【一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2019年10月)】

2019年10月28日
 鬼の子の鳴く変身は出来もせず
 =伊神舞子の〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 本日付中日新聞朝刊によれば、防衛省は台風19号の被災地支援で自衛隊3万1000人の態勢を組んだのに加え、普段は民間企業に勤めている自衛官OBらからなる即応予備自衛官や予備自衛官も招集、投入した。被害が関東甲信越から東北と広い範囲に及ぶばかりか、長期化することを見据えた措置で、予備自衛官の招集は2011年の東日本大震災いらい。防衛省によれば、これまでに即応予備自衛官と予備自衛官計260人以上が活動。宮城、福島、栃木、長野各県などでがれきや泥の撤去、衛生支援などを行っており、状況次第で最大1000人まで招集するとしている。
 そして1面では【最後の電話「車が流される」 6歳長男迎える途中】といった悲惨な見出しも。千葉県長柄町の郵便局員鶴岡成夫さん(54)が、近くのこども園に6歳の長男を迎えに行く途中、軽乗用車ごと濁流にのまれ、命を落とした不幸が報じられていた。父孝造さん(84)に「車が浮いて流されている。死ぬかもしれない」と電話で伝えたのが最後の会話になったという。成夫さんは遅くに授かった長男をかわいがっていたといい、無理をしてでも迎えに行きたかったのでは―との声は、あまりにも嘆かわしい。

 ちなみに台風19号の被害の実態は、死者87人、行方不明者8人、避難者4077人、住宅被害は全半壊3719棟、一部損壊4784棟、床上浸水3万3079棟、床下浸水3万5802棟、断水は4915戸(死者、行方不明者は共同通信の集計。他は関係省庁の27日時点のデータ。避難者は千葉などの豪雨分を含む)。
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 きのう(日曜日。27日)は、午前中の「平和堂」への買い出しに続き、午後には久しぶりに舞の命令一下、私たちの畑〈エデンの東〉へ。
 柿にサツマイモ、里芋を出来うる範囲内で収穫し、帰りの道すがらふと思いついて妹宅へも寄ってみた。妹夫妻からは、いつも野菜をもらってばかりいるので少しでも足しになれば、と柿を手にである。妹は目を多く使う税理士のためもあってか。最近、目を傷めて手術をしたばかり。なので「大事にせな、アカンよ」と言って帰る。どうにか元気そうなのでホッとはしたが、目は大切だけに早く良くなればよいが―と思った。

 写真は収穫したサツマイモと里芋。柿もそろそろ熟すころである。舞はここにチューリップの球根を埋めた=エデンの東にて
 
 
 

 きのうは、2代目シロちゃん・オーロラレインボーが私たちが外出のつど、留守番をしてくれ、感謝、感謝の1日に。帰宅後は新聞の綿密チェックに始まり、「熱砂」同人でもある詩人牧すすむさんが会主を務める琴伝流大正琴弦洲会の三十五回記念中央大会(29日午前10時から。日本特殊陶業市民会館ビレッジホール=旧名古屋市民会館)の【What’s New】での告知記事の執筆と公開、各地の中日ホームサービスで連載しているコラム〈人生そぞろ歩き〉の全差し(全部差し替え)、ほかに新たな小説の筋立て(プロット)などで深夜遅くまで黙々とデスクに向かう。
 きょうは、きょうで余裕ができたところで久しぶりに横笛をふいてみる。夜はNHK総合で「瀬古利彦の原点!」を見る。瀬古といえば、私が志摩通信部時代、当時三重県であった高校総体で四日市工業高校から彗星の如く、陸上界に現れ出た、あの当時高校生だった瀬古、今や日本のマラソン界の顔と言っていい、あの瀬古さんである。

「宮本武蔵」や「蝶々夫人」「岸辺のアルバム」など数々の映画に、舞台に、テレビに、と活躍した、あのかれんで清楚、気品ある女優八千草薫さんが24日午前6時ごろ、都内の病院で膵臓がんのため亡くなった。八千草さんは大阪府出身。宝塚音楽学校を経て昭和26年に映画デビュー、88歳だった。2017年春に乳がんを手術。18年1月には膵臓がんで全摘手術を受け、19年2月に肝臓がんを公表。晩年はがんとの闘いだった。
 本当にステキな女優さんだった。惜しい気がするが、いたしかたあるまい。おやすらかに。
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 男子ゴルフのタイガー・ウッズ(43歳。米国)が日本で初めて開催されたZOZOチャンピオンシップ(千葉県習志野CC)を制して、米ツアー最多タイの82勝目。
 トランプ米大統領が27日、ホワイトハウスで国民向けに演説。米軍の特殊部隊がシリア北西部イドリブ県で過激派組織「イスラム国」(IS)の指導者バグダディ容疑者を狙った掃討作戦を実施し、同指導者が死亡したと発表。
 2017年のノーベル平和賞授賞式で被爆者として初めて演説したカナダ在住のサーロー節子さん(87)が27日、都内で講演。「核兵器はこどもも老人も女性も、武装していない人たちも無差別に殺す」と話し、改めて廃絶を訴えた。
 筑波大学(茨城県つくば市)がマレーシアで日本の大学初となる海外分校を2022年9月に開設することが27日、わかった。マレーシア人学生向けに、文系と理系の基礎的な教養を身につける「リベラル・アーツ学部」を設置するという。
 家庭の経済事情が影響する英語民間試験受験は「身の丈に合わせて」と(萩生田光一)文科相。穴の多い制度。ついに開き直りか。――とは28日付毎日夕刊〈近事片々〉氏。さもありなん。

10月23日
 水曜日。透きとおるような秋晴れの一日となった。

 「即位の礼」象徴として万歳か
 =伊神舞子の「きょうの俳句 minuetto-mi」から

 けさの朝刊はどこも、きのう22日に皇居宮殿・松の間で執り行われた天皇陛下が内外に即位を宣言した「天皇陛下 即位を宣言」の記事一色となった。天皇専用の裝束「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」をまとった陛下は高御座(たかみくら)に立ち、「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います」と述べられた。この「即位礼正殿の儀」は一連の即位の礼の中心儀式で各国の元首や王族、政府高官のほか、三権の長や閣僚、知事、各界の代表ら計千九百九十九人が参列、夜には祝宴「饗宴の儀」が開かれた。
 中日新聞は天皇陛下即位の礼を受け22日午後に号外を発行し、名古屋市内の街頭で配布。この号外は本日付朝刊とともに全読者宅に届けられた。

 「天皇陛下 即位を宣言」を報じた新聞各紙と中日新聞の号外、正殿の儀でのお言葉全文。ほかにNHKによる中継画面の一部
 
 
 
 
 

