一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2024年7月~)

2024年7月21日
 能登半島地震で半年以上、休館していた石川県七尾市の「のとじま水族館」が20日、営業を再開。岐阜県郡上市高鷲町の「ひるがのピクニックガーデン」では、ベゴニアが見ごろとなり、赤いじゅうたんが山の斜面を彩っている。気象庁によれば、フィリピン東の熱帯低気圧が台風3号に変わったという。

 日曜日。きょうの尾張名古屋は、とても暑く温度は37、38度になりそうだーというので、本人にもしっかり言い聞かせ、シロちゃんの外遊、すなわち朝の散歩は中止に。
「きょうは暑いから。お外になんか出たら、からだが焼け落ちちゃうよ。お兄ちゃんも『シロを出さないで』と言っているから」と何度も言い聞かせたところ、本人もわかったようで今は諦めた表情でシロちゃん、私の足元で静かに座っている。 

 デ、それはそれで、けさも舞の遺言で「あたしがこの世から消えても、いつまでも聞いてよね」と言われている【エーデルワイス】と【みかんの花咲く丘】をユーチューブでシロちゃんと一緒に聴き、この後に最近加わった能登半島地震の応援歌【能登の明かり】をシロとともに聞いた。そうしてひと息ついたところで今はこうしていつものように朝刊を読んでいるのである。

 正午過ぎ。スマホのピコピコピコ、に一体何ごとかと画面を開くと次のような文字が目に飛び込んできた。
【中国・近畿で梅雨明け 平年より2日遅く盛夏スタート 向こう2週間はかなり高温続く】と。これから、こんな暑さが続くかと思うと、うんざりである。
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 ところで今、世界が注目している11月の米大統領選はといえば、だ。けさの新聞報道によれば、再選をめざす民主党のバイデン大統領(81)に対し、18日から19日にかけ新たに党の連邦議員10人以上が撤退を要求。米紙ワシントン・ポストによると、1日の撤退要求としては過去最多だ-として【撤退要求35人超に バイデン氏、狭まる包囲網 米大統領選】の見出しで報じたのは、21日付の毎日新聞1面。なんだか、大統領候補としてのバイデン氏そのものの存在が危うく、死に体になりつつあると思うのは私だけか。それとも、どこかの段階でバイデン氏の存在そのものが息を吹き返し、逆襲が始まるのか。興味津々といえよう。
 ほかにけさの紙面で目立つのは、【「若貴」以来 大入り名古屋 大の里ら土俵充実 県体育館にお別れ 訪日客SUMO熱】【夏休みだ さぁ海だ! 内海】【市販薬乱用65万人 10代、50代割合多く 厚労省初調査】(いずれも21日付、中日見出し)といったところか。   
 

(7月20日)
 日曜日。どしゃぶりの雨のなか。とは。このことか。
 食事兼買い物に近くのスーパー、アピタに出ているさなかに矢の如き雨が次々と地上に放たれ、私は外に散歩に出したままの愛猫シロのことが無性に気になり、それこそ、矢となって帰宅。それでも彼女は、あわてず落ち着き払った表情でいつものようにいつもの場所(居間の横の縁側)で私の帰りをいつものように待っていてくれた。その顔は、現役記者時代に深夜未明に帰宅する私に文句ひとつ言うでなく、帰ると同時に玄関先まで来た私に「かえったの」と言って出迎えてくれた今は亡きたつ江(伊神舞子)にも似た表情にも見えた。
 そんなわけで、私は帰宅すると居間のガラスドアを開け、「シロよ。シロ、シロ。シロちゃん。悪かったね」と言って彼女を家の中に入れ、「ごめん。ごめんな。雨に濡れただろう」と言い、彼女の全身をふいてやったのである。

 けさの新聞報道によれば、トランプ前大統領(78)が18日、米中西部ウィスコンシン州、ミルウォーキーで開かれた共和党大会最終日に演説、11月の大統領選の党候補者指名を受諾。自身の暗殺未遂事件を踏まえ「米社会の不和と分断を修復する。米国の半分ではなく、全体のための大統領になる」と国民に結束を呼びかけた。というわけで、朝刊には【トランプ氏「分断 修復する」 共和党指名受託演説 バイデン氏が撤退の可能性 米報道】【米大統領2024年 前半▶▶団結訴え 穏やかな口調 後半▶▶ 持論展開いつもの形に】(20日付、中日朝刊)【「安全で繫栄し、自由ある新時代を」 トランプ氏「分断解消 共和党大会指名受託演説】【バイデン氏撤退論 「近く判断」米報道相次ぐ】(20日付、毎日朝刊)といった報道が相次いだ。
 ほかには【MS世界でシステム障害 空港など混乱 ソフト更新原因か】(20日付、中日)も、米マイクロソフト(MS)が19日、クラウドサービスや基本ソフト(OS)ウィンドウズ搭載端末での障害発生を明らかにしたもので、世界の人々の生活に関わる申告な事態だけに、1日も早い回復が望まれる-といった紙面の内容で。いやはや、この世界。いろいろあるものである。

(7月19日)
 朝早く玄関チャイムが鳴るので「何ごとか」とドアを開けると、先日の隣地民家解体業者から「きょうは解体地の3カ所ほどにまたトラクターを入れさせて頂きますのでよろしく願います」とのことだった。ダメです-というわけにもいかないので「解体したあとの跡地ですが、草が随分と生えて伸び放題です。ですので、これらの雑草を除去して頂けるよう、土地の管理者に話しておいてくださいな」とお願いする。「わかりました」の返事を得たが、そんなわけで今日のシロちゃん、自宅周辺の散歩は急きょ、見送り中止と相成ったのである。シロにも「きょうの散歩はダメだよ。ダメなのだから」と何度も言い聞かせる。

 昼間、妹がキュウリ三本を手に、ひょっこり訪れた。「うちでとれたの。丸かじりも出来るよ」と。それはそれは、見事なきゅうりだった。きょうは金曜日なので、がんばって一宮スポーツ文化センターへ。ここは生前の舞が、私の一宮在任時にフォークダンスのレッスンで通っていた忘れられない思い出の〝スポ文〟だけに、今は私が社交ダンスのレッスンで週に一度、通い続けている。きょうからは、クイックステップのレッスンが始まったが、これがなかなかどうして。ステップを踏み慣れるのに結構、手間取ってしまった。でも、先生の丁寧で親切な指導もあって、次からはそこそこ出来るのでは-と思っている。

(7月18日)
 18日は、36人が亡くなった2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件から5年。現場の京都市伏見区の第1スタジオ跡地で遺族や社員ら約140人が参列して追悼式が開かれ、犠牲者に祈りを捧げた。

 けさのニュースは何と言っても16日に米国アーリントンであった米大リーグのオールスター戦でナ・リーグの2番・指名打者で出場したドジャースの大谷翔平選手(30)が3回に球宴初本塁打となる先制3ランを打ったことか。日本人では2007年にランニング本塁打を記録したイチロー(マリナーズ)以来2人目でフェンスオーバーは初めて。本日付の中日スポーツ1面によれば、大谷は初出場した21年に勝利投手となっており、史上初めて球宴で「勝利&本塁打」をダブル達成した選手になったという。めでたし、めでたし、とはこのことだろう。

 午前11時過ぎ。わが胸のスマホが、いつものようにピコピコピコ、びこっ、と鳴り立てる。で、おもむろに画面を開くと、【関東甲信・東海が梅雨明け 来週にかけて猛暑続く】とのこと。朝刊の方は【強制不妊原告に首相謝罪 補償創設配偶者も対象 除斥期間主張を撤回 名古屋の夫妻「差別なくして」】がトップニュース。ほかには昨日は第171回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会の日で【芥川賞 朝比奈秋さん「サンショウウオの四十九日」 松永K三蔵さん「パリ山行」 直木賞一穂ミチさん「ツミデミック】の見出しが躍った。みなさんの今後の健筆に期待したい。

(7月17日)
 きょうの嬉しいニュースは、中日新聞の17日付夕刊の【のと里山海道・能越道 全線で通行止め解除】だろう。ほかには九州南部での梅雨明け。そして。米アーリントンであった大リーグオールスター戦の3回、球宴で初本塁打となる先制3ランをドジャースの大谷翔平が放ったことか。夕刊1面トップの【旧満州 知られざる日本語新聞 記者資格証と社員名簿遺族が保有 貴重な一級資料組織構成初めて確認】、2社面の【道後温泉本館全面再開 5年半ぶり「内装新しく開放感」】も捨てがたい。

 水曜日。早朝から洗濯物をベランダに出したかと思えば、雨で中に入れ、入れたかと思えば、しばらくして天気が回復したので再び干す。「やれやれ」と思っていると、またまた降り出し、またも洗濯物をベランダから室内に入れる、の繰り返し。それでも10時過ぎには、天候もすっかり回復したのでまたまたベランダに干した。この間に朝刊を読み、やっと一息ついたところで、こうしてワープロのキーをたたいているのである。

 それと今朝は先日、回覧板で各戸にお願いをしておいた古知野神社の「輪くぐり神事」の人形、車形奉納希望者の記入用紙を花霞町3組2班の班長として雨の中、組長さん宅に届けるなど結構バタバタした。でも、これとて一人のニンゲンとしての務めだから、と自身にしっかりと言い聞かせ、妙に真剣な面持ちで組長さん宅に届けたのである。だが、彼人(かのひと)は出勤直後のようだったのでポストに入れ、班長としての役割を果たした。のである。
 降ったりやんだりの繰り返しだった空模様も午後には晴れわたり、午前中の「雨空」がウソみたいだ。

(7月16日)
 3連休明けの火曜日。それに今朝は新聞休刊日で、なんだかホッとする。新聞のある日は、ひととおり読むのに結構の時間を要するが、きょうはその分からだを休めさせようと先ほどまで2階寝室で寝ていた。いまは11時40分過ぎである。

 本日、すなわち16日付の中日新聞夕刊は、<米大統領選/2024>のカット付きで【トランプ氏正式指名 共和党大会が開幕 副大統領候補にバンス氏】の見出し入りで「11月の米大統領選で4年ぶりの政権奪還を目指す共和党の党大会が15日、中西部ウィスコンシン州ミルウォーキーで開幕し、ドナルド・トランプ前大統領(78)を党候補に正式指名した。トランプ氏は指名に先立ち、自らに近い中西部オハイオ州選出のJ・D・バンス上院議員(39)を副大統領候補に選んだと発表した。」という総合リードだった。
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 シロは何でも知っているよ。知っているのだから-とは舞(たつ江)が生前、私によく言っていた言葉だが、シロは私が2階で寝ている間、自身は1階ソファで寝、私が起きて階下に降りてくると彼女も起き、主人である私の足元に近づいてきた。そろそろ、いつものように昼食を与えなければ。それも舞が「シロちゃんのごはんは、これ。これなの。これだから」と言っていたコンボをやろう。いまは午前11時58分。
 というわけで、シロにはいつものように、きょうもNHKの正午のニュースのあと、アナウンサーの昼の憩いの語りが始まると同時にごはんを与えた。

2024年7月15日
 月曜日。祝日。「海の日」である。
 海といえば、志摩半島の御座白浜海水浴場はむろんのこと、浜島、安乗、波切、渡鹿野島……そして。能登半島の千里浜、関の鼻、泣き砂の浜に能登食祭市場、和倉の浜、七尾湾に輪島沖に浮かぶ海女さんたちの島、舳倉(へくら)島……と、それこそ数えきれないほどに取材などで現地を訪ねた日々 を思い出し、忘れられない。

 中でも三重県志摩半島浜島の黒崎の浜では当時、大きな社会問題となった中日スタジアム事件、いわゆる中スタ事件の責任を取って、時の社長(確か平岩さんとおっしゃった)が【わが敗残の記】なる家族にあてた毛筆遺書を残し、自らの手首を切り入水し命を絶った事件は壮絶だった。あの日、現地記者として現場に居合わせたことは永遠に忘れないだろう。
 そのドラゴンズの野球がそのご見事に立ち直り、生き返り、今は多くの野球ファンから喜ばれているのである。人生は不思議なものだ。
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 さて。それはさておき、けさの新聞のトップニュースは、といえば、だ。やはり13日午後6時15分(日本時間14日午前7時15分ごろ)に米東部ペンシルベニア州バトラーでの11月の大統領選に向けた演説集会で演説をしていた共和党のトランプ前大統領(78)が銃撃された暗殺未遂事件にほかならない。【トランプ氏暗殺未遂 演説中撃たれ右耳負傷 米東部20歳容疑者射殺 聴衆1人が死亡】といった見出しが痛々しい。

 大統領選を前にしての【トランプ氏 暗殺未遂】の活字には世界中が騒然となった
 

 きょうは午前中、ベランダに洗濯物を干した、と思ったら間もなくしてパラパラパラと小雨が降り出し、あわてて一度干した洗濯物を室内に入れるのに追われた。そして、その後いったんは晴れたものの午後になると、空からはゴロゴロ、ゴロの音とともに大粒の雨が矢の如く降ってきて、しばらくはどうにもならない強い降りが続いたのである。そんな豪雨を横目に私は、シロを外に出さなくてホントに良かったな-とつくづく思い、彼女とて、この点は納得したようである。

2024年7月14日
 我が家の宝刀シロちゃん。彼女が外に行きたい、出たいよお-と言ってきかないので午前11時半過ぎ。朝刊を読み終えたところで思い切って外に出す。朝のうちは小雨が降ったりやんだりだったので躊躇していたが、その後雨はやみ、あれほどまでに「出たい。出たいよ~」と私に向かって主張。今は亡き能登となじみが深かったあの芥川賞作家西村賢太さん(故人)でもないけれど、だ。
「シロだって、どうで一度の人生なのだから。出してやろう。なんでニンゲンにそれを止める権限があるものか」と、思い切って外に出すことにした。シロも俺も、どうで一度かぎりの人生(いや、猫生)なのだから-と決断し、お外行きを許可したのである。幸い、朝のうち散らついていた雨もほぼ止んでいる(シロは、その後ちゃんと時間どおりに帰ってきた)

 写真は、「(外に)出ると言ったら、出るの」と少しわがままなところは、亡きおかあさん(伊神舞子)そっくりの俳句猫シロちゃん=俳号「白」。本名はオーロラレインボー=。夜間などはいつも主人である私の隣にこうして座っている

 

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 14日。けさは朝早くからNHKラジオが「アメリカ東部のペンシルバニア州の選挙集会でトランプ米大統領候補(前大統領)が何者かに銃撃され、右耳の辺りから血が出ている。幸い命は大丈夫のようだ」といったビッグニュースを繰り返し流している。
 そして。この銃撃事件と関係があるのかどうか。それとも、私が敏感過ぎるのか。海を超えて(そういえば、あすは「海の日」だった)私のからだに銃撃の事実が届いたためなのか。この日は未明から早朝にかけ、いつもの左奥歯上の抜歯部分が強烈な激痛に襲われた。私は、そのままじっとしていたがしばらくすると、痛みは嘘のように消え去ったのである。私はさっそく、いつも手元においてある金山のペインクリニックで処方して頂き手元においてある【カルバマゼピン】をのんだが、痛みは過敏な神経からくる一時的なものだったようだ。
 不思議な痛みではあったが、この世の中。だれとて不思議と不思議の集合体で、みな不思議なる世界を生きていくのである。

 昨夜。日本三大盆踊りの一つである郡上おどりが岐阜県郡上市八幡町で開幕。この夏は9月7日まで週末を中心に30夜の開催が予定されており、明け方まで踊る名物の徹夜おどりは8月13~16日に4夜連続で開かれる。ちなみに、郡上おどりは国重要無形民俗文化財。「風流踊」のひとつとして2022年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。

 【能登地震 救出2カ月後「関連死」 母最期の言葉みんなへ】【不明3人死亡確認 松山土砂崩れ 高齢夫婦と息子】(いずれも中日新聞)など。いろいろある。私は私で私のペンを進める。

(7月13日)
 きょうは何を隠そう。わが愛する父、かつてはマルサの男(名古屋国税局監察官室長、四日市、千種各税務署長など。定年退職後は税理士。生涯にわたっての税務行政への貢献が認められ、勲四等瑞宝章を受章)としてこの社会に尽くした喜一=北嶺院専一居士=の誕生日である(父は平成19年、2007年7月24日に老衰のため死去。満92歳の旅立ちだった)。
「俺は、な。おとうちゃんは、フランス革命の前夜に生まれたのだ」が口癖で、そろばんだけは小学生の低学年で早々と1級資格を取り、特に読み上げ暗算となると、すべての珠算大会でいつも優勝していた私のことを「たかのぶ。おまえほど頭の良い子はいない」といつもおだててくれ、その後の私の人生航路に大きな自信を与えてくれた、まさにその人なのである。そんな父の言葉に母までが同調し「たかちゃん。孝坊はね。いっつも〝おねぶたさん〟だけれど。このこはそのうち、きっと天下を取るよ。みとって。おかあちゃん、そう思っとるよ」と惜しげもなく言ったものである。というわけで、父も母も私に【自信過剰】という大病、いや〝病〟を与えてくれた張本人なのである。

 さて。話しを替えよう。
 世の中の方は、といえば、だ。きょうも見苦しい世界が恥も外聞もなく活字の証拠として横たわっている。これをひと口で表現すれば、どうにもならない醜さとでいおうか。新聞紙面には【特定秘密 潜水手当 不正飲食 パワハラ 防衛省218人処分 懲戒最多 海自トップ「更迭」 岸田首相が陳謝】などといった醜い活字があちこちに躍っている。そして。そうかと思えば、だ。【政府・日銀が為替介入 3・5兆円か 円一時157円台】といった活字も気になる。中でも本来が国を守るべき自衛隊の悪事は、目を覆うばかりである。情けないといったら、ありゃしない。

 夜。たまたま見たNHK総合テレビの番組【新プロジェクトX 奇跡のバスケ日本代表 48年ぶり自力で五輪! 屈辱の歴史から大逆転 亡き友に誓った名選手】は、文句なく、とてもよい番組であらためてオリンピックのバスケットボールに興味と関心を抱かせる内容だった。

(7月12日)
【特定秘密不正運用やパワハラ 海自幕僚長ら218人処分 防衛次官や倒幕長も】【輪島の海 生き返る兆し】とは、中日新聞の本日付の夕刊1面見出し。なんたることか、と思う一方で【輪島の海 生き返る兆し】の見出しに胸をなでおろしたのである。ほかには【東証一時1000円超急落】【バイデン氏また言い間違い ゼレンスキー氏を「プーチン大統領」 ハリス氏を「トランプ副大統領」】も気になるところではある。

 事程左様にこの世の中、当たり前のことではあるが、毎日毎日いろんなニュースが飛び交っている。これら数々のニュースで1番簡潔かつわかりやすいのが新聞の見出しである。というわけで、けさの新聞の主な見出しといえば、だ。
 次のとおりである。
【旧統一教会の念書無効 献金勧誘違法性を示唆 最高裁初判断 二審破棄差し戻し】【中国は「戦争の支援者」 NATO首脳宣言 ロシア接近を非難】【マッチングアプリで勧誘か マルチ商法、4容疑者】【徳田虎雄さん死去 86歳「徳洲会」設立元衆院議員】(いずれも中日新聞)。

(7月11日)
 荷物を玄関前などに届ける「置き配」のサービスが拡大する。宅配大手の佐川急便は10日、置き配を本格導入すると発表した。ヤマト運輸や日本郵便に追随する。ドライバーの残業規制に伴う「2024年問題」で人手不足が深刻化しており再配達を回避することで配達員の負担軽減を図る。-とは、本日11日付の中日新聞で、見出しは【置き配 佐川も導入 再配達回避で負担軽減へ】というものだった。そういえば、わが家ではヤマト運輸から届く宅急便で【置き配】は既に常態化しているといっていい。

 そして。本日付の新聞のほかのニュースといえば、だ。【手術せず性別変更認める 広島高裁 外観要件「違憲疑い」】【農家も地球も守る 水田の中干し延長▼メタン減 大垣の飼料会社が農法推進】(中日朝刊)か。ほかにも【鈴鹿病院 虐待疑い36件】【工場周辺から硫化水素 石こうボード会社 大量廃材埋める 三重・川越】などいろいろと報道されている。
なかで大須演芸場の元席亭足立秀夫さんが心不全でさる5月14日に90歳で亡くなり、上方漫才の旗手「かしまし娘」の次女正司照枝さんも今月8日夜、急性心臓死で死去された。91歳だった。足立席亭も、しょうじ・てるえさんもこの世の中に笑いを届け続けておいでだっただけに、残念な気がする。足立席亭には私の現役時代に都々逸漫談の柳家小三亀松師匠と何度かお会いしたことがあるだけに、あの独特な風貌が思い出されるのである。
 これもまた人生か。

2024年7月10日
【輪島朝市やっと 震災半年 市内出張開催】【能登への思い滋味深く 世界的品評会・最優秀賞 日本酒部門】とは、10日付中日新聞夕刊の被災地・能登半島に関する見出しだ。まだまだ復興への道のりは気が遠くなるほどに果てしないが、こうした記事を読んでいると、被災地に一筋の光りが差し始めてきた現れでもあり、何よりも被災地の方々の前向きな姿勢に胸を打たれるのである。まだまだ道のりは遠いが、くじけず突き進んでほしい。
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 きょうは水曜日。午後2時37分。買い物と昼食から帰ったが、愛猫シロ、オーロラレインボーはいまだに帰ってはいない。
 一体全体、どこへ消えてしまったのだろうか。このままシロがいなくなってしまえば、だ。私の生きがいは何もかもが、だ。完全に全て消滅してしまう。帰宅後、前に同じように姿を消した時に探して回った自宅周辺を一回りしてきたが、茫々たる草むらと主(あるじ)亡き後に荒れ放題、廃墟と化した家ばかりが異様、かつやけに目立ち、シロの姿はどこにも見当たらない。
 10日午後3時38分現在。シロはまだ帰ってはこない。どこに消えてしまったのか。いつものように何はともあれ、早く帰って来てほしい。(シロはその後、午後4時過ぎに帰宅。私を見放してはいなかったのである)。

 朝。不燃物のゴミ出しで指定場所へ。
 中日新聞の朝刊<この人>欄で中日スポーツの4コマ漫画【おれたちゃドラゴンズ】の連載で知られる〝くらはしかん〟さん(倉橋寛さん)が【聖徳太子のモデルとされる厩戸王(うまやどのおう)を描いた歴史小説を出版】の明るい話題で紹介されているのを読み、ナンダカとても嬉しく思った。
 同紙朝刊には、ほかに【東証終値 初の4万1000円台 最高値更新 上げ幅一時1000円迫る】の記事も。ほかのニュースでは毎日新聞朝刊の【ウクライナ7兆円支援 NATO継続表明へ 首脳会議】【小沢氏 泉氏再選なら「また沈没」 代表戦不支持表明】が目立ったところか。

(7月9日)
 夜遅く。なぜだか寺山修司作詞の【戦争は知らない】と【時には母のない子のように】を歌いたくなり、スマホのユーチューブを開き、映像に映るカルメン・マキさんの声にあわせ一緒に歌ってみる。なぜだか、無性にこの歌をうたいたくなったからだ。このうち【時には母のない子のように】は、今となっては、はるかかなた昔の話ではあるのだが。私が新聞社の松本支局駆け出し記者としてスタートしたころに流行った歌である。当時、サツ回りで結構多忙ではあったのだが。それでも勤務を終え六畳ひと間の下宿に帰ったときなど、母を思い出し、ひとり感傷に耽ってよく歌った、懐かしの曲だといえよう。 

