詩「二月」

 いったいどうしたんだい二月よ
 今朝の温かさは
 身体がするりとベッドから下りてしまうよ
 昨日までのあの重い寒さを突然放り出した訳は
 白い一月にひどく背中を押されたせいなのかい
 それとも
 淡い三月の誘惑に負けたってことかい
 ほら午後の風の優しさ
 なんだいこれは
 ベランダのハンガーたちが肩を触れ合い口ずさみ
 軒下あたりでは猫があちこちで騒いでいる
 見上げれば翼の持ち主たちがそれぞれに散って
 田畑は遅れまいと畔の草に色目を隠さない
 木々も肌の裏でなにやらもぞもぞとして
 地虫たちは敵の物音に耳をあやしんでいるよ
 見てごらん僕の足を
 踏み出す歩幅にまごついているじゃないか
 二月よ