どこかで誰かの声が。「ニンゲンは自然には勝てないな」の私の呟きに対してだ。「ちがうよ。ニンゲンがそのままにしておけばよいのに。自然をいじくりまわすからよ。だからこうしたことになる」と。そのとおりかもしれない。

 きょうも結構、私なりに追い立てられて何やかやとバタバタする1日が過ぎていったが、ここでは、その1部だけでとどめおく。ほんとに書きたい話となると、いろいろ誤解も出て書けないのでそれはそれでこの先私が書く小説のなかで読み解いていただければ、と願う。
        ×        ×
「私の思いに理解を示す同志の議員から『民主主義では全会一致による決議は無効』という言葉をいただいた」と話すのは、立候補に必要な20人の推薦人を集めることが出来ず、総裁選への挑戦を断念した野田聖子前総務会長。いやいやどうして。総裁選を無投票にしないために取り組んだ彼女の行動は、それなりに評価してよい。「派閥も持たないなか、一時は奇跡的な(推薦人の)数字をいただいた」というではないか。
 司法試験の出題内容を受験生に漏らした、として法務省司法試験委員会は8日付で試験の考査委員を務めていた青柳幸一明治大学法科大学院教授(67歳)を解任、同時に国家公務員法(守秘義務)違反容疑で同教授を東京地検に告発した。「まさかあの人に限ってと言いたいくらい真面目な方で学生の評判もよかった。教え子を何とかしてやりたいという気持ちがあったのでは」とは、この教授を知る人の話だ。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「日本人は(批判されても)言い返さないが、発信すれば理解してもらえる。食文化や宗教の違いを理解しないと戦争はなくならない」=8日付中日夕刊『捕鯨肯定映画に賛否 世界映画祭「勇気ある」「誘導宣伝」』の記事のなかで。和歌山県太地町の捕鯨を肯定的に取り上げたドキュメンタリー映画「Behind〝THE COVE〟」(ビハインド・ザ・コーヴ)が世界映画祭が開かれているカナダモントリオールで上映され、この後の質疑で語った八木景子監督の思い

【新聞テレビから】
☆『東海で猛烈な雨の恐れ 台風18号あす最接近予想』『安倍氏無投票で再選 自民総裁選野田氏は出馬断念』『野田氏「説得力なかった』、『中部空港に広州直行便 中国南方航空、来月25日』、『明治大院教授を告発 司法試験漏えい 守秘義務違反容疑』『長く考査委員「看板教授」』、『太地町施設JAZA(日本動物園水族館協会)退会 イルカ漁問題「求めに従った」』(8日付、中日夕刊)
☆『台風18号あす本州に最接近 猛烈な雨予想も』、『安倍首相、総裁再選 自民14年ぶり無投票』、『高校に「自衛隊コース」 高知の私立が新説「入隊者減少国家の一大事」』、『パト追跡車、川越え衝突 みよし 16~22歳5人重軽傷』『「女性同意」と供述 集団強姦容疑の警官 大阪府警』、『地中に「スーパーヘンジ」 円周1・5㌔環状遺跡 英南西部に「証拠」』(8日付、毎日夕刊)
☆『辺野古集中協議決裂 政府「工事再開」沖縄「全力で阻止」』、『不正会計で赤字378億円東芝リストラ「大胆に」』、『ココストアを来月買収 ファミマ、セブン並み規模に』、『実弾訓練 安保の影 7月に事故 日米、滋賀で再開』、『〈ニュース前線〉大きくなったら―豊明母子4人殺害あす11年 次男正悟君〝20歳〟未来への手紙 遺族に』(8日付、中日朝刊)
☆『〈声聞こえますか④ 原発避難の子ども〉双葉町 通学100㌔「続ける」』『■福島第1の汚染雨水6度目流出』、『司法試験漏えいか 明大大学院教授教え子に 法務省告発へ』、『諫早開門高裁も認めず 漁業者への賠償取り消し』、『新国立ザハ氏応募へ 日建設計と再びチーム』(8日付、毎日朝刊)

九月七日
 このところは、ある発想による新しき小説の執筆を進めている。

 農婦になった妻の舞。備中さばきも、あざやか。でも終わって。「全身の手や足がガクガクになってしまった」と
 201509071642

 日本ペンクラブ会報P.E.N.第432号と文學界10月号が、ポストに。
 安倍晋三首相(自民党総裁)の任期満了に伴う党総裁選があす告示(20日開票)される。野田聖子前総務会長が意欲を燃やし出馬に必要な推薦人20人の確保に奔走しているが確保は難しそうで、断念せざるを得ないのでは。
 ある女性議員は野田さん本人から電話で「総裁選を無投票にするわけにはいかない。推薦人になって」と声をかけられたが「政策面で納得できず断った」という。こうした時こそ、女性議員が結束すれば日本も輝くのにと思うのは私だけか。
 欧州へのシリアなどからの漂流難民の流入は依然続き、留まりそうにない。昨夜、千葉市で83棟もが突風被害に泣いた日本。こんどは台風18号が北上している。
        ★        ★
 9月6日付本欄【生きてゆく人間花たち/2015年9月の唄】の取材と執筆に結構な時間を費やし見通しをつけ床に入ったのが午前2時過ぎ。真夜中のギターならぬ執筆が続いた。ひと段落ついたので床に着き、しばらくしたところで異変が生じた。
 眠りに陥るか陥らないか、のところで左顔面上の頭部から顔にかけ、斜めに神経が走り抜ける激痛に襲われ、痛みがなかなか治まらず脂汗が出てきた。思わず、隣で眠る舞にSOSとあいなった。まもなく彼女が左顔面に湿布剤2枚を張ってくれ痛みはおさまったが、わが身への突然の来訪者は一体何だったのか。
 このところ、神経の血の線とでもいえようか。亀裂の如きものが時折顔面を斜めに切るように走り、キヤッとした謎の痛みがしばしば起き、これが気になって江南厚生病院の脳外医師はじめ町なかの名医(内科医)、次いで歯医者の順で診てもらってきたが、脳外科医と町医者は「神経が過敏過ぎるだけで心配ない」との診断。歯科医だけが「虫歯があったので、おそらく、それが原因では」とのことだったが……。

 それにしても、これだけの痛みがそれも長い間続いた、となるとほおっておくわけにもいかず、今度は舞の指示に従ってきょうの午前中、眼科病院を訪れた。
 眼科医では両目のCTはじめ、視野の検査などあれやこれやと調べて頂いた結果、「眼圧が高いので、あす、あさってと2日間きてください。そのうえでお薬を出して治療させていただく」とのこと。このうえは、医師を信じるほかあるまい。このところは、本欄執筆でもかなりの労力を費やし、酒も連夜かなりの量に及ぶ。同時に執筆生活で睡眠不足も続く。無理してきているだけに、年齢からも体力的にガタが出にかかっている気がしないでもない。
 
