【生きてゆく人間花たち/2013年9月の唄】

平成二十五年九月二十五日
 あすから、しばらく姿を消す。自分自身に納得いく文章を書くためだ。どこへ行くか、は読者の想像にお任せしたい。ペラペラ喋ると、その分うすっぺらな表現に変わってしまい私自身の文がどこかに逃げていってしまう、そんな気がするからだ。

 いったん作家が消えて現れ出たStory。これをどう料理するか―は、いろいろ考えた末、本欄での連載もあわせ、今少し書き進んだ段階で決めたい。それでは、皆さん。しばらくの間、さようなら。お元気で。
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【きょうの一文・ことば】嬉しやと二度(ふたたび)さめてひと眠り うき世の夢は暁のそら=25日付中日夕刊小説〈水軍遥かなり〉から。家康の辞世の歌

【新聞テレビから】
☆『〈式年遷宮〉荘厳 新旧社殿並ぶ』、『タイ・パタヤ 旅行客目当て治安悪化 路上生活子ども数百人 警察の一部 マフィアと癒着のうわさ』、『浜岡再稼働申請へ』『4号機年度内に』『中電追加耐震化を発表』、『中学時代のいじめ認定 一宮の訴訟 担任の責任も 地裁支部判決』、『安城放火 懲役4年6月 地裁岡崎支部判決「常習性は顕著」』(25日付、中日夕刊)
☆『イラン大統領 「核開発は平和目的」 国連演説 協議再開に意欲』(25日付、毎日夕刊)
☆『お伊勢参り900万人突破 遷宮人気、早くも年間最多』、『地下鉄どこでも携帯通信可能に 名古屋で3社』、『取り残された記憶 伊勢湾台風児童1700人の作文 南区の白水小 個人情報の壁 保存法悩む』『首にカーテン苦しむ父 当時小3の松屋さん「災害今も怖い」』(25日付、中日朝刊)

九月二十四日
 伊勢神宮の内宮できょう、建て替えた新社殿を拭き清める「洗清(あらいきよめ)の儀」が営まれ、クライマックスのご神体を移すご遷御祭(内宮が10月2日、外宮は5日)が、いよいよ目の前に近づいた。

 岐阜市で真夏日が続くなど残暑が残るなか、名古屋駅近く銀杏並木で知られる桜通りでは銀杏が黄色く色づくなど、このところ、この地方の街中は日に日に秋らしくなってきている。

 毎日新聞朝刊によれば、東日本大震災の津波に襲われた宮城県石巻市南浜町の荻原哲郎さん(75歳)の自宅跡できのう、バイオリンなどが奏でられ、行方不明になった妻友子さん(当時73歳)ら犠牲者の霊を慰める追悼演奏会があった。神戸の音楽グループが荻原さんの悲嘆を知って、雑草が茂る被災地で実現したという。
 長女や孫らと聴き入る荻原さんが「おっかあ、おっかあ。返事をしてけろ」と涙を流すなか、友子さんが好きだった【ふるさと】など鎮魂の調べが被災地を伝って静かに流れた。

 妻の定期受診に付き添って江南厚生病院へ。
 帰り際に、いきなり傍らで「コンニチハ」の声がするので振り向くと、そこには、ちょくちょく昼食に出向く喫茶〈蛍〉の中国人若夫婦が立っているではないか。主人の腕には最近、産まれたばかりの〝米(み)しゃん〟ちゃんが抱かれており「(日中双方とも)互いに仲良くしたいものですね。〝ミシャンちゃん〟が大きくなって友好の橋渡しになってくれるといいですね」と話し合い、笑顔で別れた。
 夫妻は私の本まで宣伝してくれ、いつも私にとても親切にしてくれるばかりか、互いに冗談を言い合う仲でもあるだけに、思ってもいなかったハプニングが嬉しかった。

【きょうの一文・ことば】(カンヌで好評を得たのは)「欧米では養子が珍しくないので、血縁か育ての親かという選択を自分に置き換えてみてくれたからではないか」=24日付中日夕刊『実の子か、育ての子か きょうから先行上映〈そして父になる〉是枝裕和監督、日々の思いを物語に 息子の「取り違え」判明し… 主演・福山雅治の目線優しく』の記事中で、是枝監督の発言

【新聞テレビから】
☆『〈式年遷宮〉神の新居 ピカピカ 内宮で「洗清』、『中国が対北禁輸リスト 異例の公表 核兵器関連物資など』、『政調費問題 小出愛知県議が辞職願 架空支出さらに3件』(24日付、中日夕刊)
☆『半沢直樹 最終回41・8%』『名古屋地区視聴率「(家政婦の)ミタ」超え』、『クリントン氏=前米国務長官=「大統領選出馬検討」 米誌インタビュー』『酒井雄哉さん死去 大阿闍梨「千日回峰行』2回 87歳』(24日付、毎日夕刊)
☆『独総選挙 メルケル与党大勝 首相3選へ』『「大連立」目指す』、『注意書きの多い地図 岩石記す 宮沢賢治直筆と推定』、『競泳北島選手が結婚』、『〈世界レスリング総括〉メダル女子4、男子0 新ルール適応で明確』(24日付、中日朝刊)
☆『被災者支援法 対象外自治体が批判意見 「切り捨て」住民切実 放射線健康不安抱え 「秘密体質」に不信感』(24日付、毎日朝刊)

九月二十三日
 秋分の日。ことし生誕百年を迎えた童話作家、新美南吉ゆかりの「二百万本の彼岸花」が愛知県半田市と阿久比町の境を流れる矢勝川で見ごろを迎えている。一帯を赤く染めるヒガンバナたち。
 そして。「秋彼岸 お墓参りに行きましたか?」と、お墓・墓石(累代墓、夫婦墓、個人墓、永代供養墓など)の紹介を兼ね、朝刊1面下の5段広告で呼びかけているのが、きのう旅から帰った妻が手に持ち帰った22日付南信州、信州日報の両紙である。
 同じ22日付の信毎を開いてみる。あった。
 29面の生活情報面。1ページをあて東信、北信、中信、南信別に亡くなった方々を紹介するお悔やみコーナーだ。【中信 松本市 大日方ちづ子さん(おびなた・ちづこ)21日、93歳。自宅は中央1の16の8。葬儀は24日午後1時、宮渕の松本法祥苑。喪主は…】といった具合だ。
 私自身、かつて新聞人として能登や大津など各地方で〝お悔やみコーナー〟の大切さを力説し任地が変わるつど、このコーナーの充実に力を込めた。一人の人生、すなわち〝人間花たち〟の死は、計り知れないほど重いからだ。秋分の日にすっかり忘れていた〝お悔やみコーナー〟を思い出させるとは。まさか、そこまで頭に旅先から新聞を私に持ち帰ったのだろうか。
 ただ信毎さんには、ひと言でいい。コーナーに「お酒が大好きで、とても優しい夫でした」など。生前の人となりを近親者らに語らせてほしい。私たちは実際、現役時代に紙面化していたが結構取材は大変。時には殺しやサンズイ(汚職)よりも苦労する。でも、遺族にとって永遠の絆になる。記者としての使命も果たせる。

 悲しい過去ばかりを書いた。小牧にいたころ。社会福祉ひと筋の道を歩んだ故Kさんを思い出す。Kさんは、お彼岸になるとは決まって「うちの女房がこしらえたので。よかったら食べて」とぼたもちを通信局まで持ってきてくださった。これまた妻の「ねえ。Kさんのこと。覚えている」の言葉に「あぁ~、そういうこともあったな」と私。彼岸は懐かしい顔とともにやってくる。
 というわけで、ふたりでお墓参りに出かけた。道すがら彼女曰く。「私がいなくなったら、海に散骨してよね」と。ヨシッ、わかった。と私。

【きょうの一文・ことば】『〈なんだい/取り上げたゼニの この使いぶり/いったい ぼくらのゼニを/なんとおもっているのだ〉』=23日付中日朝刊中日春秋から、1978年に亡くなった雑誌「暮しの手帳」編集長だった花森安治さんの言葉

【新聞テレビから】
☆『消費税10%は再度判断 首相、8%後の経済注視』、『JR北海道 レール異常放置97カ所 全域に拡大、本線でも』、『中国 薄被告に無期懲役 重慶市元トップ 政治腐敗に厳罰』、『母親の乗用車にひかれ4歳死亡 松阪の駐車場』、『〈通風筒〉◇…徳川家康が生まれた愛知県岡崎市と、家康にゆかりの深い浜松、静岡市の商工会議所が初めて共催した「家康公検定」が二十二日、三市で実施された。六歳から九十歳までの千二百二十六人が受験し、四択形式の百問に挑んだ。』(23日付、中日朝刊)
☆『原巨人連覇 竜あすにもCS消滅』『若竜よ この悔しさ忘れるな』『大敗(DeNA8―1中日)に守道監督激怒 「一番腹の立つゲームや」』(23日付、中日スポーツ)

九月二十二日
 手元に珍しく信濃毎日、南信州、信州日報の三紙がある。

 いっとき〝飯田線の女〟になっていて帰宅した妻が「ホラっ、」と買ってきてくれた。駆け出しが北アルプスを管内に持つ松本支局だっただけに、信濃の国とはいえ、南信はあまり知らない。とはいえサツ回りのころ、ライバル紙の記者と張り合った土地だけに、信毎を手に感慨深い。

 母が話したい、というので出向くと「作ったから」と昼食を食べさせられた。おふくろの味に「うまいよ」とおだてると、「おまえ、どこへ行くんだ。これが最後の食事になるかしれんよ。まあ、いつ死んでもいい。楽に死にたいな」と脅され、帰宅したあとに妻が新聞を手に帰ってきた。
        ×        ×
 
 新聞各紙の報道によれば、シリア内戦では、反体制派の武装組織間で主導権争いが激化、ここにきて国際テロ組織アルカイダ系集団が勢力を拡大、北部の要衝を制圧し、それまで支配していた「自由シリア軍」を排除した、という。
 かと思ったら、パキスタンでは反政府武装勢力タリバンのナンバー2を釈放、タリバンとの和平交渉を望むアフガニスタン政府の求めに応じた措置だという。またイラクの首都バクダッドでは自動車爆弾が爆発する爆破テロが起き、五十人が死亡し多数の負傷者が出ている。
 ケニアの首都ナイロビ中心部にある高級商業施設。ここでも「アッシャバーブ」を名乗る武装グループが侵入し警官隊との間で激しい銃撃戦となり五十九人が死亡。二百人近くがケガをしたという。これらは、ここ二、三日の間に各地で発生した事件で世界は相も変わらず混とんとしている。
 私はこうした不幸が発生するたびに思う。「一体全体、何が真実で正しいのか」と。

 こうなること自体が見えざる神の手によるもの、と思わざるを得ない。あ~ぁ―。分からない。犠牲に遭った無垢の市民たち。これさえもが運命のひと言で片づけられて良いのか。

【きょうの一文・ことば】「君の為なら死んでもいいと言ふ人のついに現れず卒寿迎ふる」=9月22日付信濃毎日新聞朝刊【〈元気100歳時代〉悲しみ短歌と書道があったから乗り超えられた 心詠む奥深さ筆動かす】の記事中、松本市蟻ケ崎、召田(めすだ)あつしさん(96歳)の短歌。ついでながら召田さんの〈健康長寿3カ条〉は一、ユーモアを忘れない 一、人の話をよく聞く 一、好きなことを続ける

【新聞テレビから】
☆『原発汚染水危機打開へ 〈漁業者の思い代弁 いわき市漁協組合長 矢吹正一さん〉 英知・総力集めて 共産党が緊急提言 東電は破たん処理・国が全責任を』、『〈ブラック企業 連続追及〉ワタミの介護 条例違反事故隠し 労基署サービス残業是正勧告』(しんぶん赤旗日曜版 9月22日号)
☆『16歳高梨GP連覇 ジャンプ女子、最終戦残し』、『福島の原発作業員 「東京五輪ありき」懸念 「無理な工程組まれるのでは」』、『TPP(環太平洋連携協定) 日米、医薬品共同提案へ 新薬特許権、新興国に配慮』、『JR函館線で貨物脱線 レール幅異常 1年弱放置 国交省特別監査』、『兄と弟 見分けつく? オカザえもんに代役 市「顔が違う」■ファン「…」』
☆『脱線事故 レール幅拡大1年放置 JR北海道 他に8カ所』『レール幅拡大 JR北、放置理由未聴取 「現場がバタバタ」』『専門家「考えられぬ」』、『国連総会あすから首脳級会合 シリアが焦点 イラン(ロウハニ)大統領の対話外交に注目』、『成田空港免税店員 玉木宏さんの伝票投稿 撮影しツィッターに』(22日付、毎日朝刊)

九月二十一日
 名古屋のガーデンパレスであった【竹中忍小説集「春愁」「青銅鏡」を語る会・『北斗』創刊六百号記念会】に会費六千円也で出席したが盛況で、料理もひと品ずつシンプルに食べやすく出されて、おいしかった。

 この日は先に出版された「北斗」主宰でもある竹中さんの小説集を主題に、その作品世界について文芸評論家の清水信、勝又浩の両氏が語る小講演会を皮切りに始まった。続いて三田村博史中部ペンクラブ会長(「文芸中部」代表)らによるスピーチも。このあとこの地方の文壇仲間も加わっての交流会へと移り、ピアノ演奏、スピーチ、詩の朗読(宇宙詩人のみずしなさえこさんが清水信さんの詩「いらない」を朗読)、同人・石川晴子さんによる仕舞「芭蕉」披露、竹中夫妻への花束贈呈と続いた。

 私自身はといえば、久しぶりに清水信さん(93歳)の元気なお姿に接することが出来、うれしかった。また日々たゆまぬ同人誌活動でこの地方の文学を支える、多くの方々にもお会いでき、出てよかったと思っている。

 このうち語る会で勝又さんは、竹中さんの作品世界につき気になる〈〝を〟表現〉を指摘。「〈〝を〟表現〉が多いのは、竹中さんがあまりに早くから小説を読み過ぎた早熟性からきているのでは。また竹中小説は最後の5、6行で私小説でなくなってしまっている。全体に新聞の社説を読んでいるみたいで、彼は詰まるところ、社会派なのだ―とつくづく感じました」の弁。
 楽しいスピーチが繰り広げられたが中部圏を代表し、かつリードし続ける同人誌「北斗」の存在の大きさと偉大な継続力、そして同人の情熱を指摘する声が相次いだ。
 最後は竹中さんが「清水先生からは〝の〟、勝又さんからも〝を〟が多い、と指摘されました。先輩たちの足跡を汚さないよう、また新たな一歩を踏みしめたい」と謝辞を述べ、同人を代表し駒瀬銑吾さんが「650号の記念の集いもここで、また開きましょう。皆さん、ありがとう」と呼びかけ終えた。
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【きょうの一文・ことば】(竹中作品について)〈愛〉〈恋〉の表現がやたら多いのは。どうかな……。/○○文学みたいに分厚い同人誌もあるが大体皆さん読みなんかしない、のでは。この点「北斗」は薄いので手ごろで読みやすく、読もうという気になる。我々見習わなければ、ネ。/同人との連絡、さらには編集を続けられている棚橋鏡代さんのご努力は大変なものだ。棚橋さんのおかげです。=「北斗」創刊600号記念会で。三田村博史さん

【新聞テレビから】
☆『〈文化〉賢治の詩を英訳 ロジャー・パルバースさん(作家・演出家)困難と向き合う力に』、『TPP交渉 四カ国関税全廃提示 豪など日本の「聖域」けん制』、『離散家族再会を延期 北朝鮮、韓国与党に反発』、『警察施設にロケット弾 トルコ首都』(21日付、中日夕刊)
☆『〈eye〉浅草六区新しい風 再開発進む街とレビュー劇団「虎姫一座」』、『シリア化学兵器 日本、査察要員派遣へ 国連、各国に要請』(21日付、毎日夕刊)
☆『パパをかえして 事故で別れ名古屋の小4・柚祐ちゃん』『当時5歳「同じ思いをする人増えないで」 きょうから秋の交通安全運動』『〈柚祐ちゃん作文〉ぱぱのちを、てにためました/やくそくしたので、なきません』、『学力テスト 平均以上の校長名公表 静岡知事、五十音順で86人』、『愛知県警倉木容疑者 佐藤被告が頻繁接待 14年前 別の警官仲介』『情報漏えい 捜査本格化の最中に』(21日付、中日朝刊)
☆『5兆円経済対策 復興費剰余金も活用 企業減税1・2兆円規模』(21日付、毎日朝刊)

九月二十日
 けさの朝刊(中日)。富士登山をする中秋の名月の写真は圧巻だった。写真説明は〈富士山の背後に浮かび上がる中秋の名月〉とあったが、出来たら、この先どのように月が〝富士登山〟をしていったのか。ドキュメント仕込み、オムニバスの連続写真を見てみたかった。でも、これは難しいかも。月が登山とは、面白い。

 先の台風18号。京都や福井、滋賀などに多大な被害を与えたが、琵琶湖が溢れたといった報道だけは耳にせず、ホッとしていた。が、溢れはしなかったが無傷というわけにはいかなかった。琵琶湖とて、人の子同然。あの凄い雨で増水していた。というのは、けさの朝刊に【びわ湖レガッタ増水のため中止】という小さな告知記事があり、これで被害こそ最小限にとどまったとはいえ、母なる湖も実は大変な危機にあったことを知った。
 記事は「大津市の琵琶湖漕艇場で21、22日に予定されていた第五十九回中日旗争奪びわ湖レガッタ大会は、台風18号による増水で参加者の安全確保、競技運営の見通しが立たないため中止します。滋賀県ボート協会」というものだった。
 大津支局時代に、同僚とともに伝統のこのレガッタに関係したスタッフの一人として、大会の中止だけですんだことに胸をなでおろしている。

 夜。メ~テレの報道ステーションで『▽黒澤明死して15年…直筆ノートに記されたおごる現代人への警告』を見た。原発事故や富士山の大爆発を現実問題としてとらえた〈赤い富士〉など、その先見の目の確かさには、あらためて敬愛の念を抱いた。いま福島第1原発事故では、黒澤映画の警告と寸分たがわない地獄絵図が繰り広げられている。次に富士山が爆発するかもしれない。黒澤監督が今も生きて、守ってくれているような錯覚にとらわれた。

【きょうの一文・ことば】
 敢えて、抗う。
 ≪―緑雨の前に、緑雨なし。緑雨の後に、緑雨なし―≫。

 はなはだ無謀ではあるが、≪―緑雨の後に、我れあり―≫
と、天地天命に誓って宣言する。
       =北斗創刊第600號記念號、〈緑雨の後に我れあり 尾関忠雄〉より

【新聞テレビから】
☆『〈ナビゲーション〉富士山この夏の異変』(20日夜、NHK総合)
☆『きょうから動物愛護週間 優良飼養者を表彰〈25日〉』(20日付、尾北ホームニュース)
☆『吉田V14 レスリング 世界選手権・五輪 伊調は11度目』『「私が勝たなきゃ」五輪競技に存続 先導役の責任感』、『いわき 震度5強』、『キーン氏記念館=日本文学研究者で、日本国籍を取得した米コロンビア大名誉教授ドナルド・キーンさん(91)の業績を紹介する「ドナルド・キーン・センター柏崎、新潟県柏崎市=完成』、『〈写真グラフ〉全日本学生フォーミュラ大会 若い頭脳と技術を搭載』、『台風で不明 母子遺体か 津・芸濃のダム湖で発見』、『新型iPhone秋の陣 ドコモ参戦 店頭に行列』(20日付、中日夕刊)
☆『「日米同盟は平和の礎 次期大使指名 ケネディ氏=キャロライン・ケネディ氏。55歳。父親は故ケネディ米大統領=所信 上院委公聴会』、『愛知県警警部=倉木勝典容疑者、捜査1課=を逮捕 捜査情報漏えい容疑 警官脅迫事件被告に』、『福島第1原発 首相5、6号機廃炉要請 東電社長「年内に判断」』、『基準地価 三大都市圏の商業地上昇 0・6% 名古屋圏は住宅地も』(20日付、中日朝刊)

九月十九日
 名月や兒たち竝ぶ堂の縁   芭蕉
 月の友三人を追ふ一人かな  虚子

 わが家のベランダから撮影した中秋の名月
 

 みごとな十五夜お月さん、それも満月と重なった(次の中秋の満月は八年後の2021年9月21日)。
 というわけで、月見だんごと〝跳(はね)うさぎ〟なるチョコット変わった和菓子を、近くのスーパーとコンビニで買って母のもとへ。ところが、不在だったので食卓の上に「母上へ きょうはお月見ですので持ってきました。食べてください」とだけ書いたメモを残して帰宅した。
 お姉さん(兄嫁)に電話で聞くと「お母さん、確か。きょう、あすはお出かけのはず」とのこと。母は母で気の合ったお友だちと結構、楽しいお月見に行っていると思い、ホッとして帰宅した。夜になり、二階ベランダから仰ぎ見るお月さんは、ことのほか美しかった。
        ×        ×
(朝)
 カーテン越しに朝の光りが射してゐる。私は思う。いつも私たちはその光りのなかに居る。生かされているのだ、と。光りは、さわやかな秋のかぜたちまでも含んでおり、心なしか弾んだ色にも見える。白の射光のなかに、目には見えない彩色がみてとれるのだ。こうした光りの粒たちが幾千万、幾億兆…いや、無限の明るさでいつだって、この世の私たちを照らしてくれている。

 きょうは、詩のようなものを書いてみた。
【漂流者たち】
 ♪ハンドルを手に車窓を見やると、あっちからも、こっちからも年寄りたちが歩いてくる/私もそのなかの一人、普通の年老いた男/歩いている男たちを見ると、なんだか表面上は皆、取り繕ってみえる/でも、実のところは誰もがこの非情な海のなかにぶち込まれて、することがなく右往左往している/なぜか、そう見えてくる/でも、みなそれなりに忙しそうな風体を装っている
 ♪これは男に限っての話/女性の場合は、誰もが自然体に見え自転車を漕ぐ姿も堂々としたものだ。……
 ♪あちらにも、こちらにも帽子をかぶった漂流者たちがいる/サングラスに白いズックの男が通り過ぎて行く。帽子をかぶった男が歩いている/目的も何ひとつ無いのに、だ。一体、どこへ行くのだ。なぜ帽子なのか。それも分からない

 漂流者たちは、このまま六十代、七十代、八十代と日々、天然濾過され蒸留、浄化のすえ枯れ果てて九十代へと突入していく。母の齢(九十三歳)になってしまえば、もう無添加物も同然、怖いものなしの、また新しくて初々しい人生が始まるのかもしれない
        ×        ×

 このところは愛読書の文學界、そしてこの地方の文芸誌「北斗」を肌身離さないでいる。どちらも私にとっては、教本的存在だからだ。その「北斗」創刊六百号記念会(兼ねる竹中忍=「北斗」主宰=小説集「春愁」「青銅鏡」を語る会)が二十一日に迫った。
 
 相変わらず社交ダンスのレッスンには欠かさず出ている。きょうもジルバ、タンゴ、ルンバ、ワルツと学んだが、ステップを踏めば踏むほど奥が深くなっていく一方である。おかげで、ナチュラルターン、リバースターンなるものが、どんなものかが今になって少し分かるようになった。
 きょうはレッスンのあとに、この道十年近いベテラン受講生、タカちゃんとフルちゃん=いずれも女性=に先生から愛知県インターナショナルダンス教師協会認定のブロンズ像の資格証明書が拍手のなか贈られ、二人とも、とても嬉しそうだった。
 継続は力なり、の為せる技で私自身、結構な刺激となったのである。タカちゃん! そしてフルちゃん! 心からおめでとう。

(夜)名月の下。「邯鄲(かんたん)が〝フィヨロ〟〝フィヨロ〟、〝ル、ル、ル〟〝ルッ…〟と鳴いているわよ」と家人。わが家の周りの草むらで鳴いているのは、何も蟋蟀(こおろぎ)だけではなかった。
 ♪袖囲ひして邯鄲を聴きゐたり  山田みづえ
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【きょうの一文・ことば】「もっ、もう一度やってくれ」。悲痛な叫びが、警察署の裏口に響いた。容疑者の連行シーンに記者たちがカメラのシャッターを切った。震える声の主はフィルムが空回り。二十五年も前の無情。=19日付中日夕刊〈夕歩道〉から

【新聞テレビから】
☆『〈クローズアップ現代〉再発・転移を防ぐカギ 発見! がん幹細胞』(19日夜、NHK総合)
☆『登坂V 世界レスリング 20歳初の女王』『「東京」見据え 速攻で昨年の雪辱』『〈世界レスリング「金」登坂〉泣き虫笑って女王 昨年「銀」に涙 両親に成長見せた』、『加藤コミッショナー辞意 プロ野球 統一球問題で批判』、『米量的緩和縮小見送り FRB(米連邦準備制度理事会)景気の先行き懸念』、『日航のB777機タイヤから煙 新千歳空港』、『東京ゲームショウ開幕 家庭向け新型機充実 プレステ4、XboxOneお披露目』(19日付、中日夕刊)
☆『リニア路線案 名駅新ビル地下に駅舎 新幹線 乗り換え最短3分』『東・名を40分 都市圏変容』、『岩瀬382S 日本選手最多 大魔神・佐々木の記録抜く』、『豊橋技科大 国立大初 海外キャンパス マレーシアに12月開設 現地企業で学生訓練』、『比南部占拠の武装集団 資源めぐり和平反発 事件10日目なお多数人質』、『〈ニュースメーカー〉オーストラリア新首相 トニー・アボット氏 親日派「怒れる修道士」』(19日付、中日朝刊)

九月十八日
 嬉しいニュースがある。
 中日ドラゴンズの岩瀬仁紀投手が今夜、ナゴヤドームであった巨人戦で今季36セーブ目を挙げ、通算382セーブと日本人最多記録をつくった。たいしたものだ。中日は3―2で巨人に勝ち、高橋聡が2勝目をあげた。巨人の沢村投手は4勝10敗。岩瀬投手にはファンクラブ事務局に在任していたころ、ファンクラブ会員による月間MVP表彰式の際などにお会いしたことがあるが、それは謙虚で前向き、誠実な人柄だったと記憶している。
 382セーブに至るまでに、山あり川あり…で、どれほどの苦闘があったことか。それは、おそらく本人とご家族にしか分かるまい。敢えて言えば、あの元監督落合博満、そして高木守道現監督が陰の労苦を少しは知っているかも知れない。いずれにせよ、おめでとう、イ・ワ・セ!
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 トヨタ中興の祖・豊田英二さんが亡くなって、クルマに関して思い出すことが多い。
 それは、これまで私が運転してきた歴代のクルマである。一番懐かしいのが、かつてトヨタのヒット作・初代カローラ(排気量1100cc)の向こうを張っていたライバル社・日産のサニー(1000cc)である。このサニーには語り尽くせないほどの思い出がある。

 わが家は厳格だった今は亡き父が国家公務員。それも税務署の査察官、〝マルサの男〟だったのでお金なぞ、とんと縁がないものとばかり思い込んでいたのだが…。ある日突然に、何を思ってか新車のサニーを買ってしまったのである(今となれば、私が大学に入学すると同時に免許を取ったからかもしれない。父から私への無言の親ばかプレゼントだったような気もする)。
 貯金をはたいたのか。それとも、日経新聞を手元から離さず経済にとても詳しかった父のことだ。いつも、研究に余念がなかった株でもうけた蓄えの中からか、それとも私の母が得意としていた裁縫でたんまり稼いだお金が人知れず、わが家にあったのか。
 どこでどうなったのか、は知らない。

 でも、理由はともあれ、私の大学入学と同時に父はいち早く家族の足として新車サニーを購入。当時免許をとりたてだった私は気が向けば、名古屋の大学まで、その新車で通学したものだ。事情を知らない人々は、わがキャンパスを〝おぼっちゃん大学〟と呼び、その年には東京オリンピックも開催される―など高度成長時代のど真ん中のころの話だ。
 確かに日本中が大きなうねり、上昇気流の勢いの中にあるのを、こどもながらに肌でひしひしと感じていたものだ。
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 その後、私は就職後最初のうちは駆け出しとなった松本支局に置かれていた125ccの取材用オートバイに乗っていたが、やがて出たホンダの新車N360を購入。次の任地・伊勢志摩に着任すると、今度は父と学生時代への思い入れが強かった新しいタイプのサニーを新車で買ったのである。
 あのころは、車のフロント横のアンテナに新聞社の旗をなびかせ、さっそうと志摩半島から鳥羽、伊勢一円、さらには遠くは南島町まで走り回った。40年前の遷宮取材のころの話だ。

