あぁ~大震災を悼む 笛猫野球人間日記/11月22日

平成二十三年十一月二十二日
(この日記はアタイ=こすも・ここ=が、お父さんの「私」になりきって書き進めています。ごくごく、たまにアタイそのものが突然、出てくることがあります)

 『ねぇ~』   こすも・ここ
 

       『なぁに』  シロ

 火曜日。よくよく考えたら(考えるほどのことでもないか)、きょうは十一月二十二日なので、ゴロ合わせからも「いい、ふうふ(夫婦)の日」だそうだ。

 それはそうと、町にはコート姿がめっきり増えた。私もそろそろ、とは思うが、きょうのところは上下の背広だけで通勤した。そして出勤後は、中日スポーツに掲載されたファンクラブ通信の記事を、ドラゴンズ公式ファンクラブの公式サイトにアップしたり、ファンクラブ通信の取材と執筆に勤しむなどした。

 きょうは朝、バス停でバスを待つ間に私の背中で何かモノがゆっくりと、それこそスローモーションビデオのように崩れ落ち、接触してくる気配がしたので振り向くと、私の体に後ろから接触した高齢男性が、そのままもんどりうって今まさに路面に倒れる寸前だった。私は咄嗟の判断で彼の背中に手を置き、間一髪で転倒を防いだ。
 お年寄りはそのまま放心状態で路上に座り込んだままで、しばらくして私が差し出した手につかまってヨロヨロと立ち上がり、「ひゃあ~、ホントニ死ぬかと思った。ワシャ七十七歳。年を取ると、こうだからいけないんだよね。ありがとう、本当にありがとさん。助かった」と言って、今度はゆっくり安全を確かめるように自転車に乗り、ソロソロといずこかへ去っていった。
 なんでも、この男性。バス停前のG信用金庫でお金を下ろし金庫玄関の階段を下りたところで、すぐ近くのバス停前でバスを待っていた私に接触、転倒寸前に間一髪、私の腕に抱えられ事無きに終わった。この世の中、ほんとに一つ間違えば、命さえも保障されないのである。

 【きょうの1番ニュース】ドラゴンズの落合監督が名古屋市内で退団の記者会見を行い「非常に楽になりました。監督という肩書きをはずし、五十七歳の初老の男になりました。私のなかでの“らしい野球”とは、普通のことを普通にやれる。でも、勝たなければーと考えると、コツコツとやることだけが一番重要だった。(今は)ゆっくり眠りたい。あとは映画でも見に行きましょうか」と答え、あのいつもの一見、冷たくみえる表情の監督を想像することさえ出来ない、ふくよかな眼差しで「やはり、この人は違う。いい人なのだ」と好感が持てた。

☆「福島第1 無保険に 損保各社、契約打ち切りへ 東電に通知」、「オウム裁判集結 どの命もかけがえない 被害者・河野さん『死刑廃止すべきだ』」「『冤罪』終わりない、オウム松本サリン 被害の本紙記者 河野さん『妻のおかげ 耐えられた』(写真部・乾高弘)」、「リニア中間駅建設費 JR東海 全額負担 地元に配慮、方針転換」(22日付、中日朝刊)
 「希望の灯り 託す思い 陸前高田 被災住民ら制作 来月10日点灯 神戸から種火運ぶ」「『勝利だけ考えた』落合監督振り返る 中日感謝の集い」、「大王製紙前会長を逮捕 巨額借り入れ特別背任容疑 カジノに流用 東京地検」(22日付、中日夕刊)

平成二十三年十一月二十一日
 プロ野球のペナントレースに続き、CS(クライマックス)、日本シリーズと終わり、なんだか、自身が呪縛から解き放たれ、大空に飛び立つ鳥のような気がする。ただ、ここへ来て「ファンクラブのスタッフだったら、もっと情熱をもって、せめて日本シリーズぐらいは自腹を切ってでも福岡(ヤフードーム)まで出向いてくれるような、そんなスタッフがいて当然だ。ほかに、どなたもドラゴンズに関する新聞各紙や週刊誌もあまり読んでいないようで日ごろの勉強不足が目立つ」などと関東に住む熱心な会員からお叱りを電話で受けるなど、日本シリーズを巡る野球余波はいまも続いている。

  この指摘は、ある程度正しく核心を突いているだけに、考えさせられる。要は、選手やファンが一心同体となって頑張っているのに、本家本元のファンクラブ事務局のスタッフは一体なにをしているのだ、とのお叱りだった。
 会員のおっしゃる通りで、反論のしようもない部分も確かにあるにはある。ただスタッフのなかには自腹を切って夫婦であちこちの球場を訪ねたり、草野球で野球の本質を探り続け自費でアメリカに行き、大リーグを見て回ってきた熱心な青年スタッフがいることも、お忘れなく。努力不足の私とて、昨年の夏休みをそっくり充てて四国は松山の“坊ちゃん球場”に言って、あれやこれやと学んできた。この模様は「ガブリの目」でも書かせて頂いたが、むろん、出張などではなく自費で、です。これみな、スタッフの一人として少しでも力になれば、と思ったからに違いない。

 落合監督には、本当に感謝している。きょうの中日スポーツ1面の「ありがとう 落合監督」「負けたのに鳴り響いたコール」「8年間でリーグV4度 黄金時代築いた」がすべてを物語っている。ファンに右手で帽子をふりながら、ヤフードームをあとにする落合監督の顔もとても良かった。あえて私に、もうひとつの見出しを付けさせてもらうなら「目に、うっすらと涙をうかべて」か。落合さん! 沖縄でもお世話になりました。ありがとう。いつの日か、ふたりだけでゆっくりと会いましょうー“いがみの権太”より

 夜に入り、広島内陸部で震度5の地震が起きた。Mによれば、地震とか雷雨、台風などの自然災害となると、いつも敏感に反応するわが家の愛猫・シロが珍しく平然としており、津波の心配は今のところない、という。

 【きょうの1番ニュース】新聞報道によると、オウム真理教による地下鉄、松本両サリン事件など一連の事件で、最後まで公判が続いていた元教団幹部遠藤誠一被告(五十一歳)=一、二審とも死刑判決=の上告審判決で、最高裁第一小法廷が被告側の上告を棄却、これにより死刑が確定した。一九九五年の強制捜査から十六年八カ月を経て、計百八十九人が起訴された教団の一連の刑事裁判は事実上、これで全て集結した。

