【生きてゆく人間花たち/2014年8月の唄】

平成二十六年八月三十一日
 第五十九回全国高校軟式野球選手権大会の決勝戦は、兵庫県明石市の明石トーカロ球場で行われ、この日、準決勝4日目の延長50回で崇徳高校(西中国・広島)を3―0で制した中京(東海・岐阜)が、決勝で三浦学苑(南関東・神奈川)を2―0で破り、2年ぶり7度目の優勝を果たした。それにしても崇徳×中京の準決勝は45回を0―0で終え3日連続のサスペンデッド(一時停止)試合となるなど、球史に残る大変な試合となった。

 早朝から近くの動物医院へ。愛猫こすも・ここを診てもらうためだ。ここは、きょうも例によって獣医に触れさせまいと牙をむき、ウゥーとはむかうので結局のところは舞と私のふたりがかりで体を押さえつけ、洗浄と注射をして頂いた。それにしても、彼女はどうして診察を、あれほどまでに拒否し、嫌がるのか。ふたりで体を押さえつけている間の、あの反発力はとても年齢20歳の老いた猫とは思えない。獣医さん自身も「このこは、たいしたものです、チョットいない。見上げた根性だ」と、呆れ返るほどである。あすも通院せねばならないが、一体どうなることやら。あすこそは、静かに治療を受けてほしく思う。
 夕方、母のその後につき〝お姉さん〟に電話する。母は術後、体力の衰えもあって口内炎を起こしたり、便秘になったり…と大変らしい。でも少しずつでいいから、よくなっていく、と。そう信じている。
        ×        ×
 西アフリカが発生源のエボラ熱の感染が3069人に。うち1552人が死亡、感染域はさらに広がりそうで、このままだと2万人を越えそうだという。先日、さいたま市で起きた盲導犬オスカー(8歳、雄)への傷害事件。主人の男性マッサージ師(61歳)にどこまでも忠実なオスカーの腰を刺したのは、一体どこのどいつか。現場を目撃しながら見て見ぬふりをした人間がいたとしたなら許せない。「俺が守ってやれなかった。俺が刺したようなものです。吠えてくれてもよかったのに」と悔やみきれない主人。
 「心折れずに最後まで投げ切れました」とは、全国高校軟式野球で4日間を連投し1047球を投げた中京の松井投手。ドラゴンズは、きょうも負けた。月間20敗と球団ワースト記録をさらに更新。

【きょうの一文・ことば】
 「真っ暗な暗室でフィルムを現像し、印画紙に焼き付け、デスク席に駆け足で向かう。四半世紀前まで当たり前だった風景も随分様変わりした。………アンテナを磨き、感性を研ぎ澄ます。時代がどんなに進んでも、その努力をおろそかにはできない。」=31日付中日新聞『〈世談〉判断する日』の中で。西沢広写真部長
 日本は正しい路線を歩んでいるのか。八月は今日で終わるが、「政治の暴走、許すまじ!」。主権者として厳しい目を持ち続けたい。=31日付『中日新聞を読んで』で。エッセイストの内藤洋子さん

【新聞テレビから】
☆『時代を生きた女性たち「花子とアン」家族が語る素顔』『〈村岡恵理さん46 「花子とアン」の原案・作家 花子の孫〉平凡な日常こそ一番尊い』『婦人参政権と自由を求めて』『〈白蓮の娘 宮崎蕗苳(みやざきふき)さん88〉平和願い全国巡った戦後』(しんぶん赤旗日曜版、2014年8月31日号)
☆『「東日本壊滅と思った」 原発事故 吉田調書全容判明 極限下の心情吐露』『2号機危機 死を覚悟』、『〈第59回全国高校軟式野球選手権大会準決勝〉健闘たたえ合う握手 0―0のまま4日目へ 中京VS崇徳 きょう四十六回から再開』(31日付、中日朝刊)
☆『連続企業爆破事件から40年 爆弾闘争誤りだった 「東アジア反日武装戦線』元メンバー 数年前から犠牲者に墓参』、『広島土砂災害 積乱雲4時間で25個 100㌔にわたり次々発生』、『■パリで東北復幸祭始まる』『■短歌甲子園、横浜翠嵐高が優勝』(31日付、毎日朝刊)

八月三十日
 次から次へといろいろ起きる。この世とは、そうしたものである。
 朝一番で、わが家の20歳雌猫、こすも・ここを妻の舞と近くの動物病院へ連れていく。尾っぽ付け根の肉が露出し1㌢四方の傷があるためだ。こすもの場合、いつだってすごい剣幕で、はむかうので治療に当たる獣医が、そのつど緊張するほどだ。
 デ、きょうは私が事前にデジカメで撮影しておいた患部を見せしようとしたが、獣医は「いや、自分で(患部を)見ますから」と事前にかぶせたネットから飛び出そうになる、こすもの体を看護師さんが抑えている間に患部を診断、洗浄と注射をしてくれ無事、治療が終わったときにはホッとした。なにしろ、こすもは、これまでどこで診療してもらっても指一本触れさせまい、という、その精神たるや、大変なもの、見上げたものだったが、きょうは相手の方が上だった。
 気になる存在だったのだろう。先生にはかなり気合が入っていた。こすも・ここは良い人に恵まれたものである。ただ「ごらんの通り、相当膿んでいますので通院になります。あすもきてください。日曜ですが午前8時半から10時までやってます」の弁。あすも、こすもVS医師の対決が見られることになりそうだ。舞はこの患部によく気付いたものだ。
 なんだか痛そうに大声をたてることがよくあったのでおかしいナ、とは思っていたが。こすも・ここはいつも私の傍らに居るのに。異変に気がつかなかったとは。これでは主人落第である。舞の方が1枚も2枚も、ボクより上である。
        ×        ×
 大干ばつや火災旋風、大雨、大寒波、など。世界で多発する異常気象の原因は、地球上空を流れる偏西風の異常が原因らしい。では、なぜ偏西風の流れが変わってしまったのか。蚊を媒体とするデング熱の国内患者が東京・代々木区内で3人発生。都は代々木公園を一時封鎖して消毒作戦を実施する事態に。
 プロレスのアントニア猪木さんが、恩師・力道山の出身地北朝鮮で金正恩第一書記の体育強国政策にボブ・サップさんと共に一役、これはこれで良い。千葉にバットマンならぬ謎のヒーロー、【千葉ットマン】現わる。「みんなの笑顔を取り戻してもらいたいため、やっています」とこの男性。ドラはきょうも負けたが「広島が勝つ、ということは許せる。ヒロシマが勝ったから」と舞。
 
【きょうの一文・ことば】
 「(500年に一度の大干ばつに)70年間農業をやってきたがこれほどの干ばつは初めて。どうしていいものやら」=30夜、NHKスペシャル『新シリーズ・巨大災害 激化する「異常気象」』の番組の中で。米国西海岸に住む農家の男性
 「八月に入ってから、雨ばかりで〝晴れマーク〟は、三つしかなかった。雨ばかりでプールにも海にも一度も行けませんでした」=高知に住むこどもたち

【新聞テレビから】
☆『夢の野外劇場夫婦陶酔 美浜 構想14年 一歩ずつ制作』、『〈全国高校野球軟式野球選手権大会準決勝〉激闘3日目0―0続く 中京―崇徳三十一回から再開』、『今年の夏 何か変 弱い高気圧 空梅雨一転8月多雨』『夏休み思い出は何色? 一宮 巨大グラフ 天候一目瞭然』、『ボランティアあふれる 広島土砂災害 安全確保で人数制限』、『(竹内)栖鳳 幻の油絵=1901年に描かれた油絵「スエズ景色」=発見』『広島 (「海の見える杜美術館」が)113年ぶり公開へ』(30日付、中日夕刊)
☆『露大統領「核大国」強調 ウクライナ情勢 欧米を威嚇』、『従業員宿舎火災4人死亡 未明に出火、1人けが 北海道・枝幸』、『震災・宮城の島に観光レンタル自転車を 「チャリ」ティーの旅 名城大2学生 資金援助呼びかけ』『11カ国で震災伝える 栃木の大学生「原発、認識に違い』(30日付、毎日夕刊)
☆『水俣病3万2000人に一時金(210万円) 申請者の67%、解決遠く』、『熱気早くも全開 どまつり前夜祭』、『小澤さん充実の51分 サイトウ・キネン』、『麻薬運搬「検察、立証できず」 弁護側 稲沢市議の無罪期待』『判決確定まで長期化も』、『ラグーナに77億円投資 愛知県、集客へ周辺整備』、『延長30回0―0きょう再び継続 中京と崇徳、高校軟式準決勝』、『パナ松阪工場閉鎖 3月までに 500人配転、100人出向』、『麻生氏ら留任へ 内閣改造 石破氏「首相支える」』(30日付、中日朝刊)
☆『〈「だいじょうぶ」キャンペーン〉きょうから防災週間 地震災害のない未来へ』、『福島県、中間貯蔵受け入れ』、『石破氏、地方相軸に調整 首相と会談「トップに従う」』(30日付、毎日朝刊)

八月二十九日
 午前中、ある原稿を東京のマスコミに写真を添付してメール送信。それが終わると、東京の龍生さん(長谷川龍生)にひとこと添えて詩集を送るため郵便局に走ったり…、でバタバタと時が去り、母が入院している名古屋の八事日赤病院に着いたのは午後二時前後だった。この間、あちこちから携帯が鳴ったり、メールが届いたりしたが緊急性のあるもの以外返信(返電)は遠慮させて頂いた。逆に電話の音を聴きながら、電話ひとつの存在にいかに重みがあるか、を痛感しもしたのである。デ、大切な電話には余裕をみて「あとで、私から電話を入れます」のショートメールを入れたりした。

 昨日、大手術をした直後の94歳の母だが「病床に横たわる姿」がかわいそうで痛々しかった。なかでも手術前に抜いた血を身体に戻す逆輸血というか、血液の点滴には手間取った。手術をした右上腕部とは別の左手首に針を刺して三時間をかけて戻す、という方法で進んだが、何度も針を差し替え、患部を固定し直しても点滴がすぐ止まってしまい、そのつどうろたえた。私は病院に着いたとき、既にいた妹とともにこの光景をハラハラしながら見守ったが、途絶えるたびに看護師さんを呼ぶ繰り返しが続いた。それでも、最後はベテラン看護師の手で修正され、血が一滴一滴、まるで勝ち鬨でもあげるように流れ始めたときには思わずバンザイと叫びたい心境にかられた。
 この日は、いち早く姪の久美ちゃんもきて病床で祖母の昼食を助け、母の様子をノートにメモするなどして一役。昨夜の手術に続いて午前中、見守った〝お姉さん〟も夕方にはタクシーでかけつけるなど、それぞれに皆クタクタ。慌ただしい一日が過ぎ去っていった。点滴の合間にはリハビリ作業療法士なる女性も現れ、さっそく手術した右の指や手首の折り曲げ、足の屈伸運動なども始まった。わが母ながら、頑張れ! とエールを送りたい。

―こんなわけで帰宅した私は、疲れもあってか頭と目と全身が痛くどうしようもないので、そのまま2階寝室へ。ダウンしたとは、こういう場合を言うのか。しばらく寝入ってしまった。途中、けさの尾北ホームニュースに「広島・平和式典で千羽鶴供える 来店者らの平和への祈り 江南市の伊神舞子さん」の見出しと〈「原爆の子の像」をバックに千羽鶴を献ずる〉写真つきで紹介されていたことを、ふと思いだしたのをきっかけに再び起き、編集長の津田さんあてにお礼のメールを打つなどしたあと、こうしてこの原稿を書き始めた。
 何はともあれ、少し疲れた一日となった。齢のせいか。母だけに限らず、この世のなか、だれもがその人なりに懸命に生きているのである。「どの人だって。生きてゆくのは大変よ。みな、一生懸命なのだから」という母の言葉が実感として迫る。ニンゲンとは。かよわきもので弱いものだ。でも、みんな互いの〝愛〟に支えられ、案外と強い気もする。今夜は、窓から入る〈かぜ〉に、寒ささえ感じる、そんな夜だ。秋が知らぬ間にやってきている。

【きょうの一文・ことば】
 「広島の〝原爆の子の像〟に全国各地から献じられた折り鶴ってネ。そのまま焼却処分されるのではなく、Tシャツに生まれ変わって人々に再利用されるんだってよ。とても良いことだと思う」=29日付尾北ホームニュースを前に。伊神舞子

【新聞テレビから】
☆『所在不明児 全国2900人 厚労省調査「広域で実態把握」』、『日本一暑い戦い 多治見VS熊谷VS四万十 気温や人気 ネット対決中』、『2人の死刑執行 武富士放火殺人など 現政権11人に』、『宮崎駿監督に名誉賞 米アカデミー 日本人2人目』、『石破氏 入閣受諾へ』、『袴田さん 深夜倒れ入院』、『大根おろし 味なPR役 JA全農岐阜が作品募集』(29日付、中日夕刊)
☆『テニス全米オープン 錦織3回戦へ 男子単』『不安消え「ほぼ100%」 4大大会 日本男子最多の33勝に』(29日付、毎日夕刊)
☆『自民、国会デモ規制検討 ヘイトスピーチと同列視』、『稲沢市議に死刑含む求刑 中国検察 薬物事件の公判結審』『弁護側「稲沢市議に有利」 薬物事件公判 検察側証拠で激論』、『来年へ1匹、2匹… 萬古焼 えと(未=ひつじ)置物作り最盛期』、『三瀧元社長関与認める 「コメ偽装知っていた」供述』(29日付、中日朝刊)
☆『都市対抗制覇の西濃ナイン祝福 大垣で祝賀会』、『20人と接触禁止解除を申し立て 美濃加茂市長弁護団』『■アンジ-とブラピが仏で挙式』(29日付、毎日朝刊)

八月二十八日
 空気が〈秋いろ〉に変わってきた。〈かぜ〉も、〈大気〉も、何も言わない。ただ、私の肌と心がそんなようなものを感じている。

 昼過ぎ。名古屋の〝お姉さん〟から電話。「たかのぶさん、お母さんの右腕骨折の手術2時50分から始まります」と。
 もう9時だ。まだ何の連絡もない。右股関節骨折で昨秋、手術した妻の母の場合。午後1時に始まったが部分麻酔が効かず途中で全身麻酔に切り替え終わった、の知らせが義兄から入ったときは9時を過ぎていた。私の母も94歳という高齢であり、時間がかかっても仕方ないとは思ってはいる。いまは母が手術に持ちこたえ無事終わるのを、ただ祈るばかりだ。
 9時25分過ぎ。お姉さんから「無事、終わった」との連絡が入った。右肩骨の部分に、折れたカ所を接合するために入れるチタン先端を肩の肉のなかにまで通すのに、骨が弱くなっていることもあり、医師団はかなり苦労し危険な手術だった、とのこと。でも、無事に終わり、舞と安堵で胸をなでおろしたのである。大手術によくぞ、耐えてくれたナ、と思う。というわけで、あとは手術成功の知らせを川崎と大垣の息子にメールで知らせ、ひとり酒とあいなった。
 きょうもまた、午前1時をとっくに過ぎた。でも、私の頭のなかでは8月28日である。窓を開けると秋のかぜが我先に、と先を競って室内に入ってくる。老境にあるわが家の愛猫たち、こすも・こことシロちゃんも主人の気持ちが伝わってか、安心したようである。
        ×        ×
 日本サッカー協会が日本代表のハビエル・アギーレ監督の初陣となるウルグアイ戦(9月5日・札幌ドーム)のメンバー23人を発表。新生アギーレジャパンが、動き出した。スペインでは125㌧もの完熟トマトを投げ合ったあと食べるという壮絶な祭りがあり「もう3カ月は、トマトなど食べたくない」の声も。焼酎メーカーが〝サツマイモ発電〟を試み、九州電力がこの電力を年間1億5000万円で買い取る予定だ、とか。エボラ熱は感染者3069人のうち1552人が死亡、感染者のうち40%はここ3週間以内の感染だという。

 「初めてサッカー日本代表に選ばれた選手は、攻撃的で若く、とてもハングリーです。…ワールドカップは、もう過去のこと。すべてがゼロからの出発です」とは、アギーレ新監督のことば。それにしても、ドラゴンズはDeNAに5―6と、また負けた。「どうなっているんだ」と叫びたい心境である。野球は〝勝ったり負けたり〟で人生と同じとはいえ、これでは負け過ぎ。傍らで「あのとき、ブランコを中日が出したからよ。大事なときには打ってくれたのだから」と傍らの舞。舞は永遠のブランコファンだが、もう随分昔のことだ。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「チームで練習していると若くなっていく気分。みんなが踊れる平和な時代に感謝して、百まで踊りを楽しまなあかんね」=28日付中日夕刊『85歳再起のステップ どまつり、あす開幕 津の女性、骨折乗り越え』の記事中。平均年齢71歳の「百寿グループ」最高齢の川北喜代子さん