 私は、その後も2度、3度とクルマを買い替え、地方記者時代は掛け替えのない【取材の足】としてつかったものだ(後年、役職についてからはタクシー利用が主流となり、クルマは休み以外にはほとんど乗らなくなった)。
 ついつい懐古調になってしまった。要するに、クルマにはその時々、その人その人のドラマが染みついている。このことを言いたかった。
 私自身、松本から上高地までオートバイで往復した取材に始まり、上高地からの帰り道に急こう配のカーブで購入したばかりのホンダN300がカーブミラーと激突。急死に一生を得たこと(この時は遊びに来た妹を乗せており、一瞬ヒヤリとした)、水害取材の応援で阿児から伊勢に向かう途中、どんどん水没していくサニーを間一髪の判断で高台に置き、腰まで水に浸かって支局に辿り着いたこと……
 さらには何台もの暴走族風の車に追い回されたり、取材現場に急ぐあまり速度オーバーで止められ切符を切られたり、果ては能登半島地震発生の際には雪深い道を半島突端の珠洲まで恐る恐る何時間もかけ急行、そのまま10日間ほど現地取材班のキャップを務めたこと…等など。
 思い出は尽きない。
 なんだか、クルマの話が取材の話に変わってしまった。

 どうしても最後は取材の話になってしまう。夢と同じだ。毎晩の如く何かを追いかけている私が、そこにはいるのである。これは地方記者を巣立ったものの宿命かもしれない。
        ◇        ◇

【きょうの一文・ことば】私を子ども扱いするのなら/地球、お前を産んでみせよう。=18日付中日夕刊『詩をお届けポエドル 最年少「中也賞」文月さん オーディションに挑戦』の記事中、文月悠光(ふづきゆみ、22歳。早稲田大学教育学部4年)さんの第二詩集「屋根よりも深々と」(思潮社)から引用=

【新聞テレビから】
☆『〈クローズアップ現代〉拡大するブラック企業 社員使い捨ての闇』(18日夜、NHK総合)
☆『リニアルート公表 JR東海来年度着工へ前進 名古屋―中津川市千旦林―飯田市上郷飯沼―甲府―相模原―品川 名駅 地下30㍍』『沿線まちづくり本格化』、『ブラジル大統領 抗議の訪米延期 「通信傍受、説明ない」』、『シリア問題打開へ協議 国連総会開幕 総長、協力よびかけ』、『あきたこまち30周年 壇蜜さん=同県横手市出身=で売り込め』、『上原(米大リーグ、レッドソックス投手)止まった 連続の打者アウト「37」無失点試合「27」』『今季初黒星「悔しい」』『マー君に米から熱視線 エンゼルス関心現地紙が報じる』(18日付、中日夕刊)
☆『〈特集ワイド〉震災が俳句を変えた―黒田杏子さんに聞く 季語の力 ――さくらさくらさくらさくら万の死者=岩手県大船渡市で暮らす男性、桃心地さんの俳句』
☆【風の電話】『もう会えぬ人と心の〝通話〟 岩手・大槌 風の電話、訪れる震災遺族ら』『62年ぶり年間無配 中電値上げ正式表明 家庭向け、4月めど』、『防災情報を5段階に 特別警報は「レベル4」 気象庁』、『本塁打写真偽り別の打席を配信 共同通信』、『徳洲会を強制捜査 公選法違反容疑 徳田陣営に職員、報酬 東京地検 春日井にも総合病院』、『座礁客船起こす 伊で昨年事故 19時間かけ成功』(18日付、中日朝刊)

九月十七日
 ♪秋空に 未来永劫と 書いてみし(伊神舞子)

 空には台風一過の〝秋〟が広がり、昨日までのあの台風がウソのようだ。台風が去り、一気に秋がやってきた。テレビ画面に映し出される水害被災地の人々。苦渋を胸に、水の引いた泥土のなかで黙々と後片付けに追われる姿はなんとも痛々しい。

 昼間、江南市内のドコモ営業所に出向いた。
 最近少年少女の間で流行している〝LINE〟とは何ぞやを、若いスタッフに教えて頂いた。あれこれと聞いたが、要するに緑の【LINEのアプリ】を登録さえすれば、いつでも自由にメールと電話がどちらも無料で出来るというサービスだ、と納得した。登録したら、ドッとLINEのお友達が出てきたのには驚いた。私のスマートフォンに記録されている電話番号の持ち主のなかで、こんなにも大勢がLINEアプリを利用しているのだと知り、正直、信じられない。
 ついでにツィッターなるものについても、その仕組みを詳しく聞いておこう―と思ったが時間の関係できょうのところは控えた。

 私は今春、知人から勧められたこともありフェイスブックにも〝伊神権太〟で登録し、ちょくちょく自らの主張とか著作の内容などを発信してきた。しかし、やはり性に合わないというか、照れくささも手伝って、このところは思い出したように私宛に直接届いた親しい友だちからのメールをチェックする程度で自ら発信することは、あまりない。
 ウエブ文学同人誌「熱砂」の本欄【生きてゆく人間花たち】の連載が先決なので、どうしても時間的に余裕がなくなってしまうことも確かにある。その癖、この年になってもツィッターとか、最近利用者が急浮上しているLINEなるものが一体どんなものか、を知りたい俗な興味にもかられる。というわけで、きょうはドコモさんで若いスタッフにあれやこれやと疑問点を聴くうち、あっというまに時が流れ去ったのである。
 でも、やはり私は昔のポケットベルが一番性にあっている。あの哀愁漂うポケベルには、どれほど助けられたことか。
      
【きょうの一文・ことば】夫がこんなアドバイスをくれました。意見を主張したいとき、思いを伝えたいときには、大きな声ではっきりと「I think」あるいは「I believe」と、とりあえず先に言ってしまう。言いたいことはそのあとで考えて、適当に添えればいい。………毎日、ありとあらゆる場所で、「私はこう思う」「私はこうしたい」「私はこれが欲しい」「私は」「私は」と、アイを連呼しています。=17日付中日夕刊文化欄小手鞠るいより梯久美子さんへ『〈往復書簡〉世界の中心で「アイ」を叫ぶ】から

【新聞テレビから】
☆『台風猛威の痕 〈滋賀〉決壊した堤防復旧進む 不明の母子捜索続く〈津〉 切れたしめ縄また新しく 〈伊勢・夫婦岩〉』、『津波園児死亡 賠償命令 送迎バス「予測可能」、1億7700万円 仙台地裁判決』、『豊田英二氏死去 トヨタ「工販合併」実現 100歳、最高顧問』『「世界のトヨタ」育てる』、『マララさんに「良心の大使」賞 国際人権団体 「私のような子何百万人もいる」=国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)が17日、パキスタンで女子教育の権利を求め、イスラム武装勢力に銃撃されたマララ・ユスフザイさん(16歳)に人権賞「良心の大使」賞を贈る、と発表』、『米・長者番付 20年連続ゲイツ氏首位 資産総額7兆2千億円』(17日付、中日夕刊)
☆『台風18号 東海直撃 列島縦断 3人死亡5人不明 名古屋の親子、津で不明』、『福井、滋賀、京都に初の「特別警報」タイミング評価二分 「的確」「もっと早いかと」』、『開城(ケソン)5カ月ぶり再開 韓国企業が操業 南北融和前進も』、『サリン使用を断定 シリア調査、国連が報告書』、『汚染水対策船頭多くして… 政府、東電、規制委 本部や会議乱立 責任の所在あいまいに』(17日付、中日朝刊)

九月十六日
 今は午後十一時過ぎである。京都が台風18号接近に伴う大雨で各地で民家が水没。一時は十一万世帯、二十七万人近くが避難するなど、大変な事態に陥っていたことを、つい先ほど各テレビニュースをチェックして知った。私としたことが。うかつであった。で、既に公開済みの原稿の冒頭に【本稿】を付け加えさせて頂く。

 【気象庁はけさ午前五時五分に京都、滋賀、福井に八月三十日に運用開始後初めての〝大雨特別警報〟なるものを発令していた。この警報、数十年に一度しかないような災害の危険に気象庁が発令することを決めた、いわゆる〝最後の警戒情報〟なるものだが、私の意識の底のどこかに、お役人のやることに対して甘く見くびったような感覚があった。
 この思い上がった誤った認識、すなわち思い込みは現役記者時代に〈現場百回〉を最優先に、各地の災害現場に急行した元災害記者としては、あるまじきことだ。「警報発令はちょっと大げさ過ぎる。本当かな」との先入観でいたのだ。

 このところの私、すなわち素浪人こと一匹記者のどこかにスキが出来ていたのかもしれない。判断が甘かった。私は、けさ早い段階で気象庁が特別警報なるものを出していたことは知っていたのだが。「あっ、お役人が台風通過を好い機会に大げさに初の〝特別警報〟なるものを出しているわ。たいしたこともないのに。これは、ある種、お役所独特の実験ではないか。少し、くどいナ」と頭から決めつけて居、そこに判断ミスが加わったのである。

 気象庁の特別警報はその通り、まぎれなき事実だった。京都や福井、滋賀は大変な被害となっていた。
 特に京都の被害は目を覆うほどだった。鴨川が氾濫し、名物である川床(ゆか)が濁流に洗われた。そればかりか、西部の嵐山でも桂川があふれ、一面水の海に。一帯の渡月橋周辺の土産物店街や旅館は至るところ水浸しとなったのである。また、京都府福知山市では河川が至る所であふれ街全体が濁流にのみ込まれ、それこそ〝数十年に一度しかない〟水害の恐怖に脅かされていた。高島市や大津市でも街中が水浸しになった映像が流れていたが、私はこのニュースを聞きながら心底、聖なる湖、琵琶湖が氾濫しなくてよかった、と思ったのである。
 いやはや思い込みの〈玄人意識危うし〉とは、このことだ。
 私はかつて現役記者時代に日本中の水害現場にいち早く現場投入され、何度も何度も悲惨な現場を歩いた。水害というものがどういうものなのか―については、内心感覚的にも誰よりも分かっていると自負していただけに、自らの思い上がりには赤面となったのである。現場を離れた私は♪歌を忘れたカナリヤ♯になってしまったのだろうか。これではいけない。それに京都といえば、新聞社の大津支局長在任当時にしばしば訪れた忘れられない土地だ。
 つくづく今日の台風に対する読みの甘さを反省すると同時に被災地の方々が少しでも早く元の生活に戻れるのをただ、祈るのみである。この日は、このほかにも台風の北上に従って日本列島の各所で突風被害が相次ぎ、各地で痛ましい被害が続出。それこそ傷だらけの痛々しい一日となったのである。=この項、十六日深夜付記。】
        ●        ●

 ― 朝。外は雨。肌に心地よい、しとしと雨ではなく台風来襲に伴う嵐の雨である。18号はけさの午前八時前に豊橋に上陸。ラジオは避難警戒情報はじめ土砂災害や河川決壊の恐れを過剰なまでに流し注意と警戒を繰り返し呼びかけている。民家の避難が相次ぐなか、停電も相当数に及ぶ。
 そんななか、私の耳に聴こえくる雨や風たちの声は「私は強い。強いのだから。本気になったら、おまえたちニンゲンを事故で苦しめている、あのいまわしい原発よりも、ずっとずっと怖いのだから」と叫んでいる気がしてならない。
 それにつけても思う。
 この台風という怪物をニンゲンたちは自然エネルギーに特化させたりは出来ないものか。それがダメなら、福島で苦しむ人々のためにも、この力をナントカ、放射能の除染に転化して生かすことが出来ないものか。ロボットを打ち上げたり、原発を開発したりすることが出来るのに。なぜ、それほどのことができないのか、と。
        ×        ×

 大型の台風18号は京都、滋賀、福井、三重、愛知、静岡…と各地に雨や風の被害をもたらしながら北上。きょうの朝、愛知県豊橋市に上陸後は関東から東北へ抜け、現在(午後五時過ぎ)は岩手県宮古市沿岸の東海上を北に向かって進んでおり、まもなく温帯低気圧となる見通しだ。夕方になると、荒れ狂っていた雨、風が嘘のようにカラリと晴れた。窓から流れ込むオーロラのようなオレンジ色のひと筋になった光の束を見るにつけ、先ほどまで荒れ狂っていたあの自然の形相がとても信じられない。

 こうした自然の脅威を目の前に見せつけられ、かつまた猛暑が続いたかと思うとゲリラ豪雨や突風、竜巻…と続くこのところの異常気象を思うにつけ、やはり人間がこれから相手にしていかなければならないのは「自然との共存」をおいてほかにない。と、つくづく思う。なのに。ニンゲンどもは、人間が人間を殺しあう醜い戦争を繰り返す。どうして、これほどまでに愚かなのか。 

 学生時代から、ずっと愛読している文學界。
 石原慎太郎の創作、連作短編集「やや暴力的に」を読む。救急病院にて。計画。リングの下で。一途の横道。隔絶。を一気に読み干す。大変、参考になった。やはり捨て置けない作家である。人生での体験も並大抵ではない。だから、こんな按配に多少乱暴な表現もあるものの、サラリと書き切れる。
 そこいら辺りにチラチラする流行作家かぶれしたAとかB、C…とは、どだいタマが違う。なかでも〈「あんた、一人だったのかね」「あんた、一人で来たのかね」。猟師は尋ねましたが、私以外、この長旅を証言するものがいるわけもない。……〉といった、人間社会の全てに忘れ去られたなか、どこまでも海を漂流する「隔絶」がよかった。この文学の好いところは、ひとえに自分に正直なまっすぐな〝裸の文体〟だ。彼が政治的にとかく批判されてきたのも、この正直さ故であることを、あらためて思った。かといって、私は政治家の彼は嫌いである。
 やはり、慎太郎は政治家を辞め、これから新しい文学の道を歩むべきだと思う。
        ×        ×
 【きょうの一文・ことば】「モリゾウの役割はクルマファンを増やし、クルマを楽しむ文化を育てること。自分も含めて多くの人がクルマを使って楽しみ、少しずつでもクルマへの興味が広がってくれたらいい」=16日付毎日朝刊『クルマの楽しさ伝える トヨタ社長 ラリー1500cc超級総合V』の記事中で豊田章男社長(57)、豊田社長は「モリゾウ」の名で国際C級ライセンスを持つ

【新聞テレビから】
☆『1年2カ月ぶり原発ゼロ 再稼働年明け以降か 大飯4号機定検』『ゼロから考えよう 全原発停止各地で集会 「今こそ結束を」訴え再び』、『〈プロ野球〉バレンティン56、57号 王を抜き新記録』『半世紀ぶり「聖域」破る』『岩瀬(仁紀)通算381S 佐々木(主浩)に並び日本選手最多』『球界大記録デー スタンド興奮』(16日付、中日朝刊)
☆『北京市幹部 東京と関係改善意欲 国レベルも修復意向か』、『高齢者4人に1人 65歳以上 最多3186万人』『男性世界最高齢NYの112歳死去』(16日付、毎日朝刊)

九月十五日
 小笠原付近で発生した台風18号が日本に近づいている。
 でも、その割には夜に入っても今のところは、雨も風もたいしたことはない。今後どんな進路を取るのか、気になるところだ。報道によれば、あすの午前中から午後にかけ日本列島の東海、または関東地方に上陸見通しだという。

 午後六時過ぎ。テレビ画面に字幕が流れたので台風18号関連かと思いきや、ヤクルトのウラディミール・バレンティン選手(29歳)が神宮球場での対阪神戦第一打席でプロ野球シーズン最多記録の56号ホームランを阪神・榎田投手から打った、という速報だった(同選手は第二打席も本塁打を放ち57号の快記録を達成)。
 昭和三十九年、東京オリンピックの年に〝世界の王〟こと王貞治(当時巨人)が打ち立てたプロ野球新記録の55号=その後平成13年にローズ(近鉄)同14年にはカブレラ(西武)も55号を達成=が、実に49年ぶりに塗り替えられた。

 カリブ海のオランダ領キュラソー島で育った1人の野球少年が、これほどの快挙を果たすとは。誰も思ってはいなかっただろう。彼は自らの雄姿を見てもらおう、と日本に招いた母の目の前で歴史に残る本塁打を、それも連続で二発放ったのである。おめでとう!
 記録と言えば、ドラゴンズの岩瀬投手がナゴヤドームでのDeNA戦で通算381セーブを成し遂げ、日米で通算381セーブの大魔神佐々木投手(元横浜)と並んだ。前ドラゴンズ監督・落合博満さんによれば、「岩瀬と佐々木では互いに歩んできた道が違う。でも、僕と岩瀬との約束は〝400までは頑張る〟というものだった」という。
 まだまだ楽しみである。
        ×        ×
 【私だって、生きているのだから。】ご主人からのプレゼントに満足そうな御年19歳余のわが家の長寿猫こすも・ここちゃん

 犬だって猫だってみんなみんな生きている 
 ―これは、中日新聞の本日付朝刊軟派トップ記事見出しである。わが家に限らず、この世の中、猫や犬と家族同然の暮らしをしている人々も多い。それだけに、「殺処分減へ自治体本腰 引き取り拒否/飼い主に助言」と続く見出しには、なんだかホンワカしたものを感じた。
 実はこのホットなニュース。今月一日から施行された改正動物愛護管理法による【安易な飼育放棄からの犬や猫の殺処分を減らそう】との趣旨を観点に、動物愛護精神を唱えたもので、ひと味違った切り口が多くの読者から歓迎されたに違いない。
      
【きょうの一文・ことば】(ヤクルトも阪神も)両方のファンがすべての打席で応援してくれてありがとう。最高の気分です=バレンティンが試合後、ホームラン記録更新のインタビューに答えて=
 私は世界で一番幸せな母親です=バレンティンの母親

【新聞テレビから】
☆『対シリア 化学兵器全廃米ロ合意』『来年半ば目標 攻撃は当面回避』、『イプシロン打ち上げ成功 宇宙望遠鏡軌道に 国産新型12年ぶり』『開発責任者・森田泰弘JAXA(宇宙航空研究開発機構)教授 「より安く」ITで先駆』、『東京五輪見たいがね ぎんさん4人娘 長寿の秘訣「自然に」=十六日の「敬老の日」を前に、双子の長寿姉妹「きんさん・ぎんさん」として知られた故蟹江ぎんさん(享年百八)の娘さん四人が健康と長寿の秘訣をつづった本「気づいたら100歳、だがね」(小学館)』を出版した』、『「夫婦善哉」冒頭に苦心 織田作之助の草稿など発見』(15日付、中日朝刊)

九月十四日
 東日本の被災地復興を願って〈花は咲く〉をオカリナで演奏するボランティアの愛好グループ「メロディーハート」の女性たち=愛知県江南市の「ミヌエット」店内で

 ♪…花は 花は 花は咲く
  いつか生まれる君に
  花は 花は 花は咲く
  わたしは何を残しただろう…

 この日。妻(舞)が営む、ちいさなちいさなリサイクルショップ「ミヌエット」店内に東日本の復興支援ソング「花は咲く」のオカリナの調べが、どこまでも響き渡った。
 尾張地方に住むボランティアのオカリナ愛好グループ【メロディーハート】の有志女性三人の出演によるもので、
♪叶えたい 夢もあった/変わりたい 自分もいた/今はただ なつかしい/あの人を思い出す
♪傷ついて 傷つけて/報われず 泣いたりして/今はただ 愛おしい/あの人を 思い出す 
♪誰かの想いが見える/誰かと結ばれている/誰かの未来が見える/悲しみの向こう側に―………
 と三人は〈花は咲く〉を演奏、仙台からきて江南市内で住むある女性は涙に唇を震わせながら、こ声で歌った。東日本大震災と福島第1原発事故に遭った誰もが立ち直られる日を願いつつ。
 この日はほかに〈野に咲く花のように〉や〈見上げてごらん夜の星〉〈川の流れのように〉〈みかんの花咲く丘〉なども演奏され、店内を訪れた人々は東北への想いを新たにした。

 このちいさな音楽会。舞の発想で一年前から月一度のペースでギターやバイオリン、大正琴などの音楽を中心に、時には昔懐かしい大道芸、そして占い、カラオケ大会などもまじえてお店を訪れる人々にボランティアの出演者の協力の下、安らぎの場を提供している。
         ×        ×

 前回八月二十七日に発射直前(十九秒前)になって、トラブルから打ち上げが急きょ取りやめられていた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新型ロケット「イプシロン」1号機が鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から午後二時に発射され、無事打ち上げに成功した。

 シリアの化学兵器を巡ってケリー米国務長官とラブロフ・ロシア外相、ブラヒミ国連シリア特別代表が出てスイスのジュネーブで行われていた米ロ外相会談。ジュネーブであった両外相の共同記者会見によると、どうやら【化学兵器廃棄への枠組みで合意】したらしい。ただ、これには「シリア政府が1週間以内に化学兵器に関する情報を報告すること」が前提だという。
 要するに、シリアの化学兵器廃棄は順序だててしっかり廃棄させよう―というものだが、軍事介入の構えをあくまで貫く米と、シリアへの米軍の軍事介入をさせない代わりに化学兵器は責任を持って順次、廃棄させていこうとするロシアの双方共が最大限の歩み寄りを見せたといってよい。
 とまれ、米軍のシリア介入がここ当面は避けられ、この点では喜ばしいことだ。米露両国の叡知に敬意を表したい。これ以上、戦火を拡大することだけはやめてほしい。いわれのない多くの市民の幸せが一瞬にして吹き飛ぶからだ。

 政府は八県に及ぶ「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に推薦する意向を固めた。トルコのカッパドキアで死亡した宮城県名取市出身の栗原舞さん(22歳)の遺体が両親に付き添われて、日本に涙の帰国をした。
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【きょうの一文・ことば】Take double the payback(〝倍返し〟の英訳)=14日夜CBC〈ニュースキャスター〉▽尖閣諸島国有化1年 中国の圧力〝倍返し〟のなかで

【新聞テレビから】
☆『台風18号北上続く』、『米、武力決議を求めず 対シリア 安保理で譲歩方針』『化学兵器使用国連が断定へ 調査報告書』、『〈歌舞伎座 通し・義経千本桜〉「ファザコン」憎めないワル 「権太」の悲劇 仁左衛門大胆に』、『誕生50年世界一周 国産初ビジネス機「MU2」=戦後初の国産旅客機「YS11」に次ぐ、二番目の民間機= 米整備会社経営者操縦 名古屋に帰還』(14日付、中日夕刊)
☆『〈核心〉シリア代理戦争の様相 政権側 ロシア、イラン… 反体制派 米、仏、サウジ…』『双方に支援 内戦が泥沼化』、『角野岩次氏死去 輪島塗、(沈金)象眼の名手 88歳』、『三保ケ関部屋秋場所で幕 親方が定年 北の海ら輩出の名門』(14日付、中日朝刊)

九月十三日
 楽天のマーくん、田中将大投手がKスタであったオリックス戦で6―2の完投勝ち。今シーズン負け知らず、あの鉄腕稲尾投手(西鉄)超えを果たし56年ぶりの一シーズン開幕21連勝を果たし、昨シーズンから数えると25連勝という偉大な記録を打ち立てた。たいしたものだ。
 そのマーくん曰く「周りにもてはやされているけれど、それは関係なくしっかり投げられれば、それでいいと思います」。なんとも謙虚である。

 スイスのジュネーブでは、シリアの化学兵器を国際管理下で廃棄する、とのロシア案を実現するための米露の協議が十二日から始まっている。協議に先立つ共同記者会見でケリー米国務長官が「シリア攻撃の必要性の選択肢を残す必要性」を言及。これに対してロシアのラブロフ外相は「攻撃の撤回」を求めたという。
 また、シリアのアサド大統領はロシアの国営テレビのインタビューに対して「化学兵器禁止条約に加入する意向を表明した」うえで、前提として米国の武力行使放棄を強く求めた。シリア政府は表明通り、同日中に化学兵器禁止条約への加入文書を国連に提出した。
 互いに平和を願う米露、そしてシリアのことだ。この際、平和な世界創造への糸口を見出し人類の叡知のお手本を示してほしい。プーチン露大統領の前向き、かつ建設的な提案に対してオバマ大統領は世界注視のなか、当然、その期待に答えなければならない。
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 報道によれば、安倍晋三首相が2020年東京五輪・パラリンピック担当相として下村博文文部科学相を兼務させることを決めて、本日任命。なかなか素早い判断でいいナ、と思う。 
 一方、ニューヨークでは尊命中の世界一背が低い女性としてギネス世界記録に認定された身長六二・八センチのインド人女性、ジョティ・アムゲさん(19歳)の認定式が観光名所エンパイアステートビルの86階展望室で開かれた。
 アムゲさんはこれまでインドの映画界「ボリウッド」入りを目指していたがギネス世界記録認定で有名になり人生が百八十度変わった今は「ハリウッドで働きたい」と話しているそうだ。夢がかなう、といいナ。
 JR九州がきょう、北九州市の車両センターで、豪華寝台列車「ななつ星in九州」の車両を報道陣に初公開。総工費約30億円で十月十五日に運行を始める。七両編成で公開されたのは1~3号車。既に来年六月まで予約客でいっぱいだそうだ。このうち1号車はソファやバーカウンターがあるラウンジカーで後部の大きな窓が開放感を演出。ダイニングカーの2号車はアーチ状の天井に障子に見立てた明るめの照明、といった具合で工夫がこらされた。3~7号車は計14室の客室。全室ともシャワー、トイレが完備したという。

 いつの日か、乗れたらいいナ
 
【きょうの一文・ことば】「あき」とは、十分満足する意味の「飽き」と同語だと思われる。……山もまた、真赤な葉や黄色い葉に埋まる。極彩の自然が身のまわりに広がる。……人間ひとりひとりも、それぞれの心の中に、豊かで華やかな収穫を持ちたい。……秋は明るい。「あき」と口にしただけでも天高く晴ればれとした気分になるではないか。=中西進著「美しい日本語の風景〈あき〉」から抜粋。

【新聞テレビから】
☆『100歳以上5万4397人 43年連続増、女性が87% 敬老の日調査』、『ボイジャー太陽系外に 史上初、36年前打ち上げ』、『〈式年遷宮〉新正殿ご神体待つ 伊勢神宮内宮で「御戸祭」』、『汚染水 東電「制御できていない」民主会合 幹部、首相発言否定』、『トルコ死傷 拘束の24歳男を逮捕 殺人容疑 勾留の作業員釈放』、『イグ・ノーベル賞日本人7年連続 ダブル受賞〈オペラ聴くマウス長生き〉〈涙出ないタマネギ可能に〉』、『みのさん=タレントのみのもんたさん。69歳。次男が11日に窃盗未遂容疑で逮捕されたことを受け=2番組自粛』『前知多署長を停職処分 愛知県警 飲酒後運転「信用失う」』(13日付、中日夕刊)
☆『シリア大統領 米の武力行使放棄要求 化学兵器廃棄の条件』、『今夜開幕21連勝挑戦 マー君支える愛妻メシ 里田まいさん結婚機に資格』
☆『〈大リーグ〉26戦連続無失点&34人連続アウト (レッドソックスの)上原 気合4勝目=2003年の長谷川滋利(マリナーズ)と並んでいた25試合の日本投手最長記録を更新した』、『中部発2020年東京〈私の五輪史〉3 風になった名古屋の夢』、『リニア 愛知5キロおき非常口 大深度トンネル 用地買収が必要』、『クアラルンプール便復活へ 中部国際空港 エアアジアX、来年前半から』、『仏週刊紙、謝罪せず=カナール・アンシェネが東京電力福島第一原発の汚染水漏れをめぐり、腕や足が三本ある力士の風刺画を掲載した問題』(13日付、中日朝刊)

九月十二日
 ♪いつまでもいぶれる炭に秋刀魚燒く 刀水

 まだまだ日中は暑くて30度を超す。でも季節は少しずつ秋に、秋に、と向かっていく。空の雲の流れを見ていても、なんとなくそんな気がする。夜の帳が下りると、家の周囲で虫たちが鳴いているのがよく分かる。人々のこころも、この雲と同じくいつのまにかどこいやらへ、と移りかわってゆくのか