☆「戦中の昭和東南海・三河地震 震災被害の機密記録 帝国議会資料存在 惨状、詳細に記載」、「落合竜 有終飾れず 日本シリーズ ソフトバンクが制す」(21日付、中日朝刊)
 「オウム裁判16年終結 死刑13人確定へ 遠藤被告の上告棄却」「真相閉ざした麻原公判」(21日付、中日夕刊)

平成二十三年十一月二十日
 今夜は世紀の試合がヤフードームで行われる。落合監督率いる中日ドラゴンズか、それとも秋山監督率いるソフトバンクか。私は、両チームともここまできた以上、どちらが勝とうが負けようが、もはや何もいうことなし、というのが今現在(午後五時)の偽らざる心境である。ただ落合監督の場合、ドラゴンズの監督として、きょうの試合が最後のラストタクトとなるだけに、感慨もひとしおか、と思う。

 そして私にとっても、きょうは記念すべき日となる。なぜか。それは、野球をあまり知らなかった、私こと、“いがみの権太”が本欄に笛猫人間野球日記を書き続けて丸二シーズン、この間一日として休むことなく、とうとう今宵が最後のペンとなるからである。
 それこそ、いろいろあった。昨年はシーズンはじめにMが脳腫瘍の大手術で入院、毎朝病院に通う前にアタイ(愛猫こすも・ここ)に起こしてもらっての執筆が延々と続いた。ことしは三月十一日に東日本大震災が起き公式戦の日程が大幅に変更された中、プロ野球のペナントレースが始まった。この二年というもの、日常の仕事以外に深夜から未明、さらには早朝にかけての執筆は延々と続いた。まさに現役記者時代の夜討ち朝駆けに似た生活でもあった。でも、今になっては、ささやかながらもひとりの人間の記録になれば何よりだ、と思っている。

 震災に大津波、福島第1原発の放射能漏れ事故で肉親を奪われ、わが家を捨てて避難所で暮らし仮設住宅に入居したり、さらには県外に避難したままの人々。悲しみや苦しみに耐える人々に、シーズン中、野球がどんなに勇気や希望を与えてきたことか。ことしほど、このことを思い知らされたシーズンはない。

 (午後十時過ぎ)最終回の九回表。摂津投手の前に、和田選手が三振してゲームセット。日本シリーズの結果は、第7戦(ヤフードーム)を3―0で制したソフトバンクがセ・リーグの覇者・中日ドラゴンズを四勝三敗で破り、ホークスとしては2003年いらい八年ぶり五度目の日本一に輝いた。そして、パ・リーグ、CS、日本シリーズと三度、胴上げで宙に舞った秋山監督の言葉がことしを象徴するもので、心に残るものだった。それは秋山さんが目を潤ませて語った次のようなものである。
「中日さんは投手力がいいので、なかなか点が取れなかった。一試合一試合、どっちに転んでもおかしくない状況のなか、選手はみな、それぞれの持ち味を出し本当によく頑張ってくれた。福岡はじめ全国のファンの皆さまが我々の力になってくださり、ファンの方々には本当に感謝している。今シーズンのプロ野球は3・11の大震災発生のあと、大変悲しいなか始まりました。でも、我々のやることは被災者に元気と勇気を与えるということで十二球団一丸となってやってきました。」

 【いがみの権太人間日記】日曜日。午前中新聞を読み、締め切りが迫っている私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」のテーマエッセイ(テーマは「走る」で、私の作品のタイトルは“ただヒタスラに”)を完成させ、碧木ニイナ編集長にメール送信。昼からは今月七日が命日だったMの父親のお墓、そしてついでながら私の父が眠る和田霊園にもふたりで出向き、花を手向けた。そのまま足を伸ばし母のいる実家に寄ったが、自転車がないので帰宅。自宅裏の垣根に張り付いたアサガオのツルをふたりで切除し、夜はCBCテレビで日本シリーズの最終戦(第7戦)を見た。

 【きょうの1番ニュース】実家にいなかった母のことが気になり、あとで電話すると「お母ちゃん、ミカン畑に行っていたから」とのこと。「それよりも、中日調子いいね。勝つ、といいね。(残りわずか、なのに。)しっかり仕事やらなきゃあ。アンタ、中日と読者のおかげ、だよ。ありがたいと思わなきゃあ」と、いつもの調子で言われた。日本シリーズは、ソフトバンクの勝利に終わったが、7戦ともロースコアながら、一球の重みが随所で感じられ、味わい深くていい試合だった。負けたが、これでよかった。

☆「報道監視エネ庁の記事収集 『低俗社説』『勝手な反対派に勇気』 原発批判を中傷し報告 3年で275件『不正確』」、「(ミャンマーの)スー・チーさん国政出馬へ 欧米、政策転換の可能性」(20日付、中日朝刊)

平成二十三年十一月十九日
 落合竜は大相撲で言えば、最期の土俵俵、いわゆる剣が峰で残った。日本シリーズ第六戦が今夜、ヤフードームで行われドラゴンズはソフトバンクに2―1で勝った。私は始めから試合が終わるまで自室テレビの前でずっと見ていたが、それこそ心臓が縮む思いだった。でも、勝ったのだ。
 今夜の試合はドラゴンズ・吉見、ソフトバンク和田の両エース対決となったが、初回ドラゴンズの和田選手が荒木とブランコを一、二塁に置き三塁打を放って2点を先制、四回裏にソフトバンク・内川の適時打で1点取られたものの、八回にはそれまで力投した吉見に代わって岩瀬投手を投入、九回には2死から内川を打席に迎えるところで岩瀬から浅尾投手に継投させ、浅尾が内川をピシャリと抑えた。これでドラゴンズ、ソフトバンクともに三勝三敗で、いよいよあす世紀の決戦がヤフードームで行われる。