【新聞テレビから】
☆『ALS診断迅速化 脊髄神経路を特定 名工大や日赤開発』、『日航からもMRJ32機 三菱航空機 計400機、採算ラインに』、『市営住宅に入居始まる 広島土砂災害』、『異例の3日連続審理 稲沢市議側 妻を証人申請へ』『共犯被告「不審物ない」中国紙報道 預ける際に強調』、『飯田署の巡査長、ノート紛失 暴力団関係者に渡る』、『米で9歳女児短機関銃誤射 インストラクター死亡』、『ASKA被告使用認める 東京地裁初公判 覚せい剤事件』『傍聴券求め2646人が列』(28日付、中日夕刊)
☆『広島土砂災害 ボランテイア長い列 生活再建支援が急務 2次災害の恐れ 対応混乱も』『死者は72人に=三入地区1人、可部5人、八木50人、緑井14人、山本2人』『「万が一の時 長女の部屋へ」 父の言葉 3人救う 広島土砂災害次女と不明に』、『火口に溶岩マウンド 小笠原・西之島 高さ10㍍以上』、『生糸の1・5倍切れにくい 遺伝子組み込む カイコからクモの糸』、『お題はジビエ 東京の仏料理コンクール』、『■10月の皇居・宮殿特別参観倍率228倍』、『紳助さんらの全面敗訴確定 「週刊現代」訴訟』(28日付、毎日夕刊)
☆【『竜ひどすぎる 5位 DeNAに連敗…今季ワースト借金7 彦野利勝さん喝』『自分のことに必死になれ』『一戦必勝やり切れ』『周平よ荒々しさ見せろ』(28日付、中日スポーツ)】
☆『STAP「再現できていない」 理研中間報告 検証実験を継続』『存否確認 長期化か』、『別の血管で大動脈つなぐ 新生児心臓世界初の手術 京都府立医大』(28日付、中日朝刊)
☆『盲導犬刺されけが 埼玉で先月 器物損壊容疑で捜査』、『稲沢市議 検察と弁護側 激しい応酬 依頼人との電話巡り』『中国・広州 アフリカ人関与 摘発例』(28日付、毎日朝刊)

八月二十七日
 きょうも何かに追われて。いや、なにかの夢を追い求めて走り続けた。

 早朝。何よりも、資源ゴミの分別収集日なので愛車を〝ごみ車〟(妻はなぜか、資源ゴミ収集日に限って、愛車をこう呼ぶ)に変身させ集積場に出向いた。ゴミを出す人々の表情は、一心不乱というか。皆、ふしぎと、ただヒタスラにわが家のゴミを指定された場所に黙々と出してゆく。きっと、我々もあんなに真剣な顔つきでやっているのだろうな、と他人の表情をみて自らを観察している自分に気付いた。ヒトは、こうしてどこまで生きていくのだろうか。
 先日の台風で無残にも骨だけとなった傘、缶ビールの空き缶の類、お茶が入っていたペットボトル、新聞紙…。おまけに今回はいらなくなった衣類も結構多い。知人と出くわすと「おはよう」と挨拶をし、見慣れた近所の方の姿が見えない、と「どこか体を悪くでもしていなきゃよいが」と心配してしまう。思いが深いほど、この土地に【見えない手】でもって、いつのまにか縛られていく自分にハッとする。それだけ、この地に馴染んできた表れかもしれない。
 ゴミ出しからひと息つくと、新聞を読み、パソコンをチェック。「熱砂」同人の山の杜伊吹さんから届いているテーマエッセイのアップ(公開)作業に取りかかる。公開を終えると、意識はもはや全身が眠っており、思考回路はプツリと消え入る寸前だ。しばらく、そのまま椅子の背もたれに体を預けて寝入る。からだがピタリとも動かない。このまま、どこか。深い闇のなかに連れていかれるのか。

 私はそれでも、「続ける」ことにも意義を見出している横笛の稽古へ、と重い腰をあげ、名鉄と地下鉄で名古屋の大須に向かった。帰りには、上前津から地下鉄名城線で母が入院する八事日赤病院へ、と出向く。けさ、昨夜夫妻で見舞ったという妹から「たか坊。おかあちゃん、落ち着いていた。安心していいよ」と電話をもらったとおり、手術をあすに控えた母は静かに自らを横たえていた。これなら、大丈夫だ、と帰る。
 
【きょうの一文・ことば】
 「ただ壊してしまうのでは意味がない。そのためには、解体的出直しをしなければ」=STAP細胞の論文不正問題を受け、再生科学総合研究センターの改革プランを発表した理化学研究所の野依良治理事長。記者団の質問に答えて

【新聞テレビから】
☆『広島土砂災害1週間 避難所壁新聞お目見え 再出発子どもも一丸』『小学校の授業再開』、『米倉斉加年(よねくら・まさかね)さん死去=腹部大動脈瘤破裂のため。福岡市内の病院で。= 80歳 俳優、演出家、絵本作家』、『美濃加茂市長、再び辞職否定 副市長と接触禁止解除 「ご迷惑おかけした」』、『同級生から「ドジ」「ださい」 刈谷女児自殺 今春、悪口や暴力』(27日付、中日夕刊)
☆『元競走馬 銀幕で輝き再び』『90年代』『デング熱、国内で感染 69年ぶり、埼玉の10代女性』、『ガザ停戦合意 封鎖解除 1カ月後協議へ』、『再生研 解体的出直し 理研行動計画 規模を半減』『野依理事長 辞任を否定』(27日付、毎日夕刊)
☆『リニア計画認可申請 JR東海 工費増5兆5235億円』、『稲沢市議「異常感じず」 薬物運搬事件 初公判で無罪主張』、『虐待対応 児相に弁護士 名古屋市 2カ所常勤配置へ』(27日付、中日朝刊)
☆『広島の死者66人 行方不明者21人 1400人避難続く』『日本海側 津波最大23㍍ 国交省検討会 初の想定公表』、『自殺 原発避難が原因』『福島地裁 東電に賠償命令』、『民法120年ぶり大改正 法制審部会 最終案を大筋了承』、『巨大提灯に歓声 西尾=西尾市一色町の諏訪神社で26日夜、「大提灯まつり」が始まった。12張りある大提灯は高さ6~12㍍、胴の直径3・6~5・6㍍で、神話や歴史上の人物が色鮮やかに描かれている。約450年前、海魔(台風)の退散を祈って大かがり火をたいたことか始まりとされる』、『〈訃報〉「花の応援団」監督 曽根中生さん76歳=1971年「色暦女浮世絵師」で監督デビュー。ロマンポルノ作品を量産し、「天使のはらわた 赤い教室」(79年)などが高い評価を受けた』(27日付、毎日朝刊)

八月二十六日
 深夜遅く。ロシアのチェリャビンスクで開かれている柔道の世界選手権2014をテレビで見た。前日、女子48㌔級を制した名古屋市出身の19歳、近藤亜美(三井住友海上)に続き、この日も男子66㌔級決勝で海老沼匡(パーク24)がロシアのプリャコフ選手に一瞬をついた左内またで一本勝ち。金メダルを獲得、うれしい一夜となった。
 海老沼は、これで66㌔級では史上初の世界選手権3連覇を果たしたことになる。試合後のインタビューに応えた海老沼選手。「投げるのだったら、あの形しかない、と狙っていたところに決まってくれた。表彰式で国歌斉唱を聞きながら、リオのオリンピックで金メダルを取るまでは〝さらに進化し続けるよう〟自らに言い聞かせました」と話す姿が印象深かった。
 ところで、この柔道の体重別は私の学生時代にもうけられた。かつては軽量級(63㌔以下)でユニバーシアードの代表選考会にも出ただけに、今や、体重別が定着した観のある試合を見ながら組手をどうするか、が大変気になった。中、高、大学と柔道一直線の青春だっただけに、画面を前に私だったら組んだ瞬間に相手の体を崩し、大内刈りから背負い投げへの連携技をかけるに違いない、と思ったりした。やはり、人生と同じ。崩してから技をかけるのが鉄則だ。隅落とし、すなわち空気投げの極意である。
        ×        ×
 午後、名古屋の〝お姉さん〟から電話が入った。右腕骨折のお袋のことで「たかのぶさん。お母さん、きょう日赤に入院しました。検査したうえで、いつ手術するかは連絡が入るはずで、そしたらまた連絡します」とのことだった。夜に入り、「熱砂」同人の山の杜伊吹さんからテーマエッセイ=テーマは〈忘れもの〉=が私のパソコンに入ってきた。「爪を噛んで見る夢は」と題からして意味深だが、そのとおり、奥の深い名作である。あす、さっそくアップしなければ。
 ふたりの幼い子を抱え、家事と仕事の合間を見はからっての執筆。みんな、それぞれに多忙な環境下で、こうして頑張って原稿を送り込んできてくれる。その姿勢が私には、とても嬉しい。
 この日はほかに、先に私の作詞で生まれた「カトマンズ恋歌」(張柳春作曲)を、❤国境を超えた愛の讃歌を世界に発信、とのタイトルで「熱砂」の〈WORLD WINDOW-世界の窓-〉欄でも紹介するなど一日中、休む暇はなかった。

【きょうの一文・ことば】
 「最後まで諦めない真っすぐな姿に感動しました。みんなの期待を背負って戦う野球部の皆さんは、本当にかっこよかったですし、キラキラ輝いていました!」「私も三重県出身の一人として、皆さんのことが誇りです。来年もまた甲子園で三重がたくさん活躍しますように。ずっと応援しています! 本当にお疲れさまでした!」=26日付中日朝刊『全開三重 胸張れ 準Vけん引 長野勇斗主将』の記事中。三重高校出身で歌手の西野カナさん(25)のことば

【新聞テレビから】
☆『稲沢市議 無罪主張 薬物運搬 中国で初公判』『中国の裁判所 慎重姿勢 稲沢市議初公判 2日間集中審理』、『原発避難で自殺 賠償命令』『福島地裁判決 因果関係認め東電に』、『氷水ザブッ! アイス・バケット・チャレンジ トヨタ社長も ガガも くまモンも 難病支援…面白さで一気に』、『小学校教諭が売春仲介疑い 中川署逮捕』(26日付、中日夕刊)
☆『日本チーム成田に帰国 世界ソフト優勝』、『日本女子再起の一歩 世界柔道近藤初V=48㌔級、19歳の近藤亜美(三井住友海上)=南條監督自立促す指導貫き』、『来月3日改造表明 首相自民役員会で』、『産経支局長起訴方針 ソウル中央地検 大統領巡る記事 地元紙報道』、『美濃加茂市長が2カ月ぶり復帰』、『〈社会人野球監督考〉西濃運輸林教雄氏 考える選手育てる』(26日付、中日夕刊)
☆『汚職事件保釈の美濃加茂市長 市職員14人と接触禁止』『「災害対応大丈夫か」美濃加茂市長に職員不安 市政停滞は不可避』『「空白2カ月返したい」 市長バッジつけ会見』、『政調費など不適切請求 愛知県議長が112万円返還』、『学力の底上げ進む 全国(学力)テスト 下位県が差縮める』(26日付、中日朝刊)
☆『〈この人〉元気あふれる現役の油絵画家 森田禎子さん(95)』、『富士通が米防衛企業買収 英子会社通じ 海外展開を加速』『海外子会社は規制外』、『石破氏安保相辞退 首相側反発、神経戦に 自民党内 対立表面化 懸念の声』『内閣改造 派閥に無力感』『首相、推薦受け付けず 盛り上がらぬ研修会』(26日付、毎日朝刊)

八月二十五日
 熱戦が続いた夏の甲子園決勝戦。三重は大阪桐蔭に4―3で逆転負け。大阪桐蔭は全国3917校の頂点に。春夏と連覇した2012年いらい2年ぶり4回目の全国制覇を遂げた。夜遅く―きょう、滋賀の大津からメールで届いていた「熱砂」同人、眞鍋京子さんからのテーマエッセイ「父の形見の時計」=テーマは〈忘れもの〉=を読む。妻の舞が家事や買い物などの合間に、先日まとめて購入した詩集「ピュアな風に舞う」(加藤行作、文芸社刊)の代金を銀行まで出かけて払い込む。「ピュアな風に舞う」のページをあらためて開いて読む。どの詩を読んでも作者のピュアな息遣いが迫り、心が洗われる。
        ×        ×
 きょうは月曜日。舞のリサイクルショップ「ミヌエット」が休みでもあり午後、地下鉄を利用して一緒に名古屋の兄宅へ。母は骨折した右手を固定され、痛々しい姿で布団に横たわっていた。話しをするうち事故当日、母は1階にいて一度フラフラッ、と崩折れるように倒れた。そのまましばらく横たわり回復するのを待ち、今度は台所に行こうと立ち上がったその刹那、再びグラリときて、こけた。その際右腕を床か何かに強く打ちつけ、痛くてたまらないので2階の兄を呼んで病院に行き、骨折とわかったという。声楽家の〝お姉さん〟(義姉)は北海道の夕張音楽祭に出張中、日曜で兄が居たのは不幸中の幸いだった。

 「今もチョットでも動かすと痛くてしようがない。だから動かさないようにしている。でも、足でなくてよかったよ」と、しみじみ話す母。お姉さんによれば、きょう午前中の専門医の診断では、やはり手術した方が治りもよく、手もある程度は使えるようになるので、あす朝一番で八事日赤に行って診てもらい、体力的に心配なければ手術をしてもらう、とのことだった。多忙極まる兄は午前中、母を病院に連れていき、帰宅後は仕事のため、そのまま外出していたのでお姉さんから容体などについていろいろ聞いて帰った。
 たまたま骨折事件が発生したとき、声楽家でもあるお姉さんは北海道の夕張にいて【ミュージックセミナー in 夕張】に出演したあと。マスコミでも紹介され、大任を果たして帰る矢先のことだった、という。このため、それこそ兄からの一報に飛行機を降りてから名古屋の自宅までは気も心も急いて、走り通しだったと知り、なんだか気の毒みたいな、弟として申し訳ない気がした。そうした面では母はやさしく温かい嫁や、わが子に恵まれ、幸せだと思う。「なんでも良いから申し付けてください」と話し、あとはお姉さんが十一月に開演予定のリサイタルの話などを聞いたが、これがまた楽しかった。
 リサイタルで〝お姉さん〟は、金子みすゞの〈雪〉に曲をつけ「もう歳なので」と、自らへの永遠のレクイエム(鎮魂曲)として歌うのだ、という。話は金子みすゞの詩に及び、詩について舞が「私が好きなのは、いわし。〈大漁〉です」と言うなど、なかなか、やりとりが面白かった。傍らの病床で黙ってからだを横たえていた母は、嫁ふたりのこれら会話を、どんな思いで聴いていたことか。

【きょうの一文・ことば】
 「湧き水は 生きてゐる水 桃洗ふ」=25日付中日朝刊『俳句甲子園開成高が2連覇 個人最優秀賞幸田高の大橋さん』の記事中。個人最優秀の愛知県立幸田高2年大橋佳歩(かほ)さんの作品
 だれも知らない野のはてで/青い小鳥が死にました/さむいさむいくれがたに/そのなきがらをうめよとて/お空は雪をまきました/ふかくふかく音もなく/人は知らねど人里の/家もおともにたちました/しろいしろいかつぎ着て/やがてほのぼのあくる朝/空はみごとに晴れました/あおくあおくうつくしく/小さいきれいなたましいの/神さまのお国へゆくみちを/ひろくひろくあけようと=金子みすゞ〈雪〉

【新聞テレビから】
☆『美濃加茂市長 保釈』『収賄事件「直ちに市長の職に」』、『不明28人 氏名公表』『広島土砂災害 安否確認急ぐ』、『小野盛さん死去(第2次大戦後、インドネシアに残り対オランダ独立戦争に参加。94歳だった) 最後の元残留日本兵』、『R・アッテンボロー氏死去 映画監督「ガンジー」「遠い夜明け」=亡くなった場所や死因は不明。近年は高齢者施設に入っていた。90歳』(25日付、中日夕刊)
☆『授業再開めど立たず 広島 小中学校に避難者』『首相が広島入り』、『吉田調書=東電福島第1原発の事故を巡り、政府の事故調査・検証委員会が行った吉田昌郎元所長(故人)の聴取記録= 公開を発表』『官房長官 来月早い時期にも』、『米加州地震172人搬送 M6 ワイン産地被害』、『村上春樹さん講演 英国 新作構想も披露 傷ついた気持ちは長く残るこの感情について書きたかった』(25日付、毎日夕刊)
☆『黄海で実弾射撃開始 動き活発化』『中国演習 接近誘発か』『米は偵察強化 急がれる「連絡システム」構築』、『ウクライナ 戦火の独立記念日 首都(キエフ)で軍事パレード 親ロ派、捕虜に行進強制』、『土石流 時速40㌔か 広島 堆積土砂50万立方メートル』、『風俗店数グループ所得隠し 国税指摘 7億6000万円 組資金源か』、『大震災被災地から学ぶ 本紙防災面「備える」 100回記念フォーラム』『「少しの備え 命救う」「備えるライブ」記者ら議論』、『相手先発敦賀気比高に漏らす 福井新聞に取材制限』(25日付、中日朝刊)
☆『広島市仮設建設へ 避難 長期化必至』『死者50人に』、『靖国参拝見送り支持71% 日中首脳会談「望む」84% 本社世論調査』『石破幹事長「続投を」49%』、『伊賀の住民投票不成立 市庁舎移転 投票率50%届かず』、『北海道2人死亡 避難勧告4時間遅れ 礼文町、道要請に従わず』、『甲状腺がんの子疑い含め103人に 福島県調査』、『金丸信氏親族ら来月50人訪朝へ』、『国島・高山市長 無投票で再選』(25日付、毎日朝刊)

