いがみの権太野球日記・6月13日、笛猫同時進行
平成二十二年六月十三日
きょうもドラゴンズは、札幌ドームで日本ハムと戦い、5ー0でアッサリと負けた。なんだか無性に腹立たしい。たとえ負ける、にしても、だ。もう少し、ファンを納得させる試合はできないものか。
それでも、「いやいや、みな一生懸命にやっているのだ」と「自重の鐘」を鳴らすのだが、これだけ完敗が過ぎると、堪忍袋の緒が切れる寸前のファンも多いに違いない。もう少し「らしい野球」をしてほしい。ただこうした負け続きにファンは、どこまでついてくるのか。それが気になるが、胸の痛みを共有して前を向いて歩いて行くほかない。
今一度ケータイのドラゴンズ情報を見てみる。評には、こうあった。
「2試合連続で、零敗で借金1となった。打線はケッペルの前に2安打に抑えられ、来日初完封を許した。先発の川井は1回2死満塁から二岡の二塁打で3点先制され、リズムに乗れなかった。」
【笛猫日常茶番の記】きょうは、オトンとオカン(M)が名古屋に行く、というのでお兄(にい)が名鉄の江南駅まで車で送って行きました。なんでも中部ペンクラブ主催の常滑ゆかりの詩人谷川俊太郎さんのお話と詩の朗読の会「魂のいちばんおいしいところ」(場所は池下のルブラ王山)を聞きに行ってきたみたい。
Mにとってはそれこそ、大手術後、初めての名古屋ゆきだっただけに、体が心配だったけれど夕方には元気で帰ってきたので安心しました。オトンはいつもなら、引き続き行われる懇親パーティーに出るのだけれど、Mのことが心配で一緒に帰ってきました。
オトンは、その代わり知人でもある高井泉さんの清水信文学大賞受賞の近刊小説集「歌舞く(Kabuku)」を一冊購入して帰り、満足そうでした。高井さんは自らの主宰誌「創造家」を創刊して以来三十年、終始、動詞主義に徹した前衛精神の作家でも知られるそうです。
それはそうと、帰宅後、Mがポツリとオトンにこう、話していました。
「せっかく今夜、宇宙から宇宙航空研究開発機構の探査機・はやぶさが地球に帰ってくるのだから、はやぶさの帰還を、即興の詩に託してほしかった。だって“20億光年の孤独”を書いた彼が、何度もの挫折を繰り返して、はるか地球のかなたから帰ってくる『はやぶさ』をどういう感性で見ているのか知りたいじゃないの」だってサ。
オトンによれば、お話と詩の朗読会の質問タイムで彼女は最初に手をあげたが、たまたま「ほかの手」に先を越されてしまい、断念。谷川さんにとっても、それで良かったのかも知れない。Mの感性に彼がどこまでついてこれるのか、彼の話を聞く限り、オトンの耳と目にはいまひとつ疑問に映り、少し心配だったからだ。それよりも、Mにこそ同じ質問を与えたい。はやぶさへの思いをおまえは、どんな俳句に託すのか、を。いくつもの挫折の末に帰還する“はやぶさ”は、新聞記者の妻、そして俳句詩人として何度も生と死の境をくぐり抜けてきたMの世界そのものなのだから。甘っちょろい世界とは違うのだ。早くその唄をつくってほしい。
きょう、オトンが一番嬉しかったこと。それは、Mが地下鉄東山線の小さな旅にも大丈夫だったことと、高井さんから「伊神さんの奥さんだって。かれんな少女みたいで、なんだかバレリーナがやってきたみたいだ」とおべっかを言ってくださったこと、そして何よりもいつも迷惑をかけ放題の文芸「きなり」代表・石川好子さんにMから直接お礼を言うことが出来たことだ。
詩の会の方は、地方色を出そうとするあまり、対談の相手役を務めた中部ペンクラブ会長・三田村博史さんが、ちと常滑に、それも政治の世界に足を踏み込み過ぎたのが難点だった。でも、三田村さんの誕生日にステキな会が催された、その熱意と努力には敬意を表したい、とのことでした。
作家にも、文芸評論家にも、にせものと本物がある。
オトンは、この日あらためて長谷川龍生、清水信、大河内昭爾、太田治子、中西進、青木新門、最匠展子、日高てる、三宅千代、三宅雅子、吉岡忍、山崎国枝子、黒井千次、小中陽太郎、阿刀田高、中田重顕、戸田鎮子、鈴木孝、堀井清、松嶋節、眞鍋京子、内藤洋子、畑裕子、紫圭子、吉村登、長澤奏子、尾関忠雄、石川好子、棚橋鏡代、名村和実…ら本物(まだまだ数え知れない)の偉大さの味をかみしめたんだってサ。
これらの人々は、マスコミなどに甘やかされることなく、すべて自らの努力で歩く道を切り開いてきた人たちばかりだ。
☆「無抵抗、何度も刺す 一宮の高3殺人未遂 通り魔的な犯行か」(中日・社会面)「はやぶさ、きょう帰還 研究者ら最終準備 2010年宇宙の旅」(毎日、2社面)
平成二十二年六月十二日
今夜の札幌ドーム・日本ハム戦の結果は、自分からはチェックしないでおこう、自然に耳に入るままに任せよう。そう心に決めていたが、午後十時三十一分に例によってわが家の玄関先をこじ開ける如く「ドラ☆パ・メルマガ6月12日号」が入り、半ば胸をときめかせて開いてみた。
結果は、みるも無残。思わず画面から目をそらせた。何やっとる! おまえら誰のおかげで高給もらっとるんだ! と、貧民街で生きぬく“いがみの権太”としては、怒鳴り散らしたくもなってくる(が、ここは抑えて、抑えてーと自らに言い聞かす)。
ファン心理としては中日スポーツと同じで「負けた時なぞ、読みたいとは、これっぽっちも思わない」のに。思わず、あ~あ、とため息が出る。気を取り直して画面に目を注ぐとー
「打てない、守れない。また9失点完封負け。しかし、2軍ではエース吉見が復活の気配です。無料で配信中ですので、ぜひご覧下さい」とあった。
さらに読み進めると▼中田賢いまだ1勝▼ネルソンみそぎ失敗▼吉見、近いぞ1軍復帰…
―これでは配信者が、可哀想だ。気持ちを察するに、こちらまでが胸の痛みを感じてしまう。ちなみに、ダルビッシュは7イニングを無失点で5勝目をあげた。
きょうは新生ナゴヤ球場での2軍戦に先だち、中日ドラゴンズ公式ファンクラブ会員を対象とした打撃練習見学会とお楽しみ抽選会が屋内練習場で、そしてグラウンドでの試合の始球式では会員から選ばれた父子による初めての始球式も行われ、このところファンサービスの徹底ぶりが喜ばれている。
現に過去四年の間に、顔見知りとなった多くの仲間たちも参加。あちらこちらで「ごんたさん」と声をかけられたが、皆さん、どの方も顔が生き生きと楽しそうだった。オリックス戦の方は3―1で負けてしまったが、こちらは、これだけファンの皆さんに喜ばれたのだから良し、としたい。この日、新生ナゴヤ球場には、2764人が訪れた。
【笛猫日常茶番の記】きょうは土曜日なのに。お父さんったら。相も変わらず知らぬ間にどこかに雲隠れ。それでも夕方、満足そうな顔で「良かった、良かった」と言って帰ってきました。どうやら、最近、改装を終えたばかりの新生ナゴヤ球場に行ってきたみたい。なんでも公式ファンクラブ主催の屋内練習場での打撃練習見学会やら、会員から選ばれた親子の始球式が初めてあったみたいで、それに行ってきたみたいだよ。
練習見学会のあとは、選手直筆のサインボールやサイン色紙、秘蔵のグッズや野球本が当たるお楽しみ抽選会まであり、みな大喜びだったそうです。
「いやはや、ファンサービスも公式ファンクラブが発足した2006年当時と比べたら、ずいぶんと進んだものだ。これも事務局の担当をはじめ、全スタッフがそれぞれの持ち場で気持ちをひとつに頑張ってこればこそ。むろん、球団のおじさんたちはじめ、ナゴヤドームの人たちの強力もあればこそ」なんだってサ。
あ~あ、それなのに、今夜の札幌は、またまた負けてしまい…。せっかくファンクラブのおじさんたちが、ファンのことを思って一生懸命に努力してくれているのに。少し残念で~す。野球には無関心を装うMが言ってた。「勝たなければ。誰も喜ばないのよ」だって。
そういえば、Mもオトンと同じで2006年の初年度からの公式ファンクラブ会員なのだから。口数は、誰かさん以上に極端に少ないがその分、ドラゴンズを思うこ・こ・ろは、すごく熱いのだから。要は勝たなければいけない、ということ。アタイもシロだって、気持ちはMやオトンと同じなのだから。
オトン曰くー
「ナゴヤ球場の売店が、美人の売りこKさん同様に、またステキでいい。枝豆に始まり、おにぎりセット(六百円)、ひつまぶし弁当(七百五十円)、助六セット(六百円)と皆『ご好評につき完売』だった。仕方ないので千円の幕の内弁当を買って食べたが、本音を言えば、ひつまぶし弁当を食べたかったのだってサ」
☆サッカーの世界一を争う四年に一度の第十九回ワールドカップ南アフリカ大会が十一日、開幕した。四大会連続四回目出場の日本は一次リーグE組で十四日にカメルーンとの初戦を迎える。
平成二十二年六月十一日
ほんとうの野球をまだまだ知らないボクとしては、きょう素直に喜べる大変嬉しいことがあった。
それは、中日新聞のスポーツ面「球心」に載っていたドラゴンズ・落合監督の言葉である。それによると、一カ月ぶりに勝率5割に戻った前夜。落合監督は「明日から開幕だと思え」と口にしたーと書かれた下りである。「明日から開幕だと思え」に、並々ならぬ前向きな姿勢を感じたからだ。そしてドラゴンズは翌日、楽天に勝ち勝率を五割に戻した。
ちまたでは落合監督(の主にマスコミに対する接し方)に対して、半ば自嘲気味に批判する人間も多い。こうした人たちには彼の「明日から開幕だと思え」の言葉を反芻してほしい。闘将、いや勝負師として当然じゃないかと反発されそうだが、彼とて真剣なのである。言っておくが、監督に媚びを売る気なぞ、天下の“いがみの権太”としては、さらさらない。世の中、自身が甘やかされ、自らに対する厳しさに欠け、他人の心情を考えることができない、勉強不足で自分勝手な輩に限って、人に対して甘い批判ばかりをする。でも、しかしだ。
「明日から開幕だと思え」の言葉を、ここでみんなで今一度あらためて噛みしめようではないか。勝負の世界だ。たとえ、どこかの誰かさんであろうと“ごっこ遊び”をしているわけでもあるまい。別に落合監督に限らず、ニンゲンだれとてツルゲネフの言葉のように「あすは、あすこそは」という思いで、けなげに生きている。人間はみな同じだ。か弱き存在ーだからこそ、ボクは監督の口から出た、この重い言葉にある意味、信頼の強さを感じたのである。
パリーグとの交流戦も終盤にきて。シーズンは、いよいよ重要な局面にある。十日には体調の不安で井端までもが欠場した。これからは、待ったなしの試合が続く。ファーム暮らしの若手選手にとっても大いなるチャンス到来だけに、こうした時のスーパースターの続出を願いたい。ありきたりな言葉ではあるが、ピンチこそチャンスだ。ファームで成果を出している堂上兄弟はじめ、多くの可能性に対して監督にはこの際、思い切ったカードをどんどん切ってほしい。これとて野球を知らないボクだからこそ、言える言葉か知れない。
