生きてゆく人間花たち/十月の唄

平成二十四年十月三十一日
 このところのメディアはそろいもそろって〈ミスとお詫び〉が多すぎる。
 きょうも新聞、テレビとも一日中、おわびのオンパレードだ。〈おわび〉の相手は、兵庫県尼崎市の連続変死事件で角田美代子被告の顔写真だとして誤って掲載または放送された方と関係者、そして全読者に対してである。過去に同じ新聞界を歩いてきた一匹(いっぴき)文士としては、とても信じられないミスである。

 新聞、テレビとも間違えた張本人でありながら「複数の関係者から証言を得ていましたが、結果的に確認が不十分でした」といった言い訳が気に入らない。私に言わせれば【複数の関係者から証言を得た】なら、間違いは起こらない。そろいもそろって間違えたところに取材の甘さを感じる。
 みんなで取材すれば怖くない、ではないけれど結果的には各社とも正しい証言は得られてはいない。一社が持ち込んだネタ(この場合はガン首=顔写真=)を他社が追随したような気がしてならないのだ。各社とも競争でガン首集めをしていたなら、もっと早い段階でガン首が違うとの指摘は当然、出されたに違いない。
 老婆心ながら、この際、ガン首の正しい集め方をしっかり教えておくべきだ、と思う。ガン首集めは、記者の鉄則だったはずだ。

 話はかわって。今日ひょんなことから江南市民文化会館を訪れ、会館内の歴史民俗資料展示室へ。幼少と少年期を過ごしたふるさと・江南への思いを深くした。この町を青春時代に離れて以降は、仕事柄ずっと各地方の歴史や文化をみて来たこともあり、わが古里はたいしたものではない、と決めつけていたが、そこはどっこい。結構、歴史的にも価値ある街であることを今さらながら痛感した。

 いやはや、勉強不足の極みとは、このことか。生駒家、蜂須賀家、前野家と日本の歴史を動かした家系図を目の前に、弥生から縄文時代にまで溯る資料が系統別に展示されており、思いを新たにしたのである。恥ずかしながら、この江南からは、かつて横田喜三郎(元最高裁長官、法律学者。赤童子町出身)青山杉雨(あおやまさんう。書家。村久野出身)=いずれも故人=の二人が文化勲章を受章していたことも初めて知った。

 写真は秋色のなか、市民文化会館の小道で命を横たえていた枯れ葉たち
 

 それから。市民文化会館の施設そのものも立派だが、周りに施された植栽と一帯の景観、そして木々の梢から聴こえてくる小鳥たちのチッ、チッ、といった鳴き声がまた、ここならではの風情を醸し、気に入った。私は小道を歩きながら赤などいろいろの色に染まった枯れ葉を手に深まる秋色を感じ、その一枚一枚を拾って持ち帰った。枯れ葉は本のしおりによいからだ。

 帰ると、【脱原発をめざす文学者の会】事務局から次回、東京での集まりの連絡がメールで入っており、私は迷うことなく出席の返信メールを出させて頂いた。また東京の【ピースボート事務局】からも、きのう今日と電話が入ったので折り返すと「近く名古屋で開かれる見学会で乗船体験者として話をしてほしい」との要請で断る理由もないので「お役に立てれば」と引き受けた。
 十一月は、このほかにも、一宮サウスライオンズクラブの結成周年記念例会の席での講話を依頼されているほか、高校時代の同窓会、ペンの日懇親会などもあり結構、あちらこちら飛び回ることになりそうだ。

 何げなく新聞を開いていたら、「初の女性衆院議員 山口シヅエさん死亡」(朝日朝刊)の活字が飛び込んできた。94歳だった。4月3日に腎不全のため死去とあり、「故人の思いで誕生日の10月31日まで公表を控えるとの指示があった」として30日に発表した、とあった。新聞といえば、けさの朝日にかつて夫の越智実さんともども、大変よくして頂いた越智インターナショナルバレエのバレリーナ越智久美子さんが〈眠れる森の美女〉公演に先だつスペシャルインタビューに答え「言葉ではなく、体で表現するからこそ、世界中どこに行っても感動を与えることができる。プロの集団は世界共通」と話しておられ、とても印象深かった。

【新聞・テレビから】☆『日銀、11兆円追加緩和 二カ月連続 9年半ぶり』、『ANA中部空港発 式年遷宮祝い 初日の出飛行』、『名大 世界トップレベル研究拠点 新たに3校(他は筑波大、東京工業大) 文科省選出』、『藤本義一さん死去 79歳 直木賞作家、TVで活躍』(31日付、中日朝刊)
☆『スミレの花咲く♪ 宝塚、台北で来春公演』(31日付、毎日朝刊)
☆『別人写真を「美代子被告」 尼崎変死 複数の新聞テレビ』(31日付、朝日朝刊)
☆『重点区域30キロ圏に 原発事故対策指針を決定 規制委 対象拡大480万人 避難線量先送り』、『ディズニーが「スター・ウォーズ」新作 映画会社を3200億円で買収』、『尼崎事件 ドラム缶投棄知らず 岡山の海 美代子被告、指示なし【おわび】同時掲載』(31日付、中日夕刊)
☆『「赤い宝石」イクラの輝き 陸前高田』(31日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月三十日
 仙台空港の誘導路脇で東日本大震災の復旧工事中、先の太平洋戦争で米軍が投下したと見られる重さ250キロ、長さ1メートル10センチ、直径35センチの不発弾が半分土に埋まっている状態で見つかり、同空港の離発着便が全便、欠航となった。この世の中、いつ何が訪れるのか。知れたものでない。

 本日付毎日新聞朝刊1面〈余録〉が、月の表面の模様について書いており、面白く説得力がある。一部抜粋すると。
―フランスでは月の表面の模様は休みなく働き続ける男に見立てられた。ある男が安息日を無視して働くのを神様が見とがめ、月に送られたのだ。一方、ドイツの伝承では遊び好きで怠け者の娘がその罰として月で糸を紡いでいる姿だという▲まあ月の模様の見え方にも土地柄はあらわれようが、世界各地で似た話も多い。月で糸を紡ぐ女の物語は欧州、東南アジア、オセアニア、アメリカ大陸にも広く分布する。木を切る人や、水をくむ人に見立てる民族も多い▲……(30日付、毎日・余録)

 私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」のニューフェイスで滋賀県の〝湖都の文学〟リーダー、文学同人誌「くうかん」代表でもある大津の眞鍋京子さんから掌編小説「幻の初恋の人を慕ひて」が寄せられた。戦時下に揺れ動く少女の純な心が淡々とした筆致で鮮やかに描かれており、戦時中の初恋がどんなに過酷かつ無残なものであったか、が一読して分かる。
 おそらく小説と同じような初恋エレジーが戦時中は、たくさんあったに違いない。それに比べると、今の恋はある面では思いのまま、自由奔放に思われる。私は、眞鍋さんのこの小説をアップするに当たり「恋」とは、たとえ平和な現代社会にあっても耐えるもの、耐えれば耐えるほどに深化してゆくーと、そんなことを、ふと思わないではいられなかった。

 「熱砂」同人と言えば、感性の詩人加藤行さんの詩二編「ひとりぼっち」と「待ちぼうけ」も本日公開された。加藤さんの詩は「熱砂」同人ならでは、の分かりやすさと優しさ、そして詩全体に流れるリズム感と響きに特徴がある。
 一人でも多くの読者に読んで戴けたら、と思っている。

 きょうは、このほか、「熱砂」を代表するエンタテイナー・真伏善人さんからも小説「黒いへび」が届き、作品を読んだりアップしたりするのに一日追われた。(「黒いヘビ」は、ここ一両日中にアップ予定。こう、ご期待! です) 

 きょうの名古屋地方は最低9度まで下がり、山形では霜が下りた。里の秋は紅葉とともに日に日に紅色に深まってゆく。

 アメリカ・ニューヨークなどを襲ったハリケーンは米東部13州を襲い、停電で650万人が電気のない生活を強いられたばかりか、浸水などもあって地下鉄も運休し都市機能は完全にマヒ、過去108年間、こんなにひどい被害はなかったという。
 日本シリーズ第三戦は札幌ドームで行われ、日本ハムが先発全員安打で巨人を7―3で逆襲勝利し、一矢を報いた。栗山監督の「やはり、北海道はいいですね」と、この日先制弾で2打点をあげたヒーロー稲葉選手の「(流れを)変えました。日本一になりたいです」の言葉が印象深かった。

【新聞テレビから】
☆『「燃える氷」メタンハイドレート 日本近海広範囲に 次世代エネ資源化期待 (海底下数メートルの)浅い場所で発見=北見工大と明治大などのチームが発見したのは、北海道網走市沖のオホーツク海、秋田、山形、新潟各県沖合の日本海の海底。いずれも沖合三十~五十キロ程度の場所で、日本の排他的経済水域(EEZ)の範囲内だったという』、『老化マウスからiPS細胞 糖尿病合併症に効果 名大グループ 高齢者治療へ光明』(30日付、中日朝刊)
☆『電力値上げ全国拡大 関電「検討」他社追随』、『摂津(ソフトバンク) 初の沢村賞』、『中大、理事長を解任 「系列校不正入試で混乱」』(30日付、毎日朝刊)
☆『脱法ハーブ吸引事故 危険運転致死初の適用 名地検 高1死亡午後起訴』、『文化勲章に山中教授ら 山田洋次さんも』、『〈記者の眼〉ベネズエラ大統領(チャベス氏)4選』『遺骨ダイヤ 遺灰ペンダント 「手元供養」遺族癒やす』、『〈大波小波〉俳句人口高齢化の光と影』(30日付、中日夕刊)
☆『仙台空港に不発弾 撤去作業で全92便欠航』(30日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月二十九日
 私が住む尾張地方は、きのうは雨。そして、きょうは晴天。でも、一段と寒くなった。

 月曜日は彼女が布団を干すことに決めているので、二階ベランダの桟の水滴をふいたあと、一緒に干したが、けっこうの重労働だ。すっかりバテテいると「男のくせに、本当に力がないのだから。それで、本当に柔道三段なの」と一本取られてしまった。デ、「俺の場合は、おまえみたいな〝バカ力〟ではなく、業師だったのだから」と反発しようとしたが、彼女の手際よさを目の前に、やっぱり無駄な抵抗はよそう、とやめた。

 アメリカでは巨大なハリケーン、「サンディ」なるものがニューヨークに近づいている。米国政府は大西洋沿岸の住民数百万人に暴風雨や洪水への警戒を呼びかけ、ニューヨーク市も三十七万五千人以上に避難命令を出した、という。自然の下では、人間たちなんて。ほんとに、ほんとにチッポケな存在である。

 そのニューヨークだが。観光名所、〈自由の女神〉の内部観光が女神像の百二十六歳の誕生日に当たる二十八日、一年ぶりに再開されたが、ハリケーンの接近で二十九、三十の両日は閉鎖される。地下鉄も、バスも、運行を停止。航空機も七千便が欠航するという異常事態で、みな息をひそめて「サンディ」の襲来に備えている。聞けば、この巨大ハリケーン、一週間ほど前にカリブ海で発生し、現在はニューヨークの南南東にあり、まもなくニュージャージー州に上陸し北へ、北へ、と進む。寒気と合体して大雪を降らせることもありうるという。
 米国では来月六日の大統領選も間近なだけに、こちらへの影響も心配されている。

 大阪管区気象台によれば、きょう近畿地方の舞鶴と和歌山に木枯らし1号がふいた。いよいよ、寒い冬に向かって地上も歩き始めた。
 
【新聞テレビから】
☆『復興予算で原発輸出調査 ベトナムへ5億円支出 海外インフラ整備に85億円』『ポール「ヨーコのせいじゃない」 ビートルズ解散〝あるがまま〟語る』、『★両陛下が天皇賞観戦〈両陛下は、貴賓室のバルコニーから双眼鏡を使うなどして観戦。五番人気のエイシンフラッシュが優勝し、ミルコ・デムーロ騎手(イタリア)が馬から下りて片ひざをつくと、立ち上がって拍手を送っていた〉』(29日付、中日朝刊)
☆『’12秋 ヒバクシャ1 広島、長崎のヒバク体験を次世代に語り継ぐシリーズ。初回は、漫画「はだしのゲン」の作者、中沢啓治さん(73)』、『月のうさぎ形模様 巨大隕石の衝突跡 データで確認』、「衆院補選 自民が辛勝 鹿児島3区 与党(の宮路和明氏が)かわす』、『岡山知事選で(前天満屋社長の)伊原木氏(=46歳、自民、公明、たちあがれ日本推薦)』(29日付、毎日朝刊)
☆『復興予算は被災地最優先 首相が所信表明 衆院のみ史上初』(29日付、中日夕刊)
『マイナリさん(ネパール国籍、カトマンズ在住)の無罪主張 東電社員殺害 検察、謝罪はせず 再審控訴審』、『首相政権維持に意欲 「経済再生最大の課題」 所信表明』(29日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月二十八日
 倉知弦洲会主から特別表彰される90歳の須賀ヒサエさん
 
 晴れ舞台で「青春時代」を熱演する女性たち
 

 きょうは私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の同人で詩人、牧すすむさんの【もう一つの顔】である琴伝流大正琴弦洲会=牧さんは、琴伝流大正琴大師範。同大正琴弦洲会の倉知弦洲会主=の第二十八回中央大会が東海各地のお弟子さんたちが出演し、名古屋市の日本特殊陶業市民会館ビレッジホール(旧名古屋市民会館)で開かれ、妻の舞とともに鑑賞させていただいた。

 今回のテーマは〈~あの懐メロをもう一度~〉。
 「高齢化社会の現象なのか。最近、高齢者を対象とした歌謡番組が増えているなか、思いきり〝懐メロ〟にこだわって青春を謳歌しよう」(会主)というのが狙いだ。

 倉知会主一門ならでは、のなごやかで生き生き、はつらつとした発表会で皆さん、歳を感じさせない演奏には正直、私もうっとりと聴き入るばかりで、時の過ぎゆくのを忘れるほどだった。途中、豊田市の須賀ヒサエさん(90歳)が過去十五年に及ぶ努力を認められ、倉知会主から特別表彰され、他の高齢者十五人にも表彰状が手渡された。
 倉知会主は、こうした表彰を毎年続けているだけに、観客の間からは会場のあちこちで「すごいわね。いいことよ。高齢者にとっては、何よりの生きがいだよね」の声が相次いだ。

 演奏会はオープニングの「大勝負」を皮切りに、「夜空」(東三河・桜洲会桜スマイル)「雪椿」(刈谷・碧洲会合同)「はぐれコキリコ」(豊田・豊田合同第四)「川は流れる」(奥三河・やまびこ)……の順で続き、最終演目は55番目「さくら貝の歌」(PaFF・パフ)。「蛍の光」でフィナーレを飾ったが、「ことしも出場できたことに喜びを感じています」(知立・セピアハーモニー、名月赤城山)という愛好グルーブが大半で「みなさん、エネルギッシュでパワフルそのものです」(松田恵子さん)といった司会が印象に残った。

 この日は一門の演奏に留まらず、合間に飯田市のハープノーバ(松澤毅代表)メンバーが友情出演し、「異邦人」と「花」を演奏。クライマックスは倉知会主と次席崇さん親子による〈弦洲の世界〉で「人生の並木路」「丘を越えて」の演奏には、詰めかけた観客全員が酔いしれ、アンコールに応じる場面も見られた。

