詩「年輪の集い」

冬の朝
葉をみんな奪われて
丘に立つ
一本の落葉樹
それは虚しさを想う
老人のようだ
内には多くの年輪という
寂寞な思い出を抱き
それでも
焦げ茶色の皮を曝して
寒さに威厳を示す

暗い空がたちこめ
厳しい風が枝をゆすり
冷気が容赦なく
幹の内へと攻め入る
樹は瞳を閉じ
じっと耐えて春を待つ

夏の昼下がり
丘に立つ落葉樹
雲いっぱいの青空のもとで
風ひとつなく
緑葉で包まれた枝を
小鳥たちがさえずりながら飛び交う

子供たちは樹の周りで
隠れんぼうをして大声を上げ
自転車に乗った配達夫は
葉の緑を見上げ微笑んで去り
恋人達は樹のもとで
片を寄せて将来を語り合う
その傍らのベンチには
お婆さんが子犬を連れて座り
一生懸命に編み物をする
樹は黙って彼らを抱擁している

09年12月14日

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加藤 行

 

冬の朝
葉をみんな奪われて
丘に立つ
一本の落葉樹
それは虚しさを想う
老人のようだ
内には多くの年輪という
寂寞な思い出を抱き
それでも
焦げ茶色の皮を曝して
寒さに威厳を示す

暗い空がたちこめ
厳しい風が枝をゆすり
冷気が容赦なく
幹の内へと攻め入る
樹は瞳を閉じ
じっと耐えて春を待つ

夏の昼下がり
丘に立つ落葉樹
雲いっぱいの青空のもとで
風ひとつなく
緑葉で包まれた枝を
小鳥たちがさえずりながら飛び交う

子供たちは樹の周りで
隠れんぼうをして大声を上げ
自転車に乗った配達夫は
葉の緑を見上げ微笑んで去り
恋人達は樹のもとで
片を寄せて将来を語り合う
その傍らのベンチには
お婆さんが子犬を連れて座り
一生懸命に編み物をする
樹は黙って彼らを抱擁している

09/12/13