 日本列島は8日も東日本から西日本にかけ、太平洋高気圧に覆われ厳しい暑さとなった。この日の全国最高は和歌山県新宮市の39・6度で、最高気温35度以上の猛暑日は関東甲信から九州・沖縄の広範囲に及び全国914の観測点のうち155地区に上った。また猛暑日が100地点を超えるのは、これで4日連続。30度以上の真夏日は猛暑日も含め518地点に及んだ。気象庁によれば、8日の最高気温は、東京都府中市39・2度、三重県桑名市38・9度、さいたま市桜区38・6度などだったという。

 正午過ぎ。NHKラジオから「昼の憩い」のメロディーがいつものように担当アナの名調子で流れたかと思うや、まもなくして、半ごろだろうか。シロが帰宅し、食事を与えたところで猛烈な雨が降り出した。突然だったのでこれには驚いた。この昼の憩いでは舞鶴から船(カーフェリー)で小樽まで行き、ここから車中泊による一人旅を続けている男性からの投稿がゆったりした調子で朗読されており、その語りの名調子が終わるか終わらないかの間の突然の夕立ちだった。いやはや、驚いた。でも、なぜかしら。どこか清々しい気持ちになったのは、なぜか。人生とは。自然界も含めて面白いものである。

(7月8日)
 日本列島は、21の都と県に〝熱中症警戒アラート〟なるものが出され、このところ危険な暑さが続く。静岡市で昨日午後1時18分になんと40度と命にかかる危険な暑さとなった。事実、きのうは日本列島のあちこちで〝熱中症死〟が発生、大勢の人々が救急車で病院に運ばれる異常事態が続いている。まさに暑さとの戦争が現実に起きているのである。ここ尾張名古屋もこのところは連日、37度超を記録。新聞では熱中症予報なる欄まで設けられ、注意が喚起されている。

 そんな中、昨日のことである。「こんなに暑いから外出はダメ」とあれほど言い聞かせているのに「それでも出たいの」と言い張るわが家の愛猫シロ。結局、私の方が折れ、外に出したもののいつもの時間、正午過ぎになっても帰らない。暑さで倒れているのでは-と心配していると午後2時過ぎになり、やっと帰宅。ホッとしたのである。私と同じで現場主義のシロちゃん(オーロラレインボー、俳号は舞命名による「白」)だけに、この暑さを実際に体感したかったのかもしれない。とはいえ、無事な帰宅を待たされる当方はたまったものでない。心配させられた。
 ホッとしたところでうだる暑さのなか、こんどは町内(花霞町3組2班)の〝班長さん〟として各戸に出向き、令和6年度の区費徴収で一軒一軒訪ねて回り、終わった時には汗だくに。ニンゲンひとり、生きていくのは大変なことだな、とオーバーにも改めて思った次第である。思えば、たつ江の生前、彼女は3度ほど班長さんの業務を率先してこなしたが、自らのリサイクルショップ「ミヌエット」の営業の傍ら、よくぞ文句ひとつ言わないでこうした大役をしてくれたものだーと。あらためて感謝の気持ちでいっぱいになったのである。私自身、ずっと彼女に任せっぱなしにしていただけに、今ごろになって反省している。

 けさの新聞。朝刊は【小池都知事3選 石丸、蓮舫氏ら破る】(8日付中日)【小池都知事3選 蓮舫・石丸氏ら破る】(8日付毎日)といった見出しが躍り、東京都知事戦は、現職の小池百合子氏(71)が元参議院議員蓮舫氏(56)や前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)らを破って3選を果たした。過去最多の56人が立候補したなかでの前代未満の選挙戦となったが、やはり現職の方が一枚も二枚もうえで現職の強さをいかんなく発揮しての〝横綱相撲〟同然の選挙結果になった。今回は石丸候補も加わったなかでの知事選で、関心は高まったがやはり現職の壁を破る戦いとはならず、もしも蓮舫氏または石丸氏のいずれかが立候補していない中での選挙戦となれば、と思うとチョット残念だったような、そんな気もする都知事選となったのである。

 8日付中日新聞夕刊【中部の文芸】欄で私の小説『あたし帰った かえったわよ』(人間社)が紹介されていた。評者の竹中忍氏は「新聞記者の回想形式による五作品で事件が起きれば夜中であろうと駆け付ける、厳しい生活を支えた妻への思いを描く、一種の熱い愛情物語とも読める。」と評してくださっていたが、感謝せねば-と思う。

 8日付の中日新聞夕刊「中部の文芸」欄。『あたし帰った かえったわよ』が竹中さんのペンで評されていた
 

(7月7日)
 7日。本日は七夕である。というわけか、深夜未明になって夢枕に舞の姿がクッキリ浮かび、懐かしく思った。このときの様子はいずれ、私の小説の中で、よりリアルに書こう。というわけで、とにもかくにも、この世で現実に生きている彼女に思いがけず会うことが出来、とてもうれしく思った。
 と同時に「おまえがいない世の中だなんて。おまえがいないのでは。なんにも面白くなんかない」との思いをあらためて強くした。一方で、毎年七夕が訪れると決まってかわいらしい浴衣姿になって自ら営むリサイクルショップ「ミヌエット」店頭に出ていた、あのけなげな姿を思い出し、なんだか泣き出しそうになってしまうのであった。と同時に「だからこそ、俺は元気でたつ江(伊神舞子)の分まで1日でも永く生き、彼女との記録を、この世の中に留め続けなければ」とも思うのである。
 傍らではシロが、ウ~ン。ニャ~アンといって例によっていつも相槌を打ってくれる。それにしても、このところの人間社会の暑さは尋常ではない。ここ尾張名古屋では連日、37~38度という酷暑が続く。

 14府県で災害関連死を含め306人が亡くなった2018年の西日本豪雨。最初の大雨特別警報が出てから6日で丸6年となった。その6日正午過ぎ、東海道新幹線静岡-掛川間の上下線で停電が発生。このため同区間の上り線を走行中だった「のぞみ12号」の車両点検を実施。最大3時間にわたって運転を見合わせ、運転再開後も列車の遅れは続き、ダイヤが大きく乱れた。

 新聞報道(中日新聞など)によれば、だ。日本列島は6日、太平洋側を中心に気温が上昇、全国914観測地点のうち最高気温35度以上の猛暑日は132地点、30度以上の真夏日は猛暑日を含め565地点に上った。真夏日が500地点以上となるのは3日から4日連続。猛暑日は2日連続の100地点以上となり、熱中症とみられる高齢者の死亡も全国で相次いだ。そして。この猛暑は、七夕の日である本日も続いたのである。

(7月6日)
 石川県能登半島宇出津(うしつ)=能登町宇出津=の〝あばれ祭り〟が5日、能登半島地震という苦難を乗りこえ、いよいよ始まった。「ニッポンイチの祭り半島」で知られる能登半島の各地で毎年行われるキリコ(奉燈)祭りの先陣で高さ7、8㍍もあるキリコが漁どころの町内を練り歩くことで知られる。もう30数年前になるが、私自身が能登に在勤していたころ、現地を訪ねたことが2、3度あるだけに、いやはや懐かしいといったら、ありゃしない。
 あのころはあばれ祭りにあわせ打ち上げられた北陸中日花火も見事なもので、あの漁どころの町全体が活気に満ちていたことは、七尾の石崎奉燈まつり、中島お熊甲まつり、さらには富来八朔祭(くじり祭り)などと共に忘れることはない。私は、この祭りのニュースを前に、能登が各地に残るニッポンイチの祭りと共に少しでも早く再生し立ち上がってくれたなら-と心底から願うのである。

 ふるさと能登、宇出津のあばれ祭りは永遠である。あばれ祭りを報道した新聞紙面
 

 ほかに、きょうのニュースといえば、だ。【<球心>宏斗99球完封 カーブ8級投球に深み】【英14年ぶり政権交代 総選挙 労働党圧勝 保守党大敗 新首相にスターマー氏】(中日新聞見出しから)といったところか。

(7月5日)
 金曜日。
 私、伊神権太が「脱原発社会をめざす文学者の会」幹事会の求めに応じ、月に一度執筆している連載「文士刮目」の第38回目【難破する世界の中で 永遠回帰の幸せとは】が本日公開されたので一人でも多くのみなさまに読んで頂けたら、と願う。

 脱原文学者の会のアドレスは次の通り(アドレスをクリックして頂けたら、文士刮目を読むことが出来ます)。
 https://dgp-bungaku.com

 日本列島は、きのう4日、高気圧に覆われ太平洋側を中心に気温が上昇。静岡市駿河区では午後1時台に39・3度まで上昇。この地点での観測史上、最高となった。また全国914の観測地点のうち最高気温35度以上の猛暑日は64地点でことし最多。30度以上の真夏日は北海道から九州、沖縄の広範囲にまたがり、猛暑日の場所も含め533地点に上ったという。
 
 それから。きょうの中日新聞朝刊の見出し【認知症不明者1万9039人 23年 最多更新 70代から危険性高く】には驚いた。いやはや、これほど多くの認知症患者が街をさまよい歩いているとは。なんだか怖いというか、おそろしい気がするのである。一方で1面には【認知症で精神科入院増加 20年で2.7倍 地域で共生 課題山積】の見出しにも驚いた。やはり、この世の中、壊れそうになりつつあるのか。

 4日の東京株式市場の日経平均株価(225種)は前日比332円39銭高の4万0913円65銭で取引を終え、終値としての史上最高値を約3カ月ぶりに更新。もう一つの代表的な株価指数の東証株価指数(TOPIX)はバブル経済期以来、約34年半ぶりに史上最高値を付けた。物価高への懸念は強いものの、円安効果で企業業績が拡大するとの期待が高まり、買い注文が膨らんだという。
 世の中は、さまざま。いろいろである。

 それに比べたら。シロの時間を守る正しさは、見事なものだ。きょうも午前10時過ぎに外出、正午過ぎには帰ってきた。まもなく零時半になるのでNHKラジオの昼の憩いを聞きながらの昼食とあいなる。彼女は本当に規則正しい。見事なものだ。さあ、食事をやらなければ。

(7月4日)
 ラジオの午後のニュースによれば、名古屋市ではこの夏初めて35度以上の猛暑日に。静岡39・3度、新宮37・6度、東京都心も35度…と、きょうはとても暑い1日になった。シロは午前中、散歩に出たが、帰宅してからはずっとお母さんの部屋で寝転んだままで、彼女にとってもかなり暑い1日となったようだ。

【中ロ「外部の干渉反対」 台湾・南シナ海 米欧念頭に 首脳会談】【選挙戦継続の可否検討 バイデン氏、米高官は否定 米紙報道】とは、本日付けの日本経済新聞1面見出し。
※     ※
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 最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎朝刊)は3日、旧優生保護法(1948年~96年)下で不妊手術を強制された被害者らが国に損害賠償を求めた5件の訴訟の上告審判決で旧法の規定を【個人の尊厳と人格の尊重の精神に反する】として立法時から憲法違反と判断し、国の賠償責任を認める初の統一判断を示した。不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」についても【「除斥期間」は「著しく正義・公正の理念に反するとして適用しないとする初の統一判断を示した。裁判官15人全員一致の判断となった。

 優生保護法は違憲だ、の報道をした日刊紙
 

 昨日は日ごろお世話になっている方々からお中元が届き、さっそく御礼の電話をする。亡き母が「たかちゃん、お中元とかお歳暮が届いたら、すぐにお礼を言わないかんよ」と口を酸っぱく言われていたからである。という私は、舞がこの世に生きていたころは、彼女に無理矢理お中元を出しに連れていかれたのだが。彼女亡きあとは甘えてしまっていてもらうばかりなので申し訳なく思っている。「お中元やお歳暮は舞が居ないのだから。もういいから」とは、言ってあるのだが。

(7月3日)
 【新紙幣きょう発行】(毎日)【新紙幣 本日から】(中日)と、きょう新紙幣が発行された。中日新聞は歴史的な日を1面で以下のように報じた。
――新しい紙幣の発行が3日から始まる。1万円札は日本の資本主義の父とされる実業家の渋沢栄一、5千円札は女性の地位向上に尽力した教育家津田梅子、千円札は破傷風の治療法を確立した微生物学者の北里柴三郎が、それぞれ顔になる。紙幣の刷新は2004年以来約20年ぶりで、偽造防止と使いやすさの向上が狙い

 新紙幣発行を報道した各紙

 ほかには【機密費 年12億円使い切り 元官房長官「選挙応援も」】【米兵性的暴行さらに3件 昨年以降 沖縄県警公表せず】(3日付中日)【トランプ氏公的行為「免責」 米最高裁差し戻しさらに公判遅れ】【円安一時161円台後半 米長期金利上昇 38年ぶり水準】(3日付毎日朝刊)が気になる。

(7月2日)
 火曜日。きのうは土砂降りの雨降りのなか、ずっと留守番をしてくれていた愛猫シロ、オーロラレインボーをいつものように午前10時過ぎ、お外に出す。出してやる。
そして。いつものように、たつ江(舞)が生前、こよなく愛していた♪エーデルワイスに♪みかんの花咲く丘の2曲、それに最近加わった能登半島地震復興応援歌♪能登の明かりの計3曲をユーチューブで私と一緒に聴いてから、いそいそと出て行ったのである(シロは、その後、いつものように正午過ぎには帰宅した)。

午後。脱原発社会をめざす文学者の会の東京-名古屋-札幌を結んでのオンラインによる幹事会に久しぶりに出席。皆さん、お元気そうで何よりであった。牧すすむさん作曲、私・伊神権太の作詞で先に誕生した復興応援ソング「能登の明かり」の曲の最終アレンジ化が能登半島輪島市の門前バイストリートバンドの手により、完成。あとは、〝浪花恋しぐれ〟の作詞で知られる岡千秋さんの妻ゆう子さんによる吹き込みを待つばかりとなった。誕生が待ち遠しい。

(7月1日)
 能登半島地震の発生から半年。新聞をはじめとしたマスコミ各社は、どこも半年特集を組んで、能登半島地震のその後を報じている。【能登半島地震発生から半年 「元の市に住みたい」7割 輪島、珠洲の仮設入居者 100人アンケート 2288人今も避難生活】(中日)【能登地震1.1発生半年 復興の行方(1) 公費解体阻む拠点不足 珠洲作業加速へ仮設宿舎群】(毎日)といった具合である。

 午後。昼食を兼ねて扶桑町のドンキへ。以前に修繕をたのんでおいた舞が昔、買ってくれたバレンチノの靴を手に、帰宅。帰りは、大変な豪雨であったが、シロはいつもどおり留守番をしてくれていた。

一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2024年6月~)

2024年6月30日
 早朝は雨である。
 なぜか、私が高校生、十代のころに大ヒットし自室でよくひとりで歌った橋幸夫さんの「雨の中の二人」の歌詞(利根一郎作曲、宮川哲夫作詞)が口をついて出た。
 その歌は次のようなものである。
 ♪雨が真珠の小粒なら 
 恋はピンクのバラの花
 肩を寄せ合う小さな傘が 
 若いこころを燃えさせる
 別れたくないふたりなら 
 濡れてゆこうよ 何処までも
  
 好きと初めて打ちあけた 
 あれも小雨のこんな夜
 頬に浮かべた可愛いえくぼ 
 匂ううなじもぼくのもの
 帰したくない君だから 
 歩きつづけていたいのさ
 ……

 独りだけ、その世界に浸りきって、なんどもなんども歌った。
 雨そのものが私の恋人、青春時代のような、そんな気がするのである。
 いやいや、私は今も「青春」のまっただ中を歩いている。
      ※     ※

      ☆     ☆
 ほぼ六十年後の今。私は窓を開け、雨に向かって呼びかけた。「みんな元気でいるか。いますか」と、である。足元では愛猫シロが盛んにウーン、ウーンと声をあげて、こたえ「みんな元気でいるから。心配しないで。だいじょうぶだから」と私の足に何度も何度も頭をこすりつけてくる。どこからか、雨の中から「シロちゃん。シロはね。なんでも知っているのだから。なんでも知っているよ」と生前のあのたつ江、舞の鈴を鳴らすような甘ったるい声が聴こえてくる。
 私は雨が降るつど、なぜか彼女を思い出すのである。いまさら。思い出したところで、彼女はもはや、この世にはいない。なのに、である。

 能登半島地震の復興に始まり、東京都知事選、米大統領選と、この世はいろいろある。そんな中、私たちが決して忘れてはならないこと。それは、こうしている間にも東京電力の福島第一原発事故現場で延々と続く作業員による命懸けの後処理である。決して忘れてはならない。復興への道のり。それは、気が遠くなるほど長い道のり、闘いなのである。

(6月29日)
【北陸に初めて「いのちの電話」 被災の孤独 不安聞かせて 全国で相談員減少 なり手不足】とは、29日付の中日新聞朝刊軟派トップ記事。
 能登半島地震から7月1日で半年。被災者のつらい気持ちや悩みに耳を傾けようと、「日本いのちの電話連盟」(東京)が20日、被災者向けの相談電話を始めた。原発事故後、福島の被災者の声を受け止めてきた担当者は「半年ほどたって将来に不安を感じ始める人は多い。話を聞き、気に掛けている人がいることを伝えたい」と話す。-といった前文で始まり、記者は、私も知るあの片山夏子さんである。

 被災地の方々との心を少しでも通わせよう-というこうした人間愛に満ちた記事の一方では【「紅麹」新たに76人死亡疑い 厚労省、調査介入へ 小林製薬サプリ】(毎日新聞29日付朝刊見出し)との暗いニュースも。中日の【コロナ7週連続増】のニュースも、とても気になる。

 米民主党のバイデン大統領は28日、共和党のトランプ前大統領と戦う11月の大統領選について「この選挙に勝利するつもりだ」と述べ、選挙戦を継続する意向を表明し、27日の第1回テレビ討論会を受けて民主党内で浮上した指名候補の交代論を打ち消した。-とは、日経新聞の29日付夕刊。

 中日新聞の本日29日付尾張版に【個性あふれる書楽しんで 江南 3団体合同の作品展】の見出し。江南市の「清玉書道会」「清心会」と大口町の「大口書道クラブ」の合同書作展が江南市市民文化会館展示室で28日から始まった(30日まで)という内容だったが、3団体は書家青山碧雲さん(91)が主宰し、2年ごとに合同展を開いている-という。なんと、この青山碧雲さんは、私が小学生の頃、そろばんを教えて頂いた先生、その人である。

 英国を国賓として公式訪問中の天皇、皇后両陛下は28日午前(日本時間28日夜)、オックスフォード大を訪問。それぞれ20代のころに留学した思い出の地をふたりそろって訪れられた。

(6月28日)
 東京での日本ペンクラブの総会と引き続いての懇親会。こちら、尾張名古屋は雨がひどいばかりか、他に執筆はじめやらねばならぬ私事も多く、久しぶりに出席したい気持ちも少しあるにはあるが、きょうのところはやめておく。
 その代わり、毎週金曜日午後に一宮市のスポーツ文化会館で行われている社交ダンスのレッスンに。こちらは、ひごろの体力維持面からも続けなければ、と判断。豪雨のなか、車を運転して出向いた。今も私の宝物である亡き舞の遺言「あなた 社交ダンスだけは続けてよね」の言葉を大切に守りつづけているのである。
 というわけで、きょうは、いつものワルツ、タンゴに続き、これまた最近練習を始めてまもないスローを繰り返し学んだのである。相手は最近レッスンを始められたニューフェイス〝おときさん〟はじめ、いつもの悦ちゃん、そしてよしこ姉に若先生。ほかに男性陣の貴公子みたいな存在、水谷さんも加わっての少し厳しくはあるけれど、まずは楽しいひとときとなった。きょうは、ここだけの話ではあるけれど。夢中で踊っているさなかになぜか瞬間的に意識が遠のき、もうろうとしてしまい、「俺もとうとう、この世とはおさらばか」と思った次第。
 若き青年もチョットだけ、年を取ったか。ステップがかなり、ハードなので踊っているさなかに瞬間的に2度ほど意識が遠のいた。とはいえ、これも踊っている間に元に戻り心配するには及ばない」とでも言っておこうか。
 きょうは、このほか、午前中は歯のメインテナンス治療で自宅近くの歯医者さんを訪れるなど、とても東京を訪れる余裕などはなかったのである。ただ、私の命そのものだと言っていい文章だけは、こうして書き続けているのである。

 夕刊は【検事総長畝本(直美)氏就任へ 戦後33代目 初の女性トップ】【円安一時161円台 37年半ぶり水準】【米大統領選/2024 4年ぶり討論互いに非難 バイデン、トランプ両氏 中絶など巡り】【静岡に線状降水帯 列島広く大雨】【日本最古の化石初公開 4.5億年前のコノドント 28年前に飛騨で発見 名大博物館展示】【沖縄米兵性的暴行疑い 5月逮捕、県警公表せず】(いずれも28日付中日夕刊見出し)といったところか。いやはや、この世はいろいろある。

(6月27日) 
 【富士山相次ぎ4人死亡 火口内に3遺体 登山中の搬送も】とは、本日付の中日新聞朝刊見出し。相変わらず不幸の絶えない世の中だが、そんな中にあって【輪島港 今夏にも漁再開 国交省 必要水深おおむね確保】【役所広司さんら新規会員に招待 米アカデミー】(同見出し)は明るく、嬉しい話題だといってよい。

 そんな中にあってだ。26日の外国為替市場で円相場が対ドルで急落。大手銀行によれば、1時1㌦=160円台後半を付け、バブル経済期が始まった1986年12月いらい、37年半ぶりの円安水準になったという。こうした円急落につき財務省の神田真人財務官は26日夜、記者団に対して「(足元の円安進行について)深刻な懸念を有している。高い警戒感を持って市場の動向を注視している」とし「行き過ぎた動きに対しては必要な対応を取っていく」と述べたという。

(6月26日)
 水曜日。
 国賓として英国を公式訪問中の天皇、皇后両陛下が25日午後(日本時間25日夜)、ロンドンの英王室騎兵隊本部「ホースガーズ」で催された歓迎式典に出席。出迎えたチャールズ国王夫妻と握手を交わし、この後、天皇陛下は儀じょう隊による栄誉礼を受けられた。礼砲が鳴るなか、日本の童謡「さくらさくら」が演奏された。引き続き、陛下は国王、皇后さまはカミラ王妃とそれぞれ馬車に同乗、バッキンガム宮殿へ。騎兵隊を伴った馬車の列は、王室の重要行事のパレードコース「ザ・マル」を約10分かけ進んだ。バッキンガム宮殿では国王が主催する英王室との昼食会が催された。

 石川県は25日、能登半島地震の「災害関連死」として18人を追加認定することを決定。関連死は、これで既に正式認定された30人、認定が決まっている22人と合わせ計70人となった。地震による犠牲者は、倒壊家屋の下敷きになるなどの直接死230人と合わせ300人に上ることに。この世の中、ほかにも【公用車を私的利用、戒告 名古屋国税局幹部 旅費不正受給も】【元大阪地検検事正を 準強制性交疑い逮捕 在任中事件か】などと。いろいろ信じられないことが多発している。

 買い物から帰って。先日、スーパーで買っておいた桃を食べてみる。それが、おいしいこと。こんなにおいしい果物だったとは。桃といえば、かつて在任した小牧が桃の名産地だ。よく「桃の花咲く桃花台」と書いたものである。