 試合後の勝利監督インタビューで落合博満監督は「今の気持ちは」と問われ、「あしたは2011年最後の試合で、本当の天王山といってよい。ここまで持ち込めたのは選手たちが、よくやってくれたからこそ、です。あすは最後の試合なので選手たちに悔いの残らないように戦わせたいと思います」とさわやかそのもの。さらにナゴヤでの三連敗後に「このシリーズ、ホームでは勝てない気がするわ。」と話した点については「さあ、なんなのでしょう。ナントナク(ホームでは勝てない)そういう予感を持ちました。別に霊感を持っているわけでもありません」と続けた。
 またヒーローインタビューで「きょう負けたら終わりなのでやったろうと思っていました。和田さんの先制打が、とても大きく、同点まではいいやっ、と思って投げました。」と答えた吉見投手は「ここまできたら勝って終わりたい。あしたもみんなで力を合わせて勝ちます」と力強く答えた。この日は第六戦を見越して日本シリーズのチケットを手に入れた東京在住のドラファンが空路熊本経由で、特急バスに乗って駆けつけるドラマチックな場面もみられた。ファンとは、本当にありがたいものだ、と思ったしだいである。

 【いがみの権太人間日記】きょうは雨のなか、自宅近くの居酒屋さんに昼食がてら寄ってみた。そしたら、中は夜のような繁盛ぶりで、“じゅんちゃん”なる男性から焼酎をごちそうされ、しばらく歓談とあいなった。このお店、居酒屋とは言え午後六時ごろまでの昼の間しかやっていない、不思議な店だ。ある程度年のいった人には、昼からお酒がのめるだけあって、結構お客も多い。ただ私のような酒飲みとなると、夜ある程度遅くまで開いていてくれた方が嬉しいのだが。店のマスターによれば、なんでも今月からは午後九時半まではやることにしたということで、夜の居酒屋出現には、なんだかホッとしたのである(これまでは昼間の居酒屋さんだったから)。

 【きょうの1番ニュース】Mが先日、解禁と同時に買い求めてくれていたフランス産ワイン、ボージョレ・ヌーヴォーをとうとう、今夜になって日本シリーズ第六戦が終わったあと、この日記を書きながら飲んでいる。フランス・ブルゴーニュ地方で育ったこのワイン、かつては解禁となればマスコミ各社が競って報道したものだが、ここ数年というものは記事の扱いも地味になり一時の人気と比べたらスッカリ、陰を潜めた感じだ。そのボジョレーを飲みながら私はいま、こうして書き続けている。クラッカーを食べながら飲むと、結構おいしい。午前二時半を過ぎた。

☆「<戦艦大和の遺言 中部の乗組員たちの記憶>読者の反響特集 最期の姿 胸に迫る 今、伝えねば/戦友慰めたい…」、「就活厳冬 震災で延期 長期戦/大手で苦戦 ヘトヘトに」、「中川被告 死刑確定へ オウム事件で12人目 最高裁、上告棄却」、「紅葉浮かぶ 光の庭 徳川園」(19日付、中日朝刊)
 「<いま 寄りそう 虹> 笑顔咲く復興食堂 岩手大槌“素人”夫婦が切り盛り 『何もねえ町に明かりを』」、「<2011 竜が舞う> ミスター裏方静かに祈る 57年前、球団職員に転向 足木(敏郎)さん」(19日付、中日夕刊)

平成二十三年十一月十八日
 完敗から一日が過ぎ、中日スポーツの「落合監督 福岡が楽しみ」「さぁ敵地連勝で有終の美」といった見出しに、昨夜の悔しさが少しばかり吹き飛んだ。ああいえば、こう言う(負ければ次への期待を込めて報道する)、そうした御用新聞的な中スには、あえて敬意を表したい。負けても、読者である私自身、励まされた。これとて、ドラゴンズワールドの一員だからこそ、かもしれない。中日ファンなら、多くの読者も皆同じ気持ちだ、と思う。新聞が負け試合に、まさに意気消沈の読者を励ましてくれている。これも新聞の役目かしれない。

 それはそうと、不思議なものだ。けさの中日スポーツ・落合監督のオレ流語録「▼にこやかに質問を制して 聞かないよ。監督がしゃべりゃいいんだろ。▼ナゴヤドーム最後の監督談話 ウチの選手をよく表している。追い詰められないとその気にならんからイカンわ。これでちょうどいい。負ければ終わり。勝てばあと2つできる。そういう戦い方をして、てっぺんまで来たチームだ。▼うっすらと笑みで このシリーズ、ホームで勝てない気がするわ。楽しみだね。福岡が…。」には、全く同感だ。分かる気がする。
 特に『このシリーズ、ホームで勝てない気がするわ。』には、九月二十二日の球団による、契約切れに伴う落合監督の退団発表以降の監督と球団の見えない確執、これに伴うファンの嘆き・叱責などを思い私自身もナントナク、名古屋ではそうした重たい空気といおうか、雰囲気のようなものが妨げとなって選手たちの心理面にまで微妙に影響して勝てなかったのではーという気がしていたのである。

 事務局内でも、きょうは出勤と同時に「地元ナゴヤドームでの三連敗」が話題になり、あるスタッフが言うには「新聞記者の世界でいう“手口犯”というやつで、落合監督の場合、長期で粘り強い試合にはさすがに強いが、短期はどうも苦てなようですね」といった声である。手口犯とは、人によって決まっている犯罪・悪事などのやり方をいい、いわゆる“てくち”ともいう。ということは、別の見方でいえば、この日本シリーズ最後の最後までもつれシリーズとしては長期化して、最後の土壇場になって延長に延長を重ね、落合流の手口で日本シリーズを制するかもしれない。日本シリーズのような短期決戦となると、落合竜の手口からして五、六戦目で勝ちを決めるということはありえず、逆にシリーズとしては長期化し最後の最後に勝つ、という大逆転が起こりそうな、そんな予感がするのだ。