 きのう22日は富士山が初冠雪。平年より22日遅く、昨年より26日遅いという。
 中日新聞の本日付夕刊によれば、台風19号の被害は23日までに死者84人、行方不明者9人に。避難者が3928人、全半壊2375棟、一部損壊3427棟、床上浸水2万9383棟、床下浸水3万3402棟、断水4万2340戸(共同通信集計)に達している。
 台風19号で千曲川の堤防が決壊して多くの家が水に浸かった長野県では22日も千人以上が避難生活を続け、「即位礼正殿の儀」に関心を寄せる人は多くなかった。

 滋賀県東近江市の湖東記念病院で2003年に入院患者の男性(当時72歳)の呼吸器を外して殺害したとして元看護助手西山美香さん(滋賀県彦根市、39歳)が殺人罪で懲役12年の判決を受けて服役した呼吸器事件で西山さんの再審開始が3月に確定してから7カ月余。検察側が実質的に有罪立証を断念し、西山さんの無罪が確定した。弁護団が23日に大津市内で記者会見し、検察側から有罪立証を断念する旨の文書が送付されたことを明らかにした。  
 23日。東京ドームで開かれたプロ野球日本シリーズ第4戦でソフトバンク(パ・リーグ2位)が巨人(セ・リーグ優勝)に4―3で競り勝ち、4連勝して球団史上初めての3年連続、10度目(南海、ダイエー時代を含む)のシリーズ制覇を果たした。また、今季限りで現役引退を表明して日本シリーズに臨んだ巨人の阿部慎之助捕手(40)が現役生活を終えた。

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 即位礼正殿の儀が行われた22日、東京都内には海外メディアのプレスセンターが設置されたが、テレビの中継映像で最も外人記者の視線が集まったのは安倍晋三首相が万歳三唱を行った瞬間。「儀式としては納得できる」という声の一方で「政教分離の視点からみると違和感を感じた。首相がそこまでやる必要はない」と指摘する声も。
 政府は22日、天皇陛下の「即位礼正殿の儀」に合わせ、政令恩赦「復権令」を公布、即日施行した。刑事事件で罰金刑となり、2016年10月21日までに納付を済ませた人が対象で約55万人に及び、自動的に制限されていた資格が回復した。
 英下院が英国の欧州連合(EU)離脱法案の迅速な審議を求める動議を否決。これを受けてジョンソン首相は関連法案の審議停止を宣言。期限の10月末までの離脱は困難となった。

10月21日
 月曜日。朝から曇天。台風20号が日本の南を北寄りに進んでいることもあってか、夜に入り、ここ尾張地方では、大粒の雨が降り出した。

 19、20日と東京へ。
 19日は御茶ノ水駅近くの池坊東京会館6階大ホールで「新たな創造エネルギーの発露へ――文芸復興をめざして」をテーマに行われた第3回全国同人雑誌会議(文芸思潮と中部ペンクラブ主催、日本文藝家協会・中日新聞・東京新聞・三田文学・季刊文科後援)にシンポジウムのパネラーの一人として出席。20日は「せっかくの機会なので」と文芸思潮の五十嵐勉編集長の配慮もあって、五十嵐さんの案内で史跡湯島聖堂はじめ新宿区立漱石山房記念館、文京区立森鴎外記念館、そして一般財団法人「子規庵保存会」の子規庵の順で訪れた。
 このうち19日の同人雑誌会議は東京、名古屋、四国、九州、北海道と全国各地の同人誌から熱心な有志ばかり百人以上が出席。最初に芥川賞作家三田誠広さんが「文学の理念と文芸ジャーナリズム」の演題で基調講演。これを踏まえ作家中上紀さんと飯田章さんが文学への思いを父・中上健次さんや同人誌「文藝首都」への追憶なども含めてそれぞれ語るスピーチがあり、続いて三田村博史中部ペンクラブ会長が「いまなぜ同人雑誌か」を、五十嵐勉編集長が「活字文化の危機と同人雑誌の役割」について、それぞれ熱い論調で講演。これを踏まえ【同人雑誌の新たな結合に向けて】と題した〈シンポジウム&同人雑誌諸家の提言と話し合い〉に移ったのである。
 提言と話し合いには、私もパネラーとして参加したが、東京サイドと中部圏サイドの意見が真っ向からぶつかりあい、全国同人雑誌協会といったようなものを作るべきかどうか、を巡り、次第に議論が白熱化。東京サイドから発議された全国組織設立を―との提言を巡って活発な話し合いが交わされたが、時期尚早だ―として結論は出ずじまいに。それでも、北海道から九州まで全国各地で自分が所属する同人雑誌という存在そのものに情熱と生きがいを持つ人々の集まりだけに日々、文学のあるべき理想の姿を求めて生きてゆくには今後どうしたら良いのか―を真剣に論じ合った。こんなわけでそれはそれなりに効果はあったのでは、と私は思っている。

 第3回会議の模様を、ここに写真グラフ形式に留めておきたい。
 「文学の理念と文芸ジャーナリズム」について話す三田誠広さん
 
 全国各地の同人誌から大勢が集まり、熱心な討議に聴き入った
 
 
 同人雑誌会議の席では第13回まほろば賞の授賞式も行われた
 

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 昨夜(20日)帰宅した私は、ここのところのハードスケジュールに少しだけ疲労を感じたものの、20日付中日新聞朝刊尾張版で私も所属する市民団体「尾張芸術文化懇話会」主催の講演会が「佐吉支えた実業家 服部兼三郎を語る 江南で北路さん講演」の見出しで報道され無事、終わったことを知りホッとしたのも事実。舩橋紀公子懇話会座長からは「講演会、満席で大盛況でした」の連絡も入り、皆さんの頑張りぶりには、ただただ頭が下がったのである。

 きょうの午後。舞が「行こうよ」と言うので、久しぶりに私たちの畑〈エデンの東〉へ。色よく実っていた柿とサツマイモのごくごく1部を収穫して帰ったが、なかなか休ませてはもらえない。帰って新聞のチェックをするなどし、本欄の執筆をこうして進めている。でも、きょうのところは、もうこれでやめておこう。
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 共同通信の集計によれば、台風19号の被害は21日までに死者80人、行方不明者11人、避難者4027人、住宅被害は全半壊が1745棟、一部損壊2849棟、床上浸水2万9677棟、床下浸水2万3312棟、断水4万4314戸に達している。
 ラグビーのワールドカップ日本大会で史上初の8強に進み、20日の準々決勝で南アフリカに3―26で破れた日本代表が21日、都内で記者会見。リーチ・マイケル主将(東芝)は「ベスト8はすごくうれしい」と喜び、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチも「この3年間、ハードワークを続け、日本を代表して誇らしく戦えた」と述べた。また英BBC放送(電子版)は「日本のラグビーが日本国民と世界のファンの心をわしづかみにした。開催国としてグラウンド内外でW杯に活力を与えた日本は胸を張っていい」と記した。
 また、日本文学振興会は21日、優れた文化活動に贈る第67回菊池寛賞にラグビーの日本代表チームを決めた、と発表した。