(6月25日)
 火曜日。【57歳カズ 鈴鹿復帰 1年半ぶりにJFL(日本フットボールリーグ舞台へ】とは、本日付の中日新聞夕刊。サッカー元日本代表FWで「カズ」の愛称で知られる57歳のベテラン三浦知良が、日本フットボールリーグ(JFL)のアトレチコ鈴鹿に加入することが決まった、とは本日付の中日新聞夕刊である。記者会見での三浦知良、すなわち三浦カズの言葉「1試合でも多く出場して期待されているゴールを挙げたい」がまた、よかった。

 夜。お風呂から出たあと、たまたまスマホで【二度と見れない貴重映像(歌唱指導) 福島県いわき市 NHK勝ち抜き歌謡天国】なるものを見、歌はいいな-と、つくづく思うと同時に大変、勉強になった。やはり歌はいい。

2024年6月24日
 愛猫シロ、オーロラレインボーがいつものように午前10時過ぎ自宅を出たが、正午過ぎには帰宅するはずが、なかなか戻ってこない。心配していたところ、30分遅れて少しバツの悪そうな顔をして裏口からでも入るような表情で、いつもの居間の横、縁台から遠慮がちにソロリソロリと入り、帰ってきた。やれやれ、だ。ホッとしたところで、お風呂のスウィッチを入れたのである。シロは、今や、たつ江、舞の生まれ変わりも同然。わたくしにとっては、とても大切な生き神さまなのである。
    ※    ※    ※

    ☆    ☆    ☆
 沖縄で埋め尽くされた紙面(中日)
 

 沖縄慰霊の日の式典で仲間友佑さんが朗読した「平和の詩」の全文

  

 きょうの新聞紙面。やはり各紙とも1面は沖縄で埋め尽くされている。【防衛強化『まるで戦前』 沖縄慰霊の日 台湾、尖閣複雑な安保環境 戦争体験者 外交での衝突回避望む】【戦後79年沖縄慰霊の日 自衛隊拡張平和の道か 「集団自決」親戚が母を 死んだふり生き延びた90歳「地獄絵図」】(中日)【自衛隊増強憂える沖縄 慰霊の日 知事「外交で緊張緩和を」】(毎日)といった具合に、である。各紙とも沖縄一色といってよい。
 そして。ほかの記事といえば、だ。中に政局に関するものがあり、【改正規正法効果否定78% 世論調査 首相再選「望む」10%】(中日)【内閣支持率17% 規正法「再発防止ならず」80% 本社世論調査】(毎日)と、岸田政権に対する国民の目はいっそう厳しいものとなっている。

 中でも自民党の菅義偉前首相が23日公開のインターネット番組に触れ「派閥の裏金事件による国民の政治不信は責任を取っていない岸田文雄首相に一因がある」との考えを示した点をあげ【菅氏 事実上の退陣要求 裏金事件「首相、責任に触れず」】の見出しを打った紙面が当を得た記事といっていいだろう。

 政治家各氏には悪いが、ことほどさように今の政治に対する信頼感はガタ落ちなのである。
あぁ~、とため息が出るのは、別に私だけでもあるまい。いや、国民の大半が政治に対する不信感の海のなかで生きている、と。私は、そう思わざるをえない。

【円下落、160円に接近 一時159円90銭台 2カ月ぶり水準】【ロシアで武装勢力襲撃 南部16人死亡、テロ容疑捜査】【「ガザ激戦まもなく終了」 イスラエル首相 部隊再編の意向】とは、日経の24日付夕刊の見出しである。

(6月23日)
 ノー・モア・ザ・ウオー。
 きょうは、私たちが決して忘れてはならない日。沖縄戦で実に20万人以上もの人々が亡くなった沖縄慰霊の日である。中日新聞のサンデー版大図解では【沖縄戦と特攻】を特集しており当時、人命軽視の作戦がなぜおこなわれたのかについて分析。特攻隊員になった人たちに触れ、【戦争指導者の賭けの材料にされた若者の命(埼玉大教養学部・一ノ瀬俊也教授)】についても論考を深めている。よい紙面だと思う。

 サンデー版大図解も沖縄一色に埋め尽くされた
 

 

 そして。この日がくると、私はなぜか、今は亡き妻たつ江(伊神舞子)の顔と彼女が詠んだ平和の俳句【れもんかみつつ思う事平和】を思い出す。振り返れば、私と彼女が両方の親の反対を押し切って逃亡同然に志摩半島の鵜方(当時は三重県志摩郡阿児町鵜方)で駆け落ち結婚したのが1972年の秋。沖縄は、まさにこの年に本土復帰を果たしたのである。日本では田中角栄の日本列島改造論が華やかなころだった。
 これより先、当時、米軍の北爆開始を受け、1965年4月24日に小田実さんや鶴見俊輔さん、高畠通敏さん、小中陽太郎さんらにより誕生したベ平連(ベトナムに平和を! 市民連合)の活動が盛んで、社会的にも定着。たつ江は、ベ平連活動にも加わり、若き一員として青春の血をたぎらせ、ギターを胸に抱え、反戦女性歌手ジョーン・バエズの<勝利を我らに>などをうたっていたものである。自分で言うのもおかしいが、長い黒髪に澄み切った両の目は天使のようにも見え、見事なほどに若さと美しさで輝いていた。

 こんな経緯もあってか。後年、私が退職後に当初、嫌がったピースボートに(無理やり)乗るチャンスを与えてくれたのも何を隠そう。たつ江、伊神舞子であった。おかげで私にはその後、多くの船友が出来、少しは世界をこの目で見ることも出来、当時得た友人からは、いまもアレヤコレヤとお世話になっているのである。

 きょうは、ほかに中日新聞が今月27日に発生から30年を迎える松本サリン事件に触れ【恨まず日々を生きる 松本サリン事件30年 第一通報者・河野さんの娘の思い】という記事を1面で展開。さらに軟派(社会面)でも【<悲しみの先に 松本サリン事件30年> ㊤「冤罪」河野さん一家 母が心支えてくれた】【犯人視 過熱した報道 元本紙記者、今も自問】などと補足、当時の松本支局記者の談話入りで一歩間違えば冤罪報道も十分ありえた点についても反省を込め、検証してみせた。この紙面展開は、なかなかよいと思う。

(6月22日)
 天皇、皇后両陛下がこの日、国賓として英国を公式訪問するため政府専用機で羽田空港から出発された。滞在中は歓迎式典やチャールズ国王夫妻主催の晩さん会などの公式行事に臨まれ、29日に帰国される。両陛下の海外訪問は2023年6月のインドネシアいらいで即位後2度目。また国賓待遇での天皇の訪英は、在位中の上皇さまの1998年いらい26年ぶりとなるという。滞在中は25~27日に公式行事が予定され、25日は歓迎式典や英王室との昼食会があり、バッキンガム宮殿で催される国王夫妻主催の晩さん会では天皇陛下がスピーチをされることになっているという。

 米アップルが2024年内は欧州で新たな生成AI(人工知能)サービスを提供しない方針を固めたことが21日、分かった。欧州連合(EU)の巨大IT(情報技術)企業の独占などを取り締まるデジタル市場法(DMA)が理由だとしている」とは、22日付の日経夕刊記事で、見出しは【生成AI、欧州に提供延期 アップル、規正法受け方針 年内断念】。また同日付中日夕刊は、今月16日に名古屋市内であった中部ペンクラブ総会での詩人北川透さん(88)の講演「夢から想像力へ-難破する世界と共に」に触れ、「ニーチェと漱石は、夢の引力。僕らも一人ずつ違う人生の物語を生きてきているが、最後にこういう境地にたどり着きたいなと思う」と語った、と結んでいた。

 きょうは満月。6月の満月は米国の先住民の間でストロベリームーンと呼ばれています。これは今の時期にイチゴの収穫をすることに由来しています。月がのぼる時の空がストロベリーのように赤く見えます。……-とは、本日付中日新聞夕刊の【星の物語 永田美絵】。夜空が好きだった舞(たつ江)が生きていたなら、ストロベリーのような月をどんな顔をして仰ぎ見たことだろう。

(6月21日)
 きょうは、夏至。北半球で昼の長さが1年で最も長い日である。

 夕方。社交ダンス「スロー」のほんの少し過酷なレッスンから帰って手にした中日新聞夕刊に【東海 梅雨入り 平年より15日遅く】の見出し。NHKの夜のニュースも【近畿東海 関東甲信が梅雨入り 平年より2週間ほど遅く】と報じていた。
 けさの新聞1面見出しは、やはり【藤井 八冠陥落 叡王戦 伊藤七段が奪取 タイトル戦初敗退 得意の終盤「らしさ」なく トップ争い再び激化】【都知事選 56人届け出 小池、蓮舫氏ら過去最多 来月7日投開票】(中日新聞)【小池都政8年問う 知事選告示 最多56人 事実上の与野党対決に】【藤井8冠陥落 叡王戦 伊藤初タイトル】(毎日)というものだった。無敵だったあの若き藤井八冠(21歳)が甲府市で指された第9期叡王戦5番勝負第5局で後手番の伊藤匠七段(21歳)に156手で敗れ、シリーズ通算3勝2敗で叡王位を奪取されたのである。

 けさは、午前中、眼科医へ。例によって常用の目薬ミケルナが切れてきたためだが、幸い眼圧は右19、左18でまずまず。連日、目を過酷なほどにまで多用しているため「急に見えなくなることはないですか」と担当医師に心配を聞くと「しっかりした治療さえしていれば、そんなことはありませんよ」と言われ、まずは安心した。午前中、雨降りで留守番をしてくれていた愛猫シロも、心配して帰宅と同時に玄関先に走って出迎えてくれたが「大丈夫だったから。心配ないよ」の私の声にホッと安心したのか。顔をなごませた。シロには私のことは、何から何まで全部、分かるらしい。シロよ。シロ、シロ。シロちゃん。ありがとう。

(6月20日)
 世界難民の日。
 けさの新聞各紙。【改正規正法が成立 政治資金先送り多く 全野党反対】【泉氏 落第改正解散を 馬場氏内閣万策尽きた 3年ぶり党首討論 首相解散せず課題に専念する】【ロ朝、有事に相互支援 首脳会談「同盟水準」条約署名】【改正規正法が成立 具体策「検討」多数 政活費や企業献金温存】【非常時 国指示権拡大 改正地方自治法が成立】【露朝有事に相互支援 条約署名軍事協力を強化】などといった見出しが目立つ。
 ほかには【都知事選きょう告示】、【子どもと接する仕事に就く人の性犯罪歴を確認する制度「日本版DBS」法成立】も見逃せない。日々、情報はこのように満載で新聞をはじめとした各種媒体から私たちの茶の間に届けられているのである。

(6月19日)
 きょうは、【ロマンスの日】だそうだ。石川県が能登半島地震の災害関連死として新しく22人を認定。地震の犠牲者は家屋の下敷きなど直接死230人、既に認定済みの関連死30人と合わせて計282人に。2016年熊本地震の276人を上回った。

「日本生命セ・パ交流戦」は18日、阪神が延長十一回の末2-1で日本ハムにサヨナラ勝ちして全日程を終了。既に13勝5敗で終えた楽天が球団創設20年目の初優勝を決めており、パ・リーグが53勝52敗3分けで2年連続16度目の勝ち越しとなった。また交流戦史上最高の打率4割3分8厘で水谷(日本ハム、愛知県津島市出身)が首位打者に輝いた。
 ほかには、各種報道によれば、ロシアのプーチン大統領が18日夜、ロシア極東から北朝鮮の平壌に向け、出発。プーチン大統領の訪朝は24年ぶりで、19日には金正恩朝鮮労働党総書記と会談予定で、両氏は政治や経済、安全保障面などでの協力体制を盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名するという。

 昼過ぎ。携帯スマホがぴこぴこと鳴るので「何事か」と画面を開くと-。「改正政治資金規正法法が可決・成立 立憲は「抜け穴」批判、維新も一転反対」とあった。

 この日。愛知、岐阜、三重は8月上旬並みの暑さとなった。

(6月18日)
 「能登半島地震から間もなく半年。11日時点で石川県内142カ所に4695戸の仮設住宅が完成し、入居が進む」とは、けさの中日新聞の報道である。そして一方ではきょうも【中国核弾頭500発に拡大 平和研推計「24発は実戦配備」 中国「自衛」主張】といった物騒な見出しが並ぶ。
 見出しと言えば、だ。名古屋を代表する俳優の山田昌さん(やまだ・まさ、本名天野昌=あまの・まさ)の死が同紙で【山田昌さん死去 94歳 名古屋弁俳優、反戦訴え】の見出しで報じられた。ひと足早く亡くなられたアマチンさんで知られた夫、天野鎮雄さん(2023年11月に87歳で死去)に次ぐ悲しい逝去で、なんだか名古屋を照らし続けた大きな光りが相次いで消えてしまったような。そんな感覚に包まれたのである。
 アマチンさんご夫妻とは、かつて牧すすむさんらも加わって「名古屋に関する物語」を有志で制作した際に一度だけ、ご一緒したが、ご夫妻ともにほんとに気さくな良い方であったことを強烈に覚えている。あの時は、確か舞も一緒だっただけに、ユーモアに満ち溢れたアマチンさんのことは今でも鮮明に覚えている。

 2025年の大阪・関西万博の開幕300日前となった17日、兵庫県姫路市の国宝・姫路城が万博のイメージカラーである赤と青色にライトアップされた。日赤愛知医療センター名古屋第二病院(八事日赤、名古屋市昭和区)が昨年5月に救急搬送された男子高校生(当時16)が腸閉塞になっているのに気づかないまま適切な治療を怠り重度の脱水で死亡させる医療ミスが発生。佐藤公治院長が謝罪。

(6月17日)
 月曜日。久しぶりにたった一人の妹にメール。「きのう16日に、久美ちゃん(私の姪)のおかあさん=義母=に名古屋であった中部ペンクラブの総会でたまたまお会いした。中ペン総会にご主人の土屋純二さん(詩人平子純さん)を車椅子で連れておいでになられたためだが、総会のあと講演をされた詩人北川透さんに会われただけで、すぐに帰られた。あの、土屋のおかあさんは本当にステキなお方だ、とあらためて思った。誰にとっても、母の存在はホントに大きいよね。だけど『イガミさん、少し肥えられたわね』と言われてしまったのが、少しショックだったよ」と。

 しばらくして私のかわいい妹=もう、おばあちゃんだが。昔は、それでも数学の特異な天才美少女で、とても賢く、名大、津田塾、南山と全ての入試に合格。名大理学部数学科を出てからは、しばらく公立中の数学教師をしていたが、途中から努力して全く畑違いの税理士資格を取り、私たちの父の税理士事務所を引き継ぎ、税理士として現在に至る。そんな妹は自分で言うのもおかしいが、今でも久美ちゃんと同じでとても美人である=から届いた返信メールは次のようなものだった。
「ゴメン。事務所(税理士事務所)が忙しくて返信できませんでした。誤解しないでね。『勿論、土屋さんはとても優しくて良い方で、久美子は造さんと土屋さんご夫妻のおかげで幸せになりました』などといった内容だった。というわけで、みんな幸せでイイナ、と思った次第。

2024年6月16日
 名古屋市千種区覚王山通のホテル「ルブラ王山」で開かれた中部ペンクラブの令和6年度(2024年度)の総会と公開文学講演会、その後のパーティーに出席し夜遅く、帰宅した。
 名古屋に出るのは、久しぶりのことなので少し疲れたのも事実だ。何よりも、わたくしこと妻たつ江(伊神舞子)が逝ってからというものは、ずっと〝有り合わせの着た切りスズメさん〟なので、着ていくものがなく、あまり失礼な服装でいくのも憚れる。
 デ、舞が生前買ってくれた黒い上っ張りと青い半そでシャツを着ていざ、出陣とあいなった。きょうは、何よりも小説「忘れ雪」で中ペン文学賞に輝いた小森由美さん(岐阜県瑞穂市在住)にお祝いの言葉を直接かけること、そして東京からはるばるおいでた全国同人雑誌協会代表理事の五十嵐勉さん(文芸思潮編集長)と理事和田伸一郎さん(クレーン)に久方ぶりにお会いできる、それが目的だっただけに、両方とも願いがかない、満足している。五十嵐さん、和田さんとも同じテーブルで歓談でき、うれしく思ったのである。

 中でも、小森由美さんとは私が岐阜県警回りの記者として岐阜に勤務当時からの知人でもある。岐阜県庁汚職事件はじめ安八での長良川決壊豪雨、淡墨桜の保存活動取材など激務の合間に、同じ物書きとしてどうしたら人の心を打つ小説が書けるようになるか-を穂積町(現瑞穂市)内で何度かお会いし、話し合った、そのお方なのである。こころから「おめでとう」と祝福したかっただけに、総会後のパーティーにも出席してよかったと思っている。

 「忘れ雪」で中ペン文学賞に輝き、受賞の喜びを語る小森由美さん
 

2024年6月15日
 能登半島地震で被災した曹洞宗の総持寺祖院(石川県輪島市)が15日、5カ月半ぶりに一般拝観を再開。巡ることが可能な区域は限られるが、当面は午前9時から午後3時まで無料で拝観できる-とは、本日付の中日新聞夕刊報道。

 きょうは私あてに日々届くラインの中でも不必要なものを削除した際、誤って大切なものまで削除(アインストロール)してしまい、全滅してしまう緊急事態に。そのごドコモショップに行き、出来る範囲で復活して頂くなどチョット、大変だった。と同時に、現代社会がラインにどれほど助けられているかを思い知りもしたのである。
    ※    ※    ※

    ☆    ☆    ☆
 朝。どこで傷ついたのか。シロが左耳を少しケガしているのに気がつき、消毒してやる。それでも彼女、オーロラレインボーは、外に出ると言ってきかないので「きょうは、風が強いからくれぐれも気をつけて。おかあさんに、よろしく言っといてよね。人間社会では、みんなそれぞれ生きているから心配しないで、とな」と言づてをして、窓を開け、鳥を空に放つでもするように出してやる。
 こんなわけで、オーロラレインボーの帰りは、いつもより少し遅れはしたが、午後1時前には帰宅。ホッと安堵したのである。もしかして。彼女は先日、〝ジュリーさん〟ちで亡くなった黒猫ピーちゃんを訪ね、焼香のあと、ご主人の〝ジュリー〟さんとあんな話やこんな話をしてきたのかも知れない。

 きのう。14日は岐阜県美濃市で35度となり、中部6県では、ことし初の猛暑日に。ほかに岐阜市34・3度、愛知県豊田市34度、三重県伊賀市33・7度、名古屋市33・3度、京都市では全国では最も高い35・9度を記録した。

 日銀が14日の金融政策決定会合で月間6兆円規模で購入している国債の額を減らす方針を決定。7月の次回会合で減額幅など今後1~2年の具体案を示し、速やかに実行に移す-とは本日付の中日新聞。植田和男総裁体制になって以降、ことし3月の17年ぶりの利上げとなるマイナス金利政策解除決定に続くもので、金融政策の正常化への舵がいよいよ取られた-といえようか。

(6月14日)
 日本郵便が13日、手紙やはがきの郵便料金を10月1日から約3割値上げする、と発表。1通84円から100円へと上がる手紙(25㌘以下の定形郵便物)では、消費税増税時を除き1994年いらい、30年ぶりの料金改定で、はがきも63円から85円に変わる。

 第77回中日文化賞の贈呈式が13日、名古屋市内のホテルであり、中日新聞社の大島宇一郎社長から賞状と正賞の時計、賞金が贈られた。ことしの受賞者は、QRコード開発と普及によるデジタル社会への貢献で受賞したデンソーウェーブ主席技師の原昌宏さん(66)=名古屋市=はじめ、ネオジム磁石の発明と脱炭素社会の推進に功労があった大同特殊鋼顧問の佐川真人さん(80)=京都市=、将棋八大タイトル独占と将棋文化振興に役立った藤井聡太さん(21)=愛知県瀬戸市=、そして創造的な漆表現と輪島塗産地への貢献で漆芸家小森邦衛さん(79)=石川県輪島市=の4人であった。どなたも、すばらしい業績を挙げられた方ばかりで新聞を読みながらこうした方々の存在の偉大さと努力の尊さをあらためて思い知ったのである。

 先進7カ国首脳会議(G7サミット)が13日、イタリア南部のプーリア州ファサーノで開幕。日本の岸田文雄首相も出席。イタリアのメローニ首相が議長を務め、ロシアのウクライナ侵攻などについて協議。制裁で凍結したロシア資産を活用し、少なくとも500億㌦(約7兆8千億円)の新たなウクライナ支援を行うことで合意。パレスチナ自治区ガザ情勢に関連し、イスラエルとイスラム組織ハマス双方に即時停戦を求めることにしているという。この首脳討論は14日まで続けられた。

 ところで私が大好きな作家太宰治が亡くなったのは、確か、きのう。6月13日のはずである。私は、サクランボを今は亡き舞の仏前に供え「太宰さん。おげんきですか」と聞いてみた。
 その太宰が亡くなったと同じ日に知人の〝ジュリー〟が愛してやまなかった愛猫ピーの死が突然、ラインでもたらされ、大変、ショックであった。でも、死んでしまった以上、この世に戻ることはなかろう。いや、ないのである。そんなことを思うと、私の目からは滂沱の涙が滴り落ちたのである。この世から去ってしまった以上は、わめこうが叫ぼうが、だ。ピーは、もはや帰ってはこない。どうにもならないのだ。ただピーちゃんのこの先の行く末が、どこまでも幸せであるよう。そのことを祈るほかない。
 なぜか、水原弘の【黒い花びら】と【君こそわが命】をひとり、歌って葬送の歌とした。友は、さぞかし悲しんでいるに違いない。でも、そういう悲しみに襲われるのが生というものなのである。生きている。生きているから、悲しむのである。人びと、いやいや、この世に生きている全ての人々がきょうも【悲しみの海】を歩いているのである。これはいかんとも仕方のないことなのだ。

 そんなこともあってか。わが家といえば、だ。きょうのシロは午前10時過ぎに外出。正午過ぎには帰宅、なにやら殊勝に見えたのである。シロよ、シロ。シロ。あのな。おまえたち猫ちゃんのアイドル的存在と言ってもいい、あの【ピーちゃん】が亡くなってしまったのだよ。今さらジタバタしたところでどうにもなるものでもない。あとは、ただひたすらに冥福を祈ろう。この先、安らかな道を歩むことをただひたすらに祈ろう。アーメン。
 さようなら。ピーちゃん。日々を元気に逞しく。どこまでも清らかに生きぬいたピーちゃん。 その生き方は、どこまでもけなげなものだった。最期は飼い主〝ジュリー〟の腕のなかで死んでいった。おつかれさま。
 
 野良猫仲間にも多くの勇気と愛を与え続けた天下猫、ピーちゃん

2024年6月13日
 日本列島はきのう12日、高気圧に覆われ、各地で高気圧に覆われた。気象庁によれば、福島県伊達市で午後1時55分、35・2度を記録。ことし全国で初めて最高気温が35度以上の猛暑日になった。全国914の観測地点のうち30度以上の真夏日は猛暑日の1地点を含め326地点に達し、各地でことし最も熱くなったという。