八月二十四日
 夕方、名古屋の地下鉄高丘駅構内で電車を待っていたところ、携帯が鳴る。
 受話器を取る。名古屋の一社に住む兄からだった。「いま日赤にいる。おふくろが(兄の)家に居て、午後3時ごろ、転んで右手肘うえ部分の腕の骨を折った」という知らせだった。『「骨が真ふたつに折れており、もう高齢(94歳)なので、手術をしても命が心配。三角巾で固定保存してゆっくり治す方法もある」と医者が言っている。これから、妹にも聞いてみるが、おまえの意見を聞きたい』とのことだった。
 「兄貴はどう思うか」と尋ねると「お袋は手術するか、保存固定治療でいくか、は俺に任せると言っている。治ったとしても軽いモノを持ち上げられる程度にしか回復しないそうだ。危険を冒してまで手術をするよりも、保存治療で気長に治した方がいいと思う。手術をしないなら、家に帰ることになる。また連絡する」とのこと。「兄貴の思うように」と私。

 午後九時二十分。
 兄からの電話はまだ、ない。突然の事件発生で兄夫妻はかなり苦闘しているのでは。心配だがジタバタしたところで、どうにもならない。デ、ふろに入る。出ると「お兄さんから電話があった。名古屋の家にお母さんと帰ってきたそうよ」と妻の舞。
 折り返し電話を入れる。と、兄は「きょうのところは帰ったが、手術になるかもしれない。母にいま、代わる。おまえの声を聞かせてやってくれ」と言うので受話器を持ち直して「おかあちゃん、大丈夫か。痛くない? どうして手を、折ったのだ」と聞くと「うんうん。おかあちゃん、なんかポワーッと、なっちゃって。どうかしてたよ」と、案外元気そうで少し安心した。舞が電話で兄から聞いたところによれば、この日兄は日曜ということもあって弁護士稼業の合間を縫って江南へ。和田の畑でお袋と久しぶりに畑仕事をし名古屋の自宅に帰って一緒に食事をしたが、お袋はこのときに意識が瞬間的に希薄となり、ボーとしたまま倒れ右腕を骨折したという。やはり、気になっていた畑仕事で頑張り過ぎた反動で疲れから、めまいのようなものを起こして転び、腕を強打したためらしい。
 こけたあと「たいしたことはない」としばらく休んだと言うが、母がひどく痛がるので病院に出向いたところ、骨折と分かった。人生、いつ何が起こるやら。知れたものでない。
        ×        ×
 けさは早くから古知野神社の一斉清掃に妻の舞と参加。ほっとひと息つく間もなく名古屋へ。〈カトマンズ恋歌/ラブバード〉をCD化するに当たっての細かな打ち合わせが作詞者でもある私が立ち会うなか、恋歌の作曲を手がけた中国出身ソプラノ歌手の張柳春さんと、原盤化をお願いしようとするギタリストでも知られる堀絢詞さん=作曲・編曲・CD制作=の間で進められた。この結果、9月中には大人向けと若者向けのトゥ―バージョンによるCD化を実現させることで話がまとまった。
 〝私の母、大けが〟の私たちにとっての大ニュースは、重要な話が一歩前進しホッとして家に帰ろうとしたその矢先に、飛び込んできたのだった。起きてしまったものはどうしようもない。あとは、副え木をあてての保存固定治療にせよ、手術をするにせよ、1日も早い回復を願うのみである。強い母のこと、きっと立ち直ってくれる。
        ×        ×
 夏の甲子園。準決勝第一試合で三重高校が日本文理(新潟)を5-0で破り、初の決勝進出を決めた。三重県勢の決勝進出は、1955年に優勝した四日市以来。三重のエース今井は、日本文理打線を5安打に抑えて完封した。続く第二試合では福井の敦賀気比が大阪桐蔭に9-15で負け、福井県勢初の決勝進出を逃した。大阪桐蔭は春夏を連覇した2012年以来、4度目の決勝進出となる。

【きょうの一文・ことば】
 (さかきを手に)このさかきは、乾燥させ、のみ薬として生かすと大変、効き目があります。最近、神社境内一角の手水鉢につがいのカラスが、エサを口にくわえてよく訪れているところを、よく見かけます。どうやら、エサを洗って食べているようです。カラスの夫婦が私たち人間に、手水はいつだってきれいにしておきなさい、と身をもって教えてくれているようにも感じます。あえて言わせていただけば、手水の水をひしゃくで飲むことはやめてください。この水はお参りする前に手を洗い、身を清めるためのものです。=一斉清掃後、参加者そろっての参拝のあと。古知野神社神主のことば

【新聞テレビから】
☆『広島土砂災害ようやく晴れ間 自宅跡 思い出捜して』『土石流発生は50カ所』『「復旧の力に」握るスコップ 広島帰省中に直面 名大生』『豪雨もたらす気圧配置 「西谷」月末まで継続か』、『美濃加茂市長保釈決定 汚職事件で名地裁 保証金は1000万円』、『〈通風筒〉◇…日本舞踊名古屋西川流による恒例の大舞台「名古屋をどり」(中日新聞社主催)が九月三~七日、名古屋・栄の中日劇場で上演されるのを前に、三世家元の西川右近さん(75)ら出演者五十人が二十三日、名古屋市中区の成田山万福院で舞台の成功を祈願した』、『【飢え死んだ戦友を埋めんと穴を掘るシベリアの土堅く凍れり】 抑留伝える父の歌』(24日付、中日朝刊)
☆『広島土砂災害 警戒指定 作業棚上げ』『05年度 県、調査不備で』『死者49人 不明41人』、『子規気遣う漱石の手紙 東京の古書店主入手 未発表俳句も』、『■河口湖音楽祭が閉幕』(24日付、毎日朝刊)

八月二十三日
 午前中、社交ダンスのレッスンで各務原へ。午後は西春に。名鉄コミュニティサロン西春に出向き〈アンデス出身プロ奏者が教える南米楽器ケーナ・サンポーニャ「ロべちゃん’sスクール〉を受講した。
 途中、自宅を出てまもなく運転席の給油ランプが、パカパカと点滅するので何事か、と心配したが燃料切れ寸前であることを知って、愛岐大橋を越えたところで近くのガソリンスタンドに飛び込んだ。いやはや、気付かないでいるうちに燃料が切れていたら、と思うとゾッとする。このところは、「車のためにも」と出来るだけ乗るようにしているが、まさか突然の点滅シグナルには、驚かされた。
 きょう悟ったのはダンスを踊ったり、南米楽器を演奏する前に大きく息を吸って吐く、その動作が不思議なほどよく似ているということである。ダンス教室の後藤京子先生も、ケーナとサンポーニャの達人でアンデスフォルクローレ音楽家・ロべちゃんも、【大きく息を吸ってはくことの大切さ】を強調したのである。これは健康にもいい。
        ×        ×
 氷水を頭からぶっかけて広がる難病支援。アイス・バケツ・チャレンジがテレビの各チャンネルでも盛んに報道されている。難病支援の気持ちは悪くはない。でも、私はこうした支援のやり方はよくないと思う。今夜のCBC〈ニュースキャスター〉でも取り扱っていたが、私は日本のコメディアン・ビートたけしさんと同じ考えだ。なんだか、私には水をぶっかける行為そのものが難病患者を茶化しているように思えてならない。ズブヌレになるのだったら、その分も支援に回し、回復を願う【ことばの輪】でもつくって、たとえ少しでも苦しみから脱け出る方法を考えた方がよいのではないか。
 西アフリカを中心にこれまでに1427人もの死者を出しているエボラ出血熱がミャンマーの男性(22歳)にも飛び火、次は東南アジアにも感染が広がるのでは、と心配されている。一度の採血で13種類のがん診断が五年後には実用化される、との朗報。思わず、へえ~ぇ。これまでのように、あの胃カメラを飲まなくてすむ―と思うと、なんだかホッとする。広島土砂災害のさなかのゴルフプレーが野党から批判されている安倍首相。彼は秋の内閣改造で六人の女性閣僚を登用予定だ、という。たとえ人気とりにせよ、それ自体は期待していいのではないか。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 「首相と石破氏は安保法制に関する基本的な考え方が食い違う。国会で追及されれば、持論を曲げることになるとの思いを持つようになった」=23日付中日夕刊『石破氏、安保相辞退の意向 法制めぐり首相と温度差』の記事のなかで。石破氏の側近

【新聞テレビから】
☆『捜索支援ボランティア続々 広島72時間経過、不明43人』『ゲリラ豪雨早期に予測 政府、システムを構築へ』『天気アプリ防災の味方に ピンポイント予報続々登場』『八百津で1時間59㍉ 東海 大雨や突風に注意』、『幻のライブ音源遺品に エノケンさん=榎本健一さん= 喜劇王共演ブギウギ 笠置シヅ子さん』、『邦人留学生3人事故死 米加州 車衝突、5人重軽傷』(23日付、中日夕刊)
☆『広島土砂災害 避難対象依然16万人 死者42人、不明43人』『週末ボランティア続々』、『モスク襲撃73人死亡 イラク 組閣協議が中断』、『「ウクライナ領内で砲撃」 米高官、ロシアを非難』『露の「支援物資」到着 (ウクライナ東部)ルガンスク』、『北朝鮮訪問の境港市長帰国 「批判受け入れる」』、『橋本氏キス騒動謝罪 週刊誌報道「甚だ軽率 深く反省』(23日付、毎日夕刊)
☆『愛 土砂に流された 新婚の息子よ恋人よ 「生きていて」』『広島、捜索活動見守る』『避難者宅狙い 空き巣相次ぐ』『広島市99年豪雨教訓生かせず 避難勧告前に基準雨量超え』、『ロシア、対日報復制裁 国会議員ら23人 入国制限』、『★落雷で「しなの」緊急停止』(23日付、中日朝刊)
☆『広島土砂災害 新婚10カ月受難 夫婦不明 妻は身重』『「親しんだ山で…」老夫婦葬儀』『2次災害 続く脅威 アパート流失の八木3丁目 狭いエリア 被害集中』『偏西風の蛇行 豪雨誘発』『広島選手黙とう 鳴り物応援自粛 マツダスタジアム』、『石破氏 安保相辞退へ 集団的自衛権 首相と意見相違』、『代(々木)ゼミ 名古屋など7拠点に集約 少子化、25校舎整理へ』(23日付、毎日朝刊)

八月二十二日
 能登の友から届いたおしゃれで、さわやか感が漂うくだものゼリー
 

 8月も下旬に入り、能登半島七尾市と神奈川県大和市から思ってもいなかった贈り物が届いた。ひとつは、かつて若いころ、海を感じる心を能登から発信しよう―と、海の詩(うた)全国公募に、共に情熱を注いだ七尾青年会議所スタッフのひとり佐田味良章さん、いま一つは一昨年に乗船した第76回ピースボート102日間地球一周船旅仲間で船内家族の〝お姉ちゃん〟、小泉八重子さんである。
 佐田味さんからは、〈天然果汁入りさわやか果実〉と表示された気品ある高級ゼリーを、八重姉さんからも駆け出しだった、私の〝信濃の国〟時代を思い出させてくれる、長野県北佐久郡でつくられた信州みそ(特選・信州立科味噌)〉と、どちらもめったに口には入らない味で、とても嬉しかった。さっそく、返事を出したのは言うまでもない。やはり手書きでお礼を述べた方が、気持ちが伝わる。
        ×        ×
 きょうも九州、四国から群馬、栃木、山形、新潟、福島、北海道の松前…と、雷雨を伴った激しい雨が容赦なく大地をたたき、降り続いた。日本列島は、広範囲で大気が不安定なため土砂災害が多発する恐れがある、として厳重警戒を呼びかける気象庁。現にきのうまで、よそ事だった土砂被害が、きょうはわが身といった被災地が続出。広島ばかりでなく、福岡、高知、陸前高田市でも大変な一日となった。広島では夜を徹しての捜索が続く。
 夏の甲子園。三重が沖縄尚学に9―3で勝ち、三重県勢としては59年ぶりの準決勝進出を決めた。日本のクジラ調査船がロシア国境警備局による検査を受け、一方でロシア政府は国会議員を含む複数の日本人の入国を制限する措置もとる、という。先に実施した日本側の経済制裁に対する報復とみられる。曽我ひとみさんが拉致被害者救出を求め街頭で署名活動。「母に会えたら、と毎日祈ってます」と曽我さん。
 太平洋戦争中の1944年8月、沖縄から長崎に向かって航行中の学童疎開船「対馬丸」が米潜水艦の魚雷攻撃で撃沈され、学童780人を含む計1485人が犠牲になった事件から70年を迎えたこの日、那覇市の慰霊碑「小桜の塔」で慰霊祭が開かれ、平和の象徴とされるチョウ、オオゴマダラ数十羽が不戦の誓いを新たに大空に放たれた。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 「実刑は逮捕前からの予想通りで、特別な感慨はない。刑務所に4年以上住める判決に喜んでいる」=22日付中日朝刊『黒子のバスケ=人気漫画「黒子のバスケ」=脅迫懲役4年6月判決』の記事中。元派遣社員の無職渡辺博史被告(36)が出したコメント

【新聞テレビから】
☆『「同時多発土砂災害」▽広島からの緊急報告▽予測不能の局地豪雨 なぜ被害は拡大したか』(22日夜、NHK総合〈NHKスペシャル〉)
☆『広島、再び雨 捜索難航 不明52人に 迫る72時間』 『「友は…」眠れぬ夜 避難所ルポ』、『15歳藤沢 最年少挑戦者 10月 囲碁の女流本因坊戦』、『河村市長もびしょびしょ ALS(難病の筋萎縮性側索硬化症)支援 氷水かぶる』、『対馬丸の悲劇忘れない 撃沈事件70年、沖縄で慰霊祭』(22日付、中日夕刊)
☆『広島土砂災害 迫る72時間捜索難航 死者・不明91人』『西・北日本で大雨 福岡4・5万世帯避難勧告』、『極限のシベリア抑留 露在住87歳=ハバロフスクに住む田中猛さん= 初の追悼式 一時帰国 あす千鳥ヶ淵で』、『米国人記者殺害 実行犯は英国人か ロンドンなまり あだ名は「ジョン」』、『三重、初の4強 県勢59年ぶり』、『胸にナイフ 女性の遺体 佐賀・虹の松原』(22日付、毎日夕刊)
☆『51人安否確認できず 広島 死者不明90人の恐れ 土砂災害計31カ所』『「もう住めないかも」 泥、がれき…立ちつくす住民』、『「昭和天皇実録」 24年かけて完成』、『黒子のバスケ脅迫 懲役4年6月判決』(22日付、中日朝刊)
☆『広島災害不明51人 安否確認で混乱「アパート流失」情報 死者39人』、『「昭和天皇実録」完成 両陛下に提出 60冊1万2000㌻ 宮内庁』(22日付、毎日朝刊)

八月二十一日
 ♪みち〱の露草なんどとおくれがち  つや女

 秋を感じさせる路傍に咲いていたツユクサ
 
 朝。食卓にかれんで、ちいさな紫の花がミニボトルに挿して置かれているので「この花は何?」と妻の舞に聞くと、彼女曰く「近くの草むらで咲いていた野の花。ツユクサよ」と。舞らしいな、と思うと同時に、なぜかツユクサを愛おしく感じた。
 このところ、【重要なメッセージ PCのパフォーマンスが低下しています 今すぐ修復】といった文字が出たかと思うと、今度は【!注意 更新が必要なトラブルが23件見つかりました】【今すぐ購入】……といった、半ばお仕着せ的な表現が、わがパソコンをにぎわせている。これでは落ち着いて原稿も書けない。デ、日ごろ保守をして頂いている業者に聞くと「無視してください。イガミさんのパソコンはつい先日にも確認させていただきましたが、パフォーマンスが低下していることはありえません」の返事。
 結局、しつこくてうるさく、かつ犯罪にも結び付きそうな業者は一覧から削除し一件、落着とあいなったのだが。しばらくすると、また同じような悪質極まる表示が画面に出てこないとも限らない。それにしても、こうした連中は、どこでどう他人のパソコンに入りこんでくるのか。そうした点になると、私には皆目わからない。

