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2017/01/29

 新幹線開業により大量輸送が可能になり旅も変わり日本人の意識も変わっていった。
 旅行会社は各々大きくなり修学旅行、団体旅行を激しく争奪合戦をし始めた。そうなると旅行業者は旅館を自分の意のままにしたいと考えそれぞれ協定旅館組合の組織を競って作った。各地域に支部を結成し全国総会は春に行うようになった。(原文通り)

 ウエブ文学同人誌「熱砂」同人、平子純の回想録「翻弄 第一章名古屋駅裏編」に続く「翻弄 ある名古屋の宿の物語 第二章成長編」はこんな書き出しで始まります。作中に登場する主人公一夫は、平子の実の父で平子自身(作中の政志)も幼少期から、そんな父の苦闘の背中を間近に見て育ってきました。それだけに、宿を取り巻く厳しくも、かつ優しく温かい人間模様が繰り成す栄枯盛衰のドラマは、まさに家族が共に泣き、笑いながら歩んだ忘れ得ぬ〈道なき道〉であると同時に、名古屋の旅館業界の歴史そのものだともいえます。
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 脳梗塞に言語障害、不自由な足という三重苦のなか、家族や友人らの声援もあって、平子さんは今再び果敢に立ち上がっています。前途を照らす、その渾身の作「翻弄」の第2章成長編をぜひ、読んでいただけたら、と思います。どうか、ナゴヤの街に〈一輪の花〉を咲かせ続ける、傷だらけの実録証言にご期待ください。(ウエブ文学同人誌「熱砂」主宰、伊神権太)
※「翻弄」は引き続き、繁栄編、挫折編、理想を求めて(仮)の順でつづきます。