10月17日
 木曜日。台風19号が去ったあとは急に涼しくなって朝などは肌寒さすら感じる。そんな秋の深まりである。

 今回の台風。新聞報道によれば、決壊した堤防は福島県の阿武隈川、長野県の千曲川など七県の五十五河川の七十九カ所にのぼり、死者は十二都県の七十七人に、行方不明者も十五人(共同通信調べ)に及び、一時は十三都県で多くの人々が避難生活を強いられた。17日付中日新聞夕刊などによれば、同日午前5時現在、全国で計千七百棟以上の住宅が全半壊や一部損壊となり、浸水被害は計三万三千棟以上に上るという。
 そればかりか、ところによっては野菜が大打撃を受けたり、やな場などが壊滅。停電に断水が追い打ちをかけ、交通手段の途絶と運休に伴い車の運転も出来ず、ライフラインは一時ことごとく閉ざされ、大変な日々が続いている。このうえは一日も早い復旧を望むほかないが、被災地の方々を思う時、その苦しみはいかばかりか、と言葉もない。早く平穏な日常生活に戻ることを祈るばかりだ。
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 けさは朝一番で〈俳句猫〉でもあるわが家の2代目シロちゃん(本名はオーロラレインボー、俳号「白」)を舞と一緒に車に乗せ、近くの愛北動物病院へ。幸い、当初乳腺がん(悪性腫瘍)が疑われていたしこりが、なぜか奇跡的に消えており「転移もなければ、ばい菌も検出されておらず、どこかで拾った菌の影響でお乳の部分から下腹部にかけて炎症を起こし、これが肥大化。しこりとなったようだが、その後注射による抗生物質の投与などにより治癒したものとみられます。おそらく、これなら大丈夫ですので、きょうは当初予定していた手術はやめます。その代わり抗生物質の投与(注射)をし、薬を出しておきますのでしばらく様子を見ましょう。」との診断だった。

 乳腺がんの疑いから解き放たれた愛猫オーロラレインボー(診察後)
 

 ハプニングというのか。奇跡というのか。先日「乳腺がんの疑いがあります」と医師から言われ、一時はもうすっかりダメだとあきらめにかかっていたわが家族だけに、舞も私もそれこそ、神さまに感謝したい気持ちにかられ、心配していた3男坊にもメールで連絡。その後レインボーを抱いた舞とともに帰宅した。いずれにせよ、命の尊さは、猫とて同じだけに、ホッとしたのである。

――というわけで、私はいったん帰宅。ひと息ついたところで今度は週に一度の社交ダンスのレッスン場へと急いだ。ダンス教師に先日のワルツとタンゴの1級合格のお礼を言ったあと、きょうからは久しぶりにブルースとジルバなどのレッスンをすることに。まずはブルースから、ということでスロー、スロー、クィック、クィック、チェックバック……とステップを踏んだ。
 踏みながら現在、地元情報サイト〈江南しえなん〉さんで連載しており、7まできた小説【ぽとぽとはらはら】のこんごの筋立てをどうするか。さらには、明後日に東京・池坊東京会館で「新たな創造エネルギーの発露へ 文芸復興をめざして」をテーマに開かれる第3回全国同人雑誌会議でのパネラーとしての発言内容などを真剣に考えながらステップを繰り返し踏んだのである。
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 政府は台風19号による被害が甚大であることもあり、天皇陛下の即位に伴う22日の儀式のうち即位を披露するパレード「祝賀御列の儀」を延期する方向で検討に入ったという。被災者の心情を考慮したものと見られ、当然のことで賢明かと思う。
 国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のジョン・コーツ委員長(オーストラリア)が16日、猛暑対策でマラソンと競歩を札幌開催に変更する案について「選手を最優先に考えている。国際陸上競技連盟が早急にコースを練って実行する」と語った。ドーハで共同通信の取材に応じて語った。
 プロ野球のドラフト会議が17日、東京で開かれ、中日は地元愛知、東邦高校の石川昴弥内野手の交渉権を獲得。岩手・大船渡高校の佐々木朗希投手の交渉権はロッテが獲得した。 

10月14日
 月曜日。雨が降ったり、やんだりの1日。3連休の最後の祝日、体育の日だ。とはいえ、暴風域が直径650㌔にも及ぶスーパー台風の襲来でこの3日間、空、陸の便ともに一時は大半が運休になり、とんでもない連休となってしまった。

 台風19号による河川の決壊などを報じる14日付朝刊
 

 NHKなどの報道によれば、東日本を縦断していった台風19号による猛烈な雨の影響で福島、宮城両県を流れる阿武隈川はじめ、長野県の千曲川、栃木県の秋山川、茨城県の那珂川など37河川の51カ所で堤防が決壊して流域の住宅地などをのみこむ大規模な洪水被害が各地で続発。土砂災害も相次ぎ東海、関東甲信越、東北地方で58人が死亡、14人が行方不明となり、204人がケガを負ったという(14日現在)。
 このうち長野市穂保では13日午前2時ごろ、千曲川堤防から水があふれ出ているのを監視カメラで確認。5時ごろ、約70㍍にわたって堤防が決壊し一帯は広く浸水。福祉施設など5カ所で一時約360人が孤立した。ほかにJR東日本車両センターでは北陸新幹線の車両十編成が水に浸かったという。
 また宮城県丸森町や埼玉県川越市でも浸水家屋が続出。堤防が決壊しなかった川でも氾濫が相次ぎ、川崎市高津区ではマンション1階が浸水し、室内から男性の死体が見つかり、相模原市緑区では川の下流で30代の母親と小学生の娘が見つかり、長野県東御市では道路が陥没、車1台が流されたまま行方が分からなくなったという。川崎市ではこのほかに、地上22階建てマンションが停電。マンション住民らはエレベーターが使えず、階段を上り下りする事態となっている。

 まさに台風19号襲来に伴う雨、風に襲われた日本列島はところによっては、地獄絵図さながらと化したのである。東電管内の13の都県だけでも13万5000戸以上が断水、停電も1都8県で3万9000戸以上に及んでいるという。