 それはそうと、私が書き続けてきた本欄“いがみの権太の野球日記”も日本シリーズの決着とともに終わる。この二年間、中日ドラゴンズのすべてのペナントレース公式戦を、野球を知らないながらも、ただドラゴンズが好き、ということだけで書き続けてきた。あくまで、密やかに、かつ目立たないようにーとこれまで夜、昼、朝、真夜中…となく、仕事の合間に書き続けてきた。
 今だから白状する。一日のアクセス何百はざらで、時には六、七千ものアクセスを頂いたことが何度か、ある。この間、北名古屋市に住む御年八十歳(とても、そんなお年には見えない)になるファンクラブのお母さん(私は最近、ゴッドマザーと呼んでいる)や、東京の“むさしのガブリさん”ご夫妻、さらには浜(横浜)のドラキチさん、北海道のアイカワさん、福島のHさん、関西のA、Bさん、沖縄のHさん、カトマンズのユウコ、名古屋のさやかさん、大垣の山中さん、一宮のCさん、中スの熱血漢Nさん、Iさんら数え知れないほど多くの方々の助言を得てきており、心から感謝している。

 折も折、東京の読売ジャイアンツの内紛、いわゆるクーデター騒ぎで読売総帥・ワタツネ氏(渡辺恒雄氏)に人事問題を巡ってたてついた球団代表がきょうの臨時取締役会で解任された。なんとも脇が甘い解任劇となった。現場百回、裏のウラを取ってからの反乱には、ほど遠い茶番劇には記者の魂は、どこへ逝ってしまったのかーと、嘆かわしい限りだ。周りからちやほやされ舞い上がってしまっていたのかも知れない。
 こどもたちや被災地の人々に勇気と希望、夢を与えるはずの野球界。苦しくて辛い、ことしほど野球の存在感が天下に知らしめられた年はなかったのに。こんなことでどうするのかーと厳しく叱正したい気持ちである。ドラゴンズ球団とて、他人事でないはずである。みなのぼせ上がってはいけない。被災者の気持になって耳を傾けていかなければ。人間、誰しもひとりぽっちだ。手と手を結びながら前を、上を向いて歩いていこう。

 東日本では宮城、福島、岩手…で一瞬の津波で家族や恋人たちを失った被災者たちが唇をかんで耐え忍び、復興の道を歩んでいる。こうしたなか、一生懸命に諦めないでプレーをし勝った、負けたーの純粋な世界である野球が、どれほどの勇気と励ましを与えてきたことか。この際、野球界に携わる全員が胸に手をあてて考えるがよい。そうした面では落合監督はじめ、選手、球団スタッフはもちろん、ナゴヤドーム、公式ファンクラブスタッフと十一万人に及ぶ会員たちは皆、心をひとつによくやってきた。公式ファンクラブの会員たちも球場によく足を運び、球団の義援金活動にも献身奉公してやってきたと思う。

 【いがみの権太人間日記】ブータンのワンチュク国王夫妻が東日本大震災の被災地、福島を訪れて人々を励ました。一行は相馬市で祈りを捧げ、いまなお苦しんでいる被災地の方々に勇気を与えた。ブータンの国旗は中日ドラゴンズと同じ「龍」だが、ワンチュク国王によると、龍は人間一人ひとりのなかに住んでおり、経験が食べ物で、経験を食べれば食べるほど、強くたくましく成長していくのだ、ともいう。相馬市に住む女性が「国王に握手してもらい涙が止まりませんでした」と話していたのが、とても印象的だった。ワンチュクさん! ありがとう、と叫びたい。

 【きょうの1番ニュース】私が年内で去る、と知った小牧在任当時からの付き合いで現在ナゴヤドームの要職にある、ある女性が事務局を訪れてくれたので同僚一人を誘って食事に出た。ドラゴンズについてあれこれ互いに話し合ったが、別れ際に彼女からチケット二枚を「記念にイガミさんに差し上げます」と頂いた。見ると、名古屋市内の全小学6年生に対してドームが毎年卒業記念として招待している卒業記念の招待券だった。
 そしてその招待券に書かれているメッセージが、これまた素晴らしかった。「両手にたくさんの夢をもって旅立とう 卒業おめでとう 森野将彦」(ことし)「今までも、これからも、出会いを大切に 卒業ありがとう 森野将彦」(昨年)といった内容で、彼女は「私が影のコピーライターなんですよ」とも付け加えた。そうだ。私も両手に夢をいっぱい持ち、これからも出会いを何よりも大切に、新しい道に向かって旅立とう。

☆「コメ初の出荷停止 福島・大波産に政府指示」、「井山(裕太)、初の天元位」、「スカイツリー(高さ六百三十四メートル)世界一に」、「中日3連敗 巻き返しへ 日本シリーズ ソフトバンクが王手」(18日付、中日朝刊)
 「釜石に響け 鎮魂の聖歌 名古屋など10都県の合唱団 19、20日故高田三郎さん=合唱作曲家=作品演奏」、「(岩手県宮古市の)がれき処理現場公開 環境省 16自治体、宮古を視察」(18日付、中日夕刊)

平成二十三年十一月十七日
 今夜の中日ドラゴンズはソフトバンクに5ー0で負け、それも誰がみても完敗だった。敵地のヤフードームで連勝したドラゴンズが今度はホーム球場のナゴヤドームでなんと三連敗、あとがなくなった。
 心理的には皆、これまでお世話になった落合監督をなんとかホーム球場で胴上げしたい、とそのことばかりが先行し、打ち気にはやり、ミスをしてはならないと思うがあまりエラーをする、など完全に歯車の狂った地元・名古屋での三連戦だった。

 試合の方は、きょうも3安打した荒木が三塁を踏めなかったばかりか、先発チェンも一回に小久保の左前打で1点を先行されたばかりか、八回には無死満塁で降板。そればかりか、救援の河原投手が押し出し四球と多村の2点打で3点を加えられた。私は素人考えながら、無死満塁の局面での河原投手の起用は大いなる賭けとはいえ、明らかに間違いだったと思う。“温情起用”もいいけれど、勝たねばならないときに私的感情がもしも働いていたとしたら、これは勝負師として失格である。
 一方のソフトバンクは育成出身の山田投手が3安打無失点と好投したばかりか、摂津、森福、馬原と無失点でつなぎ、ドラゴンズ打線はどうすることも出来なかったというのが、私の偽らざる心境である。
 それとも、あれだけの名将である。落合監督は敵地・ヤフー球場で残る二試合を勝てる、と気持ちの中で踏み、ドラゴンズ最後の監督を楽しみ、あれやこれやと選手を試し、チャンスの場を与えながらの用兵に当たっているのかも知れない。たまたま見たスポーツニュースのテレビ解説で次期監督の高木守道さんが話していた言葉「私はあくまで二連覇に続く完全日本一を遂げてもらい、落合さんが有終の美を飾れたらと願っている。でも、三連敗を見た限り、少しソフトバンクの方が有利かな」と話していたが、その通りかと思う。