 素浪人の一匹文士にとって。小説書きや本を読む以外にすることと言えば、横笛とハモニカ、サンポーニャふき(サンポーニャは気分が乗ったときで序の口ではあるが)、そして社交ダンスのレッスン、2匹いるわが家のネコちゃんたちのお相手か。ヒトは悠々自適なる生活と見るが、本人にとっては、どれもこれも大真面目なのである。

 ただ朝起きて。中日新聞朝刊を漫画(おーい栗の助)、中日春秋、親鸞完結篇、雨の狩人、尾張版をはじめとした各地方版…、そして夕刊も夕歩道、この道、水軍遥かなり、大波小波…の順で。このパターンで読み、ついでに毎日など他紙もチェックするのは、昔も今も変わりはない。
 きょうは、社交ダンスのレッスンから帰ったあと寝込んでしまい、つい先ほど目覚めた。

【きょうの一文・ことば】…「abさんご」は名詞の一般的な使い方を拒む表記違反小説、「爪と目」は人称視点違反小説。どうやら、文章教室なら突き返されてしまうような表現をしてみせることが最近の芥川賞必須条件のようです。(文学学校講師)=12日付中日新聞夕刊【〈大波小波〉ホラーかホラか】から

【新聞テレビから】
☆『〈文化〉観潮楼歌会よみがえる 公開形式、臨場感楽しむ』、『消費税来年4月8% 首相決断経済対策5兆円』、『シャープ増資最大1700億円 資金不足で公募を上積み』、『大村知事一律1000円減税案 愛知県 年1万円子育て手当も 議会に譲歩』、『1人の死刑執行 横浜の店主射殺事件 政権交代後6人目』、『ギョギョ!魚の引っ越し 名古屋港水族館が大型水槽改善で、魚3千匹の引っ越し作業を進めている』(12日付、中日夕刊)
☆『釜石よいさ希望の灯 3年ぶり復活 高炉休止、震災…苦難の時 いつも胸に 「復興加わりたい」若者が団結』、『トヨタ最高顧問 豊田英二氏100歳に 業績チェック欠かさず 楽しみ「数独」』、『カネボウ美白部分 07年に医師危険性指摘 厚労省審議会 議論せず承認』『希薄な危機意識非難 カネボウ第三者調査報告』、『中国公務員に贈賄容疑 フタバ産業元専務を逮捕 愛知県警』、『天理大柔道部 「金」大野選手も暴行 新たに発覚、12人処分』、『解雇撤回求めて秋田書店を提訴 当選水増し問題』(12日付、中日朝刊)

九月十一日
 3・11東日本大震災から二年半―
 たまたま夜遅くNHK総合で見た【花は咲くスペシャル/涙と希望を花火に乗せて▽ブラジルで大合唱▽マルシア、荒川静香、イル・デイーボ】。
 妻を失い、気を取り直して育てた花(ヒマワリなど)を生前の妻とかさねて大切に思う夫。夫を失い、これまで共に見てきた花火をわが子と見る妻、日本から二万㌔離れたブラジルに響き渡る〈花は咲く〉の大合唱…一つひとつの事実に感動した。特に復興支援の歌〈花は咲く〉の合唱の輪が【希望の歌声 東北から世界へ】とばかりメキシコ、エクアドル…と各国に、広がりつつあることを知って嬉しく思った。なかで〈花は咲く〉の英訳の歌も、とてもわかりやすく、涙を浮かべてうたう英国ボーカリストの姿が胸に深く刻まれた。
 地球に住む多くの人々が東日本大震災の悲しみを共有し、同時に復興への旅立ちをみんなで願ってくれている。世界はひとつ。誰もが家族を、友のこと…を深く思っている。

 ♪Flowers will Bloom.……You,ll Live and remember and love us Forever More………Yes they Will.
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 岩手県大槌町など各被災地で犠牲になった人々、そして復興への祈りが行われ、福島県いわき市では沿岸で今も見つからない遺体を求めて大規模な捜索が行われた。【尖閣国有化】一年の日でもあり、菅官房長官は「尖閣はもともと日本の領土で中国との間に本来、領土問題は存在しない。わが国としては戦略的対話の扉はいつでも開いている」との日本の立場を改めて強調した。
 〝9・11〟。この日は2001年に世界を震撼させた、あの米中枢同時多発テロが起きた日。すなわちテロとの戦いが始まった日であり、その前年には新川堤防が決壊して愛知県を中心に死者十人、約六万五千戸の浸水家屋を出した東海豪雨の日でもある。

 トルコのカッパドキアで日本人女子大学生二人が襲われた事件でトルコ警察当局は容疑者の男を身柄拘束した。男は、二十六歳。最近刑務所から出てきたばかりで、薬物乱用や窃盗など十七の犯罪歴があり、数日前から被害者が滞在していたギョレメ周辺を赤い車で走り回っていたという。

 このほか、新聞報道によると、愛知県警は昨日、半田市内の民家駐車場に止めてあった乗用車のタイヤに火をつけたとして器物損壊容疑で無職男(48)を逮捕。男はその後の調べに対して「岡崎、安城、幸田などでも計45件で火をつけた」と供述。暗いニュースばかりに落胆していたら、昨夜、名鉄名古屋駅でホームとの隙間に転落した男性を乗客二十人ほどが一丸となって電車を押して傾け救出したといった話も。
 この世の中、好いこともあれば、悪いこともある。人生いろいろである。
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 オバマ米大統領は十日夜(日本時間十一日午前)、ホワイトハウスで国民向けに演説し、シリア・アサド政権の化学兵器使用疑惑に関連、シリアへの米国の軍事介入に触れ「化学兵器を国際管理下に置くとしたロシア提案を尊重し外交的解決を追求する」考えを示した。
 アフガン、イラク戦争と多くの子や兄弟、夫らを失った米国民の間では「もう、戦争などこりごりだ」と軍事介入絶対反対の機運が高まっていただけに、国民を思う大統領の行動としては当然のことである。
 この際、この地球の国々すべてに対して自ら範を示して〝不戦の誓い〟をしてみたらどうか。オバマ氏の人気は一気に高まり、地球の人々みんなが幸せになれる。ノーベル平和賞まで授与されているのだから、呼びかけるにはふさわしい人物だ、と思う。またとないチャンスだ。
 敵はもはや、同じ人間ではなく地震などの災害も含めた自然の猛威である。人間の叡知で、これら厳しい自然と、どう共存し共に繁栄していくか、だと思う。

 ヤクルトのバレンタイン選手が神宮での広島戦で王貞治選手らの持つシーズン日本記録に並ぶ55号本塁打を放った。日本中のプロ野球ファンが次の一打に胸を膨らませている。

【きょうの一文・ことば】「魚とりたいって。俺たちはそれだけ、だ」=11日夜、NHK総合〈クローズアップ現代〉最新報告・汚染水問題独自映像は語る…のなかで、福島の漁民
 「夢だけは 壊せなかった 大震災」=2011年6月、当時女川中1期生・山田太介くんの俳句、11日付毎日朝刊〈東日本大震災2年半〉の記事から
 「育てた花を見てもらい花も喜んでくれるかな、と思っている」=3・11大震災で妻を失った石巻の男性。NHK総合〈花は咲くスペシャル〉番組から

【新聞ラジオなど】
☆『金メダリスト初のトップ IОCバッハ新会長=トーマス・バッハ氏(59)、1976年モントリオール五輪のフェンシング優勝=団結訴え』、『オバマ氏「外交解決追求」 対シリア 軍事圧力は維持』、『街の模型再生描く 大震災2年半 住民と学生 自宅に名前や色付け 陸前高田など30カ所で制作』、『元大関把瑠都が引退』(11日付、中日夕刊)
☆『きょう震災2年半 被災3県人口流出続く』『不明なお2654人 身元確認困難に』『〈捜す、探す―三年目の被災地から〉1 父よ息子よ海辺歩く 救えず…自責の念』、『〈私の五輪史 中部発2020年東京〉2 時速210キロ緊張の出発』、『トルコ邦人死傷 容疑者1人を拘束 意識回復被害女子学生が確認 2学生 熱心に国際交流』(11日付、中日朝刊)
☆『東日本大震災2年半 交付金使い勝手改善せず 被災自治体 過半数が不満 本紙アンケート 田畑よみがえれ』『1000年後の命守る 宮城の(女川)中学生、石碑に教訓 津波到達点に(女川いのちの石碑)21基建立へ 家に戻ろうとしている人がいれば、絶対引き止めてください』、『中国尖閣侵入63日 国有化1年 緊急発進3・5倍に』(11日付、毎日朝刊)

九月十日
 シリア問題が良い方向に動き始めたようだ。

 きのう米国のシリアへの軍事介入に反対するロシアのラブロフ外相がシリアのアサド政権に対して同国が保有する化学兵器を国際監視下に置いて廃棄するよう求め、アサド政権への説得工作に乗り出したためで、この説得にシリア政権がどう出るのかが注目されている。ラブロフ外相の発言に対してシリアのムアレム外相は提案を歓迎する立場を示したが、アサド政権は化学兵器の保有を公式には認めていない。それだけに、実際に要請を受け入れるかどうかとなると不透明な部分も多く予断を許さない。
 また米国のオバマ大統領はロシアの提案について「前向きな展開になる可能性がある」と評価し、化学兵器の再使用を防ぐ目的を「軍事行動なしに達成できるなら、その方が望ましい」と述べ、この案についてはロシアのプーチン大統領とサンクトペテルブルクで六日に会談した際に議論したことも明らかにした。

 オバマ大統領は、ただシリアがこれまでに化学兵器禁止条約への署名を拒んできたいきさつから今後はロシアとシリアが外交的解決に向け「真面目な提案」をするかどうかを見極めたうえで、なおシリアには「圧力をかけ続ける必要がある」としている。一方、民主党のリード上院院内総務は九日、上院本会議で審議が始まった武力行使容認決議案の採決を当初予定していた十一日より遅らせる考えを米メディアに表明した。今夜七時のNHKニュースによると、安倍総理もプーチン大統領に電話しロシアの提案に賛意を評したという。

 これはこれで、米国の軍事介入を回避し思い留まらせる点でもよいことだ、と思う。2020年の東京五輪決定を機に、戦争や内戦、紛争の悲劇がなくなり世界の人々が仲良くなれば、それに超したことはない。ちなみに、あすは日本が尖閣列島の国有化宣言をして丸一年になる。
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 それにしても東京五輪開催のホットニュースに歓喜したと思うまもなく、今度はトルコ中部の観光地カッパドキアで日本人女性観光客2人=いずれも新潟大学学生=が刃物で刺され一人が死亡、もう一人は重体という惨事が伝えられてきた。カッパドキアは以前、トルコ政府観光庁の招きで訪れたことがあるだけに他人ごとではない。治安は良かったはずなのに。一体、何が起きたのか。

【きょうの一文・ことば】声の印象は長く残ります。かつて取材した方の訃報に接することがありますが、そのとき浮かんでくるのは顔よりも声。年をとるごとに肌は乾いていきますが、声は深くうるおっていきます。この仕事をしていると、お年を召した方の声の美しさにははっとすることがあります。=10日付中日夕刊文化面【〈往復書簡〉小手鞠るいさんへ 梯久美子より】から

【新聞テレビから】
☆『絶えぬ見学客 市民は「つらい記憶」 あす2年半 「震災遺構」苦渋の解体 気仙沼打ち上げ漁船作業開始」』(10日付、中日夕刊)
☆『助け合いを実感「結いっこ」作り 岩手・震災2年半』、『〈チェック〉首相ブレーン 内閣官房参与膨張11人 「知恵袋型」「ツール型」「忍者型」 法的権限なし使い勝手よく』(10日付、毎日夕刊)
☆『〈私の五輪史 中部発2020年東京〉「世界は一つ」青い空 標語今も信じる』『〈社説〉【成功の条件】原発事故を封じ込めよ 【歴史的使命】新たな風を吹かせたい』『〈高橋尚子さん手記〉絆の聖火大きな力に 限界挑む姿間近で見て』、『心の時計止まったまま 豊明4人殺害9年 遺族ら献花』、『パキスタン フセイン大統領就任 首相の政権基盤安定化』、『北 経済再建に集中か 建国65周年 挑発的な発言なし』、『英アンドルー王子職質された 宮殿散歩中 不審者に間違われる』(10日付、中日朝刊)
☆『福島原発事故 菅元首相ら42人不起訴 住民、検審申し立てへ』『肩落とす被災者 菅元首相ら不起訴「現状変えたかった」『「不起訴は当然」 菅元首相が談話』(10日付、毎日朝刊)
☆『東京、イスタンブールへ「24年招致の幸運祈る」 アジアの理事「あれで2、3票失った」 マドリード敗因はサマランチJr.嫌み演説? 「背後に父の写真」も失敗』(10日付、中日スポーツ)

九月九日
 新聞休刊日なので朝刊はこない。

 午前零時五十分。前日の2020年東京五輪開催決定の報に続いて今度は、いったんは外されたレスリングが実施競技に採用されることになり関係者はむろん、日本中で再び喜びが爆発した。

 深夜未明の〝しじま〟を破る〈ポロロン〉といった音。何事かとパソコンをチェックすると、中日新聞プラスからの「特別便」で〝五輪競技にレスリング残留 野球ソフトは落選〟というもので、さらに読むと「国際オリンピック委員会は8日(現地時間9日)2020年東京五輪実施競技の審議を行い、野球ソフト、スカッシュ、レスリングの3競技のうちレスリングを採用することを委員の投票によって決めた。……」というものだった。
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 不思議なものだ。
 東京五輪の開催、そしてレスリング競技の復活が、3・11東日本大震災と震災発生に伴う福島第1原発事故の放射能汚染や汚染水漏れ―など事態が深刻化する一方で〝真っ暗闇〟だった日本社会をパッと明るくしたような気がする。日本列島に【ひとすじの光】が投げ込まれたような、そして日本中が笑顔になったような、そんな気がするのだ。きっかけ、とは凄いものだナとつくづく思う。ただ、ここで大切なのは大震災や原発事故の被災者たちがどんな思いでいるのか、ということだ。あくまで被災者の心に寄り添った東京五輪にしなければ、失敗に終わるだろう。

 「やった」「やった」と、のぼせあがるのもいいが、東京五輪の開催を東日本大震災と福島第1原発事故からの復興への〝ノロシ〟にすべく関係者には一段のご努力を願いたい。

 きょうは案の定、日経平均株価も期待感からか建設、不動産、警備、電機、スポーツメーカー、観光産業……と大幅に上昇、全面高に終始し一時上げ幅は前週末比390円にまで達した。報道によれば、東京オリンピック開催に伴う経済波及効果は15万人の新しい雇用が確保され、3兆円規模に達するという。
 まさに「何か」がパチンとはじけて日本中が音をたてて動き出したようにも感じる。そんななか、菅官房長官が語った「オールジャパンの誘致活動がこの結果をもたらした」のは、その通りだろう。「東日本大震災の〝復興〟を成し遂げた姿を世界の人々に見てもらいたい」との言葉には、少し安心した。
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 ところで当初、私が開催を願ったトルコのイスタンブール。親日の国らしく、イスタンブールからは自国が「東京」に破れながらも「トウキョウ、オメデトウ」との日本にあてた祝福ツィッターが昼の段階で15万通を超えたという。「トルコよ、イスタンブールよ、アリガトウ」と礼を述べたい。

【きょうの一文・ことば】「五輪は被災地の復興には役立たない。汚染水対策を国が前面に出てやると言ったのだって五輪のためだろう。避難者の生活や原発事故の収束を第一にやってほしい」=浪江町から避難し、福島市の仮設住宅で暮らす無職の岡和田温さん(40)
 「なにか他の国の話のような感じがする」。「開催したことのないトルコ(イスタンブール)に譲ってもよかったんじゃないかとさえ思う。日本は、他に力を注ぐべきことがあるのでは。震災復興を誘致の材料にしたんだったら、それを加速させてほしい」=津波で自宅を失い、気仙沼市の仮設店舗で金物屋を営む釜石市の鈴木敦雄さん(53)
 「ロンドン五輪は見ていてわくわくしたので、東京開催は素直にうれしい。7年後は、世界はもちろん、日本でも被災地を忘れている人が多いと思う。五輪が、そんな人たちが被災地に来てくれたりするきっかけになってほしい」=仙台市若林区にあった自宅を津波で流された大学生、山下愛さん(21)
 以上、いずれも9日付毎日新聞夕刊から

【新聞テレビから】
☆『2020年東京五輪 56年ぶり2度目 レスリングは存続 野球・ソフト落選』『一丸で日本五輪』『パラリンピック 生きる力に 佐藤さんPR招致の決定打』『「復興支援とセットで」 東海や被災地も期待』『スポーツが勇気に フェンシング千田選手の父』『次代へ希望の輪 「トーキョー」喜び爆発』『レスリング「子どもたちに残せた」 吉田の夢37歳で金 ロンドン「金」現地の小原さんも安堵』『至学館高レスリング部員「世界一を目指す」』『中国新華社「イスタンブールで開催」 誤り報道、すぐ訂正』、『〈難民〉3年連続増 昨年1540万人』、『東証 一時1万4200円回復』(9日付、中日夕刊)
☆『忘れない この歓喜 東京五輪 情熱を力に』『忘れないで 被災地』『7年後へ 決意を形に』『汚染水はコントロール 首相発言に批判 福島・漁師ら』、『GDP(国内総生産)年3・8%増 消費増税判断後押し 4~6月上方修正』、『「風立ちぬ」ベネチア受賞ならず』(9日付、毎日夕刊)

九月八日
 東京五輪決定を伝える中日新聞号外

 【あと7年たったら、私はどうなっているのだろうか。既にこの世のものではないかも知れぬ。もしかしたら、まだ元気でいるのかもしれない。】。
 「東京」でのオリンピック開催が決まった瞬間、日本中の人々がそれぞれの人生の行く先を考えたに違いない。

 2020年夏季五輪・パラリンピックの開催地は七日(日本時間八日)、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IОC)の席上、IОC委員九十四人による投票の結果、東京で開催されることが決まった。東京でのオリンピック開催都市は、1964年(昭和39年)大会いらい、五十六年ぶり。日本での開催は冬季の札幌(1972年)長野(1998年)に次いで四度目となる。
 「東京」はこの日、一回目の投票で一位となったが過半数に達しなかった。一方、マドリードとイスタンブールは同数となり再投票の結果、イスタンブールが通過。「東京」との決戦投票で「東京」が勝った。この結果、二度目の東京五輪の開会式は七月二十四日。同二十二日に一次リーグを始めるサッカーを除き、競技は八月九日まで十六日間、東京都心部や臨海部を主会場に行われることになった。パラリンピックは八月二十五日に開会、九月六日に閉会する。
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 東京開催は朝、起床と同時に妻から「東京よ」と教えられた。昨夜はNHK総合でイスタンブール、東京、マドリードの順であった各国の最終プレゼンテーションまでは見たが、このところの寝不足、それに昼間の疲れもあって床につき、朝起きて結果を知らされた。
 本心を言えば、「開催都市・東京」の決定には複雑な思いが残る。

 福島第1原発の汚染水問題をはじめ、万一、東京大地震発生に備えての高速道や数多くの橋、建物…の改修といったインフラ整備など、こちらの方が先だ、と思うからだ。そう、「東京」はほかにすべきことがある。
 事実、一部為政者たちの少し〝のぼせあがった〟ような、そんな危ない顔を見るにつけ「東京」ばかりが浮かれていてよいのか、という意識が根底から流れているからである(むろん、アスリートたちの招致への純粋な気持ちには何の不満もない。福島との距離感を言うなら、むしろ「名古屋」か「大阪」でやった方がいいのに。なぜ、「東京」なのか)。

 こうした観点もあり私自身、今回は内心、世界的見地からみてもマドリードまたはイスタンブール、出来たら〝アジアとヨーロッパの懸け橋〟にもなる若き世代中心のイスタンブールでの開催に期待していたのだが…(妻は最初からマドリード)。でも、「東京」に決まってしまった以上は日本中がオリンピック開催に向け、英知を寄せあってひとつ心となってやっていくほかにないのかな、とも思う。

 私自身、テレビから映し出される日本の最後のプレゼンを見ていて何より胸に迫ったのが、被災地気仙沼からやってきた義足の陸上選手、佐藤真海さんの言葉だった。彼女のこのことばこそがIОC委員の多くに感動をもたらし、心を動かしたのかも知れない。
 佐藤さんは3・11大震災に触れ「津波が私のふるさとの町を襲ったとき、6日間、家族との連絡が取れなかった」自らの辛い体験を話しつつ「私は骨肉腫で足を失い、スポーツをしなければ免疫力が低下し命がなかったかもしれません。でも、こうして陸上に取り組んで喜びを感じ、スポーツ力に感動させられました」と続けた。
 さらに「国内外から五百人を超える日本や海外のアスリートたちが千回近く東北の被災地を訪れてくれ、五万人以上のこどもたちを指導し、勇気づけてくれました。私たちはオリンピックの価値の影響力を目の当たりにしたのです。五輪の価値が及ぼす力は言葉より大きい」などと話した。
 このプレゼンを聴くうち私の目からは涙があふれ、この言葉がある限り、思い切って日本でオリンピックを行っても悪くはない。少なくとも日本中のこどもたちに〝夢〟を与えることになる。おそらくスポーツをしている全てのこどもたちが「東京オリンピック」に出たい、と思っているに違いないだろう。「東京」も悪くはない―と、そう思いを新たにしたのだった。

 日本でのオリンピック開催それ自体が、被災に苦しむ東北の人々の復興への道しるべになればよい。そして「東京」での祭典が世界の平和への実現につながり、同時にこどもたちにオリンピック出場への夢を与えることになるなら、それに超したことはない、とも。
 聴けば、広島ではさっそく2020年のオリンピック開催期間中、被爆75周年を記念した原爆ドームへの見学を実現させ世界中の人々に原爆投下による悲惨さを目の当たりにしてもらい、恒久平和を訴えていくことにしている、とのニュースも一部で流れ始めた。

 実際、「2020年東京オリンピック」の開催が世界平和への礎につながるのなら。とても、良いことだと思う。いっそ、〝飢え〟や〝貧困〟〝内戦などの戦禍〟に苦しむ世界の子たちを政府が招き、会場周囲や琵琶湖をグルリ回って、互いに手と手をつなぐ平和の鎖でも作ってみたらどうか。むろん、その輪のなかには安倍首相はじめ。全国会議員が加わったら、いい。

【きょうの一文・ことば】「がんで足を失い、絶望したが、陸上を始めた。上達するにつれて新たな自信を深めた。何よりも大切なのは自分が今持っているもので、自分が失ったものではないと気付いた」=8日付、毎日朝刊『五輪招致最終プレゼン―被災地出身者訴え スポーツが命の糧 パラリンピック3大会連続出場 佐藤真海さん』で佐藤真海さん

【新聞テレビから】
☆『〈世界と日本大図解シリーズ №1111〉鳴き声を楽しもう 秋に鳴く虫たち』(8日付、中日サンデー版)
☆『シリア軍事介入 米上院賛否拮抗 11日にも採決』『否決…攻撃断念の公算大』『可決…下院待たず決断も』『イラン新大統領苦境に 同盟国被害なら強硬派が反発』、『東京の安全首相が強調 五輪招致最後の訴え』『レスリング五輪残留へ 改革評価か』、『大須リンク20日に開業60年 氷上の星育む みどりさん真央選手の原点』(8日付、中日朝刊)
☆『応援ツアー客「東京、東京』『(高円宮)久子さま「被災地支援に感謝」』(8日付、毎日朝刊)

九月七日
 2020年夏季五輪の開催地が東京になるのか。それとも、ライバルのマドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)に落ち着くのか。結果は日本時間のあす未明から早朝にかけ、現在ブエノスアイレスで開会中の国際オリンピック総会の席上、決まる。
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 土曜日。
 母校、南山大学の名古屋キャンパス(山里町)同窓会館の教職員食堂へ。
 先日、柔道部OB会の懇親会なるものの案内状を頂き、恥ずかしながら初めて同窓会館に足を運んで出席した。昨秋、これまた初めて柔道場であったOB会総会に遅れて顔を出していらいの母校である。あの時は、総会こそ既に終わってしまっていたが、1年上の学年で主将だった森川利政先輩に食事に誘われ、感激した。

 でも、きょうの、こうした正式な懇親会なるものに時間通り(正午開始)出席したのは、昭和43年3月に卒業後、初めてで私にとっては大ニュースだ。新聞社の第一線を離れ、〝一匹文士〟として日々慎ましやかに過ごす私にも余裕が出来たということか。
 少なくとも私の在学中の柔道仲間の一人ぐらいには会えるかと期待して出向いたのだが、前後の学年の顔は見当たらず、残念ながらかなわなかった。そういう私自身、卒業後、45年もの長きにわたって出てこなかったのだから、偉そうなことを言えた義理でない。

 懇親会では一番若い江本忠幸さん(昭和61年度卒)から最高齢の藤井秀彦先輩(昭和27年度卒業)まで、出席者一人ひとりが近況と在学中の思い出を順番に笑顔で話されたが話を聞くうち、どの方も今はとても幸せな人生を歩んでいることが、よく分かった。そして誰もが母校わが南山を心から愛し〝誇り〟をもっていることを知り、あらためて私自身もいい大学で学ばせて頂いたことに心から感謝した。

 順番がきた私はマイクを手に次のように話した。
「卒業後はずっと、ブンヤ(新聞記者)をしてきたが紙一重の厳しい取材をここまでくぐり抜けてこられたのも頭の中に建学の精神である【人間の尊厳】という言葉が絶えずあったからだと思う。
 そして、もう一つ。特にサンズイ(贈収賄などの汚職事件)捜査の取材などでデカ(刑事)やタマ(容疑者)をあたった時などに役立ったのは【崩し】の論理の実践だった。すなわち、柔道の技をかけるときと同じで押し過ぎたと思ったら引き、引き過ぎたら逆に押してみる。この崩しの手法が相手の心理を微妙に揺さぶり、結局はゲロさせる(白状させる)ことにつながって特ダネにつながったことが何度もある。……」

 なんだか偉そうなことを言ってしまったが、先輩も後輩も真剣な表情で聞いてくださって嬉しく思った次第である。
 とはいえ、私たちのころは新しいキャンパスに移ったばかりで工事用のハンバを仮の道場に毎日、畳の上げ下げをして稽古に励んだ苦労話とか、私自身1年のころに並みいる巨漢を三段の昇段試合で抜々戦で一挙七人を投げ飛ばし(他に一人は引き分け)て、講道館柔道3段に実力で昇段=むろん、3段なのでその後にあった型の試験もパス=したこと… 
 当時出来たばかりの階級別六十二㌔級で東海四県の学生代表としてユニバーシアードの最終選考会に講道館まで行き、残念ながら早稲田の選手に負けプラハ行きを逃したこと、ほかにオールミッション柔道大会での優秀選手賞受賞、上智との上南戦の思い出など肝心なことについては、何一つ触れずじまいだった。
 帰宅した今は「しまった。俺は一体何を話したのだ」と自問自答している。
 とはいったところで、これもあれも、みんな今となっては通り過ぎた話。私自身の青春挽歌なのだ。

 キャンパスでは四年生で「就職も決まりました」と話してくれた女子学生に親切な道案内をしてもらい、帰りには広いキャンパス内一角のベンチに一人で座り、耳にイヤホンをあて自主学習していたシカゴからきた女子留学生と二言、三言かたりあった。
 南山生活をエンジョイしている世界からの学生になんだかフンワリしたものを感じた。So.Long、さようなら―と言って別れたが、おそらく二人にとってこの瞬間の別れが悠久な宇宙での最後になるに違いない。奇跡が起きない限り、もう会うこともないだろう。 
 人生、異なものである。それだけに、学生時代の先輩、後輩、恩師はむろん、友とか知人は大切にしなければ、とふと思った。

 懇親会では、さらに私にとっては在学時代、雲の上の存在といってもよかった水谷豊さん(昭和33年度卒)から「あ~っ、イガミくんか。君のあの跳ねるような技、よう覚えとるよ」と声をかけられ、水谷さんとは同年の高山純一さんからも「君、イガミくんだったよね」と声をかけられ、感激した。
 また、後輩ながら私の卒業後に入部し今はOB会長としても活躍中の高下高さん(昭和47年度卒)OB会総務として縁の下の力持ち的存在でもある鬼頭勝義さん(昭和48年度卒)ら多くの仲間とも親しく話をさせて頂く機会を得て、心底出席して良かったなと思っている。

【きょうの一文・ことば】「私は若返りとして、この懇親会を楽しみにしている。この会に来ると、〝スウーッ〟と19、20のころに戻っていきます。いつまでも若々しい気持ちを持つことが大切だ。若々しさを保つよう。皆さん! 仲良くしてください。」(藤井秀彦さん)
「僕たちのころ、同学年の目標は昇段試験にチャレンジすることと、左右両方の技をマスターすることだった。ボクも純粋だったけど、みんな純粋だった」(水谷豊さん)=いずれも7日。南山大学名古屋キャンパス同窓会館の教職員食堂で

【新聞テレビから】
☆『運命の時VIP続々 20年五輪開催地あす早朝決定』『首相到着早速ロビー活動』『「最後の一頑張り」応援団現地に』、『国際子ども平和賞 マララさんが受賞=マララ・ユスフザイさん(16歳)。パキスタンで女子教育の必要性を訴えてイスラム武装勢力に銃撃された=』、『海底に地球一の火山 米研究チーム 日本から1500㌔東』、『家康金貨に 英、日本と交流400年で発行』、『舞妓急募 岐阜の「お座敷」に危機』(7日付、中日夕刊)
☆『シリア介入溝埋まらず G20閉幕 米、支持集め難航 米ロ首脳急きょ会談』、『20年五輪開催地あす朝決定 汚染水 東京に逆風 2都市が猛追、大接戦に』、『80歳勢ぞろい 名古屋市役所誕生日』、『世界に旋風さわやか幕 宮崎駿監督引退会見 僕は自由/「ハウル」に思い入れ 一問一答』(7日付、中日朝刊)

九月六日
 Dear、President Obama! You don,t War.I say to you only This.You have to keep World Peace. 
  