 牧さん! お疲れさま。これからも健康第一に、世のため、人のために、ますます活躍してください。
        ×        ×
 プロ野球日本シリーズはきのう、きょうと東京ドームで行われ、8―1、1―0でいずれも巨人が日本ハムに勝った。第3戦はあさっての火曜日に日本ハムの本拠地・札幌ドームで行われる。

 今夜、NHKテレビのサンデースポーツを見ていたら、プロ野球の小久保裕紀さん(今シーズン限りで引退、ソフトバンク)と三浦大輔投手(DeNA)が生出演。日本シリーズの分析と予想のあと、ドラフト会議の結果を受け二氏の新人選手に対する〈プロへの三カ条〉を聴いていた。
 これに答えて三浦投手があげたのが、「気持ちと道とサイン」。小久保さんは「あいさつと活字と寝具」。分かる気がする。

【新聞テレビから】
☆『〈沖縄〉基地ある限り犯罪繰り返す 米兵暴行 84年 被害女性は訴える』『志位委員長が米大統領に書簡』(28日付、しんぶん赤旗日曜版)
☆『日本脳炎新ワクチン3年 重い副作用104人 後遺症など8人 31日公表』『愛知の男児 1年入院 「因果関係不明でも事実公開を」』、『一宮・本町商店街に来月コスプレ店 〝アキバ系文化〟で活気再び』『衣装レンタルやグッズ販売 空き店舗借り出店』(28日付、中日朝刊)
☆『大量来襲で取水口に詰まり クラゲ原発の脅威 規制委 新安全基準盛り込みへ』、『河村(名古屋)市長「第三極、一つの党で」 連携呼び掛け 衆院選出馬は慎重』(28日付、毎日朝刊)

平成二十四年十月二十七日
 いやはや、またしても自信を喪失した。

 というのは、きょうの午後、江南市とは隣町の大口町公民館で行われていた社交ダンスパーティーに三百円の参加料を出して顔を出したが、ブルースにせよ、ルンバ、タンゴ、チャチャチャ…と、皆さん、本当にダンスが上手だな、と実感した。特に〈ある愛の詩〉のメロディーに乗ってのルンバは、とてもステキだった。
 達者ぞろいで行われたダンスパーティー
 

 私が先の地球一周の船旅の中で少しかじった程度では、とてもとても、かないっこない。それにしても、皆さん、一体どこで練習をなさっておいでなのか。私が船旅途上で日々、レッスンにレッスンを重ねた社交ダンスとは一体何だったのか。
 そう思うと、返って「ヨシッ、これからは本気でダンスをマスターしてやろう」と気力が湧いてくるから不思議である。

 きょう朝日の天声人語に以下のような下りがあった。
……▼霞が関との闘いはともかく、憲法の破棄、核武装、徴兵制といった超タカ派の持論を新党にどこまで持ち込むのか。抜き身のままでは、氏が秋波を送る日本維新の会も引くだろう。保守勢力の結集は、深さ広さの案配が難しい▼政界は再編の途上にある……(27日付、天声人語)
 この場合の「氏」とは、例の石原慎太郎氏である。たまたまテレビを見ていたら、田中真紀子文部大臣が彼を評して曰く「格好悪い暴走老人だ」と。その通りで、まさに簡潔な表現力である。
 ただ私に言わせれば、今の政界の動きは、とても再編なんてものではない。名もない、国民の真の声を知らない、坊ちゃん議員連中の日本の〝破壊ごっこ〟にならねばいいが。

【新聞・テレビから】
☆『北ア紅白の競演 新穂高秋景色』、『古田知事 3戦出馬へ 岐阜 来月にも正式表明』(27日付、中日朝刊)
☆『音コン(第81回日本音楽コンクール)・作曲部門(で東京芸大大学院生の)平川(加恵)さんが1位=平川さんは作品「降る、降る、降る」で音を力学的、イメージ的に降るものとして結晶させ、新鮮な世界を開いた=』、『色づく秋 空の旅 雅 三重・御在所』、『渋い歌声人気呼ぶ (「セクシャルバイオレット№1の)桑名正博さん死去(59歳)』、『週刊朝日編集長更迭 橋下市長 連載記事問題で』(27日付、毎日朝刊)
☆『「九条」大江(健三郎)さん(が名古屋市昭和区の市公会堂で)講演 来月3日 県民のつどい=戦争放棄をうたう憲法9条を守ろうと呼びかける』(27日付、朝日朝刊)
☆『祈り映す 清き闇 伊勢神宮式年遷宮まで1年』(27日付、中日夕刊)

平成二十四年十月二十六日
 満92歳の母と大口町のさくら総合病院へ。
 ことし三月、自転車に乗って農作業を終え帰宅途中に交差点で車にはねられ、顔面の複雑骨折と全身打撲で口腔内を中心とした大手術を受け一カ月余、入院。この間、担当女医(勝俣医師、口腔外科)の好判断と優れた治療技術もあって、母は奇跡的に元通りに回復。きょうは、退院後の定期診療と口腔内の治療を受けるためだった。
 この日は顔面と口腔内の手術部位のレントゲン検査が行われたが「目の横も、上顎も、ほほ骨も、その他の口腔内も全然問題なく、よく治っていますよ。感染症も全くありません。ただ手術の際に埋め込んだプレートは、もうご高齢なので、わざわざ取ることはしないで、そのままにしておきます」と勝俣医師は、どこまでも優しい。このほか、母は最近になり何かの拍子で抜けてしまったという歯一本も埋め込んでもらったが、こちらの方は「今度抜けたら、無理しないでそのままにしておきましょう」ということで母も同意した。

 治療を終えた母はその後、私と一緒に舞の営む市内、愛栄通りのリサイクルショップ「ミヌエット」へ。この後、アピタ店内の海転寿司=なぜか、この店は回転とは書かず〝海転〟と書く=に寄ったが、お稲荷とだし巻き、茶碗蒸しを食べ「ここは、本当においしいね」と満足そう。おべっか、かもしれないが母の歳を聞いた店員たちが「へえ~ぇ、うっそー。とても見えません。80歳ぐらい、にしか見えません」と驚く様子が心に残った。

 母は確かに昔から自慢の美人さんである。そして誰よりも若い。
 二年前まで自分で車を運転して畑で作った野菜を私の家までしばしば、届けてくれた。高齢運転なので、と兄妹で話しあったうえ説得してやめさせはしたが、まさか自転車まで取り上げては彼女の自由が奪われる、と判断。その後自転車運転だけは仕方ない、と思いみんなで見守っていた。
 交通事故は、そんな折も折、農道から一般道に出る交差点で発生。自転車に乗っていた母は出会い頭に車にはねられ、救急車で病院に運ばれた。それでも母は奇跡的に足を折ったり、頭を強打することなく回復したいきさつがある(退院後は、自転車を三輪車に替え、畑まで行き来している)。

 実は、そんな母と一緒に歩くことが私は大好きである。
 私の少年時代。彼女が校下の婦人会長のころからで一緒に歩いていると、いつも颯爽としていたので気持ちがいい。第一、美人で歳を感じさせない。黙っていても周りが、みんなが寄ってくる女性だから私にとっては、今も自慢の母なのである。
 なんだか書いているうちに、マザコンの極みになり見苦しくなりそうなので、ここらでやめておこう。

 ただ、私はそんな母が生きている間に、何かでアッと言わせて喜ばせてあげたい。いつだって、そう思っている。母はいつも私にこう言う。「おまえは、そのうちにとんでもない偉大な人間になる」と。私は今もその言葉を信じている。
        ×        ×
 この世の中、いや世界中の母という母は、戦争とか病とか、憎しみ合い、自然災害などの不幸がない限り、皆さん、幸せだと思う。うちのドラ息子三人だって私のことなぞはこれっぽっちも思ってはいない。でも、舞のことだけは、いつも案じているようだ。ふたりの猫ちゃんまでがそうで、彼女が帰れば、必ず玄関先までお出迎えする。でも、私が帰った時に出迎えてくれたことは、ただの一度としてない。 これでいい、のかもしれない。

【新聞テレビから】
☆『守道1軍キャンプ確約 1位慶大福谷投手 会議即!! サプライズ訪問に感激 竜7選手指名』(26日付、中スポ)
☆『網み目模様でお迎え 一宮駅前ビル 来月開館』、『逮捕の船橋市職員 漏えい報酬 1件数千円 探偵業者 依頼内容合わせ変動』、『〈ドラフト指名 中部の選手〉文武両道 全力誓う 中日1位 福谷投手(知多出身) ファン一筋夢実る 中日2位 浜田投手(愛工大名電高) 田中投手を目標に 楽天2位 則本投手(三重中京大)』(26日付、中日朝刊)
☆『コウノトリ保護団体などを表彰 日韓国際環境賞』『輿石氏「年内解散は無理」』『石原都知事 辞職し新党 維新と連携目指す 党首就任、衆院選出馬へ』(26日付、毎日朝刊)
☆『iPS臨床申請 理研チーム 目の病気、患者6人』、『「日本一」福井にブータン館 「幸福」全国に発信 類似点多く、学会も開催』(26日付、中日夕刊)

平成二十四年十月二十五日
 きょう東京都内のホテルであったプロ野球ドラフト会議(新人選択会議)。テレビを見ての感想は、例年にはなく選ぶ側も選ばれる側も「みな満足そうだった」。
 あえて言わせてもらうなら、日本ハムに指名された大谷翔平投手(花巻東高校)が大リーガー行きを宣言しているだけに複雑な心境だったことは事実だ。それでも「評価してくださり、ありがとうございます」と話し、ことしはいい感じでさわやかな会議となった。 

 昨年、日本ハムに指名されながら志望する巨人に行きたいあまりに〝浪人生活〟を過ごし「この一年、心が折れそうになったことも何度か」と言う菅野智之投手(東海大)もことしは、叔父の原監督率いる巨人に一次指名され夢が現実に。待ったかいがある。
 ドラゴンズは知多半島出身の大学球界屈指の本格的右腕福谷浩司投手(愛知・横須賀高―慶大)を一位指名、高校屈指の左腕、浜田達郎投手(愛知・愛工大名電高)を二位指名し、それぞれ交渉権を得た。地元選手を優先して指名するあたり堅実かつ賢明で、地元を大切にする中日球団ならでは、の選択で評価していい。

 ちなみに、注目の藤波晋太郎投手(大阪桐蔭高)はオリックス、阪神、ロッテ、ヤクルトが名乗りをあげ、阪神の和田監督がクジをあてた。また東都リーグの通算成績が35勝22完封、420奪三線とずば抜け、大学ナンバー1右腕の呼び声が高い東浜巨投手(亜細亜大)はDeNA、ソフトバンク、西武の1位指名争いとなったが、ソフトバンクの王会長が引き当てた。森雄大投手(東福岡高)も楽天と広島の争いとなったが、くじ運は楽天に軍配が上がった。

 この日のドラフト会議は21年前の1991年12月24日にドラフト指名され、以降努力を重ね幾多の記録を打ち立て今シーズン限りで引退した金本さん(阪神)が開会のメッセージを述べて始まったが、金本さんの「みなさん! 大きな志をもってプロ野球界に飛び込んできてください。そしてボクの記録を大きく乗り越える選手が出てきてほしい」の言葉を、新人たちはどんな思いで聞いたことだろう。
 ことしは、各球団とも持ち味を出した、いい選択会議だった。「このプレッシャーを力に替えて頑張ります」(藤波投手)「ちいさい子どもたちの〝あこがれ〟になるような選手になります」(東浜投手)の言葉に期待したい。

 きょうは、このほか昨日、愛知県芸術劇場小ホールで小牧出身の女優片山美穂さんの一人芝居「雛」=原作は「戦火をくぐった唄「かあさん峠」(講談社)=を鑑賞した、演劇の虫・小畠辰彦さん(元劇団小牧はらから主宰)から「お芝居は、平和を願う作品でした。もう少し長いとよいかと思いました。……内容は東京大空襲を体験した話でした。劇団希望舞台のゆかりさんと江南のご住職がお見えになっていました。…」のメールが入り、みんな頑張っているな、と思った。
 そういえば、希望舞台の荻原ゆかりさんとは長年親しい間柄だが、最近はご無沙汰だ。でも、元気そうだった、とのことで何より。ゆかりさんと言えば、一人芝居「釈迦内棺唄」の有馬理恵さんと並び、能登や滋賀など全国各地で見たはつらつ舞台が懐かしくよみがえる。

 夜。食事をしていると、いきなり「石原慎太郎さん、東京都知事をやめたみたい。なんだか新党をつくるみたいよ」と彼女。「あっ、そう」と私。そんなことより、先日ミヌエットで開かれたちいさな音楽会〝読み聞かせとバイオリンの会〟で集まったお金にきりよく私費を足して郵便局から東日本大震災の義援金として出しておいた、という彼女の〝ちいさな行い〟の方がずっと上だ。

 文学者が政治のぬかるみに足を踏み入れてしまったのでは、もはや〝ペンの力〟はおしまいである。文壇の星でもある【石原さんらしさ】は、一体全体どこへ行ってしまったのか。自分を見失っている。私の目には、破れかぶれ、かつ言いたい放題、あげくに国家主義のなれの果ての石原さんが人生の最終コーナーにきて自暴自棄になって足掻いている、そんな図に見えて仕方ない。
 それでも、中央官僚やら外務省、経済界トップなどのこれまでの体たらくぶりを【なで斬り】にするあたり、結構痛快で面白くはある。次の都知事には彼を超える若手に出てきてほしい。ナントカという曲者より、彼がこよなく愛する息子さんがなったら、どうか。

【新聞テレビから】
☆『原発事故規制委拡散予測 「30キロ防災」月内に指針 素案公表 具体策は未定』、『トヨタ 中国11、12月も減産 デモ影響続き、3割程度(25日付、中日朝刊)
☆『〈ふるさとー原発事故19カ月―〉 自ら除染 必ず帰る 浪江の漁師3代目 漁港再建に奔走』、「豊橋市 責任認め謝罪へ 浜名湖ボート転覆 遺族と和解成立 名地裁支部』(25日付、毎日朝刊)
☆『山中教授とガードン氏 互いの功績称賛 ノーベル賞決定後初対面』(25日付、中日夕刊)『〈寝ても覚めても〉(高木監督は)タヌキか正直者か(専門編集委員・冨重圭以子)』、『石原新党午後表明 都知事辞任の可能性』『ヘビに癒やされ? 異色の「動物カフェ」人気 ヤギ、タカ、フクロウも 名古屋はウサギ』(25日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月二十四日
 午前零時(二十五日)を過ぎてしまった。私はiPadを手に、今宵購入したばかりの電子書籍「みやけ雅子 愛の歌百首」を読んでいる。表紙がまた、いい。私には女性の髪が男に抱かれたような、そんな気がする。ハートの形だ。
 一読者の私に言わせれば、女は男に身を預けている(〝いや、それは逆だ〟の声も聴こえてくるのだが)。そんなデッサン、図柄である。これは私の一方的な解釈かも知れない。