この世には、こんな言葉もある。
それは「玄人(くろうと)意識、危うし」だ。だから選手の起用ひとつを取っても、一般のファンが素朴に思っていることを時には実現してくれたらいいな、と思う。落合監督! 十分、お分かりでしょうが、これも重要なファンサービスの一つなのですからネ、とお願いしておきたい。
【笛猫日常茶番の劇】アタイは、この野球日記が始まってから、お父さんの部屋で一緒に過ごすことが多くなった。深夜未明というのに、いつも自室デスクの前でパソコンを前に、辞書を引くなどしてなにやら一心不乱になって書いているためです。そんなアタイにオトンは時折、独り言を繰り返すように合槌を求めてくるのです。
けさも早朝、誰よりも早く家を出て大学で講義をしたあと、社に戻って、与えられた大切な仕事をしてきたみたい。大学の「芸どころ名古屋」と題した授業では、琴伝流大正琴の弦洲会会主・倉知弦洲大師範と長男崇さん父子の親子鷹演奏を学生に見てもらったのだって。倉知さん父子は三千人の門下を抱え、中国の万里の長城や、ニューヨークのカーネギーホール、日本武道館など世界を舞台に活躍中の演奏家だけに、学生たちはみな大喜びで、充実した授業になったそうです。
この倉知弦洲さん、じつはオトンとは兄弟の契りをしたほどの古くからの仲間で、オトンが主宰するウエブ文学同人誌「熱砂」の強力メンバーの一人、牧すすむさん(詩人)その人なのです。牧さんは、都はるみさんの「恋の犬山」でも知られる作曲家でもあるのです。その牧さん親子は、大正琴の授業を終えると「あすは上海万博での演奏のため中国に行かなければ」と教室を、あわただしく後にされました。
☆郵政改革法案の先送りに反発した亀井郵政相が辞任、連立は維持。中日新聞夕刊1面は「菅首相、所信表明 財政再建へ超党派会議」「『国民の信頼回復』責務」といった内容。なかで目立ったのは「異例の自叙伝風演説」の下りで、その中の一説は次のようなものだった。
――首相は「私の政治活動は、今をさかのぼること三十年余り、参院選に立候補した市川房枝先生(故人)の応援から始まりました」と強調。市民運動母体の選挙活動で事務局長を務め、車で全国を横断するなど「まさに草の根の選挙を展開した」と振り返った。
当選した市川氏が当時の経団連から企業献金のあっせんを中止する約束を一時取り付けたことにも触れ「一票の力が政治を変える。当時の強烈な体験が私の政治の原点だ」と訴えた。……
平成二十二年六月十日
今夜はKスタ宮城でチェン投手が投げ、ドラゴンズは楽天に7ー2で勝ち、ひと安心した。これでチェンは今シーズン4勝5敗となった。二年ぶりに4番打者となった和田が先制の二塁打を放てば、野本も2点適時打、その後も小刻みな加点で勝利をものにした。ちなみに、このところ不振のブランコは5番打者。一ファンとしては、3番・森野、4番・和田、5番・ブランコの新打線が、こんご火を噴くのを祈るのみだ。
きょうは250セーブ達成を目前にしたドラゴンズ・岩瀬投手の出番はなく、またまた名球界入りは持ち越しになったのである。野球というもの、人生劇場と同じでなかなか思い通りにはいかない。また、そこに人それぞれの悲哀と哀感が感じられるのである。
【笛猫日常茶番の劇】お父さんによれば、宮城県で発生した家畜の伝染病・口てい疫が感染の範囲を拡大し、深刻な事態となってきている、とか。家畜とペットの違いこそあれ、同じように人間社会とは、運命共同体的存在でもあるアタイたちだけに、痛ましい限りです。新聞やテレビは口てい疫はとうとう都城にまで飛び火した、と報道。発生農場では牛208頭が処分され、家畜農家の悲痛は広がるばかりだ、と聞きます。
「農家の心中を慮るに、深刻さも度を越してきた」と語るお父さんの傍らではMも心配そうに、何も言わないで画面に見入っています。では、どうしたらよいのか。各自治体とも、消毒薬を配るなどはしているのですが……。記者の問いかけに、ある宮崎県民がポツリと呟いたのが、次の言葉でした。
「だれが悪いというわけでもないのに」
そう、だれが悪いと言うわけでもないのに、事態は悪化し深刻化の一途を辿っているようです。このままだと黒豚で知られる鹿児島県産の豚や牛にまで被害の範囲は広がりかねない、と日本中が“口てい疫”の感染域の拡大に神経をとがらせているのです。
アタイもシロも事態の行く末を、このまま見ているだけで良いのでしょうか。
「だれが悪いというわけでもないのに」。あまりに悲し過ぎます。
☆共同通信の全国緊急世論調査によると、菅内閣の内閣支持率は六一・五パーセントに上った。JR東海がIC乗車券を不正に使っていた社員百十九人に対して懲戒解雇(四人)などの処分。
平成二十二年六月九日
ドラゴンズはKスタ宮城で楽天と戦い、4―1で敗れた。この日は、ドミニカンのバルデス投手が先発。楽天は4回裏、3四球で2死満塁とし、嶋の左前打で2点を先制、この後も二塁打と打線がつながり、計4点をあげた。これに対してドラゴンズは五回まで毎回走者を出しながら、好機を生かせず、新井のプロ初本塁打で永井の完封を逃れるのが、やっとだった。これで中日は3連敗、貯金もなしになった。
それにしても、きょうの試合に関する限り、ボクには岩瀬の250セーブ達成を目の前に、チーム全体が緊張感に萎縮してしまっている、そんな気がしてならないのだ。僅かな光明と言えば、新井がプロ発本塁打を打ったことと、岐阜出身の、あの素朴な岩田投手が1軍のマウンドに立った、ということだ。ともあれ、あすは伸び伸びと戦ってほしい。
【笛猫日常茶番の劇】お父さんが話していた。
文芸評論家の清水信さんが文芸誌「北斗 六月号」に連載している『ひたすら書いた人たち・女人列伝(吉行理恵)』の中で、飼い猫の名前のベストワンに触れ、雄ではソラ、雌ではモモだ、と。ちなみに品種の一位は、スコティッシュフオールドだってサ。5個の2並びで珍しがられた平成22年2月22日に、ペット用保険会社が発表したのだそうです。
それでも、「男嫌い」という連作集を書きあげた吉行理恵は、猫には「雲」とか「トンボ」とか「ロミ」とか「ミイ子」とかいう名前をつけてるんだってよ。
アタイの名前「こすも・ここ」と妹シロの本当の名前「トンヌラ」、そして大垣で別のお兄ちゃん・夢登と住んでいる「タンゴ」という名前なんて、おそらくほかには無いと思う。み~んな、オトンが勝手につけたんだから。でも、アタイもシロもすごく気に入ってる。ほかの名前が出たからといって、ひがんでなんかいませんから。誤解しないでください。
ここで余談ながら、わが家の歴史に燦然と輝く先輩猫「てまり」に触れないわけにはいかない。彼女はオトンの転勤に伴い、生まれ故郷の能登半島七尾から、はるばると岐阜県大垣にまで来て一緒に暮らしていたそうです。でも、その日、日課になり始めていたトイレを兼ねた戸外散歩に出してもらった早朝、運悪く車にはねられて死んでしまったのです。あのとき、夢登兄ちゃんが、てまりを抱きかかえ「てまり! 大丈夫だ、死ぬな! 死ぬんじゃない」と大粒の涙を流しながら、家族で動物病院に駆け込んだ日もつい、きのうのようだと言います(アタイもシロも、そのころはまだ、この世の中に生を受けてはいませんでした)。
アタイたちの家族の話になると、どうしても最後は“てまり”のことになってしまいます。てまりは死んでも、てまりの心はオトンやM、夢登たち家族の心にいつまでも生きているのです。そしてアタイも、シロも、タンゴも、その意思を受け継いでいかねばなりません。
☆菅内閣が本格始動。「いじめを受けた友人を救えなかった」と川崎市の市立中学三年の男子生徒が遺書を残して自宅トイレで薬品自殺した。私も所属する日本ペンクラブは九月二十三日~三十日まで「環境と文学―いま、何を書くか」をテーマにした国際ペン東京大会を東京都内で開くが、その内容を紹介する記事が中日新聞の夕刊文化欄に掲載された。
平成二十二年六月八日
本日付中日新聞スポーツ面はやはり「岩瀬 悪夢の救援失敗」「記録の重圧 逆転負け」の見出しに、ワードクリックの言葉は「結果は取り返しがつかない 次、やるしかない 岩瀬」というものだった。
救われるのは、同じ紙面の大リーグ情報で「松井秀、会心9号」だ。【シアトル=時事】発の記事によると、「米大リーグは6日、各地で行われ、エンゼルスの松井秀は当地でのマリナーズ戦で9号ソロ本塁打を含む5打数2安打1打点と活躍した。マリナーズのイチローは3打数2安打1打点。10戦連続安打とした。試合はエンゼルスが9―4で勝ち、5連勝。カブスの福留はアストロズ戦で5打数2安打。パイレーツの岩村はジャイアンツ戦に代打で出場し、二塁打を放った」とある。
新聞といえば、Y紙が運動面の「時代の証言者」で“ホームラン王 王貞治”(最終回)を紹介。王さんが、この中で「僕は野球しか知らない人間です。まずは、野球というスポーツの素晴らしさを子どもたちに伝えることから始めたい。…僕の868本の通算本塁打記録は破られてもいいんです。記録はいずれ超えられるものだと思っていますから」の言葉が胸を打った。記事では、7月3日からヤフードーム(福岡市)内にオープンする「王貞治ベースボールミュージアム」についても触れられていた。
夕刊では中日新聞の「スポーツが呼んでいる(藤島大)」の「落合監督 無愛想 変種の発信力」が的を突いており
、大リーグ情報では、レッドソックス松坂投手の「日米通算150勝」が、素直に嬉しい。
【笛猫日常茶番の劇】きょうは、なんだか、このニッポンが再生され、新しくなったような、そんな気がするの。それと言うのも、お父さんやMが期待する菅さんの内閣がいよいよ今夜、発足したからです。(ただしMは、まだまだよ。もう少し見てみなければーと慎重派です)
菅さんは就任の弁で持論でもある戦争や貧困など不幸の要因を少しでも無くしてゆく「最小不幸」の世直しを強調、高杉晋作の奇兵隊になぞらえて庶民が中心となった内閣にしたい、とその決意を話されたのです。
きょうのポイントは、こ・れ・だ・けです。
Mが、このところ頑張り過ぎなのでお父さん曰く「何事もいいころ加減にしておかなくっちゃあ」と。アタイもシロも、そう思っている。完璧になんでもしようとするから、破綻が生じるーこれが、オトンの持論なのだから。“いいころ加減”と言うと、なんだか語感はよくないが、「いいころあい」なのだから。要は、あまり高みを望まないで自分のペースで少しずつ前進する、ということなのだから。ネッ、お母さん!