 と言いながらも、畑のことが気になって夕方、義母の付き添い介護から戻った妻を伴い野菜畑へ。草を引く私に向かって、備中さばきも鮮やかに土を耕す舞が、私に顔を向け「言ってくけど。あたし、農家に嫁いできたわけじゃないからね」の弁。それでも、葱と茄子、ピーマンを収穫出来、束の間ふたりの時間を楽しんだ。舞は文句を言いながらも案外に、こうしていることが好きなのかもしれない。お互いの体調も勘案して、きょうのところは早々と引きあげた。ヨーロッパを漂流する難民家族を思えば、これ以上の幸せは無いのかもしれない。ケ・セラ・セラで。あるいて行こう。どこまでも、か。
        ×        ×
 太宰治が「第2回の芥川賞は私に下さいまするやう、伏して懇願申し上げます。」との手紙を当時、芥川賞選考委員だった佐藤春夫宛てに出していた事実が書簡3通の発見で明らかに。手紙の現物が見つかったことでこれまで1部に流れていた〝太宰の芥川賞懇願〟は佐藤春夫による作り話だ、とする〝佐藤創作説〟が完全に覆された。
 川崎市の介護付き有料老人ホームで昨年11月~12月に80~90代の入所者3人が相次いでベランダから転落死した件で市が記者会見。「短期間に3件もの死はあまりにも不自然だ」とし早ければ週内にも施設を訪問し、職員から事情を聞く方針を明らかにした。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「ここまでたどりついたのは、シリア国内でも経済力があった人たちだ。貧しい人は国外に出るのも難しいし、欧州まで来るなんて不可能だ」。
=7日付毎日朝刊『貧しい人シリア出られぬ ブダペストから鉄路 安定求め難民の波』の記事のなかで。生後4カ月の赤ちゃんをあやしながらブダペスト東駅で国境の街・ヘゲシャロム行きの列車を待つモハメド・アブドラさん(28歳)

【新聞テレビから】
☆『夏目雅子さん輝き今も 没後30年追悼企画相次ぐ』、『繁殖難消えゆくラッコ 国内水族館 米禁輸で高齢化 競争なく「草食系」に』、『東芝、378億円の赤字発表 3月期決算 不正会計で拡大』『東証乱高下 一時300円超安』、『独に難民2日で2万人 警察「受け入れ限界」警告』、『千葉で突風65棟被害 3人けが 電車の窓複数割れる』、『小林陽太郎氏死去 82歳元経済同友会代表幹事』(7日付、中日夕刊)
☆『太宰「私を見殺しにしないで」 「芥川賞」泣訴の書簡見つかる 佐藤春夫宛て巻紙4㍍』、『独自の作風で美追求 伊賀焼若手作家・新さん=新学(あたらしまなぶ、42歳)= 会社員経て父に弟子入り』、『岩手・山田のカラオケ店盛況 歌がストレス発散に』、『新組織「神戸山口組」 山健組組長名文書で宣言』『工藤会離脱急増1~8月で31人 「頂上作戦」弱体化』(7日付、毎日夕刊)
☆『震災4年半…会いたい 宮城・名取の運河 水抜き初捜索』、『苦難の旅念願の地へ 難民1万人独に到着』『西欧入り「幸せ」 ハンガリー→オーストリア難民に同行 検問なく国境通過』、『〈本紙アンケート〉安保法案中部27参院議員に問う 自民9人賛否示さず』、『中国経済「10年間難局も」 G20 財政相、頭打ち認める』、『上野のライチョウ全滅 人工ふ化5羽 来春の繁殖困難』、『釣り船転覆10人死亡 韓国・済州島沖 8人が不明か』(7日付、中日朝刊)
☆『山口組分裂 13組長が新組織 トップは山健組組長 警察 抗争を警戒』、『安保法案「立憲主義の危機」早大や新宿 学生ら抗議集会』、『中国「5年苦難の調整」 G20 生産・在庫が過剰 楼財政相』、『〈第27回U―18(18歳以下以下)〉野球W杯〉 日本準V 米に1―2』、『〈忘れない 未解決を歩く〉上智大生殺害から19年 今も語りかける同級生』、『夫婦げんか列車止めた 大分 妻の靴投げ込む』、『■田中投手の妻まいさん妊娠』(7日付、毎日朝刊)

九月六日
 地中海の荒れ狂う海に漂う、夥しい数の遺体。これら悲しい屍を乗り越え、5日から6日にかけ、命がけでドイツに渡ったシリアなどからの難民たちは実に10万人以上に及ぶという。先月28日に発生したヤフーメールのシステム障害。97万人に送られたメールのうち258万通が消失した。