 けさ朝刊を読んでいて、ふと目に入ったのが医療法人山下病院最高顧問、服部外志之さん死去の訃報である。記事によれば、「13日、肺小細胞がんのため死去、77歳。一宮市出身。葬儀・告別式は親族のみで営んだ。」とあった。お別れの会は、9月27日午後2時から。名古屋市西区のウェスティングナゴヤキャッスルで。喪主は長男昌志氏、と記されてもいた。「まだまだ甘えたかったのに」と思うと、なんだか涙が出てきてしまう(私は検診にしても何にしても、服部先生にはいつも無理ばかりを言って甘え通しだった)。ちょっと早く逝きすぎだ、とご本人に文句を言いたい心境である。
 最高顧問には、私が一宮主管支局(現総局)の支局長在任当時から支局員の健康診断はじめ、原稿出稿など他のもろもろでも大変お世話になり、私にとっては〝人生の指南役〟のような存在であった。緩和ケアの必要性が社会的に唱えられたころには、いち早くホスピス病棟を開所され「見ておくといい」と、内部施設を親切に案内された日のことは今でも忘れることができない。人生を終える終末治療に当たっての音楽療法にも、この地方では最初に取り組まれたことは記憶に新しい。そのハットリ先生が、この世にはもういない。
        ×        ×
 広島の土砂災害。時間がたつに従い、被害も拡大。今夜の段階で39人が亡くなり、43人が不明のまま。417世帯、990人が避難しているという。被災地では2500人態勢で懸命の捜索に当たっているが、これから明朝にかけては、再び大雨が予想されるので警戒が呼びかけられ、午後9時15分には安佐南区に新たな避難指示が出された。宮内庁が1万2千頁に及ぶ「昭和天皇実録」を刊行、天皇・皇后両陛下に奉呈された、とのこと。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 これから、どうしていいものか。正直分からない。短時間の雨の量は尋常ではなかった。=広島土砂災害の被災男性

【新聞テレビから】
☆『広島土砂災害39人死亡7人不明 積乱雲直線上に次々 予測困難、自発的避難を』『市の発表は「不明31人」』、『サイバー補導上半期220人 援助交際など スマホ利用98%』、『父殴打 警察に通報せず』『佐世保同級生殺害 高校の校長把握も』、『刀鍛冶夢の火ともる 三重に14年ぶり誕生』『修業の末に研修突破』、『教師から転身 弱者に目 殺害された米人記者』『「イスラム国根絶を」 米大統領、空爆続行を表明』(21日付、中日夕刊)
☆『夏野菜ピンチ ナスの卸売価格6割高』、『徹夜の捜索 天候悪化で作業中断』『広島土砂災害 泥の海救助阻む』『「表層崩壊」多発か 専門家指摘 狭い範囲で大規模化』『広島土砂災害 家屋損壊45棟以上 死者39人不明7人 1042人避難』『住民避難勧告分析誤り遅れ 広島市部長』、『水島広雄さん死去 元そごう会長、経営破綻 102歳』、『対イスラム国で国際会議 仏政府提案 イランや露招き』『1カ月で戦闘員6300人増 イスラム国 組織急拡大』(21日付、毎日夕刊)
☆『黒い塊まるで津波 埋まった父 暗闇の救出』『避難間に合わず幼い兄弟犠牲』『3歳児抱え消防隊員も』、『「美女と野獣」2月閉幕 劇団四季名古屋公演』、『日本人男性が父と確認 代理出産、タイで保護の12人』(21日付、中日朝刊)
☆『依存症大国日本 厚労省研究班が調査 ギャンブル536万人 ネット421万人 アルコール109万人』、『高校生平和大使 核廃絶スピーチ 国連軍縮会議』、『■部下にセクハラ、前検事正を処分』(21日付、毎日朝刊) 

 八月二十日
 昨夜からきょう未明にかけ広島市内で降った局地的な豪雨で土石流などによる土砂災害が複数カ所で発生、安佐北、南区を中心に被害が続出。これまでに分かっただけでも、36人が死亡、7人が行方不明という大惨事となっている。テレビ画面に映し出される被災地の映像は何軒もの住宅が押し潰され各所で土砂崩れが発生、人々が土砂に埋まり車が横転するなど惨憺たる状況だ。つい二週間ほど前に広島を訪れ市内をあるき回っただけに、他人ごととは思えない。このうえは被害が少しでも少なく早い復旧を願うほかない。
       ×        ×
 超スローボールで夏の甲子園を沸かせたエースが姿を消した。19日の2回戦に登場した東海大四(南北海道)の西嶋亮太投手(3年)は山形中央打線を超スローボールを交えて抑え込んだが、延長十回に守備の乱れから2点を失って力尽きた。1回戦後に「ふざけている」などと批判も寄せられたが、考えた末に編み出した投球術を、身長168㌢の小柄な投手は貫いた。「これからも使っていきたい」。自ら考え工夫する姿勢に、迷いはない。
―以上は本日付毎日朝刊第96回全国高校野球の記事リード部分である。【西嶋投手「知恵絞った」 スローボールをもう1球 東海大四敗退「これからも」迷いなし】の見出し付だが、この通りだと思う。2回戦敗退で、もう、あの投球を見られないと思うと少し寂しい。おそらく、そうした思いで甲子園を去る西嶋投手を見送った高校野球ファンは多かったに違いない。小柄ながら、まことに見応えある投手だった。       
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 実るほど頭を垂れる稲穂かな、って。言うじゃない。それよね、会話をするときは相手のお方を心から尊重して接し、少しでも優越感を感じていただけるように接するといい。(なるほど、と私。)
=大須の横笛稽古場で。師匠との束の間の会話のなかで

【新聞テレビから】
☆『広島土砂崩れ18人死亡 記録的豪雨13人不明』『山切り裂き濁流相次ぐ 住宅街のみ込む』『避難勧告後手後手に』、『日系10社に罰金200億円 車部品など 中国、独禁法違反で』、『フィギュア高橋選手にキス強要? 週刊文春が報道 橋本議員は否定』、『世界最高齢男性に111歳百井さん認定=さいたま市中央区に自宅がある百井盛さんが20日、ギネス・ワールド・レコーズ社(英国)から世界最高齢の男性に認定された。』(20日付、中日夕刊)
☆『「ガー」木が窓破る 広島・土砂崩れ「不安で眠れず」住民、屋根に避難』『巨大生物の爪痕のよう』『政府が対策会議』、『数独世界一に初の日本人=ロンドンで開催された第9回世界数独選手権で、東京都豊島区の東京大大学院生、森西享太(こうた)さん。25歳』、『日本特殊陶業53億円罰金 米司法省 自動車部品カルテル関与』、『ガザ停戦交渉不調に』『イスラエル・ハマス 攻撃を再開』、『イスラム国、米記者処刑か 動画公開 イラク空爆中止迫る』(20日付、毎日夕刊)
☆『全日空 LCC(日本航空系の格安航空会社、ジェットスター・ジャパン)並み試行 冬期間限定 中部―鹿児島5700円』『競争激化異例の再値下げ』、『輸入野菜「国産」と偽装 農水省 豊田通商子会社を指導』(20日付、中日朝刊)
☆『汚染水対策 全面凍結見直し 東電、止水材投入を検討』、『(フェイスブックで受け取った)「いいね!」累計1億件超 ギネス記録 シャキーラさん=コロンビア出身の歌手=フェイスブック』、『「怪獣フィギュア買うため」 まんだらけ玩具 逮捕の50歳供述』(20日付、毎日朝刊)

八月十九日
 お盆が終わり、暑い一日に。ピースボートの船友でもある藤沢市の津江慎弥さん、美也子さん夫妻から「暑さがまだ残りますね あと少しがんばりましょう! 左は青森八戸石藤家20人で訪ねた折の新聞記事です」と書かれた写真入り心のこもった【残暑お見舞い申し上げます】のはがきが届き、いつもながら心優しい夫妻からの葉書を手に嬉しく思った。
 夜。テレビを見ていたらシンクロナイズド・スイミングの日本代表監督に復帰した、あの井村雅代さんが画面に出ており、心強く思った。井村さんは自身の力で〝世界1〟に育てた中国チーム指導者からの復帰で「日本と中国が世界一を争う。それが一番望むところ。挑戦を続ければ(中国に)勝つ可能性はあります」となんとも頼もしい。まずはアジアの頂点を目指す、という。
        ×        ×
 西アフリカで猛威をふるうエボラ出血熱。死者は1229人に及び、感染者となると2240人になるという。こうしたなか、リベリアの首都モンロビアでエボラ出血熱に感染した疑いのある患者の隔離施設が襲撃され、患者らが逃げ出した問題でリベリア政府は、17人がいまだに行方不明であることを明かした。新聞報道などによれば、襲撃者は患者の血などがついた寝具を盗み出しており、こうした略奪品などから感染が広がる恐れも出てきている。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「世間に迷惑をかけて申し訳ない。一日も早く解放され、戻ってきてほしい」=19日付中日夕刊『湯川さん、反体制派支援か イスラム国?犯行声明』の記事の中で。内戦中のシリア北部アレッポでイスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」に拘束されたと見られる湯川遥菜さん(42)の父正一さん(74)

【新聞テレビから】
☆『一宮また聞かせたや〝機音〟を 雨情の「起(おこし)音頭」ご当地で』『13年ぶり盆踊り23日に』『雨情の民謡 全国に426曲』、『世界遺産導いた縁 124年ぶり 富岡の工女 長野出身と判明』『24時間停戦延長合意 イスラエルとパレスチナ』(19日付、中日夕刊)
☆『サンマ漁船火災 岩手沖 2人不明』、『まんだらけ万引き逮捕 50歳容疑者「転売目的」 警視庁』、『市長問責を可決 汚職巡り美濃加茂市議会』、『火山活動活発で溶岩流出 西之島崩落の恐れ 父島に1㍍超の津波も』(19日付、毎日夕刊)
☆『除染袋相次ぎ破れる 福島 規格外品が横行か』、『飛騨大雨復旧進む』、『伊勢湾台風記やっと公開 27日から名古屋市博物館 55年前の児童作文』(19日付、中日朝刊)
☆『心をひとつに ニュースサイト コンサート動画=対立が深刻化しているイスラエルとパレスチナの若者でつくる「エルサレム・ユース・コーラス」のコンサートが18日、東京都千代田区で開かれた』『平和の絆歌い上げ』、『採決がん診断 開発へ 来年度 乳がんで先行実施』、『伊能の北海道図 測量は間宮か』『1次版と完成版 全域にずれ 2団体が分析 本格調査前に弟子入り』(19日付、毎日朝刊)

八月十八日
 月曜日。
 「熱砂」関連で連載中の同人の小説を繰り返し読んでデスクワークをしたり、まだ出されていないテーマエッセイ【忘れもの】の原稿催促を一人ひとりに電話とメールでしたり(同人の場合、皆さん、忙しい方ばかりなので、どうしても提稿は遅れがちだ)、いまは東京に在住、藤村記念歴程賞作家で、かつては放浪詩人としても知られた長谷川龍生さん(現大阪文学学校校長。日本現代詩人会の元会長)と、ある件で電話で話をする-など。相変わらず、バタバタと忙しい日が過ぎていった。

 夜は、先日亡くなった、故柳家小三亀松師匠の妻日比純子さん(別名・るり三亀さん)の晩年、彼女を支え続けた柳家三亀治さん(畑佐誠治さん、栄中日文化センターどどいつ教室の講師)桜庭愛子さんと一緒に木曽川を渡った岐阜県各務原市内の和食処「琴川(きんせん)」へ。
 るり三亀さんが発見されたのは、警察の検視によれば死後三日たっており、その日のうちに直葬されたことや七月四日に三亀治さんと愛子さんがふたりでお中元を携え、るり三亀さん宅を訪ねたときはまだお元気だったこと、芸に打ち込む姿勢は尋常ではなかった、ことなどを静かに話し合った。機会があれば、偲ぶ会でもしましょう-ということで別れた。
        ×        ×
 今宵は少し飲み過ぎたようだ。車で木曽川沿いを「琴川」に向かう途中、畑佐さんが「きょう、この川で自殺者が出ました。昼間、関へ行く途中に何度もパトカーに出くわし事情を聞くと、水死者が出たということでして」とポツリ口を開いた。「なんでも、飛び降り自殺のようです。この濁流に、どんな思いで飛び込んでしまったのですかね。死ぬ直前〝あたし、これから死にます〟と警察に電話が入り、靴もきちんとそろえてあったみたいでして…」と続ける畑佐さんを横目に「そうですか。人生いろいろですよ、ね」と私。傍らで愛子さんが「覚悟の自殺でしょうけど、本当は助けてほしかったのでは」と口を添えた。
 私は、このところの大雨に珍しく渦を巻いて流れる川のながれを眼下に「新聞に載ったとしても、ちいさなベタ記事(1段記事)。おそらく載らないでしょう。状況からすれば、サツ(警察)が発表しないに違いない。土左衛門の仏さんの場合、不思議と女は仰向けに、男は俯せで流れるものですが、おそらくその女性はこの日の空を見ながら、この世に別れを告げたに違いありません」と話し、過去の現場取材で何度か見たことのある女性の白い、あの魅惑的な肌が瞼を掠めるのを感じていた。おやすらかに-
 というわけで、帰宅が遅くなり、夜更けて半分以上、酔っぱらってこうして本欄のこの原稿を書いている。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 イガミサン、〈カトマンズの恋/ラブバード〉のユーチューブ見ました。とてもよかった。アリガトッ。国は違っても【愛】は同じ、ひとつです。国と国を超えた愛の大切さをイッショニ、世界に広めていこうよ。やりましょうよ!=ソプラノ歌手で〈カトマンズの恋/ラブバード〉の作曲を手がけた張柳春さん。私への留守電とその後の電話で

【新聞テレビから】
☆『遭難の男女3人死亡 高山 中州と下流で発見』、『敵対の武装勢力同行か 「イスラム国」拘束 千葉の男性?』『湯川さん「軍事会社」設立 シリアで拘束か「僕の戦闘撮影」』、『辺野古海底掘削を開始 普天間移設 市民らの抗議続く』(18日付、中日夕刊)
☆『〈チェック〉鴨川シーワールドの「ナック」 イルカ「しゃべった」 「次は会話」夢見て』、『法王、元慰安婦と初対面 ミサ参列の7人と握手』、『美濃加茂市長逮捕で市政停滞 市議会 辞職勧告及び腰 「市民に支持」選挙控え』、『金沢市長が辞職 競輪車券場巡り便宜で引責』(18日付、毎日夕刊)
☆『海上染める伝統の華 熊野大花火』、『法然に倣い農民の心得 伊賀で江戸末期?の「記証文」発見』、『イスラム国 邦人拘束か』『シリア北部 安否や職業不明』『ネットに映像 銃所持か』、『高山で大雨 堤防崩落 48時間で312㍉ 橋や車流失』、『木田元さん死去 ハイデッガー研究「現象学」』(18日付、中日朝刊)
☆『離婚・別居の親 子と面会申請10年で倍 昨年1万件 調停4割不成立』、『露の貨物「支援」認定 ウクライナ 近く受け入れか』、『ナノテク トップ5大学提携 院生相互受講』、『辺野古沖でジュゴン確認』、『訃報 ひばり児童合唱団(創設者) 皆川和子さん 92歳=中下咽頭腫瘍のため死去』(18日付、毎日朝刊)

八月十七日
 深夜もおそい。15日付中日新聞夕刊芸能面【旬感チョイス】欄で〈恋の実話を歌にして…… 張柳春〉の見出し入りで紹介された『カトマンズ恋歌/ラブバード』のユーチューブアップに、先ほどまでかかった。うまくできたか、どうか。本欄を読んでくださっている方がおいででしたら、ぜひパソコンまたは携帯のスマートフォンで『カトマンズ恋歌/ラブバード』で検索し見て、聞いて、広めていただきたい。
        ×        ×
 北陸、東海、近畿で記録的な大雨。天を仰ぎ黒い雲の動きを見ながら、自然の脅威にはひれ伏すしかないのか。蝉たちが最期の抵抗のように雨の合間に、必死の形相で泣き叫んでいるのが、聴こえてくる。
 高山では3日前からの雨が336㍉に達し、例年の8月の2カ月分を越す降雨量を記録。ここ江南市も、昨日に続いて止んだかと思ったら、すぐ激しい雷雨が散発的にぶり返す不安定極まる1日となった。兵庫の福知山では水没した車内から男性の死体が発見され、北陸の羽咋でも裏山が崩れて74歳の女性が命を落とす、など全国で大雨のため四人が亡くなったという。
 私自身、文系で科学のことなぞ、つゆほども知らない。が、将来を担う科学者の父として、これら雨や風を逆手に放射能の除染に生かされないものか。人類が手間取っている放射能汚染をやっつけることはできないものか、と思ってしまう。夏山遭難も各地で相次ぎ、全国で六人が行方不明になっている。沖縄の辺野古では反対派市民の抵抗を排除して海上への足場設置が始まり、ボーリング調査が始まろうとしている。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「わが国にとって歴史的な日だ。建設の際に命を落とした多くの作業員の犠牲の上に、運河は開通百年を迎えた」=17日付中日朝刊『パナマ運河開通100年 大統領「歴史的な日」』の記事中。首都パナマ市での式典で、バレラ大統領

