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2014/05/02

 「生きてゆく人間花たち」。一匹文士伊神権太の筆で続行します。
 申し遅れました。「生きてゆく人間花たち」のタイトルは、かつて【生きて行く私】を新聞=1982年2月14日~10月31日まで。毎日新聞=で連載された小説家宇野千代さんにあやかって始めたのが偽らない心境です。千代さんは生前、岐阜県根尾村(現本巣市)に立つ樹齢千五百年の淡墨桜再生に情熱を燃やし、当時〝淡墨記者〟を自認し老樹の再生を願って書き続けたのが私でした。
 淡墨桜観桜会があった、その日。奇跡的に甦った淡墨桜のひとひら、ひとひらを目の前に千代さんは私に向かって、こう言いました。「あのねえ、伊神さん。私、雨にショボショボと打たれながらも必死で花びらを開き、咲かせているこの桜が愛おしくって、ね。かわいくて仕方ない。人間でも桜でも老いれば老いるほどに、美しくなるのよ。あなたも、そのうちきっと分かる日が来ると思うの」と。
 人は皆、いや、この世に生きるもの全てがいつだって懸命に生きているのだ。本欄は、そうしたひとコマを拾い、生きていく支えになれば、と思っている。(5月1日、伊神権太記)