 日曜日。外の景色を見る限り真っ暗で、くらい闇の中に居るような錯覚に陥る。きょうは、ほとんど1日じゅう雨で、くらかった。でも、心は晴れ晴れ、ホンワカするいっときも。なぜかって。
 というのも早朝は〝晴れ女〟が付き合ってくれたせいか、自宅近く古知野神社の掃除の間にかぎって、なぜか不思議と空から滴は落ちてはこなかった。黙々と草取りに励み帰る途中、たまたま出会った花霞町副総代の奥さん曰く。「いがみさん、ナンデ。奥さんと一緒に歩いて帰らないの」と。恥ずかしくって。ただ、それだけなのですが。それも、言えなくて。
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 「熱砂」からは、ピンクの胡蝶蘭をお祝いに贈らせていただいた=稲沢市大塚南の「エーデルワイス・楊貴妃」店内で
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 きょうの話題は、今ひとつ。稲沢市の稲沢東高校北側できのう店開きした喫茶店「エーデルワイス・楊貴妃」を訪ね、合掌造りのような天井の高い民家ふうの風情に文化の香りと、気高さを感じた。ここ尾張地方は一宮、江南、岩倉、稲沢…とモーニングサービスなど全国的にも知られる喫茶文化の土地で知られるだけに、その思いを新たにした。地方文化を担う方々は、皆さん本当によく頑張っておいでである。
「エーデルワイス・楊貴妃」さんの場合。店主さんが私の昔からの友人で、私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」が常日頃お世話になっていることもあり、同人仲間の詩人で作家の真伏善人さん=「熱砂」編集委員=と一緒にお祝い挨拶を兼ね訪れた。一般市民に地域の寄り合いや各種催しなどにも無料開放されるパーティールーム(30人まで収容。12日から開放予定)も備えられ、こんごは地域社会にとって何よりの文化の拠点としても親しまれそうである。
 問い合わせは、「エーデルワイス・楊貴妃」=0587-23―2372=まで
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 夜に入って1本の電話が入った。
 珍しく私が受話器を取ったが、声が義姉そっくりに聞こえたため思わず「おねえさんですか。おねえさん」と2度ほど尋ねた。が、この女性、実は義姉ではなく中部ペンクラブの俊英、木戸順子さん(「絃の会」所属。会誌・会報編集委員会委員)だった。
 要件は20日に予定される中部ペンの公開シンポジウム『中部ペン』を読み文学を語る会に関してだったが、よくよく考えると〈中ペン〉は何かにつけ女性の力で成り立っているナ、との思いを強くした。
 中ペンは、ほかにも錚々たる顔ぶれの、まだまだお若い女性文士がキラ星の如くそろっている。それだけに、木戸さんの文学にかける熱心かつ情熱的な声を電話越しにお聴きし、この際、中ペンの役員全員をそっくり女性にかえてしまい新たな旅立ちをすれば、話題性も高まって、日本の文学界の新風として注目される存在になれるのに。惜しいナと唐突にも思った次第。女性同士、多々難しい点もあるだろう。この先彼女たち1人ひとりが日本文学の先兵となって活躍されることを祈りたい。そのためにも、まず書くことが大切である。
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 自民党の高村正彦副総裁が青森市内での講演で安保関連法案に言及し「国民の世論がまだ理解されていない、ことは十分承知している」としたうえで「一刻も早く抑止力をつくっておく必要があり、国民のために必要だ。十分に理解が得られていなくても決めないといけない」と言明。「次の選挙で国民の審判を仰ぎたい。国民の理解を得られなければ次の選挙で政権を失う。それが民主的統制だ」と語った。
 秋田県鹿角市の「道の駅かづの」の駐車場で5日深夜に起きたタクシー運転手殺害で秋田県警は55歳の男を強盗殺人容疑で逮捕。物騒な事件が日本じゅうで続発している。午後9時半を過ぎた。千葉市などで突風、被害が出ているという。自然は人間社会なぞ関係なく、どこまでも容赦がない。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「地震は人の力で抑えることは出来ないが、震災は人の力で抑えられる」=6日夜、東海テレビの番組『〈Mr.サンデー〉首都直下地震に備えよう 緊急防災スペシャル③関東大震災を予測……全否定された男の苦闘』のなかで。大正12年9月1日に起きた関東大震災を18年前に予測していた当時東大助教授(後に教授に)だった地震学者今村明恒のことば

【新聞テレビから】
☆『楢葉に帰ろう亡き母へ 避難解除 生活環境の回復課題』、『安保「異議あり」名古屋の声 中区で集会』『〈米軍兵士の戦争㊤〉戦場もう戻らない 学費求め入隊』、『G20経済回復維持へ行動 中国、バブル認める』、『バスケ女子がリオ五輪切符』、『オーストリアに難民6500人 ハンガリー国境で混乱も』、『盗難車に別の車台番号付け偽装』『ニコイチ巧妙不正輸出』『ネットに出回る事故車 運輸局 水際の発見「困難」』、『被害者注意発端トラブル 武豊襲撃 店主「今も、まさかと…」』、『同僚らが現場を訪れ坂本弁護士一家追悼 遺体発見20年』(6日付、中日朝刊)
☆『歩く難民 国境開けた』『列車で続々 独到着』『EU、難民対応で対立』『独、緊急受け入れ ハンガリーは批判』『ギリシャ、管理放棄で急増 周辺国に波及』『14歳少女の涙独政府動かす パレスチナ一家に滞在許可』『高齢化社会に「流入は幸運」独労相が指摘』『難民対策争点に浮上 ギリシャ総選挙 与野党、非難合戦』、『安保法案黙って抗議 東三河に広がる輪 駅前立つだけ』『弁護士会主催で集会とデモ行進 名古屋』『署名7000人分「集めた」 安城の創価学会会員 公明党本部へ直訴へ』、『JR不審火7件目 東京・国分寺 電柱部品焦げる』、『住吉会幹部も訪問 神戸 山口組離脱組長ら集結』、『五輪エンブレムポスター ネット競売に出品』、『酒気帯び容疑で朝日支局長逮捕 福島・会津若松』(6日付、毎日朝刊)

九月五日
 深夜遅く。あのハンガリーのブタペスト東駅で足止めを食らい、歩いてオーストリア国境に向かっていた難民の多くがとうとう国境にたどりついた、とのニュース。同じ人として自由を求め戦火を逃れる、その心情が痛いほどに伝わってくる。
 一方でハンガリー駅周辺や列車の停止で立ち往生し行き場を失っていたシリアやアフリカからの難民の群れが、ハンガリー政府が急きょ用意した百台のバスでオーストリアの国境にまで移送され、道のあちこちでは長蛇の列となって歩く難民家族を見るに見かねてか、自家用車で拾って国境まで送り届ける民間の車が続出。この日だけで実に6500人の難民がオーストリアに入国。国境の町は検問のため一時大混乱した、という。
 その後、オーストリア、ドイツの両国は流入難民を人道上からも受け入れる、と表明。これら難民の大半はこの先、望み通りドイツ入国が実現しそうで本当によかった。人が人を思う気持ちが濁流となって広がり、ハンガリー政府もメディアの論調に背中を押されるように、ほおってはおけなくなったかったからにほかならない。でも、受け入れる側の国民の気持ちも複雑に違いない。
 何はともあれ、内戦や戦争の惨禍を逃れて欧州の自由な国を目指して家族もろとも漂流する何千人もの人々が当面の危機から脱出できそうなことを喜びたい。駅などあちこちで「ウイーンまで着けば、医者もいる」と国際赤十字の職員が励ます姿も見られたそうだ。いまは、国境を超えて人が人を思う気持ちがあったことを喜びたい。
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 ほぼ全域が東電福島第1原発から20㌔圏内で「避難指示解除準備区域」に指定され、4月以降は長期間、夜間も滞在できる「準備宿泊」が始まっていた福島県楢葉町でこの日避難指示が解除された。病院がない、など生活をしていくうえでのインフラ面での不安はあるものの何はともあれ「おめでとう」と祝福したい。
 あとは、傷つきながらも命がけで復興への道を歩いていく、この町に住む人々に少しでも多くの幸せが戻ってくることを願う。ここに私がことし2月に人っ子ひとりいなかった楢葉を訪れたときの模様を再録したい。