アタイたち。Mの命は地球より重いと、そう思ってるんだから。無理しないでください。
☆新聞によれば、文化審議会は、きのう社会で使う漢字の目安となる常用漢字表について、「俺(おれ)」「鬱(うつ)」など百九十六字を追加して「匁(もんめ)」など五字を削除し、計二千百三十六字とする改定常用漢字表を川端達夫文部科学相に答申した。年内にも告示されるという。
平成二十二年六月七日
今夜のナゴヤドーム。250セーブ達成を目の前に、守護神・岩瀬投手が打ち込まれ、ドラゴンズは西武に3―4で敗れた。先発川井が7イニング無失点と好投、その後、浅尾が本塁打を打たれはしたが、九回岩瀬が登板するまでは、3―1で勝っていた。それだけに、これはなんという悪夢。1死満塁から高山の2点適時打で同点とされ、石井義の左前打で勝ち越された。岩瀬が打たれてしまったのでは、もはや、どうにもならない。「250セーブ」を前に、やはりプレッシャーが重くのしかかったとしか言いようがない。次回チャンスを待とう。
【笛猫日常茶番の劇】わが家は、みな、誰もがほんとによく働く。いや、人間という生きものは大半がそうかしれない。なかでもMは病み上がりというのに、朝から二階ベランダに寝室の布団を干したり、洗濯物を干したり、室内の雑巾がけをしたり、トイレの掃除をしたり…と、それは、めまぐるしい。最近では、そこにお兄ちゃんからMにプレゼントされた宇宙ロボットがポロロン、ポロロンと部屋中を掃除して回っている。
Mは元々、小柄で華奢な割りには、百万力というか、力は怪力だけに、始末に終えない。
下手にお父さんが横から手出しでもしようものなら「あなたは、いい。返って邪魔なの」と言ってとりあわない。Mったら、全く強情なのだから。オトンは出る幕がない。けさの彼女の動きを見ると、往年の怪力が戻ってきた、と言えなくもない。実際、腕相撲をすると、何度やってもMの方が勝ってしまうのだから。シンジラレナ~イ(もしかしたら、オトンが力を一杯出したふりをして負けてやっているのかも知れない。でも、これは内緒。彼女は自分の方が強いと信じているのだから)。
オトンは負けるつど「おまえには、かなわん。おまえは世界一、強い女だ。オレは馬鹿力でなく、技なのだから。どんな怪力がこようが、そこは相手の体勢を崩してヒョイヒョイと、投げ飛ばしてしまう」と、そう言う。でもMは決まって、こう反論する。
「あなたは強い、強いというけれど、実際に柔道やってるところ、わたし見たことないもの。ホントニ強かったかどうか。怪しいものだわ」と。
なんだか、ベランダで昔の口げんかが、それも楽しそうに始まり、どっちの話を信じてよいのか分からなあ~い。要は、Mの体調が良くなってきた証拠でもあり、アタイもシロも内心は嬉しいのだ。でも、オカン! あまり滅茶しないでよ、ね。
みんなで心配しているのだから。それに頭の後ろ半分が、まだ何かで密閉されたように「重い」のでしょ。手術で、その部分はなくなったのだから「返って軽くならなきゃいけない」のに。担当医の説明によれば「次第に元に戻ってくるはず」とのことだが、まだまだ油断禁物だよ(もっとも、担当医からは、何をしても大丈夫です、と言われており、医師には忠実なMが、それを体現しているのかもしれない)。
平成二十二年六月六日
9―0。きょうは本拠地ナゴヤドームでコテンパンにやられた。相手は西武、それも岸投手とあれば仕方あるまい、ともう一人のボクが慰めてくれている。昨夜、あれほど素晴らしい試合をしたのに。きょうのドラゴンズは、惨敗だった。
よく、プロ野球は筋書きのないドラマといわれる。だから、きょうは九回裏の大逆転に期待していたのだが。そうは問屋が卸さなかった。
【笛猫日常茶番の劇】アタイ、きょうは、暑くて仕方がないので、ずっと涼しいところを見つけては寝ていた。そうなると、やっぱり保存紙の置いてある袋のなかとか、お父さんの部屋のソファの上に限る…。というわけでグーグー、スウースウーと鼾までかいて寝てしまいました。アタイも、もう年なのだから。でも、そんなアタイのことを、Mったら。「こすも・ここは、いつだってマイペースなのよ」だって。
「お水が欲しくなれば、ニャアーニャアーとうるさくなき、トイレをすればしたで、部屋じゅうを駆け回ってアッピールするのだから。人間のことなぞ、これっぽっちも思ってなんかいないわ。自分のことばっかり」
Mは、そう決めつけますが、アタイもシロもMのからだのことだけは、いっぱい心配してます。でも、正直いって、こうして一緒に楽しく過ごしていられる。それだけでアタイもシロも幸せで、大満足なのです。
そういえば、お父さん、先日の日本人宇宙飛行士・野口聡一さんが乗ったロシアの宇宙船ソユーズの着陸に関連してアタイたちに、こんなことまで教えてくれた。
「二、三日前の新聞に書いてあったが、この銀河系だけで太陽のような恒星が2千億はあり、またそうした銀河となると宇宙に1千億もあるそうだ。去年、宇宙に長期滞在した若田光一さんの帰還を皇后さまは<夏草の茂れる星に還り来てまづその香を云ひし人>と詠まれたそうだが野口さんの乗ったソユーズが土を舞い上げて草原に下りる姿は、それこそ牧歌的だったそうだ。オトンは、な。野口さんも五ヵ月半ぶりに“地球の人”になったと聞き、胸がジーンとなってしまった。無限に広い宇宙のなかでオレたちがこすも・ここやらシロちゃんに、こうして巡り会っただけでもありがたいと思わなければ、な」だってサ。
平成二十二年六月五日
ある会に出席するため、名鉄知多半田駅で下車したところで、携帯を手にドラゴンズ情報を見る。思わず「ヨシッ」の声が漏れた。
わが家を出た時はまだ、1ー0とロッテに負けていた。その後、試合が進み半田に着いた時はドラゴンズが6―3と逆転していたのだ。勝っていれば心のランプは点き、負けていれば消える。ドラゴンズは、それほどまでに大切な存在だ。
結局、この日は7―6で勝ち、中田賢が今シーズン初めての勝利投手に。岩瀬投手が250セーブに王手をかけ、森野が1000試合出場と自己最多タイ7戦連続打点、井端も1500安打達成と、さながらメモリアルデーの観に。とりわけ光ったのが、四回裏の中川裕貴外野手のひと振りである。1死二塁、左中間へのプロ入り初の本塁打が同点の2ランとなった。今季初スタメンでの値千金のプロ1号同点弾が、打線に火をつけ逆転勝ちとなったのである。
それこそ、今夜の勝利は、めでたさ満載ともいえ、エオエーエオエーと、両手を合わせて“めでた~めでた~の 若松さまは……”と思わず、懐かしの七尾まだらを歌いだしてしまいそうな、そんな心境である。それとも、能登半島に住むドラゴンズファンなら、いまごろ酒膳を前に、一人悦に入って飲み、うたい始めているやもしれない。野球とは。ドラゴンズとは。勝てば、これほどに、いい酒が飲める。
【笛猫日常茶番の劇】きょうは土曜日。お父さんは、朝早くから近くの福祉センターへ出かけていった。なんでもMが通っている俳句教室に彼女の最新作を届けに行ったみたいだ。ついでに、俳句仲間から先日いただいたお見舞いに対するお礼も言い「うちの(M)は、おかげで順調に回復しつつあります。七月からは、また教室でお世話になるかと思いますので、今後ともくれぐれもよろしくお願いします」と、そうお礼を兼ね、お願いしてきたんだって。
そして。オトンは午後になると、電車に乗って、どこかに出かけていってしまったー(オトンは、電車、それも鈍行に乗るのがホントニ好きなのだから)。
夜遅くご帰還したかと思ったら、アタイを抱きしめ「オイッ、元気でいたか! オトンはな、ちと冷酒を飲み過ぎてしまったのだ。知多半島には捨て難い祭りがいっぱいある。そういう民俗の英知は大切にしなければ」だってサ。もう、そろそろ年なのだから。あんまり飲みすぎないでね、って言ってやった。
☆ボクとMにとって、第二のふるさとでもある三重県志摩半島の志摩市浜島で伊勢えび祭りが行われた。その昔、まだ二十六、七歳だった地方記者のボクが当時の谷水浜島町長に「伊勢えびの町」宣言をたきつけ、実現。新聞社のヘリが祝賀飛行し祝賀メッセージを落とした日々が懐かしい。
中日スタジアムのH社長が、祭り会場とは目と鼻の先の黒崎の浜で「わが敗残の記」を残し、自決したのも、そのころだった。妻よ子よ、私にすべて責任がある。許してほしい、と毛筆で書かれた遺書を胸に丸一日、海添いの町を走り回った。世に言う、中スタ事件勃発の日でもある。ボクたちは、あの日々を永遠に忘れないだろう。
平成二十二年六月四日
選手も観客も、どの人間とて、人生という道を懸命に生きている。 ナゴヤドームで延長十一回にまで及んだ、今夜の熱闘(対ロッテ戦)につくづく、そう思う。
試合の方は八回裏のベンちゃん(和田選手)の起死回生弾に続く十一回裏のブランコによるサヨナラ弾が功を奏してドラゴンズは土壇場で5―4とし、今シーズン七度目のサヨナラ勝ちとなった。4時間36分にも及ぶ死闘で、それこそ選手、監督はじめ、観客らドームにいたありとあらゆる全員に「お疲れさま」とねぎらいたい。でも、勝てばこそ、疲れが報われる。
このところ中日スポーツで盛んにBMWという表現が使われる。それも決まって頭の部分に「不敗」の二文字も、だ。Bはブランコ、Mは森野、Wは和田選手を指し、BMWがそろって打つと試合は勝つ。現に今夜はBMW砲が炸裂し、不敗神話は21連勝となったのである。
