「虹猫 シロは何でも知っている」 第2部【♪グッド・バイ コロナ―さようなら】

2.

 3月下旬のある新聞に【ペットと濃厚接触避けて ベルギー 人から猫に感染】という見出しと記事が掲載されていた。猫好きの私がその記事を見落とすはずがない。記事には『ベルギーで飼い主の女性からペットの猫に新型コロナウイルスが感染した事例が確認された。AFP通信などが27日、伝えた。ベルギー当局は「特殊なケース」としているが、ペットへの感染を防ぐため、顔をなめさせるといった濃厚な接触は避けるよう推奨している』とあり、さらに『猫は、一緒に暮らす飼い主に新型コロナウイルスの症状が出始めてから約1週間後に下痢や呼吸困難といった症状が表れるようになり、地元研究者の検査で陽性と確認された』ともあった。
 この記事を読んだ私は「いよいよ人間ばかりか、ペットの世界にまでまん延が広がってきたのか」と思うと、何よりも飼い猫オーロラレインボー(シロ)に新型コロナウイルスを感染させるわけにはいかない、と思ったのである。私たちが住む星、地球の至るところで今、新型コロナウイルスの感染が鬼の形相で菌を撒き散らし、多くの人々の命を奪っているのである。

 さて。第2部の1.に続く物語は、まず私の愛する飼い猫シロ、すなわちアタイの言い分から始めることとしよう。
【アタイ(白狐のシロ、「白」の俳号を持つ俳句猫。本名はオーロラレインボー)の言葉から】
 令和2年の4月29日。水曜日。なつかしい「昭和の日」です。オトンもオカンも大好きだった、タレントでコメディアンだったあの志村けんさんが3月29日夜遅く、新型コロナウイルスという〝銃弾の如きもの〟に倒れて、肺炎で70歳の命を絶ってから早や、1カ月がたちました。そして。この間にも、新型コロナウイルスの感染は増える一方で、これまでの平穏だった世界中の人間社会がそれこそガラリと変形してしまい、ほんとにもう、いやになっちゃうとはこのことです。
 米ジョンズ・ホプキンズ大の集計によれば、新型コロナウイルス感染症による死者は29日、世界全体で22万人を超えたそうです。また感染者はこれより先の27日に、とうとう世界全体で300万人を超え、このままだと感染者と死者がこの先、どこまで増え続けるのか、とても心配です(日本の感染者は29日正午現在で1万4814人に。死者448人)。アタイは、世にも不思議な白狐(びゃっこ)のシロです。そう、和田さんチの家族のひとりとして大変、かわいがられている、またの名をオーロラレインボーとも言う、「白」の俳号を持つただひとりの俳句猫なのです。みなさん。「そんな、俳句猫だなんて。ありえないよ」とおっしゃられるかもしれませんが。実は本当なのです。

 このところは、昨年暮れに中国湖北省武漢を発症源に突如として表れ出た〝新型コロナウイルス〟が、この地上に住む多くの人々に感染、まるでしがみついている地球の大地から剥がし取るでもするように尊い命を、1つ、またひとつと次々と奪ってきていることにことのほか、胸を痛めています。デ、アタイはアタイなりに、昨年暮れからことし初めにかけ、世界でも最初に〝疫病コロナ〟の発生源となった武漢を皮切りにニューヨーク、ベネチア、パリ、ロンドン…と世界各地を「エイ、やあ―っ」といった具合に自らの念力で日本を脱出。あちらこちらの惨状を空から飛んで回ってきました。
 この時の感想はこんご許されるものなら順々と紹介し、話しをさせてもらいますが世界の各国を回って言えることは、どの国もロックダウン(都市封鎖)された、その中で人々が肩をすくめてどこにも行くことが出来ず、こわごわ生きていたばかりか、家庭崩壊ばかりか医療崩壊という現実までが目立ち、これまで世界を代表し賑わっていたはずの美しい街並みや川、野山などの自然という自然が信じられないほどにひっそりと静まり返り、ニンゲンたちの心、精神という精神までがズタズタに傷つき、崩壊寸前になっていた、ということです。世界各地の名だたる観光地はじめ、街という街から人並みが消え、日本の新幹線も乗客は一両に1割そこそこ、空港は世界中、至るところで航空機がずらり駐機したままで国際線も国内線も大半が就航していません。高速道も信じられないほど少ない通行量で、いつもなら賑わうはずの温泉など名所旧跡の旅館やホテルはどこも閑散としており、とても信じられない光景ばかりが視界に飛び込んできたのです。
 中でも昨年の浸水の悲劇から国をあげて立ち上がったばかりの水の都イタリアのベネチアでは、復興を願って始まったばかりのカーニバルが無情にも中止せざるを得なくなり、人々の心がズタズタに切り裂かれました。またニューヨークではビルの谷間の広場や空き地に、遺体が次々と運び込まれ、家族の目にさえ触れさせないなか、痛ましい死体が次々と土中深く埋められていました。こんな惨状を一体、いつ誰が想像したことでしょう。アタイは同朋でもある各国の猫たちとも会うつど、話を交わしてきましたが、まさに目を覆うほどの町の破壊、変貌ぶりには、どうしてよいものかが分からない、といったのが彼や彼女たちの偽らない心境でした。