 ここに今度の台風19号につき中日新聞社説で【見直し必要な洪水対策】のタイトルで論じているので、後の世のためにも一部ここに記録として掲載しておこう。
――車で移動中に犠牲になる人が目立つ。災害時にはどこまで車を利用してよいのか。どんな危険性があるのかを検討してほしい。
 風も強かったが、それ以上に雨台風だった。神奈川県箱根町で四十八時間雨量が一〇〇〇㍉を超えるなど、山間部を中心に各地で年間降水量の30~40%にあたる雨量を記録した。大雨特別警報は過去最多の十三都県に発令された。河川の氾濫や堤防の決壊が相次ぎ、被害を大きくした。(中略)
 昨年も西日本豪雨で二十五河川の堤防が決壊。岡山県では多くの死者を出した。
 気象庁気象研究所によると、西日本豪雨は地球温暖化にともなう気温の上昇と水蒸気量の増加が影響している。スーパー台風は珍しくなくなるかもしれない。
 堤防のかさ上げやダム建設といったハードに頼る洪水対策は限界を迎えている。抜本的に見直す必要がある。

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 きのう13日。私は社交ダンスのアマチュア・ダンス技術検定試験で名古屋市北区役所へとバスと名鉄電車、名古屋市営地下鉄を乗り継いで出向いた。会場は相変わらず受験者でごった返していたが、本番が近づくとなぜか落ち着き、ワルツ1級、タンゴ1級の順で進んだ検定試験を無事終え、モダン(ワルツとタンゴ)一級の合格証を手にすることが出来た。
 右肺三分の一の摘出手術に続く衝撃的とも言える右肘骨折と、ここ二年近くというもの私は、一時は満身創痍の身だった。幸い、家族と周りの友人らの支えと心からの応援があればこそ、おかげでここまで来られた。そして私自身もみんなの期待に応えられるよう努力してきただけに、自分で自分を褒めてやりたいな、と。少しだけ、そう思ったのも確かだ。
 まさに私と舞でつくった新語【ぽとぽとはらはら】の人生そのものが、そこにはあったのである。この際、周りの方々には心の底から「ありがとう」と叫びたい。

 手にした社交ダンスモダン(ワルツ、タンゴ)1級の合格証
 

 そして。14日のきょうは、といえば、だ。私が地元情報サイト【江南しえなん】さんで連載中の小説「ぽとぽとはらはら 7」を、ちなみ写真付きで出稿。19日に迫った東京・池坊東京会館での第3回全国同人雑誌会議(文芸思潮/中部ペンクラブ主催、日本文藝家協会・中日新聞・東京新聞・三田文学・季刊文科後援)に先立ち、主催者の五十嵐勉さん(文芸思潮編集長)から依頼のあったパネラーとしての発言内容についてこれまたメールで真剣にやり取りするなど、アレヤコレヤに追い回される1日となった。
 何かと慌ただしい日々が続くが、こんなときだけに、本日未明にNHKのラジオ深夜便から流れてきた私の大好きなフランク永井さんのあの低音の魅力には、しびれ、かつ、このところのわが心身の疲れを癒やしてくれたのである。
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 サッカーのワールドカップ日本大会で日本は13日、横浜市の日産スタジアムで一次リーグA組最終戦に臨みスコットランドを28―21で退けて、A組首位で八強入りとなる決勝トーナメント進出を決めた。
 シリア人権監視団(ロンドン)が12日、トルコ軍によるシリア北東部への越境攻撃を巡りトルコ軍傘下の武装組織が少なくとも9人の民間人を「処刑した」と明らかにした。侵攻が始まった9日以降の民間人の死者はシリア側で52人、避難民は13万人に達しているという。
 娘の不正入学や家族ぐるみの私募ファンドへの不正投資疑惑が続出しているなか、韓国のチョグク法相が14日、とうとう辞任を表明。

10月12日
 土曜日。大型で非常に強い台風19号が東海沖を北上して午後7時過ぎ、静岡県伊豆半島に上陸。関東平野を通過して、あすには東の海上に出るコースをたどっている。このため空、陸、海の便は一日中どこも運休。三重県伊勢市や志摩市では道路や民家が水に浸かり、伊賀鉄道線路も水に浸かった。各地の避難所には多くの人が身を寄せ、千葉県市原市では竜巻が民家の屋根を吹き飛ばし、突風が車を横転させ、ほかに各地での河川の氾濫など被害は時の経過とともに拡大。相模原ではダムの緊急放流も予定され、被害は甚大となっている。
 このうえは雨、風の被害が最小限で終わってほしい。ただ、それを祈るのみだ。それにしても、人類は自然の前になすすべもなく、たじろぐほかないのか。自然と共存して生きていく以上、台風襲来は避けては通れない。ただ、それも最近では環境悪化により台風そのものがより巨大化、大型化してきているのでは―との不安にもかられる。いよいよ、人間と自然、すなわち台風との戦争が始まってしまったのか。

 ここで相棒の舞はいつもの言葉を並べ立ててこう、言うのである。
「誰か、やってきた台風のエネルギーを人類のエネルギー源となる〝電力〟にそのまま替えてしまうわけにはいかないものかしら。だったら、それこそノーベル賞ものなのに」と。この夢みたいな絵空事を台風襲来やノーベル賞の発表のたびごとに決まって聞かされる私も、実はこう思う。【これだけ科学技術が進んできているのだから。やってやれないことはないのでは。真剣に考え、挑戦すべきだ。人類の力を結集して発揮してほしい】と。でも、台風を電力にそっくりしてしまうのは、やはり、まだ無理かもしれない。

 日をまたぎ月光の突き刺さるごと
 =伊神舞子の〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から。10月10日作。

 11日は「十三夜」。9、10、11日と3日連続ですばらしい、それこそ、まんまるな月が天から私たちを見下ろしてくれた。舞と俳句猫の白ちゃんは、合作でこんな句を詠んだのである。
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 スウェーデン王立科学アカデミーが9日、2019年のノーベル化学賞を吉野彰・名城大教授(71)=旭化成名誉フェロー、2018年中日文化賞受賞者=ら3氏に授与する、と発表。中日新聞などの報道によれば、授賞理由は「リチウムイオン電池の開発」。リチウムイオンが、スマートフォンやノートパソコンから電気自動車に至るまで幅広い電源に利用され、情報化社会の広がりとクリーンエネルギーの普及に貢献したことが評価されたという。

 喜びを語る吉野教授夫妻(NHK画面から)
 

 また共同受賞が決まったのは、ジョン・グッドイナフ米テキサス大オースティン校教授(97)と、マイケル・スタンリー・ウィッティンガム米ニューヨーク州立大ビンガムトン校特別教授(77)。グッドイナフさんはノーベル各賞を通じて最高齢の受賞になる、とのことだ。