 そして。きのうは、愛猫シロちゃん、オーロラレインボーに1日振り回された。
 というのは、いつもの時間に散歩に出たシロが定刻の正午過ぎはおろか午後1時になっても、2時になっても、3時、4時になっても帰宅しなかったからである。私は、ずうーと昔、まだ舞(たつ江)が元気だったころ、飼い始めて間もなくわが家からいなくなったシロちゃんを舞が探しに出かけ足を棒として見つけた古知野高校近く道路に面した草むらをはじめ、自宅周辺を時には隣人に聞くなどして歩いて回り、最後に先日、隣家無人家屋の解体工事が行われたことで、距離が縮まったようでより身近なお隣さんとなったその家、西川さん宅を訪れ、アルプスの少女のような奥様に「うちの白猫がいなくなってしまい捜しているのですが。どこかで見かけなかったでしょうか」と。思い切ってそう聞くと「なんか、うちの息子が白猫がそこいらで遊んでいるのを見かけたそうよ」とのこと。で、そちらの方に二人で行くとシロちゃん、こちらの様子を窺うようにしながらも逃げ去ったので「そのうち帰宅するだろう」と、ホッと安堵の胸を下ろしたのである。
 シロちゃん、いたづらごっこでもするようにその床下部分で、しばらく私たちの方をさぐるようにしていたが、近づくと逃げ出したーところを、この目で目撃。私は生きていることを確認したのでホッとした。というわけで、それ以上探すことはやめ、午後5時ごになって、いつもの縁側をのぞくと案の定、彼女は少しバツの悪そうな顔をして帰宅して座っていたのである。「シロよ。シロシロ。シロちゃん。心配してたよ。どこへ行っていたのだ。怒らないから」と言って窓を開けると、彼女はニャアン、ニャア~ンと甘えた声とともに室内に入り、晴れて帰宅とあいなった。
 というわけで、めでたし、めでたし-とはこのことか。私はシロが私の前から消え去ったら、生きてゆく気力を失うに違いない、と。そんなことを実感しもした。

 今や、亡きおかあさんに代わってわが家の女神と言ってもいいオーロラレインボー

 
 いつもはこうして私の足元に居てくれる
 

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 スイスのシンクタンク、世界経済フォーラムが12日、各国の男女平等度を順位付けした2024年版「男女格差(ジェンダー・ギャップ)報告」を発表。日本は146カ国中118位だった。1位はアイスランド、2位はフィンランド、3位はノルウェー、4位はニュージーランドたった。

 東京都の小池百合子知事(71)が12日、任期満了に伴う都知事選(20日告示、7月7日投開票)に3選をめざして立候補する意向を表明。自民、公明両党と地域政党「都民ファーストの会」が支援する見通し。一方、既に出馬の意向を示している立憲民主党の蓮舫参院議員(56)はこの日午後、離党届を党本部に提出。立民、共産、社民各党が支援する方針で事実上の与野党対決になりそうだ。

 上方落語家の桂ざこば(かつら・ざこば、本名関口弘=せきぐち・ひろむ)さんが12日、ぜんそくのため死去。76歳だった。大阪市出身。

2024年6月12日
 日記の日。きょうは、アンネフランクが満13歳になったその日、昭和17年(1942年)6月12日に日記を書き始めた、まさにその日だそうである。

 アンネ・フランクに触れた毎日新聞の12日付「余録」
 

 岐阜県警捜査2課が11日、前池田町長の無職岡崎和夫容疑者(76)を官製談合防止法違反(入札妨害)と公契約関係競売入札妨害の疑いで逮捕。調べによると、岡崎容疑者は2022年7月上旬、同町萩原の温知保育園にエアコン10台を設置する工事の指名競争入札を巡り、業者に指名通知をする前に少なくとも1社に対し秘密事項となっている参加業者名を漏らし、入札の公正を害したとしている。捜査2課は相手業者の名を明らかにはしていないが、お粗末極まるとは、このことか。これでは、これまで前町長を信じてきた町民がかわいそうである。

 東日本大震災と福島第一原発事故の被災地を回っていた「脱原発社会をめざす文学者の会」のメンバーから「昨日は脱原発の会で大熊町、双葉町をまわりました。暑い日でしたが、よく周り勉強になりました」「町長さんのお話聞きました」などといったラインを頂く。添付されてきた文学者の会メンバーの写真を目の前に【脱原発社会をめざす文学者の会健在なり】を実感。そして。私自身も、その後の復興ぶりをこの目で確かめてこなければ―との思いを強くしたのである。

 初めて乗り込んだ敵地・エスコンフィールド北海道で竜の投打がガッチリかみ合った。中日は11日、日本生命セ・パ交流戦の日本ハム戦に4-0で快勝した。先発の高橋宏斗投手(21)が初体験のマウンドをものともせずに7㌄無失点の快投。打線も2本塁打で援護した。過去2年は6戦全敗だった天敵を破り、チームは2連勝となった。-とは、けさの中日スポーツ1面のリード記事である。
 そして。さっそく北海道のドラキチさん、会川さんから私のラインに入った言葉は、以下のようであった。あいかわさぁ~ん。これからも応援よろしくね。
――おはようございます。昨日はエスコンフィールド北海道での、初めてのセパ交流戦観戦に行って来ました。2年間、立浪和義監督は新庄監督に6連敗中でしたので、初めて勝利がエスコンフィールドでしたので、感動しました。(以上、会川さんの原文どおり)

 会川さん、いつもいつも本当にありがとうございます(伊神権太より)。

(6月11日)
 いずれも職員のハラスメント行為が認定され町長が辞職した愛知県東郷町と岐阜県池田町の町長選挙が9日、投開票され、東郷町は無所属新人で前町議長の石橋直季氏(38)が、池田町は無所属新人で生命保険会社社員の竹中誉氏(53)がそれぞれ、初当選。石橋氏は愛知県内の現役首長では最年少となった。

 世界の方はといえば、だ。【対北拡声器放送再開 韓国軍 北の汚物風船に対抗】【「どこを見ても死体が…」 ガザ人質奪還 住民多数巻き添え 人口密集地で爆撃・戦闘】(11日付中日見出し)など。人間のやることは全くもっておろかしいことばかりである。そんな中、【インド与党辛勝 民主主義再生の契機に】の社説(11日付中日)が、なかなか読ませた。

 きょうは、おかあさんの仏(静汐院美舞立詠大姉)に木曽の流れを含んだ清らかなるお水を与え、彼女・伊神舞子も知る淡墨桜のお線香を立てて愛猫シロちゃんと一緒に手を合わせ、久しぶりにお参りし近況を報告。脱原発社会をめざす文学者の会の福島現地視察の方は、今回は、ほかにすべきことが多いこともあって欠席したことなどにつき説明。能登半島地震の応援歌「能登の明かり」のCD化の方は順調に進みつつあることなどについて報告した。

 仏の舞に手を合わせ、このところのアレヤコレヤをシロと一緒に報告した
 

 それにしても、きょうは本当に暑い。飛騨高山の神岡で、なんと30度を超えたというではないか。シロも帰宅後は、さすがに暑さでグロッギー気味で、私は私でシロに水をのませるように配慮、彼女は私に言われるとおり、水をのんでくれたのである。暑いのは、人間も猫も同じだと思う。

 この日、いつもどおり自宅周辺の散歩に出かけたシロは正午過ぎ、時間通りに無事、帰宅した。
 
(6月10日)
 朝早く。私が住む花霞町3組2班の区費の件で私は〝班長さん〟の大役を仰せつかっているため、区費記入申告票がまだ未回収になっていたKさん宅を訪ね、回収。夕方、2班の全戸分(9戸)をそろえて、近くの組長さん宅にお届けする。
 しばらくしたら、その若き組長さんがわが家を訪れ、「KさんとMさんの分がないのですが」との疑問を呈せられたので「おふたりともこの1年の間に亡くなられたのですよ」と答えると「ああ、そうでしたか」と納得して帰られた。というわけで、ことほどさように、町の〝班長さん〟は忙しい、のである。この大役を亡き妻、たつ江が文句ひとつ言うでなく生前に複数回にわたってやり遂げた事実に私はあらためて感謝。ほんとによくやってくれたとの気持ちでいっぱいになった。

 きょうは、このほか午前中、舞の勧めもあって彼女の生前時から定期的な健康診断を兼ねて訪れている名古屋は金山の「金山ペインクリニック」へ。幸い血圧も正常で「特に問題はありません」との診断であった。外出中は、わが愛するシロちゃんが留守番をしてくれており、随分と助けられた。私が帰宅すると、シロはホッとした様子で私に向かって「ニャア~ン」と言ったのである。

(6月9日)
 滋賀県警は8日、保護司でレストラン経営者新庄博志さん(60)が大津市内の自宅で殺害された事件で同市仰木の里、無職飯塚紘平容疑者(35)を殺人の疑いで逮捕。飯塚容疑者は6年前のコンビニ強盗事件で執行猶予付きの有罪判決を受け保護観察中で、新庄さんが支援を担当していたという。新庄さんは2006年から保護司として活動しており、保護司が中心となって就労や教育、医療の組織を連携させ更生支援につなげる「滋賀KNAMAプロジェクト」を進めていた。
 調べによると、飯塚容疑者は5月24日午後7時~26日午後4時ごろに新庄さん方で鋭利な刃物で新庄さんの上半身を複数回突き刺すなどして殺害した、とされている。これに対して飯塚容疑者は「私はやっていませんし、何もこたえたくありません」と話し、容疑を否認しているという。いずれにせよ、保護司という社会的使命に燃えた新庄さんの死が社会に与える影響は限りなく大きい、といっていいに違いない。

 そして。今ひとつ気になったのが、鹿児島県警の署員盗撮記事か。【「前刑事部長が静観指示」 前生安部長記載、本人は否定】(9日付中日)の見出しがなんとも気になる。
 というわけで、きょうも人間社会という川の流れは、流れ流れてどこどこに。一体全体、どこまで流れていくのだろうか。

(6月8日)
 土曜日。「脱原発社会をめざす文学者の会」のホームページに私、伊神権太が月に一度、執筆している連載の文士刮目【第37回 どこへ行く? 流転社会】が昨日付で公開されたので、読んで頂けたら嬉しく思う。読者のみなさまには、次のアドレスをクリックして読んで頂けたら、と願っている。
 http://dgp-bungaku.com

【劣勢挽回へ 350億円支援 米ウクライナ首脳会談】とは、本日付の中日新聞国際・総合面の見出しである。第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦から80年の式典に結集した欧米首脳らが連合国がナチス・ドイツに勝利した歴史と現在を重ね合わせ、ウクライナに侵攻したロシアの権威主義と闘う姿勢を鮮明とし、バイデン米大統領は7日、パリでウクライナのゼレンスキー大統領と半年ぶりに対面会談。米議会の党派対立でウクライナへの支援が長期間滞ったことを謝罪、侵攻を続けるロシアに対する劣勢の挽回に向け、2臆2500万㌦(350億円)の追加軍事支援も発表した。これに対してゼレンスキー氏は米国の支援に謝意を示し、ウクライナは孤独でないと語ったという。

 毎日新聞の本日付け朝刊1面に【涼やかにごあいさつ】の、さわやかな絵とき記事。夏の到来を目前に、京都の花街で芸舞妓がお世話になった料亭などに夏のあいさつで配る「京丸うちわ」の生産が続いている。白地に濃い朱色で芸名や家紋などが入り、華やかなのが特徴。1624(寛永元)年創業の老舗うちわ店「小丸屋住井」(京都市左京区)が発祥で、京都と屋号から一文字ずつ取ってうちわの名前が付けられたという。

(6月7日)
 中日ドラゴンズは6日の日本生命セ・パ交流戦でソフトバンク戦(バンテリンドーム・ナゴヤ)に臨み3-0で勝利。1950年の2リーグ分立後、巨人、ソフトバンク、西武に次ぐ球団通算5000勝のメモリアル勝利。4回にダヤン・ビシエド内野手(35)が今季1号ソロを放ち先制。来日から9年連続となる本塁打は今季39打席目で飛び出した。(6月7日付中日スポーツ1面から)

 巨人、ソフトバンク、西武に次ぐ球団通算5000勝のメモリアル勝利を報じた7日付中日スポーツ1面
 

 派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、自民党が3度修正した改正案は6日の衆院本会議で可決され、衆院を通過。自民と公明党、日本維新の会が賛成。立憲民主党などが訴えた企業・団体献金禁止は含まず、不透明な政治資金である政策活動費も温存され、立民の西村智奈美代表代行は「抜け道だらけだ」と批判。中日新聞は7日付朝刊で【規正法改正案衆院を通過 企業献金と政活費温存】【「欠陥」だらけ議論は参院へ】と1面で報じた。まったくもってその通りだと思う。
 ほかに【前部長(前鹿児島県警生活安全部長)が不祥事隠避指摘 本部長「捜査で確認行う」鹿児島県警】【ズボン1000着ボタンから覚醒剤 愛知県警 密輸容疑でイラン人逮捕】(いずれも7日付中日見出し)など。相も変わらず、いろいろある。

 かつて今は亡き舞(伊神たつ江)と一緒によく訪れた円空仏とアジサイの寺で知られる愛知県江南市村久野町の琴聲山音楽寺で明日8日から30日まで第26回あじさい祭りが開かれます、とは、毎週金曜日発行の7日付の尾北ホームニュース1面トップニュース。

(6月6日)
 梅の日。ことしは、あまり生育はよくない、とのこと。

 それから。第2次世界大戦でナチス・ドイツに対する連合国軍の勝利を導いたノルマンディー上陸作戦のDデー(決行日)からこの日で満80年を迎えた。「フランス北西部ノルマンディー地方で史上最大の作戦を目撃した住民らは高齢になった今も凄惨な記憶が忘れられない。ロシアのウクライナ侵攻で欧州が再び戦争を目の当たりにする中、美しい平和をかみしめる」とは、けさの中日新聞の国際・総合面の報道である。【モディ首相が勝利宣言 印総選挙 与党単独過半数逃す】も同国際・総合面の見出しである。

 朝早く裏庭一角の倉庫内に置かれていた今では不要になったガラクタ類を先日お世話になった庭師さんにお願いして撤去していただく。シロは事態を悟ったらしく、外の様子にジッと目を注ぎ、終わったところでお外に。まもなく帰宅した。

 能登半島地震に伴う大規模火災で焼失した石川県輪島市の輪島朝市周辺で5日、建物の公費解体が始まった。輪島朝市エリアの264棟について法務局による建物が「滅失」したとする登記手続きが5月30日に完了したことに伴うもので、所有者全員の同意がなくても災害廃棄物としての解体が出来るようになったという。作業は申請が集まったエリアごとに実施していくが完了時期は未定だ、としている。
 厚生労働省が2023年の人口動態統計を発表。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数「合計特殊出生率」は未婚・晩婚化が影響して1・20となり、過去最低を更新したと発表。

(6月5日)
 【トヨタ本社立ち入り 認証不正 国交省、処分を検討 3品種月内は生産停止】【販売店に不安の声 本当に大丈夫なのか】【規正法審議ずれ込み あす衆院通過 自民異例の日程撤回】(5日付中日朝刊見出し)など。世の中は日々、流れている。いや、このように。時には、濁流の如く流れていくのである。でも、いつの日にかは、遠ざかってゆく。

 中国共産党・政府が1989年に学生らによる民主化運動を武力弾圧した天安門事件から、きのう4日で35年。各紙報道によれば、習近平政権下での言論統制は一段と強まり、現場となった北京の天安門前広場周辺には多数の警察官や私服の公安関係者らが配置され、厳戒態勢がとられたという。
※天安門事件については、拙著「火焔-空と海」(能登印刷、伊神ごん)の【天安門前広場で大虐殺】(175頁)で触れているので読んで頂けたら、と思う。そのホンのごく一端を以下に紹介させて頂こう。
--中国の天安門前広場は、とうとう最悪の悲劇にまで発展してしまった。さる4日、天安門前広場で民主化を訴え居座る学生、市民に対し戒厳軍が、武力行使。何千もの人びとを殺りく、流血の惨事となったのだ。/人間のすることは本当に愚かで、嘆かわしい。……

 それはそうと、私は今つくづく思う。民主化を訴える学生たちが次々に殺されていった、その日。まだ若かったはずである、現在の絶対権力者である、あの習近平氏は一体どこでどうしていたのか、と。それが分かれば私はそのことを歴史に記したい、と思うのである。

(6月4日)
 女子のメジャー第2戦、全米女子オープン選手権が2日、米ペンシルベニア州のランカスターCC(パー70)で最終ラウンドが行われ、笹生優花が68と伸ばして通算4アンダー、276で2021年大会以来となる2度目のメジャー優勝を果たした。男子も含め、日本勢初の複数回制覇。22歳11カ月13日での全米女子オープン2勝目は最年少記録で優勝賞金240万㌦(約3億7680万円)を獲得した。4位から出た渋野日向子も72と粘り、通算1アンダーで2位に入って賞金129万6千㌦を得た。ニッポン女子のおふたりを心から祝福したい。めでたし、めでたし-とは、このことか。

 こちらは、あぁゝ 情けなや―か。【トヨタなど5社認証不正 ホンダ スズキ マツダ ヤマハ発 国交省指示 6車種出荷停止】(4日付中日)【認証不正トヨタなど5社 38車種一部出荷停止 ホンダ、マツダも 国、立ち入りへ】(同毎日)の見出しが悲しい。
 東京都内で会見したトヨタの豊田章男会長は「心よりおわび申し上げる」と人間を代表して?
謝罪。再発防止に向け「私自身が現場に下り責任を持って推進していく」と述べたというが、正直言って本気かしら―と思ってしまうのは私だけか。自動車業界全体がたるんでいるような。そんな気がしてならない。

 そして。そうしたニンゲンたちに比べたら、だ。わが家の守護神と言っていい愛猫シロちゃん=オーロラレインボー=は、きょうもどこまでも謙虚かつ控えめで美しく、チャーミングなのである。けさも私と一緒にユーチューブで、晩年のおかあさんが病床で「これだけは毎日、歌って。聞いてよね」と言い残した【エーデルワイス】と【みかんの花咲く丘】をふたりで口ずさみながら聴いたあとは、いつものように、晴れわたったお空のもとに外出。どこを、どう散策してくるのか。正午過ぎには、わが家に帰宅。今は窓辺で穏やかな視線を大空に向け、両手をそろえて満足そうな表情で座っているのである。

 シロよ。シロ、シロ。シロちゃん。
ところで。おまえは今、いや、いつも何を思い、考えているの? あっ、そうそう。オトン(私)と同じだよね。最近、朝の曲に【能登の明かり】がもう1曲、加わったことを書き添えておかなくちゃあ。

2024年6月3日
 3日午前6時31分ごろ、石川県能登地方で最大震度5強の地震が、ぐらりと発生。幸い、津波の発生はなくこれといった被害こそなかったが、能登はまだまだ安心できる状態に至ってはいない。

 ヤクルトの石川雅規投手(44)が2日、楽天モバイルパーク宮城であった楽天との3回戦で今季初勝利。史上初めて新人年から23年連続勝利を達成。昨年に最長記録だった米田哲也(阪急など)の1956~77年の22年連続に並んだ。23年連続は工藤公康(西武など)山本昌(中日)三浦大輔(DeNA)に並ぶ最長。2日は4-0の五回裏終了降雨コールドゲームで9年ぶりの完封となった。石川は、現役最年長のサウスポーで秋田商高-青学大から2002年、自由獲得でヤクルトに入団。身長167㌢の小柄ながら同年4月4日の広島戦でプロ初白星を挙げている。通算成績は186勝186敗。あっぱれ、とはまさにこのことを言う。「おめでとう! 石川投手」と心からエールを送りたい。
 
 ヤクルト石川投手の23年連続勝利達成を報じた3日付の中日新聞本紙、下は中田の決勝打を報じた同日付の中日スポーツ1面
 

 きょうの中日の朝刊報道によれば、能登半島地震で石川県から県外に避難した人は4月1日時点で少なくとも38都道府県で1268人に上ることが共同通信の都道府県・政令指定都市調査でわかった。戻った人も含めれば最大2861人が県外に滞在していたという。石油輸出機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国を加えた「OPECプラス」が2日、オンラインによる閣僚級会合を開き、協調減産の枠組みを2025年末まで1年間延長する、と発表。原油の供給量を抑制して相場を支える狙いがあるという。

2024年6月2日
 日曜日。能登半島地震から昨日で5カ月。石川県ではなお3319人が避難生活を強いられているという。けさの中日新聞によれば、うち1736人が学校や公民館などの1次避難所に身を寄せ、1530人は被災地から離れたホテルや旅館などに2次避難。仮設住宅は5月末時点で、必要数の67%に当たる4443戸が完成。県は8月中に希望者全員の入居をめざす。また断水は最大約11万戸に上ったが5月末時点で早期復旧が困難な輪島、珠洲両市の計1821戸を除いて解消。国土交通省によれば、約9割の主要な幹線道路が通行可能になった。

 不倫の口止め料を不正に会計処理したとして有罪評決を受けた米共和党のトランプ前大統領が5月31日、「公平な裁判ではなかった」として控訴する方針を明らかに。トランプ氏は11月の大統領選を控え、有罪評決を民主党の政治的な思惑によるものだ、と繰り返し主張することにより支持者らの結束を促す構えとみられる。
 パリ五輪の聖火リレーが5月31日にフランス西部で行われ、トマ・ぺスケ宇宙飛行士らを含む聖火ランナーが世界遺産のモンサンミシェルなどを走り抜けた。ゴール地点のミニ聖火台に火をともした最終走者は101歳のロジェ・ルブランシュさん。ナチス・ドイツの強制収容所を生き抜いた経験があり、1948年のロンドン五輪ではボートの選手として活躍した。

 夜。NHKスペシャル【海辺の診療所の先生は お年寄りたちの人気者 密着4年いのちの記録 百歳の春と涙の別れ】を見る。学んだことは「尊厳ある死は他人が決めつけるものではない。よう頑張った。よう頑張ったのお」といった老医師の言葉だった。

(6月1日)
 土曜日。世の中にはすばらしい方がおいでだ、ということをつくづく感じた。
 というのは、きのう、きょうとわが妻舞が生前、彼女なりに懸命に手入れしていたわが家のちいさき庭が、彼女の死後=伊神舞子、たつ江は2021年10月15日午前4時43分、江南厚生病院緩和西病棟812号室で逝去。69歳だった=、かなり荒れてしまっていたので庭の伐採と剪定をお願いしたところ、彼のお方が、それはそれは見事にきのう、きょうの2日間で一新してくださったからである。と同時に、彼人(かのひと)のお話を伺うにつれ、生前の舞がどれほどの思いで庭に愛情を注いでいたか。その真実を今さらながら痛感した。

 名工の如き川瀬さんの腕で庭の雑草はみるみる伐採処理されていった
 
 

 見違えるほどにさっぱり生まれ変わったわが家
 
 
 

 ここで彼人とは、同じ花霞町内に住む、庭・樹木剪定士の川瀬貴生さん、その方である。年齢は60代~70歳前後か。私は、その川瀬さんからこの2日間で庭木の剪定をする合間に、一つひとつの存在を丁寧に教えてくださった雑木(エノキ)をはじめ、フクラクロガネモチ=江南市の木=、シャリンバイ、平戸つつじ、南天、金木星(10月はじめに濃い黄色の花を咲かせる。花が咲くようにてっぺんは切らない)、紅葉(ノムラ)、さらにはキンカン、柿、紫の実を鈴なりにつける紫式部、そしてアカメガシ、オリーブの木にアサガオ、南天の存在を知ったのである。これらの庭木はすべて舞の手で手入れされていたのだった(恥ずかしながら私は彼女に任せっぱなしでいた)。
 そして。この住宅は私が定年になると同時に彼女の思いを駆使して現在地に建てたものだが当時、私はまだまだ何かと記者稼業が忙しく、定年にあわせての新築の件は全て妻、すなわち舞任せにしていたのである。それだけに、今ごろになって私は彼女が彼女なりにいかに知恵をこらし庭木の植樹について深く考えてくれていたかを、思い知ったのである。今になって思えば、だ。私はなんて。薄情かつ自分勝手な男だったのだろう。
 舞、すなわちたつ江がこの世を去ってしまった今ごろになって初めて彼女の日ごろの庭の手入れに頭が及んだのである。そして。私は、あらためて彼女のマイホームに対する熱き思いと庭の樹々ひとつひとつに託した愛の深さを今ごろになり、思い知ったのである。「当時はまだまだ仕事、仕事で追われていたからだ」との私の言い訳は通用しないのである。