 出版され、まもない電子書籍「みやけ雅子 愛の歌百首」=inko編集部
 

 序
人には愛がある
   ゆめがある
 そしてかなしみがある
       みやけ 雅子

決めかねる心を持ちて立ちたるに
  自動扉は素早く開く
 まだ心も返事も決まっていないのに、呼
び出された店の前に立つと、自動扉は素早
く開いてしまった。

思うこと叶わざる日よふと洩れし
  吐息も傘に畳みて納う
 わたしの考えていることが、全部が全部
通るほど社会もあなたも甘くはない。でも、
ふとため息が洩れてしまった。傘をしまう
とき、ため息も一緒にたたんだ。  (序の言葉と一部を抜粋)
        ×        ×

 きょう、二十四日は、横笛の稽古で名古屋の師匠宅を訪れたついでに、私たちのウエブ文学同人誌「熱砂」の作品アップに伴う技術上の諸課題やアクセス解析の方法、今後の道筋、その他電子書籍のことなど当面、克服しておかなければならない疑問点を詳しく学びに名古屋へ。引き続き、最近マルウエー百貨店内の六、七階に引っ越した大手書店「丸善」にも足を延ばしたりしていたら、いつのまにか、帰りは夜になってしまった。

 帰宅すると、早々と能登半島は七尾に住む友人から「喪中につき年頭のご挨拶を失礼させていただきます 寒さに向かう折からご自愛のほどお祈り致します 平成二十四年十月」と書かれたはがきが届いていた。ことし一番早い喪中はがきということもあり、なんだか胸が痛んだ。

 名古屋では枯れた都心をただ一人、黙々と歩き続けた。
 周りは男も女もすっかり秋の装いで帰宅途中に名鉄電車のプラットホームに立っても、バス停でバスを待っていても、ひたひたとしのび寄る「寒さ」を感じた。今はもう『秋』なのである。冬が刻々としのび寄ってきている。
 寂しさを胸に抱え、そして映し出しながら、私はふと地球一周の船旅でお世話になった「船友仲間たち」は皆、元気にしているだろうか、と思ったりした。ほかに日頃大変お世話になりながら失礼ばっかりしている友人たちのことも。
 
【新聞テレビから】
☆『田中氏(法相)辞任 被害者家族憤り 拉致担当相信用できない 解決の意思あるか…政府に疑念』、『「遠隔操作」受け不起訴 津と福岡の男性 嫌疑なし』(24日付、中日朝刊)
☆『熱血! 与良政談〈与良正男(論説委員)〉「朝日」の深い罪』(24日付、毎日夕刊)
『原発事故拡散予測 大飯30キロ超も高線量 全国16原発規制委公表 7日で100ミリシーベルトに』、『iPad片手サイズ 米アップル「ミニ」来月2日発売』、『権藤コーチ退団 中日「悔いはない」』、『スーパーマン【米人気コミック「スーパーマン」の主人公で、新聞記者のクラーク・ケントが勤務先の】新聞社を退社 最新号で明かす』、(24日付、中日夕刊)

平成二十四年十月二十三日
―ゆるやかに 浴衣まといて 逢いにいく 蛍の出ずる 夜の約束
―我が抱く 闇の海に 茫茫と メフィストフエレス 湧くように顕つ

 大垣在住で中部圏の文学界では代表的存在の作家、三宅雅子さんが歌人【みやけ雅子】として、電子書籍『愛の歌 百首』(価格は350円)を出版された。
 「伊神権太様 ご清祥の事、お慶び申し上げます。私事、この度電子書籍を出版しました。同人の皆様へもよろしくお伝え下さいませ。読んで戴けると、有難く思います。 みやけ雅子拝」というもので、まさに時代の先をゆくものだ。何ごとにも果敢に挑まれる、いかにも三宅雅子さんならでは、の新しい世紀の扉がまた一つ開かれた感じである。
 何よりも、まず心から祝福したい。

 同封された案内文の概要によれば、「華やかに、瑞々しくつづられる愛の情景。そして人生の夢と悲しみ……。作家であり歌人でもある作者が、人間の様々な愛のカタチを丹念に紡いだ短歌百首に、解説を添えてお届けする。……」(inko編集長 田島薫)=一部抜粋=とある。

 写真は雨に打たれて季節を過ぎ、なおたくましく咲く外垣のアサガオたち
 

 きょうは一日中、雨が降った。
 瑞々しいといえば、雨に打たれて花開く、わが家の庭の外垣に張り付いた薄紫の朝顔があまりに美しいため、カメラに納めると「夏咲くはずが、まだ元気で咲いているの。本当に、すごいよ」とのこと。思わず、いとおしくなり、雨に打たれているところを写真に撮った。人間も自然も、みんな一生懸命に生きているーでも、やがては消えていくのだ、と思うと、なぜか〝もののあわれ〟を感じてしまう。

 「悪夢3連敗」「悔しい」『「10・8』悲劇再び 守道竜終戦』とは、けさの日刊スポーツ1面の見出し。記事は高木監督の談話「私は貝になります」を紹介しつつ、「タヌキがライオンになり、最後は好々爺に戻った」と続け、なかなか面白い表現だな、と思った。
 
【新聞・テレビから】☆『〈被災地再生の歩み〉三陸漁師たちの挑戦 (フランスを見習い)殻付きカキで三陸のカキで世界を』(23日、メ~テレ・報道ステーション)
☆『「10・8」雪辱 来年こそ』『竜日本S進出ならず』『ファン「新しい風入れて」』、『〈核心〉 (スペインの)バスク州議会選で躍進 分離独立派 欧州で勢い 金融危機で緊縮策 富裕地域に不満』、『イタリア地震 予知失敗』『学者ら7人実刑』『地裁判決 求刑上回る禁錮6年』、『〈この人〉昨年の公認会計士試験最年少で合格 野田有里さん』(23日付、中日朝刊)
☆『新曲売れず 幸子の紅白消滅 リスト外れる』(23日付、日刊スポーツ)
☆『田中法相が辞任 暴力団・献金で引責 就任3週間 野田政権2人目』、『吉田(沙保里)選手(国民)栄誉賞 政府が閣議決定 来月7日に授与式』、『山古志の記憶埋もれさせぬ 中越地震8年』(23日付、中日夕刊)

平成二十四年十月二十二日
 きょうの私からのひと言は「モリミチさん。本当に、お疲れさまでした」に尽きる。
 この一年〝JOIN US(ファンと共に)〟をスローガンに、よくぞドラゴンズ、そしてファンをここまで引っ張られてこられたなと高木守道監督には、ただ敬意の念しかない。
 七十一歳のからだに鞭打ち、それこそ昨シーズンの政権交代時からのご自身の誠意とプロ野球界に対する情熱、そしてファンと共に歩まれる前向きな姿勢は真実、ファンサービスの面からもプロ野球界全体のレベルアップにつながったことは間違いない。
 私は先の地球一周の船旅でドラゴンズの成績を知るのは行く先々で一、二週間遅れだったが、成績を見ていれば彼がどれほどの努力、そして気力でこのシーズンを乗り越えられたか、は一目瞭然だ。無事、シーズンを乗り越えられた、ことを何より喜びたい。

 クライマックスの闘いぶりといい、高齢に鞭打ってのご活躍。私は今シーズンのプロ野球界の最高殊勲賞をあげるとしたなら、文句なく「中日ドラゴンズの高木守道」を推したい。バック・トスの名手、高木さんのおかげで老若男女の関係なく、全国のどれほどの野球ファンが楽しいひとときを過ごせたことか。これは、とても言葉では言い尽くせない。
 でも、高木中日はまだまだ、これから。監督の悲願でもある一九九四年の「10・8決戦」の雪辱を来年以降、果たしてもらわなければならない。ファンは、その瞬間を願っているのだ。

 さて、この日(二十三日)のクライマックス最終戦。ドラゴンズは巨人に4―2で負けた。ドラゴンズは21歳の稲沢出身の伊藤準規投手が先発したが、二回裏に打ち崩され3―0に。その後も五回裏、山井が村田にソロ本塁打を打たれて4―0に。それでも、六回表に強襲安打で出塁したブランコが和田の犠打で1点を入れ、最終回にも二死から大島が出塁。井端が返して4―2に詰め寄るなど見応え十分だった。
 私個人的には、ファンクラブのお母さんで現在、病気療養中である安江都々子さんが応援する準規が先発し、舞の大好きなブランコが期待外れの空振りをしてくれ、最後にここ二、三年での成長著しい人間・大島のホームインする姿も見られた。欲をいえば、浅尾、岩田両投手の勇姿も見たかったが、それなりに満足している。

 一方で三年ぶり、三十三回目の日本シリーズ出場を決めた読売巨人軍の原監督にも心からエールを送りたい。日本シリーズ出場についてのインタビューがまた、良かった。彼はインタビューに答え、こう話したのである。
 「いきなり、三連敗。完全に土俵際まで、徳俵に乗ったが、それから選手が全員よく頑張ってくれました。非常に価値ある勝利です」と、その言やよし、だ。

【新聞・テレビから】
☆『希望失わない ユニセフ親善大使 黒柳徹子さんと28年 飢餓・紛争地帯の子たち全記録 写真家田沼武能さん語る』(2012年10月21日号、しんぶん赤旗日曜版)
☆『ミス・インターナショナル 吉松(育美)さん世界一 日本人初』、『ムコドノお縄でござる 逃走7日目東山動物園から10㌔ 南区の住宅街で』、『岡崎市長に内田氏 自民復調ムードに弾み』、『志摩市長に大口氏再選』、『〈備える3・11から 戦国の液状化現象〉 ■戦国武将を次々襲う巨大地震 清洲越しは「高台移転」 徳川家康 大地震見越し台地・名古屋へ』(22日付、中日朝刊)
☆『日台漁業協議 再開へ 尖閣海域 中国をけん制』、『大谷投手 メジャー挑戦 花巻東高 ドジャース有力』(22日付、毎日朝刊)
☆『〈列島フォトリレー 2012・癒やし求めて〉 ①ぎんさん4人娘 縁側出て笑おみゃー』(22日付、中日夕刊)

平成二十四年十月二十一日
 今夜の東京ドームでのドラゴンズ×巨人のクライマックス第5戦。ドラゴンズは山内投手が先発し2点先行されたが、ブランコの本塁打で振り出しに戻した。しかし最終回の裏、山井投手が巨人の代打職人、石井義人の一振りでサヨナラ打を打たれ3―2で敗れ去った。
 これで巨人に与えられたアドバンテージをふくめ3勝3敗のタイに。むしろこの方がプロ野球が盛り上がってよい。あすは日本シリーズ出場をかけて最後の決着となるが、高木中日の勝利を心から願う。いや、三年連続の日本シリーズ出場、そしてニッポンイチを信じたい。

 写真は今に甦る懐かしの「ロマンス」「野球時代」など
 
 
 秋晴れの一日、舞と名古屋に出かけた。
 栄のテレビ塔下の公園で古本市が開かれたからだが、彼女が望んでいた大正から昭和にかけての文人で「一千一秒物語」「少年愛の美学」などで知られる稲垣足穂もの、そして私が一番ほしかったチリが生んだ詩人パブロ・ネルーダをはじめとした海外詩文庫の詩集、中南米の音楽本はいずれも一冊としてなく、甘くはなかった。

 でも、その代わりに私は昔懐かしい昭和二十二年五月一日発行の「ベースボール・マガジン」(定価拾円)、ドラゴンズの清水投手が表紙を飾る二十三年十一月一日発行の「野球時代」(四十円)と同日発行の「ロマンス」11月號(五十円)、そして三十七年四月二十五日発行の藝能フォノグラフ「青春スタア特集」(380円)の四冊を、計千五百円で手に入れた。
 入手した古本は、どれもそれなりに個性が際だつ月刊誌だった。
 私の心をひときわ高鳴らせたのが〝特別附録 大家花形書下し読切傑作集〟と表紙に書かれた「ロマンス」だった。ページを開くと、一、二頁は詩・橋爪健、画・岩田專太郎による豪華詩絵巻「椿姫」で両面見開き、続く評判連載も翡翠(吉屋信子)此の世の君(竹田敏彦)處女寶(菊池寛)と充実した内容だ。そればかりか、傑作特集の方も御鷹(吉川英治)夜のソナタ(立野信之)睡蓮の家(山岡宗八)と錚錚たる顔ぶれだった。

 〈眼がしぶい、多日の障子越しに、鵙の声はもう午近く思はれる。(時代小説「御鷹」)〉といった具合で書き出しの淡々とした表現、描写の妙など、今後の小説執筆にも大変、参考になりそうだ。

 古本屋もいいが、途中の露店で買った〝きゅうりいっぽん漬〟なるもの、塩をふった一本を交代でかじり名古屋の町を歩いた。ヒンヤリとさっぱりした味。それはおいしかった。二人ともこの〝いっぽん漬〟、こうした食べ方はこの年になって初めてだった。お腹がすいたところで、大須まで行き、「やっこ」で腹ごしらえして帰った。

 夜遅く。オリオン座流星群が東の空に見える。というので、近くの駐車場まで出て星空を仰いだ。見る方角が違うのか。その部分が雲に遮られていたからなのか、それらしきものを見ることは出来ない。深夜未明にかけ今度は、もう一度わが家二階から東の空を仰ぎ見たが、時折、箒星のようなものが走った感じがするだけだった。
 
【新聞・テレビから】
☆『「iPS細胞革命」ノーベル賞・山中教授 その研究の全貌に迫る』(21日付、NHKスペシャル」
☆『遠隔操作誤認逮捕「2秒の犯行」疑問放置 神奈川県警 裏付け捜査せず 少年と両親に謝罪』、『和紙アートほっこりと 岐阜・美濃』、『取材拒否撤回橋下氏が表明 「週刊朝日」報道』(21日付、中日朝刊)
☆『樹木葬』(21日付、中日サンデー版・世界と日本 大図解シリーズ №1066より)
☆『徳島父子殺人 小池容疑者が病死 逃走11年 岡山で女性と同居』、『〈マータイさん一周忌〉平和願う心次世代へ 緑愛する心忘れない』、『経済再生 いまだ途上=エジプトのモルシ大統領が就任し100日が過ぎた。生活改善は道半ばで、影響力が低下している』(21日付、毎日朝刊)

平成二十四年十月二十日
 写真はバイオリンの小田弘明さん(左から2人目)と読み聞かせに一役買った上田Nanaさん(左端)
 

 セ・リーグCS第4戦は東京ドームで行われ、中日は巨人に3―1で敗れた。これでアドバンテージも入れ、ドラゴンズ×巨人は3勝2敗に。あとは、ドラの勝利を祈るのみだ。 

 昨日、日本ペンクラブの会員仲間でもある京都の石田天祐さんから、宅急便でわが家にどんと送られてきた小説と戯曲「忽然の人」、小説「夢の咲耶姫」、総合文芸誌同人誌「まほろば70号」など計十冊もの本。これには正直、どうしてよいものかと、おったまげた。

 それでも同封の便箋に書かれた「京都のペンクラブのパーティーではお会いでき、うれしく存じました。私のガールフレンドの綺麗どころ? 十名を引き連れて出席しましたので誰を誰に紹介したのか判らなくなり、失礼しました……」には頬がゆるみ「拙作をお送りします。読まなくてもいいから、返送しないで下さい」には思わず、笑ってしまった。 
 石田さんと言えば「ブランド、キャラクターのライセンスと出版ビジネス」で知られる株式会社ギルガメッシュの大物会長だが、文面から温かな人間味が伝わり、とても嬉しく思った。きょう早速「天祐さん! …返送なんかしません」と礼状を出させていただいた。