【新聞テレビから】
☆『〈サンデー版・世界と日本大図解シリーズ〉日本で考案され世界に普及した 蚊取り線香』、『雨の北ア 計6人不明』『奥飛騨3人流される 増水の沢 渡る途中』、『〈戦後69年〉半田の団体 ハングル訳冊子』『南吉が描いた友好今こそ』、『Uターン笑顔いっぱい 混雑ピーク』、『30年無免許の男 女性はねた疑い 鈴鹿で逮捕、85歳重体』、『「拉致された全員帰国を」 横田夫妻、写真展で訴え』(17日付、中日朝刊)
☆『〈クリックオピニオン〉半田生まれの作家 小栗風葉 泥酔姿に漱石一括の真相は 小中陽太郎』、『秘密保護法「必要性弱い」 内閣法制局が指摘 11年政府協議』、『常磐津一巴太夫さん死去 83歳 浄瑠璃の人間国宝』、『愛犬飲酒運転NO訴え 高1死亡 啓発のCM完成』、『■日本記者クラブが戦後70年企画』、『阪神・西岡選手 賞状ネット競売 本人は「紛失』(17日付、毎日朝刊)

八月十六日
 土曜日。(息子の誕生日でもあり)妻に言われた通りショートケーキを手に、外出先から帰ったあとは、気分屋といっていい再三の〝にわか雨〟にたたられた。おかげで、ベランダの洗濯物を入れたり、出したりの繰り返し。【お天気次第】とは、よく言ったものだ。妻がせっかく朝早く起きて用意周到に洗濯し、干しておいた洗濯物が一瞬のうちにびしょ濡れになってしまったのである。
 実際、いったん室内に入れた洗濯物を天候が回復したので再びベランダに出し、今度こそ大丈夫だと思っているところに、またまた容赦なく降られると、もはや万事休すだ。すべてが御破算に帰す、のだからトホホとも言いたくなってくる。

 花霞町の三役会が近くの喫茶店であった。一向になくならない資源ゴミ分別収集置き場への不法投棄問題に始まり、町内各所で老朽化した防犯灯の取り替え話、古知野神社の掃除の際に手渡すウーロン茶差し入れの件、他町盆踊りへのお祝いの取り扱いなど。あれやこれやと話し合われた。なかで九月十五日の敬老の日に三役でお祝い金を手に七十五歳以上の長寿者宅一軒一軒に出向く〝お祝い訪問〟があったとは。敬老の日がより、身近な存在として迫った。そういえば、私だって定年を過ぎてから既に何年か、がたつ。この訪問、決して他人ごとでない。なんだか、こうしていても、歳ばかりがドンドン過ぎていく気がする。あ~ぁ。

 舞の千羽鶴を携えての広島への〝祈り〟の旅が紹介された8月6日付中日新聞尾張版
 
 先日、朝刊の尾張版で紹介された舞の折り鶴千羽を携えての広島行。圧倒的読者を誇る新聞の力はやはり大きく、ミヌエット店内ではむろんのこと、舞が仲間の一員としてお世話になっている江南俳句同好会の場でも、このところは「載っていましたね」と言われることが多いようで、反響がじわじわと広がっている。
 中日新聞の影響力の大きさは私自身、かつて編集局デスク長(兼サンデー版デスク長)や一宮主管支局長として携わったことがあるだけに、十分知っている。紙面に載った記事はボデーブローの如く読者から読者へ、と広がっていくだけにおろそかには出来ない。正直言って〝原爆の子の像〟への折り鶴献上は、ほかにも数え知れないほどあるだけに、たまたま紹介していただけ有り難いことだと心から思っている。
        ×        ×
 米カリフォルニア州が大干ばつの一方でネブラフスカ州の病院では激流が侵入、200年に一度の大雨に見舞われた、という。全身スケスケの大胆衣装で来日した米人女優レディー・ガガさんが韓国へ。神宮外苑では一万発の花火が夜空を焦がした。なんといっても、今夜はお盆の風物詩で室町時代から続く伝統行事である京都【五山送り火】が圧巻。雨で心配されたが〈大〉の大文字が夜空にくっきりと浮かび上がった。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
……
 何とか家族と合流して抱き合ったとき、生きていると実感しました。途中で放り出した自転車は、焼夷弾の金属筒が当たって曲がっていました。命があったのは本当に運がよかったと、身をもって知りました。
 戻ると、家は跡形もなくなっていました。唯一残ったのは、国民学校の卒業写真。偶然、祖父が持っていたのです。これを見ると、今でもあの夜の恐怖がよみがえります。 
=中日16日付朝刊【子どもたちよ!2014 私の戦争体験1 焼夷弾地響き「熱い」「痛い」 岐阜空襲】の記事中。松葉 五郎さん(84歳 岐阜県本巣市)の証言から抜粋

【新聞テレビから】
☆『世界遺産効果で観光客増 富士山外国人も魅了』『独女性 雰囲気神聖 蘭男性 人生の象徴 台湾女性 夏の雪感動』『山頂付近 今秋末も悪天候』、『戦後69年 要塞島 今は平和 和歌山、若者の観光地に』、『ヒマラヤ無名峰をゆく 日本山岳会東海支部 8度目制覇、命名』、『白血病患者に希望の1打を 元中日・大豊さん 闘病中も岐阜で料理店』(16日付、中日夕刊)
☆『子供遺棄・置き去り891人 過去5年 2歳以下4割 本社調査』、『エボラ患者2000人超す 国際医師団 現状「戦時」と表現』『「病気を恐れ診察を中止」 リベリア国連職員=総務担当官、池田明子さん(47)= 窮状訴え』(16日付、毎日夕刊)
☆『「不戦」「反省」置き去り 69回目終戦の日 首相今年も触れず』『授業「平和と人権」消える 今夏 愛教大、教養科目再編で』『設置28年、学生「知らなかった」 図書館前に被爆敷石…気付かれず』、『長篠合戦死者弔う鎮魂の炎 新城「火おんどり」』、『押し入れ遺体17歳少女 愛媛、遺棄容疑 少年ら4人逮捕』『靖国参拝に3閣僚 超党派は84人、昨年より減』(16日付、中日朝刊)
☆『〈千の証言〉大勢の人が海に投げ出された 闇船襲った悲劇 引き揚げ途上 機雷爆発』、『福島・河内村 真夏の成人式』『いつか村でまた生活を』、『■美濃加茂市長の3度目保釈請求も却下』(16日付、毎日朝刊)

八月十五日
 日本が戦争に負けた日、昭和天皇の玉音放送があった日だ。
 戦争、戦争、戦争……、【戦争】と、どのマスコミも叫んでいるが、戦争を本当に分かっている人となると、今では少ない。戦後生まれで戦争の経験がない私。戦争をしてはいけない。分かっているのは、そのことだけである。
        ×        ×
 お盆で私と妻(舞)、息子の家族で妻、私の実家の順で回り、仏壇に葡萄を供えて仏にお祈りした。(妻のお母さんは寝たきりなので)私の母を誘って久しぶりに市内の回転ずしへ。店内は家族客でいっぱいで、しばらく待たされたが高齢であまり食べられない母も、きょうは孫(息子)に会えた嬉しさからか、茶碗蒸しのほかにも2、3、握りずしを口にしてくれ、なんだかホッとした。
 道すがら、今は駐車場や野菜畑として近くの方々に貸して利用してもらっている土地など数カ所を回り息子にも、その一つひとつについて簡単な説明をしておいた。頭の隅にホンの少しでいいので土地の存在を刻んでおいてほしいためである。
        ×        ×
 25年ぶりに訪韓中のローマ法王が沈没船犠牲者に対し祈りをささげた。「ウクライナ軍が白リン弾を使用した」とロシアが発表。愛媛県伊予市の団地3階の押し入れで17歳の少女の遺体を発見。少女に何があったのか。しゃぶしゃぶの木曽路が牛肉の偽装で謝罪。「日本の評判が、悪くなりつつある。我々は過去ときっちり向き合わなければ」とは、NHKスペシャル【どう守る? 日本の平和】で出席者の一人。終戦記念日で政府主催の全国戦没者追悼式が東京・日本武道館で開かれた。遺族ら6000人が参列したが、70歳以上が8割を占めた。戦争は、体験者の高齢化という面からも風化しつつある。

【きょうの一文・ことば】
 目標があれば突っ込んでいるはず。終戦を知っていて突っ込むのはおかしい。あえて回避したのでは。=15日夜CBC・NEWS23【〈若者たちの戦争〉終戦後に飛び立った特攻兵】から。最後の特攻兵の生き残りの証言

【新聞テレビから】
☆『満州 日本人の悲劇 集団自決で少年は銃を 元満蒙開拓団青少年義勇軍の証言』(15日夜、メ~テレ〈報道ステーション〉)
☆『首相「不戦」なき平和の誓い 集団的自衛権容認後初の追悼式 戦後69年』『あの若い人たち、生きていれば 名古屋で空襲経験 最年長参列者 難波いそさん(100)』『富士山頂平和かみしめ 山岳戦など研究、米軍が銃撃』、『マリキ首相、退陣表明』『イラク「アバディ氏を支持」』『挙国一致へ一歩 米大統領補佐官』『米、クルド人救出見送り オバマ氏「状況は改善」』、『芸能面〈旬感チョイス〉恋の実話を歌にして……張柳春』(15日付、中日夕刊)
☆『〈人生は夕方から楽しくなる〉聖路加国際大名誉理事長日野原重明さん(102歳) 100歳超えてなお抱えきれない夢』『2閣僚が靖国参拝 古屋、新藤氏 首相は玉串料奉納』、『「二度と起こさないで」 福知山花火事故1年 被害者の会献花』(15日付、毎日夕刊)
☆『〈戦後69年〉きょう終戦記念日 さまよう日章旗 「還りたい」泣く遺品』、『演じた「ほら吹き金剛」元二所ノ関親方死去(65歳、元日本相撲協会理事) 繊細、根底に責任感』、『コメ偽装事件過去最大規模 三瀧商事元社長ら逮捕』『詐欺罪で立件視野』、『車衝突 10歳女児死亡 海津の堤防道路、8人けが』(15日付、中日朝刊)
☆『きょう69回目 終戦記念日』『〈千の証言〉密林に1年 戦友は次々倒れ メモ帳に「死の予感」 元通信兵 克明に記録』『67年超えメモの縁 フィリピン密林元日本兵と生き延びた日系2世 「父の国に来られて感謝」』、『「子1000人もうける計画」 タイ代理出産 日本人男性、業者に』、『ギエムさん引退へ 世紀のバレリーナ 来年12月が「最後」』(15日付、毎日朝刊)

八月十四日
 お盆の一日。
 これまで、私にとっては宿願と言っていい、江南市内にある両親から譲り受けた土地のうち一カ所だけ、場所があいまいだったところを今一度しっかり、確認するのに午後のいっときを費やした。
 何を思ったのか。早朝、満94歳の母から突然の電話が入り「たかちゃん、あんた前からどこにあるか、よう分からん言ってた(今はひとさまに貸してある)おまえの土地、その後どこにあるか分かった? お母ちゃん。もう、いつ死ぬか分からへんで確認しとく必要があると思ったので電話した。あの辺は建物がどんどん立ち、一体全体どこがおまえの土地なのか。お母ちゃんも分からなくなってしまった。ちょうどお盆でもあるし。きょう、一緒に探しにいこうか。確かめておかなければアカンよ」ときた。
 不意打ちを食らったような電話には、さすがの私もうろたえた。「やはり、母の言うことは正しい。その通りだ。親からもらった、自分の大切な土地がどこにあるかを知っておかなければ」と内心思ったものの、午前中はやらねばならないことが、いっぱいあるため、ひと通りすべきことが終わった段階で実家へ。ここで母を拾って市内のその辺りを大捜索とあいなった。
 住所メモを手に目的の場所を探すと、近くに住む男性と女性が、わがことのように丁寧に教えて下さり、とうとう目的の土地を確認。これまで何度か探しても分からなかったのは新しい家々が建った別の道筋を探していたため、とわかった。それにしても、車を止めて聞いた女性に母と一緒にいたところを「ご夫妻かと思っていました。息子さんでしたか」と言われたときにはショックを通り越し唖然とさせられた。確かに母は九十を過ぎても若々しく、私にとっては自慢の女性だが、まさか夫婦だなんて。喜んでいいのか、悲しんでいいのか。
 それにしても九十四歳でなおかくしゃく、という存在が皆さんからは神々しく映るのだナっ、という事実をあらためて思った。「とても、そんなお年には見えませんよ」とおだてられた母はまんざらでもなさそう、今回のように母が実際の歳よりも数段若く見られたのは、これが二回目。以前は私が大学生のころ、私が入院した際、付き添った母は「お姉さんですか。弟さん、大丈夫ですよ」と看護婦さんに尋ねられた、あのときも少しだけ嬉しそうな顔をした母の若き日々を忘れるわけにはいかない。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
『あのとき、「(鈴木貫太郎総理から)もう二度と戦争が起きないよう頑張ってほしい。戦争を始めるのは簡単だが終わらせるのは大変だ」と言われ、命がけでお守りしました。』=14日夜、CBC【〈NEWS23〉総理「親衛隊」69年目の証言 クーデター部隊と未明の攻防】の番組のなかで。懐中電灯ひとつで人間の盾として総理を守った生き証人・長松幹榮さん(88)
【新聞テレビから】
☆『94歳元日本兵=近藤一さん(94歳)=の(刺突訓練などむごたらしい)証言 ふたつの戦場の真実』(14日夜、CBC『〈NEWS23〉若者たちの戦争 終戦2カ月前に米軍捕虜に』から)
☆『〈戦後69年〉金属供出で代用戦時伝える 石鐘 無言の訴え 一宮・正瑞寺』『7割の寺院が協力』、『ローマ法王が25年ぶり訪韓』『北がロケット弾 日本海へ3発』、『51~63年 ノーベル物理学・化学賞 日本6氏候補だった 名大・外山氏ら』、『ガザ停戦5日間延長』、『脱線日本人5人重軽傷 スイスの鉄道事故 転落車両に乗車』(14日付、中日夕刊)
☆『警官が黒人少年射殺 米ミズーリ州 友人「無抵抗姿勢に発砲』『抗議デモ暴徒化 大統領、冷静さ求める』、『「大統領のシリア政策は失敗」 ヒラリー氏がオバマ氏批判 次期大統領にらみ発言? 電話で釈明』、『辺野古移設計画 地質調査へブイ設置 防衛省 反対派洋上で抗議』『政府「粛々と進める」』、『戦争 警鐘のペン』『有事法制批判再び脚光 絵本「戦争のつくりかた」』『無関心の闇 リツイート』『詩「明日戦争がはじまる」』、『教諭、小2に暴言 「窓から飛び降りるか」 浜松』(14日付、毎日夕刊)
☆『お盆の土産ひ孫の笑顔 東海帰省ラッシュ』『踊り明かせ日の出まで 郡上で徹夜おどり』、『重光外相「ソ連仲介で対中終戦」秘密公電新たに122通 終戦1年3カ月前』『重光公電122通 元外交官・故武内氏が保管 戦時史検証 役立てて』、『運転手を処分保留 小牧ひき逃げ、在宅捜査へ』(14日付、中日朝刊)
☆『真珠湾に鎮魂の長岡花火 終戦70年 来年8月15日打ち上げ』『日米の開戦に反対 山本五十六出身地』『「大和」艦長 駐米時の日記発見 「豊かさ比較にならぬ」』(14日付、毎日朝刊)

八月十三日
 お盆で町はなんとなく静かな感じだ。人の動きも、行き交う車の量も少ない。被災地も含め、それぞれの盆の入りである。
 ロシアが北方領土の国後島と択捉島で、過去30年で最も大きな規模の軍事演習を強行。日本政府の事前の警告にもかかわらず、100両以上の戦車はじめ攻撃ヘリ5機、千人以上が出ての演習になったという。この軍事演習が一体、何を意味するのか。プーチン大統領がウクライナ東部地区でのマレーシア航空機撃墜以降の欧米諸国に同調した形でのロシアに対する経済制裁など日本の対応を心よし、としないことの表れだと見る向きが多い。
 その日本だが、円安が輸出増につながらないばかりか、個人消費が過去最大5%のマイナスにまで落ち込んでおり「こんなことでは10%の消費税など無理。先送りすべきだ」といった声まで政府部内で出始めてきている。米国西海岸のカリフォルニア州では五百年に一度の大干ばつに襲われ、全米農作物の3割以上で被害が続出。そのアメリカで往年のスター女優、ローレン・バコールさんが脳卒中で亡くなった。享年89歳。
        ×        ×
 朝。ピンポーンの音に玄関へ。花霞町の総代さんで、町内での訃報についての丁寧なお知らせであった。「(副総代に)伝えさせていただきます。(3組の)組長から、〝大至急の回覧〟が届くはずなので(3組2班の班長としても)回してください」とのことだった。
 ところが、これがなかなか届かない。とうとう組長宅に電話し〝大至急〟を知らせ、家人に回覧を届けていただき班の回覧ルートに乗せ、やっとひと息ついた。この間、家を出るにも出られず、組長や班長ひとつにせよ、地域社会で生きる役員の存在がいかに大変かを知った。
 とはいえ、人間だれとて仕事や家事で動いているのだから。外出しているときに急な文書が届けられたりすると、もはやどうにもならない。ましてや、皆それぞれの事情で動き、それぞれの仕事がある。「なぜ、居ないのだ」というわけにもいかない。皆一生懸命に生きているのだ。とにもかくにも、いい経験になった。人生、いつまでたっても勉強か。