――町は沈み音もなく泣いていた。道路も、住宅も、商店街、雑木林の木々たち、交差点、陽の影さえも。何もかもが、だ。この町の人々が一体何をしでかした、というのか。立派な家という家が主を失い、悔しさに耐えかねた表情でひそ、と言葉を失って建つ。屋敷内の庭は、生え放題の草ぼうぼうである。梅のピンクがかった花びらだけが、美しい1輪を咲かせている。
……この町を去る。私は去りがたい何か、気配の如きものを感じ、このまま、この住宅街の一角で立ち尽くしていたい、そんな衝動にかられた。でも、帰りの「竜田」発いわき行き列車の時間に間に合わせなければ、私一人だけが法を侵し、この町に取り残されることになる。一体全体誰が。何がこの町をこんな死んだも同然の町にしてしまったのか。……(詳しくは【生きてゆく人間花たち/2015年2月の唄】の2月26日付をお読みください)
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 きょうの毎日新聞夕刊〈○eye見つめ続ける 大震災 岩手・大槌町のサポートセンター「私たちのホーム」〉によれば、「震災で家族を失ったメンバーもいるが、仮設団地(大槌町和野仮設団地)でみんなでフラダンスを踊ることで日常を取り戻してきた」という。その名も〝和野っこフラガール〟。当初は家族を亡くした人もいて「踊っている場合じゃない」との声もあったそうだが、踊ることで少しずつ心の落ち着きを取り戻し、今では笑い声が響くほどになったという。みんな不幸をはねのけて懸命に生きている。
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【きょうの一文・ことば】
「(事故以来)止まっていた時計の針が再び動き始めた」(松本幸英楢葉町長)「(解除を伝える新聞を読みながら)ようやく復興に向けて第一歩を踏み出した」「病院がないことへの不安はある。でも、楢葉町が大好きだから帰ってきた。みんなも戻ってきてくれるといいねえ」(無職、永山和平さん。83歳)=5日付中日夕刊『原発避難 初の全町解除「楢葉復興への一歩」』の記事のなかで。町内祈念式典での町長のことばと自宅で解除の日の朝を迎えた町民

【新聞テレビから】
☆『絆しめ直す伊勢・夫婦岩』、『トヨタ米大と人工知能研究5年で60億円投資』、『ポール 地球へラブソング 温暖化対策支援=新曲「ラブソング・トゥー・ジ・アース(地球へのラブソング)」を共同でリリース』、『星座別に事故防止指南 愛知県警HP』、『安保法案審議を分析 市民の目線HPが好評 秋田の女性 論点、まとめ方工夫』。『マイナンバーかたる詐欺ご注意 通知便乗? 不審電話』(5日付、中日夕刊)
☆『町全域避難指示解除 楢葉復興への祈り』『陸前高田に一軒津波の苦難乗り越え再開 街の書店心の支え 客に励まされ4年半』、『「命のビザ」杉原地畝プレート リトアニアで除幕式』、『大道芸10年で4300公演 風船太郎笑顔の中脱サラ香田さん全国行脚』、『オキシトシンで自閉症状改善 「愛情ホルモン」点鼻意思疎通活発に 東大チーム発表』(5日付、毎日夕刊)
☆『「必ず帰る」希望の灯 楢葉町避難指示を解除』、『大手電力解約原発15基分 自由化以降 企業など新電力へ』、『宇宙の家にぎやか 合流で9人に=ロシアと欧州、カザフスタンの飛行士の3人を乗せたソユーズ宇宙船が4日、国際宇宙ステーションに到着。滞在中の油井亀美也さんら6人が出迎えた。来週まで9人態勢となる』、『首相テレビで「安保法成立」を 「そんなに暇なら特別委に出て」 理事懇 審議中の出演に批判』、『メタボ健診検証可能2割 費用27億円 データベース不備で』、『生活保護4容疑者通帳転売 詐欺で使われ一宮署逮捕』、『闇サイト事件無期懲役 堀被告 碧南の強殺来月初公判 最終起訴から2年8カ月』(5日付、中日朝刊)
☆『全域避難解除――帰還1割未満 楢葉再生険しく 財源確保が課題』『「こころつなぐ」3000本の灯籠 震災犠牲者追悼』『〈声聞こえますか 原発避難の子ども①〉「古里の時間 動かす」 楢葉の中1 級友との再会信じ帰還』『福島第1廃炉作業を公開 原発事故4年半』、『安保法案16日採決で調整 与党 情勢見極め来週判断』、『クロスボー逮捕 別事件被害者も元同僚 7月、半田で切りつけ 関連を捜査』、『中平卓馬さん死去 写真家「アレ・ブレ・ボケ」77歳』(5日付、毎日朝刊)

九月四日
 内戦の続くシリアから家族で脱出中にボートが転覆、トルコのボドルムに流れ着いた3歳男児のニュースを報じる各メディア。わが子アイラン・クルディちゃん(3つ)を失い悲嘆にくれる父親と難民ルート……=4日夜のメ~テレ〈報道ステーション〉画面から
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 エーゲ海に面したトルコ南西部のリゾート地ボドルム。この浜に流れ着き、赤いTシャツに紺色ズボン、靴をはいたままでうつぶせに横たわる難民男児、アイラン・クルディちゃんの遺体。この写真が「目をそらすな」(仏。ル・モンド紙)「その時できたことはただ一つ。彼の叫びを世界に届けることでした」(漂着遺体を発見したトルコ。ドアン通信の女性記者)などと各国のメディアで一斉に報道され、世界じゅうに衝撃となって広がっている。4日付中日(東京)夕刊も『男児遺体 欧州に衝撃 トルコ シリア難民漂着 写真を掲載』の見出しと男児の遺体を抱く治安当局者の写真入りで報じている。