 素人めで言わせてもらえば、チームの要でもある谷繁、そしてブランコに本来の調子が戻りさえすれば、勝てると思うのだが。それに井端が好機に打てていない。

 【いがみの権太人間日記】今夜は一塁側のライトスタンドにずうっといた。でも、ドラゴンズが、こうも痛めつけられるとは。屈辱的とも言える三連敗には、もはや、この世の末、目の前が真っ黒にさえ見えたのは、どうしたことか。
 今夜の三連敗は、まるで名古屋の町の明かり、そのものがプッツンと切れてしまったような、そんな感覚にさえ襲われた。でも、名古屋はナゴヤなのだ。ドラゴンズが勝とうが、負けようが、だ。一般人にはあまり関係のないような気がするのも事実だ。中日ドラゴンズが「負けた」から、といって名古屋そのものが消えるわけでもあるまい。
名古屋の人は、誰かさんよりもずうーっと、したたかなのだ。

 【きょうの1番ニュース】ドラゴンズが春のキャンプで何かとお世話になっている沖縄県北谷町の野国昌春町長らドラゴンズ北谷協力会の代表五人が、午前中、中日新聞社内七階のドラゴンズ公式ファンクラブ事務局を訪問。2012年会員の入会手続き(十人分)をしてくださった。一行は昨夜、ナゴヤドームであった日本シリーズの第四戦を観戦し翌朝、事務局を訪れられた。あいにく昨日、きょうと連敗だったが、勝利の女神・野国町長は「きっと勝って日本一になる」と話してくださった。ありがたいことである。

☆「福島市のコメ 規制値超 セシウム 全国初、流通はせず」、「裁判員制度は合憲 最高裁初判断『国民の参加 許容』」(17日付、中日朝刊)
 「<虹いま寄りそう> 陸前高田の仮設小6発案 希望の朝だ ラジオ体操 『お年寄り 元気にしたい』「 “ハチ公の町”歌おう♪♪ 飼い主・上野博士出身 津の団体公募 秋田、渋谷…ゆかりの地盛る」(17日付、中日夕刊)

平成二十三年十一月十六日
 中日ドラゴンズは、今夜ナゴヤドームで開かれた日本シリーズ第4戦でソフトバンクに2―1で惜しくも敗れた。五回に荒木の左前適時打で1点差とし、六回には無死満塁など絶好のチャンスに恵まれながら生かしきれなかったのが悔やまれる。日本シリーズは、これでドラゴンズ×ソフトバンクともに2勝2敗の互角となり、あすからの第5戦以降がどんな戦いになるか、注目される。
 きょうの試合で印象に残ったのは、ソフトバンクの森福投手とファルケンボーグ投手である。ドラゴンズ打線は、この二人に完全に抑え込まれた。特に六回、ノーアウト満塁の危機にホールドン投手から継投した左腕・森福投手の粋のいいピッチングには感心させられた。
 ドラゴンズはせっかくのチャンスを生かしきれなかったばかりか、森福投手に続いて八、九回と継投したファルケンボーグ投手にも為すすべもなく、破れ去った。ドラゴンズの先発川井投手も初回こそ小久保の適時打と荒木の悪送球で2点を取られたものの、その後は立ち直り好投。続く山井、三瀬、浅尾投手ともにまずまずの出来だったが、きょうの試合に関する限りは、ソフトバンクの打撃力と投手力、守備力に“一日の長”があった。

 【いがみの権太人間日記】「母 川口貞子が去る十一月七日に満九十九歳で永眠いたしました。みなさまにはどうぞよいお年をお迎えください」(三重県桑名市、川口譲・静枝さん)といった喪中につき新年の挨拶を遠慮する、とのはがきが、このところ連日わが家に届いている。Aさん、Bさん、Cさん……と皆さん、ことしは大変な年だった。でも、文面からは来年への意欲のほどがそこはかとなく感じられる。合掌―

 【きょうの1番ニュース】テレビ画面に映し出されていたが、ソフトバンクの孫社長がドラゴンズ戦に勝ったあと、ナゴヤドームのベンチで選手一人ひとりと笑顔で握手し健闘を称える姿がなんとも、さわやかだった。ドラゴンズ球団も当然、こうした時には同じように健闘を称えるだろうが、今夜の孫さんの「笑顔の握手」はぜひ、見習ってほしく思う。いずれにせよ、きょうの結果で“日本一”の胴上げは敵地・ヤフードームで行われることになった。

☆「<脱原発考>新潟・メガソーラー好調 雪国だって太陽光発電 パネル工夫 効率化」「『原発の寿命』検討 保安院に専門家聴取会 経産省が表明」、「22年ぶり平壌で熱戦 サッカーW杯予選 日本0―1初黒星」(16日付、中日朝刊)
 「漂着松 岐阜でギターに 津波の記憶奏で続ける 来年3月・震災ミュージカル 被災者100人と共演」(16日付、中日夕刊)

平成二十三年十一月十五日
 今夜、ナゴヤドームであった日本シリーズ。パ・リーグの覇者、ソフトバンクもそうそう負けてばかりはいない。先発摂津が持ち味のコントロールを生かし、ドラゴンズ打線を4安打、散発に封じ、打っては一回表、四球と森野のエラーで2死一、二塁となったところで松田がドラゴンズの先発・ネルソンから中前に先制弾を放ち、四回にはこのところ凡退続きの多村が2ランを、八回にも細川のソロで計4点を挙げ、六、八回と1点ずつ入れて追いすがるドラゴンズ打線を最終回には、あのファルケンボーグが完全に抑えて敵地での初白星を飾った。