 宅急便といえば、一宮の山下病院から思いがけず、名産「飛騨牛」が送られてきて恐縮した。病院最高顧問の服部外志之先生には、かつて新聞社の一宮主管支局に在任当時から支局員の定期健診や取材でお世話になるばっかりだったのに、と思うとナンダカ「もう一線を離れているのに、いつまでも良いのか」と思ってしまう。「昨今の医療情勢は厳しさが増すばかりでございますが、皆さま方からのご指導、ご厚情に寄り当院は歩み続けております。当院は、消化器専門病院として、この歩みを止めることなく、…今まで以上に病院一丸となって精進して参ります」の文面には、ふと医は仁術の服部先生ならではだ、と拍手していた。

 午後、舞が営むボランティアのリサイクルショップ「ミヌエット」で恒例のミニコンサートが店内であり、私も顔を出した。きょうは「Unit小田弘明&Nanaバイオリンと読み聞かせのコンサート」で二十人ほどの女性が鑑賞し、皆さん満足そうだった。
 楽しく進んだ【ちいさな、ちいさなコンサート】。この日は多くの女性が鑑賞した=「ミヌエット」で
 

 このとってもちいさなコンサート、無理をしないで回を重ねて行けば、それなりに町角の社会貢献になるか、と思う。それだけに、関係者にはこの場を借りて「今後とも、くれぐれもよろしく」とお願いしておきたい。これも、ちいさなコミュニティーの輪なのかもしれない。現代社会に欠けがちな「何か」が、音楽会により救われたならそれに超したことはない。

【新聞・テレビから】
☆「見に来てフットサル カズ(三浦知良選手=45歳)代表でW杯熱視線」、「週刊朝日 橋下(徹大阪)市長の連載中止」、「固定資産税 ほぼ全市町村で過徴収 中部9県 3年で6万9115件」、「中日3連勝 日本S王手 日ハムは進出決定」、「初参戦17歳 実力試す カナダに本拠移した羽生(結弦、宮城・東北高)」、「ソニー 美濃加茂工場閉鎖へ 来年3月末、早期退職募る」、「iPS臨床誤報 共同通信が処分 編集局長ら減俸」(20日付、中日朝刊)「全米兵の夜間外出禁止 女性暴行 再発防止策 駐日大使表明」(20日付、毎日朝刊)
☆「城下町 姫君が行く 長浜きもの大園遊会」、「服部君事件20年 米で追悼行事 銃なき世界祈る 家族、市民ら200人参加」、「名古屋まつり 71歳家康公『いざ出陣』(20日付、中日夕刊)

平成二十四年十月十九日
 わが家に持ち帰った、可憐でちいさき花々
 

 東京ドームであったセ・リーグのCS・ファイナルステージ第3戦。
 高木ドラゴンズはきょうも大島をはじめ、このところ鳴りをひそめていた谷繁、堂上兄弟の兄剛裕に快打が出るなど最後はチーム力が効を奏して5―4で勝ち、王手をかけた。
 いまの高木中日には、勝負に打ち込む以外に欲がない。どの選手も伸び伸びとプレーをしている。だから、勝ったと思う。それに引き替え、ジャイアンツは原監督はじめ、選手の一人ひとりに、どこかに欲というか。焦りが見て取れる。

 先にある週刊誌で「もう一人の愛人が告白『原辰徳』…」と女性問題を報じられた原監督、あれが事実としたなら、原さんはもしかしたら、本当の恋を知らない、かわいそうな人物かもしれない。
 恋が人生にとって何を示すのか。どれほど大切なものなのか。それが分からないようでは、あの高木モリミチさんに勝てっこない。今夜の試合こそ、延長戦(10回)にまで入り、それなりによくやっていたが巨人はこのまま負けてしまうかもしれない。

 中日ドラゴンズの公式ファンクラブ会員と言えば、選手以上に百戦錬磨の女性がいる。
 八十一歳という高齢のからだに鞭打って〝2軍の稽古場〟、いや〝戦場〟でもあるナゴヤ球場に通い続け、若い選手たちを日々、激励。母親同然の愛で可愛がり、かつ、たくましく育ててくださっている〈ファンクラブのお母さん〉だ。その安江都々子さん=愛知県北名古屋市在住=が、このほど国立病院で七時間に及ぶ大手術に耐えられた。
 手術後、順調でおかゆも食べられるようになった、とお聞きしたので、きょう江南市内の花屋さんに出向き、花キューピット便でアレンジされた花を病床にお届けさせていただいた。病院に電話で尋ねると、生花はダメです、とのことだったので「出来うる限り、優しい色合いのする花に」を条件にアレンジ花をお見舞いに贈らせていただいた。
 赤はダメ、生花もダメとのことだったが、花屋さんにたのんで何とか病床に、とお願いした。ところが、帰宅した舞が「造花だ、なんて。やっぱり安江さんに失礼だよ」というので失礼をお詫びしようとしていたところに、安江さんから「只今は、とても素晴らしいお花を頂きまして有り難うございます お気をつかはして、申し訳ないです」とのショートメールが入った。
 ―安江さん。負けないで!
  祈っています。無事なご生還を  
              伊神権太・舞子

 花屋さんに行ったら、計三百八十円也でクリーム色のトルコキキョウと青色リンドウ、赤いカーネーションがコップにいれられていたので、いとおしさを感じそのまま購入、舞に持ち帰った。けなげに花開く可憐なちいさき三色。どうするかは、彼女にまかせよう。どの花も、声ひとつ出さないでこの世でひそやかに生きている。

【新聞・テレビから】
☆「狭くて混むホーム安全に 金山に降車優先エリア JR東海で初の試み」、「バラの園 雨に香る 可児 花フェスタ公園」、「宇宙と家がつながった 全国の5人 (国際宇宙ステーションに長期滞在中の)星出さんと交信 天白の中1『無音の世界』質問」、「伊東新監督を発表 ロッテ『1年目から結果出す』」(19日付、中日朝刊)
☆「田中(慶秋)法相の辞任不可避 体調不良で閣議欠席 暴力団問題など」(19日付、中日夕刊)「綿花畑 砲弾の跡四つ シリア国境 トルコ人農民戦火におびえ」(19日付、毎日夕刊) 

平成二十四年十月十八日
 プロ野球の日本シリーズ出場権を争うセ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ第二戦は東京ドームであり、ドラゴンズが先発・伊藤準規投手の投打にわたる活躍(八回途中まで2失点)、連夜にわたって大活躍の大島のソロホームランなどで5―2で今夜も勝った。
 これでリーグ制覇に伴う巨人のアドバンテージ1点を入れても中日が2勝1敗とリード、このままの勢いで巨人をつぶし、日本シリーズで「日本一」になってほしい。ちなみにパ・リーグは日本ハムが札幌ドームでソフトバンクを3―0で下し、ともに2連勝とした。

 クライマックスシリーズと言えば、きょうの毎日新聞夕刊2面〈寝ても覚めても〉に冨重圭以子さんが「がらがらのナゴヤ」をテーマに、「ナゴヤドームにプロ野球のクライマックスシリーズ(CS)、セ・リーグのファーストステージを見に行って観客の少なさにがく然とした。」となかなか辛辣で良いことが書かれていた。関係者には、ぜひこのコラムを読まれることをお勧めしたい。
        ×        ×

 人は所詮、だれもが孤独で寂しい。
 きょう実家近くの畑から三輪自転車に乗って、それこそゆっくりとペダルを漕いで帰る途中の母の姿を見た。頭には帽子をかぶり、ひと漕ぎごとに大地を踏みしめるが如く、静かで落ち着いた見事な行軍は、まるでスローモーションビデオを見るようだった。
 私は、そんな表情を見るにつけ、92歳の今なお畑仕事に出向いたり、買い物に行ったり、病院にたった一人で行く、母のある【覚悟】と【決意】のような強い意志を感じたのである。

 母は「もうあちこち探し回らないで。みんなが心配するので返って疲れてまう。静かにしといて。やるように、やらせてちょうだい」と途中でペダルを漕ぐのを止め、そう言った。
 実家に先回りして待つと「今、とってきたばかりだから。持っていけ」と言うので丸々と太った柿六、七個を持ち帰った。家ではいれてくれたお茶を飲みながら、しばらく雑談したが「これから近藤さん(整形外科医)とこまで(腰を)見てもらいに行ってくる」というので、そのまま帰った。
 おそらく、この世に生きる母たちは、みんなこんな按配で弱音を吐くことはないだろう。母は強い。帰り際に彼女曰く「ちゃんと、シャツ替えてる。みすぼらしい恰好だけは、しないで」と。

 というわけで、私はきょうも母に叱られて帰ってきた。大戦など言うに言えない修羅場をくぐり抜けてきたニッポンの母たち。彼女たちは、どこまでもたくましい。

 「キャタピラー」の若松孝二監督、映画「エマニエル夫人」で一世を風靡したオランダの女優、シルビア・クリステルさん…と懐かしい人々が相次いで亡くなってゆく。これとて、この世の定めか。
 
【新聞・テレビから】
☆「最高裁 10年参院選『違憲状態』 一票の格差5倍 抜本改革求める」、「旭丘高同級生 共に銃なき社会へ 事件から20年思い新た」「YOSHI基金 米国人留学生『被害妄想が暴力正当化』」「YOSHIの会元事務局長夫妻『命ある限り声上げる』」、「若松孝二監督死去 76歳『甘い罠』『キャタピラー』 シネマスコーレ設立」(18日付、中日朝刊)
☆「PC遠隔操作 13件、声明送信者が実行 当局ほぼ確定 4人誤認逮捕か」、「〈雑記帳〉全国的に珍しいパグの警察広報犬が17日、岐阜県警で誕生した。名前は『ソレイユ巡査』」(18日付、毎日朝刊)
☆「〈大波小波〉今道友信の死」、「EU代表者、スピーチは誰? 平和賞授賞式、大統領ら出席へ」(18日付、中日夕刊) 

平成二十四年十月十七日
 今夜、東京ドームであったセ・リーグのクライマックスファイナルステージ第一戦。
 わが中日ドラゴンズは3―1で読売巨人軍に勝った。この日は大野雄大投手が先発して好投、最後は山井で閉めたが、打線も勢いの止まらない大島が打ち、これを平田が返すなどアッパレな試合展開となった。私は、今夜の勝ちは、〝高木中日の無欲〟がもたらしたと見ている。
 そこにはファーストステージを乗り越え、あとはやれるだけやってみようーとの〝ゆとり〟のような、勝負にかけるさわやかな姿勢が感じられる。

 午前中、十一月の高校同窓会への出席はがきなどを出しに郵便局まで外出したほかは、部屋にこもり、ほぼ書き終えた小説の推敲に推敲、また推敲を重ね、時間を取られた。午後は、やはり外の空気を吸わなければ健康に悪いと判断し、雨の中を事前に聞いていた公民館まで社交ダンスのレッスンを見にマイカーで訪れた。

 公民館では、この日のダンス教室の存在を知らせてくれた女性・ヤマモトさんが、あれやこれやと親切に「ダンスをこれから学んでいく」上での〝秘伝〟のようなものを教えてくださった。ただ、いつも思うのだがダンス年齢は、どうしてこんなに高いのだろう。
 そういう私自身、頭髪と歯を除けば今も若い気持ちで、全ての面で二十代のころと何ひとつ替わりはしないのだが…(「俺は昔と何らかわりはしない」の発言に舞は、決まって慰めるように、私に向かってこう言う。「トシはトシなのよ。もうアキラメなよ」と。)
 ヤマモトさんご自身も、まだ若い。なのに「あなた、まだ若いのだから」と言われ逆にそんなに俺は年寄りなのか、と思ってしまう。言葉の綾は、これだから難しい。あ~あ。

 いっそ、ヤマモトさんだけに教えてもらうのが一番安心できそうだ。彼女なら、気もあいそうで「ウン好いわよ」と教えてくれそうだ。さて、どうしよう。
 それにしても、久しぶりに聞く〈ツー・スリー・フォア・ワン、ツー・スリー・フォア・ワン……〉の掛け声。〝ニューヨーク、ニューヨーク〟のあとの〝ハンド・トゥー・ハンド〟がないルンバとは、一体どうしたことなのか。レッスンする場所によって、内容がガラリと違うのでは覚える方も大変だ。
 そんなことより、今の私にはやらなければならない、ことが山ほどある。

 でも、焦らない、慌てない。
 何ごとにつけ遊び心を忘れないで、ゆっくり、のんびりといこう。
 満を持していこう。
 その方が、私に期待してくださっている方々に応えられる。

【新聞・テレビから】☆「千畝の精神 母校で育て 瑞陵高生徒ら オリーブ植樹式(戦時中に臨時ビザを発給して多くのユダヤ人を救った、リトアニアの外交官杉原千畝の母校、愛知県立瑞陵高で十六日、イスラエル大使館によるオリーブの植樹式があった)」、「(米国ルイジアナ州・バトンリュージュで起きた)服部君事件あす20年 『フリーズ(動くな)』まさかの銃声 家間違え、ハロウィーン悲劇」、「沖縄で米兵2人逮捕 県警 集団強姦致傷の疑い」(17日付、中日朝刊)
☆「名画7点盗まれる ピカソ、モネなど各1億円超 オランダの美術館」、「『朝日の質問 答えない』 橋下氏、週刊誌報道を批判」(17日付、中日夕刊)「失業対策巡り応酬 米大統領選 第2回討論」、「米兵女性暴行 沖縄知事『厳しい対応を』 防衛相と会談 政府、大使に抗議」、「尼崎連続変死―角田美代子被告 近隣トラブル続出」「管理人に執拗抗議 因縁つけ警察騒ぎ」「住民『避けてた』」「『警察に相談したが相手にされなかった』 不明者の親類、03年ごろ」(17日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月十六日
 私にとっては、生涯忘れられない1枚の写真(右端、ハーモニカをふいている)
 

 「前略 秋冷の候、やっと秋らしく涼しくなってきましたが、お元気でお暮しのことと思います。……」の書き出しで先の102日間地球一周の船旅でことのほか、お世話になった〝船友兄貴〟の津江慎弥さん(神奈川県藤沢市)から丁重なる手紙がわが家に舞い込んだ。

 手紙は〈昨日は、乗船致しましたピースボートの神奈川県人会の集まりがあり、下船後早くも2か月が過ぎるのですね。月日が過ぎるのが、余りにも早いことに驚くと同時に、12月出発の78回の航海に乗船される方の噂などを聞き、これもまた、驚かされます。そんな話に当時の写真を見てますと、航海最後の日(8/17)の早朝「朝の歌声」最終の時の伊神権太さんのハモニカ姿を見付けました。他の方がお送りしているとは思いますが、私なりの写真をお送り致します。1枚だけですがご笑納ください。……〉と続き、私がオーシャンドリーム号の船上でハーモニカ(曲目は〝ふるさと〟)をふいている、まさにその時の写真までが同封されていた。
 実を言うと、まさか、私がハーモニカをふいているところを写真に撮られていた、だなんて。思いもしなかった。船旅中、撮る方には夢中だったが、撮られたとなると、全員集合や一部オプションツアーでの記念写真、船内操舵室見学時や〝船友〟たちの誕生日パーティーに撮っていただいたぐらい。ほんの数えるほどしかない。それだけに、この写真は今後私の人生にとっても、『貴重な1枚』になること、間違いなしである。津江さん! 心から、ありがとうございます。