 実際、シリアなどの中東やアフガニスタン、アフリカ諸国から欧州に逃れようとする難民は、ことしだけでも34万人以上に及ぶ(2011年以降では推定400万人)。トルコ、ギリシャ、ハンガリー、マケドニア……を経てドイツへと歯止めがきかない状態で心をボロボロに裂かれた大量の人びとが押し寄せ、ハンガリーのブタペスト駅では周辺が難民キャンプさながらに一変するなど大変な状態が続く。
 こうした状況下に仏オランド大統領が「難民受け入れの新たな仕組みについてドイツのメルケル首相と連名でEUに提案した」とのニュースも伝えられている。家族そろって着の身着のまま命がけで祖国を捨て、安住の住処を求めてさまよう人々。日本では考えられない不幸な事態が繰り広げられている。悲しみの連鎖は、もはや歯止めがきかない、崖っぷちだ。
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 午前10時過ぎ。窓をたたく突然の大きな音。妻がベランダに干した洗濯物を室内に入れようとするも、奇襲攻撃にも似た豪雨には手も足も出ず、万事休す。ただ吼える如く降り注ぐ雨脚を見守るだけで時、既に遅しだった。この雨もしばらくすると嘘のようにやみ、こんどは太陽の日が照りつけた。「干し物はそのままに」と言うので、触らないでいるが太陽が、つかのまの豪雨の名残りを抑え込むことができるのかどうか。私には分からない。夜。テレビニュースを見ていると、東京でも土砂降りの雨にたたられたという。
  
 4日付尾北ホームニュース〈尾北の文芸〉欄に「♪平和への鎮魂であれ大花火 伊神舞子(江南俳句同好会)」の句が掲載されていた。花火の季節は過ぎたが、分かりやすい。
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 東電福島第1原発事故で全町が避難している福島県楢葉町への避難指示があす5日に解除される。解除は2014年4月の同県田村市都路地区、同10月の川内村の1部に続き3例目で全町避難の自治体では初となる。解除に先だち今夜は、楢葉町の総合運動場で津波で亡くなった人への鎮魂と町の復興を願って町民らが約3000個のろうそくに火をともしたという。
 政府は、ことし4月から解除を前に長期間、夜間も滞在できる準備宿泊を実施しているが、準備宿泊の登録者は781人で全人口約7400人の1割にとどまっている。いずれにせよ、避難指示の解除により、楢葉町の新しい時代が幕開けする。幸いあれ、と望むほかない。
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【きょうの一文・ことば】
「イスラム国がこどもに教えるのは、首を斬ることだけだ(難民の母親)」「私たちには仕事も無い。自宅も無い。安全も無い(男性)」「勉強ができる、もっと良い暮らしのできるところへ行きたい(少女)」「ハンガリーのブタペスト駅周辺でドイツへの道が途絶え、行き場を失っていた難民3000人のうち1000人が、とうとうオーストリア国境に向かって歩き始めました(ニュースを伝えるアナウンサー)」=4日報じられた各メディア(テレビ、新聞)から。印象に残ったことば

【新聞テレビから】
☆『〈生駒と織田 歴史ものがたり⑫〉生駒家長……小牧長久手の戦い 江南郷土史研究会須賀弘之』(4日付、尾北ホームニュース)
☆『〈ドキュメント72時間〉大仏を見上げる霊園で お盆の墓地に密着ロケ 亡き人と生きる人の縁』(4日夜、NHK総合)
☆『秋を実感「風伝おろし」御浜町』、『マイナンバー通知カード 5200万世帯手渡し混乱も 郵便夜間窓口に殺到?』、『日本ガイシ罰金78億円 価格操作、米司法省』、『フットサルで世界を友達に 名古屋・会社員企画 ミニW杯 6日開催』、『半田の被害者も元同僚 武豊襲撃容疑者 凶器を処分か』『ボーガン 販売側 自主的に防犯対策』、『山口組離脱派山健組が会合 神戸、傘下組長ら』『会津小鉄会事務所を京都府警が家宅捜索』(4日付、中日夕刊)
☆『福島・楢葉あす避難解除 救急搬送時間1・5倍 郡内の2次病院ゼロ』、『「安保」成立阻止連携強化確認へ 野党6党首会談』、『〈チェック〉世界株安の震源地 相場動かす中国2億人 「一攫千金」狙う 路上で情報交換 8割個人投資家』、『「災害忘れない」紀伊半島豪雨4年』(4日付、毎日夕刊)
☆『習氏「正しい歴史認識必要」 中国「抗日」式典 70年談話念頭に』、『元最高裁長官も「違憲」明言 安保法案「砂川」根拠を批判』、『ユニー人員整理回避 スーパー部門 ファミマと合意』、『武豊襲撃元従業員を逮捕 新聞販売店殺人未遂容疑、否認』、『小泉和裕・次期音楽監督が就任会見 名フィル本物の音楽やる』、『みかじめ料払うしか… 錦三の店舗「商売できない」』『山口組分裂背景に「上納金」』、『飛騨市議が辞職願 職歴書き加え「私にも責任」』(4日付、中日朝刊)
☆『習主席「歴史の教訓 心に」 安倍首相談話暗に批判 抗日戦勝70年』、『マイナンバー運用拡大 金融資産国が監視強化 預金など情報管理課題』『「匿名」加工で売買自由 改正個人情報保護法が成立』、『鈴木大地氏有力 スポ庁初代長官』、『〈復興を探して〉南三陸震災翌日、親戚が会話 不明の姉避難所に現われた 頭離れず霊能者訪ね=震災では今も約2500人が行方不明で、南三陸町では212人が見つかっていない』『「心情受け止める配慮を」被災地での霊的体験』『宮城1人暮らし男性 震災4年半身元判明 生活保護受給履歴たどり=宮城県内ではまだ、16体の身元が分かっていない』(4日付、毎日朝刊)