 オバマ大統領よ、あなたに、私はここ日本の国から告げたい。いや、訴えたい。
 あなたはシリア政府が化学兵器・サリンを使用したから、といって軍事介入に踏み切ろうとしている。でも、ここでホンの少しだけ私の話に耳を貸してほしい。私は、世界が危機に瀕している今だからこそ、あなたが存在感を示す絶好の機会だと思うのです。ピンチこそチャンスの言葉があります。
 あなたが軍事介入をしようとしているシリア。ここでは政府軍と反政府軍が醜い争いをしている。でも、あなたのひと言で世界が生きもすれば死にもする、ということを今一度胸に手をあて考えてほしい。
 そして議会の承認とは関係なく軍事介入はしない、と約束してください。「米国はシリアには軍事介入しない」ということを。誤った大国の大義だけで意地になってはいけない。あなたの誤った決断ひとつで多くの人々の命が奪われ、戦火がヨーロッパ全域に広がることは目に見えています。軍事介入は、どんな理屈があろうとやめるべきです。人類が繰り返してきた愚かな行為です。

 あなたにかつて与えられたノーベル平和賞とは。一体、何だったのでしょう。
 今こそ、自国の立場よりも世界の人々の安全を最優先に行動すべき時なのです。シリアの人々をはじめ、みな一生懸命に家族の幸せを願って生きているのですから。米国がシリアにもし軍事介入すれば、戦争が戦争の連鎖を、不幸が不幸の連鎖を起こし世界の多くの人々が苦しみ嘆くことは火を見るよりも明らかです。
 ドイツのメルケル首相も「シリア問題は、政治的に終わらせるべき話だ。ドイツは軍事活動には参加しない」と話し、プーチン露大統領に至っては「シリアが攻撃されたら支援する」とまではっきり言っているではないですか。ここはシリアには「これ以上の悲しみと不幸を避けるためにも、軍事介入はしません」とはっきり宣言すべきかと思います。そのひと言で、世界平和への道はぐんと近づき、国家間の距離も縮まるものと信じます。
 へんなアメリカのメンツにこだわることだけは止めてほしい。誤った大国主義の時代との決別を願っています。
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 楽天の田中将大投手が歴代最高の月間MVP11回目を獲得。今夜、Kスタであった日本ハム戦でも途中、苦しみはしたが3―2で勝利し、開幕20連勝、昨年シーズンからだと24連勝という快挙を達成。にもかかわらず、マーくん曰く「本当にほしいものは優勝です」と。こういう姿勢が、とてもいい。

【きょうの一文・ことば】…(これまで何回も引退をほのめかせ)どうせ「まただろう」と思われているようだが。(メガネを取る仕草を見せながら)眼鏡をはずしてこうやって描かなければならない。これを延々とやらなきゃ……僕の長編アニメーション時代は、はっきり終わった。今回は本気です。子どもたちに「この世に生きるに価する」というのが、自分たちの仕事の根幹だと思っていました。…=引退会見で。アニメ映画の宮崎駿監督

【新聞テレビから】
☆『武功夜話物語 その129 武功夜話を読む(須賀弘之) 巻二十一(4)織田信長と生駒氏の女 信長が青春をかけた最愛の妻、吉乃(2)』(9月6日付、尾北ホームニュース)
☆『天高く 東海に青空戻る』、『安倍首相、朴牛とも接触 G20で立ち話 日韓関係改善探る』『「意義大きい」 菅官房長官』、『「シリア政府軍兵士を処刑」 米紙、写真掲載』『マドリード 大接戦か 東京 各国記者注目 原発は社会基盤は』(6日付、中日夕刊)
☆『首相、中韓首脳と接触 就任後初、数分間立ち話』、『韓国が水産物全面禁輸 汚染水漏れ 福島など8県産』、『ドコモもiPhone 顧客流出に歯止め 20日にも発売』(6日付、毎日夕刊)
☆『福島第1原発 タンク漏水、地下水に 東電、汚染を確認』、『G20開幕 シリア介入で対立鮮明 ロ・中・EU反対 米に逆風』、『天理大の暴行問題 柔道部を活動停止に 世界「金」の主将ら解任』、『新聞に軽減税率適用を 文化と民主政治に不可欠 学者ら意見書』、『元トレーラー運転手実刑 横転3人死傷 過失認定 名古屋地裁判決』、『〈訃報〉万愛花さん死去 日本軍の性暴力訴え』(6日付、中日朝刊)

九月五日
 それでも。町の全てが、何もなかったように動いている。昨日、あんなにも雨、風、雷にいじめられた、というのに、だ。
 目の前に広がる町。
 きのうの、あの狂った如き音と光、自然が襲いくる喧騒が、とても信じられない。私はハンドルの前に静かに広がる街並みに、あらためて天気次第という言葉を思い出していた。

 「からだの厚みの中に入るのがヨコ。」。社交ダンスの方は、ジルバ、タンゴ、ルンバ、ブルースと、ひと通りのおさらいに続き、久しぶりにワルツのレッスンとあいなった。ここにきて〝リバースターン〟〝ナチュラルターン〟というものがナントナク分かりかけてきた気がして、ダンスの奥の深さに戸惑ってもいる。「からだの厚みの……」はナチュラルターンのステップを踏むにあたってのアドバイスである。
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 かつての同僚から「遊びに来てください」の添え書き付きで頂いた葉書の内容に「私は来年二月で定年です。伊神さんは悠々自適でしょうが、お体を大事にしてください」の何げない文面。「あ~ぁ。そうか。どんなにあがいたところで、これが悠々自適って、奴かもしれない」。
 そう思うと、なんだかこれまで体内に棲み付いていた魔物みたいな、へんなこだわりのようなものがスーウッと消え、なんと言ったらよいのか。そういったモノがふっきれた気がする。そうだ。悠々自適なのだから、やろうと思えばなんだって出来る…
 でも決して無理しない。自然体で出来る範囲内でやればいい。ニンゲン皆、楽しく遊ぶために生まれていきているのだから。とはいえ、人生まだまだこれからだと思うし、思いたい。悠々自適か。

 妻が帰ってきたようだ。きのうとは打って変わって静かな町を。マイペースで。
 玄関先に自転車の音。音に気付いてそろそろと玄関先まで迎えに出てゆく次女猫のシロちゃん。長女猫こすも・ここは例によって丸くなったまま、高鼾だ。コトリと自転車を置く音がした。本日は、ここいらで。あ~ぁ

【きょうの一文・ことば】私たちは生きるのに精一杯です。でも誰も助けてくれません。シリアの子供たちの未来は、まるで地獄です。=5日夜、NHK「〈クローズアップ現代〉化学兵器疑惑の真相は 緊迫・シリア情勢」の中で。トルコ国境の難民キャンプで男性

【新聞テレビから】
☆『新社殿にささげる実り 伊勢神宮抜穂祭』、『誤45年7月13日夜→正12日深夜~13日未明 「一宮空襲」日付訂正 戦後68年、市が異例答弁』、『宇連ダム貯水率回復 新城渇水対策本部見送り』『「竜巻の可能性高い」 伊勢の突風 気象台が現地調査』『避難者が全員帰宅 愛知と岐阜』、『〈大リーグ〉ダル日本人最多奪三振(240個) 野茂さんのシーズン236超え「光栄です」 6四球苦い記念日に』、『景気判断引き上げ 日銀決定会合 設備投資持ち直す』(5日付、中日夕刊)
☆『115年前の民法規定 婚外子相続差別は違憲 最高裁初判断 家族の多様化考慮 全裁判官一致 法改正迫られる〈解説〉ようやく「子の平等」尊重』、『豪雨名古屋で109ミリ 愛知・岐阜 2万6000人避難勧告 関で1人不明』、『新聞協会賞に7件』『「いつの日も真実に向き合う記事がある」代表標語、茨城の女子高生作品』(5日付、中日朝刊)
☆『「家持ち上げられた」 伊勢で竜巻か 「ゴーッ」渦巻く雲 栄では地下街浸水』、『リニア官庁街地下通過 名駅ホーム 新幹線と交わる』(5日付、毎日朝刊)

九月四日
 土砂降りの雷雨のなかを濡れ鼠となって名古屋から帰った。
 名鉄江南駅からバスに乗ったが、傘をさして乗り降りするだけでも全身ずぶ濡れで自宅に通じる道の途中の交差点は近くの用水の水があふれてか、膝まで水がくる始末だった。なんだか私が悪い事でもして〝雨たち〟に袋叩きに遭っているような、そんな被害妄想にかられた。
 一斉に、それも私を叩きのめすかのように降り注いでくる容赦ない雨。大粒の雨たちの一粒ひと粒が意識を持って、私を攻め立ててきた。

 帰宅してからが、また大変。少しだけ開いていた窓から廊下などに降り注いでいた雨の残骸たちを雑巾で拭きとったあとは、衣服を脱いでシャワーを浴びる―といった具合。全国的にゲリラ豪雨や突風被害が相次いでいるなかで「ここら辺りは大丈夫」という先入観があったが、そうは問屋が卸さなかった。
 この日未明、台風17号こそ鹿児島県指宿市付近に上陸。午前九時には四国付近で温帯低気圧に変わったものの、前線が停滞していたこともあって、尾張名古屋は大変なゲリラ豪雨の直撃を受け、各地で河川が増水。氾濫寸前にまでなり、JR、名鉄両線とも一宮―岐阜、名古屋―新鵜沼(岐阜)間でしばらく運休する事態に。地下街も駐車場に水が溢れて混乱するなど不安な一日となったのである。
 自然には勝てるはずがない。

 台風崩れとはいえ、このところの大気の不安定と天候急変は、日常茶飯事になってきている。日本列島を人間の体にたとえたら、どこかで動脈瘤破裂か何かで血管が切れ破裂したような、そんな錯覚さえ覚えるのである。

【きょうの一文・ことば】†向田さんはお会いするたびに〝人生はあざなへる縄の如し〟だって。幸せと不幸せは交互にやってくるものよ、とおっしゃられていた。=4日夜、NHK総合〈クローズアップ現代「美しいひと・向田邦子 読み継がれる理由」〉のなかで。黒柳徹子さん
†作家としてこれから、という時に亡くなってしまった向田作品の持つ〝人生の上でのかげり〟こそ、多くの人の心を打つものです。あれほどまでに家族、なかでも妹や弟を愛した人はいないのではないでしょうか。=同澤地久枝さん

【新聞テレビから】
☆『白石びっしり ご神体待つ 伊勢神宮 内宮新正殿を公開』、『没後きょう100年 (田中)正造の功績4代の誇り 栃木・佐野「最期の家」市史跡に』、『竜巻の家屋損壊1100棟超 埼玉、千葉 知事、支援制度要請へ』、『天理大柔道部で暴力 部長把握後、全柔連理事に 辞任を表明』(4日付、中日夕刊)
☆『〈特集ワイド〉「藤圭子の新宿」を歩く デビューも最期も「因縁の地」』(4日付、毎日夕刊)
☆『シリア 「政権、人間の盾準備」反体制派に懸念広がる』『化学兵器疑惑 シリア駐ロ大使「反体制派使用」』『難民急増200万人』『「北朝鮮とシリア 化学兵器で関係」韓国国防省』、『ナチス虐殺仏の村慰霊 きょう独大統領』、『〈核心〉「政府主導」甘い見通し 汚染水目玉対策に弱点 凍土壁前例なし 浄水機も不完全』(4日付、中日朝刊)

九月三日
 中日新聞が本日付で全七頁に及ぶ特集式年遷宮〈おごそか大祭まもなく 二十年に一度、来月神様の引っ越し〉を掲載。お伊勢さんの遷宮がいよいよ近づいてきた。
 この特集記事は〈お伊勢参り今昔〉をテーマに落語家桂文珍×皇学館大学教授桜井治男さんによる対談を見開きで掲載、ほかに「おかげ横丁」や「おはらい町」「古市」など、名所とその写真、周辺MAP、年表、広告…、さらには伊勢音頭から「おかげ参り」まで全てを網羅しているだけに、読みごたえと見ごたえがあった。
 さすが、地域社会にとけ込んだ紙面展開である。これなら、読者も満足しているだろう。中から特集の七頁分を抜き取って保存も、持ち運びも自由に出来るよう工夫が凝らされているだけに、納得いく紙面構成だといってよい。
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 きょうは誰かさんの指示もあって、合間の時間を充て〝使用人〟よろしく庭の草取りと育ち過ぎて他の木々に蔦をからませたままのアサガオの伐採、処理に追われた。作業を終えたときは汗でびっしょり、途中でいきなり雨が降り出してきたため、ベランダの洗濯物を入れるなど結構、ドタバタした。帰宅した家人は、そんな私の奮闘ぶりに少しばかりは満足した様子で「意外とやるじゃん」といった表情。
 これからは小説の創作以外には、出来る範囲内でわが家の使用人、いやあまり役立ちはしないが〝お手伝いさん〟〝弟子〟になれたら、とも思っている。

 夜に入り、また雨が降り始めた。この夏は大気が不安定で、天候が急変する事態が日本中で相次いでいる。文明の利器からくる温暖化現象などに原因があるのか。日本列島、いや地球そのものの体質が変わってきてしまったのでは―と危惧している。
 それとも、地球という星が壊れる予兆なのか。それは、神のみぞ知る。

【きょうの一文・ことば】若い時は、一つでも多くのタイトルを取りたいと思っていた時期もあった。でも今はあと何勝したいというより、僕がいることで何かチームのプラスになればと考えて現役を続けている。ここ数年で、そんな心境になってきた。=3日付毎日朝刊、【〈史上最年長の道 山本昌〉記録よりチームに貢献】より

【新聞テレビから】
☆『〈NEWS23〉史上初! 世界初三兄弟同時世界王者 亀田家の夢かなう! 亀田大毅が二階級制覇 判定勝ち』、『スマホ出会い系最前線』(3日夜、CBCテレビ)
☆『シリア アサド氏、米仏介入なら「地域戦争の危険」』『仏、物証なき報告書 「化学兵器使用」と結論』『マケイン氏一転容認に 米野党』『緊密な連携で一致 日米首脳電話会談』、『福島第1 国費470億円投入へ 政府、汚染水対策を決定』、『海老蔵さん主演作 芸術貢献賞 モントリオール映画祭、「利休にたずねよ」』、『「800万円恒久化」提案へ 市長給与市議報酬 名古屋市、9月議会に』(3日付、中日夕刊)
☆『〈特報〉オバマ氏 シリア介入の意向 米戦争への大〝疑〟 「化学兵器」状況証拠だけ 国連決議なし英など離脱 本音は…「中東での影響力維持?」「軍需企業の支持狙い?」』、『〈核心〉地表は夏 気温差40度 上空は秋 積乱雲猛発達 埼玉・千葉で竜巻被害 予測困難 注意情報間に合わず』『猛暑 豪雨やはり「異常気象」 気象庁検討会が分析』
『大飯直下「活断層なし」 破砕帯の評価規制委が一致』『破砕帯位置 関電主張とずれ』、『〈ふくしま便り〉海を渡った折り鶴絵本に』、『IОC (高円宮妃)久子さま総会出席へ 宮内庁「政策関与せず」転換』(3日付、中日朝刊)

九月二日
 九州の鹿児島、福岡県が大雨になったかと思えば、沖縄付近で台風17号が発生。能登半島七尾市でも一時、避難勧告が出された。埼玉県越谷市大杉では、いわゆるスーパーセル(巨大積乱雲)が竜巻となって吹き荒れ、民家の二、三階部分を中心に壊滅的打撃となった。屋根瓦が飛び、電柱が倒壊するなど、分かっただけでも埼玉、千葉両県で百棟が全半壊、六十七人がケガをし家屋の被害は五、六百件にも及んでいる。このほか、両県では一時19400戸で停電、眠れぬ夜となった。
 それどころか。福島第1原発では、汚染水漏れがタンクや配管のあちらこちらで多発。国際社会でも東電ばかりか、国の原子力規制委員会に対する失態を指摘する声が相次いでいる。傷だらけの日本列島。自然の驚異も含めての人間自身の失態。傷口は一体、どこまで広がればすむのか。

 一方で国際社会が軍事介入を危惧するなか、米国はシリア政府が「サリン」を使用していた、と独自調査経過結果を発表。米軍への攻撃命令に先だちオバマ大統領が「人民の人民による人民のための政治」を強調、議会に軍事介入の承認を求めるなど予断を許さない状況で、軍事介入を危惧する声が高まっている。
 今後、オバマ大統領がどんな決断をするのか。それにしても、米軍が軍事介入すれば戦争という不幸の連鎖が広まるばかりだけに、軍事介入はすべきでない。
 人間とは、なんと愚かなものか。つくづく心が寂しくなってくる。世界中の人々が戦争など望んではいない。

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 お伊勢さん(伊勢神宮)。ここで式年遷宮を前に新しく建て替えられた社殿の周囲に市民らが白石を置く「お白石持行事」の全日程がきのうで終わり、同じ一日から富山市八尾町では秋の訪れを告げる「越中八尾おわら風の盆」が始まった。
 
 新聞報道によれば、全日程を終えた、お白石持行事。参加した特別神領民は全国の神社関係者も含め、延べ二十二万六千人に及んだ。お白石持は七月二十六日に内宮から始まり、八月十七日からは舞台を外宮に移し、神領民の引く奉曳車が川や陸路で白石を着々と運びこんだ。猛暑という敵にも襲われ期間中、熱中症とみられる症状で搬送された市民は八十六人にも達したという。

 新社殿にご神体をうつすご遷座祭は内宮が十月二日、外宮でも十月五日にそれぞれ行われ二十年に一度の式年遷宮が、いよいよクライマックスを迎える。
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 「うまくなった」というよりは「少しはふけるようになった」か。
 そう、私の横笛である。あの越中おわら風の盆が開かれている八尾では、今宵、町中に胡弓の音が流れ、天気さえよければ〝町流し〟に大勢の観光客が集まっているに違いない。私にとっても、あの坂の町は永遠に忘れられない、あるひとコマがあった。だから、こうしていても体内を流れる【心の川】を〝かぜたち〟がしなってながれてゆく―

 今だから話せるドラマとは。あの日、突然、訪れた私。その来訪者をお忙しいのにも拘わらず、宿の手配に始まり、翌日の案内までまる二日間をかけ世話してくださった女性がいる。その方を思うとき、あの哀愁の調べが、撓うように、震えてでもいるかのように私の耳元に今なお迫りくるのである。元気でおいでだろうか。

 そして目を瞑る。耳を澄ますと、暗闇から手探りでもしてくるかの如く、あのかすれそうな、か弱き消え入りそうな調べが流れ、からだの中にまで火がつき、忍び寄ってくる――。これこそが、風の盆恋歌の神髄である。この点では胡弓も横笛も変わらない。
 さらに言えば。大気といふ見えない海の中に音が落ちて流れて「仲間にいれて」と恐る恐る入りくる。越中おわら八尾とは、そういった按配の音の流れる、私にとっては、笛の音の理想郷なのだ。胡弓の音に台風が退散し実り豊かな秋が訪れる。とても、よく分かる。

【きょうの一文・ことば】宮崎駿監督のどの作品も国境を超える力がある、と私は思っている=2日夜のメ~テレ【〈報道ステーション〉宮崎駿駿督が引退へ…「風立ちぬ」を最後に 巨匠惜しみ海外でも報道】のなかで、コメンテーター氏の発言。

【新聞テレビから】
☆『団体女子一丸で「金」 世界柔道 日本、男子は「銅」』『個人戦「金」なし 苦しんで最後に歓喜』、『ベネチアも引退惜しむ 宮崎監督「風立ちぬ」上映 撤回期待も』、『モルシ前大統領 検察当局が起訴 エジプト』、『赤の広場で盛岡さんさ 震災時の支援感謝』(2日付、中日夕刊)
☆『電子出版権新設へ 文化庁ネット海賊版対策 著作権法改正』『〈解説〉出版界・著作者おおむね肯定的』(2日付、毎日夕刊)
☆『「富士山噴火」初の避難訓練 静岡』『「安否札」救命切り札 掲げない家住民見回り 「防災の日」訓練 (名古屋市)瑞穂区高田学区8割強の世帯参加』、(2日付、中日朝刊)
☆『ジャカルタ・お巡りさんコン 15万人を魅了』(2日付、毎日朝刊)

九月一日
 わが母校、滝学園(中、高校)の平成25年度同窓会の総会と懇親会が名古屋のウエスティンナゴヤキャッスルであり、高校を卒業して半世紀近くたって初めて顔を出した。新聞社に務めていた現役時代を離れ、今では【素浪人の一匹文士】だ。それだけ余裕ができた、ということか。

 学年単位のクラス会にはこれまでも時間の許す限り、出てきてはいる。
 また後輩に対する講演も一宮主管支局長(現総局長)のころ、させて頂いたことはあるが、あいにく学園全体の同窓会にはこれまで一度も出たことがなかった。いや、案内はきていても他人ごとだと思っていた節がある。ところが、今回はなぜか、どんなものかを見てみたい衝動にも駆られ、きのうになって失礼とは知りつつ1年先輩で滝学園の英語教師でもあった栗本達也先輩に電話を入れ、無理を聞いてもらっての出席とあいなった。

 同窓会総会に続く懇親会は、校歌斉唱、懇親会準備委員長、同窓会長、来賓代表である滝富夫学園理事長あいさつ、来賓・恩師紹介に続き、乾杯の音頭で始まり、途中、連太鼓演奏のアトラクション披露などあれやこれやとあったが、校歌と応援歌「清きまなざし」をそれこそ、昭和39年に卒業していらい歌ったのが、なんとも懐かしく思い出深かった。

 このうち校歌は、♪水上遠き大岐蘇(おおきそ)の/流れは永遠にはぐくまむ/沃野(よくや)尾北にひるがえる/自由の畑ぞ我が母校…というもので4番まで。
 そして。滝学園応援歌〈清きまなざし(西村ひさの作詞 森一也作曲)〉の方は、♪まなざし清き 若者の/意志と 努力の 虹の橋/高く かかげて 戦わん/つくれ 栄誉の アーチをば/滝高健児の 闘士は燃ゆる
 伝統古き 時計台/木犀かおる 庭の芝/つどいて 若き 千五百/謳え 勝利の 讃歌をば/滝高健児の 雄叫び高し
 という内容で2番まで。2曲とも確かに覚えていた。

 懇親会のさなかには、なんだか年代がどんどんと昔に逆戻りしてゆくような、そんな錯覚にもとらわれた。滝学園は二年後には創立満九十周年を迎え、なんでも「ひ孫が滝に入った」と大喜びの大先輩もおいでだとか。卒業生も実に三万人に達したというが、きょうの出席者は三百人前後といったところか。
 やはり、この席に出てきている同窓生らは、民間会社の代表はじめ弁護士、行政書士、新聞販売店の若きオーナー、債権回収会社監査役…と、どちらかと言えば、どなたも人生に対して、より積極的で前向きな面々が多いように私には感じられた。限られた人生。やはり、こうでなければ。
 そういう私とて、これまで学園同窓会には一度も出席せず、むしろ他人ごとの如く無視してきたが、今後は生きていて他にどうしてもという用事がない限り、積極的に出よう、と思った。なにしろ、卒業生百人のうち一人しか出ないのでは、その勢いや推して知るべしだ(むろん、三万人のなかには亡くなられた人もたくさんいるので、単純に計算は出来ないのだが)。頭だけよくても、社会の荒波に積極果敢に飛び込む気概がなければ、偉人も出てはこまい。
 これでは同様に精鋭ぞろいの東海、南山両学園に負けてしまいかねない。人間、頭のよさよりも機知と愛嬌、行動力、親しみやすさで決まってくるのだ。その点、東海勢はしたたかものが多いのだから。油断できない。純粋さもいいが知恵を働かせなければ……。

 ここで一つ、どうしても記しておきたいことがある。
 前述の先輩、栗本達也さんのことだ。私はつい最近になり初めて知ったことだが、彼は食道がんに侵されたが、この厄介極まる難敵を強靭な精神力と努力で見事に退治して克服。いまは数々の地域社会の奉仕活動に貢献されているばかりか、教え子(卒業生)に誘われ、日々俳句づくりにも励んでおられる。永遠の青年と言ってもいい前向きな姿勢が、とても刺激になった。
♪もみじ谷木漏れ日までも朱に染まり
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 ちなみに、一宮市萩原出身のあの青春歌謡歌手舟木一夫さんの【高校三年生】が爆発的に大ヒットした年、私は高校三年生だった。当時、滝学園の自転車置き場で舟木さんはじめ、高田美和さん、姿美知子さん、倉石功さん…ら若手人気俳優のロケが行われていたことをよく覚えている。何度も何度も自転車置き場で転んで見せる舟木さん。
 私は柔道着に身を包み黒帯姿で「なんだ、こやつらは」と思っていたが、今となっては忘れられない良き日々でもあった。合い席となったテーブルを囲んで年下の同窓生にこんな話をして聞かせると、「へぇ~、そうでしたか」と聴き入る顔がまた何とも可愛らしくておかしくもあった。

【きょうの一文・ことば】「ワシャ、七十九歳になるが、いくら練習して鍛えに鍛えたからだでも、年には勝てないことがよく分かった。年には勝てん、とはよう言ったものだ。それにしても日本の柔道界は何をしてるのだ!」=同窓会の帰り道で。柔道部の恩師・斎木哲夫先生(元愛大柔道部主将で、東海の雄。かつては日本柔道界の星。日本選手権出場も何度か)

【新聞テレビから】
☆『シリア市民レバノンへ脱出 「攻撃終わるまで戻らぬ」連日1万人以上』、『中電3年連続余力 「浜岡」抜きで猛暑もクリア やはり「原発いらない」』、『藤波10勝 セ高卒新人江夏以来46年ぶり 悪条件で真価 修正能力新人離れ』『村田月間46安打 セ新』、『首相ブレーンまた異論 消費税上げ幅抑制提案 点検会合終了』(9月1日付、中日朝刊)
☆『三重・中3殺害 犯人に土地勘か 県警 尾行の可能性も』『通夜 友人ら別れ悲しむ』、『東京女子大 方言チャートサイト 出身地の的中率8割 「家におらん」はい?いいえ?』(1日付、毎日朝刊)