 実際、私はこの間、家のことは何ひとつすることのなかった自分自身を深く恥じたのである(ただ私たちの所有地である【エデンの東】へは、ふたりで朝早くから出かけ雑草を除去し、サツマイモや茄子、タマネギ、時にはスイカなどの野菜の栽培や柿の収穫にも打ち込んだことはあったのだが。わが家の庭木の手入れとなると舞にその全てを任せ、何ひとつとして手伝うことはなかった。気にも留めていなかったのである。この間、彼女はどんな気持ちで庭の樹々の手入れに励んでいたのかと思うとき、私の両の目からは、またしてもとめどなく涙の滴が落ちてくるのである。俺は、なんてどこまでも自分勝手で薄情な男だったのだろう。ごめんな。舞よ。マイ、たつ江。彼女にはリサイクルショップ「ミヌエット」の仕事もあった。あゝ。それなのに、だ。俺という男は何につけ、自分勝手にすぎた。一体全体何をしていたのか。

 午後。庭木の剪定と掃除がひと段落ついたところで、イーオン扶桑店へ。夕食の買い物に。店の前の広場で飛騨高山のお店が開店していたので、飛騨牛と昔懐かしいラムネをそれぞれふたつと、ほかに、さるぼぼアイスなるもの各ひとつを購入して帰る。
 それにしても、ラムネだなんて。何十年ぶりか。少年時代の郷愁を誘う懐かしき味である。帰宅する道すがら、今度は和田の実家近くに広がる私たちの土地<エデンの東>に寄ってみた。夕陽のさす光景が、かつて訪れた米国西海岸カリフォルニア州の大草原に落ちる光りにとても似ているので、私と舞(たつ江)とで、このように命名したのである。
 私たちふたりは、舞が元気で居たころ、ここで雑草を抜き、タマネギや茄子、大根、スイカ、サツマイモなどの野菜を育てたのである。彼女はチューリップの球根を植え育てることが、とても得意だった。今にして振り返れば、よき日々ではあった。

 舞との思い出が染みた【エデンの東】は、いつもどおりどっしりとした大地を横たえていた
 
 

一匹文士、伊神権太がゆく人生そぞろ歩き(2024年5月~)

2024年5月31日
 庭・樹木剪定士の川瀬貴生さんが午前8時より少し前に、わが家玄関の押しボタンをおし、玄関先に現れた。「よろしくお願いします」と私。それからの川瀬さんは、ホントに速いし的確な判断で荒れるに任せていたわが家の裏庭と中庭をみるみる美しくしてくださったのである。

 午後。一宮市のスポ文へ。社交ダンスのレッスンのためで、タンゴ、ワルツに続き現在、猛特訓中のスローを繰り返し繰り返し、学ぶことにあいなった。スローは、簡単なようで、なかなか難しい。でも、踊るうち全身にリズム感が芽生えるようで踊れば踊るほど楽しいというか、充実感に満たされるレッスンである。
 踊るうち、ふと舞の顔が大きく目の前に浮かび、私は心で「おまえはいなくなってしまったが、なんとか、こうして元気で生きているからな」と言い、ステップを踏み続けた。

(5月30日)
 朝。「庭・樹木剪定」と書かれた庭・樹木剪定士川瀬貴生さんが午前10時きっかりに中日新聞販売店の松本さんの案内でわが家に。隣家の解体工事終了にあわせ、このところわが家の庭で生え放題、伸び放題になっている樹々を伐採してもらえる人を探していたところ、松本さんが「良い方がおいでですよ」と紹介してくださった。このため、お願いすることにしたのである。
 家の周囲を見て回られた川瀬さんは「それでは、あす朝、8時に参ります」と話され、帰られた。 私の祖父はその昔、植木職人で私が育った和田(江南市古知野町和田)で庭木や植木の剪定の名人だった、と母から何度も聞かされていたが、川瀬さんは温厚そのもののお方で、なんだか、わが家の庭でこのところ伸び放題だった庭には適任の方だと思った。川瀬さんは「作業はあすの午前8時から始めさせて頂きます」と言って替えられた。
 というわけで、先日足を運んでお願いしたのに、その後一向に音沙汰なしの江南市シルバー人材センターには「お待ちしていましたが、なかなか電話が入りませんので、お断りします。またの機会があれば、よろしく」と丁重にお断わりの電話を入れさせて頂いた。

 夕刊は【英下院解散、7月総選挙 野党・労働党が支持先行】【ガザ・エジプト境界制圧 イスラエル「地下トンネル掌握」】(日経)といったところか。

(5月29日)
 台風1号が沖縄に接近。

【吉武敬則 他人の不幸で特ダネ ずっと心の負担に <一枚のものがたり> 浅沼稲次郎刺殺(1960年)】【<特報>「カイロ大出た」と言うけれど 迫る都知事選詐称疑惑再燃 小池氏「卒業証書何度も公表」「学長名で声明」「声明 私が提案」元側近 「帰国前『バレちゃうから』と」元同居人】(いずれも29日付中日夕刊の見出し)
 どちらの記事も夕刊特報ならでは、の読みごたえのある内容だった。 

 午前中、シロに留守番をたのんで近くの歯医者さんへ。
月に一度のメインテナンス治療のためだ。「イガミさんの歯の治療のつど思うのですが。首の筋肉が年齢の割りには、とってもしっかりしておいで(どうやら頑丈だ、ということらしい)で。それに高齢者は大抵、治療の合間にむせられますが。むせられたことが一度もなくて、若者みたい」とは専属で治療してくださっている歯科衛生士の後藤さん。私の口の周りの骨格がしっかりしていることは自分でも分かってはいるのだが。こんなに誉められるとは。よほど若々しかったのか。能登弁で言うなら、「ちょっこし」恥ずかしい気がしたのも事実だ。いずれにせよ、上の歯の入れ歯はそろそろ替えねば、とは思っている。

(5月28日)
 きょうも朝から雨、雨、雨である。

 日本の岸田文雄首相と中国の李強(りきょう)首相、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が27日、ソウル市内で首脳会談を開催。2019年から中断している自由貿易協定(FTA)の交渉を再開し、議論を加速することで合意。北朝鮮への対応など安全保障問題では日韓両国と中国との立場の隔たりがあるなか、互いに協力できる人的交流や経済関係の活性化を前面に打ち出していくことで合意。また、韓国軍合同参謀本部は北朝鮮が27日午後10時44分ごろ、北西部の平安北道東倉里(ピョンアンプクトトンチャンリ)付近から南方の黄海に向けて軍事偵察衛星と推定される飛翔体を発射した、と発表。直後の10時46分ごろ、北朝鮮側の海上で多数の破片を探知したという。
 朝鮮中央通信も「27日に国家航空宇宙技術総局が偵察衛星「万里鏡1-1号」を新型の運搬ロケットに搭載して発射したが、1段目の飛行中に空中爆発し、失敗したと28日未明に伝えた。
 
「小池都政をリセットする先頭に立つ」と立憲民主党の蓮舫参院議員(56)が27日、党本部で記者会見。6月20日告示、7月7日投開票の東京都知事選に無所属で立候補する、と表明。
 将棋の藤井聡太八冠(21)=愛知県瀬戸市=に豊島将之九段(34)が挑む第82期名人戦7番勝負の第五局が26、27の両日、北海道紋別市で指され、先手番の藤井八冠が99手で勝利し、シリーズ4勝1敗で名人位を初防衛。自身の持つタイトル連続獲得の最多記録も22期に伸ばした。

 ほかには【男性死亡 殺人で捜査 大津の住宅 上半身に多数の傷】【料理店経営 保護司活動も】【ゲンキーで連続窃盗 愛知・岐阜の5店、485万円被害】(いずれも28日付の中日見出し)といろいろ、次から次にとある。これが世の習いなのか。人間たちは、そのなかを一人ひとりが泳ぐようにして生きていく。あぁ~。

2024年5月27日
 大相撲夏場所の千秋楽は26日、東京・両国で千秋楽を迎え、新三役の西小結大の里(23)=本名中村泰輝、石川県津幡町出身、二所ノ関部屋=が関脇阿炎をおしだしで破り12勝3敗で初優勝。初土俵から所要7場所での優勝は、幕下付け出しでは同じ石川県出身で元横綱輪島の15場所を大きく更新する最速記録となった。付け出しを除いても先場所の尊富士の10場所を上回った。
 また大の里は、初の殊勲賞と2度目の技能賞にも輝いた。新入幕から3場所連続の三賞受賞は千代天山いらいで25年ぶり。新入幕の欧勝馬が初の敢闘賞。十両優勝は元関脇の若隆景(福島県出身、荒汐部屋)が14勝1敗で初優勝。幕内優勝経験者の十両優勝は、昨年春場所の逸ノ城以来だ。

 優勝インタビューにこたえ「石川県の方々に元気を届けることが出来てうれしい。親方の教えを守って上へ上へ、強いお相撲さんになってゆきたい」と語る大の里(NHKテレビから)
 

 優勝賜杯を手にした(NHKテレビ)
 

 第91回日本ダービー、3歳最強馬決定戦が26日東京優駿で開かれ、9番人気の伏兵、ダノンデサイル(横山典弘騎乗)が2分24秒3で優勝。GⅠ初勝利で1着賞金3億円を獲得。横山騎手の56歳での勝利は武豊騎手が持っていた53歳の最年長記録を更新した。

 川勝平太前知事の辞職に伴う静岡県知事選が28日投開票され、無所属の元浜松市長鈴木康友氏(66)=立民、国民推薦=が新人6人による争いを制して初当選。無所属の元副知事大村慎一氏(60)=自民推薦=は競り合いはしたものの敗れた。立憲民主党の蓮舫参院議員(56)が6月20日告示、7月7日投開票の東京都知事選に立候補する意向を固めたことが26日、関係者の取材で分かった、とは27日付の中日新聞朝刊記事。

2024年5月26日
 日曜日。初夏の日差しが照り付けてはいるが。風が5月のそれらしく、心地よい。

 けさは。いつもとは違い、リビングルーム窓からダイビングして外出とあいなった私たちの宝物と言っていい愛猫シロ。その彼女が、いつもならピタリ、正午過ぎには帰ってくるのにである。窓際の縁側に姿を見せることもなく、一向に帰宅する気配がない。

 それで。正午を過ぎてもシロちゃん、帰宅しないので。家の周りを探して歩く。しばらくすると庭木の間からシロちゃんがチョット、バツの悪そうな顔をして、私に向かって一歩一歩、近づいてきたのでホッとひと安心。帰宅は30分ほど遅れたが、そこは本人も悪いと深く反省しているようなので「シロよ。シロ、シロ。おとうさん、待っていたのだから」と言い、家の中に入れ、定刻通り12時半には食事を与えたのである。やれやれ、というところか。

 福島県相馬地方の「相馬野馬追(そうまのうまおい)」が25日、3日間の日程で開幕。明治時代に新暦になって以降、150年近く7月に開催してきたが、猛暑を避けるために5月の最終の土~月曜になったという。天皇、皇后両陛下が25日、岡山県を訪れ、岡山市の県立岡山工業高校で生徒から地域の課題解決の取り組みについて聞かれたほか、26日に市内で開催される全国植樹祭で演奏する岡山市ジュニアオーケストラの練習も見学された。

【初夏の色 鮮やか 茶臼山高原】とは、26日付の中日新聞1面見出し。茶臼山高原でシバザクラが見ごろを迎え、白、紫、ピンクの花のじゅうたんが一面に広がっているという記事で、なんとも見事である。こういう美しい自然を見ると、なぜか天使のように清らかで美しかった亡き妻、たつ江、舞のことを思い出してしまう。

 石川県輪島市の商店主らによる「出張輪島朝市」が25日から2日間の日程で愛知県豊川市のイオンモール豊川で始まった。9店の18人が海産物や工芸品の屋台を並べ、市民らが輪島の特産品を買って能登半島地震の復興を願ったという。

 夜。NHKスペシャル【魂のピアニスト、逝く 壮絶フジコ・ヘミング 知られざる最期の日々 名曲に秘められた思い】をシロを傍らに見る。

(5月25日)
 気象庁によれば、きのう24日は岐阜県美濃市で33度、愛知県豊田市で31・4度を観測するなど各地で30度を超える真夏日となった。そして夏本番を前に岐阜の伝統工芸品である「水うちわ」作りが岐阜市川原町にある住井冨次郎商店などで最盛期に入っているという。

【今年も作品を募集 平和の俳句】とは、中日新聞の本日25日付朝刊の1面見出し。記事は次のような内容である。
―本紙は今夏も、読者の皆さまから「平和の俳句」を募集します。今年の一句をお寄せください。「平和の俳句」は、今年で10年目を迎えます。今夏も8月中の毎日、入選句を1面でご紹介します。/選者は「平和の俳句」を俳人の故金子兜太さんと発案し、共に選考してきた作家のいとうせいこうさん(63)と、テレビなどでも活躍する俳人の夏井いつきさん(67)です。

(5月24日)
 石川県の輪島、珠洲、能登の3市町が23日、能登半島地震の災害関連死に計30人を認定した―と発表。関連死の正式認定は初めて。これにより、能登半島地震の死者は建物倒壊などによる直接死と合わせ260人となった。心から冥福を祈りたい。
 23日午前7時半ごろ、羽田空港駐機場で出発しようとしていた札幌行き日航503便エアバスA350(乗客乗員計328人)と駐機しようと入ってきた日航の別の同機種が接触。いずれも主翼先端部分を損傷し、503便は欠航した。日航が状況や原因を調べている。

 将棋の福間(旧姓・里見)香奈女流王位(32)=清麗、女流王座、女流名人、倉敷藤花=に加藤桃子女流四段(29)が挑む第35期女流王位戦5番勝負(中日新聞社など主催)の第3局が23日、福岡県飯塚市の「麻生大浦荘」で指され、午後4時14分、先手番の福間が115手までで勝利を収め、シリーズ3連勝での防衛。福間は女流王位6連覇、通算10期を達成。お見事のひと言に尽きる。中国人民解放軍が23日、台湾周辺海域で軍事演習を開始、24日までの日程で台湾を全方位から包囲する演習地図も公開した。中国は20日に台湾総統に就任した民進党の頼清徳(らいせいとく)氏を台湾独立派とみて発足まもない頼政権に圧力をかける狙いがある、と見られている。

(5月23日)
 木曜日。1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で起きた一家4人殺害事件で強盗殺人などの罪で死刑が確定した袴田巌さん(88)に対して検察側は22日、静岡地裁(国井恒志裁判長)であったやり直し裁判(再審)で「事件現場近くでみそ漬けの中で見つかった血痕の赤みがついた5点の衣類は袴田さんの犯行時の着衣と見られる」として確定審に続いて再び死刑を求刑。これに対して弁護側は「衣類の血痕は本来、残らないもので、検察側のいう証拠は捏造したもので無罪は明白だ-と改めて訴えて、結審。国井裁判長は判決日を9月26日に指定した。
 中日新聞の23日付新聞報道によれば、だ。この日。再審公判も終盤に近づいた午後5時過ぎ。最終意見陳述で証言台に立った袴田さんの姉ひで子さん(91)はA4判の用紙を手に「今朝方、母さんの夢を見ました、元気でした、夢のように元気でおられたらうれしいですが、お母さん、遠からず真実を立証して帰りますからね」と読み上げた。/袴田さんが獄中から母や息子を気遣ってしたためた手紙だった。無実を信じた母は一審の公判に通い続け、1968年の死刑判決の2カ月後に亡くなった。ひで子さんは、袴田さんが体験した苦悩や無念を代弁するように読み上げ、用紙を持つ手は震えた。/手紙部分を伝え終えると、時折、裁判長に視線を向けながら「(袴田さんは)釈放されて10年たちますが、いまだ拘禁症の後遺症、妄想の世界にいる。心は癒えておりません」と言葉をつないだという。

 「お母さん、遠からず真実を立証して帰りますからね」。証言台に立った姉ひで子さんは袴田さんが獄中から出した手紙を読み上げた
 

「強固な殺意」「生命軽視の態度は顕著」。
これに対して検察官は論告で、袴田さんの罪状などについて淡々と口にし、読み上げは数時間に及び「特段酌むべき事情も認められず、極刑が相当だ」としたという。さて。どんな判決が下されるのか。そして。この日の中日新聞の朝刊軟派見出しは、以下のようなものであった。
【淡々求刑姉は動じず 弁護士憤り「検察の汚点」 袴田さん再審結審 被害者の孫「真実を明らかに」】【震える手 獄中の手紙朗読 ひで子さん「ようやく終わった」】【袴田さん 明るい表情も 浜松で過ごす】

 当然のことながら。真実はひとつしかない。でも、私たちにはその真実がわからない。人間社会には、ほかにも分からないことが数多くある。そうした中を私たちは生きていくのである。

 俳優の中尾彬(なかお・あきら)さんが16日、心不全のため死去。81歳だった。妻で喪主の池波志乃さんは「あまりに急で、変わらない顔で逝ってしまったので、まだ志乃-と呼ばれそうな気がします」と。中尾彬さんといえば、ボクも舞(たつ江)も志摩半島当時から志乃さんとともに、大好きな俳優であった。
 ほかに【母死亡障害ある息子衰弱 名古屋 市、自宅内6日確認せず】(23日付中日朝刊の軟派見出し)など。いろいろある。

(5月22日)
 きょうの嬉しいニュースは、中日新聞スポーツ面の大相撲夏場所10日目の小見出し【遠藤が10連勝 幕内復帰確実】である。記事は「東十両3枚目で、1場所での幕内復帰を確実とした」とあり、熱狂的ともいえる遠藤ファンの私としては、飛び上がるほどにうれしいのである。おそらく天国のわが妻たつ江(伊神舞子)も同じ気持ちに違いない。大相撲の遠藤というと、彼が能登半島の穴水出身であることもあり、なぜか能登に居たころよく食べた穴水のイサザを思い出す。勢いよく飛び跳ねるイサザを二人で生きたまま口に入れた=これを〝踊り食い〟という=楽しかったあの日々が思い出されるのである。
 ほかに地方版(尾張版)では【愛され50年一宮市民吹奏楽団 浅井団長「やればできるもんだな」 来月16日、記念公演】も目に入り、市民に愛されてきた半世紀の歩みが思われた。
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 欧州連合(EU)加盟国で構成する理事会が21日、対話型人工知能(A1)チャットGPTなど生成AIを含む世界初の包括的なAI規制法案を承認し成立。ウクライナ政府が20日、7月26日に開幕するパリ五輪への参加を正式に決めた、と発表。ロシアに対する「勝利への意志」をスローガンにウクライナの強さを国際社会に示す契機にする、としている。

 イスラエルのネタニヤフ首相は20日の動画声明で国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官がパレスチナ自治区ガザを巡る戦争犯罪などの疑いで自らの逮捕状を請求したことに「ばかげている」と猛反発。「イスラム組織ハマスの奇襲攻撃を受けた正当な戦争だと訴えた」というが、これまた人間の尊厳を無視した勝手放題の発言だと言っていい。戦争そのものが社会悪で何人もの人々を殺害したネタニヤフ首相はハマス側のハニヤ最高指導者らハマス側の3人ともども当然、逮捕されてしかるべきだと私は思うが、いかがなものか。いずれにせよ、人間の心は荒れに荒れ、何が正しいかの判断すら出来なくなっている。そんな気がして仕方ないのだ。

(5月21日)
 火曜日。けさのニュースは、何と言っても米大リーグ、パドレスのダルビッシュ有投手(37)が19日に日米通算200勝の金字塔を成し遂げたことだろう。中日スポーツの報道によれば、メジャーで107勝、日本で93勝をマーク。日米通算200勝は野茂英雄、黒田博樹に続く3人目。ちなみに日本のみでの200勝以上は24人。全ての白星を先発のみで挙げたのは、ダルビッシュ投手が初めて。

 ダルビッシュ有投手の日米通算200勝達成を報じた21日付の中日スポーツ1面
 

 1月の台湾総統選で当選した民主進歩党(民進党)の頼清徳(らいせいとく)氏=64歳=が20日、総統に就任。頼氏は就任演説で中国との関係について「傲慢にも卑屈にもならず、現状を維持する」と述べ、2期8年を務めた蔡英文(さいえいぶん)前総統の路線を継続する姿勢を示した。イラン北西部の東アゼルバイジャン州で19日ライシ大統領(63)が搭乗したヘリコプターが濃霧の中、山中に墜落した事故でイラン政府は20日、ライシ師と、同乗のアブドラヒアン外相らへりに乗っていた8人全員が死亡。最高指導者のハメネイ師(84)は20日、モフベル第1副大統領を大統領代行に任命したという。

 国土交通省は20日、鉄道に関する優れた事業を表彰する「第23回鉄道賞」の選考委員に、鉄道に詳しい将棋の藤井聡太八冠(21)=愛知県瀬戸市=を任命。21歳の委員は、史上最年少。JR東海は、岐阜県瑞浪市大鍬町でリニア中央新幹線のトンネル掘削工事が原因とみられる共同水源などの水位低下が確認された問題で、代替水源となる井戸を町内に設置する工事を開始。6月中には掘り終わり、そのごは約2カ月かけ配管工事を行うという。

(5月20日)
 月曜日。このところの工事による騒音がやっと治まったかと思いきや。隣家の解体工事が再開され、騒音がまたしても聴こえ、朝からガァーガァー、ゴオーゴオー、カンカン…と、まことにうるさい。やっと静かになったと思っていたのに。愛猫シロちゃんも、わが家のいずこかに姿をくらましてしまった。

 平安貴族の船遊びを再現した車折(くるまざき)神社=京都市右京区=の「三船祭」が19日、京都・嵐山であったーとは、けさの中日新聞通風筒。こちらは雅楽の音色が響くなか、子どもらが雅楽を奉納するなど雅の世界が再現され、なかなか良い。

 国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が18日、イスラエル軍が攻撃を続けるパレスチナ自治区ガザ最南部ラファから退避した市民が80万人に達した、ことを明らかに。「避難民は避難先の中部デルパラーなどに密集しており、これ以上の受け入れは不可能だ」として即時戦闘休止を訴えたという。イラン国営テレビがイランのライシ大統領を乗せたヘリコプターが異常な形で着陸した、と報道。このヘリには、ライシ氏のほかアブドラヒアン外相も同乗。ライシ氏はダムの落成式に参加するためアゼルバイジャンを訪れ、その帰り道だったという。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、2019年から5年間の任期満了を迎えた。ことし3月に実施予定だった大統領選は先送りされ、しばらくは暫定大統領として職務を続ける見通しだという。

2024年5月19日
 米大リーグ・ドジャースの本拠地ロサンゼルス市が球団に所属する大谷翔平選手の背番号【17】にちなみ5月17日を【大谷翔平の日】と制定、この旨を内外に発表した。大谷選手は、この日の午前中、ロバーツ監督と共にロサンゼルス市の市庁舎を訪れ、認定証などを授与され「この日を私の日として制定していただき感謝します。ドジャース球団とともにファンの皆さまにも感謝したい」と語った。大谷選手はドジャースに加入した今季、44試合に出場し打率3割6分、12本塁打、30打点(16日現在)の記録を残している。