 手紙は「これからは、今迄と違い、今度は寒い日が続くでしょう。どうぞ、お身体には充分ご慈愛のうへ、これからの冬を乗り切って下さい」と結ばれていた。私は、この文面を読んで地球一周の船旅の収穫は紛れもなく、津江さんをはじめとした多くの船友仲間に恵まれたことだ、と思う。
 そして、ことのほか僕を大切にしてくださった【とても若い彼女】がいつも話していた「この船に乗ってる人たちは、みんな良い人ばかりなんだよね」の言葉が頭から離れない。みんな、元気でお過ごしだろうか。津江さんも、奥さまともども、おからだくれぐれも大切にしてください。 

【新聞・テレビから】☆「本紙原発報道に菊池寛賞 福島事故検証を評価」、「中日 CSファイナル進出 あすから巨人と対戦」、「中小企業6割 原発ゼロ支持 愛知で本紙合同調査 半数が経済悪化否定」、「6人殺害を証言 尼崎 住宅から3人目遺体」(16日付、中日朝刊)「ソフトバンク 『米市場に成長潜在力』 スプリント買収発表」(16日付、毎日朝刊)
☆「脱原発文学者の会が初会合『今こそ言葉紡ぎ出さねば』」、「被災企業の支援 全国公募 中小復興へ大手と結ぶ 復興庁、石巻で第一弾」、「ゾウ暴れ飼育員死亡 富士サファリパーク おりの中で」、「テレ朝が所得隠し=2011年3月期までの2年間で約2億7千300万円の申告漏れを指摘された」(16日付、中日夕刊)

平成二十四年十月十五日
 〈ブランコさまさま、だわ〉。〈やっぱり、ブランコよ〉
 クライマックス・ファーストステージの最終戦。ナゴヤドーム。ドラゴンズ×ヤクルト戦は、それまで1―0とリードを許していたドラゴンズが8回裏、一死満塁からブランコが逆転満塁ホームランを打ち、4―1として、そのまま勝った。これにより、ドラゴンズの6年連続ファイナルステージ出場が決まった。最後の土壇場になり、昨シーズンまで舞の口癖だった「ブランコさまさま、よ」の言葉が生きた。あとは、巨人をやっつけ「日本一」になってほしい。

 きょうは最年長投手の山本昌投手が先発で頑張り、大島も期待どおりに打ち、今シーズン不調だった浅尾投手が抑えの本領を発揮して締めくくってくれ、なんだかホッとしたのである。また「僕の人生で一番素晴らしい打球で、最高の瞬間でした。皆さん! 一緒に東京ドームに行きましょう」だなんて。ブランコのヒーローインタビューに答える言葉が気に入った。

 今夜のNHK総合テレビ、クローズアップ現代の「初めて語る拉致の深層」。北朝鮮に拉致され日本に帰国して十年になる拉致被害者、蓮池薫さんが初めて語った新証言の数々には胸打たれた。
 「(横田めぐみさんや田口八重子さん、増元るみ子さんら)拉致被害者が死んだとされている日には生きていたはずだ。死んではいない。ウソです」「北朝鮮は飢えが体制を揺るがすと必ず見ており、やはり日本を必要としています」「まだまだ拉致問題を進展させるチャンスは十分ある」など。ひと言ひとことに真実味があり、今後、十分、拉致問題の解決はありうる、と思った。

 蓮池さんもNHKのクローズアップ現代でおっしゃっていたが、「そのためにも政府が問題解決の方針を貫いてゆく」ことの大切さを感じる。海難事故に遭った、社会主義の北朝鮮にあこがれ亡命した、と話すよう言われていたなどと告白した蓮池さん。「拉致によって日本の両親ら家族との絆が断ち切られた一方で、帰国時には北朝鮮で生まれたわが子たちとの絆まで失われそうになり、その間で苦悩し続けた」という。
 蓮池さん夫妻の心中やいかほどだったろう。

 番組を見ながら、「高度な政治判断と一貫した日本政府の姿勢さえあれば、今からでも遅くはない。拉致問題が大きく解決に向かって前進することは十分ありうる」と私なりに思ったのである。真実の証言の重さには勝てない。

 午前中、中日保険サービスから「自動車保険の保険料の引き落としが出来ません」との電話が入る。詰まるところ、私が引き落とす通帳口座の支店名を従来と同じ「一宮南支店」とすべきところを「江南支店」として申告したためだ、と分かった。(住所変更をしたので通帳の支店名も当然、江南支店に切り替わったものと思っていたのだが)
 元々、銀行はこれまで彼女に任せきりで苦手だったが、今日は思いがけないことで銀行まで出向いたり、保険サービスに電話したり、される、などで相も変わらぬドタバタ劇とあいなった。とまれ、保険サービスも、銀行も、全く融通というものが利かない。
 というわけで、書類を送り返してもらい支店名を「一宮南支店」にして送り返すことになった。小生にとっては、なんともはや貴重な時間が無駄に過ぎ去った。

 昼ごろ、旧知の元全日空広報担当(現会社社長)から電話が入り、「知人の中国人実業家の娘さんが、三河地方の市立保育園でいじめにあったみたいで顔を二針縫う大ケガをした。保育園側には少なくとも管理責任があるはずなのに市側には、まったく誠意が感じられず一度、話を聞いてほしい」との電話が入った。しかる筋に話をしてみたらいい、と心当たりを紹介する。
 日中間はいま、尖閣列島の日本政府による国有化、領有問題などでギスギスしている。でも、日本に家族一緒に住んで経済界や日中友好に寄与している中国人はいっぱいいる。そうした折も折だけに「中国人の子どもだから」といった理由だけで、もしもいじめが存在したとしたなら、それは放置できない。日中友好の芽は当然ながら、こどものうちから育てておく必要がある。

【新聞・テレビから】☆「初めて語る拉致の深層」「蓮池薫さん新証言」(15日、NHK〈クローズアップ現代〉)
☆「民家床下から2遺体 昨年の遺棄 被告周辺、6人以上不明 尼崎」、「PC遠隔操作 TBSに犯行メール 三重や大阪『私が真犯人』」(15日付、中日夕刊)
☆「拉致解決へ力に 〈北朝鮮による拉致被害者帰国から10年。蓮池薫さん(55歳)が『全面解決への力になりたい』と決意を語った〉」、「シアヌーク前国王死去 カンボジア『独立の父』 89歳」(15日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月十四日
 きょうは鉄道の日。明治五年九月十二日(新暦1872年10月14日)に新橋―横浜間に鉄道が開業し丸140年になる。そして、あす十五日から二十日までは新聞週間である。

 恥ずかしながら、あの新藤兼人監督がことし五月二十九日に百歳で亡くなっていたことをNHKテレビのBSプレミアムドラマ(「午後の遺言状」)の番組で初めて知った。亡くなられた時は、たまたま私が船旅に出てまもないころで日本のニュースとは隔絶された世界にいただけに、今になって好きな監督の死を知り、大変に残念な気がする。
 その「午後の遺言状」の中で乙羽さんと同じ肝臓ガンでなくなったスタッフの父の話が出てくるが、そのスタッフに新藤さんが色紙に書いて渡したのが〈人は 生きてるかぎり 生き抜きたい〉という言葉だった。
 新藤さんは乙羽さんの死後、十八年生き、この間に五本の映画の監督をしていたという。

 日曜日。秋が日に日に深まる。
 午後、古くこそあれ、バンドもズボンも何ひとつ不自由してないのに「(新しいのを)買わなきゃ」と言われ、半ばいやいや近くの紳士服店へ。彼女は、言い出したらきかないので「ハイハイ」とつきあい、なぜか二着(本)ずつも買い、今度はその足でアピタへ。トコトコとついて行くと、なんだか楽器店内の一角で座り込んでいる。「何か」と思ったら陳列棚に並んでいたマイクを物色していたと分かった。
 先日、市内の〝なんでも屋さん〟みたいな店で安く買い入れたマイクが役立たず、新しいのを手に入れるためと分かった。引き続き、他のお店にも顔を出し、よく分からないものを買っていたが。(夜、明かりが消された寝室に入ると天井にキラキラ輝く星空があり「あっ、これだったのか」と、室内の照明装置だったことを初めて知った。)

 ここまで付き合わされた後は、逆に私に付き合わせて隣町の大口町公民館へ。ここで地元ダンスサークルによるダンスパーティーが行われている、と聞いていたからで会場をのぞいた。いやはや一部を除き、皆さん熟年組が大半とみたが、いつもどこでレッスンをしているのか。なんとうまいこと。
 どのカップルもスターになりきってのステップで、童心に返っての演技といったら少年少女たちが踊っているみたい。華麗そのもので見とれてしまった。私が先の地球一周船旅をした際、オーシャンドリーム号船内で日々レッスンを繰り返してきた、あれは一体何だったのか。完全に目の前で踊る人々の方が曲にも見事に乗り、私よりはるかにうまかった。

 ダンス会場からは実家へ。母が出て来ないので家の周りの水田などをふたりで探し回ったあげく「念のために」と近くの畑に行ってみると、弁護士の兄夫婦と一緒に農作業をしていた。帰り間際に「お前は、電話をしてからこないから、こういうことになる」の弁。まだまだ母は誰よりも美しくて、耄碌などしていないな、と安心した。

【新聞・テレビから】
☆「『永山則夫・100時間の告白』連続射殺事件 初公開の録音テープ」(14日、NHKETV特集)「プレミアムドラマ『最後のカチンコ』▽新藤華人・乙羽信子▽夫婦の絆と愛の物語」(14日、NHKBSプレミアム)
☆「丸谷才一さん死去 作家『たった一人の反乱』 87歳」、「両陛下 除染を初視察 福島」、「クライマックスシリーズ 中田賢けん引 竜先勝(ヤクルトに6―1、ナゴヤドーム)、「ダンス軽やか 春日井で集い 愛好家260人が交流(春日井市総合体育館)」(14日、中日朝刊)
☆「中国が最も恐れる男―チベットの若き指導者(ロブサン・センゲ首相)」、「iPS『臨床応用』森口氏、一部虚偽認める 『手術、昨年に1件』」(14日付、毎日朝刊)

平成二十四年十月十三日
 ポッケに1冊、と静かな広がりを見せる京都発の詩集「おとなの童詩」 
 

       ×       ×

 今がいい。これでいいのだ。決して欲張らない。
 〝一匹(いっぴき)文士〟。いがみの権太、すなわち日本の作家・伊神権太としては後世に残す、人間愛に満ちた作品をこの先、一作でも多く書ければ、それで良い。
 自由になった今の私が、もしかしたら、もっともいいものを書ける時かもしれない。…………

 私はきょう、枯れ葉舞う京都の街をひとり歩きながら、そんなことを、ふと思った。初めてすれ違う人々。女たちが、いっぱいいれば、男もいっぱいいる。この世で初めて見る瞬間の連続でもある、全ての視界を目の前に、あれこれ思考を巡らせながら、歩を進めた。時折、橙色の大きな枯れ葉が二枚、三枚、四枚と、ふんわりふわり、と〈かぜ〉に吹かれ、まるで生きものでもあるかの如く天から地上に降ってきた。秋が刻々と足音を早めている。

       ×       ×

 京都の平安女学院Mホールと有栖館(有栖川宮旧邸)であった日本ペンクラブの京都例会に出席し、久しぶりに懐かしい人々にお会いした。第一部はMホールで日本ペンクラブ会長浅田次郎さんの特別講演「チェルノブイリ視察報告」があり、第二部は有栖館庭園及び室内での懇親会だった。
 特別講演「チェルノブイリ視察報告」は終始、原発に反対の立場をとる私にとって、原発がいったん牙をむいた場合の怖さをあらためて認識させられ、今後ペンを進めるうえで大いに参考になった。また懇親会では、かつて私を詩人最匠展子さんと共に日本ペンクラブに推してくださった恩師、中西進ペンクラブ副会長に久しぶりにお会い出来たばかりか、旧知のエッセイスト内藤洋子さん、そして長女でことし日本ペンクラブ会員になられた理恵子さん、詩人の宮内憲夫さんら多くの仲間とも談笑させていただいた。

 さらに私の102日間地球一周の船旅完結に伴い、先日名古屋であった「伊神権太の地球一周紀行~平和へのメッセージ」帰朝報告会及び祝賀会(詳しくは本欄「熱砂」の伊神権太作品集〈海に抱かれて みんなラヴ〉を読んでいただくか、ユーチューブで〈伊神権太が行く世界紀行〉を検索)で京都から、わざわざ駆け付けてくださった株式会社ギルガメシュ代表取締役会長で作家、日本ペンクラブ会員でもある石田天佑さんにもお会いし、お礼を言うことが出来た。

 帰りには、ご無沙汰をしていた神戸新聞編集局夕刊編集長・文化生活部長の三好正文さん、そして宮内憲夫さんの三人で京都駅前で一献交わし、おいしい酒となった。この日は有栖館に向かう途中、京都の街を歩きながら、先の地球一周102日間の船旅での船内仲間にも電話させていただき、久しぶりに元気な声を聴くことが出来、うれしかった。

 きょうは最近の詩壇、いや、ちまたで〈あなたのポケットに一冊 一寸愛。一寸人生。一寸郷愁!〉と、静かな喝采を浴びつつある宮内さんの詩集「おとなの童詩」(京都・白地社発行)から、三編を紹介させていただく。
 産まれたときは すっぱだか/死んでも 白衣一枚着せられる/なんで 生きてる時には/がんじがらめに 身をまとう/せめて 心だけでも裸でいたい!/湯上がりの 赤ん坊の笑顔して!(はだかのままに)
 少年よ 少年の中を/少女よ 少女の中を/そんなにしてまでー/力の限り走るでない/疲れてしまったなら/いやでも おうでも/おとなと言う名に?/成るしか ないよ!(少年少女画報)
 うすっぺらいものですから/たかが知れています/でも 僕にとって/この 人生は/かけがえのない/定形外なのです/どうか 皆さん/二つ折りにしないで下さい(定形外)

【新聞・テレビから】☆「EU(欧州連合)にノーベル平和賞 戦争の大陸 和解貢献」、「iPS(人工多能性幹細胞)臨床は事実無根」(13日付、中日朝刊)「森口氏iPS研究 東大『臨床聞いてない』 医科歯科大は関与否定」「現時点の臨床『ありえない』 山中教授」(13日付、毎日朝刊)
☆「(井上永貢子さんの描く)キャンバスは商店街 衰退の(名古屋は)大曽根壁画の励まし 『みんなの絵。新名所に』」、「プロ野球 CS開幕」(13日付、中日夕刊)、「治療の有無 森口氏『わからない』 iPS『臨床応用』 米病院は全否定」「『勝手に名前使われた』 杏林大講師」(13日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月十二日
 けさは起きると同時に、肌寒いというか、この秋初めての寒さを感じた。
 自室に行くと、そこには既に冬物の毛布や防寒用の室内着・丹前が置かれていた。いつも思うが、わが家のカミさんの季節感は驚くほど敏感で、かつ手早い。アッという間に季節が、まるで彼女の手のなかでコロコロと替わっていくようだ。それにしても、これからは、いよいよ少しずつ寒くなっていく。
 これだけは、人間がどんなに喚こうが、叫ぼうが、だ。どうにもならない。