 ことしのノーベル賞その後だが、次のとおりである。
【ノーベル文学賞】スウェーデン・アカデミーが10日、2018年のノーベル文学賞をポーランドの女性作家オルガ・トカルチュクさん(57)=代表作は「昼の家、夜の家」(98年)=に、2019年の同賞をオーストリアの作家・劇作家のペーター・ハントケさん(76)=代表作は「不安 ペナルティキックを受けるゴールキーパー」(70年)=に授与すると発表。このうち女性の受賞は、2015年のベラルーシの作家スベトラーナ・アレクシエービッチさんいらいで通算15人目。同アカデミーのスキャンダルで2018年の発表が見送られており、2年分がまとめて発表された。
 授賞理由はトカルチュクさんが「自然と文化、理性と狂気といった対立するものの緊張感に物語性を持たせた」。ハントケさんは「言語表現を工夫しながら人類による経験の特殊性などを探究した」で「数十年にわたり最も影響力のある現代フィクション作家の一人だ」としている。
【ノーベル平和賞】ノルウェーのノーベル賞委員会が11日、2019年のノーベル平和賞をエチオピアのアビー・アハメド首相(43)に授与する、と発表。「平和、国際協力の実現に向けた努力、とりわけエリトリアとの国境紛争の解決に向けた断固とした取り組み」を授賞理由にあげた。国境紛争は1998年に始まり、3年間で10万人が死亡。昨年4月に就任したアビー氏の呼びかけにエリトリアのイサイアス大統領が応じ、同年7月に和平が実現したという。

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 9日は、私たち滝高校の同窓生、クラスメートからなる二石会(にせきかい=恩師である二村、石田両先生の頭文字を取って命名=)による木曽川「昼鵜飼」観覧の集いがあり出席、久しぶりに旧交を温めてきた。先日の5、6日の京都、信楽行で欲張ってしまいかなり歩いたこともあってか、右膝が痛くて船内で動くのが(なかでも鵜飼い船の船内で膝を折って観覧するのが苦痛だった)少し大変ではあったが、ナントカ耐えた。
 鵜飼といえば、まず頭に浮かぶのが岐阜在任時の若き日に長良川で体験した、あの鵜飼取材である。当時、鵜飼開きの取材をカメラマンとともにデスクから初めて指名された時のあの興奮に包まれた内心の喜びは今も忘れない。ホ―、ホ―、ホ―という鵜匠のかけ声とともに繰り広げられる総がらみを、いかに情景描写豊かに余韻を含ませ書くか。筆力の見せどころだっただけに、短い文章を書くのにかなり苦心した楽しい思い出がある。
 そんなわけで、この日の昼鵜飼の方もまた味わい深いものとなった。犬山城直下の木曽川景勝の地で鮎を競って追う、真剣そのものの鵜1羽ずつの表情がなんとも、わが胸を突いたのである。私は彼女たちを見ながら人間も、鵜も、鮎だって。みんな一緒。それぞれの世界で懸命に生きているのだ、と至極当然のことをあらためて思ってみたりした。

 鵜飼を楽しむ二石会のクラスメートたち
 
 鮎を求めて川面を走り競い合う鵜たちと、鮎を吐き出させる鵜匠
 
 

 翌10日は午前中、江南市内の公民館へ。13日の愛知県国際ダンス教師協会認定の1級資格試験を前に、社交ダンスのワルツとタンゴのレッスンに打ち込んだが、これがかなりハードだったために、やや息があがった。でも気がつくと、その半面で右膝の痛みはなぜか、治まっていた。11日は地元情報サイト〈江南しえなん〉で私が連載中である小説「ぽとぽとはらはら」の補足取材をかねて、江南フラワーパークへ。秋風に吹かれてパーク内をゆっくりと歩いてみた。

 帰ると、愛猫シロちゃんの様子が少しおかしく下腹部に洗濯板のような、しこりみたいなものがあるのに気付き、舞の帰りを待って近くの愛北動物病院へ。しこりは腫瘍で、乳腺がんも疑われるということなので、その場でレントゲン撮影をしてもらう。がんかどうかはまだ分からないが幸い転移はしておらず、ばい菌も認められなかったが「早いほうがいい」と判断して17日に手術してしこりを切除していただくことにした。手術すれば、腫瘍が悪性か良性かは分かります、とのことだった。
 彼女(2代目シロこと、オーロラレインボー)は今や舞とともに、この世では初めての俳句猫(俳号は「白」)として日々、作句に挑む貴重な存在である。そればかりか、わが家にとっては宝も同然の家族の一員だけに、無事病が治るよう、ただ祈るばかりだ。まだまだ若いので腫瘍が良性であることを祈りたい。このところは吟遊で外に出ることも多く、外出中の野良さんたちとの付き合いなどもあって、精神的に疲れがたまり、それがしこりとなって体に現れたのかも知れない。

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 12日付中日朝刊によれば、大相撲小結の遠藤関(28)=本名・遠藤聖大(しょうた)、石川県穴水町出身=が一般女性と結婚していたことが関係者への取材でわかった。ことし5月に婚姻届を出し、所属する追手風部屋(埼玉県草加市)を出て、新居でふたりでの生活を始めているという。
 国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」の再開から4日目の11日、愛知芸術文化センター(名古屋市東区)一角にある企画展会場が報道向けに公開された。鑑賞者のディスカッションの時間も設けられ、それぞれが表現の自由への思いを語り合った。芸術祭事務局では、会場内で撮影された画像が会員制交流サイト(SNS)に転載されるなどしたため再開後の取材を禁止。11日は、新聞テレビ各1社が代表取材。
 11日付中日朝刊に「伊賀忍者簡単になれないでござる 書類審査で全員不合格」の見出し。記事を読んでみると「三重県伊賀市の伊賀流忍者博物館でのショー出演者を募集していた「伊賀忍者特殊軍団 阿修羅」は十二日に予定していたオーディションの中止を決めた。二十代の男女四人から応募があったが、アクションスタント経験などを踏まえいずれも一次審査(書類審査)で不合格とした」とあった。

10月7日
 虫の音と狸ばやしと夜もすがら
 =伊神舞子の〈きょうの俳句 minuetto-mi〉から

 月曜日。土、日曜日と京都、そして滋賀へ。
 土曜日(5日)は午後、日本ペンクラブの京都例会に何年ぶりかで出席。例会のあとは、せっかくなので県をまたいで兵庫県の城崎温泉まで、とは思いつつチョット遠いので今回は近場で、とかつての任地・滋賀へ。甲賀市の大河原温泉と欲張って信楽焼で知られる信楽の里を見て回ったこともあり、かなりハードな旅となってしまった。でも、おかげで今はやりのNHK朝ドラ〈スカーレット〉で一躍脚光を浴びているヒロインのモデルとされる、神山清子さん(83)といろいろ楽しく話しをさせていただけ、行って良かったなと思っている。