 でも、一人のファンの率直な感想としては、この方が、シリーズそのものが盛りあがってよいのでは、と思う。ヤフードームで行われた第二試合までの勢いで、このままドラゴンズが四連勝してしまうより、苦労して完全日本一になった方がファンの脳裏には、より鮮明に焼き付くのでは。 ソフトバンクの秋山監督は勝利後のインタビューに「1勝することが本当に大変だな、と思いました。うちらしい野球が出来てよかった。(1勝をあげて)これで、やっと落ち着くことが出来、あすからまた頑張りたい」と笑みを浮かべていたが、その通りだと思う。一方の落合監督。相も変わらず「まぁ~、そんなに動けてないわけじゃないから。大丈夫だろう」と淡々としていた。

 この日の試合では何と言っても、既に戦力外通告を受けているドラゴンズ・河原投手が小林投手のあとに登板、きっちりとソフトバンク打線を抑えた姿が印象的だった。これも落合監督の温情采配か。戦力外の投手が日本シリーズに出て、その存在感を出す結果になった。河原がんばれ! と声援を送るファンも多かったに違いない。

 【いがみの権太人間日記】きょうは午前中、江南厚生病院でのMの受診に同伴し、昼過ぎ社に上がった。考えてみれば、こうして社に通うのも昭和四十三年からだから、実に四十三年もの長きに及ぶ(もっとも後半の十数年を除いては、大半が地方記者生活だったのだが)。そして新聞社での生活も年内で終わりを告げる。
 受診のあとは、病院敷地内で行われていたJA愛知北の“火曜朝市”を一緒に覗いてみた。ネギ、ダイコン、チンゲンサイ、さといも…と豊富な野菜が並んでおり、Mはダイコンなどを買い求めていた。それぞれの野菜には「がん予防にきく」(チンゲンサイ)「高血圧予防に効果的」(さといも)「漬物、酢の物、炒め煮、おでん、汁の実…と丸ごと利用できる万能野菜」(ダイコン)などの表記があり、やはり、そこは病院の朝市だった。

 サッカー日本代表が午後、北朝鮮の首都・平壌の金日成競技場で北朝鮮とワールドカップ(W杯)ブラジル大会アジア3次予選第5戦をたたかい、日本は1―0で敗れた。日本のフル代表が平壌で試合を行ったのは実に二十二年ぶりだという。

 【きょうの1番ニュース】毎日のわが家での血圧測定を嫌がるM。でも、今日は病院へ行かなければならないので。というわけで、けさ強引に測定したところ、やはり少し高かった。受診では「手術して頂いた頭の後ろが相変わらず何かに引っ張られているような気がします。血圧を下げる薬を飲むと動悸がするので、このところは眠剤(ハルシオン)以外には、薬を飲んでいません」と証言。
 これに対して担当医は少し困ったな、といった表情で「それでは、少し薬を替えてみますから毎朝、一錠だけのんでください。そうして、しばらく様子を見ましょう。それから血圧は出来るだけ測るようにしてください」との弁。薬は「レザルタス配合錠」というもので、なぜか注意書きには“グレープフルーツとはのまないように”とあった。この薬が効いてMの体が回復するのを願うばかりだ。私の心配をよそに、Mはいつもどおりの様子でケロリとしている。
 救いといえば、そうしたMのいつもと何ら変わらない淡々とした表情か。

☆「仮設で特産復活 気仙沼でフカヒレ干し」、「<脱原発考> 浜岡全面停止から半年 『脱交付金』決意の地元 『原発不可欠』中電は維持」、「<特報> めぐみさん拉致34年飛び交う新情報 進展前兆か策略か 『05年生存』報道■『ヘギョンさん結婚』……」、(15日付、中日朝刊)
 「<虹いま寄りそう> ボランティア実りました 『(宮城県)亘理のイチゴ』復活へ 延べ500人再生手助け 収穫『クリスマスまでに』」「TPP交渉 首相『全て対象と言わず』 不参加可能性も言及」(15日付、中日夕刊)

平成二十三年十一月十四日
 月曜日。けさは新聞休刊日のため朝刊がなく、いつもの朝に比べるとナントナク寂しい。最近、ちまたでは若者を中心に新聞離れの傾向にあるという。でも、私の場合はやはり新聞が必要だ。というわけで、中日新聞夕刊をじっくり読む。
 スポーツ面を開くと、まず「竜 敵地で連勝 十回2死 森野が決勝打 アライバお膳立て」の見出しが目に飛び込んできた。「タカ 馬原で連敗」の見出しに目がいったが、ソフトバンクファンにとっては、痛々しいばかりの内容だ。それは「予想もしなかった本拠地での連敗にソフトバンクの選手は余裕を失い始めた。」で始まり「守護神の馬原が2試合続けて決勝点を献上した。……」と続いていた。
 そればかりか、私を唸らせたのは「したたかさでも中日に一日の長があった。」の下りで、記事には「三回1死一、二塁の先制機で内川が打席に入る直前、中日の落合監督から本田球審を通じてバットに不正がないかどうかの確認を求められた。川崎と本多の連打で盛り上がった直後だった」というだけに、まさに機先を制したというべきか、この思いもよらぬ落合監督からの指摘が打ち気にはやる内川の出鼻をくじいたことは間違いない。
 落合監督は、この日の共同インタビューに「私など本当にベンチでじっと見ているだけですから…」と答えていたが、なかなかどうして、そこはしっかりと敵陣選手たちの持つバットから心理状況までも見ている。さすが名将たる所以で、したたかである。
 この後、「気にしなかった」とは言うものの、内川は中飛に倒れ攻撃の芽をつまれた。たとえはどうか、は分からないが、内川を急いて巌流島に乗り込んだ佐々木小次郎と見れば、ドラゴンズは一歩遅れて来た宮本武蔵のような気がする。それはそうと、紙面によれば「第1戦と第2戦が延長戦となるのは日本シリーズ史上初めて」だそうだ。
 夜、テレビのスポーツニュースで見たが、マー君、すなわち楽天の田中将大(まさひろ)投手が今シーズン、19勝をあげ栄えある沢村賞投手に輝いた。マー君は、憎めないキャラクターで多くのファンから親しまれているばかりか「おっちゃんみたいな風貌がかわいらしくて魅力的だ」と、Mが応援している投手だけに、心から祝福したい。シーズンはじめに「ボクは今シーズン、サワムラ賞を取りまあ~す」と大きな声で叫んで約束した夢の実現を自らの努力と気迫で体現して見せた。まさに有言実行とは、このことだ。おめでとう、マー君。