きょうはこうした花形選手の陰で咲いた一輪のかれんな花についても記しておきたい。それは「勝ち投手・平井」だ。実に2008年9月14日の横浜戦(横浜)以来の白星となった。今夜は延長十回に登板すると、1点も与えられない緊張感の中で2イニングをノーヒットにおさえ、サヨナラへのお膳立てを整えた。心からおめでとう、と言いたい。
ところで、今夜のセサルくんはどうだった? 3打数1安打で通算打率も2割8厘にまで伸ばしてきた。今後が楽しみだ。セサルは、なぜか気になる、要するにボロクソに言われながらも結構かわいがられる天性のキャラクターに恵まれている。そんな気がしてならない。要はドラゴンズの選手としては珍しい、えも言われぬスター性があるのである。
【笛猫日常茶番の劇】きょうは、政治家の中では、誰よりも信頼できるあのカンさん(菅直人)=だってお父さんが、そう言い切るのだもの=が鳩山首相の退陣に伴う衆参両院本会議で第九十四代、六十一人目の首相に選ばれ、お父さん、なんだか嬉しそうだった。むろんオカンのMも一緒。二人ともいつもテレビのニュースで政界の体たらくを見ながら「カンさんなら良かったのに」と嘆いていただけに、これからの政治には大いに期待していいと思うの。
何よりお父さんがいい、と言うのは、菅さんは純粋培養の市民運動から出た本物政治家だから。このところ続いていた二世、三世議員の首相オンパレードが、やっと庶民の手に戻ってきた。そんな感じがするのは、アタイたちにだって分かります。
菅さんといえば、すぐ思い出すのが生前、婦人参政権獲得に奔走した市川房枝さんだってサ。菅さんは、昭和四十九年(一九七四年)の参議院選挙で当時、立候補を固辞していた市川さんを「あなたしかいない」と説得し自ら選挙事務長となって応援、若者主導の一大ブームを起こしたそうです。オトンとMは、あのころからの菅さんびいきで、当時は社会正義心に燃えて志摩半島を飛び回っていたのだから。片や市民運動の若きリーダーとして、いま一人は名もなき地方記者として、です。
オトンによれば、市川さんは尾張(愛知県尾西市)の出身で、名古屋新聞(のちに新愛知と合併して中日新聞となる)の女性記者第一号だった。戦前は「婦人参政権」獲得運動に力を注ぎ、戦後は政治家となり女性の地位向上、政治浄化のために尽くしたそうです。参院選全国区でトップ当選した翌年の昭和五十六年(一九八一年)に八十七歳の生涯を閉じた。だから、菅さんは、紛れもなき市川房枝党なんだそうですって。
その市川さんが生前、選挙があるたびに口癖にしていた言葉をオトンから教えられたんだ。
「出たい人より、出したい人を」がそれ、なんです。国民にとって、菅さんはまさに「なってほしい首相」とも言え、多くの大衆が長年、求め続けてきた「夢」が実ったのだから。菅さんには、初心を忘れることなく日本を平和な国に導いていく責任がある。それからね。オトンったら。「今度の首相は姉さん女房の奥さんがいい。彼女が庶民の気持ちを、豪腕できっと代弁していってくれるはずだ」だってサ。菅さん! 奥さまと手をつないで、日本を少しずつ良くしていってくださいね。
☆海の向こうの米大リーグでは、エンゼルスの松井秀樹選手がカンザスシティーでのロイヤルズ戦で、「5番・指名打者」で出場し、3打数3安打2四球と全打席で出塁。3試合連続の複数安打と好調。チームも5―4で競り勝った。ワールドカップの最後の強化試合が四日、スイスのシオンで行われ、日本はコートジボワールと対戦、0―2で敗れた。日本はW杯フランス大会に出場した一九九八年六月以来十二年ぶりの国際Aマッチ4連敗と厳しい現実を突きつけられた。
平成二十二年六月三日
ボクの中では、きのうドラゴンズがスカイマークスタジアムで無情にも食らってしまった歴史的敗戦が一日たったいまなお、余韻となって残っている。オリックスを相手に「7―0」が、瞬く間に引っくり返され「7―10」で負けてしまう、なんて。なかなか出来る芸当ではない。そうした面では、めったに見られない、歴史に残る名勝負だった、と言ってよい。
よくよく考えると、球史に残る試合だっただけに、ボクのこの野球日記にもその片りんを中日スポーツの紙面の中から書き留めておきたい。
――シンジラレナーイ…。中日が2日のオリックス戦(スカイマーク)で歴史的敗戦を喫した。中継ぎ陣の乱調で八回の1イニングに7点リードを追いつかれ、最後は延長十一回、チーム今季最長の4時間49分の末、サヨナラ負けだ。7点リードからの逆転負けは、落合監督就任以降ではワースト。考えられないような1敗。もう、笑ってすますしかない。(6月3日付中日スポーツ1面)
ただ、そうした中にあって、セサル選手は4打数4安打、と絶好調だ。これからの彼の活躍ぶりを注意深く見守ってゆきたい。
【笛猫日常茶番の劇】退陣を表明した鳩山由紀夫首相の後継を選ぶ民主党代表選ですが、岡田外務、前原国土交通大臣の両氏とも、菅直人副総理兼財務省を支持する意向を固めたみたい。あす、党所属の衆参両院議員計四百二十三人による投票での代表選でいよいよ後継者が決まる。お父さんは、前から「なぜ菅さんでないのか」と不満そうだっただけに、いよいよ待望の菅首相誕生も夢ではなくなったよ。
政治から家の話になっちゃうけれど、Mとオトンは朝、食事を終えると、いまやゴミ運搬車と化したマイカーでゴミ集積場へ。不燃物を中心としたゴミ回収の日だからで、ふたりでえっちらおっちら、とゴミを出してきたみたい。Mは、こうして少しずつ日常生活にもどりつつあるのです。オカンのMは、アタイとシロとでいつも、見守っているから。
平成二十二年六月二日
社から帰る途中、携帯電話のドラゴンズ情報で今夜の試合経過を確かめる。7―0の大量リードに対オリックス戦は勝ったものと思いこんだのが誤算だった。その後、ドラゴンズは八回裏に大量7点をはね返されたあげく、延長十一回裏にはオリックスに3点を入れられ、10―7で完全な負けに終わった。
さすがに、この負け方には何も言い訳などする必要もあるまい。
【笛猫日常茶番の劇】きょうの最大ニュースは、鳩山由紀夫首相が辞任表明をしたことです。テレビ画面に映し出される町なかでは道ゆく人々に号外が手渡されていました(新聞社によっては、経費削減上から、張り出し号外だけを出したところもあるようです)。
そして。夕刊各紙には「鳩山首相が退陣」「小沢幹事長も辞任 普天間、政治資金で引責」「4日代表選 菅氏が有力」「小沢氏『補佐できず反省』」「政権交代 期待裏切る」「7月11日参院選投開票変わらず」「鳩山首相 辞任」「小沢幹事長も引責」「カネ、普天間迷走 政権交代8カ月半」「後継、菅氏が軸 4日代表選」といった見出しが躍りました。
でもネ。お父さんったら。「来るべきものが来た、なんだか胸のつかえが下りたような、そんな気持ちだ。あんな嘘ばかりを言う信頼のおけない、腐り切った人間には、政治を任しておくわけにいかないのだ」だってサ。「驕るもの久しからず、とはよく言ったものだな」とまたまた、アタイたちに相槌を求めてきました。アタイもシロも、同じことを感じていたのでニャアーン、ニャアーンとだけ、答えてあげたの。
以下は、お父さんの独り言―
「そういえば、きょうは六月二日だ。あの明智光秀が本能寺へと丹波亀山城を出立したのが、天正十年(一五八二年)六月一日。部下たちは、まだ謀反について知らされてはいなかった。ところが、翌二日になり光秀は部下たちに『敵は本能寺にあり』と告げ、夜明け近くになって本能寺を取り囲んだ明智軍が攻撃を開始し、初めのうち弓や槍で戦っていた織田信長も最期は、奥の間で切腹して果てたのだ。鳩山首相と信長を比べるのは、器も大違いで愚の骨頂かも知れない。ただ鳩山首相が自ら退路の切腹(辞任)を決めたのは、一体いつか。これは、いろいろ報道されてはいるものの実のところ本人にしか分からない。
そこで、オレは思うんだよな。もしかしたら、案外わが子(鳩山首相)へのカネの問題で一躍有名になった、あのお母さん、またはタカラジェンヌ上がりの奥さんから『おまえ(または、あなた)、もうみっともないから、およしよ。潔くお辞めなさい』と言われて覚悟したのかも知れない、と。
いつまでも権力にすがっているよりもスパッと、やめた方が良いに決まっている。それにしてもこの世の中、権力が大きくなればなるほど、自身の見分けがつかなくなり、人間そのものが壊れ、破戒の道を転げ落ちてゆく。少し周囲を見渡しただけでも、そうした哀れな輩がいっぱい、いる。オトンは、な。瘠せても枯れても、そうした見苦しい人間だけにはなりたくない。どこまでも清く。貧しく。美しく。生きていきたいのだ。分かったな」
☆国際宇宙ステーションで五カ月半(163日)の長期滞在を終えた日本人宇宙飛行士野口聡一さん(四十五歳)ら三人を乗せたロシアの宇宙船ソユーズが日本時間の二日午後零時二十五分、中央アジア・カザフスタンの草原に無事、着陸した。
平成二十二年六月一日
ところは、名古屋市内のとあるスポーツバーで。
