詩「線路の追憶」

少年時代から懐かしい一本の線路
どこか錆びて苦い味
歩いてみれば大人になれる

意味不明な向上心と
惰弱な筋力
それだけで終着駅があるという憧れ

小さく呼びかける愛がいる
線路の傍らに咲く優しい花の微笑み
躊躇する僕に列車は走ってくるだろうか

蕾を取って蜜を吸ってみる
懐かしい想い出の味
自己中心なモラトリアム
悩んでいる僕に列車は走ってくるだろうか

黒い蟻が葉の上を動いている
蟻だって道はない
全身で運命を繰り出している
それでも僕の列車は走ってくるだろうか

楕円な葉が螺旋を描く
でも手を伸ばして茎を握り
曲げればザクリと折れるのだろう
その残忍性に僕は違和感を持たない
けれど僕の列車は走ってくるのだろうか

根は大地に広がっていく
大地を覆い
地球を包み込む
その上で僕は屈み込んで
自分の小ささを考えてみる

僕の列車は走ってくるだろうか
待っている僕の列車は走ってくるだろうか

11年7月31日

ウェブ作品集

加藤 行

 

少年時代から懐かしい一本の線路
どこか錆びて苦い味
歩いてみれば大人になれる

意味不明な向上心と
惰弱な筋力
それだけで終着駅があるという憧れ

小さく呼びかける愛がいる
線路の傍らに咲く優しい花の微笑み
躊躇する僕に列車は走ってくるだろうか

蕾を取って蜜を吸ってみる
懐かしい想い出の味
自己中心なモラトリアム
悩んでいる僕に列車は走ってくるだろうか

黒い蟻が葉の上を動いている
蟻だって道はない
全身で運命を繰り出している
それでも僕の列車は走ってくるだろうか

楕円な葉が螺旋を描く
でも手を伸ばして茎を握り
曲げればザクリと折れるのだろう
その残忍性に僕は違和感を持たない
けれど僕の列車は走ってくるのだろうか

根は大地に広がっていく
大地を覆い
地球を包み込む
その上で僕は屈み込んで
自分の小ささを考えてみる

僕の列車は走ってくるだろうか
待っている僕の列車は走ってくるだろうか

09/12/13