 【いがみの権太人間日記】けさ出勤途中にたまたま出会った昔の記者仲間が社に向かって歩きながら私に向かって、真顔でこう言った。
「ドラゴンズ強いねえ。落合(監督)は、やっぱり違うよ。ちまたでは、落合称賛の声があちこちで沸騰している。このままだとドラゴンズの優勝パレード当日=十二月三日に予定されている=に“落合コール”が沿道で爆発し、パニックに陥るのでは。私の周囲では、これだけ強いドラゴンズに歓喜する人々が多く、落合の契約解除は誤った判断ではなかったのか、といった声まで今になって出ている。オーナーは球団新首脳陣の選択も誤ったのではーと、そんな声まで聞こえてきますよ」と。
 そして彼はこうも付け加えた。「パレード当日にファンの間で反乱軍みたいなものが出てこなければ良いのだが。心配ですね」とも付け加えた。私は何も答えず、ただ聴くだけにしておいた。

 【きょうの1番ニュース】昨日付の中日新聞本紙生活面の新刊紹介コーナーに、長田光展さんの著書「悲しみが癒えるとき」(新水社)が掲載されていた。この著書は日本ペンクラブの作家仲間から紹介を頼まれていたものを担当記者にお願いしておいたものだが、生活面で扱ってくれ嬉しく、かつありがたく思った。私はさっそくお礼の電話をしておいた。長田さんは、伴侶との死別を悲しんでいる人を支える日本・グリーフ・ケアセンター代表で中央大学名誉教授。

☆「野田首相 『自由貿易へ主導的役割』 APEC(アジア太平洋経済協力会議で)TPP協議表明」「加(カナダ)、メキシコも参加表明」、「中日 連日延長制す 日本S第2戦」(14日付、中日夕刊)

平成二十三年十一月十三日
 プロ野球の日本シリーズ第二戦は前日に続き、ヤフードームで開かれたが、今夜も延長十回、ドラゴンズが2―1で勝った。きのうに続いて落合中日ならでは、の手堅い勝ち方だった。ドラゴンズは、これで2連勝。ドラゴンズは吉見、浅尾、平井、岩瀬投手の順に、ソフトバンクも杉内、ファルケンバーグ、馬原、金沢投手の順に互いに一歩も引けを取らない投手戦となったが、結果的に中日の投手力が僅かに上回ったといえよう。
 両チームとも七回には互いに1点ずつを取ったが、延長十回表にドラゴンズが2死から荒木、井端両選手が内野安打と四球で出塁し、一、二塁となったところで森野が左前打を放ち勝ち越した。

 試合後、勝利監督に対する共同インタビューを受けた落合監督は「選手はいい野球をやってくれている。私はベンチで、ただ、じっと見てるだけ。彼ら(森野選手ら)は経験もあるだけに、いいとこ持ってくね」の弁。また(名古屋での胴上げについて聞かれると)「みなさん、そんなに先走らないでください。まだ当分、このユニホームを年内は、着てるわけですから」と話し、心なしか目頭がうるんで見えた。
 この日のヒーローは四回に適時打を打った平田選手、そして十回表にこれまた左前打を放ち勝ち越しの1点を挙げた森野選手だった。ヒーローインタビューのお立ち台に立った二選手は「ナゴヤで優勝を決めたいと思います」(平田)「四つ勝つまで気を抜かずにいきたい。あと二つ。なんとか日本一に。落合監督は、ボクをレギュラーにしてくださった方でお世話になった恩人です。なんとか最後にもう一度、胴上げをしたい。とにかく目いっぱい1戦1戦を戦っていきたいと思います」(森野)というものだった。
 なんだか、テレビドラマのようだ。この光景って。被災地の方々もいろいろ考えながら見ているに違いない。野球って、いいな。晴れたり曇ったり、で。人間の心そのものだから……。少なくともボクはそう素直に思うのだ。

 【いがみの権太人間日記】日曜日とはいえ、午前中、山ほどある、しなければならないことをしたうえで昼から名駅前の名古屋マリオットアソシアホテル内、アイリスへ。ここで私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の仲間でもある、琴伝流大正琴弦洲会会主の倉知弦洲さん(詩人・牧すすむさん)の昇格をお祝いする「倉知弦洲上席大師範(第一位認定)昇格記念祝賀会」があったためである。県知事とか名古屋市長、小牧市長、国会議員のお歴々もおいでかな、と出かけたが、さにあらず。まったくの内輪だけの会、まさしく一門の絆の会さながらで、いかにも家族愛に満ちた牧さんならではの祝賀会だな、と思ったのである。
 おまけに思いもよらず、年の功でか、私に挨拶と乾杯の音頭を、ということなので、まず「牧さん、人間偉くなればなるほど、権力がつきその分人間そのものが壊れていくものだ。最近、プロ野球で云々されている○○さんや●●さん、△△さんたちとて例外ではなく、このところ権力が付きすぎた人間どもの間でいろんな弊害が出てきている。よほど気をつけないと、新聞が権力にすり替わる危険も大きい。牧さん、すなわち倉知会主に限って(権力の乱用のような)そんなことはない、とは思うが、これからも今までどおり門下の方々とは、下から目線で、わきあいあいにやってほしい」などと、それこそ偉そうなことを話してしまったのである。(ちなみに、この栄えある祝賀会には中日新聞豊橋総局次長の原一文さん=元小牧通信局長=も招かれていた)。
 デ、引き続き立たされた乾杯の音頭では「倉知弦洲会主、ならびに会主を慕ってここの集まりに参列されている門下の方々のいっそうの飛躍、そしてご家族の幸せを願ってカンパーイ」とやらかしてしまったのである。失礼がなければ良いのだが…。
 主役の倉知弦洲会主(会主)。昇格により、全国琴伝流大正琴三十万人の頂点に立ったにもかかわらず、あいさつは「これまでどおり一人ひとりの気持ちを大切にしていきたい」と優しく温かいものだった。
 そしてーそんなあいさつのなかでも特に私の心に残ったのは、朝出掛けに「九十五になるおふくろが来て『きょうは何かあるのか』と聴かれたので、それにおふくろは耳が少し聴こえにくくなっているので筆談で(私の祝賀会があると)話しておきました。母はいつまでたっても母で、ありがたいなあと思ってここに来ました」との言葉である。牧さんの母上には、三十数年前、二、三度お会いしたことがあるが、地方政治にも詳しくとてもステキな女性だという印象がある。(牧さんは早くに父を失くし、母子家庭で育った努力の人だ)。