13年9月1日

ウェブ作品集

伊神 権太

実録随想「残り花」

平成二十五年九月二十五日
 あすから、しばらく姿を消す。自分自身に納得いく文章を書くためだ。どこへ行くか、は読者の想像にお任せしたい。ペラペラ喋ると、その分うすっぺらな表現に変わってしまい私自身の文がどこかに逃げていってしまう、そんな気がするからだ。

 いったん作家が消えて現れ出たStory。これをどう料理するか―は、いろいろ考えた末、本欄での連載もあわせ、今少し書き進んだ段階で決めたい。それでは、皆さん。しばらくの間、さようなら。お元気で。
        ◇        ◇
 伊神権太の連作長編小説「マンサニージョの恋」(クリックしたら、見られます)=全国書店とアマゾンで発売中
 
マンサニージョの恋
・幻冬舎ホームページ
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        ◇        ◇
【きょうの一文・ことば】嬉しやと二度(ふたたび)さめてひと眠り うき世の夢は暁のそら=25日付中日夕刊小説〈水軍遥かなり〉から。家康の辞世の歌

【新聞テレビから】
☆『〈式年遷宮〉荘厳 新旧社殿並ぶ』、『タイ・パタヤ 旅行客目当て治安悪化 路上生活子ども数百人 警察の一部 マフィアと癒着のうわさ』、『浜岡再稼働申請へ』『4号機年度内に』『中電追加耐震化を発表』、『中学時代のいじめ認定 一宮の訴訟 担任の責任も 地裁支部判決』、『安城放火 懲役4年6月 地裁岡崎支部判決「常習性は顕著」』(25日付、中日夕刊)
☆『イラン大統領 「核開発は平和目的」 国連演説 協議再開に意欲』(25日付、毎日夕刊)
☆『お伊勢参り900万人突破 遷宮人気、早くも年間最多』、『地下鉄どこでも携帯通信可能に 名古屋で3社』、『取り残された記憶 伊勢湾台風児童1700人の作文 南区の白水小 個人情報の壁 保存法悩む』『首にカーテン苦しむ父 当時小3の松屋さん「災害今も怖い」』(25日付、中日朝刊)

九月二十四日
 伊勢神宮の内宮できょう、建て替えた新社殿を拭き清める「洗清(あらいきよめ)の儀」が営まれ、クライマックスのご神体を移すご遷御祭(内宮が10月2日、外宮は5日)が、いよいよ目の前に近づいた。

 岐阜市で真夏日が続くなど残暑が残るなか、名古屋駅近く銀杏並木で知られる桜通りでは銀杏が黄色く色づくなど、このところ、この地方の街中は日に日に秋らしくなってきている。

 毎日新聞朝刊によれば、東日本大震災の津波に襲われた宮城県石巻市南浜町の荻原哲郎さん(75歳)の自宅跡できのう、バイオリンなどが奏でられ、行方不明になった妻友子さん(当時73歳)ら犠牲者の霊を慰める追悼演奏会があった。神戸の音楽グループが荻原さんの悲嘆を知って、雑草が茂る被災地で実現したという。
 長女や孫らと聴き入る荻原さんが「おっかあ、おっかあ。返事をしてけろ」と涙を流すなか、友子さんが好きだった【ふるさと】など鎮魂の調べが被災地を伝って静かに流れた。

 妻の定期受診に付き添って江南厚生病院へ。
 帰り際に、いきなり傍らで「コンニチハ」の声がするので振り向くと、そこには、ちょくちょく昼食に出向く喫茶〈蛍〉の中国人若夫婦が立っているではないか。主人の腕には最近、産まれたばかりの〝米(み)しゃん〟ちゃんが抱かれており「(日中双方とも)互いに仲良くしたいものですね。〝ミシャンちゃん〟が大きくなって友好の橋渡しになってくれるといいですね」と話し合い、笑顔で別れた。
 夫妻は私の本まで宣伝してくれ、いつも私にとても親切にしてくれるばかりか、互いに冗談を言い合う仲でもあるだけに、思ってもいなかったハプニングが嬉しかった。

【きょうの一文・ことば】(カンヌで好評を得たのは)「欧米では養子が珍しくないので、血縁か育ての親かという選択を自分に置き換えてみてくれたからではないか」=24日付中日夕刊『実の子か、育ての子か きょうから先行上映〈そして父になる〉是枝裕和監督、日々の思いを物語に 息子の「取り違え」判明し… 主演・福山雅治の目線優しく』の記事中で、是枝監督の発言

【新聞テレビから】
☆『〈式年遷宮〉神の新居 ピカピカ 内宮で「洗清』、『中国が対北禁輸リスト 異例の公表 核兵器関連物資など』、『政調費問題 小出愛知県議が辞職願 架空支出さらに3件』(24日付、中日夕刊)
☆『半沢直樹 最終回41・8%』『名古屋地区視聴率「(家政婦の)ミタ」超え』、『クリントン氏=前米国務長官=「大統領選出馬検討」 米誌インタビュー』『酒井雄哉さん死去 大阿闍梨「千日回峰行』2回 87歳』(24日付、毎日夕刊)
☆『独総選挙 メルケル与党大勝 首相3選へ』『「大連立」目指す』、『注意書きの多い地図 岩石記す 宮沢賢治直筆と推定』、『競泳北島選手が結婚』、『〈世界レスリング総括〉メダル女子4、男子0 新ルール適応で明確』(24日付、中日朝刊)
☆『被災者支援法 対象外自治体が批判意見 「切り捨て」住民切実 放射線健康不安抱え 「秘密体質」に不信感』(24日付、毎日朝刊)

九月二十三日
 秋分の日。ことし生誕百年を迎えた童話作家、新美南吉ゆかりの「二百万本の彼岸花」が愛知県半田市と阿久比町の境を流れる矢勝川で見ごろを迎えている。一帯を赤く染めるヒガンバナたち。
 そして。「秋彼岸 お墓参りに行きましたか?」と、お墓・墓石(累代墓、夫婦墓、個人墓、永代供養墓など)の紹介を兼ね、朝刊1面下の5段広告で呼びかけているのが、きのう旅から帰った妻が手に持ち帰った22日付南信州、信州日報の両紙である。
 同じ22日付の信毎を開いてみる。あった。
 29面の生活情報面。1ページをあて東信、北信、中信、南信別に亡くなった方々を紹介するお悔やみコーナーだ。【中信 松本市 大日方ちづ子さん(おびなた・ちづこ)21日、93歳。自宅は中央1の16の8。葬儀は24日午後1時、宮渕の松本法祥苑。喪主は…】といった具合だ。
 私自身、かつて新聞人として能登や大津など各地方で〝お悔やみコーナー〟の大切さを力説し任地が変わるつど、このコーナーの充実に力を込めた。一人の人生、すなわち〝人間花たち〟の死は、計り知れないほど重いからだ。秋分の日にすっかり忘れていた〝お悔やみコーナー〟を思い出させるとは。まさか、そこまで頭に旅先から新聞を私に持ち帰ったのだろうか。
 ただ信毎さんには、ひと言でいい。コーナーに「お酒が大好きで、とても優しい夫でした」など。生前の人となりを近親者らに語らせてほしい。私たちは実際、現役時代に紙面化していたが結構取材は大変。時には殺しやサンズイ(汚職)よりも苦労する。でも、遺族にとって永遠の絆になる。記者としての使命も果たせる。

 悲しい過去ばかりを書いた。小牧にいたころ。社会福祉ひと筋の道を歩んだ故Kさんを思い出す。Kさんは、お彼岸になるとは決まって「うちの女房がこしらえたので。よかったら食べて」とぼたもちを通信局まで持ってきてくださった。これまた妻の「ねえ。Kさんのこと。覚えている」の言葉に「あぁ~、そういうこともあったな」と私。彼岸は懐かしい顔とともにやってくる。
 というわけで、ふたりでお墓参りに出かけた。道すがら彼女曰く。「私がいなくなったら、海に散骨してよね」と。ヨシッ、わかった。と私。

【きょうの一文・ことば】『〈なんだい/取り上げたゼニの この使いぶり/いったい ぼくらのゼニを/なんとおもっているのだ〉』=23日付中日朝刊中日春秋から、1978年に亡くなった雑誌「暮しの手帳」編集長だった花森安治さんの言葉

【新聞テレビから】
☆『消費税10%は再度判断 首相、8%後の経済注視』、『JR北海道 レール異常放置97カ所 全域に拡大、本線でも』、『中国 薄被告に無期懲役 重慶市元トップ 政治腐敗に厳罰』、『母親の乗用車にひかれ4歳死亡 松阪の駐車場』、『〈通風筒〉◇…徳川家康が生まれた愛知県岡崎市と、家康にゆかりの深い浜松、静岡市の商工会議所が初めて共催した「家康公検定」が二十二日、三市で実施された。六歳から九十歳までの千二百二十六人が受験し、四択形式の百問に挑んだ。』(23日付、中日朝刊)
☆『原巨人連覇 竜あすにもCS消滅』『若竜よ この悔しさ忘れるな』『大敗(DeNA8―1中日)に守道監督激怒 「一番腹の立つゲームや」』(23日付、中日スポーツ)

九月二十二日
 手元に珍しく信濃毎日、南信州、信州日報の三紙がある。

 いっとき〝飯田線の女〟になっていて帰宅した妻が「ホラっ、」と買ってきてくれた。駆け出しが北アルプスを管内に持つ松本支局だっただけに、信濃の国とはいえ、南信はあまり知らない。とはいえサツ回りのころ、ライバル紙の記者と張り合った土地だけに、信毎を手に感慨深い。

 母が話したい、というので出向くと「作ったから」と昼食を食べさせられた。おふくろの味に「うまいよ」とおだてると、「おまえ、どこへ行くんだ。これが最後の食事になるかしれんよ。まあ、いつ死んでもいい。楽に死にたいな」と脅され、帰宅したあとに妻が新聞を手に帰ってきた。
        ×        ×
 
 新聞各紙の報道によれば、シリア内戦では、反体制派の武装組織間で主導権争いが激化、ここにきて国際テロ組織アルカイダ系集団が勢力を拡大、北部の要衝を制圧し、それまで支配していた「自由シリア軍」を排除した、という。
 かと思ったら、パキスタンでは反政府武装勢力タリバンのナンバー2を釈放、タリバンとの和平交渉を望むアフガニスタン政府の求めに応じた措置だという。またイラクの首都バクダッドでは自動車爆弾が爆発する爆破テロが起き、五十人が死亡し多数の負傷者が出ている。
 ケニアの首都ナイロビ中心部にある高級商業施設。ここでも「アッシャバーブ」を名乗る武装グループが侵入し警官隊との間で激しい銃撃戦となり五十九人が死亡。二百人近くがケガをしたという。これらは、ここ二、三日の間に各地で発生した事件で世界は相も変わらず混とんとしている。
 私はこうした不幸が発生するたびに思う。「一体全体、何が真実で正しいのか」と。

 こうなること自体が見えざる神の手によるもの、と思わざるを得ない。あ~ぁ―。分からない。犠牲に遭った無垢の市民たち。これさえもが運命のひと言で片づけられて良いのか。

【きょうの一文・ことば】「君の為なら死んでもいいと言ふ人のついに現れず卒寿迎ふる」=9月22日付信濃毎日新聞朝刊【〈元気100歳時代〉悲しみ短歌と書道があったから乗り超えられた 心詠む奥深さ筆動かす】の記事中、松本市蟻ケ崎、召田(めすだ)あつしさん(96歳)の短歌。ついでながら召田さんの〈健康長寿3カ条〉は一、ユーモアを忘れない 一、人の話をよく聞く 一、好きなことを続ける

【新聞テレビから】
☆『原発汚染水危機打開へ 〈漁業者の思い代弁 いわき市漁協組合長 矢吹正一さん〉 英知・総力集めて 共産党が緊急提言 東電は破たん処理・国が全責任を』、『〈ブラック企業 連続追及〉ワタミの介護 条例違反事故隠し 労基署サービス残業是正勧告』(しんぶん赤旗日曜版 9月22日号)
☆『16歳高梨GP連覇 ジャンプ女子、最終戦残し』、『福島の原発作業員 「東京五輪ありき」懸念 「無理な工程組まれるのでは」』、『TPP(環太平洋連携協定) 日米、医薬品共同提案へ 新薬特許権、新興国に配慮』、『JR函館線で貨物脱線 レール幅異常 1年弱放置 国交省特別監査』、『兄と弟 見分けつく? オカザえもんに代役 市「顔が違う」■ファン「…」』
☆『脱線事故 レール幅拡大1年放置 JR北海道 他に8カ所』『レール幅拡大 JR北、放置理由未聴取 「現場がバタバタ」』『専門家「考えられぬ」』、『国連総会あすから首脳級会合 シリアが焦点 イラン(ロウハニ)大統領の対話外交に注目』、『成田空港免税店員 玉木宏さんの伝票投稿 撮影しツィッターに』(22日付、毎日朝刊)

九月二十一日
 名古屋のガーデンパレスであった【竹中忍小説集「春愁」「青銅鏡」を語る会・『北斗』創刊六百号記念会】に会費六千円也で出席したが盛況で、料理もひと品ずつシンプルに食べやすく出されて、おいしかった。

 この日は先に出版された「北斗」主宰でもある竹中さんの小説集を主題に、その作品世界について文芸評論家の清水信、勝又浩の両氏が語る小講演会を皮切りに始まった。続いて三田村博史中部ペンクラブ会長(「文芸中部」代表)らによるスピーチも。このあとこの地方の文壇仲間も加わっての交流会へと移り、ピアノ演奏、スピーチ、詩の朗読(宇宙詩人のみずしなさえこさんが清水信さんの詩「いらない」を朗読)、同人・石川晴子さんによる仕舞「芭蕉」披露、竹中夫妻への花束贈呈と続いた。

 私自身はといえば、久しぶりに清水信さん(93歳)の元気なお姿に接することが出来、うれしかった。また日々たゆまぬ同人誌活動でこの地方の文学を支える、多くの方々にもお会いでき、出てよかったと思っている。

 このうち語る会で勝又さんは、竹中さんの作品世界につき気になる〈〝を〟表現〉を指摘。「〈〝を〟表現〉が多いのは、竹中さんがあまりに早くから小説を読み過ぎた早熟性からきているのでは。また竹中小説は最後の5、6行で私小説でなくなってしまっている。全体に新聞の社説を読んでいるみたいで、彼は詰まるところ、社会派なのだ―とつくづく感じました」の弁。
 楽しいスピーチが繰り広げられたが中部圏を代表し、かつリードし続ける同人誌「北斗」の存在の大きさと偉大な継続力、そして同人の情熱を指摘する声が相次いだ。
 最後は竹中さんが「清水先生からは〝の〟、勝又さんからも〝を〟が多い、と指摘されました。先輩たちの足跡を汚さないよう、また新たな一歩を踏みしめたい」と謝辞を述べ、同人を代表し駒瀬銑吾さんが「650号の記念の集いもここで、また開きましょう。皆さん、ありがとう」と呼びかけ終えた。
        ◇        ◇
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        ◇        ◇
【きょうの一文・ことば】(竹中作品について)〈愛〉〈恋〉の表現がやたら多いのは。どうかな……。/○○文学みたいに分厚い同人誌もあるが大体皆さん読みなんかしない、のでは。この点「北斗」は薄いので手ごろで読みやすく、読もうという気になる。我々見習わなければ、ネ。/同人との連絡、さらには編集を続けられている棚橋鏡代さんのご努力は大変なものだ。棚橋さんのおかげです。=「北斗」創刊600号記念会で。三田村博史さん

【新聞テレビから】
☆『〈文化〉賢治の詩を英訳 ロジャー・パルバースさん(作家・演出家)困難と向き合う力に』、『TPP交渉 四カ国関税全廃提示 豪など日本の「聖域」けん制』、『離散家族再会を延期 北朝鮮、韓国与党に反発』、『警察施設にロケット弾 トルコ首都』(21日付、中日夕刊)
☆『〈eye〉浅草六区新しい風 再開発進む街とレビュー劇団「虎姫一座」』、『シリア化学兵器 日本、査察要員派遣へ 国連、各国に要請』(21日付、毎日夕刊)
☆『パパをかえして 事故で別れ名古屋の小4・柚祐ちゃん』『当時5歳「同じ思いをする人増えないで」 きょうから秋の交通安全運動』『〈柚祐ちゃん作文〉ぱぱのちを、てにためました/やくそくしたので、なきません』、『学力テスト 平均以上の校長名公表 静岡知事、五十音順で86人』、『愛知県警倉木容疑者 佐藤被告が頻繁接待 14年前 別の警官仲介』『情報漏えい 捜査本格化の最中に』(21日付、中日朝刊)
☆『5兆円経済対策 復興費剰余金も活用 企業減税1・2兆円規模』(21日付、毎日朝刊)

九月二十日
 けさの朝刊(中日)。富士登山をする中秋の名月の写真は圧巻だった。写真説明は〈富士山の背後に浮かび上がる中秋の名月〉とあったが、出来たら、この先どのように月が〝富士登山〟をしていったのか。ドキュメント仕込み、オムニバスの連続写真を見てみたかった。でも、これは難しいかも。月が登山とは、面白い。

 先の台風18号。京都や福井、滋賀などに多大な被害を与えたが、琵琶湖が溢れたといった報道だけは耳にせず、ホッとしていた。が、溢れはしなかったが無傷というわけにはいかなかった。琵琶湖とて、人の子同然。あの凄い雨で増水していた。というのは、けさの朝刊に【びわ湖レガッタ増水のため中止】という小さな告知記事があり、これで被害こそ最小限にとどまったとはいえ、母なる湖も実は大変な危機にあったことを知った。
 記事は「大津市の琵琶湖漕艇場で21、22日に予定されていた第五十九回中日旗争奪びわ湖レガッタ大会は、台風18号による増水で参加者の安全確保、競技運営の見通しが立たないため中止します。滋賀県ボート協会」というものだった。
 大津支局時代に、同僚とともに伝統のこのレガッタに関係したスタッフの一人として、大会の中止だけですんだことに胸をなでおろしている。

 夜。メ~テレの報道ステーションで『▽黒澤明死して15年…直筆ノートに記されたおごる現代人への警告』を見た。原発事故や富士山の大爆発を現実問題としてとらえた〈赤い富士〉など、その先見の目の確かさには、あらためて敬愛の念を抱いた。いま福島第1原発事故では、黒澤映画の警告と寸分たがわない地獄絵図が繰り広げられている。次に富士山が爆発するかもしれない。黒澤監督が今も生きて、守ってくれているような錯覚にとらわれた。

【きょうの一文・ことば】
 敢えて、抗う。
 ≪―緑雨の前に、緑雨なし。緑雨の後に、緑雨なし―≫。

 はなはだ無謀ではあるが、≪―緑雨の後に、我れあり―≫
と、天地天命に誓って宣言する。
       =北斗創刊第600號記念號、〈緑雨の後に我れあり 尾関忠雄〉より

【新聞テレビから】
☆『〈ナビゲーション〉富士山この夏の異変』(20日夜、NHK総合)
☆『きょうから動物愛護週間 優良飼養者を表彰〈25日〉』(20日付、尾北ホームニュース)
☆『吉田V14 レスリング 世界選手権・五輪 伊調は11度目』『「私が勝たなきゃ」五輪競技に存続 先導役の責任感』、『いわき 震度5強』、『キーン氏記念館=日本文学研究者で、日本国籍を取得した米コロンビア大名誉教授ドナルド・キーンさん(91)の業績を紹介する「ドナルド・キーン・センター柏崎、新潟県柏崎市=完成』、『〈写真グラフ〉全日本学生フォーミュラ大会 若い頭脳と技術を搭載』、『台風で不明 母子遺体か 津・芸濃のダム湖で発見』、『新型iPhone秋の陣 ドコモ参戦 店頭に行列』(20日付、中日夕刊)
☆『「日米同盟は平和の礎 次期大使指名 ケネディ氏=キャロライン・ケネディ氏。55歳。父親は故ケネディ米大統領=所信 上院委公聴会』、『愛知県警警部=倉木勝典容疑者、捜査1課=を逮捕 捜査情報漏えい容疑 警官脅迫事件被告に』、『福島第1原発 首相5、6号機廃炉要請 東電社長「年内に判断」』、『基準地価 三大都市圏の商業地上昇 0・6% 名古屋圏は住宅地も』(20日付、中日朝刊)

九月十九日
 名月や兒たち竝ぶ堂の縁   芭蕉
 月の友三人を追ふ一人かな  虚子

 わが家のベランダから撮影した中秋の名月
 

 みごとな十五夜お月さん、それも満月と重なった(次の中秋の満月は八年後の2021年9月21日)。
 というわけで、月見だんごと〝跳(はね)うさぎ〟なるチョコット変わった和菓子を、近くのスーパーとコンビニで買って母のもとへ。ところが、不在だったので食卓の上に「母上へ きょうはお月見ですので持ってきました。食べてください」とだけ書いたメモを残して帰宅した。
 お姉さん(兄嫁)に電話で聞くと「お母さん、確か。きょう、あすはお出かけのはず」とのこと。母は母で気の合ったお友だちと結構、楽しいお月見に行っていると思い、ホッとして帰宅した。夜になり、二階ベランダから仰ぎ見るお月さんは、ことのほか美しかった。
        ×        ×
(朝)
 カーテン越しに朝の光りが射してゐる。私は思う。いつも私たちはその光りのなかに居る。生かされているのだ、と。光りは、さわやかな秋のかぜたちまでも含んでおり、心なしか弾んだ色にも見える。白の射光のなかに、目には見えない彩色がみてとれるのだ。こうした光りの粒たちが幾千万、幾億兆…いや、無限の明るさでいつだって、この世の私たちを照らしてくれている。

 きょうは、詩のようなものを書いてみた。
【漂流者たち】
 ♪ハンドルを手に車窓を見やると、あっちからも、こっちからも年寄りたちが歩いてくる/私もそのなかの一人、普通の年老いた男/歩いている男たちを見ると、なんだか表面上は皆、取り繕ってみえる/でも、実のところは誰もがこの非情な海のなかにぶち込まれて、することがなく右往左往している/なぜか、そう見えてくる/でも、みなそれなりに忙しそうな風体を装っている
 ♪これは男に限っての話/女性の場合は、誰もが自然体に見え自転車を漕ぐ姿も堂々としたものだ。……
 ♪あちらにも、こちらにも帽子をかぶった漂流者たちがいる/サングラスに白いズックの男が通り過ぎて行く。帽子をかぶった男が歩いている/目的も何ひとつ無いのに、だ。一体、どこへ行くのだ。なぜ帽子なのか。それも分からない

 漂流者たちは、このまま六十代、七十代、八十代と日々、天然濾過され蒸留、浄化のすえ枯れ果てて九十代へと突入していく。母の齢(九十三歳)になってしまえば、もう無添加物も同然、怖いものなしの、また新しくて初々しい人生が始まるのかもしれない
        ×        ×

 このところは愛読書の文學界、そしてこの地方の文芸誌「北斗」を肌身離さないでいる。どちらも私にとっては、教本的存在だからだ。その「北斗」創刊六百号記念会(兼ねる竹中忍=「北斗」主宰=小説集「春愁」「青銅鏡」を語る会)が二十一日に迫った。
 
 相変わらず社交ダンスのレッスンには欠かさず出ている。きょうもジルバ、タンゴ、ルンバ、ワルツと学んだが、ステップを踏めば踏むほど奥が深くなっていく一方である。おかげで、ナチュラルターン、リバースターンなるものが、どんなものかが今になって少し分かるようになった。
 きょうはレッスンのあとに、この道十年近いベテラン受講生、タカちゃんとフルちゃん=いずれも女性=に先生から愛知県インターナショナルダンス教師協会認定のブロンズ像の資格証明書が拍手のなか贈られ、二人とも、とても嬉しそうだった。
 継続は力なり、の為せる技で私自身、結構な刺激となったのである。タカちゃん! そしてフルちゃん! 心からおめでとう。

(夜)名月の下。「邯鄲(かんたん)が〝フィヨロ〟〝フィヨロ〟、〝ル、ル、ル〟〝ルッ…〟と鳴いているわよ」と家人。わが家の周りの草むらで鳴いているのは、何も蟋蟀(こおろぎ)だけではなかった。
 ♪袖囲ひして邯鄲を聴きゐたり  山田みづえ
        ◇        ◇
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        ◇        ◇

【きょうの一文・ことば】「もっ、もう一度やってくれ」。悲痛な叫びが、警察署の裏口に響いた。容疑者の連行シーンに記者たちがカメラのシャッターを切った。震える声の主はフィルムが空回り。二十五年も前の無情。=19日付中日夕刊〈夕歩道〉から

【新聞テレビから】
☆『〈クローズアップ現代〉再発・転移を防ぐカギ 発見! がん幹細胞』(19日夜、NHK総合)
☆『登坂V 世界レスリング 20歳初の女王』『「東京」見据え 速攻で昨年の雪辱』『〈世界レスリング「金」登坂〉泣き虫笑って女王 昨年「銀」に涙 両親に成長見せた』、『加藤コミッショナー辞意 プロ野球 統一球問題で批判』、『米量的緩和縮小見送り FRB(米連邦準備制度理事会)景気の先行き懸念』、『日航のB777機タイヤから煙 新千歳空港』、『東京ゲームショウ開幕 家庭向け新型機充実 プレステ4、XboxOneお披露目』(19日付、中日夕刊)
☆『リニア路線案 名駅新ビル地下に駅舎 新幹線 乗り換え最短3分』『東・名を40分 都市圏変容』、『岩瀬382S 日本選手最多 大魔神・佐々木の記録抜く』、『豊橋技科大 国立大初 海外キャンパス マレーシアに12月開設 現地企業で学生訓練』、『比南部占拠の武装集団 資源めぐり和平反発 事件10日目なお多数人質』、『〈ニュースメーカー〉オーストラリア新首相 トニー・アボット氏 親日派「怒れる修道士」』(19日付、中日朝刊)

九月十八日
 嬉しいニュースがある。
 中日ドラゴンズの岩瀬仁紀投手が今夜、ナゴヤドームであった巨人戦で今季36セーブ目を挙げ、通算382セーブと日本人最多記録をつくった。たいしたものだ。中日は3―2で巨人に勝ち、高橋聡が2勝目をあげた。巨人の沢村投手は4勝10敗。岩瀬投手にはファンクラブ事務局に在任していたころ、ファンクラブ会員による月間MVP表彰式の際などにお会いしたことがあるが、それは謙虚で前向き、誠実な人柄だったと記憶している。
 382セーブに至るまでに、山あり川あり…で、どれほどの苦闘があったことか。それは、おそらく本人とご家族にしか分かるまい。敢えて言えば、あの元監督落合博満、そして高木守道現監督が陰の労苦を少しは知っているかも知れない。いずれにせよ、おめでとう、イ・ワ・セ!
       ×        ×

 トヨタ中興の祖・豊田英二さんが亡くなって、クルマに関して思い出すことが多い。
 それは、これまで私が運転してきた歴代のクルマである。一番懐かしいのが、かつてトヨタのヒット作・初代カローラ(排気量1100cc)の向こうを張っていたライバル社・日産のサニー(1000cc)である。このサニーには語り尽くせないほどの思い出がある。

 わが家は厳格だった今は亡き父が国家公務員。それも税務署の査察官、〝マルサの男〟だったのでお金なぞ、とんと縁がないものとばかり思い込んでいたのだが…。ある日突然に、何を思ってか新車のサニーを買ってしまったのである(今となれば、私が大学に入学すると同時に免許を取ったからかもしれない。父から私への無言の親ばかプレゼントだったような気もする)。
 貯金をはたいたのか。それとも、日経新聞を手元から離さず経済にとても詳しかった父のことだ。いつも、研究に余念がなかった株でもうけた蓄えの中からか、それとも私の母が得意としていた裁縫でたんまり稼いだお金が人知れず、わが家にあったのか。
 どこでどうなったのか、は知らない。

 でも、理由はともあれ、私の大学入学と同時に父はいち早く家族の足として新車サニーを購入。当時免許をとりたてだった私は気が向けば、名古屋の大学まで、その新車で通学したものだ。事情を知らない人々は、わがキャンパスを〝おぼっちゃん大学〟と呼び、その年には東京オリンピックも開催される―など高度成長時代のど真ん中のころの話だ。
 確かに日本中が大きなうねり、上昇気流の勢いの中にあるのを、こどもながらに肌でひしひしと感じていたものだ。
        ◇        ◇

