詩「暑中お見舞い」

遥かな山峰に抱かれて
青い空には雲ひとつなく
町並み陽炎のなか
そこかしこから
子供たちの歓声が上がる

黒い屋根瓦はじりじり焦げて
耳を澄ませば
打ち水の音
低い石畳の階段に
カランコロンと下駄が鳴る

チリンチリンとゆれる風鈴
庇の下で
ステテコ姿のお爺さんと
黄色い通学帽の子供が
ふたり仲よく
縁側に座ってる

スイカをふた切れ盆にのせ
額の汗を拭きながら
いそいそ母が運んでくれる

奥の部屋では
連休続きの父親が
寝ころがってテレビの野球観戦
背中には渦巻きの蚊取り線香
思わず猫がくしゃみする

そこは暑気が逃げた城下町
それでも夏は終らない
大空をくるりと
のほほんと
一羽の燕が円を描く

10年5月11日

ウェブ作品集

加藤 行

 

遥かな山峰に抱かれて
青い空には雲ひとつなく
町並み陽炎のなか
そこかしこから
子供たちの歓声が上がる

黒い屋根瓦はじりじり焦げて
耳を澄ませば
打ち水の音
低い石畳の階段に
カランコロンと下駄が鳴る

チリンチリンとゆれる風鈴
庇の下で
ステテコ姿のお爺さんと
黄色い通学帽の子供が
ふたり仲よく
縁側に座ってる

スイカをふた切れ盆にのせ
額の汗を拭きながら
いそいそ母が運んでくれる

奥の部屋では
連休続きの父親が
寝ころがってテレビの野球観戦
背中には渦巻きの蚊取り線香
思わず猫がくしゃみする

そこは暑気が逃げた城下町
それでも夏は終らない
大空をくるりと
のほほんと
一羽の燕が円を描く

09/12/13