 ここで2日間を記録に留めておこう。
【5日】京都市烏丸通り、平安女学院で午後2時から行われた日本ペンクラブの京都例会に出席。人間国宝神田松鯉さん(会員)の講談を聞いたあと、近くの有栖館(有栖川宮旧邸)庭園での懇親会に参加。京都在住詩人の宮内憲夫さん、日本ペンク電子文藝館委員長で詩人でもある村山精二さん、さらには愛知から訪れ私もよく知るエッセイスト内藤洋子さんら多くの人々と久しぶりにお会い出来、あんな話やこんな話で楽しく歓談、いっときはアッという間に過ぎ去った。
 終わって。京都駅に向かうタクシーの車中。宮内さんと瀬戸内寂聴さんの話になり「ゴンタさん。寂聴さんは、ほんとに素晴らしいお方です。彼女はイチヂクが大好きなので毎年送るのですが、いつも〝ありがとう〟って。わざわざ、丁寧にお礼の電話をくださって。嬉しくなっちゃいますよ」と語ったかと思うと「最近の日本の若者にはエネルギーがない。寂聴さんの若いころみたいに迸りでるものがほしい。その点、香港の若者たちはよくやっている。危機感が人間を強くしている」とも。
 私はこの言葉を耳に松本支局での駆け出し記者当時に、重装備の防弾チョッキを着せられ、サツ回りの記者として、信大生のデモ隊に連日ついて歩いて取材し、目の前で毎日の記者が投石を食らって病院に運ばれた、あの凄まじかったころを、ふと思い出したのである。浅間山荘では連合赤軍事件があり、松本から長野に応援で何日もの間駆り出されたあの日々である。

 ツワモノぞろいの女性会員に囲まれ、さあ。どうする
 
 年に一度の京都例会 会員同士、熱心な会話が弾んだ
 
 吉岡忍会長を真ん中にハイ、ポーズ
 

 京都駅からは急きょ、予約した滋賀県甲賀市の大河原温泉へ。
 JRの在来線で草津まで出、ここから草津線に乗り換えて、貴生川へ。駅南口でバスに乗ったが、ここからが遠かった。バスは真っ暗な夜道、それも山の中をどこまでも走り続け途中、カモシカがバスの直前を、それもスローモーで横切った時には「あっ、轢いてしまったか」と目を塞いだが、間一髪、バスは交通事故を避け、運転手も顔色ひとつ変えないで、やっと温泉に着いたのは一時間後であった。宿はバス停を降り、真っ暗な道を歩いて進むと、そこに神社があり境内の石段を降りると、その向こうにあった。その名も【かもしか荘】である。
 宿に到着後は、ただ一人最後の夕食を食べ部屋に案内され、持参した文芸思潮2019秋号を前に三田誠広さんの小説「遠き春の日々―ぼくの高校時代―」を読み始めた。だが、次第にうとうとし始め、そのままデスクを前に寝入ってしまったようだ。

【6日】早朝に目覚めた私は、目の前を流れる野洲川の源流にしばし、見とれたあと6時過ぎ、男湯へ。幸い、大浴場の向こう側には露天風呂があり、ひとり湯船に浸かり旅の疲れを癒やした。自然を前に「ほんとに疲れたよ」と大気に向かってひとり言。そう言いながら「あゝ、人の前で、疲れたと言っては失礼になるからダメなんだ。でも、一人なので。よしとするか」とも。
 朝食をすませた私は、チェックインを終えると乗り合いバスのバス停へと急いだ。ぎりぎりで8時45分発貴生川行きに飛び乗り、近江土山駅で乗り継いで貴生川へ。ここから信楽高原鉄道に乗り替え終点の信楽駅で降り、タクシーで町内を周遊。滋賀交通のタクシー運転手瀬古正美さんに教えて頂いたNHKの朝ドラ「スカーレット」のモデル神山(こうやま)清子さん宅を飛び込みで訪れた。
 神山さん宅ではちょうど彼女が信楽焼について地元の子らに説明しておいでだったので終わるまで30分ほど待たせて頂いたが、このあと私に対して丁寧に応対してくださり、なんだか話がどんどんと限りなく膨らみ、弾んでいったのである。厳格でお酒好き、どこまでもやさしかったお父さんのことや作陶に関する苦労話、31歳で骨髄性白血病で亡くなった長男の死がきっかけで公的骨髄バンクの設立運動に奔走した話など。
 本欄にはとても書ききれない話の数々。それらの多くを聞きながら「なんとたくましく、かつ優しく努力家。そして長年、駆け込み寺同然にくるお弟子さんを快く預かる―など、なんと面倒見のいい方なのだろう」とつくづく感心し私はいっぺんに神山さんを好きになってしまったのである。苦労の年輪が熟成するとあのようになるのだろうか。私なぞ、まだまだヒヨッコである。
 私はせっかくなので手にしていた信長残照伝が収録されている自著「ピース・イズ・ラブ」(人間社刊)1冊を贈呈。信長と吉乃の現代社会を先取りした戦国の世のラブロマンスについて「実は吉乃と信長を陰で支えたのは、甲賀と伊賀からきた忍びの女忍者たちだった」と話をさせて頂くと、真剣に聞き入ってくださりナンダカ、私と神山さんとは【運命の糸】で結ばれているような、そんな気がしたのである。

 信楽高原鉄道のスカーレットなど行く先々での寸景を収録してみた(写真説明は省略。そこは読者のご判断に任せたい)
 
 
 
 
 
 
 

 夜。帰りに米原駅プラットホームの売店で中日新聞朝刊が最後の1部だけ残っていたのを懐かしく思い、宝物でも買うように購入。帰宅直後に、さっそく〝びわこ版〟を開く。そこには、ナント「緋色の肖像 古窯を拓く女性たち① 誰にもまねできない色を」の見出しで〈寸越窯(すんごえがま)神山清子さん(83)甲賀市信楽町勅旨〉のことがトップ扱いで紹介されていた。
 なんという奇遇なのか。【神さまの手】としか考えられない。神山さんは私が大津支局長当時の信楽担当(N記者)のこともよく覚えていてくださった。ありがたいことだ。彼のあの顔が浮かんだのである。今は、どうしているかしら。

 6日付中日新聞びわこ版と作陶に励む神山さん(名刺を裏返すと、こんなステキな写真が、ひょっこり出てきた)
 
 

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 能登半島沖350㌔の日本海の好漁場海域・大和堆(やまとたい)=日本の排他的経済水域内=周辺で北朝鮮漁船と水産庁の漁業取締船「おおくに」が7日朝、衝突。北朝鮮漁船が午前9時半ごろ、沈没。漁船の乗組員約20人が海に投げ出され、海上保安庁のヘリや巡視船艇で周辺海域での捜索活動に当たっている。北朝鮮の船がイカ釣り漁船で違法に操業していたとみられる。取締船の方は自力航行できる状態でけが人はいない模様だという。
 プロ野球で史上最多の400勝を達成し1973年からロッテ監督に就任。1974年にリーグ優勝と日本シリーズ制覇も遂げ、「カネやんダンス」など陽気な動作と言動でも知られ、人気を集めた金田正一さんが6日、急性胆管炎による敗血症のため死去した。愛知県稲沢市出身。86歳だった。1950年に愛知・享栄商高(現享栄高)を中退して国鉄(現ヤクルト)に入団。左腕で長身から投げ下ろす速球と大きなカーブが魅力だった。
 ラグビーのワールドカップ日本大会で日本は5日、愛知県豊田市の豊田スタジアムで行われた一次リーグA組第三戦でサモアと対戦、38―19で勝ち、3連勝。