 先日、収録に出向いた大垣ケーブルテレビの担当者が、出演番組(9~14日まで、午後6時からのニュースLink・ゲストコーナー)のDVDをさっそく送ってくださった。DVDはもう一本、〝2012年日本ケーブルテレビ大賞〟に輝いた大垣ケーブルテレビ制作の「日本一小さな酒蔵(28分)」=2012/1/9~OA=も一緒に同封されており、さっそく見させていただいた。
 地元農家と農業試験場スタッフらの陰ながらの温かい支援に支えられ、岐阜県大野町の酒蔵・杉原酒造の5代目がニューフェイスの酒米〝揖斐の誉〟にこだわりつつ、新酒「射美」を誕生させるまでの汗と努力、創意工夫の苦闘物語がリアルに描かれており、「日本一大賞」にふさわしい内容には感服した次第である。

 夜に入り、ノーベル平和賞にEU(ヨーロッパ連合)が選ばれた、ことをNHKのテレビニュースで知る。昨夜のノーベル文学賞の中国人作家・莫言さんも含め、なかなか味な選び方だな、と純粋に思った。これでこそ、ノーベル賞の存在価値がある。
 きょうは、なぜかアンデス山中のコンドルのことが恋しくなり、あらためてパソコンでサイモンとガーファンクルの名曲「コンドルが飛んでゆく」を二度、三度…と聴いてみた。

 本日付の中日本紙夕刊〈夕歩道〉に「あるベテラン文芸担当記者が言っていた。…村上春樹氏の恋愛小説とは、恋愛の小説でなく恋愛の解説ではなかろうか。」と。そうも言い切れない部分もあるが、本物の恋愛とは言い難い点は確かだ。いい点を突いている。本物の傷だらけの恋をしてこそ、人の心を打つ小説が書けるのだ。相手は、結婚前の妻でもいいし、他の女性でもいい。文学は、どこまでも裸でなければ。推理小説は別だが、トリックなど必要ない。人間のあるがまま、これを描き切らなければ。

【新聞・テレビから】☆「避難先小学校で『ふるさと科』 浪江忘れないもん 地名かるた、未来の街想像地図…愛着今も」、「莫言氏 ノーベル文学賞」「中国籍の作家で初 『紅いコーリャン』原作」(12日付、中日朝刊)
☆「ソフトバンク 米携帯3位買収を検討 TOB(株式公開買い付け)で 総額1兆円超」、「G7 緊密連携で合意」「世界経済の下ぶれに警戒 財務相会議」(12日付、毎日朝刊)
☆「チョコを食べればノーベル賞? 米医師が奇妙な新設」、「iPS臨床治療に疑問の声 森口氏 学会に現れず」(12日付、中日夕刊)

平成二十四年十月十一日
 秋の空に見事なほどに広がった鰯雲、11日午後写す
 

 「秋空に時として、白い雲が鯖の斑紋の如く、魚鱗の如く、或は波の如く現れることがある。古来、この雲が現れると、鰯の大漁があるといふので鰯雲と呼ばれた。」(新歳時記増訂版「花鳥諷詠」=著者・高浜虚子=より)。
 きょうは、空を仰ぐとその鰯雲がそれは見事に天いっぱいに現れていた。
 ♯鰯雲島の港の小さゝよ 牧也

 中日ドラゴンズ公式ファンクラブ会員で通信員でもあるIさんから電話を頂いたので、かけなおすと〝ファンクラブのお母さん〟として慕われ、現在、名古屋市内の病院で病気療養中である安江都々子さんに関する連絡だった。
 今は二日前に七時間にも及んだ大手術を終えたばかりだ、ということだったがナントカ助かってほしい。様子を見たうえで一度、お見舞いに行かなければ、と思っている。不死鳥の彼女のことだ。必ずや、病魔から脱出して生還してきてくれるに違いない。
 ここは見えない本物の神さまに祈るほかない。きっと、助かる。そう心の底から願っている。

 大津市立皇子山中学校2年の男子生徒(当時13)がいじめに遭って自らの命を断ってから、ちょうど一年。中日新聞朝刊〈核心〉では、いじめへの対応が「『学校で』から『警察へ』」となりつつある教育現場の転換を突き、まさに核心をとらえた良い記事だ。
 ただ、警鐘として「学校内のいじめにすべて警察が入れば『いじめ警察』でもつくらなければ対応できない」といじめ事件のむずかしさにも触れ、「学校内で起きた問題の解決を早めたいがために警察に依存するのは、学校の現場力を失う」と問題点を挙げており、その通りだと思う。
 いじめ事件が複雑化するなか、ある中学校教頭の言う通り「事件を繰り返さないためには警察の力を借りて安心して学校に通える環境をつくることが急務」であるとの意見も当然、うなづける。それよりも、では本当にこどもたちにとって、大切な環境とは何か、を考えなければ。 
 学校に通える環境も当然必要ではあるが、そのことより大切なことは昔のように子どもたちが思いのまま自由に飛び回って遊びあえる、そんな野や山、川といった自然の確保ではないか。子どもたちが伸び伸びと遊べる場所が急減するなか、皮肉にも学校での〝いじめ〟が増えているーふと、そんなことを思ってしまう。

 ノーベル文学賞は中国作家協会副主席で「赤い高梁」「豊乳肥臀」などの著作で知られる中国人作家・莫言(ばくげん)さん=五十七歳=に決まった。前評判が高かった日本の村上春樹さんは、残念ながら選から落ちた。
 
【新聞・テレビから】☆「〈核心〉大津・中2自殺から1年 『学校で』から『警察へ』 いじめ対応 教育現場転換 迅速さ優先 捜査員は戸惑い(大津支局・木原育子)」、「浮く風力発電 中電が挑戦」「来月6月から 模型で実験」、「街のオアシスに『虹』開設10年照明一新」、「福島1号機 格納容器 水位280センチ カメラで確認 予想を上回る 落下燃料 水中か」(11日付、中日朝刊)
☆「手術後も『プロ』青野さん 気管切開勇気の歌 同境遇の女性が公演企画」、「iPS初の臨床応用 米大邦人講師ら 心筋作り移植 2月に実施の男性回復」(11日付、中日夕刊)
☆「WBC侍ジャパンスタッフ発表 3連覇へ団結」「兄貴になる 立浪打撃コーチ 鬼にもなる」「(山本)浩二監督直接出馬も
 ダル、黒田、イチローらの参戦熱望」(11日付、中日スポーツ) 

平成二十四年十月十日
 中日新聞の本日付夕刊に【ロンドン=共同】電発で「レノンの祈り 天に届け」「イマジン・ピース・タワー点灯 アイスランド」の見出し入りで、点灯のニュースがカラー写真入りで載った。

 記事は「故ジョン・レノンさんの誕生日の九日、アイスランドの首都レイキャビクで、レノンさんの妻で芸術家のオノ・ヨーコさん(七九)が制作した世界平和を祈念するモニュメント『イマジン・ピース・タワー』の点灯式が行われた。点灯式はタワーが建造された二〇〇七年から毎年十月九日に行われており、六回目。市民ら約八百人が参加し、レノンさんの代表曲『イマジン』が流れる中、円筒形の台座から上方に向けてライトが照らされ、光の塔が出現した」といった内容だった。
 毎日新聞も同じ夕刊で、点灯されたイマジン・ピース・タワー、そしてオノ・ヨーコさんからの〝平和に関する賞〟を受賞したレディー・ガガさん&オノ・ヨーコさんの写真入りで「希望の光 点灯」と紹介しており、嬉しく思った。

 きょうは横笛の練習で名古屋の師匠宅へ。師匠からは、この世には、いろんなタイプの人間がいることを暗に教えられ、話が弾んだ。私はこうしたひとときも貴重なおけいこで、自らの修養になると信じている。この齢になって「なるほど。師匠だ。思慮深く、安心できるお方だな」と思った。

 帰宅してからは黙々と書くことに励んだ。途中息抜きに先の地球一周船旅で寄港地を出航のつど汽笛の合図とともに流された思い出の出航曲「フリーダム(Freedom)」をICレコーダー片手に繰り返し歌ってみた。
〈家族と共に私はいる …隣人も、そして友人とも 皆で手をつないで抑圧に立ち向かう どこから来ているかは関係ない 若かろうと、老いていようと、男も女も関係ない 私たちがここにいる理由は同じ 自分の場所を取り戻すため 神よ感謝します 私たちに力を与えてくれて そして私たちはここにいる おぉフリーダム、フリーダム 私たちの声は届いているはず 自由を求め、自由のために闘う……〉
 これを英語で歌うのだが、何といっても曲がいい。
 このFreedom(自由)は、ことし春のチュニジアやエジプトでの〝アラブの春〟革命を受けて創られた意義深い曲である。歌っているマヘル・ゼインはレバノン生まれ、スウェーデン育ちのシンガー。たまたまピースボートに乗った2012年に〝アラブの春〟革命が起きたことで、Freedomに巡り会い、何か運命的なものすら感じる。私のからだは寄港地から出航するたびごとに、そして下船してまもなく二カ月になる今も日々、身も、心も、全身がこの曲に染まり特化しつつある。

 夜。たまたまCBCテレビで『あなたが聴きたい歌の4時間スペシャル』なるものをチラリと見たが、懐かしいメロディー、そして小林旭の「熱き心に」の歌詞などにはいっときを忘れて改めてメモをとるほどだった。特に狩人の「あずさ2号」の〈さよならはいつまでたってもいえそうにありません…〉の言葉が、しばらく胸について離れなかった。

 口数が少ない舞は、この日何を思ったのか。「ほかの人は騙せても私はできないからね」とポツリ、私に向かって言った。この言葉に「オレは、やはり彼女の手のなかにある〝操り人形〟か」と思う。……、……。

【新聞・テレビから】☆「ぎふ清流国体閉幕」、「日系自動車メーカー 中国での販売急減9月 不買運動広がる トヨタは48・9%減」、「園児襲撃メール 男性釈放」「東京地検先月下旬 遠隔ウイルスに感染」、「本人装い『ノーベル賞キター!』 ネットで反響3万8000件」(10日付、中日朝刊)
 ☆「レノンの祈り 天に届け イマジン・ピース・タワー点灯 アイスランド」、「亜熱帯型 東海9月 集中豪雨」「温暖化影響 記録的時間雨量が多発」(10日付、中日夕刊)「震災乗り越え カーネーションかれんに 収穫シーズン到来 宮城・名取」、「大王製紙前会長 懲役4年 東京地裁判決『厳しい非難免れぬ』 特別背任事件」(10日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月九日
 写真は〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉の陰の功労者である愛猫こすも・ここ。9日写す
 

 一線こそ離れた〝一匹文士〟の身ながら、日々何かに追い立てられる如く次から次にと、いろんなことが湧き上がってくる。

 きょうはこの春、私が名もなき名古屋の笛書房から22、23年両シーズンのプロ野球セ・リーグを連覇した中日ドラゴンズの足跡を、日々の暮らしも併せ書き綴った日記を基に1冊にまとめて出版した本〈いがみの権太 大震災「笛猫野球日記」〉の件で、光栄にも岐阜県大垣市の大垣ケーブルテレビさんに出演することになり、その収録で同ケーブルテレビのスタジオを訪れた。
 まもなくテレビ・ラジオ・イベントMC、平松伴康さんの〝イケメン司会〟で本誕生に至ったいきさつに始まり、本の奇妙なタイトルのわけ、本にしてみて改めて感じたことーなどにつき問われ、「ドラゴンズは全国のファンあってこその存在なので、何よりもファンの皆さまの生の声収録に力を注いだ。全国各地にドラファンは点在しているが、東日本大震災の被災地にも大勢おいでになる。ここ大垣の地でもファン感謝デーなどでボランティアを買って出てくださった女性らがいます。この本は球団初のリーグ連覇の貴重な記録なので時が経つに従って価値は増していくはずです」などと話した。
 
 最初にリハーサル、次いで本番の順で進んだが、こうした出演は先の地球一周の船旅期間中に、CBCの後藤克幸論説委員から「平和の意義」について洋上質問されていらいで、少しばかり緊張した。それでも台本を作ってくださった放送部主任高尾加世さんらスタッフの温かいまなざしと手助けで、なんとか収録は終わったのである。

 注目のタイトルの説明ではドラゴンズがリーグ連覇を果たした期間中、妻の入院時などいつも大垣のころから私たちと一緒に過ごしてきた愛猫こすも・ここが私を起こしてくれ、おかげで書き通せたーなどと説明。平松さんは「あっ、そうだったのですか。この〝大垣猫〟のこすも・ここちゃんがいたからこそ、本が誕生したのですね」と見事に座を盛り上げてくださった。

 私は収録の間「大垣は大変、気品のある町です」と日ごろ、思っていることを話すのを忘れなかった。さて。視聴者の反応は、どう出るのか。少し怖い気もする。
        ×        ×
 大役を果たして愛知県江南市の自宅に帰宅しパソコンを開くと、ジョン・レノン音楽祭事務局から「伊神ごん太(権太)様」あてで「オノ・ヨーコより:大切なご友人である伊神ごん太さんへ」と題した次のようなメールが届いていた。
―大切なご友人である 伊神ごん太 さんへ 日本時間の明日10日午前5時にアイスランドのレイキャビクで、亡き夫ジョン・レノンを追悼して、イマジン・ピース・タワーを点灯します。みなさんのすべてのご友人に、イマジン・ピース・タワーへ願いを送るよう呼びかけてください。そして、点灯しているイマジン・ピース・タワーをホームページでご覧いただけるよう呼びかけてください。私は、この星の隅々から集まった願いが、イマジン・ピース・タワーでひとつになり、そして、光となって放たれ、不安と混乱に直面しているこの世界に勇気とインスピレーションを与え、みんながひとつになることを望んでいます。
 私たちはひとつになりましょう。
 平和な世界を実感しましょう。

 愛は私たちのエネルギーです。
 叡智は私たちの力です。
 世界のいたるところへ光を解き放すときが来ました。
 みなさんと一緒に創る旅を楽しみましょう。

 愛を込めて
 ヨーコ・オノ・レノン 2012年10月
 詳細はこちらをご覧ください。
http://www.dreampower-jp.com/message/tower/wish.html
 点灯するイマジン・ピース・タワーはこちらでご覧いただけます。
http://www.dreampower-jp.com/message/tower/camera.html

 日本時間では10月10日の午前5時に点灯し、アイスランドで夜が明けるまでみられます。その後、ジョン・レノンの命日まで毎日点灯します。

   イマジン・ピース・タワーとは?
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 こちらをご覧ください。
http://www.dreampower-jp.com/message/tower/index.html
「平和な世界を想像してごらん」ジョン・レノン
「ひとりで見る夢はただの夢、みんなで見る夢は現実になる」オノ・ヨーコ
                                (一部は割愛)
      ×      ×
 私は、その場で次のような返信を書き、オノ・ヨーコ様あてに送ったのである。
 「オノ・ヨーコさま アイスランドのレイキャビクは地球一周の船旅でことしの七月一、二の両日、訪れたばかりです。平和で心やすらぐ町で、いっぺんに好きになりました。そのレイキャビクで亡きご主人ジョン・レノンさまを追悼してのイマジン・ピース・タワーが点灯する、とのお知らせ。とても嬉しく思いました。了解です。イマジン・ピース・タワーへ願いを送るよう、「熱砂」のホームページを通して全ての友人、知人、そして読者に呼びかけさせていただきます。伊神権太(ごん太)」
 そして私はいま、願う。このイマジン・ピース・タワーの存在がますます世界平和に役立ち、その道しるべになりますように…と。