九月三日
 国民に個人番号を割り当て2018年からは銀行などの預金口座にも任意で番号を適用する改正マイナンバー法が3日の衆院本会議で可決、成立。政府は、国民の資産を正確に把握して脱税や年金の不正受給を防ぐのが狙いだ、としているが国の監視が強まることや個人情報の流出を心配する声が出ている。
 中国天安門広場での「抗日戦争勝利七十年」の記念式典と1万2千人の兵士が参加しての国家の威信をかけての軍事パレード。今夜のNHK〈時論公論〉によれば、❶戦勝国中国のアピール❷軍事力の誇示❸国民の団結、の3つの目的があるとのことだが真相は。習近平国家主席による軍の完全掌握の誇示、すなわち「習近平の『戴冠式』である」ことだけは間違いなさそうだ。
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 きょうは〝1、2、9、3〟という数字にこだわるドラえもんの日。誕生日だそうだ(生まれたのは近未来97年後の西暦2112年9月3日、とのこと)。かつてドラえもんが登場したとき。もう一人の主人公のび太を小学4年生と設定、当時の4年生の平均身長が129・3㌢だったことから、のび太がドラえもんを永遠に見下ろせないように誕生日を「9月3日」にしたのだ、とか。分かったようで分からない。
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 午前中、社交ダンスのレッスンへ。先週、熱中症で倒れ救急車で病院に運ばれ、心配していた〝ハレちゃん〟(私は彼女が浅田真央ちゃんに似てるので〝まおさん〟〝まおさん〟と呼んでいる)が元気な顔を見せ、一緒に踊れたことが何よりか。きょうは、合間をみてこのところさぼりがちだった横笛とサンポーニャの自宅練習にも挑んだ。疲れ休めも兼ね久しぶりにハーモニカを手に〈赤とんぼ〉や〈ふるさと〉〈みかんの花咲く丘〉〈夕焼け小焼け〉など10曲ばかりふいてみた。我ながら「うまいな」と、妻にいつも指摘される通り。一人芝居のナルシストも同然か。 
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 ハンガリーの首都ブタペスト駅がシリアやアフリカ諸国などから自由を求めて流入し続ける難民で大変なことに。3日には数千人の難民がホームに殺到し駅は大混乱に。難民がドイツ国旗の描かれた列車をドイツ行きと間違え乗り込み押し合いへし合いとなったためだが、ドイツへ逃れようとする、その一途さにはすさまじいものがある。ハンガリーには1日3000人前後の難民が流入、ことしは16万人を越えたという。
 たまりかねたハンガリー当局は3日、ハンガリーにいる難民について「オルバン首相の指示で全員に難民申請してもらう」と自由に出国させない考え。また同首相は多くの難民がハンガリー経由で欧州を目指している現実について「危険を伴うので来ないでほしい。通過国のトルコやセルビアは安全な国なので、そこに留まった方がいい」の弁。

 過去24年の土俵生活で通算出場1691回の現役最多、歴代5位の大相撲の元関脇若の里(39歳)=本名古川忍さん。青森県出身、田子ノ浦部屋=が東京・両国国技館で記者会見し現役引退を表明。「まだまだやりたかった。ずっと現役でいたかった」「地元青森の声援がうれしかった」と若の里。今後は年寄り「西岩」として後進の指導に当たり、相撲界の発展に尽くすことになった。お疲れさま。
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【きょうの一文・ことば】
「抗日戦争は近代以来の外的侵入に対する初めての完全勝利で中国を植民地化しようとする日本の軍国主義を粉砕した」「中国は一貫して平和発展の道を歩んでいく。永遠に覇を唱えず、拡張政策を採ることもない」「私は中国が(現在230万人いる兵力を)30万人削減すると宣言する」など
=3日、「抗日戦争勝利七十年」記念式典の席で。習近平国家主席の演説の1部

【新聞テレビから】
☆『中国「抗日」初パレード 習氏「軍30万人削減」』『軍を完全掌握 習氏アピール』、『預金口座もマイナンバー 18年から、改正法が成立』、『今度は「危険ガス」 亜酸化窒素 海外で死亡例 規制の動きも』『「ドラッグ」摘発 東海でも激増』、『★イルカ追い込み漁初出港=和歌山県太地町で3日午前5時過ぎ、イルカなど小型鯨類の追い込み漁をする漁船12隻が1日の解禁後、初めて出港した』、『ネット銀不正送金再び増 上半期15億円 農協、労金に拡大』、『天守木造復元へ3500万円 名古屋城 市が補正予算案発表』『400㌧天守動いた! 弘前城100年ぶり「曳屋」』(3日付、中日夕刊)
☆『中国、最新兵器次々 戦勝パレード 習氏、軍掌握アピール』『江沢民元主席が出席』、『震災から4年半気仙沼の唐桑半島 まちに元気を若者移住 元ボランティア、就職辞退し戻る』『地下水くみ上げ開始 福島第1 浄化後、海に放出へ』、『■Topics 「熊野大学」夏期セミナー 未来の他者の視点大切に 中上健次設立 戦争テーマに語り合い』『高齢男性に腕時計手渡し現金要求 路上押し売り横行 「お返し」心理つけ込む 容疑者逮捕「半年で500万円」』(3日付、毎日夕刊)
☆『新聞週間標語 名古屋・主婦の作品 ご近所も 世界も見える 紙面から』『8・30安保法案反対デモ 12万人? 3万人? 駅データで5万人以上』『学生ハンスト147時間で終了』、『山口組分裂弘道会の地元名古屋 抗争巻き添え 繁華街に不安』『警察庁緊急会議 警戒強化を指示』『絶縁や破門は直系組長13人(絶縁5、破門8)』、『JR不審火同一犯か 都内複数現場共通の遺留品』(3日付、中日朝刊)
☆『日中韓会談来月末にも 中韓首脳が合意 日本は歓迎姿勢』、『辺野古移設反対 米監督らが声明=米国の映画監督オリバー・ストーン氏や言語学者ノーム・チョムスキー氏ら欧米などの著名人や識者ら109人が米軍普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設に反対する声明を連名で発表』、『エンブレム公募条件緩和 五輪組織委 透明性確保へ 招致時の図案 採用できず』、『熊ケ谷親方(元十両・金親)を逮捕 名古屋場所中 付き人に暴行容疑』『人気回復にまた冷や水』、『エンブレム撤回 都、7000万円負担の恐れ 発表会費用 組織委と協定』『知事「使えるものは使う」』、『山口組分裂 抗争への発展 警察庁が対策会議』(3日付、毎日朝刊)

九月二日
 めっきり涼しくなってきた。季節とは不思議なものだ。なぜか、人恋しい。

 日中韓の三国首脳会談が来月末か11月初旬の都合の良い時期に韓国で開かれる可能性が出てきた。中国が3日に行う抗日戦争勝利七十年記念式典に参加するため北京入りした韓国の朴槿恵大統領が2日、中国の習近平国家主席と会談し意見を同じくしたというもので、日本側も歓迎、受け入れる考えを示した。実現すれば、安倍首相と朴大統領にとっては初の首脳会談となる。とてもいいことだ。
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 夜。妻はこのところのハードスケジュールもあって「耳が痛いので、もう寝るから」と早々と2階へ。遅く帰宅した息子も入浴と食事後、自室へ。私もきょう1日の任務を終え、少し開け放たれていた居間の編み戸を閉めて寝ようとしたところへ、隙間から小指よりひと回りちひさき青蛙がピョンと家の中に入ってきた。さあ、大変だ。ヒョンピョン、ピョンと跳び回るカエルをやっとこせ捕らえて外に逃がしてやる。
♪青蛙こやつ中々泳ぐなり  みづほ

