寄稿「コロナ最前線 カトマンズの今」
1日の感染者が約3~4000人。コロナ感染者合計約14万人。死者数約800人。ネパール政府は早期にロックダウンを開始し、コロナ対策として厳しく取り締まってきたが、ここに来てネパールの感染者は急増している。インドからの感染者流入が1番の原因だ。
ネパールは北側に聳えるヒマラヤ以外の国境は全てインドと接していて、主要な国境ポイントではPCR検査で感染を防いでいたが、そのほかの場所では監視を潜り抜け自由に行き来している。いわばザル状態である。もともとネパールとインドは、相互にパスポートなしで国境を行き来できる。現在、ロックダウンは解除されているがカトマンズ盆地内に限り様々な行動規制が無期限に敷かれている。
車やバイクはナンバープレートの偶数日、奇数日に分けて規制され外出を制限している。生活必需品店、食材、薬局、レストラン、ホテルは営業を許可されているが、教育機関、美容院やジムなどはまだ許可されていない。各学校では早くからZOOMなどによるオンライン授業が開始されていて、この点は日本より進んでいると感じる。
わが家は今のところ無感染だが、隣近所、友人、友人の家族、会社の近所の人たちが、あの人もこの人もと日々コロナ感染していき、戦々恐々としている毎日だ。
ネパール人は人間好きでいつもだれかと一緒に居たがる習性がある。日本人の私としては、時々一人になりたくなるのだが、それも至難のわざ。「具合でも悪いのか? それとも怒っているのか?」と誰か彼かが側に寄ってくる。
大家族で3密を避けられないのも感染拡大の原因だろう。ただ感心するのは、ほとんどの人たちが自力で完治している。風邪の治療と同じように十分休養し、滋養をとりお湯やハーブティーを飲み元気になっている。ターメリック(ウコン)などスパイスを使うネパール料理も効果があるようだ。感染者数の割には死者数が少ない要因かもしれない。
今は病院に行く方が感染リスクが高いし、もうほとんどの病院が医療崩壊状態で医療体制の脆弱さは歪めない。ネパール政府も給付金を出したり、治療費、薬などの無料化で奮闘していたが、早々にお手上げ状態だ。
今、ネパールは1年で1番大きな祭り「ダサイン」の最中である。15日間の長期にわたり家族、親戚、親族が国内、海外から一同に集まり祝い、楽しむ国家的行事である。ネパール人にとって仕事よりも大事な祭り。今年はある程度の自粛もあるようだが、さて今後の感染者拡大は? 想像するだけでも恐ろしい。(カトマンズ在住・長谷川 裕子)