【新聞・テレビから】☆「山中氏にノーベル賞 iPS細胞を作製 医学生理学 再生医療に道 『患者のために』原点」「英ガードン氏(ケンブリッジ大名誉教授、79歳)と共に」(9日付、中日朝刊)
☆「豪華屋台 競演 秋の高山祭始まる」、「家族の笑顔が安らぎ 疲れてるのに走る人 ノーベル賞 山中さん、夫婦で会見」(9日付、中日夕刊)「世界成長率 下方修正」「12年3・3パーセントに IMF・世銀総会開幕」、「『国際航空宇宙展』開幕 29年ぶり中部で」(9日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月八日
 体育の日。
 秋らしい一日となった。
 そういえば、きょうは葉にちいさな露が宿るとされる【寒露】である。

 ことしのノーベル医学・生理学賞に、かねて受賞の呼び声が高かったiPS細胞を作り出すことに世界で初めて成功した京都大学の山中伸也教授(京大iPS細胞研究所所長、50歳)が選ばれた。山中さんの受賞は日本人では十九人目、医学・生理学賞は昭和六十二年の利根川進教授いらいだ。
 このiPS細胞はこれまでの生命科学の常識をくつがえすもので、人の皮膚に特定の四つの細胞を導入することでiPS細胞をつくり、臓器や神経、筋肉などに生かし傷んだ人間のからだを元に戻すーという画期的な試みである。実用化が実現すれば、近いうちに目の疾患や脊髄損傷はじめ、全ての分野で再生医療にとって大きな前進になるのは間違いない。当然ながら、倫理面でのハードルも超えなければならないだろう。

 素人考えだが受賞が弾みとなって人類の医学が飛躍的に進化し「現段階では治せない病気が治るようになり、倫理面の課題も克服して人の健康に貢献できたら、それこそ革命的だ」といえる。山中さん自身「研究成果がいかに患者の治療に生かせるか。何よりも実用化を目指したい」と語っている。そればかりか、「iPS細胞の特許は医療を一部だけに独占させないための手段だ」と言い切り、今後の再生医療にとって新たな光りが灯ったといえる。
 とにもかくにも、おめでとうと祝福したい。
 山中さんは記者会見で「真理は、幾重ものベールに包まれ見えないものだ。たまたま(自分が)ベールをはいだだけのことで、国の支援のほか多くの研究者や仲間がいればこそ、受賞となった。感謝とともに責任を痛感している」と語ったが、すばらしい人だな、と思った。

 きょうは明るい話題が多い。三重県菰野高校出身のプロ野球オリックスの西勇輝投手(21歳)がヤフードームであった今シーズンの最終戦、対オリックス戦で3―0のノーヒットノーランを達成した。ノーヒットノーランは史上71人目だという。西投手は、プロ初完封がノーヒットノーランとなった。オリックスは今シーズン六位と低迷したが、最後に西投手が花を咲かせてくれた。

 そして。海外からも、もうひとつ。午後七時からのNHKのテレビニュースでベネズエラの大統領選で、あのチャベス現大統領が四選を果たしたニュースが飛び込んできた。チャベス大統領といえば、私が先の地球一周の船旅でベネズエラを訪れた際、近づく大統領選を前にラグアイラの街中の至るところに親しげな〝チャベスさん〟のポスターが張られていたことをつい、思い出してしまう。
 ニュースによれば、四選の背景には、このところの豊富な原油収入があるようだ。今後はキューバやイランなど反米の国々との関係も深めていきそうな気配だけに、今後の動向が注目されるという。いずれにせよ、私がベネズエラで感じたチャベス大統領はもはや、この国の英雄ともいえ神格化された【ベネズエラの顔】であった。
 このところは病魔と闘うチャベス大統領を気遣う国民が大半で、タクシーも、乗合バスも、道行く人々も、何事もない町を何事もなく行き交っており、この国はいま平和なのだな、と実感したことは確かである。

【新聞・テレビから】☆「『爆破』予告 逮捕者は無関係」「パソコン遠隔操作か」「新種ウィルス 津の男性ら釈放」「第三者は『想定外』 PC遠隔操作」「警察〝捜査ミス〟に困惑」「津の釈放男性 終始潔白訴え」「誰もが『犯罪者』、「(男子テニスの)錦織二勝目 ツアー日本男子初」(8日付、中日朝刊) 
☆「(開場50周年の鈴鹿サーキットで。小林)可夢偉(が歴代日本人選手タイとなる3位)次は頂点 10万人熱狂 初の表彰台」、「11月16、18日キューバ戦 (ドラゴンズの)大島 壮馬が侍JAPAN入り」(8日付、中日スポーツ)

平成二十四年十月七日
 日曜日。きょうは請われて合間に一度、買い物を兼ね外出し、その際に喫茶店に入ったほかは、ずっと自室デスクを前に書き続けた。隣では私が執筆する様子を長女猫のこすも・ここが静かに見守り続けた。

 執筆の途次、ペンが途絶えたり発想が出なくなると文学界十一月号や週刊新潮10月11日号を読んだり、「1962年10月5日、英国の港町・リバプール出身の4人組がレコードデビューしました。ザ・ビートルズ。後に世界中の音楽、文化にまで影響を及ぼし、50年が経過した今も愛され続けている偉大なグループの秘密を探ります。」と書かれた中日新聞(東京新聞)のサンデー版〈THE BEATLESレコードデビュー50年〉に目を通したりした。

 夜はたまたまひねったチャンネルで中京テレビの〈のどじまんザワールド〉を見る。世界各国から集まった外国人が「世界一日本の歌がうまい外国人」を目指し美声を披露するという内容だったが、歌への感情表現も含めなんてうまい方々ばかりなのだろう、と実感した。
 そして歌声を耳に、何よりも数々の歌詞にも魅せられ、大変参考になった。
≪ことばにならないほどの思いを どれだけあなたに伝えられるだろう≫…

 きょうは、ただ、それだけだ。
 
【新聞・テレビから】☆のどじまんザワールド2012年秋の陣~本日開幕 歌が超ウマい外国人が日本の名曲を大熱唱…世界一の歌声は誰だ!?(7日夜、中京テレビ)
☆THE BEATLESレコードデビュー50年(7日付、中日サンデー版 世界と日本 大図解シリーズ №1064)、「『脱原発』へ文学者の会 加賀乙彦さんら 9日に初会合」、「伊勢市駅前 鳥居復活へ 外宮新たな『おもてなし』「式年遷宮前に 神宮が新材提供」(7日付、中日朝刊)
☆「運用ルール機能不全」「オスプレイ配備完了」「沖縄、違反と反発」、「『文科省を尊敬』『光栄』 真紀子大臣 腰低く 着任1週間 幹部安ど」(7日付、毎日朝刊)

平成二十四年十月六日
 この広い宇宙にあって。私みたいなケシ粒の人間にだって、それなりに、だ。日々、他の人と同じようにいろいろドラマはある。

 きょうは、江南市内、シオンで行われた、こどものころからボクたち三人兄妹が大変よくして頂いたサッちゃん(大脇幸子)のご主人、末八さんの葬儀に出させていただいた。「謹啓 夫 大脇末八儀 享年七十六歳を一期として永眠いたしました…… 喪主 大脇幸子 親戚一同」の御会葬御礼がいたましかった。
 こうした葬儀に列席するつど思うのは、人の世のあわれである。どんな人であれ、死を避けて通るわけにはいかない。私は末八さんの最期の顔を見て顔に手をあてさせて頂いたが冷たくなった彼は、もはや何言うでもなく、きりりと手にひんやりとした彼の顔のみが、そこにはあった。
 長い間、本当にお疲れさまでした。これ以外の言葉は見当たらない。

 葬儀への参列を終えてからは、舞が仕掛けたミヌエット店内での〝ちいさな、ちいさな音楽会〟でギターを演奏してくれる片山浩治さん(ウエブ文学同人誌「熱砂」編集委員)を西春のご自宅まで出迎える〝アッシーマン〟に。
 片山さんは愛用のギターで月光、愛のロマンス(禁じられた遊び)、イマジンを演奏してくださったが、みなさん大満足の様子。なかでも彼女の発想で一曲演じるごとに、♯月あかり髪からませてあれこれともの言いたげに手は役者(月光)♯あるんだよ見えないけれど吾(あ)のこころあなたのこころ風とクロスする(禁じられた遊び)♯天高しみずほの国に新米のおにぎり喰らう幸とわにあれ(イマジン)=いずれも伊神舞子作=と短歌を吟詠するコラボまで飛び出し、最後はアンコールに応えた片山さんが弾く〈いい日旅立ち〉をみんなで歌って終えた。

 江南市内であった〝ちいさな、ちいさな音楽会〟

 この〝ちいさな、ちいさな音楽会〟。元々、リサイクルの店「ミヌエット」を半ばボランティア同然で営む舞が、店を訪れる女性に安らぎの場を与えられたら、と思いたった。当然ながら演奏者はみな、趣旨に賛成してくださった方々ばかりで皆さんボランティア出演だ。次回の〝ちいさな、ちいさな音楽会〟は、二十日午後三時から。有志女性による読み聞かせも交え、男性看護師さんによるバイオリンのミニミニコンサートが行われる。

【新聞・テレビから】☆「〈ドナルド・キーンの東京下町日記〉文楽教育で伝えて 地元大阪面白さ忘れてる」、「中国大使に木寺氏 官邸から起用 対中関係改善狙う」、「最年少12歳11カ月 気象予報士に合格 名古屋の中1、4度目であっ晴れ」、「個性派・大滝秀治さん死去 飄々と生涯俳優」「遺作【あなたへ】で存在感 〝久しぶりにきれいな海ば見た〟」(6日付、中日朝刊)
☆「〈知りたい!〉アイルワースのモナリザ本物? グレーの微笑 鑑定困難 真贋以外にも価値」(6日付、毎日夕刊)「曳くよろこび 5年に1度の山車まつり開幕 半田」、「平和の道しるべ 古今東西名言集 作家・早乙女勝元さんら出版 一日一言、366の思い」(6日付、中日夕刊)

平成二十四年十月五日
 先の地球一周船旅期間中、洋上で連日アップし続け全国の読者に歓迎された新連載・地球一周船旅ストーリー〈海に抱かれて みんなラヴ〉のちょっとした誤記の訂正に結構な時間がかかった。なにしろ、百二日間の間、欠かさずそれも回線の不安定な洋上からの作品アップだっただけに、ある程度はやむをえないことではあるが……。

 改行時の字下げがなされていないカ所が部分的に随分多くあることに気付いたためで、本来の小説執筆の合間を充て、一つひとつ直していった。船上で作品をアップした際には、当然字下げにして確認もしていたはずなのに。新生「熱砂」への新システム移行期に、何かの加減で改行時まで字並列のままになったためらしい。

 いずれにせよ改行時の最初の行の字下げは、文章を編む場合の基本技だ(ただし、詩は違う)。字下げがないままの並列文体は、見た目にもよくない。デ、きょう気がついたカ所はその場で1カ所ずつ直しておいたが、まだまだ気がつかないだけで、ほかにもある気がする。余裕を見ながら、再チェックしていこう。
 今後、誤記に気がついたら、そのつど直してゆくほかあるまい。知人が親切に一連の船旅ストーリーを小冊子としてわざわざわが家まで届けてくださり、さっそく見たところ改行になっていないカ所がかなりの部分で目立ったため、それからはずっと改行時の字下げに時間を費やしてしまった。

 夜。NHK・Eテレで私たちが毎週見ている〈にっぽんの芸能「花鳥風月堂」〉を見ていたら、ナント歌舞伎の義経千本桜・すし屋の段が紹介され、私とは同名で、かつ分身でもある〝いがみの権太〟が出てくる名場面が演じられていた。
 久しぶりにテレビで見るゴンタクレ、〝いがみの権太〟。彼は、やはりどこまでも透明感のある心を持った人物だった。

【新聞・テレビから】☆「吉田(沙保里)に国民栄誉賞 レスリングV13 政府が授与決める」、「色づく(北ア)涸沢カール」、「一宮相次ぐ『振り込め』 息子名乗る 75歳女性835万円被害」(5日付、中日朝刊)「山本美香賞創設へ シリアで銃撃され亡くなったジャーナリストの遺志を継ぎ国際報道を表彰する『山本美香賞』が創設される」、「iPS細胞から卵子 マウスの子誕生に成功 京大グル―プ」、「女性宮家創設案優先 政府・論点整理 国家公務員案も併記(5日付、毎日朝刊)
☆「母校の瑞陵高で16日植樹式 (杉原)千畝に感謝のオリーブ イスラエル公使参加」、「大滝秀治さん死去 『特捜最前線』など名脇役 87歳」(5日付、中日夕刊)

平成二十四年十月四日
 人生、辛く悲しいことがあれば楽しいこともある。
 何だったか、はよく覚えていない。でも昔、よく口づさんだ曲にこんなのがある。
♯悲しいことがあるように 楽しいこともあるんだよ 涙の隣を見つめてごらん……

 この日。白い威儀を正した角封筒が、わが家のポストに。一体、なにごとか。久しぶりに結婚式の案内状かな、と思い開けてみる。
 と、十数年ほど前。私が新聞社の一宮主管支局(現一宮総局)長在任当時に大変、お世話になった平安閣一宮グループ代表取締役社長・野々山久さまからの丁重なる退任挨拶状で、恐縮した。白い封筒を開くと「このたび平安閣社長を退任し、取締役相談役に就任しました」の文面が目に飛び込んできた。野々山さん! 長い間、本当にお疲れさま。
 野々山さんは、私が一宮主管支局長在任当時は行動的なバリバリの専務で公私ともに本当に無理ばかりを言い、そのつど大変、お世話になった。

 夕方、こんどは妹から二度、三度と電話が入った。私たち兄弟が少年少女のころ、随分と一緒に遊んでもらい、お世話になった和田に住むサッちゃん。そのサッちゃんのご主人が亡くなった、との一報だった。あすが通夜、葬儀は明後日ということだけは分かっている。「詳しくはこれから」とは妹(その後、通夜が午後六時、葬儀が正午からシオンで、との連絡が入った)。
 人の世はすべて、儚く寂しい。私の記憶のなかの〝亡きご主人〟は、お酒の強い、陽気な豪快なおじさんというものだ。

 人生、よきことと悪きこと波の如し、か。

 昨夜遅く、「熱砂」同人でもある浪漫派詩人・牧すすむさん=琴伝流大正琴大師範、弦洲会の会主=から電話がかかった。聞けば、牧さんの長女、めぐちゃん(恵さん)のご主人(英国人)の務め先である大学がきのう(3日付)の中日新聞夕刊に掲載されたのだ、という。
 さっそく夕刊を開くと1面の裏、すなわち2面にロンドン郊外の公立大学、イースト・アングリア大学の話題が掲載されているではないか。記事は新入生たちの集合写真入りで今秋新設した人文学部日本語コースに十八人が入学し「想定の三倍だ」と大学関係者を驚かせている、という内容。「『日本人大好き』英の大学生 熱気」「就職難でも学びたい」「コース新設 想定3倍入学」の見出しが躍っていた。
 私は〝めぐちゃん〟のご主人は、ステキな大学のスタッフの一人なのだな、と思わず嬉しくなってきた。それもライターは、ロンドンの有賀信彦特派員だ。先日、地球一周の船旅の途次にロンドンで久しぶりに会ったばかりの、かつての部下である。なんだか、とても嬉しい。よかったね。牧さん!