【きょうの一文・ことば】
「ことしは行くどころじゃない。いつも踊ったり、見に行ったりするけれど。ことしは、ひとごとみたい。」=開幕した阿波踊りを横目に徳島県阿南市の豪雨禍被災市民ら

【新聞テレビから】
☆『白鵬ら土俵寄贈 気仙沼にエール』、『〈終戦と朝鮮半島 在留邦人の軌跡〉8・15の京城 運命分けた38度線』『支配終焉引き揚げへ粛々』『軍が治安維持 及び腰の政府』、『数学のノーベル賞 初の女性 イラン出身 米で教授=マリアム・ミルザハニ米スタンフォード大教授(37)』、『富士山御来光きたー‼』、『秋の味覚姿消す サンマ不漁温暖化原因か』『海水温の影響他の魚も』、『空襲後市民の厭世感監視 15道県の検事正大臣に報告』、『消費税でGDP(国内総生産)急減 4~6月期 年6・8%減、震災時並み』、『自殺の親族書類送検 岡崎、名古屋 親子3人殺害容疑』(13日付、中日夕刊)
☆『名古屋中心部お盆の静けさ』、『夏の天体ショー ペルセウス座流星群=3大流星群の一つが12日深夜から13日早朝にかけピークに。静岡県御殿場市からは、富士山上空に、月明かりに負けない明るさで見られた。15日ごろまで、北東方向のペルセウス座とカシオペア座の間を中心に広い範囲で放射状に現れる』、『タイ代理出産謎だらけ 依頼受けた女性「報酬は127万円」 日本人男性「子供」15人』、『「移転」市長VS「現在地」経済界 庁舎改築揺れる伊賀 住民投票15日告示』、『万引き顔写真公開中止 まんだらけ「警察から要請」』(13日付、毎日夕刊)
☆『〈戦後69年〉消される戦争の傷跡 軍施設、強制連行の説明版…次々と』『引き揚げ者の財産 帰宅待つ』『演芸団員戦死していた 歌が結んだ恋結婚2年で召集 遺族、消息明かす』、『奥西家の墓親族ら参る 伊賀』、『遺棄容疑 手配の男逮捕』『栃木県警 段ボール16歳遺体』『乳幼児9人同じ父 タイ警察鑑定 日本人か不明』、『〈訃報〉山本順一氏=大相撲の元時津風親方、元小結双津竜、64歳』(13日付、中日朝刊)
☆『イラク緊迫の検問所 北部のクルド部隊 鉄条網越しに銃口』、『無人機3機一括購入 防衛省 来年度予算計上へ』、『WHO(世界保健機関) エボラ熱「制御困難」 帰国のスペイン人死亡』、『29年 慰霊の夏 御巣鷹・日航機墜落』、『京大(学術情報メディアセンター) 客を無断撮影』『商業施設 人物識別実験に利用』(13日付、毎日朝刊)

八月十二日
 昭和60年8月12日午後6時56分。日航ジャンボが御巣鷹山=群馬県上野村=に墜落、乗客・乗員524人の大半、520人の尊い命が空に散って失われた。私は決して忘れはしない。その日のことを。
 夜、空港担当記者として名古屋空港を取材中この大惨事を知った私は翌早朝には本社機「はやたか二世」(双発ジェット)で現場上空へ。空からの最初のルポを送った。十六日に三男坊が生まれる直前だっただけに、わが子の出産を気にしながら現場上空取材に始まり「これでもか」と延々続いた関連取材など一連の動きは鮮明に覚えている。
 あれから二十九年たつ。

 夏の甲子園2日目。大垣日大(岐阜)が終盤、最大8点差をひっくり返す大逆転を演じて12―10で藤代(茨城)に勝利。星稜(石川)も静岡(静岡)に5―4で逆転勝ち、16年ぶりの初戦突破を果たし、東邦(愛知)は日南学園(宮崎)に11―3で快勝した。皇太子ご一家の静岡県下田・須崎御用邸での静養が始まり、下田駅には日の丸の小旗を手にした大勢の市民が出迎えた。東京では南京ユース五輪の出発式。徳島では恒例の阿波踊りが三日間の日程で華やかに始まった。
 一方、世界はと言えば。コメディアンでも知られた米人気俳優、ロビン・ウィリアムズさんがカリフォルニア州サンフランシスコ近郊の自宅で自殺。63歳だった。アフリカのシエラレオネとリベリア国境、ゲゲドー県で発生したエボラ出血熱の感染範囲が日に日に拡大。ナイジェリアにまで飛び火し、死者千人を越えたという。専門家によれば、日本での感染拡大は考えにくい、という。
        ×        ×         
 きょうは午前中、舞の定期診療日で江南厚生病院の脳外科外来へ。
 彼女の場合、大手術以外にも過去、不意の脳内出血などで何度も病院に運ばれ危機一髪、生死の境を潜り抜けてきただけに、無理をすればいつ危険な状態に陥ってもおかしくない。デ、診療には夫の責任として、これまでの罪滅ぼしも兼ね毎回同伴している。
 血圧手帳に示されたデータの通り相変わらず、血圧は高い。でも「なんとか140代を保てれば」というのが、担当医師の見解。妻は毎朝の血圧測定をとても嫌がるので、これを続けるには結構、幼な児をあやすがごとく心を鬼にしている。正直、大人のこどもが一人いるようなもので大変である。「血圧なんて」というのが彼女の乱暴な言い方だ。だが、そうではない。やはり目安にはなる、自らに言い聞かせ測りつづける毎日だ。
 というわけで、診療から帰った私はホッとするまもなく、今度は「熱砂」で連載中である黒宮涼の小説「死神の秘密〈その6〉」の読み返しと編集、公開作業に始まり、刊行直前に迫った加藤行の詩集「ピュアな風に舞う」(2014年8月15日文芸社発行)の作品にも、あらためて目を通す、など結構あわただしい。

 ふと気が付くと、あれほどまでに「きょうのところは、(受診で「ミヌエット」は休みでもあるので)あまり無理するな」と言っているのに、舞が一人黙々ときのう隣家の敷地内から撤去させたレインボーツリーの残骸解体処理をしているではないか。ほおっておくわけにもいかず途中から私も加わって作業を進め、ついでに草引きもする。ひと段落ついたところで広島へ遠征以降、離れていた横笛も、とふいてみる。気がつけば。今宵もまた夜はふけていた。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 今はいろいろ(不幸な出来事が)あります。人を巻き添えにしたり、とか。本当に命を落としたら、もう帰らない。……悲しみは一人だけではない。皆で悲しみを力にすることは出来るな、とあらためて思っています。=日航機が墜落した現場「御巣鷹の尾根」で。元宝塚雪組だった娘を失った母親ら遺族の声

【新聞テレビから】
☆『過激派勢力拡大のイラク 孤立のクルド人〝救出作戦〟』『マリキ首相に「退陣要求」〝挙国一致〟なお困難』(12日夜、〈メ~テレ〉報道ステーション)
☆『犠牲最多〝(特攻)悲劇の13期〟 「最後の志願兵」が語る』(12日夜、CBC〈NEWS23〉)
☆『空の安全 祈り強く 日航機墜落29年 雨の御巣鷹』『双子の兄 慰霊登山で誓い新た「弟の分まで」』、『8・15漫画家の声 「絵手紙の本」復刻に合わせ収録 〈戦後69年〉』、『エボラ死者1000人超す JICA(国際協力機構)スタッフ一時退避』、『米、イラク首相候補に祝意 オバマ氏「挙国一致内閣を」』『マリキ氏は反発』(12日付、中日夕刊)
☆『〈特集ワイド〉この国で確かにあったこと2014年夏④  ジャーナリストむのたけじさん(99) 記者なのに開戦分からず 新聞社もただ流された』『戦争は自国民を欺く』、『「イスラム国」に追われ 「明日 どこに行けば」 イラク少数民族』(12日付、毎日夕刊)
☆『リニア 10月着工へ』『JR東海 アセス容認で弾み』、『特異な木製戦闘機 模型に』『日本軍試作 高山の高校生 復元へ』、『三重県民3分の1に指示も… 実際の避難者 3700人 57万人中』『台風 死者11人に』『三重や岐阜では1カ月分の雨量』、『民主愛知 大村氏支持へ』『来年の知事選 県政運営を評価』、『自殺の親族 書類送検へ』『岡崎、名古屋 親子3人殺害容疑』、『段ボール遺体は16歳 埼玉出身 12年から不明の少女』(12日付、中日朝刊)
☆『アギーレ新監督「やる気いっぱい」 サッカー代表 就任会見』、『届け鎮魂のバイオリン 50歳女性 亡き母と同じ年に 日航機墜落きょう29年』、『すき家前で抗議のキス ブラジル・同性愛差別で』、『■新潟・女性殺害で勾留理由を開示』(12日付、毎日朝刊)

八月十一日
 お盆を前に墓前には、ほうずきと白ユリが=江南市内の墓地で
 
 

 午前中、朝一番でそれぞれの父が眠る墓地へ、と出向いた。お墓には両方ともほおずきと白ユリを供え、ひと足早くお盆のお参りをした。私の父の方、和田では同じ墓地内で眠り沖縄戦で玉砕し若い命を散らせた母の弟、叔父の墓にもほうずきと白ユリを手向けて手を合わせた。

 墓参を終えた私と舞はホームセンターへ。
 ここでノコギリと枝払い用の挟み、そして金槌をいずれも新品で購入し帰宅と同時にきのうの台風で隣家の庭先にまで飛び込んだレインボーツリーの撤去に移った。が、これがなかなかどうして。簡単にはいかない。長さ7、8㍍はあろうか。大枝部分をノコギリで一通り切り払ったあと、最後に残った幹に抱きついて渾身の力を出して両手で持ち上げ、私宅の庭の方へ動かそうとしたが、重過ぎてウンともスンとも動かない。結局は全ての枝をノコギリで一つひとつ切り落とし、次に枝払いしてやっとこせ、一番重い幹の部分を〝ヨイコラショッ〟と瞬間的に宙に浮かせ、私の家の敷地内に投げ入れることができた。

 もんどりうって隣家の庭先にまで飛び込み巨体を横たえた、わが家のレインボーツリー
 

 こんなわけで、午前11時過ぎから二人で始めたわが家のカナダ産倒壊木・レインボーツリーの撤去、移動、処理作業は途中、30分ほどの休憩をはさみ、私が幹と大枝をノコギリで黙々と切る人、妻がそれらを片付け私たちの家の方へ運ぶ人、といった具合で進みひととおり作業を終えるまでには六時間近くかかった。細断してなお、最後に残った幹が意外と重かったのには、本当に驚いた。さすがに〝力持ち〟のはずの舞は手も足も出ず、私が渾身の力と瞬間技ともいえる妙技で、いったん宙に浮かせた幹を力の限り投げ入れるようにして、わが家敷地内に移動させた。
 柔道でいえば、故三船久蔵十段の空気投げ、即ち隅落としの極意がまさか、この場面で生きるとは。思いもしなかった。私はありたけの技で、あの重い幹の重心をいったん崩し、宙に泳がせた。柔道の【引きと崩し】の力学を使ったのである(エヘン!)。それにしても、作業を終えた時には二人とも全身汗まみれのびしょ濡れでクタクタ。足もガクガク。元々、病身の舞が「心臓がドキドキする。このまま止まってしまうかも。もう、ダメ」と言い出したときには、さすがに、これ以上は無理と判断。私も一緒に三十分ほどの休息をとらざるをえなかった。
 とにもかくにも、どうなることかと思っていた倒壊木の隣家敷地からの撤去は、お隣りさんが外出している間に二人とも敷地内に入れさせていただき、なんとか終えることが出来た。夕方、二人で「無事、撤去させてもらいました」と、あいさつに伺うと「よくぞ、まあ。お疲れさま」と早い処理には、驚かれた様子。お隣さん付き合いが、ヒョンな〝倒木事件〟から一歩深まったような、そんな気さえした。人間万事塞翁が馬、とはこのことか。
 舞と暮らしていて、これまで受けた災難は新聞社の志摩通信部(現三重県志摩市阿児町鵜方)時代にある日突然、トラックが通信部局舎一階に飛び込み1階玄関部分が半壊した日のことと、七尾支局時代に台風襲来で支局長住宅の屋根の半分ほどが剥がれて飛んだときの、あの悪夢と恐怖を忘れることが出来ない。でも、まさか。わが家の樹木が隣家の庭にまで吹っ飛ぶ、とは。世のなか全くもって、いつ何が起きるか。知れたものでない。
        ×        ×
 サッカー日本代表の新監督、ハビエル・アギーレ氏(55)=メキシコ・メキシコシティ出身。元プロサッカー選手=が、来日。4年後のロシアW杯への意気込みを語った。「サッカーは全員守備。11人全員がボールを取り戻すことに参加しなければならない」とアギーレさん。九州・佐世保の同級生殺人で女子生徒を精神鑑定へ。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
「誕生九十年という節目の年。最後まで挑戦し続け、長く記憶に残る大会にすることを誓います」=11日付中日夕刊『2日遅れ 熱戦開幕 夏の甲子園』の記事のなかで。作新学院(栃木)の中村幸一郎主将の選手宣誓

【新聞テレビから】
☆『北での〝日本人調査〟初確認 平島筆子さん「調べに来た」』(11日夜、メ~テレ〈報道ステーション〉)
☆『日中韓〝タブー〟なし 若者たちの本音バトル』、『(タイ代理出産事件で)タイ乳幼児〝15人〟深まるナゾ なぜ女性たちは代理出産を』(11日夜、CBC・NEWS23)
☆『2日遅れ熱戦開幕 夏の甲子園』、『日中外相2年ぶり会談 岸田氏「関係改善の契機に」』『拉致調査 進展求める 日朝外相が非公式会談』、『台風11号、死者10人に 不明2人 各地で浸水被害』、『踏切に「爆弾」41歳男逮捕 威力業務妨害容疑「むしゃくしゃして』(11日付、中日夕刊)
☆『首脳会談へ協力要請 日中外相会談で岸田氏』『北朝鮮に誠実な取り組み求める 拉致問題で岸田外相』『南シナ海巡り米中応酬 ARF閣僚会議 北朝鮮核を懸念 ASEAN外相会議閉幕』、『長野知事に阿部氏再選』、『故郷を愛する御霊よ 安らかに』『名取・閖上で慰霊碑除幕式』(11日付、毎日夕刊)

八月十日
 台風11号はけさ、高知県安芸市付近に上陸。西日本を縦断しながら次第に速度をあげて、夕方には金沢から日本海へ。午後九時には時速を50㌔までに上げて輪島沖を北々東に抜け、北上中である。雨の被害が心配されたなか、午前から午後にかけての風は結構強く、耳に迫る、窓辺をたたくヒュー、ヒュルルッ、ヒューと、しなうような音には、いっとき恐怖感さえ覚えた。
 昼過ぎ。舞が「あ~あ」と落胆の声をあげ「木が倒れてしまった」と言うので「何事か」と聞くと、わが家自慢といえるまでに大きく育っていた裏庭に立つレインボーツリーが根こそぎポッキリ折れ、幹と枝の部分がそっくり隣家の庭のなかにまで吹き飛ばされているではないか。巨体とまでは言えないが、高さも十㍍ほどに育ち、季節ごとにオレンジなどカラフルな色に変化する、わが家自慢の大切な木だっただけに残念であり、かつまた、とても惜しい。でも、折れてしまったものは今さらどうしようもない。
 それよりも、お隣りさんの敷地内にまで飛んでいっているので二人でお宅を訪れ、「あす、撤去させていただきます。申し訳ありませんでした」とひとことお詫びを言わせていただくと「いや、分かりました。どうぞ、やってください。それにしても気がつきませんでした。あんなに吹き飛ぶなんて、信じられませんね」とご夫妻。庭で育ったゴーヤまでをいただき、恐縮したのである。
        ×        ×
 ミャンマーのネピドーでは、東南アジア諸国連合プラス3(日本、中国、韓国)外相会議が行われている。日中韓の外相が顔をそろえているだけに、日中、日韓関係改善への岸田外相の手腕が期待される。いや、期待したい。台風被害は徳島、高知両県で広い範囲での浸水被害が出たほか、北上に従い山梨や栃木県などで住宅地が孤立状態になったり、突風による建物被害が出るなどしている。幸い、三重県下の被害は最小限に抑えられそうで不幸中の幸いで、何よりである。
        ×        ×
【きょうの一文・ことば】
 「漫画、脚本、小説……形は異なるけれど、ずっと書きたいという一本の糸に導かれてやってきました」。=10日付毎日朝刊『〈今週の本棚〉「あなたも眠れない(文藝春秋)」 著者山口恵以子さん 酸いも甘いもかみ分けた視点』の記事のなかで。作家山口恵以子さんのことば

