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2017/11/20

「熱砂」同人の平子純が回想録の第3弾「翻弄 ある名古屋の宿の物語 第三章かげり編」に続き、第4弾「第四章翻弄編」と第5弾「第五章死と別れ編」を公開


 喜び。悲しみ。苦しみ。社会、経済、世界情勢から世相、家族の歩みまで。全てをのみこんで大切な人たちを抱きしめながら生き抜いてきた名古屋の、あるお宿亭主の壮絶かつ貴重な歴史の回顧録証言集をぜひ、お読み下さい。そこからは〈時代の風〉に翻弄され、全身傷だらけ、仁王立ちになって生きてきた壮絶な人生劇場、男や女たちの苦闘の足跡が浮かび上がってきます。 =「熱砂」主宰・伊神権太記

2017/11/17

平子純が回想録の第3弾「翻弄 ある名古屋の宿の物語 第三章かげり編」を公開


 ウエブ文学同人誌「熱砂」の同人、平子純さんが先に公開済みである回想録・第二章成長編に続いて公開。いよいよ第三章かげり編の始まりで〈バブル〉〈外タレ〉〈北方領土〉〈裸文化〉〈里美の死〉……と作品世界ではノンフィクノベルならでは、涙、涙の人生劇場が繰り広げられます。引き続き、第四章翻弄、第五章死と別れ、と続きます。名古屋の旅館事情はじめ、その時々の【名古屋の顔】が生き映しとなった、ドラマチックな展開です。どうか、みなさま。ぜひ、ご愛読ください。
※病と闘う平子純さんは、〈家族の限りなき愛〉に支えられ、脳梗塞に伴う言語障害、不自由な足というハンディをはねのけての創作活動です【「熱砂」主宰、伊神権太記】

2017/11/02

23回テーマエッセイ=テーマは〈梅雨〉=の合評会での感想


 10月22日、名古屋市内で開かれた「熱砂」例会の席でテーマエッセイ〈梅雨〉についての合評会を行いましたので、感想をここにまとめてお知らせします。24回テーマエッセイとあわせ改めて読んでいただけましたら嬉しく思います。
【各作品】「雨の中のふたり〈私雨〉」では、小雨で傘を差さないイギリス人の話が印象的でした。国が違うとこうも異なるのかと皆さん、感心されていました。「おかあさん」では、母との強い絆を感じましたとの声がありました。「梅雨の頃の思い出」は、紫陽花の素敵なお話です。文章がとても素晴らしく、見習わなければという声がありました。
 「未来」も『あざみが咲いていた。』という書き出しが素晴らしく、多くの女性が経験しているであろう、人生の切り替えが書いてある。自分たちとは違う世界が書けるとの声がありました。「スコール」の失恋は長雨のようで、人生が輝くのは一瞬。との声が。個人的には恋愛はスコールのよう。と感じました。「田んぼ」と「貯水槽とおたまじゃくし」は同じ作風で、郷愁を感じる素朴さがにじみ出る内容。見ているところが同じ、との声がありました。
【総括】今回はとても刺激的な作品が多かったように思えます。一つの作品に対するそれぞれの見方の違いが面白いと感じました。次回の合評会も期待しています。(黒宮涼「熱砂」編集委員・記)

2017/11/02

「熱砂」の24回目テーマエッセイ=テーマは〈海〉=、全作を公開


 次のとおり公開しました。作者1人ひとりの個性がにじみ出た作品を、ぜひ読んでください。
「海に抱かれて」/伊神権太、「サンタモニカ」/牧すすむ、「日本海」/真伏善人、「スコール 2」/山の杜伊吹、「浜辺の結婚式」/黒宮涼、「汐音と鬼太夫(掌編時代小説ふう)/平子純、「語り継がれる〈琵琶湖周航の唄〉/眞鍋京子

2017/09/06

22回テーマエッセイ=テーマは〈まわる〉=の合評会寸評 黒宮涼(「熱砂」編集委員)記


 先日の例会でテーマエッセイ〈まわる〉につき合評会を行いましたので、結果をここにまとめて公表します。23回のテーマエッセイ=テーマは〈梅雨〉=と合わせ、22回分もあらためて読んでいただけましたら、幸いです。
【各作品につき】
・「女子高生の焼身自殺」(伊神) 顔を覚えてもらうこと。先輩の教えを守って努力する新聞社時代の姿が目に浮かぶようでした。その教えが今も生きているところが大変良かったです。・「残像」(山の杜) 懐かしい先生との思わぬ再会。亡くなられていたという情報を最後に持ってくるのは巧みだと思いました。・「回る回る 回転ずし」(眞鍋) 寿司屋の方のご厚意、スタッフの気遣いに感動しました。自分が初めて回転ずしを食べたときのことを思い出し、そして同時に祖母のことを思い出しました。認知症の祖母に私がお皿をとってあげた思い出があります・「駐在さん」(牧)私には「おまわりさん」が身近にいない存在だったので新鮮な気持ちで読みました。そういう人も多いと思う。特に若い人。私の中でのおまわりさんの歌と言えば「犬のおまわりさん」です。・「まわる」(平子)私には少し難しいですが。「生」に関する二人の違いが感じ取れた。男のほうは家族がいるためまだ死ねない。女の人は男の人と一緒に死にたい。どうにかなるさと思えるならまだ生きていける。そういうことなのかなと思いました。・「まわしまわる一日」(真伏)人は色々な「まわる」を日々、体感しているのだなと。素直に面白かったです。
【総括】
 合評会は出席できなかった山の杜伊吹さんからの感想コメントを伊神さんが読み上げスタート。特に話が盛り上がったのが「回る回る 回転ずし」でした。なんと、あの回転ずしのレーンを開発した方と平子さんがお知り合いだったという、貴重なお話が聞けました。そして回転ずしのスタッフの皆さまの気遣いには、誰もが感激。それだけ厳しい世界なのだとの声も聞かれました。
 「駐在さん」では、おまわりさんと警察官の名前にそれぞれ印象が違うという話に。警察というと少し怖いイメージがありますが、実際は優しいですよという作者の牧さん。そんな牧さんと伊神さんは「おばあちゃんをどこまでも大切にしたいという心が伝わってきたよ」と、私の「いつまでもまわる」に共感してくださったそうです。「まわる」は平子節。平子ワールドに引き込まれたなど。独特の世界に皆さん感心していました。「まわしまわる一日」は面白かったという感想が多かったです。「女子高生の焼身自殺」は駆け出し記者のフレッシュな気持ちが伝わってきました。駆け出し記者が努力している姿が目に浮かぶようでした。「残像」は、とても山の杜さんらしい作品だったと伊神さん。

 初めてだけに手探りの合評会でしたが、なかなか実のあるものになったのではないでしょうか。私自身、すごく刺激を受けました。これを糧に、皆さんこれからも面白い作品を書いてくださることを期待しています。「『全体に熱砂ならでは、のあったかい作品が多かった』。ただ、書く以上はやはり今の世の中に巣食う悪をピリリ、と指摘する作品もほしかった」(伊神さん)の声も、ありました。   =以上。編集委員、黒宮涼