九回表のスカイマークスタジアム。それまで2―3で負けていたドラゴンズだが、昨日(五月三十一日)の本欄で美しい奥さんをほめたたえられたのが、よほど嬉しかったのか。累上のセサルが谷繁の適時打に、井端に続いて脱兎の如くホームベースに突っ込んだ。一瞬の沈黙のあと、審判が「セーフ」を告げると、店内には思わず、拍手が沸き起こった。「セサルやるな!」の声。
やはり、勝ちはいいものだ。
きょうの試合を見る限り、落合監督の目の光りと腕の組み方、仕草などから「これ以上は負けられない」といった気迫が感じられた。ボクはボクなりに度々見られたベンチ前の円陣にチームの執念を感じつつ、心のなかで「おまえら、下手な試合ばかりを見せやがって。高校野球のつもりでやってみろ。勝たないかん」と、叫んでいた。このところのドラゴンズは、どいつもこいつもプロとは言えないお粗末なプレーが続いていたのである。
「貴様ら、年俸に見合うだけの仕事をせんか! 」
五回裏。オリックスに3点を入れられたときには、店内で誰かがテレビ画面に向かって大声でそう怒鳴っていたが、ボクにはその気持ちがよく分かるのである。
そればかりか、これまで3連敗だっただけに、今夜の勝利の酒には嬉しさが込み上げてきた。同僚の誰もが笑顔で満足そうだ。やはり、こうでなくっちゃあ。この勝利をどれほど多くのファンが待ち臨んでいたことだろう。最後は25〇セーブを目前にした岩瀬が先頭打者にヒットを打たれながらもなんとか、持ちこたえ最高の勝ちパターンとなった。
勝利投手は浅尾(4勝2敗1S)。岩瀬は今季14セーブ目である。ちなみに超速報電子新聞ケータイ中スポの最新記事には「6・1谷繁&和田&ネルソン 谷繁9回逆転V打◆和田捕った!打った!!◆ネルソン復帰即150キロ、とあった。あすの中日スポーツが楽しみである。
【笛猫日常茶番の劇】きょうは午前中、お父さんも付き添ってMが退院後初めて病院へ。CT検査などの結果、順調な回復ぶりでアタイたちも、ひと安心です。それでもMは結構疲れたみたい。帰宅したら、すぐにサンルームで横になってしまったので、アタイもシロも気を遣ってそばで黙って交替で座っていました。
Mはまだ頭が重くて、なんとなく気持ちが悪いばかりか疲れやすい、など完全ではないみたいです。でも、担当のイケメン医師が「まだまだ、お若いのですから。十年ぐらいやそこらは、お元気に、生きていただかなければ」と優しい口調で真剣に症状などを聞いてくれ、アタイたちもありがたいことだ、と思ってます。
それに久しぶりにお会いした看護師さんからも「奥さん、入院当初の、あのどことなく曇った元気のなさそうな表情からすると、いまは顔がパッと光り輝いて見えますよ。格段によくなっています」と太鼓判まで押されたんだって。まだまだ油断禁物ですが、ゆっくりと慌てないで少しずつ良くなっていってください。ね、お母さん。
お母さんと言えば、きょうはオトンのお母さんが満九十歳を迎えました。「和田村に初めて電気の明かりがついた日が私の誕生日」というのが、彼女の自慢です。いまも自分で車を運転して畑に行って農作業をし、取れた野菜を車を運転してオトンのところまで持ってきてくれる女傑なんだから。これからも永く生きていてほしく思います。
☆中日新聞の地域経済面によれば、名古屋市千種区のシニアソムリエール島幸子さんと広告会社新東通信会長・谷喜久郎さんに、スペインの伝統的製法で造られたスパークリングワイン「カバ」の日本での普及に貢献したーとしてスペイン文化勲章「アルフォンソ十世勲章」が贈られ、現地のメーカーなどでつくるカバ振興協会サン・サドゥルニから「功労騎士」に任命された、という。島さんは、これまでにも何度もお世話になっているだけに、拍手を送りたい。彼女のたゆまぬ努力のたまものだ、と思う。
最後の吉原芸者・みな子さん=本名・長尾みつ=が三十一日、がん性腹膜炎で死去した。九十歳だった。A紙によれば、みな子さんは北海道に生まれ、1931年、十二歳でお座敷にあがった。戦災で吉原(東京都台東区千束)が焼けた後も現役芸者を続け、行進の育成にも力を注ぎ、四月二十二日に入院するまでけいこをつけていた、という。
地中海では、イスラエル軍が武力行使で国際支援船六隻、人権団体八十人を拘束、あげくにネタニヤフ・イスラエル首相が武力行使によって死者が出たことに「遺憾の意」を表明しながらも「兵士は身を守る必要があった」など正当防衛の見解を示し、国際社会に波紋を投げかけている。
平成二十二年五月三十一日
きょうは、月曜日。プロ野球がない日なので、チョッピリ寂しい。早くドラゴンズの勝利を味わいたい。
この日記に記すことをうっかり忘れてしまっていたが、昨日のソフトバンク戦、あえて一筋の光明を指摘すれば、新外国人選手セサルの活躍である。開幕から不振続きだったが初めて3安打の猛打賞をマーク。4回無死一、二塁では大隣の速球を中前へ運び四月二日の阪神戦いらい、94打席ぶりのタイムリーを放った。この日の活躍ぶりを見る限り、さすがはメキシカンリーグで昨季のMVPに輝いたスイッチヒッターだといえる。
そのセサル選手だが皆さん! けさの中日スポーツ11面の会報中スポ版のトップニュースを読んでくださいましたか。「教えて!! 奥さん」シリーズに奥さんのアンドレアさんが登場しました。ボクはセサルさんよりも、この見目麗しき、美人妻に魅かれてついつい読んでしまいましたが、やはり「選手の陰に献身妻あり」です。この記事のなかで一番うれしかったのは、ドラゴンズファンについて「熱心に応援してくれ礼儀正しい」といった下りでした。
それとセサルさんって。八歳と三歳の女の子、五歳の双子の男の子に恵まれており「あと二人はつくる予定です」と大変な子ぼんのうなんですね。わが子のためにも、今後ますます活躍してほしく思います。
ところで、この会報中スポ版、ほかに公式ファンクラブのボランティア通信員ふたりによる先に改装されたばかりの新生ナゴヤ球場のルポ「私は見た、聞いた、そして感動した」はじめ、ファンクラブイベントの数々を網羅したお知らせから、会員のお宝紹介まで、本当に盛りだくさんな内容です。なんでも、公式ファンクラブのマスコット・ガブリの五歳の誕生日を記念して会員限定の生ビールとクライマックスシリーズ優先予約権の付いた「ガブ飲みチケット」の販売が、あす、六月一日から始まるとか。対象試合は七月十五日の対ヤクルト戦だそうです(詳しくは中日スポーツ紙面を読んでください)。
【笛猫日常茶番の劇】実はきのう、この欄にアタイ(こすも・ここ)の写真が載ったら、あちこちからすごい反響の声が届いて驚いちゃった。みなアタイのこと「かわいいね」だってサ。おせじとは知りつつ、なんだかくすぐったくって。
この反響の大きさはメールの打ち返しや、オトンへの直接の連絡から分かったの。中には「それにしても哲学的雰囲気のネコちゃんですね」だって。そんな声まであったそうで、もう恥ずかしいったら、ありゃしない。
それでもお母さんのMったら。オトンが「いやあ~、こんなに反響があるとは、な。やはり、御歳十四、五歳(実年齢)のこすも・ここは普通の猫とは違う。天才だ」と言うと「違う、違うの。こすも・ここも、シロちゃんも単なる普通の猫ちゃんよ。普通だから、いいんじゃないの。どこの家でも、自分ところのが一番いいのだから。変わらへん。変わらないんだから」なんだって。Mって。ホントにクール過ぎるよ。
それよりも、こんど、そのうちに妹シロ(オトンは神猫と呼んでいる)の写真が登場すると思うけれど。それは、それはすごく気品があるんだから。彼女は、毎朝早くからMの枕元で両足をそろえてチョコンと座っている。そして、オカンが起きて階下に下りていく時には、そのすぐあとをついて下におりて行くのだから。その献身ぶりときたら、とてもアタイなんかにゃ、まねできないよ。
アタイもシロもMやオトンたちの愛に支えられ、毎日が本当に充実してる。大垣と関東に住むお兄ちゃん、それから親類や知人の皆さん、Mはその後、順調です。アタイたちで守り抜いてみせますから。心配しないで、ネ。
☆この日、岐阜県白川村の世界遺産・合掌集落では「白川郷田植え祭り」があり、田植え唄が流れるなか、女性約二十人が四アールの水田に入り、昔ながらの装いで苗を一本一本、ていねいに植えていった。民主党では、鳩山由紀夫首相に対する責任論が日増しに高まっている。当然のことだ。どこまで面の皮が厚いのか。それとも甘やかされてきたのか。プロ野球の監督なら、とっくに自ら辞任している。政界よりもスポーツの世界の方が格段に潔い。
平成二十二年五月三十日
ドラゴンズは今季二度目の三連敗を喫した。初回に3点をあげ、ソフトバンクに先制しながらも逃げ切れなかった。5―5の延長十一回、2死三塁から平井投手が川崎に左前打され、勝負を決められた。ドラゴンズの先発は中田賢投手だったが、期待には応えられなかった。
でも、どの選手も一生懸命にやっている。そう思うと、そんなに責めるわけにもいかない。要は三連敗という苦しい現状をいかに克服し、再びペナント争いに躍り出てくるか、だと思う。どの選手も全力投球で、それぞれの立場で努力していると思うと、そうそう軽はずみに「何やっとるんだ」と名古屋弁で責めたてたところで、天に唾するようなものだ。
