詩「白い翼」

孤独なビルディングの森
人間の溜息の消えた街角
陽はまだ昇らず
ガラス窓たちは冷たい

幾何学的に構成された舗道で
白い鳩が眠っている
静かに瞳を閉じ
翼は我が身をかばうように広げ
もう苦しむことはない

鳩は遠い過去で故郷を捨て
群れをなして
みずからの翼で広大な空を渡り
あたらしい世界で安息した

たくましく生きる本能のちから
それは遺伝子の本質
遺伝子はダイナミズムに無限
種の保存は偉大なるパラダイム

大自然の勢いは止むことがない
白い翼は静寂に包まれ
鳩はその運命を悟る
群れを離れ
愛するように大地へと落下する

巡る運命と去る運命
それは波のようで人も同じ
都会の群集は波の渦に呑まれ
誰もが悲しみ喜びにざわめき
足元の白い鳩を忘れている

ビルディングの壁に陽が映えて
喧騒は遠くに静かな街角
誰かの手がそっと白い翼を抱き上げる

11年7月31日

ウェブ作品集

加藤 行

 

孤独なビルディングの森
人間の溜息の消えた街角
陽はまだ昇らず
ガラス窓たちは冷たい

幾何学的に構成された舗道で
白い鳩が眠っている
静かに瞳を閉じ
翼は我が身をかばうように広げ
もう苦しむことはない

鳩は遠い過去で故郷を捨て
群れをなして
みずからの翼で広大な空を渡り
あたらしい世界で安息した

たくましく生きる本能のちから
それは遺伝子の本質
遺伝子はダイナミズムに無限
種の保存は偉大なるパラダイム

大自然の勢いは止むことがない
白い翼は静寂に包まれ
鳩はその運命を悟る
群れを離れ
愛するように大地へと落下する

巡る運命と去る運命
それは波のようで人も同じ
都会の群集は波の渦に呑まれ
誰もが悲しみ喜びにざわめき
足元の白い鳩を忘れている

ビルディングの壁に陽が映えて
喧騒は遠くに静かな街角
誰かの手がそっと白い翼を抱き上げる

09/12/13