 フランス南部で開催されているカンヌ国際映画祭の事務局が18日、スタジオジブリが名誉パルムドールを受賞する式典に宮崎駿監督の長男吾朗監督が出席する、と発表。関東近隣の山間で相次いだ強盗事件で窃盗未遂容疑で逮捕された男2人の足跡が4県それぞれの現場に残されていたことが、捜査関係者へのその後の取材で分かったとは、19日付の中日新聞紙面。

 ▼<とれとれぴちぴちかに料理><あ~らよ、出前一丁>。この人のCM曲だって負けていまい。作曲家のキダ・タローさんが亡くなった。93歳。何も知らない異国の方が聞けば大阪あたりの民謡と勘違いされる…ことはないかもしれないが、時代を超えて広く浸透し、愛されたのは確かである(19日付中日春秋から)

(5月18日)
 土曜日だ。
 朝。わけあって、あの二葉百合子さんの【岸壁の母】をユーチューブで繰り返し、繰り返し聞いてみる。舞鶴は、生後間もない私がかつて引き揚げ船で中国の葫蘆(ころ)島から母の胸に抱かれて帰国し、日本の地を初めて踏んだ、まさにその地だけに、彼女が歌う【岸壁の母】は、聞けば聞くほど涙が出るのである。私を抱き、兄の手を引き、岸壁に降り立った母の思いは、どんなだったであったろうか。その母も先年、102歳の生涯を閉じ、いまはもういない。

 この日、中部地方は高気圧に覆われ気温がどんどん上がり、愛知県内でも最高気温がことし初めて30度以上の真夏日に。名古屋地方気象台によれば、豊田市で30・9度、名古屋市で30・2度、岐阜県大垣市は30・7度、多治見市30・4度、長野県上田市でも30・8度を記録。名古屋市消防局によれば、緑区の音楽イベント会場で10~30代の男女7人が熱中症などの体調不良を訴え、救急搬送。同市内ではほかにも50代と80代の男性2人が熱中症で搬送されたが、いずれも軽症だという。

 離婚後の共同親権導入を柱とする改正民法が17日、参院本会議で自民、公明、立憲民主、日本維新の会各党などの賛成多数で可決、成立した。これにより、1947年から続いた離婚後の親権制度の在り方が見直されることになった。
 警視庁捜査2課が17日、衆院東京15区補欠選挙(4月28日投開票)で無所属新人乙武洋匡氏(48)陣営の街頭演説を妨害したとして政治団体「つばさの党」代表黒川敦彦容疑者(45)と党から出馬し落選した幹事長根本良輔容疑者(29)党幹部の杉田勇人容疑者(39)を、それぞれ公選法違反(自由妨害)の疑いで逮捕。

 自民党は17日、政治資金規正法改正案を単独で衆院に提出。立憲民主党と国民民主党はこの日、週明けに改正案を共同提出することで合意したという。ほかにも【突如閉校美容学生救済へ 小牧13校が受け入れ意向】【大垣強盗2人に懲役7年 実行役、岐阜地裁判決】(18日付中日朝刊見出し)など。世の中、いろいろある。

(5月17日)
 午前10時過ぎ。隣家の解体工事がほぼ終わり、景色が一変したところで、外に出たがる愛猫オーロラレインボー、シロちゃんを思い切って外に出す。外の風景が一変してしまったが。迷わなければ良いのだが。その後、隣の広場駐車場を歩く姿を見て、とても心配したが、彼女は正午過ぎにはいつも戻り、自宅に戻ってきたので室内に入れる。いやはや、やれやれだ。だが、やはりシロには私の思いが通じている。目の前の景色が一変してかわってしまったにもかかわらず、いつもの時間どおりドンピシャリと帰ってきた、彼女を誉めたい。それにしてもハラハラ、ドキドキさせられる恐怖の2時間ではあった。
 
 ほぼ終わった解体工事跡。左端に少し見えるのがわが家
 

 けさの朝刊(中日)報道によれば、だ。群馬県立自然史博物館(同県富岡市)が16日、同県で発見されていた化石が、ヨウスコウカワイルカ科として世界最古(約1100万年前)・新属新種だったと判明したと発表。これまでの最古は米カリフォルニア州で発見された同科の化石で約1千万年前のもので、発見された化石は鼻骨と前上顎骨が接しており、より原始的な特徴だという。ヨウスコウカワイルカは中国の長江(揚子江)に分布していた淡水のイルカで、これまでは絶滅したとされていたという。

 午後は社交ダンスのレッスンで一宮のスポ文(スポーツ文化センター)へ。新しく学び始めた【スロー】のステップを繰り返し踏み、夕方帰宅。最近、あの加藤登紀子さんによく似た新人さん(愛称は〝おときさん〟)も加わってのレッスンに。いつもの悦ちゃんに、よしこさん、先生の若さんと交互に組んでのレッスンで、少しハードなレッスンとなった。でも、結構楽しいし、何よりからだを動かすので健康維持にもなって良いと思っている。
 というわけで、少し疲れて帰宅すると。愛猫シロが心配そうな顔をして玄関先まで飛んで出てきてくれ、迎えてくれた。しばらくすると、その彼女の姿が見当たらないので部屋中を探しまわって歩くと、なんとリビングの窓が開いているではないか。どうやら、シロちゃん。私の帰宅に安心してか。勝手に窓を開け、夕涼みに出たらしい。
 それでも入浴後、もう一度探し始めると彼女は窓下、縁で黙って座っており開けると、「少し待ったよ」といった表情で家の中に。わが家のお姫さまのマイペースそのものの行動には、やれやれである。でも、戻ってきてくれホントによかった。仏の舞には、手を合わせ「シロ、ちゃんと帰ってきたから。無事でいるからね」と報告。

「シロ元気でいるから。おまえもからだ大切にな」。仏の舞に、そう言って手を合わせる。

 それとは別に。「解決へ意見交換の場に」 再懇談巡り 水俣病医者訴え】【中ロ発展「世界の利益に」 首脳会談で習氏 結束強調】【NY株一時4万㌦超】【「文系をデジタルで束ねる」 名大の横断組織先月始動】【青酸カリなど毒物50㌘紛失 大阪公立大】(いずれも17日付中日見出し)など。新聞紙面には、相変わらず、いろんなニュースが飛び交っている。

(5月16日)
 新暦の5月16日。時折、身ぐるみはがされそうな強い風が吹く、そんな日である。

 京都三大祭りの一つ、葵祭の中心行事「路頭の儀」がきのう15日、京都市内で行われ、平安時代の宮廷装束に身を包んだ約500人が京都御所を出発し、都大路を練り歩いたという。そして。きょう5月16日は、といえば。松尾芭蕉が「奥の細道」の旅に出た。その日である。

 プロ野球・ヤクルトの村上宗隆選手が15日、松山中央公園野球場で行われた広島戦の八回に今季9号のソロ本塁打を放ち、史上最年少の24歳3カ月で通算200号に到達。清原和博(西武)の24歳10カ月を更新した。プロ野球では115人目。

(5月15日)
 きょう5月15日は沖縄本土復帰記念日である。ということで本日付の中日夕刊大波小波の【占領下の沖縄 東峰夫の視点】がいい。東が描く今の沖縄を読みたい。同感である。夕刊といえば、だ。本日付の中日夕刊【娘がつないだ縁広がれ 脳腫瘍患い18歳で死去江南・坂野さん 闘病の日々、両親出版映画に】もよかった。記事によれば、悪性脳腫瘍と闘いながら漫画家を目指し、4年前に18歳で亡くなった坂野春香さんの闘病と看護の日々を両親がつづった書籍「春の香り」(文芸社)が映画化される。4月に春香さんが生まれ育った愛知県江南市でロケを敢行。1冊の本から広がった、さまざまな縁が春香さんの思いをつないだ。-といった内容で、これぞ坂野さん一家の心に寄り添ったクリーンヒットといえよう。
 というのは、私の妻で先年亡くなった、たつ江(伊神舞子)も東日本大震災と福島第1原発事故が起きた、まさにその年に脳腫瘍の大手術を受け、幸い命を取り止め回復。その後10年以上、好きな俳句や短歌、1行詩などに励むことができた、そんな経緯があるからで、とても他人ごととは思えない記事だったからである。春香さんのご両親には心から「おめでとうございます」と祝福したい。こういう記事を読むにつれ、私は新聞イコール生への気力,ほとばしりというか底知れないエネルギーだと思うのである。

 わが家隣の外人作業員らによるトラクターなどを駆使しての解体工事は本日も続き、相変わらずの騒々しさだ。こうして自室デスクに座っていると、騒々しさとドスンドスンという地響きから、まるで我が家が順々に破壊されていくような、そんな気さえする。工事現場両隣のわが家とNさん宅は、日々、騒音と言う受難に耐えているのである。
 というわけで、このところは騒々しい音が先に立ち、なかなかペンは進まない。

【悲しいというよりもすごく前向きな気持ち 宇野昌磨さん引退会見】【介護保険料月6225円 24~26年度 65歳以上平均過去最高】【リニア工事水位低下 瑞浪、共同水源など14カ所 JR東海、代替確保へ着手】とは、けさの中日新聞の見出しだ。65歳以上の高齢者が2024~26年度に支払う介護保険料(月額)が全国平均で6225円になったといい、これは前期21~23年度より211円(3・5%)上昇、過去最高を更新したというが、高齢者にとってはゆゆしき問題だといえよう。国は勝手にあげるのではなく、年寄りの声もしっかり聴いたうえで値上げしてほしく思うが、いかがか。

 ところで、今朝の大きなニュースといえば、だ。
 何と言っても、石川県が能登半島地震の「災害関連死」に関する市町との合同調査を実施し、3市町の計30人を新たに認定することにしたという話しかと思う。ほかには、滋賀県甲賀市信楽町で1991年5月14日、信楽高原鉄道とJR西日本の列車が正面衝突。42人が死亡した事故から33年がたち、現場近く慰霊碑前で犠牲者の追悼法要が営まれたことか。
 名古屋市中区栄の賃貸マンション一室で赤ちゃん2人の遺体が見つかった事件で遺体の腐敗状況から風俗店のアルバイト女性(38)が2人を別の時期に出産。遺体を放置したとみられることが捜査関係者への取材で分かったという。いやはや、この世は、良いことも悪いことも、だ。いろいろとある。悪いことの方が多い気がする。

2024年5月14日
 火曜日。天気は、きのうと違って晴れである。私が満州の奉天(現瀋陽)で生まれる前年の昭和20年5月のこの日、米軍の激しい名古屋空襲があった。当たり前のことではあるのだけれど。戦争はよくない。ノーモア・戦争である。

 隣家の解体作業は終焉に近づきつつある。とはいえ、解体に伴う大音響というか、轟音(いや、騒音か)は相変わらずのすさまじさだ。シロは窓際に座ってじっとしたまま人間たちが勝手に進めている解体音に真剣な表情で耳を注いでいる。「ニンゲンたちのやることは皆、勝手ばかりなのだ」と。そんな顔をして半ば諦めの表情でもあり、かつまた心境のようだ。私は私で、隣家から聴こえてくる作業音には、それこそ気が狂いそうで、ペンを進めるにつれ、おかしなことに眠たくもあるのだ。 

 きょうのニュースはといえば、だ
▽名古屋空襲の犠牲者を悼み、次世代に記憶を受け継ごう―と名古屋市が制定した「なごや平和の日」が14日、初めてその日を迎えた(太平洋戦争中、名古屋への空襲は63回を数え、犠牲者は7800人以上に上った。平和の日は、1945年=昭和20年=5月14日の空襲で名古屋城天守閣が焼失したことから日付が選ばれ、ことし3月の市議会で条例案が可決されたいきさつがある)
▽劇団四季が名古屋四季劇場(名古屋市中村区)でロングラン公演をしてきたミュージカル「キャッツ」が12日、千秋楽を迎え、全963席を埋め尽くした観客が万雷の拍手でたたえた。(四季の「キャッツ」は、かつて舞にせがまれ、そのつど=とはいっても2度にわたってだが=観覧したことがあり私自身、あの当時の彼女を思い出し感無量である。
▽ロシアのプーチン大統領が12日、ショイグ国防相を交代させ、第1副首相だったアンドレイ・ベロウソフ氏を新たな国防相に任命する人事を上院に提案。▽愛知県小牧市の専修学校「愛知中央美容専門学校」が出資する親会社の経営破綻から5月末で閉校することが分かり、生徒や保護者から疑問の声。
▽中教審の特別部会が13日、処遇改善や残業削減といった教員確保策の提言をまとめ盛山文部科学相に提出▽障害者グループホーム運営大手の福祉事業会社「恵(めぐみ、東京)」を巡る問題で名古屋市が緑、天白、北、守山区の4カ所について指定取り消しの方針を固めた
 変わったところでは▽全国的にも珍しい円形の水田「車田(くるまだ)の田植えが12日、岐阜県高山市松之木町であった、といったところか。

 午後。昼食がてら大口町の五条川河畔へ。マイカーで。あれほどまでに美しく咲き誇っていた桜は、すっかり新緑に生まれ変わっていた。
 
 緑一色と化した五条川の堤(愛知県大口町で)
 

2024年5月13日
 午前6時45分。朝イチで私が住む愛知県江南市花霞町内会の不燃物ゴミ回収の当番日で、指定された集積場へ。雨がそぼ降る中、中日ドラゴンス公式ファンクラブ誕生時のキャップをかぶり、半ばずぶ濡れとなって空き瓶や空き缶、ペットボトルなどの回収箱を種類別に設置。ほかにゴミの収集ネットの設置などに励んだ。

 私たち3組2班からは私と女性の荒木さんが登板だったが、高齢の彼女にしてもらうわけにもいかず、まもなく助っ人として現れた他の役員男性とともに励んだ。僅かな時間ではあったが、この作業。傘を手にしてやるわけにも行かず、結果的には全身びしょ濡れになっての帰宅とあいなった。こうした時、亡き妻たつ江(舞)が居てくれたなら。「間違いなく、出がけにレインコートか何かを着せてくれたはずなのだが。そのレインコートがどこにあるのか。それが分からないまま私は舞が愛用していたオレンジのハート入り傘を手に「いざ! 出陣」となったのである。
 それにしても、けさの当番は朝一番の大役だったので不燃物を種類ごとに回収する箱の設置などひときわ労力がいる作業だっただけに、少し疲れた。たつ江が生きてくれていたなら。こんなにみすぼらしい姿のまま私に作業をさせることなど決してなかったに違いない。せめてもの救いは、ただ作業を見ているだけではあったが。たつ江が生前、とてもよくして頂いた荒木さんが私の相棒だったこと。そして、途中からまだまだお若く、フットワーク抜群の【アルプスの少女・西川さん】がダッシュよろしく、機敏な動作で回収ネットの設置に一役買ってくださったことか。地域社会は人々の助け合いなくしては成り立たないのである。

 帰宅して今度は自宅のゴミを指定の回収置き場まで運び、ホッとしたところへたまたまたつ江のお兄さん、かつての慶応ボーイが通りかかったのでチョット家に寄って頂いて歓談。能登応援歌【能登の明かり】のことなどについて話し、久しぶりの歓談とあいなった。

 それはそうと、きょうも外は解体工事の騒音で、とてもやかましい。そればかりか、チョッコシ寒い。というわけで、わがデスクの足元にはお母さんの生まれ変わりと言っても良い愛するシロちゃんオーロラレインボーが居て、私をそっと守ってくれている。

 わが守護神でもあるシロちゃん(13日朝。わがデスクの足元にて)
 

2024年5月12日
 日曜日。母の日だ。付け足しの父の日などは正直、ない方がよい。父の日なぞ、第一、世のおかあさんたちに失礼である。とってつけたようなものを私は好きでない。それよりも世の母への感謝の気持ちを忘れないことだ。1300年以上の伝統を誇る岐阜市の長良川鵜飼がきのう11日夜、開幕。

 それから。けさの話題といえば、だ。このところ、ここ数日報告されている太陽の表面で起こった大規模な爆発現象「太陽フレア」発生に伴う地球の磁場である地磁気の大きな乱れ、磁気嵐発生に伴うオーロラ現象の発生が世界の各地で見られた、ということだろう。事実、けさの新聞は【太陽のサプライズ世界染める フレアが影響、各地でオーロラ】と報じ、ニュースでも「北海道では、きのう午後7時ころから空が紫色に染まり、12日未明にかけ雲の後ろの空が明るくなる低いオーロラが見られ、石川県輪島市でも北の夜空がピンクや紫色に染まった」などと報じた。

 世界を染めたオーロラは地震で隆起した珠洲の海岸、カナダ・バンクーバーでも観測された(12日付中日新聞朝刊)
 

 そして。その能登半島輪島市の国名勝「白米千枚田(しらよねせんまいだ)」では、きのう11日に待望の田植えが始まったが、ことしは1004枚の田んぼのうち被災を免れたり修復したりした約120枚で作付けをするという。【被災の輪島・白米千枚田 希望の苗を植えていこうよ 120枚作付け「ここまで来られるとは」】(12日付中日)の朝刊見出しが何とも心地よく、かつさわやかでもある。ほかに【輪島朝市 神戸でも活況 被災後初の県外「出張」】(同)の見出しも、どこか浮き浮きと気持ちが弾むようでよい。

 きょうは、母の日。12日付中日スポーツの1面【連敗3で止めた!!! 竜の暗雲振り払う 中田V打 「苦しい時期もある そこは変に意識はしていない またここから盛り返せる」】と囲み記事の【母の日のプレゼントは? 「オレに聞く前に、みんなもちゃんとせぇよ!】がとてもいい。ボクはこういう記事が好きだ。

「オレはマザコンと思われても良いから、オカンを大事にする」。(12日付中日スポーツ1面)
 

 隣家の解体工事がかなり進んだ。このところは毎日、愛猫シロちゃん(オーロラレインボー)を抱いて2階ベランダから見下ろすように見ているが、やはり解体作業の騒音は尋常でない。彼女を抱いて何度も何度も現場を見せながら「だから。しばらくは外にでてはいけないよ」と私。ここ数年、わが家の周辺では町そのものが高齢化、このような主(あるじ)亡き家がどんどん増え、トドのつもりは解体という運命をたどっている。他人ごとではない話である。

 夜。原発事故の被災地、福島県富岡町を舞台としたNHKスペシャル「福島モノローグ」を見る。いろいろ考えさせられた半面、人間のたくましさのようなものを感じた。

(5月11日)
 九州電力玄海原発が立地する佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長が10日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定をめぐり、選定の第1段階となる文献調査を受け入れる意向を表明。既に調査受け入れを求める請願を採択している町議会の判断に配慮した形で「町の取り組みが国民的議論を喚起する一石になれば」とも述べた。調査受け入れは全国で3例目。原発立地自治体では初めてで、既に調査受け入れを求める請願を採択している町議会の判断に沿う結果となった。

【「仲介役」殺人容疑再逮捕へ 那須2遺体きょうにも】【「指示役から殺害依頼」 仲介役供述 他の5人も関与か 那須2遺体】とは、毎日新聞のけさ11日付朝刊見出し。事件取材ならでは。容疑者らの関係を辿った系統図が、とても分かりやすかった。

 那須2遺体殺人の系統図(11日付毎日新聞から)
 

 東京地裁で10日、自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で安倍派の政治資金収支報告書に収支計13億円を記載しなかったとして政治資金規正法違反(虚偽記入)罪に問われた同派事務局長で会計責任者だった松本淳一郎被告(76)の初公判が開かれ、被告は起訴内容を大筋で認めた。
 テレビドラマ「3年B組金八先生」で知られる脚本家小山内美江子さん=本名笹平美江子さん=が2日、老衰のため死去。横浜市出身。94歳だった。中日新聞の本日付通風筒によれば、名古屋市内を流れる堀川沿いを花で彩る「堀川フラワーフェスティバル」が10日、始まった。

(5月10日)
 金曜日。あさ。令和6年度では2度目となる回覧板をお隣さんのポストへ。
朝刊に【五輪「銀」世界選手権連覇 宇野昌磨が引退「21年間 競技生活に感謝」 2人の背中失い心の炎弱まり】(10日付、中日)の見出し。私は小柄ながら練習熱心でいつも気力十分だった宇野昌磨が大好きで、フィギュアスケートの大会があるつど彼を誰よりも応援してきた。それだけに、少し寂しい気がする。ちなみに<2人の背中失い 心の炎弱まり>の2人は、北京の金メダリストのネーサン・チェンさん(米国)と14年ソチ、18年平昌の両五輪を連覇した羽生結弦さんをさす、とのことである。

 連休明けからお隣さんで本格的に始まった家屋解体工事がきょうも朝から進められており、精神的にもどこか落ち着かない。そんなわけで、わが家の愛猫シロちゃん(オーロラレインボー)は、このところ室内に閉じ込められたままで少しかわいそうである。それでも彼女が、工事の進行状況を真剣な表情で2階ベランダの窓越しに見守る姿は人間そのもの。かわいい両の目をキラキラと輝かせ事態の成り行きを真剣な表情で見続ける姿は、生前のおかあさん(伊神たつ江、舞子)そのものに見えなくもない。

 スマホが、ぴこぴこと鳴ったので開くと【Yahoo! 核のごみ文献調査「受け入れる」佐賀・玄海町長が表明 原発立地自治体で初】というものだった。

(5月9日)
 伊藤信太郎環境相がきのう8日夕、水俣病患者・被害者団体の発言制止問題を巡り患者団体メンバーに謝罪するため熊本県水俣市を急きょ訪れ、環境省水俣病情報センター一室で頭を下げた。栃木県那須町での夫婦焼損遺体事件。その後の調べで指示役とみられる佐々木光容疑者(28)が夫婦の長女と内縁関係にある会社役員関根誠端容疑者(32)から「金を受け取り、遺体の処理を頼まれた」と供述したことが捜査関係者への取材でわかったという。

(5月8日)
 夕方から。能登復興ソング「能登の明かり」を作曲してくださった牧すすむさんと長男崇さん、ほかに中日新聞小牧通信局の三宅駿平記者と私の計4人で江南市内の割烹料理店「ぶしん」で食事会。先に誕生した復興ソング「能登の明かり」のこんごについて歌手の選定をどうするかなどについて話し合った。席上、七尾支局の女性スタッフから先日送られてきた北陸中日新聞能登版を手に、みんなで見て能登に1日も早く「日常」が戻ることを全員で願った。

 けさの新聞によれば、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言を終了して日本も新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行してから、きょうで1年。感染対策が緩和され、コロナ前の日常が戻ってきた一方、長引く後遺症に悩む人が今も多くいるという。

 隣家の解体工事がいよいよもって本格化。シロ(オーロラレインボー)は外に出るのをあきらめ、私は私で轟音の雨、あられに耳を責められ、落ち着かない。いつもの執筆活動が思うようには進まない。そして。シロはシロちゃんで音と目で聴き、見る光景から人間たちが行う解体工事が一体何奴か、が分かってきているようだ。
 というわけで、このところはシロを外に出すような野蛮なことはしないでいる。第一、シロ自身、人間たちがしていることが一体どんなことなのか、が分かっているみたいで外には一向に出ようとしない。賢い猫ちゃんである。