【新聞テレビから】
☆『〈サンデー版・世界と日本大図解シリーズ〉核のない世界へ』、『〈長崎原爆の日 平和への誓い〉憲法守れ 首相に直訴 原稿にない思い切々』『「不戦」長崎の決意 集団的自衛権容認「黙ってられない」』、『〈三重厳戒〉 県民3分の1に避難指示 56万人』『三重に特別警報 津で総雨量400㍉超』、『1面で論点明示 東京新聞を表彰 JCJ(日本ジャーナリスト会議)大賞』、『「水もなく死待つだけ」 フリー記者・玉本さん電話取材 ヤジド派 苦境訴え』、『危険ドラッグ警官立ち入り 愛知県、条例改正へ』、『千種の民家にミイラ化遺体 93歳女性か』、『安藤君悼み通夜 扶桑の落雷事故』(10日付、中日朝刊)
☆『■エボラ熱でナイジェリア非常事態宣言』、『産経支局長へ出頭要請 ソウル地検 韓国大統領記事巡り 名誉棄損容疑』、『心停止82分後に蘇生 愛媛の62歳男性 低体温療法で回復』、『■河口湖音楽祭が開幕』、『斬られ名人 最優秀男優賞 福本さん初主演で カナダの映画祭=斬られ役一筋で「5万回斬られた男」の異名を持つ俳優の福本清三さん(71)が主演した映画「太秦ライムライト」が、カナダ・モントリオールで開催された第18回ファンタジア国際映画祭で最優秀作品賞を受賞、福本さんも最優秀主演男優賞を受賞した。』(10日付、毎日朝刊)

八月九日
♪折り鶴に息吹きかける原爆忌   伊神舞子(第三回石田波郷俳句大会一般の部井桁汀風子選・入選作)

 平和への願いを込め、全国から寄せられた折り鶴の数々=広島平和記念公園、原爆の子の像前で。6日写す
 
 

 長崎原爆の日。雨。
 長崎市松山町の平和公園では市主催の原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が営まれ、田上富久市長は平和宣言で「集団的自衛権の議論を機に、安全保障のあり方が議論されている。『戦争をしない』という〝平和の原点〟が揺らいでいる」と述べ、被爆者代表も平和への誓いのなかで「集団的自衛権は憲法を踏みにじる暴挙だ」と批判した。

 久しぶりに本欄【生きてゆく人間花たち】を再開、私自身の目、耳、足でつかんだ世のなかの流れを、これからも活写していく。遠征から帰宅後、きのう午後は江南厚生病院の整形外科へ。右足首のレントゲン撮影をして頂いたが腱鞘炎でアキレスけんの上に白い石灰がたまっているが、薬を飲めばよくなります。骨髄炎とか、そういった悪性のものではありません、との女医の判断。
―というわけで、性懲りもなくきょうは午前中、右足をひきずって、久しぶりに社交ダンスのレッスンに。「社交ダンスというもの。男性は女性に傷つけられるもので、傷だらけになって初めて、そこそこ踊れるようになるもの」との名言まで賜った。なるほど、そうかもしれない。
        ×        ×
 速度20㌔とノロノロの台風11号が北上、各地に記録的な大雨をもたらしている。おかげで兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕予定だった第96回全国高校野球選手権大会の開会式と1回戦3試合が二日後の十一日に延期となった。開会式の中止は三度目、開幕日から二日連続で全試合中止となるのは初めてだ。
 大雨の影響は空の便の欠航続出や鉄道の運休、高速道の閉鎖や通行制限などといった形で続出。気象庁は午後2時20分、三重県に「数十年に一度の災害の危険性がある」として大雨の特別警報を発令。夜に入ってからは三重、山口、高知、徳島の四県を中心に全国140万人に避難指示、または勧告が出されるほど。
 特に三重県の場合。津、四日市、鈴鹿では安濃川や雲出川など河川氾濫の恐れがあるとして、市内全域の世帯に避難指示が出される深刻な事態に。九州、四国、近畿、東海を中心とした西日本各地で厳戒態勢の夜が過ぎようとしている。台風の本体そのものは、今夜遅くからあす未明にかけ四国に接近し上陸見通しだという。
 それにしても、ニンゲンたちが次から次に、何か得体のしれない魔物に呪われている、狙い撃ちされている。このうえは被害が最小限にすむよう、ただ願うばかりだ。まさか、あすの朝になったら目の前のモノみな全てが廃墟の街と化していなければ良いのだが。
        ×        ×
 被爆から六十九年の広島原爆の日を迎えた六日。私と妻の舞子は広島市中区の平和記念公園で午前八時から営まれた「原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」(平和記念式典)に江南市民の公募代表として参列。犠牲者の霊を前に「平和」と「不戦」への祈りをし、引き続き〝原爆の子の像〟で知られる佐々木禎子の像に舞たち有志江南市民が折った千羽鶴を献じるなど、多くを体験した。
 滞在期間中、私はたまたま数日前、何かの弾みで右足首を捻ってしまい、ほとんど右足が正常には動かないなか、原爆を投下された広島の人たちの塗炭の苦しみを思い、激痛を抱えたまま、時には大きな荷物を抱え、足を引きずりながら、土砂降りの雨のなかを濡れ鼠同然に妻とふたりで動き回った。ナンのこれしき、原爆を投下された広島の方々の痛みを思えば、痛さにも当たらないのだ。そう自らの心に言い聞かせつつ、〈黒い雨〉を思わせる降雨のなかを、さまようが如く会場入り。むろん、舞も大きな千羽鶴を白い布袋に入れてのやっとこせの行軍だった。
 でも、やはり平和を願う記念式典に参列、広島を訪れたのは正解だった。彼女のちいさな夢がやっと実って「よかったな」と思っている。なかでも平和記念資料館をつぶさに見て回ることができ、戦争の悲惨さと核の怖さをあらためて痛感。そればかりか自らも五歳の時に被ばく、館内で親切な説明に当たって下さっているピースボランティアの一人、松山良江さん(74歳)から「わざわざ遠いところを千羽鶴までもってきてくれて。ありがとう」と言われたのには舞も感激。「きょうの安倍さん、覇気がありませんでした。そりゃ、そうでしょう。ここは【平和の使者】が来るところなのですから」との言葉が印象に残った。
 
 ここに広島滞在中の模様を写真グラフ形式で記録にとどめておく。
 雨中のなか、式典会場を埋め尽くした人びと(手前はテント内)
 
 慰霊碑を前に犠牲者の霊を悼むと同時に「世界の平和」を願う
 
 〈一羽の折り鶴に平和への願いを込めて〉原爆の子の像に千羽鶴を献じる
 
 松山さん(右端、緑の女性)と一緒に
 
 会場一角の円形地球儀にも折り鶴を献上する

 物言わぬ爆心地(島病院上空)近くの原爆ドーム

 
 【きょうの一文・ことば】
 「語られないということは、そこに想像力をひろげる余地があるということ。被爆したその瞬間、直下にいた人たちは数千度の熱で一瞬のうちに消滅してしまいます。あまりに悲惨なものを見ると、人は自分自身で心に封印する、あるいは忘れてしまうのではないでしょうか。ホロコーストを経験した人にも似たような症例があるそうです」=9日付中日夕刊『文化〈土曜訪問〉長崎の記憶をテーマに 青来有一さん(作家) 語られざる思い描く』の記事中、青来さん

【新聞テレビから】
☆『〈思い出のメロディー〉46年続く夏の歌謡祭! 懐かしの名曲パレード』(9日夜、NHK総合)
☆『〈長崎原爆の日〉田上市長 集団的自衛権に言及 平和の原点 揺らぐ』『閣議決定「絶対反対」被爆者代表』『「集団的自衛権 許されない」 平和への誓い 城台さん』『父の生きざま 次世代に 長崎被爆2世「語り部」継承』、『〈大波小波〉世間の目という伝統の怖さ』、『〈訃報〉イベット・ジローさん(日本で活躍したフランスのシャンソン歌手)3日、フランス北東部ストラスブールの自宅で老衰のため死去。97歳。』、『クルド治安部隊150人死亡 2カ月間 過激派、自治区に迫る』『仏、米の空爆支持』、『ナイジェリアも非常事態 エボラ熱』(9日付、中日夕刊)
☆『〈69回目 長崎原爆の日〉「不戦の誓い 揺らぐ」 市長、集団的自衛権言及』『動員作業中に被爆弟妹4人も失う』『「平和」声続く限り 「歌なら伝えられる」』『武力で国民守れない 「誓い」の城臺さん 首相の姿勢批判』『ケネディ大使式典に初参列』『大震災で被災 核廃絶呼びかけ 「継承」福島からも 高校生「原発と根は一緒」』、『世界最大の「エアバスA380」飛来 中部国際空港』(9日付、毎日夕刊)
☆『〈津波、原発事故、そして戦争〉=①= 満州とフクシマ㊤ なかったことにできるのか』、『米、イラク北部空爆 撤退後初 対過激派で介入』(9日付、中日朝刊)
☆『米、イラク北部空爆 「イスラム国」標的 撤退後初の軍事行動』、『エボラ「緊急事態」 WHO宣言 国際社会に支援要請』『〈クローズアップ2014〉感染、過去最悪規模 風習が拡大に拍車』『日本での流行 可能性低く』、『双方が攻撃再開 イスラエル空爆で死者 ハマス停戦拒否』(9日付、毎日朝刊)

八月五日
 きょうから、しばらく自宅を離れるので【生きてゆく人間花たち=本欄・伊神権太ウエブ作品集】は、帰宅するまで休ませていただく。あす広島で開かれる平和記念式典に二人で参列するためである。参列後は、ボランティアのリサイクルショップ「ミヌエット」を営む妻の舞が、ことし一月から来店者に呼びかけ、平和を願って一羽一羽折ってきた千羽鶴を、原爆の子【禎子の像】へ献ずることにしている。

 というわけで読者の皆さま、また、この紙面を通じてお会いするまで、さ・よ・う・な・ら。帰りましたら、また報告させていただきます。

 出がけ、このパソコンから離れようと立ち上がった時に耳に入ってきたニュース。それによれば、あのSTAP細胞騒ぎで混迷が続く理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が、神戸市内で首つり自殺を図り救命措置中と、のこと。いろいろ、起きる。正しかったならば、自殺なんてする必要はないはずなのだが…。

【新聞テレビから】
☆『【原爆投下 69年後の米国 ㊤】〈サダコの鶴〉開戦の地 届いた祈り』、『稲沢市議「潔白を証明」 中国薬物事件 接見で心境語る』、『名古屋弁と丹後弁 どえりゃー似とる 京丹後市、交流を調査へ』、『中3 470万円引き出す』『祖父母口座 恐喝 別の数人も』、『3日前「人を殺したい」 女子生徒 前日父が入院依頼』(5日付、中日朝刊)
☆『独・仏・英 相次ぐ差別や暴行 欧州で反ユダヤ台頭 ガザ民間人犠牲で拍車』『イスラエル批判に二の足 各政府ジレンマ』、『〈第一次大戦100年 世界はいま〉「欧州は戦争に向き合う責任ある」 ベルギーで記念式典』、『非人道兵器「たる爆弾」を使用 イラク政府に非難の声=国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」(HRW、本部・ニューヨーク)の調査で判明』、『秋の味 大?夫 水産庁は増えるというが―北海道サンマ水揚げ昨年の1割』、『最終処分場 宮城県調査受け入れ』『指定廃棄物 加美反対 提訴も』、『■新潮社に275万円賠償命令=大相撲の貴乃花親方夫妻が名誉を傷つけられた、として1320万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で』(5日付、毎日朝刊)

八月四日
 ウエブ文学同人誌「熱砂」同人の原稿読みと作品公開に結構の時間を取られる。平子純さんから出稿されてきたひと足遅れのテーマエッセイ「あの人」。規定の四百字詰め四枚より少し短かかったが、連合赤軍あさま山荘事件を起こした若者たちのことが描かれており、私自身かつて取材で長野中央署にしょっぴかれていく鬼の形相の永田洋子らを目の前にしてきただけに、懐かしい気にもとらわれた。あのころの若者たちは、それなりに必死で生きていたのかも知れない。
 久しぶりに自分の時間が取れる、と思ったのも束の間、突然の雨にベランダの洗濯物を入れるのに慌てたり、満94歳の母からかかった携帯への突然の留守番電話にドキリとさせられる(たいした用事ではなかった)など。それなりに波乱に富んだ1日になった。午後は、元劇団小牧はらから主宰者で付き合いの長い小畠さんと市内の喫茶店で、私の名刺の件で打ち合わせた。
        ×        ×
 三重県志摩半島の旧知の友人夫妻から届いたみかんやカボチャ、うりなど
 

 角さん、すなわち〝田中角栄首相〟が全盛だった昭和47年の秋に三重県志摩半島に地方記者として着任以降、長いお付き合いが続く志摩市立神の出口武生さん(当時は志摩郡阿児町役場職員、後に同町助役)、綾乃さん夫妻。そのお二人から手作りのキュウリにカボチャ、ウリ、みかん…が届き、かぼちゃは妻の手料理でさっそく夕食として味わった。感激したのは、宅急便を開くと、あの懐かしい中日新聞伊勢志摩版に、これらの野菜や果物がていねいに包まれていたことである。
 伊勢志摩と言えばあのころ、松本支局から志摩通信部兼伊勢支局員として阿児町鵜方の通信部に転任。結婚したばかりの駆け出しだった。〈海女その世界〉の連載執筆に始まり伊勢神宮の式年遷宮取材では供奉員を担当、大型タンカー沈没による重油漂着で海女漁がストップしたり、乱開発に伴う真珠の海・英虞湾の富栄養化によるギムノディニウムという、どす黒い悪性赤潮発生に伴う真珠母貝アコヤガイの大量死、さらには三重国体、高校総体…といろいろ、あった。
 出口さんとは、そんな時代に取材先の阿児町教育委員会で知りあって以降の付き合いである。ご夫妻からは、これまでも英虞湾のアッパッパ貝や安乗の伊勢えび、南張みかん(内瀬みかん、とも)などが届き、私たちもそれなりのものを贈るようにはしてきたが、いつも一本を取られどおし。なんと礼を申していいものやら。ただ、ただ感激している。ミカンを口にした妻が「あ~ぁ」と感嘆の声をあげ、本当においしい、という顔をした時には私までが嬉しく感じた。

 ―というわけで、わが家では記者の一線時代に、それぞれの地方でお世話になった方々に、盆暮れになるとは妻・舞の判断で心ばかりのお中元やお歳暮をお送りしている。いまでは「送る」「送られる」の往復書簡のようで、ことしは一体何が届くかなどと思うと、なんとも楽しく待ち遠しい。お中元の品一つひとつで、なんとなく互いの気心も知れる。ことしも、能登は河北のブドウ、ほかに松阪肉や近江牛、特産ハム、高級ブランドの紅茶、私が呑兵衛だと知る人からはビールやお酒…がこのところずっと届き、ありがたいことだと思っている。
        ×        ×
 テレビを見ていたら、なんでも〝平成の大泥棒〟なる男が愛知県警に逮捕された。一戸建て百二十軒から計六百五十万円を盗んでいた、とか。この男にはマエ(前科)があったのか。そこが知りたいところだ。おそらくあったにちがいない。「泥棒を捕まえることこそ、デカの基本だ」と夜討ちで訪れるつど語ってくれたのは岐阜県警きっての〝泥刑(どろけい)〟だった村上末松さんだ。元気でおいでだろうか。
 このところの変な体形の歩き過ぎがたたってか。きのうから右足首が痛くてびっこをひきひき、歩いている。大河ドラマの(黒田)官兵衛歩きのようである。そのうち治るとはおもうが。本を頭のてっぺんに乗せ落とさないように、と歩きまわっているうち、気がついたら右足首に異変が生じていた。しばらく歩き方を元にもどそう。やはり、普通がいい。

【きょうの一文・ことば】
……最前線で戦った兵士たちが何を見て、何を感じ、どんな体験を銃後の人々に書き送ったのかを見ることは、日本人の戦争体験の意味を問うことにつながる。兵士の視点から戦争を考える大事な歴史資料だ。=4日付中日夕刊『戦地の過酷さまざまざ 故郷へ心情 軍事郵便1013通 飯田で発見』の記事のなかで。軍事郵便を研究する新井勝紘・専修大教授の話