 米大リーグの名門球団ヤンキースが三日、今季最終戦のレッドソックス戦に14ー2で勝ち、ア・リーグの東地区2連覇を果たした。優勝には大リーグ十一年目で、ことし七月二十三日にヤンキースに電撃移籍したイチロー、そして開幕から先発ローテーションを守り続け、この日も7回2失点の好投で自己最多の16勝目を挙げシーズンを通して地区優勝に導いた黒田投手の存在が忘れられない。レッドソックスの松坂投手は三回途中5失点で7敗目(1勝)を喫した。

【新聞・テレビから】☆一挙3時間!!100曲名曲ベストヒット歌謡〝昭和30年代40年代〟(4日夜、テレビ愛知)
☆「第2のモナリザ 真贋論争」「『ダ・ビンチ作』至難の鑑定 工房で制作/多数の模写」「歴史、科学的に作者調査」(4日付、讀賣朝刊)「草の根交流 日韓冷めず ソウルで『おまつり』」、「原発断層審査を厳格化 ずれの大小→動いたかどうか 規制委、過去の方針否定」(4日付、中日朝刊)
☆「抱きしめるビートルズの心 レコードデビュー50年」「受け取る愛は もたらす愛と等しい」、「〈大波小波〉(大道寺将司の)全句集『棺一基』の衝撃=「凩や身のうち深き虚(うろ)の果て」(4日付、中日夕刊)「米大統領選 経済政策巡り応酬 テレビ討論」、「国内5大学 情報流出か 東大・名大など 国際ハッカーが『声明』」(4日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月三日
 

 大切なものを長い間ありがとうございました。あの人の歌声は今もなお私の中できこえてきます。いつか娘ときこうと思っています

 ーわずか3行。これだけの文面に西日本新聞2010年1月23日付夕刊紙面「重くきっぱりとした反世界」〈浅川マキさんを悼む〉加藤登紀子」の切り抜きを同封して添え、三年以上も前の月刊誌「遊歩人」(平成二十一年六月号)が知人女性から送られてきた=冒頭の写真=。

 浅川マキさんの大ファンだった私が同じ大ファンの彼女に貸していた本をわざわざ返してくださったーというわけで、その細やかな心配りに熱いものがこみあげた。「遊歩人」には当時、リレーエッセイ「君は浅川マキを聴いたか」が連載されており、そういえば、うち一冊は彼女に手渡したままだった。
 すっかり忘れていた。でも、本と再会したことで、あの黒づくめの衣装に身を包みアンダーグラウンドの世界で「夜が明けたら」や「かもめ」などを歌い続けた孤高のジャズシンガー・浅川マキの姿がよみがえった。もう、随分前のような気がする。私のなかには本を送ってきた彼女と同じで今も浅川マキの血が流れている。
 加藤登紀子さんが「ライブの後、私は雨の中を泣きながら歩いた。それは、嵐のような時代の中を生き抜こうとしている者たちの心の底をうずかせる、重くきっぱりとした反世界の歌だった。」と書いているが、よく分かる。私も反世界の男だからだ。

 浅川マキは、過去に私が書いた連載小説「ジョン・レノンに捧げる『ビンラディンはいずこ』」の中でも登場=本欄「熱砂」伊神権太作品集の中の同連載3の9を参照=したことがあり、私にとっては分身といえなくもない。
 あの日。浅川は滞在先の名古屋市内のホテルで突然、急性心不全で亡くなった=2010年1月17日=その一年ほど前には名古屋のライブで浅川の生の声を聴いたが思えば、あの時が最期だった。

 ♯おいらが恋した女は港町のあばずれ いつもドアを開けたままで着替えして…(かもめ) 
 身の毛がよだつような重く、深く、昏い声。
 そして、どこまでも芯の通ったリズミカルな音律はいまも私のなかを流れて離れない。
      ×      ×

 中日新聞の読者に寄り添った紙面「くらしの作文」が60周年ということで本日付紙面で特集されていた。始まりは昭和二十七年十月六日。この日の中部日本新聞(現中日新聞)の夕刊家庭面に〈くらしの作文〉のお知らせ記事が載り、これがスタートだった。まさに見出しの通り『喜び悲しみ紡ぐ60年』で、読者と共に歩む紙面は昔も今も変わりない。というわけで、本日付生活面の見開き紙面、社会面ともに読み応えがある。新聞は、こうであるべきだ。

 ナゴヤドームでのプロ野球・阪神最終戦で中日ドラゴンズの山本昌投手が四回に2番手で登板、3回一安打無失点で今季3勝目を挙げた。47歳一カ月での白星で、自身が4月に記録した最年長勝利のセ・リーグ記録を更新した。ちなみに、プロ野球記録は浜崎真二(阪急)の48歳4カ月。

【新聞・テレビから】☆「〈くらしの作文 60周年エピソード紹介〉出会い、励まし、励まされ」「日々歩みゆく支えに」「心にともしび世相も映し 第1回は金沢の女性」、「三の丸 名空港 名港 防災の基幹拠点に 中部圏に5カ所」(3日付、中日朝刊)「日本ハム リーグV 3年ぶり」(3日付、毎日朝刊)「愛知トヨタクラウン賞 大島 初のリーグ盗塁王&3割弾み」(3日付、中日スポーツ)
☆「芥川直筆『鼻』 完成原稿」「推敲重ねたデビュー作 来月公開」(3日付、毎日夕刊)「シェールオイル採取成功 国内初、秋田の地下1800メートル」、「WBC日本監督 山本氏が就任へ」、「黄金サンマ1万円の味?(岩手県大船渡産の金色に輝くサンマ)」、「台風19号北上 小笠原に接近」(3日付、中日夕刊)

平成二十四年十月二日
 
 今宵は十七夜、立待月。夜、自宅ベランダで出る月を今か今か、と待ったが雲に遮られとうとう見れなかった。

 地球一周の船旅でお世話になり、先日名古屋市内であった私の帰朝報告会にまでご足労願った八重ちゃん、すなわち小泉八重子さん(八重子レクリエーション研究所所長、元ひまわり保育園園長=神奈川県大和市)から、小泉さん監修によるステキな本「〈DVDのお手本つき〉手あそび歌あそび」(発行所は東京台東区・新星出版社、歌・小野文子、音楽プロデュース・編曲/坂口博樹)=写真=が「伊神権太さまへ 大切にしたい 仲間と遊びごころ 2012・9・28 小泉八重子」のサイン入り、お手紙付きで送られてきた。

 八重姉さま! やっぱりヤエちゃんは違う。僕のお姉さんだけある、と感激した。本の表紙には、〈やさしいピアノ伴奏譜つき♪ ひとりで読めるひらがな解説 伝えたいお手玉・まりつきうたも紹介〉の文言が見られ幼児教育に格好の内容には、それこそ八重姉ならでは、だと嬉しくなってきた。
―これからは周りにちいさな子どもがいたりしたら、本を開いたり、DVDを聞かせてあげようか、と思います。この手あそび歌あそび本、小説や詩、俳句や短歌の創作にもヒントが隠されているような、そんな気がします。とかく忘れがちな幼な心を大切にさせていただきます。

 きょうは、オーシャンドリーム号の船内で少しは覚えた社交ダンスを忘れてしまわないよう、執筆の合間に近くの福祉センターのダンス教室に顔を出した。なかなかどうして皆さん、歳はとっても、お上手な方ばかりだ。
 毎週火曜日午後にやっている、とのことで年齢的には私よりかなり年上の方が多いような気がする。やはり、もう少し若い仲間の方が良いと内心思いつつ、ステップの踏み方などに目を凝らしたが、とてもかなわない。
 「こりゃ、イチから社交ダンスをやり直す必要がある」と痛切に思った。オーシャンドリーム号の船内で習ったタンゴとは少し違うので聞いてみると、「タンゴは、つい最近〝タンゴ統一1級〟に新しく変わったばかりなんですよ」の弁。いずれにせよ、船旅レッスンでせっかく覚えにかかっただけにダンスだけは真剣にやり直して身につけなければ。

 プロ野球のパ・リーグは今夜、2位の西武がロッテに敗れたため、栗山監督率いる日本ハムが三年ぶりにパ・リーグ優勝を果たした。優勝マジックが「1」となった日本ハムは、この日札幌ドームで行う練習を無料公開したばかりか、終了後はグラウンドを開放、優勝が決まると選手たちが集まったファンを前に栗山監督を胴上げしてみせた。まさに、これぞ、心からのファンサービスである。
 また栗山監督は優勝決定後の記者会見で「僕はシーズン前、選手に〝みんな、家族の幸せ〟のために頑張ろう、と話しました。家族には当然、ファンも含まれます」と話していたが、その言や良し、だ。プロ野球は、こうでなくっちゃあ、と思う。

 プロ野球といえば、来年三月のWBCに出場する日本代表「侍ジャパン」の監督に、元広島監督でかつての赤ヘル軍団の立役者の一人、山本浩二氏(65)の就任がほぼ決まった。最有力だったソフトバンク・秋山幸二監督(50)が強く固辞したためだ。
 山本浩二といえば、75年に首位打者として広島の初優勝に貢献し最優秀選手に輝き、現役時代を通算し本塁打王4度、打点王3度、2339安打536本塁打1475打点の打率2割9分、背番号「8」は永久欠番、現役引退後は監督を務め、91年にはリーグ優勝を果たした。2008年に野球殿堂入り。人格、識見ともに申し分ない。

【新聞・テレビから】☆「名古屋城〝お色直し〟、乳がん啓発ライトアップ」、「(次期衆院選の比例代表の投票先では)自民34%でトップ 比例投票先 維新、民主に迫る」(2日付、中日朝刊)「今年度小中高 重大ないじめ250件 『生命・身体脅かす』」「認知総数は7万5000件」、「ソフトバンク イー・アクセスを買収 高速通信で競争力強化」(2日付、毎日朝刊)
☆「04年Gグラブ賞 (ドラゴンズの)英智引退 コーチ要請受託 きょう会見」(2日付、中日スポーツ)
☆「可児市議会条例可決 いじめ防止 街ぐるみで 市民の責任を明記」(2日付、中日夕刊)「消えた『原子力の図書館』 安全委→規制庁引き継がれず 原発資料など4万ファイル」(2日付、毎日夕刊)

平成二十四年十月一日
 日本列島改造論、かつて三重県志摩半島の真珠の海・英虞湾などを地方記者として駆け回っていた日々と重なる田中角栄元首相。若い日の私が大好きだった角さん、その角さんの長女・真紀子さんがこの日、第三次野田改造内閣の文部科学相に就任した。彼女の就任は、中国メディアもいち早く報道し、このところ悪化の一途をたどる日中間の国交改善への期待が早くも膨らんでいる。真紀子さんは日中国交回復40周年で中国に招かれており、帰国したその足で就任式に臨んだ。

 わが家に毎月、なじみの本屋さんから月刊誌「一枚の繪」が届けられるが、10月号の特集〈芭蕉が見た風景〉が、「おくのほそ道」「野ざらし紀行」「笈の小文」「笈日記」「更科紀行」の旅のコース入り、かつ「嵯峨日記」ゆかりの地図入りでなかなか、よい。
♯荒海や佐渡によこたふ天河 ♭閑さや岩にしみ入る蝉の声 ♯島々や千々にくだけて夏の海 ♯あらたうと青葉若葉の日の光 ♭海暮れて鴨の声ほのかに白し…といった名句ばかりを当代一流画家の油彩画と一緒に紹介する、というもので味わい深い。
―「月日は百代の過客にして、行きかふ人もまた旅人なり」。松尾芭蕉は『おくのほそ道』で、過ぎゆく時間も人間も旅人であるとのべました。
 と冒頭にあるが、その通りだと思う。芭蕉は1644年三重県伊賀上野(現伊賀市)生まれだけに、ことのほか愛着がある。

      ×      ×
 さすがに、わが母親だ。朝早く「台風が去ったので、お母さんチへ、雨戸を開けに行ってあげてよ」との命に従って近くの実家へ。行くも、雨戸は既に開けられており室内には誰もいない。さては、と思って約二、三キロ離れた畑に出向くと、満九十二歳の母は案の定、台風一過の畑でただ一人、黙々と農作業に打ち込んでいた。
 しばらく黙って見ていると、畑に植えたばかりの大根の苗などに肥料を手でつかんで一つひとつに散布していく。秋茄子もおいしそうに育っている。これらすべての農作物が母の手になる掛け替えのない名作なのである。長靴に麦わら帽子、手ぬぐいで頬かぶりをした勇ましい後ろ姿は、どうみても八十歳前後にしか見えない。いや、それよりも若く、見える。かつての大連の花嫁が満州の奉天(現瀋陽)で私を生み、今もこうして、たくましく生きている。しばらく見ていて近寄って声をかける。

「悪かった。もっと、ハヨ来なイカンだった。台風のあとの雨戸、自分であけたの?」
 と聞くと、母曰く
「うん、やっといた。出来るだけ自分でやれることは、自分でやらなイカンで。午前四時には、ここに来ていたのだから。こないだなんか、草で一杯になってまってたもんで毎朝四時に来て草取りをしていた。もうからだがえらくて、えらくて。でも、やっとかな、あかんだろう…」。

 私は農作業を終えるまで、その場で見守りたかったが「もう、帰りゃあ。おみゃあがいると落ち着いて、ちっとも農作業ができん」とご機嫌ななめなので、心配しながらも帰宅。こんどは舞から「だから、もっと早く行かなくっちゃあ」と叱られた。でも、結果的には母は自分の好きなように出来たわけだから「これでいいのだ」と私。

 私はこうした事実を書き留めておくことはひとりの人間の記録として残すことで、決して単なる身辺雑記とは違う、と確信している。高齢化時代の女性たちの中には、別に母に限らずこうして農作業に日々挑んでいる女性が多い。まさに、こうした存在の伝承こそが、下手なフィクションものよりもその時代背景を投影したもので立派な記録文学だ、と確信するのである。

【新聞・テレビから】☆「強行帰国~忘れ去られた花嫁たち」(10月1日夜、TBS系列CBCテレビ)=戦前に大陸の花嫁と呼ばれた12人の中国残留婦人。彼女たちが日本への永住帰国を求めて帰国を強行し、成田空港に籠城したことがあったが、その事件を背景に日中両国に翻弄されながら運命に果敢に立ち向かった元日本兵と女性たちのヒューマンドキュメンタリー
☆「『南海トラフ』津波跡か 尾鷲 2000年前の地層に 九州・四国でも確認」、「台風17号 列島縦断 東海地方 1人不明、19人負傷」(1日付、中日朝刊)「野田3次改造内閣 文科相に田中真(紀子)氏 きょう発足 環境相は長浜氏」(1日付、毎日朝刊)
☆「オスプレイ普天間到着 岩国基地から6機 配備強行」「『帰れ』市民怒号 ゲート前500人集結」、「野田第3次改造内閣発足へ 長浜原発相 田中真文科相」