それよりも、きょうのヤフードーム。延長の末の勝利、それも今季二度目のサヨナラ勝ちだけに、九州のソフトバンクファンは喜んだに違いない。試合内容も、そこそこだっただけに、結果的には敵陣に塩を送ったわけだ。
【笛猫日常茶番の劇】日曜日で~す。きょうのお父さん、Mと花屋さんとかスーパー、お袋さんの家に行き、午後は、しばらくの間、どこかに雲隠れしていたみたい。でも、案外早く帰り、あとはパソコンの前で何やら難しい顔をしてキーボードを叩いていた。なんでも、いまアタイが書いたり、オトンが書いたりしている連載記事が容量を超えてしまったためで、原稿を出したり入れたりして加工するのに手間取ってたみたいだ。
途中、「熱砂」編集長の碧木ニイナさんにも電話をかけ、あれやこれやと相談する姿を前に、アタイはグーグー、すやすやと眠ってしまった。時折、アタイがグーグー、スウスウと鼾をするので「おまえは、いいなあ~」だって。あれやこれや、と言われてしまった。
ところで、オトンたら。何を思ったのか。ひと段落ついたところでアタイの目を見て、こう話しかけてきた。
「一度、鳩山首相と落合監督を交替させてみたら、どうか。八方美人の誰かさんなら、ファンサービスにはピッタリあうではないか」。
それこそ、まっこと真剣なのだから。でも、あれやこれやと言われはするものの、落合さんなら、へんに敵に媚びることもなく政権も安定するのでは。半面、鳩山首相がプロ野球、いやドラゴンズの監督をしたら、それこそ暴投間違いなしだな、だって。アタイは半分寝ながら「なるほど。落合さんなら、政権運営は案外うまいのかも。この先、ひょんなことから、日本のリーダーになったところで、決して不思議でない」と、そう思った次第です。
☆社民党はこの日、東京都内で常任幹事会と全国幹事長会議を開き、連立政権からの離脱を正式決定した。昨年九月の政権交代で発足した民主、社民、国民新三党の連立体制は八カ月あまりで崩壊し、鳩山由紀夫首相にとっては大きな打撃になった。サッカーのワールドカップ南アフリカ大会に臨む日本代表が三十日、オーストリアのグラーツで強豪イングランド代表と強化試合を行い、1―2で逆転負け。
平成二十二年五月二十九日
ドラゴンズはヤフードームのデーゲームで、4―2でソフトバンクに敗れた。先発チェン投手は完投したものの、多村や松中、山崎、本多ら相手打線に打ち崩された。あと一歩。我慢のしどころだ。
先日の金沢に続く黒星。やはり負けが続くと、心は重い。空までが翳って見えてくる。
ただ、きょうは、ボクの気持ちのなかでたったひとつ、納得してよい“事件”がある。それは、オレ流ノックをキャンプ前から封印していた落合博満監督が、昨日とうとうヤフードームのグラウンドに自ら立ち、内野陣にノックの雨を降らしたことだ。闘将たるもの、こうでなくっちゃあ。その時々に応じたすばやい措置が取れないのでは、資格はないのだ。そう、たとえノックの封印を宣言していたところで、そこは選手を信じていたからこそで、これだけのエラーだ。(今シーズン十二球団のワースト一位で二十八日現在の失策数が44)。
この際、徹底的に選手たちを切開手術してくれなければ。年俸に応じた厳しさで臨むのが当然である。一般の観客は食うか食わないか、のなか、懸命に働いて僅かなお金を稼いで球場まで足を運び、ドラゴンズの勝利を生きる支えにしているのだから。プロならプロらしく、と危惧していた折も折のノック開始となった。
要は人間、ああいえばこう、といった具合に言葉を繕っていたところで、それはアガキにも等しく、やがては化けの皮がはがされるだけで、何も始まらない。進歩はない。この際、守りの野球が出来ていない落第生たちを鬼となり、徹底的に痛めつけてほしい。それが監督の仕事というものなのだ。だらだら、しゃべっている暇があるなら、バットを自ら持て、新聞記者なら筆を持てよ!、と言いたいところだ。
つくづく思うに野球は武道と比べ、甘い。昔のそれこそ、オレなら、とおの昔に手が出て、往復びんたの一つや二つは出ている事態なのである。野球を知らないボクでも取れそうな球を、だ。それも一流のはずの者が、ポロポロ、ポロポロとミスをするなぞ、もってのほかだと言いたい。
中日スポーツの見出しには「地獄ノック」とあるが、まだまだ、ボクの感じる限り、甘っちょろい。地獄じゃないのだ。まっ、ともあれ、選手に自立を求めてやまない落合監督自らが危機感を持ってきた。そうした点では、あすからの試合、期待してよい気がする。たとえ負けようとエラーのない、見応えある試合をファンは待っている。
おそらく今の事態には巨人ファンでありながら、やはりドラゴンズに好意的でもある短編の名手、日本ペンクラブ・Aさんとてドラゴンズのこのありさまを強力ライバルの衰退として嘆いているに違いない。今度、ボクに会ったら、きっと、こう話しかけてくるだろう。
「おやおや、ゴンタさん。一体、ドラゴンズ、どうしちゃったの。守りの野球の片鱗もないじゃない。辻さんみたいな人材がいるのに。あの人のプレー、大好きだったよ」と。ということは、み~んなアレコレ言いながらドラゴンズの野球に期待してくれている証拠でもある。ドラゴンズが強くなければプロ野球は面白くない、と皆思っているのだ。
【笛猫日常茶番の劇】きょうは、土曜日。Mは朝から店に出かけたが、午後には帰ってきた。オトンは修理に出していた商売道具のデジカメを取りに行ったり、携帯電話の支払いに行ったり、新聞や本を読んだり、Mが元気でいるかどうか、をお店まで見に行くなどしていた。でも、大半は自室に籠って、なんだか知らないが休む暇がないほどに、電話をしたり、書きものをしたり…で、あれやこれやに、追われていたみたい。
時折、思い出したように、傍にきてアタイの顔をポンとたたき「オイッ、元気でいるか」だって。シロと一緒にオトンのあとをついて回り、時々、ニャアーン、ニャアーン…と甘えた声を出したりしてやった。これが、人間社会で言う「平々凡々」って、言うやつなの。
☆中日が今夏、日本一に初めて輝いた1954(昭和二十九)年のユニホームを復刻させることがきょう各紙に報道されている。八月十七日からの巨人3連戦(ナゴヤドーム)と二十四日からの同3連戦(東京ドーム)が予定されている。誰が発案したのか。選手に昔のユニホームを着てもらうことにより、ファンに過去の夢を再現させるもので、なかなか良い試みだと思う。
平成二十二年五月二十八日
全く情けない限りだ。
けさの中日スポーツをあらためて読み返し、心の底からこう、思った。ほんとに、情けないプレーだ…。これでは、プロとはいえないのではないか、と。一体何をしているのだ。
3面の見出し「今季ワースト4失策」「ファンだって」「叫びたい」「辻コーチ『プロ』として恥ずかしい」「金沢の観客にせめてものおわび 9回森ブラ(森野・ブランコ選手の意)連弾」が、すべてを物語っている。
さらに衝撃だったのは、ポロリ、ポロリ…と恥ずかしげもなく、ミスを重ねたブランコ、森野、荒木、大島選手の凡プレーの写真である。「守り勝つ野球」は、完全にどこかへ消え去ってしまった。
もう一つ気になったのは、ドラゴンズが屋外試合に弱いという、現実である。石川県立野球場での日本ハム戦に敗れ、今季18試合目となった屋外球場での勝敗は5勝13敗の勝率3割8分5厘なのだ。今からでも決して遅くない。なんとか挽回してほしい。ちなみに昨季の屋外球場での試合は計57あり、32勝25敗、勝率は5割6分1厘だった。
大リーグの方はレッドソックスの松坂投手がボストンでのロイヤルズ戦に先発し、五回途中2安打9四死球3失点で敗戦投手になった。これで今季3勝2敗。松坂は、まだまだ苦しんでいる。
【笛猫日常茶番の劇】きょうのお父さん、朝は七時には自宅を出て、夜になっても、なかなか帰らないので少し心配しちゃった。それでも、(二十九日)午前零時を少し過ぎたところで、玄関ドアが開く音がするので聞き耳を立てていると「ただいま」とオトンの声。アタイは、玄関まで出迎えようとも思ったが、オトンのためにはならないと思い、そのままいつもの部屋でふて寝を決め込みました。
そしたら、オトンったら。真っ先にアタイのところに来て開口一番、「大事件発生でもない、というのに悪かったな。オカン(Mのこと)のこと守っていてくれ、ありがとう」だってサ。
Mによれば、昔、オトンがまだ現役の事件記者だったころには、流しの殺人(殺し)だとか、サンズイ(汚職事件、職を汚す、の「汚」の字がサンズイ篇であることから、汚職のことを業界言葉の隠語として、こう呼ぶ)、災害など、ちょっとした大事件が起きれば、そのつど連夜の未明帰りが続いたり、家を出て現地取材に出かけたまま何日も帰らなかった、こともしばしばだった、とのことです。
だから、Mはわきまえたもので夫が夜遅くなって帰らなくとも、泰然自若としたものでした。何も知らないアタイとシロばかりが帰りの遅いのを心配していたみたい。でも、帰ってきてくれ、再びオトンの顔を見れホントに嬉しかった。シロまでアタイのところに来て帰ったばかりのオトンの足元にシッボを突っ立て体を寄せ、お腹の中でゴロゴロと音を鳴らして見せていたんだから。よっぽど嬉しかったのだろうね。
そしてオトンはアタイたちに向かってこう、話してくれました。
