「我が家のサンタクロース」 黒宮 涼
子どものころ、冬休みが来るのがとても楽しみだったのを覚えている。
冬休みが来ればクリスマスの時期が近付いている証拠。
クリスマスと言えばサンタクロース。
そう、子どもの頃はクリスマスになると枕元にそっと置いてあるサンタさんからのプレゼントの中身が楽しみだった。
我が家のサンタさんは、比較的大きなプレゼントをくれることが多かった。
中身は勿論、おもちゃだ。
思い出せる限りで、昔流行っていたセーラームーンの音の鳴るステッキのおもちゃだったり、バービー人形だったり。
今でも恐らく、押し入れを探せば出てくるのではないかと思う。
覚えているのは自分の貰ったプレゼントだけだが、うちは三人姉妹なので、今思うとサンタさんは結構大変だったと思う。三人分のクリスマスプレゼントを用意しなければならないのだ。何をプレゼントするのかとか、色々悩んだだろう。
今でこそこんな話をすることができるが、当時は勿論、サンタクロースはソリに乗ってお空を飛んでプレゼントを運んできてくれるのだと思っていた。
だが、私がそのクリスマスにプレゼントをくれる存在のことを疑問に思ったのは、一番上の姉が、サンタさんからのプレゼントを貰えなくなった時期。彼女が中学へ上がったころだ。
私は姉の寝床にプレゼントの箱が無いのを疑問に思った。
私ともう一人の姉のところにはあるのに、どうして一番上の姉のところにはないのかと。
すると父はこう言った。
「サンタさんは小学六年生までの子にプレゼントをあげるんだよ」
私は父のその一言を聞いて、姉が可哀想だと思った。
でもそれから、自分はまだ小学六年生じゃないから大丈夫だ。何てすぐに思った。
小学校高学年に上がった頃だったか。
サンタさんのプレゼントの箱に貼ってある、私ともう一人の姉の名前が書いてあるシール紙が、父の机に置いてあるシール紙とそっくりなことに気付いた。
それがどうしてそっくりなのか。
もしかしたら父がサンタさんの正体なのか。
だがそんなことはどうでもよかった。ただプレゼントを貰えるのが純粋に嬉しかったことには変わりはないのだから。
今はもう貰えないけれど、その代わりに毎年クリスマスケーキを食べる。
クリスマス自体は、元々は外国のものだけれど、今はもう日本では欠かせないイベントになっていると思う。
子どもの頃からそれは当たり前に家族間でも行われてきたイベントだし、今更日本人は間違ったことをしていると言われてもそうなってしまったのだから直しようがない。
だからきっと今年のクリスマスの夜も、日本全国の家庭でクリスマスを祝うのだろう。
家族、あるいは恋人同士で。
子どもはサンタクロースからのプレゼントを楽しみにして眠る。
それが日本の聖なる夜。
それぞれの家のサンタクロースのあり方。