 その後、私は就職後最初のうちは駆け出しとなった松本支局に置かれていた125ccの取材用オートバイに乗っていたが、やがて出たホンダの新車N360を購入。次の任地・伊勢志摩に着任すると、今度は父と学生時代への思い入れが強かった新しいタイプのサニーを新車で買ったのである。
 あのころは、車のフロント横のアンテナに新聞社の旗をなびかせ、さっそうと志摩半島から鳥羽、伊勢一円、さらには遠くは南島町まで走り回った。40年前の遷宮取材のころの話だ。

 私は、その後も2度、3度とクルマを買い替え、地方記者時代は掛け替えのない【取材の足】としてつかったものだ(後年、役職についてからはタクシー利用が主流となり、クルマは休み以外にはほとんど乗らなくなった)。
 ついつい懐古調になってしまった。要するに、クルマにはその時々、その人その人のドラマが染みついている。このことを言いたかった。
 私自身、松本から上高地までオートバイで往復した取材に始まり、上高地からの帰り道に急こう配のカーブで購入したばかりのホンダN300がカーブミラーと激突。急死に一生を得たこと(この時は遊びに来た妹を乗せており、一瞬ヒヤリとした)、水害取材の応援で阿児から伊勢に向かう途中、どんどん水没していくサニーを間一髪の判断で高台に置き、腰まで水に浸かって支局に辿り着いたこと……
 さらには何台もの暴走族風の車に追い回されたり、取材現場に急ぐあまり速度オーバーで止められ切符を切られたり、果ては能登半島地震発生の際には雪深い道を半島突端の珠洲まで恐る恐る何時間もかけ急行、そのまま10日間ほど現地取材班のキャップを務めたこと…等など。
 思い出は尽きない。
 なんだか、クルマの話が取材の話に変わってしまった。

 どうしても最後は取材の話になってしまう。夢と同じだ。毎晩の如く何かを追いかけている私が、そこにはいるのである。これは地方記者を巣立ったものの宿命かもしれない。
        ◇        ◇

【きょうの一文・ことば】私を子ども扱いするのなら/地球、お前を産んでみせよう。=18日付中日夕刊『詩をお届けポエドル 最年少「中也賞」文月さん オーディションに挑戦』の記事中、文月悠光(ふづきゆみ、22歳。早稲田大学教育学部4年)さんの第二詩集「屋根よりも深々と」(思潮社)から引用=

【新聞テレビから】
☆『〈クローズアップ現代〉拡大するブラック企業 社員使い捨ての闇』(18日夜、NHK総合)
☆『リニアルート公表 JR東海来年度着工へ前進 名古屋―中津川市千旦林―飯田市上郷飯沼―甲府―相模原―品川 名駅 地下30㍍』『沿線まちづくり本格化』、『ブラジル大統領 抗議の訪米延期 「通信傍受、説明ない」』、『シリア問題打開へ協議 国連総会開幕 総長、協力よびかけ』、『あきたこまち30周年 壇蜜さん=同県横手市出身=で売り込め』、『上原(米大リーグ、レッドソックス投手)止まった 連続の打者アウト「37」無失点試合「27」』『今季初黒星「悔しい」』『マー君に米から熱視線 エンゼルス関心現地紙が報じる』(18日付、中日夕刊)
☆『〈特集ワイド〉震災が俳句を変えた―黒田杏子さんに聞く 季語の力 ――さくらさくらさくらさくら万の死者=岩手県大船渡市で暮らす男性、桃心地さんの俳句』
☆【風の電話】『もう会えぬ人と心の〝通話〟 岩手・大槌 風の電話、訪れる震災遺族ら』『62年ぶり年間無配 中電値上げ正式表明 家庭向け、4月めど』、『防災情報を5段階に 特別警報は「レベル4」 気象庁』、『本塁打写真偽り別の打席を配信 共同通信』、『徳洲会を強制捜査 公選法違反容疑 徳田陣営に職員、報酬 東京地検 春日井にも総合病院』、『座礁客船起こす 伊で昨年事故 19時間かけ成功』(18日付、中日朝刊)

九月十七日
 ♪秋空に 未来永劫と 書いてみし(伊神舞子)

 空には台風一過の〝秋〟が広がり、昨日までのあの台風がウソのようだ。台風が去り、一気に秋がやってきた。テレビ画面に映し出される水害被災地の人々。苦渋を胸に、水の引いた泥土のなかで黙々と後片付けに追われる姿はなんとも痛々しい。

 昼間、江南市内のドコモ営業所に出向いた。
 最近少年少女の間で流行している〝LINE〟とは何ぞやを、若いスタッフに教えて頂いた。あれこれと聞いたが、要するに緑の【LINEのアプリ】を登録さえすれば、いつでも自由にメールと電話がどちらも無料で出来るというサービスだ、と納得した。登録したら、ドッとLINEのお友達が出てきたのには驚いた。私のスマートフォンに記録されている電話番号の持ち主のなかで、こんなにも大勢がLINEアプリを利用しているのだと知り、正直、信じられない。
 ついでにツィッターなるものについても、その仕組みを詳しく聞いておこう―と思ったが時間の関係できょうのところは控えた。

 私は今春、知人から勧められたこともありフェイスブックにも〝伊神権太〟で登録し、ちょくちょく自らの主張とか著作の内容などを発信してきた。しかし、やはり性に合わないというか、照れくささも手伝って、このところは思い出したように私宛に直接届いた親しい友だちからのメールをチェックする程度で自ら発信することは、あまりない。
 ウエブ文学同人誌「熱砂」の本欄【生きてゆく人間花たち】の連載が先決なので、どうしても時間的に余裕がなくなってしまうことも確かにある。その癖、この年になってもツィッターとか、最近利用者が急浮上しているLINEなるものが一体どんなものか、を知りたい俗な興味にもかられる。というわけで、きょうはドコモさんで若いスタッフにあれやこれやと疑問点を聴くうち、あっというまに時が流れ去ったのである。
 でも、やはり私は昔のポケットベルが一番性にあっている。あの哀愁漂うポケベルには、どれほど助けられたことか。
      
【きょうの一文・ことば】夫がこんなアドバイスをくれました。意見を主張したいとき、思いを伝えたいときには、大きな声ではっきりと「I think」あるいは「I believe」と、とりあえず先に言ってしまう。言いたいことはそのあとで考えて、適当に添えればいい。………毎日、ありとあらゆる場所で、「私はこう思う」「私はこうしたい」「私はこれが欲しい」「私は」「私は」と、アイを連呼しています。=17日付中日夕刊文化欄小手鞠るいより梯久美子さんへ『〈往復書簡〉世界の中心で「アイ」を叫ぶ】から

【新聞テレビから】
☆『台風猛威の痕 〈滋賀〉決壊した堤防復旧進む 不明の母子捜索続く〈津〉 切れたしめ縄また新しく 〈伊勢・夫婦岩〉』、『津波園児死亡 賠償命令 送迎バス「予測可能」、1億7700万円 仙台地裁判決』、『豊田英二氏死去 トヨタ「工販合併」実現 100歳、最高顧問』『「世界のトヨタ」育てる』、『マララさんに「良心の大使」賞 国際人権団体 「私のような子何百万人もいる」=国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)が17日、パキスタンで女子教育の権利を求め、イスラム武装勢力に銃撃されたマララ・ユスフザイさん(16歳)に人権賞「良心の大使」賞を贈る、と発表』、『米・長者番付 20年連続ゲイツ氏首位 資産総額7兆2千億円』(17日付、中日夕刊)
☆『台風18号 東海直撃 列島縦断 3人死亡5人不明 名古屋の親子、津で不明』、『福井、滋賀、京都に初の「特別警報」タイミング評価二分 「的確」「もっと早いかと」』、『開城(ケソン)5カ月ぶり再開 韓国企業が操業 南北融和前進も』、『サリン使用を断定 シリア調査、国連が報告書』、『汚染水対策船頭多くして… 政府、東電、規制委 本部や会議乱立 責任の所在あいまいに』(17日付、中日朝刊)

九月十六日
 今は午後十一時過ぎである。京都が台風18号接近に伴う大雨で各地で民家が水没。一時は十一万世帯、二十七万人近くが避難するなど、大変な事態に陥っていたことを、つい先ほど各テレビニュースをチェックして知った。私としたことが。うかつであった。で、既に公開済みの原稿の冒頭に【本稿】を付け加えさせて頂く。

 【気象庁はけさ午前五時五分に京都、滋賀、福井に八月三十日に運用開始後初めての〝大雨特別警報〟なるものを発令していた。この警報、数十年に一度しかないような災害の危険に気象庁が発令することを決めた、いわゆる〝最後の警戒情報〟なるものだが、私の意識の底のどこかに、お役人のやることに対して甘く見くびったような感覚があった。
 この思い上がった誤った認識、すなわち思い込みは現役記者時代に〈現場百回〉を最優先に、各地の災害現場に急行した元災害記者としては、あるまじきことだ。「警報発令はちょっと大げさ過ぎる。本当かな」との先入観でいたのだ。

 このところの私、すなわち素浪人こと一匹記者のどこかにスキが出来ていたのかもしれない。判断が甘かった。私は、けさ早い段階で気象庁が特別警報なるものを出していたことは知っていたのだが。「あっ、お役人が台風通過を好い機会に大げさに初の〝特別警報〟なるものを出しているわ。たいしたこともないのに。これは、ある種、お役所独特の実験ではないか。少し、くどいナ」と頭から決めつけて居、そこに判断ミスが加わったのである。

 気象庁の特別警報はその通り、まぎれなき事実だった。京都や福井、滋賀は大変な被害となっていた。
 特に京都の被害は目を覆うほどだった。鴨川が氾濫し、名物である川床(ゆか)が濁流に洗われた。そればかりか、西部の嵐山でも桂川があふれ、一面水の海に。一帯の渡月橋周辺の土産物店街や旅館は至るところ水浸しとなったのである。また、京都府福知山市では河川が至る所であふれ街全体が濁流にのみ込まれ、それこそ〝数十年に一度しかない〟水害の恐怖に脅かされていた。高島市や大津市でも街中が水浸しになった映像が流れていたが、私はこのニュースを聞きながら心底、聖なる湖、琵琶湖が氾濫しなくてよかった、と思ったのである。
 いやはや思い込みの〈玄人意識危うし〉とは、このことだ。
 私はかつて現役記者時代に日本中の水害現場にいち早く現場投入され、何度も何度も悲惨な現場を歩いた。水害というものがどういうものなのか―については、内心感覚的にも誰よりも分かっていると自負していただけに、自らの思い上がりには赤面となったのである。現場を離れた私は♪歌を忘れたカナリヤ♯になってしまったのだろうか。これではいけない。それに京都といえば、新聞社の大津支局長在任当時にしばしば訪れた忘れられない土地だ。
 つくづく今日の台風に対する読みの甘さを反省すると同時に被災地の方々が少しでも早く元の生活に戻れるのをただ、祈るのみである。この日は、このほかにも台風の北上に従って日本列島の各所で突風被害が相次ぎ、各地で痛ましい被害が続出。それこそ傷だらけの痛々しい一日となったのである。=この項、十六日深夜付記。】
        ●        ●

 ― 朝。外は雨。肌に心地よい、しとしと雨ではなく台風来襲に伴う嵐の雨である。18号はけさの午前八時前に豊橋に上陸。ラジオは避難警戒情報はじめ土砂災害や河川決壊の恐れを過剰なまでに流し注意と警戒を繰り返し呼びかけている。民家の避難が相次ぐなか、停電も相当数に及ぶ。
 そんななか、私の耳に聴こえくる雨や風たちの声は「私は強い。強いのだから。本気になったら、おまえたちニンゲンを事故で苦しめている、あのいまわしい原発よりも、ずっとずっと怖いのだから」と叫んでいる気がしてならない。
 それにつけても思う。
 この台風という怪物をニンゲンたちは自然エネルギーに特化させたりは出来ないものか。それがダメなら、福島で苦しむ人々のためにも、この力をナントカ、放射能の除染に転化して生かすことが出来ないものか。ロボットを打ち上げたり、原発を開発したりすることが出来るのに。なぜ、それほどのことができないのか、と。
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 大型の台風18号は京都、滋賀、福井、三重、愛知、静岡…と各地に雨や風の被害をもたらしながら北上。きょうの朝、愛知県豊橋市に上陸後は関東から東北へ抜け、現在(午後五時過ぎ)は岩手県宮古市沿岸の東海上を北に向かって進んでおり、まもなく温帯低気圧となる見通しだ。夕方になると、荒れ狂っていた雨、風が嘘のようにカラリと晴れた。窓から流れ込むオーロラのようなオレンジ色のひと筋になった光の束を見るにつけ、先ほどまで荒れ狂っていたあの自然の形相がとても信じられない。

 こうした自然の脅威を目の前に見せつけられ、かつまた猛暑が続いたかと思うとゲリラ豪雨や突風、竜巻…と続くこのところの異常気象を思うにつけ、やはり人間がこれから相手にしていかなければならないのは「自然との共存」をおいてほかにない。と、つくづく思う。なのに。ニンゲンどもは、人間が人間を殺しあう醜い戦争を繰り返す。どうして、これほどまでに愚かなのか。 

 学生時代から、ずっと愛読している文學界。
 石原慎太郎の創作、連作短編集「やや暴力的に」を読む。救急病院にて。計画。リングの下で。一途の横道。隔絶。を一気に読み干す。大変、参考になった。やはり捨て置けない作家である。人生での体験も並大抵ではない。だから、こんな按配に多少乱暴な表現もあるものの、サラリと書き切れる。
 そこいら辺りにチラチラする流行作家かぶれしたAとかB、C…とは、どだいタマが違う。なかでも〈「あんた、一人だったのかね」「あんた、一人で来たのかね」。猟師は尋ねましたが、私以外、この長旅を証言するものがいるわけもない。……〉といった、人間社会の全てに忘れ去られたなか、どこまでも海を漂流する「隔絶」がよかった。この文学の好いところは、ひとえに自分に正直なまっすぐな〝裸の文体〟だ。彼が政治的にとかく批判されてきたのも、この正直さ故であることを、あらためて思った。かといって、私は政治家の彼は嫌いである。
 やはり、慎太郎は政治家を辞め、これから新しい文学の道を歩むべきだと思う。
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 【きょうの一文・ことば】「モリゾウの役割はクルマファンを増やし、クルマを楽しむ文化を育てること。自分も含めて多くの人がクルマを使って楽しみ、少しずつでもクルマへの興味が広がってくれたらいい」=16日付毎日朝刊『クルマの楽しさ伝える トヨタ社長 ラリー1500cc超級総合V』の記事中で豊田章男社長(57)、豊田社長は「モリゾウ」の名で国際C級ライセンスを持つ

【新聞テレビから】
☆『1年2カ月ぶり原発ゼロ 再稼働年明け以降か 大飯4号機定検』『ゼロから考えよう 全原発停止各地で集会 「今こそ結束を」訴え再び』、『〈プロ野球〉バレンティン56、57号 王を抜き新記録』『半世紀ぶり「聖域」破る』『岩瀬(仁紀)通算381S 佐々木(主浩)に並び日本選手最多』『球界大記録デー スタンド興奮』(16日付、中日朝刊)
☆『北京市幹部 東京と関係改善意欲 国レベルも修復意向か』、『高齢者4人に1人 65歳以上 最多3186万人』『男性世界最高齢NYの112歳死去』(16日付、毎日朝刊)

九月十五日
 小笠原付近で発生した台風18号が日本に近づいている。
 でも、その割には夜に入っても今のところは、雨も風もたいしたことはない。今後どんな進路を取るのか、気になるところだ。報道によれば、あすの午前中から午後にかけ日本列島の東海、または関東地方に上陸見通しだという。

 午後六時過ぎ。テレビ画面に字幕が流れたので台風18号関連かと思いきや、ヤクルトのウラディミール・バレンティン選手(29歳)が神宮球場での対阪神戦第一打席でプロ野球シーズン最多記録の56号ホームランを阪神・榎田投手から打った、という速報だった(同選手は第二打席も本塁打を放ち57号の快記録を達成)。
 昭和三十九年、東京オリンピックの年に〝世界の王〟こと王貞治(当時巨人)が打ち立てたプロ野球新記録の55号=その後平成13年にローズ(近鉄)同14年にはカブレラ(西武)も55号を達成=が、実に49年ぶりに塗り替えられた。

 カリブ海のオランダ領キュラソー島で育った1人の野球少年が、これほどの快挙を果たすとは。誰も思ってはいなかっただろう。彼は自らの雄姿を見てもらおう、と日本に招いた母の目の前で歴史に残る本塁打を、それも連続で二発放ったのである。おめでとう!
 記録と言えば、ドラゴンズの岩瀬投手がナゴヤドームでのDeNA戦で通算381セーブを成し遂げ、日米で通算381セーブの大魔神佐々木投手(元横浜)と並んだ。前ドラゴンズ監督・落合博満さんによれば、「岩瀬と佐々木では互いに歩んできた道が違う。でも、僕と岩瀬との約束は〝400までは頑張る〟というものだった」という。
 まだまだ楽しみである。
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 【私だって、生きているのだから。】ご主人からのプレゼントに満足そうな御年19歳余のわが家の長寿猫こすも・ここちゃん

 犬だって猫だってみんなみんな生きている 
 ―これは、中日新聞の本日付朝刊軟派トップ記事見出しである。わが家に限らず、この世の中、猫や犬と家族同然の暮らしをしている人々も多い。それだけに、「殺処分減へ自治体本腰 引き取り拒否/飼い主に助言」と続く見出しには、なんだかホンワカしたものを感じた。
 実はこのホットなニュース。今月一日から施行された改正動物愛護管理法による【安易な飼育放棄からの犬や猫の殺処分を減らそう】との趣旨を観点に、動物愛護精神を唱えたもので、ひと味違った切り口が多くの読者から歓迎されたに違いない。
      
【きょうの一文・ことば】(ヤクルトも阪神も)両方のファンがすべての打席で応援してくれてありがとう。最高の気分です=バレンティンが試合後、ホームラン記録更新のインタビューに答えて=
 私は世界で一番幸せな母親です=バレンティンの母親

【新聞テレビから】
☆『対シリア 化学兵器全廃米ロ合意』『来年半ば目標 攻撃は当面回避』、『イプシロン打ち上げ成功 宇宙望遠鏡軌道に 国産新型12年ぶり』『開発責任者・森田泰弘JAXA(宇宙航空研究開発機構)教授 「より安く」ITで先駆』、『東京五輪見たいがね ぎんさん4人娘 長寿の秘訣「自然に」=十六日の「敬老の日」を前に、双子の長寿姉妹「きんさん・ぎんさん」として知られた故蟹江ぎんさん(享年百八)の娘さん四人が健康と長寿の秘訣をつづった本「気づいたら100歳、だがね」(小学館)』を出版した』、『「夫婦善哉」冒頭に苦心 織田作之助の草稿など発見』(15日付、中日朝刊)

九月十四日
 東日本の被災地復興を願って〈花は咲く〉をオカリナで演奏するボランティアの愛好グループ「メロディーハート」の女性たち=愛知県江南市の「ミヌエット」店内で

 ♪…花は 花は 花は咲く
  いつか生まれる君に
  花は 花は 花は咲く
  わたしは何を残しただろう…

 この日。妻(舞)が営む、ちいさなちいさなリサイクルショップ「ミヌエット」店内に東日本の復興支援ソング「花は咲く」のオカリナの調べが、どこまでも響き渡った。
 尾張地方に住むボランティアのオカリナ愛好グループ【メロディーハート】の有志女性三人の出演によるもので、
♪叶えたい 夢もあった/変わりたい 自分もいた/今はただ なつかしい/あの人を思い出す
♪傷ついて 傷つけて/報われず 泣いたりして/今はただ 愛おしい/あの人を 思い出す 
♪誰かの想いが見える/誰かと結ばれている/誰かの未来が見える/悲しみの向こう側に―………
 と三人は〈花は咲く〉を演奏、仙台からきて江南市内で住むある女性は涙に唇を震わせながら、こ声で歌った。東日本大震災と福島第1原発事故に遭った誰もが立ち直られる日を願いつつ。
 この日はほかに〈野に咲く花のように〉や〈見上げてごらん夜の星〉〈川の流れのように〉〈みかんの花咲く丘〉なども演奏され、店内を訪れた人々は東北への想いを新たにした。

 このちいさな音楽会。舞の発想で一年前から月一度のペースでギターやバイオリン、大正琴などの音楽を中心に、時には昔懐かしい大道芸、そして占い、カラオケ大会などもまじえてお店を訪れる人々にボランティアの出演者の協力の下、安らぎの場を提供している。
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 前回八月二十七日に発射直前(十九秒前)になって、トラブルから打ち上げが急きょ取りやめられていた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新型ロケット「イプシロン」1号機が鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から午後二時に発射され、無事打ち上げに成功した。

 シリアの化学兵器を巡ってケリー米国務長官とラブロフ・ロシア外相、ブラヒミ国連シリア特別代表が出てスイスのジュネーブで行われていた米ロ外相会談。ジュネーブであった両外相の共同記者会見によると、どうやら【化学兵器廃棄への枠組みで合意】したらしい。ただ、これには「シリア政府が1週間以内に化学兵器に関する情報を報告すること」が前提だという。
 要するに、シリアの化学兵器廃棄は順序だててしっかり廃棄させよう―というものだが、軍事介入の構えをあくまで貫く米と、シリアへの米軍の軍事介入をさせない代わりに化学兵器は責任を持って順次、廃棄させていこうとするロシアの双方共が最大限の歩み寄りを見せたといってよい。
 とまれ、米軍のシリア介入がここ当面は避けられ、この点では喜ばしいことだ。米露両国の叡知に敬意を表したい。これ以上、戦火を拡大することだけはやめてほしい。いわれのない多くの市民の幸せが一瞬にして吹き飛ぶからだ。

 政府は八県に及ぶ「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に推薦する意向を固めた。トルコのカッパドキアで死亡した宮城県名取市出身の栗原舞さん(22歳)の遺体が両親に付き添われて、日本に涙の帰国をした。
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【きょうの一文・ことば】Take double the payback(〝倍返し〟の英訳)=14日夜CBC〈ニュースキャスター〉▽尖閣諸島国有化1年 中国の圧力〝倍返し〟のなかで

【新聞テレビから】
☆『台風18号北上続く』、『米、武力決議を求めず 対シリア 安保理で譲歩方針』『化学兵器使用国連が断定へ 調査報告書』、『〈歌舞伎座 通し・義経千本桜〉「ファザコン」憎めないワル 「権太」の悲劇 仁左衛門大胆に』、『誕生50年世界一周 国産初ビジネス機「MU2」=戦後初の国産旅客機「YS11」に次ぐ、二番目の民間機= 米整備会社経営者操縦 名古屋に帰還』(14日付、中日夕刊)
☆『〈核心〉シリア代理戦争の様相 政権側 ロシア、イラン… 反体制派 米、仏、サウジ…』『双方に支援 内戦が泥沼化』、『角野岩次氏死去 輪島塗、(沈金)象眼の名手 88歳』、『三保ケ関部屋秋場所で幕 親方が定年 北の海ら輩出の名門』(14日付、中日朝刊)

九月十三日
 楽天のマーくん、田中将大投手がKスタであったオリックス戦で6―2の完投勝ち。今シーズン負け知らず、あの鉄腕稲尾投手(西鉄)超えを果たし56年ぶりの一シーズン開幕21連勝を果たし、昨シーズンから数えると25連勝という偉大な記録を打ち立てた。たいしたものだ。
 そのマーくん曰く「周りにもてはやされているけれど、それは関係なくしっかり投げられれば、それでいいと思います」。なんとも謙虚である。

 スイスのジュネーブでは、シリアの化学兵器を国際管理下で廃棄する、とのロシア案を実現するための米露の協議が十二日から始まっている。協議に先立つ共同記者会見でケリー米国務長官が「シリア攻撃の必要性の選択肢を残す必要性」を言及。これに対してロシアのラブロフ外相は「攻撃の撤回」を求めたという。
 また、シリアのアサド大統領はロシアの国営テレビのインタビューに対して「化学兵器禁止条約に加入する意向を表明した」うえで、前提として米国の武力行使放棄を強く求めた。シリア政府は表明通り、同日中に化学兵器禁止条約への加入文書を国連に提出した。
 互いに平和を願う米露、そしてシリアのことだ。この際、平和な世界創造への糸口を見出し人類の叡知のお手本を示してほしい。プーチン露大統領の前向き、かつ建設的な提案に対してオバマ大統領は世界注視のなか、当然、その期待に答えなければならない。
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 報道によれば、安倍晋三首相が2020年東京五輪・パラリンピック担当相として下村博文文部科学相を兼務させることを決めて、本日任命。なかなか素早い判断でいいナ、と思う。 
 一方、ニューヨークでは尊命中の世界一背が低い女性としてギネス世界記録に認定された身長六二・八センチのインド人女性、ジョティ・アムゲさん(19歳)の認定式が観光名所エンパイアステートビルの86階展望室で開かれた。
 アムゲさんはこれまでインドの映画界「ボリウッド」入りを目指していたがギネス世界記録認定で有名になり人生が百八十度変わった今は「ハリウッドで働きたい」と話しているそうだ。夢がかなう、といいナ。
 JR九州がきょう、北九州市の車両センターで、豪華寝台列車「ななつ星in九州」の車両を報道陣に初公開。総工費約30億円で十月十五日に運行を始める。七両編成で公開されたのは1~3号車。既に来年六月まで予約客でいっぱいだそうだ。このうち1号車はソファやバーカウンターがあるラウンジカーで後部の大きな窓が開放感を演出。ダイニングカーの2号車はアーチ状の天井に障子に見立てた明るめの照明、といった具合で工夫がこらされた。3~7号車は計14室の客室。全室ともシャワー、トイレが完備したという。

 いつの日か、乗れたらいいナ
 
【きょうの一文・ことば】「あき」とは、十分満足する意味の「飽き」と同語だと思われる。……山もまた、真赤な葉や黄色い葉に埋まる。極彩の自然が身のまわりに広がる。……人間ひとりひとりも、それぞれの心の中に、豊かで華やかな収穫を持ちたい。……秋は明るい。「あき」と口にしただけでも天高く晴ればれとした気分になるではないか。=中西進著「美しい日本語の風景〈あき〉」から抜粋。

【新聞テレビから】
☆『100歳以上5万4397人 43年連続増、女性が87% 敬老の日調査』、『ボイジャー太陽系外に 史上初、36年前打ち上げ』、『〈式年遷宮〉新正殿ご神体待つ 伊勢神宮内宮で「御戸祭」』、『汚染水 東電「制御できていない」民主会合 幹部、首相発言否定』、『トルコ死傷 拘束の24歳男を逮捕 殺人容疑 勾留の作業員釈放』、『イグ・ノーベル賞日本人7年連続 ダブル受賞〈オペラ聴くマウス長生き〉〈涙出ないタマネギ可能に〉』、『みのさん=タレントのみのもんたさん。69歳。次男が11日に窃盗未遂容疑で逮捕されたことを受け=2番組自粛』『前知多署長を停職処分 愛知県警 飲酒後運転「信用失う」』(13日付、中日夕刊)
☆『シリア大統領 米の武力行使放棄要求 化学兵器廃棄の条件』、『今夜開幕21連勝挑戦 マー君支える愛妻メシ 里田まいさん結婚機に資格』
☆『〈大リーグ〉26戦連続無失点&34人連続アウト (レッドソックスの)上原 気合4勝目=2003年の長谷川滋利(マリナーズ)と並んでいた25試合の日本投手最長記録を更新した』、『中部発2020年東京〈私の五輪史〉3 風になった名古屋の夢』、『リニア 愛知5キロおき非常口 大深度トンネル 用地買収が必要』、『クアラルンプール便復活へ 中部国際空港 エアアジアX、来年前半から』、『仏週刊紙、謝罪せず=カナール・アンシェネが東京電力福島第一原発の汚染水漏れをめぐり、腕や足が三本ある力士の風刺画を掲載した問題』(13日付、中日朝刊)

九月十二日
 ♪いつまでもいぶれる炭に秋刀魚燒く 刀水

 まだまだ日中は暑くて30度を超す。でも季節は少しずつ秋に、秋に、と向かっていく。空の雲の流れを見ていても、なんとなくそんな気がする。夜の帳が下りると、家の周囲で虫たちが鳴いているのがよく分かる。人々のこころも、この雲と同じくいつのまにかどこいやらへ、と移りかわってゆくのか