 コロナ禍から人間を助けるにはどうしたら良いか、を真剣に思案する白狐のアタイ=和田さんチにて
 

 神よ。どうか、お守り下さい
 
 ベネチアで始まったカーニバルもまもなく中止に
 
 新型コロナウイルスのまん延で街はひっそりと静まり返った(いずれもNHKBS1スペシャル「そして街から人が消えた・封鎖都市ベネチア」から)
 

 そんななか、オトンの友達でもあるネパールのカトマンズに住む日本人女性、裕子(ユウコ)さんと明美さんから相次いでオトンにあてたメールが届きました。ネパールと言えば、オトンの書き下ろし小説「カトマンズの恋/国境を超えた愛」の舞台で、カトマンズで現地人男性(現日本語学院の校長、ニルマニさん)と結婚し、世界を舞台に旅行業を営み、たくましく生きる愛知県稲沢市出身の裕子さんは、そのヒロインとしても知られます。
 また明美さんは、鹿児島県徳之島出身。現地人男性と結婚はしたものの先立たれ、以降は女手ひとつで3人のわが子を育てあげたその姿が〈カトマンズのおしんさん〉とまで呼び慕われ、今では〝おしん言語研究所〟代表として活躍する現地ではチョットした有名人です。そんなふたりからフェイスブックやメールを通じてオトンに届いた近況は大体、次のようなものでした。
【その1・裕子さんからのフェイスブックによるメール(4月15日午前2時38分着)】
 ~コロナ関連情報 ネパール~
 4月15日までのネパールのロックダウン、さらに4月27日まで延長 これで約1カ月のロックダウンとなりました。/現在ネパールでの感染者は15名、死者は0名。まだまだ少数ですが、少しずつ増えているのが怖いです。みんなしっかり外出禁止令を守っています。以下在ネパール日本大使館からの通達です。
(ポイント)
 ●報道によれば、ネパール政府は14日のハイレベル委員会において、ロックダウンを4月27日(月)まで延長したとのことです。
 ~コロナ関連情報 ネパール(4月27日午後10時11分着)~
 ロックダウン、またまた10日間の延長!!(笑うしかない) 国際線、国内線も運行停止も5月15日まで延長です。この世界情勢では仕方がないでしょう/こういう小出しのロックダウンのやり方は案外良いかも。だんだん在宅生活も慣れてきたし、精神的にも落ち着いて受け入れができます。/でも仕事がないので食料を買えない人たちも出てきて政府やボランティア団体が食料の配給をしています。1日も早いウイルス消滅を願うばかりです。
(以下在ネパール日本大使館より)
 ●ネパール政府が26日の閣議でロックダウンを5月7日まで延長することを決定。