(5月7日)
 隣家の解体工事が本格化。買い物から帰宅すると、自宅前路上を大型トラックが阻んで車を置けないので、しばし思案。幸い隣のとなりの西川さんの奥さま(私は妻が生前、大変よくして頂いた彼女のことを、いつも〝アルプスの少女〟と呼ばせて頂いている。なんとなく、そんな気がするからだ)が「いがみさん。うちの前に、しばらく置いたら」と声をかけてくださったので甘えさせて頂いた。
解体工事に携わっていたのは、すべて外人だったことにも驚いた。うち1人に「どこから?」と聞くと「トルコから」とのことで、私自身かつてトルコを旅したことがあるので「イスタンブールは、よい町ですね」と二言三言、はなしが弾んだのである。それにしても、はるか遠くのトルコからだなんて。「よく頑張っているナ」と思った。
    ※    ※  

    ☆    ☆  
 中日ドラゴンズは6日の巨人戦(バンテリンドームナゴヤ)に2-0で快勝。2連勝で勝率を5割とした。今季初勝利を挙げた右腕梅津はヒーローインタビューのお立ち台で、この日が62歳の誕生日であった父・滋さんに向かって【おとうさん。誕生日、おめでとうございます】と叫ぶように語った。私はこの瞬間、梅津選手をいっぺんに好きになってしまったのである。単純といえば、単純かも知れないが。

 東京ドームで6日、プロボクシングの興行が34年ぶりに開かれ、世界主要4団体統一王者の井上尚弥選手(31)=大橋=が登場。元世界王者のルイス・ネリ(メキシコ)を6回1分22秒TKOで下し、4団体の王座を防衛。世界戦は通算22勝目で、歴代1位の井岡一翔(志成)に並んだ。ドジャースの大谷が5日、ロサンゼルスの本拠地で対ブレーブス戦に「2番・指名打者」で出場し一回に2試合連続本塁打となる2ラン、八回にメジャートップに並ぶ10号ソロを共に中越えに放った。1試合2本塁打は今季初、2桁本塁打は4年連続となった。この日の大谷は4打席4安打3打点で、3割6分4厘とした打率でもメジャートップに浮上。チームも5-1で勝ち、4連勝。

 そして。野球の話題といえば、もうひとつ。
「91年前に甲子園球場(兵庫県西宮市)で延長二十五回に及ぶ熱戦を繰り広げた愛知の中京商(現中京大中京)と兵庫の明石中(現明石)。今なお高校野球ファンに語り継がれる伝説の一戦の『再戦』が6日、名古屋市昭和区の中京大中京高校で開かれた。91年後の現役球児たちは、先輩たちが願った再戦への思いを引き継ぎつつ、新たな歴史の一ページをつむいだ。」とは、本日付の中日新聞軟派トップ記事である。
 見出しは【91年前の熱戦〝完全決着〟 甲子園「延長二十五回」中京大中京と明石 二十六回から現役球児が再戦】とわかりやすい。

 結果は。
「二十六回表、明石が適時打で1点を「先制」すると、その後に中京大中京が犠飛で追い付く。表をゼロで抑えた二十七回裏無死満塁、当時と同じ好機に代打で出場した中京大中京の仲健太郎選手(3年)は右翼への適時打を放ち、サヨナラ勝ちを決めた。
 
 ほかに目立つニュースと言えば、だ。
【幻の「茶帯」120万円 中日ビル ビートルズ盤落札】【損壊疑い娘の内縁夫逮捕 栃木夫婦遺体事件主導か】【弾劾裁判「公平性に矛盾」 田口判事罷免 裁判長・船田議員異例の指摘】(7日付中日朝刊)など。
 さらに身近な話題と言えば、だ。尾張版掲載の【着飾って300人 稚児行列練る 江南・永正寺 本堂完成と住職就任祝う】である。こうした地方のニュースは貴重なだけでなく大切である。

2024年5月6日
 戦後の日本演劇界を代表する一人でアングラ演劇の旗手で劇団「状況劇場」を立ち上げ「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞するなど小説家としても知られた劇作家で演出家、俳優の唐十郎(から・じゅうろう、本名大鶴義英)さんが4日、急性硬膜下血腫のため死去。84歳だった。東京都出身。

 ゴールデンウイーク(GW)終盤の5日、各地で観光地や故郷を訪れた人たちのUターンラッシュが始まり、中部地方でも鉄道や高速道路が混雑した。-とは、本日付の中日新聞である。見出しはいつもながらの【お土産 思い出いっぱい Uターン本格化】というもので、わが家もきのうの午後、長男夫妻が川崎市に帰省。愛猫シロちゃんの表情は、どこか寂しそうだ。これも世の習いか。「でも、また会えるから」と、彼女にはよく言って聞かせる。

 お兄ちゃん夫妻のお相手でちょっと疲れてしまったか。ぐっすり寝込んでしまったシロちゃん
 

(5月5日)
 立夏。こどもの日。
【(15歳未満の)子どもの数 43年連続減 1401万人】【桑名の上げ馬神事初日 土壁なくし全馬が完走 氏子「伝統変わっていくもの」】(中日)【<能登地震1.1>千枚田田植えできぬ 地滑り・隆起復旧遠く 業者不足 工事遅れ】(毎日)など。 世の中は祝日であろうがなかろうが。いつだって動いている。
 ほかには、「◇…神職が大声を出して笑う奇祭「酔笑人(えようど)神事が4日夜、名古屋市熱田区の熱田神宮で執り行われ、暗闇の境内に高らかな笑い声が響き渡った◇…起源は686年までさかのぼる。三種の神器の一つで、同神宮のご神体でもある「草薙剣(くさなぎのつるぎ)が朝廷から返還され、当時の神宮関係者が笑って喜びを分かち合ったという故事に由来する。」(中日。通風筒)という記事が目にとまった。ほかに、毎日朝刊では【葵祭ヒロイン お清めの儀式 京都・下鴨神社】といったニュース報道もあり、日本文化の深さと底力を感じさせる。

 そういえば、能登半島・七尾市の大地主(おおとこぬし)神社伝統のニッポンイチ大きい、青柏祭デカ山(国指定重要無形民俗文化財)。ことしは地震の影響でやはり、中止になってしまったようだが。神事だけは、執り行われたとラジオニュースが報じていた。ふつうなら、引き回しに先立つ「人形見」に始まって各町内を回ったニッポンイチ大きいデカ山三台が七尾湾に面した府中波止場(ここには、七尾フィッシャーマンズワーフ=能登食祭市場=がある)に集結するまで。それは、それは絵巻さながらニッポンイチの圧巻、壮観さで、大変な賑わいになったはずだが、ことしは仕方ない。来年を待とう。
 わが家は在任当時、一本杉通りに面した魚町(いおまち)の旧七尾支局後ろに支局長住宅としてあり、三人のわが子は魚町のデカ山を長いロープで御祓川にかかる仙対橋辺りまで多くの地元の人々と一緒に引っ張って育ったのである。あの木遣り音頭の艶のアル声は、今も頭に染みついて離れないのである。私はわたくしで支局長として在任していた七年間、毎年、地元神社に戻ったデカ山の終了の儀に必ず出席。魚町と能登半島の発展を、手を合わせて心から願ったものである。

 帰省していた長男夫妻が川崎にUターン。この三日間お相手をしていた愛猫シロちゃんだが、接待に徹したためか、少し疲れたようで今はぐっすり、と。まるで死んだように寝てござる。人生も、猫生も。生きとし生ける者は皆同じで、こうしたものかも知れない。でも、それで幸せならば。それでよいではないか、と。そんな気がする。なんだか、この私。少し年をとったか。

(5月4日)
 連休で帰省中の長男夫妻らと江南市高屋にある伊神家の菩提寺・永正寺の永代供養集合墓【濃尾の大地】へ。みんなで舞(たつ江)の墓前で、淡墨桜の線香を立て可愛いお花を供えて手をあわせた。せっかくの機会なので私は先ごろ、私の作詞、生前の舞も知るふるさと音楽家牧すすむさん=琴伝流大正琴弦洲会の会主・大師範=作曲による誕生してまもない能登半島応援歌【能登の明かり】を墓前でスマホをかざして流し、舞にも聞かせた。

 舞の墓前では「能登の明かり」を流し、聞いてもらう
 
 

 彼女は、かつて思い出の土地、能登半島の七尾に7年間、家族で過ごしただけに、どんな気持ちでこの歌を聞いたことだろう。懐かしんだに違いない。と同時に能登半島で生きる友人、知人一人ひとりの日常が1日も早く元に戻るよう、願ったに違いない。

 きょうは<みどりの日>だ。
 朝刊で気になった見出しだけを拾うと。【和倉の旅館本格再開 4カ月ぶり温泉設備復旧】【輪島の笑顔ポスターに 地元写真館3代目が企画 朝市通り、支援への感謝込め】【トヨタ 米で水素発電 世界最大級 物流拠点に整備】【波打ち際映える山車 半田「亀崎潮干祭」】【朝日襲撃37年「風化させぬ」 阪神支局で追悼】(4日付中日)【中国急ぐ国産半導体 AI向け製造実態不明 背景にファーウェイか】【「母の日」プレゼント代大幅増 百貨店が意識調査 9696円→1.2万円 物価高慣れ「メリハリ」】【勇壮に人馬疾走 京都・下鴨神社】(4日付毎日)といったところか。

 愛猫シロは、いつもの通り、午前10時ごろ、お外に。彼女は何を思い、何を願って外に出ていくのか。やはり、お空にいるおかあさん、た~ぁちゃん、すなわち、たつ江、舞に会いに行ったに違いない。正午過ぎ、長男夫妻が鮎の塩焼きなどを手に犬山の宿泊先からわが家へ。「犬山はすごいにぎわいだった」とふたり。やはり、この辺りでは犬山が最大の観光地であることは間違いない。犬山といえば、牧さん作曲の「恋の犬山」(歌は都はるみさん)である。さっそくふたりに聴いてもらい「いい歌だろう」と。ヒットしてくれるとよいのだが。

(5月3日)
 憲法記念日。長男夫妻の結婚記念日。そして二男の誕生日でもある。二男が生まれたその時、私は岐阜市内の高島屋屋上で行われていた<ちびっこのど自慢大会>の取材さなかに鳴り出したポケベルに、あわてて北方町内の病院に急行したが既にコロリと、生まれていた。あの日のことが、しっかりと思い浮かぶのである。彼は今、大垣にいるが、元気で居てくれれば、それでよいと。父として、そればかりを願うのである。

 金曜日。昼過ぎ。川崎に住む長男夫妻がわが家へ。
 昼食を共に談笑したあと、私は社交ダンス教師若さん(若原先生)の事前の「ゴンタさん。2日は、どうしても来てほしいの」の求めに応じ、マイカーで一宮市の一宮スポーツ文化センターへ。先日から習い始めた【スロー】を繰り返し学んだのである。帰宅後は近くの料理屋「むさし屋」さんへ。長男夫妻も一緒に家族そろって食事をしたが、やはり、相棒だったたつ江がいないのが、とても寂しい。いや、残念無念なのだ。でも、どんなに吠えようが、だ。あのかわいかった彼女は既に現実社会にはいないのである。最愛の人だっただけに、やはり悲しいものだ。

 そうは言っても、である。長男夫妻も含めての家族そろっての食事は、やはり楽しく、にぎやかでおいしかった。
    ※    ※    ※

「こんばんは。旅から帰ってきたのになぜかバタバタとしています。また時間できたら写メール送ります」とは、かつて旅したピースボートのかけがえなき船友からのメール。まもなくして、すばらしい写真が送られてきた。前にも触れたが彼女は日本海側をマイカーで北上。弘前の桜を見て4月末に無事、帰宅。「素晴らしい花々と出会えた旅でした」という。

(5月2日)
 木曜日。完成して間もない名古屋栄の新中日ビル内、中日ホールへ。長かったコロナ禍時代をはさんでの久しぶりの中日社友会総会に出席。この後の懇親会にも臨んだ。

 岐阜総局(現在は岐阜支社)時代の同僚記者小石ちゃん(当時は岐阜中署回り)に川村君(同岐阜市政)、私と同期入社の佐久間に亀山、丹羽、さらには大先輩の斎藤さんに藤沢さん、司さん、苗村さん、門脇さん、岩瀬さん、大学の後輩で今は中日社友会の坪井会長らとお会い出来、ほかに、まっちゃんらとも談笑し、とても楽しく有意義な1日となった。「行ってよかった」とは、このことを言うのであろう。
 みな元気そうで、やはり中日一家ならでは、の楽しいひとときとなった。なかでも感激したのは、名も知らない現役社員と見られる人物がわざわざ私に近づき、「先輩。記念の写真をお撮りしましょうか」と言ってくれたのには驚くやら感心するやら、ありがたき幸せやら、でどこか意表を突かれたような、そんな温かい気持ちにかられたのである。
 彼が私に近づいてこられたので「じゃあ、お願いします」と甘んじたが、名古屋のテレビ塔をバックにそれは一番気に入ったシチュエーションで撮ってくださった写真は、被写体はちょっと良くはないがこれからも大切に保存しておこう、と思った次第である。

(5月1日)
 夏も近づく八十八夜か。
 天皇陛下がこの日、即位から5年を迎えられた。202年ぶりの退位による天皇の代替わりは、まもなくして新型コロナウイルスの感染拡大に直面。それでも両陛下は、オンラインでの懇談を取り入れられるなどして人々との交流を保ち続けられた。この姿勢は、前天皇陛下同様、お見事といっていい。私は、こうした皇室、今の両陛下が大好きなのである。

 能登半島地震の発生から1日で4カ月。1日付の中日新聞によれば、中部8県(愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀、静岡、富山)に避難しているのは少なくとも429人(4月19~26日時点)に上り、専門家は的確な支援のためにも正確な人数を把握する必要性を指摘している、という。イタリアのトリノで開かれていた主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会議は30日、二酸化炭素(CO₂)排出削減対策が講じられていない石炭火力発電について2030年代前半に段階的に廃止することを盛り込んだ共同声明を採択し閉幕。
 毎日新聞(1日付)も【能登4カ月 苦難なお】【道路・鉄道・復旧急ピッチ】の紙面展開。

 ウエディングドレスなどブライダルデザインの第一人者、桂由美さんが4月26日、死去。94歳だった。桂さんは東京都出身。葬儀は行わず、後日、追悼ショー<しのぶ会>を開く予定だという。
 ほかには、栃木県那須町で夫婦の焼死体が見つかった事件で警視庁と栃木県警の合同捜査本部が死体損壊容疑で実行役の1人と見られる20代の男を逮捕。事件の逮捕者は3人となったが、実行役とみられる今ひとりの男についても指名手配し行方を追っている、とのこと。なんとも奇々怪々極まる事件である。

連載小説「あの箱庭へ捧ぐ」終章

終章 業を卒わる

   1

 毎年決まった時期に、大勢の人が卒業を迎えるのが普通の学校という認識がある。けれどこのうみほたる学園では、個人によって卒業の有無が毎月審査されている。教職員での全体会議の後、理事長が許可すれば卒業という形が決まる。この理事長の審査というのが実に厳しく、教師たちがもうこの生徒の能力は消えていて、社会に出しても大丈夫だろうと判断しても、却下される場合が多い。そのため、学園を巣立つ能力者が頻繁に出るということはない。
 しかし今月は卒業を迎える生徒が一人、中等部にいる。
 足立清二はコーヒーを飲みながら、事務室で彼女の資料をみていた。丸一年ほど在学してようやく卒業が決まった。彼女の能力は透視。最終検査の結果、現在は完全に能力が使えなくなっている。
 その少女の名前は丸川玲奈。以前、洸生会と関わったことがある。その時は足立に出来ることはなかったので他のメンバーに任せたが、その関りが今回の卒業に大きく影響があったらしい。
 洸生会の顧問としても教師としても、嬉しい限りである。
 学園を去る日の数日前には、ささやかなお別れ会が開かれる。彼女と深く関わった教師と生徒が参加する予定だ。今日はその準備で忙しい。
「足立先生。倉庫にあったこっちの飾は使えます?」
 関西出身の先生に後ろから声をかけられたので、足立は振り向いて彼の持っていた段ボールに入った物を確認する。
「はい。大丈夫そうですね」
「せやったら、あれはもう処分しちゃいますね」
「お願いします。念のため全部を確認しておきますので」
「はい。お願いします」
 頭を下げると、彼は段ボール箱を置いてさっさとどこかへ行ってしまった。
 足立はそれを見送ると、もう一度丸川の資料に目を通す。
 母親との確執があったが、洸生会の依頼達成にて解消済み。互いに歩み寄ることが出来るようになった。依頼内容。思い出の小箱の譲渡。依頼者は丸川の母親。使用能力、透視。心をよむ。過去視。使用者、丸川玲奈。小池燐音。川崎竜太郎。
 今後の彼女については、家族に任せるしかないだろう。この卒業は終了地点でもあり、スタート地点でもある。
 足立は彼女の未来に幸多からんことを願っている。

   *

 一通り見終わると、ついでに次の資料を取り出す。
 寺沢椎也。食堂の事務職に就いて二年。二十歳の青年だ。
 彼の能力は他人に幻覚をみせるものである。彼は元々身体が弱く、能力の影響により身体に変化があったため、健康な成人男性となる。そのため彼の能力には要注意。
 米田恵理子からの依頼により、彼が他人に幻覚を売っていることが判明し、早急に対処した。その能力は副作用のように身体に影響を及ぼし、不可解な行動をさせる。
 依頼内容。能力の悪用。幻覚の売人をみつけ、売買の禁止を言い渡す。拒否された場合、理事長に引き渡し。処遇は任せる。依頼者。米田恵理子。使用能力。幻覚をみせる。遠くの音を聞く。心をよむ。過去視。使用者。寺沢椎也。斉藤寧々。小池燐音。川崎竜太郎。
 寺沢の件は、能力を悪用しないと約束したが、彼自身の体調を考慮して特例で能力の保持に務める。
 この件に足立は一切関与していないが、洸生会の顧問として目を通しておく。
 次の資料に目を移す。
 川崎琴乃。川崎竜太郎の実妹。空間に自分の望む世界を創る能力を持っていた。
 彼女の能力は消えているが、特殊な事情があって卒業は見送られた。今は米田恵理子の住むアパートで米田と一緒に暮らしている。
 琴乃は本来なら十一歳なのだが、五年前から能力の維持と、身体への負担を止めるため。それと兄である竜太郎の記憶が戻るのを待つため身体の時間を止められていたので、実際には心身共に六歳のままだ。学園外で暮らすのは、当分無理だろう。
 ところで彼女たちの両親だが、今は田舎で農家をやっているらしい。五年前の火事の後、彼らもひどい火傷を負い重症だった。一命をとりとめたが目を覚まさず、植物状態になっていた。そのため親戚の家に行くことになった竜太郎と琴乃は、能力が発覚したことによりうみほたる学園ヘ入学することになったのだ。
 そして両親は、火事から一年後に目を覚ました。学園での竜太郎と琴乃の事情を知った両親は、最初こそ反対していたが他にどうすることもできないと、息子と娘に会わないことを決め田舎で新たな生活を始めた。
 今回、竜太郎の記憶が戻ったと連絡をしたら電話越しに泣いて喜んでいた。琴乃のことも一緒に伝えたが、やはり五年という月日は長く、幼いままの姿だとわかっているので複雑な心境だと語っていた。
 二人に会うことは可能だと伝えたが、いつになるかはわからないが心の準備が必要なためすぐには会いに行けないと言われた。
 足立は仕方のないことだと思った。時間の流れというものはときに残酷だ。
 洸生会にとって琴乃の件は正式な依頼ではないが、一応記載されている依頼内容は、以下の通り。
 依頼内容。川崎琴乃の救出。学園本部の地下で眠っている琴乃を救う。依頼者、米田恵理子。使用能力。箱の中に世界を創る。対象の時を止める。心をよむ。使用者。川崎琴乃。黒川大志。小池燐音。
 足立はふと思う。
 小池燐音の名前をよく目にするなと。
 洸生会の資料を過去に遡る。ここには、依頼のあった生徒や職員の名前しか書いていないため、彼女の名前の記載されている資料を探すのは容易かった。
 足立はとある資料に目を止めた。
 小池燐音に関する依頼だった。彼女はまだ六月に入学したばかりである。資料に彼女の名前が記載されるようになる最初の資料らしかった。それも足立が顧問になる前だ。
 小池燐音。他人の心がよめる能力を持つ。能力が暴走することもあるため、監視すること。
 依頼内容。能力の消滅。学園からの卒業。
 それ以上の情報は何も書かれていなかった。
 依頼者は理事長および彼女の両親らしく、洸生会の正式な依頼と書かれていた。
 この学園の入学者は、卒業を目標とするが、こういう依頼という形にされているのは例外だった。両親がよっぽど、能力を嫌っているのだろう。洸生会の依頼として受理されてしまっていたらしい。これを書いたのは理事長だ。手描きでサインまで入っている。
 足立は「ふうむ」と呟き、思わず眉間にしわを寄せる。 
 これまで、洸生会は生徒たちの手助けを目的とした組織だと足立は認識していた。あくまでその最終目的地に卒業があり、能力の消滅があると。
 ここまではっきりとその文字が書かれていることなど今までみていた資料には一度もなかった。
「そこに本人の意思はなく、か。本人が望んで手に入れたものなのにな」
 足立はそう独り言を呟き、机にすべての資料を置いた。それから立ち上がると、部屋の扉の近くまで歩いた。
 扉を開けると、夏の生温い風が出迎えてくれた。冷房のかかった部屋から蒸し暑い廊下へ出たからだ。
 まだまだ暑いなと思いながら、足立は明日から来る九月の事を考えていた。

   2

 食堂を貸し切った丸川玲奈のお別れ会は、十人ほどの少人数で行われていた。というのも、彼女の交友関係、お世話になった先生方が両手の指で数えるのに足りたからだ。
 出席者は理事長。担任の先生。彼女と同室だった女生徒や他に友人が数人。洸生会で彼女に関わった川崎竜太郎と小池燐音。それからこのお別れ会を取り仕切った足立清二を含める先生が数人。あとは、食堂の外から興味本位で覗きに来ている野次馬ぐらいだった。
「本日はお集まりいただき、誠にありがとうございます」
 そんな堅苦しい挨拶から始まった会は、足立が進行役を務めていた。
「玲奈がここに来たのは一年ほど前だったか。よく頑張ったと思う」
 理事長の挨拶が入り、お別れ会は緊張が走る。彼がその重厚な声で話始めると、まるでお別れ会ではなく、本物の卒業式のようになった。
 その光景をみていた燐音は、自分のお腹のあたりが痛くなるのを感じた。自分の番がいつかくるのだろうかと想像して、身体を強張らせた。
「能力は、本人がそう願ったこと。願望を元に生まれる。私はそれを守るために、この学園を創った。能力は精神的な成長と共に消えるというのが、私の結論でな。そもそも能力がどのようにして発症するのか。色々と言われてはいるが、私はこう考えている。能力は別に病気ではない。世間的にはそうなっているが、私の考えとは違う。能力とは才能である。元々その人間がもっていた素質なんだ。だから玲奈は偉いと思う。その素質を自分でみつけて、自分の物にした。ちゃんと成長してこの学園から卒業という形になった」
 理事長の言葉をきいていて、燐音は少しだけ心の負担が軽くなるのを感じた。
 足立から理事長に卒業証書のような紙が渡される。そして理事長から丸川へまた手渡される。
「卒業おめでとう」
 丸川は慣れない手つきで、言葉と共にその卒業証書を受け取った。
「ありがとうございます」
 丸川はお別れ会の間。一度も泣かなかった。
 燐音は偉いなと思いながら、その細やかな会を見守った。