「けさは、ナ。大学生に対する講義をしなければならなかった。それも朝一番、午前九時から一時間半もの授業だ。おまえたちとは話ひとつしないで家を飛び出しゴメン。でもな。学生たちはみ~んな、いい子たちばかりだった。全員が平成生まれで、目がキラキラ輝いていた。それからな、夜は(大事件のような発生ものでもなく、最初から分かりきっている紙面なのに)出来上がってくる大刷りが遅くなり、チェックや手直しに時間がかかってしまった。人間社会は、ナ。脳足りんばかりの集合体だから。たまには、こういうこともあるのだよ。悪い、悪かった」
オトンが遅かったこと以上に、アタイたちにニンゲン以上の心で接してくれている。そんなオトンという人間を、アタイもシロもますます好きになってしまったのです。
きょうは、ここらで。皆さん! おやすみなさい。
☆政府はこの日夜の臨時閣議で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古への移設を明記した対処方針を決定。鳩山由紀夫首相は、閣議での書名を拒んだ社民党党首の福島瑞穂消費者担当相を罷免した。社民党は連立政権を離脱する方向で、民主、社民、国民新の三党による連立政権は発足後、約八カ月で崩壊することになった。
でも、ボクに言わせてもらえば、民意の軍配は、明らかに鳩山首相より福島党首の方に上がった。福島党首を高く買い、信頼する伊神権太としては「こんごも引き続き日本の平和、いや世界平和を守り続ける」名投手(党首)であり続けてほしく、願う。
平成二十二年五月二十七日
年に一度の金沢での日本ハム戦。石川県立野球場で行われた交流戦―残念ながらドラゴンズは、日本ハムに9―5で負けた。必勝を期して送り出された吉見投手が初回にプロ初の押し出し四球を連発し、その後も修正がきかないままの大敗で、北陸のファンを落胆させた。
当地を訪れていたファンクラブの仲間たちによると、きょうの金沢地方は風が強くて、結構、寒かったという。慣れない地方球場とはいえ、今夜の敗退ぶりでは、何を書こうとしても脱力感ばかりが残り、あまり書きたい気持ちにもならない。これも、一種のファン心理なのか。
【笛猫日常茶番の劇】お父さんったら。きのうの朝、地下鉄丸の内駅で降りた際、愛用の白い傘を車内に忘れてしまい、少しションボリしていた。でも、地下鉄を降りると同時に駅に届け出ておいたため、きょう駅長室まで行き、自分の傘であることを確認のうえ、持ち帰ることが出来たんだって。
Mにまた、見舞いが関西の女性から届き、「こんなことしなくって良いのに。でも、ありがたいなあ~。早くよくなるよう家族みんなで力を合わせます」だって。恐縮していたよ。
平成二十二年五月二十六日
―越中泥棒 加賀乞食 能登はやさしや土までも
かつて七尾支局長時代に、何かと集まりがあるたびに、土地の名士からよく、こう言い聞かされ「なるほどな」と、つくづく思ったものである。その越中は、富山市民球場で行われるはずだったドラゴンズ対日本ハム戦がむざんにも、雨で流れた。土地の人々が、どんなにか、待ち望んでいるか、が皮膚感覚でもわかるだけに、残念だ。
ここで冒頭の言葉だが「越中泥棒」とは、越中すなわち、越中の薬売りでも知られる富山の人々は泥棒と言われるほどに商才にたけ、金儲けがうまいと言うこと(泥棒をしてまで、と誤解されるほどに目先の利がきく、といった意か)、これに対して「加賀乞食」はなんでも欲しがるので与えざるを得ない(加賀百万石にしては、チト恥ずかしい限りではあるが。乞食と言われようが何と言われようが、だ。もらえるものはもらう)、そして「能登はやさしや土までも」となると、7年もの間、能登半島に住んだことがあるボクとしては、まさに一番、実感として迫るのが、この言葉だ。
この「能登はやさしや…」の“能登”表現は、むしろ“能登の女性”を指している。働き者で情が深い能登の女たちは好きな人が出来たら、たとえ火の中、水の中であろうとも、どこまでも信じた男についてゆく。
そうした時は土までが、能登のすべてがやさしく感じられる。女がいったん、この男と決めたら、お腹を槌(ツチ)でたたき割り、わが子を堕胎してでも男についてゆく。まさに土までもの「土」は、ツチまでも、の「槌」に転訛し「能登はやさしや殺しまで…」、の土地なのである。ボク自身、能登での記者生活が長くなればなるほど「このまま居たら、この限りなく優しい土地に私自身が殺されてしまう」と錯覚までした、永遠に忘れられない土地には、いくつもの心当たりがある。
現に能登の山奥の神社境内などには、槌が守り神としてぶら下げられている所まである。
中日スポーツによると、北陸シリーズを目の前に地方に強い朝倉健太投手云々と書かれている。だが、ボクたち地方で働いてきた新聞記者は、かつて『地方は宝だ』といった台詞を、何度も何度も聞かされ、言葉に躍らされるようにして、朝晩と無く駆けづり回ったものである。地方は宝、は今に生きる言葉だけに、今夜の試合が無くなり寂しく思ったのはボクだけでも、なかろう。
ヤクルトの高田繁監督が成績不振の責任を取り辞任した。神宮での交流戦で楽天に2ー3で敗れたあと、鈴木正球団社長に辞意を申し入れ了承された。高田監督は今季が3年契約の最終年。
【笛猫日常茶番の劇】きょうは、わが家にとっては歴史的な日でした。それというのも、Mが久しぶりに自らボランティアで営むリサイクルショップ「ミヌエット」に少しだけ顔を出したのです。お父さんは出がけに喜ぶやら、心配するやら、で大変。途中まで付き添って歩いていた。それでも店が家の近くで助かる。家猫のアタイだって、きょうはMが帰宅するまでやきもき、心配のし通しだったのだから。Mは午後には帰ってきたけど「なんともないから」といった顔でいたので安心した。これから少しずつ、体力をつけていってください。
お父さんったら。帰宅するや「たったいま、駅でバッタリ大きな荷物を抱えて海外旅行から帰ったらしい社の大先輩の夫妻に会ったが、奥さんが若々しく光り輝いてみえた」「Mをいつになったら、世界一周の船旅に連れていけるのやら」だって。まだまだMの体力が回復するまではダメだけれど、ね。そろそろ、思い切って決断しちゃえばいいのに……
☆第63回カンヌ国際映画祭最高賞のパルマドールにタイのアピチャッポン・ウイーラセタクン監督の「ブンミおじさん」が選ばれた。「ブンミおじさん」は、死の迫った男のもとに、亡くなった妻の亡霊と行方が知れなかった息子が異様な姿で現れる、といったあらすじだ。ある新聞は「死と向き合い、希望を映す」の見出し付きで「ファンタジーだが、私が見たこともない方法でさまざまな要素を使って創り上げられていた」「ブンミおじさんは、死の先、生の前まで描いた」などと評していた。昨年七月の大相撲名古屋場所で指定暴力団山口組弘道会系暴力団幹部らが有力後援者向けの「維持員」席で観戦していた問題で、一部の席の整理券が二人の現役親方を経由して暴力団側に渡っていたことが表面化、各紙とも報道。
平成二十二年五月二十五日
火曜日、と書いたのは、いつもはプロ野球のない日は「月曜日」とばかり思っているのに、交流戦の日程のためか、今夜は「火曜日」なのに、プロ野球がないからです。なんだか今日は、いつもならプロ野球のない「月曜日」みたいな気さえする。人間のなれ、とはおかしなものだ。逆にきのうは、月曜日なのにナゴヤドームで楽天戦が行われたことに「不思議な気持ち」がしたファンも多かっただろう。いずれにせよ、今夜はナゴヤドームに行ったところでプロ野球はないのだ。
デ、夕刊を手にスポーツ面の「大リーグ」のところを読むと、米大リーグが二十四日、七月十三日にアナハイムであるオールスター戦のファン投票ア・リーグの第一回中間結果を発表した、とあった。それによると、十年連続出場を目指すマリナーズのイチローが36万6903票を集めて外野手のトップに立ち、地元開催となるエンゼルスの松井秀樹も29万8487票で指名打者(DH)の二位につけている。最終投票結果は七月四日に発表されるという。そして、もうひとつ。先に戦力外でアストロズ退団が決まった松井稼夫内野手がロッキーとのマイナー契約に合意した、とのニュースも伝えられている。
今夜は、帰宅途中に一時、猛烈な通り雨に襲われたが、いまは回復している。あすからは、いよいよ北陸シリーズである。外出時には「弁当よりも傘を忘れるな」と言われる土地柄だけに、勝利以前の好天を願いたい。
【笛猫日常茶番の劇】お父さん、きょうも、出勤途中に同人誌「くうかん」の『再会』(松浦亜紀作)を読んだのだって。短い作品ではあるが味わい深い、と満足そうでした。わが家では、相変わらず宇宙人のようなロボット掃除機が室内を動き回っています。Mも元気でいるから、東京と岐阜のお兄ちゃん、それからMを知るおじさんやおばさんたち、安心してね。
きょうは、このほかにも、きのう社を訪れたおじさんから、ツイッター検索の正しい情報が得られたのだってサ。おじさん、お忙しいのに、わざわざありがとう。オトン、凄くうれしそうだった。
☆名古屋刑務所の刑務官による革手錠を使った集団暴行事件で、死亡した受刑者の遺族三人と元受刑者山下秀樹さんら二人の計五人が、国と所長ら十一人に損害賠償を求めた訴訟判決で名古屋地裁は原告側の主張を一部認め、国に総額約八千九百万円の賠償を命じた。
