詩「静寂の調べ」

時は黄昏
陽で大地が赤く染まると
ゆるやかな風に乗り
それは流れていく

憂うるような鳴き声
たくさんの家畜たちは
畜舎へ姿を消し
深緑なす丘と
葉々も散り肌色の樹が
寂しげに立っている

静寂に染み入るように
羊飼いの笛の音は
しなやかに流れていく

ギリシャの神パンは
河辺で溜息をつき
葦の葉を揺らして
悲しい調べを奏でた

白い衣をまとう
老いた旅人がひとり
杖を手に
夜を訪ねていく
 
彼は立ち止まり
灰色の瞳を閉じて
笛の音に耳を澄ませる
眠りを誘う調べに
やがて旅人は去っていく

陽は沈み闇が訪れても
羊飼いの笛は鎮魂の調べを捧げている

12年4月15日

ウェブ作品集

加藤 行

 

時は黄昏
陽で大地が赤く染まると
ゆるやかな風に乗り
それは流れていく

憂うるような鳴き声
たくさんの家畜たちは
畜舎へ姿を消し
深緑なす丘と
葉々も散り肌色の樹が
寂しげに立っている

静寂に染み入るように
羊飼いの笛の音は
しなやかに流れていく

ギリシャの神パンは
河辺で溜息をつき
葦の葉を揺らして
悲しい調べを奏でた

白い衣をまとう
老いた旅人がひとり
杖を手に
夜を訪ねていく
 
彼は立ち止まり
灰色の瞳を閉じて
笛の音に耳を澄ませる
眠りを誘う調べに
やがて旅人は去っていく

陽は沈み闇が訪れても
羊飼いの笛は鎮魂の調べを捧げている

09/12/13