 私にとっての、きょう一番のニュースは舞の体調不良による早寝と、今宵ひょんなことから対面したカエルちゃんとの出会いである。傍らでは愛猫こすも・ここが、まるで私の張り番の如く大きな目をパッチリ開け、じっと私を見つめたままだ。もうそろそろ寝なきゃ、と嗜めてくれているのがよく分かる。
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 けさ早朝。ふたりで雨のなかを車で近くの不燃物の指定ごみ集積場へ。舞は白いレインコートを頭からすっぽりかぶって。私は右手に傘をさしドラゴンズ公式ファンクラブの野球帽をかぶってだ。ゴミ出しのさなかに、あれほどまでに土砂降りだった雨が皮肉にも8時を過ぎたころには、嘘のように止んだ。
 天気予報では午前中雨で午後には上がる、ということだったが。秋の空と女ごころは、変わりやすいとは、よく言われるがけさの天気に関するかぎり当たっていた(舞に言わせれば、男ごころの方が変わるそうだ)。その天気だが。ことしの夏は猛暑つづきと思い込んでいたが、そうでもなかった。夕刊(中日)見出しによれば、〈猛暑一転 後半涼しかった〉〈東海8月平均は平年並み〉〈夏の商い「晴れのち曇り」〉ということだ。
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 越中おわら風の盆がきのうから富山市八尾町で始まった。初日は、午後3時から伝統の〝町流し〟が始まり、編みがさを目深にかぶった女性らが踊りながら町を練ったが強い雨がやまず7時過ぎには中止に。雨があがった10時過ぎ1部で再開されたという。八尾へは過去何度も訪れたが、あの魂を揺り動かすような、胡弓と三味の音、が耳にしみついて離れない。酔芙蓉に見る抒情もいい。この、おわら風の盆踊り、台風の退散を願って3日まで続く。
 長野県松本市では指揮者小沢征爾さんの80歳をお祝いする音楽祭「セイジ・オザワ松本フェスティバル」が開かれ、フィナーレで演奏されたベートーベンの「合唱幻想曲」で小澤さんが登場。アルゼンチンのピアニストやサイトウ・キネン・オーケストラ、OMF合唱団ら200人を前にダイナミックな指揮を披露し喝采を浴びた。この日のコンサートは、キャロライン・ケネディ駐日米大使も鑑賞した。
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【きょうの一文・ことば】
「通りから子どもの姿が消え、空き地が増えた。レストランやスーパーは閉まったまま。行政にも見捨てられ、思った以上にすさんでいる。戻ってきたのは正しい選択だったのか…」。
=2日付中日夕刊『「カトリーナ」10年 米南部を歩く 住民「見捨てられた」 貧困地域差別意識も壁』の記事のなかで。テキサス州の避難先から建て直した家に戻ってきたウィルミントン・シムズさん(56歳)

【新聞テレビから】
☆『東京五輪「ぶざまな事態」 エンブレム撤回海外メディア批判的』『エンブレム白紙都や企業に損害 費用負担誰に』『「組織委、審査委にも責任」衆院委で五輪相』『「迷惑掛かる」作品展延期 新潟の美術館に佐野氏が申し出』、『安保60日ルール使わず 自公幹事長確認 参院で法案採決へ』、『中韓首脳が会談 朴氏 南北改善仲介要請へ』、『NY株急落469㌦安 中国経済に警戒感強く』『東京株が乱高下一時300円超下げ』『一時4%超下げ 上海株』、『ネムツォフ氏暗殺半年滞る捜査 反政権弾圧深まる謎 デモ許さず■選挙候補を一時拘束』、『美人王妃の埋葬先ツタンカーメン墓? 室内の壁に割れ目 考古学者が新説』(2日付、中日夕刊)
☆『中間貯蔵用地(地権者は2365人)契約7人のみ汚染土保管 地権者連絡取れず』『防潮堤完成16% 被災6県計画変更で遅れ』『防潮堤遅れ 高さや環境保全で溝 住民意向、県とかみ合わず』、『大阪万博も大会マーク変更 「分かりにくい」と異議』、『ロサンゼルスが24年五輪立候補』、『成田の主役全日空に 国際線便数 日航上回る』、『リビア沖尽きない難民の数 「救助船足りない」 人道支援団体 心的外傷被害も』『ギリシャに2万3000人 1週間で』(2日付、毎日夕刊)
☆『五輪エンブレム撤回 佐野氏申し出で組織委「模倣でないが悪影響」 活用例写真は流用認める』『迷走、組織委にも責任』『五輪またつまずく エンブレム撤回「国民の支持得られぬ」』『中部の関係者ら出直し期待』『企業困惑広がるスポンサーHPから削除 トヨタ、ミツカン…商品ロゴに使用 美濃焼ラーメン丼佐野氏がデザイン』『佐野氏の横顔 柔らかい作品得意』、『不正送金で5700万円被害 ネット銀 愛知の1法人、全国最悪』、『6漁船転覆4人死亡 対馬・下関沖 2人不明竜巻発生か』、『JK(女子高生)店経営者ら再逮捕 愛知県警 児童買春の疑い』(2日付、中日朝刊)
☆『五輪エンブレム撤回「東京ブランド」傷 組織委「国民理解得られぬ」公募やり直しへ』『「模倣断じてない」佐野氏』、『「原発作業でがん発症」福島第1でがれき撤去 東電を提訴 札幌の男性』、『帰還の船長「胸いっぱい」 拿捕1カ月半家族と再会=北海道広尾漁協所属の小型サケ・マス流し網漁船「第10邦晃丸(29㌧)」が7月中旬、ロシア国境警備局に拿捕された問題で伊東正人船長(60)ら11人が乗った同船が母港・十勝港に戻った』、『学園長=学校法人「文理佐藤学園」の佐藤仁美・学園長(44歳)=修学旅行中カジノ 埼玉の学校法人1000万円を流用』(2日付、毎日朝刊)

九月一日
 ♪何も聞こえない何も聞かせてくれない
  僕の身体が昔より大人になったからなのか
  ……
  思春期に少年から大人に変わる
  道を探していた汚れもないままに
  ……
 (作詞・作曲・歌 徳永英明) 