平成二十二年五月二十四日
ドラゴンズは昨夜に続き、ナゴヤドームで楽天との交流戦。川井投手が6回まで投げ無失点で初勝利、岩瀬も今季十三セーブとなった。やれやれ、である。
今日の午後、社近くで食事をしていると七十を少し越えたくらいのメガネをかけた紳士が向かいの席の同じ年恰好の男性に向かってこう、言った。
「オレも、もう一人だ。なんだか、生きてゆくのが疲れたよ。きのうナゴヤドームに行ってたのだけれどね。ボロ負けでサ。だけど、タナカ(マーくん)見られて、よかった」
ボクは、この言葉を聞き「あっ、そうか。観客はナゴヤドームに何も試合ばかりではなく、選手を見に来ているのだ」とあらためて思い知った。当たり前といえば、当たり前だが、選手が走って、守って、バッターボックスに立って打つ。投手が投げる、野手が球を拾う、監督が手を上げてグラウンドに出てくる、そんな姿を、見ているのだ、と。ましてや、目の前にお目当ての選手がいたら、最高の気持ちに違いない。
だから、プロというものは、見せものと言われようが、それこそ“さらし首”にされようが、だ。それに耐えてプレーをしてこそ、本物なのだと実感した。今夜の川井、岩瀬投手はファンの前で力投を見せることが出来、さぞや気持ちがよかった、だろう。
【笛猫日常茶番の劇】昼間、南山経済人クラブ副会長の高橋さんが社にお父さんを訪ねてくださったのだって。南山経済人クラブが創立二十五周年記念例会を七月十日に名古屋観光ホテルで開くのでぜひ、来賓として出席してほしい、とのお誘いで、帰宅したお父さん曰く「お忙しいお方なのに。わざわざ社にまで訪ねてくださった。ありがたい、と思わなければ、な」と。
お父さん、柔道のことはたまに口にするけれど。あまり学生時代のことって、口に出さない。でも、南山といえば「人間の尊厳だ」が口癖で「これまでの記者生活で、この言葉がどれほど精神的支えになり、かつまた苦境時の命綱になったことか」と、この教えだけは、たいそう気に入っているみたい。
デ、ね。この席でこんな雑談になったのだって。
「私どもの業界情報ですが、最近、落合さん(監督)も、鳩山さん(鳩山由紀夫首相)みたいに、ツィッターに出てるみたいですが。実際に誰がやってるか、は判りませんけれど。なんだか『選手に気配りなんかせんよ。配慮はするが』といった具合に、つぶやいているのだそうですよ。本当でしょうか、ね」
お父さん、ちなみにパソコンであれこれと心当たりを検索してみたそうです。そしたら、なんだか出るわ出るわ。監督に対する誹謗中傷ブログが、どんどん出てきて、もう言いたい放題でシラケちゃったみたい。
「みんな、よほど暇な証拠だ。第一、どれもこれもが同じ人間としての気品と度量に欠けている。たとえブログとはいえ、これだけの言いたい放題はユルセナイ、落合さん、これだけ言いたい放題されれば、自分でも少しはつぶやきたくはなるよ、な」だって。
それよりも、父さん、きのう、今日と、文学界やら何やらといろんな本を読み漁ってたみたい。なかでも、琵琶湖花火が出てくる老いの心境小説『想の彼方』(眞鍋京子著、同人誌「くうかん」=サンライズ出版印刷=掲載)には、えらく感動したみたい。読み終えてから「イイ。すばらしい。これぞ、本物の地方文学だ」と、それこそ、目いっぱい、つぶやいてたよ。
きょうは朝から一日中、雨。アタイ、シロと一緒に、大手術後の病み上がりで、まだまだ不安が残るオカンのMを、ずっと見守っていたんだから。
☆韓国の李明博(イミョンパク)大統領が、「自国海軍哨戒艦が北朝鮮の魚雷攻撃で沈没した」として「今後わが国の領海、領空、領土を武力侵犯すれば即刻自衛権を発動する」と述べ、北朝鮮の挑発に軍事的対応を行う可能性を示唆。
平成二十二年五月二十三日
今夜の交流戦はナゴヤドームで対楽天戦。ドラゴンズ投手陣は元中日の山崎、鉄平選手らに打ち込まれ、マー君(田中投手)を打ち崩せないまま8ー2で完敗した。今夜は、あまり書く気がしない。ボクのような素人には、今シーズンは守りのミスが多すぎる気がしてならない。全体に緊張感が足りず、気迫に欠けているのでは。
ただ、今夜の試合で嬉しかったのは、楽天・山崎が古巣でプロとしての第一歩を踏み出した・中日を相手に初めて2本塁打を放ち、楽天を除くプロ十二球団のすべてから本塁打を放ったことだ。おそらく、ドラゴンズファンのなかには、この快挙を喜んだ人がいたに違いない。
【笛猫日常茶番の劇】けさはお父さん、朝早くから外出し、まもなく戻ってきた。どうやら近くの神社掃除に出かけたが、雨で中止となり、ひき返してきたみたい。
それからは、本を読んだり、現在、執筆中の「死」をテーマにした小説を書くなど、結構いろいろなことに追われていた。アタイは父さんの傍にチョコンと座って見守っていたが、時折思い出したように「オイッ、お母さんのこと油断なきよう。しっかり、見守ってくれよ」と言われ、アタイと妹のシロは、そのつど腰を上げ、Mが休んでいるサンルームに行き、様子を見守るようにしてきた。オカンはからだを休ませながらも、俳句や短歌の本を読んだり、洗濯物をたたんだり、料理を作ったりしていた。
父さん、このほかにもきょうは、ビデオカセットのやり方をお兄さんに教えてもらうなどし、相も変わらず一日中、バタバタしていた。
☆東京・両国国技館で行われた大相撲夏場所千秋楽に大関魁皇(友綱部屋)が大関琴欧州に勝ち、史上二人目となる通算1000勝の偉業を達成した。史上一位は元横綱千代の富士(現九重親方)の1045勝。鳩山首相が沖縄県を再訪問し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設問題を巡り仲井真弘知事と県庁で会談、米軍キャンプ・シュワブのある名護市辺野古沿岸部に移設する考えを正式に伝え、県外移設の断念を陳謝した。「大変遺憾で、極めて厳しい」と仲井間知事。
平成二十二年五月二十二日
「首位西武に1勝1敗、(きょうは8―0で完敗だった)。しかも(1勝は)涌井からもぎ取ったものですからヨシとしましょう。それではまた!」
きょうは西武ドームでのデーゲームで負けたこともあり、ドラ☆パも、あっさりしたものだ。ボクは、これでいいと思う。人生、時にはアレッと思わせるほど淡白な日があっていい。その方が、次へのエネルギー源になるからだ。この世の人間の全てが生き続けている以上、負ける日があっても不思議でない。
そうそう、勝ってばかりもいられまい。相手チームだって懸命なのだから。ここは、健全なスポーツ精神で行きたいところで、相手チームをたたえることも大切なのでは。
それでも「完敗でした。ミスもありましたし、あまり見せ場がなく残念でした」と、ファンというものは、本当にありがたい。「ライトスタンドは早々に売り切れ、ぎっしりドラゴンズファンで埋まりました」と知らされると、やはり本音は勝ってほしかった。西武ライオンズはチアガールが駅前でお出迎えをして記念撮影までしてくれていた、とか。敵ながらパ・リーグのファンサービスの徹底ぶりには驚いたドラゴンズファンも多かったようだ。
でも、ドラゴンズとて、今シーズンは川相2軍監督はじめ、森野1軍選手会長をはじめとする各選手の間でも、ファンサービスに対する姿勢が見違えるほど、前向きになってきているのも確かだ。みんな、それぞれの立場でプロとして懸命にファンと向き合おうとしてくれている。
「敗れましたが、観戦できた喜びを感じ、また仕事に取り組みます。」
ボクの元には、こんな言葉まで届いたが、これほどのほめ言葉もなかろう。ぜひ、あすはファンの期待に応えてほしい。
【笛猫日常茶番の劇】Mは、きょうスーパーに行き、岐阜県関市から来ていた業者に久しぶりに愛用の包丁五振りを研いでもらい、スッキリしたみたい。むろん、スーパーまではお父さんの車で一緒に出向いた。そこで、業者に「これは切れ味もすごいし、小手がいい」と褒められた一振りがあり、よく聞くと「若いころ、調理師学校に通っていたころに使っていたものだ」と教えられ、またまた驚いちゃった。
そういえば、Mは退院後、以前にも増して家庭料理に真剣に挑んでおり、お父さんとCを喜ばせている。調理師資格があるのはむろん、昔から料理が人一倍好きなだけに、オトンは「おまえがこしらえる料理は、最高だ」と話している。
ただ、まだまだ体調が回復するまでには時間がかかりそうなだけに、オトンは「あまり頑張り過ぎないように。まだ病み上がりなのだから、いいころ加減にしておかなきゃあ」と気をもんでいる。アタイもシロも正直いって心配だ。
オカン! もっとゆっくり、のんびりとやってください。オカンの気持ちは分かるけれど、この際、からだをしっかり治すことの方が大事なのだから、ね。
平成二十二年五月二十一日
東京・調布に住む落合信者、原田禎知さん。
原田さんは“むさしのガブリ”を名乗られ、公式ファンクラブが誕生した2006年から、ずっと幸子夫人ともども会員でもある、根っからのドラゴンズファンでもある。
その原田さんに同じ会員仲間として今夜「(落合監督の)五百勝、心からおめでとうございます」とお祝いのメールを打たせていただいたところ、次のようなメールが返ってきた。
「こんばんは。リーチをかけた火曜日のロッテ戦に行ったのですが、お預けにな