【その2・明美さんからのラインによる受信メール】
 こんにちは、ナマステ。
 コロナに、自然災害…人間の手中でコントロール出来ないことばかりですね。私達は、何かを忘れて生きてしまっているかもしれません。私の尊敬する方から、今こそ日本は、古来から〝八百万(やおろず)の神〟さまに、感謝を捧げるようにと。先祖たちが我々の世界につないできた、自然界に対する畏敬の念を持って。
 人々が何らかの目に見えない力に、感謝を持って、今を過ごさないと、ですね。私達が自分の身体と思っている肉体でさえ、自分の意思で動かし続けているわけではありませんね。目に見えるものと 目に見えないものと 私自身の中でもバランスを整えないと。いつも有難うございます。
 そして明美さんからのメールには、オトンの連載小説についても次のように触れられていました。
――連載小説【ぽとぽとはらはら26】を読みながら、色々な情景が映像として目の前にあらわれます。こんど、ゆっくり じっくり、最初から読んでみたいと思っています。昭和、平成、令和と生きていますが不思議な事に、昭和の時代には、愛情さえ感じてきました。どこかで私の意識に入り込んでしまったのか。権太さんが初稿の文面に書かれていた歎異抄のことばは、すうーと心に沁み入ります。【善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや(歎異抄)】 この連載を書くことになったきっかけは、何だったのですか。ぜひ、お聞かせください。と。

 そんなわけで、アタイは感染者こそ少ないですが、国の出入りをロックアウトし国民を守り続けるネパールの国に思いを馳せ、現地の徹底したロックアウトの現状を、この目で見てみたいと心底思いもしたのです。カトマンズといえば、チトワン国立公園などで見られる夫婦仲のよい番(つがい)の鳥、ラブバードがいつも離れないで一緒にいることでも有名です。いま、この非常事態のなかでラブバードたちは、どのようにして生きているのか。そうした現状をアタイ自らの目でも見てきたい、と思うのです。

 ところで、今は現実に見えない敵・新型コロナウイルス、〝コンコロコロナ(コロナウイルス)〟の集団にアタイがお世話になっているオトンやオカンをはじめとした多くのニンゲンたちが苦しめられている。ひとごとではない不幸な、恐ろしい事態が現に次々と進行中です。だから、アタイは各国の実情をもっともっとこの目でしっかりと確かめ、感染者が1人でも少なくなるよう日々、見えない神に祈りを捧げなければ、と思っています。きょうも和田さんちを自らを透明な気体に変身させ、無念無想の境でちょっとだけ大空を飛んでウイルスの飛散状況を見てまいりました。
 何度も言いますが、アタイは白狐。だから、アタイがエイッ、と気合を入れ、その瞬間、無念無想の境地となりさえすれば、空を飛び、たとえ宇宙の果てにだって。どこにでも行くことが出来るのです。もちろん、しなければならないことは、新型コロナウイルスに汚染された地球の空を少しでも美しくきれいにして人々への感染を防ぐ、今となってはそれしかありません。オトンがよく口にする戦国時代の織田信長が桶狭間の戦いで今川の大軍に立ち向かった、まさにあの時の心境に少し似ているのかも知れません。
 みなさんには「そんな馬鹿な。おまえは単なる猫で、空なんて飛べるはずがないじゃないか」と信じてはもらえないかも知れません。でもアタイは〝びゃっこ〟。天から授かった天狐、神霊なのです。だから、からだもろとも飛び出す魂とともに無念無想の境地でめざす場所には行くことが出来るのです。だって、このまま放置すれば目に見えないウイルスにオトンも、オカンも、たけしも。命を取られ、あげくに全ての人類が滅ぼされ消滅してしまうかもしれません。黙って放置しているわけにはいかないのです。

 オトンたちと共に暮らすアタイが立ち上がらなくて。一体誰が人間たちを救えると言うのでしょう。アタイは、人間たちを助けます。助けなければならないのです。犬の遠吠えではありません。
        ※        ※

 ところで話は変わります。コロナショックのただなかですが最近、こんな話がありました。ここ1年ほど姿を消していた野良猫の大親分、アタイの父親かもしれない〝猫パン〟親分さんに4月8日に偶然、出会ったのです。ところは、この地方は江南市内の愛北動物病院の待合室で、それもソーシャルディスタンスという間隔をおいていました。待っている間は外の駐車場の車内でオトンたちと待ち、看護師さんが迎えに来ると待合室に入っていくという、これまでには想像もつかない順番待ちです。
 アタイはオトンとオカンに連れられ、春の健康診断を兼ねてワクチンを打ってもらいに行ったのですが。看護師さんの「入ってください」の声に促され待合室に入ったのです。そしたらなんと間隔が置かれたソファの隅の1角に、あの親分さんが柔和な顔をした初老の男性の膝の上で信じられないほどに穏やかな表情でいたのです。