 日本ラグビーの3連勝には日本中が歓喜した(NHK画面から)
 

 陸上の世界選手権男子20㌔競歩が4日から5日にかけドーハで行われ、山西利和(23)=愛知製鋼=が1時間26分34秒で優勝し、東京五輪代表に決まった。5日には400㍍リレー決勝も行われ、日本(多田修平、白石黄良々、桐生祥秀、サニブラウン・ハキーム)は37秒43のアジア新記録で前回大会に続き3位に入った。米国が優勝、英国が2位だった。
 長野県阿智村の上清内路諏訪神社で6日夜、江戸時代から続く手作り花火(県無形民俗文化財)が奉納され、直径3・5㍍の円形枠に無数に取り付けられた花火が轟音を響かせながら回転。地元の若者たちが火の粉を浴びるとご利益があるとれる「大シャクマ」を堪能した。
 京都府警が5日、京都アニメーション第一スタジオの放火殺人事件で入院中だった二十代の女性社員ひとりが4日夜、死亡したと発表。これにより、事件の犠牲者は計36人になった。

10月4日
 塩焼きに一匹の欲し鰯雲
 =伊神舞子の〈きょうの俳句minuetto-mi〉から

 金曜日。すっかり秋めいたところで東京在住の京さん、すなわち昔も今も舟木一夫さんの強烈なる追っかけファンさんから思いがけないラインによる音信が届く。
 見ると、「本日、曼珠沙華を見に行って来ました!! 正に赤の絨毯」の説明入りで目にも鮮やかなマンジュシャゲの赤じゅうたんの写真が2枚。うわぁ~、すごいや。と思わず、声をあげてしまったのである。

『原発マネー「還流」か 受注会社から関電に直接金品 元助役を介さず 元助役、福井県幹部に贈答品 高浜町議会で「おわび」』「東京で7月不明女性か 西尾遺棄 ケースに中国籍身分証」「覚醒剤使用疑い逮捕 愛知県警 あおりエアガンの男」『誤認逮捕 裏付け怠る 愛媛県警「女子学生の尊厳侵害」』など。
 以上は、本日付の中日新聞第一社会面、俗に言う軟派記事の見出しである。とはいえ、1面見出しも「経産省アプリ間違い続出 消費増税還元店検索 平等院鳳凰堂に給油所 QR決済対象外に表示」「関電金品 監査役が指摘 総会前 歯止め機能果たせず」など。暗い話ばかりで、わずかに「ラグビーW杯日本大会 あすサモア戦 豊田入り」の見出しが読者に期待を抱かせている。

 世界に目を移すと、パリ中心部のパリ警視庁で3日午後、警察事務職員の男が刃物で同僚警官らを襲い4人が死亡したかと思えば、イラクの首都バクダッドなどでは1日から2日にかけ反政府デモが広がり治安部隊との衝突で警察官を含む計19人が死亡したとのこと。一方で、韓国の検察が韓国東洋大教授であるチョグク法相の妻(在宅起訴中)を、娘の進学に有利になるよう大学総長の表彰状を偽造したとして私文書偽造罪で事情聴取。英国のジョンソン首相が2日、北アイルランドとEU(欧州連合)加盟国アイルランドの国境管理問題に関連、EUとの離脱協定に対する最終的な代替案を提案する―など。この星はどこもかしこも、混乱と混沌の只中にある。
 地球という世界に住む人々は、こうしたなかで日々、生きているのである。
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 今月19日に東京・池坊東京會舘で開かれる全国同人雑誌会議への参加を呼びかけるチラシ
 
 

 4日付中日新聞夕刊文化面
 

 そうしたなか、ちょっといい話と言えば4日付中日新聞文化面の「同人雑誌の存在意義 第3回全国会議に向けて 広い世界への足掛かりに」といった見出しか。今月19日に〈新たな創造エネルギーの発露へ――文芸復興をめざして〉をテーマに東京は御茶ノ水の、池坊東京会館6F大ホールで開かれる第3回全国同人雑誌会議(後援■日本文藝家協会・中日新聞・東京新聞・三田文学・季刊文科)を前に、その存在意義とは何かを会議の主催団体の一つ「中部ペンクラブ」の三田村博史会長が寄稿したもので、同人誌の現状に鋭く切り込んだ内容となっていた。
 ここに、その最後の部分を掲載させていただく。
――同人雑誌は「老人雑誌」と揶揄されてもいる。事実、高齢化も進んでいるが、それは何もこの世界ばかりではないだろう。年一回刊行もあれば数㌻の不定期刊、ほぼ毎月発行の「北斗」もあれば「九州文学」のように三百㌻を超す雑誌も、さらには紙媒体によらぬウエブ「熱砂」のようなスタイルも出現してきている。
 高校文芸誌とも関わり、若者にも書くことが好きな人がいるのを知った。老若ともスマホをのぞいている人が目立ち、このところの急速な脱活字化現象は、確かに紙媒体での読み手の減少を加速させてはいる。「活字文化」は凋落一方と嘆かれてもいるが、実は日本の現代文学の水準は世界的には高いのである。
 その下支えをしているのは今も同人雑誌だと思う。全国には、雑誌交換を通して知っているだけではわからない有為な、意欲的な人がいるはずである。そういう人に会いに、今回は東京へ行く。新たな作品に挑む意欲を私にも、「全国会議」がもたらしてくれるかと期待している。(みたむら・ひろし=中部ペンクラブ会長)
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 中日の松坂大輔投手(39)が今季限りで退団することが4日、決まった。2018年の入団時に監督だった森繁和シニアディレクターの退団に触れ「拾ってくれた森さんが退団するのを聞いて、僕もいてはいけないと思った」という。
 香港政府のトップ、林鄭月娥(りんていげつが)行政長官が4日、記者会見。デモ参加者が顔を隠すことを禁じる「覆面禁止法」を5日未明から施行する、と発表した。
 第200臨時国会が4日召集され、安倍晋三首相が「憲法改正を巡り、国会議員がしっかりと議論し、国民への責任を果たす」「消費税増税の経済への影響を注視し、国内消費の下支えに全力を注ぐ」「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と条件を付けず向き合う」などと所信表明演説を行った。
 関西電力の役員ら20人が福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から多額の金品を受領していた問題で2014年9月~2017年12月、森山氏と関係が深かった同町の建設会社「吉田開発」が受注した原子力事業本部の発注工事計113件のうち、7割以上の83件で関電側が森山氏に工事情報を提供していたことがわかった。関電の調査報告書から判明した。
 白血病と闘っている競泳女子の池江璃花子選手(19)の公式ホームページに設置されている応援ボタンのクリックが100万件を超え、池江選手の家族が「本人はむろん家族にも大きな励ましになっています」とのメッセージを3日に掲載。
 名古屋の老舗料亭「河文」の代表取締役会長林永治郎さんが3日、肝臓がんのため死去。93歳だった。