 【きょうの1番ニュース】現在、メキシコで銀行員として活躍されている牧さんの次男敦(あつし)さんが昨年、当時の勤務地だったチリで結ばれた新妻を連れ、父の祝賀会に駆けつけた。私が小牧通信局長時代、ちいさな子どものイメージしかなかった、あの敦ちゃんが一人の男として突如、私の目の前に現れたのである。それも、とびっきりステキな新妻アキコさんと一緒に、だ。彼はついこの間まではニューヨークで働き、まもなく今のメキシコからコロンビアへの転勤も決まっているそうだ。ついでながら私の大学の優秀な後輩でもある。
 その敦さんが父と兄・崇さんの記念合奏(「サーカス」など五、六曲)のあと、司会の女性に感想を求められ、こう述べた。
「父は(私を育ててくれ)、私が世界で1番尊敬している人間です。その父と兄の演奏をこうして聞けたのが何より嬉しいでした」と。(ちなみに牧さんの長女メグちゃんはイギリス人と結婚、出産してまもないので祝賀会には、これなかったという)。

☆「福島第1敷地内を公開 高線量まだ危険 所長『死ぬと数度も』」、「接近 跳ね上がる線量 福島第1公開ルポ 3号機横最高1ミリシーベルト 行動厳しく制限 崩れた建屋無残」「ふくしま作業員日誌 マスク解除 怖くない? 47歳の男性(聞き手=東京社会部・片山夏子)」、「巨人内紛 渡辺氏『謝罪求める』 代表に反論 批判は『名誉毀損』」(13日付、中日朝刊)

平成二十三年十一月十二日
 プロ野球の日本シリーズ第一戦がきょうの午後、ヤフードームであった。中日ドラゴンズ、ソフトバンクホークスともに延長十回までもつれ込んだものの、最後は落合監督率いるドラゴンズが2―1で初戦を制した。
 私はファンクラブ事務局で仕事をしながらテレビ観戦をしていたが、この日はドラゴンズがチェン、ホークスは和田投手が先発、一歩も譲らない投げあいで試合が進んだ。ソフトバンクは四回裏、長谷川の適時打で1点を先制したが、七回表、ドラゴンズの和田選手が和田投手から本塁打で1点入れ、試合はそのまま均衡した状態で推移。延長十回の表にドラゴンズの小池がファルケンボーグに替わった馬原から、左越えソロホームランを打ち万事休すに。ホークスはその裏の浅尾、岩瀬の継投になすすべもなく、敗れた。
 私はテレビ画面に映し出されるドラゴンズのビジターファンの多くが2006年の公式ファンクラブ初年のユニホーム(ブルーメッシュジャージー)に身を包んで応援してくれている姿に、ある種の感慨を感じたのである。こんなに多くの人たちが初年度のユニホームを今も大切に着て応援してくださっている。そうした姿に胸がつまる思いにかられた。これらビジター応援客のなかには、地元九州はもとより、ドラゴンズをこよなく愛し、東京や北海道、東海各地、関西からも大勢が訪れているに違いない。本当にありがたい、ことである。

 試合後のインタビュー。この席で落合監督が述べた言葉で特に印象に残ったのはー
「(このまま勝ち進んでナゴヤドームで監督の胴上げをみたい、との声も多いですが、の質問に対して)勝負というものは、そんなに簡単なものではないはずだ。選手には、その日その日を、悔いのないゲームにしてくれれば、それで良いと思う。」

 【いがみの権太人間日記】福島第一原発の事故現場がきょう報道陣に、防護服着用を条件にバス車内からに限って、公開された。NHKの記者によると、爆発や津波の爪痕は想像を絶するものだったという。その敷地内では、きょうも千五百人もの作業員が防護服姿で復旧作業に当たっている。公開に当たっては、細野原発担当相も同行、記者団に「なんとしても年内の、冷温停止状態(原子炉の温度が安定的に百度を下回る状態を、言う)の実現を目指したい」と話す姿が痛々しく印象的で、私は悲劇が悲劇を産むことだけにはならないように、と天に向かいて祈った。

 【きょうの1番ニュース】中日ドラゴンズ公式ファンクラブ会員でかつ、ファンクラブのお母さん、通信員でもある安江都々子さん(北名古屋市在住)が本日付の中日新聞夕刊本紙連載企画<竜が舞う 2011>に「若竜一筋心の励み 24年間応援『ドラゴンズの母』 北名古屋の女性『球場は心の診療所』」の見出しと写真入りで紹介され、大変、嬉しく思った。
 安江さんとは、私も過去六年の間、お付き合いしてきているけれど、彼女が若い選手を思う気持ちは生みの母親と何ら変わらない。今シーズンもナゴヤ球場で行われた2軍戦には皆勤(他にビジター球場への遠征もしばしば)され、温かい声をかけられる姿には、ただただ頭が下がった。
 こんな安江さんだが、昨年暮れには腰を痛めて大手術をされた。でも、不屈の精神でこれを克服、ことしも毎日ナゴヤ球場に顔を見せ、若い選手を見守り、励まし続けてこられた。まさに、ドラゴンズ選手たちにとっては、かけがえのない“ゴッドマザー”と言っても言い過ぎでない。

☆「首相 TPP交渉参加表明 APECで伝達へ 『医療、農業守り抜く』」、「巨人代表が渡辺氏批判 プロ野球『コーチ人事に介入』」(12日付、中日朝刊)
 「福岡で日本シリーズ開幕」、「いびがわマラソンで『宝物』発見 少女の成長 道徳教材に 運営手伝い 郷土愛芽生え」、「弁護士7割『仕事減った』 全国調査 司法試験合格者増え」(12日付、中日夕刊)