 久しぶりに姿を見せた猫パン親分。昔と何ら変わらなかった(2017年9月17日、和田宅の中庭にて)
 

 オトンはアタイの方を向き、さかんに猫パンの存在を身振り手振りでアタイに告げようとしてくれたのですが。なにしろ、アタイだってやすやすと声を出すわけには行きません。ですので、アタイもわざと知って知らぬふりをしていたのです。結局は互いにひと言も交わすことなく、生き別れ同然に帰ってきたのでした。ああ~。親分さんはどうやら、ほかのニンゲンの飼い猫になってしまったらしい。
 アタイは素知らぬ顔を装いつつも、目の前の初老の男性に抱かれた猫は野良の親分だった猫パンに違いない、と確信しつつも、情けないことにニャンのひと声すら上げられなかった。一体全体なんてことだ、と我が身を恥じたのです。それにしても、知って知らないふりでいた猫パン親分の気持ち。痛いほど分かります。今はアタイも知らぬふりをしていて反省しています。アタイからニャア~ンのひと声でも発して声をかけるべきだったのです。
 そして。互いの意思を交わすことこそ、ふたりの猫生を続けるのに一番よいのだと。今になって反省しています。情には人一倍熱い猫パン親分のことだから、いまごろどこかで大粒の涙を流しているのかもしれません。それこそ、オトンの言う【ぽとぽとはらはら】の涙を流しているのでは、と心配でたまりません。でも、このコロナ禍の世の中で互いに元気で生きていることを確認できたのだから。それでよかった。いまはそんな気がするのです。きっと、また会える。そう信じています。 (続く)

1.

 志村けんさん死去のニュースが世界をかけまわった=2020年3月30日付中日(東京)と毎日夕刊1面から
 

【令和2年3月29日午後11時過ぎ。タレントでコメディアン、多くの人々に親しまれた、あの志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で東京都内の病院で亡くなった。70歳だった。このニュース、志村けんさんの死去は米NYタイムズも30日、「日本の芸能界から初めての死者が出た。ファンの悲しみが広がっている」と速報で報じた】

 米ジョンズ・ホプキンズ大などの集計によると、新型コロナウイルスの感染者が29日、世界全体で70万人を超えた。26日に50万人を上回ったばかりなので、わずか3日で20万人増加、死者も3万3000人に及んでいる。このうち感染者が最も多いのは、米国で既に13万人(28日現在の死者は1711人)を超え、いち早くオーバーシュート(爆発的患者急増)による医療崩壊が深刻な事態となっているイタリアでも感染者は増え続け9万7000人、死者も9134人(28日現在)に。米、伊に加え中国やイラン、欧州諸国の計11カ国でも1万人以上の感染者が発生しているという。日本も30日現在、2606人が感染、66人の方々が尊い命を落としている。

 ニューヨーク、ミラノ、武漢、マドリード、パリ、ロンドン……、さらにはカトマンズ。日本の首都・東京、大阪、名古屋、北海道、福岡、岐阜、三重…ここ尾張名古屋でも、だ。
 いま、この星・地球はウイルスに冒され、至るところ病み続けている。次々と国が国の、県が県、州が州、町が町、村が村の、場合によってはふるさとの海、空、陸、川や山、野、畑、鉄道、バス、航空機、平々凡々たる日常生活さえもが本来あるべきその顔と機能を失い、人々の往来も含め、心までが傷つき次第に失せ、瓦解し壊れてしまい、その特色を失いつつある。誰のせいでもない。いや、元を正せば、プラスチックゴミの不法投棄に代表される環境破壊や温暖化などこれまでしたい放題をしてきた人間たち自身のせいかもしれない。新型コロナウイルスという、目には見えない自然界の異分子(人間の敵とでもいえようか)たちによる人間社会に対する逆襲がいよいよ始まった、とも思える。
 実際、昨年暮れ、武漢で最初に中国人がそのウイルスに冒されたとき、一体だれが今のこのパニックに近い世界の変容ぶりを想像したのだろうか。人類は今こそ、この危機、未曾有の【コロナ・ショック】を乗り超えなければならない。そして。これら町そのものの顔・姿の変容ぶりは、私たちが住む日本の、ほぼ中央部分にある、ここ木曽川河畔に広がる尾張名古屋とて例外でない。このままだと、街という街が形を変え、ひとつ消えふたつ消えして外形そのものがそのまま滅んでなくなってしまったとしても何ら不思議でない。世界中のニンゲンたち、いや人類の新型コロナウイルスとの戦いが始まったのである。
        ※        ※