10月2日
 千枚田夢見る千のまんじゅしゃげ
 =伊神舞子〈きょうの俳句 minuetto-mi

 水曜日。10月である。そして2日。ちょうど一年前の夜遅く。私は一宮からタクシーで帰宅し降りた直後に玄関先で転倒し、利き腕である右腕の肘の骨を骨折。3カ月ほど車を運転できない日が続いた。あれから1年たつ。早いものだ。まだ多少気にはなるが、幸い、車を運転したり、小説を書いたりするのに不自由はしない。

 北朝鮮が2日午前7時10分ごろ、東部・江原道元山(カンフォンドウォンサン)の北東沖約17㌔の海上から日本海に向けて弾道ミサイルを発射、1発のミサイルが分離し島根県島後沖約350㌔付近の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。
 消費税が1日、8%から10%に引き上げられ、キャッシュレス決済へのポイント還元制度も同時にスタート。この日、中国は建国70周年の国慶節を迎え、抗議活動が続く香港では市民が無許可のデモを決行、各地でデモ隊と警官隊が衝突、新界地区・チュンワンでは警官が発砲し、デモに参加した男子高校生(18)が左胸を撃たれ、重体となった。

 野球日本代表の稲葉監督が1日、11月に開催される国際大会「プレミア12」に出場するメンバーとして巨人の坂本勇(内野手)やヤクルトの山田哲(内野手)、ソフトバンクの千賀(投手)、中日の大野雄(投手)、西武の秋山(外野手)広島の会沢(捕手)ら28選手を発表。広島を2016年から球団初のリーグ3連覇に導いた緒方孝市監督(50)が、就任5年目の今季限りでの退任を表明した。
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 一時はどこかに雲隠れしてしまった愛猫2代目シロちゃん、ことオーロラレインボ―。家族の心配に少しは反省したようだ=2日。わが家にて
 
 

 そして。わが家では私たち家族にとっては〝ある大変な出来事〟が起きたのである。
 出来事とは、わが家の愛猫である2代目シロ=別名オーロラ・レインボー=、俳句猫の「白」(俳号)が、いつものように舞の帰宅時に玄関まで出迎えたまでは良かったが、普通ならスンナリ一緒に入ってくるはずが、家の中になかなか入ろうとしない、そんな思いがけない事件が起こったことである。
 自宅周りには、野良ちゃんたちがいっぱい居て入れ代わり立ち代わり家のなかを覗き込んだりしている。でも、何を思ったのか。いや、不満なのか。シロは彼らのことを気遣ってか、一向に家の中に入ろうとはせず、かといって自宅周辺に潜んで私たちの様子を外から伺っていることだけは間違いない―という、そんなアンバランスな状態が続き、正直これには参った。
 私たちのことが急に気に入らなくなったのか、それとも何か不満でもあるのか、とも思うのだが。そうでもないらしく、周辺のどこかに潜んでいることだけは確かという、そんな時が過ぎていった。それが夜も遅くなり、玄関の門灯をつけた途端に白い姿を見せて歩み寄り、私たちに向かって【ニャン】のひと声。「さあ、おはいり」と言うと素直に入ってきてくれ、舞も私もホッとしたのである。
 いやはや、私たち人間の愛情が試されているような、そんな気もしたが、何はともあれ。ご帰還とあいなってヤレヤレだ。というわけで、きょう2日は「二度と昨夜のようなことはしないでね」と言い聞かせ、自宅軟禁となった次第。「私たち外猫ちゃんたちにも気を配っているので、もしかしたらジェラシーかもしれないよ」「昨夜、よく言い聞かせたからわかってくれたはずよ」とは、相棒の言。まるで、わが子に接するような物言いには、シロちゃんもとうとう家族のひとりとしてなくてはならない存在になったんだな、と思った次第である。

 ともあれ、2代目シロちゃんは、今や私たちにとっては家族同然。もし、どこかへ消えて居なくなってしまったなら。私たちにとっての大切な生きるすべが失くなってしまうに違いないことを今更ながらに痛感させられる事件だった。
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 夜。パソコンを開いて着信メールをチェックする。
 なんと駒瀬銑吾さん(中部ペンクラブ理事、「北斗」同人、「ムーの会」代表など)の悲報が届いていた。駒瀬さんは1日に逝去されたという。享年85歳だった。駒瀬さんといえば、まず思い出すのは〈こどもの詩〉の普及と啓発に生涯情熱を注がれたことで、そのあくなき姿勢と行動力には敬意を表したい。
 悲報といえば、ほかにも。きのうわが家に届いた中日社友会報で志摩通信部当時の私の前任者、田辺昇さん、そして泣く子も黙る愛知県警キャップだった、あの沼正さんがいずれも8月12日に亡くなられていた事実を知った。田辺さんは肺動脈肉腫のため78歳で、沼さんは脳梗塞で88歳の旅立ちだった。生前のおふたりには、どれほどお世話になったことやら。
 お三方の御霊に合掌。おやすらかに―
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 大手玩具メーカー、バンダイの小中学生のスポーツに関する意識調査で、米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が2年連続で好きなスポーツ選手の1位に。フィギュアの羽生結弦選手も昨年に続き2位だった。
 プロ注目の最速163㌔右腕の岩手県・大船渡高校の佐々木朗希投手(17)が1日夜、岩手県高校野球連盟にプロ志望届を提出した。
 台風18号は2日、東シナ海を北上し夜には朝鮮半島南部に上陸。九州北部に接近する見通しだという。関西電力の役員らが福井県高浜町の元助役から多額の金品を受領していた問題で原子力事業本部長を務めた豊松秀己元副社長(65)の受領額は1億円相当以上だったことが関係者への取材でわかったという。
 中日新聞が猫の長生きと健康の秘訣を紹介した「あなたの猫が7歳を過ぎたら読む本」を刊行。定価1430円(税込み)。B6判変型、2色刷り192㌻。

 対象を絞ったとはいえ恩赦60万人。制度の存続自体に、どこまで議論があったのか。 ◇ NHK放送部門トップが郵政側に謝罪文持参。一体どれだけ悪いことしたの? 視聴者には理解不能の平謝り。
――とは、毎日夕刊2日付〈近事片々〉氏。