詩小説「FLQX」(2)

振り返るな
いつもの通り急がずに
右肩下がり前かがみ
次の角はすぐそこだ
曲がってひたひた数十歩
民家の空地の貸駐車場

出払った後の一台が
ダークグレイの1200cc
車検は残り二か月だ
前後左右に異変なし
ドアを開けてエンジン起動
ハンドルを右に切って細い道
もう一度右に切ると幹線道路

混み合う道をひたすら前へ
数分ほどで横切る国道
右折また右折で古いカフェ
失業してから見つけたビストロ風

レジの後ろのカウンター
誰もいないカウンター
コーヒーをすすり文庫本
これが唯一満ち足りる時
しかし
今日は目が文字を追おうとしない
あの
アルファベットに数字だけ
手のひらサイズのリングノート

落としたにしては不自然だ
捨てたにしてもあれはおかしい
まさか
見てもらいたくて置いたのか
だとしたら
高木は顎を上げて目を瞑る

ううむ
コーヒーカップに手を伸ばす
何かの意図があるのなら
誰がなぜあの場所なのか
道路は車が一台通れるだけの一方通行

その人物は
歩いてなのか自転車なのか
それとも
いつも車で通る慣れた者か
そして
男なのか女なのか…
(続く)

15年10月22日

短編小説「わたし」

振り返るな
いつもの通り急がずに
右肩下がり前かがみ
次の角はすぐそこだ
曲がってひたひた数十歩
民家の空地の貸駐車場

出払った後の一台が
ダークグレイの1200cc
車検は残り二か月だ
前後左右に異変なし
ドアを開けてエンジン起動
ハンドルを右に切って細い道
もう一度右に切ると幹線道路

混み合う道をひたすら前へ
数分ほどで横切る国道
右折また右折で古いカフェ
失業してから見つけたビストロ風

レジの後ろのカウンター
誰もいないカウンター
コーヒーをすすり文庫本
これが唯一満ち足りる時
しかし
今日は目が文字を追おうとしない
あの
アルファベットに数字だけ
手のひらサイズのリングノート

落としたにしては不自然だ
捨てたにしてもあれはおかしい
まさか
見てもらいたくて置いたのか
だとしたら
高木は顎を上げて目を瞑る

ううむ
コーヒーカップに手を伸ばす
何かの意図があるのなら
誰がなぜあの場所なのか
道路は車が一台通れるだけの一方通行

その人物は
歩いてなのか自転車なのか
それとも
いつも車で通る慣れた者か
そして
男なのか女なのか…
(続く)

08/4/26