 日本は何もかもが壊れそうだ。なんとかせねば。
 昔、〈壊れかけのRADIO〉という歌があったが、まさに【壊れかけのニッポン】である。東京五輪の新国立競技場建設案の白紙撤回に続き、こんどはいったん選ばれた東京五輪の公式エンブレムの使用撤回である。ほかに今の時代を預かる権力者たち、すなわち政治家たちの独断かつ一方的な誤った憲法解釈で存亡の危機にある憲法9条、放射能に侵されたまま時が過ぎゆく東日本大震災と福島第1原発事故の被災地と、この国はそれこそ、どこへいってしまうのか。
 これだけ、どの人も皆、一生懸命かつ、けなげに生きているというのに、だ。これまでの日本人の過ち、罪に対する贖罪なのか。それとも、戦後しばらくの間ヨチヨチ歩きだった日本そのものが〝真の平和〟を求めて思春期にはいっているためなのか。私たちは見えざる手で、一体どこへ連れていかれるのだろう。糸の切れた凧にだけはしてほしくはない。
        ★        ★
 佐野研二郎氏(43歳)デザインによる2020年東京五輪の公式エンブレムが使用中止となった。ベルギーの劇場ロゴに酷似しているなど批判が高まる一方のなかでの大会組織委員会の苦渋の決断といっていい。それにしても、国立競技場建設計画のやり直しに続く公式エンブレムの使用中止で、なんだかアレモコレモが〝破綻〟のなかでの出直しで、関係者への影響、苦悩ときたら、計り知れない。
 こんなことをしていていいのか、ニッポン! と言いたくなる。おそらく世界じゅうの人々が「ニッポンハ、イッタイゼンタイ、ナニヲシテイルノデスカ」と思っているに違いない。
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 夕刊を読んでいたら【タイタニック号最後の昼食メニュー 米で競売に】なる見出しが目に飛び込んだ。思わず、どんなメニューだったろうと読み進めると、ローストビーフにカスタードプリン、冷たいミュンヘンのラガービールなどの字が、茶色っぽい紙に印刷されたメニューから確認されたという。紙には氷山に衝突した「一九一二年四月十四日」の日付も入っており、英南部から米ニューヨークに向かう途中だった英豪華客船「タイタニック」は翌15日未明に沈没。残されたメニューが思わぬ歴史の証言者となっている。
 米大リーグ・マーリンズのイチローがアトランタでのブレーブス戦に2番・右翼で臨み8回に4球を選んで出塁し次打者の二塁打で生還。日米通算2000得点に到達した(メジャーでは1342得点目)。この日は3打数無安打だったが4―0の勝利に貢献。テニスの全米オープン初日、世界ランキング4位で第4シードの日本の錦織圭(日清食品)は1回戦で世界41位のブノワ・ペア(フランス)に4―6、6―3、6―4、6―7、4―6で敗れ、初戦敗退。ドラゴンズは本拠地ナゴヤドームでDeNAに6―5で敗れ4連敗。せっかく盛り返してきたと思っていた。のに…。
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【きょうの一文・ことば】
「震災から4年半を前に、ようやくスタート台に立てた。欧米に売り込む拠点にしたい」=9月1日付毎日夕刊『(「長さ世界一」という880㍍に及ぶ荷さばき所でも知られる)石巻市場に活気再び』のなかで。運営会社社長の須能邦雄さん(72歳)
「私にとって準備宿泊は助走期間。新しく改装した旅館の食堂で、宿泊客が笑顔で料理を食べている姿を心待ちにしています」=1日付毎日夕刊『南相馬「準備宿泊」開始 旅館女将「旅行者待つ」 再開巡り揺れる心』のなかで。東電福島第1原発事故で避難指示区域にある南相馬市小高区の老舗「双葉屋旅館」の女将、小林友子さん(62歳)※双葉屋旅館はJR常磐線の小高駅の目抜き通りにある。小高駅は東日本大震災の発生直後から、未開通のままで今も無人だ

【新聞テレビから】
☆『〈NHKスペシャル〉夏祭り・相馬野馬追』 原発事故5年目の福島 避難先から住民が集結 故郷への思い胸に』(9月1日夜、NHK総合)
☆『〈刻む記憶〉魂と歴史スイング 米国NY最古ジャズ殿堂』、『きょう「防災の日」 首都直下を想定政府が備え確認』『高3女子地域守ります 東区の消防団期待の新戦力』、『従業員も会社も幸せ ホテル再建柴田さんの映画上映へ=「日本一幸せな従業員をつくる!」が1日開幕した「あいち国際女性映画祭」の国内招待作品として県内4カ所で上映=』、『東証、一時450円超下げ 中国景況 大幅悪化を懸念』、『五輪エンブレム使用中止 類似問題批判受け 20年東京 組織委、方針固める』『コメントできない 佐野氏事務所』『活用例の画像 無断転用の疑い 組織委調査』、『〈大波小波〉地続きにある権力の暴走』(9月1日付、中日夕刊)
☆『首都の駅難民キャンプ ハンガリー 独目指す数千人』『所持金なし「徒歩でも」』『独首相、受け入れに意欲』『英仏海峡付近に救済施設設置へ 仏首相』、『6漁船転覆2人心肺停止 対馬沖2人不明』、『「備え」増す重み 防災の日160万人訓練』『「透析難民」2万人 首都直下地震発生時 都内400施設 耐震不十分半数』、『「安全思い込み」を批判 IAEA(国際原子力機関)福島第1で検証報告』(1日付、毎日夕刊)
☆『「武器購入ローン」4兆8815億円 防衛予算総額に迫る』『概算要求総額102兆4000億円』、『FX(外国為替証拠金取引)100億円以上集金か 脱税疑い 投資会社経営者ら逮捕』、『迫力プレーすぐそこに ナゴヤドームに来季、フィールドシート』、『帯状疱疹早く治療を痛み長引く恐れ「神経痛」に移行も免疫力低下で発症増加も』、『ライチョウ天敵…忍び寄るサル 信州大名誉教授ら撮影』、『元名大生少年審判へ 女性殺害家裁の精神鑑定終了』、『がん告知せず男性死亡 大垣市民病院 検査結果見落とす』、『母親の年金不正受給 詐欺疑いで男を逮捕 天白署、総額1300万円か』(1日付、中日朝刊)
☆『オークラ本館 別れ惜しむ客』、『元のような町に戻れるのか 準備宿泊 喜び半ば 南相馬など 事前届け出は1割』『除染「軌道乗り進捗」 有識者検討会 特措法見直さず』『子供の甲状腺がん福島県被ばくと関連調査へ』『授賞式に被爆者招待 ノーベル平和賞』、『原子力防災手つかず 見直し方針3年 核燃、研究17施設 自治体避難計画反映できず』『規制委、大学に補助金 原子力人材育成 独立性に懸念も』、『東芝決算発表再延期 子会社新たに不正か 7日まで 「責任重い」社長陳謝』、『民・維 協議機関設置へ 国会閉会後 野党再編 視野に』、『リュックサックなくなる東京女性殺害 犯人が持ち去りか』(1日付、毎日朝刊)