 素浪人の一匹文士にとって。小説書きや本を読む以外にすることと言えば、横笛とハモニカ、サンポーニャふき(サンポーニャは気分が乗ったときで序の口ではあるが)、そして社交ダンスのレッスン、2匹いるわが家のネコちゃんたちのお相手か。ヒトは悠々自適なる生活と見るが、本人にとっては、どれもこれも大真面目なのである。

 ただ朝起きて。中日新聞朝刊を漫画(おーい栗の助)、中日春秋、親鸞完結篇、雨の狩人、尾張版をはじめとした各地方版…、そして夕刊も夕歩道、この道、水軍遥かなり、大波小波…の順で。このパターンで読み、ついでに毎日など他紙もチェックするのは、昔も今も変わりはない。
 きょうは、社交ダンスのレッスンから帰ったあと寝込んでしまい、つい先ほど目覚めた。

【きょうの一文・ことば】…「abさんご」は名詞の一般的な使い方を拒む表記違反小説、「爪と目」は人称視点違反小説。どうやら、文章教室なら突き返されてしまうような表現をしてみせることが最近の芥川賞必須条件のようです。(文学学校講師)=12日付中日新聞夕刊【〈大波小波〉ホラーかホラか】から

【新聞テレビから】
☆『〈文化〉観潮楼歌会よみがえる 公開形式、臨場感楽しむ』、『消費税来年4月8% 首相決断経済対策5兆円』、『シャープ増資最大1700億円 資金不足で公募を上積み』、『大村知事一律1000円減税案 愛知県 年1万円子育て手当も 議会に譲歩』、『1人の死刑執行 横浜の店主射殺事件 政権交代後6人目』、『ギョギョ!魚の引っ越し 名古屋港水族館が大型水槽改善で、魚3千匹の引っ越し作業を進めている』(12日付、中日夕刊)
☆『釜石よいさ希望の灯 3年ぶり復活 高炉休止、震災…苦難の時 いつも胸に 「復興加わりたい」若者が団結』、『トヨタ最高顧問 豊田英二氏100歳に 業績チェック欠かさず 楽しみ「数独」』、『カネボウ美白部分 07年に医師危険性指摘 厚労省審議会 議論せず承認』『希薄な危機意識非難 カネボウ第三者調査報告』、『中国公務員に贈賄容疑 フタバ産業元専務を逮捕 愛知県警』、『天理大柔道部 「金」大野選手も暴行 新たに発覚、12人処分』、『解雇撤回求めて秋田書店を提訴 当選水増し問題』(12日付、中日朝刊)

九月十一日
 3・11東日本大震災から二年半―
 たまたま夜遅くNHK総合で見た【花は咲くスペシャル/涙と希望を花火に乗せて▽ブラジルで大合唱▽マルシア、荒川静香、イル・デイーボ】。
 妻を失い、気を取り直して育てた花(ヒマワリなど)を生前の妻とかさねて大切に思う夫。夫を失い、これまで共に見てきた花火をわが子と見る妻、日本から二万㌔離れたブラジルに響き渡る〈花は咲く〉の大合唱…一つひとつの事実に感動した。特に復興支援の歌〈花は咲く〉の合唱の輪が【希望の歌声 東北から世界へ】とばかりメキシコ、エクアドル…と各国に、広がりつつあることを知って嬉しく思った。なかで〈花は咲く〉の英訳の歌も、とてもわかりやすく、涙を浮かべてうたう英国ボーカリストの姿が胸に深く刻まれた。
 地球に住む多くの人々が東日本大震災の悲しみを共有し、同時に復興への旅立ちをみんなで願ってくれている。世界はひとつ。誰もが家族を、友のこと…を深く思っている。

 ♪Flowers will Bloom.……You,ll Live and remember and love us Forever More………Yes they Will.
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 岩手県大槌町など各被災地で犠牲になった人々、そして復興への祈りが行われ、福島県いわき市では沿岸で今も見つからない遺体を求めて大規模な捜索が行われた。【尖閣国有化】一年の日でもあり、菅官房長官は「尖閣はもともと日本の領土で中国との間に本来、領土問題は存在しない。わが国としては戦略的対話の扉はいつでも開いている」との日本の立場を改めて強調した。
 〝9・11〟。この日は2001年に世界を震撼させた、あの米中枢同時多発テロが起きた日。すなわちテロとの戦いが始まった日であり、その前年には新川堤防が決壊して愛知県を中心に死者十人、約六万五千戸の浸水家屋を出した東海豪雨の日でもある。

 トルコのカッパドキアで日本人女子大学生二人が襲われた事件でトルコ警察当局は容疑者の男を身柄拘束した。男は、二十六歳。最近刑務所から出てきたばかりで、薬物乱用や窃盗など十七の犯罪歴があり、数日前から被害者が滞在していたギョレメ周辺を赤い車で走り回っていたという。

 このほか、新聞報道によると、愛知県警は昨日、半田市内の民家駐車場に止めてあった乗用車のタイヤに火をつけたとして器物損壊容疑で無職男(48)を逮捕。男はその後の調べに対して「岡崎、安城、幸田などでも計45件で火をつけた」と供述。暗いニュースばかりに落胆していたら、昨夜、名鉄名古屋駅でホームとの隙間に転落した男性を乗客二十人ほどが一丸となって電車を押して傾け救出したといった話も。
 この世の中、好いこともあれば、悪いこともある。人生いろいろである。
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 オバマ米大統領は十日夜(日本時間十一日午前)、ホワイトハウスで国民向けに演説し、シリア・アサド政権の化学兵器使用疑惑に関連、シリアへの米国の軍事介入に触れ「化学兵器を国際管理下に置くとしたロシア提案を尊重し外交的解決を追求する」考えを示した。
 アフガン、イラク戦争と多くの子や兄弟、夫らを失った米国民の間では「もう、戦争などこりごりだ」と軍事介入絶対反対の機運が高まっていただけに、国民を思う大統領の行動としては当然のことである。
 この際、この地球の国々すべてに対して自ら範を示して〝不戦の誓い〟をしてみたらどうか。オバマ氏の人気は一気に高まり、地球の人々みんなが幸せになれる。ノーベル平和賞まで授与されているのだから、呼びかけるにはふさわしい人物だ、と思う。またとないチャンスだ。
 敵はもはや、同じ人間ではなく地震などの災害も含めた自然の猛威である。人間の叡知で、これら厳しい自然と、どう共存し共に繁栄していくか、だと思う。

 ヤクルトのバレンタイン選手が神宮での広島戦で王貞治選手らの持つシーズン日本記録に並ぶ55号本塁打を放った。日本中のプロ野球ファンが次の一打に胸を膨らませている。

【きょうの一文・ことば】「魚とりたいって。俺たちはそれだけ、だ」=11日夜、NHK総合〈クローズアップ現代〉最新報告・汚染水問題独自映像は語る…のなかで、福島の漁民
 「夢だけは 壊せなかった 大震災」=2011年6月、当時女川中1期生・山田太介くんの俳句、11日付毎日朝刊〈東日本大震災2年半〉の記事から
 「育てた花を見てもらい花も喜んでくれるかな、と思っている」=3・11大震災で妻を失った石巻の男性。NHK総合〈花は咲くスペシャル〉番組から

【新聞ラジオなど】
☆『金メダリスト初のトップ IОCバッハ新会長=トーマス・バッハ氏(59)、1976年モントリオール五輪のフェンシング優勝=団結訴え』、『オバマ氏「外交解決追求」 対シリア 軍事圧力は維持』、『街の模型再生描く 大震災2年半 住民と学生 自宅に名前や色付け 陸前高田など30カ所で制作』、『元大関把瑠都が引退』(11日付、中日夕刊)
☆『きょう震災2年半 被災3県人口流出続く』『不明なお2654人 身元確認困難に』『〈捜す、探す―三年目の被災地から〉1 父よ息子よ海辺歩く 救えず…自責の念』、『〈私の五輪史 中部発2020年東京〉2 時速210キロ緊張の出発』、『トルコ邦人死傷 容疑者1人を拘束 意識回復被害女子学生が確認 2学生 熱心に国際交流』(11日付、中日朝刊)
☆『東日本大震災2年半 交付金使い勝手改善せず 被災自治体 過半数が不満 本紙アンケート 田畑よみがえれ』『1000年後の命守る 宮城の(女川)中学生、石碑に教訓 津波到達点に(女川いのちの石碑)21基建立へ 家に戻ろうとしている人がいれば、絶対引き止めてください』、『中国尖閣侵入63日 国有化1年 緊急発進3・5倍に』(11日付、毎日朝刊)

九月十日
 シリア問題が良い方向に動き始めたようだ。

 きのう米国のシリアへの軍事介入に反対するロシアのラブロフ外相がシリアのアサド政権に対して同国が保有する化学兵器を国際監視下に置いて廃棄するよう求め、アサド政権への説得工作に乗り出したためで、この説得にシリア政権がどう出るのかが注目されている。ラブロフ外相の発言に対してシリアのムアレム外相は提案を歓迎する立場を示したが、アサド政権は化学兵器の保有を公式には認めていない。それだけに、実際に要請を受け入れるかどうかとなると不透明な部分も多く予断を許さない。
 また米国のオバマ大統領はロシアの提案について「前向きな展開になる可能性がある」と評価し、化学兵器の再使用を防ぐ目的を「軍事行動なしに達成できるなら、その方が望ましい」と述べ、この案についてはロシアのプーチン大統領とサンクトペテルブルクで六日に会談した際に議論したことも明らかにした。

 オバマ大統領は、ただシリアがこれまでに化学兵器禁止条約への署名を拒んできたいきさつから今後はロシアとシリアが外交的解決に向け「真面目な提案」をするかどうかを見極めたうえで、なおシリアには「圧力をかけ続ける必要がある」としている。一方、民主党のリード上院院内総務は九日、上院本会議で審議が始まった武力行使容認決議案の採決を当初予定していた十一日より遅らせる考えを米メディアに表明した。今夜七時のNHKニュースによると、安倍総理もプーチン大統領に電話しロシアの提案に賛意を評したという。

 これはこれで、米国の軍事介入を回避し思い留まらせる点でもよいことだ、と思う。2020年の東京五輪決定を機に、戦争や内戦、紛争の悲劇がなくなり世界の人々が仲良くなれば、それに超したことはない。ちなみに、あすは日本が尖閣列島の国有化宣言をして丸一年になる。
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 それにしても東京五輪開催のホットニュースに歓喜したと思うまもなく、今度はトルコ中部の観光地カッパドキアで日本人女性観光客2人=いずれも新潟大学学生=が刃物で刺され一人が死亡、もう一人は重体という惨事が伝えられてきた。カッパドキアは以前、トルコ政府観光庁の招きで訪れたことがあるだけに他人ごとではない。治安は良かったはずなのに。一体、何が起きたのか。

【きょうの一文・ことば】声の印象は長く残ります。かつて取材した方の訃報に接することがありますが、そのとき浮かんでくるのは顔よりも声。年をとるごとに肌は乾いていきますが、声は深くうるおっていきます。この仕事をしていると、お年を召した方の声の美しさにははっとすることがあります。=10日付中日夕刊文化面【〈往復書簡〉小手鞠るいさんへ 梯久美子より】から

【新聞テレビから】
☆『絶えぬ見学客 市民は「つらい記憶」 あす2年半 「震災遺構」苦渋の解体 気仙沼打ち上げ漁船作業開始」』(10日付、中日夕刊)
☆『助け合いを実感「結いっこ」作り 岩手・震災2年半』、『〈チェック〉首相ブレーン 内閣官房参与膨張11人 「知恵袋型」「ツール型」「忍者型」 法的権限なし使い勝手よく』(10日付、毎日夕刊)
☆『〈私の五輪史 中部発2020年東京〉「世界は一つ」青い空 標語今も信じる』『〈社説〉【成功の条件】原発事故を封じ込めよ 【歴史的使命】新たな風を吹かせたい』『〈高橋尚子さん手記〉絆の聖火大きな力に 限界挑む姿間近で見て』、『心の時計止まったまま 豊明4人殺害9年 遺族ら献花』、『パキスタン フセイン大統領就任 首相の政権基盤安定化』、『北 経済再建に集中か 建国65周年 挑発的な発言なし』、『英アンドルー王子職質された 宮殿散歩中 不審者に間違われる』(10日付、中日朝刊)
☆『福島原発事故 菅元首相ら42人不起訴 住民、検審申し立てへ』『肩落とす被災者 菅元首相ら不起訴「現状変えたかった」『「不起訴は当然」 菅元首相が談話』(10日付、毎日朝刊)
☆『東京、イスタンブールへ「24年招致の幸運祈る」 アジアの理事「あれで2、3票失った」 マドリード敗因はサマランチJr.嫌み演説? 「背後に父の写真」も失敗』(10日付、中日スポーツ)

九月九日
 新聞休刊日なので朝刊はこない。

 午前零時五十分。前日の2020年東京五輪開催決定の報に続いて今度は、いったんは外されたレスリングが実施競技に採用されることになり関係者はむろん、日本中で再び喜びが爆発した。

 深夜未明の〝しじま〟を破る〈ポロロン〉といった音。何事かとパソコンをチェックすると、中日新聞プラスからの「特別便」で〝五輪競技にレスリング残留 野球ソフトは落選〟というもので、さらに読むと「国際オリンピック委員会は8日(現地時間9日)2020年東京五輪実施競技の審議を行い、野球ソフト、スカッシュ、レスリングの3競技のうちレスリングを採用することを委員の投票によって決めた。……」というものだった。
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 不思議なものだ。
 東京五輪の開催、そしてレスリング競技の復活が、3・11東日本大震災と震災発生に伴う福島第1原発事故の放射能汚染や汚染水漏れ―など事態が深刻化する一方で〝真っ暗闇〟だった日本社会をパッと明るくしたような気がする。日本列島に【ひとすじの光】が投げ込まれたような、そして日本中が笑顔になったような、そんな気がするのだ。きっかけ、とは凄いものだナとつくづく思う。ただ、ここで大切なのは大震災や原発事故の被災者たちがどんな思いでいるのか、ということだ。あくまで被災者の心に寄り添った東京五輪にしなければ、失敗に終わるだろう。

 「やった」「やった」と、のぼせあがるのもいいが、東京五輪の開催を東日本大震災と福島第1原発事故からの復興への〝ノロシ〟にすべく関係者には一段のご努力を願いたい。

 きょうは案の定、日経平均株価も期待感からか建設、不動産、警備、電機、スポーツメーカー、観光産業……と大幅に上昇、全面高に終始し一時上げ幅は前週末比390円にまで達した。報道によれば、東京オリンピック開催に伴う経済波及効果は15万人の新しい雇用が確保され、3兆円規模に達するという。
 まさに「何か」がパチンとはじけて日本中が音をたてて動き出したようにも感じる。そんななか、菅官房長官が語った「オールジャパンの誘致活動がこの結果をもたらした」のは、その通りだろう。「東日本大震災の〝復興〟を成し遂げた姿を世界の人々に見てもらいたい」との言葉には、少し安心した。
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 ところで当初、私が開催を願ったトルコのイスタンブール。親日の国らしく、イスタンブールからは自国が「東京」に破れながらも「トウキョウ、オメデトウ」との日本にあてた祝福ツィッターが昼の段階で15万通を超えたという。「トルコよ、イスタンブールよ、アリガトウ」と礼を述べたい。

【きょうの一文・ことば】「五輪は被災地の復興には役立たない。汚染水対策を国が前面に出てやると言ったのだって五輪のためだろう。避難者の生活や原発事故の収束を第一にやってほしい」=浪江町から避難し、福島市の仮設住宅で暮らす無職の岡和田温さん(40)
 「なにか他の国の話のような感じがする」。「開催したことのないトルコ(イスタンブール)に譲ってもよかったんじゃないかとさえ思う。日本は、他に力を注ぐべきことがあるのでは。震災復興を誘致の材料にしたんだったら、それを加速させてほしい」=津波で自宅を失い、気仙沼市の仮設店舗で金物屋を営む釜石市の鈴木敦雄さん(53)
 「ロンドン五輪は見ていてわくわくしたので、東京開催は素直にうれしい。7年後は、世界はもちろん、日本でも被災地を忘れている人が多いと思う。五輪が、そんな人たちが被災地に来てくれたりするきっかけになってほしい」=仙台市若林区にあった自宅を津波で流された大学生、山下愛さん(21)
 以上、いずれも9日付毎日新聞夕刊から

【新聞テレビから】
☆『2020年東京五輪 56年ぶり2度目 レスリングは存続 野球・ソフト落選』『一丸で日本五輪』『パラリンピック 生きる力に 佐藤さんPR招致の決定打』『「復興支援とセットで」 東海や被災地も期待』『スポーツが勇気に フェンシング千田選手の父』『次代へ希望の輪 「トーキョー」喜び爆発』『レスリング「子どもたちに残せた」 吉田の夢37歳で金 ロンドン「金」現地の小原さんも安堵』『至学館高レスリング部員「世界一を目指す」』『中国新華社「イスタンブールで開催」 誤り報道、すぐ訂正』、『〈難民〉3年連続増 昨年1540万人』、『東証 一時1万4200円回復』(9日付、中日夕刊)
☆『忘れない この歓喜 東京五輪 情熱を力に』『忘れないで 被災地』『7年後へ 決意を形に』『汚染水はコントロール 首相発言に批判 福島・漁師ら』、『GDP(国内総生産)年3・8%増 消費増税判断後押し 4~6月上方修正』、『「風立ちぬ」ベネチア受賞ならず』(9日付、毎日夕刊)

九月八日
 東京五輪決定を伝える中日新聞号外

 【あと7年たったら、私はどうなっているのだろうか。既にこの世のものではないかも知れぬ。もしかしたら、まだ元気でいるのかもしれない。】。
 「東京」でのオリンピック開催が決まった瞬間、日本中の人々がそれぞれの人生の行く先を考えたに違いない。

 2020年夏季五輪・パラリンピックの開催地は七日(日本時間八日)、アルゼンチンのブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会(IОC)の席上、IОC委員九十四人による投票の結果、東京で開催されることが決まった。東京でのオリンピック開催都市は、1964年(昭和39年)大会いらい、五十六年ぶり。日本での開催は冬季の札幌(1972年)長野(1998年)に次いで四度目となる。
 「東京」はこの日、一回目の投票で一位となったが過半数に達しなかった。一方、マドリードとイスタンブールは同数となり再投票の結果、イスタンブールが通過。「東京」との決戦投票で「東京」が勝った。この結果、二度目の東京五輪の開会式は七月二十四日。同二十二日に一次リーグを始めるサッカーを除き、競技は八月九日まで十六日間、東京都心部や臨海部を主会場に行われることになった。パラリンピックは八月二十五日に開会、九月六日に閉会する。
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 東京開催は朝、起床と同時に妻から「東京よ」と教えられた。昨夜はNHK総合でイスタンブール、東京、マドリードの順であった各国の最終プレゼンテーションまでは見たが、このところの寝不足、それに昼間の疲れもあって床につき、朝起きて結果を知らされた。
 本心を言えば、「開催都市・東京」の決定には複雑な思いが残る。

 福島第1原発の汚染水問題をはじめ、万一、東京大地震発生に備えての高速道や数多くの橋、建物…の改修といったインフラ整備など、こちらの方が先だ、と思うからだ。そう、「東京」はほかにすべきことがある。
 事実、一部為政者たちの少し〝のぼせあがった〟ような、そんな危ない顔を見るにつけ「東京」ばかりが浮かれていてよいのか、という意識が根底から流れているからである(むろん、アスリートたちの招致への純粋な気持ちには何の不満もない。福島との距離感を言うなら、むしろ「名古屋」か「大阪」でやった方がいいのに。なぜ、「東京」なのか)。

 こうした観点もあり私自身、今回は内心、世界的見地からみてもマドリードまたはイスタンブール、出来たら〝アジアとヨーロッパの懸け橋〟にもなる若き世代中心のイスタンブールでの開催に期待していたのだが…(妻は最初からマドリード)。でも、「東京」に決まってしまった以上は日本中がオリンピック開催に向け、英知を寄せあってひとつ心となってやっていくほかにないのかな、とも思う。

 私自身、テレビから映し出される日本の最後のプレゼンを見ていて何より胸に迫ったのが、被災地気仙沼からやってきた義足の陸上選手、佐藤真海さんの言葉だった。彼女のこのことばこそがIОC委員の多くに感動をもたらし、心を動かしたのかも知れない。
 佐藤さんは3・11大震災に触れ「津波が私のふるさとの町を襲ったとき、6日間、家族との連絡が取れなかった」自らの辛い体験を話しつつ「私は骨肉腫で足を失い、スポーツをしなければ免疫力が低下し命がなかったかもしれません。でも、こうして陸上に取り組んで喜びを感じ、スポーツ力に感動させられました」と続けた。
 さらに「国内外から五百人を超える日本や海外のアスリートたちが千回近く東北の被災地を訪れてくれ、五万人以上のこどもたちを指導し、勇気づけてくれました。私たちはオリンピックの価値の影響力を目の当たりにしたのです。五輪の価値が及ぼす力は言葉より大きい」などと話した。
 このプレゼンを聴くうち私の目からは涙があふれ、この言葉がある限り、思い切って日本でオリンピックを行っても悪くはない。少なくとも日本中のこどもたちに〝夢〟を与えることになる。おそらくスポーツをしている全てのこどもたちが「東京オリンピック」に出たい、と思っているに違いないだろう。「東京」も悪くはない―と、そう思いを新たにしたのだった。

 日本でのオリンピック開催それ自体が、被災に苦しむ東北の人々の復興への道しるべになればよい。そして「東京」での祭典が世界の平和への実現につながり、同時にこどもたちにオリンピック出場への夢を与えることになるなら、それに超したことはない、とも。
 聴けば、広島ではさっそく2020年のオリンピック開催期間中、被爆75周年を記念した原爆ドームへの見学を実現させ世界中の人々に原爆投下による悲惨さを目の当たりにしてもらい、恒久平和を訴えていくことにしている、とのニュースも一部で流れ始めた。

 実際、「2020年東京オリンピック」の開催が世界平和への礎につながるのなら。とても、良いことだと思う。いっそ、〝飢え〟や〝貧困〟〝内戦などの戦禍〟に苦しむ世界の子たちを政府が招き、会場周囲や琵琶湖をグルリ回って、互いに手と手をつなぐ平和の鎖でも作ってみたらどうか。むろん、その輪のなかには安倍首相はじめ。全国会議員が加わったら、いい。

【きょうの一文・ことば】「がんで足を失い、絶望したが、陸上を始めた。上達するにつれて新たな自信を深めた。何よりも大切なのは自分が今持っているもので、自分が失ったものではないと気付いた」=8日付、毎日朝刊『五輪招致最終プレゼン―被災地出身者訴え スポーツが命の糧 パラリンピック3大会連続出場 佐藤真海さん』で佐藤真海さん

【新聞テレビから】
☆『〈世界と日本大図解シリーズ №1111〉鳴き声を楽しもう 秋に鳴く虫たち』(8日付、中日サンデー版)
☆『シリア軍事介入 米上院賛否拮抗 11日にも採決』『否決…攻撃断念の公算大』『可決…下院待たず決断も』『イラン新大統領苦境に 同盟国被害なら強硬派が反発』、『東京の安全首相が強調 五輪招致最後の訴え』『レスリング五輪残留へ 改革評価か』、『大須リンク20日に開業60年 氷上の星育む みどりさん真央選手の原点』(8日付、中日朝刊)
☆『応援ツアー客「東京、東京』『(高円宮)久子さま「被災地支援に感謝」』(8日付、毎日朝刊)

九月七日
 2020年夏季五輪の開催地が東京になるのか。それとも、ライバルのマドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)に落ち着くのか。結果は日本時間のあす未明から早朝にかけ、現在ブエノスアイレスで開会中の国際オリンピック総会の席上、決まる。
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 土曜日。
 母校、南山大学の名古屋キャンパス(山里町)同窓会館の教職員食堂へ。
 先日、柔道部OB会の懇親会なるものの案内状を頂き、恥ずかしながら初めて同窓会館に足を運んで出席した。昨秋、これまた初めて柔道場であったOB会総会に遅れて顔を出していらいの母校である。あの時は、総会こそ既に終わってしまっていたが、1年上の学年で主将だった森川利政先輩に食事に誘われ、感激した。

 でも、きょうの、こうした正式な懇親会なるものに時間通り(正午開始)出席したのは、昭和43年3月に卒業後、初めてで私にとっては大ニュースだ。新聞社の第一線を離れ、〝一匹文士〟として日々慎ましやかに過ごす私にも余裕が出来たということか。
 少なくとも私の在学中の柔道仲間の一人ぐらいには会えるかと期待して出向いたのだが、前後の学年の顔は見当たらず、残念ながらかなわなかった。そういう私自身、卒業後、45年もの長きにわたって出てこなかったのだから、偉そうなことを言えた義理でない。

 懇親会では一番若い江本忠幸さん(昭和61年度卒)から最高齢の藤井秀彦先輩(昭和27年度卒業)まで、出席者一人ひとりが近況と在学中の思い出を順番に笑顔で話されたが話を聞くうち、どの方も今はとても幸せな人生を歩んでいることが、よく分かった。そして誰もが母校わが南山を心から愛し〝誇り〟をもっていることを知り、あらためて私自身もいい大学で学ばせて頂いたことに心から感謝した。

 順番がきた私はマイクを手に次のように話した。
「卒業後はずっと、ブンヤ(新聞記者)をしてきたが紙一重の厳しい取材をここまでくぐり抜けてこられたのも頭の中に建学の精神である【人間の尊厳】という言葉が絶えずあったからだと思う。
 そして、もう一つ。特にサンズイ(贈収賄などの汚職事件)捜査の取材などでデカ(刑事)やタマ(容疑者)をあたった時などに役立ったのは【崩し】の論理の実践だった。すなわち、柔道の技をかけるときと同じで押し過ぎたと思ったら引き、引き過ぎたら逆に押してみる。この崩しの手法が相手の心理を微妙に揺さぶり、結局はゲロさせる(白状させる)ことにつながって特ダネにつながったことが何度もある。……」

 なんだか偉そうなことを言ってしまったが、先輩も後輩も真剣な表情で聞いてくださって嬉しく思った次第である。
 とはいえ、私たちのころは新しいキャンパスに移ったばかりで工事用のハンバを仮の道場に毎日、畳の上げ下げをして稽古に励んだ苦労話とか、私自身1年のころに並みいる巨漢を三段の昇段試合で抜々戦で一挙七人を投げ飛ばし(他に一人は引き分け)て、講道館柔道3段に実力で昇段=むろん、3段なのでその後にあった型の試験もパス=したこと… 
 当時出来たばかりの階級別六十二㌔級で東海四県の学生代表としてユニバーシアードの最終選考会に講道館まで行き、残念ながら早稲田の選手に負けプラハ行きを逃したこと、ほかにオールミッション柔道大会での優秀選手賞受賞、上智との上南戦の思い出など肝心なことについては、何一つ触れずじまいだった。
 帰宅した今は「しまった。俺は一体何を話したのだ」と自問自答している。
 とはいったところで、これもあれも、みんな今となっては通り過ぎた話。私自身の青春挽歌なのだ。

 キャンパスでは四年生で「就職も決まりました」と話してくれた女子学生に親切な道案内をしてもらい、帰りには広いキャンパス内一角のベンチに一人で座り、耳にイヤホンをあて自主学習していたシカゴからきた女子留学生と二言、三言かたりあった。
 南山生活をエンジョイしている世界からの学生になんだかフンワリしたものを感じた。So.Long、さようなら―と言って別れたが、おそらく二人にとってこの瞬間の別れが悠久な宇宙での最後になるに違いない。奇跡が起きない限り、もう会うこともないだろう。 
 人生、異なものである。それだけに、学生時代の先輩、後輩、恩師はむろん、友とか知人は大切にしなければ、とふと思った。

 懇親会では、さらに私にとっては在学時代、雲の上の存在といってもよかった水谷豊さん(昭和33年度卒)から「あ~っ、イガミくんか。君のあの跳ねるような技、よう覚えとるよ」と声をかけられ、水谷さんとは同年の高山純一さんからも「君、イガミくんだったよね」と声をかけられ、感激した。
 また、後輩ながら私の卒業後に入部し今はOB会長としても活躍中の高下高さん(昭和47年度卒)OB会総務として縁の下の力持ち的存在でもある鬼頭勝義さん(昭和48年度卒)ら多くの仲間とも親しく話をさせて頂く機会を得て、心底出席して良かったなと思っている。

【きょうの一文・ことば】「私は若返りとして、この懇親会を楽しみにしている。この会に来ると、〝スウーッ〟と19、20のころに戻っていきます。いつまでも若々しい気持ちを持つことが大切だ。若々しさを保つよう。皆さん! 仲良くしてください。」(藤井秀彦さん)
「僕たちのころ、同学年の目標は昇段試験にチャレンジすることと、左右両方の技をマスターすることだった。ボクも純粋だったけど、みんな純粋だった」(水谷豊さん)=いずれも7日。南山大学名古屋キャンパス同窓会館の教職員食堂で

【新聞テレビから】
☆『運命の時VIP続々 20年五輪開催地あす早朝決定』『首相到着早速ロビー活動』『「最後の一頑張り」応援団現地に』、『国際子ども平和賞 マララさんが受賞=マララ・ユスフザイさん(16歳)。パキスタンで女子教育の必要性を訴えてイスラム武装勢力に銃撃された=』、『海底に地球一の火山 米研究チーム 日本から1500㌔東』、『家康金貨に 英、日本と交流400年で発行』、『舞妓急募 岐阜の「お座敷」に危機』(7日付、中日夕刊)
☆『シリア介入溝埋まらず G20閉幕 米、支持集め難航 米ロ首脳急きょ会談』、『20年五輪開催地あす朝決定 汚染水 東京に逆風 2都市が猛追、大接戦に』、『80歳勢ぞろい 名古屋市役所誕生日』、『世界に旋風さわやか幕 宮崎駿監督引退会見 僕は自由/「ハウル」に思い入れ 一問一答』(7日付、中日朝刊)

九月六日
 Dear、President Obama! You don,t War.I say to you only This.You have to keep World Peace. 
  