【新聞テレビから】
☆『江南の生家子孫 法人化で守り継ぐ』『信長側室の遺産 後世に』、『児童虐待 年7万件突破』『13年度 23年連続増、過去最多』、『中学生から現金恐喝疑い 愛知県警 3少年逮捕、複数回か』(4日付、中日夕刊)
☆『福田元首相 日中首脳会談を要請』『先月訪中時、習主席に』、『イスラエル・パレスチナ問題 双方の若者の混声合唱団 14日から日本公演』『「音楽で育んだ友情で前進」』、『雲南省地震 死者381人 倒壊1万2000棟』『余震、天候悪化 救助活動は難航』(4日付、毎日夕刊)
☆『地獄誰も救えなかった 名張の元看護婦 広島の原爆体験語る』、『ゆらり稲穂の光 きらり男衆の技 秋田竿灯まつり』『クールな夏 鉄人沸騰 長良川トライアスロン』、『6割が増収増益見込み』『主要300社 賞与増「未定」4割』、『』(4日付、中日朝刊)
☆『〈平和のとなりで①〉1960年代 日本人 米軍に雇われ』『ベトナム戦地へ1000人超』、『ガザ戦闘「イスラエル撤収開始」 現地報道 トンネルほぼ破壊』、『59人射殺215人拘束 警察当局 新疆ウイグル庁舎襲撃』、『レバノン軍と交戦 内戦以降初 シリアと反体制派』(4日付、毎日朝刊)

八月三日
 日曜日。中国雲南省でM6・5の地震が発生。これまでに分かったところによると、120人が死亡、180人が不明、1300人がケガをし、12000戸以上の家屋が倒壊したという。高知、徳島地方では台風12号の影響で1時間に80ミリ以上もの猛烈な雨で床上浸水家屋などが続出。土砂災害や河川の氾濫、浸水が心配され、ニンゲンたちは自然の猛威の前になすすべもない。いつも思うことだが、この台風の巨大エネルギーをタモですくって摂るように電気にかえることは出来ないものか。人間の知能と叡知で全力投入すれば、出来ないはずはないと思うのだが…。

 一方では互いにニンゲンがニンゲンの首を絞めあう戦争という不幸が中東のガザで、ウクライナ東部地域で、リビア…で相変わらず悲劇の連鎖を起こしている。日本の富山では87と88歳になる二人の男性患者が新たにイタイイタイ病に認定されることになった。これまでの認定患者は198人、うち生存者は5人だけだという。
 夏の甲子園を前に、出場校の先頭に立ってプラカードを手に行進するのが地元女子高生のあこがれ、とか。母娘二代にわたって行進することになった女子高生までいる。夏の甲子園は9日から始まる。
 
【きょうの一文・ことば】
「〝あなたのことが大好き〟。これは全部入る。これ、これだよ。」「つくっている日々。そのプロセスがいい。」「売らんかな、を隠す方法。これが大切だよ。」「(元ドラゴンズの監督である)落合さんの真似して。手も出さない、口も出さない。やっぱりネ。手も出したく口も出したくなる。」=3日夜CBCの『〈情熱大陸〉 宮崎駿引退 ジブリは鈴木が背負う』のなかで。鈴木敏夫さん
「それにしても不思議なのは名簿の売買が法律で認められていることだ。このベネッセ事件に関する記事を読んで、売買を認めている当の法律が皮肉にも「個人情報保護法」であると知り、愕然とした。一体何のための法律なのか。」=3日付『中日新聞を読んで 疑うことの生きづらさ』の記事のなかで。筆者の内藤洋子さん

【新聞テレビから】
☆『美の壺選 夏には噴水』(3日夜、NHKEテレ)
☆『マーシャル諸島共和国 原水爆禁止世界大会 (マーシャル諸島共和国の)外相が参加 島は核実験場だった』『核保有国を提訴 駐日大使トム・キジナーさん語る』『被爆者の遺品に原爆の現実〈写真家 石内都さん〉』(しんぶん赤旗日曜版2014年8月3日)
☆『サンデー版〈世界と日本 大図解シリーズ〉生きる力伝える はだしのゲン』、『宗教配慮及ばぬ研修 EPA(経済連携協定)介護福祉士・看護師候補』『イスラム女性肩身狭く』、『原発賠償金詐取疑い 久間氏が代表 NPO元社員ら逮捕』、『妖怪ウォッチ 大人も過熱』『アニメ人気 グッズ品薄』、『〈佐世保同級生殺害〉「決して許されぬ行為」 容疑者の父 謝罪』『被害者両親「娘が、ただただかわいそう」』(3日付、中日朝刊)
☆『絵巻で平和願い 青森ねぶた祭開幕』、『なりきり「コスプレサミット」名古屋』、『ふるさと納税で難病支援 佐賀県と患者会』、『ガザ攻撃強化 200カ所破壊 イスラエル軍「拉致」兵士を捜索』(3日付、毎日朝刊)

八月二日
 夜。よかぜに吹かれ妻を伴い近くの古知野神社にまで出かけた。境内ではわが家の厄よけを願って輪くぐりを二度行ったあと、二礼二拍手一礼をして終えた。夏がきて輪くぐりの日が訪れるつど幼きころ、母に手を引かれ和田の神社に行ったことを思い出す。
 帰り道の屋台で買ったピザのマルゲリータと串カツ。入浴後に食べようと楽しみにしていたが、妻と息子にペロリと食べられてしまった。この原稿を書いてから、と思っていたのに。二人の狼藉ぶりは昔と少しも変わらない。いつも被害者は私である。
 能登半島の元横綱・輪島大士のふるさと七尾市石崎では地元漁師たちがキリコをかついで漁師町の町内を回る石崎奉燈まつり。「これを見なきゃ、夏は始まらない」と地元女性。同感である。女子ダブル世界戦が東京・足立区総合SCで行われ、世界ボクシング評議会(WBC)アトム級王者の尾関桃(青木)が同級2位のデニス・キャッスル(英国)にTKO勝ちし、14度目の防衛に成功した。日本選手の世界王座14度防衛はライトフライ級の具志堅用高を抜き、男女を通じて単独最多となる。
        ×        ×
 ♪信州信濃の/新ソバよりは/わたしゃあんたの/ソバがいい 在りし日、名市大学生に名古屋発祥の都々逸や踊りを実演してみせる柳家小三亀松さんと〝るり三亀さん〟夫妻。2007年6月8日、小三亀松さん85歳、〝るり三亀さん〟80歳のころ
 
 
 
 

 名市大名誉教授山田明さんからメールを頂いた。
 故柳家小三亀松夫妻には以前、私が受け持っていた授業(認識問題特講)で三味の音に乗った生の都々逸を、学生を前に演じて頂いたことが何度かあったこともあり、お伝えしておいた方がよい、と判断。るり三亀さんの〝死〟をメールでお伝えしたためで、教授からは間もなく返信メールが届いた。
 メールは以下のような内容だった。
―なんとも悲しい知らせのメール拝受。さっそく「熱砂」を読みました。お二人に大学で講義・演奏していただいた後、大須演芸場であでやかに歌い踊る日比純子さんの演技を見ました。そのあと、お弟子さんの案内で楽屋に行き、講義の写真を手渡したら、ほんとうに喜んでくださいました。緊張して楽屋に行ったのですが、じつに気さくに接してもらったことが忘れられません。こうしてメールを書いていても涙が出てきてしまいます。
 講義の映像は何回も講義などで流してきました。狭い教壇で「名古屋囃し」などを踊ってもらったことなど、いまでも鮮明に覚えています。純子さんが「花魁道中」を復活させた話など、またお聞きしたいです。あの元気そうであった純子さんが「孤独死」なんて、とにかく悲しすぎます。   山田
        ★        ★
 亡くなってしまったからには、どうしようもない。
 でも、もうひとり生前のご夫妻と親交が深く、いつもふたりのことを心から気遣っておられた、この地方きっての都々逸節の名手で三味線、端唄、小唄、太鼓、横笛…など全ての芸に長けた私の師匠、家入三津恵さまにも連絡だけは、と判断。失礼を承知のうえで連絡させて頂いた。
 彼女からは、すぐに「お知らせいただき有難う御座います。冥福を祈ります。伊神さん私達楽しく生きましょう!」とのメールが入り、どこかホンワカしたもの、笑顔のご夫妻が傍らに一緒においでになるような、そんな温かさを感じたのである。
        ♡         ♡

        ×        ×
 きょうは、それこそ開眼した。
 というのは社交ダンスのレッスンの際、どうしても胴体から首部分がS字体、猫背になりがちなので=背中を曲げて書く時間が多いためか=、この悪い癖を何としても矯正しようと、先生があるヒントを私に授けてくださった、からである。
 すなわち、背筋をピンと天を突くほどに、いつも伸ばして高く踊るにはどうしたらよいか。その秘伝につき「絶えず頭のてっぺんに本を乗せているつもりで、落とさないようにしてあるく。その際、胸は十字架で張り付け状態が望ましい」と教えて下さった。これまで「もっと胸を張って。開いて」「背筋をのばして」といろいろアドバイスされてきてはいたが、この一言で基本姿勢とでもいったようなものが分かる。私にとって、このアドバイスは大ニュースだといってよい。

【きょうの一文・ことば】
 日本と中南米の歴史的絆をさらなる高みへ。その夜明けになった。=2日夜NHK総合『〈中南米訪問 成果は〉 成長著しい中南米に世界が注目 安倍首相が会見』。ブラジル・サンパウロからの記者会見の中継で。安倍首相のことば

【新聞テレビから】
☆『工場爆発 死者65人 中国120人以上が負傷』、『首相同行職員12人けが ブラジルで追突事故』、『なりきり自慢  (「世界コスプレサミット」で)錦に集う』、『「24時間以内に死んで」 西東京 自殺の中2に父親迫る』、『最高齢シャチ天国へ 名港水族館のビンゴ(推定32歳)』『会津ネコ駅長 目指せ2代目』『駅員見習い「らぶ」』(2日付、夕刊中日)
☆『常任理事国拡大合意 日・ブラジル首脳会談 独など緊密連携』、『車流され母子3人死亡 神奈川・キャンプ場 川横断中 急に増水』(2日付、毎日夕刊)
☆『「命と平和の危機」宗教界、集団的自衛権に反対 過ち反省、安倍政権に異議』『違憲確認、今動く時 集団的自衛権提訴へ集会 松阪市民ら200人』『山中市長「平和が一内閣によって壊される」』、『城下町 音のるつぼ 桑名・石取祭』、『三鷹ストーカー懲役22年 地裁支部判決「強固な殺意、残忍」』、『お父さん犬の稼ぎ申告せず 所有会社1億円所得隠し 国税指摘』(2日付、中日朝刊)
☆『汚染水年度内浄化困難に 福島第1 アルプス不調で』、『ガザ停戦 崩壊』『南部で交戦 戦闘拡大必至』、『〈第一次大戦100年〉不発弾1億発 処理に700年』『フランス 1日3~5発除去 絶えぬ死亡事故』、『台湾爆発 死者・不明28人に』、『湯の街 花火と竜の競演 下呂』、『危険ドラッグ摘発2・5倍 1~6月 暴走事故は33人』、『新潟・女性殺害 他の2女性変死関与か 現場に容疑者の遺留物』(2日付、毎日朝刊)

八月一日
 この地球という星をステージに生きていく以上、だれとて日々、それぞれの人生にとって大切で重要なことが起きては消えゆく。私たちは、その流れのなかを泳ぐが如くあるいている。きょうも、思いがけない知人からの電話で悲しい知らせに接した。
 一体、何が起きたというのか。
 あの都々逸漫談で一世を風靡した初代柳家三亀松さんの直弟子・故柳家小三亀松師匠の妻、日比純子さん(別の名を〝るり三亀さん〟という)、が名古屋市内の自宅で一人息絶えて孤独死していたところを、たまたま訪れた小三亀松門下に発見されたというのだ。
 警察の検視によれば、死後三日以上たっており、腐敗がひどいのでそのまま直葬された、とのこと。なんとも哀れ極まる末路である。私は、受話器の向こうから聴こえてきたHさんの声に思わず、目を閉じ、手を合わせた。いまさら、どうなるものでもあるまい。るり三亀さん。おやすらかに。合掌―
        ★        ★
 日比純子さん、〝るり三亀さん〟といえば、まず浮かぶのが次の都々逸である。
♪あんたとあたいは 卵の仲よ
 私は白身で 黄味を抱く
―この場合の、【あんた】はもろろん夫、小三亀松さんで【あたい】は〝るり三亀さん〟である。ふたりの仲睦まじさときたら、それこそ天下一品であった。日比純子さんは、いつだって生前の師匠を傍らに「私は、この世で一番の幸せ者。小三亀松は〈わたしの父であり、恋人であり、先生でありました。〉」と、そう仰られておいででした。(詳しくは2004年発行の「名古屋人」に私・伊神権太が書いている連載小説「るり三亀さん」の一、二回分を読まれるとよい)
※日比純子さんは半田家政女学校を卒業後、名古屋の音楽プロダクションのオーディションを受け何百人のなかの一人に選ばれ、この後は浪越ダンスホールの専属歌手としてデビュー。各地の青年団などに請われるまま軍楽隊などと一緒に地方を巡業して歩いた。
 戦後まもなく音楽隊の旅先で柳家小三亀松さんと出会って結婚、昭和41年にスタートしたCBCテレビの「どんぐり音楽会」では、レギュラー審査員として活躍。日本舞踊に長け、昭和53年には内田流の師範・内田るり三亀を許され、その世界では〝るり三亀さん〟と呼び慕われた。61年に元日本三大遊郭の一つとして数えられた、格式ある中村大門の『花魁(おいらん)道中』を五十年ぶりに復活させた。
        ★        ★
 世界の恒久平和は人類共通の願いです。………ここに、江南市は一日も早く核兵器を撤廃し、国際平和を実現するため平和行政を推進し、国際交流を活発にして、相互の理解を深めることを目的とした「国際平和都市」を宣言します。
 ―午前中、江南市民文化会館で開かれた市の平和祈念戦没者追悼式に花霞町の総代代理(副総代)として参列。1986年2月に江南市が国際平和都市宣言をした際の【国際平和都市宣言】文の門弟山小学校児童6人による朗読はじめ、堀市長をはじめとした各界代表者の式辞や追悼の辞、献花を目の前に気が引き締まる思いにかられた。私も献花をさせて頂いた。

【きょうの一文・ことば】
「昔のことは、考えないようにして生きてきた」。…
 ……
 神崎国民学校に通っていた13歳のとき。学徒動員先に行くため、近くの電停で同級生と電車を待っていた。「何か落ちたよ」。友だちが晴れた空を見上げた瞬間――。目の前が真っ暗になって、地面にたたきつけられた。友人は地面に倒れ動かなくなっていた。
「己斐(こい)の山に集合しろ」。誰かの声を聞き、西へ向かった。黒焦げの路面電車の中では女学生がつり皮を持ったまま焼け死んでいた。その晩、山の上から見た広島市街地を見て、「一人になってしまった」という思いが込み上げてきた。自宅は、両親や姉がいたはずだった。
……
 川岸まで押し寄せる遺体を、家畜のように口と鼻の穴に針金を引っかけ、収容した69年前。「人を人と思わないんだよ。戦争は嫌だね。また同じことを繰り返しているでしょ。生きているのが嫌になる」=1日付毎日夕刊「戦争は嫌だね 生きるのが嫌になる」の記事中。爆心地から約500㍍の広島市大手町で被ばくした、木戸照三さん(82)=群馬県高崎市=の証言

【新聞テレビから】
☆『集団的自衛権に言及 長崎平和宣言、広島は触れず』、『台湾・高雄で爆発 24人死亡』『270人負傷 化学物質引火か』、『幸ちゃん育む思いやり 愛知少年院 飼い犬効果広がる』、『ラグーナ蒲郡再出発』『目標100万人 立体映像 集客の目玉』(8月1日付、中日夕刊)
☆『平均年齢79歳 証言集め急務』『爆心500㍍圏生存145人 広島原爆手帳所持者 本紙調査』、『願い叶いますように 安城』、『ガザ72時間停戦合意 戦闘終結へ本格交渉』、『対露圧力へG7で協調 日米が一致』、『恐竜から鳥へ 5000万年かけ小型化 豪などのチーム発表』(1日付、毎日夕刊)
☆『福島原発に14㍍津波の恐れ』『検審「東電元会長に情報」』『「起訴相当」議決』、『生活保護下げ国を提訴 愛知の受給者ら「違憲」』、『丸い交差点ラウンドアバウト 停電の混乱無縁 防災に強み』『9月施行 改正道交法に位置付け』、『「殺しかねない」診断 佐世保・女子生徒 医師、児相に連絡』『再婚賛成/父尊敬/継母と仲良し 接見内容を弁護人公表』、『周辺数㌔範囲内女性被害相次ぐ 新潟・女性殺害』、『豊田大谷高野球部監督を逮捕 校長「暴力調査 甘さ」(8月1日付、中日朝刊)
☆『40年コツコツ「1万3616回」 一般全国紙・連載漫画最長 東海林さん「実感ありません」=東海林さだおさん(76)の朝刊漫画「アサッテ君」』、『ノ社(製薬会社ノバルティスファーマ)=に業務改善命令 厚労省 白血病薬副作用報告せず』、『すき家残業月109時間 第三者委「違法な労働」1人勤務解消提言』『「24時間勤務」悲痛な証言』、『騒音65デシベル以下に軽減 東京高裁 小田急訴訟和解』(1日付、毎日朝刊)