 話はつい先日、お雛さまに遡る。ことし3月3日の夕方、午後4時34分、ネパールのカトマンズに住み旅行業を営む裕子さん(長谷川裕子さん、愛知県稲沢市出身)から私あてにフェイスブックによる1通のメールが入った。その内容は「ネパールもいよいよか…。(日本人の入国に関して)皆さん、どうかお気をつけてお過ごしくださいね。在ネパール大使館より下記の通達がありました。ネパール政府は3月10日より5カ国の国籍者に対するアライバルビザの発給を一時的に停止する措置を行うことを決定しました。対象国は新型コロナウイルスの感染者数が多い日本、中国、韓国、イタリア、イランの5カ国です」というものだった。
 裕子さんからは翌4日午後2時08分にも次のようなメールが入った。
「ネパール入国 日本人に対するコロナウイルス関連 続報! 事前に日本でネパールビザを取得されても、ネパール入国の際に健康証明書が必要となるらしい」と。そして。きょう30日には現地時間午前2時38分発で次のようなそれこそ〝裕子さんならでは〟の、やさしさに満ちあふれた発想による温かいメールが海を超えて届いたのである。内容は次のようなものだった。
――カトマンズはとても静かです。鳥のさえずりしか聞こえません。別世界のようです。空気もきれいです。/コロナウイルスは恐ろしいですが、きっと地球がひと休みしているんでしょうね。日本も他の国のように、ひと休みしたらいいと思います。/世界中が協力して一気にコロナを封じ込めないと効果ないのでは??/どうかお気をつけて

 彼女からはその後、30日正午前に~コロナウイルス関連 ネパール情報~続編 として今度は次のような文面が寄せられた。
 ――やはりロックダウン、延長されました! 8日間の延長で合計16日間のロックダウン。 これからがどうなるか心配です。 今のところは野菜や水、牛乳などは購入できます。 国際線の運行も延長され、4月15日まで停止。
(ポイント)●報道によれば、ネパール政府は29日のハイレベル委員会において、ロックダウンを4月8日まで、国際線の運行停止措置を4月15日までそれぞれ延長することを決定したとのことです。

 私は文面を追いながら、これまで地球の主役として生きてきた人たちが、この先いったいどこまで悲しく辛い思いをしなければならないのか。また、こんな荒んだ寂しい世のなかにしたのは一体誰なのだ! と心の中で叫んだのである。ただひたすらに真っ当な日々を過ごしてきた罪のない人々、こうした方々を救うにはどんな方法があるのか。
 私はただただ、そのことばかりを考えようとするのだが、当然のことながら答えは見つからない。と同時にクラスター(感染者集団)とは違う、感染経路の分からない不気味な無差別市中感染など等。人類を殺める言葉ばかりが頭の中をくるくると回り目の前に浮かんでは消え、消えては浮かぶのだった。

 今、この世では地獄図絵さながらに新型コロナウイルスに運悪く感染した人々が次から次にと路傍で倒れ、死んでゆく。志村けんさんしかりだ。一体全体、なんてことなのだ。そんなことを頭に私は今、こうして自分の育った人けの途絶えた町を歩いている。棒のようになって歩いてみたところでウイルスが退散するわけでもあるまい。なのに、だ。今は亡きあの稀有の放浪詩人長谷川龍生、そして天賦の才で知られ、何かと井上靖ら多くの文人たちに寵愛されたもう一人の詩人最匠展子のふたりがこの地上に生きていたとしたなら、この現状を見てどう嘆き、何を言い始めるのか。私は、それを知りたい。
 もしかしたら、この深刻極まる重大事となるとわが家で私たちニンゲンと共に生き、いつも家族のことを大層、心配してくれている白狐の愛猫シロちゃん=俳句猫で「白」の俳号を持つ。本名はオーロラレインボー=だけが、その真相を知っているのかも知れない。私には、そう思えてならないのである。

「アタイの心も傷つきどおしです」と1日も早いコロナショックの終息を願う白狐のシロちゃん