 オバマ大統領よ、あなたに、私はここ日本の国から告げたい。いや、訴えたい。
 あなたはシリア政府が化学兵器・サリンを使用したから、といって軍事介入に踏み切ろうとしている。でも、ここでホンの少しだけ私の話に耳を貸してほしい。私は、世界が危機に瀕している今だからこそ、あなたが存在感を示す絶好の機会だと思うのです。ピンチこそチャンスの言葉があります。
 あなたが軍事介入をしようとしているシリア。ここでは政府軍と反政府軍が醜い争いをしている。でも、あなたのひと言で世界が生きもすれば死にもする、ということを今一度胸に手をあて考えてほしい。
 そして議会の承認とは関係なく軍事介入はしない、と約束してください。「米国はシリアには軍事介入しない」ということを。誤った大国の大義だけで意地になってはいけない。あなたの誤った決断ひとつで多くの人々の命が奪われ、戦火がヨーロッパ全域に広がることは目に見えています。軍事介入は、どんな理屈があろうとやめるべきです。人類が繰り返してきた愚かな行為です。

 あなたにかつて与えられたノーベル平和賞とは。一体、何だったのでしょう。
 今こそ、自国の立場よりも世界の人々の安全を最優先に行動すべき時なのです。シリアの人々をはじめ、みな一生懸命に家族の幸せを願って生きているのですから。米国がシリアにもし軍事介入すれば、戦争が戦争の連鎖を、不幸が不幸の連鎖を起こし世界の多くの人々が苦しみ嘆くことは火を見るよりも明らかです。
 ドイツのメルケル首相も「シリア問題は、政治的に終わらせるべき話だ。ドイツは軍事活動には参加しない」と話し、プーチン露大統領に至っては「シリアが攻撃されたら支援する」とまではっきり言っているではないですか。ここはシリアには「これ以上の悲しみと不幸を避けるためにも、軍事介入はしません」とはっきり宣言すべきかと思います。そのひと言で、世界平和への道はぐんと近づき、国家間の距離も縮まるものと信じます。
 へんなアメリカのメンツにこだわることだけは止めてほしい。誤った大国主義の時代との決別を願っています。
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 楽天の田中将大投手が歴代最高の月間MVP11回目を獲得。今夜、Kスタであった日本ハム戦でも途中、苦しみはしたが3―2で勝利し、開幕20連勝、昨年シーズンからだと24連勝という快挙を達成。にもかかわらず、マーくん曰く「本当にほしいものは優勝です」と。こういう姿勢が、とてもいい。

【きょうの一文・ことば】…(これまで何回も引退をほのめかせ)どうせ「まただろう」と思われているようだが。(メガネを取る仕草を見せながら)眼鏡をはずしてこうやって描かなければならない。これを延々とやらなきゃ……僕の長編アニメーション時代は、はっきり終わった。今回は本気です。子どもたちに「この世に生きるに価する」というのが、自分たちの仕事の根幹だと思っていました。…=引退会見で。アニメ映画の宮崎駿監督

【新聞テレビから】
☆『武功夜話物語 その129 武功夜話を読む(須賀弘之) 巻二十一(4)織田信長と生駒氏の女 信長が青春をかけた最愛の妻、吉乃(2)』(9月6日付、尾北ホームニュース)
☆『天高く 東海に青空戻る』、『安倍首相、朴牛とも接触 G20で立ち話 日韓関係改善探る』『「意義大きい」 菅官房長官』、『「シリア政府軍兵士を処刑」 米紙、写真掲載』『マドリード 大接戦か 東京 各国記者注目 原発は社会基盤は』(6日付、中日夕刊)
☆『首相、中韓首脳と接触 就任後初、数分間立ち話』、『韓国が水産物全面禁輸 汚染水漏れ 福島など8県産』、『ドコモもiPhone 顧客流出に歯止め 20日にも発売』(6日付、毎日夕刊)
☆『福島第1原発 タンク漏水、地下水に 東電、汚染を確認』、『G20開幕 シリア介入で対立鮮明 ロ・中・EU反対 米に逆風』、『天理大の暴行問題 柔道部を活動停止に 世界「金」の主将ら解任』、『新聞に軽減税率適用を 文化と民主政治に不可欠 学者ら意見書』、『元トレーラー運転手実刑 横転3人死傷 過失認定 名古屋地裁判決』、『〈訃報〉万愛花さん死去 日本軍の性暴力訴え』(6日付、中日朝刊)

九月五日
 それでも。町の全てが、何もなかったように動いている。昨日、あんなにも雨、風、雷にいじめられた、というのに、だ。
 目の前に広がる町。
 きのうの、あの狂った如き音と光、自然が襲いくる喧騒が、とても信じられない。私はハンドルの前に静かに広がる街並みに、あらためて天気次第という言葉を思い出していた。

 「からだの厚みの中に入るのがヨコ。」。社交ダンスの方は、ジルバ、タンゴ、ルンバ、ブルースと、ひと通りのおさらいに続き、久しぶりにワルツのレッスンとあいなった。ここにきて〝リバースターン〟〝ナチュラルターン〟というものがナントナク分かりかけてきた気がして、ダンスの奥の深さに戸惑ってもいる。「からだの厚みの……」はナチュラルターンのステップを踏むにあたってのアドバイスである。
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 かつての同僚から「遊びに来てください」の添え書き付きで頂いた葉書の内容に「私は来年二月で定年です。伊神さんは悠々自適でしょうが、お体を大事にしてください」の何げない文面。「あ~ぁ。そうか。どんなにあがいたところで、これが悠々自適って、奴かもしれない」。
 そう思うと、なんだかこれまで体内に棲み付いていた魔物みたいな、へんなこだわりのようなものがスーウッと消え、なんと言ったらよいのか。そういったモノがふっきれた気がする。そうだ。悠々自適なのだから、やろうと思えばなんだって出来る…
 でも決して無理しない。自然体で出来る範囲内でやればいい。ニンゲン皆、楽しく遊ぶために生まれていきているのだから。とはいえ、人生まだまだこれからだと思うし、思いたい。悠々自適か。

 妻が帰ってきたようだ。きのうとは打って変わって静かな町を。マイペースで。
 玄関先に自転車の音。音に気付いてそろそろと玄関先まで迎えに出てゆく次女猫のシロちゃん。長女猫こすも・ここは例によって丸くなったまま、高鼾だ。コトリと自転車を置く音がした。本日は、ここいらで。あ~ぁ

【きょうの一文・ことば】私たちは生きるのに精一杯です。でも誰も助けてくれません。シリアの子供たちの未来は、まるで地獄です。=5日夜、NHK「〈クローズアップ現代〉化学兵器疑惑の真相は 緊迫・シリア情勢」の中で。トルコ国境の難民キャンプで男性

【新聞テレビから】
☆『新社殿にささげる実り 伊勢神宮抜穂祭』、『誤45年7月13日夜→正12日深夜~13日未明 「一宮空襲」日付訂正 戦後68年、市が異例答弁』、『宇連ダム貯水率回復 新城渇水対策本部見送り』『「竜巻の可能性高い」 伊勢の突風 気象台が現地調査』『避難者が全員帰宅 愛知と岐阜』、『〈大リーグ〉ダル日本人最多奪三振(240個) 野茂さんのシーズン236超え「光栄です」 6四球苦い記念日に』、『景気判断引き上げ 日銀決定会合 設備投資持ち直す』(5日付、中日夕刊)
☆『115年前の民法規定 婚外子相続差別は違憲 最高裁初判断 家族の多様化考慮 全裁判官一致 法改正迫られる〈解説〉ようやく「子の平等」尊重』、『豪雨名古屋で109ミリ 愛知・岐阜 2万6000人避難勧告 関で1人不明』、『新聞協会賞に7件』『「いつの日も真実に向き合う記事がある」代表標語、茨城の女子高生作品』(5日付、中日朝刊)
☆『「家持ち上げられた」 伊勢で竜巻か 「ゴーッ」渦巻く雲 栄では地下街浸水』、『リニア官庁街地下通過 名駅ホーム 新幹線と交わる』(5日付、毎日朝刊)

九月四日
 土砂降りの雷雨のなかを濡れ鼠となって名古屋から帰った。
 名鉄江南駅からバスに乗ったが、傘をさして乗り降りするだけでも全身ずぶ濡れで自宅に通じる道の途中の交差点は近くの用水の水があふれてか、膝まで水がくる始末だった。なんだか私が悪い事でもして〝雨たち〟に袋叩きに遭っているような、そんな被害妄想にかられた。
 一斉に、それも私を叩きのめすかのように降り注いでくる容赦ない雨。大粒の雨たちの一粒ひと粒が意識を持って、私を攻め立ててきた。

 帰宅してからが、また大変。少しだけ開いていた窓から廊下などに降り注いでいた雨の残骸たちを雑巾で拭きとったあとは、衣服を脱いでシャワーを浴びる―といった具合。全国的にゲリラ豪雨や突風被害が相次いでいるなかで「ここら辺りは大丈夫」という先入観があったが、そうは問屋が卸さなかった。
 この日未明、台風17号こそ鹿児島県指宿市付近に上陸。午前九時には四国付近で温帯低気圧に変わったものの、前線が停滞していたこともあって、尾張名古屋は大変なゲリラ豪雨の直撃を受け、各地で河川が増水。氾濫寸前にまでなり、JR、名鉄両線とも一宮―岐阜、名古屋―新鵜沼(岐阜)間でしばらく運休する事態に。地下街も駐車場に水が溢れて混乱するなど不安な一日となったのである。
 自然には勝てるはずがない。

 台風崩れとはいえ、このところの大気の不安定と天候急変は、日常茶飯事になってきている。日本列島を人間の体にたとえたら、どこかで動脈瘤破裂か何かで血管が切れ破裂したような、そんな錯覚さえ覚えるのである。

【きょうの一文・ことば】†向田さんはお会いするたびに〝人生はあざなへる縄の如し〟だって。幸せと不幸せは交互にやってくるものよ、とおっしゃられていた。=4日夜、NHK総合〈クローズアップ現代「美しいひと・向田邦子 読み継がれる理由」〉のなかで。黒柳徹子さん
†作家としてこれから、という時に亡くなってしまった向田作品の持つ〝人生の上でのかげり〟こそ、多くの人の心を打つものです。あれほどまでに家族、なかでも妹や弟を愛した人はいないのではないでしょうか。=同澤地久枝さん

【新聞テレビから】
☆『白石びっしり ご神体待つ 伊勢神宮 内宮新正殿を公開』、『没後きょう100年 (田中)正造の功績4代の誇り 栃木・佐野「最期の家」市史跡に』、『竜巻の家屋損壊1100棟超 埼玉、千葉 知事、支援制度要請へ』、『天理大柔道部で暴力 部長把握後、全柔連理事に 辞任を表明』(4日付、中日夕刊)
☆『〈特集ワイド〉「藤圭子の新宿」を歩く デビューも最期も「因縁の地」』(4日付、毎日夕刊)
☆『シリア 「政権、人間の盾準備」反体制派に懸念広がる』『化学兵器疑惑 シリア駐ロ大使「反体制派使用」』『難民急増200万人』『「北朝鮮とシリア 化学兵器で関係」韓国国防省』、『ナチス虐殺仏の村慰霊 きょう独大統領』、『〈核心〉「政府主導」甘い見通し 汚染水目玉対策に弱点 凍土壁前例なし 浄水機も不完全』(4日付、中日朝刊)

九月三日
 中日新聞が本日付で全七頁に及ぶ特集式年遷宮〈おごそか大祭まもなく 二十年に一度、来月神様の引っ越し〉を掲載。お伊勢さんの遷宮がいよいよ近づいてきた。
 この特集記事は〈お伊勢参り今昔〉をテーマに落語家桂文珍×皇学館大学教授桜井治男さんによる対談を見開きで掲載、ほかに「おかげ横丁」や「おはらい町」「古市」など、名所とその写真、周辺MAP、年表、広告…、さらには伊勢音頭から「おかげ参り」まで全てを網羅しているだけに、読みごたえと見ごたえがあった。
 さすが、地域社会にとけ込んだ紙面展開である。これなら、読者も満足しているだろう。中から特集の七頁分を抜き取って保存も、持ち運びも自由に出来るよう工夫が凝らされているだけに、納得いく紙面構成だといってよい。
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 きょうは誰かさんの指示もあって、合間の時間を充て〝使用人〟よろしく庭の草取りと育ち過ぎて他の木々に蔦をからませたままのアサガオの伐採、処理に追われた。作業を終えたときは汗でびっしょり、途中でいきなり雨が降り出してきたため、ベランダの洗濯物を入れるなど結構、ドタバタした。帰宅した家人は、そんな私の奮闘ぶりに少しばかりは満足した様子で「意外とやるじゃん」といった表情。
 これからは小説の創作以外には、出来る範囲内でわが家の使用人、いやあまり役立ちはしないが〝お手伝いさん〟〝弟子〟になれたら、とも思っている。

 夜に入り、また雨が降り始めた。この夏は大気が不安定で、天候が急変する事態が日本中で相次いでいる。文明の利器からくる温暖化現象などに原因があるのか。日本列島、いや地球そのものの体質が変わってきてしまったのでは―と危惧している。
 それとも、地球という星が壊れる予兆なのか。それは、神のみぞ知る。

【きょうの一文・ことば】若い時は、一つでも多くのタイトルを取りたいと思っていた時期もあった。でも今はあと何勝したいというより、僕がいることで何かチームのプラスになればと考えて現役を続けている。ここ数年で、そんな心境になってきた。=3日付毎日朝刊、【〈史上最年長の道 山本昌〉記録よりチームに貢献】より

【新聞テレビから】
☆『〈NEWS23〉史上初! 世界初三兄弟同時世界王者 亀田家の夢かなう! 亀田大毅が二階級制覇 判定勝ち』、『スマホ出会い系最前線』(3日夜、CBCテレビ)
☆『シリア アサド氏、米仏介入なら「地域戦争の危険」』『仏、物証なき報告書 「化学兵器使用」と結論』『マケイン氏一転容認に 米野党』『緊密な連携で一致 日米首脳電話会談』、『福島第1 国費470億円投入へ 政府、汚染水対策を決定』、『海老蔵さん主演作 芸術貢献賞 モントリオール映画祭、「利休にたずねよ」』、『「800万円恒久化」提案へ 市長給与市議報酬 名古屋市、9月議会に』(3日付、中日夕刊)
☆『〈特報〉オバマ氏 シリア介入の意向 米戦争への大〝疑〟 「化学兵器」状況証拠だけ 国連決議なし英など離脱 本音は…「中東での影響力維持?」「軍需企業の支持狙い?」』、『〈核心〉地表は夏 気温差40度 上空は秋 積乱雲猛発達 埼玉・千葉で竜巻被害 予測困難 注意情報間に合わず』『猛暑 豪雨やはり「異常気象」 気象庁検討会が分析』
『大飯直下「活断層なし」 破砕帯の評価規制委が一致』『破砕帯位置 関電主張とずれ』、『〈ふくしま便り〉海を渡った折り鶴絵本に』、『IОC (高円宮妃)久子さま総会出席へ 宮内庁「政策関与せず」転換』(3日付、中日朝刊)

九月二日
 九州の鹿児島、福岡県が大雨になったかと思えば、沖縄付近で台風17号が発生。能登半島七尾市でも一時、避難勧告が出された。埼玉県越谷市大杉では、いわゆるスーパーセル(巨大積乱雲)が竜巻となって吹き荒れ、民家の二、三階部分を中心に壊滅的打撃となった。屋根瓦が飛び、電柱が倒壊するなど、分かっただけでも埼玉、千葉両県で百棟が全半壊、六十七人がケガをし家屋の被害は五、六百件にも及んでいる。このほか、両県では一時19400戸で停電、眠れぬ夜となった。
 それどころか。福島第1原発では、汚染水漏れがタンクや配管のあちらこちらで多発。国際社会でも東電ばかりか、国の原子力規制委員会に対する失態を指摘する声が相次いでいる。傷だらけの日本列島。自然の驚異も含めての人間自身の失態。傷口は一体、どこまで広がればすむのか。

 一方で国際社会が軍事介入を危惧するなか、米国はシリア政府が「サリン」を使用していた、と独自調査経過結果を発表。米軍への攻撃命令に先だちオバマ大統領が「人民の人民による人民のための政治」を強調、議会に軍事介入の承認を求めるなど予断を許さない状況で、軍事介入を危惧する声が高まっている。
 今後、オバマ大統領がどんな決断をするのか。それにしても、米軍が軍事介入すれば戦争という不幸の連鎖が広まるばかりだけに、軍事介入はすべきでない。
 人間とは、なんと愚かなものか。つくづく心が寂しくなってくる。世界中の人々が戦争など望んではいない。

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 お伊勢さん(伊勢神宮)。ここで式年遷宮を前に新しく建て替えられた社殿の周囲に市民らが白石を置く「お白石持行事」の全日程がきのうで終わり、同じ一日から富山市八尾町では秋の訪れを告げる「越中八尾おわら風の盆」が始まった。
 
 新聞報道によれば、全日程を終えた、お白石持行事。参加した特別神領民は全国の神社関係者も含め、延べ二十二万六千人に及んだ。お白石持は七月二十六日に内宮から始まり、八月十七日からは舞台を外宮に移し、神領民の引く奉曳車が川や陸路で白石を着々と運びこんだ。猛暑という敵にも襲われ期間中、熱中症とみられる症状で搬送された市民は八十六人にも達したという。

 新社殿にご神体をうつすご遷座祭は内宮が十月二日、外宮でも十月五日にそれぞれ行われ二十年に一度の式年遷宮が、いよいよクライマックスを迎える。
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 「うまくなった」というよりは「少しはふけるようになった」か。
 そう、私の横笛である。あの越中おわら風の盆が開かれている八尾では、今宵、町中に胡弓の音が流れ、天気さえよければ〝町流し〟に大勢の観光客が集まっているに違いない。私にとっても、あの坂の町は永遠に忘れられない、あるひとコマがあった。だから、こうしていても体内を流れる【心の川】を〝かぜたち〟がしなってながれてゆく―

 今だから話せるドラマとは。あの日、突然、訪れた私。その来訪者をお忙しいのにも拘わらず、宿の手配に始まり、翌日の案内までまる二日間をかけ世話してくださった女性がいる。その方を思うとき、あの哀愁の調べが、撓うように、震えてでもいるかのように私の耳元に今なお迫りくるのである。元気でおいでだろうか。

 そして目を瞑る。耳を澄ますと、暗闇から手探りでもしてくるかの如く、あのかすれそうな、か弱き消え入りそうな調べが流れ、からだの中にまで火がつき、忍び寄ってくる――。これこそが、風の盆恋歌の神髄である。この点では胡弓も横笛も変わらない。
 さらに言えば。大気といふ見えない海の中に音が落ちて流れて「仲間にいれて」と恐る恐る入りくる。越中おわら八尾とは、そういった按配の音の流れる、私にとっては、笛の音の理想郷なのだ。胡弓の音に台風が退散し実り豊かな秋が訪れる。とても、よく分かる。

【きょうの一文・ことば】宮崎駿監督のどの作品も国境を超える力がある、と私は思っている=2日夜のメ~テレ【〈報道ステーション〉宮崎駿駿督が引退へ…「風立ちぬ」を最後に 巨匠惜しみ海外でも報道】のなかで、コメンテーター氏の発言。

【新聞テレビから】
☆『団体女子一丸で「金」 世界柔道 日本、男子は「銅」』『個人戦「金」なし 苦しんで最後に歓喜』、『ベネチアも引退惜しむ 宮崎監督「風立ちぬ」上映 撤回期待も』、『モルシ前大統領 検察当局が起訴 エジプト』、『赤の広場で盛岡さんさ 震災時の支援感謝』(2日付、中日夕刊)
☆『電子出版権新設へ 文化庁ネット海賊版対策 著作権法改正』『〈解説〉出版界・著作者おおむね肯定的』(2日付、毎日夕刊)
☆『「富士山噴火」初の避難訓練 静岡』『「安否札」救命切り札 掲げない家住民見回り 「防災の日」訓練 (名古屋市)瑞穂区高田学区8割強の世帯参加』、(2日付、中日朝刊)
☆『ジャカルタ・お巡りさんコン 15万人を魅了』(2日付、毎日朝刊)

九月一日
 わが母校、滝学園(中、高校)の平成25年度同窓会の総会と懇親会が名古屋のウエスティンナゴヤキャッスルであり、高校を卒業して半世紀近くたって初めて顔を出した。新聞社に務めていた現役時代を離れ、今では【素浪人の一匹文士】だ。それだけ余裕ができた、ということか。

 学年単位のクラス会にはこれまでも時間の許す限り、出てきてはいる。
 また後輩に対する講演も一宮主管支局長(現総局長)のころ、させて頂いたことはあるが、あいにく学園全体の同窓会にはこれまで一度も出たことがなかった。いや、案内はきていても他人ごとだと思っていた節がある。ところが、今回はなぜか、どんなものかを見てみたい衝動にも駆られ、きのうになって失礼とは知りつつ1年先輩で滝学園の英語教師でもあった栗本達也先輩に電話を入れ、無理を聞いてもらっての出席とあいなった。

 同窓会総会に続く懇親会は、校歌斉唱、懇親会準備委員長、同窓会長、来賓代表である滝富夫学園理事長あいさつ、来賓・恩師紹介に続き、乾杯の音頭で始まり、途中、連太鼓演奏のアトラクション披露などあれやこれやとあったが、校歌と応援歌「清きまなざし」をそれこそ、昭和39年に卒業していらい歌ったのが、なんとも懐かしく思い出深かった。

 このうち校歌は、♪水上遠き大岐蘇(おおきそ)の/流れは永遠にはぐくまむ/沃野(よくや)尾北にひるがえる/自由の畑ぞ我が母校…というもので4番まで。
 そして。滝学園応援歌〈清きまなざし(西村ひさの作詞 森一也作曲)〉の方は、♪まなざし清き 若者の/意志と 努力の 虹の橋/高く かかげて 戦わん/つくれ 栄誉の アーチをば/滝高健児の 闘士は燃ゆる
 伝統古き 時計台/木犀かおる 庭の芝/つどいて 若き 千五百/謳え 勝利の 讃歌をば/滝高健児の 雄叫び高し
 という内容で2番まで。2曲とも確かに覚えていた。

 懇親会のさなかには、なんだか年代がどんどんと昔に逆戻りしてゆくような、そんな錯覚にもとらわれた。滝学園は二年後には創立満九十周年を迎え、なんでも「ひ孫が滝に入った」と大喜びの大先輩もおいでだとか。卒業生も実に三万人に達したというが、きょうの出席者は三百人前後といったところか。
 やはり、この席に出てきている同窓生らは、民間会社の代表はじめ弁護士、行政書士、新聞販売店の若きオーナー、債権回収会社監査役…と、どちらかと言えば、どなたも人生に対して、より積極的で前向きな面々が多いように私には感じられた。限られた人生。やはり、こうでなければ。
 そういう私とて、これまで学園同窓会には一度も出席せず、むしろ他人ごとの如く無視してきたが、今後は生きていて他にどうしてもという用事がない限り、積極的に出よう、と思った。なにしろ、卒業生百人のうち一人しか出ないのでは、その勢いや推して知るべしだ(むろん、三万人のなかには亡くなられた人もたくさんいるので、単純に計算は出来ないのだが)。頭だけよくても、社会の荒波に積極果敢に飛び込む気概がなければ、偉人も出てはこまい。
 これでは同様に精鋭ぞろいの東海、南山両学園に負けてしまいかねない。人間、頭のよさよりも機知と愛嬌、行動力、親しみやすさで決まってくるのだ。その点、東海勢はしたたかものが多いのだから。油断できない。純粋さもいいが知恵を働かせなければ……。

 ここで一つ、どうしても記しておきたいことがある。
 前述の先輩、栗本達也さんのことだ。私はつい最近になり初めて知ったことだが、彼は食道がんに侵されたが、この厄介極まる難敵を強靭な精神力と努力で見事に退治して克服。いまは数々の地域社会の奉仕活動に貢献されているばかりか、教え子(卒業生)に誘われ、日々俳句づくりにも励んでおられる。永遠の青年と言ってもいい前向きな姿勢が、とても刺激になった。
♪もみじ谷木漏れ日までも朱に染まり
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 ちなみに、一宮市萩原出身のあの青春歌謡歌手舟木一夫さんの【高校三年生】が爆発的に大ヒットした年、私は高校三年生だった。当時、滝学園の自転車置き場で舟木さんはじめ、高田美和さん、姿美知子さん、倉石功さん…ら若手人気俳優のロケが行われていたことをよく覚えている。何度も何度も自転車置き場で転んで見せる舟木さん。
 私は柔道着に身を包み黒帯姿で「なんだ、こやつらは」と思っていたが、今となっては忘れられない良き日々でもあった。合い席となったテーブルを囲んで年下の同窓生にこんな話をして聞かせると、「へぇ~、そうでしたか」と聴き入る顔がまた何とも可愛らしくておかしくもあった。

【きょうの一文・ことば】「ワシャ、七十九歳になるが、いくら練習して鍛えに鍛えたからだでも、年には勝てないことがよく分かった。年には勝てん、とはよう言ったものだ。それにしても日本の柔道界は何をしてるのだ!」=同窓会の帰り道で。柔道部の恩師・斎木哲夫先生(元愛大柔道部主将で、東海の雄。かつては日本柔道界の星。日本選手権出場も何度か)

【新聞テレビから】
☆『シリア市民レバノンへ脱出 「攻撃終わるまで戻らぬ」連日1万人以上』、『中電3年連続余力 「浜岡」抜きで猛暑もクリア やはり「原発いらない」』、『藤波10勝 セ高卒新人江夏以来46年ぶり 悪条件で真価 修正能力新人離れ』『村田月間46安打 セ新』、『首相ブレーンまた異論 消費税上げ幅抑制提案 点検会合終了』(9月1日付、中日朝刊)
☆『三重・中3殺害 犯人に土地勘か 県警 尾行の可能性も』『通夜 友人ら別れ悲しむ』、『東京女子大 方言チャートサイト 出身地の的中率8割 「家におらん」はい?いいえ?』(1日付、毎日朝刊)

08/4/26