「夢」 牧すすむ

 タイトルに「夢」という文字を書き入れた曲の幾つかを、思い付くままに並べてみました。

 夢追い酒    渥美二郎
 夢一夜     南こうせつ
 夢の途中    来生たかお
 いつでも夢を  橋幸夫 吉永小百合
 夢の中へ    井上陽水
 夢芝居     梅沢富美男
 夢は夜ひらく  園まり
 夢の渚     エルビス・プレスリー
 真夏の夜の夢  メンデルスゾーン
 夢路より    フォスター

「あなたの夢は何んですか」と問われた時、すぐに返事が出来る人はどれ位いるのだろう。
 年代にもよる事なのだが、答えは難しい。考えてみれば自分でも良く分からない。
 昔聞いた話によれば、男の子は「総理大臣」、女の子は「お嫁さん」だったとかー。その後男の子は「社長」、女の子は「ナース」。更に変わって「パイロット」や「スチュワーデス(現在はキャビンアテンダント)」。時代と共に男女の別無くその夢はどんどん変化して来た。
 以後も男の子はスポーツ選手に憧れ、女の子は芸能界やファッションモデル等にー。又最近の調査によると、男の子の夢に「ユーチューバー」という言葉が参入したとか。我々の世代では想像すら出来ない驚きである。
 そこで改めて自身の子供の頃の夢は何んだったのかと自問してみた。幼い日々の記憶は無いが、中学生以後の夢は歌手とマンガ家だった。それ用の画材を買い集めたりストーリーを考えたり、コマの配置を工夫する等したことを覚えているが、いつの間にか机の隅が定位置となってしまっていた。
 一方で歌手への夢は日毎に昂り、歌謡教室へレッスンに通い、早朝の発声練習も欠かすことはなかった。
 同期の仲間も一人二人と大望を抱いて上京。
 中にはテレビでその活躍を見せてくれた人達もー。
 自分はといえば、一緒に上京をと誘ってくれた友もいたが母子家庭という事情等もありその道を断念。しかしやっぱり歌への夢は諦め切れず、作曲という方向に舵を切ったのである。
 幸い少年期からギターやピアノを習っていたこともあり、歌謡教室の先生に見て頂きながらせっせと曲作りを続けた。そして二十代の中頃に初めてのレコードがテイチクから発売され、小踊りして喜んだことを今でもよく覚えている。
 その後は各地の盆踊りの歌やご当地ソング。地域の歌から校歌までと求められるがままに作って来た。中でも思い出深いのは、私の住む小牧市からの依頼で作詞作曲をした「青春の街」だ。チェリッシュ(ビクター)でレコーディングされ、軽やかなテンポと美しい歌声に人気が高まり今も愛され続けている。
 又、都はるみ(コロンビア)でレコーディングしたご当地ソング「恋の犬山」もヒットし、現在はカラオケで全国配信をされ歌好きの人達の間でしっかりと息づいているようだ。
 私も仕事帰りの道すがら、時々一人カラオケでマイクを握り人目を気にせず「恋の犬山」を熱唱している。
 最新作はやはり盆踊り曲で「名古屋コーチン音頭」だ。振り付けが面白く季節に関わらず色んな所で楽しんでもらえているのが嬉しい。
 そういう意味で言えば、大きなヒット曲こそ無いがあの少年の頃の夢は今も私の心の中に力強く脈打っている。きっとこの先も変わることなく新しい旋律を生み出し続けていくのだろう。遠くに待つ夢に向かってー。

 最後にひと言、「あなたの夢は何んですか。そしてその夢は今もあなたの心の中を照らし続けているのでしょうか」、と…。 (完)