   *

 その後は丸川から短めの挨拶があって、それからジュースで乾杯をした。
 燐音は隣の席に座っていた川崎とグラスを鳴らし、一口飲んだ。リンゴの仄かな味が口の中に広がる。
 目の前に出してあったお菓子を食べたり、写真を撮りに来た先生に向かって作り笑顔を向けたりした。写真は苦手だったが、一緒にいた川崎が自分の隣で、右手の指を二本立ててピースをする姿が何だかおかしくて、苦手意識など風船のように飛んでいった。
 記憶を取り戻してからの川崎は、表情が少し柔らかくなった気がしたが相変わらず笑うのは得意ではない様子だった。
 丸川に挨拶をしたかったが、彼女は遠く離れた席にいるので無理だなと思っていたら、しばらくして川崎が行こうと言うので、彼女のところまで歩いた。
「丸川さん。卒業おめでとうございます」
「おめでとうございます」
 川崎と一緒にそう挨拶をすると、丸川は「ありがとうございます」と笑顔を向けてくれた。
「私、二人には感謝しているの。改めてお礼を言わせて。本当にありがとう。あなたたちが母の願いをきいてくれていなかったら、きっと和解なんてできなかった」
 丸川がそう言って、川崎と燐音に向かって頭を下げてきた。
 川崎が首を横に振る。
「いいえ。丸川さんが頑張ったからですよ。いい関係が続くと良いですね」
「ありがとう。あなたたちのことも応援しているわ。さっき理事長も言っていたけれど、能力は私の一部だから。使えなくなってもここにあるって、わかるの。あなたたちも早く取り戻せるといいわね」
 丸川はそう言いながら、自分の胸の辺りに右手を置いた。彼女の言っている言葉の意味が、燐音にはまだよくわからなかった。だから川崎の一歩後ろで、燐音は呆けた顔をしていた。
 燐音の能力は、他人が何を考えているのかわからないことが不安で、生まれたものだ。でも普通の人は他人の心がわからない。当たり前のことだ。
 それを受け入れると言うこと? だとしても、今の燐音にはそれが出来ない。
 自分は無力だと自覚している。父親と母親の期待に答えられない。普通には生きられない。それが申し訳なくて、けれどどうしようもなくて。哀しくて、淋しくて、苦しい。
 だから家族仲が悪かった丸川がこうして関係を修復していることを、羨ましいと燐音は思う。息苦しくなって、その場を離れたくなった。
 燐音はお礼を言うと、そっと丸川の側から離れた。川崎はまだ何か彼女と話したそうだったので、彼からも離れて元の席に行く。
 途中、足立と目が合った気がして気のせいということにしたかったのだが、そういうわけにはいかなかった。
「どうした」
 心配そうに顔を覗き込まれて、燐音は「どうもしてないです」と返事をした。
「最近気づいたんだが、小池は顔に出るタイプだ。体調が悪いのか」
「大丈夫です」
「無理はするなよ」
「はい」
 一瞬だけ間を空けて、燐音は頷いて返事をした。
 みんなが優しいことはわかっている。みんなが気づかってくれていることはわかっている。ただその優しさが、燐音を追い詰めていることを誰も知らない。

   3

 お別れ会が終わり、竜太郎が小池と共にプレハブ小屋へ行くと、部屋には気まずい空気が流れていた。それというのも、現在部屋には二人いて、その関係が接着剤でくっつけられた割れたマグカップのようだったからだ。今はこうして無理矢理くっつけて接点を作っているが、両者ともあの出来事以来、会うことさえ避けていたのだ。
 あの出来事。というのは、交際していた本間宗太と斉藤寧々が破局を迎えた日のことだ。
 竜太郎は、あれで良かったのかと常々思っていた。しかしどうしようもなかった。他に手がなかった。
 宗太の視た斉藤の未来で、誰かが血を流すことになる。それがいつどこで起こる出来事なのかはわからない。けれど竜太郎と宗太はそれを回避するために、現在を変えた。
 竜太郎は宗太に協力する形で斉藤の過去を知り、最善の方法で二人を別れさせた。彼女が一番傷つかない方法をとったつもりだった。
 斉藤の宗太への信頼を裏切るという方法を。
 しかし、本当にこれで良かったのか。答えは出ないままだ。
 扉を開けると宗太と斉藤は一つのソファに座ってはいるものの、互いに目を合わせず、それぞれ別の方向を向いていた。
「あ。終わったの」
 部屋に入ると、斉藤がソファから立ち上がり、真っ先に小池のほうへ歩いていった。本当に仲良くなったなと、竜太郎は思う。二人は女子寮で同室らしく、それも当然の事かもしれない。
 竜太郎は、宗太が座っているソファと対面した向かいのソファに座り、宗太に問いかける。
「何か話した?」
「何も」
「そうか」
 会話はそれで終わった。
 斉藤と小池が、お別れ会で貰って来たお菓子を机に並べている。
 竜太郎は立ち上がりお茶を淹れに行く。湯沸かしポットにお湯が入っているか確認してから、急須に茶葉を入れてお湯を注ぐ。
 人数分の湯呑は斉藤が持ってきてくれた。
「そういえばさ。さっきお前の妹に会ったんだけど」
 竜太郎が丸い木製のお盆の上に置かれている湯呑に緑茶を注いでいる最中に、斉藤が唐突にそう言った。
「え。そうなのか」
 思わず目を丸くする。
「そうだよ。米田先生と一緒にいた。あたしお前に妹がいるなんて初めて知ったんだけど。びっくりした。あんなに可愛い妹がいたんだ。何で言ってくれなかったの」
「それは、色々と事情があって」
「事情って何」
「言えない」
 斉藤の疑問に、竜太郎は答えられなかった。
 あの出来事を語るには、五年前の話から始めなければならない。それには時間がかかる。まだ竜太郎の中でも、整理しきれていない部分があった。
「またあたしは、のけ者にされるんだね」
「え?」
 斉藤の表情に、暗い影が落ちた気がした。
「いつもそう。あたしはなんにも知らない。あたしにだけなんにも教えてくれない。竜太郎が記憶喪失だったことも知らなかった。友人なのに」
「それは」
 どんな言葉を返せばいいのか。竜太郎にはわからなかった。
 確かに、この場にいる中で斉藤だけは竜太郎の事情を何も知らなかった。
 米田は一体、斉藤にどこまで話したのだろうか。
「友人だからって、何でも話せるわけじゃない」
 宗太が言う。それは宗太と斉藤のこの部屋に来て初めての会話だったのだろう。
「親友でも?」
 と斉藤が宗太のほうをみて質問した。
「秘密は誰でも持っているものだし」
 宗太は斉藤と目を合わせようとしない。
「恋人でも?」
 斉藤の問いに、宗太は答えない。
 部屋に沈黙が流れた。それは流れ星のように綺麗なものではない。暗雲のようだ。
 竜太郎は淹れた緑茶を、一つずつ静かに中央のテーブルの上に置く。四つ置き終えると、竜太郎はお盆をポットの横に戻した。
 その間、誰も口を開かなかった。
「とりあえず、せっかく淹れたからお茶を飲んでほしい」
 竜太郎はそう言いながら、ソファに座り直した。

   4

 燐音は部屋の空気に、息が詰まりそうだった。
 寧々が何に対して怒っているのか、燐音は知っている。一方で、本間が罪悪感を抱えていることも知っている。川崎も本間よりの感情で、どちらかというと迷いを感じていることも燐音は知っていた。
 燐音はソファに座り、川崎が淹れてくれた緑茶をゆっくりと口に含む。
 これで二人も落ち着いてくれたらと、燐音は思う。
「何か事情があるんだろうなってことは、わかる。でも、言ってくれなきゃわからない。教えてくれなきゃ何もわからないんだ。あたしは馬鹿だから、いろんな事に気づかない。気づけないことが悔しい」
 向かい側のソファに座った寧々が、緑茶を一口飲んでから言葉を紡いだ。じっと湯呑に入った緑茶をみつめている。
「あたしの妹の時もそうだったんだ。あたしは妹が苦しんでいることに、なんにも気づかないでなんにも知らないで、好き勝手にやっていた。あたしはいつもそうなんだ。後悔したって遅いのに。手を伸ばした時にはもう、間に合わないかもしれないのに。誰もあたしを頼ってくれない。いや、あたしが人に頼られようだなんてむしの良すぎる話なのかもしれない。けれど、苦しんでいたなら頼ってほしかったな」
 そう言って、寧々はとても淋しそうな顔をした。
 色々な感情が、燐音の中に入ってきた。その結果、糸が絡まり合ったように複雑になってしまった。燐音はそれをどうにかしてほどけないかと考えた。
 自分にそれができるだろうか。そんなふうに思った。
「あの」
 と口から思わず言葉が出た。
 隣に座っている川崎と、向かいのソファに座っている本間と寧々の視線が一斉に燐音に集まった。
 燐音は自分が来る前の三人の関係など知らないし、ましてや何があってこうなったのかもまったくわからない。事情を知らない自分が口を出していいものじゃないと理解はしていたけれど、どうしても我慢できなかった。
 胸の奥のもやもやを晴らしてしまいたかった。だから勇気を出して言った。
「もっと、ちゃんと。お互いに話し合ったほうがいいと思います。そうしたら、ちゃんと理解し合えると思います」
 これは燐音の、ただのエゴだ。それはわかっている。
 この人はこう思っているのに。あの人はこう思っているのに。どうしてそれが伝わらないんだろう。もどかしい。そんな考えは全部、燐音の身勝手な我儘だ。
 他人の心なんて、知るものじゃない。
「嫌だって言ったら?」
 本間の視線が、針のように尖っていた。
 燐音は今まで、彼と目を合わせることが出来なかった。人見知りのせいだけではなく、彼に苦手意識があったためだ。けれど今この瞬間だけは、誠意をみせなければ伝わらないと燐音は思った。だから頑張って本間の目をみて言う。
「私があなたたちの思っていることを、ここですべてお話します」
 嘘偽りなく、すべて。
 本当はそんなことをするべきではないのかもしれないけれど。と燐音は思う。けれど、誰にも後悔はしてほしくなかった。偽善だと、おせっかいだと罵られても構わないと思った。このままでいいはずがないという感情だけが先行していた。
 そんな燐音の思いが通じたのか、本間が目を閉じて深く息を吐いた。
「わかったよ。俺もそろそろ話してもいいのかもしれないと思っていたし」
 彼は目を開けるとそう言った。
「宗太。だがあの件は、回避出来たのか」
 川崎が顔をしかめて言った。
「そうだね。まずはそこから話さないと。少々ややこしいんだ」
 宗太が困ったように眉をひそめていた。彼の隣に座っていた寧々が、彼のほうをみつめている。
 やっと話す気になったかと思っている様子だったが、寧々は口に出して言わなかった。
「寧々と小池は知らないだろうけれど、実は俺。未来を視ることが出来るんだ」
 本間は真剣な表情でそう言った。嘘はひとつもついていない様子だった。
 寧々と燐音は目を丸くして驚いていた。
 そういえば、本間の能力については今まで一度もきいていなかった。なるほど、だから彼は洸生会に所属しているのだ。能力者の中でも有効な利用価値のありそうな能力を持っている。その事実に気づいて、燐音はすべてが腑に落ちた。
 洸生会に入るべくして、入った人物だと思った。

   5

 寧々の未来を視たときに出てきた高い塀。学園の周りを囲う一面の壁。それを見上げる彼女は、まるでそこから出たがっているかのように宗太には思えた。
 だからあの日。寧々が脱走を試みた日。たまたま彼女をみかけた時。どこか既視感を覚えた。
 宗太は未来視の内容を寧々と小池の二人に軽く説明すると、竜太郎のほうをみて言った。
「竜太郎。結論から言うと俺たちの計画は失敗した。あれのおかげで、寧々が学園を脱走しようとしたことを考えれば、俺たちのした行動の結果が未来視に現れたんだ。だから未来を変えることはできなかったんだと思う」
「そうか。でも、なんでそれがわかったんだ」
 竜太郎が胸の前で腕を組みながら言う。
「思い返してみると、未来視で高い壁をみたのは、寧々がそれをみていたから。つまり脱走を考えていた。あのまま俺と寧々が交際を続けていれば、そんなことを考えるとは思えない」
「断定しないでくれる」
 宗太の推測に、寧々が不服そうに声を荒げる。
「なら、何でお前は脱走しようとしたんだ」
 宗太はそう尋ねながら、今日初めて寧々の顔をしっかりとみた。 
「それは、前から計画を立てていた事よ。あたしはここを出て妹に会いたいだけなのよ。毎回そう。あんたと別れたことが原因とか、そんなことは絶対にない。もしもあの日まだ付き合っていたとしても。あたしはあんたと一緒に脱走しようと思っているでしょうしね」
 彼女は怒ったような顔をして言った。
「俺がお前について行かないって言ったら、どうするつもりだった」
 宗太の一言に、寧々が顔をしかめる。
「どうして、そんなことを言うの」
「その可能性もあるって、言いたいだけだよ。俺はお前と違って、帰る場所がないんだよ。前に言っただろう。俺がこの学園に来る前のこと」
「子役タレントだった話?」
「そう。仕事で得た収入をすべて親に使い込まれていたっていうな。だから家に戻るつもりはないし、そういう未来を視た。俺はこの学園に、逃げてきたようなものだから」
 寧々は何も言えなくなってしまった様子だった。
 宗太は自分の境遇を可哀想だとか思ったことはないし、憐れんでほしくないと思っていた。けれどそんなこと伝わらないのだろうなとも思う。
 どういう未来を歩んでいたとしても、ぶつかる問題だったと思う。
「話を戻してもいいか」と宗太は続ける。
 もう一つ重要なことを話すのを忘れていた。
「一番問題なのは、誰かの血だった。でも、あの日。小池が学園に来て、寧々が脱走しようとした日。俺のとった行動が、また未来視と同じ結果を生みだした。寧々。俺はお前に謝らなくてはいけないことがある」
「何?」
 寧々が首をかしげる。
「寧々が脱走しようとしていることを、足立に伝えたのは俺だ」
 寧々の事を真っすぐにみながら、宗太は言った。
 あの日。宗太が足立に寧々が脱走しようとしていることを告げ口しなければ、寧々が足立の能力で怪我をすることはなかっただろうと思う。
 宗太は少し離れた場所で、その光景をみていたのだ。
 未来を変えようとした行動のすべてが、そのまま現在になった。その時に気づいた。そして宗太は落胆したのだ。結局、やはり何をしても未来視の結果を変えることが出来ない。
 竜太郎が現在を変えることは出来ると言った。宗太もそれを信じた。
 でも結果は変わらなかった。
 それどころか、大切な人を二度も傷つけることになってしまった。
「お前が怪我をした原因は俺だ。ごめん」
 宗太は寧々に向かって頭を下げた。
「斉藤。お前と宗太が別れるきっかけをつくったのは僕だ。すまなかったな」
 そう言って竜太郎も寧々に向かって頭を下げたようだった。
「二人とも、頭を上げてほしい」
 と寧々が言うので、宗太と竜太郎はほとんど同時に頭を上げて彼女をみた。
「あんたたちがしたことは、許せない。けれどあたしが一番怒っているのはそれを今まで黙っていたことよ。それは理解している?」
 寧々の言葉に、宗太は頷いた。
「だったらいいわ。でも今度からは、ちゃんと相談して。勝手に人で実験しないで。苦しかったら苦しいって言って、助けになるから。あたしの能力はその声を聴くための能力なんだから」
「ごめん。ありがとう」
 宗太は寧々に精一杯の謝罪と、お礼を言った。
 よっぽど泣きそうな顔をしていたのか、寧々が小池と竜太郎がいるにもかかわらず両腕を伸ばしてきた。
 宗太はその腕に包まれる。
「あの、恥ずかしいんだけど」
「我慢して。これは今まであたしにひどいことをした罰なんだと思って」
「それを言われると、何も言えないな」
 宗太は小池と竜太郎の視線を感じながら、その罰を甘んじて受け入れることにした。

   6

 宗太と斉藤を二人きりにしてやろうと思って、竜太郎は小屋を出た。小池も後からついてきた。
 九月に入ったというのに、外はまだ蒸し暑さがあった。残暑というよりは、まだ夏の暑さが現役のように思えた。
 竜太郎はまだ靴を履いている途中の小池のほうをみていた。足を入れる場所が狭いのか、履くのに苦労している様子だった。彼女は入口の前にある段差を椅子のようにして座り込んでいた。
 その様子をみながら、竜太郎は考えていた。
 お別れ会の時に、一緒にいた小池が先にその場を離れたけれど、その後も少しだけ竜太郎は丸川と話をした。
「川崎くん。ちょっと雰囲気が変わった?」
 丸川にそう指摘されて、竜太郎は驚いた。
「気のせいじゃないですか」
 とそのときは返したが、記憶が戻ったことにより自分でも気づかないうちに何か以前と違う人間になっているのかも知れないと感じて不安になった。
 いつも通り過ごしているつもりだったのだが。
「二人が仲直りして良かった」
 両足の靴を履き終わったのか、小池が竜太郎の隣まで来ていた。
「ああ」と竜太郎は頷く。
 余計なことをしてしまったと、反省をしなければならない。
 今後どうなるのかはわからないが、もう二人の関係については何も言わないでおこうと心に決めた。
「ごめんなさい」
 小池が唐突に言う。
 心をよまれたのかもしれないと思い、尋ねてみる。
「どうして謝るんだ」
「川崎くんは怒られただけだったから」
「気にしないでいい。僕は友人が困っているのを助けたかっただけだ。それがどんな結末になったとしても、後悔はしていない」
 竜太郎は言いながら、改めて自分の記憶を辿る。
 彼女と初めて会った日の事を、今ははっきりと思い出していた。

   *

 小学生の頃の記憶だ。あの日、竜太郎は学校の授業をさぼっていた。初めての事ではない。何度目かの欠席だった。一回目は体調が悪くて普通に保健室で休ませてもらった。それで何故かとても気が楽になったから、今度は誰にもみつからない場所を探して、二回三回とさぼった。それがあの無人の音楽準備室だった。
 何が嫌だったとか、そういうものは何もなかったと思う。いや、自覚がなかっただけなのかもしれない。
 学生生活が嫌だったわけではない。多くはないが友人もそれなりにいたし、放課後のサッカークラブだって一番に集合するくらいには楽しんでいた。
 ――ただ疲れてしまったのだと思う。
 絵に描いたような学生生活が、竜太郎にとって負担になっていたのだと思う。無意識に無理をして笑っていたのだと思う。
 音楽準備室で授業をさぼっている間は、そんな必要はなかった。憩いの場所だった。
 だからあのとき、そこに突然現れた女子生徒の姿に驚き、そして怯えた。竜太郎がこうして授業をさぼっていることを先生に教えるのではないかと。
 だが彼女は予想を裏切り、竜太郎の目の前で膝を抱えて座るだけだった。
 そこで気づいたのだ。彼女もまた自分と同じなのだと。
 ひとつ違う点があるとするならば、彼女はさぼり慣れていない様子だった。何故なら、彼女もまた竜太郎の姿に驚き、うろたえていたからだ。
 それが小池燐音だ。何の縁があってか、今竜太郎の目の前にいる少女が彼女だ。
 小池はあの日以来、準備室に来ることはなかったが、その後偶然にも全校生徒が参加するレクリエーションで同じ班になり再会した。
 竜太郎は、小池があの時の子だとすぐに気づいた。向うもそうだと思う。しかし互いに話をすることはなかった。イベントで必要な会話をすることはあったが、それ以外ではまったく言葉を交わすことはなく、友人関係になることもなかった。ただ班が同じだった顔見知り。それだけだった。
 一年はあっという間に過ぎ、竜太郎が不登校になったために接点はなくなってしまった。そしてあの火事があり、竜太郎は記憶をなくしてしまったのだ。
 小池とこうして学園で再会したのは、まったくの偶然だった。彼女のことを覚えていなかったことに関しては、申し訳なく思う。小池のほうが竜太郎の事を覚えていてくれたことは、記憶を思い出した今、とても嬉しく思っている。

   *

「あれでよかったのかな」
 と呟くように、小池が言う。
 小池は昔から変わらない。人に気を使ってばかりだ。だからこそ心をよむ能力なんてものを手に入れてしまったのだろう。
 能力は人の願いによって生まれる。彼女が何を願っていたのかなんて、尋ねなくてもわかってしまう。
「小池は正しいよ」
 と竜太郎は肯定する。
「小池がどう思っているかは僕にはわからないけれど、少なくとも僕は小池の事を正しいと思う。君は純粋に他人の幸せのために動ける人だ。それはとても尊いことだと思う」
「そんなことは、ないと思う。今回も自分が役に立てたのかもわからないし」
 小池が、自信のなさそうな声で否定する。
「いいや。小池は役に立っていたよ。君は君が思っているよりずっと凄い。その事実を受け入れてもらわないと僕は困ってしまう」
「どうして?」
 不安そうな表情で、小池が竜太郎に問う。
「僕が苦しんでいるときに、いつも傍に居てくれるのが小池燐音だからだ。僕はそれで何度も救われた。本当はずっとお礼を言いたかったんだ。ありがとう。今も昔も、君には感謝している」
 小池が口を開けて呆気にとられた表情でこちらをみている。それから急いで顔を両手で隠した。
「そんなこと。言ってもらえる資格なんてないのに」
「あるよ。充分ある。僕と小池はとても似ている。今はまだ難しいのかもしれないけれど、ゆっくりでいいんだ。確実に進んでいるから。君のペースで歩んでいけばいいんだよ。僕もそうする」
 竜太郎は言いながら思う。
 いつか彼女も自分も、能力を失う日が来るのだろう。けれど、それがいつになるのかはわからない。不安もあるが、希望もある。だから亀のようにゆっくりでいい。自分たちはまだ若くて、時間なんて山ほどある。現在が辛く哀しいものでも、遠い未来のその先は何が起こっているのかなんてわからない。
 だからその日が来るまで、目の前で泣いている他人の心がよめる彼女と、一緒にゆっくりと歩んでいこう。

(完)

能登の復興を願う歌「能登の明かり」を世界の皆さまに

ウエブ文学同人誌「熱砂」主宰の伊神権太作詞、熱砂の詩人牧すすむ作曲による「能登の明かり」。「令和六年能登半島地震」の復興を願い制作されたこの曲を、世界の皆さまにも聞いて、歌っていただきたくて。お届けします。歌手は倉知崇(たかし)さん。
 復興への願いを込めて。皆さまもぜひ歌ってみてくださいね。
 能登に1日も早く日常が戻ってきますように。


「能登の明かり」作詞 伊神権太/作曲 牧すすむ

 歌詞

(1)能登の海山 空に散り
   涙を集めた 禄剛崎よ
   凍え千切れた この町だけど
   きっと咲くだろう 雪割草よ
   雪割草は 幸せの花
   明日は輝く 朝が来る

(2)愛する人を 呼ぶ声も
   無情な風に 消えるけど
   キリコ いしるに 輪島の塗よ
   忘れはしないさ ふるさと能登は
   瞳閉じれば まぶたに浮かぶ
   御陣乗太鼓の みだれ打ち

(3)昨日も今日も いつの日も
   あなたの笑顔が ここにある
   海女の磯笛 かもめの唄よ
   和倉 朝市 一本杉が
   強く生きてと ささやきかける
   能登はやさしや どこまでも